説明

燃料電池発電設備用水素不動態化運転停止システム

発明は燃料電池発電設備(10)用水素不動態化運転停止システムである。アノード触媒(14)に隣接して流れるように水素燃料を導くためのアノード流路(24)がアノード触媒(14)と流体連通し、燃料電池(12)のカソード触媒(16)に隣接して流れるように酸化剤を導くためのカソード流路(38)がカソード触媒(16)に流体連通している。水素燃料はアノード流路(24)とカソード流路(38)の間で移送される。燃料電池(12)の動作の間に水素を受け入れかつ貯蔵し、燃料電池(12)が運転停止されるときは常に水素を燃料電池(12)に放出するために水素貯蔵器(66)がアノード流路(24)と流体連通して取り付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は輸送車両、携帯型発電設備又は据置型発電設備での使用に適した燃料電池発電設備に関し、発明は特に繰り返される設備の運転停止と起動から生じる設備の燃料電池の性能劣化を最小にするシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池発電設備は周知であり、水素含有還元性流体燃料及び酸素含有酸化剤反応物の流れから電気エネルギーを生み出して発電設備及び輸送車両のような電気装置に電力を供給するために広く使用される。先行技術の燃料電池発電設備において、燃料電池に接続された電気回路が遮断され又は開かれ、例えば電池の運転停止時及び運転停止中に電池にかかる負荷が最早ないときに、アノード電極上に残留する水素燃料と共にカソード電極上の空気の存在がしばしば許容できないアノード電位及びカソード電位を生じ、電極触媒及び触媒担体材料の酸化と腐食、及び付随する電池性能劣化をもたらすことは周知である。
【0003】
燃料電池の運転停止時にカソード電極を不動の非酸化性状態に戻すために不動態化の試みが提案されてきた。例えば、アノード及びカソード電極を電池運転停止直後に不動態化してそのような電池性能劣化を最小化又は防止するために不活性ガスを使用してアノード流れ区域とカソード流れ区域の両方をパージする必要があると考えられていた。更に、不活性ガスパージの使用により、安全の問題である可燃性の水素・酸素混合物の存在の可能性が起動時に回避された。同一出願人の米国特許第5,013,617号及び米国特許第5,045,414号はアノード側パージガスとして100%の窒素を、また非常に少ない割合(例えば1%未満)の酸素と残りの窒素から成るカソード側パージ混合物を使用することを述べている。これら両特許はまたパージ工程の始動中に電池の両端に擬似電気負荷を接続してカソード電位を0.3〜0.7ボルトの許容限界範囲に急速に低下させる選択肢を論じている。しかしながら、そのような貯蔵された不活性ガスのコストと複雑さは、特に小型化と低コストが重要であり、システムが頻繁に運転停止及び起動される自動車用途においては望ましくない。
【0004】
触媒及び触媒担体材料の腐食を最小にする他の試みは、主要電気使用装置(以下「主要負荷」)を遮断することにより燃料電池発電設備を運転停止すること、空気又はプロセス酸化剤の流れを止めること、及び燃料電池ガスがセル間で平衡状態となり、運転停止中に少なくとも0.0001%の水素(体積で)と残りの燃料電池不活性ガスというガス組成を維持するようにシステムに流入する水素燃料流とシステムから流出するガス流を制御することを含む。この燃料電池運転停止方法はまた主要負荷の遮断とカソード流れ区域への空気供給の停止の後に残留酸化剤が完全に消費されるまで新鮮な燃料をアノード流れ区域に供給し続けることを含む。好ましくはこの酸化剤消費は電池に小さな補助負荷をかけることにより助長され、これはまた電極電位を迅速に降下させる。全ての酸化剤が消費されたら、水素燃料供給が停止される。そのあと、引き続く停止の間に、水素濃度がモニタされ、必要なら必要なだけ水素が追加され、所望の水素濃度レベルを維持する。
【0005】
電極触媒及び触媒担体材料の酸化と腐食の問題に対する既知の改良により、燃料電池の運転停止及び起動時と運転停止及び起動中に許容できないアノード及びカソード電極の電位をもたらすという、カソード電極上の酸素の存在と、アノードとカソード電極間の反応物流体の非平衡とによる有害な帰結が低減されてきた。しかしながら、既知の解決策を以ってさえ、起動中のアノード流れ区域内の酸素の存在は許容できない局部的な電極電位と触媒及び触媒担体材料の腐食とをもたらす逆電流に帰着することが分かってきた。更に、設備が運転停止され、無人の間に発電設備の燃料電池に水素を積極的に追加することは、システムが故障すれば潜在的に可燃性の水素濃度が発電設備から放出されるかも知れないという重大な安全性問題を引き起こす。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、設備の著しい性能劣化を排除し、設備の運転停止時、あるいは燃料電池発電設備の運転停止中又は再起動時の設備燃料電池内の酸化と腐食を最小にする、燃料電池発電設備用運転停止システムの必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明は燃料電池発電設備用の水素不動態化運転停止システムである。システムは水素含有還元性流体燃料及びプロセス酸化剤反応物の流れから電流を発生する少なくとも一つの燃料電池を含む。燃料電池は電解質の両側にアノード触媒及びカソード触媒と、燃料電池を通って流れかつアノード触媒に隣接して流れるように水素燃料を導く、アノード触媒と流体連通するアノード流路と、燃料電池を通って流れかつカソード触媒に隣接して流れるように酸化剤を導く、カソード触媒と流体連通するカソード流路と含む。水素入口弁が、水素燃料をアノード流路に選択的に流入させるために、水素含有還元性流体貯蔵源とアノード流路の間に取り付けられる。酸化剤入口弁が、酸化剤をカソード流路に選択的に流入させるために、酸素含有酸化剤貯蔵源とカソード流路の間に取り付けられる。
【0008】
システムは、水素燃料をアノード流路とカソード流路の間で選択的に移送するためにアノード流路とカソード流路の間に連通して取り付けられた水素移送手段を含む。水素移送手段はアノード流路とカソード流路の間を流体連通する水素移送弁の形態でも、水素をアノード流路から電解質を通ってカソード流路内へポンプ送りする電気化学ポンプの形態でも、水素をアノード流路からプロトン交換膜(proton exchange membrane)(「PEM」)電解質を通ってカソード流路内へ拡散させるPEM電解質の形態でもよい。更に、水素貯蔵器がアノード流路と流体連通して取り付けられる。水素貯蔵器は、水素入口弁が開いて水素燃料がアノード流路を通って流されるときは常に水素を受け入れ及び貯蔵し、水素貯蔵器は水素入口弁が閉じてアノード流れ区域内の水素濃度が燃料電池の動作中の水素濃度未満に低下されるときは常に水素をアノード流路に放出する。水素貯蔵器は水素化物等の水素吸蔵媒体でもよく、それらは例えばアノード流路内のマニホールドに付けられた被覆のようにアノード流路内に配置され、あるいはアノード触媒を支持しあるいはそれと流体連通する多孔質担体板内に配置される。水素貯蔵器はまた燃料電池の外側に取り付けられた水素容器でもよく、これも容器内に水素吸蔵媒体を有してもよい。
【0009】
システムの好ましい実施例の使用において、燃料電池が運転停止されるときは常に、酸化剤入口弁は閉じられて酸化剤がカソード流路に流れ込むのを禁止し、カソード流路内の酸素は消費され、次いで水素移送弁が開かれて燃料貯蔵源からの水素燃料と水素貯蔵器内に貯蔵された水素がカソード流路の中に移動できるようになる。カソード流路及びアノード流路が約100%の水素で実質的に満たされたら、水素入口弁が閉じられ、何れの水素排気弁及び酸素排気弁も閉じられる。運転停止期間の間、大気からのいくらかの酸素が燃料電池に入り、水素貯蔵器内に貯蔵された水素が貯蔵器からアノード流路及びカソード流路に移動し続けて酸素と反応し、両流路内の0.0001%水素を超える有限の濃度を維持する。
【0010】
システムのもう一つの好ましい実施例において、カソード再循環ブロワと酸化剤ブロワを含むカソード再循環ラインがカソード流路のカソード排出口とカソード流入口の間に流体連通して取り付けられてもよい。運転停止手順の間、酸化剤源隔離弁が閉じられた後にカソード再循環又は酸化剤ブロワが動作されて水素燃料をアノード流路から水素移送弁を通ってカソード流路の中及び全体に急速に循環させてもよい。
【0011】
更なる実施例において、システムは、燃料電池発電設備が運転停止されている間、アノード流路及びカソード流路内の水素燃料の濃度を決定するために利用される水素センサを含んでもよい。水素濃度が許容限界未満、例えば0.0001パーセント水素未満に低下したことをセンサが検知したら、燃料電池発電設備が運転停止している間、例えば設備の起動直前に、制御装置が水素入口弁を開いてアノード流路及びカソード流路に流入するように水素を能動的に導いてもよい。センサからの出力は起動手順を選択するために使用されてもよい。模範的な起動手順は、急速燃料パージを含み、その場合、水素燃料が1.0秒未満、好ましくは0.2秒未満、最も好ましくは0.05秒未満で燃料電池のアノード流れ区域を通過するように導かれて電極触媒及び触媒担体材料の酸化と腐食を最小にする。水素センサは発明の属する技術において知られた直接水素濃度センサでも、燃料電池の触媒と電気的に連通するセンサ回路でもよい。
【0012】
システムはまたアノード流路のアノード排出口とアノード流入口の間に流体連通して取り付けられるアノード再循環ライン及びアノード再循環ブロワを含んでもよい。アノード再循環ライン及びブロワはまた、アノード再循環ブロワにより水素燃料が急激にアノード流路を通過するように還元性流体燃料貯蔵源と流体連通してもよい。
【0013】
更なる実施例において、アノード流路はアノード排気口を含んでもよく、カソード流路はカソード排気口を含んでもよく、その場合、アノード排気口とカソード排気口は共に重力方向に関して燃料電池の下に来るように配置される。水素は酸素より軽いので、水素は上、即ち燃料電池内に残留する傾向にあり、一方、運転停止中に流路に入る大気中の酸素が下に流れ、アノード排気口及びカソードの排気口を通ってアノード流路及びカソード流路を出て、それにより燃料電池発電設備の運転停止中に0.0001パーセントを超える有限の水素濃度を保つのを助ける。
【0014】
従って、本発明の一般的な目的は先行技術の欠陥を克服する燃料電池発電設備用水素不動態化運転停止システムを提供することである。
【0015】
より具体的な目的は、設備の運転停止中に設備のアノード流路及びカソード流路を約100パーセントの水素で実質的に充満及び維持し、それにより燃料電池発電設備が運転停止されている間に燃料電池のカソード及びアノード触媒と触媒担体材料を不動態化する燃料電池発電設備用水素不動態化運転停止システムを提供することである。
【0016】
なおもう一つの目的は、設備の運転停止中に設備のアノード流路及びカソード流路内の水素濃度を検出し、設備の起動に先立って付加的な水素を流路に流入させて燃料電池のカソード及びアノード触媒と触媒担体材料を不動態化する燃料電池発電設備用水素不動態化運転停止システムを提供することである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図面に詳細に言及すれば、燃料電池発電設備用水素不動態化運転停止システムの第1の実施例が図1に示され、全体的に参照符号10で示される。システム10は、アノード触媒14(これは本願ではアノード電極とも呼ばれる)、カソード触媒16(これは本願ではカソード電極とも呼ばれる)、及びアノードとカソードの間に設けられた電解質18を有する燃料電池12のような、少なくとも一つの燃料電池を含む。電解質18は米国特許第6,024,848号に述べられるタイプのプロトン交換膜(PEM)の形態であってもよく、あるいは、電解質はリン酸電解質燃料電池等の酸水性電解質燃料電池に典型的に見られるようなセラミックマトリックス内に保持されてもよい。
【0018】
アノード触媒14はアノード基体層20に支持されてもよく、カソード電極16はカソード基体層22に支持されてもよい。システム10はまた燃料源54から燃料電池12を通ってかつアノード触媒14に隣接して通過するように水素含有還元性流体燃料を導くための、アノード触媒14と流体連通するアノード流路24を含む。アノード流路24は、発明の属する技術において知られた例えばマニホールド等の水素燃料を燃料電池12の中に導くためのアノード流入口26を含む。アノード流入口26は、アノード流路24の一部であるアノード流れ区域28と流体連通し、アノード流れ区域28は、アノード触媒14に隣接して通過するように水素燃料を導くためにアノード触媒14と流体連通しかつそれに隣接する、担体材料の隙間、通路、又は細孔として定義される。アノード流路24はまた水素燃料を燃料電池12の外に導くための、アノード流れ区域28と流体連通するアノード排出口30を含む。アノード排気弁32がアノード排出口30と流体連通して取り付けられ、アノード排気口34がアノード排気弁32に取り付けられる。発明の属する技術において知られるように、ガスが反応において消費され、あるいは凝縮されながら燃料電池12の運転停止中に部分的真空がアノード流路24内に形成されるのを回避するために大気がアノード流路24の中に移動できるように既知の一方向弁又は逆止弁の性質をもつアノード真空解放弁36がアノード排出口30、アノード再循環ライン75、又はアノード流路24に取り付けられてもよい。
【0019】
システム10はまた燃料電池12を通ってかつカソード触媒16に隣接して通過するように酸素含有酸化剤を導くためのカソード触媒16と流体連通するカソード流路38を含む。カソード流路38は発明の属する技術において知られた例えばマニホールド等の酸化剤を燃料電池12の中に導くための、カソード流入口40を含む。カソード流入口40はカソード流路24の一部であるカソード流れ区域42と流体連通し、カソード流れ区域42は、カソード触媒16に隣接して通過するように酸化剤を導くためにカソード触媒16と流体連通しかつそれに隣接する、担体材料の隙間、通路、又は細孔として定義される。カソード流路38はまた酸化剤を燃料電池12の外に導くための、カソード流れ区域42と流体連通するカソード排出口44を含む。カソード排気弁46がカソード排出口44と流体連通して取り付けられ、カソード排気口48がカソード排気弁44に取り付けられる。発明の属する技術において知られるように、ガスが反応において消費され、あるいは凝縮されながら燃料電池12の運転停止中に部分的真空がカソード流路38内に形成されるのを回避するために大気がカソード流路38の中に移動できるように既知の一方向弁又は逆止弁の性質をもつカソード真空解放弁50がカソード排出口44、又はカソード流路38に取り付けられてもよい。
【0020】
アノード排気口34とカソード排気口48は共に燃料電池12の下に設けられるが、この場合、「下に」は図1に示されるように矢印53により表される重力方向に関して関連付けられることが指摘される。アノード排気口34とカソード排気口48を燃料電池12の下のアノード流路24とカソード流路38からガスを排出するように設けることにより酸素より軽い水素ガスは酸素の上に上昇して燃料電池12内に残留する傾向にあり、一方、より重い酸素は、何れの水素も排気口34、48を通過しないうちに排気口34、48を重力方向53に流れ傾向にある。アノード排気口34とカソード排気口48はまた、真空が燃料電池12の内部に形成されるのを防止する真空解放弁の形態をしていてもよい。
【0021】
アノード流路24に流入するように水素燃料を選択的に導くための水素入口弁52がアノード流路24のアノード流入口26と水素含有還元性流体燃料貯蔵源54の間に流体連通して取り付けられる。水素燃料供給ライン55が水素燃料源54と水素入口弁52の間に取り付けられてもよい。カソード流路38に流入するように酸化剤を選択的に導くための酸化剤入口弁56が大気等の酸素含有酸化剤源58とカソード流入口40の間に流体連通して取り付けられる。酸化剤がカソード流路38の中までかつそこを通って移動する間に酸化剤を加圧するための酸化剤ブロワ又は圧縮機60が酸化剤源58と酸化剤入口弁56の間の酸化剤供給ライン62に取り付けられてもよい。酸化剤入口弁56はブロワ60の上流に配置されても、酸化剤ブロワ60の下流(図1に示されるように)に配置されてもよい。
【0022】
システムはまた、燃料電池12の運転停止中にアノード流路24とカソード流路38の間で水素燃料を選択的に移送するための、アノード流路24とカソード流路38の間を流体連通する水素移送手段を含む。水素移送手段は、アノード流路24とカソード流路38の間、例えばアノード流入口26とカソード流入口40の間に流体連通して取り付けられる水素移送弁64でもよい。「選択的に」させる又は導くという言い回しの使用は本願ではスイッチ又は水素移送弁64のような弁が開位置になるように選択されてアノード流路24とカソード流路38の間の水素燃料の流れを許すこと、あるいは弁64が閉位置になるように選択されてアノード及びカソード流路24、38の間の水素燃料又は如何なる流体の流れも禁止することを意味する。
【0023】
あるいは、水素移送手段は電気化学水素ポンプの形態でもよく、その場合、発明の属する技術において知られた方式で燃料電池に直流を流すことにより水素がアノード流路24からカソード流路38に電気化学的にポンプ送りされ、それにより水素がアノード触媒14において消費され、カソード触媒16において発生されてカソード流れ区域42における水素濃度を増加させる。このような水素移送電気化学ポンプは燃料電池12の運転停止中にカソード流路38内の酸素濃度を低下させ、低下された酸素濃度を達成するための更なる弁及び配管の必要条件を低減する。水素移送手段はまた水素移送用プロトン交換膜(「PEM」)電解質18の形態でもよく、その場合、水素は、カソード流れ区域42内の水素濃度がアノード流れ区域28内の水素濃度と水素濃度と実質的に平衡するまでPEM電解質18を横断して拡散する。このような水素移送手段は前に述べた水素移送弁64と水素移送電気化学ポンプより遅い速度で水素を移送するが、水素移送PEM電解質は最も複雑でない水素移送手段である。
【0024】
システム10はまたアノード流路24と流体連通して取り付けられる、水素燃料を貯蔵する水素貯蔵器手段を含む。水素貯蔵器手段は燃料電池12の外側に取り付けられた水素容器66の形態でもよく(図1に示されるように)、これは例えば容器66とアノード流路24のアノード流入口26の間に取り付けられた容器供給ライン68を通ってアノード流路24と流体連通している。
【0025】
あるいは水素貯蔵器手段は例えば被覆によりアノード流路24内に取り付けられた水素化物のような水素吸蔵媒体の形態でもよい。更に、水素吸蔵媒体は多孔質アノード基体層20の細孔の被覆として適用されてもよく、それにより、水素燃料がアノード流路24を通って流れながらその燃料が吸蔵媒体内に貯蔵される。また水素容器66がその容器66内に水素吸蔵媒体を含んでもよい。水素吸蔵媒体はまた、水素吸蔵媒体がアノード流路24を通過する水素燃料と流体連通するようにアノード流入口26又はアノード排出口30内に定められた流入又は排気マニホールドの被覆の形態でもよい。水素貯蔵器手段の水素吸蔵媒体はまた水素燃料に露出したアノード流れ区域28内の被覆であってもよい。このように水素燃料を貯蔵する水素貯蔵器手段は水素燃料がアノード流路24を通過する間にこの燃料を貯蔵することができ、この媒体は、水素燃料が水素燃料貯蔵源52からアノード流路24を最早通過していないときは常に貯蔵された水素をアノード流路24に受動的に放出できる。水素貯蔵器手段と水素移送手段は、システム10が実質的に純粋な水素のアノード流路24及びカソード流路38内濃度を達成できるように作られてもよく(ただし、「実質的に純粋な水素」は70パーセント水素より高い水素濃度である)、あるいはシステムが本質的に純粋な水素のアノード流路24及びカソード流路24内水素濃度を達成できるように作られてもよい(ただし、「本質的に純粋な水素」は90パーセント水素より高い水素濃度である)。
【0026】
燃料電池発電設備用水素不動態化運転停止システム10はまた図1に示されるように、カソード流路38のカソード排出口44とブロワ60の上流で酸化剤源隔離弁71の下流にある酸化剤供給ライン62の間に流体連通して取り付けられる第1のカソード再循環ライン70を含んでもよい。カソード再循環弁72が選択的にカソード排気流の一部がカソード排出口44から酸化剤供給ライン62まで通過して再びカソード流路38を通過するようにしてもよい。酸化剤源隔離弁71が閉じられるときは、カソード再循環ブロワ76又は酸化剤ブロワ60は、カソード流れ区域42、及び発明の属する技術において知られた関連する入口及び出口マニホールドと配管を含むカソード流路38からの酸素減少速度を加速するように運転停止工程中に連続的又は間欠的に動作してもよい。そのような再循環流がなければ、カソード流路38マニホールド内に含まれる酸素はカソード流れ区域42の中にゆっくりと拡散し、そこでそれはカソード触媒16上の水素と反応することになる。水素とのその反応は水素を消費することになり、それにより、燃料電池12を不動態に維持できる時間を減少する。水素を水素貯蔵器手段66から第1のカソード再循環ライン70とカソード流路38を通って再循環させることにより燃料電池12運転停止工程の終わりに燃料電池12の水素濃度を最大にする。それは延いては、更なる水素を燃料電池12に追加することなく燃料電池12が不動態に維持される期間を最大にする。
【0027】
第2のカソード再循環ライン74がカソード再循環弁72とカソード流入口40の間に流体連通して取り付けられてもよく、カソード再循環ブロワ76が第2のカソード再循環ライン74に取り付けられて第2のカソード再循環ラインを通る流れを加速してもよい。システム10はまたアノード排出口30とアノード流入口26の間に流体連通して取り付けられるアノード再循環ライン75であって、アノード再循環ライン75に取り付けられてアノード再循環ライン75を通る流れを加速するアノード再循環ブロワ77を有するアノード再循環ライン75を含んでもよい。
【0028】
システム10はまたアノード流路24とカソード流路38内の水素濃度を検知する水素センサ手段を含んでもよい。水素センサ手段は、燃料電池発電設備10が運転停止されるときにカソード流路38内の水素濃度を検出し、制御装置と通信するための、例えばカソード流れ区域42内に取り付けられる発明の属する技術において知られた直接水素センサ78または複数のセンサであってもよい。このような制御装置は、例えばコンピュータ、電気機械スイッチ、人間制御装置等の検出情報を受け、それに応答できる何れの制御手段(図示せず)であってもよい。
【0029】
あるいは、水素センサ手段は、例えば外部回路82を介して燃料電池12のカソード触媒14とアノード触媒16に電気的に連通して取り付けられるセンサ回路80であってもよい。センサ回路80は従来のDC安定化電力供給バッテリー型電源等の直流電源84と、標準の電圧計86等のセンサ回路内の電圧を測定する電圧測定装置手段と、センサ回路スイッチ88とを含む。センサ回路80は、アノード流れ区域28とカソード流れ区域42の両方におけるガス組成が純粋水素から空気まで変化されながら一定の電流での電圧を確立することにより較正される。センサ回路80はアノード触媒14とカソード触媒16の間の電圧差を測定してそれによりアノード流路24とカソード流路38内の水素濃度を決定するための所定検出期間、燃料電池12に所定の検出電流を選択的に供給してもよい。
【0030】
燃料電池発電設備10の通常動作の間、主要負荷90は燃料電池12により発生された電流を、外部回路82を介して受け、主要負荷スイッチ92が閉じられ(図1ではそれは開かれて示されている)、補助負荷94は電流を受けず、補助負荷スイッチ96が開かれ、それにより、燃料電池発電設備10は電動機等のような主要負荷90にのみ電気を供給し、センサ回路スイッチ88が開かれ、それにより、センサ回路84はアノード及びカソード触媒14、16に何も電流を導かない。酸化剤ブロワ60、及びアノード排気再循環ブロワ77がオンにされる。酸化剤入口弁56とカソード排気弁46が、水素入口弁52とアノード排気弁32と同様に開かれる。アノード真空解放弁36が閉じられて空気はアノード流路24に流入しない。
【0031】
従って、設備10の通常動作の間、酸化剤源58からの空気等のプロセス用酸化剤はカソード流路38を通ってカソード流れ区域42の中に連続的に供給され、カソード排気口48を通ってカソード流路38を出て行く。燃料源54からの水素含有還元性流体燃料はアノード流路24を通ってアノード流れ区域28に連続的に供給される。使用済み水素燃料を含むアノード排気流の一部はアノード排気弁32とアノード排気口34を通ってアノード流路24を出、一方、アノード再循環ライン75とアノード再循環ブロワ77は先行技術において周知の方式でアノード流路24を通って残りのアノード排気を再循環させる。アノード排気の一部の再循環はアノード流路24全体に比較的均一なガス組成を維持することを助け、向上された水素利用を可能にする。水素がアノード流れ区域を通過する際に、それは周知の方式でアノード触媒層14上で電気化学的に反応してプロトン(水素イオン)と電子を生じる。電子はアノード触媒14から外部回路82を介してカソード触媒16に流れて主要負荷90に電力供給する。
【0032】
動作している燃料電池発電設備10の運転停止は外部回路82の主要負荷スイッチ92を開き、即ち遮断して(図1に示されるように)主要負荷90を遮断する。水素入口弁52は開いたままであり、アノード排気再循環ブロワ77はオンのままであり、アノード排気の一部の再循環を続ける。しかしながら、アノード排気弁32は流入する燃料中の水素の割合によって開いたまま、あるいは閉じたままとなる。カソード流路38を通る新鮮な空気又は酸化剤の流れはカソードブロワ60を切ることにより切られる。
【0033】
運転停止の間、次いで補助負荷スイッチ96を閉じることにより補助負荷94が外部回路82に接続されてもよい。電流が補助負荷94を通って流れることにより、典型的な電気化学電池反応が生じて、カソード流路38内の酸素濃度が低下され、電池電圧が低下される。補助負荷94の適用は、燃料電池12内に残留する全ての酸素を電気化学的に反応させるのに燃料電池12内にまだ十分な水素がある間に開始される。好ましくは、それは少なくとも電池電圧が所定値、好ましくはセル当り0.2ボルト以下に低下されるまで接続されたままである。カソード触媒14とアノード触媒16間に接続されたダイオード98が電池電圧を検出し、電池電圧が所定の値を超える限り電流が補助負荷94を通過するようにする。そのようにして、燃料電池12電圧は所定の値に低下され、その後その値に限定される。電池電圧がセル当り0.2ボルトに降下するときは、カソード流れ区域42内の実質的に全ての酸素、及び電解質18を横断してアノード流れ区域28に拡散した全ての酸素は消費されることになる。次いで補助負荷94は補助負荷スイッチ96を開くことにより遮断されてもよいが、好ましくは接続されたままである。
【0034】
次いで水素移送弁64は開位置に選択されて水素燃料がアノード流路24からカソード流路38内へ通過するようにする。次いで酸化剤源隔離弁71が閉じられ、次いでカソード再循環弁72が開かれ、一方、カソード再循環ブロワ76又は酸化剤ブロワ60の電源が入れられてアノード流路24から水素移送弁64を通り、カソード流路38を通って水素を引く。水素センサ手段が、アノード流路24とカソード流路38内の水素濃度が約100パーセント(100%)水素であると判定したときは常にアノード排気弁32とカソード排気弁46は閉じられ、水素入口弁52、酸化剤入口弁56、及びカソード再循環弁72も閉じられ、一方、水素移送弁64は開いたままである。次いで水素貯蔵器手段内に貯蔵された水素は燃料電池設備10の運転停止中にアノード流路24とカソード流路38内の上昇した水素濃度を維持するように受動的に放出されることができる。運転停止工程中はアノード流路24とカソード流路38内の水素濃度を最大にすることが望まれる。運転停止工程の終わりに水素濃度を最大にすることにより燃料電池12がもっと水素を追加することなく不動態に維持されることになる。運転停止持の好ましい水素濃度は70パーセント(70%)水素より大きく、より好ましい水素濃度は、90パーセント(90%)より高い。運転停止期間の間、補助負荷スイッチ96を閉じることにより補助負荷94が外部回路82に接続される。これは個々の電極の電位を最小にし、あるいはカソード触媒16及びカソード基体22は燃料電池12の中に空気を漏入させるはずである。
【0035】
設備10の運転停止の間、空気からの酸素はシール、あるいはアノード真空解放弁36又はカソード真空解放弁50を通ってカソード流路24又はアノード流路38内に漏入する場合があり、それにより、アノード及びカソード触媒14、16の電位が必然的に水素基準電極に対して0.2ボルトより上に上昇し、燃料電池12内の酸化的腐食をもたらす。次いで還元性流体源54からの水素ガスは酸素を消費するために電極電位が0.2ボルトに達する前に受け入れられることができ、それにより如何なる酸化的腐食をも最小にする。水素は、アノード流入口弁52が開かれ、アノード排気弁32が閉じられたままアノード再循環ブロワ68に電源を入れることによりアノード流路24全体に循環されてもよい。あるいは、水素入口弁52が閉じられたまま、水素燃料貯蔵源54とアノード再循環ライン75の間に流体連結して取り付けられたアノード再循環供給ライン102に取り付けられたアノード再循環弁100が開かれて水素をアノード流路24に供給してもよい。そのように受け入れられた何れの水素もまた水素移送手段を通過してカソード流路38の中に送られることになる。カソード流路38全体にわたる水素の分散を促進するためにカソード再循環ブロワ76又は酸化剤ブロワ60もまた使用されてもよい。流路24、38に受け入れられた水素の量はアノード及びカソード流路24、38内の水素濃度に反比例してもよい。それは燃料電池を不動態に維持するのに必要な水素の量を最小にし、設備10の運転停止中に流路24、38に水素を付加することなく燃料電池12が不動態を維持できる時間を最大にする。
【0036】
センサ回路80はまた水素燃料のアノード流路24及びカソード流路38への受入を制御する水素受入制御手段(図示せず)と通信してもよい。水素受入制御手段は、センサ電圧限界付近又はそれを超える運転停止モニタ電圧をセンサ回路80が検知したときに流路24、38へ水素を受け入れるタスクを達成できる、発明の属する技術において知られた何れの制御装置でもよい。例示的制御装置手段には運転者又は制御システムにより流路24、38に水素を受け入れかつアノード排気再循環ブロワ77を始動することが可能な水素入口弁52、アノード再循環弁100、又は他の何らかの機構の発電設備運転者(図示せず)による簡単な手動開放も含まれる。他の制御装置手段は電圧測定装置を水素入口弁52や、アノード再循環弁100や、アノード再循環ブロワ68や、カソード再循環ブロワに組み入れた電子機械制御装置を含んでもよく、これらは検出された信号に応じて弁及びブロワ等を開くものとして発明の属する技術において知られている。
【0037】
例えば、システム10の消極的使用方法において、例えば燃料電池により電力供給される自動車が終夜運転停止された場合のように、運転停止期間後に燃料電池12を起動する直前にアノード及びカソード流路24、39内に適量の水素があるかどうかを判定するために運転者(図示せず)は直接センサ78等のセンサ手段を利用してもよい。アノード電極14とカソード電極16の電位を適切な低電位、例えば標準水素電極に対して0.2ボルト未満に維持するために適切な水素が存在することをセンサ78が示したら、通常の起動を利用でき、その場合、水素移送弁64は閉じられ、水素入口弁52、酸素入口弁56及び隔離弁71は開かれ、酸化剤ブロワ60が作動され、アノード再循環ブロワ66が作動され、アノード及びカソード排気弁32、46が開かれる。
【0038】
しかしながら、センサ手段が不適切な水素濃度を検知したら、アノード及びカソード触媒14、16とアノード及びカソード担体基体層20、22に接触する酸素を除去するために急速水素パージが利用されてもよい。急速水素燃料パージは1.0秒未満、好ましくは0.2秒未満、最も好ましくは0.05秒未満でアノード流入口26からアノード排出口30までアノード流れ区域28を通過するように水素燃料を導くことを含む。好ましくは、水素パージの間、補助負荷94が接続される。水素パージが完了し、補助負荷96が取り外された後にカソード流れ区域42への空気流が開始される。このような急速水素燃料パージは発明の属する技術において知られた高度に加圧された水素燃料源54、あるいはやはり発明の属する技術において知られた燃料ブロワ又は圧縮機等の利用により達成されてもよい。システム10のこの消極的用途において、運転者がいる間のみ水素が燃料電池12に受け入れられ、それにより、システムの故障が発電設備10からの可燃性濃度の水素の放出をもたらし得る、無人水素移送という安全問題を排除する。
【0039】
代わりの、本水素不動態化運転停止システム10の積極的用途において、カソード及びアノード電極14、16電位が許容レベルを超えて上昇したときを検知するためにセンサ手段が利用され、次いで水素受入制御装置がセンサ手段からの検出された情報に応じて水素入口弁52又はアノード再循環弁100を制御し、適量の水素をアノード流路24に受け入れ、電極電位を許容レベルに戻しまたはそれより下に下げてもよい。
【0040】
動作条件により長期の運転停止が予測されないシステム10の個々の実施例に対し、また許容できない水素の消耗を規制するために燃料電池12が適当にシールされる状況に対して、システム10は上記のような水素容器66等の水素貯蔵器手段からの貯蔵水素の受動的放出にのみ頼ってもよい。そのような実施例において、システム10は、燃料電池から主要負荷90を遮断し、例えば酸化剤ブロワを運転停止することにより酸化剤源からカソード流路38への酸化剤の受入を終了し、アノード流路24からカソード流路38へ水素を通過させるために水素移送手段を動作させ、アノード流路24とカソード流路38が所定の適量の水素で満たされるときは常に水素燃料のアノード流路24への流れを停止し、例えば水素容器66から、水素貯蔵器手段内に貯蔵された水素をアノード流路24、水素移送弁及びカソード流路38へ放出する、各ステップとによる燃料電池12の水素不動態化を含む。選択肢として、そのシステム実施例はまたカソード流路38内の酸素をより急速に消費するためにカソード再循環ブロワを動作させ、アノード及びカソード流路24、38が水素で満たされたらアノード及びカソード排気弁32、46を閉じることを含んでもよい。
【0041】
本燃料電池発電設備用水素不動態化運転停止システム10は、燃料電池12を運転停止している間に燃料電池12内の酸素を水素に置き換えることにより触媒及び触媒担体材料の酸化的腐食を低減する燃料電池触媒又は電極14、16の効率的不動態化と、システム10の条件により受動的に、あるいは能動的に燃料電池の起動前に水素を補充することに備えることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明により構築された燃料電池発電設備用水素不動態化運転停止システムの好ましい実施例の模式図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池発電設備(10)用水素不動態化運転停止システムにおいて、
a.水素含有還元性流体燃料及び酸素含有酸化剤反応物の流れから電流を発生する少なくとも一つの燃料電池(12)であって、電解質(18)の両側にアノード触媒(14)及びカソード触媒(16)と、前記燃料電池(12)を通ってかつ前記アノード触媒(14)に隣接して流れるように水素燃料を導く、前記アノード触媒(14)と流体連通するアノード流路(24)と、前記燃料電池(12)を通ってかつ前記カソード触媒(14)に隣接して流れるように酸化剤を導く、前記カソード触媒(16)と流体連通するカソード流路(38)と含む燃料電池(12)と、
b.水素燃料を前記アノード流路(24)に選択的に流入させる、水素含有還元性流体燃料源(54)と前記アノード流路(24)の間に取り付けられた水素入口弁(52)と、
c.酸化剤を前記カソード流路(38)に選択的に流入させる、酸素含有酸化剤源(58)と前記カソード流路(38)の間に取り付けられた酸化剤入口弁(56)と、
d.水素燃料を前記アノード流路(24)と前記カソード流路(38)の間で選択的に流れるようにする、前記アノード流路(24)と前記酸化剤流路(38)の間に連通して取り付けられた水素移送手段と、
e.前記水素入口弁(52)が開いて水素燃料が前記アノード流路(24)を通って流されるときは常に水素燃料を貯蔵し、前記水素入口弁(52)が閉じられるときは常に水素燃料を前記アノード流路(24)に放出する、前記アノード流路(24)と流体連通して取り付けられた水素貯蔵器手段と、
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記水素貯蔵器手段が、前記アノード流路(24)と流体連通して前記燃料電池(12)の外部に取り付けられた水素容器(66)を備えることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記水素容器(66)が前記容器(66)内に貯蔵された水素吸蔵媒体を含むことを特徴とする請求項2記載のシステム。
【請求項4】
前記水素貯蔵器手段が前記アノード流路(24)と流体連通して取り付けられた水素吸蔵媒体を備えることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項5】
前記水素貯蔵器手段が前記アノード流路(24)内に取り付けられた水素吸蔵媒体を備えることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項6】
前記水素貯蔵器手段が前記アノード触媒(14)を支持する多孔質アノード基体層(20)内に取り付けられた水素吸蔵媒体を備えることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項7】
前記水素移送手段が前記アノード流路(24)と前記カソード流路(38)の間に流体連通して取り付けられた水素移送弁(64)を備えることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項8】
前記水素移送手段が、水素が前記アノード触媒(14)において消費され、前記カソード触媒(16)において発生されるように前記燃料電池(12)と電気的に連通して取り付けられる直流源を含む水素移送用電気化学ポンプを備えることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項9】
前記水素移送手段が前記アノード触媒(14)と前記カソード触媒(16)の間に取り付けられた水素移送用プロトン交換膜電解質(18)を備え、前記カソード流路(38)内の水素濃度が前記アノード流路(24)内の水素濃度と実質的に平衡し得るように前記プロトン交換膜電解質(18)が前記プロトン交換膜電解質(18)を横断して水素を拡散させることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項10】
前記カソード流路(38)のカソード排出口(44)と流体連通して取り付けられたカソードバイパス弁(72)と、前記カソードバイパス弁(72)と前記カソード流路(24)のカソード流入口(40)の間に流体連通して取り付けられたカソードバイパスライン(74)と、前記カソード排出口(44)から前記カソード流路(24)の前記カソード流入口(40)を通るようにカソード排気流の流れを選択的に導きかつ加速する、前記カソードバイパスライン(74)に取り付けられたカソードバイパスブロワ(76)又は前記カソード流入口(40)に取り付けられた酸化剤ブロワ(60)の一方とを更に備えることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項11】
前記システムは、アノード排気流を前記燃料電池(12)から発電設備(10)の外に導く、前記アノード流路(24)と流体連通して取り付けられたアノード排気口(34)と、カソード排気流を前記燃料電池(12)から発電設備(10)の外に導く、前記カソード流路(38)と流体連通して取り付けられたカソード排気口(48)とを更に備えており、前記アノード排気口(34)及びカソード排気口(48)が重力方向(53)に関して前記燃料電池(12)の下に取り付けられることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項12】
真空が前記燃料電池(12)の内部に形成されるのを防止するための、前記アノード排気口(34)が真空解放弁であり、前記カソード排気口(48)が真空解放弁であることを特徴とする請求項11記載のシステム。
【請求項13】
前記アノード流路(24)のアノード排出口(30)と前記アノード流路(24)のアノード流入口(26)の間に流体連通して取り付けられたアノード再循環ライン(75)と、アノード排気流の流れを前記アノード排出口(30)とアノード流入口(26)の間に選択的に導きかつ加速する、前記アノード再循環ライン(75)に取り付けられたアノード再循環ブロワ(77)とを更に備えることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項14】
前記アノード流路(24)と前記カソード流路(38)内の水素濃度を検知する、前記燃料電池(12)と連通して取り付けられた水素センサ手段を更に備えることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項15】
前記水素センサ手段が、前記アノード触媒(14)及び前記カソード触媒(16)と電気的に連通して取り付けられたセンサ回路(80)を更に備え、前記センサ回路(80)は、電源(84)と、電圧測定装置(86)と、センサ回路スイッチ(88)とを含み、前記電源(84)が前記アノード触媒(14)とカソード触媒(16)の電圧差を測定する所定の検出期間に所定の検出用電流を前記燃料電池(12)に選択的に供給できるように前記センサ回路(80)が前記燃料電池(12)に取り付けられることを特徴とする請求項14記載のシステム。
【請求項16】
外部回路(82)に接続された補助負荷(94)であって、前記カソード流路(38)内の酸素濃度を低下させ、燃料電池電圧を低下させる補助負荷(96)を更に備えることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項17】
燃料電池発電設備(10)を運転停止する方法において、前記発電設備が水素含有還元性流体燃料及び酸素含有酸化剤反応物の流れから電流を発生する少なくとも一つの燃料電池(12)を備え、前記燃料電池(12)が電解質(18)の両側にアノード触媒(14)及びカソード触媒(16)と、前記燃料電池(12)を通ってかつ前記アノード触媒(14)に隣接して流れるように水素燃料を導く、前記アノード触媒(14)と流体連通するアノード流路(24)と、前記燃料電池(12)を通ってかつ前記カソード触媒(14)に隣接して流れるように酸化剤を導く、前記カソード触媒(16)と流体連通するカソード流路(38)とを含む方法であって、
a.前記燃料電池(12)から主要負荷(90)を遮断し、
b.酸化剤源(58)から前記カソード流路(24)への酸化剤の流れを終了させ、
c.補助負荷(94)を前記燃料電池(12)に接続し、
d.前記アノード流路(24)から前記カソード流路(38)に水素燃料を移送し、
e.前記アノード流路(24)とカソード流路(38)が70パーセント水素より高い水素濃度で満たされるときは常に水素燃料源(54)から前記アノード流路(24)への水素燃料の流れを終了させ、
f.前記アノード流路(24)と流体連通して取り付けられる、水素を貯蔵する水素貯蔵器手段内に貯蔵された水素を前記アノード流路(24)と前記カソード流路(38)に放出させる、
各ステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項18】
前記アノード流路(24)から前記カソード流路(38)に水素燃料を移送する前記ステップが、前記アノード流路(24)と前記カソード流路(38)の間に流体連通して取り付けられた水素移送弁(64)を通過するように水素燃料を導くことを含むことを特徴とする請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記アノード流路(24)から前記カソード流路(38)に水素燃料を移送する前記ステップが、前記燃料電池(12)に直流を流すことにより前記アノード流路(24)から前記カソード流路(38)に水素を電気化学的にポンプ送りすることを含むことを特徴とする請求項17記載の方法。
【請求項20】
前記アノード流路(24)から前記カソード流路(38)に水素燃料を移送する前記ステップが、水素がアノード流路(24)から前記カソード流路(38)にプロトン交換膜電解質(18)を通って拡散できるように前記アノード触媒(14)と前記カソード触媒(16)の間に前記プロトン交換膜電解質(18)を取り付けることを含むことを特徴とする請求項17記載の方法。
【請求項21】
水素燃料を移送するステップの後で、水素燃料の流れを終了するステップの前に、酸化剤ブロワ(60)又はカソードバイパスブロワ(76)の一方を用いて前記カソード流路(38)のカソード排出口(44)からカソードバイパスライン(74)を通って前記カソード流路(38)のカソード流入口(40)へのカソード排気流の流れを加速させる更なるステップを含むことを特徴とする請求項17記載の方法。
【請求項22】
前記水素貯蔵器から前記アノード流路(24)に水素を放出させる前記ステップの後に、前記アノード流路(24)又は前記カソード流路(38)内の水素濃度を検知する水素センサ手段を用いて前記アノード流路(24)又は前記カソード流路(38)内の水素の量を周期的に検出し、次いで前記センサ手段が前記アノード流路(24)又は前記カソード流路(38)内の水素濃度が所定の濃度未満であるときは常に70パーセント水素より高い濃度まで水素を前記アノード流路(24)に受け入れる更なるステップを含むことを特徴とする請求項17記載の方法。
【請求項23】
前記アノード流路(24)に水素を受け入れることが前記アノード流路(24)内の90パーセント水素より高い濃度まで水素を前記アノード流路(24)に受け入れることを更に含むことを特徴とする請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記水素貯蔵器から前記アノード流路(24)に水素を放出させる前記ステップの後に、前記アノード流路(24)又は前記カソード流路(38)内の水素濃度を検知する水素センサ手段を用いて前記アノード流路(24)又は前記カソード流路(38)内の水素の量を周期的に検出し、次いで前記アノード流路(24)又は前記カソード流路(38)内の検知された水素濃度に反比例する濃度で水素を前記アノード流路(24)に受け入れる更なるステップを含むことを特徴とする請求項17記載の方法。
【請求項25】
前記水素貯蔵器から前記アノード流路(24)に水素を放出させる前記ステップの後に、前記アノード流路(24)又は前記カソード流路(38)内の水素濃度を検知する水素センサ手段を用いて前記アノード流路(24)又は前記カソード流路(38)内の水素の量を検出し、次いで検知された水素濃度が0.0001パーセント未満であるときは常に、水素燃料が1.0秒未満でアノード流入口(26)とアノード排出口(30)の間の前記燃料電池(12)の前記アノード流れ区域(28)を通過するように導かれる急速な水素燃料パージを実行し、次いで前記燃料電池(12)を起動する更なるステップを含むことを特徴とする請求項17記載の方法。
【請求項26】
前記急速水素燃料パージステップが、0.2秒未満で前記アノード流入口(26)と前記アノード排出口(30)の間の前記燃料電池(12)の前記アノード流れ区域(28)を通過するように水素燃料を導くステップを更に含むことを特徴とする請求項25記載の方法。
【請求項27】
前記急速水素燃料パージステップが、0.05秒未満で前記アノード流入口(26)と前記アノード排出口(30)の間の前記燃料電池(12)の前記アノード流れ区域(28)を通過するように水素燃料を導くステップを更に含むことを特徴とする請求項25記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2007−534108(P2007−534108A)
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522637(P2006−522637)
【出願日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【国際出願番号】PCT/US2004/024700
【国際公開番号】WO2005/018017
【国際公開日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(500477447)ユーティーシー パワー コーポレイション (138)
【Fターム(参考)】