説明

燃料電池装置

【課題】長寿命化した燃料電池装置を提供する。
【解決手段】本発明の燃料電池装置1は、燃料ガスと酸素含有ガスとを用いて発電し、発電に使用されなかった燃料ガスと酸素含有ガスとを燃焼させて排ガスを生成する燃料電池モジュール3と、排ガスと冷媒とで熱交換を行なう熱交換器8と、熱交換器8の下流側に設けられ、排ガスに含まれる有害成分を吸着させる第1の燃焼触媒7aと、燃料電池モジュール3と熱交換器8との間に配置され、排ガスに含まれる有害成分を吸着させる第2の燃焼触媒7bと、熱交換器8と、第1の燃焼触媒7aとの間に配置され、排ガスを加熱するための加熱部12とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、次世代エネルギーとして、燃料ガス(水素含有ガス)と酸素含有ガス(例えば、空気)とを用いて電力を得ることができる燃料電池セルを複数個配列してなるセルスタックを、収納容器内に収納してなる燃料電池モジュールや、燃料電池モジュールを外装ケース内に収納してなる燃料電池装置が種々提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このような燃料電池装置においては、排ガスに含まれる有害成分が燃料電池装置の外部に流出することを防ぐために、排ガス処理手段が排ガス排出流路における熱交換器の上流に設けられている。また、燃料電池装置の起動時において、燃焼触媒を備える排ガス処理手段を温めるために加熱部を設けた例が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−059377号公報
【特許文献2】特開2010−192272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2のように燃焼触媒を活性化する所定の温度に温めるために、燃焼触媒に加熱部を設け、熱交換器の上流に燃焼触媒を配置した場合、燃料電池装置が通常作動する場合に、加熱部が常時高温に曝され続けるため、加熱部が劣化してしまうという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の燃料電池装置は、燃料ガスと酸素含有ガスとを用いて発電し、発電に使用されなかった燃料ガスを燃焼させて排ガスを生成する燃料電池モジュールと、燃料電池モジュールに接続されており、排ガスを流すための排ガス排出流路と、排ガス排出流路に設けられており、排ガスと冷媒とで熱交換を行なう熱交換器とを備える。また、熱交換器よりも下流側の排ガス排出流路に設けられ、排ガスに含まれる有害成分を吸着させる第1の燃焼触媒と、熱交換器と、第1の燃焼触媒との間の排ガス排出流路に設けられた加熱部とを有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、熱交換器の下流側に第1の燃焼触媒が設けられており、熱交換器と、第1の燃焼触媒との間に排ガスを加熱するための加熱部が配置されていることから、加熱部が常時高温に曝されることを低減し、加熱部の寿命を延ばすことができる。それにより、燃料電池装置を長寿命化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態である燃料電池装置を概略的に示す斜視図である。
【図2】図1に示す燃料電池装置の一部を透視して示す概略図である。
【図3】図1に示す燃料電池装置のブロック図である。
【図4】図1に示す燃料電池装置の起動時における制御を示すフローチャートである。
【図5】図1に示す燃料電池装置の一部を抜粋して示す概念図である。
【図6】本発明の他の実施形態である燃料電池装置の一部を抜粋して示す概念図である。
【図7】本発明のさらに他の実施形態である燃料電池装置の一部を抜粋して示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の第1の実施形態である燃料電池装置1について図1〜3を用いて説明する。図1においては、一部外装ケース2を構成する側壁を取り外して、外装ケース2の内部が見えるようにして示している。
【0010】
図1において、燃料電池装置1は、外装ケース2の内部における空間を上下に区切る仕切部材4の上部の空間が、複数の燃料電池セル(図示せず)を電気的に直列に接続してなるセルスタック(図示せず)を、収納容器(図示せず)内に収納してなる燃料電池モジュール3(以下、モジュール3と略す場合がある。)が配置された燃料電池モジュール収納室5(以下、モジュール収納室5と略す場合がある。)とされている。また、仕切部材4の下部の空間が、モジュール3を動作させるために必要な補機類(図示せず)を収納するための補機収納室6とされている。
【0011】
モジュール収納室5のモジュール3の下部には、図2に示すように、補機収納室6を介してモジュール3の外部に連通する配管からなる排ガス排出流路11が設けられている。この排ガス排出流路11のモジュール収納室5側に第2の燃焼触媒7bが設けられており、補機収納室6側に熱交換器8が設けられている。
【0012】
モジュール3は仕切部材4の上面に断熱部材9を介して配置されており、モジュール3内の熱が仕切部材4に輻射することを低減している。配管からなる排ガス排出管11は断熱部材9を貫通している。図2においては、モジュール3の底面にのみ断熱部材9を配置した例を示したが、断熱部材9をモジュール3を覆うように全面に配置してもよい。それにより、さらにモジュール3内の熱がモジュール収納室5に輻射されることを低減できる。
【0013】
また、第2の燃焼触媒7bは断熱部材9に囲まれるように設けることで、第2の燃焼触媒7bにて生じた燃焼熱をモジュール3を温めることに利用することができる。つまり、第2の燃焼触媒7bは、モジュール収納室5内に配置されることが好ましい。
【0014】
図3を用いて燃料電池装置1の構成および燃料電池装置1を構成する部材について詳細に説明する。
【0015】
燃料電池装置1は、モジュール3と、モジュール3に燃料ガスを供給するための原燃料供給源17と、モジュール3に酸素含有ガスを供給するための酸素含有ガス供給源20と、原燃料供給源17から供給された原燃料を燃料ガスに水蒸気改質するための改質部19と、モジュール3で生成した水蒸気を含む排ガスを燃料電池装置1の外部へ排出するための排ガス排出流路11と、排ガス排出流路11に設けられた排ガスと冷媒とを熱交換するための熱交換器8と、冷媒を供給するための冷媒供給源22と、排ガスから凝縮された凝縮水を回収するための凝縮水回収部10と、回収した凝縮水を貯水するための貯水タンク24と、凝縮水を処理するための凝縮水処理手段19とを有する。また、排ガスを処理するための排ガス処理手段としての第2の燃焼触媒7bおよび第1の燃焼触媒7aを有する。
【0016】
モジュール3は、原燃量供給源17から供給された原燃料を改質部19にて改質触媒(
図示せず)を用いて水蒸気改質し、燃料ガス(水素含有ガス)に生成している。そして、生成された燃料ガスと、酸素含有ガス供給源20から供給された酸素含有ガスとにより発電を行なっている。モジュール3は、燃料電池セル(図示せず)の複数個を電気的に直列に接続したセルスタック(図示せず)により発電しており、発電に使用されなかった燃料ガスは酸素含有ガス(空気)と反応して燃料電池セルの上方で燃焼され、水蒸気を含んだ排ガスが生成され、燃料電池装置1の外部へと排出される。上述した改質触媒としては、水蒸気改質をするにあたって一般的なものを用いることができ、例えば、PtやRbが担持したものを用いることができる。
【0017】
また、モジュール3の内部には、燃料電池セルの上方で発電に使用されなかった燃料ガスを燃焼するために、着火部27が設けられている。着火部27としては、電流を流すことで発熱するヒータ等を用いることができる。さらに、モジュール3の内部の温度を測定するためにモジュール温度測定部28を設けてもよい。モジュール温度測定部28としては、熱電対やサーミスタ等を例示することができる。
【0018】
このようにモジュール3の内部は燃焼により高温な状態となることから、燃料電池装置1としては、作動温度が350〜750℃と高温な固体酸化物形燃料電池装置を用いることが好ましい。固体酸化物形燃料電池装置において、固体酸化物形燃料電池モジュールを燃焼熱により温めることで、固体酸化物形燃料電池装置の起動を早くすることができるとともに、高効率な発電効率とすることができる。
【0019】
水蒸気を含んだ排ガスは、モジュール3から、排ガス排出流路11の熱交換器8を通じて燃料電池装置1の外部に排出される。排ガスは水素含有ガスを燃焼させることにより生じるため、排ガス中には水蒸気が含まれることとなる。熱交換器8は、排ガスに含まれる水蒸気を冷媒により熱交換することで排ガス中に含まれる水蒸気を凝縮させ凝縮水を生成している。熱交換器8により生成した凝縮水は、燃料電池装置内の凝縮水ラインL3に供給され、貯水タンク24に貯水される。
【0020】
凝縮水ラインL3は、熱交換器8により生成された凝縮水を改質部4に供給するための供給ラインであり、排ガスから凝縮水を分離するための凝縮水分離部材10と、貯水タンク24と、凝縮水からほこり等の不純物を取り除くための凝縮水処理部25と、凝縮水ポンプ26とを備えている。
【0021】
凝縮水ラインL3から供給された凝縮水は、改質部19にて燃料ガスを生成する際に使用される。つまり、改質部19にて、原燃料供給源17から供給される原燃料と、凝縮水ラインL3から供給される凝縮水とにより、水蒸気改質を行ない燃料ガスを生成する。水蒸気改質は吸熱反応であることから、モジュール3の燃焼熱を利用して水蒸気改質を行なうことが好ましい。図3では、モジュール3の外部に改質部19を設けた例を示しているが、モジュール3の内部に改質部19を配置してもよい。それにより、モジュール3内の燃焼熱を効率よく利用することができる。
【0022】
熱交換器8にて排ガスと熱交換する冷媒は冷媒ラインL5を循環しており、冷媒ラインL5は冷媒供給源22および冷媒ポンプ23を具備して構成されている。冷媒としては、例えば、水を利用することができ、その場合は冷媒供給源22として水タンクを利用することができる。また、冷媒として水以外に他の液体を用いてもよく、窒素ガス等の気体を用いることもできる。
【0023】
原燃料供給部は、原燃料供給ラインL1と、原燃料供給源17と、原燃料ポンプ18と、改質部19とを含み、凝縮水ラインL3から供給された凝縮水を改質部19に供給することにより燃料ガスを生成し、モジュール3に供給している。原燃料としては、都市ガス
(13Aガス)等の炭化水素系ガスや、石油等の液体燃料を用いることができる。原燃料供給源17は、使用する原燃料にあわせてガスボンベやタンク等を使用することができる。このように、燃料ガス供給部は改質部19を含むものであり、原燃料供給源17や凝縮水ラインL3をも含んでいる。
【0024】
酸素含有ガス供給部は、配管からなる酸素含有ガスラインL2と、酸素含有ガス供給源20と、酸素含有ガスポンプ21とを有している。酸素含有ガスとして、酸素や空気を用いることができ、酸素を用いる場合には酸素含有ガス供給源20としてガスボンベを用いることができ、空気を用いる場合には酸素含有ガス供給源20として外部と連通するような構成としてもよい。
【0025】
排ガスラインL4は、配管からなる排ガス排出流路11により構成されており、排ガス排出部は、排ガスラインL4と、排ガスの流れ方向の上流側から見て、第2の燃焼触媒7bと、第2の燃焼触媒7bを通過した排ガスの温度を測定する第2の温度測定部15bと、熱交換器8と、加熱部12と、第1の燃焼触媒7aの上流側の排ガスの温度を測定する第1の温度測定部15aと、第1の燃焼触媒7aと、排ガス排出口14を含む。
【0026】
燃料電池装置1は、モジュール収納室5内にモジュール3を収納し、補機収納室6内にモジュール3を動作させるための補機を収納している。
【0027】
排ガスは、原燃料として都市ガス等の原燃料ガスを用いた場合には、原燃料ガスと、水蒸気と、改質触媒により生成された燃料ガス(水素)と、モジュール3内の不完全燃焼により生じたCO(一酸化炭素)とを含む場合がある。
【0028】
燃料電池装置1の外部に排ガスを排出する場合に、安全面および環境面から排ガス中に有害成分として、可燃性である原燃料ガス、燃料ガスおよびCOが排出されることは好ましくなく、排ガスラインL4には排ガス処理手段として燃焼触媒7bを設ける必要がある。また、原燃料ガス、燃料ガスおよびCOが燃料電池装置の外部に排出されることを低減するために、原燃料ガス、燃料ガスおよびCOを検知する検知部を燃焼触媒7bよりも排ガスの流れ方向の下流に設けてもよい。それにより、起動時および通常作動時に燃料電池装置1から外部へ原燃料ガス、燃料ガスおよびCOが流出することを検知することができる。
【0029】
排ガス処理手段としては第2の燃焼触媒7b等の燃焼触媒を挙げることができ、燃焼触媒は、可燃性ガスを燃焼させたり、吸着させたりするための触媒であれば一般的に用いられているものでよく、例えば、PtやRbが担持した触媒を用いることができる。上述した触媒は、活性化温度が200〜300℃程度であるため、排ガスを処理するためにこの所定の温度まで加熱させることが好ましい。
【0030】
そのため、燃料電池装置1は、第1の燃焼触媒7aの温度を測定するための第1の温度測定部15aと、第2の燃焼触媒7bの温度を測定するための第2の温度測定部15bとを備えており、排ガスを処理する排ガス処理部として作用させることができる。第1の温度測定部15aおよび第2の温度測定部15bは、上述したモジュール温度測定部28と同様のものを用いることができる。第1の燃焼触媒7aと第2の燃焼触媒7bとは同様のものを用いてもよく、また、別の触媒が担持した異なる燃焼触媒としてもよい。第1の燃焼触媒7aおよび第2の燃焼触媒7bの温度を測定するとは、第1の温度測定部15aおよび第2の温度測定部15bにより検出された温度に従って、第1の燃焼触媒7aおよび第2の燃焼触媒7bを算出することを含む。
【0031】
加熱部12としては、電流を流すことで発熱するヒータ等を用いることができる。詳細
は後述するが、燃料電池装置1は、加熱部12が熱交換器8と第1の燃焼触媒7aとの間に配置されている。
【0032】
制御部16としては、例えば、CPU,ROM,RAM,入出力インターフェースを主体に構成されるマイクロコンピュータを用いることができる。そして、制御部16は、システムの各部を制御することにより、燃料電池装置の運転状態を制御している。
【0033】
図4を用いて燃料電池装置1の起動における制御をフローチャートを用いて説明する。
【0034】
制御部16に燃料電池装置1を起動する信号が伝わると燃料電池装置1が起動を開始する(S101)。まず、酸素含有ガスポンプ21が作動し(S102)、燃料電池装置1(より詳しくはモジュール3)の内部に酸素含有ガス供給源20から酸素含有ガスが供給される。酸素含有ガスポンプ21は、起動開始後1分程度は、燃料電池装置1内に酸素含有ガスを充填させるために、例えば60〜100L/分で作動させ、その後は30〜50L/分で作動させてもよく、常時30〜50L/分で作動させてもよい。
【0035】
次に、熱交換器8と第1の燃焼触媒7aとの間に配置された加熱部12を作動させる(S103)。それにより、燃料電池装置1から外部に排出される酸素含有ガスが温められ、モジュール3周辺の燃料電池装置1を構成する各部材が温められることとなる。そのため、燃料電池装置1の内部の温度が上昇する。なお、モジュール3の内部に設けられた着火部27も同時に起動させることにより、モジュール3の内部を流れる酸素含有ガスをさらに温めることができ、モジュール3の内部に配置された各部材を温めることができる。そのため、燃料電池装置1の内部の温度をさらに上昇させることができるまた、S102とS103のとは順番が前後してもかまわない。
【0036】
そして、第1の温度測定部15aにより測定された温度が所定の温度以上かどうかを検知する(S104)。所定の温度未満の場合、所定の温度以上になるまで検知を続ける。所定の温度以上と検知された場合、原燃料ポンプ18を作動させる(S105)。原燃料ポンプ18は、例えば、1.5〜3.0L/分で作動させればよい。この時に合わせて循環ポンプ22を作動させてもよい。
【0037】
所定の温度としては、第1の燃焼触媒7aが排ガス中に含まれる有害成分としての可燃性ガスを燃焼または吸着させるのに必要な温度であればよく、上述したRbやPtが胆持した燃焼触媒であれば200〜350℃とすることができる。第1の燃焼触媒7aおよび第2の燃焼触媒7bとしては、セラミックスや金属にRbやPt等の金属元素が担持したものを用いることができ、ハニカム構造を有することで、表面積を大きくすることができる。
【0038】
次に、第2の温度測定部15bにより測定された温度が所定の温度以上かどうかを検知する(S106)。所定の温度未満の場合、所定の温度以上になるまで検知を続ける。所定の温度以上と検知された場合、加熱部12の作動を停止させる(S107)。それにより、第2の燃焼触媒7bにて、有害成分としての可燃性ガスを燃焼または吸着させることができ、燃料電池装置1の外部へ有害成分としての可燃性ガスが流出することを抑制することができる。所定の温度は、第1の燃焼触媒7aと第2の燃焼触媒7bとを同様のものを用いる場合には、第1の温度測定部15aで規定した所定の温度と同等とすることができる。
【0039】
このように制御することにより、加熱部12の作動を停止させることにより、加熱部12にて電力が消費されないこととなり、燃料電池装置1の発電効率を向上させることができる。
【0040】
また、モジュール3の内部に設けられたモジュール温度測定部28の昇温速度が速くなった場合には、着火部27によりモジュール3の内部で着火されたと判断し、着火部27の作動を停止させてもよい。それにより、着火部27にて消費される電力が使用されないこととなり、燃料電池装置1の発電効率を向上させることができる。さらに着火部27にて着火されたと判定された後に循環ポンプ25を作動させ、改質部19に凝縮水を供給してもよい。
【0041】
これらの制御を行い燃料電池装置1は、通常作動運転に移ることとなる。
【0042】
他の制御方法としては、実験やシミュレーションにより供給する酸素含有ガスの量や原燃料の量により、第1の燃焼触媒7aおよび第2の燃焼触媒7bが所定の温度に達するまでの時間をあらかじめ求めておき、そのデータテーブルに従い所定の時間を算出し、所定の時間が経過した後に加熱部12の作動を止めるように制御してもよい。
【0043】
燃料電池装置1の通常作動について説明する。燃料電池装置1は通常作動時において、原燃料供給源17から供給された原燃料と、循環ラインL3から供給された凝縮水とにより改質部19にて燃料ガスを改質する。そして、燃料ガスと、酸素含有ガス供給源20から供給された酸素含有ガスとが燃料電池セルに供給されて燃料電池セルが発電する。燃料電池セルに供給される燃料ガスの中には、原燃料が気化した原燃料ガス(原燃料が気体だった場合には、温度の上昇した原燃料)が一部不純物として含まれる場合があるが、微量であるため燃料電池セルに悪影響を与えることはない。
【0044】
そして、発電に使用されなかった燃料ガス(水素含有ガス)と一部不純物として含まれた原燃料ガスは、モジュール3の内部で酸素含有ガスと反応して燃焼されることとなる。この燃焼により生じた排ガスは、燃焼されなかった残余の可燃性ガス等の有害成分を含むこととなる。燃料電池装置1の通常作動時において、第2の燃焼触媒7bは、第2の温度測定部15bにより測定された温度が第2の燃焼触媒7bの活性化温度である200〜350℃に制御されている。この制御としては、例えば、第2の温度測定部15bにより測定された温度が第2の燃焼触媒7bの活性化温度よりも高い場合には、酸素含有ガスの流量を増加させることや燃焼に使用される燃料ガスの量を減少するように制御することを例示できる。また、第2の温度測定部15bにより測定された温度が第2の燃焼触媒7bの活性化温度よりも低い場合には、酸素含有ガスの流量を減少させることや燃焼に使用される燃料ガスの量を増加するように制御することを例示できる。このように第2の燃焼触媒7bの温度を第2の燃焼触媒7bの活性化温度に制御することにより、燃料電池装置1の外部に有害成分としての可燃性ガスが流出することを低減できる。また、第1の燃焼触媒7aおよび第2の燃焼触媒7bを活性化温度付近に保持することで、第1の燃焼触媒7aおよび第2の燃焼触媒7bを長寿命化することができる。
【0045】
そして、排ガスラインL4を流れる排ガスは、熱交換器8により冷媒と熱交換され、温度の低下した排ガスが熱交換器8以降の排ガスラインL4を流れることとなる。燃料電池装置1においては、熱交換器8により冷やされた排ガスは30〜50℃に冷やされることとなる。
【0046】
従来のように、加熱部12を第2の燃焼触媒7bの近傍に配置すると、加熱部が高温下に曝されて寿命が短くなる場合があったが、燃料電池装置1のように、熱交換器8と第1の燃焼触媒7aとの間に配置することで、温度の低い起動時においても、加熱部12の熱により短時間で燃料電池装置1を温めることができるとともに、加熱部12が熱交換器8よりも、排ガスの流れ方向から見て下流側に配置されていることから、加熱部12が通常作動時に高温下に曝されることを低減して、加熱部12を長寿命化することができる。そ
れにより、燃料電池装置1を長寿命化することができる。なお、加熱部12は、熱交換器8と第1の燃焼触媒7aとの間の排ガス排出流路11内部に設けられているが、熱交換器8よりも下流にあればよい。また、第1の燃焼触媒7aを温めることができる位置に配置されていればよく、第1の燃焼触媒7aの上流の排ガス排出流路11内部または第1の燃
焼触媒7aを直接温める構成としてもよい。その場合においても、起動時の短い間のみ高温に曝されることとなるため、加熱部12を長寿命化することができる。
【0047】
図5を用いて燃料電池装置1における排ガスラインL4を詳細に説明する。
排ガスラインL4には、排ガスの流れ方向の上流側から見て、第2の燃焼触媒7bと、第2の燃焼触媒7bを通過した排ガスの温度を測定する第2の温度測定部15bと、熱交換器8と、加熱部12と、第1の温度測定部15aと、第1の燃焼触媒7a、排ガス排出口14とを含む。
【0048】
第1の温度測定部15aおよび第2の温度測定部15bは、それぞれ第1の燃焼触媒7aと第2の燃焼触媒7bとの温度を測定できればよい。また、第1の温度測定部15aと第2の温度測定部15bとをそれぞれ第1の燃焼触媒7a、第2の燃焼触媒7bに直接設けてもよい。
【0049】
熱交換器8としては、プレートフィン型の熱交換器の他、水流通路を形成する配管の外壁に複数のフィンを排ガス流通路と平行となるように設けた熱交換器等を用いることができる。
【0050】
熱交換器8の側面の下部には、冷媒流入口13aが設けられており、熱交換器8の側面の上部には、冷媒排出口13bが設けられている。そのため、熱交換器8の内部を冷媒は下方から上方へ向けて流れることとなる。
【0051】
冷媒の流入量は、冷媒ポンプ23により制御されており、熱交換器8から排出された排ガスの温度が30〜50℃となるように制御部16により制御されている。このためには、熱交換器8の出口近傍に温度を測定するための熱交換器温度測定部を設けて制御すればよい。燃料電池装置1は、第1の温度測定部15aを有するため、第1の温度測定部15aにより測定された温度に基づいて制御を行なってもよい。これにより、燃料電池装置1を構成する部材数を減らすことができる。
【0052】
冷媒の流入量の制御としては、例えば、第1の温度測定部15aで測定された温度(第1の燃焼触媒7aの温度)が30〜50℃よりも高い場合は、冷媒の流入量を増加させ、第1の温度測定部15aで測定された温度が30〜50℃よりも低い場合は、冷媒の流入量を減少させればよい。
【0053】
図5に示す例では、加熱部12は、熱交換器8の下部に設けられている凝縮水分離部材10の内部に配置されている。そのため、高温な排ガスに曝されることがないため、加熱部12を長寿命化することができる。また、凝縮水分離部材10の内部に配置されていることから、排ガスを直接温めることができ、燃料電池装置1の起動を早くすることができる。
【0054】
配管からなる排ガス排出流路11は、ゴムやプラスチックや金属管により作製することができる。ゴムやプラスチックにより作製することにより安価に作製することができる。
【0055】
排ガス排出口14は、燃料電池装置1を構成する外装ケース2に開口して設けられている。排ガス排出流路11の出口付近、言い換えると排ガス排出口14側に第1の温度測定部15aと第1の燃焼触媒7aが設けられている。燃料電池装置1の起動時においては、
第1の燃焼触媒7aを用いて有害成分としての可燃性ガスを燃焼または吸着させているため、排ガス排出口14付近に人や動物等がいると検知した場合、警報を鳴らすように作動する警報装置を設けてもよい。
【0056】
図6を用いて、本発明の第2の実施形態である燃料電池装置29について説明する。なお、第1の実施形態と同じ部材については同じ符号を付しており、以降においても同様である。
【0057】
燃料電池装置29は、加熱部12が凝縮水分離部材10の底面に接するように設けられており、その他の構成は燃料電池装置1と同様である。
【0058】
燃料電池装置29においては、加熱部12が凝縮水分離部材10の底面に接するように設けられている。つまり、凝縮水分離部材10の底面に加熱部12が張り付けられている。そのため、凝縮水分離部材10の内部を流れる排ガスに接することがない。それにより、排ガス中に含まれる有害成分としての残余の可燃性ガスや、水蒸気等に曝されることがないため、さらに加熱部12を長寿命化することができる。それにより、さらに燃料電池装置29を長寿命化することができる。
【0059】
また、凝縮水分離部材10は金属製の部材により作製することができ、起動時には、加熱部12の熱が凝縮水分離部材10を伝熱することにより、凝縮水分離部材10の内部を通過する排ガスを温めることができる。さらに、金属製の部材により凝縮水分離部材10が設けられることで、熱伝導率を向上させることができ、排ガスに効率的に熱を供給することができるため、燃料電池装置29の起動をさらに早くすることができる。
【0060】
なお、凝縮水分離部材10の底面に接するように設ける例を示したが、凝縮水分離部材10を覆うように全面にわたって、加熱部12を設けてもよい。それにより、さらに排ガスを温めることができる。
【0061】
図7を用いて、本発明の第3の実施形態である燃料電池装置30について説明する。
【0062】
燃料電池装置30は、加熱部12が排ガス排出流路11の外面を覆うように設けられており、その他の構成は燃料電池装置1と同様である。
【0063】
燃料電池装置30においては、加熱部12が排ガス排出流路11を構成する配管の外面を覆うように設けられていることから、排ガス排出流路11を流れる排ガスに接することがない。そのため、排ガス中に含まれる有害成分としての残余の可燃性ガスや、水蒸気等に曝されることがないため、さらに加熱部12を長寿命化することができる。それにより、さらに燃料電池装置20を長寿命化することができる。
【0064】
排ガス排出流路11の外面に加熱部12を設ける場合には、排ガス排出流路11を金属製の部材により作製することが好ましく、排ガス排出流路11を伝熱することにより、排ガスを温めることができる。
【0065】
また、加熱部12を第1の燃焼触媒7aが配置されている部位よりも、排ガスの流れ方向の上流側に設けることで、第1の燃焼触媒7aにて有害成分として残余の可燃性ガスを燃焼させることにより生じる燃焼熱に加熱部12が曝されない構成となる。それにより、加熱部12を高寿命化することができる。
【0066】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更、改良等
が可能である。
【0067】
例えば、循環ラインL3を設けず改質器に直接水を供給する構成でもよい。それにより、燃料電池装置の起動時においても十分な量の水を供給することができる。また、冷媒ラインL5に冷媒供給源22として給湯器を用いることにより、給湯器の水を温めるために熱交換させることにより、排ガスの温度を下げることができるとともに、給湯器に温められた湯を供給することができ、効率のよいコージェネレーションシステムとすることができる。
【0068】
また、第2の温度測定部15bを第2の燃焼触媒7bの排ガスの流れ方向から見て下流側に設け、第1の温度測定部15aを第1の燃焼触媒7aの排ガスの流れ方向から見て上流側に設けた例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、第2の温度測定部15bを第2の燃焼触媒7bの排ガスの流れ方向から見て上流側に設け、第1の温度測定部15aを第1の燃焼触媒7aの排ガスの流れ方向から見て下流側に設けてもよい。燃焼触媒7b、7bの下流側に第1の温度測定部15a、第2の温度測定部15bを設けることで、さらに第1の燃焼触媒7b、第2の燃焼触媒7bを通過した際の排ガスの温度を正確に測定することができる。
【0069】
なお、外装ケース2内の上部にモジュール収納室5を設け、下部に補機収納室6を設けた例を示したが、例えば、外装ケース2を仕切部材4により左右に区画するとともに、一方が燃料電池モジュール3を収納するモジュール収納室5、他方がモジュール3を作動させるための補機類を収納する補機収納室6とした燃料電池装置1とすることもできる。
【符号の説明】
【0070】
1、29、30:燃料電池装置
2:外装ケース
3:燃料電池モジュール
4:仕切部材
5:燃料電池モジュール収納室
6:補機収納室
7a:第1の燃焼触媒
7b:第2の燃焼触媒
8:熱交換器
9:断熱材
10:凝縮水分離部材
11:排ガス排出流路
12:加熱部
13a:冷媒流入口
13b:冷媒排出口
14:排ガス排出口
15a:第1の温度測定部
15b:第2の温度測定部
16:制御装置
17:原燃料供給源
20:酸素含有ガス供給源
22:冷媒供給源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガスと酸素含有ガスとを用いて発電し、発電に使用されなかった前記燃料ガスと前記酸素含有ガスとを燃焼させて排ガスを生成する燃料電池モジュールと、
該燃料電池モジュールに接続されており、前記排ガスを流すための排ガス排出流路と、
該排ガス排出流路に設けられており、前記排ガスと冷媒とで熱交換を行なう熱交換器と、該熱交換器よりも下流側の前記排ガス排出流路に設けられ、前記排ガスに含まれる有害成分を吸着させる第1の燃焼触媒と、
前記熱交換器と、前記第1の燃焼触媒との間の前記排ガス排出流路に設けられた加熱部と、
を有することを特徴とする燃料電池装置。
【請求項2】
前記燃料電池モジュールに前記酸素含有ガスを供給するための酸素含有ガス供給部と、前記燃料電池モジュールに前記燃料ガスを供給するための燃料ガス供給部と、
前記第1の燃焼触媒の温度を測定する温度測定部と、
起動時において、前記酸素含有ガス供給部と前記加熱部とを作動させ、前記熱交換器を通過した前記酸素含有ガスを前記加熱部にて加熱し、加熱された前記酸素含有ガスにて前記第1の燃焼触媒の温度を高めるとともに、前記温度測定部にて測定された前記第1の燃焼触媒の温度が前記有害成分を吸着可能な温度となったとき、前記燃料ガス供給部を作動させる制御部と、を有することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池装置。
【請求項3】
前記燃料電池モジュールと前記熱交換器との間の前記排ガス排出流路に設けられ、前記排ガスに含まれる前記有害成分を吸着させる第2の燃焼触媒をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の燃料電池装置。
【請求項4】
前記第2の燃焼触媒の温度を測定する第2の温度測定部をさらに有し、
前記制御部は、前記第2の温度測定部により測定された温度が前記有害成分を吸着可能な温度となったとき、前記加熱部の作動を停止させることを特徴とする請求項3に記載の燃料電池装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−142112(P2012−142112A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−292569(P2010−292569)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】