説明

爪の疾患を治療するための組成物及び方法

【解決手段】 爪及び爪床の疾患を治療するための方法及び組成物。そのような組成物は、爪の表面へ適用した場合フィルムを形成せず、前記組成物の全成分が溶解、懸濁、分散或いは乳化する賦形剤、非揮発性溶媒、湿潤剤、及び非揮発性溶媒及び/若しくは前記賦形剤及び非揮発性溶媒の混合物に可溶性である薬学的な有効成分を含むものであり、その組成物は爪或いは爪床の疾患を治療するのに有効である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、爪及び爪床の疾患の治療の分野に関連するものである。特に、本発明は、爪真菌症或いは爪に関連する乾癬などの疾患の治療のための方法に関連するものである。
【背景技術】
【0002】
酵母、皮膚糸状菌、或いは他のカビによって引き起こされる爪単位の真菌疾患である爪真菌症は、ヒトにおける全爪疾患の約50%を占める。爪真菌症の約80%において、足指爪が感染しており、残りの20%は手指爪が感染している。この疾患の症状には、爪甲の割れ、肥厚、硬化及び粗面化が含まれる。
【0003】
爪の別の一般的な疾患は、乾癬を患った患者の50%以下に見られる爪乾癬である。特徴的な爪乾癬症状には、爪体の表面上に配置された断続的な或いは不規則な形の陥凹として現れる窪み;爪床の変色;爪床からの爪体の爪甲離床症或いは剥離;爪下角化症;或いは爪体の異常が含まれる。ヒト及び他の動物における爪に関連する他の疾患及び障害には、爪床炎、巻き爪、爪ジストロフィー、爪鉤弯症、爪甲離床症(onycholysis)、爪甲脱落症(onychomadesis)、onychophosis、爪甲脱落症(onychoptosis)、爪周囲炎、匙状爪、爪下血腫、及び蹄葉炎が含まれる。
【0004】
爪甲は厚く、硬く、密であり、薬剤透過に対する手強いバリアとなる。爪物質は皮膚の角質層と様々な面で同じであるけれども、爪は主に、高度なジスルフィド結合であり、角質層より約100倍厚く硬いケラチンから構成される。
【0005】
様々な局所療法が、爪真菌症などの爪疾患の治療のために示唆されていた。爪マニキュア塗料、コーティング、光沢剤及びニスが記載されていた。Bohnは米国特許第4,957,730号において、水不溶性フィルム形成物質、及び抗真菌化合物を含有する爪光沢剤を記載している。Ferroは米国特許第5,120,530号において、四級アンモニウムアクリルコポリマー中にアモロルフィンを含有する抗真菌爪光沢剤を記載している。水不溶性フィルム形成剤は、低含有量の四級アンモニウム基を持つアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの共重合である。Bohnは米国特許第5,264,206号において、抗真菌剤、及びポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸ビニル及びアクリル酸のコポリマー、酢酸ビニル及びクロトン酸のコポリマーを含む水不溶性フィルム形成剤抗真菌作用を有する爪マニキュア塗料を記載している。Wohlrabは米国特許第5,346,692号において、爪真菌症を治療するための爪マニキュア塗料を記載しており、これはフィルム形成剤、抗真菌活性物質及び尿素を有しており、抗真菌剤及び尿素は、そのマニキュア塗料を適用した場合、前記マニキュア塗料から遊離する。好ましい処方は、フィルム形成剤としてセルロース誘導体、抗真菌剤としてクロトリマゾール、可塑剤としてフタル酸ジブチル、及び溶媒としてアセトン及びエタノールの混合物を有する。Nimniは米国特許第5,487,776号において、有機溶媒システムが蒸発した時、グリセオフルビンを含有する水透過性フィルムを形成する爪マニキュア組成物を記載しており、ここにおいて、グリセオフルビンの一部は溶液中に存在し、グリセオフルビンの一部はコロイド懸濁液として存在する。Chaudhuriは米国特許第6,143,794号において、抗真菌薬、溶媒、界面活性剤、及び任意に角質溶解剤を含む、爪真菌乾癬の治療に対する局所処方を記載している。接着促進剤は、ポリオールプレポリマー−2などのヒドロキシ末端ポリウレタンであった。これらの特許の全て及び刊行物は、薬剤を含有しその薬剤が爪へ浸透するものである、実質的な爪コーティング及びフィルムを形成する爪に適用する産物を記載している。これらの方法は、爪真菌症などの爪の疾患を治療する場合に常に効果的ではない。
【0006】
爪を通じた浸透を増強することが開示された化合物を用いた様々な局所療法が記載されていた。Knowlesは米国特許第5,652,256号において、爪の真菌治療に対する局所ゲルとして、ナフチフィン或いはスルコナゾール及びハフチフィン(haftifine)との組み合わせで浸透増強化合物としてメチル酢酸の使用を記載している。Sorensonは、米国特許第5,972,317号において、酵素溶液に浸されたパッドによって運搬されたパパインなどのタンパク質分解酵素はより高い爪透過性を産生することを開示した。Sunは米国特許第6,231,875号において、爪及び皮膚を介した輸送を増強するための抗真菌の酸性化組成物を記載している。Reevesは米国特許第6,391,879号において、ポリグルコール及びDMSOの無水混合物に溶解された抗真菌剤の組み合わせを開示している。これら及び他の増強された浸透処方が爪を通じた浸透を増加することが報告されたが、それらは爪真菌症などの爪の症状を治療するのに臨床的に有効であると示されていなかった。
【0007】
患部爪に対する薬学的組成物の局所適用によって爪床に対する臨床的に有効な濃度の薬物療法を得ることが困難なため、爪真菌症などの爪疾患は、全身薬物療法で或いは爪除去後の局所薬物療法で局所的に治療される。治療が長期間、しばしば数週間や数ヶ月続き、その薬物療法は患部爪以外の組織に影響を及ぼすため、爪真菌症及び他の爪疾患に対する全身治療はしばしば満足するものではない。ミコナゾール及びケトコナゾールなどの抗真菌化合物は、爪除去後に爪真菌症を局所的に治療するのに有効であると示された。しかしながら、あまり強烈でない治療法が有効であるならば、爪の除去は爪真菌症を患ったほとんどの個人は好ましくは受けたくない処置である。
【0008】
Pitreは米国出願番号第11/432,410号として提出された米国特許公報第2007/0041910号において、及びMallardは米国出願番号第11/315,259号として提出された米国特許公報第2006/0147383号において、溶媒、揮発性シリコン、及び非揮発性油相を含む薬学的組成物の適用は、皮膚或いは粘膜へ局所的に適用した場合、薬学的な有効成分の浸透の増加を提供することが開示されている。この増強された浸透は、薬学的化合物の皮膚浸透を増強すると知られているが皮膚を刺激することも知られている、プロピレングリコールなどのグリコールを使用しないで得られる。Pitre及びMallardの処方は、少なくとも25w/w%の揮発性シリコンを含み、アルコール溶媒で処方された場合少なくとも15%のアルコールを含むものである。Pitre及びMallardによって開示された全てのアルコール化合物は、50%以上の揮発性シリコンを含み、揮発性シリコンの濃度は組成物におけるアルコールの濃度の少なくとも2倍である。
【0009】
Pitre及びMallardは、爪真菌症などの爪の疾患の治療に対するそのような組成物の使用を開示或いは示唆していない。さらに、組成物から皮膚への有効薬剤の浸透能が前記組成物から爪への或いは爪を介した前記有効薬剤の浸透能と相関する訳でないことを示した、本発明者らの研究室において行われた研究を含む研究が行われていた。
【0010】
無傷の爪を通じた及び介した、組成物内に含有された薬剤の増強された浸透を提供する薬学的組成物に対する重要な必要性が残っている。そのような組成物は、爪真菌症などの爪或いは爪床に発症する症状を局所的に治療するのに有用である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
医薬品有効成分(API)、本明細書において「溶媒(vehicle)」或いは「揮発性溶媒」として参照される溶剤、溶媒と同じ化合物或いは異なる化合物である湿潤剤、及び限定水混和性を有する非揮発性溶剤を含有する薬学的組成物は、無傷の爪へ及び爪を通じた、APIの増強された浸透を提供することが意外にも発見された。好ましくは、本発明の組成物は、フィルム形成性ポリマー化合物を含まない。そのような組成物は、爪及び/若しくは基礎にある爪床に関連する病状を治療するために、APIを運搬するために使用されることが考えられる。
【0012】
1実施形態において、本発明は、爪或いは爪床の疾患を治療するための薬学的組成物である。本発明の薬学的組成物は、揮発性及び/若しくは浸透性溶媒、溶媒内に溶解、懸濁、分散或いは乳化された非揮発性溶剤、非揮発性溶剤及び/若しくは溶媒及び非揮発性溶剤の混合物中に可溶性で、任意に前記溶媒に可溶性なAPI、及び溶媒自体である若しくはそうではない湿潤剤を含有する。
【0013】
別の実施形態において、本発明は、爪或いは爪床へ、この領域の疾患を治療するためにAPIを運搬するための薬学的処方である。この実施形態に従うと、前記処方は、揮発性及び/若しくは浸透性溶媒、前記溶媒内に溶解、懸濁、分散或いは乳化された非揮発性溶剤、及び溶媒自体である若しくはそうではない湿潤剤を含有する。本発明の処方に使用されたAPIは、非揮発性溶剤及び/若しくは溶媒及び前記非揮発性溶剤の混合物に可溶性で、溶媒単体に任意に可溶性であるものである。
【0014】
別の実施形態において、本発明は、爪或いは爪床の疾患を治療するための方法である。本発明のこの実施例に従うと、揮発性及び/若しくは浸透性溶媒、前記溶媒内に溶解、懸濁、分散或いは乳化された非揮発性溶剤、前記非揮発性溶剤及び/若しくは前記溶媒及び非揮発性溶剤の混合物に可溶性で、前記溶媒単体に任意で可溶性であるAPI、溶媒自体である若しくはそうではない湿潤剤を含有する薬学的組成物は、前記疾患の症状を回復するのに十分な量と時間で、疾患を患った爪の表面へ局所的に適用される。
【0015】
本明細書で用いられ、溶媒を参照する場合、「揮発性」という用語は、塗布した時に前記溶媒が爪の表面から蒸発する化合物であることを意味している。揮発性溶媒は、測定可能な蒸気圧を有した化合物であり、好ましくは室温で100Pa以上の蒸気圧を有する化合物である。揮発性溶媒の例としては:アセトン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−ブタノール、シクロメチコン(cyclomethicone)−4、シクロメチコン−5、シクロメチコン−6、エタノール、酢酸エチル、n−ヘプタン、イソブタノール、イソプロピルアルコール、1−プロパノール、及び2−プロパノールが含まれる。
【0016】
本明細書で用いられ、溶媒を参照する場合、「浸透性」という用語は、爪の表面へ塗布したときに、爪の表面へ前記溶媒の薄層を適用した10分後に適用量のわずか10%が前記爪表面に残るような、前記溶媒が爪へ素早く浸透することを意味している。従って、「浸透性」という用語は、揮発性及び非揮発性溶媒の両者を含む。
【0017】
本発明の方法において使用される薬学的組成物の例は、Pitreによる米国出願第11/432,410号;及びMallardによる米国出願第11/315,259号に開示されており、これら出願はこの参照によってその全体が本明細書に組込まれるものである。本発明に従うと、本発明に従った爪の病状を治療するために使用されるPitre及びMallardの薬学的組成物はAPIとして、Pitreに開示されたようにビタミンD、或いはMallardに開示されたようにクロベタゾールを含有する、若しくは本明細書に開示されたように、これらのAPIの代わりに、或いはこれらAPIに加えて他のAPIを含有するものである。
【0018】
本発明の組成物のAPIは、爪或いは爪床の疾患の治療に有用なものである。APIは前記組成物の溶剤において、及び/若しくは前記組成物の溶剤及び溶媒の組み合わせにおいて可溶性である。適切なAPIの例としては、抗炎症剤、抗菌剤及び抗真菌剤などの抗細菌剤、麻酔薬、ステロイド剤、ビタミン群及びそれらの誘導体、抗乾癬薬、及び鎮痛剤が含まれる。
【0019】
好ましい実施形態において、本発明の組成物のAPIは、抗真菌化合物、特に爪真菌症の治療に有効な化合物である。適切な抗真菌剤の例としては、ナタマイシン、リモシジン(rimocidin)、フィリピン、ニスタチン、及びアムホテリシンBなどのポリエン抗真菌剤;ミコナゾール、ケトコナゾール、クロトリマゾール、エコナゾール、ビホナゾール、ブトコナゾール、フェンチコナゾール、イソコナゾール、オキシコナゾール、セルタコナゾール、スコナゾール、及びチオコナゾールなどのイミダゾール化合物;フルコナゾール、イトラコナゾール、ラブコナゾール、ポサコナゾール、ボリコナゾール、(2R,3R)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−3−(4−メチレンピペリジン−1−イル)−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ブタン−2−オール(本明細書では「KP−103」として言及される)、及びテルコナゾールなどのトリアゾール化合物;テルビナフィン、アモロルフィン、ナフチフィン、及びブテナフィンなどのアリルアミン化合物;アニデュラファンギン、カスポファンギン、及びミカファンギンなどのエキノキャンディン化合物;及びシクロピロクス、フルシトシン、グリセオフルビン、ゲンチアナバイオレット、ハロピロジン、トルナフタート、及びウンデシレン酸などの他の抗真菌剤が含まれる。ヒト或いは動物における薬学的使用に適切なあらゆる抗真菌化合物、及び特にカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、紅色白癬菌(Trichophyton rubrum)、毛瘡白癬菌(Trichophyton mentagrophytes)に対してin vitroで活性な化合物は、本発明のAPIとして適切である。特に好ましい抗真菌APIsは、KP−103のようなトリアゾール化合物などの、ケラチンに比較的低結合性のものである。
【0020】
本発明の組成物に適切な他のAPIsは、爪真菌症以外の爪の疾病及び疾患、特に爪の内部、爪床に隣接する深部爪表面、及び爪床などの、爪の外表面の深部の組織に影響を及ぼす疾病及び疾患を治療するのに有効なものが含まれる。そのような疾病及び疾患には、爪炎、巻き爪、爪ジストロフィー、爪鉤弯症、爪甲離床症(onycholysis)、爪甲脱落症(onychomadesis)、onychophosis、爪甲脱落症(onychoptosis)、爪周囲炎、匙状爪、爪下血腫、及び蹄葉炎が含まれる。
【0021】
本発明の組成物の溶媒は、本発明の組成物の成分が溶解、懸濁、分散或いは乳化され得る、薬学的に許容可能な溶媒である。前記組成物の成分は、溶媒中の単相内に全て存在する。例えば、API、湿潤剤、及び非揮発性相は、溶媒中に溶解される。或いは、前記成分は、前記溶媒内に分離相を占める。例えば、前記APIは溶媒中に溶解され、他の成分は溶剤中に懸濁、分散或いは乳化される。他の例として、前記APIは溶媒中に懸濁、分散或いは乳化される溶剤中に溶解され、残存する成分は溶媒或いは溶剤中に溶解される。好ましくは、しかし必須ではないが、前記API、湿潤剤、及び非揮発性相は前記溶媒中で全て混和性である。
【0022】
適切な溶媒の例としては、1若しくはそれ以上の水、アルコール、ポリオール、エーテル、エステル、アルデヒド、ケトン、脂肪酸、脂肪アルコール、及び脂肪エステルが含まれる。適切な溶媒の特異的な例には、エタノール;3−プロパンジオール;1,2−ブタンジオル;1,2,3−プロパントリオール;1,3−ブタンジオール;1,4−ブタンジオール;イソプロピルアルコール;及び2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールが含まれる。好ましい実施形態において、前記溶媒はアルコールであり、最も好ましくは、メタノール、エタノール、プロパノール或いはイソプロパノールなどの、直鎖状或いは分岐脂肪族低級アルコールである。
【0023】
本発明の組成物の湿潤剤は、液体組成物の表面張力を減少させ、粘度を高めない化合物である。前記湿潤剤は、陰イオン性、陽イオン性、或いは非イオン性の界面活性剤である。
【0024】
好ましくは、前記湿潤剤は揮発性シリコンである。そのような揮発性シリコンには、化学式[RSiOR]の直鎖状或いは環状ポリ有機シロキサン化合物が含まれ、式中、n=6若しくはそれ以下であり、R及びRは同じ或いは異なるアルキル基であり、これは外界条件下で測定可能な蒸気圧を有している化合物である。好ましくは、n=3から6であり、最も好ましくはn=4或いは5である。好ましくは、R及びR=メチルである。
【0025】
環状揮発性シリコンの例としては、一般的にはシクロメチコンとして知られているポリジメチルシクロシロキサンが含まれる。環状揮発性シリコンの特定の実施例には、シクロペンタシロキサン、シクロテトラシロキサン、デシルメチルシクロペンタシロキサン、及びオクチルメチルシクロテトラシロキサンが含まれる。直鎖状揮発性シリコンの例としては、直鎖状ポリシロキサンが含まれる。直鎖状揮発性シリコンの特定の実施例には、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、及びジメチコンが含まれる。
【0026】
本発明の1つの特定の実施形態において、単一化合物は、前記組成物の溶媒及び湿潤剤を形成する。例えば、前記溶媒は揮発性シリコンである。この状況において、前記揮発性シリコンはさらに、前記組成物の湿潤剤でもある。前記湿潤剤が溶媒としても働く場合において、前記組成物における前記湿潤剤の濃度は、前記組成物の他の全化合物が溶解、懸濁、分散或いは乳化されている溶媒として機能するのに十分高いものである。
【0027】
前記組成物の非揮発性溶剤は、前記組成物の溶媒において可溶性或いは混和性である若しくはそうではない、非水性溶剤である。前記組成物のAPIは、好ましくは、必須ではないが、非揮発性溶剤に可溶性である。APIが親水性である好ましい実施形態において、前記非揮発性溶剤は、極性或いは半極性である。APIが疎水性である別の好ましい実施形態において、前記非揮発性溶剤は非極性である。
【0028】
疎水性薬剤に対して適切な非揮発性溶剤は、Pitreによる米国出願第11/432,410号のパラグラフ0069から0082に開示されており、このパラグラフはこの参照によって本明細書に組込まれるものである。例えば、非揮発性溶剤は、化学式RCO−OR'のエステルであり、ここにおいてR及びR'は同一或いは異なるものであり、R及びR'のそれぞれは、1から25の炭素原子、好ましくは4から20の炭素原子を有する、アルキル、アルケニル、アルコキシカルボニルアルキル、或いはアルコシキカルボニルオイシアルキルラジカルの直鎖或いは分岐鎖を示す。前記非揮発性溶剤は、天然脂肪酸の脂肪酸エステル、若しくは動物或いは植物由来のトリグリセリドなどの脂肪酸のグリセリルエステルである。前記非揮発性溶剤は、油或いは脂質である脂肪酸モノ−、ジ−、或いはトリグリセリドなどの合成或いは準合成グリセリルエステルを含む、脂肪酸グリセリドである。前記非揮発性溶剤は、パラフィン、イソパラフィン及び鉱油などの、非揮発性炭水化物である。前記非揮発性溶剤は、ゲルベ(guerbet)エステルである。前記非揮発性溶剤は、前記組成物における前記非揮発性シリコンの存在によって爪の上への前記組成物の適用で硬いポリマーフィルムを形成しないという条件で、非揮発性シリコンである。化学式[RSiOR]を有するポリ有機シロキサン化合物は、そのような非フィルム形成性シリコン内に含まれ、ここにおいてn>6であり、R及びRは同じ或いは異なるアルキル基であり、前記化合物は外界条件下で測定可能な蒸気圧を有する或いは有さないものである。
【0029】
Pitreによって開示されたものに加えて、疎水性薬剤に対して適切な非揮発性溶剤の他の例には、スクアラン、ジブチルセバシン酸、ラウリル酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、オレイン酸、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、混合C12−15乳酸アルキル、アジピン酸ジイソプロピル、オクチルドエカノール、カプロン酸、カプリン酸、安息香酸ラウリル、安息香酸ミリスチル、混合C12−15安息香酸アルキル、安息香酸ベンジル、ネオペンタン酸トリデシル、鯨ロウ、ペトロラタム、及びアルファテルピネオールが含まれる。疎水性薬剤に対して適切な非揮発性溶剤の例としては、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、n−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、乳酸エチル、ヘキシレングリコール、グリセロール、ベンジルアルコール、及びグリセロールトリアセテートが含まれる。
【0030】
本発明の組成物は、湿潤剤、保存剤、安定剤、潤滑剤、保湿剤、湿気調節剤、発泡剤、結合剤、pH調節剤、浸透圧調整剤、乳化剤、抗酸化剤、着色料、香料、或いは消臭剤などの付加的な任意の成分を含有する。必要に応じて、前記組成物はさらに、尿素、プロピレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、及びグリコール酸などの付加的な爪調整剤或いは浸透増強剤も含有する。
【0031】
前記組成物は、爪への適用後液体で或いは半固形状態で残っていることを目的としており、マニキュア、殻或いはフィルムを形成する固形残留物を残す揮発性溶剤の蒸発後の溶剤が固まる工程で生じる、適用後爪の上に硬いマニキュア、殻或いはフィルムを形成しない。従って、前記組成物の成分は前記組成物において混和性であり、さらに前記揮発性溶剤が蒸発或いは爪に浸透した後に残る「二次性」組成物においても混和性であることが好ましい。さらに、非揮発性溶剤などの二次性組成物において懸濁可能、分散可能或いは乳化可能であることも、溶剤以外の前記組成物の成分に対して適している。
【0032】
本発明の組成物は、軟膏、クリーム、乳液、軟膏(salves)、液体、スプレー、泡、懸濁液、ローション、或いはパッチなどの様々な形態で調合される。前記組成物は、前記組成物からの即効型或いは徐放型のAPI放出を提供するように処方される。
【0033】
本発明の組成物の様々な必須及び任意成分の濃度は、前記組成物に含有された特定の成分、前記組成物の形態、前記組成物で治療される特定の疾病或いは状態、及び前記処方が即効型或いは徐放型かに依存して変わる。
【0034】
前記組成物のAPIは、爪或いは爪床の障害或いは疾患を治療するのに有効な濃度である。一般的に、APIの濃度は組成物の重量に対して0.0001から30%の間或いはそれ以上である。
【0035】
前記組成物における湿潤剤の濃度は、湿潤剤の同一性、及び湿潤剤が前記組成物の溶剤でもあるかどうかを含む、いくつかの因子に依存して変わるであろう。一般的に、揮発性シリコンなどの前記湿潤剤の濃度は、前記組成物の重量に対して0.001%から95%の間であってもよい。好ましくは、前記湿潤剤の濃度は、前記組成物の5%から80%の間であり、より好ましくは7%から60%の間であり、最も好ましくは10%から40w/w%である。特に好ましい実施形態において、前記組成物における前記湿潤剤の濃度は、10%から15w/w%の間である。前記湿潤剤が前記組成物の溶剤として機能しない場合において、前記組成物における湿潤剤の濃度は一般的に、0.001%から10%の間など、上記濃度の範囲の低い方の値と同じである。
【0036】
前記非揮発性溶剤の濃度は、前記組成物の5から90w/w%の間であっても良い。一般的に、前記組成物の低粘度形態では、非揮発性相はより低い濃度で存在し、より高い粘度形態では、より高い濃度の前記非揮発性相が使用される。さらに、軟膏及び他の油ベース組成物は、スプレー、ゲル及びローションなどの組成物と比較してより高い濃度の非揮発性相或いは成分を持つ傾向があり、より高い濃度の非揮発性溶剤を有する。非揮発性溶剤の一般的な濃度は10から80%の間であり、好ましい濃度は12から60%の間であり、最も好ましい濃度は15から50w/w%の間である。
【0037】
前記溶媒の濃度は、前記組成物の他の成分を溶解、懸濁、分散或いは乳化するのに十分なものである。全ての場合ではなく多くの場合において、前記溶媒の濃度は前記組成物のあらゆる他の成分と比べてより高い。いくつかの場合において、前記溶媒の濃度は、前記溶媒の濃度は、前記組成物の他の成分の組み合わせた濃度よりも高い。前記溶媒がアルコールである好ましい実施形態において、前記組成物は、少なくとも10%アルコールを含有し、より一般的には少なくとも15%アルコール、最も一般的には少なくとも25%アルコールを含有するであろう。前記組成物におけるアルコールの濃度は、80%或いはそれ以上である。1つの好ましい実施形態において、アルコールの濃度は前記組成物の少なくとも50w/w%である。
【0038】
本発明の特定の好ましい実施形態において、本発明の組成物は揮発性シリコンを含有するアルコール性組成物である。第一の好ましい実施形態において、前記組成物w/w%における揮発性シリコンに対するアルコールの割合は、少なくとも2:3、好ましくは少なくとも1:1、より好ましくは少なくとも2:1、最も好ましくは少なくとも3:1である。第二の好ましい実施形態において、前記組成物における前記揮発性シリコンの濃度は25w/w%未満である。第三の好ましい実施形態において、前記組成物における前記アルコールの濃度は、少なくとも40%、より好ましくは少なくとも45%、最も好ましくは少なくとも50w/w%である。本発明のこの実施形態に従った本発明の組成物は、上記の実施形態の1、2或いは3つ全てを含むように製造される。爪の表面へ適用した場合、揮発性シリコンを含有する本発明のアルコール性組成物は、そこに含有されたAPIの爪への高い浸透度を提供することが決定された。
【0039】
本発明の組成物は皮膚或いは粘膜の様々な疾患及び障害を治療するために使用されるが、それらは手或いは足の爪に関わる症状を治療するために最も有利に使用される。本発明の組成物及び方法によって、爪へ及び爪を通じた、及び爪床への、前記組成物におけるAPIの増加した浸透性が提供される。本発明の組成物は、ヒト、或いはネコ、イヌ、馬、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタ及びトリなどの他の動物における疾患及び障害を治療するために有効的に使用される。ヒト及び動物患者において、本発明の組成物は、治療される特定の動物に依存して、爪、蹄、角或いはくちばしに関連した症状を使用するために使用される。
【0040】
本発明の組成物は、爪真菌症、及び爪及び爪床の他の障害の治療に特によく適している。前記組成物は、前記組成物が適用されるあらゆる手段によって、爪及び周囲の組織の表面へ局所的に塗布される。塗布方法は、組成物の物理的条件、液体、半固形或いは固形形態かどうか、及び液体の場合前記組成物の粘度に依存して変わるであろう。従って、例えば、前記組成物は、患部爪及び周囲の組織へ刷り込まれる、塗る、軽く塗る、落とす、スプレーする、軽くこする、広げる或いは注ぐ、若しくは浸水液として利用される。治療の頻度及び治療の期間は、治療される症状、前記組成物におけるAPIの同一性及び濃度、及びAPI以外の組成物の成分を含む、いくつかの因子に依存して変わるであろう。一般的に、治療の頻度は、1日2回から1週間に1回であり、好ましくは1日1回である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図1は、本発明の処方から及び3つの先行技術処方からの、皮膚を通じたKP−103のin vitro浸透を示したグラフである。
【図2】図2は、本発明の処方から及び3つの先行技術処方からの、爪組織を通じたKP−103のin vitro浸透を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明をさらに説明するために、以下の実施例が提供される。これらの実施例は説明目的のために提供されるものであって、本発明の範囲を制限するものとして解釈されないことが理解される。
【実施例1】
【0043】
皮膚浸透研究
皮膚の中へのAPIの浸透性を決定するために、4つの異なる処方をテストした。各処方は、5.00w/w%のトリアゾール抗真菌性API化合物であるKP−103を含有していた。4つの処方の組成物は、表1に示した。前記処方の成分の全濃度はw/w%である。
【0044】
【表1】

【0045】
表1の各処方に、約0.90μCi/用量で、トレーサー量の放射線標識KP−103を混ぜた。待機手術後の1ドナーから得た皮節(dermatomed)ヒト皮膚へ単一臨床的相対用量(5mg/cm)を適用した。
【0046】
経皮吸収は、32℃でBronaugh流水式拡散細胞における皮節組織を乗せることによって評価した。各処方を6つ組で行った。新鮮な受容体液体である、0.1% w/vアジ化ナトリウム及び1.5% Oleth−20を含有するPBSを1ml/時間の正常流速で皮膚の下へ連続的に送り込み、6時間間隔で回収した。曝露24時間後、皮膚表面に残存する残留処方を反復テープ除去(5ストリップ/細胞)によって除去した。その後、穏やかな剥離によって表皮を真皮から物理的に分離した。テープ−ストリップ、表皮、真皮及び受容体液体サンプルにおける放射活性の量を、液体シンチレーション測定を用いて決定した。表1の各処方に対する受容体において回収されたAPIの計算量の結果は、図1に示した。
【0047】
図1に示したように、処方080及び107は、処方078及び082と比べてかなり高い皮膚浸透性を示した。処方080は、皮膚浸透増強剤として知られているプロピレングリコールを含有しており、他の処方よりも高い皮膚浸透性を示した。処方107は、皮膚浸透増強剤として知られている尿素を含有しており、テストした4つの処方において2番目に高い皮膚浸透性を示した。処方082は、本発明に従った処方であり、テストした処方の中で最も低い皮膚浸透性を示した。処方078は本発明の範囲内ではない組成物であり、処方082と比べてわずかに高い皮膚への浸透性を示した。4つの処方において、最低レベルの皮膚浸透性を有する処方は処方082であり、4つの中で唯一の本発明の組成物であった。
【実施例2】
【0048】
爪浸透研究
実施例1の処方078、080、082及び107を、前記処方から爪甲の中への及び通じたAPIの浸透性を決定するためにテストした。表1の各処方に、約0.90μCi/用量で、トレーサー量の放射線標識KP−103を混ぜた。臨床的に関連するプロトコールは、1日当たり10μL/cm2の投薬を14日間、複数のドナーから得られた健康なヒト指爪甲に行うというものに従った。
【0049】
爪浸透性は、カスタム拡散細胞の中に指爪甲を乗せることによって評価した。各処方は5つ組で行った。0.1mL正常生理食塩水で湿らせた小さい綿ボールを、受容体として使用した。研究の間毎日爪の表面を洗浄し、10mLの処方をその表面へ適用した。1日おきに、前記綿ボール受容体を置換した。曝露14日後、爪甲を3つの切片、つまり中央背側(上部)切片、中央腹側(下部)切片及び残りの周囲物質に切った。毎日の表面洗浄液、綿ボール受容体、背側爪、腹側爪及び周囲爪における放射活性の量は、液体シンチレーション測定を用いて決定した。
【0050】
結果は図2に示した。図2に示したように、本発明の処方である処方082は、他の処方と比べて6倍の、爪への及び飽和綿ボール受容体の中への浸透性を示し、これは適用用量のパーセンテージとして計算されたものである。処方080及び107の浸透性は、それらが皮膚への僅かに高い浸透性を示したので、爪への浸透性が最も高いと予想された。しかしながら、これら処方080及び107はよく知られている皮膚浸透増強剤を含有するにも関わらず、処方080及び107からのAPIの浸透性は、実は他の処方より低かった。この研究によって、皮膚を通じた処方からのAPIの浸透性は、爪組織を通じた前記処方からのAPIの浸透性を予測するものではないことが示された。さらにこの研究によって、本発明の好ましい処方である処方082の、爪組織を通じた前記処方内のAPIの浸透性を増加するという予想していなかった能力が示された。
【実施例3】
【0051】
爪真菌症の動物モデルにおける臨床アセスメント
3.00w/w%のトリアゾール抗真菌剤APIであるKP−103を含有する本発明の処方である処方087の有効性は、爪真菌症の動物モデルにおいて評価し、2つの別の研究において爪真菌症の治療を目的としたいくつかの商品の有効性と比較した。処方087の組成物は表2に示した。
【0052】
【表2】

【0053】
処方087及び比較商品の有効性をテストするために、6週齢ハートレイ系モルモットに爪真菌症を誘導させた。処方087及び比較商品のそれぞれを5匹の動物でテストした。200μLの毛瘡白癬菌(Trichophyton mentagrophytes)SM−110(1x10アルスロ胞子/mL)の懸濁液を足底及び後足の趾間部皮膚に接種し、次に足全体を包帯でカバーした。包帯は真菌接種後28日で除去した。30日の期間でテスト治療を行い、接種後60日目に開始した。
【0054】
感染爪は最終治療後7日で足から除去し、ハサミで刻んだ。爪をガラスホモジナイザーに置き、0.25%ブタ膵臓トリプシンを含有するPBS(リン酸緩衝食塩水)を、50mgの湿潤爪重量当たり1mLの割合で添加し、次に爪をホモジナイズした。ホモジネート液は37℃で1時間放置した。100μLの爪ホモジネート液或いはその希釈液は、抗真菌剤を含有するGPLPアガロース培地に広げ、37℃で7日間培養した。培養後、培地上に現れた真菌コロニーを計数し、爪における真菌のコロニー形成単位(CFU)の数を計算した。爪サンプルは、真菌コロニーがプレート上に現れない場合、培養ネガティブと考えられた。
【0055】
研究1において、30日間一回に30μL/足で爪に適用した処方087の有効性は、未処理コントロール動物、及び30日間1週間に1回30μL/足で爪へ適用した5%アモロルフィンマニキュア塗料(Loceryl(登録商標))と比較した。研究2において、1%ナフチフィンゲル(Naftin(登録商標))及び8%シクロピロックスマニキュア塗料(Penlac(登録商標))それぞれは、30日間1日1回30μL/足で爪に適用し、未処理コントロール動物と比較した。研究1及び研究2の結果は表3に示した。
【0056】
【表3】

【0057】
表3のデータより、本発明の処方は、爪真菌症に対するいくつかの現在利用可能な治療と比較して、ヒト疾患の動物モデルにおいて爪真菌症を治療する場合より有効であることが示された。本発明の処方087では、感染爪の60%が治療後培養ネガティブであった。先行技術の組成物では、感染爪の10%以下が治療後培養ネガティブであった。
【実施例4】
【0058】
ヒト治療における臨床アセスメント
左足親指爪の爪真菌症を患った成人男性は、KP−103を含有する本発明の10%局所処方を毎日局所適用することによって治療した。10%局所処方の付加的成分は、アルコール、ビタミンE、ブチル化ヒドロキシトルエン、シクロメチコン、ジイソプロピルアルコール及びC12−15乳酸アルキルであった。治療開始時の爪症状は、80%の爪真菌症(爪床からの爪甲の分離)及び爪下領域の肥厚であった。6ヶ月の治療後、爪の患部近位部分は爪甲の遠位端(爪下(hyponychium))を越えて伸び、その後削り取られた。爪甲の活性真菌症状、爪真菌症或いは爪下領域の肥厚の徴候、或いは治療6ヶ月後の爪症状は見られなかった。
【実施例5】
【0059】
KP−103を含有する本発明の付加的処方
本発明のいくつかの付加的処方は、特定の成分を含有するように製造されるが、表4に示されたように濃度を変えた。
【0060】
【表4】

【0061】
本発明の好ましい実施形態が詳細に記載されたが、開示された実施形態は修飾されることが本分野の当業者には明らかであろう。そのような修飾は以下の請求項に含まれることが意図される。従って、先行する記載は、制限というよりも例示として考えられるものであり、本発明の範囲は以下の請求項によって定義されるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
爪及び爪床の疾患を治療するための方法であって、揮発性及び/若しくは爪の表面へ適用後爪を素早く浸透する溶媒、前記溶媒内に溶解、懸濁、分散或いは乳化される非揮発性溶剤、前記非揮発性溶剤に或いは前記非揮発性溶剤及び溶媒の混合物に可溶性の医薬品有効成分(API)、及び湿潤剤を有する薬学的組成物を前記疾患を患った個人の爪の表面へ局所的に塗布する工程を有するものであって、前記組成物の塗布は前記疾患の症状を回復させるのに十分な量と時間でなされるものである、方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、前記湿潤剤及び溶媒は、同じ化合物である。
【請求項3】
請求項1記載の方法において、前記湿潤剤は、揮発性シリコンである。
【請求項4】
請求項1記載の方法において、前記溶媒は、アルコールである。
【請求項5】
請求項1記載の方法において、前記非揮発性溶剤は、非極性である。
【請求項6】
請求項5記載の方法において、前記非揮発性溶剤は、化学式RCO−OR'の1若しくはそれ以上のエステルであり、R及びR'は同一或いは異なるものであり、R及びR'のそれぞれは、直鎖或いは分岐鎖の1から25炭素原子を有するアルキル、アルケニル、アルコキシカルボニルアルキル、或いはアルコキシカルボニルオキシアルキルラジカルのを示すものである。
【請求項7】
請求項1記載の方法において、前記APIは、抗真菌剤である。
【請求項8】
請求項6記載の方法において、前記抗真菌剤は、トリアゾール化合物である。
【請求項9】
請求項8記載の方法において、前記トリアゾール化合物は、(2R,3R)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−3−(4−メチレンピペリジン−1−イル)−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ブタン−2−オールである。
【請求項10】
請求項1記載の方法において、前記薬学的組成物は、化学式RCO−OR'の1若しくはそれ以上のエステルを有するものであり、R及びR'は同一或いは異なるものであり、R及びR'のそれぞれは、直鎖或いは分岐鎖の1から25炭素原子を有するアルキル、アルケニル、アルコキシカルボニルアルキル、或いはアルコキシカルボニルオキシアルキルラジカルのを示すものであり、前記組成物は爪へ塗布した場合フィルムを形成しないものである。
【請求項11】
請求項10記載の方法において、前記薬学的組成物は、さらに疎水性APIを有するものである。
【請求項12】
請求項11記載の方法において、前記APIは、抗真菌剤である。
【請求項13】
請求項12記載の方法において、前記抗真菌剤は、トリアゾール化合物である。
【請求項14】
請求項13記載の方法において、前記トリアゾール化合物は、(2R,3R)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−3−(4−メチレンピペリジン−1−イル)−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ブタン−2−オールである。
【請求項15】
請求項10記載の方法において、前記アルコールは、エタノールである。
【請求項16】
請求項10記載の方法において、前記非揮発性溶剤は、アジピン酸ジイソプロピル及びC12−15乳酸アルキルを有するものである。
【請求項17】
請求項10記載の方法において、前記揮発性シリコン湿潤剤は、シクロメチコンである。
【請求項18】
請求項1記載の方法において、前記疾患は、爪真菌症である。
【請求項19】
請求項1記載の方法において、前記組成物は、ポリマーフィルム形成性化合物を有さないものである。
【請求項20】
爪或いは爪床の疾患の局所的治療に対する薬学的組成物であって、アルコール、揮発性シリコン、抗酸化剤、化学式RCO−OR'の1若しくはそれ以上のエステルであって、R及びR'は同一或いは異なるものであり、R及びR'のそれぞれは、直鎖或いは分岐鎖の1から25炭素原子を持つアルキル、アルケニル、アルコキシカルボニルアルキル、或いはアルコキシカルボニルオキシアルキルラジカルを示すものであるエステル、及びトリアゾール抗真菌剤を有するものであり、前記揮発性シリコンは、25w/w%未満の濃度で前記組成物中に存在し、前記組成物は、爪の表面へ局所的に塗布した場合フィルムを形成しないものである、薬学的組成物。
【請求項21】
請求項20記載の薬学的組成物において、前記エステルは、アジピン酸ジイソプロピル及びC12−15乳酸アルキルの組み合わせである。
【請求項22】
請求項20記載の薬学的組成物において、前記エステルは、アジピン酸ジイソプロピル及び乳酸ミリスチルの組み合わせである。
【請求項23】
請求項20記載の薬学的組成物において、前記トリアゾール抗真菌剤は、(2R,3R)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−3−(4−メチレンピペリジン−1−イル)−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ブタン−2−オールである。
【請求項24】
請求項20記載の薬学的組成物において、前記アルコールは、エタノールである。
【請求項25】
請求項20記載の薬学的組成物において、前記揮発性シリコンは、環状シリコンである。
【請求項26】
請求項25記載の薬学的組成物において、前記環状シリコンは、シクロメチコンである。
【請求項27】
請求項20記載の薬学的組成物において、前記揮発性シリコンの濃度は、20%未満である。
【請求項28】
請求項20記載の薬学的組成物において、前記揮発性シリコンの濃度は、15%未満である。
【請求項29】
アルコール、シクロメチコン、アジピン酸ジイソプロピル、C12−15乳酸アルキル及びミリスチン酸イソプロピルのどちらか或いは両方、抗酸化剤、及びトリアゾール抗真菌剤を有する、請求項20記載の薬学的組成物。
【請求項30】
以下のw/w%濃度の範囲で以下の成分、
a.アルコール−10%から80%
b.シクロメチコン−0.01%から25%未満
c.アジピン酸ジイソプロピル+C12−15乳酸アルキル及びミリスチン酸イソプロピルのどちらか或いは両方−5%から90%
d.抗酸化剤−0.001%から0.50%
e.トリアゾール抗真菌剤−0.0001%から30%
を有する、請求項29記載の薬学的組成物。
【請求項31】
a.アルコール−50%から70%
b.シクロメチコン−10%から15%
c.アジピン酸ジイソプロピル−8%から15%
d.C12−15乳酸アルキル及びミリスチン酸イソプロピルのどちらか或いは両方−8%から15%
e.抗酸化剤−0.001%から0.50%
f.トリアゾール抗真菌剤−2%から15%
を有する、請求項30記載の薬学的組成物。
【請求項32】
請求項29記載の薬学的組成物において、前記トリアゾール抗真菌剤は、(2R,3R)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−3−(4−メチレンピペリジン−1−イル)−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ブタン−2−オールである。
【請求項33】
ポリマーフィルム形成性化合物を含まない、請求項20記載の薬学的組成物。
【請求項34】
爪或いは爪床の疾患を局所治療するための薬学的組成物であって、アルコール、揮発性シリコン、抗酸化剤、化学式RCO−OR'の1若しくはそれ以上のエステルであって、ここにおいて、R及びR'は同一或いは異なるものであり、R及びR'のそれぞれは、直鎖或いは分岐鎖の1から25炭素原子を有するアルキル、アルケニル、アルコキシカルボニルアルキル、或いはアルコキシカルボニルオキシアルキルラジカルを示すものであるエステル、及びトリアゾール抗真菌剤を有するものであって、前記組成物における揮発性シリコンに対するアルコールの割合は、少なくとも2:3であり、前記組成物は、爪の表面に局所的に適用した場合、フィルムを形成しないものである、薬学的組成物。
【請求項35】
請求項33記載の薬学的組成物において、前記エステルは、アジピン酸ジイソプロピル及びC12−15乳酸アルキルの組み合わせである。
【請求項36】
請求項33記載の薬学的組成物において、前記エステルは、アジピン酸ジイソプロピル及び乳酸ミリスチルの組み合わせである。
【請求項37】
請求項33記載の薬学的組成物において、前記トリアゾール抗真菌剤は、(2R,3R)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−3−(4−メチレンピペリジン−1−イル)−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ブタン−2−オールである。
【請求項38】
請求項33記載の薬学的組成物において、前記アルコールは、エタノールである。
【請求項39】
請求項33記載の薬学的組成物において、前記揮発性シリコンは、環状シリコンである。
【請求項40】
請求項38記載の薬学的組成物において、前記環状シリコンは、シクロメチコンである。
【請求項41】
請求項33記載の薬学的組成物において、前記揮発性シリコンに対するアルコールの割合は、少なくとも1:1である。
【請求項42】
請求項33記載の薬学的組成物において、前記揮発性シリコンに対するアルコールの割合は、少なくとも2:1である。
【請求項43】
請求項33記載の薬学的組成物において、前記揮発性シリコンに対するアルコールの割合は、少なくとも3:1である。
【請求項44】
アルコール、シクロメチコン、アジピン酸ジイソプロピル、C12−15乳酸アルキル及びイソプロピルミリスチン酸のどちらか或いは両方、抗酸化剤、及びトリアゾール抗真菌剤を有する、請求項33記載の薬学的組成物。
【請求項45】
以下の範囲の濃度w/w%の範囲で以下の成分:
a.アルコール−10%から80%
b.シクロメチコン−0.01%から25%未満
c.アジピン酸ジイソプロピル+C12−15乳酸アルキル及びミリスチン酸イソプロピルのどちらか或いは両方−5%から90%
d.抗酸化剤−0.001%から0.50%
e.トリアゾール抗真菌剤−0.0001%から30%
を有する、請求項43記載の薬学的組成物。
【請求項46】
a.アルコール−50%から70%
b.シクロメチコン−10%から15%
c.アジピン酸ジイソプロピル−8%から15%
d.C12−15乳酸アルキル及びミリスチン酸イソプロピルのどちらか或いは両方−8%から15%
e.抗酸化剤−0.001%から0.50%
f.トリアゾール抗真菌剤−2%から15%
を有する、請求項44記載の薬学的組成物。
【請求項47】
請求項43記載の薬学的組成物において、前記トリアゾール抗真菌剤は、(2R,3R)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−3−(4−メチレンピペリジン−1−イル)−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ブタン−2−オールである。
【請求項48】
ポリマーフィルム形成性化合物を含まない、請求項43記載の薬学的組成物。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−508774(P2011−508774A)
【公表日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−541438(P2010−541438)
【出願日】平成20年12月30日(2008.12.30)
【国際出願番号】PCT/US2008/014107
【国際公開番号】WO2009/085314
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(510061667)ドウ ファーマシューティカル サイエンシーズ、インク. (7)
【Fターム(参考)】