説明

片手入力機器

【課題】片手入力機器で、濁音の入力にかかる打鍵数を少なくし、より快適に操作できる入力機器を提供する。
【解決手段】K、S、T、Hのキーを使った「シフト長押し」方式か「同時長押し」方式で、濁音の仮名と濁音の拗音を、2キーの2打か、2キーの1打で、打ち出すことができるようにする。快適な文字入力機器は、文字の配列が、きちんとしていること、入力に要する手間が省けること、の2点に尽きる。入力機器は、文字配列の点で、日本人の大多数が納得できる配列を実現し、打鍵方法も簡単であるので、仮名入力、英文入力とも、子供から大人まで、幅広い階層の人に受け入れられるものに仕上がっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローマ字入力方式を応用した、片手用の、日本語および英文の入力機器に関する。
【背景技術】
【0002】
片手用のローマ字入力方式の日本語入力機器では、キー数の制約があるため、同一キーを複数回打鍵して文字を得たり、シフトキーを使って入力したりしている。また、携帯電話機では、ローマ字方式でなく、仮名の行頭の文字(あ、か、さ、た…等)を複数回打鍵して、目的の文字を得ている。これに関して、具体的には次の文献が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3521870号公報(入力表示順に関し)
【特許文献2】特許第3130882号公報(文字入力方法に関し)
【特許文献3】特開2001−75708(ローマ字仮名入力に関し)
【特許文献4】特開平11−134096(同上)
【特許文献5】特開平10−207601(同上)
【特許文献6】特開2001−265505(同上)
【特許文献7】昭62−44285(同時打鍵に関し)
【特許文献8】実用新案登録第3072312号(同上)
【特許文献9】昭62−37405(同上)
【特許文献10】特許第3965413号(同上)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
片手入力機器のうち、仮名の入力において、同一キーを複数回打鍵して1つの文字を得る方式のものは、打鍵回数が増えると、入力効率が低下し、快適な入力を得られない。市販されたローマ字方式の片手入力機器にしても、濁音の仮名では3打鍵、濁音の拗音は4打鍵と、打鍵数が多くなる欠点があった。
また、仮名入力に重点が置かれているため、どうしても、英文入力のほうはスムーズに行かなかった。
本発明の入力機器では、仮名(=直音)とその拗音を、2キー、2打鍵以内で入力できるように、また、英字も「ほぼ1打鍵」で済ますことができるように工夫することで、より快適に操作できる入力機器を目指した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のローマ字仮名方式の片手入力機器は、
(イ)1つのキーに母音英字と子音英字を含む、5個の母音キー(5)
(ロ)1つのキーに1個以上の子音英字を含む、子音キー(6)群
(ハ)1つのキーに小文字「ゃ、ゅ、ょ」のうちの、いずれか1字を含む、3個の拗音文字キー(7)
の(イ)〜(ハ)から成る20個以下の文字キー(2)と、各種制御キー(3)で構成され、仮名入力において、
清音については、
(ニ)前記子音キー(6)のうちの、いずれかのキーを押したのちに、または、押すと同時に、前記母音キー(5)または前記拗音文字キー(7)の、いずれかのキーを押すことで、押下したキーに対応した、清音の仮名・拗音を1〜2打鍵で入力可能にしてあり、
濁音については、
(ホ)前記子音キーのうち、英字K、S、T、Hのいずれかのキー(清濁両用キー、16)と、前記母音キー(5)または前記拗音文字キー(7)の、いずれかのキーとの、同時長押し、及び/または、シフト長押しで、押下したキーに対応した、濁音の仮名・拗音を1〜2打鍵で入力可能にしてある、
(ニ)〜(ホ)を特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の入力機器は、「文字キーによるシフト」(の長押し)方式により、濁音の仮名と濁音の拗音の入力を、2キーの2打で済ますことができ、また、「同時打鍵の長押し」方式により、濁音の仮名と濁音の拗音の入力を、2キーの1打で済ますことができ、従来機器よりも簡単に日本語の入力ができるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
(キーボード構成の概観)
キーボード(1)上に、英字をおおむね2字含んだ英字キー(4)群と、小文字「ゃ、ゅ、ょ」各1個の入った、3個の拗音文字キー(7)を図1に示すように配設し、そのほか制御キー(3)群を配設する。小文字「ゃ」「ゅ」「ょ」の各字は、これを拗音文字(12)と呼ぶ。
制御キー(3)以外のキーを、文字キー(2)と総称する。文字キーのうち、英字のあるキーを英字キー(4)とする。拗音文字(12)を含むキーは、これを拗音文字キー(7)として扱う。
【0008】
英字キーのうち、母音を有するキーを母音キー(5)、子音だけのキーを子音キー(6)と呼ぶ。具体的には、K、S、T、H、M、Y、R、(W)をメイン配列にもつキーを子音キーと呼ぶ(Wはメインから外れることもある)。子音キーのうち、K、S、T、Hの各キーは、清音と濁音の両方の生成にかかわるキーなので、これを特別に「清濁両用キー」(16)と呼び、K、S、T、Hの4英字を「清濁子音」(17)と呼ぶ。
拗音文字キー(7)の内には拗音文字(12)のほか「ん、っ、ー」、英字などを適宜含むことができる。
【0009】
「か」「が」などの1文字を「直音」の文字というが、以下、清音の直音を「清直音」(例:か、さ)、濁音の直音を「濁直音」(例:が、ざ)と呼び、清音の拗音を「清拗音」(例:きゃ、しゃ)、濁音の拗音を「濁拗音」(例:ぎゃ、じゃ)と呼ぶことにする。いずれも「音」というより、文字自体を言い表わすものとする。
【0010】
(シフトキーと文字キーとの、シフト打鍵)
電気信号で表せば、キーを押すと信号オンになり、離すと信号オフになる。
制御キー(3)の「シフトキー」(8、9、10、15)を使う「シフト打鍵」では、ふつう、先にシフトキーがオンになって、その後、文字キー(2)がオンになるので、あとの、文字キーが押された時点で、両キーが「2キー共にオン」の状態になる。「2キー共にオン」になることで、結果的に、別の文字に切り替わる(シフトされる)ようになる。
【0011】
(シフトキーと文字キーとの、同時打鍵)
ところで、「シフト」キーと文字キー(2)を、時間差を置かず、同時に打鍵することも可能である。同時打鍵では、一瞬の間、「2キー共にオン」状態がつくられる。
本発明の入力機器では、特に、「シフト」キーと文字キー(2)の同時打鍵の場合、つねに「シフト」キーのほうが一瞬先に入力されたものとみなされるように設定する。
それにより、「シフト」キーと文字キーとの、2キー同時打鍵は、シフトキーを使った「シフト打鍵」と同じ働きをもつものとなる。つまり、同時打鍵は、「時間差のないシフト打鍵」とみなすことができる(実際は、ごくわずかだが、時間差は出る)。
【0012】
シフトキーと文字キーの同時打鍵については、「親指シフト方式」に例がある(「特許文献7」昭62−44285、「特許文献9」昭62−37405)。「親指シフト」では、「右シフト」+「の」→「き」となるように、シフトキーと文字キーの同時打鍵で、別の字を得るようにしている。
【0013】
シフトキーと文字キーとの同時打鍵を利用すると、1打で、サブ配列の英字が入力できるので、全英字が1打で済むし、仮名入力でも、濁音の英字GZDBを1打で済ませられるので、これに母音や拗音文字を加えて、2打で濁直音や濁拗音を打ち出せるメリットがある(例:「主シフト」と「A」の同時打鍵→B 「補助シフト」と「A」の同時打鍵→「ぁ」)。
【0014】
(文字キーを使ったシフト打鍵)
本発明の入力機器では、「シフトキーによるシフト打鍵」とは少し異なった、「文字キーによるシフト打鍵」方式を、新たに取り入れている。この方式は、子音キーのうちの、K、S、T、Hの各キーでもって、母音または拗音文字を、ある時間以上、シフトすることで、濁直音と濁拗音を得るというものである。なお、この「文字キーによるシフト」は、仮名モードで、かつ清濁両用キー(16)を使った場合に限定される。
【0015】
K、S、T、Hの各子音がオンの状態のままで、そこに母音キーや拗音文字キーが入力されると、その時点で、清濁両用キー(16)とこれらのキーの間に、「2キー共にオン」の状態が生じる。つまり、「清濁両用キーによるシフト状態」と同じになる。この状態が、ごく短ければ、清音の仮名(清直音)または清音の拗音(清拗音)の生成で終わるが、シフト状態のままで一定の時間(αミリ秒)を経過すると、ここに濁音の信号が送られ、清音が濁音化されるように設定する。
【0016】
言い換えると、「清濁両用キー(16)による、母音キー(5)または拗音文字キー(7)のシフト」で、「2キー共にオン」が開始され、通常の操作では、清音の仮名もしくは拗音が入力されるが、この「2キー共にオン」の状態が一定時間(αミリ秒)を超えると、清音から濁音に変わる。
【0017】
たとえば、α=400の場合、0.4秒以上、清濁両用キー(16)と母音キー(5)を押したままにすると、濁音の仮名に変わる。つまり、「逐次打鍵」や「通常のシフト打鍵」では清音が、「シフトを長押し」すると濁音が入力されることになる。
なお、マニュアル設定のかたちで、個人の能力に合わせて、「α」の値を調整させることも可能である。
シフト長押しは、清濁両用キー(16)と母音キー(5)または拗音文字キー(7)との間に成り立つもので、N、M、Y、R、W等を含む子音キーには適用されない。
【0018】
(同時打鍵を使った清音の入力)
2つのキーを同時に押して、すぐ離すと、同時打鍵となる。同時打鍵は瞬間的なものなので、子音、母音の順に入力されれば、仮名が出力されるが、時として、母音、子音の順に入力されてしまうことも出る。そうなると文字の体をなさない。そこで、ごく僅かの時間差で入力された場合、常に子音の方が先に入力されたものと認識されるようにすると、仮名入力の有効な手段となり得る。
連続して入力される、前後のキーの時間差が、βミリ秒を超えないとき、同時打鍵とされるように設定すると、同時打鍵と判定された場合、それが、子音と母音、子音と拗音文字(12)の組み合わせの場合、清音の仮名と拗音が入力される。
【0019】
このように本機器では、βミリ秒以下の瞬間的な同時打鍵により、子音キーと母音キーの同時打鍵では、清音の仮名が入力され、子音キーと拗音文字キーの同時打鍵では、清音の拗音が入力される(例:MとAの同時打鍵→ま。 Kと「ゃ」の同時打鍵→きゃ)。
【0020】
(同時打鍵を使った濁音入力)
「シフト長押し」については先に述べたが、もう1つ、「同時長押し」という方法でも、濁音の仮名・拗音がつくられる。たとえば、KとAを同時押しして、そのままコンマ何秒か経過させると、「が」の字が得られるというものである。
つまり、清濁両用キー(16)と、母音キーまたは拗音文字キーの同時打鍵を、そのまま長押しする(同時長押し)ことで、濁音の仮名・拗音を得る。
【0021】
以上の内容を整理すると、
清音の仮名・拗音(清直音と清拗音)は、2キーの「逐次打鍵」(2打)か「同時打鍵」(1打)で得られる。
濁音の仮名・拗音(濁直音と濁拗音)は、「清濁両用キー」(16)と母音キーまたは拗音文字キーの、2キーの「シフト長押し」(2打)か、「同時長押し」(1打)で、得られる。
仮名入力では、シフトキー(制御キー)を使わずに、文字キー(2)だけの組み合わせでも、おおかたの入力が可能となる。
【0022】
(英字の入力)
サブ配列の英字(例:B、C、D)の入力は、「シフトキーによるシフト打鍵」か、シフトキーと該当キーの「同時打鍵」で得られる。
英文入力では、半数の英字をシフトキーで打ち出すので、仮名入力と違って、シフトキーを多用することになる。そのため、随時、同時打鍵方式を用いることで、英字を1打で入力できるようにしている。
【0023】
次に、本発明の入力機器による、仮名入力の実際に移る。
以下は、断りがない限り、仮名(日本語)モードにおいての説明である。
(清音の入力)
はじめに、清音の入力について。
子音キー(6)の次に母音キー(5)を押すと、清直音が得られ、子音キー(6)の次に拗音文字キー(7)を押すと、清拗音が得られる(例:K+A→か K+ゃ→きゃ)。
清音の入力は、逐次打鍵を基本とする。逐次打鍵では、たとえば、まずKを、そしてAというふうに、打鍵に時間差が生ずるが、片手キーボードでは、キーが各指のすぐ近くにあるので、2つの指の2刀流で、このKとAを、同時打鍵することもできる。拗音(K+「ゃ」)の入力にしても同様に同時打鍵できる。同時打鍵なら仮名、拗音とも1打鍵入力となる。
【0024】
(濁音の入力)
次に、濁音の入力について。
「が・ざ・だ・ば」各行の仮名(濁直音)とその拗音は、G、Z、D、Bの英字を用いる以外には、清音の英字(K、S、T、H)を素にしてつくられる。本機器では、これらK、S、T、Hのキー(清濁両用キー16)のいずれかを押しながら、母音や拗音文字(12)を、一定時間(αミリ秒以上)押し続けるという、「シフト長押し」方式と、清濁両用キー(16)と母音や拗音文字の同時打による「同時長押し」方式により、1ないし2打という最少の打鍵で、濁直音と濁拗音を得るように設定している。
これにより、2キーの操作の、1〜2打で、濁音の入力が可能となる。
【0025】
(キーの構成と制御キー)
次に、キーの全体配置について説明する。
手のひらサイズのキーボード(1)上に、4個×4個(縦4列、横4段)や3個×5個といった個数のキーの中に、文字キー(2)を配設する。ついで、その周囲に、各種制御キー(3)を配設する。
【0026】
制御キー(3)の内訳としては、図1に示すように、主シフト(8)、補助シフト(9)、記号シフト(15)、数字シフト(10)、英大シフト(11)の各シフトキーと、「空白/変換」キー(13)、改行キー(14)や、カーソルキーなどがあるが、必要最低限のものだけ表示するにとどめる。
また仮名モードにおいては「かな/カナ」「半角/全角」「英字大/英字小」等の変換を行うファンクションキーも必要なので、図2、図3にこれらを表示した。
【0027】
(ローマ字の基本配列)
次に、アルファベット(英字)のキー配列について説明する。
本発明の入力機器は、まず英字を「あかさたなはまやらわ」の日本語的配列で、各キーに1字ずつ配置した。清音の仮名を1打でも入力できるようにするためである。その上で、この配列から取り残された英字群を、こんどはアルファベット順の配列でもって再配置した。
これを、4個×4個、計16個の文字キーの、図2の基本実施例で説明する。
【0028】
(イ)キーボード(1)上の16個の文字キー(2)の、最上段に拗音文字「ゃ、ゅ、ょ」(12)の各文字を1字ずつ含む、3個の拗音文字キー(7)を配設する。
2段目に、平仮名の「あいうえお」に対応する英字A、I、U、E、の4個の文字を、そして、「E」のすぐ上の段に英字「O」を置く。
ついで、平仮名の「かさたなはまやら」に対応するK、S、T、N、H、M、Y、Rの8個の英字を、3段目、4段目計8個のキーに配設する。なお、これら8個のキーは子音キー(6)となる。
1文字だけあふれたかたちの「W」は、拗音文字キー(7)に混在させることもできるが、ここでは、Yのキーで「わ、を」の入力も兼ねさせた。
以上の13個の英字は、直接の打鍵で、つまり1打鍵だけで入力される。これらの文字を「メイン配列の英字」と称する。
【0029】
(ロ)次に、前記(イ)で配置した13個の英字の上に、残りの英字(B、C、D、F、G、J、L、P、Q、V、W、X、Zの13字)を、Aの位置を起点として、順に、「アルファベット順」の配列で1字ずつ加える。
これら13字は、主シフト(8)キーでもって、シフトされて打ち出されることから、「サブ配列の英字」と称する。つまり、英字は、あかさたな順のメイン配列と、アルファベット順のサブ配列から成り立っている。これに、拗音文字キー(7)を加えることで、拗音を1〜2打で入力できるようにしている。
【0030】
次に、以上の構成の入力機器における、文字操作について述べる。
なお、本発明の入力機器では、拗音文字キー(7)に、英字、「ん、っ」等を混在させるなど、1つのキー内に複数の文字を配置し、日本語入力においては、前の文字の有りようで、次に来る文字が選択されるようにしている。つまり、直音や拗音文字(12)の次には、「っ」「ん」「ー」や、英字(子音字)が選択され、子音のすぐあとには拗音文字(12)が選択されるようになる。
【0031】
(日本語入力の実際)
「仮名モード」での入力の実際について、具体例を挙げて少し説明する。
まず、「清直音」の入力について。
「あ行」の「あいうえお」5字は、母音A、I、U、E、Oを、そのまま打鍵する。「か行」から「わ行」までの仮名40字は、いずれも基本的には、逐次打鍵の「子音+母音」の形で入力される。同時打鍵では子音と母音を同時に打鍵することになる。
「ん」や「っ」は、その文字を直接、入力する。なお、長音の「ー」も同様である。小文字の「ぁぃぅぇぉ」は補助シフトを使うが、「L」、「X」などを使うこともできる(例:LA→ぁ)。
【0032】
拗音(2文字の複合語)は、英字子音に拗音文字(12)を加えることで得られる。
「清拗音」は、子音キー(6)+拗音文字キー(7)の形で、2打鍵で打ち出される(例:K+ゃ→「きゃ」 K+ゅ→「きゅ」 K+ょ→「きょ」)。子音キーと拗音文字キーを同時打鍵すると1打で済む。
ここで、拗音文字の「ゃ、ゅ、ょ」は、子音の後ろには続くが、母音A、I、U、E、Oのあとには続かないものとする。また、語句の先頭に「ゃ、ゅ、ょ」は入力されない(また、拗音文字はC、F、J、L、Q、V、W、X、Y、の後ろには続かない)。
【0033】
次に、濁音について。
「濁直音」は、「が」の字を例にとって説明するが、3つの方法が考えられる。
(イ)Kのキーで、長めに、Aのキーをシフトする(シフトの長押し)ことで、直音「が」を打ち出す(2キー2打)。
(ロ)KとAを同時に打鍵して、押したままにする(同時長押し)ことで、「が」を打ち出す(2キー1打)。
(ハ)濁音の英字Gに、母音Aを加える(例:「主シフト(8)+O(Gのキー)」+A→「が」)(3キー2打か、3キー3打。「主シフト、O」の2キーは、同時打鍵可)。
【0034】
なお、半濁音「ぱ行」の仮名は、シフトでPを打ち出してから、それに母音AIUEOのいずれかを加える。
【0035】
「濁拗音」の「ぎゃ」は、次の3通りの入力方法がある。
(イ)Kのキーで、長めに、「ゃ」のキーをシフトする(シフトの長押し)ことで、拗音「ぎゃ」を打ち出す(2キー2打)。
(ロ)Kと「ゃ」を同時に打鍵して、押したままにする(同時長押し)ことで、「ぎゃ」を打ち出す(2キー1打)。
(ハ)濁音の英字Gに、「ゃ」を加える(例:「主シフト(8)+O」+「ゃ」→「ぎゃ」)(3キー2打か、3キー3打。「シフト、O」の2キーは、同時打鍵可)。
「2キー同時長押し」については、まず該当する2キーに2つの指を置き、それから同時に2キーを長押しにすると、確実に入力できる。
なお、「ぱ行」の拗音「ぴゃ、ぴゅ、ぴょ」は、シフトでPを打ち出してから、それに「ゃ、ゅ、ょ」を加える。
【0036】
平仮名の小文字「ぁ、ぃ、ぅ、ぇ、ぉ」は、「補助シフト(9)+母音」のシフト打鍵で打ち出す(例:補助シフト+A→「ぁ」)。
促音「っ」は、直接「っ」を入力する。撥音「ん」は、直接「ん」を入力する。
【0037】
(半角英小モードと数字モード)
以上、全角仮名モードでの入力の詳細を述べてきたが、次に、英文入力と数字入力について説明する。
「半角英小モード」では、26文字の英字を、直打ちの1打か、あるいは「主シフト」(8)や「補助シフト」(9)の各キーによる、シフト打鍵のかたちで英字の入力を行う。「シフトキー、文字キー」の同時打鍵なら、1打で済む。
【0038】
約半数の英字(メイン配列の英字)は、1打鍵で入力され、残りの半数の英字(サブ配列の英字)は、主シフトキー(8)や補助シフトキー(9)を使って打ち出される(2キー同時打鍵なら1打)。英字モードでは、補助シフト(9)は主シフト(8)とほぼ同じ働きをさせるようにすると、サブ配列の文字も、より打ちやすくなる(主シフト+A→B 補助シフト+A→B)。
【0039】
大文字の英字は、英大(11)キーで、小文字をシフトして得る(英大キーは、シフトキーでありながら、単独に打鍵しても、次に来る1字をシフトできるように、「順次打鍵」の方式を採用する。そうすると、サブ配列英字の大文字入力も、「英大、シフトキー+英字キー」の連続打で、入力しやすくなる)。
【0040】
「英文シフト」キー(18)は、仮名モード内における、半角英小の英字入力に使う。インターネットのアドレス入力などは、仮名モード中であっても、この「英文シフト」キーを押しながら、半角英小の英字を随時、入力できる。モード切替えの煩わしさから解放される。
【0041】
「数字モード」にすると、シフトなしに、半角の数字を直接、連続的に入力できる。仮名モードでの数字入力は、「数字シフト」(10)を使って入力すると、全角の数字が得られる。半角に直すには、「半角/全角」キーを押せばよい。数字を連続的に入力する時は、数字シフトキーを押したまま入力する。
【0042】
(片手方式のメリット)
本発明の入力機器は、清音の仮名・清音の拗音とも、2打鍵か、同時打鍵の1打で入力でき、濁音の仮名・濁音の拗音も、長押しというかたちをとるが、2打鍵か、同時打鍵の1打で入力できる。
両手入力のJISキーボードは、仮名は2打鍵、拗音は3打鍵である。これに対して、本発明のキーボードは、仮名は1〜2打鍵、拗音は1〜2打鍵である。片手機器でも、両手キーボードに匹敵する能力を持つことがわかる。
メインの配列は「あかさたな」順、サブ配列は「アルファベット」順の並びになっているので、仮名入力にも英文入力にも適した配列となっている。
ブラインドタッチ入力も、両手JISキーボードに比べ、きわめて簡単であり、誰でも短期間に習得可能である。視覚障害の人にも、キー数が少ないぶん、簡単に扱えるものである。
学校等で、生徒の机の片隅に1台ずつ備えれば、教師との双方向のやりとりもでき、黒板とチョークを使った従来の教育を、変えられる可能性もある。
英文入力も、従来の片手入力機器よりは、容易で、長文入力にも耐えられる。親指と小指(もしくは薬指)を常に定位置(主シフトキーと、補助シフトキー)に置けるので、英字すべて1打鍵のように入力できる。
【0043】
本発明の入力機器は、ディスプレイ(60)を機器に組み込んで、単体で使用してもよいし、あるいは、USB等でパソコンと接続し、パソコン付属のキーボードとして、本体のCPUを利用するかたちで、文字入力を実現するようにしてもよい。
【0044】
以下は、各実施例についての説明である(図2、図3とも右手操作用のもの)。
図1の基本実施例では、文字キー(2)の配置の概要を説明した。
図2の実施例では、キー配置を横方向に並べた形を示す。
図3の実施例では、キー配置を縦方向に並べた形を示す。
図4は、実施例で入力したときの、仮名モードにおける仮名五十音文字入力表(早見表)の例である。なお、表内の下線部は、清濁両用キー(16)による「シフト長押し」を使って、打ち出すことを示す。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の入力機器の文字キー配置の概要を示した平面図
【図2】本発明の入力機器の概要と配列例(上下方向交互入力の型)を示した平面図
【図3】本発明の入力機器の配列例(左右方向交互入力の型)を示した平面図
【図4】本発明の入力機器の、「仮名五十音入力表」例
【符号の説明】
【0046】
1 キーボード
2 文字キー
3 制御キー
4 英字キー
5 母音キー
6 子音キー
7 「拗音文字」キー
8 「主シフト」キー
9 「補助シフト」キー
10 「数字シフト」キー
11 「英大シフト」キー
12 拗音文字
13 「空白/変換」キー
14 改行キー
15 「記号シフト」キー
16 清濁両用キー
17 清濁子音
18 「英文シフト」キー


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(イ)1つのキーに母音英字と子音英字を含む、5個の母音キー(5)
(ロ)1つのキーに1個以上の子音英字を含む、子音キー(6)群
(ハ)1つのキーに小文字「ゃ、ゅ、ょ」のうちの、いずれか1字を含む、3個の拗音文字キー(7)
の(イ)〜(ハ)から成る20個以下の文字キー(2)と、各種制御キー(3)で構成される入力機器での、仮名入力において、
清音については、
(ニ)前記子音キー(6)のうちの、いずれかのキーを押したのちに、または、押すと同時に、前記母音キー(5)または前記拗音文字キー(7)の、いずれかのキーを押すことで、押下したキーに対応した、清音の仮名・拗音を1〜2打鍵で入力可能にしてあり、
濁音については、
(ホ)前記子音キーのうち、英字K、S、T、Hのいずれかのキー(清濁両用キー、16)と、前記母音キー(5)または前記拗音文字キー(7)の、いずれかのキーとの、同時長押し、及び/または、シフト長押しで、押下したキーに対応した、濁音の仮名・拗音を1〜2打鍵で入力可能にしてある、
(ニ)〜(ホ)を特徴とする、ローマ字仮名方式の片手入力機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−102684(P2010−102684A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−143490(P2009−143490)
【出願日】平成21年6月16日(2009.6.16)
【出願人】(596124656)
【Fターム(参考)】