燃料電池スタックの収納ケースのケース変形抑制構造
【課題】燃料電池スタックの収納ケースの内部の急激な圧力上昇に対応するためのケース変形抑制構造を提供する。
【解決手段】燃料電池車のフロアの下部に空隙を設けて搭載された燃料電池スタックの収納ケースの内部の急激な圧力上昇に対応するためのケース変形抑制構造である。収納ケースの外部上面に設けられた圧力調整ベントであって、内部の圧力が外部の圧力より高い場合に内部の圧力が低下するように、内部の圧力を減圧するための圧力調整ベントと、収納ケースの内部の下面上に設けられたマウントに設置された燃料電池スタックの両端部のエンドプレートの上部と、収納ケースの内部の上面との間を接続するテンションプレートと、備える。テンションプレートは、圧力調整ベントの外周部の収納ケースの内部の上面と、エンドプレートの上部との位置関係を固定するように接続されている。
【解決手段】燃料電池車のフロアの下部に空隙を設けて搭載された燃料電池スタックの収納ケースの内部の急激な圧力上昇に対応するためのケース変形抑制構造である。収納ケースの外部上面に設けられた圧力調整ベントであって、内部の圧力が外部の圧力より高い場合に内部の圧力が低下するように、内部の圧力を減圧するための圧力調整ベントと、収納ケースの内部の下面上に設けられたマウントに設置された燃料電池スタックの両端部のエンドプレートの上部と、収納ケースの内部の上面との間を接続するテンションプレートと、備える。テンションプレートは、圧力調整ベントの外周部の収納ケースの内部の上面と、エンドプレートの上部との位置関係を固定するように接続されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池スタックの収納ケースの内部の急激な圧力上昇に対するケース変形抑制構造に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料ガスである水素と酸化剤ガスである酸素の電気化学反応によって発電し、発電した電気を動力源とする電動モータを動力とする自動車、いわゆる燃料電池車の開発が進められている。この燃料電池車では、実際には、いわゆるセルと呼ばれる1つの燃料電池を複数重ねた燃料電池スタックを用いて、電動モータを駆動するための動力源としている。
【0003】
図10は、従来の問題点について示す説明図である。図10(A)に示すように、燃料電池スタックは、一般的に、収納ケースに収納して、車室フロアの下部に搭載されている(破線枠で示す部分)。図10(B)は、燃料電池スタック10が収納された収納ケース20がフロア100の下部に搭載されている部分を拡大して示している。収納ケース20の上面には、圧力調整ベント22が設けられている。この圧力調整ベントは、収納ケース内部の圧力が外部の圧力より高い場合には、内部の圧力が低下するように、内部の気体が外部へ抜けるようになっている。この圧力調整ベントとしては、例えばポアフロン膜等が利用されている。燃料電池スタック10は、両端のエンドプレート12の下部が、収納ケース20の内部下面上に設けられたマウント24に接続固定されている。なお、燃料電池スタックの搭載スペースは少なくしたいという要望から、フロア100と収納ケース20の上部との間隔Aは、極力狭くしたいという要望がある。
【0004】
ここで、上述したように、通常、収納ケース内に圧力上昇があっても、圧力調整ベント22を介して内部の気体が外部へ抜けるようになっているので、問題は発生しない。しかしながら、水素と酸素の急激な反応が発生したような場合には、圧力調整ベント22からの圧力調整が間に合わず、図10(C)に示すように、収納ケースを変形させてしまう可能性がある。この場合には、圧力調整ベント22がフロア100に接触してしまい、圧力を低減することができなくなってしまう、という問題が発生する。そして、さらに、圧力上昇が進むと、図10(D)に示すように、フロア100までも変形させてしまう、という問題も発生することになる。
【0005】
上記問題点を解決する手法として、1)圧力調整ベントの面積を拡大する方法、2)ケースの強度を高める方法、3)ケースが変形しても影響を及ぼさないだけのスペースを確保する等が考えられる。しかしながら、1)の方法では、ベントの防水信頼性が低下するという問題や、ケースの剛性・強度の低下による変形増大の可能性が増大するというように、結局、効果が得られない可能性もある。2)の方法では、収納ケースの上面部の変形を抑制することは実質的に困難と考えられる。3)の方法では、無駄なスペースが増大することになり、燃料電池車全体としてのパッケージ効率の低下という問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−297377号公報
【特許文献2】特開2006−164716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、燃料電池スタックの収納ケースの内部の急激な圧力上昇に対応するためのケース変形抑制構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0009】
[適用例1]
燃料電池車のフロアの下部に空隙を設けて搭載された燃料電池スタックの収納ケースの内部の急激な圧力上昇に対応するための圧力変動対応構造であって、
前記収納ケースの外部上面に設けられた圧力調整ベントであって、前記内部の圧力が外部の圧力より高い場合に前記内部の圧力が低下するように、前記内部の圧力を減圧するための圧力調整ベントと、
前記収納ケースの内部の下面上に設けられたマウントに設置された前記燃料電池スタックの両端部に有するエンドプレートの上部と、前記収納ケースの内部の上面との間を接続するテンションプレートと、
を備え
前記テンションプレートは、前記圧力調整ベントの外周部の前記収納ケースの内部の上面と、前記エンドプレートの上部との位置関係を固定するように接続されている
ことを特徴とする圧力変動対応構造。
この構造によれば、燃料電池スタックのエンドプレートと接続されたテンションプレートによって圧力調整ベント周辺の収納ケースの変形を抑制することができるので、燃料電池スタックの収納ケースの内部の急激な圧力上昇発生に対応することが可能である。
【0010】
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、燃料電池スタックの収納ケースの圧力変動対応構造、これを搭載した燃料電池車などの種々の形態で実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施例としての燃料電池スタックの収納ケースのケース変形抑制構造を示す説明図である。
【図2】本発明の第2実施例としての燃料電池スタックの収納ケースのケース変形抑制構造を示す概略断面図である。
【図3】圧力調整ベント22の部分を拡大した斜視図である。
【図4】本発明の第3実施例としての燃料電池スタックの収納ケースのケース変形抑制構造を示す説明図である。
【図5】本発明の第4実施例としての燃料電池スタックの収納ケースのケース変形抑制構造を示す概略断面図である。
【図6】本発明の第5実施例としての料電池スタックの収納ケースのケース変形抑制構造を示す概略断面図である。
【図7】本発明の第6実施例としての燃料電池スタックの収納ケースのケース変形抑制構造を示す説明図である。
【図8】本発明の第7実施例としての燃料電池スタックの収納ケースのケース変形抑制構造を示す概略断面図である。
【図9】本発明の第9実施例としての燃料電池スタックの収納ケース変形抑制構造を示す説明図である。
【図10】従来の問題点について示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態を、実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.第1実施例:
B.第2実施例:
C.第3実施例:
D.第4実施例:
E.第5実施例:
F.第6実施例:
G.第7実施例:
H.第8実施例:
【0013】
A.第1実施例:
図1は、本発明の第1実施例としての燃料電池スタックの収納ケースのケース変形抑制構造を示す説明図である。図1(A)は、燃料電池スタック10を(点線で示す)を収納した状態の収納ケース20を上面視した状態を示しており、図2(B)は、図1(A)におけるA−A断面図を示している。
【0014】
燃料電池スタック10は、図1(B)に示すうように、両端のエンドプレート12の下部で、収納ケース20の内部上面に設けられたマウント24に設置固定されている。また、エンドプレート12の上面と、圧力調整ベント22の外周部の収納ケース20の内面とを、テンションプレート26で接続固定されている。
【0015】
上記構造を有することにより、収納ケース20の内部に急激な圧力上昇が発生したとしても、テンションプレート26が、収納ケース20の圧力調整ベント22を含む上面の上部へ持ち上がるような変形を抑制することができる。これにより、圧力調整ベント22から収納ケース20の外部へ気体を流出させて、収納ケース20内の急激な圧力上昇に対応して圧力低減を図ることが可能となる。
【0016】
また、テンションプレート26は、テンションのみに対する強度を確保すればよいので、薄板を利用することが可能であり、収納ケース上面曲げ強度を高める補強に比べて大幅に全体の重さを軽くすることが可能である。さらに、テンションプレート26は、FRP繊維やCFRP繊維のような超軽量な部材を用いることも可能である。
【0017】
また、テンションプレート26を設けたとしても、収納ケースのサイズは従来サイズのままで実現可能である。
【0018】
また、収納ケース20の上面とフロアとの空隙は、圧力調整ベント22から圧力を抜くための隙間のみを確保すればよい、例えば、10mm程度でよいので、可能な限りフロアと収納ケースとの間の隙間を小さくして搭載することが可能である。
【0019】
B.第2実施例:
図2は、本発明の第2実施例としての燃料電池スタックの収納ケースのケース変形抑制構造を示す概略断面図である。図1(B)に示した第1実施例と図2(A)に示した本実施例とを比較すればわかるように、第1実施例では、燃料電池スタック10の両端のエンドプレート12と収納ケース20との間にテンションプレート26が接続されているのに対して、本実施例では、一方のエンドプレート12と収納ケース20との間にのみテンションプレート26が接続されている点のみが異なっている。
【0020】
本実施例においては、テンションプレート26が接続されていない側の収納ケース20の部分がフロア100に接触する可能性があるが、テンションプレート26が接続されている側の部分の変形は抑制されるので、図2(B)に示すように、圧力を抜くことが可能である。
【0021】
図3は、圧力調整ベント22の部分を拡大した斜視図である。本実施例のように、片方だけにテンションプレート26を接続する場合には、図3(A)に破線の枠で示すように、圧力調整ベント22の部分に切り欠きを設けておくことが好ましい。このようにすると、テンションプレート26が設けられていない側において圧力上昇による変形が発生した際に、切り欠けの部分を起点収納ケースが裂けやすくなり、圧力の抜ける開口部を増やすことが可能となる。
【0022】
また、テンションプレートを1つ減らすことができるので、装置の軽量化をはかることが可能となる。
【0023】
なお、上記圧力調整ベント22の切り欠きについては、以下の実施例においても、22圧力調整ベント22の片側のみの変形を抑制する場合にも同様に有効である。
【0024】
C.第3実施例:
図4は、本発明の第3実施例としての燃料電池スタックの収納ケースのケース変形抑制構造を示す説明図である。図4(A)は、燃料電池スタック(不図示)を収納した状態の収納ケース20を上面視した状態を示しており、図4(B)は、図4(A)におけるB−B断面図を示している。
【0025】
本実施例では、収納ケース20の上面とフロア100との間にエネルギー吸収部材(Energy Absorption 材、以下「EA材」と略す)28を設ける構造としている。EA材28の幅Weaは、圧力調整ベント22のダクトの幅Wd(=a)と同等とすることが好ましい。また、EA材28は、圧力調整ベント22に接するようにも設けることが好ましい。なお、EA材28としては、アルミ押出しハニカム材、ばねコイル、ゴムブロック、ウレタンブロック等を用いることができる。
【0026】
本実施例においても、EA材28によって、収納ケース20の内部に急激な圧力上昇が発生したとしても、収納ケース20の圧力調整ベント22を含む上面の上部へ持ち上がるような変形を抑制することができる。これにより、圧力調整ベント22から収納ケース20の外部へ気体を流出させて、収納ケース20内の急激な圧力上昇に対応して圧力低減を図ることが可能となる。
【0027】
なお、本実施例では、圧力調整ベント22の両側にEA材28を設ける構造としているがいずれか一方のみとしてもよい。
【0028】
D.第4実施例:
図5は、本発明の第4実施例としての燃料電池スタックの収納ケースのケース変形抑制構造を示す概略断面図である。図4に示した第3実施例のように、収納ケース20の上面とフロア100との間にEA材28を設ける構造ではなく、本実施例のように収納ケース20とフロア100との間にフロアブラケット30を設ける構造とすることも可能である。
【0029】
本実施例においても、フロアブラケット30によって、収納ケース20の内部に急激な圧力上昇が発生したとしても、収納ケース20の圧力調整ベント22を含む上面の上部へ持ち上がるような変形を抑制することができる。これにより、圧力調整ベント22から収納ケース20の外部へ気体を流出させて、収納ケース20内の急激な圧力上昇に対応して圧力低減を図ることが可能となる。
【0030】
なお、本実施例では、圧力調整ベント22の両側にフロアブラケット30を設ける構造としているがいずれか一方のみとしてもよい。
【0031】
E.第5実施例:
図6は、本発明の第5実施例としての料電池スタックの収納ケースのケース変形抑制構造を示す概略断面図である。図4に示した第3実施例のように、収納ケース20の上面とフロア100との間にEA材28を設ける構造ではなく、本実施例のようにフロア100Aにおいて、図6に示すように、フロアを成形して、EA材に対応する形状部102を形成する構造とすることも可能である。
【0032】
本実施例においても、EA材に対応する形状部102によって、収納ケース20の内部に急激な圧力上昇が発生したとしても、収納ケース20の圧力調整ベント22を含む上面の上部へ持ち上がるような変形を抑制することができる。これにより、圧力調整ベント22から収納ケース20の外部へ気体を流出させて、収納ケース20内の急激な圧力上昇に対応して圧力低減を図ることが可能となる。
【0033】
なお、本実施例では、フロア100Aにおいて、圧力調整ベント22の両側にEA材に対応する形状部102を設ける構造としているがいずれか一方のみとしてもよい。
【0034】
F.第6実施例:
図7は、本発明の第6実施例としての燃料電池スタックの収納ケースのケース変形抑制構造を示す説明図である。図7(A)は、燃料電池スタック(不図示)を収納した収納ケース20(破線で示す)をフロア100B側から見た斜視図を示しており、図7(B)は、図7(A)におけるF−F断面図を示し、図7(C)は、図7(A)におけるG−G断面図を示している。フロア100Bは、図7(B)に示すように、F−F断面側では、圧力調整ベント22の周辺に空間を設け、かつ、収納ケース20の圧力調整ベント22の外側の変形を抑制するように予め曲げ形状を設けた構造としている。また、G−G断面側では、圧力調整ベント22からの圧力抜けが実行されるように、収納ケースの幅bよりも大きい幅b’(>b)で曲げ形状を設けた構造としている。そして、収納ケース20の上面とフロア100Bの間隔xよりも、収納ケース20の曲げ形状部分における収納ケースとフロア100Bとの間隔yが間隔xよりも大きくなるような構造としている。これにより、圧力調整ベント22の空間を確保するとともに、圧力調整ベント22からの圧力抜けのルートを確保する構造となっている。
【0035】
本実施例においても、フロアの形状を上記構造とすることにより、収納ケース20の内部に急激な圧力上昇が発生したとしても、収納ケース20の圧力調整ベント22を含む上面の上部へ持ち上がるような変形を抑制するとともに圧力調整ベント22から収納ケース20の外部へ気体を流出させて、収納ケース20内の急激な圧力上昇に対応して圧力低減を図ることが可能となる。
【0036】
本実施例においても、EA材に対応する形状部102によって、収納ケース20の内部に急激な圧力上昇が発生したとしても、収納ケース20の圧力調整ベント22を含む上面の上部へ持ち上がるような変形を抑制することができる。これにより、圧力調整ベント22から収納ケース20の外部へ気体を流出させて、収納ケース20内の急激な圧力上昇に対応して圧力低減を図ることが可能となる。
【0037】
なお、本実施例では、フロア100Aにおいて、圧力調整ベント22の両側にEA材に対応する両側にフロアの曲げ形状をもう置ける構造としているがいずれか一方のみとしてもよい。
【0038】
G.第7実施例:
図8は、本発明の第7実施例としての燃料電池スタックの収納ケースのケース変形抑制構造を示す概略断面図である。第5、第6実施例においては、フロアの形状を第3実施例におけるEA材に対応する形状とする構造の例を説明したが、図8に示すように、収納ケースの上面をEA材を設ける部分の形状をEA材に対応するEA形状部32とした収納ケース20Bの構造とすることも可能である。
【0039】
本実施例においても、EA材に対応する収納ケース20BのEA形状部32によって、収納ケース20の内部に急激な圧力上昇が発生したとしても、収納ケース20の圧力調整ベント22を含む上面の上部へ持ち上がるような変形を抑制することができる。これにより、圧力調整ベント22から収納ケース20の外部へ気体を流出させて、収納ケース20内の急激な圧力上昇に対応して圧力低減を図ることが可能となる。
【0040】
なお、本実施例では、圧力調整ベント22の両側にEA形状部32を設ける構造としているがいずれか一方のみとしてもよい。
【0041】
H.第8実施例:
図9は、本発明の第9実施例としての燃料電池スタックの収納ケース変形抑制構造を示す説明図である。本実施例は、図9(A)に示すように、第1〜第7実施例とは異なっており、フロア100の下面に鋭利な突起物110を設けた構造を有するものである。収納ケース20内の圧力が急激に変化して収納ケースに変形が発生した場合に、この突起物110が収納ケースの上面を突き破って穴を開けることにより、ケース内の圧力を抜くことが可能となる。
【0042】
本実施例においても、突起物110によって、収納ケース20の内部に急激な圧力上昇が発生したとしても、収納ケース20の内部の急激な圧力上昇に対応して圧力低減を図ることが可能となる。
【0043】
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能である。
【符号の説明】
【0044】
10…燃料電池スタック
12…エンドプレート
20…収納ケース
20B…収納ケース
22…圧力調整ベント
24…マウント
26…テンションプレート
30…フロアブラケット
32…EA形状部
100…フロア
100A…フロア
100B…フロア
102…形状部
110…突起物
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池スタックの収納ケースの内部の急激な圧力上昇に対するケース変形抑制構造に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料ガスである水素と酸化剤ガスである酸素の電気化学反応によって発電し、発電した電気を動力源とする電動モータを動力とする自動車、いわゆる燃料電池車の開発が進められている。この燃料電池車では、実際には、いわゆるセルと呼ばれる1つの燃料電池を複数重ねた燃料電池スタックを用いて、電動モータを駆動するための動力源としている。
【0003】
図10は、従来の問題点について示す説明図である。図10(A)に示すように、燃料電池スタックは、一般的に、収納ケースに収納して、車室フロアの下部に搭載されている(破線枠で示す部分)。図10(B)は、燃料電池スタック10が収納された収納ケース20がフロア100の下部に搭載されている部分を拡大して示している。収納ケース20の上面には、圧力調整ベント22が設けられている。この圧力調整ベントは、収納ケース内部の圧力が外部の圧力より高い場合には、内部の圧力が低下するように、内部の気体が外部へ抜けるようになっている。この圧力調整ベントとしては、例えばポアフロン膜等が利用されている。燃料電池スタック10は、両端のエンドプレート12の下部が、収納ケース20の内部下面上に設けられたマウント24に接続固定されている。なお、燃料電池スタックの搭載スペースは少なくしたいという要望から、フロア100と収納ケース20の上部との間隔Aは、極力狭くしたいという要望がある。
【0004】
ここで、上述したように、通常、収納ケース内に圧力上昇があっても、圧力調整ベント22を介して内部の気体が外部へ抜けるようになっているので、問題は発生しない。しかしながら、水素と酸素の急激な反応が発生したような場合には、圧力調整ベント22からの圧力調整が間に合わず、図10(C)に示すように、収納ケースを変形させてしまう可能性がある。この場合には、圧力調整ベント22がフロア100に接触してしまい、圧力を低減することができなくなってしまう、という問題が発生する。そして、さらに、圧力上昇が進むと、図10(D)に示すように、フロア100までも変形させてしまう、という問題も発生することになる。
【0005】
上記問題点を解決する手法として、1)圧力調整ベントの面積を拡大する方法、2)ケースの強度を高める方法、3)ケースが変形しても影響を及ぼさないだけのスペースを確保する等が考えられる。しかしながら、1)の方法では、ベントの防水信頼性が低下するという問題や、ケースの剛性・強度の低下による変形増大の可能性が増大するというように、結局、効果が得られない可能性もある。2)の方法では、収納ケースの上面部の変形を抑制することは実質的に困難と考えられる。3)の方法では、無駄なスペースが増大することになり、燃料電池車全体としてのパッケージ効率の低下という問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−297377号公報
【特許文献2】特開2006−164716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、燃料電池スタックの収納ケースの内部の急激な圧力上昇に対応するためのケース変形抑制構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0009】
[適用例1]
燃料電池車のフロアの下部に空隙を設けて搭載された燃料電池スタックの収納ケースの内部の急激な圧力上昇に対応するための圧力変動対応構造であって、
前記収納ケースの外部上面に設けられた圧力調整ベントであって、前記内部の圧力が外部の圧力より高い場合に前記内部の圧力が低下するように、前記内部の圧力を減圧するための圧力調整ベントと、
前記収納ケースの内部の下面上に設けられたマウントに設置された前記燃料電池スタックの両端部に有するエンドプレートの上部と、前記収納ケースの内部の上面との間を接続するテンションプレートと、
を備え
前記テンションプレートは、前記圧力調整ベントの外周部の前記収納ケースの内部の上面と、前記エンドプレートの上部との位置関係を固定するように接続されている
ことを特徴とする圧力変動対応構造。
この構造によれば、燃料電池スタックのエンドプレートと接続されたテンションプレートによって圧力調整ベント周辺の収納ケースの変形を抑制することができるので、燃料電池スタックの収納ケースの内部の急激な圧力上昇発生に対応することが可能である。
【0010】
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、燃料電池スタックの収納ケースの圧力変動対応構造、これを搭載した燃料電池車などの種々の形態で実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施例としての燃料電池スタックの収納ケースのケース変形抑制構造を示す説明図である。
【図2】本発明の第2実施例としての燃料電池スタックの収納ケースのケース変形抑制構造を示す概略断面図である。
【図3】圧力調整ベント22の部分を拡大した斜視図である。
【図4】本発明の第3実施例としての燃料電池スタックの収納ケースのケース変形抑制構造を示す説明図である。
【図5】本発明の第4実施例としての燃料電池スタックの収納ケースのケース変形抑制構造を示す概略断面図である。
【図6】本発明の第5実施例としての料電池スタックの収納ケースのケース変形抑制構造を示す概略断面図である。
【図7】本発明の第6実施例としての燃料電池スタックの収納ケースのケース変形抑制構造を示す説明図である。
【図8】本発明の第7実施例としての燃料電池スタックの収納ケースのケース変形抑制構造を示す概略断面図である。
【図9】本発明の第9実施例としての燃料電池スタックの収納ケース変形抑制構造を示す説明図である。
【図10】従来の問題点について示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態を、実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.第1実施例:
B.第2実施例:
C.第3実施例:
D.第4実施例:
E.第5実施例:
F.第6実施例:
G.第7実施例:
H.第8実施例:
【0013】
A.第1実施例:
図1は、本発明の第1実施例としての燃料電池スタックの収納ケースのケース変形抑制構造を示す説明図である。図1(A)は、燃料電池スタック10を(点線で示す)を収納した状態の収納ケース20を上面視した状態を示しており、図2(B)は、図1(A)におけるA−A断面図を示している。
【0014】
燃料電池スタック10は、図1(B)に示すうように、両端のエンドプレート12の下部で、収納ケース20の内部上面に設けられたマウント24に設置固定されている。また、エンドプレート12の上面と、圧力調整ベント22の外周部の収納ケース20の内面とを、テンションプレート26で接続固定されている。
【0015】
上記構造を有することにより、収納ケース20の内部に急激な圧力上昇が発生したとしても、テンションプレート26が、収納ケース20の圧力調整ベント22を含む上面の上部へ持ち上がるような変形を抑制することができる。これにより、圧力調整ベント22から収納ケース20の外部へ気体を流出させて、収納ケース20内の急激な圧力上昇に対応して圧力低減を図ることが可能となる。
【0016】
また、テンションプレート26は、テンションのみに対する強度を確保すればよいので、薄板を利用することが可能であり、収納ケース上面曲げ強度を高める補強に比べて大幅に全体の重さを軽くすることが可能である。さらに、テンションプレート26は、FRP繊維やCFRP繊維のような超軽量な部材を用いることも可能である。
【0017】
また、テンションプレート26を設けたとしても、収納ケースのサイズは従来サイズのままで実現可能である。
【0018】
また、収納ケース20の上面とフロアとの空隙は、圧力調整ベント22から圧力を抜くための隙間のみを確保すればよい、例えば、10mm程度でよいので、可能な限りフロアと収納ケースとの間の隙間を小さくして搭載することが可能である。
【0019】
B.第2実施例:
図2は、本発明の第2実施例としての燃料電池スタックの収納ケースのケース変形抑制構造を示す概略断面図である。図1(B)に示した第1実施例と図2(A)に示した本実施例とを比較すればわかるように、第1実施例では、燃料電池スタック10の両端のエンドプレート12と収納ケース20との間にテンションプレート26が接続されているのに対して、本実施例では、一方のエンドプレート12と収納ケース20との間にのみテンションプレート26が接続されている点のみが異なっている。
【0020】
本実施例においては、テンションプレート26が接続されていない側の収納ケース20の部分がフロア100に接触する可能性があるが、テンションプレート26が接続されている側の部分の変形は抑制されるので、図2(B)に示すように、圧力を抜くことが可能である。
【0021】
図3は、圧力調整ベント22の部分を拡大した斜視図である。本実施例のように、片方だけにテンションプレート26を接続する場合には、図3(A)に破線の枠で示すように、圧力調整ベント22の部分に切り欠きを設けておくことが好ましい。このようにすると、テンションプレート26が設けられていない側において圧力上昇による変形が発生した際に、切り欠けの部分を起点収納ケースが裂けやすくなり、圧力の抜ける開口部を増やすことが可能となる。
【0022】
また、テンションプレートを1つ減らすことができるので、装置の軽量化をはかることが可能となる。
【0023】
なお、上記圧力調整ベント22の切り欠きについては、以下の実施例においても、22圧力調整ベント22の片側のみの変形を抑制する場合にも同様に有効である。
【0024】
C.第3実施例:
図4は、本発明の第3実施例としての燃料電池スタックの収納ケースのケース変形抑制構造を示す説明図である。図4(A)は、燃料電池スタック(不図示)を収納した状態の収納ケース20を上面視した状態を示しており、図4(B)は、図4(A)におけるB−B断面図を示している。
【0025】
本実施例では、収納ケース20の上面とフロア100との間にエネルギー吸収部材(Energy Absorption 材、以下「EA材」と略す)28を設ける構造としている。EA材28の幅Weaは、圧力調整ベント22のダクトの幅Wd(=a)と同等とすることが好ましい。また、EA材28は、圧力調整ベント22に接するようにも設けることが好ましい。なお、EA材28としては、アルミ押出しハニカム材、ばねコイル、ゴムブロック、ウレタンブロック等を用いることができる。
【0026】
本実施例においても、EA材28によって、収納ケース20の内部に急激な圧力上昇が発生したとしても、収納ケース20の圧力調整ベント22を含む上面の上部へ持ち上がるような変形を抑制することができる。これにより、圧力調整ベント22から収納ケース20の外部へ気体を流出させて、収納ケース20内の急激な圧力上昇に対応して圧力低減を図ることが可能となる。
【0027】
なお、本実施例では、圧力調整ベント22の両側にEA材28を設ける構造としているがいずれか一方のみとしてもよい。
【0028】
D.第4実施例:
図5は、本発明の第4実施例としての燃料電池スタックの収納ケースのケース変形抑制構造を示す概略断面図である。図4に示した第3実施例のように、収納ケース20の上面とフロア100との間にEA材28を設ける構造ではなく、本実施例のように収納ケース20とフロア100との間にフロアブラケット30を設ける構造とすることも可能である。
【0029】
本実施例においても、フロアブラケット30によって、収納ケース20の内部に急激な圧力上昇が発生したとしても、収納ケース20の圧力調整ベント22を含む上面の上部へ持ち上がるような変形を抑制することができる。これにより、圧力調整ベント22から収納ケース20の外部へ気体を流出させて、収納ケース20内の急激な圧力上昇に対応して圧力低減を図ることが可能となる。
【0030】
なお、本実施例では、圧力調整ベント22の両側にフロアブラケット30を設ける構造としているがいずれか一方のみとしてもよい。
【0031】
E.第5実施例:
図6は、本発明の第5実施例としての料電池スタックの収納ケースのケース変形抑制構造を示す概略断面図である。図4に示した第3実施例のように、収納ケース20の上面とフロア100との間にEA材28を設ける構造ではなく、本実施例のようにフロア100Aにおいて、図6に示すように、フロアを成形して、EA材に対応する形状部102を形成する構造とすることも可能である。
【0032】
本実施例においても、EA材に対応する形状部102によって、収納ケース20の内部に急激な圧力上昇が発生したとしても、収納ケース20の圧力調整ベント22を含む上面の上部へ持ち上がるような変形を抑制することができる。これにより、圧力調整ベント22から収納ケース20の外部へ気体を流出させて、収納ケース20内の急激な圧力上昇に対応して圧力低減を図ることが可能となる。
【0033】
なお、本実施例では、フロア100Aにおいて、圧力調整ベント22の両側にEA材に対応する形状部102を設ける構造としているがいずれか一方のみとしてもよい。
【0034】
F.第6実施例:
図7は、本発明の第6実施例としての燃料電池スタックの収納ケースのケース変形抑制構造を示す説明図である。図7(A)は、燃料電池スタック(不図示)を収納した収納ケース20(破線で示す)をフロア100B側から見た斜視図を示しており、図7(B)は、図7(A)におけるF−F断面図を示し、図7(C)は、図7(A)におけるG−G断面図を示している。フロア100Bは、図7(B)に示すように、F−F断面側では、圧力調整ベント22の周辺に空間を設け、かつ、収納ケース20の圧力調整ベント22の外側の変形を抑制するように予め曲げ形状を設けた構造としている。また、G−G断面側では、圧力調整ベント22からの圧力抜けが実行されるように、収納ケースの幅bよりも大きい幅b’(>b)で曲げ形状を設けた構造としている。そして、収納ケース20の上面とフロア100Bの間隔xよりも、収納ケース20の曲げ形状部分における収納ケースとフロア100Bとの間隔yが間隔xよりも大きくなるような構造としている。これにより、圧力調整ベント22の空間を確保するとともに、圧力調整ベント22からの圧力抜けのルートを確保する構造となっている。
【0035】
本実施例においても、フロアの形状を上記構造とすることにより、収納ケース20の内部に急激な圧力上昇が発生したとしても、収納ケース20の圧力調整ベント22を含む上面の上部へ持ち上がるような変形を抑制するとともに圧力調整ベント22から収納ケース20の外部へ気体を流出させて、収納ケース20内の急激な圧力上昇に対応して圧力低減を図ることが可能となる。
【0036】
本実施例においても、EA材に対応する形状部102によって、収納ケース20の内部に急激な圧力上昇が発生したとしても、収納ケース20の圧力調整ベント22を含む上面の上部へ持ち上がるような変形を抑制することができる。これにより、圧力調整ベント22から収納ケース20の外部へ気体を流出させて、収納ケース20内の急激な圧力上昇に対応して圧力低減を図ることが可能となる。
【0037】
なお、本実施例では、フロア100Aにおいて、圧力調整ベント22の両側にEA材に対応する両側にフロアの曲げ形状をもう置ける構造としているがいずれか一方のみとしてもよい。
【0038】
G.第7実施例:
図8は、本発明の第7実施例としての燃料電池スタックの収納ケースのケース変形抑制構造を示す概略断面図である。第5、第6実施例においては、フロアの形状を第3実施例におけるEA材に対応する形状とする構造の例を説明したが、図8に示すように、収納ケースの上面をEA材を設ける部分の形状をEA材に対応するEA形状部32とした収納ケース20Bの構造とすることも可能である。
【0039】
本実施例においても、EA材に対応する収納ケース20BのEA形状部32によって、収納ケース20の内部に急激な圧力上昇が発生したとしても、収納ケース20の圧力調整ベント22を含む上面の上部へ持ち上がるような変形を抑制することができる。これにより、圧力調整ベント22から収納ケース20の外部へ気体を流出させて、収納ケース20内の急激な圧力上昇に対応して圧力低減を図ることが可能となる。
【0040】
なお、本実施例では、圧力調整ベント22の両側にEA形状部32を設ける構造としているがいずれか一方のみとしてもよい。
【0041】
H.第8実施例:
図9は、本発明の第9実施例としての燃料電池スタックの収納ケース変形抑制構造を示す説明図である。本実施例は、図9(A)に示すように、第1〜第7実施例とは異なっており、フロア100の下面に鋭利な突起物110を設けた構造を有するものである。収納ケース20内の圧力が急激に変化して収納ケースに変形が発生した場合に、この突起物110が収納ケースの上面を突き破って穴を開けることにより、ケース内の圧力を抜くことが可能となる。
【0042】
本実施例においても、突起物110によって、収納ケース20の内部に急激な圧力上昇が発生したとしても、収納ケース20の内部の急激な圧力上昇に対応して圧力低減を図ることが可能となる。
【0043】
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能である。
【符号の説明】
【0044】
10…燃料電池スタック
12…エンドプレート
20…収納ケース
20B…収納ケース
22…圧力調整ベント
24…マウント
26…テンションプレート
30…フロアブラケット
32…EA形状部
100…フロア
100A…フロア
100B…フロア
102…形状部
110…突起物
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池車のフロアの下部に空隙を設けて搭載された燃料電池スタックの収納ケースの内部の急激な圧力上昇に対応するための圧力変動対応構造であって、
前記収納ケースの外部上面に設けられた圧力調整ベントであって、前記内部の圧力が外部の圧力より高い場合に前記内部の圧力が低下するように、前記内部の圧力を減圧するための圧力調整ベントと、
前記収納ケースの内部の下面上に設けられたマウントに設置された前記燃料電池スタックの両端部に有するエンドプレートの上部と、前記収納ケースの内部の上面との間を接続するテンションプレートと、
を備え
前記テンションプレートは、前記圧力調整ベントの外周部の前記収納ケースの内部の上面と、前記エンドプレートの上部との位置関係を固定するように接続されている
ことを特徴とする圧力変動対応構造。
【請求項1】
燃料電池車のフロアの下部に空隙を設けて搭載された燃料電池スタックの収納ケースの内部の急激な圧力上昇に対応するための圧力変動対応構造であって、
前記収納ケースの外部上面に設けられた圧力調整ベントであって、前記内部の圧力が外部の圧力より高い場合に前記内部の圧力が低下するように、前記内部の圧力を減圧するための圧力調整ベントと、
前記収納ケースの内部の下面上に設けられたマウントに設置された前記燃料電池スタックの両端部に有するエンドプレートの上部と、前記収納ケースの内部の上面との間を接続するテンションプレートと、
を備え
前記テンションプレートは、前記圧力調整ベントの外周部の前記収納ケースの内部の上面と、前記エンドプレートの上部との位置関係を固定するように接続されている
ことを特徴とする圧力変動対応構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2010−228605(P2010−228605A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−78823(P2009−78823)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]