説明

燃料電池用バイポーラ板及び冷却板、該板を具備する燃料電池及びその使用方法

燃料電池スタック用のバイポーラ板を提供する。バイポーラ板は、酸化ガスのための流路を有し、酸化ガスのための流路は、1つ以上の溝を具備しており、各溝は、蛇行経路の形状であり、各蛇行経路は、N―1の連続する曲がり部分T1,T2,・・・TN-1によりお互いに接続する、Nの連続する脚部L1,L2,・・・LNを個別に具備しており、各脚部L1,L2,・・・LN-1は、その連続する脚部L2,L3,・・・LNから、壁部分W1,W2,・・・WN-1により縦方向で分離させられており、各曲がり部分により、酸化ガスの流れ方向は、180度の方向変化で変化しており、Nは、3以上の奇数整数であり、1つ以上の壁部分W1,W2,・・・WN-1は、酸化ガスが1つの脚部Lxからその連続する脚部Lx+1(1<− x <− N―1)へ近道を介して流れ、それにより脚部Lxの一部と脚部Lx+1の一部を迂回することを可能にするための1つ以上のバイパス流路を個別に具備する。更に、同様な設計を有する冷却板が提供される。冷却板と同様にバイポーラ板は、板の表面全体にわたって、より効果的な流体の供給を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池用のバイポーラ板及び冷却板に関する。更には、本発明は、燃料電池の、陰極側に酸素を供給するための板及び/又は陰極側を冷却するための板等の使用に関する。本発明は更に、バイポーラ板及び冷却板等を具備する、燃料電池スタックと同様に、バイポーラ板又は冷却板等の製作方法に関する。結局、本発明は、その様な燃料電池スタックを使用した電力の発生方法、及びバックアップ電力システム又は連続的な発電システムとしてのその様な燃料電池スタックの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、燃料電池用のバイポーラ(二極)板及び冷却板に関する。本発明の燃料電池バイポーラ板は、陰極側及び陽極側を有しており、陰極側は、バイパス流路(チャネル)を具備する、蛇行溝の形の1つ以上の流路を具備する。これとの類似して、本発明の冷却板は、冷却側を有しており、冷却側は、バイパス流路を具備する、蛇行溝の形の1つ以上の流路を具備する。本発明のバイポーラ板及び冷却板は、燃料電池スタックの分野において特に有用であり、酸化ガスは、燃料電池の作動のための反応ガスとして使用される。その様な燃料電池は、とりわけ、PEM燃料電池及びSOFC燃料電池を含む。
【0003】
燃料電池は、物質から電気エネルギ及び熱への、清浄で比較的効率のよい変換を可能にするデバイス(装置)である。異なる範囲の技術が、最近の数十年間において開発されて来ており、それぞれの技術は、それぞれの原理、反応物質のタイプ、最適な作動条件等を有する。近年特に注目された1つの技術は、所謂、PEM(陽子交換膜又は固体高分子形)燃料電池である。近年特に注目された別の技術は、所謂SOFC燃料電池(固体酸化物形又は固体電解質形燃料電池)である。本発明の背景は、PEM燃料電池に関して以下で説明される。
【0004】
PEM(陽子交換膜)燃料電池は、陽極と陰極、及びそれらの間に挿入された陽子交換膜を具備する。陽子交換膜は、陽極に面する側に触媒を具備し、同様に陰極に面する側にも触媒を具備する。PEM燃料電池の原理は、陽極に面する膜の側に水素を供給することにより、陽極に面する膜の側の触媒によって、下記の化学反応を結果として生じることである。
【0005】
(1) 陽極反応:H2−>2H++2e-
【0006】
陽極は、導電材料により形成されるので、膜の陽極側で生成された電子を輸送し、それによりPEM膜の陽極側で生成された陽子は、膜を通過して拡散する。
【0007】
膜の陰極側には、酸素(又は空気)が供給される。電気負荷が電池の陰極と陽極間で接続されて電気回路が形成された場合には、陽極で生成された陽子は、この負荷を介して陰極へ流れる。陰極に面する膜の側の触媒により、膜の陰極側に供給された酸素は、膜を介して拡散された陽子と反応し、電子は下記の化学反応に従がい陰極へ流れる。
【0008】
(2) 陰極反応:O2+4H++4e-−>2H2O+熱
【0009】
従って、PEM燃料電池において発生する正味の反応は、
(3) 2H2+O2−>2H2O+電力+熱
である。
【0010】
単一の電池は、典型的に0.5から1Vの電圧を生成可能である。燃料電池のために、より高い電圧を実現するために、多数の単一電池は、通常、所謂、燃料電池スタックにおいて直列に接続する。燃料電池スタックは、経済性のために、1つの燃料電池の陰極を、対応するスタックの隣接する燃料電池の陽極と一体化する、方法で設計される場合がある。これは、所謂バイポーラ板を使用することにより実現される。バイポーラ板は、2つの側部を有する板であり、側部の1つは、1つの燃料電池のための陽極として機能しており、側部のもう一方は、対応する燃料電池スタックの隣接する燃料電池のための陰極として機能する。
【0011】
バイポーラ板の効率を良くするために、一定量の酸化ガスが、膜の陰極側に供給され、従ってバイポーラ板の陰極側にも供給されることが確保されなければならない。更に、バイポーラ板の陰極側に供給される酸化ガスは、バイポーラ板の陰極側の表面上全体に良好に分配されることが確保されなければならない。これは順に、酸化ガスが例えば周囲の空気等の外部の供給源から、燃料電池スタックの各バイポーラ板の陰極側を酸素源に接続する、入口マニフォールドに、比較的高圧力で供給されることを必要とする。
【0012】
上記の検討に基づいて、PEM燃料電池の多くの研究及び開発は、近年、燃料電池の特定の物理的設計及び特には、バイポーラ板の物理的設計に注目している。
【0013】
燃料電池の陰極において発生する熱により、冷却手段は、燃料電池の陰極部分を冷却することを必要とする。燃料電池の設計において、バイポーラ板の陰極側は、燃料電池に酸化ガスを供給可能であり、同時に、燃料電池のバイポーラ板の陽極側に供給され、消費される水素の化学量論的に実際に必要とされるものに比べて、陰極側により多くの酸化ガスを供給することにより、燃料電池の陰極側を冷却する場合がある。別の設計は、燃料電池のバイポーラ板の一体部分ではない、異なる冷却板を具備する。
【0014】
仏国特許出願FR2891090は、側部に蛇行流路を有するバイポーラ板を具備する燃料電池を開示する。これらの溝を通る流体を加圧するために、比較的高い動力消費が、流路を通過するガスを加圧するために使用されるが、これは好ましくない。
【0015】
トヨタ自動車に譲渡されたキノ ヨシタケによる日本国特許文献JP2003 100319は、低域(又は、低レベル)作動用の燃料電池を開示する。膜が乾いた状態になり過ぎることを防止するために、ガスは、水分を富裕化されている。水分の必要性は、温度が沸点より低いことを暗示する。しかし、冷却流体の流路が湿気からの水滴で塞がれる、特定のリスクが存在する。この領域に関して、バイパス流路は、水分含量が増大することにより膨らむ、樹脂を具備する。水分含量が増えると、バイパス流路は、塞がれ、流速は、残りの流路で増大するので、このことは、水滴の形成及び結果としての流路の閉塞のリスクを軽減する。その様なシステムの欠点は、高速で流路を通るガスを加圧するために使用される比較的高い動力消費である。その様な樹脂充填式バイパス流路は、ガスが乾燥しており、水分の供給が必要ではない、高温式燃料電池には使用されない。
【0016】
従って、バイポーラ板の多数の異なる設計が、従来技術に開示されてきた。しかし、これらの設計の実質的な数が、その様な板の陰極側に十分な酸化ガスを供給するという技術的な要求を満たすが、これらの設計は全て、欠点に苦しんでおり、バイポーラ板に関して、特定の設計が、外部供給源から入口マニフォールドを介して燃料電池スタックのバイポーラ板の陰極側に、酸化ガスを供給するための多くのエネルギを必要とすること、及び冷却板に関して、特定の設計が、外部供給源から入口マニフォールドを介して燃料電池スタックの冷却板の冷却側に、冷却流体を供給するための多くのエネルギを必要とすることである。
【発明の概要】
【0017】
本発明は、上記の欠点を克服する、燃料電池用バイポーラ板を提供することを目的とする。具体的には、本発明は、例えば、酸化ガス又は空気等の冷却流体の輸送のための動力消費を最少化することにより、効率的な冷却効果を有する、バイポーラ板であって、例えば、バイポーラ板の形の冷却板を提供することを目的とする。
【0018】
この目的は、冷却側を有し且つ燃料電池スタックに使用される、冷却板により実現されており、前記冷却側は、冷却流体のための流路を有し、前記冷却流体のための流路は、1つ以上の溝を具備しており、各溝は、蛇行経路の形状である。各前記蛇行経路は、N―1の連続する曲がり部分T1,T2,・・・TN-1によりお互いに接続する、Nの連続する脚部L1,L2,・・・LNを個別に具備する。各脚部L1,L2,・・・LN-1は、その連続する脚部L2,L3,・・・LNから、壁部分W1,W2,・・・WN-1により縦方向で分離させられている。各曲がり部分により、冷却流体の流れ方向は、例えば、180度の方向変化で変化する。Nは、3以上の奇数整数である。1つ以上の壁部分W1,W2,・・・WN-1は、冷却流体が1つの脚部Lxからその連続する脚部Lx+1(1<− x <− N―1)へ近道を介して流れ、それにより脚部Lxの一部と脚部Lx+1の一部を迂回することを可能にするための1つ以上のバイパス流路を個別に具備する。
【0019】
上記の従来技術である日本国特許文献JP2003 100319とは対照的に、バイパス流路には、障害物がないことが好ましい。
【0020】
本発明の第1の冷却板は、バイポーラ板の形で提供可能である。従って、別の形態において、本発明は、燃料電池スタックに使用されるためのバイポーラ板に関する。バイポーラ板は、陽極側と陰極側を具備しており、前記陰極側は、酸化ガスのための流路を有し、酸化ガスのための前記流路は、1つ以上の溝を具備しており、各溝は、蛇行経路の形状である。各前記蛇行経路は、N―1の連続する曲がり部分T1,T2,・・・TN-1によりお互いに接続する、Nの連続する脚部L1,L2,・・・LNを個別に具備する。各脚部L1,L2,・・・LN-1は、その連続する脚部L2,L3,・・・LNから、壁部分W1,W2,・・・WN-1により縦方向で分離させられている。各曲がり部分により、酸化ガスの流れ方向は、例えば、180度の方向変化で変化する。Nは、3以上の奇数整数である。更に、1つ以上の壁部分W1,W2,・・・WN-1は、酸化ガスが1つの脚部Lxからその連続する脚部Lx+1(1<− x <− N―1)へ近道を介して流れ、それにより脚部Lxの一部と脚部Lx+1の一部を迂回することを可能にするための1つ以上のバイパス流路を個別に具備する。
【0021】
Nは3以上の奇数の正数であるので、冷却流体は、冷却流体が板に流入する、角部(又は、端部)に対向する、角部(又は、端部)にある板から流出する。この事実により、最適化された冷却効果が実現され、それは以下で説明される。低温でむしろ高速度の冷却流体は、板の上流角部において、蛇行流路の第1の脚部L1に流入する。従って、冷却流体は、蛇行流路の第1の曲がりT1に到達する時に、まだ低温である。常に妨害物のない状態のバイパス流路は、冷却流体が第1の曲がりT1におけるこの領域において良好な冷却効果で実質的に熱を奪うために、第1の曲がりT1付近で比較的長い時間留まるように、冷却流体の流速を減少させる。第1の曲がりT1の後で、高温の冷却流体は、例えば、上流角部において第2の曲がりT2へ流れており、上流角部付近の第2の曲がりT2の領域は、加熱された冷却流体に比べて、より低い温度であるので、第2の曲がりT2において、別の熱交換が起こる。冷却流体の低下された温度は、別の曲がりT2の後で使用されて、下流角部において板から離れる前に2度目に、下流角部付近の領域を冷却する。2つの曲がりを有する3つの脚部の代わりに、蛇行流路は、より多い数の脚部を具備しても良いが、しかし数は奇数であるので、上流角部に対向する下流角部において冷却流体の流出を確保しており、それにより、冷却流体が偶数の脚部の後に上流角部で流出する場合とは反対に、最適な冷却効果を生じる。
【0022】
シナリオの制限されない例が、説明の理由から以下で述べられる。例えば、冷却流体は、温度20℃で上流角部において蛇行流路に流入し、下流角部における領域で第1の曲がりT1で180℃まで加熱される。上流角部における領域に再度戻ると、流れは、速度低下自由流れのバイパス流路を有する第2の曲がりT2で減少して、熱は、上流角部の領域に放出され、それにより、冷却流体の温度は、160℃まで低下する。下流角部の領域に到達すると、冷却流体の温度は、再度180℃に上昇する。
【0023】
冷却板又はバイポーラ板は、高温燃料電池に非常に適している。
【0024】
そこでは、曲がりの方向の変化は、90度より大きく、好適には、120度より大きく、最も好適には、150度より大きく、例えば、180度である。
【0025】
特別の実施の形態において、下流角部の領域をより効果的に冷却するために、1つ以上の別の流路が、比較的冷たい冷却流体が熱を吸収するために流れる、下流領域に設けられる。これらの1つ以上の別の流路が下流曲がりTi(iは奇数正数である)から、冷却流体が板から流出する、板の下流角部へ伸長する。その様な別の流路は、冷却流体の温度がまだ比較的低い、第1の曲がりTに、その様な別の流路が設けられる場合に、冷却に特に有効である。
【0026】
本発明のバイポーラ板の別の好適な実施の形態において、1つ以上のバイパス流路の壁部分Wxは、関連する脚部Lxの下流半分部分に設けられるので、脚部Lxの下流部分の一部及び脚部Lx+1の上流部分の一部を迂回する。蛇行の関連するバイパス流路のその様な設計は、最も効率的であると証明されている。例えば、1つ以上のバイパス流路の壁部分Wxは、関連する脚部Lxの下流第3部分に設けられるので、脚部Lxの下流部分の一部及び脚部Lx+1の上流部分の一部を迂回する。従って、Lxの下流側とLx+1の上流側との間にだけバイパス流路が設けられるが、しかしLxの上流部分とLx+1の下流部分との間にはバイパス流路が設けられない。言い換えれば、3つの脚部L1,L2,L3を有する蛇行部に関して、壁部W1は、L1の下流部分とL2の上流部分との間において単にバイパス流路だけを有しており、L1の上流部分とL2の下流部分との間においてバイパス流路は存在しない。しかし、壁部W2は、L2の下流部分とL3の上流部分との間においてバイパス流路を有する。この原理は、3より多い脚部を有する蛇行部に対して容易に拡張できる。
【0027】
別の形態において、本発明は、燃料電池の運転中、酸化ガスを燃料電池の陰極側に供給するための、本発明のバイポーラ板の使用方法に関する。
【0028】
別の形態において、本発明は、燃料電池の運転中、酸化ガスを燃料電池の陰極側を冷却し且つ供給する組み合わせに関する。
【0029】
別の形態において、本発明は、燃料電池の運転中、酸化ガスを燃料電池の陰極側を冷却するための、本発明の冷却板の使用方法に関する。
【0030】
別の形態において、本発明は、本発明のバイポーラ板及び/又は冷却板の製造方法に関する。
【0031】
別の形態において、本発明は、本発明の1つ以上のバイポーラ板を具備する燃料電池スタック及び/又は本発明の1つ以上の冷却板を具備する燃料電池スタックに関する。
【0032】
別の形態において、本発明は、本発明の燃料電池スタックを使用することによる、電力及び/又は熱の生成方法に関する。
【0033】
別の形態において、本発明は、バックアップシステムとしての、本発明の燃料電池スタックの使用方法に関する。
【0034】
別の形態において、本発明は、連続的動力発生システムとしての、本発明の燃料電池スタックの使用方法に関する。
【0035】
別の発明は、上記のように冷却板又はバイポーラ板により提供されており、該発明において、別の流路が保持されるが、バイパス流路は回避される。その様な板は、冷却流体の流れを提供するための、冷却側を有する燃料電池のための冷却板として説明される。
冷却板において、前記冷却側は、冷却流体のための流路を有し、前記冷却流体のための流路は、1つ以上の溝を具備しており、各溝は、蛇行経路の形状であり;各前記蛇行経路は、N―1の連続する曲がり部分T1,T2,・・・TN-1によりお互いに接続する、Nの連続する脚部L1,L2,・・・LNを個別に具備する、冷却板において、Nは、3以上の奇数整数であり、各脚部L1,L2,・・・LN-1は、その連続する脚部L2,L3,・・・LNから、壁部分W1,W2,・・・WN-1により縦方向で分離させられており;各曲がり部分により、冷却流体の流れ方向が変化しており;第1の曲がり部分T1は、冷却流体の一部をこれらの1つ以上の別の流路を介して放出するための、1つ以上の別の流路により、板の角部に接続する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】図1は、本発明のバイポーラ板の陰極側の蛇行経路又は本発明の冷却板の冷却側の蛇行経路の設計の平面図であり、各々が3つの脚部と、2つの曲がり部分と、2つの壁部分とを具備する、3つの蛇行経路を示す。
【図2】図2は、本発明のバイポーラ板の陰極側の一部又は本発明の冷却板の冷却側の一部の平面図であり、実質的に180度の弓状溝の形の曲がり部分を示す。
【図3】図3は、本発明のバイポーラ板の陰極側の一部又は本発明の冷却板の冷却側の一部の平面図であり、短い曲がり部脚部TLにより分離される、2つの90度の曲がりを具備する、溝の形の曲がり部分を示す。
【図4】図4は、本発明のバイポーラ板の陰極側の一部又は本発明の冷却板の冷却側の一部の平面図であり、最後の脚部L3が3つの枝部に分岐する、3つの脚部を有する、1つの蛇行部を示す。
【図5】図5は、第1の脚部の入口部分の流体速度に対する、3つの脚部を具備する単一の蛇行流路における圧力損失のプロットを、バイパス流路を具備しない蛇行部と、例1によるバイパス流路を具備する蛇行部とを比較して示している。
【図6】図6は、冷却板又はバイポーラ板の別の設計を示しており、別の流路は、下流角部の付近の下流領域の冷却のために、下流曲がりと下流角部に設けられる。
【図7a】図7aは、バイポーラ板が電解質膜の間で使用される、第1の燃料電池スタックの原理を図解する。
【図7b】図7bは、陽極板と陰極板が、陽極板と陰極板の間の冷却部分により、背部同士が向き合う方向を向く、第2の燃料電池スタックの原理を図解する。
【図7c】図7cは、冷却板が陽極板と陰極板の間に挟み込まれており、冷却板と陽極板との間の体積、及び冷却板と陰極板との間の体積で冷却が行われる、第3の燃料電池スタックの原理を図解する。
【発明を実施するための形態】
【0037】
上記の図1から4は、各バイパス流路16の内部が蛇行した2つの脚部の内部に流体接続しており、2つの脚部の間にはバイパス流路が配置されるように解釈されるべきである。
【0038】
図1は、本発明の、例えば、バイポーラ板(二極)である冷却板を示す。上述したように、本発明は、燃料電池スタックにおいて使用されるバイポーラ板を提供する。本発明のバイポーラ板は、陰極側の特定の設計により、外部供給源から各バイポーラ板の陰極側に入口マニフォールドを介して、本機能を実施するために必要なポンプの動力消費を顕著に節減する状態で、酸化ガスを効率的に供給可能である。
【0039】
本発明の第1の形態によるバイポーラ板は、陽極側と陰極側を具備しており、前記陰極側は、酸化ガスのための流路を有し、前記酸化ガスのための流路は、1つ以上の溝12を具備しており、各溝12は、蛇行経路14の形状である。各前記蛇行経路は、N―1の連続的な曲がり部分T1,T2,・・・TN-1によりお互いに接続する、Nの連続する脚部L1,L2,・・・LNを個別に具備する。各脚部L1,L2,・・・LN-1は、その連続する脚部L2,L3,・・・LNから、壁部分W1,W2,・・・WN-1により縦方向で分離させられている。各曲がり部分により、酸化ガスの流れ方向は180度で変化する。Nは、3以上の奇数整数である。1つ以上の壁部分W1,W2,・・・WN-1は、酸化ガスが1つの脚部Lxからその連続する脚部Lx+1(1<− x <− N―1)へ近道を介して流れ、それにより脚部Lxの一部と脚部Lx+1の一部を迂回することを可能にするための1つ以上のバイパス流路16を個別に具備する。
【0040】
蛇行形状の溝の形のバイポーラ板の陰極側にある流路がバイパス流路を具備するとの特別な設計により、バイポーラ板の陰極側全体にわたる酸化ガスの適切な供給が、外部供給源からバイポーラ板の陰極側へ燃料電池スタックの入口マニフォールドを介して、酸化ガスを圧送するのに必要なポンプの顕しく低い動力消費で確保される。ポンプの低い動力消費の原因は、蛇行形状の溝のバイパス流路が、本発明による設計を有さないバイポーラ板と比較すると、バイポーラ板の陰極側を通過する際のより小さな圧力低下を可能にすることにある。
【0041】
また、本発明のバイポーラ板のバイパス流路の存在は、バイポーラ板の陰極側の冷却効果を発揮し、その(冷却効果の)大きさは、驚くべきものであり、流路における圧力低下の減少と言った単なる説明では説明できないことが分かった。この冷却効果の本質は、明確に理解されてはいないが、しかしバイパス流路は、各端部(又は、180度曲がり部)付近の熱伝達を増大させる、乱流領域を生成すると考えられている。従って、熱エネルギは、流体の熱容量を使用して、板の一方の端部からもう一方の端部へ効率的に伝達される。これにより、板にわたって顕著により良好な温度分布を可能にし、結局より良好な冷却効果を実現する。本発明のバイポーラ板の冷却と、圧力低下の減少との組み合わされた効果により、バイパス流路を具備する蛇行流れを具備する、板の特別な設計は、燃料電池スタックの冷却板にも適用可能である。
【0042】
本明細書の説明及び請求項において、蛇行形状は、3つ以上の連続する脚部が原則的に同じ方向を向く状態の幾何学的形状として定義されており、各脚部は、180度の曲がりを有する連続する脚部に接続する。
【0043】
本明細書の説明及び請求項において、蛇行脚部L1とLNを考えると、L1は常に、上流側の脚部、即ち、酸化ガスが燃料電池に流入する、蛇行脚部であり、その一方で、LNは常に、下流側の脚部、即ち、酸化ガスが燃料電池から流出する、蛇行脚部であることが分かる。
【0044】
本発明の好適な実施の形態において、本発明のバイポーラ板の陰極側は、5−20の蛇行経路14、例えば、6−18の蛇行経路、8−16の蛇行経路、例えば、9−15の蛇行経路、10−14の蛇行経路、又は例えば、11,12又は13の蛇行経路を具備する。
【0045】
本発明のバイポーラ板の好適な実施の形態において、1つ以上の壁部分W1,W2,・・・WN-1は各々、例えば、1−15のバイパス流路、2−14のバイパス流路、例えば、3−13のバイパス流路、4−12のバイパス流路、5−11のバイパス流路、6−10のバイパス流路、又は例えば、7,8又は9のバイパス流路を個別に具備する。その様な数のバイパス流路は、圧力低下を十分に減少可能であり、従って、より多くのエネルギにより燃料電池の陰極側へ酸化ガスを十分に供給可能にする。
【0046】
更に、その様な数のバイパス流路は、燃料電池の陰極部の冷却を補助する、蛇行形状で流れる酸化ガスの流れの効果的な乱流を形成すると考えられている。
【0047】
本発明のバイポーラ板の別の好適な実施の形態において、1つ以上のバイパス流路の壁部分Wxは、関連する脚部Lxの下流半分部分に設けられるので、脚部Lxの下流部分の一部及び脚部Lx+1の上流部分の一部を迂回する。蛇行の関連するバイパス流路のその様な設計は、最も効率的であると証明されている。例えば、1つ以上のバイパス流路の壁部分Wxは、関連する脚部Lxの下流の第3部分に設けられるので、脚部Lxの下流部分の一部及び脚部Lx+1の上流部分の一部を迂回する。従って、Lxの下流側とLx+1の上流側との間にだけバイパス流路が設けられるが、しかしLxの上流部分とLx+1の下流部分との間にはバイパス流路が設けられない。言い換えれば、3つの脚部L1,L2,L3を有する蛇行部に関して、壁部W1は、L1の下流部分とL2の上流部分との間においてだけにバイパス流路を有しており、L1の上流部分とL2の下流部分との間においてバイパス流路は存在しない。しかし、壁部W2は、L2の下流部分とL3の上流部分との間においてバイパス流路を有する。この原理は、3より多い脚部を有する蛇行部に対して容易に拡張できる。
【0048】
本発明のバイポーラ板の1つの実施の形態において、1つ以上の曲がり部は、180度の弓状の溝の形で流れの方向の実質的に180度の変更を示しており、その様な溝は、半円形状を有する。その様な実施の形態は、図2に部分的に示されており、図2は、半円形状を有する180度の弓状の溝18の形で流れの方向の実質的に180度の変更部を介して接続する、2つの蛇行脚部を示す。
【0049】
本発明のバイポーラ板の別の実施の形態において、1つ以上の曲がり部は、流れの方向において2つの実質的に90度の変更部20を示しており、各変更部は、実質的に直線の曲がり部脚部TLにより分離されて、流れ方向の180度の変更を共同で示す。その様な実施の形態は、図3に部分的に示される。図3は、流れ方向において2つの実質的に90度の変更部20a,20bの形で流れの方向の180度の変更部を介して接続する、2つの蛇行脚部を示す。
【0050】
好適な実施の形態において、曲がり部脚部TLは、蛇行部の任意の脚部L1,L2,・・・LN-1の長さの20%以下の長さを有する。
【0051】
本発明のバイポーラ板の好適な実施の形態において、各蛇行経路は、3つの脚部L1,L2及びL3と;2つの壁部分W1,W2と;2つの曲がり部T1,T2とを具備する。更に、本発明のバイポーラ板の蛇行経路の本設計において、第1の壁部分W1は、L1の下流の半分部分に設置される、バイパス流路を具備し、第2の壁部分W2は、L2の上流の半分部分に設置される、バイパス流路を具備し、更に第2の壁部分W2は、L2の下流の半分部分に設置される、バイパス流路を具備することが好ましい。本発明のバイポーラ板の蛇行部の本設計の更により好適な実施の形態において、第1の壁部分W1は、L1の下流の半分部分に設置される、10のバイパス流路を具備し、第2の壁部分W2は、L2の上流の半分部分に設置される、3つのバイパス流路を具備し、更に第2の壁部分W2は、L2の下流の半分部分に設置される、5つのバイパス流路を具備する。
【0052】
本発明のバイポーラ板の別の好適な実施の形態において、各蛇行経路は、5つの脚部L1,L2,L3,L4及びL5と;4つの壁部分W1,W2,W3,W4と;4つの曲がり部T1,T2,T3,T4とを具備する。
【0053】
バイパス経路の数は、圧力低下、温度分布及び酸化剤分布に影響を与えることが分かっている。一般的に圧力低下は、バイパス流路の数が増えると、減少する。しかし、流れ場を通る酸化剤と温度の変動は、増大し、バイパス流路の数及び大きさを制限する。
【0054】
各蛇行経路の各脚部は個別に、多少曲がっても良く、あるいは実質的に直線的であっても良く、又は直線であってでも良い。
【0055】
本発明のバイポーラ板の陰極側の蛇行経路で、バイポーラ板の陰極側の任意の別の蛇行経路に「絡ませられる」ものがないことが好ましい。本記載及び添付の請求項において使用される「絡ませられない」との用語は、本発明のバイポーラ板の陰極側の各蛇行経路が、任意の別の蛇行経路により占領される、該バイポーラ板の陰極表面の領域を補完する、該板の陰極表面の領域を占領することを意味する。
【0056】
本発明のバイポーラ板の1つの実施の形態において、最後の脚部LNの下流部に対応する位置にある1つ以上の蛇行経路の最後の脚部LNは、2つ以上の枝部22に分かれ、各枝部は、該バイポーラ板の角部(エッジ)まで伸張する。その様な設計は、蛇行経路における圧力損失のより以上の減少を可能にし、従って、酸化ガスをバイポーラ板の陰極側に供給するのに必要なエネルギの観点においてより良好なエネルギの経済性を提供する。本実施の形態は、図4の単一の蛇行経路として図示される。図4は、板10の蛇行経路を示し、該蛇行経路は、3つの脚部L1,L2とL3を具備し、L3は板の角部との交差の直前にあるその端部において3つの枝部に分かれる。
【0057】
各蛇行経路の各脚部L1,L2,・・・LNの寸法は、任意に選択されても良い。しかし、本発明のバイポーラ板の1つの実施の形態において、1つ以上の蛇行経路の各脚部L1,L2,・・・LNの断面積は、基本的に等しい。
【0058】
本発明のバイポーラ板の別の実施の形態において、1つ以上の蛇行経路の各脚部L1,L2,・・・LNの幅は、基本的に等しい。
【0059】
本発明のバイポーラ板の更に別の実施の形態において、任意の脚部L1,L2,・・・LNの断面積に対する任意のバイパス流路16の断面積の比は、個別に、0.1から1、例えば、0.2から0.9、0.3から0.8、0.4から0.7又は0.5から0.6である。
【0060】
1つ以上の壁部分W1,W2,・・・WN-1に設けられたバイパス流路は、任意な適切なパターンで表されても良い。2つ以上のバイパス流路をバイパス流路の1つ以上の異なるグループに分類する(グループ分けする)ことが好ましい。その様な実施の形態において、各グループ内の個別のバイパス流路間の間隔は、脚部L1,L2,・・・LNの幅の1から8倍、例えば、2から7倍、3から6倍、4又は5倍であることが好ましい。
【0061】
本発明のバイポーラ板の非常に特別で好適な実施の形態において、バイポーラ板の陰極側は、9の蛇行経路を具備しており、各蛇行経路は、3つの脚部L1,L2とL3と、2つの壁部分W1,W2と、2つの曲がり部分T1,T2とを具備しており、第1の壁部分W1は、L1の下流の半分部分に設けられた10のバイパス流路を具備しており、第2の壁部分W2は、L2の上流の半分部分に設けられた3のバイパス流路を具備しており、第2の壁部分W2は、L2の下流の半分部分に設けられた5のバイパス流路を具備する。この実施の形態において、最後の脚部の下流部分に対応する位置にある1つ以上の蛇行経路の最後の脚部LNは、2つ以上の枝部22に分割され、各枝部22は、該バイポーラ板の角部まで伸長することが好ましい。
【0062】
好適な実施の形態において、本発明のバイポーラ板は、PEM燃料電池又はSOFC燃料電池における使用に適するように形成される。
【0063】
本発明の冷却板
第2の形態において、本発明は、燃料電池スタックで使用するための冷却板を提供する。本発明の冷却板は、その冷却側の特定の設計により、外部供給源からそれ冷却側へ入口マニフォールドを介して、この機能を実施するために必要なポンプの顕しく節減された動力消費で、冷却流体の効率的な供給を可能にする。
【0064】
図1に示すように、本発明の第1の形態の冷却板は、冷却側を具備しており、
前記冷却側は、冷却流体のための流路を有し、前記冷却流体のための流路は、1つ以上の溝12を具備しており、各溝12は、蛇行経路14の形状であり、
各前記蛇行経路は、N―1の連続する曲がり部分T1,T2,・・・TN-1によりお互いに接続する、Nの連続する脚部L1,L2,・・・LNを個別に具備しており、
各脚部L1,L2,・・・LN-1は、その連続する脚部L2,L3,・・・LNから、壁部分W1,W2,・・・WN-1により縦方向で分離させられており、
各曲がり部分により、冷却流体の流れ方向は、例えば、180度の変化で、変化させられており、Nは3以上の奇数正数であり、
1つ以上の前記壁部分W1,W2,・・・WN-1は、冷却流体が1つの脚部Lxからその連続する脚部Lx+1(1<− x <− N―1)へ近道を介して流れ、それにより前記脚部Lxの一部と前記脚部Lx+1の一部を迂回することを可能にするための1つ以上のバイパス流路16を個別に具備する。
【0065】
バイパス流路を具備する蛇行形状の溝の形の冷却板の冷却側上の冷却流体のための流路の特定の設計により、冷却板の冷却側全体にわたる冷却流体の適切な供給は、冷却流体を、外部供給源から冷却板の冷却側へ燃料電池スタックの入口マニフォールドを介して圧送するために必要なポンプの著しく低い動力消費を確保する。ポンプの低い動力消費の原因は、蛇行溝のバイパス流路が、本発明の冷却板のような設計を有さない冷却板に比べると、冷却板の冷却側における、より小さな圧力低下を提供することによる。
【0066】
バイポーラ板の蛇行経路のバイパス流路に関する上記の開示のように、バイパス流路は、驚異的に大きな冷却効果を発揮する。同じ効果は、本発明の冷却板の蛇行経路において実現される。
【0067】
本明細書及び添付の請求項において、蛇行脚部L1,LNを参照すると、L1は常に、上流の脚部、即ち、冷却流体が燃料電池に流入する、蛇行脚部であるが、他方で、LNは常に、下流の脚部、即ち、冷却流体が燃料電池から流出する、蛇行脚部であることが理解されるはずである。
【0068】
本発明の好適な実施の形態において、本発明の冷却板の冷却側は、5から20の蛇行経路14,例えば、6から18の蛇行経路、8から16の蛇行経路、9から15の蛇行経路、例えば、10から14の蛇行経路、11,12又は13の蛇行経路を具備する。
【0069】
本発明の冷却板の好適な実施の形態において、1つ以上の壁部W1,W2,・・・WN-1は各々、1から15のバイパス流路、例えば、2から14のバイパス流路、3から13のバイパス流路、4から12のバイパス流路、例えば、5から11のバイパス流路、6から10のバイパス流路、7,8又は9のバイパス流路を個別に具備する。その様な数のバイパス流路は、圧力低下の効果的な減少を可能にするので、燃料電池の冷却板の冷却側への冷却流体のより以上に効率的なエネルギ供給を可能にする。更に、その様な数のバイパス流路は、効率的な冷却を更に補助する、蛇行部において流れる冷却流体の流れの効率的な乱流を提供する。
【0070】
本発明の冷却板の別の好適な実施の形態において、壁部Wxの1つ以上のバイパス流路は、関連する脚部Lxの下流の半分部分に設置されるので、脚部Lxの下流部分の一部と脚部Lx+1の上流部分の一部を迂回する。蛇行部と関連するバイパス流路のその様な設計は、最も効率的であると証明されている。壁部Wxの1つ以上のバイパス流路は、関連する脚部Lxの下流の第3部分に設置されるので、脚部Lxの下流部分の一部と脚部Lx+1の上流部分の一部を迂回することがより好ましい。
【0071】
本発明の冷却板の1つの実施の形態において、1つ以上の曲がり部は、180度の弓状の溝の形で、流れ方向の実質的に180度の変化を示しており、その様な溝は、半円形を有する。その様な実施の形態は、図2に部分的に示される。図2は、半円形状を有する180度の弓状溝18の形で、実質的に流れ方向の180度の変化を介して接続する、2つの蛇行脚部を示す。
【0072】
本発明の冷却板の別の実施の形態において、1つ以上の曲がり部は、流れ方向において2つの実質的に90度の変更部20を示しており、各変更部は、実質的に直線の曲がり部脚部TLにより分離されて、流れ方向の180度の変化を共同で実現する。その様な実施の形態は、図3に部分的に示される。図3は、流れ方向において2つの実質的に90度の変更部20a,20bの形で、流れ方向の180度の変更部を介して接続する、2つの蛇行脚部を示す。
【0073】
本好適な実施の形態において、曲がり部脚部TLは、任意の蛇行脚部L1,L2,・・・LN-1の長さの20%以下の長さを有する。
【0074】
本発明の冷却板の好適な実施の形態において、各蛇行経路は、3つの脚部L1,L2とL3と、2つの壁部分W1,W2と、2つの曲がり部T1,T2とを具備する。更に、本発明の冷却板の蛇行経路の本設計において、第1の壁部分W1は、L1の下流の半分部分に設けられたバイパス流路を具備しており、第2の壁部分W2は、L2の上流の半分部分に設けられたバイパス流路を具備しており、第2の壁部分W2は、L2の下流の半分部分に設けられたバイパス流路を具備することが好ましい。本発明の冷却板の蛇行部(経路)の本設計の更により好適な実施の形態において、第1の壁部分W1は、L1の下流の半分部分に設けられた10のバイパス流路を具備しており、第2の壁部分W2は、L2の上流の半分部分に設けられた3のバイパス流路を具備しており、第2の壁部分W2は、L2の下流の半分部分に設けられた5つのバイパス流路を具備する。
【0075】
本発明の冷却板の別の好適な実施の形態において、各蛇行経路は、5つの脚部L1,L2,L3,L4とL5と、4つの壁部分W1,W2,W3,W4と、4つの曲がり部T1,T2,T3,T4とを具備する。
【0076】
バイパス流路の数は、圧力降下と、温度分布と、冷媒分布とに影響することが分かった。一般的に、圧力降下は、バイパス流路の数が増えると減少する。しかし流れの場における冷媒及び温度変化は、増大し、可能なバイパス流路の数及び大きさに制限を与える。
【0077】
各蛇行経路の各脚部は個別に、多少は曲線状であっても良いか、又は基本的に直線的であっても良いか、又は直線であってさえも良い。
【0078】
本発明の冷却板の冷却側の蛇行経路は、冷却板の冷却側の任意の別の蛇行経路において「絡ませられる」ものがないことが好ましい。本明細書及び添付の請求項において使用される「絡ませられない」との用語は、本発明の冷却側の各蛇行経路が、任意の別の蛇行経路により占領される、該冷却板の冷却表面の領域を補完する、該板の冷却表面の領域を占領することを意味する。
【0079】
本発明の冷却板の1つの実施の形態において、最後の脚部LNの下流部に対応する位置にある1つ以上の蛇行経路の最後の脚部LNは、2つ以上の枝部22に分かれ、各枝部22は、該冷却板の角部(又は、端部)まで伸張する。その様な設計は、蛇行経路における圧力損失のより以上の減少を可能にし、従って、冷却流体を冷却板の冷却部に供給するのに必要なエネルギの観点においてより良好なエネルギの経済性を提供する。本実施の形態は、図4の単一の蛇行経路として図示される。図4は、板10の蛇行経路を示し、該蛇行経路は、3つの脚部L1,L2とL3を具備し、L3は板の角部との交差の直前にあるその端部において3つの枝部に分かれる。
【0080】
各蛇行経路の各脚部L1,L2,・・・LNの寸法は、任意に選択されても良い。しかし、本発明の冷却板の1つの実施の形態において、1つ以上の蛇行経路の各脚部L1,L2,・・・LNの断面積は、基本的に等しい。
【0081】
本発明の冷却板の別の実施の形態において、1つ以上の蛇行経路の各脚部L1,L2,・・・LNの幅は、基本的に等しい。
【0082】
本発明の冷却板の更に別の実施の形態において、任意の脚部L1,L2,・・・LNの断面積に対する任意のバイパス流路16の断面積の比は、個別に、0.1から1、例えば、0.2から0.9、0.3から0.8、0.4から0.7又は0.5又は0.6である。
【0083】
1つ以上の壁部分W1,W2,・・・WN-1に設けられたバイパス流路は、任意な適切なパターンで表されても良い。2つ以上のバイパス流路をバイパス流路の1つ以上の異なるグループに分類することが好ましい。その様な実施の形態において、各グループ内の個別のバイパス流路間の間隔は、脚部L1,L2,・・・LNの幅の1から8倍、例えば、2から7倍、3から6倍、4又は5倍であることが好ましい。
【0084】
本発明の冷却板の非常に特別で好適な実施の形態において、冷却板の冷却側は、9の蛇行経路を具備しており、各蛇行経路は、3つの脚部L1,L2とL3と、2つの壁部分W1,W2と、2つの曲がり部T1,T2とを具備しており、第1の壁部分W1は、L1の下流の半分部分に設けられた10のバイパス流路を具備しており、第2の壁部分W2は、L2の上流の半分部分に設けられた3のバイパス流路を具備しており、第2の壁部分W2は、L2の下流の半分部分に設けられた5つのバイパス流路を具備する。この実施の形態において、最後の脚部の下流部分に対応する位置にある1つ以上の蛇行経路の最後の脚部LNは、2つ以上の枝部22に分割され、各枝部22は、該冷却板の角部まで伸長することが好ましい。
【0085】
好適な実施の形態において、本発明の冷却板は、PEM燃料電池又はSOFC燃料電池における使用に適するように形成される。
【0086】
本発明のバイポーラ板又は冷却板の使用方法
第3の形態において、本発明は、燃料電池の作動中に燃料電池の陰極側へ酸化ガスを供給するための本発明のバイポーラ板の使用方法に関する。
【0087】
第3の形態において、本発明は、燃料電池の作動中に燃料電池の陰極側へ酸化ガスを供給するための本発明のバイポーラ板の使用方法に関する。
【0088】
第4の形態において、本発明は、燃料電池の作動中に燃料電池の陰極側への酸化ガスの冷却及び供給の組み合わせに関する。燃料電池の陰極側への酸化ガスの冷却及び供給の組み合わせによるその様な効果は、本発明のバイポーラ板を燃料電池に組み込むことにより、及びバイポーラ板の陽極側における反応に関連する水素ガスの化学量論的な量によって必要なものに比べて、蛇行経路を介してバイポーラ板の陰極側に、より多くの酸化ガスを供給することにより実現される。
【0089】
第5の形態において、本発明は、燃料電池の作動中に燃料電池の陰極側を冷却するための本発明の冷却板の使用方法に関する。本発明のこの形態において、水、アルコール又はオイル等の液体の形で、又は大気空気、酸素、窒素、メタン、リフォーメート(改質油)ガス又は他のガス、好適には不活性ガス等の、ガス又はガス混合物の形で、冷却流体を使用することが好ましい。
【0090】
本発明のバイポーラ板又は冷却板の製造方法
本発明のバイポーラ板及び冷却板は、任意の適切な材料により形成されても良い。バイポーラ板及び冷却板の材料が、導電性であって、耐腐食性であることは、基本的な特徴である。適切な材料は、黒鉛と、結合剤(バインダ)を具備する黒鉛粉体と、金属と、耐腐食性被覆を具備する金属と、合金と、耐腐食性被覆を具備する合金と、導電性エラストマ(高分子重合体)の混合物と、導電性セラミック材料とを含むグループから選択されても良い。
【0091】
第6の形態において、本発明は、本発明によるバイポーラ板及び/又は冷却板の製造方法に関する。
【0092】
本発明によるバイポーラ板及び冷却板は、従来技術として既知な技術により製造され提供するも良い。本発明によるバイポーラ板又は冷却板を用意するための方法による好適な実施の形態において、バイポーラ板/冷却板は、下記の手順で製作される。
i) バイポーラ板/冷却板の所望の設計に少なくとも対応する、寸法を有する材料を提供する手順と;
ii) 例えば、CNCフライス盤において、過剰な材料を平削りで除去することにより、所望の設計の細部を形成する手順と;
iii) 耐腐食性被覆で板を選択可能に被覆する手順と;である。
【0093】
本発明によるバイポーラ板又は冷却板を用意するための方法による別の好適な実施の形態において、バイポーラ板又は冷却板は、下記の手順で製作される。
i) 成形及び/又は鋳造に適した材料を提供する手順と;
ii) 材料をバイポーラ板又は冷却板の所望の設計に鋳造する手順と;
iii) 耐腐食性被覆で板を選択可能に被覆する手順と;である。
【0094】
第7の形態において、本発明は、本発明の1つ以上のバイポーラ板を具備する、燃料電池スタック及び/又は本発明の1つ以上の冷却板を具備する、燃料電池スタックに関する。当業者は、その様な燃料電池スタックを組み立てる方法及び作動する方法を知っている。
【0095】
本発明のこの形態による好適な実施の形態において、燃料電池スタックは、PEM燃料電池スタック又はSOFC燃料電池スタックである。
【0096】
本発明の燃料電池スタックを使用することによる電力及び/又は熱の製造方法
第8の形態において、本発明は、本発明の燃料電池スタックを使用することによる電力及び/又は熱の製造方法に関する。
【0097】
本発明の燃料電池スタックの使用方法
第9の形態において、本発明は、バックアップ動力システム(装置)としての、本発明の燃料電池スタックを使用方法に関する。
【0098】
第10の形態において、本発明は、連続的な動力発生システムとしての、本発明の燃料電池スタックを使用方法に関する。
【0099】
例1
本例は、バイパス流路を具備する蛇行経路を有する板と、バイパス流路を具備しない同様な板との間の相違を、前記蛇行部を通る酸化剤の流れの供給エネルギ消費に関して表示している。板は、各ケースにおいて、3つの脚部L1,L2,L3と、2つの壁部分W1,W2とを具備する、蛇行経路を有していた。L1,L2,L3の流路寸法は、1.5mm幅で、1.8mm高さであった。バイパス流路を具備する蛇行経路に関して、第1の壁部分W1は、L1の下流半分部分に設置された10のバイパス流路を具備しており、第2の壁部分W2は、L2の上流第3部分に設置された3のバイパス流路を具備しており、第2の壁部分W2は更に、L2の下流第3部分に設置された5のバイパス流路を具備していた。
【0100】
酸化ガスは、2つの板各々に供給された。酸化ガスの速度は、20℃において計算された。電池の入力熱動力は、0.45Vの電池電圧を生じる0.7A/cm2までの範囲の負荷において、出口温度が180℃であるように制御された。流路がカバーする活動する面積は、約5cm2である。
【0101】
図5は、第1の脚部の入口部分の流体速度に対する、3つの脚部を具備する単一の蛇行流路における圧力損失のプロットを、バイパス流路を具備しない蛇行部とバイパス流路を具備する蛇行部とを比較して示している。
【0102】
バイパス流路を使用した圧力損失は、グラフに示すように、係数4で減少するので、理論的動力消費も同様である。実際のシステムに関して、これは、バイパス流路を有するパラシティック動力損失は、フルロード(最大負荷運転)で燃料電池スタックの2%未満まで減少可能であることを意味する。
【0103】
図6は、本発明のバイポーラ板又は冷却板の別の実施の形態を示す。図解説明の理由で、冷却流体が流入する板の上流角部44から、反対方向に向かって、冷却流体が流出する板10の下流角部42に伸びる3つの異なる蛇行流路パターンが示される。一般的に、1つのパターンだけが、板の一方の側又は両側にわたって繰り返して使用される。第1の流路パターン14aと第2の流路パターン14bは、2つの90度曲がりを有する四角の曲がりT1を有するが、第3の曲がりは、半円T1’である。
【0104】
第2の流路パターン14bは、1つ以上の曲がり部分Tiから下流角部42へ伸長する、別の出口流路40を具備して、下流角部42において領域48を冷却する。冷却流体の特定の部分だけが、別の出口流路を介して流路パターン14bを流出し、それは、蛇行流路14bとバイパス流路16に対する別の出口流路の寸法に依存する。
【0105】
一般的にはガスである冷却流体の流れは、以下で説明される。低温の冷却流体は、上流角部44において、むしろ高速で、蛇行流路14bの第1の脚部L1に流入する。従って、冷却流体は、蛇行流路14bの第1の曲がりT1に到達する際に、まだ低温である。バイパス流路16は、冷却流体の流速を低下するので、冷却流体は、下流角部42におけるこの領域48において、良好な冷却効果で実質的な熱を奪うために、下流角部42付近で比較的長い時間留まる。
【0106】
シナリオ(筋書き)の制限のない例が、説明の理由で以下に述べられる。例えば、冷却流体は、温度20℃で上流角部44で蛇行流路14bに流入し、下流角部42で領域48の第1の曲がりT1で180℃に加熱される。上流角部44で領域46に再度戻ると、流れは、パス流路16により減速する第2の曲がりT2で減少するので、熱は上流角部44の領域46に放出されて、それにより冷却流体の温度は、160℃まで低下する。下流角部42の領域48に達すると、冷却流体の温度は再度180℃に上昇する。下流角部42の領域48を冷却するために、別の流路40が、下流領域48に設けられており、下流領域48を介して、比較的低温の冷却流体が熱を奪うために流れる。その様な流路40は、冷却流体の温度がまだ比較的低い、第1の曲がりT1に設けられる。その様な流路40は、その様な別の流路40が冷却流体の温度がまだ比較的低い第1の曲がりT1に設けられるならば、冷却のための特に効果的である。
【0107】
図7aは、燃料電池スタックの一部として第1の形態を示す。本形態は、陽極側28と陰極側26とを有する、バイポーラ板10を具備しており、陽極側28において、水素の流れは電解質膜30に陽子を提供するために設けられており、陰極側26において、酸素又は空気又は別の流体は、膜30から陽子を受け取るために流れる。例えば、酸素又は空気等の陰極流体は、バイポーラ板を冷却するための冷却媒体として使用される。バイポーラ板の陰極側は、上記のように、蛇行流路パターンを具備する。
【0108】
図7bは、別の実施の形態を示しており、この実施の形態において、陰極側26を有する陰極板34は、陽極側28と例えば、ガス又は液体等の冷却流体32とを有する、陽極板36に、2つの板の間の空間32において、組み合わされる。空間32において、陰極板34又は陽極板36は、冷却流体による効果的な冷却のために上記のように、蛇行流路パターンを具備する。
【0109】
図7cは、更に別のものを示しており、この形態において、陰極板34と陽極板36は、2つの冷却空間32が設けられるように冷却板38を挟んでおり、2つの冷却空間32とは、冷却板38と陰極板34との間の1つの冷却体積と、冷却板38と陽極板36との間の別の冷却体積とである。冷却板38は、両側に、上記のように、蛇行流路パターンを具備する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池用の冷却板(10)であって、前記冷却板は、冷却流体の流れを提供する冷却側を有しており、
前記冷却側は、冷却流体のための流路を有し、前記冷却流体のための流路は、1つ以上の溝(12)を具備しており、各前記溝(12)は、蛇行経路(14)の形状であり、
各前記蛇行経路は、N―1の連続する曲がり部分T1,T2,・・・TN-1によりお互いに接続する、Nの連続する脚部L1,L2,・・・LNを個別に具備しており、
各脚部L1,L2,・・・LN-1は、その連続する脚部L2,L3,・・・LNから、壁部分W1,W2,・・・WN-1により縦方向で分離させられており、
各曲がり部分により、冷却流体の流れ方向は変化させられており、
1つ以上の前記壁部分W1,W2,・・・WN-1は、冷却流体が1つの脚部Lxからその連続する脚部Lx+1(1<− x <− N―1)へ近道を介して流れ、それにより前記脚部Lxの一部と前記脚部Lx+1の一部を迂回することを可能にするための1つ以上のバイパス流路を個別に具備しており、
前記バイパス流路には、妨害がなく、Nは、3以上の奇数整数である、ことを特徴とする冷却板。
【請求項2】
流れ方向の変化は、180度の曲がりであることを特徴とする請求項1に記載の冷却板。
【請求項3】
前記冷却側は、5から20の蛇行経路(14)、6から18の蛇行経路、又は8から16の蛇行経路、又は9から15の蛇行経路、又は10から14の蛇行経路、又は11,12又は13の蛇行経路を具備することを特徴とする請求項1又は2に記載の冷却板。
【請求項4】
1つ以上の壁部分W1,W2,・・・WN-1は各々、1から15のバイパス流路、又は2から14のバイパス流路、又は3から13のバイパス流路、又は4から12のバイパス流路、又は6から10のバイパス流路、又は7,8又は9のバイパス流路を個別に具備することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の冷却板。
【請求項5】
1つ以上のバイパス流路の壁部分Wxは、関連する脚部Lxの下流半分部分に設けられるので、脚部Lxの下流部分の一部及び脚部Lx+1の上流部分の一部を迂回しており、脚部Lxの上流半分部分とLx+1の下流半分部分との間にはバイパス流路が設けられないことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の冷却板。
【請求項6】
1つ以上の曲がり部は、180度の弓タイプの溝の形で流れの方向の実質的に180度の変更部を示しており、その様な溝は、半円形状を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の冷却板。
【請求項7】
1つ以上の曲がり部は、流れの方向において2つの実質的に90度の変更部20を示しており、各変更部は、実質的に直線の曲がり部脚部TLにより分離されて、流れ方向の180度の変化を共同で示すことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の冷却板。
【請求項8】
曲がり部脚部TLは、蛇行部の任意の脚部L1,L2,・・・LN-1の長さの20%以下の長さを有することを特徴とする請求項7に記載の冷却板。
【請求項9】
各蛇行経路は、3つの脚部L1,L2及びL3と;2つの壁部分W1,W2と;2つの曲がり部T1,T2とを具備することを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の冷却板。
【請求項10】
第1の壁部分W1は、L1の下流の半分部分に設置される、バイパス流路を具備し、第2の壁部分W2は、L2の上流の半分部分に設置される、バイパス流路を具備し、更に第2の壁部分W2は、L2の下流の半分部分に設置される、バイパス流路を具備することを特徴とする請求項9に記載の冷却板。
【請求項11】
第1の壁部分W1は、L1の下流の半分部分に設置される、10のバイパス流路を具備し、第2の壁部分W2は、L2の上流の半分部分に設置される、3つのバイパス流路を具備し、更に第2の壁部分W2は、L2の下流の半分部分に設置される、5つのバイパス流路を具備することを特徴とする請求項9に記載の冷却板。
【請求項12】
各蛇行経路は、5つの脚部L1,L2,L3,L4及びL5と;4つの壁部分W1,W2,W3,W4と;4つの曲がり部T1,T2,T3,T4とを具備することを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の冷却板。
【請求項13】
1つ以上の脚部L1,L2,・・・LN-1は、実質的に直線的脚部であることを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載の冷却板。
【請求項14】
1つ以上の脚部L1,L2,・・・LN-1は、曲線であることを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載の冷却板。
【請求項15】
前記蛇行経路は、1つの蛇行経路が別の蛇行経路に含まれない状態で、お互いに分離することを特徴とする請求項1から14のいずれか一項に記載の冷却板。
【請求項16】
最後の脚部LNの下流部に対応する位置にある1つ以上の蛇行経路の最後の脚部LNは、2つ以上の枝部(22)に分かれ、各枝部は、前記冷却板の角部まで伸張することを特徴とする請求項1から15のいずれか一項に記載の冷却板。
【請求項17】
1つ以上の蛇行経路の各脚部L1,L2,・・・LNの断面積は、実質的に等しいことを特徴とする請求項1から16のいずれか一項に記載の冷却板。
【請求項18】
1つ以上の蛇行経路の各脚部L1,L2,・・・LNの幅は、実質的に等しいことを特徴とする請求項1から17のいずれか一項に記載の冷却板。
【請求項19】
任意の脚部L1,L2,・・・LNの断面積に対する任意のバイパス流路16の断面積の比は、個別に、0.1から1、又は0.2から0.9、又は0.3から0.8、又は0.4から0.7、又は0.5から0.6であることを特徴とする請求項1から18のいずれか一項に記載の冷却板。
【請求項20】
1つ以上の異なるグループのバイパス流路を具備しており、各グループ内の個別のバイパス流路間の間隔は、脚部L1,L2,・・・LNの幅の1から8倍、又は2から7倍、又は3から6倍、又は4又は5倍であることが好ましいことを特徴とする請求項1から19のいずれか一項に記載の冷却板。
【請求項21】
前記冷却板は、PEM燃料電池用又はSOFC燃料電池用であることを特徴とする請求項1から20のいずれか一項に記載の冷却板。
【請求項22】
前記冷却板は、黒鉛と、結合剤を具備する黒鉛粉体と、金属と、耐腐食性被覆を具備する金属と、合金と、耐腐食性被覆を具備する合金と、導電性エラストマの混合物と、導電性セラミック材料とを含むグループから選択された、材料により形成されることを特徴とする請求項1から21のいずれか一項に記載の冷却板。
【請求項23】
前記冷却板は、水素燃料のための陽極側と、酸化ガスのための流路を有する陰極側とを有する、バイポーラ板であり、前記陰極側は、前記冷却側であり、冷却流体は酸化ガスであることを特徴とする請求項1から22のいずれか一項に記載の冷却板。
【請求項24】
燃料電池の運転中に、燃料電池の前記陰極側に酸化ガスの供給及び冷却を組み合わせるためであることを特徴とする請求項23に記載のバイポーラ板の使用方法。
【請求項25】
燃料電池の運転中に、燃料電池の前記陰極側を冷却するためであることを特徴とする請求項1から22のいずれか一項に記載の冷却板の使用方法。
【請求項26】
前記冷却流体は、水、アルコール又はオイル等の液体の形で、又は大気空気、酸素、窒素、メタン、リフォーメートガス又は他のガス、好適には不活性ガス等の、ガス又はガス混合物であることを特徴とする請求項24に記載の使用方法。
【請求項27】
バイポーラ板又は冷却板の製造方法であって、
i) バイポーラ板/冷却板の所望の設計に少なくとも対応する、寸法を有する材料を提供する手順と;
ii) 例えば、CNCフライス盤において、過剰な材料を平削りで除去することにより、所望の設計の細部を形成する手順と;
iii) 耐腐食性被覆で板を選択可能に被覆する手順と;
を具備することを特徴とする請求項23に記載のバイポーラ板又は請求項1から22のいずれか一項に記載の冷却板の製造方法。
【請求項28】
バイポーラ板又は冷却板の製造方法であって、
i) 成形及び/又は鋳造に適した材料を提供する手順と;
ii) 材料をバイポーラ板又は冷却板の所望の設計に鋳造する手順と;
iii) 耐腐食性被覆で板を選択可能に被覆する手順と;
を具備することを特徴とする請求項23に記載のバイポーラ板又は請求項1から22のいずれか一項に記載の冷却板の製造方法。
【請求項29】
請求項23に記載の1つ以上のバイポーラ板及び/又は請求項1から22のいずれか一項に記載の1つ以上の冷却板を具備することを特徴とする燃料電池スタック。
【請求項30】
前記燃料電池スタックは、PEM燃料電池スタック又はSOFC燃料電池スタックであることを特徴とする請求項29に記載の燃料電池スタック。
【請求項31】
請求項29又は30に記載の燃料電池スタックを使用することによる電力及び/又は熱の生成方法。
【請求項32】
バックアップシステムとしての、請求項29又は30に記載の燃料電池スタックの使用方法。
【請求項33】
連続的動力発生システムとしての、請求項29又は30に記載の燃料電池スタックの使用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7a】
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【図7b】
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【図7c】
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【公表番号】特表2010−533936(P2010−533936A)
【公表日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−516370(P2010−516370)
【出願日】平成20年7月18日(2008.7.18)
【国際出願番号】PCT/DK2008/000273
【国際公開番号】WO2009/010067
【国際公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(510015350)セレネルギー アクティーゼルスカブ (2)
【Fターム(参考)】