説明

燃料電池システム

【課題】燃料電池システムにおいて、検出センサ自身の故障であるか検出センサの検出対象の異常であるかを特定し、ひいては異常が発生した後のメンテナンス性の向上を図る。
【解決手段】燃料電池システムの制御装置は、検出センサの出力信号が第1の判定時間以上継続して第1の判定範囲外にあるか否かに基づいて、該検出センサが故障であるか否かを判定するセンサ故障判定手段(ステップ106,108)と、検出センサの出力信号が第1の判定時間より長い第2の判定時間以上継続して第1の判定範囲より狭くかつ該第1の判定範囲に全範囲が含まれる第2の判定範囲外にあるか否かに基づいて、該検出センサの検出対象である物理量の状態が異常であるか否かを判定する状態異常判定手段(ステップ112〜118)と、各判定手段による判定結果を記憶する記憶手段(ステップ120)と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池システムの一形式として、特許文献1に示されているものが知られている。特許文献1の図2に示されているように、燃料電池システムにおいては、センサに異常が発生し、かつ、異常が検知されたセンサの出力値の代替値として利用可能な出力値を出力する代替センサが存在しないと判定した場合に、燃料電池11の運転状態が、燃料電池11本体に異常が発生しない程度の運転状態となるように設定するようになっている。これにより、燃料電池の運転状態を検知するセンサに異常が発生した場合であっても、燃料電池の所望の運転を確保することができる。なお、センサに異常が発生したか否かを判定する処理では、例えば正常状態のセンサの出力値に対して予め設定された所定の上限値および下限値を超える出力値が出力されているか否か、あるいは、適宜の関連性を有する他のセンサの出力値が変動している状態で出力値が適宜の値に固定された状態が継続しているか否か、あるいは、出力値自体が出力されているか否か等を判定するようになっている。
【0003】
また、燃料電池システムの他の一形式として、特許文献2に示されているものが知られている。特許文献2の図9に示されているように、燃料電池システムおいては、温度を検出する温度検出手段たる電池温度監視装置107,電池冷却水温度検出装置119を備え、温度が規定範囲から外れたときに運転を停止するとともに前記発電電力表示部132によって異常を報知するように構成している。これにより、温度が規定範囲から外れたときに運転を停止するとともに簡単な構成で異常を報知することができる。また、発電電力表示部132によって異常を報知するので、発電電力表示部132を発電電力表示と異常の報知に兼用でき、操作表示部111を低価格でシンプルに構成することができ、表示を分かりやすくすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−351408号公報
【特許文献2】特開2007−287704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1に記載されている燃料電池システムにおいては、センサに異常が発生したか否かを判定する処理では、例えば正常状態のセンサの出力値に対して予め設定された所定の上限値および下限値を超える出力値が出力されているか否かに基づいて判定するようになっているが、センサ自身の故障により出力信号が所定範囲を超えているのか、あるいはセンサの検出対象である物理量(例えば温度)が実際に所定範囲を超えているのかがわからない場合がある。この場合、異常が発生した後のメンテナンス性の向上を図るために、センサ故障であるか物理量の異常であるかを特定できることが要請されている。
【0006】
上述した特許文献2に記載されている燃料電池システムにおいては、温度が規定範囲から外れたときに運転を停止するとともに簡単な構成で異常を報知することができるようになっているが、センサ自身の故障により出力信号が所定範囲を超えているのか、あるいはセンサの検出対象である物理量(例えば温度)が実際に所定範囲を超えているのかがわからない場合がある。この場合、異常が発生した後のメンテナンス性の向上を図るために、センサ故障であるか物理量の異常であるかを特定できることが要請されている。
【0007】
本発明は、上述した問題を解消するためになされたもので、燃料電池システムにおいて、検出センサ自身の故障であるか検出センサの検出対象の異常であるかを特定し、ひいては異常が発生した後のメンテナンス性の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明は、燃料と酸化剤ガスとにより発電する燃料電池と、改質用原料と改質水とから燃料を生成する改質部と、少なくとも燃料電池のアノードオフガスを燃焼させて改質部を加熱する燃焼部と、を備えた燃料電池システムであって、燃料電池システムの排熱を回収する排熱回収システムと、燃料電池、改質部、燃焼部および排熱回収システム、ならびにそれらに入出する流体、のうち少なくともいずれか一つの物理量の状態を検出する検出センサと、検出センサの出力信号に基づいて燃料電池システムを制御する制御装置と、を備え、制御装置は、検出センサの出力信号が第1の判定時間以上継続して第1の判定範囲外にあるか否かに基づいて、該検出センサが故障であるか否かを判定するセンサ故障判定手段と、検出センサの出力信号が第1の判定時間より長い第2の判定時間以上継続して第1の判定範囲より狭くかつ該第1の判定範囲に全範囲が含まれる第2の判定範囲外にあるか否かに基づいて、該検出センサの検出対象である物理量の状態が異常であるか否かを判定する状態異常判定手段と、各判定手段による判定結果を記憶する記憶手段と、を備えている。
【0009】
また請求項2に係る発明は、請求項1において、制御装置は、センサ故障判定手段が検出センサが故障であると判定したときには、状態異常判定手段による判定を禁止する判定禁止手段をさらに備えている。
【0010】
また請求項3に係る発明は、請求項1において、検出センサと検出対象が同一であり該検出センサの代替となる代替検出センサを備えている場合において、制御装置は、センサ故障判定手段が検出センサが故障であると判定した後に、代替検出センサの出力信号が第2の判定時間以上継続して第2の判定範囲外にあるか否かに基づいて、該代替検出センサの検出対象である物理量の状態が異常であるか否かを判定する代替状態異常判定手段と、検出センサが故障である旨の警告をする警告手段と、を備えている。
【発明の効果】
【0011】
上記のように構成した請求項1に係る発明においては、センサ故障判定手段が、検出センサの出力信号が第1の判定時間以上継続して第1の判定範囲外にあるか否かに基づいて、該検出センサが故障であるか否かを判定し、状態異常判定手段が、検出センサの出力信号が第1の判定時間より長い第2の判定時間以上継続して第1の判定範囲より狭くかつ該第1の判定範囲に全範囲が含まれる第2の判定範囲外にあるか否かに基づいて、該検出センサの検出対象である物理量の状態が異常であるか否かを判定し、記憶手段が、各判定手段による判定結果を記憶する。
【0012】
これにより、検出センサが断線、短絡により故障することで検出センサの出力信号が第1の判定範囲外になった場合、その状態が第1の判定時間以上継続すれば、センサ故障判定手段によって検出センサが故障であると判定することができ、またその判定も比較的短時間で行うことができる。このとき、第1の判定時間より長い第2の判定時間経過後でなければ、状態異常判定手段は判定を行わないので、センサ故障判定手段によって検出センサが故障であると判定した後において、状態異常判定手段の判定を禁止することで該検出センサの検出対象である物理量の状態が異常である旨と検出センサが故障である旨とが並存することを防止することが可能となる。
【0013】
また、検出センサの検出対象の物理量の状態が異常範囲となることで検出センサの出力信号が第1の判定範囲内であって第2の判定範囲外になった場合、その状態が第2の判定時間以上継続すれば、状態異常判定手段によって該検出センサの検出対象である物理量の状態が異常であると判定することができる。
【0014】
さらに、記憶手段は、上記判定手段による判定結果を記憶しているので、燃料電池システムおよび検出センサの少なくともいずれかに異常が発生した後に、判定結果に基づいて検出センサ自身が故障したのか検出センサの検出対象に異常が発生したのかを特定することができ、その結果を利用してメンテナンス性を向上させることができる。
【0015】
上記のように構成した請求項2に係る発明においては、判定禁止手段が、センサ故障判定手段が検出センサが故障であると判定したときには、状態異常判定手段による判定を禁止する。これにより、第1の判定時間より長い第2の判定時間経過後でなければ、状態異常判定手段は判定を行わないので、センサ故障判定手段によって検出センサが故障であると判定した後において、状態異常判定手段の判定を禁止することで該検出センサの検出対象である物理量の状態が異常である旨と検出センサが故障である旨とが並存することを防止することができる。よって、該検出センサの検出対象である物理量の状態が異常である旨と検出センサが故障である旨とを互いに誤判定することを確実に抑制できる。
【0016】
上記のように構成した請求項3に係る発明においては、検出センサと検出対象が同一であり該検出センサの代替となる代替検出センサを備えている場合において、代替状態異常判定手段が、センサ故障判定手段が検出センサが故障であると判定した後に、代替検出センサの出力信号が第2の判定時間以上継続して第2の判定範囲外にあるか否かに基づいて、該代替検出センサの検出対象である物理量の状態が異常であるか否かを判定し、警告手段が、検出センサが故障である旨の警告をする。これにより、代替検出センサによる出力信号を用いて燃料電池システムを運転することが可能であるため、検出センサが故障である旨を警告しつつ、燃料電池システムを発電運転させることができる。この間に、検出センサの交換の準備をするなどのメンテナンス準備を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明による燃料電池システムの一実施形態の概要を示す概要図である。
【図2】図1に示す燃料電池システムを示すブロック図である。
【図3】図2に示す制御装置で実行される制御プログラムのフローチャートである。
【図4】図3に示すフローチャートを実行した際のタイムチャートであって検出センサ自身の故障である旨を判定した場合の図である。
【図5】図3に示すフローチャートを実行した際のタイムチャートであって検出センサの検出対象(燃焼部の温度)が異常である旨を判定した場合の図である。
【図6】図2に示す制御装置の制御を示すブロック図である。
【図7】図6に示す制御ブロック図を実行した際のタイムチャートである。
【図8】図2に示す制御装置で実行される制御プログラムのフローチャートである。
【図9】図8に示すフローチャートを実行した際のタイムチャートであって検出センサ自身の故障である旨を判定した場合の図である。
【図10】図8に示すフローチャートを実行した際のタイムチャートであって検出センサの検出対象(燃焼部の温度)が異常である旨を判定した場合の図である。
【図11】図2に示す制御装置の他の制御(代替検出センサがある場合)を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明による燃料電池システムの一実施の形態について説明する。図1はこの燃料電池システムの概要を示す概要図である。この燃料電池システムは、箱状の筐体11、燃料電池モジュール20、排熱回収システム30、インバータ装置50および制御装置60を備えている。
【0019】
筐体11は、筐体11内を区画して第1室R1および第2室R2を形成する仕切部材12を備えている。第1室R1は第1空間を形成し、第2室R2は第2空間を形成する。仕切部材12は、筐体11を上下に区画する(仕切る)板状部材である。筐体11内には、仕切部材12より上方および下方に第1室R1および第2室R2が形成される。
【0020】
燃料電池モジュール20は、第1室R1内に該第1室R1の内壁面から空間をおいて収納されている。燃料電池モジュール20は、ケーシング21、燃料電池24を少なくとも含んで構成されるものである。本実施の形態では、燃料電池モジュール20は、ケーシング21、蒸発部22、改質部23、燃料電池24および燃焼部26を備えている。
【0021】
ケーシング21は、断熱性材料で箱状に形成されている。ケーシング21は、第1室R1内に該第1室R1の内壁面から空間をおいて図示しない支持構造により支持されている。ケーシング21内には、蒸発部22、改質部23および燃料電池24が配設されている。このとき、蒸発部22、改質部23が燃料電池24の上方に位置するように配設されている。
【0022】
蒸発部22は、後述する燃焼ガスにより加熱されて、供給された改質水を蒸発させて水蒸気を生成するとともに、供給された改質用原料を予熱するものである。蒸発部22は、このように生成された水蒸気と予熱された改質用原料を混合して改質部23に供給するものである。改質用原料としては天然ガス、LPGなどの改質用気体燃料、灯油、ガソリン、メタノールなどの改質用液体燃料があり、本実施形態においては天然ガスにて説明する。
【0023】
この蒸発部22には、一端(下端)が水タンク13内に配設された給水管41の他端が接続されている。給水管41には、水タンク13側から順番に改質水ポンプ41aおよび流量センサ41bが設けられている。改質水ポンプ41aは、蒸発部22に改質水を供給するとともにその改質水供給量を調整するものである。流量センサ41bは、給水管41を流れ蒸発部22に供給されている改質水の流量(単位時間あたりの流量)を検出し、検出結果(出力信号)を制御装置60に送信している。また、給水管41には、給水管41を流れ蒸発部22に供給されている改質水の圧力を検出する圧力センサ41cを設けるようにしてもよい。圧力センサ41cは、その検出結果(出力信号)を制御装置60に送信している。
【0024】
また、蒸発部22には、燃料供給源(図示省略)からの改質用原料が改質用原料供給管42を介して供給されている。改質用原料供給管42には、上流から順番に一対の原料バルブ42a、圧力センサ42b、脱硫器42d、原料ポンプ42eおよび流量センサ42cが設けられている。なお、流量センサ42cは、脱硫器42dの下流に配置されるのが望ましい。
【0025】
原料バルブ42aは改質用原料供給管42を開閉する電磁開閉弁である。圧力センサ42bは、改質用原料供給管42を流れ蒸発部22に供給されている改質用原料の圧力を検出し、その検出結果(出力信号)を制御装置60に送信している。流量センサ42cは、燃料電池24に供給されている燃料(改質用原料)の流量すなわち単位時間あたりの流量を検出するものであり、その検出結果を制御装置60に送信している。脱硫器42dは改質用原料中の硫黄分(例えば、硫黄化合物)を除去するものである。原料ポンプ42eは、燃料電池24に燃料(改質用原料)を供給する供給装置であり、制御装置60からの制御指令値にしたがって燃料供給源からの燃料供給量を調整するものである。
【0026】
改質部23は、後述する燃焼ガスにより加熱されて水蒸気改質反応に必要な熱が供給されることで、蒸発部22から供給された混合ガス(改質用原料、水蒸気)から改質ガスを生成して導出するものである。改質部23内には、触媒(例えば、RuまたはNi系の触媒)が充填されており、混合ガスが触媒によって反応し改質されて水素ガスと一酸化炭素ガスが生成されている(いわゆる水蒸気改質反応)。これと同時に、水蒸気改質反応にて生成された一酸化炭素と水蒸気が反応して水素ガスと二酸化炭素とに変成するいわゆる一酸化炭素シフト反応が生じている。これら生成されたガス(いわゆる改質ガス)は燃料電池24の燃料極に導出されるようになっている。改質ガスは、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、水蒸気、未改質の天然ガス(メタンガス)を含んでいる。なお、水蒸気改質反応は吸熱反応であり、一酸化炭素シフト反応は発熱反応である。
【0027】
燃料電池24は、燃料極、空気極(酸化剤極)、および両極の間に介装された電解質からなる複数のセル24aが積層されて構成されている。本実施の形態の燃料電池は、固体酸化物形燃料電池であり、電解質として固体酸化物の一種である酸化ジルコニウムを使用している。燃料電池24の燃料極には、燃料として水素、一酸化炭素、メタンガスなどが供給される。動作温度は400〜1000℃程度である。水素だけではなく天然ガスや石炭ガスなども直接燃料として用いることが可能である。この場合、改質部23は省略することができる。
【0028】
セル24aの燃料極側には、燃料である改質ガスが流通する燃料流路24bが形成されている。セル24aの空気極側には、酸化剤ガスである空気(カソードエア)が流通する空気流路24cが形成されている。
【0029】
燃料電池24は、燃料電池24の温度を検出する温度センサ24dを備えている。温度センサ24dは、燃料電池24のセル24aの積層方向の中央部分であって上下方向中央部分に設けられている。温度センサ24dは、その検出結果を制御装置60に送信するようになっている。
【0030】
燃料電池24は、マニホールド25上に設けられている。マニホールド25には、改質部23からの改質ガスが改質ガス供給管43を介して供給される。燃料流路24bは、その下端(一端)がマニホールド25の燃料導出口に接続されており、その燃料導出口から導出される改質ガスが下端から導入され上端から導出されるようになっている。カソードエアブロワ44a(カソードエア送出(送風)手段)によって送出されたカソードエアはカソードエア供給管44を介して供給され、空気流路24cの下端から導入され上端から導出されるようになっている。
【0031】
また、カソードエア供給管44には、流量センサ44bが設けられている。流量センサ44bは、燃料電池24に供給されているカソードエアの流量すなわち単位時間あたりの流量を検出するものであり、その検出結果を制御装置60に送信している。なお、カソードエア供給管44には、圧力センサ44cを設けるようにしてもよい。圧力センサ44cは、カソードエア供給管44を流れ燃料電池24に供給されているカソードエアの圧力を検出し、その検出結果(出力信号)を制御装置60に送信している。
【0032】
カソードエアブロワ44aは、第2室R2内に配設されている。カソードエアブロワ44aは、第2室R2内の空気を吸入し燃料電池24の空気極に吐出するものであり、その吐出量は調整制御(例えば燃料電池24の負荷電力量(消費電力量)に応じて制御)されるものである。
【0033】
燃料電池24においては、燃料極に供給された燃料と空気極に供給された酸化剤ガスによって発電が行われる。すなわち、燃料極では、下記化1および化2に示す反応が生じ、空気極では、下記化3に示す反応が生じている。すなわち、空気極で生成した酸化物イオン(O2−)が電解質を透過し、燃料極で水素と反応することにより電気エネルギーを発生させている。したがって、燃料流路24bおよび空気流路24cからは、発電に使用されなかった改質ガスおよび酸化剤ガス(空気)が導出する。
【0034】
(化1)
+O2−→HO+2e
【0035】
(化2)
CO+O2−→CO+2e
【0036】
(化3)
1/2O+2e→O2−
【0037】
そして、燃料流路24bから導出した、発電に使用されなかった改質ガス(アノードオフガス)は、燃料電池24と蒸発部22(改質部23)の間の燃焼空間R3にて、発電に使用されずに空気流路24cから導出された酸化剤ガス(空気)によって燃焼され、その燃焼ガスによって蒸発部22および改質部23が加熱される。さらには、燃料電池モジュール20内を動作温度に加熱している。その後、燃焼ガスは排気口21aから燃料電池モジュール20の外に排気される。
【0038】
このように上記燃焼空間R3は、少なくとも燃料電池24のアノードオフガスを燃焼させて改質部23を加熱する燃焼部26を構成する。燃焼部26(燃焼空間R3)では、アノードオフガスが燃焼されて火炎27が発生している。燃焼部26には、アノードオフガスを着火させるための一対の着火ヒータ26a1,26a2が設けられている。着火ヒータ26a1,26a2は、何れか一つを設けるような構成としてもよい。また、燃焼部26には、燃焼部26の温度を検出するための一対の温度センサ26b1,26b2が設けられている。温度センサ26b1,26b2の検出結果(出力信号)は制御装置60に送信されている。
【0039】
排熱回収システム30は、燃料電池24の排熱と貯湯水との間で熱交換することで排熱を貯湯水に回収して蓄える排熱回収系である。排熱回収システム30は、貯湯水を貯湯する貯湯槽31と、貯湯水が循環する貯湯水循環ライン32と、燃料電池モジュール20からの燃焼排ガスと貯湯水との間で熱交換が行われる熱交換器33と、が備えられている。
【0040】
貯湯槽31は、1つの柱状容器を備えており、その内部に温水が層状に、すなわち上部の温度が最も高温であり下部にいくにしたがって低温となり下部の温度が最も低温であるように貯留されるようになっている。貯湯槽31の柱状容器の下部には水道水などの水(低温の水)が補給され、貯湯槽31に貯留された高温の温水が貯湯槽31の柱状容器の上部から導出されるようになっている。
【0041】
貯湯水循環ライン32の一端は貯湯槽31の下部に、他端は貯湯槽31の上部に接続されている。貯湯水循環ライン32上には、一端から他端に向かって順番に第1温度センサ32b、貯湯水循環手段である貯湯水循環ポンプ32a、熱交換器33、および第3温度センサ32dが配設されている。なお、貯湯水循環ポンプ32aと第1温度センサ32bはその順番を逆にして配置するようにしてもよい。
【0042】
貯湯水循環ポンプ32aは、貯湯槽31の下部の貯湯水を吸い込んで貯湯水循環ライン32を図示矢印方向へ通水させて貯湯槽31の上部に吐出するものであり、その流量(送出量)が制御されるようになっている。貯湯水循環ポンプ32aは、第3温度センサ32dの検出温度(貯湯水の貯湯槽31の入口温度)が所定の温度または温度範囲となるように、送出量が制御されるようになっている。
【0043】
第1温度センサ32bは、熱交換器33の貯湯水導入側の貯湯水循環ライン32であって熱交換器33と貯湯槽31との間に配設されている。第1温度センサ32bは、貯湯水の熱交換器33の入口温度すなわち貯湯水の貯湯槽31の出口温度を検出するものであり、その検出結果を制御装置60に送信するようになっている。
【0044】
第3温度センサ32dは、熱交換器33の貯湯水導出側の貯湯水循環ライン32に配設されている。第3温度センサ32dは、貯湯水の熱交換器33の出口温度すなわち貯湯水の貯湯槽31の入口温度を検出するものであり、その検出結果を制御装置60に送信するようになっている。
【0045】
熱交換器33は、燃料電池モジュール20から排気される燃焼排ガスが供給されるとともに貯湯槽31からの貯湯水が供給され燃焼排ガスと貯湯水が熱交換する熱交換器である。この熱交換器33は、筐体11内に配設されている。本実施の形態では、熱交換器33は、燃料電池モジュール20の下部に設けられており、少なくとも熱交換器33の下部は仕切部材12を貫通して第2室R2に突出されて配設されている。
【0046】
熱交換器33は、ケーシング33aを備えている。ケーシング33aの上部には、燃料電池モジュール20のケーシング21の下部に設けられ燃焼排ガスが導出される導出口21aに連通する接続管45が接続されている。ケーシング33aの下部には、第1排気口11aに接続されている排気管46が接続されている。ケーシング33aの底部には、純水器14に接続されている凝縮水供給管47が接続されている。ケーシング33a内には、貯湯水循環ライン32に接続されている熱交換部(凝縮部)33bが配設されている。
【0047】
熱交換器33内に配設されている貯湯水循環ライン32には、第2温度センサ32cが設けられている。第2温度センサ32cは、貯湯水の熱交換器33の温度を検出するものであり、その検出結果を制御装置60に送信するようになっている。
【0048】
このように構成された熱交換器33においては、燃料電池モジュール20からの燃焼排ガスは、接続管45を通ってケーシング33a内に導入され、貯湯水が流通する熱交換部33bを通る際に貯湯水との間で熱交換が行われ凝縮されるとともに冷却される。凝縮後の燃焼排ガスは排気管46を通って第1排気口11aから外部に排出される。また、凝縮された凝縮水は、凝縮水供給管47を通って純水器14に供給される(自重で落水する)。一方、熱交換部33bに流入した貯湯水は、加熱されて貯湯槽31の上部へ流出される。
【0049】
また、燃料電池システムは、水タンク13および純水器14を備えている。水タンク13および純水器14は第2室R2内に配設されている。水タンク13は、純水器14から導出された純水を貯めておくものである。純水タンク13には、純水タンク13内の純水量を検出する図示しない水量センサ(水位センサ)が設けられている。水量センサは例えばフロート式、静電容量式などの水位計である。水量センサは制御装置に検出信号を送信するようになっている。
【0050】
純水器14は、活性炭とイオン交換樹脂を内蔵しており、例えばフレーク状の活性炭と粒状のイオン交換樹脂を充填している。また被処理水の状態によっては、中空糸フィルタを設置しても良い。純水器14は、熱交換器33からの凝縮水を活性炭とイオン交換樹脂によって純水化するものである。純水器14は、配管48を介して純水タンク13に連通しており、純水器14内の純水は配管48を通って純水タンク13に導出される。
【0051】
また、燃料電池システムは、第2室R2を形成する筐体11に形成された空気導入口11cと、第1室R1を形成する筐体11に形成された空気導出口11bと、仕切部材12に形成された空気導入口12aに設けられた換気用空気ブロワ15と、を備えている。この換気用空気ブロワ15が作動すると、外気が空気導入口11cを介して第2室R2内に吸い込まれ、換気用空気ブロワ15によって第1室R1内に送出され、第1室R1内の空気が空気導出口11bを介して外部に排出される。
【0052】
さらに、燃料電池システムは、インバータ装置50を備えている。インバータ装置50は、燃料電池24から出力される直流電圧を入力し所定の交流電圧に変換して交流の系統電源51および外部電力負荷53に接続されている電源ライン52に出力する第1機能と、系統電源51からの交流電圧を電源ライン52を介して入力し所定の直流電圧に変換して補機や制御装置60に出力する第2機能と、を有している。
【0053】
系統電源(または商用電源)51は、該系統電源51に接続された電源ライン52を介して電力負荷53に電力を供給するものである。燃料電池24はインバータシステム15を介して電源ライン52に接続されている。電力負荷53は、交流電源で駆動される負荷であり、例えばドライヤ、冷蔵庫、テレビなどの電化製品である。
【0054】
補機は、燃料電池モジュール20に改質用原料、水、空気を供給するためのモータ駆動のポンプ41a,42e、換気用空気ブロワ15およびカソードエアブロワ44a、貯湯水を循環させるためのモータ駆動のポンプ32aなどから構成されている。この補機は直流電圧にて駆動されるものである。
【0055】
さらに、燃料電池システムは、制御装置60を備えている。制御装置60には、上述した温度センサ24d,26b1,26b2,32b〜32d、流量センサ41b,42c,44b、圧力センサ42b,41c,44c、各ポンプ32a,41a,42e、各ブロワ15,44a、着火ヒータ26a1,26a2が接続されている(図2参照)。制御装置60はマイクロコンピュータ(図示省略)を有しており、マイクロコンピュータは、バスを介してそれぞれ接続された入出力インターフェース、CPU、RAMおよびROM(いずれも図示省略)を備えている。CPUは、燃料電池システムの運転を実施している。RAMは同プログラムの実行に必要な変数を一時的に記憶するものであり、ROMは前記プログラムを記憶するものである。
【0056】
なお、上述した温度センサ24d,26b1,26b2,32b〜32d、流量センサ41b,42c,44b、圧力センサ42b,41c,44cは、燃料電池24、改質部23、燃焼部26および排熱回収システム30、ならびにそれらに入出する流体の各物理量の状態をそれぞれ検出する検出センサである。ここで、物理量とは、質量、長さ、体積、圧力、時間、温度、流量などのような、物体や物質などの測定対象に固有な、物理系の性質を記述する、客観的に測定できる量、およびその量を用いて算出できる量のことである。本実施形態では、具体的には、燃料電池24、改質部23、燃焼部26の温度や、貯湯水など流体の温度、改質用原料、改質水、カソードエアの流量および圧力などである。
【0057】
次に、上述した燃料電池システムの作動について説明する。燃料電池システムに電源が供給されると、上述した各センサのうち制御装置60に電源が供給されると合わせて電源が供給されるセンサ(すなわち制御装置60から電源が供給されるセンサ)は作動してセンサの出力値を制御装置60に出力する。制御装置60は、図示しない起動スイッチつまりセンサ電源がオンされると、図3に示すフローチャートに対応するプログラムの実行を開始する。起動スイッチがONされると、制御装置60は、補機用電源を作動させ、これにより、補機用電源から電源が供給されているセンサが作動する(ステップ102)。制御装置60は、発電運転中(または起動運転中)において、該センサの出力値をそれぞれ該センサから読み込む(ステップ104)。本実施形態では、上述した温度センサについて説明する。温度センサとしては、熱電対やサーミスタなどが上げられる。具体的には、燃焼部26の温度を検出する温度センサ26b1(または26b2)について説明する。本実施形態では、温度センサ26b1(または26b2)については熱電対を使用しているが、サーミスタを使用してもよい。温度センサ32dについてはサーミスタを使用しているが、熱電対を使用してもよい。
【0058】
制御装置60は、ステップ106,108において、温度センサ26b1の出力信号が第1の判定時間TM1以上継続して第1の判定範囲外にあるか否かに基づいて、該温度センサ26b1が故障であるか否かを判定する(センサ故障判定手段)。すなわち、温度センサ26b1の出力信号(出力値)が第1の判定時間TM1以上継続して第1の判定範囲外にあるとき(ステップ106にて「YES」と判定し)、制御装置60は該温度センサ26b1が故障であると判定する(ステップ108)。より詳細には、温度センサ26b1の出力信号であるセンサ出力値Thが第1の判定時間TM1以上継続してThU2以上(またはThD2以下)であるとき、制御装置60は、ステップ106にて「YES」と判定し、温度センサ26b1が故障であると判定する(ステップ108)。
【0059】
一方、温度センサ26b1の出力信号が第1の判定時間TM1以上継続して第1の判定範囲内にあるとき(ステップ106にて「NO」と判定し)、制御装置60は該温度センサ26b1が故障でないと判定する。より詳細には、センサ出力値ThがThD2以下である場合、センサ出力値ThがThU2以上であるが第1の判定時間TM1継続していない場合などには、制御装置60は、ステップ106にて「NO」と判定し、温度センサ26b1が故障であると判定しない。
【0060】
第1の判定時間TM1は、制御サイクルタイムの長さ、ノイズによる誤検出(誤判定)を抑制することを考慮して設定されている所定時間である。具体的には、第1の判定時間TM1は、2〜3秒程度に設定されている。
【0061】
また、第1の判定範囲は、当該温度センサの通常の使用範囲(正常に検出可能な範囲)を越えた範囲(当該温度センサの通常の使用範囲(正常に検出可能な範囲)を含む)に設定されるのが好ましい。この第1の判定範囲は、正常な温度センサを通常に使用した場合に、正常に出力される値を超えた値であって出力されるはずのない信号値となるように設定されている。すなわち、その温度センサが断線や短絡などで故障した場合に、その異常状態でなければ出力されない信号値となるように設定されている。
【0062】
例えば、温度センサ26b1において、通常の使用温度範囲(ThD1以上でありThU1以下である温度範囲)は−30℃〜800℃の範囲である。第1の判定範囲は、使用温度範囲の上限値ThU1以上であるThU2を上限値とし、使用温度範囲の下限値ThD1以下であるThD2を下限値として設定されている。例えば、上限値ThU2は1000℃であり、下限値ThD2は−200℃である。断線の場合には下限値ThD2である−200℃が出力され、短絡の場合には上限値ThU2である1000℃が出力される。
【0063】
また、制御装置60は、ステップ112,114(またはステップ116,118)において、温度センサ26b1の出力信号が第1の判定時間TM1より長い第2の判定時間TM2以上継続して第1の判定範囲より狭くかつ該第1の判定範囲に全範囲が含まれる第2の判定範囲外にあるか否かに基づいて、該温度センサ26b1の検出対象である物理量の状態(燃焼部26の温度)が異常であるか否かを判定する(状態異常判定手段)。
【0064】
すなわち、温度センサ26b1の出力信号が第2の判定時間TM2以上継続して第2の判定範囲外にあるとき(ステップ112または116にて「YES」と判定し)、制御装置60は該温度センサ26b1の検出対象である物理量の状態(燃焼部26の温度)が異常であると判定する(ステップ114または118)。より詳細には、センサ出力値Thが第2の判定時間TM2以上継続してThH以上であるとき、制御装置60は、ステップ112にて「YES」と判定し、燃焼部26が高温異常であると判定する(ステップ114)。また、センサ出力値Thが第2の判定時間TM2以上継続してThL以下であるとき、制御装置60は、ステップ116にて「YES」と判定し、燃焼部26が低温異常であると判定する(ステップ118)。
【0065】
一方、温度センサ26b1の出力信号が第2の判定時間TM2以上継続して第2の判定範囲内にあるとき(ステップ112または116にて「NO」と判定し)、制御装置60は該温度センサ26b1の検出対象である物理量の状態(燃焼部26の温度)が異常でないと判定する。より詳細には、センサ出力値ThがThL以上でありThH以下である範囲内にある場合、センサ出力値ThがThL未満であるかThHより大きい場合であるが第2の判定時間TM2継続していない場合などには、制御装置60は、ステップ112(またはステップ116)にて「NO」と判定し、燃焼部26が温度異常であると判定しない。
【0066】
第2の判定時間TM2は、制御サイクルタイムの長さ、ノイズによる誤検出(誤判定)を抑制することを考慮して設定されている所定時間である。具体的には、第2の判定時間TM2は、3〜10秒程度に設定されている。
【0067】
また、第2の判定範囲は、当該温度センサの通常の使用範囲(正常に検出可能な範囲)を越えない範囲内に設定されるのが好ましい。この第2の判定範囲は、燃料電池システムを通常に運転(起動運転、発電運転(定常運転)、停止運転)させた場合、想定された正常な温度範囲となるように設定されている。
【0068】
例えば、発電運転中の温度センサ26b1において、通常の使用温度範囲(ThD1以上でありThU1以下である温度範囲)は−30℃〜800℃の範囲である。第2の判定範囲は、使用温度範囲の上限値ThU1以下であるThHを上限値とし、使用温度範囲の下限値ThD1以上であるThLを下限値として設定されている。例えば、上限値ThHは600℃であり、下限値ThLは0℃である。
【0069】
制御装置60は、先にステップ108にて温度センサ26b1が故障である旨の判定をした場合には、ステップ110において、温度異常に係る判定(ステップ112,114またはステップ116,118の処理)を行うことを禁止する。すなわち、温度異常に係る判定をマスキングする。その後、制御装置60は、ステップ120で温度センサ26b1が故障である旨の判定結果を記憶した後で、ステップ122以降にて燃料電池システムの停止運転や再起動などを行う。
【0070】
また、制御装置60は、先にステップ114またはステップ118にて燃焼部26が温度異常である旨の判定をした場合には、ステップ120で燃焼部26が温度異常である旨の判定結果を記憶した後で、ステップ122以降にて燃料電池システムの停止運転や再起動などを行う。
【0071】
制御装置60は、ステップ122において燃料電池システムの停止運転を開始する。制御装置60は、ステップ122において、インバータ装置50が系統電源51と解列し、停止処理へ移行させる。これにより、発電運転または起動運転を中止して停止運転を開始することができ、燃料電池システムの冷却を開始することができる。
【0072】
停止運転の処理が完了するまでは、制御装置60は、ステップ124の処理を繰り返し実行する。停止運転の処理が完了すると、燃料電池システムは、待機状態となる。待機状態は、燃料電池システムが運転停止している状態であり、制御装置60、制御用電源などは稼動しているが、補機用電源、補機のうちポンプ41a,42e、ブロワ15,44a、バルブ(図示省略)、などは稼動していない状態である。待機状態であって再起動を禁止されている場合には、点検・修理するまで、その状態は維持され、燃料電池システムが起動・発電運転されることはない。
【0073】
停止運転の処理が完了すると、制御装置60は、ステップ124にて「YES」と判定しプログラムをステップ126に進めて再起動の許可の可否判定を行う。なお、停止運転の処理が完了したか否かは、燃料電池システムの所定部位(例えば、燃料電池内部の温度センサ24dの設置部位)の温度が所定温度以下となったか否かに基づいて判定すればよい。
【0074】
制御装置60は、ステップ126において、今回、燃料電池システムの停止運転と判定した対象(本実施形態では燃焼部26の温度)について燃料電池システムの再起動を許可するか否かを判定する。具体的には、停止運転の処理が完了した時点における燃焼部26の温度を検出する温度センサ26b1の出力値が第1の判定範囲外にある場合には、温度センサ26b1自身の故障であると判断して、再起動を許可しない。
【0075】
制御装置60は、その結果を受けて、燃料電池システムを上述した待機状態に保持する(ステップ128)。すなわち、燃料電池システムの再起動を禁止する。
【0076】
一方、停止運転の処理が完了した時点における燃焼部26の温度を検出する温度センサ26b1の出力値が第2の判定範囲外であり第1の判定範囲内にある場合には、何らかの理由(例えば、制御遅れによる改質用原料の供給過多、原料バルブ42aの故障による改質用原料の供給過多、セルや補機の劣化など)により一時的に燃焼部26の温度が上昇して第2の判定範囲外となったと判断して、再起動を許可する。
【0077】
再起動を許可するときにおいては、運転条件の補正処理が必要でない場合には(ステップ130で「NO」判定)、制御装置60は、起動運転(発電運転)を開始する(ステップ132)。一方、運転条件の補正処理が必要である場合には、制御装置60は、補正処理の実行(ステップ134)をした後に、起動運転(発電運転)を開始する(ステップ132)つまり、燃料電池システムが再起動される。なお、起動運転は、改質用原料、改質水およびカソードエアを燃料電池24に供給して燃焼部26で燃焼させることで蒸発部22および改質部23を加熱して、蒸発部22および改質部23を含めて燃料電池モジュール20を暖機する運転である。発電運転(定常運転)は、起動運転終了後(あるいは所定条件(所定部位が所定温度以上である場合など)を満たしている場合には起動運転を省略して)、改質用原料および改質水を供給することで燃料を生成して燃料電池24に供給するとともにカソードエアを燃料電池24に供給することにより発電する運転である。
【0078】
次に、温度センサ26b1(または26b2)が故障した場合について、図4に示すタイムチャートを参照して説明する。発電運転中において、時刻t1において、温度センサ26b1に故障(例えば断線)が発生した場合、温度センサ26b1の出力値Thは、それまで第2の判定温度範囲(ThLからThHまでの範囲)にあったが、瞬時にThU2まで上昇する。それ以降、その状態は継続される(温度センサ26b1の故障が解消されるまで)。
【0079】
時刻t1から第1の判定時間TM1経過した時点(時刻t2)においても、出力値ThはThU2が継続されているため、制御装置60は、温度センサ26b1自身が故障である旨を判定する(ステップ108)。温度センサ26b1が故障である旨が記憶される(ステップ120)。同時に、燃料電池システムの停止運転が開始される(ステップ122)。
【0080】
さらに、温度センサ26b1(または26b2)の検出対象である燃焼部26の温度が異常である場合について、図5に示すタイムチャートを参照して説明する。発電運転中において、何らかの理由により(例えば、制御遅れによる改質用原料の供給過多、原料バルブ42aの故障による改質用原料の供給過多、セルや補機の劣化など)燃焼部26の温度が上昇した場合、時刻t11において、それまで第2の判定温度範囲(ThLからThHまでの範囲)にあった温度センサ26b1の出力値Thが、ThH以上となる。その後、さらに燃焼部26の温度が上昇し続けて、時刻t11から第2の判定時間TM2経過した時点(時刻t12)においても、出力値ThがThH以上である状態が継続されている。このとき、制御装置60は、燃焼部26が高温異常である旨を判定する(ステップ114)。燃焼部26が高温異常である旨が記憶される(ステップ120)。同時に、燃料電池システムの停止運転が開始される(ステップ122)。
【0081】
さらに、図6に示すブロック図を参照して説明する。制御装置60は、センサ故障判定部61、状態異常判定部62、状態異常判定禁止部63、システム停止運転部64、記憶部65、システム再起動許可判定部66、再起動部67、および待機状態保持部68を有している。
【0082】
センサ故障判定部61は、上述した検出センサのうち一のセンサ(例えば温度センサ26b1)から出力信号を入力し、その出力信号が第1の判定時間TM1以上継続して第1の判定範囲外にあるか否かに基づいて、該検出センサが故障であるか否かを判定する(センサ故障判定手段)。第1の判定時間TM1および第1の判定範囲は上述したステップ106で説明したものと同様である。
【0083】
センサ故障判定部61は、出力信号が第1の判定時間TM1以上継続して第1の判定範囲外にある場合には、該検出センサが故障である旨を判定し、そうでない場合には、該検出センサが故障でない旨を判定する。また、センサ故障判定部61は、その判定結果を状態異常判定禁止部63、システム停止運転部64および記憶部65に出力する。
【0084】
状態異常判定部62は、センサ故障判定部61が出力信号を入力している検出センサから同一の出力信号を入力し、その出力信号が第2の判定時間TM2以上継続して第2の判定範囲外にあるか否かに基づいて、該検出センサの検出対象である物理量(燃焼部26の温度)の状態が異常であるか否かを判定する(状態異常判定手段)。第2の判定時間TM2および第2の判定範囲は上述したステップ112,116で説明したものと同様である。
【0085】
状態異常判定部62は、出力信号が第2の判定時間TM2以上継続して第2の判定範囲外にある場合には、該検出センサの検出対象である物理量(燃焼部26の温度)の状態が異常である旨を判定し、そうでない場合には、物理量の状態が異常でない旨を判定する。また、状態異常判定部62は、その判定結果をシステム停止運転部64および記憶部65に出力する。
【0086】
なお、センサ故障判定部61および状態異常判定部62は、互いに独立かつ並行にその判定を実施している。燃料電池システムが運転中(起動運転、発電運転、停止運転)および待機状態においても、その判定を実施している。
【0087】
状態異常判定禁止部63は、センサ故障判定部61から検出センサが故障である旨の判定が入力されると、状態異常判定部62に対して、状態異常判定部62の判定を禁止する旨の信号(あるいは、判定の継続は許可するがその判定結果をシステム停止運転部64に出力するのを禁止する旨の信号)を出力する。その信号を受けた状態異常判定部62は、信号内容に応じた処理を行う。
【0088】
システム停止運転部64は、センサ故障判定部61から検出センサが故障である旨の判定を入力した場合、または状態異常判定部62から検出センサの検出対象である物理量の状態が異常である旨の判定を入力した場合には、その入力した時点から、上述したステップ122,124の処理と同様に燃料電池システムの停止運転を行う。
【0089】
記憶部65は、センサ故障判定部61から判定結果、および状態異常判定部62から判定結果を入力するとともに、センサ故障判定部61が出力信号を入力している検出センサから同一の出力信号も入力している。これにより、記憶部65に記憶されている情報を利用することで、メンテナンス時において、検出センサ自身の故障であるか、検出センサの検出対象である物理量の状態が異常であるのか、を特定することができる。
【0090】
システム再起動許可判定部66は、上述したステップ126と同様な処理を行って、今回、燃料電池システムの停止運転と判定した対象(本実施形態では燃焼部26の温度)について再起動を許可するか否かを判定する。
【0091】
再起動部67は、システム再起動許可判定部66からの再起動を許可する旨の信号を入力して、上述したステップ132の処理と同様に燃料電池システムを再起動する。
【0092】
待機状態保持部68は、システム再起動許可判定部66からの待機状態を保持する旨(再起動を禁止する旨)の信号を入力して、上述したステップ128の処理と同様に燃料電池システムの待機状態を保持する(再起動を禁止する)。
【0093】
前述した燃料電池システムによれば、図4に示すタイムチャートを参照して説明したように、温度センサ26b1(または26b2)が故障した場合に、検出センサ自身の故障である旨を判定でき、温度センサ26b1が故障である旨が記憶される。同時に、燃料電池システムの停止運転を行うことができる。
【0094】
さらに、図5に示すタイムチャートを参照して説明したように、温度センサ26b1(または26b2)の検出対象である燃焼部26の温度が異常である旨を判定でき、燃焼部26が高温異常である旨が記憶される。同時に、燃料電池システムの停止運転を行うことができる。
【0095】
さらに、図7に示すタイムチャートを参照して説明するように、燃焼部26の温度異常が発生し第2の判定時間TM2経過前にセンサ故障が発生した場合にも、記憶部65に記憶されている検出センサの検出履歴からエラーの原因を特定することが可能となる。
【0096】
すなわち、発電運転中において、何らかの理由により(例えば、制御遅れによる改質用原料の供給過多、原料バルブ42aの故障による改質用原料の供給過多、セルや補機の劣化など)燃焼部26の温度が上昇した場合、時刻t21において、それまで第2の判定温度範囲(ThLからThHまでの範囲)にあった温度センサ26b1の出力値Thが、ThH以上ThU1未満の範囲となる。その後、さらに燃焼部26の温度が上昇し続けるが、時刻t21から第2の判定時間TM2経過した時点(時刻t23)より前の時刻t22において、瞬時にThU2まで上昇する。それ以降、その状態は継続される(温度センサ26b1の故障が解消されるまで)。
【0097】
この場合、時刻t21から第2の判定時間TM2経過した時点(時刻t23)においても、出力値ThがThH以上である状態が継続されている。よって、状態異常判定部62は、時刻t23において燃焼部26が高温異常である旨を判定する。記憶部65によって燃焼部26が高温異常である旨が記憶される。同時に、システム停止運転部64によって燃料電池システムの停止運転が行われる。
【0098】
さらに、時刻t22から第1の判定時間TM1経過した時点(時刻t24)においては、出力値ThはThU2が継続されているため、センサ故障判定部61は、温度センサ26b1自身が故障である旨を判定する。記憶部65によって温度センサ26b1が故障である旨が記憶される。
【0099】
なお、記憶部65は、燃焼部26が高温異常である旨の判定結果を入力したときにおける、検出センサからの出力信号を所定期間にわたって記憶するようにしてもよい。これにより、状態異常判定部62からの判定結果および時刻t23における出力信号に基づきエラーの原因をより正確に特定することができる。
【0100】
次に、他の検出センサに適用する場合について、図8〜図10を参照して説明する。基本的に図3〜図5に対する説明と同様であるので、異なる点について説明する。流量センサや圧力センサの場合が挙げられるが、流量や圧力値など、センサで計測した値は4−20mAの電流値や、1−5Vや0−5Vなどの電圧値でアナログ出力され、制御装置60に読み込まれる。以下に、1−5Vの電圧出力のアナログ値で読み込まれる場合の例を示す。
【0101】
制御装置60は、ステップ104と同様に検出センサの出力値をそれぞれ該センサから読み込む(ステップ202)。制御装置60は、ステップ204,206において、ステップ106,108と同様に、当該検出センサの出力信号が第3の判定時間TM3(第1の判定時間TM1と同様である)以上継続して第1の判定範囲外にあるか否かに基づいて、該当該検出センサが故障であるか否かを判定する(センサ故障判定手段)。すなわち、当該検出センサの出力信号(出力値)が第3の判定時間TM3以上継続して第1の判定範囲外にあるとき(ステップ204にて「YES」と判定し)、制御装置60は該当該検出センサが故障であると判定する(ステップ206)。一方、当該検出センサの出力信号が第3の判定時間TM3以上継続して第1の判定範囲内にあるとき(ステップ204にて「NO」と判定し)、制御装置60は該当該検出センサが故障でないと判定する。
【0102】
例えば、当該検出センサにおいて、通常の使用範囲(VD1以上でありVU1以下である範囲)は1.0〜4.5Vの範囲である。第1の判定範囲は、使用範囲の上限値VU1以上であるVU2を上限値とし、使用範囲の下限値VD1以下であるVD2を下限値として設定されている。例えば、上限値VU2は5Vであり、下限値VD2は0Vである。すなわち第1の判定範囲は、0−5Vである。断線の場合には下限値VD2である0Vが出力され、短絡の場合には上限値VU2である5Vが出力される。
【0103】
また、制御装置60は、ステップ210,212(またはステップ214,216)において、ステップ112〜118と同様に、当該検出センサの出力信号が第3の判定時間TM3より長い第4の判定時間TM4(第2の判定時間TM2と同様である)以上継続して第1の判定範囲より狭くかつ該第1の判定範囲に全範囲が含まれる第2の判定範囲外にあるか否かに基づいて、該当該検出センサの検出対象である物理量の状態が異常であるか否かを判定する(状態異常判定手段)。
【0104】
すなわち、当該検出センサの出力信号が第4の判定時間TM4以上継続して第2の判定範囲外にあるとき(ステップ210または214にて「YES」と判定し)、制御装置60は該当該検出センサの検出対象である物理量の状態が異常であると判定する(ステップ212または216)。一方、当該検出センサの出力信号が第4の判定時間TM4以上継続して第2の判定範囲内にあるとき(ステップ210または214にて「NO」と判定し)、制御装置60は該当該検出センサの検出対象である物理量の状態が異常でないと判定する。
【0105】
例えば、当該検出センサにおいて、発電運転中の通常の使用範囲(VD1以上でありVU1以下である範囲)は1.5V〜4.5Vの範囲である。第2の判定範囲は、使用範囲の上限値VU1以下であるVHを上限値とし、使用範囲の下限値VD1以上であるVLを下限値として設定されている。例えば、上限値VHは4Vであり、下限値VLは2Vである。
【0106】
制御装置60は、ステップ208において、ステップ110と同様に、検出対象である物理量の状態異常に係る判定を行うことを禁止する。
【0107】
このように、図9のタイムチャートに示すように、図4に示すタイムチャートと同様に、検出センサが故障した場合に、検出センサ自身の故障である旨を判定でき、温度センサ26b1が故障である旨が記憶される(時刻t32)。同時に、燃料電池システムの停止運転を行うことができる。さらに、図10のタイムチャートに示すように、図5に示すタイムチャートと同様に、検出センサの検出対象である物理量の状態が異常である旨を判定し、記憶される(時刻t42)。同時に、燃料電池システムの停止運転を行うことができる。
【0108】
上述した説明から明らかなように、本実施形態においては、センサ故障判定手段(ステップ106,108;61)が、検出センサの出力信号が第1の判定時間TM1以上継続して第1の判定範囲外にあるか否かに基づいて、該検出センサが故障であるか否かを判定し、状態異常判定手段(ステップ112〜118;62)が、検出センサの出力信号が第1の判定時間TM1より長い第2の判定時間TM2以上継続して第1の判定範囲より狭くかつ該第1の判定範囲に全範囲が含まれる第2の判定範囲外にあるか否かに基づいて、該検出センサの検出対象である物理量の状態が異常であるか否かを判定し、記憶手段(ステップ120;65)が、各判定手段による判定結果を記憶する。
【0109】
これにより、検出センサが断線、短絡により故障することで検出センサの出力信号が第1の判定範囲外になった場合、その状態が第1の判定時間TM1以上継続すれば、センサ故障判定手段によって検出センサが故障であると判定することができ、またその判定も比較的短時間で行うことができる。このとき、第1の判定時間TM1より長い第2の判定時間TM2経過後でなければ、状態異常判定手段は判定を行わないので、センサ故障判定手段によって検出センサが故障であると判定した後において、状態異常判定手段の判定を禁止することで該検出センサの検出対象である物理量の状態が異常である旨と検出センサが故障である旨とが並存することを防止することが可能となる。
【0110】
また、検出センサ(例えば温度センサ26b1)の検出対象の物理量(例えば燃焼部26)の状態が異常範囲となることで検出センサの出力信号が第1の判定範囲内であって第2の判定範囲外になった場合、その状態が第2の判定時間TM2以上継続すれば、状態異常判定手段によって該検出センサの検出対象である物理量の状態が異常であると判定することができる。
【0111】
さらに、記憶手段は、上記判定手段による判定結果を記憶しているので、燃料電池システムおよび検出センサの少なくともいずれかに異常が発生した後に、判定結果に基づいて検出センサ自身が故障したのか検出センサの検出対象に異常が発生したのかを特定することができ、その結果を利用してメンテナンス性を向上させることができる。
【0112】
また、判定禁止手段(ステップ110;63)が、センサ故障判定手段が検出センサが故障であると判定したときには、状態異常判定手段による判定を禁止する。これにより、第1の判定時間TM1より長い第2の判定時間TM2経過後でなければ、状態異常判定手段は判定を行わないので、センサ故障判定手段によって検出センサが故障であると判定した後において、状態異常判定手段の判定を禁止することで該検出センサの検出対象である物理量の状態が異常である旨と検出センサが故障である旨とが並存することを防止することができる。よって、該検出センサの検出対象である物理量の状態が異常である旨と検出センサが故障である旨とを互いに誤判定することを確実に抑制できる。
【0113】
なお、上述した実施形態において、検出センサと検出対象が同一であり該検出センサの代替となる代替検出センサを備えるようにしてもよい。例えば、温度センサ26b1に対する代替検出センサは温度センサ26b2である。両温度センサ26b1,26b2はいずれも燃焼部26の温度を検出対象としている。
【0114】
このとき、制御装置60は、センサ故障判定手段(61)が検出センサが故障であると判定した後に、代替検出センサからの出力信号を入力し、その出力信号が第2の判定時間TM2以上継続して第2の判定範囲外にあるか否かに基づいて、該代替検出センサの検出対象である物理量の状態が異常であるか否かを判定する代替状態異常判定部71(代替状態異常判定手段)と、燃料電池システムの運転モードを起動運転、発電運転、停止運転のいずれかに切り替えるシステム運転切替部72と、検出センサが故障である旨の警告をする警告部73(警告手段)と、燃料電池システムの運転を継続するシステム運転継続部74と、を備えるようにすればよい。
【0115】
代替状態異常判定部71は、センサ故障判定部61からセンサ故障である旨の判定結果を入力すると、状態異常判定部62に代わって、代替検出センサからの出力信号に基づいて該代替検出センサの検出対象である物理量の状態が異常であるか否かを判定し、判定結果をシステム運転切替部72に出力する。
【0116】
これによれば、代替検出センサによる出力信号を用いて燃料電池システムを運転することが可能であるため、検出センサが故障である旨を警告しつつ、燃料電池システムの発電運転(起動運転)を継続させることができる。この間に、検出センサの交換の準備をするなどのメンテナンス準備を行うことができる。
【0117】
なお、検出センサは断線である旨を示す信号を出力するものであってもよい。また、検出センサの場合には、サーミスタを使用してもよい。この場合、温度の上昇に対して抵抗が減少するNTCタイプのものやNTCサーミスタとは逆に温度の上昇に対して抵抗が増大するPTCタイプのものある。
【0118】
また、上述した実施形態においては、燃料電池は固体酸化物形燃料電池であったが、本発明を高分子電解質形燃料電池などに適用するようにしてもよい。この場合、燃料電池システムは、燃料電池、改質器、排熱回収システム(上述したものと同様なものである)を備えている。燃料電池は、燃料ガス(水素ガス)および酸化剤ガス(酸素を含む空気)が供給されて水素と酸素の化学反応により発電して直流電圧(例えば40V)を出力するものである。
【0119】
改質器は、燃料(改質用燃料)を水蒸気改質し、水素リッチな改質ガスを燃料電池に供給するものであり、バーナ(燃焼部)、改質部、一酸化炭素シフト反応部(以下、COシフト部という)および一酸化炭素選択酸化反応部(以下、CO選択酸化部という)から構成されている。燃料としては天然ガス、LPG、灯油、ガソリン、メタノールなどがある。
【0120】
バーナは、起動運転時に外部から燃焼用燃料および燃焼用空気が供給され、または定常運転時に燃料電池の燃料極からアノードオフガス(燃料電池に供給され使用されずに排出された改質ガス)が供給され、供給された各可燃性ガスを燃焼して燃焼ガスを改質部に導出するものである。
【0121】
改質部は、外部から供給された燃料に蒸発器からの水蒸気(改質水)を混合した混合ガスを改質部に充填された触媒により改質して水素ガスと一酸化炭素ガスを生成している(いわゆる水蒸気改質反応)。これと同時に、水蒸気改質反応にて生成された一酸化炭素と水蒸気を水素ガスと二酸化炭素とに変成している(いわゆる一酸化炭素シフト反応)。これら生成されたガス(いわゆる改質ガス)はCOシフト部に導出される。
【0122】
COシフト部は、この改質ガスに含まれる一酸化炭素と水蒸気をその内部に充填された触媒により反応させて水素ガスと二酸化炭素ガスとに変成している。これにより、改質ガスは一酸化炭素濃度が低減されてCO選択酸化部に導出される。
【0123】
CO選択酸化部は、改質ガスに残留している一酸化炭素と外部からさらに供給されたCO浄化用の空気とをその内部に充填された触媒により反応させて二酸化炭素を生成している。これにより、改質ガスは一酸化炭素濃度がさらに低減されて(10ppm以下)燃料電池の燃料極に導出される。
【符号の説明】
【0124】
11…筐体、11a…第1排気口、11b…空気導出口、11c…空気導入口、12…仕切部材、12a…空気導入口、13…水タンク、14…純水器、15…換気用空気ブロワ、20…燃料電池モジュール、21…ケーシング、21a…導出口、22…蒸発部、23…改質部、24…燃料電池、24a…セル、24b…燃料流路、24c…空気流路、24d…温度センサ、25…マニホールド、30…排熱回収システム、31…貯湯槽、32…貯湯水循環ライン、32…貯湯水循環ポンプ、32b,32c…温度センサ、33…熱交換器、42a…流量センサ、42c…原料ポンプ、50…インバータ装置、50a…電圧センサ、50b…電流センサ、51…系統電源、52…電源ライン、53…外部電力負荷、54…制御用電源、55…補機用電源、55a…電圧検出装置、56…電源遮断装置、56b…感熱部、56d…スイッチ部、57…電源回路、60…制御装置、61…センサ故障判定部、62…状態異常判定部、63…状態異常判定禁止部、R1…第1室、R2…第2室。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料と酸化剤ガスとにより発電する燃料電池と、
改質用原料と改質水とから前記燃料を生成する改質部と、
少なくとも前記燃料電池のアノードオフガスを燃焼させて前記改質部を加熱する燃焼部と、を備えた燃料電池システムであって、
前記燃料電池システムの排熱を回収する排熱回収システムと、
前記燃料電池、前記改質部、前記燃焼部および前記排熱回収システム、ならびにそれらに入出する流体、のうち少なくともいずれか一つの物理量の状態を検出する検出センサと、
前記検出センサの出力信号に基づいて前記燃料電池システムを制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記検出センサの出力信号が第1の判定時間以上継続して第1の判定範囲外にあるか否かに基づいて、該検出センサが故障であるか否かを判定するセンサ故障判定手段と、
前記検出センサの出力信号が前記第1の判定時間より長い第2の判定時間以上継続して前記第1の判定範囲より狭くかつ該第1の判定範囲に全範囲が含まれる第2の判定範囲外にあるか否かに基づいて、該検出センサの検出対象である前記物理量の状態が異常であるか否かを判定する状態異常判定手段と、
前記各判定手段による判定結果を記憶する記憶手段と、
を備えている燃料電池システム。
【請求項2】
請求項1において、前記制御装置は、前記センサ故障判定手段が前記検出センサが故障であると判定したときには、前記状態異常判定手段による判定を禁止する判定禁止手段をさらに備えている燃料電池システム。
【請求項3】
請求項1において、前記検出センサと検出対象が同一であり該検出センサの代替となる代替検出センサを備えている場合において、前記制御装置は、前記センサ故障判定手段が前記検出センサが故障であると判定した後に、前記代替検出センサの出力信号が前記第2の判定時間以上継続して前記第2の判定範囲外にあるか否かに基づいて、該代替検出センサの検出対象である前記物理量の状態が異常であるか否かを判定する代替状態異常判定手段と、前記検出センサが故障である旨の警告をする警告手段と、を備えている燃料電池システム。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−12472(P2013−12472A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−123817(P2012−123817)
【出願日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】