説明

燃焼ガスの浄化方法、浄化装置及びボイラ

【課題】ボイラをはじめとする燃焼機器から発生する燃焼ガスを浄化する際にNOxの生成を抑制しつつ、COを低減、除去することが可能な燃焼ガスの浄化方法、浄化装置及びボイラを提供すること。
【解決手段】燃焼により発生した燃焼ガスG1に含まれるNOx及びCOを削減するための浄化装置18であって、前記燃焼ガスG1が移動可能な通気路17と、前記通気路17に配置され、前記燃焼ガスG1が通過可能とされるCO酸化触媒C3と、前記通気路17において前記CO酸化触媒C3の上流側に配置され、前記燃焼ガスG1が通過可能とされるNOx還元触媒C1と、前記CO酸化触媒C3と前記NOx還元触媒C1の間に配置され、前記燃焼ガスG1が移動可能とされるNH酸化触媒C2とを備えていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、燃焼機器から発生される燃焼ガス中のNOx(窒素酸化物)及びCO(一酸化炭素)を削減するための燃焼ガスの浄化方法、浄化装置及びボイラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ボイラ等の燃焼機器から発生する燃焼ガスを排出する場合、燃焼ガスに含まれるCO、NOxを所定の数値(例えば、規制値等)以下とすることが必要な場合がある。
CO、NOxを所定の数値まで削減するにあたっては、燃焼ガスを触媒に通過させて、燃焼ガスに含有されるCO、NOxを酸化、還元してこれらを除去することが行われている。
【0003】
このように、燃焼ガスに含まれるNOx、COを、NOxの還元を促進するNOx還元触媒やCOの酸化を促進するCO酸化触媒を用いて削減する技術として、燃料に対する空気比(化学量論的値)を1.0よりも小さくしてNOx還元触媒を通過する際のCO含有量を高くすることにより、NOx還元触媒上で還元されるNOx量を所定値以下とし、その後、燃焼ガスにOを付加してCOをCO酸化触媒にて除去する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2001−520110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、例えば、NOx還元触媒での還元反応で生成されたNH(アンモニア)等が、NOx還元触媒後の高温雰囲気下やCO酸化触媒上で酸化されて再びNOxとなる場合や、燃焼雰囲気下において生成されたN中間体が燃焼ガスの通過経路の高温雰囲気下やCO酸化触媒上で酸化されてNOxを増大する可能性があるという問題がある。
【0006】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、ボイラをはじめとする燃焼機器から発生する燃焼ガスを浄化する際にNOxの生成を抑制しつつ、COを低減、除去することが可能な燃焼ガスの浄化方法、浄化装置及びボイラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
請求項1記載の発明は、燃焼により発生した燃焼ガスに含まれるNOx及びCOを削減するための浄化装置であって、前記燃焼ガスが移動可能な通気路と、前記通気路に配置され、前記燃焼ガスが通過可能とされるCO酸化触媒と、前記通気路において前記CO酸化触媒の上流側に配置され、前記燃焼ガスが通過可能とされるNOx還元触媒と、前記CO酸化触媒と前記NOx還元触媒の間に配置され、前記燃焼ガスが移動可能とされるNH酸化触媒と、を備えていることを特徴とする。
【0008】
請求3記載の発明は、ボイラであって、請求項1又は請求項2に記載の浄化装置を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項5記載の発明は、燃焼により発生した燃焼ガスに含まれるNOx及びCOを削減する燃焼ガスの浄化方法であって、前記燃焼ガスが移動可能とされる通気路の上流側から下流側に、NOx還元触媒、NH酸化触媒、CO酸化触媒をこの順に配置し、前記上流側から前記下流側に燃焼ガスを通過させてNOx及びCOを削減することを特徴とする。
【0010】
この発明に係る燃焼ガスの浄化方法、浄化装置及びボイラによれば、NOx還元触媒、NH酸化触媒、CO酸化触媒が配置された通気路にこの順に燃焼ガスを通過させるので、NOxを還元した場合に生成されるNHがNH酸化触媒により酸化されてN2となりCO酸化触媒を通過するNHが削減される。
【0011】
また、燃焼ガスをNOx還元触媒を通過させた際にNHが生成されても、NOx還元触媒の下流に配置したNH酸化触媒によりNHが酸化、除去されるので、CO酸化触媒を通過するNHの量が削減される。その結果、CO酸化触媒において、NHに由来するNOxの生成を抑制しつつ燃焼ガス中のCOをCO酸化触媒により効率的に酸化、除去することができる。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の浄化装置であって、前記通気路は、前記NOx還元触媒と前記NH酸化触媒の間にO含有ガスを供給するための酸化ガス供給手段を備えることを特徴とする。
【0013】
この発明に係る浄化装置によれば、NOx還元触媒で生成されたNHを酸化、除去してNHを効率的に減少させることができる。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項3に記載のボイラであって、燃料を理論空気比以下で燃焼させる燃焼制御手段を備えることを特徴とする。
【0015】
請求6記載の発明は、請求項5に記載の燃焼ガスの浄化方法であって、燃焼における空気比を理論空気比以下で燃焼させ、前記通気路の前記NOx還元触媒と前記NH酸化触媒の間にO含有ガスを供給することを特徴とする。
【0016】
この発明に係る燃焼ガスの浄化方法、浄化装置及びボイラによれば、燃焼における空気比を理論空気比以下とすることによりNOxの生成が抑制され、NOx還元触媒と前記NH酸化触媒の間にO含有ガスを供給することで、NOx還元触媒で生成されたNHをNH酸化触媒で効率的に酸化、除去させることができる。
また、生成されたNH及びCOの酸化に適した量のO含有ガスを供給することで、NOxの生成を抑制しつつNH及びCOを効率的に酸化、除去することができる。
【発明の効果】
【0017】
この発明に係る燃焼ガスの浄化方法、浄化装置及びボイラによれば、燃焼ガスを浄化する際にNHに由来するNOxの生成を抑制しつつ、COを効率的に低減、除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係るボイラ及び浄化装置を示す縦断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る浄化装置に用いる触媒の一例を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るNOx還元触媒、NH酸化触媒、CO酸化触媒の転化率と、NOx還元反応温度E1、NH酸化反応温度E2、CO酸化反応温度E3の関係を示す概念図である。
【図4】周知の浄化装置におけるNOx、NH、COの濃度の推移を示す概念図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る浄化装置におけるNOx、NH、COの濃度の推移を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図1、図2を参照し、この発明の一実施形態について説明する。
図1は、一実施形態に係る貫流式のボイラ(燃焼装置)10の縦断面図を示している。
ボイラ10は、燃料供給部12と、缶体13と、バーナ14と、排出路17と、浄化装置18と、エコノマイザ19とを備えており、排出路17には、浄化装置18、エコノマイザ19が上流からこの順に設けられている。
また、バーナ14から排出路17の排出口17Aに至るまで間には、バーナ14で発生した燃焼ガスG1が流通するガス流路Rが形成されている。なお、ガス流路Rは燃焼ガスG1が流通しボイラ10外に排出されるための排ガス流路としても用いられている。
【0020】
この明細書において、燃焼ガスG1とは、燃料ガスの燃焼反応が完了したものおよび燃焼反応中の燃料ガスの少なくとも一方を含む概念であり、燃料ガスの燃焼反応が完了したものおよび燃焼反応中の燃料ガスの両方を有する場合、燃焼反応中の燃料ガスのみを有する場合、燃料ガスの燃焼反応が完了したもののみを有する場合の、いずれをも含む概念である。
【0021】
また、実施形態において、ボイラ10の燃料は、例えば、生ガスと燃焼用空気とが混合された燃料ガスとされている。なお、燃料ガスに代えて、重油をはじめとする液体燃料、微粉炭を用いてもよい。
【0022】
燃料供給部12は、燃焼用空気を供給する送風ファン12aと、生ガスを供給するノズル12bとを備え、送風ファン12aから送風された燃焼用空気とノズル12bから供給された生ガスとがダクト内で混合されて燃料ガスが生成されるようになっている。
また、燃料供給部12は、制御部(図示せず)によって、ノズル12bから供給する燃料供給量と送風ファン12aから送風された燃焼用空気量を制御することにより空気比を調整可能に構成されており、例えば、燃料に対する空気比を理論空気比近傍に調整することが可能とされており、理論空気比以下として還元性の燃焼ガスとしたり、わずかに理論空気比以上としてHC(炭化水素)が完全燃焼されることにより又は不完全燃焼であっても燃焼ガス中の残留Oで酸化されてHCを含まない状態の燃焼ガスを生成することができるようになっている。
【0023】
バーナ14は、水管群13B側の面にバーナエレメント14Aを有し、燃料供給部12から供給された燃料ガスがバーナエレメント14Aで燃焼するようになっている。
【0024】
図1においてバーナエレメント14Aから水管群13B側に示した破線部は、バーナエレメント14Aで形成される火炎を概念的に表したものである。
なお、バーナ14としてバーナエレメント14Aに代えて、他の予混合式バーナや、予混合式バーナ以外の周知のバーナ、圧力噴射ノズル、インジェクションノズル等のバーナを用いることも可能である。
【0025】
缶体13は、下部管寄せ13Aと、水管群13Bと、上部管寄せ13Cとを備え、水管群13Bは、複数の内側水管と複数の外側水管とを有し、それぞれの内側水管及び外側水管は、下部管寄せ13Aと上部管寄せ13Cとの間に垂直方向に配置されるとともに下側が下部管寄せ13Aに上側が上部管寄せ13Cに接続され、下部管寄せ13Aと上部管寄せ13Cとが連通されている。
【0026】
バーナ14の燃焼で発生した高温の燃焼ガスG1は、缶体13内に形成されたガス流路Rを通過しながら水管群13Bの水を加熱し、排出路17に導入された後に浄化装置18を経由してエコノマイザ19に到達し、エコノマイザ19の水を加熱した後に排出口17Aから排出されるようになっている。なお、排出路17の一部は浄化装置18の通気路を構成している。
エコノマイザ19は、排出路17を通過する燃焼ガスG1との熱交換により水が加熱され、加熱された水を下部管寄せ13Aに供給するようになっている。
【0027】
浄化装置18は、燃焼ガスG1に含まれているNOx、COを除去可能とされており、この実施形態に係る浄化装置18は、排出路17に配置されており、燃焼ガスG1が通過するガス流路Rに、NOx還元触媒C1、NH酸化触媒C2、CO酸化触媒C3が上流側からこの順番に配置されている。
【0028】
NOx還元触媒C1は、燃焼ガスG1に含まれるNOxを還元してNとすることによりNOxを除去するものであり、例えば、図2に示すように厚さ方向に複数の通気孔Pが形成された矩形平板状の基材C10の表面に、触媒活性材料として、例えば白金が担持されて構成されている。
【0029】
基材C10は、帯状の平板からなる第1の基材C11と波板からなる第2の基材C12とを交互に重ね合わせたものを側板C13により囲んで固定した構造とされている。
第1の基材C11及び第2の基材C12は、それぞれ排ガスとの接触面積を広くするために表面処理が施されて表面に多数の微小凹凸が形成されたステンレス板からなり、この微小凹凸に触媒活性材料が担特されている。
【0030】
なお、NOx還元触媒C1の構造は、特に限定されるものではなく、基材C10に代えて、例えば、ステンレス以外の金属やセラミックにより形成された通気可能な基材の表面に触媒活性材料を担持させた構成としてもよいし、燃焼ガスG1の通気性を通気孔Pではなく一定しない方向の通気孔Pを有するスポンジ状の多孔性構造、又は通気可能な流路が形成された容器内に触媒活性材料が担持されたペレットを多数収容した構成としてもよい。
なお、触媒活性材料として、白金以外の貴金属(Ag、Au、Rh、Ru、Pt、Pd、Ir)又は金属酸化物(NiO、CuO、C、MnO)を用いてもよい。
CO酸化触媒C3は、燃焼ガスG1に含まれるCOを酸化してCOとすることによりCOを除去するものであり、図2に示したNOx還元触媒C1と同様の構成とされている。
【0031】
NH酸化触媒C2は、燃焼ガスG1に含まれるNHを酸化してNとすることによりNHを削減、除去するものであり、NOx還元触媒C1と同様の基材C10の表面に、触媒活性材料として、例えばAl、TiO等の担体と、貴金属(例えば、Pt、Pd、Rh、Ir、Ru)からなる触媒活性材料が配置されて構成されている。
【0032】
図3は、燃焼ガスG1の温度と、NOx還元触媒C1、NH酸化触媒C2、CO酸化触媒C3の転化率との関係を示す概念図であり、図3の横軸は燃焼ガスの温度(T)を表しており符号E1、E2、E3は、それぞれNOx還元反応温度E1、NH酸化反応温度E2、CO酸化反応温度E3を示し、縦軸は転化率(Q)を示している。(必要とされる転化率(Q)は、例えば、NOxの場合、現時点で97%とされているが、例えば、公害に対する社会情勢等に依存して見直す指標である。)
【0033】
この実施形態において、NOx還元触媒C1、NH酸化触媒C2、CO酸化触媒C3は、これら触媒C1、C2、C3を通過する際の燃焼ガスG1の温度が、例えば、図3で示したNOx還元反応温度E1、NH酸化反応温度E2、CO酸化反応温度E3となる位置に配置されている。その結果、それぞれの触媒において、NOx、NH、COを燃焼ガスG1から効率的に削減、除去できるようになっている。
ここで、例えば、上記触媒の場合に、NOx還元反応温度E1は約200℃から約700℃、NH酸化反応温度E2は約300℃以上、CO酸化反応温度E3は約250℃以上とされている。
【0034】
また、NOx還元触媒C1とNH酸化触媒C2の間には排出路17に空気(O含有ガス)を供給するための空気ノズル(酸化ガス供給手段)20が形成されており、ノズル20から空気がNOx還元触媒C1の下流側に供給可能とされている。このノズル20から供給された空気によりCO酸化触媒C3におけるCOの酸化を効率的に促進することができるようになっている。
なお、空気ノズル20を設けない構成とし、又はNH酸化触媒C2とCO酸化触媒C3の間に設ける構成としてもよいし、通常の空気に代えてO濃度を調整した空気や、純O、Oを含んだ他のガスを供給してもよい。
【0035】
次に、ボイラ10及び浄化装置18の作用について説明する。
1)燃料供給部12からバーナ14に供給された燃料ガスが、バーナエレメント14Aから噴出、燃焼して、高温の燃焼ガスG1が生成される。
2)燃焼ガスG1は、ガス流路Rを通過しながら水管群13B内の水を加熱して蒸気とし、水管群13Bを通過した後に燃焼ガス排出路17の排出口17Aに向かって移動する。加熱により生じた蒸気は上部管寄せ13Cを経由して蒸気消費説備に供給される。
3)水管群13Bを通過した燃焼ガスG1は、次いでNOx還元触媒C1を通過し、燃焼ガスG1に含まれるNOxがNOx還元触媒C1に吸着されて燃焼ガスG1中のNOxが削減される。NOx還元触媒C1に吸着されたNOxは還元されてNとなる。
NOx還元触媒C1を燃焼ガスG1が通過する際の還元反応により、NHが生成される場合がある。
4)NOx還元触媒C1を通過した燃焼ガスG1は、ノズル20から供給された空気Aと混合されて燃焼ガスG1中のO濃度が高くなる。
なお、空気Aの供給をする場合、燃焼ガスG1中のCO、及びNOx還元触媒C1で生成されたNHの酸化に適した量(例えば、CO及びNHを酸化するための理論空気量)の空気Aをノズル20から供給することが好適であり、かかる量の空気Aを供給することによりNOxの生成を抑制しつつCO及びNHを効率的に酸化、除去することができて好適である。
5)NOx還元触媒C1を通過した燃焼ガスG1は、次いでNH酸化触媒C2を通過する。このとき燃焼ガスG1に含まれるNHは、NH酸化触媒C2において供給された空気及び燃焼ガスG1中のOにより酸化されてNとHOになり、NHが削減される。
6)NOx還元触媒C1を通過した燃焼ガスG1は、次いでCO酸化触媒C3を通過して燃焼ガスG1に含まれたCOは供給された空気及び燃焼ガスG1中のOで酸化されてCOとなりCOが削減される。
【0036】
上記実施の形態に係るボイラ10、浄化装置18によれば、NOx還元触媒C1、NH酸化触媒C2、CO酸化触媒C3の順に燃焼ガスG1を通過させるので、NOxを還元した際に生成されるNHがCO酸化触媒に到達するのが抑制される。
【0037】
以上のように、燃焼ガスG1中に含まれるNHが空気の存在によってNH酸化触媒C2により酸化除去されるのでCO酸化触媒におけるNOxが生成されるのが抑制される。
【0038】
図4、図5は、以上の効果を概念的に示すものであり、横軸(L)は、燃焼ガスの流れる方向及びNOx還元触媒C1、NH酸化触媒C2、CO酸化触媒C3の位置を表しており、縦軸はNOx、NH、COの濃度(M)を概念的に示している。破線で示したのは、NHの濃度(M)の推移である。
なお、図4は、NOx還元触媒C1、CO酸化触媒C3からなる周知の浄化装置におけるNOx、NH、COの濃度の推移を示したものである。
【0039】
図5は、浄化装置18にて、ノズル20から適量の空気を供給してNHを酸化する場合のNOx、NH、CO、及びノズル20から供給する空気中のOの濃度の推移を示したものであり、
この場合、NOx還元触媒C1で生成されたNHはNH酸化触媒C2に到達するが、NH酸化触媒C2において供給された空気と反応して低減されるので、CO酸化触媒C3におけるNHの酸化に由来するNOxの生成を抑制することができる。
【0040】
その結果、NOx還元触媒C1を高い温度領域に配置するとともにCO酸化触媒C3を低い温度領域に配置して広い温度範囲で効率的にNOx及びCOを削減することができる。
その結果、燃焼ガスG1中のNOx及びCOを効率的に削減することができる。
【0041】
また、理論空気比近傍の燃焼においてNOx還元触媒C1により生成されるNHを、例えば、空気注入法等の酸化手段によって有効に酸化させる場合、CO酸化反応温度E3以上で反応させると低NOx化が困難となり、CO酸化反応温度E3以下の温度で反応させると低CO化が困難となるが、上記実施形態のように、NOx還元触媒C1、NH酸化触媒C2、CO酸化触媒C3を、それぞれNOx還元反応温度E1、NH酸化反応温度E2、CO酸化反応温度E3に配置することにより、生成されたNHを効率的に除去し、燃焼ガスG1の低NOx化が可能となる。
【0042】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更をすることが可能である。
上記実施の形態においては、NOx還元触媒C1、NH酸化触媒C2、CO酸化触媒C3を通過する燃焼ガスG1が、それぞれNOx還元反応温度E1、NH酸化反応温度E2、CO酸化反応温度E3となるように、NOx還元触媒C1、NH酸化触媒C2、CO酸化触媒C3を配置する場合について説明したが、このうちのいずれかを上記温度の範囲外の領域に配置してもよい。
【0043】
また、上記実施の形態においては、NOx還元触媒C1とNH酸化触媒C2の間に空気を供給する場合について説明したが、ノズル20を有しない構成、又はノズル20からの空気の供給を行わない構成としてもよい。
【0044】
また、上記実施の形態においては、NOx還元触媒C1が缶体13内に配置され、NH酸化触媒C2、CO酸化触媒C3が排出路17のガス流路Rに配置される湯合について説明したが、ガス流路Rを排出路17の一部とみなしてこれら触媒のいずれかをバーナ14と排出口17Aまでのいずれかの領域に配置することも可能である。
【0045】
また、上記実施の形態においては、浄化装置18を小型貫流型の蒸気ボイラに適用する場合について説明したが、蒸気ボイラのみならず温水ボイラに対しても適用可能であり、また、貫流型ボイラの他、水管が環状に配列された多管式のボイラ、炉筒煙管ボイラ、バーナにより加熱管を直接加熱する給湯器等、種々の構造のボイラに適用することが可能である。
また、ボイラ以外の燃焼機器に対して適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
燃焼ガスがNOx還元触媒と接触して生成されるNHに由来するNOxの生成を効率的に抑制することができ産業上利用可能である。
【符号の説明】
【0047】
G1 燃焼ガス
R ガス流路(通気路)
C1 NOx還元触媒
C2 NH酸化触媒
C3 CO酸化触媒
10 ボイラ(燃焼装置)
17 排出路(通気路)
18 浄化装置
20 ノズル(酸化ガス供給手段)



【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼により発生した燃焼ガスに含まれるNOx及びCOを削減するための浄化装置であって、
前記燃焼ガスが移動可能な通気路と、
前記通気路に配置され、前記燃焼ガスが通過可能とされるCO酸化触媒と、
前記通気路において前記CO酸化触媒の上流側に配置され、前記燃焼ガスが通過可能とされるNOx還元触媒と、
前記CO酸化触媒と前記NOx還元触媒の間に配置され、前記燃焼ガスが移動可能とされるNH酸化触媒と、を備えていることを特徴とする浄化装置。
【請求項2】
請求項1に記載の浄化装置であって、
前記通気路は、前記NOx還元触媒と前記NH酸化触媒の間にO含有ガスを供給するための酸化ガス供給手段を備えることを特徴とする浄化装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の浄化装置を備えることを特徴とするボイラ。
【請求項4】
請求項3に記載のボイラであって、
燃料を理論空気比以下で燃焼させる燃焼制御手段を備えることを特徴とするボイラ。
【請求項5】
燃焼により発生した燃焼ガスに含まれるNOx及びCOを削減する燃焼ガスの浄化方法であって、
前記燃焼ガスが移動可能とされる通気路の上流側から下流側に、NOx還元触媒、NH酸化触媒、CO酸化触媒をこの順に配置し、
前記上流側から前記下流側に燃焼ガスを通過させてNOx及びCOを削減することを特徴とする燃焼ガスの浄化方法。
【請求項6】
請求項5に記載の燃焼ガスの浄化方法であって、
燃焼における空気比を理論空気比以下で燃焼させ、
前記通気路の前記NOx還元触媒と前記NH酸化触媒の間にO含有ガスを供給することを特徴とする燃焼ガスの浄化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−190520(P2010−190520A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−36912(P2009−36912)
【出願日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【Fターム(参考)】