説明

燃焼装置及び溶融金属容器の湯道洗浄方法

【課題】 燃焼装置により、溶融金属容器の湯道に付着した地金を短時間で効率よく溶削させて、溶融金属容器の湯道を適切に洗浄できるようにする。
【解決手段】 燃焼バーナ10先端の中央部に助燃性ガスを高速で吐出させることができる助燃性ガス吐出ノズル11aと燃料ガスを吐出させる燃料ガス吐出ノズル12aとを有する内炎用の燃焼用ノズル13aが複数設けられると共に、この内炎用の燃焼用ノズルの外周側に、助燃性ガスを高速で吐出させることができる助燃性ガス吐出ノズル11bと燃料ガスを吐出させる燃料ガス吐出ノズル12bとを有する外炎用の燃焼用ノズル13bが複数設けられた燃焼装置を用いた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンディッシュ等の溶融金属容器の湯道に付着した地金を溶削させたりするのに使用する燃焼装置及びこの燃焼装置により溶融金属容器の湯道に付着した地金を溶削させて除去し、溶融金属容器の湯道詰りを防止する溶融金属容器の湯道洗浄方法に関するものである。特に、上記の溶融金属容器の湯道に付着した地金を短時間で効率よく溶削させて、溶融金属容器における湯道を適切に洗浄できるようにした点に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、タンディッシュ等の溶融金属容器においては、特許文献1に示されるように、溶融金属を通す湯道の部分における耐火物等に熱が奪われて溶融金属が凝固して湯道に地金が付着し、これにより湯道が詰まったりするという問題があった。また、湯道の別形態としては、特許文献2に示されるように、注湯口(タンディッシュ上ノズル)があり、これにおいても同様の問題があった。
【0003】
このため、溶融金属容器の湯道に付着した地金を除去して、溶融金属容器において湯道が詰まるのを防止することが従来から行われている。
【0004】
そして、このように湯道に付着した地金を除去するにあたり、従来においては、燃焼バーナを用いた燃焼装置により、湯道に付着した地金を加熱溶融させて除去することが行われていたが、湯道に付着した地金を加熱溶融させて除去するのに多くの時間を要するという問題があった。
【0005】
また、湯道に付着した地金を速やかに加熱溶融させて除去するため、さらに燃焼装置と反対側から酸素ジェットランスを用いて酸素を吹き付けることも行われていた。
【0006】
しかし、このように酸素ジェットランスを用いて酸素を吹き付ける場合、作業者が酸素ジェットランスを適切な位置にセットさせて酸素の吹き付けを行うため、作業が面倒であると共に、地金の加熱溶融に伴う煙等が発生して、作業者に悪影響を及ぼすおそれがあった。
【0007】
また、従来においては、特許文献2に示されるように、湯道となるタンディッシュの注湯口(タンディッシュ上ノズル)の出口側にシールカバーを設け、このシールカバー内を通して、湯道に付着した地金に非酸化性ガス、還元性ガス、またはこれらの混合ガスを原料ガスとするプラズマジェットをプラズマトーチから吹き付けて、湯道を洗浄するようにしたものも提案されている。
【0008】
しかし、このように湯道となるタンディッシュの注湯口の出口側にシールカバーを設け、プラズマトーチから上記のような原料ガスをプラズマジェットにして吹き付ける場合には、作業が面倒で、コストが高くつくと共に、湯道に付着した地金を速やかに除去させることができないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平9−220647号公報
【特許文献2】特開平11−138240号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、タンディッシュ等の溶融金属容器における湯道に付着した地金を溶削させたりする場合における上記のような問題を解決することを課題とするものである。
【0011】
すなわち、本発明は、燃焼装置により溶融金属容器の湯道に付着した地金を溶削させて除去するにあたり、溶融金属容器の湯道に付着した地金を短時間で効率よく溶削させて、溶融金属容器における湯道を適切に洗浄できるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明における燃焼装置においては、上記のような課題を解決するため、燃焼バーナ先端の中央部に内炎用の燃焼用ノズルを設けると共に、この内炎用の燃焼用ノズルの外周側に外炎用の燃焼用ノズルを設け、内炎と外炎とを独立して制御できるようにした。
【0013】
そして、このような燃焼装置においては、燃焼バーナ先端の中央部に助燃性ガスを吐出させる助燃性ガス吐出ノズルと燃料ガスを吐出させる燃料ガス吐出ノズルとを有する内炎用の燃焼用ノズルを複数設けると共に、この内炎用の燃焼用ノズルの外周側に、助燃性ガスを吐出させる助燃性ガス吐出ノズルと燃料ガスを吐出させる燃料ガス吐出ノズルとを有する外炎用の燃焼用ノズルを複数設けるようにすることができる。
【0014】
ここで、この燃焼装置においては、上記の助燃性ガスとして、酸素や空気などを用いることができるが、燃料ガスの燃焼性を高めるためには、助燃性ガスに酸素を用いることが好ましい。
【0015】
また、この燃焼装置において、上記の各助燃性ガス吐出ノズルから助燃性ガスを吐出させるにあたり、溶融金属容器の湯道に付着した地金を短時間で効率よく溶削させ、前方に吹き飛ばすためには、上記の各助燃性ガス吐出ノズルから助燃性ガスを高速で吐出させることが好ましく、一方、助燃性ガスを吐出させる速度が速くなりすぎると、火炎がリフトして、安定した燃焼が行えなくなるおそれがある。このため、上記の各助燃性ガス吐出ノズルから吐出させる助燃性ガスの吐出速度を450〜500m/sの範囲にすることが好ましい。
【0016】
また、上記のように助燃性ガス吐出ノズルから助燃性ガスを高速で吐出させた場合においても、燃料ガスが安定して燃焼されるようにするため、上記の各燃焼用ノズルの先端部に燃焼用凹部を設けることが好ましい。
【0017】
また、上記のように燃焼バーナ先端に内炎用と外炎用の燃焼用ノズルをそれぞれ複数設けた場合において、内炎用及び外炎用の各燃焼用ノズルにおける助燃性ガス吐出ノズルと燃料ガス吐出ノズルとに、それぞれ助燃性ガスと燃料ガスとを適切に供給させるにあたっては、内炎用の燃焼用ノズルにおける助燃性ガス吐出ノズルに助燃性ガスを供給する内炎用助燃性ガス供給管と、内炎用の燃焼用ノズルにおける燃料ガス吐出ノズルに燃料ガスを供給する内炎用燃料ガス供給管と、外炎用の燃焼用ノズルにおける助燃性ガス吐出ノズルに助燃性ガスを供給する外炎用助燃性ガス供給管と、外炎用の燃焼用ノズルにおける燃料ガス吐出ノズルに燃料ガスを供給する外炎用燃料ガス供給管とを多重管構造にすることができる。
【0018】
また、この燃焼装置においては、隣り合う燃焼用ノズルにおいて互いに適切な燃焼が行われると共に、燃焼を互いに補完できるようにするため、上記の助燃性ガス吐出ノズルの内径をD、隣り合う燃焼用ノズルにおける助燃性ガス吐出ノズル間の間隔をPとした場合に、3≦P/D≦5の条件を満たすようにすることが好ましい。
【0019】
なお、本発明の燃焼装置は、溶融金属容器の湯道洗浄装置として使用する。一般に、溶融金属容器の湯道の断面は、直径50mm以上、400mm以下の円形か、当該円形と同面積の面である。
【0020】
そして、本発明における溶融金属容器の湯道洗浄方法においては、上記の燃焼装置を用いて、溶融金属容器の湯道に付着した地金を溶削させて除去するようにした。
【0021】
ここで、上記の燃焼装置により溶融金属容器の湯道に付着した地金を溶削させて除去するにあたっては、溶融金属容器の湯道に付着した地金を溶削させる初期に、上記の内炎用の燃焼用ノズルにおける燃焼を、外炎用の燃焼用ノズルにおける燃焼より強くすることが好ましい。また、溶融金属容器の湯道に付着した地金を溶削させる初期に、上記の内炎用の燃焼用ノズルにおける燃焼だけを行い、その後、外炎用の燃焼用ノズルにおける燃焼だけを行うようにすることもできる。
【発明の効果】
【0022】
本発明における燃焼装置においては、燃焼バーナ先端の中央部に内炎用の燃焼用ノズルを設けると共に、この内炎用の燃焼用ノズルの外周側に外炎用の燃焼用ノズルを設け、内炎と外炎とを独立して制御できるようにしたため、この燃焼装置を用いて溶融金属容器の湯道を洗浄する場合、溶融金属容器の湯道に付着した地金を溶削させる初期に、上記の内炎用の燃焼用ノズルにおける燃焼を、外炎用の燃焼用ノズルにおける燃焼より強くすることができる。さらに、溶融金属容器の湯道に付着した地金を溶削させる初期に、上記の内炎用の燃焼用ノズルにおける燃焼だけを行い、その後、外炎用の燃焼用ノズルにおける燃焼だけを行うようにすることもできる。
【0023】
また、本発明における燃焼装置において、燃焼バーナ先端に設けられた複数の内炎用の燃焼用ノズルと、その外周側に設けられた複数の外炎用の燃焼用ノズルとにおいて、それぞれ助燃性ガス吐出ノズルから助燃性ガスを吐出させて燃料ガスを燃焼させるようにした場合、それぞれ助燃性ガス吐出ノズルから助燃性ガスを高速で吐出させて燃料ガスを強く燃焼させることができるようになると共に、このように助燃性ガスを助燃性ガス吐出ノズルから高速で吐出させた場合において、一部の燃焼用ノズルにおける火炎が不安定になっても、隣接する燃焼用ノズルにおける燃焼によって補完するので火炎が飛んだりするということがなく、各燃焼用ノズルにおいて安定した燃焼が行えるようになる。
【0024】
そして、本発明における燃焼装置を用いて、溶融金属容器の湯道に付着した地金を溶削させて除去する場合、燃焼バーナ先端に設けられた複数の内炎用の燃焼用ノズルと、複数の外炎用の燃焼用ノズルとにおいて、それぞれ助燃性ガス吐出ノズルから助燃性ガスを高速で吐出させて燃料ガスを燃焼させることができ、従来のように酸素ジェットランスを用いなくても、燃焼バーナ先端に設けられた複数の内炎用の燃焼用ノズルと複数の外炎用の燃焼用ノズルとにおける燃焼によって、溶融金属容器の湯道に付着した地金が速やかに溶融されるようになり、溶融金属容器の湯道に付着した地金が短時間で効率よく溶削されて除去され、溶融金属容器における湯道を適切に洗浄できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態に係る燃焼装置において、燃焼バーナの先端側の概略正面図である。
【図2】上記の実施形態における燃焼装置において、燃焼バーナ先端に設けた燃焼用ノズルの断面説明図である。
【図3】上記の実施形態における燃焼装置において、燃焼バーナ先端に設けられた内炎用の燃焼用ノズルにおける助燃性ガス吐出ノズルと燃料及び外炎用の燃焼用ノズルにおける助燃性ガス吐出ノズルと燃焼用ノズルとにそれぞれ助燃性ガスや燃料ガスを供給する構造を示した概略断面説明図である。
【図4】上記の実施形態における燃焼装置において、制御装置によって内炎用の燃焼用ノズルに供給する助燃性ガス及び燃料ガスの量を制御すると共に、外炎用の燃焼用ノズルに供給する助燃性ガス及び燃料ガスの量を制御する構成を示したブロック図である。
【図5】上記の実施形態における燃焼装置を用いて溶融金属容器の湯道に付着した地金を溶削させる状態を示した概略断面説明図である。
【図6】上記の実施形態における燃焼装置を用いて溶融金属容器の湯道に付着した地金を溶削させる初期において、内炎用の燃焼用ノズルにおける燃焼を、外炎用の燃焼用ノズルにおける燃焼より強くした状態を示した概略説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、この発明の実施形態に係る燃焼装置及びこの燃焼装置を用いて溶融金属容器の湯道に付着した地金を溶削させて除去する溶融金属容器の湯道洗浄方法を添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、この発明に係る燃焼装置及び溶融金属容器の湯道洗浄方法は下記の実施形態に示したものに限定されず、発明の要旨を変更しない範囲において、適宜変更して実施できるものである。
【0027】
この実施形態における燃焼装置においては、図1〜図3に示すように、燃焼バーナ10先端の中央部に、酸素や空気からなる助燃性ガスを音速以上の高速で吐出させることができるラバールノズルを用いた助燃性ガス吐出ノズル11aと、燃料ガスを吐出させる燃料ガス吐出ノズル12aとを有する内炎用の燃焼用ノズル13aを複数設けると共に、この内炎用の燃焼用ノズル13aの外周側に、酸素や空気からなる助燃性ガスを音速以上の高速で吐出させることができるラバールノズルを用いた助燃性ガス吐出ノズル11bと、燃料ガスを吐出させる燃料ガス吐出ノズル12bとを有する外炎用の燃焼用ノズル13bを複数設け、さらにこの外炎用の燃焼用ノズル13bの外周側に、この燃焼バーナ10を冷却させるための冷却部14を設けている。
【0028】
ここで、上記の内炎用及び外炎用の各燃焼用ノズル13a,13bにおいては、図2に示すように、それぞれの先端部に燃焼用凹部15a,15bが設けられ、この燃焼用凹部15a,15bに、上記の助燃性ガス吐出ノズル11a,11bから助燃性ガスを吐出させると共に上記の燃料ガス吐出ノズル12a,12bから燃料ガスを吐出させ、この燃焼用凹部15a,15bにおいて、燃料ガスを助燃性ガスと接触させて燃焼させるようにしている。
【0029】
また、上記の内炎用及び外炎用の各燃焼用ノズル13a,13bにおける各助燃性ガス吐出ノズル11a,11bに助燃性ガスを供給すると共に、各燃料ガス吐出ノズル12a,12bに燃料ガスを供給するにあたり、この実施形態においては、図3に示すように、内炎用の燃焼用ノズル13aにおける助燃性ガス吐出ノズル11aに助燃性ガスを供給する内炎用助燃性ガス供給管16aと、内炎用の燃焼用ノズル13aにおける燃料ガス吐出ノズル12aに燃料ガスを供給する内炎用燃料ガス供給管17aと、外炎用の燃焼用ノズル13bにおける助燃性ガス吐出ノズル11bに助燃性ガスを供給する外炎用助燃性ガス供給管16bと、外炎用の燃焼用ノズル13bにおける燃料ガス吐出ノズル12bに燃料ガスを供給する外炎用燃料ガス供給管17bとを同心円状に配置させた多重管構造にして、上記のように内炎用及び外炎用の各燃焼用ノズル13a,13bが設けられた燃焼バーナ10先端のノズル部10aに接続させている。
【0030】
また、この実施形態の燃焼装置においては、図4に示すように、制御装置20により、助燃性ガス供給装置21から上記の内炎用の燃焼用ノズル13a及び外炎用の燃焼用ノズル13bにおける各助燃性ガス吐出ノズル11a,11bに供給する助燃性ガスの量を制御すると共に、燃料ガス供給装置22から上記の内炎用の燃焼用ノズル13a及び外炎用の燃焼用ノズル13bにおける各燃料ガス吐出ノズル12a,12bに供給する燃料ガスの量を制御するようにしている。
【0031】
そして、図5に示すように、タンディッシュ等の溶融金属容器30において耐火物31に設けられた溶融金属を通す湯道32の部分に付着した地金33を、この実施形態の燃焼装置を用いて溶削させるにあたっては、上記の燃焼バーナ10先端を上記の湯道32の部分に向けてセットし、上記の内炎用及び外炎用の各燃焼用ノズル13a,13bにおける上記の燃焼用凹部15a,15bに、それぞれ助燃性ガス吐出ノズル11a,11bから助燃性ガスを吐出させると共に燃料ガス吐出ノズル12a,12bから燃料ガスを吐出させ、燃料ガスを内炎用及び外炎用の各燃焼用ノズル13a,13bにおいて燃焼させて、湯道32の部分に付着した地金33を溶削させるようにしている。
【0032】
ここで、上記のように内炎用及び外炎用の各燃焼用ノズル13a,13bにおける燃焼用凹部15a,15bに、それぞれ助燃性ガス吐出ノズル11a,11bから助燃性ガスを吐出させると共に燃料ガス吐出ノズル12a,12bから燃料ガスを吐出させるようにすると、各燃焼用凹部15a,15bの内部で助燃性ガスと燃料ガスとが互いにぶつかって攪拌されて混合されるため、各燃焼用ノズル13a,13bにおいて安定した火炎が得られるようになると共に、火炎が燃焼バーナ10の内部に逆火するのも防止される。
【0033】
ここで、内炎用及び外炎用の各燃焼用ノズル13a,13bに設けられた上記の助燃性ガス吐出ノズル11a,11bからそれぞれ助燃性ガスを音速以上の高速で吐出させると、内炎用及び外炎用の各燃焼用ノズル13a,13bにおける高速の火炎により、湯道32の部分に付着した地金33が速やかに溶融されて、湯道32の部分に付着した地金33が速やかに溶削されるようになる。
【0034】
また、上記のように助燃性ガス吐出ノズル11a,11bからそれぞれ助燃性ガスを音速以上の高速で吐出させた場合においては、内炎用及び外炎用の各燃焼用ノズル13a,13bにおける上記の燃焼用凹部15a,15bにおいて火炎が保炎されると共に、隣接する各燃焼用ノズル13a,13bにおける燃焼により、火炎が飛んで消えたりするということもなく、各燃焼用ノズル13a,13bにおいて安定した燃焼が行えるようになる。
【0035】
ここで、上記の各助燃性ガス吐出ノズル11a,11bから助燃性ガスを吐出させる吐出速度が遅くなると、上記のように溶融された地金33を前方に押し出して適切に吹き飛ばすことができなくなる。一方、吐出速度が速くなりすぎると、各燃焼用ノズル13a,13bにおける火炎がリフトして燃焼が不安定になり、これにより燃焼効率が低下して、溶解効率が低下すると共に騒音が大きくなる。このため、各助燃性ガス吐出ノズル11a,11bから助燃性ガスを吐出させる吐出速度を450〜500m/sの範囲にすることが好ましい。
【0036】
また、上記の内炎用及び外炎用の各燃焼用ノズル13a,13bにおいて、隣り合う燃焼用ノズル13a,13a、13b,13bにおいて互いに適切な燃焼が行われると共に、燃焼を互いに補完できるようにするためには、図1に示すように、助燃性ガス吐出ノズル11a,11bの内径をD、内炎用の燃焼用ノズル13aや外炎用の燃焼用ノズル13bにおいて、それぞれ隣り合う燃焼用ノズル13a,13a、13b,13bにおける助燃性ガス吐出ノズル11a,11a、11b,11b間の間隔をPとした場合に、3≦P/D≦5の条件を満たすようにすることが好ましい。
【0037】
なお、上記のように燃料ガスを内炎用及び外炎用の各燃焼用ノズル13a,13bにおいて燃料ガスを燃焼させて、湯道32の部分に付着した地金33を溶削させるにあたり、初期の段階においては、上記の制御装置20により、内炎用の助燃性ガス吐出ノズル11aから吐出させる助燃性ガスの量及び内炎用の燃料ガス吐出ノズル12aから吐出させる燃料ガスの量を、外炎用の助燃性ガス吐出ノズル11bから吐出させる助燃性ガスの量及び外炎用の燃料ガス吐出ノズル12bから吐出させる燃料ガスの量よりも多くし、図6に示すように、内炎用の燃焼用ノズル13aにおける燃焼を、外炎用の燃焼用ノズル13bにおける燃焼より強くすることが好ましい。
【0038】
このようにすると、湯道32に付着した地金33によって湯道32の開口が小さくなっていても、内炎用の燃焼用ノズル13aにおける燃焼の火炎により、この湯道32の中心部における地金33が速やかに溶削され、湯道32が貫通されて開口が次第に大きくなり、湯道32に付着した地金33が適切に溶削されると共に、火炎がバックラッシュしたりするのが防止されるようになる。また、上記の外炎用の燃焼用ノズル13bによる外炎によって周囲の空気の巻き込みが防止されるため、内炎の速度が減衰したり、温度が低下したりするのが軽減される。
【0039】
また、このように湯道32の中心部における地金33を溶削させて、地金33が付着した湯道32における貫通孔をある程度まで大きくした後に、外炎用の助燃性ガス吐出ノズル11bから吐出させる助燃性ガスの量及び外炎用の燃料ガス吐出ノズル12bから吐出させる燃料ガスの量を多くして、外炎用の燃焼用ノズル13bにおける燃焼を強くし、湯道32の周辺部に付着した地金33を溶削させるようにする。
【0040】
なお、上記の実施形態において、湯道32に付着した地金33を溶削する初期に、内炎用の燃焼用ノズル13aにおける燃焼を、外炎用の燃焼用ノズル13bにおける燃焼より強くするようにしたが、湯道32に付着した地金33を溶削する後期に、外炎用の燃焼用ノズル13bにおける燃焼を、内炎用の燃焼用ノズル13aにおける燃焼より強くしてもよい。
【0041】
また、湯道32に付着した地金33を溶削する初期に、内炎用の燃焼用ノズル13aにおける燃焼だけを行い、地金33が付着した湯道32における貫通孔をある程度まで大きくした後、外炎用の燃焼用ノズル13bにおける燃焼だけを行うようにすることもできる。
【0042】
上記のように、本発明においては、内炎用の燃焼用ノズル13aにおける燃焼と、外炎用の燃焼用ノズル13bにおける燃焼とをそれぞれ独立して制御し、湯道32の開口が付着した地金33によって小さくなっている場合には、内炎用の燃焼用ノズル13aによる内炎を外炎用の燃焼用ノズル13bによる外炎より強くし、湯道32の中心部における地金33を溶解させて、湯道32を貫通する開口を徐々に大きくするのに燃料を集中して使用し、湯道32を貫通する開口がある程度大きくなった時点で、外炎用の燃焼用ノズル13bにおける燃焼を、内炎用の燃焼用ノズル13aにおける燃焼より強くして、湯道32を貫通する開口を広げることに燃料を集中させるようにしている。このため、燃料を効率よく使用することができ、従来よりも短時間で湯道32を洗浄することが可能になった。
【符号の説明】
【0043】
10 燃焼バーナ
11a,11b 助燃性ガス吐出ノズル
12a,12b 燃料ガス吐出ノズル
13a,13b 燃焼用ノズル
14 冷却部
15a,15b 燃焼用凹部
16a 内炎用助燃性ガス供給管
16b 外炎用助燃性ガス供給管
17a 内炎用燃料ガス供給管
17b 外炎用燃料ガス供給管
20 制御装置
21 助燃性ガス供給装置
22 燃料ガス供給装置
30 溶融金属容器
31 耐火物
32 湯道
33 地金
D 助燃性ガス吐出ノズルの内径
P 隣り合う助燃性ガス吐出ノズル間の間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼バーナ先端の中央部に内炎用の燃焼用ノズルが設けられると共に、この内炎用の燃焼用ノズルの外周側に外炎用の燃焼用ノズルが設けられ、内炎と外炎とを独立して制御できることを特徴とする燃焼装置。
【請求項2】
請求項1に記載の燃焼装置において、燃焼バーナ先端の中央部に助燃性ガスを吐出させる助燃性ガス吐出ノズルと燃料ガスを吐出させる燃料ガス吐出ノズルとを有する内炎用の燃焼用ノズルが複数設けられると共に、この内炎用の燃焼用ノズルの外周側に、助燃性ガスを吐出させる助燃性ガス吐出ノズルと燃料ガスを吐出させる燃料ガス吐出ノズルとを有する外炎用の燃焼用ノズルが複数設けられていることを特徴とする燃焼装置。
【請求項3】
請求項2に記載の燃焼装置において、上記の各燃焼用ノズルの先端部に燃焼用凹部が設けられ、この燃焼用凹部の中に上記の助燃性ガス吐出ノズルと燃料ガス吐出ノズルとが設けられていることを特徴とする燃焼装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の燃焼装置において、上記の内炎用の燃焼用ノズルにおける助燃性ガス吐出ノズルに助燃性ガスを供給する内炎用助燃性ガス供給管と、内炎用の燃焼用ノズルにおける燃料ガス吐出ノズルに燃料ガスを供給する内炎用燃料ガス供給管と、外炎用の燃焼用ノズルにおける助燃性ガス吐出ノズルに助燃性ガスを供給する外炎用助燃性ガス供給管と、外炎用の燃焼用ノズルにおける燃料ガス吐出ノズルに燃料ガスを供給する外炎用燃料ガス供給管とが多重管構造になっていることを特徴とする燃焼装置。
【請求項5】
請求項2〜請求項4の何れか1項に記載の燃焼装置において、上記の助燃性ガス吐出ノズルから吐出させる助燃性ガスの吐出速度が450〜500m/sの範囲であることを特徴とする燃焼装置。
【請求項6】
請求項2〜請求項5の何れか1項に記載の燃焼装置において、上記の助燃性ガス吐出ノズルの内径をD、隣り合う燃焼用ノズルにおける助燃性ガス吐出ノズル間の間隔をPとした場合に、3≦P/D≦5の条件を満たすことを特徴とする燃焼装置。
【請求項7】
請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の燃焼装置を用い、溶融金属容器の湯道に付着した地金を溶削させる初期に、上記の内炎用の燃焼用ノズルにおける燃焼を、外炎用の燃焼用ノズルにおける燃焼より強くすることを特徴とする溶融金属容器の湯道洗浄方法。
【請求項8】
請求項7に記載の溶融金属容器の湯道洗浄方法において、溶融金属容器の湯道に付着した地金を溶削させる初期に、上記の内炎用の燃焼用ノズルにおける燃焼だけを行い、その後、外炎用の燃焼用ノズルにおける燃焼だけを行うことを特徴とする溶融金属容器の湯道洗浄方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−31859(P2013−31859A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−168055(P2011−168055)
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【出願人】(000211123)中外炉工業株式会社 (170)
【出願人】(000006655)新日鐵住金株式会社 (6,474)
【出願人】(000233734)株式会社アステック入江 (25)
【Fターム(参考)】