説明

燃焼装置

【課題】可燃性廃棄物を微粉炭のように細かく微粉砕することなく、キルン内で微粉炭等の主燃料とともに効率よく燃焼され、熱エネルギーとして有効に利用することができる燃焼装置を提供する。
【解決手段】可燃性廃棄物を廃棄物噴射口11から渦状に旋回させながら噴射する廃棄物噴射手段と、廃棄物噴射口11を囲むように配置された内側第一空気噴射口31から空気を噴射する内側第一空気噴射手段と、内側第一空気噴射口を囲むように配置された内側第二空気噴射口41から空気を噴射する内側第二空気噴射手段と、内側第二空気噴射口41を囲むように配置された主燃料噴射口51から粉末又は液体の主燃料を噴射する主燃料噴射手段と、主燃料噴射口51を囲むように配置された外側空気噴射口61から空気を噴射する外側空気噴射手段とを備え、噴射された可燃性廃棄物が旋回しながら拡散、主燃料と混合し、完全燃焼されやすくした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、セメント製造設備等の焼成用キルンに設置される燃焼装置に関し、特に、廃プラスチックや木屑等の可燃性廃棄物を燃料として有効利用することのできる燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばセメント製造設備等において使用されている焼成キルンは、本来、微粉炭を主な燃料源として用い、立ち上げ時等に補助的に重油を使用するものであるが、近年のサーマルリサイクルの要望や、燃料価格の高騰により、廃プラスチックや木屑等の可燃性廃棄物の利用率をより一層高めることが求められている。
【0003】
従来、焼成キルンに可燃性廃棄物を燃料として供給することは既に試みられており、例えば、微粉炭や重油を燃料として空気と共に噴射する従来のバーナの上部に、該バーナーとは別に可燃性廃棄物用の投入口を設け、該投入口から所定の大きさに粉砕した可燃性廃棄物を空気とともに噴出させ、燃焼させるようにした焼成キルン(特許文献1)や、可燃性廃棄物を微粉炭と同程度の粒径にまで微粉砕し、微粉炭とともにバーナから噴出させるようにした焼成キルン(特許文献2)等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−169196号公報
【特許文献2】WO98/29690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1のように、従来の一般的なバーナの上部から可燃性廃棄物を供給しただけではバーナにより形成される燃焼フレーム(火炎)中に該可燃性廃棄物が十分に取り込まれず、不完全燃焼して一酸化炭素が生成、排出されてしまうため、可燃性廃棄物の供給量を増やしても熱源として効率よく利用されないという問題があった。また、それによってキルン内の温度低下を招き、焼成に悪影響を及ぼすという問題もあった。
【0006】
また、上記特許文献2のように、可燃性廃棄物を微粉炭とともにバーナから噴出させようとすると、該可燃性廃棄物を微粉炭と同程度の粒径、即ち、100μm以下にまで微粉砕する必要があり、可燃性廃棄物を微粉砕するための前処理工程が極めて煩雑且つ大掛りとなるという問題があった。また逆に、可燃性廃棄物の微粉砕工程を簡略化し、微粉炭の粒径よりも大きい粒径のまま供給しようとすると、搬送途中で微粉炭と可燃性廃棄物とが搬送途中で分離しやすくなり、両者を一定の割合でノズル先端から噴射することが困難となり、形成される燃焼フレームが不安定となりやすいという問題があった。
【0007】
本発明は、上記のような従来技術の問題点に鑑み、可燃性廃棄物を微粉炭のように細かく微粉砕することなく供給することができ、しかも供給された可燃性廃棄物がキルン内で微粉炭等の主燃料とともに効率よく燃焼され、熱エネルギーとして有効に利用することができる燃焼装置を提供することを一の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するべく、本発明は、可燃性廃棄物を廃棄物噴射口から渦状に旋回させながら噴射する廃棄物噴射手段と、該廃棄物噴射口を囲むように配置された内側第一空気噴射口から空気を噴射する内側第一空気噴射手段と、該内側第一空気噴射口を囲むように配置された内側第二空気噴射口から空気を噴射する内側第二空気噴射手段と、該内側第二空気噴射口を囲むように配置された主燃料噴射口から粉末又は液体の主燃料を噴射する主燃料噴射手段と、該主燃料噴射口を囲むように配置された外側空気噴射口から空気を噴射する外側空気噴射手段とを備え、前記内側第一空気噴射手段は、噴射された空気の噴射方向における広がり角度を調節しうるように構成されていることを特徴とする燃焼装置を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る燃焼装置によれば、可燃性廃棄物を廃棄物噴射口から渦状に旋回させながら噴射する廃棄物噴射手段を設け、その廃棄物噴射口を囲むように配置された内側第一空気噴射口から空気を噴射する内側第一空気噴射手段、該内側第一空気噴射口を囲むように配置された主燃料噴射口から粉末状又は液体状の主燃料を噴射する主燃料噴射手段、該主燃料噴射口を囲むように配置された外側空気噴射口から空気を噴射する外側空気噴射手段を備えたことにより、廃棄物噴射口より噴射された可燃性廃棄物が主燃料によって形成される燃焼フレーム中に拡散、混合されやすくなり、粉末状又は液体状の主燃料と可燃性廃棄物との混合状態が良好となって該可燃性廃棄物が効率良く燃焼されることとなる。
【0010】
また、内側第一空気噴射手段が、噴射された空気の噴射方向における広がり角度を調節しうるように構成されていることにより、空気の供給量や流速を変えることなく燃焼フレームの形状を調整することが可能となるため、可燃性廃棄物のカロリーや粒径などの物性変動に応じて最適な燃焼フレームとなるよう調整することができ、可燃性廃棄物をより効率よく利用することが可能となる。
【0011】
このように、本発明に係る燃焼装置によれば、可燃性廃棄物を微粉炭のように細かく微粉砕することなく供給しても、供給された可燃性廃棄物がキルン内で微粉炭等の主燃料とともに効率よく燃焼され、熱エネルギーとして有効に利用されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係るセメント製造設備の一部分を示した概略断面図。
【図2】燃焼装置の先端部分の端面を示した概略図。
【図3】図2におけるA−A線における断面を示した図。但し、内側第二空気噴射口41についても、便宜的にその断面を示したものとする。
【図4】廃棄物噴射手段の一形態において、ブレードの構成を概念的に示した図。
【図5】内側第一空気噴射手段の一形態において、内管およびリブの構成を概念的に示した図。
【図6】内側第一空気噴射口の前後移動による作用を概念的に示した図。
【図7】燃焼装置の基端部において可燃性廃棄物、補助燃料、主燃料、一次空気の供給手段を概念的に示した図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る燃焼装置について、一実施形態を挙げて具体的に説明する。
本実施形態の燃焼装置1は、例えば図1に示したようなセメント製造設備10に設置され、具体的には、セメント製造設備10における焼成キルン(ロータリーキルン)2の下流側端面、即ち、冷却装置3との連結部分の上方に設置され、焼成キルン2の上流側(即ち、セメント原料が供給される側)に向けて前記端面2aから突出するように配置されている。
【0014】
該焼成キルン2は、供給された製品、即ち、セメント原料を、前記燃焼装置1による加熱によって所定の温度にまで加熱・焼成した後、該焼成された製品を冷却装置3へと排出するものである。冷却装置3は、その内部へ供給された冷却空気A1によって製品を冷却し、この際の熱交換によって加熱された高温の空気A2を該冷却装置3の入口部から焼成キルン2内へと還流させ、燃料の燃焼に使用するように構成されたものである。以下、本明細書において、燃焼装置1から噴射する空気を一次空気と称し、冷却装置3から焼成キルン内へと還流する空気を二次空気と称する。
【0015】
本実施形態に係る前記燃焼装置1には、該装置の略中央部分から可燃性廃棄物を渦状に旋回させながら噴射する廃棄物噴射手段と、該装置の略中央部から補助燃料を噴射する補助燃料噴射手段と、可燃性廃棄物の噴流を囲むように粉末状又は液体状の主燃料を噴射する主燃料噴射手段と、該廃棄物噴射手段の噴流を囲むように該廃棄物噴射手段と主燃料噴射手段との間から一次空気を噴射する内側第一空気噴射手段及び内側第二空気噴射手段と、主燃料の噴流を囲むように一次空気を噴射する外側空気噴射手段とが備えられている。
【0016】
より具体的には、図2及び図3に示すように、焼成キルンの上流側に向けて突出した燃焼装置1の先端面1aには、可燃性廃棄物を渦状に旋回させながら噴射する廃棄物噴射口11と、補助燃料を噴射する補助燃料噴射口21と、一次空気を噴射する内側第一空気噴射口31と、一次空気を噴射する内側第二空気噴射口41と、粉末状又は液体状の主燃料を噴射する主燃料噴射口51と、一次空気を噴射する外側空気噴射口61とが略同一面上に配され、これらの噴射口が焼成キルン2の入流側に向けて開口して設けられている。
【0017】
廃棄物噴射口11および補助燃料噴射口21は、該端面1aの略中央部に並んで設けられており、これらを囲むように前記内側第一空気噴射口31が配置され、該内側第一空気噴射口31を囲むように前記内側第二空気噴射口41が配置され、該内側第二空気噴射口41を囲むように主燃料噴射口51が配置され、該燃料噴射口51を囲むように外側一次空気噴射口61が配置されている。
【0018】
さらに、本実施形態では、内側第一空気噴射口31は同一円周上に配置された複数の噴射口から構成され、内側第二空気噴射口41も同一円周上に配置された複数の噴射口から構成され、主燃料噴射口51も同一円周上に配置された複数の噴射口から構成され、外側空気噴射口61も同一円周上に配置された複数の噴射口から構成され、これらはいずれも同心円状に配置されている。
言い換えると、円周上に配置された複数の主燃料噴射口51を内側と外側から挟むように、内側には複数の噴射口からなる内側第二空気噴射口41、外側には複数の噴射口からなる外側空気噴射口61がそれぞれ同心円状に配置されており、さらに、該内側第二空気噴射口41に沿うようにしてさらに内側に、同じく同心円状に複数の噴射口からなる内側第一空気噴射口31が備えられている。
【0019】
可燃性廃棄物を渦状に旋回させながら噴射する廃棄物噴射手段は、具体的には、前記可燃性廃棄物を流通させる円筒12を備え、該円筒12の内周壁に該円筒12の軸方向に対して所定の角度を有して配置されたブレード13を備えている。該円筒12の先端は、可燃性廃棄物を噴射する廃棄物噴射口11となっている。斯かる構成の円筒12内に可燃性廃棄物を供給し、その先端の廃棄物噴射口11から噴射させることにより、円筒12の内周壁に設置されたブレード13の作用により、噴射される可燃性廃棄物は渦状に旋回し、進行方向に向かって広がるように拡散しながら噴射されるため、その周囲から噴射される主燃料との混合状態が良好となり、完全燃焼されやすくなる。
【0020】
該円筒12としては、例えば、内径75〜150mm、長さ100mm以上、好ましくは300mm以上の寸法を有するものを好適に使用できる。
【0021】
また、前記ブレード13としては、噴射される可燃性廃棄物に所望の螺旋状旋回流を生じさせるものであればよく、種々の構成を採用することができる。該ブレードの好ましい一形態としては、例えば、図4に示すように、前記円筒12の内周面から略直角に立ち上がるように設置された螺旋状のブレード(板部材)13を好適に採用することができる。
尚、図4は、該ブレードを構成する複数の羽根のうち、1枚の羽根の構成を概念的に例示したものである。
該ブレード13は、より具体的には、前記円筒12の内径に対して10〜50%を占める幅aと、円筒の軸方向に50〜200mmに亘って延びる長さbとを有する螺旋状の板部材を挙げることができる。該ブレード13は、例えば、円筒12の周方向において、略等間隔となるように2〜6枚設置することができる。また、該ブレード13は、円筒12の内部において可燃性廃棄物の閉塞を防止するという観点から、図4に示す如く、上流側が先細り形状となったものを好適に採用することができる。
【0022】
該ブレード13の円筒中心軸Xに対する傾斜角αは、燃焼装置や焼成用キルンの寸法、可燃性廃棄物の性状や供給量などによって適宜設定することができるが、通常10〜45°とすることが好ましく、20〜30°とすることがより好ましい。
【0023】
前記内側第一空気噴射手段は、噴射された空気の噴射方向における広がり角度を調節しうるように構成されている。本実施形態では、該内側第一空気噴射手段は、内側第一空気噴射口31の手前側で空気を螺旋状に旋回させた後に該内側第一空気噴射口から該空気を噴射するよう構成されている。また、該内側第一空気噴射口31は、前記内側第二空気噴射口41と同位置となる前方位置と、前記内側第二空気噴射口41よりも噴射方向後方側に位置する後方位置との間で前後移動可能に構成されたことにより、噴射された空気の噴射方向における広がり角度を調節しうるように構成されている。つまり、図6(a)に概念的に示すように、内側第一空気噴射口31が前記内側第二空気噴射口41と同位置となる前方位置に位置する場合には、噴射された一次空気が何ら障害物の影響を受けることなく噴射された方向に進みやすくなるため、噴射口の手前側で螺旋状に旋回された結果、外側へと広がるように噴射される。逆に、図6(b)に概念的に示すように、内側第一空気噴射口31が前記内側第二空気噴射口41よりも噴射方向後方側に位置する後方位置に位置する場合には、該内側第一空気噴射口31の外側に位置する内側第二空気噴射手段の管壁等が障害となって噴流の進行方向が矯正され、前記前方位置に位置する場合よりも中心軸寄りに噴射されることとなる。
【0024】
より具体的に説明すると、本実施形態では、前記内側第一空気噴射手段は、図5に示すように、同軸となるよう配置された内管32及び外管33と、これら内管32と外管33との間を部分的に塞ぐような複数のリブ34、34・・・とを備えている。該複数のリブ34、34・・・は、互いに平行に且つ螺旋状に捻れるように内管32の外周面に固定されている。つまり、内管外周面と外管内周面との間で且つリブとリブとの間に形成された隙間は、一次空気の流路となっており、前記リブ34、34・・・が螺旋状に捻れるように固定されているため、リブとリブとの間に形成された流路も、螺旋状に捻れるように構成されている。該流路の先端は、前記内側第一空気噴射口31となっている。また、外管33は、該内側第一空気噴射手段に隣接して外側に設置される内側第二空気噴射手段の内管を兼ねた構成となっている。上記構成の流路を流れることにより、一次空気は、内側第一空気噴射口31の手前側で螺旋状に旋回することとなる。
【0025】
さらに、前記内管32と、該内管の外周面に固定された複数のリブ34,34・・・とは、一体となって該内管の軸方向に前後移動可能であり、外管33は移動不能であるように構成されている。即ち、内管32及びリブ34、34・・・の先端面が外管先端面と面一となるように位置した場合には、内側第一空気噴射口31は上述した前方位置となり、内管32及びリブ34、34・・・の先端面が外管33先端面よりも噴射方向後方側に所定の距離だけ後退した場合には、内側第一空気噴射口31は上述した後方位置となる。該内側第一空気噴射口31の移動距離は、特に限定されるものではないが、例えば、300mm〜1000mmの範囲とすることが好ましく、これによって、図6を参照して説明した上記作用が発揮されやすくなる。
【0026】
前記内管32及び該内管32の外周面に固定された複数のリブ34、34・・・を内管の軸方向に前後移動させる方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、内管の後端面にロッド(図示せず)を取り付け、該ロッドを前後させることにより、内管32とリブ34、34・・・とを前後移動させる方法を例示できる。
【0027】
前記リブの幅及び本数は特に限定されず、該燃焼装置の規模や可燃性廃棄物の供給量、その他の条件によって適宜設定することができるが、好ましくは、内管の外周面に沿って略等間隔に10〜50本、より好ましくは20〜30本設けられる。これに伴い、内側第一空気噴射口も内管先端部に沿って10〜50箇所、好ましくは20〜30箇所設けられる。
【0028】
前記内管中心軸に対する各リブの傾斜角βは、燃焼装置や焼成用キルンの寸法、可燃性廃棄物の性状や供給量などによって適宜設定することができるが、通常20〜45°とすることが好ましく、35〜45°とすることがより好ましい。
【0029】
該リブ34の傾斜方向は、前記ブレード13の傾斜方向と同じであっても逆であってもよく、何れの場合でも、可燃性廃棄物は主燃料と良好に混合され、本発明の作用効果を奏することができる。
【0030】
尚、本実施形態では、内管の外周面にリブを設けた場合について説明したが、逆に、外管の内周面にリブを設けるようにしてもよい。この場合、外管とリブとを一体的に前後移動可能な構成とすることにより、同様に、内側第一空気噴射口が前後方向に移動可能な構成となる。また、外管と内管とその間に設けたリブとを一体的に固定し、これら全体を一体的に前後移動可能とするような構成としてもよい。
【0031】
前記主燃料噴射手段は、微粉炭等の粉末燃料又は重油等の液体燃料の少なくとも何れか一方を含む主燃料を、それを搬送する空気とともに噴射する環状の主燃料噴射口51を備えている。具体的には、該主燃料噴射手段は、内管と外管とを備え、該内管と外管との間に環状の流路を備え、該流路の先端が環状の主燃料噴射口となるよう構成されている。本実施形態では、環状の主燃料噴射口51は、仕切材52によって複数の領域(噴射口)に区切られたものとなっているが、仕切材52の有無及び仕切材52の形状や寸法は、管の内径や流速に応じて適宜決定されるものである。また、該内管と外管とは、何れも前記内側第一空気噴射手段の内管や外管と同軸となるように構成され、前記内側第一空気噴射手段の径方向外側に位置するように配置されている。
【0032】
主燃料噴射手段の内側に隣接した内側第二空気噴射手段、及び主燃料噴射手段の外側に隣接した外側第二空気噴射手段も、それぞれ前記内側第一空気噴射手段の内管や外管と同軸の内管と外管とを有し、それぞれの先端部分には、複数の空気噴射口が備えられている。
【0033】
該燃焼装置1の基端部は、焼成キルン2の外側に位置しており、可燃性廃棄物と搬送用空気との混合流を供給する可燃性廃棄物送入管15が配置され、この送入管15は、例えば、前記廃棄物噴射手段を構成する円筒12に連結されている。また、該基端部には、一次空気送入管16、主燃料送入管17、および補助燃料送入管18が設けられている。そして、一次空気送入管16は、外側一次空気送入管および内側一次空気送入管に分岐し、外側一次空気送入管は前記外側空気噴射手段に連結され、内側一次空気送入管は、前記内側第一空気噴射手段および前記内側第二空気噴射手段に連結されている。また、主燃料送入管17および補助燃料送入管18は、それぞれ、主燃料噴射手段および補助燃料噴射手段に連結されている。
【0034】
斯かる構成の燃焼装置によって可燃性廃棄物、主燃料、および一次空気が噴射させると、燃焼フレームの形状を好ましい形状に調整することができるため、製品冷却装置から還流される高温の二次空気A2が該燃焼フレーム中に効率よく巻き込まれることとなるため、前記可燃性廃棄物をさらに効率よく燃焼させることができる。
【0035】
本発明に係る燃焼装置、及び該燃焼装置を備えた焼成キルンは、種々の焼成対象物を焼成、製造する設備において使用することができ、例えばセメントクリンカ、マグネシアクリンカ、石灰などをの製造に使用されるロータリーキルンにおいて好適に使用することができる。とりわけ、可燃性廃棄物の使用量を大幅に増加させうるという点で、セメントクリンカを焼成してセメントを製造するセメント製造設備が特に好適である。
【0036】
可燃性廃棄物としては、廃プラスチック片、ゴミ屑、木屑、籾殻、廃タイヤ片、廃畳片、肉骨粉、紙畳等の種々の固形廃棄物を挙げることができる。
【0037】
燃料噴射手段から噴射する粉末燃料としては、微粉炭、コークス粉などが例示でき、また、液体燃料としては、重油、廃油、又は前記粉末燃料を含有するスラリー燃料などを例示できる。
【符号の説明】
【0038】
1 燃焼装置
2 焼成キルン
3 冷却装置
10 セメント製造設備
11 可燃物噴射口
12 円筒
13 ブレード
21 補助燃料噴射口
31 内側第一空気噴射口
32 内管
33 外管
34 リブ
41 内側第二空気噴射口
51 主燃料噴射口
61 外側空気噴射口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可燃性廃棄物を廃棄物噴射口から渦状に旋回させながら噴射する廃棄物噴射手段と、
該廃棄物噴射口を囲むように配置された内側第一空気噴射口から空気を噴射する内側第一空気噴射手段と、
該内側第一空気噴射口を囲むように配置された内側第二空気噴射口から空気を噴射する内側第二空気噴射手段と、
該内側第二空気噴射口を囲むように配置された主燃料噴射口から粉末又は液体の主燃料を噴射する主燃料噴射手段と、
該主燃料噴射口を囲むように配置された外側空気噴射口から空気を噴射する外側空気噴射手段とを備え、
前記内側第一空気噴射手段は、噴射された空気の噴射方向における広がり角度を調節しうるように構成されていることを特徴とする燃焼装置。
【請求項2】
前記廃棄物噴射手段には、前記廃棄物噴射口を先端とする円筒状流路を備え、該円筒状流路の周壁には該円筒の軸方向に対して所定の角度を有して配置されたブレードが備えられていることを特徴とする請求項1記載の燃焼装置。
【請求項3】
前記内側第一空気噴射手段は、前記内側第一空気噴射口の手前側で空気を螺旋状に旋回させた後に該内側第一空気噴射口から該空気を噴射するものであり、
前記内側第一空気噴射口が、前記主燃料噴射口と同位置となる前方位置と、前記主燃料噴射口よりも噴射方向後方側に位置する後方位置との間で前後移動可能に構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の燃焼装置。
【請求項4】
前記内側第一空気噴射口、前記内側第二空気噴射口、前記主燃料噴射口及び前記外側空気噴射口は、各々、円周上に配置された複数の噴射口から構成され、且つ該複数の噴射口は、互いに同心円状に配置されていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の燃焼装置。
【請求項5】
前記可燃性廃棄物が、一辺20〜40mmに裁断された廃プラスチック片を含むことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の燃焼装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−230196(P2010−230196A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−75763(P2009−75763)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000183266)住友大阪セメント株式会社 (1,342)
【Fターム(参考)】