説明

片側ソケット型高圧放電ランプ

本発明は、互いに対向して密閉された2つの端部(120,130)と該密閉された端部(120,130)間に配置された放電空間(110)とを備える放電容器(100)と、放電容器(100)の第1の密閉端部(120)内に固定され、前記放電空間(110)内に伸長する放電側の端部を有する第1の電極(20)と、放電容器(100)の第2の密閉端部(130)内に固定され、前記放電空間(10)内に伸長する放電側の端部を有する第2の電極(30)と、前記ランプソケット(400)に配置されており、高圧放電ランプを光学システム内で調整するために使用される平面(421)を規定するソケットフランジ(42)とを有しており、前記第1の密閉端部はランプソケット内に伸長しており、第2の密閉端部はランプソケットから突き出ている片側ソケット型高圧放電ランプに関する。前記第1の電極(20)の放電側端部と前記ソケットフランジ(420)の平面(421)との間隔A、および前記第2の電極(30)の放電側端部と前記ソケットフランジ(420)の平面(421)との間隔Bに対しては、15.0mm≦(A+B)/2≦27.0mmの関係が成り立つ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念による高圧放電ランプに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の高圧放電ランプはたとえば特許文献1に開示されている。この刊行物は、車両前照灯用の片側ソケット型高圧放電ランプを記述しており、この高圧放電ランプは、
・互いに対向して密閉された2つの端部と該密閉された端部間に配置された放電空間とを備える放電容器と、
・放電容器の第1の密閉端部内に固定され、前記放電空間内に伸長する放電側の端部を有する第1の電極と、
・放電容器の第2の密閉端部内に固定され、前記放電空間内に伸長する放電側の端部を有する第2の電極と、
・前記ランプソケットに配置されており、高圧放電ランプを光学システム内で調整するために使用される平面を規定するソケットフランジと、
を有し、
前記第1の密閉端部はランプソケット内に伸長しており、第2の密閉端部はランプソケットから突き出ている、ことを特徴とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許国際公開2008/071543号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、上位概念記載の高圧放電ランプにおいて、偏平構造の反射器用の光源として適し、しかも上位概念記載の高圧放電ランプと同じ構造形式を有するように改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は本発明により、請求項1の特徴を備える片側ソケット型高圧放電ランプによって解決される。本発明のとくに有利な構成は、従属請求項に記載されている。
【0006】
本発明の高圧放電ランプは、
・互いに対向して密閉された2つの端部と該密閉された端部間に配置された放電空間とを備える放電容器と、
・放電容器の第1の密閉端部内に固定され、前記放電空間内に伸長する放電側の端部を有する第1の電極と、
・放電容器の第2の密閉端部内に固定され、前記放電空間内に伸長する放電側の端部を有する第2の電極と、そして
・前記ランプソケットに配置されており、高圧放電ランプを光学システム内で調整するために使用される平面を規定するソケットフランジと、
を有しており、
前記第1の密閉端部はランプソケット内に伸長しており、第2の密閉端部はランプソケットから突き出ている。
【0007】
本発明の高圧放電ランプは、第1の電極の放電側端部とソケットフランジの平面との間隔A、および第2の電極の放電側端部とソケットフランジの平面との間隔Bとに対して
15.0mm≦(A+B)/2≦27.0mm
の関係が成り立つことを特徴とする。
【0008】
この電極構成により、本発明の高圧放電ランプはいわゆる光センタ長が小さい。すなわち放電アーク重心と、車両前照灯反射器を基準にして放電アークを配向するために使用されるソケットフランジの基準面との間隔が小さい。とりわけ光センタ長に対する尺度として使用されるパラメータ(A+B)/2は、本発明の高圧放電ランプを偏平構造の反射器で使用することができるようにするため27.0mm以下である。一方、パラメータ(A+B)/2は、本発明の高圧放電ランプのソケットとランプ容器保持のために上位概念記載の高圧放電ランプの通常の技術を使用することができるようにするため15.0mm以上である。とりわけ本発明の高圧放電ランプのランプソケットとランプ容器保持のために上位概念記載の高圧放電ランプと同じ材料を使用することができる。さらにパラメータ(A+B)/2の値に対する下限は、第1の密閉端部の領域に配置されたランプ容器保持部による遮蔽作用を回避するには十分な大きさである。
【0009】
好ましくは放電容器を取り囲む外部管を固定するために、放電容器の密閉端部はそれぞれパイプ状突起を有する。このパイプ状突起の円形シリンダ形状に基づき、加熱して拡張した外部管材料をローラによりパイプ状突起に押し付け、溶融することにより、外部管を放電容器に簡単に固定することができる外部管は破裂保護および粉砕保護として、および紫外線を吸収するために用いられる。たとえば外部管はこの目的のために硬質ガラスまたは水晶ガラスからなり、紫外線を吸収する添加物、たとえば酸化チタンおよびセリウム酸化物が添加されている。
【0010】
さらに放電容器の第1の密閉端部のパイプ状突起と外部管とは有利にはランプソケットに突入しており、第1電極に対する電流供給部はパイプ状突起と外部管により取り囲まれている。そして放電容器の第1の密閉端部のパイプ状突起のうち外部管から突き出る部分の長さCは1.0mmから11.0mmの範囲の値を有する。これにより、一方では第1の電極に対する電流供給部が前記パイプ状突起と外部管によってソケット内の金属部分に対して絶縁されることが保証され、他方では放電容器の第1の密閉端部のパイプ状突起のうち外部管から突き出る部分が比較的短いため、できるだけ小さな光センタ長を達成するために既存の製造施設を変更する必要がないことが保証される。なぜなら外部管、放電空間およびモリブデンシートパッキンが従来の上位概念記載の高圧放電ランプと同じ放電容器の端部内にあるからである。したがって本発明の高圧放電ランプを作成するために、従来の上位概念記載の高圧放電ランプ用の製造施設を使用することができる。有利には、放電容器の第1の密閉端部のパイプ状突起のうち外部管から突き出る部分とランプソケットとの放電管容器の長手方向での間隔はたとえば2mm以下にすると、第1の電極用の電流供給部がソケット内に配置された金属部分に対して良好に高電圧絶縁されることが保証される。
【0011】
有利にはソケットフランジは製造技術的理由でプラスチック製であり、好ましくはランプソケットと同じプラスチックから作製される。これによりランプソケットとソケットフランジとをプラスチック射出成形部材として同じ方法ステップで作製することができる。好ましくはランプソケットとソケットフランジに対するプラスチックとして、ポリ硫化フェニルおよびポリエーテルイミドが適する。
【0012】
本発明の高圧放電ランプでは、両電極の放電側端部間の間隔B−Aが3.0mmから3.9mmの範囲の値であれば、車両前照灯内での投光のために、一方では理想的な点光源に可及的に近づき、他方では十分な照明強度が可能になる。
【0013】
好ましくは放電容器の曲率と間隔B−Aは、放電側電極端部の光学的間隔が3.6mmから4.2mmの範囲の値を有するように構成されている。これにより車両前照灯内での投光のために、一方では理想的な点光源に可及的に近づき、他方では十分な照明強度が可能になる光源が得られる。
【0014】
本発明の好ましい実施例では、高圧放電ランプがハロゲン金属蒸気高圧放電ランプとして構成されており、少なくともキセノンと、金属ナトリウムおよびスカンジウムのハロゲン化物とを含んでいる。高圧放電ランプの前記充填構成成分により、高圧放電ランプ内でガス放電の点弧直後に白色光を放射することが可能になり、これにより高圧放電ランプを車両前照灯の光源として使用することができる。好ましくは本発明の高圧放電ランプは車両前照灯ランプとして構成されており、擬似定常動作では、すなわち点弧および起動フェーズ後には20Wから35Wの範囲の消費電力を有する。
【0015】
以下、本発明を有利な実施例に基づき詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の好ましい実施例による高圧放電ランプの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1の高圧放電ランプは、定格電力が25Wの無水銀ハロゲン金属蒸気高圧放電ランプである。ガス放電のための放電媒体として、キセノンと金属ナトリウム、スカンジウムおよび亜鉛のハロゲン化物が用いられる。
【0018】
このランプは管状の水晶ガラス製放電容器100を有し、放電容器はガス密に閉鎖された放電空間110と、ソケット近傍にある第1の密閉端部120と、ソケット遠方にある第2の密閉端部130とを備える。放電空間110には2つの電極20,30が突入している。これらの電極は、それぞれ密閉端部120と130にガス密に溶融されたモリブデンシート21,31を介して、密閉端部120,130から導き出された電流供給部22,32と導電接続している。ランプソケットはプラスチック射出成形部材からなるソケットスリーブ400を有し、このソケットスリーブ400には放電容器100およびこれと溶融された外部管50が係止されている。ソケットスリーブ400の放電容器100とは反対側の端部410は、2つの電気接点61,62を有するコネクタとして構成されている。中央接点61は、ソケット近傍の第1の密閉端部から引き出された電流供給部22と導電接続しており、他方のリング状の電気接点62は、セラミック管34により覆われた帰還経路33を介して、放電容器100のソケット遠方の第2の密閉端部から突き出た電流供給部32と導電接続している。放電容器100は、この放電容器100に対してほぼ同心に配置されたシリンダ状の外部管50により包囲されている。外部管50は、ソケット遠方の第2の密閉端部130のパイプ状突起131、およびソケット近傍の第1の密閉端部120のソケットスリーブ400内に伸長するパイプ状突起121とともに溶融されている。パイプ状突起121,131は円形シリンダ状に構成されている。2つのランプ容器100と50をシリンダ状ソケットスリーブ400内に係留するために、締付けシートにより外部管50を取り囲むリング状保持エレメント70と、角付けられた4つの金属クリップ71とが用いられる。金属クリップの第1の端部はそれぞれ保持エレメント70と溶接されており、第2の端部はそれぞれソケットスリーブ400のプラスチック材料に係留されている。ソケットスリーブ400は電気接点とは反対側の端部に、端面421を備えるリング状のフランジ420を有する。この端面421は高圧放電ランプの長手軸に対して垂直に配置されており、ランプを前照灯に配向するための基準面として用いられる。この端面でソケットスリーブ400は壁厚が大きくされている。この領域では金属クリップ71の第2の端部がソケットスリーブ400の内側の壁に係留されている。
【0019】
ソケット近傍の第1の電極20の放電側端部と端面421との間隔Aは17.1mmである。ソケット遠方の第2の電極30の放電側端部と端面421との間隔Bは20.6mmである。したがって光センタ長(A+B)/2は18.85mmである。電極20と30の放電側端部間の間隔B−Aは3.5mmである。電極20,30の放電側端部の光学的に作用する間隔は、放電空間110の領域の屈折率および放電容器100の壁の曲率に依存し、3.6mmから4.2mmの値範囲にある。放電容器100のソケット近傍の第1の密閉端部120のパイプ状突起121のうち外部管50から突き出た部分の長さCは1.0mmである。放電容器100のソケット近傍の第1の密閉端部120のパイプ状突起121のうち外部管50から突き出た部分122からソケットスリーブ400の底部411までの間隔は1.0mmである。
【0020】
本発明は、本発明の上記詳細に説明した実施例に制限されるものではない。たとえば本発明は、ガス放電を高圧放電ランプ内に点弧するための点弧装置のコンポーネント、または高圧放電ランプを駆動するための駆動装置または回路装置のコンポーネントがソケット内に配置された片側ソケット型高圧放電ランプにも適用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
・互いに対向して密閉された2つの端部(120,130)と該密閉された端部(120,130)間に配置された放電空間(110)とを備える放電容器(100)と、
・放電容器(100)の第1の密閉端部(120)内に固定され、前記放電空間(110)内に伸長する放電側の端部を有する第1の電極(20)と、
・放電容器(100)の第2の密閉端部(130)内に固定され、前記放電空間(110)内に伸長する放電側の端部を有する第2の電極(30)と、
・前記ランプソケット(400)に配置されており、高圧放電ランプを光学システム内で調整するために使用される平面(421)を規定するソケットフランジ(420)とを有しており、
前記第1の密閉端部(120)はランプソケット(400)内に伸長しており、第2の密閉端部(130)は前記ランプソケット(400)から突き出ている片側ソケット型高圧放電ランプにおいて、
前記第1の電極(20)の放電側端部と前記ソケットフランジ(420)の平面(421)との間隔A、および前記第2の電極(30)の放電側端部と前記ソケットフランジ(420)の平面(421)との間隔Bに対しては
15.0mm≦(A+B)/2≦27.0mm
の関係が成り立つ、片側ソケット型高圧放電ランプ。
【請求項2】
前記密閉端部(120,130)はそれぞれパイプ状突起(121,131)を有しており、前記放電容器(100)を包囲する外部管(50)が該パイプ状突起(121,131)に固定されている、請求項1に記載の片側ソケット型高圧放電ランプ。
【請求項3】
前記第1の密閉端部(120)の前記パイプ状突起(121)と前記外部管(50)とは前記ランプソケット(400)内に突入しており、これにより第1の電極(20)に対する第1の電流供給部(22)が前記パイプ状突起(121)と外部管(50)によって包囲されており、
前記第1の密閉端部(120)のパイプ状突起(121)のうち外部管(50)から突き出た部分(122)の長さCは、1.0mmから11.0mmの範囲の値を有する、請求項2に記載の片側ソケット型高圧放電ランプ。
【請求項4】
前記ソケットフランジ(420)はプラスチックからなる、請求項1から3のいずれか一項に記載の片側ソケット型高圧放電ランプ。
【請求項5】
前記ランプソケット(400)はプラスチックからなる、請求項1から4のいずれか一項に記載の片側ソケット型高圧放電ランプ。
【請求項6】
前記電極(20,30)の放電側端部間の間隔B−Aは、3.2mmから3.8mmの範囲の値である、請求項1から5のいずれか一項に記載の片側ソケット型高圧放電ランプ。
【請求項7】
前記電極(20,30)の放電側端部間の光学的間隔は、3.6mmから4.2mmの範囲の値である、請求項1から6のいずれか一項に記載の片側ソケット型高圧放電ランプ。
【請求項8】
高圧放電ランプはハロゲン金属蒸気高圧放電ランプであり、少なくともキセノンと、ナトリウムおよびスカンジウムのハロゲン化物とを放電空間内に含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の片側ソケット型高圧放電ランプ。
【請求項9】
電力消費が20Wから35Wの範囲である車両前照灯として構成された、請求項1から8のいずれか一項に記載の片側ソケット型高圧放電ランプ。

【図1】
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【公表番号】特表2013−510412(P2013−510412A)
【公表日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−538276(P2012−538276)
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【国際出願番号】PCT/EP2010/066637
【国際公開番号】WO2011/057916
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(512288684)オスラム ゲーエムベーハー (28)
【氏名又は名称原語表記】OSRAM GmbH
【住所又は居所原語表記】Hellabrunner Str. 1, D−81543 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】