説明

燃料電池

【課題】ガスマニホールド全体に反応ガスを均等に到達させ、全ての燃料電池セルに反応ガスを均等に供給する燃料電池を提供する。
【解決手段】内部に反応ガス流路が形成された複数の燃料電池セル84と、内部に反応ガスを収容するガスマニホールド66と、ガスマニホールド66に配設されて燃料電池セル84を支持し且つ反応ガスを各々の反応ガス流路に供給する貫通孔69が形成された支持部材68と、ガスマニホールド66の内部に配設され、反応ガスを噴出する複数の噴出孔65が形成され、反応ガスを各々の噴出孔65からガスマニホールド66の内部に供給する内部ガス供給配管63を備え、内部ガス供給配管63は、その軸芯が支持部材68の燃料電池セル支持面に沿って配設され、一端63Aから反応ガスが供給され、他端63Bが封止され、各々の噴出孔65からの噴出量を略同一に調整する噴出量調整手段を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反応ガス(発電用ガス)により作動する複数の燃料電池セルを備えた燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、燃料電池の一種として、反応ガスにより作動する複数の燃料電池セルを備えた固体電解質形燃料電池(以下、「SOFC」ともいう)がある。このSOFCは、通常、発電室内に配設された複数の燃料電池セルを備え、当該発電室内に供給された酸化剤ガスとしての空気を当該燃料電池セルのカソード電極に供給し、当該燃料電池セルのアノード電極には、ガスマニホールドを介して供給される燃料ガスとしての水素ガスを供給することで、発電反応を起こすことができるように構成されている。
【0003】
このようなSOFCとして、例えば、ガス分散室と、当該ガス分散室の上部に配設され且つ内部に複数の燃料電池セルが立設された発電室と、前記ガス分散室と発電室との間に配設され且つ当該ガス分散室に供給された燃料ガスを前記発電室に流通させる通気孔が形成された下部隔壁を備え、前記ガス分散室に供給された燃料ガスを、当該通気孔を介して前記燃料電池セルのアノード電極に供給するものが紹介されている。(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ところで、SOFCでは、燃料電池セルに対する燃料枯れや発熱温度ムラが生じると、当該燃料電池セルの寿命の低下や、破損に繋がる虞があり、これらを解消するためには、複数の燃料電池セルの全てに対し反応ガス(発電用ガス)を均等に供給することが重要であることが知られている。また、SOFCでは、発電に要するエネルギーをできるだけ削減することが要求されており、この要求には、前記燃料電池セルに必要最低限の反応ガスを供給することで対処している。したがって、ガス分散室(ガスマニホールド)内の反応ガスの供給量を多くする、あるいは反応ガスの供給圧力を高くすることができず、ガス分散室(ガスマニホールド)内に反応ガスを均等に分散(拡散)させることがより困難となっている。
【0005】
そこで、複数の燃料電池セルがガスマニホールド上に配設されてなり、当該ガスマニホールドに燃料ガスを供給するガス供給管を当該ガスマニホールドの天板(上面)に接続した構成を備え、前記ガス供給管から供給された燃料ガスを前記ガスマニホールドの内側底面に吹き付けることで、当該燃料ガスを前記ガスマニホールド内に分散させ、前記燃料電池セルのアノード電極に前記燃料ガスをほぼ均等に供給するようにした燃料電池も紹介されている。(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−66387号公報
【特許文献2】特開2008−66127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された燃料電池は、前記ガス分散室に対し、当該ガス分散室の底面の略中央部に連通された1つの燃料ガス供給管から燃料ガスを供給する構造を有しているため、当該燃料ガスは、前記燃料ガス供給管からの到達位置が遠くなる程、流速が遅くなり、当該ガス分散室の隅々まで十分に燃料ガスを到達させることが困難である。したがって、前記ガス分散室と発電室との間に配設された下部隔壁に形成されている通気孔のうち、前記ガス分散室の中央部付近に形成されている通気孔から供給される燃料ガスによって発電を行う燃料電池セルに対しては、十分な燃料ガスを供給することが可能であるが、前記ガス分散室の中央部から遠い位置に形成されている通気孔から供給される燃料ガスによって発電を行う燃料電池セルに対しては、十分な燃料ガスを供給することが困難である。このため、全ての燃料電池セルに対して燃料ガスを均等に供給することができなくなる虞がある。
【0008】
また、特許文献2に記載された燃料電池は、前記ガス供給管が前記ガスマニホールドの天板の一端に接続されているため、当該燃料ガスは、当該ガスマニホールドの内側底面の燃料ガス吹き付け位置からの到達位置が遠くなる程、流速が遅くなり、当該ガスマニホールド全体にわたって燃料ガスを均等に到達させることが困難である。したがって、前記燃料ガス吹き付け位置から近い位置に配設されている燃料電池セルに対しては、十分な燃料ガスを供給することが可能であるが、前記燃料ガス吹き付け位置から遠い位置に配設されている燃料電池セルに対しては、十分な燃料ガスを供給することが困難である。このため、全ての燃料電池セルに対して燃料ガスを均等に供給することができなくなる虞がある。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、ガスマニホールド全体にわたって反応ガスを均等に到達させることができ、全ての燃料電池セルに対し、前記反応ガスを均等に供給することが可能な燃料電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的を達成するため本発明は、内部に反応ガス流路が形成されてなる複数の燃料電池セルと、内部に前記反応ガスを収容するガスマニホールドと、前記ガスマニホールドに配設されて前記複数の燃料電池セルの前記反応ガス流路方向一端を支持する共に、当該ガスマニホールド内に収容された反応ガスを前記各々の反応ガス流路に供給する貫通孔が形成された支持部材と、前記ガスマニホールドの内部に配設され、且つ前記反応ガスを噴出する複数の噴出孔が形成されてなり、当該各々の噴出孔から噴出される反応ガスを当該ガスマニホールドの内部に供給する内部ガス供給配管とを備え、前記内部ガス供給配管は、その軸芯が前記支持部材の燃料電池セル支持面に沿って配設され、その一端から前記反応ガスが供給されると共に、他端が封止されてなり、前記各々の噴出孔から噴出される反応ガスの噴出量が略同一となるように当該噴出量を調整する噴出量調整手段を有してなる燃料電池を提供するものである。
【0011】
この構成を備えた燃料電池は、複数の噴出孔が形成された内部ガス供給配管を、ガスマニホールドの内部に配設し、当該内部ガス供給配管の軸芯が前記支持部材の燃料電池セル支持面に沿うように配設したため、当該噴出孔を当該ガスマニホールド内の任意の位置に配設することができる。したがって、前記ガスマニホールド内の任意の位置に噴出孔を位置させることができるので、当該ガスマニホールド内に反応ガスを行き渡らせるために適切な位置に噴出孔を設けることができ、前記反応ガスを前記ガスマニホールド全体にわたって均等に分散させることができる。
【0012】
前記支持部材は、前記マニホールドと一体的に形成されていてもよく、当該マニホールドとは別体に形成されていてもよい。
【0013】
また、前記内部ガス供給配管は、その一端から前記反応ガスが供給され、他端が封止されているため、反応ガスの供給方向を一方向(一端側から他端側)とすることができる。したがって、前記反応ガスを内部ガス供給配管の両端から供給した場合と異なり、内部ガス供給配管の略中央部で圧力が上昇する現象が生じることがない。また、前記反応ガスを内部ガス供給配管の両端から反応ガスを均等に供給するための複雑な構成や制御を行う必要がない。
【0014】
ところで、配管に形成された噴出孔から噴出されるガスの噴出量は、配管内のガスの動圧と静圧との関係で決まる。動圧は、配管内でガスが流れる方向に働く圧力であり、配管内に流れるガスの流速に依存する。一方、静圧は、動圧に直交する方向、即ち、前記各噴出孔からのガスの噴出方向に働く圧力で、各噴出孔から噴出されるガスの噴出量は、この静圧に依存する。また、ベルヌーイの定理より動圧と静圧との和は常に一定である。したがって、配管の一端側からガスが供給される場合、この配管内を流れるガスの流速は、配管の他端に近付くにしたがって遅くなり、動圧は、配管の他端に近づくにしたがって低下することになる。一方、動圧と静圧との和は常に一定であるので、静圧は、配管の他端に近づくにしたがって高くなる。その結果、各噴出孔から噴出されるガスの噴出量は、配管の他端に近づくにしたがって大きくなる傾向がある。
【0015】
本発明では、内部ガス供給配管を前述した構成でガスマニホールドの内部に配設したことで、各々の燃料電池セルに反応ガスを均等に供給することが可能となるが、この構成に加え、前記各々の噴出孔から噴出される反応ガスの噴出量が略同一となるように当該噴出量を調整する噴出量調整手段を有しているため、前記内部ガス供給配管内の反応ガスの動圧と静圧との関係から、各噴出孔から噴出されるガスの噴出量が不均一になることを抑制することもできる。したがって、前記各々の噴出孔から反応ガスを均等に噴出させることができるため、前記反応ガスを前記ガスマニホールド全体にわたって、より均等に分散させることができ、各々の燃料電池セルに反応ガスを、さらに均等に供給することが可能となる。
【0016】
また、本発明に係る燃料電池の噴出量調整手段は、前記内部ガス供給配管の一端側に形成されている噴出孔の開口面積を合算して得られる合算開口面積が、前記内部ガス供給配管の他端側に形成されている噴出孔の開口面積を合算して得られる合算開口面積よりも小さくなる構成を有することができる。このように構成することで、前記内部ガス供給配管の一端側よりも他端側の方が、反応ガスの噴出量が少なくなるようにすることができるため、前記内部ガス供給配管内の反応ガスの動圧と静圧との関係から、当該内部ガス供給配管の一端側よりも他端側の方が反応ガスの噴出量が多くなる現象が生じても、この噴出量の差をより効率よく相殺することができる。
【0017】
そしてまた、本発明に係る燃料電池は、前記噴出孔の開口面積が、前記内部ガス供給配管の他端側にいくほど小さくなるよう、当該噴出孔を形成することもできる。このように構成することで、前記内部ガス供給配管の一端側から他端側に向けて反応ガスの噴出量が少なくなるようにすることができるため、前記内部ガス供給配管内の反応ガスの動圧と静圧との関係から、当該内部ガス供給配管の一端側から他端側に向けて反応ガスの噴出量が徐々に多くなる現象が生じても、この噴出量の差をさらに効率よく相殺することができる。
【0018】
さらにまた、本発明に係る燃料電池は、前記ガスマニホールドの上部に前記支持部材を配設し、前記噴出孔は、前記反応ガスが、少なくとも当該ガスマニホールドの前記支持部材と対向する対向壁に対し垂直に向かう速度成分を持って噴出するよう形成することもできる。このように構成することで、前記噴出孔から噴出された反応ガスは、先ず、前記対向壁に向けて下方に噴出された後、分散しながら前記支持部材(上方)に向けて流れることになる。したがって、前記反応ガスを前記ガスマニホールド全体にわたって、さらに均等に分散させることができる。
【0019】
また、前記噴出孔は、前記垂直に向かう速度成分に加え、前記反応ガスが前記対向壁に対し平行な速度成分を持って噴出するよう形成することもできる。このように構成することで、前記噴出孔から噴出された反応ガスは、前記対向壁に向けて斜め外側下方に勢いよく噴出されるため、上昇する際に、前記支持部材に沿って中央に向かう流れを作ることができる。したがって、前記反応ガスを前記ガスマニホールド全体にわたって、より一層均等に分散させることができる。
【0020】
さらにこの構成の場合、前記噴出孔は、前記対向壁側から見た平面視で、前記内部ガス供給配管の軸芯方向に沿って且つ当該内部ガス供給配管の軸芯に対応する線に対し間隔をおいた両側に交互に形成することもできる。このように構成することで、各々の噴出孔から噴出された反応ガスが上昇する際に形成される前記支持部材に沿って中央に向かう流れ同士が衝突することを防止し、この領域に反応ガスが滞留することを抑制することができる。したがって、前記反応ガスを前記ガスマニホールド全体にわたって、さらに均等に分散させることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ガスマニホールド全体にわたって反応ガスを均等に到達させることができ、全ての燃料電池セルに対し、前記反応ガスを均等に供給することが可能であり、発電を効率よく行うことができ、寿命が長く、信頼性の高い燃料電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係る燃料電池を含む燃料電池システムを示す全体構成図である。
【図2】図2は、図1に示す燃料電池の燃料電池モジュールを示す正面断面図である。
【図3】図3は、図2に示すIII−III線に沿った断面図である。
【図4】図4は、図2に示す燃料電池の構成要素である燃料電池セルユニットを示す部分断面図である。
【図5】図5は、図4に示す複数の燃料電池セルユニットから構成された燃料電池セルスタックを示す斜視図である。
【図6】図6は、図2に示す燃料電池の構成要素であるガスマニホールドを示す斜視図である。
【図7】図7は、図2に示す燃料電池モジュールの構成要素である内部ガス供給配管を判りやすく示す側面図である。
【図8】図8は、本本発明の他の実施形態に係る燃料電池モジュールの構成要素である内部ガス供給配管を示す底面図である。
【図9】図9は、本発明の他の実施形態に係る燃料電池モジュールの構成要素である内部ガス供給配管を示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明の実施形態に係る燃料電池について図面を参照して説明する。なお、以下に記載される実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこれらの実施形態にのみ限定するものではない。したがって、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、様々な形態で実施することができる。
【0024】
図1は、本発明の実施形態に係る燃料電池を含む燃料電池システムを示す全体構成図、図2は、図1に示す燃料電池の燃料電池モジュールを示す正面断面図、図3は、図2に示すIII−III線に沿った断面図、図4は、図2に示す燃料電池の構成要素である燃料電池セルユニットを示す部分断面図、図5は、図4に示す複数の燃料電池セルユニットから構成された燃料電池セルスタックを示す斜視図、図6は、図2に示す燃料電池の構成要素であるガスマニホールドを示す斜視図、図7は、図2に示す燃料電池モジュールの構成要素である内部ガス供給配管を判りやすく示す側面図である。なお、前記各図では、説明を判り易くするため、各部材の厚さやサイズ、拡大・縮小率等は、実際のものとは一致させずに記載した。
【0025】
図1に示す燃料電池システムFCSは、燃料電池1と、補機ユニット4とを備えて構成されている。
【0026】
燃料電池1は、燃料電池モジュール2と、燃料電池モジュール2に接続され且つ燃料電池モジュール2から排出された排気ガスが供給される温水製造装置50と、温水製造装置50に接続され且つ温水製造装置50に水道水を供給する水供給源24と、燃料電池モジュール2に配設され、燃料電池モジュール2に供給される燃料ガスの供給量等を制御するための制御ボックス52と、燃料電池モジュール2に接続され且つ燃料電池モジュール2により発電された電力を外部に供給するための電力取出部(電力変換部)であるインバータ54とを備えている。なお、温水製造装置50では、水供給源24から供給された水道水が排気ガスの熱により温水となり、図示しない外部の給湯器の貯湯タンクへ供給されるようになっている。
【0027】
補機ユニット4は、水道等の水供給源24からの水を貯水してフィルターにより純水とする純水タンク26と、この純水タンク26から供給される水の流量を調整する水流量調整ユニット28と、都市ガス等の燃料ガス(被改質ガス)を供給する燃料供給源30と、燃料供給源30から供給された燃料ガスを遮断するガス遮断弁32と、前記燃料ガスから硫黄を除去するための脱硫器36と、前記燃料ガスの流量を調整する燃料流量調整ユニット38と、酸化剤である空気を供給する空気供給源40と、空気供給源40から供給される空気を遮断する電磁弁42と、前記空気の流量を調整する改質用空気流量調整ユニット44及び発電用空気流量調整ユニット45と、燃料流量調整ユニット38から供給された燃料ガスと改質用空気流量調整ユニット44から供給された改質用空気とを混合する混合部46とを備えている。
【0028】
なお、本実施形態に係る燃料電池システムでは、改質器20に供給される改質用空気や発電室10に供給される発電用空気を加熱して起動時の昇温を効率よく行うためのヒータ等の加熱手段や、改質器20を別途加熱する加熱手段は設けられていない。
【0029】
次に、燃料電池モジュール2の内部構造について説明する。燃料電池モジュール2は、図1〜図3に示すように、ハウジング6を備え、このハウジング6の内部は、密封空間8となっている。この密封空間8の下方部分である発電室10には、燃料ガス(改質ガス)と酸化ガス(空気)とにより発電反応を行う燃料電池セル集合体12が配置されている。また、密封空間8の発電室10の上方には、燃焼室18が形成され、この燃焼室18では、発電反応に使用されなかった残余の燃料ガスと残余の空気とが燃焼し、排気ガスを生成するようになっている。この燃焼室18の上方には、燃料ガス(被改質ガス)を改質する改質器20が配置され、前記残余ガスの燃焼熱によって改質器20を改質反応が可能な温度となるように加熱している。さらに、この改質器20の上方には、燃焼熱を受けて空気を加熱するための空気用熱交換器22が配置されている。また、密封空間8の発電室10の下方には、ガスマニホールド66が形成されている。
【0030】
燃料電池セル集合体12は、10個の燃料電池セルスタック14を備えている。この燃料電池セルスタック14は、図5に示すように、16本の燃料電池セルユニット16を備えており、この構成により、燃料電池セル集合体12は、160本の燃料電池セルユニット16を有することになる。また、燃料電池セルユニット16の下端側及び上端側は、セラミック製の支持部材68及び100により各々支持されている。これらの支持部材68及び100には、後述する内側電極端子86が貫通可能な貫通孔68a及び100aが各々形成されている。
【0031】
燃料電池セルユニット16は、燃料電池セル84と、この燃料電池セル84の上下方向端部に各々接続された内側電極端子86とを備えている。燃料電池セル84は、上下方向に延びる管状構造体であり、内部に燃料ガス流路88を形成する円筒形の内側電極層90と、円筒形の外側電極層92と、内側電極層90と外側電極層92との間にある電解質層94とを備えている。内側電極層90は、燃料ガスが通過する燃料極(アノード極)であり、外側電極層92は、空気と接触する空気極(カソード極)となっている。内側電極端子86の上部90aは、電解質層94と外側電極層92に対して露出された外周面90bと上端面90cとを有している。この内側電極端子86は、導電性のシール材96を介して外周面90bと接続され、上端面90cとは直接接触することにより、内側電極層90と電気的に接続されている。また、内側電極端子86の中心部には、内側電極層90の燃料ガス流路88と連通する燃料ガス流路98が形成されている。
【0032】
また、各々の燃料電池セルユニット16には、集電体102及び外部端子104が取り付けられている。この集電体102は、内側電極端子86と電気的に接続される燃料極用接続部102aと、外側電極層92の外周面全体と電気的に接続される空気極用接続部102bとにより一体的に形成されている。外部端子104は、隣接する燃料電池セルスタック14の端にある燃料電池セルユニット16の外部端子104(図示せず)に接続され、160本の燃料電池セルユニット16の全てが直列接続されるようになっている。
【0033】
改質器20には、その上流端側に純水を導入するための純水導入管60と、改質される燃料ガスと改質用空気を導入するための被改質ガス導入管62が取り付けられている。改質器20の内部には、上流側から順に、蒸発部20a、改質部20bが形成されており、改質部20bには、改質触媒が充填されている。この改質器20に導入された水蒸気(純水)が混合された燃料ガス及び空気は、改質器20内に充填された改質触媒により改質される。改質触媒としては、アルミナの球体表面にニッケルを付与したものや、アルミナの球体表面にルテニウムを付与したものが適宜用いられる。また、この改質器20の下流端側には、下方に延びる燃料ガス供給管64が接続されている。
【0034】
空気用熱交換器22は、上流側に空気集約室70、下流側に2つの空気分配室72を備え、これらの空気集約室70と空気分配室72は、6個の空気流路管74により接続されている。ここで、図3に示すように、3個の空気流路管74が一組(74a、74b、74c、74d、74e、74f)となっており、空気集約室70内の空気が各組の空気流路管74からそれぞれの空気分配室72へ流入する。この空気用熱交換器22の6個の空気流路管74内を流れる空気は、燃焼室18で燃焼して上昇する排気ガスにより予熱される。空気分配室72の各々には、空気導入管76が接続され、この空気導入管76は、下方に延び、その下端側が、発電室10の下方空間に連通し、発電室10に余熱された空気を導入する。
【0035】
ガスマニホールド66は、特に図6に示すように、底面67が長方形状を呈する略直方体形状を有しており、このガスマニホールド66の上部には、燃料電池セルスタック14を支持するための板状の支持部材68が配設されている。この支持部材68には、ガスマニホールド66に収容された燃料ガスを各々の燃料電池セル84の燃料ガス流路88に供給するための貫通孔69が形成されている。なお、支持部材68は、底面67に対向して配設されており、これにより底面67は、支持部材68に対向配置された対向壁となっている。
【0036】
また、ガスマニホールド66の内部には、ガスマニホールド66内に燃料ガスを供給するための内部ガス供給配管63が、底面67及び支持部材68の各々と所定の間隔をおいて配設されている。この内部ガス供給配管63は、軸芯方向に垂直な断面形状が円形(リング状)を有し、図7に示すように、この円形の径(内径)が、内部ガス供給配管63の一端63A(燃料ガス供給管64側、即ち、燃料ガスが供給される側:図2でいう左側)から他端63Bに向けて徐々に小さくなるよう、中空の略円錐形状に形成されている。なお、図7に示す符号Oは、内部ガス供給配管63の軸芯を示しており、本実施形態では、内部ガス供給配管63は、軸線Oが底面67に対し平行となるように配設されている。また、内部ガス供給配管63の一端63Aは、図2に示すように、改質器20の下流端側に接続された燃料ガス供給管64に接続されており、内部ガス供給配管63には、改質器20から燃料ガス供給管64を介して燃料ガスが供給されるようになっている。一方、内部ガス供給配管63の他端63Bは、封止されており、図2及び図6に示すように、ガスマニホールド66の内壁(図2でいう右側の内壁)に固定されている。
【0037】
なお、内部ガス供給配管63の径が、一端63A側から他端63B側に向けて徐々に小さくなるよう構成したことで、内部ガス供給配管63の内部を流れる燃料ガスの量は、一端63A側から他端63B側に向けて徐々に少なくなる。したがって、内部ガス供給配管63の内部の燃料ガスの動圧と静圧との関係から、内部ガス供給配管63の一端63A側から他端63B側に向けて燃料ガスの噴出量が徐々に多くなる現象が生じても、この噴出量の差を効率よく相殺することができる。即ち、本実施形態では、内部ガス供給配管63の径を一端63A側から他端63B側に向けて徐々に小さくすることで、後に詳述する全ての噴出孔65から噴出される燃料ガスの噴出量が略同一となるように当該噴出量を調整しており、この構成が噴出量調整手段となっている。
【0038】
さらにまた、内部ガス供給配管63には、内部ガス供給配管63内に供給された燃料ガス(改質された燃料ガス)を底面67に向けて垂直に噴出するための複数の噴出孔65が形成されている。これらの噴出孔65は、図2、図3及び図7に示すように、内部ガス供給配管63の下面に、互いに間隔をおいて内部ガス供給配管63の軸芯方向に沿って一直線上に形成されている。また、全ての噴出孔65は、同一の径(即ち、同一の開口面積)を有している。
【0039】
なお、このガスマニホールド66の下方には、排気ガス室78が形成されており、ハウジング6の長手方向に沿った面である前面6aと後面6bの内側には、上下方向に延びる排気ガス通路80(図3参照)が形成されている。この排気ガス通路80の上端側は、空気用熱交換器22が配置された空間と連通し、下端側は、排気ガス室78と連通している。また、排気ガス室78の下面のほぼ中央には、排気ガス排出管82が接続され、この排気ガス排出管82の下流端は、温水製造装置50に接続されている。そしてまた、燃焼室18には、燃料ガスと空気との燃焼を開始するための点火装置83が設けられている。
【0040】
本実施形態における燃料電池システムFCSの起動モードにおいては、燃焼運転と、部分酸化改質反応(POX)と、第1オートサーマル改質反応(ATR1)と、第2オートサーマル改質反応(ATR2)と、水蒸気改質反応(SR)とを順次切り替えながら改質反応を進行している。
【0041】
部分酸化改質反応(POX)は、改質器20に被改質ガスと空気とを供給して行う改質反応であって、化学反応式(1)に示す反応が進行する。
mn+xO2 → aCO2+bCO+cH2 (1)
この部分酸化改質反応(POX)は発熱反応であるので起動性が高く、燃料電池システムFCSの起動当初において好適な改質反応である。但し、部分酸化改質反応(POX)は、水素収率が理論上少なく、発熱反応を制御するのも難しいことから、燃料電池モジュール2へ熱供給が必要な起動当初においてのみ利用されるのが好ましい改質反応である。
【0042】
水蒸気改質反応(SR)は、改質器20に被改質ガスと水蒸気とを供給して行う改質反応であって、化学反応式(2)に示す反応が進行する。
mn+xH2O → aCO2+bCO+cH2 (2)
水蒸気改質反応(SR)は、水素収率が最も高く、高効率な反応である。ただし、水蒸気改質反応(SR)は、吸熱反応であるので熱源が必要であり、燃料電池システムFCSの起動当初よりはある程度温度が上昇した段階において好適な改質反応である。
【0043】
第1オートサーマル改質反応(ATR1)と第2オートサーマル改質反応(ATR2)とからなるオートサーマル改質反応(ATR)は、部分酸化改質反応(POX)と水蒸気改質反応(SR)とが併用された改質反応であって、改質器20に被改質ガスと空気と水蒸気とを供給して行われる改質反応であり、化学反応式(3)に示す反応が進行する。
mn+xO2+yH2O → aCO2+bCO+cH2 (3)
オートサーマル改質反応(ATR)は、水素収率が部分酸化改質反応(POX)と水蒸気改質反応(SR)との併用であり、反応熱のバランスが取り易く、部分酸化改質反応(POX)と水蒸気改質反応(SR)とを繋ぐ反応として好適な改質反応である。なお、本実施形態では、水を少なく供給して部分酸化改質反応(POX)により近い第1オートサーマル改質反応(ATR1)を先に行い、温度が上昇した後に水を増やすように供給して水蒸気改質反応(SR)により近い第2オートサーマル改質反応(ATR2)を後に行っている。
【0044】
次に、燃料電池システムFCSの起動モードについて説明する。先ず、改質用空気を増やすように発電用空気流量調整ユニット45、電磁弁42及び混合部46を制御し、改質器20に空気を供給する。また、発電室10には、前述したように、空気導入管76から発電用の空気が供給される。そしてまた、燃料ガスの供給を増やすように燃料流量調整ユニット38、及び混合部46を制御し、改質器20に被改質ガスを供給し、改質器20へ送り込まれた被改質ガス及び改質用空気は、改質器20、燃料ガス供給管64、内部ガス供給配管63、ガスマニホールド66を介して、各々の貫通孔69から各燃料電池セルユニット16内に送り込まれる。各燃料電池セルユニット16内に送り込まれた被改質ガス及び改質用空気は、各燃料電池セルユニット16の下端に形成されている燃料ガス流路98から燃料ガス流路88を通過し、上端に形成されている燃料ガス流路98から夫々流出する。その後、点火装置83によって、燃料ガス流路98上端から流出した被改質ガスに着火して燃焼運転を実行する。これにより、燃焼室18内で被改質ガスが燃焼され、上述した部分酸化改質反応(POX)が発生する。
【0045】
その後、改質器20の温度が約600℃以上になり、且つ燃料電池セル集合体12の温度が約250℃を超えたことを条件として、前述した第1オートサーマル改質反応(ATR1)へと移行させ、燃料電池セル集合体12の温度が約400℃を超えたことを条件として、第2オートサーマル改質反応(ATR2)へと移行させる。この時、水流量調整ユニット28、燃料流量調整ユニット38及び改質用空気流量調整ユニット44により、被改質ガスと改質用空気と水蒸気とを予め混合したガスを改質器20に供給する。次いで、改質器20の温度が650℃以上となり、且つ燃料電池セル集合体12の温度が約600℃を超えたことを条件として、水蒸気改質反応(SR)へと移行させる。
【0046】
上述したように着火から燃焼工程の進行に合わせて改質工程を切り替えていくことで、発電室10内の温度が徐々に上昇する。発電室10の温度が、燃料電池モジュール2を安定的に作動させる定格温度(約700℃)よりも低い所定の発電温度に達したら、燃料電池モジュール2を含む電気回路を閉じる。それにより、燃料電池モジュール2は発電を開始し、回路に電流が流れて外部に電力を供給することができる。燃料電池セル84の発電により、燃料電池セル84自体も発熱し、燃料電池セル84の温度が上昇するため、燃料電池モジュール2を作動させる定格温度、例えば700〜800℃になる。
【0047】
この着火から燃焼工程において、燃料ガス供給管64を介して、内部ガス供給配管63に供給された被改質ガス及び改質ガス(燃料ガス)は、各々の噴出孔65からガスマニホールド66内に噴出される。この時、内部ガス供給配管63は、ガスマニホールド66の内部に配設されており、ガスマニホールド66内は、外部よりも高温となっているため、ガス供給配管をガスマニホールドの外部に配設した場合に比べ、燃料ガスの放熱を低下させることができる。したがって、当該ガスマニホールドへの反応ガス供給時における当該反応ガスの放熱を低下させることができる。このため、燃料電池セル84に高温の燃料ガスを供給することができ、燃料電池セル84の温度上昇を促進させる、あるいは、温度低下を抑制させることができるため、発電を効率よく行わせることができる。
【0048】
また、内部ガス供給配管63は、その軸芯が、ガスマニホールド66の長手方向に沿って、底面67と平行に延びているため、噴出孔65からガスマニホールド66の内壁までの距離を短くすることができ、燃料ガスをガスマニホールド66の隅々まで到達させることができる。また、内部ガス供給配管63と底面67とが離間しているため、内部ガス供給配管63に邪魔されることなく燃料ガスを底面67に沿って分散させることができると共に、内部ガス供給配管63を流通する燃料ガスの熱が底面67に奪われることを抑制することもできる。さらにまた、図7に示すように、燃料ガスは、底面67に向けて垂直に噴出される(即ち、底面67に向かう速度成分を持って噴出される)ため、噴出孔65から噴出された燃料ガスは、先ず、底面67に向けて下方に噴出された後、分散しながら支持部材68に向けて流れることになる。したがって、燃料ガスをガスマニホールド66全体にわたって、さらに均等に分散させることができる。
【0049】
また、前述したが、内部ガス供給配管63の内径は、一端63A側よりも他端63B側の方が小さいため、内部ガス供給配管63の内部に収容されている燃料ガスの量は、一端63A側よりも他端63B側の方が少なくなり、この結果、内部ガス供給配管63の内部の燃料ガスの動圧と静圧との関係から、内部ガス供給配管63の一端63A側から他端63B側に向けて燃料ガスの噴出量が徐々に多くなる現象が生じても、この噴出量の差を効率よく相殺することができる。したがって、各々の噴出孔65から燃料ガスを均等に噴出させることができるため、この燃料ガスをガスマニホールド66の全体にわたって、より均等に分散させることができる。また、各々の噴出孔65は、比較的小さな孔であり、燃料ガスを噴出孔65から噴出させることで、オリフィス効果により、ガスマニホールド66内に燃料ガスによる気流を発生させることができ、燃料ガスをガスマニホールド66全体にわたって効率よく分散させることができる。
【0050】
このように、例えば、燃料ガスの供給圧力を上げたり、供給量を増加したりすることなく、燃料ガスをガスマニホールド66内全体にわたって均等に分散させることができる。そして、この燃料ガスは、支持部材68に形成されている各々の貫通孔69から各々の燃料電池セル84の燃料ガス流路88に均等に供給される。したがって、全ての燃料電池セル84に対し、燃料枯れや発熱温度ムラが生じることを抑制することができ、燃料電池セル84の寿命を向上することができる。
【0051】
また、燃料電池モジュール2の運転停止を行う場合には、燃料ガス及び水蒸気の改質器20への供給量を減少させると同時に、改質用空気流量調整ユニット44による発電用空気の燃料電池モジュール2内への供給量を増大させて、燃料電池セル集合体12及び改質器20を空気により冷却し、これらの温度を低下させる。その後、発電室の温度が所定温度、例えば、400℃まで低下した時、燃料ガス及び水蒸気の改質器20への供給を停止し、改質器20の水蒸気改質反応(SR)を終了する。この発電用空気の供給は、改質器20の温度が所定温度、例えば、200℃まで低下するまで継続し、この所定温度となったとき、発電用空気流量調整ユニット45からの発電用空気の供給を停止する。
【0052】
なお、本実施形態では、内部ガス供給配管63の軸線Oが、底面67に対し平行となるように内部ガス供給配管63をガスマニホールド66内に配設した場合について説明したが、これに限らず、内部ガス供給配管63は、所望により、例えば、各々の噴出孔65と、底面67との距離が一定となるように、底面67に対し軸線Oを傾斜させた状態で配設してもよく、各々の噴出孔65と、支持部材68との距離が一定となるように、支持部材68に対し軸線Oを傾斜させた状態で配設してもよい。
【0053】
また、本実施形態では、噴出量調整手段として、全ての噴出孔65の開口面積を同一とし、内部ガス供給配管63の内径を変えることで、内部ガス供給配管63の軸芯方向に生じる燃料ガスの噴出量の差を効率よく相殺させ、全ての噴出孔65から噴出される燃料ガスの噴出量が略同一となるように当該噴出量を調整した場合について説明したが、これに限らず、例えば、内部ガス供給配管63の内径を一定とし、図8に示すように、噴出孔65の開口面積が、内部ガス供給配管63の他端63B側に行くほど小さくなるようにすることで、内部ガス供給配管63の軸芯方向に生じる燃料ガスの噴出量の差を効率よく相殺させ、全ての噴出孔65から噴出される燃料ガスの噴出量が略同一となるように当該噴出量を調整してもよい。
【0054】
そしてまた、噴出量調整手段は、内部ガス供給配管63の一端63A側に形成されている噴出孔65の開口面積を合算して得られる合算開口面積が、他端63B側に形成されている噴出孔65の開口面積を合算して得られる合算開口面積よりも小さくなる構成であってもよい。なお、噴出孔65の合算開口面積に差を設ける方法は、例えば、各々の噴出孔65の開口面積を変える、噴出孔65の形成数を変える等、所望により決定することができる。
【0055】
さらにまた、本実施形態では、燃料ガスを底面67に向けて垂直に噴出する場合について説明したが、これに限らず、燃料ガスが、底面67に向かう速度成分に加え、底面67に平行な速度成分を持って噴出するよう(即ち、底面67に対し斜めに噴出されるよう)、内部ガス供給配管63に噴出孔65を形成してもよい。具体的には、例えば図9に示すように、内部ガス供給配管63の軸芯方向に沿って且つ内部ガス供給配管63の軸芯に対応する線Oに対し間隔をおいた両側に交互に形成することもできる。噴出孔65をこのように形成することで、各々の噴出孔65から噴出された燃料ガスがガスマニホールド66内を上昇する流れ(支持部材68に沿って中央に向かう流れ)同士が衝突することを抑制することができる。したがって、内部ガス供給配管63上に燃料ガスが滞留することを抑制することができるため、燃料ガスをガスマニホールド66全体にわたって、さらに均等に分散させることができる。
【0056】
この構成の場合も、全ての噴出孔65の開口面積を同一とし、内部ガス供給配管63の内径を変えることで、内部ガス供給配管63の軸芯方向に生じる燃料ガスの噴出量の差を効率よく相殺させ、全ての噴出孔65から噴出される燃料ガスの噴出量が略同一となるように当該噴出量を調整してもよく、内部ガス供給配管63の内径を一定とし、噴出孔65の開口面積を変えることで、内部ガス供給配管63の軸芯方向に生じる燃料ガスの噴出量の差を効率よく相殺させ、全ての噴出孔65から噴出される燃料ガスの噴出量が略同一となるように当該噴出量を調整してもよい。
【0057】
また、本実施形態では、内側電極層90が燃料極(アノード極)であり、外側電極層92が空気極(カソード極)である燃料電池セル84を配設した場合について説明したが、これに限らず、所望により、内側電極層90が空気極(カソード極)であり、外側電極層92が燃料極(アノード極)である燃料電池セルを配設してもよい。そして、この場合は、内部ガス供給配管63に空気(酸化剤ガス)を供給すればよい。
【符号の説明】
【0058】
1…燃料電池、 2…燃料電池モジュール、 10…発電室、 20…改質器、 63…内部ガス供給配管、 65…噴出孔、 66…ガスマニホールド、 67…底面、 68…支持部材、 69…貫通孔、 88…燃料ガス流路、 FCS…燃料電池システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に反応ガス流路が形成されてなる複数の燃料電池セルと、
内部に反応ガスを収容するガスマニホールドと、
前記ガスマニホールドに配設されて前記複数の燃料電池セルの前記反応ガス流路方向一端を支持する共に、当該ガスマニホールド内に収容された反応ガスを前記各々の反応ガス流路に供給する貫通孔が形成された支持部材と、
前記ガスマニホールドの内部に配設され、且つ前記反応ガスを噴出する複数の噴出孔が形成されてなり、当該各々の噴出孔から噴出される反応ガスを当該ガスマニホールドの内部に供給する内部ガス供給配管と、
を備え、
前記内部ガス供給配管は、その軸芯が前記支持部材の燃料電池セル支持面に沿って配設され、その一端から前記反応ガスが供給されると共に、他端が封止されてなり、前記各々の噴出孔から噴出される反応ガスの噴出量が略同一となるように当該噴出量を調整する噴出量調整手段を有してなる燃料電池。
【請求項2】
前記噴出量調整手段は、前記内部ガス供給配管の一端側に形成されている噴出孔の開口面積を合算して得られる合算開口面積が、前記内部ガス供給配管の他端側に形成されている噴出孔の開口面積を合算して得られる合算開口面積よりも小さくなる構成を有する請求項1記載の燃料電池。
【請求項3】
前記噴出孔の開口面積は、前記内部ガス供給配管の他端側にいくほど小さくなる請求項2記載の燃料電池。
【請求項4】
前記支持部材は、前記ガスマニホールドの上部に配設されており、
前記噴出孔は、前記反応ガスが、少なくとも当該ガスマニホールドの前記支持部材と対向する対向壁に対し垂直に向かう速度成分を持って噴出するよう形成されてなる請求項3記載の燃料電池。
【請求項5】
前記噴出孔は、前記反応ガスが前記対向壁に対し平行な速度成分を持って噴出するよう形成されてなる請求項4記載の燃料電池。
【請求項6】
前記噴出孔は、前記対向壁側から見た平面視で、前記内部ガス供給配管の軸芯方向に沿って且つ当該内部ガス供給配管の軸芯に対応する線に対し間隔をおいた両側に交互に形成されてなる請求項5記載の燃料電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−100639(P2011−100639A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−254883(P2009−254883)
【出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】