説明

片面めっきプレス材の製造方法、及び、燃料電池セパレータ用バイポーラプレートの製造方法、並びに、該各方法に用いる片面めっき装置

【課題】燃料電池セパレータのセンタープレートとするバイポーラプレートをクラッド鋼を要することなく製造できるようにする。
【解決手段】電極板14の両側に、所定の凹凸部をプレス成形してなるステンレス製のプレス材15を、燃料側表面となる面15aを外側にしてそれぞれ配置し、重ね合わせ方向の両側からボルト22,24とナット23,25を用いて取り外し可能に締め付けて、電極板14に各プレス材15を密着させる。各プレス材15の外周部とボルト挿通孔20の部分をそれぞれ水密にシールして、組立体17を形成する。組立体17を、ニッケルめっき槽16内でめっき処理することにより、プレス成形された凹凸部を有し、燃料側表面の材質をニッケルとし、酸化剤側表面の材質をステンレスとするバイポーラプレートを製造させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレス加工により両面に形成された所要の凹凸形状の片面のみにめっき被膜を設けてなる片面めっきプレス材の製造方法、及び、該方法に基づく燃料電池セパレータ用バイポーラプレートの製造方法、並びに、これら製造方法の実施に用いる片面めっき装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
燃料電池のうち、たとえば、溶融炭酸塩型燃料電池は、電解質として溶融炭酸塩を多孔質体に染み込ませてなる電解質板をカソードとアノードの両電極により両面から挟み、カソード側にカソードガスとしての酸化剤ガス(空気、CO)を供給すると共に、アノード側にアノードガスとしての燃料ガス(H)を供給することにより発電が行われるようにしたものを1セルとし、該セルをセパレータを介し電池出力に応じた段数に積層してスタックとした構成としたものである。
【0003】
上記燃料電池の各セルを積層するときの各セル間の仕切りとなるセパレータには、種々の型式のものがあるが、近年では、セパレータ自体に貫通マニホールドを備えて、該マニホールドを介して各セルのカソードとアノードへそれぞれ酸化剤ガスや燃料ガスを供給させるようにする内部マニホールド型のセパレータが主流となってきている。
【0004】
かかる内部マニホールド型のセパレータは、図8乃至図10(イ)(ロ)にその一例の概略を示す如く、ほぼ同様の矩形状としてあるカソードマスク1、カソードコレクタ2、センタープレート3、アノードコレクタ4、アノードマスク5を順次積層した構成としてある。又、上記各部材1,2,3,4,5には、対向する2辺に沿って複数のカソードガス用マニホールド6とアノードガス用マニホールド7とをそれぞれ設けてある。
【0005】
上記カソードマスク1とアノードマスク5の中央部分には、対応するカソード8又はアノード9を収容するための開口10,11がそれぞれ設けてあり、又、上記カソードコレクタ2及びアノードコレクタ4における上記各マスク1,5の開口10,11とそれぞれ対応する位置には、多数の貫通孔(図示せず)を設けるようにしてある。
【0006】
又、上記センタープレート3には、図9に示す如く、上記カソードガス用マニホールド6及びアノードガス用マニホールド7の周辺部に、該センタープレート3の両側に配されるカソードマスク1及びアノードマスク5との間にそれぞれガス流路となる所要の隙間を形成するためのマスク支持用凹凸部12が多数形成してある。又、上記各マスク1,5の開口10,11と対応する中央部分には、該各マスク1,5の開口10,11に収容されるカソード8やアノード9との間にガス流路となる所要の隙間を所定方向に配列させて形成するための電極支持用凹凸部13が、たとえば波型に形成してある。
【0007】
よって、図10(イ)(ロ)に示す如く、上記センタープレート3の両側に、カソードマスク1とアノードマスク5をそれぞれ配置した状態にて、外周縁部同士を気密に連結すると共に、センタープレート3とカソードマスク1のアノードガス用マニホールド7の周縁部同士、及び、センタープレート3とアノードマスク5のカソードガス用マニホールド6の周縁部同士をそれぞれ気密に接合することにより、センタープレート3と、カソードマスク1及び該カソードマスク1の開口10に収納されるカソード8との間に、上記カソードガス用マニホールド6と連通するガス流路を形成させて、カソード8の全面に酸化剤ガスを供給できるようにし、同様に、センタープレート3と、アノードマスク5及び該アノードマスク5の開口11に配されるアノード9との間に、アノードガス用マニホールド7と連通するガス流路を形成させて、アノード9の全面に燃料ガスを供給できる構成としてある。
【0008】
更に、上記と同様の燃料電池セパレータを製造する際に、上記カソードマスク1、センタープレート3、アノードマスク5を、いずれも、外縁(外周縁部)に所定形状に切断するための外縁切代を備え、且つ上記カソードガス用マニホールド6とアノードガス用マニホールド7を加工せずにマニホールド切代として残した状態で所要形状にプレス加工する。次いで、上記カソードマスク1、センタープレート3、アノードマスク5を位置合わせした状態で重ねた後、該各構成部品の外周縁部、カソードガス用マニホールド6の内周端部及びアノードガス用マニホールド7の内周端部となる位置をそれぞれ一体に接合する。しかる後、外縁切代とマニホールド切代とを切断除去するようにしたものが従来提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0009】
ところで、上記センタープレート3は、上述したように、片面に酸化剤ガスが接触して流れ、もう一方の面に燃料ガスが接触して流れる構造となっているため、酸化剤側の面は酸化雰囲気に曝される一方、燃料側の面は還元雰囲気に曝されるようになる。このため、上記した酸化剤側と燃料側のいずれの雰囲気でも耐食性を確保するという見地から、該センタープレート3は、酸化剤側の表面の材質をステンレスとし、且つ燃料側の表面の材質をニッケルとしてなるバイポーラプレートとすることが要求されている。
【0010】
そのため、上記燃料電池セパレータ用のセンタープレート3を製造する場合、従来は、ステンレス鋼板とニッケル鋼板とを積層して一体に接合(圧接)してなるクラッド鋼板を素材として用いるようにしてあり、該クラッド鋼板を所要の大きさに切断した後、プレス加工により上述したようなマスク支持用凹凸部12や電極支持用凹凸部13、更には、カソードガス用マニホールド6やアノードガス用マニホールド7の周縁部形状等の所定の凹凸部を成形して、ステンレス表面とニッケル表面とを備えてなるバイポーラプレートとしてのセンタープレート3を製造するようにしている。(たとえば、特許文献2参照)。
【0011】
【特許文献1】特開2004−127699号公報
【特許文献2】特開平9−63600号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところが、上記燃料電池セパレータのセンタープレート3として用いるバイポーラプレートを製造するための素材としているクラッド鋼板は、ステンレス鋼板の片側のみにニッケル鋼板を積層してなる片面クラッド鋼板であり、仕様が特殊なため、比較的大型の燃料電池のセパレータに要求されるような1m×2m程度の大面積の素材を製造できるメーカが限られていて、安定供給の面で難が生じる虞があり、又、素材コストも非常に高価なものとなってしまうというのが実状である。
【0013】
ところで、金属表面処理の技術分野では、或る金属の表面に、めっきやプレーティング等の手法により別の金属の層(被膜)を形成させることが広く一般に行われている。このことに鑑みて、平板状のステンレス鋼板の片面のみに、めっきやプレーティング等の手法により、ニッケル層(ニッケルめっき被膜)を形成させるようにすれば、片面の表面材質をステンレス鋼板そのままのステンレスとし、且つもう一方の面の表面材質を上記ニッケル層によるニッケルとして、それぞれの表面において上述した燃料電池セパレータのセンタープレートに要求されるような酸化剤側の酸化雰囲気と燃料側の還元雰囲気に対する耐食性を確保できる機能を備えるバイポーラプレートを製造できると考えられる。
【0014】
しかし、上記燃料電池セパレータのセンタープレート3として用いるには、図9に示した如きマスク支持用凹凸部12や電極支持用凹凸部13等の所定の凹凸部をプレス加工によって成形する必要がある。このため、上記ステンレス鋼板の片面にめっきによるニッケル層を形成させてなる平板状のバイポーラプレートに対してプレス加工を行うと、ステンレス鋼板の表面よりニッケル層が剥離するという問題が生じる虞がある。
【0015】
一方、平板状のステンレス鋼板に対し、先ず、プレス加工を行って上記マスク支持用凹凸部12や電極支持用凹凸部13等の所定の凹凸部を成形し、しかる後、この所要形状に成形されたプレス材に対してニッケルめっきを施すようにする場合は、上記のような凹凸形状を有するプレス材の片面のみをめっき液に浸すことが難しいため、片面のみにニッケル層としてのめっき被膜を形成させることは困難である。
【0016】
そこで、本発明は、プレス加工による凹凸形状を有してなり且つ母材の片面のみにめっき被膜を形成してなる片面めっきプレス材の製造方法、及び、該方法に基づく燃料電池セパレータ用バイポーラプレートの製造方法、並びに、該各製造方法の実施に用いる片面めっき装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、上記課題を解決するために、請求項1に対応して、電極板の両側に、所要形状にプレス加工してなるプレス材を、めっき加工対象面を外側にしてそれぞれ配置し、該各プレス材を、重ね合わせ方向の両側から締め付けて上記電極板に密着させて取り外し可能に一体に保持させると共に、該各プレス材の外周部又は外周部と締付け位置開口部を水密にシールし、しかる後、上記一体としてある電極板及びプレス材を、所要のめっき液に浸漬させて電気めっき処理を行うことにより、上記プレス材の外側に露出されている片面のみにめっき皮膜を形成させるようにする片面めっきプレス材の製造方法とする。
【0018】
又、請求項2に対応して、電極板の両側に、プレス加工により燃料電池セパレータのセンタープレートに必要とされる所定の凹凸部を成形してなるステンレス製のプレス材を、上記センタープレートとするときに燃料側の表面となる面を外側にしてそれぞれ配置し、該各プレス材を、重ね合わせ方向の両側から締め付けて上記電極板に密着させて取り外し可能に一体に保持させると共に、該各プレス材の外周部又は外周部と締付け位置開口部を水密にシールし、しかる後、上記一体としてある電極板及びプレス材を、ニッケルめっき液に浸漬させて電気めっき処理を行うことにより、上記ステンレス製のプレス材の燃料側の表面となる片面のみにニッケルめっき皮膜を形成させるようにする燃料電池セパレータ用バイポーラプレートの製造方法とする。
【0019】
更に、請求項3に対応して、所要形状にプレス加工してなるプレス材を両側に配置できるようにしてある電極板と、該電極板の両側に配置した各プレス材を重ね合わせ方向の両側から締め付けて取り外し可能に一体に保持させるための締付装置と、上記各プレス材の外周部又は外周部と締付け位置開口部を水密にシールするためのシール部材と、上記一体としてある電極板及びプレス材を所要のめっき液に浸漬させて電気めっき処理するためのめっき槽とを備えてなる構成を有する片面めっき装置とする。
【0020】
上記構成において、プレス材をステンレス製とし、めっき槽内のめっき液をニッケルめっき液とした構成とする。
【0021】
又、上記各構成における締付装置を、各プレス材と電極板の対応する位置に穿設したボルト挿通孔に貫通させて配置するボルトと、該ボルトに螺着させるナットと、締付け位置の開口部をシールするシール部材とからなる構成とする。
【0022】
更に、上述の各構成における電極板を、プレス材よりもやや大きな外形を有するものとし、電極板の両側に配置するプレス材の外周部をシールするためのシール部材を、電極板の外周端部を跨ぐように配置して、上記各プレス材の外周縁部に全周に亘り貼り付けるようにしたシールテープとした構成としたり、電極板を、プレス材と同等か又はプレス材よりも大きな外形を有するものとし、電極板の両側に配置するプレス材の外周部をシールするためのシール部材を、各プレス材の電極板に臨む内側面の外周縁部と、電極板の表面との間に介在させるパッキンとした構成としたり、電極板を、プレス材よりも一回り小さい外形を有するものとし、電極板の両側に配置するプレス材の外周部をシールするためのシール部材を、電極板の外周部よりも外方へ突出する各プレス材の外周縁部同士の間に、該各プレス材の外周縁部の内側面に密着するように介在させるパッキンとした構成とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、以下の如き優れた効果を発揮する。
(1)電極板の両側に、所要形状にプレス加工してなるプレス材を、めっき加工対象面を外側にしてそれぞれ配置し、該各プレス材を、重ね合わせ方向の両側から締め付けて上記電極板に密着させて取り外し可能に一体に保持させると共に、該各プレス材の外周部又は外周部と締付け位置開口部を水密にシールし、しかる後、上記一体としてある電極板及びプレス材を、所要のめっき液に浸漬させて電気めっき処理を行うことにより、上記プレス材の外側に露出されている片面のみにめっき皮膜を形成させるようにする片面めっきプレス材の製造方法、及び、所要形状にプレス加工してなるプレス材を両側に配置できるようにしてある電極板と、該電極板の両側に配置した各プレス材を重ね合わせ方向の両側から締め付けて取り外し可能に一体に保持させるための締付装置と、上記各プレス材の外周部又は外周部と締付け位置開口部を水密にシールするためのシール部材と、上記一体としてある電極板及びプレス材を所要のめっき液に浸漬させて電気めっき処理するためのめっき槽とを備えてなる構成を有する片面めっき装置としてあるので、プレス加工による所定の凹凸部を有し且つ片面にのみめっき皮膜を形成してなる片面めっきプレス材を製造でき、平板状の鋼板にめっき処理を施した後、プレス加工する場合に生じるようなめっき皮膜の剥離の虞を解消できる。又、各プレス材を電極板の両側に密着させた状態でめっき処理を施すことができるため、めっき電流を該各プレス材の面内で均一化できて、該各プレス材の外側に露出された面に形成させるめっき皮膜の厚さの均一化を図ることができる。更に、上記各プレス材が薄い場合であっても、電極板に保持させることにより補強できるため、該各プレス材がめっき処理する際に変形する虞や、めっき槽内でめっき液を撹拌する場合に所定位置より移動する虞を未然に防止することができる。
(2)電極板の両側に、プレス加工により燃料電池セパレータのセンタープレートに必要とされる所定の凹凸部を成形してなるステンレス製のプレス材を、上記センタープレートとするときに燃料側の表面となる面を外側にしてそれぞれ配置し、該各プレス材を、重ね合わせ方向の両側から締め付けて上記電極板に密着させて取り外し可能に一体に保持させると共に、該各プレス材の外周部又は外周部と開口部を水密にシールし、しかる後、上記一体としてある電極板及びプレス材を、ニッケルめっき液に浸漬させて電気めっき処理を行うことにより、上記ステンレス製のプレス材の燃料側の表面となる片面のみにニッケルめっき皮膜を形成させるようにする燃料電池セパレータ用バイポーラプレートの製造方法、及び、上述した片面めっき装置の構成において、プレス材をステンレス製とし、めっき槽内のめっき液をニッケルめっき液とした構成とすることにより、プレス加工による所定の凹凸部を有し、且つ燃料側の表面となる面の材質をニッケルとし、酸化剤側の表面となる面の材質をステンレスとしてなるバイポーラプレートを製造できる。よって、従来、クラッド鋼を素材としていた場合に比して、素材となるステンレス鋼板や、ニッケルめっき処理を行うためのニッケルめっき液は安定した供給を受けることができると共に、素材コストを削減することが可能になる。
(3)締付装置を、各プレス材と電極板の対応する位置に穿設したボルト挿通孔に貫通させて配置するボルトと、該ボルトに螺着させるナットとからなる構成とすることにより、電極板の両側にプレス材を取り外し可能に密着させる構成を容易に実現できる。
(4)電極板を、プレス材よりもやや大きな外形を有するものとし、電極板の両側に配置するプレス材の外周部をシールするためのシール部材を、電極板の外周端部を跨ぐように配置して、幅方向両端縁部を、上記各プレス材の外周縁部に周方向の全周に亘り貼り付けるシールテープとした構成としたり、又は、電極板を、プレス材と同等か又はプレス材よりも大きな外形を有するものとし、電極板の両側に配置するプレス材の外周部をシールするためのシール部材を、各プレス材の電極板に臨む内側面の外周縁部と、電極板の表面との間に介在させるパッキンとした構成としたり、又は、電極板を、プレス材よりも一回り小さい外径を有するものとし、電極板の両側に配置するプレス材の外周部をシールするためのシール部材を、電極板の外周部よりも外方へ突出する各プレス材の外周縁部同士の間に、該各プレス材の外周縁部の内側面に密着するように介在させるパッキンとした構成とすることにより、各プレス材の外周部のシールを容易に且つ確実に行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照して説明する。
【0025】
図1(イ)(ロ)乃至図5は本発明の片面めっきプレス材の製造方法の一例として、燃料電池セパレータ用バイポーラプレートの製造方法、及び、該方法の実施に用いる片面めっき装置の実施の一形態を示すもので、以下のような構成としてある。
【0026】
すなわち、上記片面めっき装置は、所要の矩形状としてある電極板14と、所要形状のステンレス鋼板をプレス加工することにより図9に示した如き燃料電池セパレータのセンタープレートにおけるマスク支持用凹凸部12や電極支持用凹凸部13等の所定の凹凸部と同様の凹凸部(図1では凹凸部の記載を省略してある)を成形してなるステンレス製のプレス材15と、上記電極板14の両側に、上記プレス材15を、燃料電池セパレータのセンタープレートとして使用する際に燃料側表面となる面15aを外側にしてそれぞれ配置した状態で、上記各プレス材15同士を重ね合わせた方向の両側から取り外し可能に締め付けて上記電極板14の両側面にそれぞれ密着させて保持できるようにする締付装置と、上記電極板14に密着させた各プレス材15の外周部と電極板14との間、及び、各プレス材15の締付位置の開口部をそれぞれ水密にシールできるようにする所要のシール部材と、ニッケルめっき槽16を備えた構成とする。これにより、上記電極板14の両側に、各プレス材15を上記した如き所要の向きでそれぞれ配置した後、締付装置にて締め付けて上記電極板14と各プレス材15とを一体化すると共に、上記各プレス材15の外周部及び開口部をすべてシール部材にてシールしてなる組立体17を形成する。しかる後、該組立体17を、上記ニッケルめっき槽16内の図示しないニッケルめっき液に浸漬させて、上記めっき槽16側が陽極、上記電極板14側が陰極となるように通電することにより、各プレス材15の外側に露出された燃料側表面となる面15aのみにニッケルめっき処理を施すようにする。このようにしてプレス加工によるマスク支持用凹凸部12や電極支持用凹凸13部等の所定の凹凸部を有し且つ燃料側表面となる片面がニッケル層(ニッケルめっき被膜)で、もう一方の酸化剤側表面となる面がステンレスとしてなる燃料電池セパレータ用バイポーラプレートを製造するようにする。
【0027】
以下、詳述する。
【0028】
上記片面めっき処理の対象とする各プレス材15は、図2に示す如く、所望する燃料電池セパレータのセンタープレートよりも一回り大きい矩形状のステンレス鋼板に、プレス加工により、上記所定の凹凸部を成形してある。更に、外縁(外周縁部)に所定形状に切断するための平板状の外縁切代18を備える。且つ対向する2辺に沿う方向の所要間隔位置に、図2に二点鎖線で示す如く、後の工程で切除することによりカソードガス用マニホールドとアノードガス用マニホールドを交互に形成するためのマニホールド切代19を設けた形状としてある。更に、上記各マニホールド切代19の内側となる幅方向所要間隔位置に、それぞれボルト挿通孔20を穿設した構成としてある。
【0029】
上記電極板14は、たとえば、銅製として、上記各プレス材15よりもやや大きい矩形状としてあり、且つ上記各プレス材15のボルト挿通孔20と個別に対応する個所に、それぞれボルト挿通孔21を穿設してなる構成としてある。
【0030】
上記締付装置は、本実施の形態では、上記電極板14の両側に各プレス材15を配置した状態にて、単に各プレス材15同士を両側から締め付けておくためのものと、各プレス材15同士を両側から締め付けると共に、上記電極板14への通電を行う機能を有するものとの2種類を使用するようにしてある。
【0031】
すなわち、上記各プレス材15同士の締め付け機能及び電極板14への通電を行う機能を有する締付装置は、上記プレス材15と電極板14に幅方向に配列して設けてあるボルト挿通孔20,21のうち、所要の間隔を隔てた複数個所(図では2個所)のボルト挿通孔20,21に、上記電極板14と各プレス材15の重ね合わせ寸法よりも所要寸法長尺としてある銅製の両ねじボルト22を、両端部が外方にそれぞれ所要寸法ずつ突出するようにボルト挿通孔20と21に貫通させ、該各両ねじボルト22の両端部に、各プレス材15の外側よりそれぞれノブ付きナット23を取り外し可能に螺着させて、後述するシール部材、押え金具26aを介して締め付ける構成としてある。
【0032】
一方、単なる締め付けを行うためのものとしては、残るボルト挿通孔20,21に使用するもので、一方のプレス材15の外側よりボルト(貫通ボルト)24を挿通させると共に、該ボルト24の先端部に、他方のプレス材15の外側よりナット25を取り外し可能に螺着させて、後述するシール部材、ワッシャ27を介して締め付ける構成としてある。
【0033】
上記各プレス材15における各ボルト挿通孔20は、それぞれが各プレス材15における開口部となる。このため、図4(イ)に示す如く、上記両ねじボルト22を貫通配置させるボルト挿通孔20の部分には、該両ねじボルト22の両端部に、シール部材として、ニッケルめっき液に侵されない材質製、たとえば、ウレタン製のシールリング26を予め嵌めた後、押え金具26aを嵌着してから上記ノブ付きナット23を螺着させて締め込むことにより、該シールリング26を上記各プレス材15のボルト挿通孔20に外側から密着させて水密シールを行うようにしてある。
【0034】
又、上記各ボルト24を挿通配置させるボルト挿通孔20の部分については、図4(ロ)に示す如く、上記ボルト24の頭部とプレス材15の外側面との間、及び、該ボルト24に螺着させるナット25とプレス材15の外側面との間に、それぞれワッシャ27と、上記と同様のシール部材としてのシールリング28とを介在させるように配置した状態で上記ナット25の締め付けを行うことにより、上記シールリング28を各プレス材15のボルト挿通孔20に外側から密着させて水密シールを行うようにしてある。
【0035】
上記プレス材15の外周部と電極板14との間をシールするための構成としては、たとえば、図5に示す如く、上記各プレス材15の外周縁部に、電極板14の外周端部を跨ぐように配置するシール部材としてのシールテープ29の幅方向両端縁部を、それぞれ周方向の全周に亘り貼り付けることにより水密シールを行うようにしてある。なお、この場合、上記電極板14の外周端部は、その両側面に滑らかに連なる円弧断面形状となるようにして、上記シールテープ29を貼り付けるときに角が当たらないようにすることが好ましい。
【0036】
上記のようにして組み立ててなるプレス材組立体17は、ニッケルめっき槽16内のニッケルめっき液に浸漬させるようにする。この場合は、図1(ロ)に示す如く、プレス材組立体17を上下方向に配置して、その上部側に位置する両ねじボルト22の両端部が、プレス材組立体17の上方に水平に配置されるようにする。次に、図示しないホイスト等に支持させてなる電力供給用の梁部材30に、銅製の吊下部材31を介して吊下げるようにする。しかる後、上記梁部材30に図示しない電源の陰極側を接続して、該梁部材30、吊下部材31、両ねじボルト22を介し上記電極板14へ通電することにより、該電極板14の両側に密着させてある各プレス材15の外側面全面を陰極とさせることができるようにしてある。
【0037】
一方、上記プレス材組立体17の下部に位置する両ねじボルト22の両端部には、上記プレス材組立体17を垂直な姿勢で安定させるための所要の錘り32を取り付けるようにしてある。
【0038】
以上のように構成されて、上記梁部材30に吊下げられている上記プレス材組立体17は、図示しないホイスト等の操作により、ニッケルめっき槽16内へ吊り下ろしてニッケルめっき液に浸漬させるようにする。この際、上記めっき槽16は陽極となるように接地させ、且つ上記梁部材30に電源の陰極側を接続して通電させると、上記電極板14に密着されて陰極となる各プレス材15では、露出している外側面のみにニッケルめっき被膜が形成されるようになる。なお、図1(ロ)では図示する便宜上、シールテープ29の記載を省略してある。又、図1(イ)(ロ)では図示する便宜上、各プレス材15と電極板14の大きさ及び厚さをほぼ同様のものとして示してある。
【0039】
上記のようにして、所要の通電を行うことにより、上記プレス材15の外側に露出されている片面のみにニッケル層(ニッケルめっき被膜)が形成されると、プレス材組立体17をニッケルめっき槽16より取り出した後、上記両ねじボルト22とノブ付きナット23、及び、ボルト24とナット25をそれぞれ緩めて取り外すと共に、シールテープ29やシールリング26,28を取り外すようにする。これにより、プレス加工によるマスク支持用凹凸部12や電極支持用凹凸部13等の所定の凹凸部を有し且つ燃料側表面となる片面15aの材質をニッケルとし酸化剤側表面となる反対面の材質をステンレスとしてなる2枚の燃料電池セパレータ用バイポーラプレートが得られ、電極板14より取り外すことにより回収できるようになる。
【0040】
このように、本発明によれば、ステンレス鋼板をプレス加工して所定の凹凸部を成形してなるプレス材15とした後、片面にニッケル層を形成して燃料電池セパレータ用バイポーラプレートを製造できるため、平板状のステンレス鋼板にニッケルめっき処理を施した後、プレス加工する場合に生じるようなニッケル皮膜の剥離の虞を解消できる。又、従来のクラッド鋼板に比して、素材となるステンレス鋼板や、ニッケルめっき処理を行うためのニッケルめっき液は安定した供給を受けることができると共に、素材コストを削減することが可能になる。
【0041】
又、上記においては各プレス材15を、プレス材15とほぼ同様の大きさを有する銅製の電極板14の両側に密着させた状態でニッケルめっき処理するようにしてあるため、めっき電流を各プレス材15の面内で全面に亘り均一化できて、該各プレス材15の外側に露出された面の全面に均一な厚さのニッケルめっき皮膜を形成させることができる。
【0042】
更に、上記各プレス材15は、面積に対して厚さ寸法が小さいため、外力により比較的容易に変形し易いものであるが、2枚のプレス材15を上記電極板14に密着させて一体化してなるプレス材組立体17とした状態で、ニッケルめっき槽16内のニッケルめっき液に浸漬するようにしてあるため、上記各プレス材15を補強することができて、めっき処理を行う場合に各プレス材15が変形したり、めっき液の撹拌によって所定位置から移動してしまう虞を未然に防止することができる。
【0043】
更に、各両ねじボルト22及び各ボルト24を通すためのボルト挿通孔20は、各プレス材15におけるマニホールド切代19に設けるようにしてある。そのため、上記のようにして製造される燃料電池セパレータ用バイポーラプレートを、その後、燃料電池セパレータのセンタープレートとして完成させる際には、アノードガス用マニホールド及びカソードガス用マニホールドを設けるために上記ボルト挿通孔20が形成されているマニホールド切代19は切断除去されることになり、上記各ボルト挿通孔20が、燃料電池セパレータのセンタープレートとしての完成品に影響を与えることはない。
【0044】
次に、図6は、本発明の実施の他の形態を示すもので、図1(イ)(ロ)乃至図5に示したと同様の構成において、各プレス材15の外周部のシールとして、上記各プレス材15の外周縁部に沿ってシールテープ29を貼り付けて電極板14の外周端部を包み込むようにした構成に代えて、プレス材15の外周縁部の内側面と、電極板14の表面との間に、ニッケルめっき液に侵されない材質製のシール部材としてのパッキン33を介在させる構成としたものである。
【0045】
上記パッキン33を各プレス材15の外周縁部と電極板14の表面との間に介装する際の具体的手順としては、たとえば、上記各プレス材15の外周縁部の内側面に、予め上記パッキン33をニッケルめっき液に侵されない所要の粘着材を用いてリング状に貼り付けておき、しかる後、このパッキン33付きのプレス材15を、上記パッキン33が密着するように電極板14の両側に配置し、上記実施の形態と同様に、両ねじボルト22とノブ付きナット23、及び、ボルト24とナット25を用いて該各プレス材15同士を締め付けて電極板14に保持させるようにすればよい。
【0046】
その他の構成は図1(イ)(ロ)乃至図5に示したものと同様であり、同一のものには同一符号が付してある。
【0047】
本実施の形態によっても、図1(イ)(ロ)乃至図5に示した実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0048】
次いで、図7は、本発明の実施の更に他の形態を示すもので、図1(イ)(ロ)乃至図5に示したと同様の構成において、電極板14を、プレス材15よりもやや大きいサイズとする構成に代えて、プレス材15よりもやや小さいサイズの電極板14を使用する場合を示すものである。
【0049】
この場合は、電極板14の外周部よりも外方へ突出する各プレス材15の外周縁部同士の間に、シール部材として、上記電極板14とほぼ同様の厚み寸法を有し且つニッケルめっき液に侵されない材質製のパッキン34を、全周に亘って介装させる。更に、上記各プレス材15の外縁切代18となる外周縁部における周方向所要間隔個所に設けたボルト孔35と、該各ボルト孔35と個別に対応するよう上記パッキン34における周方向所要間隔個所に設けたボルト孔36に、一方のプレス材15の外方よりボルト37をそれぞれ挿通させ、該ボルト37の先端部に、他方のプレス材15の外方よりナット38を螺着させて締め付けるようにする。これにより、上記各プレス材15の外周縁部の内側面を上記パッキン34に密着させて該各プレス材15の外周部を水密シールするようにしてある。
【0050】
その他の構成は図1(イ)(ロ)乃至図5に示したものと同様であり、同一のものには同一符号が付してある。
【0051】
本実施の形態によっても、図1(イ)(ロ)乃至図5に示した実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0052】
なお、本発明は上記実施の形態のみに限定されるものではなく、図6の実施の形態のように、電極板14の外周端部が外部に露出されている場合には、たとえば、該電極板14の外周縁部に、通電部材を兼ねた銅製の吊下部材31を直接接続して、両ねじボルト22を介することなく通電を行えるようにしたり、両ねじボルト22を介さずに、プレス材組立体17を垂直な姿勢とするための錘り32を上記電極板14の下端に直接取り付けるようにしてもよい。
【0053】
締付装置としてのボルト22,24とナット23,25を設ける位置や数は、片面めっき処理の対象となるプレス材15の大きさや形状に応じて適宜変更してもよい。又、各プレス材15と電極板14のボルト挿通孔20,21に挿通させる両ねじボルト22に、ノブの付いていない単なるナットを螺着させて各プレス材15同士の外側からの締め付けを行わせるようにしてもよい。更に、上記電極板14の両側にプレス材15を密着させて重ね合わせ方向の両側から所要の力で締め付けて取外し可能に一体化することができれば、たとえば、クランプ等、ボルト22,24とナット23,25以外のいかなる締付装置を採用するようにしてもよい。
【0054】
上記各実施の形態では燃料電池セパレータ用バイポーラプレートを製造するために、プレス材15をステンレス製とし、プレス材15の片面に形成させるめっき皮膜をニッケルとした場合について示したが、プレス加工によって成形される所要の凹凸形状を有し且つ片面にのみ母材とは異なる金属の皮膜(層)を有してなる構成とすることが所望される片面めっきプレス材を製造できるようにするために、プレス材の材質及び形成させるめっき皮膜の材質は、一般にプレス用の素材及びめっき用の素材として使用されているいかなる材質のものを使用してもよい。又、使用するプレス材は、製造を所望する片面めっきプレス材に対応させて外形や凹凸形状を適宜変更してもよい。
【0055】
プレス材15の外周部及び開口部となるボルト挿通孔20をシールするためのシール材としてのシールテープ29やシールリング26,28は、シール対象部位を水密にシールすることができ、且つ片面めっき処理に使用するめっき液に侵されない材質のものであれば、いかなる材質のものを採用するようにしてもよい。又、シールテープ29やシールリング26,28に代えて、ウレタンやポリテトラフルオロエチレン、ナイロン等の樹脂を直接貼り付けたり、隙間に充填したりするようにしてもよい。又、めっき処理前にプレス材にボルト挿通孔20以外の所要の開口部が形成されているような場合には、該開口部と電極板14との間に適宜所要のシール材を介在させて、プレス材の内側面側にめっき液が浸入しないように水密にシールするようにすればよい。
【0056】
電極板14は、その両面に密着させるプレス材15よりも高い電気伝導率を有する材質であれば、銅以外の材質のものとしてもよく、又、プレス材15に対して電極板14を介した通電を行うときに、プレス材15に全面に亘りほぼ均等な電位を発生させることができるようにしてあれば、上記電極板14は、図3に二点鎖線で示す如く、所要個所に開口部39を設けたり、更には、格子状構造とする等してもよい。この場合には、電極板14の材料コストを削減したり、電極板14の軽量化を図る効果が期待できる。又、両ねじボルト22や吊下部材31も、上記電極板14と同様に、高い電気伝導率を有する材質のものであれば銅以外の材質のものとしてもよい。
【0057】
その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の片面めっきプレス材の製造方法としての燃料電池セパレータ用バイポーラプレートの製造方法、及び、該方法の実施に用いる片面めっき装置の実施の一形態を示すもので、(イ)は電極板とプレス材との組立構造を示す概略斜視図、(ロ)は全体構造を示す概略斜視図である。
【図2】図1の装置の片面めっき処理対象とするプレス材を示す概略正面図である。
【図3】図1の装置の電極板を示す概略正面図である。
【図4】図1の装置におけるプレス材のボルト挿通孔部分のシール構造を拡大して示すもので、(イ)は両ねじボルトの貫通部分を、(ロ)はボルトの貫通部分をそれぞれ示す切断側面図である。
【図5】図1の装置におけるプレス材の外周部のシール構造を拡大して示す切断側面図である。
【図6】本発明の実施の他の形態を示す概略斜視図である。
【図7】本発明の実施の更に他の形態を示す図5に対応する図である。
【図8】燃料電池用セパレータの一例の積層構造を示す概要図である。
【図9】図8の燃料電池用セパレータにおけるセンタープレートを拡大して示す図である。
【図10】図8の燃料電池用セパレータにおけるカソードマスクとセンタープレートとアノードマスクとの接合構造を拡大して示すもので、(イ)はアノードガス用マニホールド部分を、(ロ)はカソードガス用マニホールド部分をそれぞれ示す断面図である。
【符号の説明】
【0059】
12 マスク支持用凹凸部(凹凸部)
13 電極支持用凹凸部(凹凸部)
14 電極板
15 プレス材
15a 燃料側表面となる面(めっき加工対象面)
16 ニッケルめっき槽(めっき槽)
22 両ねじボルト(締付部材)
23 ノブ付きナット(締付部材)
24 ボルト(締付部材)
25 ナット(締付部材)
26 シールリング(シール部材)
28 シールリング(シール部材)
29 シールテープ(シール部材)
33 パッキン(シール部材)
34 パッキン(シール部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極板の両側に、所要形状にプレス加工してなるプレス材を、めっき加工対象面を外側にしてそれぞれ配置し、該各プレス材を、重ね合わせ方向の両側から締め付けて上記電極板に密着させて取り外し可能に一体に保持させると共に、該各プレス材の外周部又は外周部と締付け位置開口部を水密にシールし、しかる後、上記一体としてある電極板及びプレス材を、所要のめっき液に浸漬させて電気めっき処理を行うことにより、上記プレス材の外側に露出されている片面のみにめっき皮膜を形成させるようにすることを特徴とする片面めっきプレス材の製造方法。
【請求項2】
電極板の両側に、プレス加工により燃料電池セパレータのセンタープレートに必要とされる所定の凹凸部を成形してなるステンレス製のプレス材を、上記センタープレートとするときに燃料側の表面となる面を外側にしてそれぞれ配置し、該各プレス材を、重ね合わせ方向の両側から締め付けて上記電極板に密着させて取り外し可能に一体に保持させると共に、該各プレス材の外周部又は外周部と締付け位置開口部を水密にシールし、しかる後、上記一体としてある電極板及びプレス材を、ニッケルめっき液に浸漬させて電気めっき処理を行うことにより、上記ステンレス製のプレス材の燃料側の表面となる片面のみにニッケルめっき皮膜を形成させるようにすることを特徴とする燃料電池セパレータ用バイポーラプレートの製造方法。
【請求項3】
所要形状にプレス加工してなるプレス材を両側に配置できるようにしてある電極板と、該電極板の両側に配置した各プレス材を重ね合わせ方向の両側から締め付けて取り外し可能に一体に保持させるための締付装置と、上記各プレス材の外周部又は外周部と締付け位置開口部を水密にシールするためのシール部材と、上記一体としてある電極板及びプレス材を所要のめっき液に浸漬させて電気めっき処理するためのめっき槽とを備えてなる構成を有することを特徴とする片面めっき装置。
【請求項4】
プレス材をステンレス製とし、めっき槽内のめっき液をニッケルめっき液とした請求項3記載の片面めっき装置。
【請求項5】
締付装置を、各プレス材と電極板の対応する位置に穿設したボルト挿通孔に貫通させて配置するボルトと、該ボルトに螺着させるナットと、締付け位置の開口部をシールするシール部材とからなる構成とした請求項3又は4記載の片面めっき装置。
【請求項6】
電極板を、プレス材よりもやや大きな外形を有するものとし、電極板の両側に配置するプレス材の外周部をシールするためのシール部材を、電極板の外周端部を跨ぐように配置して、上記各プレス材の外周縁部に全周に亘り貼り付けるようにしたシールテープとした請求項3、4又は5記載の片面めっき装置。
【請求項7】
電極板を、プレス材と同等か又はプレス材よりも大きな外形を有するものとし、電極板の両側に配置するプレス材の外周部をシールするためのシール部材を、各プレス材の電極板に臨む内側面の外周縁部と、電極板の表面との間に介在させるパッキンとした請求項3、4又は5記載の片面めっき装置。
【請求項8】
電極板を、プレス材よりも一回り小さい外形を有するものとし、電極板の両側に配置するプレス材の外周部をシールするためのシール部材を、電極板の外周部よりも外方へ突出する各プレス材の外周縁部同士の間に、該各プレス材の外周縁部の内側面に密着するように介在させるパッキンとした請求項3、4又は5記載の片面めっき装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−254761(P2007−254761A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−76677(P2006−76677)
【出願日】平成18年3月20日(2006.3.20)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】