説明

燃料電池用電極触媒の製造方法

【課題】 触媒粒子の凝集を抑制して高い触媒活性を有する燃料電池用電極触媒の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明は、少なくとも一種の触媒粒子が保護剤で被覆されてなるコロイド粒子を含む溶液と、カーボン担体と、を混合する燃料電池用電極触媒の製造方法において、
前記カーボン担体表面に存在する表面官能基間の距離よりも小さくなるよう、前記保護剤により粒子径が制御された前記コロイド粒子を前記カーボン担体に吸着させる工程を含む燃料電池用電極触媒の製造方法により上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池用電極触媒の製造方法に関し、より詳細には触媒粒子の利用率と表面官能基の利用率とが共に向上された燃料電池用電極触媒の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水素−酸素燃料電池は、電解質の種類や電極の種類等により種々のタイプに分類され、代表的なものとしてはアルカリ型、リン酸型、溶融炭酸塩型、固体電解質型、固体高分子型がある。この中でも低温(通常100℃以下)で作動可能な固体高分子型燃料電池が注目を集め、近年自動車用低公害動力源としての開発・実用化が進んでいる。
【0003】
このような燃料電池に使用できる電極触媒としては、カーボン粒子などのカーボン担体に触媒粒子を担持した触媒担持カーボンがある。電極触媒における触媒粒子は、水素の酸化反応と酸素の還元反応を促進させる触媒として白金(Pt)やルテニウム(Ru)などの貴金属が用いられるが、より高活性の電極触媒が求められている。貴金属、なかでもPtと卑金属の合金あるいは金属間化合物が、Pt単独の触媒粒子よりも高い酸化還元性能を示すことが知られており、このようなPt系合金触媒を燃料電池用の電極触媒として用いることも提案されている(特許文献1)。
【0004】
電極触媒の触媒活性は、触媒粒子の担持量が同一であれば、導電性担体上に担持される触媒粒子の露出表面積に依存する。従って、従来では、少ない触媒粒子担持量で高い触媒活性を有する電極触媒とするために、触媒粒子を微粒子化させて導電性担体上に高分散担持させる手段が用いられている。
【0005】
電極触媒の製造方法には、含浸法、蒸発乾固法、コロイド吸着法などの方法が存在する。
【0006】
含浸法、蒸発乾固法によると、製造工程で触媒粒子を形成させるために、導電性担体上に担持された触媒粒子は凝集し、触媒粒子の粒子径が大きくなることから、触媒粒子の比表面積が低下し、得られる電極触媒の触媒活性が低下する恐れがある。
【0007】
これに対して、コロイド吸着法によれば、コロイド調製時に、予め触媒粒子の粒子径を小さく制御しておくことができるため、電極触媒の製造において、粒子径が小さく均一な触媒粒子を導電性担体上に担持することができ、触媒粒子の表面積を大きくすることができる。コロイドを吸着させる方法としては、一般的には、塩化白金酸水溶液に還元剤および保護剤などを加えることにより、1〜100nm程度のコロイド状の白金粒子とし、その後、前記溶液とカーボン粒子とを混合および分散させることにより前記白金粒子をカーボン粒子に吸着させる方法が用いられている(特許文献2)。
【0008】
また、前記保護剤は、コロイド状の白金粒子が分散、懸濁された溶液中で、触媒粒子の表面に化学的または物理的に結合、吸着する化合物であって、白金粒子同士の凝集を抑制して安定化させる機能を有する。
【特許文献1】特開昭62−163746号公報
【特許文献2】特開平09−167622号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
導電性担体として好ましく用いられるカーボン担体201表面には、図2において凹状にくぼんだ部分として模式的に示すように、カルボキシル基、カルボニル基などの表面官能基202が所定の間隔を有して存在する。なお、図2において、説明の都合上、表面官能基202を凹状にくぼんだ部分で表しているが、実際のカーボン担体表面において表面官能基が図示される形態で存在するわけではない。
【0010】
従来のコロイド吸着法では、図3に模式図を示すように、触媒粒子303が保護剤304により被覆されてなるコロイド粒子が、表面官能基302を有するカーボン担体301上に無作為に吸着される。コロイド粒子は表面官能基302と強固に吸着することができるため、表面官能基302と吸着したコロイド粒子305は移動が抑制されて凝集し難い。しかしながら、先に吸着したコロイド粒子305に妨げられるなどして表面官能基302と吸着できないコロイド粒子306は、カーボン担体301と強固に吸着することができずにカーボン担体301表面に表面官能基302を介さずに物理的に吸着するなどして焼成や電極反応時に加わる熱的エネルギーなどにより移動して凝集を生じ易い。
【0011】
そのため、従来のコロイド吸着法によっても、カーボン担体上に吸着させた触媒粒子が凝集するなどして、触媒粒子の比表面積が低下し、高い触媒活性を有する電極触媒が得られない恐れがあった。また、隣接する表面官能基に先に吸着したコロイド粒子に阻害され、未吸着の表面官能基にコロイド粒子が吸着することができないという状態も生じ、十分に表面官能基が利用されていない恐れもあった。
【0012】
そこで、本発明が目的とするところは、カーボン担体の表面官能基を有効に利用することにより、触媒粒子の凝集を抑制して高い触媒活性を有する燃料電池用電極触媒の製造方法を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述したとおり、カーボン担体が有する表面官能基と触媒粒子は、強固に吸着することができる。従って、カーボン担体表面に触媒粒子をより小さな粒子径で高分散担持させ、かつ、高い分散性を維持するためには、カーボン担体の表面官能基に触媒粒子を選択的に担持させることが有効である。
【0014】
本発明者はかような点に着目し鋭意検討した結果、少なくとも一種の触媒粒子が保護剤で被覆されてなるコロイド粒子を含む溶液と、カーボン担体と、を混合する燃料電池用電極触媒の製造方法において、前記カーボン担体表面に存在する表面官能基間の距離よりも小さくなるよう、前記保護剤により粒子径が制御された前記コロイド粒子を前記カーボン担体に吸着させる工程を含む燃料電池用電極触媒の製造方法により上記課題を解決できることを見出した。
【発明の効果】
【0015】
本発明の方法では、前記コロイド粒子の粒子径を、前記カーボン担体表面に存在する官能基間の距離よりも小さくすることにより、先に吸着したコロイド粒子に妨げられることなく、コロイド粒子をカーボン担体表面に存在する表面官能基に吸着させることができる。前記表面官能基とコロイド粒子とは強固に吸着できるため、焼成や電極反応時に加わる熱的エネルギーによる触媒粒子のシンタリングを抑制でき、コロイド粒子が吸着された当初の高い分散性を長期に亘り維持することができる。従って、本発明によれば、触媒粒子の凝集を抑制して高い触媒活性を有する燃料電池用電極触媒を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の第一は、少なくとも一種の触媒粒子が保護剤で被覆されてなるコロイド粒子を含む溶液と、カーボン担体と、を混合する燃料電池用電極触媒の製造方法において、前記カーボン担体表面に存在する表面官能基間の距離よりも小さくなるよう、前記保護剤により粒子径が制御された前記コロイド粒子を前記カーボン担体に吸着させる工程を含む燃料電池用電極触媒(単に「電極触媒」とも記載する)の製造方法である。
【0017】
前記保護剤とは、触媒粒子が分散、懸濁された溶液中で、触媒粒子の表面に化学的または物理的に結合、吸着する化合物であって、触媒粒子同士の凝集を抑制して安定化させるものである。これにより、小さい粒子径を有する触媒粒子であっても溶液中で安定に分散させてカーボン担体上に高分散担持させることができるのである。
【0018】
本発明では、前記保護剤によりコロイド粒子の粒子径を、前記カーボン担体表面に存在する官能基間の距離よりも小さくなるように調製する。カーボン担体表面に存在する表面官能基は、カーボン種によって分散性などが異なるため、表面官能基間の距離も異なる。従って、用いたカーボン担体を構成するカーボン種ごとにコロイド粒子の粒子径を上述の通りに決定することで、触媒粒子が吸着されるカーボン担体上の表面官能基の利用率を向上させることができる。すなわち、図1に模式的に示すように、触媒粒子103が保護剤104で被覆されてなるコロイド粒子105をカーボン担体101が有する表面官能基102に、より多く吸着させることが可能となる。
【0019】
カーボン担体が有する表面官能基と触媒粒子とは強固に吸着できるため、吸着させた触媒粒子が凝集して粒子径が増大するのを抑制することができる。従って、粒子径の小さい触媒粒子をカーボン担体上に高分散担持させることができるとともに、焼成や電極反応時に加わる熱的エネルギーなどによる触媒粒子の凝集を防止することが可能となる。ゆえに、本発明の方法によれば、簡便な方法により、高い触媒活性を長期に亘って維持することができる電極触媒を提供することが可能となる。
【0020】
以下、本発明の方法を、順を追ってより詳細に説明する。
【0021】
まず、少なくとも一種の触媒粒子が保護剤で被覆されてなるコロイド粒子を含む溶液の調製方法としては、公知技術を適宜用いればよいが、例えば、触媒粒子の元素を含有する化合物(以下、単に「触媒化合物」ともいう)を含む溶液に、保護剤を添加した後に還元剤を添加する方法などが挙げられる。これにより、触媒化合物を還元して微粒子状の触媒粒子が形成されるとともに、前記触媒粒子の表面を保護剤が被覆してコロイド粒子を形成させることができる。
【0022】
前記触媒粒子としては、水素の酸化反応および/または酸素の還元反応に対して触媒作用を有するものであれば特に限定されないが、高い触媒活性が得られることから、少なくとも貴金属を含むのが好ましい。前記貴金属としては、白金、パラジウム、ロジウム、オスミウム、ルテニウム及びイリジウムからなる群より選ばれる少なくとも一種が好ましく挙げられ、なかでも白金がより好ましく挙げられる。
【0023】
また、前記触媒粒子は、貴金属単独で用いてもよいが、前記触媒粒子の熱や一酸化炭素などに対する安定性や触媒活性等を高めるために、貴金属の他に、遷移金属などが含まれていてもよい。前記遷移金属としては、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛からなる群より選ばれた少なくとも一種が好ましく挙げられる。
【0024】
前記触媒化合物としては、触媒粒子の元素を含み、還元されて触媒粒子を形成できるものであればよく、触媒粒子の元素を含む硝酸塩、硫酸塩、アンモニウム塩、アミン、炭酸塩、重炭酸塩、ハロゲン塩、亜硝酸塩、蓚酸などの無機塩類、ギ酸塩などのカルボン酸塩および水酸化物、アルコキサイド、酸化物などが例示でき、これらを溶解する溶媒の種類やpHなどによって適宜選択することができる。これらの中でも、工業的に使用するには硝酸塩、炭酸塩、酸化物、水酸化物などが好ましい。
【0025】
触媒化合物として、一例を挙げると、触媒粒子として白金を用いる場合には、塩化白金酸、塩化アンミン白金、ジニトロジアンミン白金;イリジウムを用いる場合には、塩化イリジウムなど;パラジウムを用いる場合には、塩化パラジウム;ルテニウムを用いる場合には、酢酸ルテニウム、ヘキサアンミンルテニウム硝酸塩、ペンタアンミンアクアルテニウム硝酸塩など;ロジウムを用いる場合には、硝酸ロジウム、酢酸ロジウム、ヘキサアンミンアクアロジウム硝酸塩などが挙げられる。
【0026】
また、前記触媒粒子を貴金属と遷移金属との二種以上を用いる場合には、所望の前記触媒化合物を2種以上用いて、コロイド粒子を調製すればよい。このとき、コロイド粒子内に2種以上の触媒粒子が含まれていてもよく、また、異なる触媒粒子を含む2種以上のコロイド粒子を複数調製してもよいし、後工程で焼成することにより、白金とその他の金属とを合金化しても良い。
【0027】
前記触媒化合物を含む溶液における溶媒としては、通常は水であるが、水と水に可溶なアセトン、エタノール、メタノール、プロパノール、エチレングリコールなどの有機溶媒とを混合したものであってもよい。
【0028】
前記溶液における触媒化合物の濃度としては特に限定されず、所望の電極触媒が得られるように適宜決定すればよいが、溶媒に対して0.1〜10質量%、好ましくは0.5〜5質量%程度とすればよい。前記濃度が0.1質量%未満であると触媒粒子の含有率が低いため所望の触媒粒子の担持量を得る際に効率が悪くなる恐れがあり、10質量%を超えると触媒粒子が均一に分散し難く、高分散坦持が困難となる恐れがある。
【0029】
前記触媒化合物を含む溶液に添加する保護剤としては、従来一般的には、クエン酸、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリエーテルイミド(PEI)、トリエチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム塩やテトラエチルアンモニウム塩などのような4級アンモニウム塩などが用いられる。なかでも、本発明においては、前記保護剤としては、4級アンモニウム塩を用いることが好ましい。4級アンモニウム塩は、PVPなどの高分子と比較すると分子量が小さいため、4級アンモニウム塩を用いればコロイド粒子の粒子径をより小さくすることが可能となる。これにより、コロイド粒子の粒子径を、カーボン担体表面に存在する官能基間の距離よりも小さく調製するのが容易となり、適用可能なカーボン担体種の選択範囲を広げることが可能となる。
【0030】
4級アンモニウム塩は、具体的には、一般式:RNX(式中、Rは直鎖状または分枝状のアルキル基を示し、Xは陰イオンまたは水酸化イオンを示す。)で示される。前記4級アンモニウム塩は、触媒活性低下要因となる硫黄、塩素を含有していないことが好ましい。
【0031】
なかでも、コロイド粒子の粒子径を所定の大きさに制御する観点からは、炭素数1〜4のアルキル基を含む4級アンモニウム塩が好ましく挙げられ、具体的には、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、テトラ−n−プロピルアンモニウム塩、テトライソプロピルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、ベンジルトリメチルアンモニウム塩、ベンジルトリメチル44アンモニウム塩などが挙げられる。また、陰イオン成分にも硫黄や塩素を含有していないことが好ましいことから、陰イオン成分が水酸化物イオン、酢酸イオン、炭酸イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオンである化合物の少なくとも1種をからなるものを用いるのが好ましい。
【0032】
前記触媒化合物の還元剤としては、特に制限されないが、水素、ホウ素化水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、L−アスコルビン酸、酢酸などの有機酸またはその塩、水素化ホウ素ナトリウム、蟻酸、アセトアルデヒド、ホルムアルデヒドなどのアルデヒド、ヒドラジン類、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類、エチレン、一酸化炭素等が挙げられる。ヒドラジン、アルコール類等の水溶液として調製し得るものは、濃度0.1〜40質量%の水溶液として用いてもよい。ホウ素化水素ナトリウムなどの粉末状の物質は、そのまま供給することができる。水素などの常温でガス状の物質は、バブリングで供給することもできる。
【0033】
前記触媒化合物を含む溶液に前記還元剤を添加した後は、還流反応装置などを用いて20〜100℃に加熱することにより、前記触媒化合物が還元されて微粒子状の触媒粒子が得られるとともに、これを保護剤が被覆してコロイド粒子を得ることができる。
【0034】
また、触媒化合物を含む溶液に保護剤および還元剤を添加する順序は特に限定されず、上述した通り保護剤を添加した後に還元剤を添加する順序の他、還元剤を添加した後に保護剤を添加する順序、または、保護剤および還元剤を同時に添加する順序、などのいずれであってもよい。
【0035】
本発明の方法では、触媒粒子が保護剤により被覆されてなるコロイド粒子は、保護剤により所定の粒子径に制御されている。なお、前記コロイド粒子において、触媒粒子の表面全体を保護剤で被覆されているのが望ましい。しかしながら、触媒粒子表面の一部が保護剤に被覆されずに露出しているものであっても、前記コロイド粒子の概念に含まれるものとする。
【0036】
コロイド粒子の粒子径は、具体的には、カーボン担体上に存在する表面官能基間の距離よりも小さくする。前記表面官能基としては、炭化水素基、カルボキシル基、フェノール性ヒドロキシル基、カルボニル基、キノン基などが挙げられる。なかでも、カルボキシル基、フェノール性ヒドロキシル基、カルボニル基などの酸性官能基である含酸素官能基は、結合や吸着のエネルギー的な活性が高く、選択的にコロイド粒子と吸着することが可能であり、触媒粒子と強固に吸着することができる。従って、コロイド粒子の粒子径は、カーボン担体上に存在する酸性官能基間の距離よりも小さくするのがより好ましい。これにより、前記コロイド粒子をカーボン担体表面に存在する表面官能基により確実に吸着させることが可能となる。
【0037】
また、コロイド粒子の粒子径が小さすぎると、カーボン担体上に存在する表面官能基間などに吸着されるコロイド粒子量が増える恐れがある。かようなコロイド粒子は、カーボン担体表面に物理的に吸着するのみであるため凝集し易い。従って、コロイド粒子の粒子径は、表面官能基間距離の1/4以上であることが好ましい。このような粒子径を維持することで、表面官能基間へのコロイド粒子の吸着を防止することができる。
【0038】
なお、コロイド粒子の粒子径は、保護剤の種類や重合度、添加量などにより、コロイド粒子における保護剤が触媒粒子を被覆する厚さを適宜調整することで制御できる。
【0039】
本発明の方法において、上述の通りにして粒子径を制御したコロイド粒子を含む溶液を調製した後、前記溶液と前記カーボン担体とを混合させ、前記コロイド粒子をカーボン担体上に吸着させる。
【0040】
コロイド粒子を含む溶液は、上述した通りに調製したもの、あるいはそれを加熱濃縮させたものを直接用いてもよい。この他にも、上述の通りに調製したコロイド溶液を一度、蒸発乾固させて、得られたコロイド粒子を、再度、水および/またはアセトン、エタノール、メタノール、プロパノール、エチレングリコールなどの有機溶媒に分散させて、コロイド粒子を含む溶液を調製してもよい。これにより、残留する還元剤などの過剰な分散媒を除去できるという利点がある。
【0041】
前記カーボン担体は、材質がカーボンからなるものであり、電子伝導性に優れるものであれば特に制限されないが、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック;活性炭;ピッチ、コークス、ポリアクリロニトリル、フェノール樹脂、フラン樹脂などの有機化合物から得られるカーボン;および、これらを黒鉛化処理してなる黒鉛化カーボンなどがからなるものが挙げられる。また、カーボンナノホーンやカーボンナノチューブ、カーボンファイバー等と称されるものも使用することができる。
【0042】
また、前記カーボン担体は、市販品を用いることができ、キャボット社製バルカンXC−72、バルカンP、ブラックパールズ880、ブラックパールズ1100、ブラックパールズ1300、ブラックパールズ2000、リーガル400、ライオン社製ケッチェンブラックEC、ケッチェンブラックEC600JD、三菱化学社製#3150、#3250などのオイルファーネスブラック;電気化学工業社製デンカブラックなどのアセチレンブラック等が挙げられる。
【0043】
燃料電池用触媒として用いる前記カーボン担体は、優れた耐食性を有することが必要とされることから、黒鉛化カーボンからなるのが好ましい。黒鉛化カーボンは、カーボンブラック等が熱処理されてなるものなど、従来一般的に用いられているものであれば特に限定されない。前記熱処理は、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましい。また、熱処理温度、熱処理時間は、用いるカーボン種によってことなるため、得られるカーボン担体が所望の耐食性などを有するように適宜決定すればよいが、2,000〜3,000℃、好ましくは2600〜3000℃で熱処理を行えばよい。
【0044】
前記カーボン担体として黒鉛化カーボンを用いた場合など、カーボン担体の比表面積が小さいため表面官能基量が低く、所望する触媒粒子の担持量が得られない恐れがある。かような場合には、予め賦活処理されてなるカーボン担体を用いるのが好ましい。これによりカーボン担体の比表面積を増大させて表面官能基量を増加させることができる。
【0045】
前記賦活処理としては、賦活剤として塩化亜鉛やリン酸等を用いる酸賦活処理、賦活剤として水酸化カリウムや水酸化ナトリウム等を用いるアルカリ賦活処理、賦活剤として二酸化炭素や空気等を用いるガス賦活処理や、賦活剤として水蒸気を用いる水蒸気賦活処理等がある。例えば、水蒸気賦活処理として、具体的には、80℃程度以上の飽和水蒸気を含んだ窒素ガス雰囲気中で800〜1000℃程度に加熱することにより賦活処理を行うことができる。
【0046】
前記カーボン担体の比表面積は、好ましくは20〜1600m/g、より好ましくは80〜1200m/gとするのがよい。前記比表面積が、20m/g未満であると前記カーボン担体への触媒粒子の分散性が低下して十分な発電性能が得られない恐れがあり、1600m/gを超えると触媒粒子の有効利用率が却って低下する恐れがある。なお、前記比表面積はBET法によって測定された値である。
【0047】
前記カーボン担体の大きさは、特に限定されないが、電極触媒を用いて作製する燃料電池における電極触媒層の厚み、空隙率などを適切な範囲で制御するという観点からは、平均粒子径が5〜200nm、好ましくは10〜100nm程度のものを用いるのがよい。
【0048】
コロイド粒子を含む溶液に添加するカーボン担体の添加量は、カーボン担体質量に対して、コロイド粒子に含まれる触媒粒子の質量が0.1〜1.2倍、好ましくは0.2〜0.5倍とするのがよい。これにより、得られる電極触媒における触媒粒子の担持量を適切な値にすることができる。
【0049】
前記カーボン担体にコロイド粒子を吸着させるには、特に制限されず公知の方法を適宜用いればよいが、コロイド粒子を含む溶液とカーボン担体とを混合および分散させた後、得られた混合液の温度およびpHを調整する方法などが好ましく挙げられる。この方法により、カーボン担体上にコロイド粒子を高分散吸着させることができる。
【0050】
前記方法において、分散手段は、ホモジナイザー、超音波分散装置等の適当な分散手段を用いればよく、特に制限されない。また、これらの分散手段は適宜組み合わせてもよい。
【0051】
また、pHおよび温度などの調整条件は使用する触媒粒子種、カーボン担体種、溶媒種によって変わるが、温度は20〜90℃、水酸化ナトリウム、アンモニア水などのpH調整剤を用いてpHを1〜10の範囲で適宜調整するのが好ましい。温度は、高すぎると急激に還元反応が進行するため、カーボン担体へ吸着する前に還元反応が進行し、触媒金属が凝集する恐れがある。また反応温度が低すぎると吸着や還元反応が促進されないため望ましくない。また、pHは、高すぎても低すぎても触媒粒子のカーボン担体への吸着が起こらないか又は溶液中の触媒粒子の分散性低下・凝集などが起こる恐れがある。
【0052】
また、前記コロイド粒子を含む溶液と前記カーボン担体とを混合するには、カーボンブラックを水および/またはアルコール、有機溶媒などに分散させた分散液と、コロイド粒子を含む溶液とを混合する手段などを用いてもよい。
【0053】
本発明において、上記の通りにしてカーボン担体上にコロイド粒子を吸着させた後は、前記コロイド粒子が吸着されたカーボン担体から保護剤を除去する工程を行うのが好ましい。保護剤を除去することにより触媒粒子の露出度を高めることができ、カーボン担体上に触媒粒子が担持された電極触媒が得られる。
【0054】
保護剤を除去する前記工程は、コロイド粒子が吸着されたカーボン担体を、熱処理する方法などを用いて行われる。これにより前記保護剤を熱分解させて、触媒粒子を露出させることができる。具体的には、上述の通りにしてカーボン担体表面にコロイド粒子を付着させた後、前記コロイド粒子が吸着されたカーボン担体を前記溶液から単離し、熱処理する方法である。
【0055】
前記熱処理は、不活性ガス雰囲気下において、温度150〜200℃で、10〜60分程度、行えば十分である。不活性ガスとしては、アルゴンや窒素、ヘリウムなどを使用することができる。これにより、カーボンの酸化が進行しないように制御することができる。
【0056】
本発明において、保護剤を除去する前記工程は、上述した熱処理による方法の他、還元処理により保護剤を除去する方法が好ましく用いられる。すなわち、上述の通りにしてカーボン担体表面にコロイド粒子を吸着させた後、前記コロイド粒子が吸着されたカーボン担体を含む溶液に、還元剤を添加する方法、がより好ましく用いられる。これにより、熱処理などによる熱的エネルギーを加えなくとも保護剤を除去することができ、熱的エネルギーによる触媒粒子の凝集を防止して、コロイド粒子が吸着された当初の高い分散性を維持したまま触媒粒子を露出させることが可能となる。
【0057】
保護剤を還元除去するための前記還元剤としては、水素、ホウ素化水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、L−アスコルビン酸、酢酸などの有機酸またはその塩、水素化ホウ素ナトリウム、蟻酸、アセトアルデヒド、ホルムアルデヒドなどのアルデヒド類、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類、エチレン、一酸化炭素、ヒドラジン等が挙げられる。ヒドラジン等の水溶液として調製し得るものは、濃度0.1〜40質量%の水溶液として用いてもよい。また、還元性ガスを用いて還元反応を進行させても良い。
【0058】
なかでも、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類、一酸化炭素や水素などの還元性ガスによる還元反応は比較的緩やかで、安定して進行させることができ、カーボン担体上の触媒粒子の凝集などを抑制することができる。
【0059】
また、ヒドラジン、水素化ホウ素ナトリウムなどの還元剤は強い還元力を有する。従って、これらの還元剤を用いた場合には、還元反応を早く進行させることができ、保護剤の除去工程に費やされる時間などを短縮することができる。
【0060】
また、強い還元力を有する前記還元剤を用いる場合には、コロイド粒子が吸着されたカーボン担体を含む溶液に分散剤などを添加するのが好ましく、これにより前記カーボン担体の分散性を向上させて、保護剤の除去をより均一に行うことができる。
【0061】
前記分散剤としては、トリエタノールアミン、ブチルアミン、アミンアセテートなどのアミン類、エチレングリコール、ジエチレングリコールなどのグリコール類、エタノール、メタノールなどのアルコール類及びシクロヘキサンなどの液状物質が挙げられる。
【0062】
また、前記分散剤は、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガスをバブリングで供給してもよい。
【0063】
バブリング条件としては吹き込み時間1〜6時間、ガス流量100〜200ml/minで十分である。
【0064】
分散剤の添加順序は、特に制限されず、強い還元力を有する前記還元剤を添加する前に分散剤を添加してもよく、還元剤と同時に分散剤を添加してもよい。また、分散剤としてガス状物質を用いる場合には、前記ガス状物質をバブリングで供給しながら保護剤の還元除去を行ってもよい。また、分散剤は、一種を単独で用いてもよく、2種以上を混合または複数回に分けて添加するなどして用いてもよい。
【0065】
上述の通りにして、コロイド粒子が吸着されたカーボン担体から保護剤を除去することにより、カーボン担体上に触媒粒子を露出させるとともに触媒粒子を担持させることができる。その後、触媒粒子が担持されたカーボン担体を前記溶液から単離し、該担体を乾燥する。乾燥方法は、例えば自然乾燥、蒸発乾固法、ロータリーエバポレータ、噴霧乾燥機、ドラムドライヤーによる乾燥などを用いることができる。乾燥する際の時間および温度は、使用する方法に応じて適宜選択すればよい。
【0066】
カーボン担体上に担持される触媒粒子の担持量は、電極触媒の全量に対して10〜80質量%、好ましくは20〜60質量%、より好ましくは30〜50質量%とするのがよい。前記担持量が、10質量%未満である場合、所望する触媒活性を得るために電極触媒量を増大させる必要が生じる。これにより燃料電池における電極触媒層が厚くなり、内部抵抗や反応物の拡散抵抗などが増大して電池性能の低下を招く恐れがある。また、80質量%を超えた場合には、カーボン担体上に担持する触媒粒子の重なりが多くなり、使用する触媒粒子量に対して得られる触媒活性が小さくなるため、高コストになる恐れなどがある。このような担持量は、プラズマ発光分光分析法(ICP)による元素の濃度測定により測定することができる。また、触媒粒子の担持量が所望する値となるように、コロイド粒子を担持させる工程を繰り返し行ってもよい。
【0067】
カーボン担体上に担持される触媒粒子の平均粒子径は、触媒活性に十分な表面積が確保でき、触媒粒子の単位質量当たりの触媒活性量が増大された電極触媒とするため、好ましくは2〜10nm、より好ましくは2〜5nmとするのがよい。このように粒子径が小さい微粒子状の触媒粒子であっても、本発明によればカーボン担体上に凝集を抑制して高分散担持させることができる。
【0068】
上記の通りにして得られた電極触媒は、そのまま燃料電池における電極触媒層などへ用いることができるが、さらに焼成を行ってもよい。焼成することにより、触媒粒子の結晶成長を促進させ、二種以上の触媒粒子であった場合には合金化することができ、電極触媒の耐久性の向上が図れるとともに、触媒粒子をカーボン担体上により強固に担持させることができる。
【0069】
前記焼成は、不活性ガス雰囲気下で、900〜1100℃で、30〜180分程度、行えば十分である。また、不活性ガス雰囲気下、900〜1100℃、より好ましくは920〜1000℃で焼成した後、さらに500〜700℃、より好ましくは550〜650℃に保持する工程を行うことが好ましい。これにより、触媒粒子の結晶化を進行させることができる。前記不活性ガス雰囲気としては、アルゴン、窒素、ヘリウムなどを使用することができる。
【0070】
本発明の方法により得られる電極触媒は、カーボン担体が有する表面官能基を有効に利用することにより、高い触媒活性を有する。また、少ない担持量であっても触媒粒子を微粒子として高分散させることができるため、前記触媒粒子の使用量を低減でき、製造コストの低減が図れる。従って、本発明の方法により得られる電極触媒を用いることにより、製造コストが低減された、高い発電性能を有する燃料電池を提供することが可能となる。
【0071】
前記燃料電池の種類としては、特に限定されず、固体高分子型燃料電池、アルカリ型燃料電池、リン酸型燃料電池、溶融炭酸塩型燃料電池、固体酸化物型燃料電池などが挙げられる。なかでも小型かつ高密度・高出力化が可能である固体高分子型燃料電池が好ましく挙げられる。
【0072】
固体高分子型燃料電池において、本発明の方法により得られた電極触媒は、アノード側電極触媒層および/またはカソード側電極触媒層における電極触媒として用いられるのが好ましく、電極反応において高い酸素還元活性が必要となるカソード側電極触媒層に少なくとも用いられるのがよい。
【実施例】
【0073】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。本発明は、下記実施例のみに限定されることはない。
【0074】
(実施例1)
1.コロイド溶液の調製
2Lの水にジニトロジアンミン白金3.12g及びテトラヒドロフラン600mL、エタノール800mLを加え、更に保護剤として15wt%の水酸化テトラメチルアンモニウム((CHNOH)水溶液88.36gを添加し、これを12時間加熱還流した。この溶液を蒸発乾固した後、アセトン2500mL/水500mLの混合溶媒に再溶解させ、溶液を蒸留してアセトンを除去し、さらに白金濃度1wt%となるまで濃縮し、白金粒子が水酸化テトラメチルアンモニウムにより被覆されてなるコロイド粒子を含む溶液を得た。
【0075】
2.電極触媒の作製
上記で調製したコロイド粒子溶液を純水で希釈することにより白金濃度0.4wt%とした溶液250gに、黒鉛化カーボンブラック1(東海カーボン社製、商品名TOKABLACK#3688 比表面積90m/g)1.0gを混合した後、超音波ホモジナイザーを用いて1時間超音波を照射することにより黒鉛化カーボンブラック1を分散させるとともに黒鉛化カーボンブラック1にコロイド粒子を吸着させた。次に、この混合液に還元剤としてエタノール50mlを加え、85℃で6時間、加熱攪拌をした後に室温まで放冷し、ろ過して得られた沈殿物を80℃で乾燥させ、電極触媒1(白金粒子;担持量50wt%、平均粒子径2.5nm)を得た。
【0076】
(比較例1)
1.コロイド溶液の調製
2Lの水にジニトロジアンミン白金3.12g及びテトラヒドロフラン600mL、エタノール800mLを加え、更に保護剤として15wt%のポリビニルピロリドン(PVP)水溶液88.36gを添加し、これを12時間加熱還流した。この溶液を蒸発乾固した後、アセトン2500mL/水500mLの混合溶媒に再溶解させ、溶液を蒸留してアセトンを除去し、さらに白金濃度1wt%となるまで濃縮し、白金粒子がポリビニルピロリドンにより被覆されてなるコロイド粒子を含む溶液を得た。
【0077】
2.電極触媒の作製
上記で調製したコロイド粒子溶液を純水で希釈することにより白金濃度0.4wt%とした溶液250gに、黒鉛化カーボンブラック1(東海カーボン社製、商品名TOKABLACK#3688 比表面積90m/g)1.0gを混合した後、超音波ホモジナイザーを用いて1時間超音波を照射することにより黒鉛化カーボンブラック1を分散させるとともに黒鉛化カーボンブラック1にコロイド粒子を吸着させた。次に、この混合液に還元剤としてエタノール50mlを加え、85℃で6時間、加熱攪拌をした後に室温まで放冷し、ろ過して得られた沈殿物を80℃で乾燥させ、比較電極触媒1(白金粒子;担持量50wt%)を得た。
【0078】
<評価>
上記で得られた電極触媒1および比較電極触媒1を透過型電子顕微鏡(TEM)にて観察した。電極触媒1と比較電極触媒1とを比較すると、電極触媒1の方が白金粒子の凝集部が少なく、カーボン担体上に高分散していることがわかる。また、電極触媒1では粒子がシンタリングを生じている部分も見られず、個々の触媒粒子が所定の間隔を維持したまま、担持されていることが分かる。これから、本願の電極触媒1では、黒鉛化カーボンブラック上の表面官能基に白金粒子が選択的に吸着して白金粒子の高い分散性が得られるのに対して、比較電極触媒1では黒鉛化カーボンブラック上の表面官能基に吸着できなかった白金粒子が、前記表面官能基と吸着した白金粒子に吸着して凝集していることが考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明によれば、触媒粒子が高分散担持された電極触媒を提供することが可能となり、高い発電性能を長期に亘り安定して示すことが所望される燃料電池として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明のコロイド吸着におけるカーボン担体表面にコロイド粒子が吸着する状態を示す模式図である。
【図2】カーボン担体表面における表面官能基の存在状態を示す概念図である。
【図3】従来のコロイド吸着におけるカーボン担体表面にコロイド粒子が吸着する状態を示す概念図である。
【符号の説明】
【0081】
101、201、301…カーボン担体、102、202、302…表面官能基、103、303…触媒粒子、104、304…保護剤、105、305、306…コロイド粒子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一種の触媒粒子が保護剤で被覆されてなるコロイド粒子を含む溶液と、カーボン担体と、を混合する燃料電池用電極触媒の製造方法において、
前記カーボン担体表面に存在する表面官能基間の距離よりも小さくなるよう、前記保護剤により粒子径が制御された前記コロイド粒子を前記カーボン担体に吸着させる工程を含む燃料電池用電極触媒の製造方法。
【請求項2】
前記保護剤が、4級アンモニウム塩である請求項1記載の燃料電池用電極触媒の製造方法。
【請求項3】
前記コロイド粒子が吸着されたカーボン担体から保護剤を除去する工程をさらに有する請求項1または2記載の燃料電池用電極触媒の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の方法により得られた燃料電池用電極触媒。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2006−175365(P2006−175365A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−371645(P2004−371645)
【出願日】平成16年12月22日(2004.12.22)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】