説明

燃焼装置

【課題】
粒径が75μm〜1mm程度の粉粒炭、及び、粒状バイオマス等の粉粒状燃料を燃料として使用することができる、暖房装置等に使用可能な燃焼装置の提供。
【解決手段】
回転型燃焼器10の底部中央には、内管にはヒーターH1が巻装された、粉粒炭と空気との混合流体を供給する粉粒状燃料/空気供給管P1、外管には2次空気供給管P2からなる二重管12の開口部が空隙を持って貫接し、バッフルにより内部が分割された回転型燃焼器10を回転させ、ヒーターH1によって加熱された粉粒状燃料/空気供給管P1中を空気と同伴する粉粒炭燃料を着火点以上に加熱し、粉粒炭燃料を燃焼器内に着火した状態で噴出・流入させ、同時に、2次空気供給管P2を経由し、大量の空気を強制通風し、着火した粉粒状燃料を燃焼器内で段階的に場所を移動させ、十分な滞留時間を保証して完全燃焼させ、一定温度範囲で継続的に燃焼させる燃焼装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉粒状燃料の燃焼装置に関し、回転型燃焼器内に、着火点温度以上に加熱した粉粒状燃料を投入し、同時に、強制通風し、燃焼器内で粉粒状燃料を連続的に燃焼させ、発生した熱を燃焼器内に拡散する事により、燃焼温度を一定の温度範囲内に保持し、生成した灰分及び、排気ガスを回転型燃焼器より分離・排出する事が可能である燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工業炉やボイラなどの燃焼設備において固体燃料を用いたものも多く、特に、石炭は我が国の一次エネルギー源としても重要な位置を占めている。又、建設廃材、木屑、間伐材、林地残材、稲わら、もみ殻等の木質の有機物を原材料として固形化し燃料とするバイオマスエネルギーの活用も期待されている。
【0003】
固形燃料として代表的な石炭の燃焼方法については、火格子炉を用いたもの,流動層炉を用いたものなど多数存在するが、石炭粒子を微粉砕し、微粉炭バーナーから炉内に吹き込むことによって燃焼させる微粉炭燃焼が主に用いられている。
【0004】
微粉炭燃焼は,ほかの燃焼方法に比べ高負荷燃焼が可能であり,燃焼効率が高く、大型化が容易であるなどの利点があり、多くのボイラに用いられている。バーナー燃焼方式は、バーナー先端で空気の流れによって微粉炭燃料と空気を混合し火炉内で燃焼させる(図1)。微粉炭燃料を短時間で着火・燃焼させるために、微粉炭の粒径は75μm 以下の粒子がおよそ80%程度となるように石炭を粉砕している。
【0005】
微粉炭燃焼は、上述したようなメリットがあり、多くのボイラに用いられているが、このような可燃性微粒子のハンドリングに於いては、装置の防爆対策が必要となる。
【0006】
微粉炭を燃料とした火力発電所などの大規模設備では、微粉炭の防爆のために、粒径が数mm以上の比較的大きな粒子でストックし、燃焼直前にミルで必要な粒径以下になるように粉砕し、貯留時の粉塵爆発を予防している。
【0007】
【特許文献1】特開2002−106811号公報
【0008】
しかし、空気と混合して燃焼させる微粉炭燃焼方式では、微粉炭の燃焼によって発生する燃焼熱が直接固体壁に伝わることなく、主として熱放射によって放散されるため、燃焼する微粉炭の燃焼温度は灰の融点を超える1000℃以上に達し、火炉内を飛び散る灰の粒子が溶融して炉壁に付着するクリンカの生成を防止するため、火炉は20〜40m程度の高さとならざるを得ない。
【0009】
一方、小型燃焼装置では、装置内部にミルを設置したり、空気搬送方式で燃焼させるスペースの確保が困難であることや、装置のコスト増加につながることから、空気搬送燃焼方式ではなく、微粉炭粒子の濃度が高い状態での燃焼方式となり、焼結機における燃焼のように、燃料が重量基準で数パーセントしか存在しなくても、燃焼炭の温度は、鉱石やフラックスの融点に近い1100℃以上になってしまい、クリンカが生成してしまう。
【0010】
揮発成分が少なく着火性の低い燃料や、粒径が大きく燃焼性の低い燃料を950℃以下の低温で燃焼させるために、一般には、流動層燃焼が利用される。流動層燃焼では、燃焼に直接関与しない珪砂などの高温粉体層中に底部の分散板を経由して空気を吹き込み、流動層とした流動媒体中に、直径数mmから数十mmの固体燃料を投入し、燃焼させ、サイクロンで捕集した未燃分が炉内へ循環する仕組みになっている(図2)。固体燃料は、分散板から供給される空気により流動媒体とともに混合・分散されており、着火性の低い燃料でも安定燃焼が可能であり、クリンカを生成する事もない。
【0011】
燃料は流動媒体の数パーセントとなるように投入され、燃料投入による流動層温度の低下が起こりにくい点も特徴である。流動層の起動は、予熱用バーナー等によって層全体を十分な温度まで昇温する方式が一般的である。大型の燃焼装置になると、数日間の運転停止であれば流動媒体の蓄熱により、ホットバンキングと呼ばれる燃料の投入のみでの再着火が可能な燃焼装置である。
【0012】
しかしながら、粉塵爆発の危険性が低く、比較的粒径が大きな固形燃料が使用可能な流動層燃焼方式の場合は、流動媒体の熱容量が大きいために、流動層の予熱に時間がかかり、流動層を予熱するための機構が別途必要なり、工場等で使用される大型設備に適用される方式であり、小型燃焼装置には適応できない。
【0013】
固形燃料を燃焼させ暖房装置として使用するストーブの場合は、燃焼器底部にロストルを設け、格子状の揺動ロストルを水平軸回りに揺動して格子状の隙間から灰を落下させるペレットストーブが知られているが、開口部の間隔を狭くすると、灰が詰まり、広げると、ペレットが数mm以下の未燃焼の燃料が落下してしまうという問題がある。
【0014】
【特許文献2】特開昭60−128136号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、取扱いにおいて防爆対策の必要ない、粒径75μm〜1mm程度の粉粒状炭、あるいは、粒子状に加工したバイオマス燃料等の粉粒状燃料を、迅速に着火し、連続・安定した燃焼の確保と、燃焼により生成する灰分、及び、排気ガス除去機構を設けた、家庭用ストーブ等の、小型の粉粒状燃料の回転型燃焼器を備えた燃焼装置に関する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
粉粒状燃料として、粒径が75μm以上の大きさの微粉炭を使用した。着火し燃焼性を上げるためには、粉粒炭へ点火し燃焼させた後、粉粒炭表面と空気との接触が十分確保でき、更に、燃焼器内での温度維持、及び、燃焼粉粒炭粒子と固体壁面との接触による放熱によって粒子の過熱を防止する一方、未燃焼粉粒炭の着火を促進することを可能とするため、燃焼器を回転式とし、燃料を回転型燃焼器内に同心円状バッフルおよびこれと交わる複数のバッフルを用いて段階的に分散し、燃焼完結に必要な滞留時間を確保するとともに、燃焼熱をバッフルや回転体の壁面に移動させることにより、粉粒炭の燃焼によって生成する灰が溶融することのない950℃以下に燃焼温度を抑えることが可能であり、燃焼によって生じた排気ガス及び灰は、バッフル及び燃焼気側壁を細かい孔が多数開いた耐熱素材、例えば、金属性にメッシュの細かい金網、を使用し、回転による遠心力、固形燃料成分との嵩比重差、及び、燃焼器に吹き込む2次空気により、燃焼器内から排出することが可能な構造とした燃焼装置を提供するものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の粉粒状燃料燃焼装置は、粒径が75μm〜1mm程度の粉粒炭、及び、粒状バイオマスを燃料として使用できるため、装置には防爆仕様、及び、灰溶融・付着対応の必要性がなく、粉粒状燃料を使用した、経済的な暖房装置、給湯器、発電機、コージェネシステム等が提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の概念を、実施例として図面により詳細に説明するが、本発明における回転型燃焼器の形状等はこの実施例に限定されるものではない。図3は、粉粒状燃料として、粉粒炭を使用した、本発明の一実施例の断面図である。燃焼器は、回転型燃焼器10であり、燃焼器の中心軸11底部中央には、内管が粉粒炭と空気との混合流体を供給する粉粒状燃料/空気供給管P1、外管が2次空気供給管P2からなる二重管12の開口部が空隙を持って貫接し、内管の粉粒状燃料/空気供給管P1にはヒーターH1が巻かれている。装置の電源を入れると、ヒーターH1に通電すると、粉粒状燃料/空気供給管P1は加熱され、同時に、回転型燃焼器10を回転させる。更に、エアーポンプAPより供給される空気で、粉粒状燃料/空気供給管P1中を通過する粉粒炭燃料を空気と同伴させ、粉粒体燃料を着火点以上に加熱し、燃焼器内に着火した状態で噴出・流入させる。同時に、エアーポンプより、2次空気供給管P2を経由し、大量の空気も供給し、着火した粉粒炭を燃焼器内で段階的に場所を移動させることにより十分な滞留時間を保証して、粉粒体燃料を完全燃焼させ、発生した熱量を速やかに、空気、及び、回転型燃焼器内のバッフル、並びに、側壁に移動させる事によって、粉粒状燃料の燃焼する温度を、その着火温度から、燃焼により生成した灰の溶融が著しくならない温度範囲、例えば、粉粒炭の場合は500〜950℃の範囲内、好ましくは、700〜900℃に温度範囲に制御可能な燃焼方式を採用した。
【0019】
回転型燃焼器10に投入された粉粒炭燃料が燃焼器内に満遍なく広く分散し、燃焼するようにするため、回転型燃焼器10内には複数のバッフル13,14を設置し、これらにより回転型燃焼器10内は、複数のスペースに仕切られている。バッフル13,14は耐熱性の優れた金属、あるいは、セラミック素材から形成された多数の細孔を有する素材、例えば、細かい耐熱金属性金網を使用し、粉粒炭燃料の燃焼面積の拡大と、燃焼によって生成する灰を分離するために、複数の板状バッフルで仕切られた、複数の同心円筒形ないし半球形のバッフルとする。燃焼器の側壁も、生成した灰分を燃焼器外に排出するため、同様の素材を使用している。しかし、燃焼器底部は、燃焼熱を蓄積し、輻射熱として発散することが出来る耐熱プレートを使用するのが好ましい。
【0020】
本発明の回転型燃焼器10を備えた燃焼装置において、粉粒炭燃料が加熱され、燃焼器内に空気と共に噴出す時点で、粉粒炭燃料は着火し、燃焼器の中で燃焼を促進するためには、粉粒炭が燃焼器に到達する手前の、粉粒状燃料/空気供給管P1を通過する間の短時間で粉粒炭を着火点500℃以上に加熱し、同時に、2次空気供給管P2より、大量の空気を供給する。
【0021】
粉粒炭燃料が回転型燃焼器10内に噴流となって噴出すると、着火した粉粒炭燃料が回転型燃焼器の内部に飛び散ってしまうので、燃焼器底部中央に遮蔽板15を設置し、噴出した粉粒炭は、遮蔽板への衝突後、回転燃焼器10底部に分散されるようにする。
【0022】
回転型燃焼器10の底部に分散され、着火した粉粒炭は、傾斜により、すぐに回転型燃焼器10の回転による遠心力で外周方向に徐々に移動してゆき、内側のバッフル13に蓄積する。着火した粉粒炭は、次々と板状バッフルで仕切られたバッフル内に蓄積してゆく。燃焼器内に着火した粉粒炭が蓄積すると、揮発分の燃焼がすぐ開始され、チャー燃焼へと移行し燃焼は安定する。2次空気供給管P2より、大量の空気を供給され、燃焼が拡大するに従い、燃焼器内部の温度は上昇してゆき、一定時間が経過すると、粉粒状燃料/空気供給管P1の加熱を行わなくても、燃焼器内の熱によって、粉粒状燃料粒子は着火点以上に加熱され、燃焼器に投入後、熱分解し、揮発性ガスとチャーを生成し、燃焼器内で継続的に燃焼させる事が可能となる。
【0023】
回転により、粒子の大きなチャーは遠心力を受け、バッフルの上方へ徐々に移動し、バッフル13からバッフル14へと落下し拡散してゆき、燃焼によって発生した細かい灰は、バッフル13、14の孔から徐々に落下してゆく。外側バッフル14内に落下したチャーも継続的に燃焼し、2次空気供給管P2からの大量の空気の供給により、回転型燃焼器内の広範囲でチャーは完全燃焼するようになる。このとき、回転型燃焼器10のバッフル上のチャーに作用する遠心力がチャーに作用する重力のバッフルの面が平行に近くなりことにより強められ、バッフル面を上部に押上げられるが、上方に移動するに従い、重力の影響で移動が弱められる。
【0024】
嵩比重の小さな灰は重量が小さいため、遠心力の影響は少なく、バッフル上を移動することが少なく、バッフル面に留まり、燃焼器の回転による振動で、孔より徐々に落下して行く。又は、2次空気供給管P2からの大量の空気により、燃焼器内に飛灰し、浮遊する。回転速度を調整することにより、遠心力と重力の関係は変化するので、粉粒状燃料の比重、大きさや形状により、最適な回転速度は決定される。
【0025】
回転型燃焼器10の側壁も、細かい格子状の孔のあいた網目状素材で構成されており、生成した灰、飛灰し浮遊した灰、及び、燃焼よって発生したガスは、回転型燃焼器の上部は耐熱ガラスにより封鎖されているため、側壁の孔を通じ燃焼器外部に排出される。
【0026】
燃焼を停止する場合は、粉粒状燃料/空気供給バルブを閉じ、燃焼器内に残った粉粒炭を燃焼させた後、2次空気供給管からの通気を最大空気量にしてパージしてから、電源スイッチをオフにする。
【0027】
上記、回転型燃焼器10の形状は円筒形、円柱形、多角柱形等の形状が好ましく、燃焼器は灰の排出処理を行うため、傾斜した回転型燃焼器10が好適である。回転は、中心軸を基点に一定方向に回転が可能な回転型燃焼器10が考えられるが、灰の排出を促進する方法として、例えば、中心軸を少しずらし偏心させ、回転による振動を増大させる方法や、或は、定期的な衝撃を回転型燃焼器に与えるため、回転型燃焼器10の回転方向を一定間隔で逆転させる設定も可能である。
【0028】
回転型燃焼器10の底部プレートは、黒色アルマイト処理、無電解ニッケル黒化処理などの耐熱・つや消処理を行い輻射率の高い表面加工が施された燃焼器であることが好ましい。黒色に着色した、燃焼器底部プレートは燃焼熱を蓄積し、赤外線を輻射熱として放出する。
【0029】
燃焼によって生成した灰及び燃焼によって発生したガスは、燃焼器壁面の孔より落下・排出するが、灰は落下後、下部の灰受けボックスASHに溜まってゆく。燃焼により発生したガスは、燃焼装置の排出口Eより、外部に排出されるが、燃焼開始時、及び、消火時の不完全燃焼により発生する一酸化炭素ガスは、排出口Eの入り口取り付けられた、酸化触媒付過熱ヒーターH2によって酸化し、炭酸ガスとして排出する機構も取り付けることが可能である。
【0030】
本発明の回転型燃焼器10は、燃焼器自体を回転させるため、前記二重管12は空隙をもち、回転型燃焼器10底部中央穴より貫入しており、燃焼器自体が独立回転する機構を設けていれば良い。例えば、回転型燃焼器10の底部プレートが円形の断熱プレート16上に固定されており、断熱プレート16の外周は歯車が軸着し、フレームで筐体に固定された歯車G2及びG3が該断熱プレートの歯車と咬合し、該断熱プレートを支保し、上部には、歯車G1が断熱プレート16の歯車と咬合し、歯車G1はモータMによる軸の回転を、ギアボックスGにより、断熱プレート歯車16に係合し、回転が伝導され、回転型燃焼器が回転する駆動機構が可能である。なおこの機構は、チェーンによるものに置き換えることも可能である。
【0031】
粉粒状燃料/空気供給管P1、及び、2次空気供給管P2の二重管12は、フレームで筐体に固定された円盤型プレートのOリングにより固定され、二重管12は、断熱プレート16、及び、回転型燃焼器10と完全に分離している。
【0032】
回転型燃焼装置10の電源を入れると、点火前に燃焼器内の滞留ガスを外に排出する為、エアーポンプAPが稼動し、2次空気供給管P2の通気を最大にした空気量でプレパージを行い、モータM、及び、ヒーターH1、ヒーターH2に通電し、回転型燃焼器10を回転を始め、同時に粉粒状燃料/空気供給管P1は加熱される。一定時間経過後、粉粒状燃料/空気供給管の温度が一定温度に上昇したら、パイロットランプが点灯し、粉粒状燃料/空気の供給開始を指示し、粉粒状燃料/空気制御バルブを開けることで、粉粒炭燃料が空気と同伴し、加熱した粉粒状燃料/空気供給管P1を経由して、着火した粉粒状燃料を、燃焼器内に噴出させる。ヒーターH1は点火時から一定時間経過後オフになる設定、及び、ヒーターH2は点火時と消火時の一定時間のみ通電とする設定も可能である。
【0033】
装置の安全対策として、燃焼条件が満足されない場合には、回転型燃焼器10を起動させないか、運転を停止する、例えば、起動インターロックや運転インターロック機構を設置し、パージ中および燃焼中の空気圧をチェックする機構や、 空気圧が設定値より低い場合は、回路オフにし、燃焼動作に入らないようにし、また、燃焼中であれば燃焼を停止する機構も取り入れる事が望ましい。
【0034】
更には、燃焼器内に温度制御用コントローラを設置し、粉粒状燃料/空気混合流体の供給用制御バルブ、及び、2次空気供給用のダンパを調節し、燃焼器内の温度を一定温度範囲内に保つ。万一故障し、設定温度より温度が上昇し、燃焼が継続した場合、これに対応するため、リミット用コントローラを使用し、上限の設定値を越えて燃焼器の温度が上昇した場合、接点が作動して回路を開き、燃焼を停止する様なインターロック機構も取り入ることが望ましい。
【0035】
粉粒状燃料として粉粒炭を使用すると、その着火点は500℃程度であるので、粉粒状燃料/空気供給管P1を加熱するヒーターH1として、例えば、ニクロム線を巻き通電する、あるいは、セラミックヒーターに通電し過熱する方法がある。この場合は、管径、粉粒炭粒径、搬送空気量等により発火温度到達に必要な管長は計算より求めることが可能である。
【0036】
粉粒状燃料/空気混合流体は、加熱された粉粒状燃料/空気供給管P1中を流通して燃焼器に投入されるが、粉粒炭燃料/空気供給管P1内部に、端部が遮蔽版15で固定されたスパイラル形状の薄い金属を差し込んでおくと、らせん流路を回転しながら、粉粒炭燃料/空気供給管P1内を流れるので、ヒーターで加熱された内面と接触する確率が増大し、より効果的に粉粒状燃料の温度を上昇させることが可能である。
【0037】
本発明の回転式燃焼器10を暖房装置として使用する場合は、暖房装置に通排気パイプを接続し、燃焼用の空気を屋外から直接に取り入れ、燃焼による排気ガスを屋外に強制排気する強制通気式の輻射式暖房機が好ましい。
【0038】
本発明の回転型燃焼器10の使用例として、粉粒状燃料の定量供給装置、及び、ファンを組合わせれば、図5のような、家庭用ストーブが考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】従来のバーナー燃焼方式による、微粉炭の燃焼器の概念図である。
【図2】従来の流動層燃焼器で固体燃料を燃焼させる概念図である。
【図3】本発明の概念を表わす回転型燃焼器の断面図であり、バッフル13、14により、燃焼器内は仕切られている状況を示す図である。
【図4】回転型燃焼器をa―a′より見た図である。
【図5】本発明の回転型燃焼器を装着した家庭用ストーブ例の外観図である。
【符号の説明】
【0040】
A: 空気
A・F 粉粒炭/空気混合流体
AP: エアーポンプ
ASH: 灰受けボックス
E: 排気ガス
G1、G2、G3:歯車
H1: ヒーター
H2: 酸化触媒付ヒーター
M: モータ
P1: 粉粒状燃料/空気供給管
P2: 2次空気供給管
10: 回転型燃焼器
11: 中心軸
12: 二重管
13、14: バッフル
15: 遮蔽板
16: 断熱プレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転型燃焼器の底部中央が開口し、内側には、ヒーターが巻装された粉粒状燃料/空気供給管、外側には燃焼用空気を供給する2次空気供給管からなる二重管が空隙を持って貫接し、粉粒状燃料/空気供給管より着火した粉粒状燃料が空気と同伴輸送され、回転型燃焼器内に流入し、2次空気供給管からの空気により、粉粒体燃料を燃焼させる燃焼装置。
【請求項2】
前記回転型燃焼器内にバッフルを設置し、粉粒状燃料の燃焼する温度を、粉粒状燃料の着火温度から、燃焼により生成した灰の溶融が著しくならない950℃以下の温度範囲内に制御する、請求項1に記載の燃焼装置。
【請求項3】
前記バッフルは、細かい孔を多数保有する耐熱素材からなり、複数の同心円筒形乃至半球形の構造と、それらを分割する複数の板状のバッフルからなる、請求項2に記載の燃焼装置。
【請求項4】
前記回転型燃焼器の側壁は、細かい孔を多数保有する耐熱素材からなる請求項1ないし3のいずれか1項に記載の燃焼装置。
【請求項5】
粉粒状燃料の燃焼によって生じた灰、及び、ガスを、前記回転型燃焼器の側壁の孔より燃焼器外部に排出する構造を有する、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の燃焼装置。
【請求項6】
前記粉粒体燃料として、粒径が75μmから1mmの粉粒炭、又は、粒状バイオマスを使用する請求項1ないし5のいずれか1項に記載の燃焼装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−78016(P2006−78016A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−260073(P2004−260073)
【出願日】平成16年9月7日(2004.9.7)
【出願人】(504132881)国立大学法人東京農工大学 (595)
【Fターム(参考)】