説明

物体検知装置

【課題】所定範囲内で検知した複数の物体を統合して単一の物体として認識する際に所定範囲を適切に設定する。
【解決手段】物体検知装置10は、自車両の進行方向の検出対象領域に電磁波を発信し、物体からの反射波を受信する外界センサ11と、外界センサ11の検知結果に基づき、自車両に対する物体の位置および絶対速度を算出する物体位置検出部31および絶対速度算出部32と、所定統合範囲内に対して複数の異なる反射波が受信された場合に、少なくとも物体の位置に基づき、所定統合範囲内の複数の物体を統合して単一の物体として認識する物体統合部33とを備え、物体統合部33は、複数の物体のうち任意の物体の位置を基準として略矩形状の所定統合範囲を設定し、任意の物体の絶対速度に基づき、所定統合範囲の前後方向幅および左右方向幅を互いに独立に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、物体検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば車載レーダ装置で検知した複数の物体のうち、位置が相互に近接し、かつ自車に対する相対速度のばらつきが所定範囲内にある物体同士を統合して目標物体とするときに、この目標物体の代表位置および左右端点を算出し、追従走行制御を行うときには代表位置をターゲットとし、接触回避制御を行うときには左右端点のうち自車の推定軌跡の中心線に最も近いものをターゲットとする走行制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第3660301号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記従来技術に係る走行制御装置によれば、単に、車載レーダ装置で所定範囲内に検知された複数の物体を単一の目標物体として纏めるだけであり、例えば所定範囲よりも大きな車両などの物体が検知された場合には、単一の目標物体を設定することができない虞があり、一方、所定範囲が過剰に大きい場合には、複数の車両などの異なる物体を単一の目標物体として過って纏めてしまう虞があり、所定範囲を適切に設定することが望まれている。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、所定範囲内で検知した複数の物体を統合して単一の物体として認識する際に所定範囲を適切に設定することが可能な物体検知装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決して係る目的を達成するために、本発明の第1態様に係る物体検知装置は、自車両の進行方向の所定領域(例えば、実施の形態での検出対象領域)に電磁波を発信し、前記所定領域内に存在する物体からの反射波を受信する発受信手段(例えば、実施の形態での外界センサ11)と、前記発受信手段による発信および受信結果に基づき、自車両に対する前記物体の位置および絶対速度に係る情報を算出する物体情報算出手段(例えば、実施の形態での物体位置検出部31、絶対速度算出部32)と、前記発受信手段により所定範囲(例えば、実施の形態での所定統合範囲)内に存在する複数の前記物体に対応する複数の異なる反射波が受信された場合に、少なくとも前記物体情報算出手段により算出される前記複数の前記物体の位置に基づき、前記所定範囲内に存在する前記複数の前記物体を統合して単一の物体として認識する統合手段(例えば、実施の形態での物体統合部33)とを備える物体検知装置であって、前記統合手段は、前記複数の前記物体のうち任意の前記物体の位置を基準として略矩形状の前記所定範囲を設定し、前記物体情報算出手段により算出される前記任意の前記物体の絶対速度に基づき、前記所定範囲の前後方向幅および左右方向幅の少なくとも何れか一方を設定する。
【0005】
さらに、本発明の第2態様に係る物体検知装置では、前記統合手段は、前記物体情報算出手段により算出される前記任意の前記物体の絶対速度が増大することに伴い、前記所定範囲の前記前後方向幅を、前記物体情報算出手段により算出される前記任意の前記物体の位置を基準として、自車両の進行方向に伸長傾向に変化させる。
【0006】
さらに、本発明の第3態様に係る物体検知装置では、前記統合手段は、前記物体情報算出手段により算出される前記任意の前記物体の絶対速度が増大することに伴い、前記所定範囲の前記左右方向幅を、前記物体情報算出手段により算出される前記任意の前記物体の位置を基準として、自車両の左右方向に伸長傾向に変化させる。
【0007】
さらに、本発明の第4態様に係る物体検知装置では、前記統合手段は、前記所定範囲の前記左右方向幅を、所定上限値(例えば、実施の形態での上限値WM)に収束させるようにして、自車両の左右方向に伸長傾向に変化させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の第1態様に係る物体検知装置によれば、所定範囲内に存在する複数の物体を統合して単一の物体として認識する際の所定範囲を略矩形状とし、この所定範囲に対して位置の基準となる任意の物体の絶対速度に応じて、自車両の前後方向および左右方向に対して、所定範囲の前後方向幅および左右方向幅の少なくとも何れか一方を設定することにより、検知した物体の運動状態に対応した適切な所定範囲を設定し、発受信手段による発信および受信結果に基づき検知される複数の物体の位置のうち、実際には単一の物体上の異なる複数の位置に対応する物体の位置を的確に統合して単一の物体とすることができる。
さらに、本発明の第2態様に係る物体検知装置によれば、所定範囲に対して位置の基準となる任意の物体(例えば、自車両に対する先行車両)の絶対速度が増大することに伴い、この任意の物体と、この任意の物体の前方に存在する他の物体(例えば、先々行車両)との間の距離は、増大傾向に変化すると判断することができる。このため、所定範囲の前後方向幅を、任意の物体の絶対速度が増大することに伴い、伸長傾向に変化させることによって、適切な所定範囲を設定し、発受信手段による発信および受信結果に基づき検知される複数の物体を的確に統合して単一の物体とすることができる。
【0009】
さらに、本発明の第3態様に係る物体検知装置によれば、通常、道路の設計速度が増大することに伴い、車線の幅員は増大傾向に変化することから、所定範囲に対して位置の基準となる任意の物体(例えば、自車両に対する先行車両)の絶対速度が増大することに伴い、つまり先行車両の走行車線の設計速度が増大することに伴い、所定範囲の左右方向幅を、伸長傾向に変化させることによって、適切な所定範囲を設定し、発受信手段による発信および受信結果に基づき検知される複数の物体を的確に統合して単一の物体とすることができる。
さらに、本発明の第4態様に係る物体検知装置によれば、所定範囲の左右方向幅を、所定上限値に収束させるようにして、伸長傾向に変化させることから、例えば所定範囲の左右方向幅が複数の車線の幅員に相当する値まで過剰に増大することを防止し、適切な所定範囲を設定し、発受信手段による発信および受信結果に基づき検知される複数の物体を的確に統合して単一の物体とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態に係る物体検知装置について添付図面を参照しながら説明する。
本実施の形態による物体検知装置10は、例えば図1に示すように、内燃機関(E)の駆動力をトランスミッション(T/M)を介して車両の駆動輪(図示略)に伝達する車両に搭載され、外界センサ11と、車両状態センサ12と、処理装置13と、スロットルアクチュエータ14と、ブレーキアクチュエータ15と、ステアリングアクチュエータ16と、警報装置17とを備えて構成されている。
【0011】
外界センサ11は、例えばレーザ光やミリ波などの電磁波によるビームスキャン型のレーダ21およびレーダ制御部22を備えて構成されている。
例えばレーダ制御部22は、例えば自車両の進行方向前方に設定された検出対象領域を角度方向に複数の領域に分割し、各領域を走査するようにして、電磁波の発信信号を発信すると共に、各発信信号が自車両の外部の物体によって反射されることで生じた反射信号を受信し、反射信号と発信信号とを混合してビート信号を生成し、処理装置13に出力する。
【0012】
車両状態センサ12は、自車両の車両情報として、例えば自車両の速度(車速)を検出する車速センサや、車体に作用する加速度を検出する加速度センサや、車体の姿勢や進行方向を検出するジャイロセンサや、ヨーレート(車両重心の上下方向軸回りの回転角速度)を検出するヨーレートセンサや、例えば人工衛星を利用して自車両の位置を測定するためのGPS(Global Positioning System)信号などの測位信号を受信する受信機や、運転者による運転操作(例えば、アクセルペダルの踏み込み操作量、ブレーキペダルの踏み込み操作量、ステアリングホイールの舵角など)を検出する各センサなどを備えて構成されている。
【0013】
さらに、処理装置13は、例えば物体位置検出部31と、絶対速度算出部32と、物体統合部33と、代表位置算出部34と、左右位置算出部35と、自車軌跡推定部36と、制御対象判定部37と、車両制御部38とを備えて構成されている。
【0014】
処理装置13の物体位置検出部31は、外界センサ11から出力されるビート信号に基づき、自車両の進行方向前方に設定された検出対象領域内に存在する物体(例えば、他車両など)の位置に係る情報を検出する。
例えば物体位置検出部31は、外界センサ11のレーダ制御部22から出力されるビート信号に基づき、物体までの距離(例えば、自車両に対する相対距離)および方位(角度)を検出する。
【0015】
絶対速度算出部32は、物体位置検出部31により検出された物体の位置に係る情報と、車両状態センサ12により検出された自車両の速度とに基づき、例えば物体の位置の時間変化に応じて物体の相対速度(つまり自車両に対する速度)を算出し、さらに、物体の相対速度と自車両の速度から、物体の絶対速度(対地速度)を算出する。
【0016】
物体統合部33は、略矩形状の所定統合範囲内から反射される複数の異なる反射信号が外界センサ11により受信されることに伴い、物体位置検出部31により検出される所定統合範囲内の複数の物体に対して、物体位置検出部31により算出される少なくとも各物体の位置に基づき、所定統合範囲内の複数の物体を統合して単一の目標物体として認識する。
例えば図2に示すように、物体統合部33は、所定統合範囲TE3内に速度(相対速度または絶対速度)の偏差が所定範囲内で略同等となる複数の物体T1,T2,T3(PC1)が物体位置検出部31により検出された場合に、これら複数の物体T1,T2,T3(PC1)を単一の目標物体Qbとして纏める。
【0017】
なお、物体統合部33は、物体位置検出部31により検出される複数の物体のうちの任意の物体の位置を基準として略矩形状の所定統合範囲の位置を設定しており、この所定統合範囲の大きさを物体の絶対速度(対地速度)に応じて変化するように設定する。例えば図3に示すように、物体統合部33は、物体の絶対速度(対地速度)が増大することに伴い、所定統合範囲の前後方向幅が自車両の進行方向に伸長傾向に変化し、かつ、所定統合範囲の左右方向幅が所定の上限値WMに収束するようにして自車両の左右方向に伸長傾向に変化するように設定する。
【0018】
代表位置算出部34は、物体統合部33により統合されて得られる目標物体、さらには、物体統合部33にて統合されなかった単一の物体に対して代表位置を算出する。
左右位置算出部35は、物体統合部33により統合されて得られる目標物体、さらには、物体統合部33にて統合されなかった単一の物体に対して左右方向端点を算出する。
例えば図2に示すように、物体統合部33により統合された複数の物体T1,T2,T3(PC1)のうち、最も自車両に近接した位置に存在する物体T3(PC1)の位置が代表位置とされ、この代表位置から自車両の左右方向において最も離間した位置PL1に存在する物体T1までの距離を目標物体の左右幅の1/2の値として、代表位置から左右方向に左右幅の1/2の値だけ離れた位置PL1,PR1を左右方向端点として設定する。
【0019】
なお、例えば図2に示すように、物体統合部33にて統合されなかった物体T4(PC2)つまり統合される他の物体が物体位置検出部31により検出されていない単一の物体Qcに対しては、この相対速度Vcを有する物体T4(PC2)の位置が代表位置とされ、予め設定された所定距離(例えば、1mなど)だけ代表位置から左右方向に離間した位置PL2,PR2が左右方向端点として設定される。
【0020】
自車軌跡推定部36は、車両状態センサ12により受信された測位信号と、車両状態センサ12により検出された車速およびヨーレートなどに基づく自律航法の算出処理との、少なくとも何れかによって、自車両の位置(現在位置)を算出する。そして、自車両の位置の時間変化と、車両状態センサ12により検出された車速およびヨーレートなどとに基づき、自車両の走行軌跡を推定する。
【0021】
制御対象判定部37は、代表位置算出部34および左右位置算出部35から出力される目標物体の代表位置および左右方向端点と、自車軌跡推定部36から出力される自車両の走行軌跡とに基づき、物体統合部33により統合されて得られた目標物体あるいは物体統合部33にて統合されなかった物体が、追従走行の制御対象であるか否か、および、接触回避の制御対象であるか否か、を判定する。
例えば図2に示すように、制御対象判定部37は、目標物体Qbを構成する複数の物体のうち何れかの物体(例えば、物体T1)が、自車両Pの走行軌跡内に存在する場合に、目標物体Qbを、追従走行または接触回避の制御対象であると判定する。
そして、この目標物体Qbの相対速度Vbが所定速度以下であって相対的に小さく、かつ、目標物体Qbの代表位置が自車両Pの走行軌跡内に存在する場合には、この目標物体Qbを追従走行の制御対象であると判定する。
また、この目標物体Qbの相対速度Vbが自車両Pに接近する速度であって、この目標物体Qbの左右方向端点の何れか一方が自車両Pの走行軌跡内に存在する場合には、この目標物体Qbを接触回避の制御対象であると判定する。
【0022】
車両制御部38は、例えば追従走行制御部38aと、接触回避制御部38bとを備えて構成され、制御対象判定部37の判定結果に応じて、トランスミッション(T/M)の変速動作を制御する制御信号およびスロットルアクチュエータ14により内燃機関(E)の駆動力を制御する制御信号およびブレーキアクチュエータ15により減速を制御する制御信号およびステアリングアクチュエータ16により転舵を制御する制御信号のうちの少なくとも何れかの制御信号を出力し、自車両の加速および減速と、転舵とを制御する。さらに、車両制御部38は、制御対象判定部37の判定結果に応じて、警報装置17の報知動作を制御する制御信号などを出力する。
【0023】
追従走行制御部38aは、制御対象判定部37の判定結果に応じて、追従走行の制御対象に対して、所定の相対距離を維持しつつ、追従走行を行うようにして、スロットルアクチュエータ14およびブレーキアクチュエータ15を制御して自車両の加速あるいは減速を制御する。
【0024】
接触回避制御部38bは、制御対象判定部37の判定結果に応じて、接触回避の制御対象の相対位置が所定の作動閾位置よりも自車両に近接した場合に、自車両と接触回避の制御対象との接触発生を回避あるいは接触発生時の被害を軽減するようにして、警報装置17の報知動作を制御すると共に、ブレーキアクチュエータ15を制御して自車両の減速を制御したり、ステアリングアクチュエータ16を制御して自車両の転舵を制御する。
【0025】
なお、警報装置17は、例えば、触覚的伝達装置と、視覚的伝達装置と、聴覚的伝達装置とを備えて構成されている。
触覚的伝達装置は、例えばシートベルト装置や操舵制御装置等であって、車両制御部38から入力される制御信号に応じて、例えばシートベルトに所定の張力を発生させて自車両の乗員が触覚的に知覚可能な締め付け力を作用させたり、例えばステアリングホイールに自車の運転者が触覚的に知覚可能な振動(ステアリング振動)を発生させることによって、物体との接触発生の可能性があることを乗員に認識させる。
視覚的伝達装置は、例えば表示装置等であって、車両制御部38から入力される制御信号に応じて、例えば表示装置に所定の警報情報を表示したり、所定の警報灯を点滅させることによって、物体との接触発生の可能性があることを乗員に認識させる。
聴覚的伝達装置は、例えばスピーカ等であって、車両制御部38から入力される制御信号に応じて所定の警報音や音声等を出力することによって、物体との接触発生の可能性があることを乗員に認識させる。
【0026】
本実施の形態による物体検知装置10は上記構成を備えており、次に、この物体検知装置10の動作、特に、外界センサ11により検出された複数の物体のうちから、所定統合範囲内に存在する複数の物体を統合して、単一の目標物体として認識する処理について説明する。
【0027】
先ず、例えば図4に示すステップS01においては、外界センサ11から出力されるビート信号に基づき、自車両の外界に存在する複数の物体の情報(例えば、位置など)を取得する。
そして、ステップS02においては、車両状態センサ12から出力される信号に基づき自車両の情報(例えば、位置、速度、ヨーレートなど)を取得する。
そして、ステップS03においては、検出した物体の位置に係る情報に基づき、自車両に対する物体の速度(相体速度)を算出すると共に、この相対速度と自車両の速度とに基づき、物体の絶対速度(対地速度)を算出する。
【0028】
そして、ステップS04においては、検出された複数の物体の各絶対速度に応じて、各物体毎に所定統合範囲を設定する。
そして、ステップS05においては、各所定統合範囲内に物体位置検出部31により検出された複数の物体が存在するか否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合には、ステップS06に進み、このステップS06においては、各所定統合範囲内で相対速度が所定速度範囲内で略同等となる複数の物体を単一の目標物体として纏め、この目標物体の代表位置および左右方向端点を算出し、一連の処理を終了する。
一方、この判定結果が「NO」の場合には、ステップS07に進み、このステップS07においては、各所定統合範囲に対して他の物体と統合されなかった物体の代表位置を算出すると共に、この代表位置を左右方向端点として設定し、一連の処理を終了する。
【0029】
上述したように、本実施の形態による物体検知装置10によれば、所定統合範囲内に存在する複数の物体を統合して単一の目標物体として認識する際の所定統合範囲を略矩形状とし、この所定統合範囲に対して位置の基準となる任意の物体の絶対速度に応じて、自車両の前後方向および左右方向に対して、所定統合範囲の前後方向幅および左右方向幅を設定することにより、物体位置検出部31により検出された物体の運動状態などに対応した適切な所定統合範囲を設定し、物体位置検出部31により検出された複数の物体の位置のうち、実際には単一の物体上の異なる複数の位置に対応する物体の位置を的確に統合して単一の目標物体とすることができる。
さらに、所定統合範囲に対して位置の基準となる任意の物体(例えば、自車両に対する先行車両)の絶対速度が増大することに伴い、この任意の物体と、この任意の物体の前方に存在する他の物体(例えば、先々行車両)との間の距離は、増大傾向に変化すると判断することができる。このため、所定統合範囲の前後方向幅を、任意の物体の絶対速度が増大することに伴い、伸長傾向に変化させることによって、適切な所定統合範囲を設定し、物体位置検出部31により検出された複数の物体の位置のうち、実際には単一の物体上の異なる複数の位置に対応する物体の位置を的確に統合して単一の目標物体とすることができる。
【0030】
さらに、通常、道路の設計速度が増大することに伴い、車線の幅員は増大傾向に変化することから、所定統合範囲に対して位置の基準となる任意の物体(例えば、自車両に対する先行車両)の絶対速度が増大することに伴い、つまり任意の物体の走行路の設計速度が増大することに伴い、所定統合範囲の左右方向幅を、伸長傾向に変化させることによって、適切な所定統合範囲を設定し、物体位置検出部31により検出された複数の物体の位置のうち、実際には単一の物体上の異なる複数の位置に対応する物体の位置を的確に統合して単一の目標物体とすることができる。さらに、所定統合範囲に対して位置の基準となる任意の物体(例えば、自車両に対する先行車両)の絶対速度が増大することに伴い、所定統合範囲の左右方向幅を、所定の上限値WMに収束させるようにして、伸長傾向に変化させることから、例えば所定統合範囲の左右方向幅が複数の車線からなる幅員に相当する値まで過剰に増大することを防止し、適切な所定統合範囲を設定することができる。
【0031】
なお、上述した実施の形態において、物体統合部33は、例えば図3に示すように、予め設定された物体の絶対速度(対地速度)と所定統合範囲の前後方向幅および左右方向幅との対応関係に応じて、所定統合範囲の大きさを設定するとしたが、これに限定されず、例えば、所定車間時間(例えば、1秒など)および物体の絶対速度と、所定左右方向幅(例えば、所定の車幅など)と、に応じて、所定統合範囲の前後方向幅および左右方向幅を設定してもよい。この場合、例えば前後方向幅は、所定車間時間と物体の絶対速度とを積算して得た範囲とされる。
また、上述した実施の形態において、左右位置算出部35は左右方向端点の代わりに左右方向幅を算出してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施の形態に係る物体検知装置の構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る所定統合範囲の例を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る物体の絶対速度に応じた所定統合範囲の前後方向幅および左右方向幅の変化の例を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る物体検知装置の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0033】
10 物体検知装置
11 外界センサ(発受信手段)
31 物体位置検出部(物体情報算出手段)
32 絶対速度算出部(物体情報算出手段)
33 物体統合部(統合手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の進行方向の所定領域に電磁波を発信し、前記所定領域内に存在する物体からの反射波を受信する発受信手段と、
前記発受信手段による発信および受信結果に基づき、自車両に対する前記物体の位置および絶対速度に係る情報を算出する物体情報算出手段と、
前記発受信手段により所定範囲内に存在する複数の前記物体に対応する複数の異なる反射波が受信された場合に、少なくとも前記物体情報算出手段により算出される前記複数の前記物体の位置に基づき、前記所定範囲内に存在する前記複数の前記物体を統合して単一の物体として認識する統合手段とを備える物体検知装置であって、
前記統合手段は、前記複数の前記物体のうち任意の前記物体の位置を基準として略矩形状の前記所定範囲を設定し、前記物体情報算出手段により算出される前記任意の前記物体の絶対速度に基づき、前記所定範囲の前後方向幅および左右方向幅の少なくとも何れか一方を設定することを特徴とする物体検知装置。
【請求項2】
前記統合手段は、
前記物体情報算出手段により算出される前記任意の前記物体の絶対速度が増大することに伴い、前記所定範囲の前記前後方向幅を、前記物体情報算出手段により算出される前記任意の前記物体の位置を基準として、自車両の進行方向に伸長傾向に変化させることを特徴とする請求項1に記載の物体検知装置。
【請求項3】
前記統合手段は、
前記物体情報算出手段により算出される前記任意の前記物体の絶対速度が増大することに伴い、前記所定範囲の前記左右方向幅を、前記物体情報算出手段により算出される前記任意の前記物体の位置を基準として、自車両の左右方向に伸長傾向に変化させることを特徴とする請求項1に記載の物体検知装置。
【請求項4】
前記統合手段は、前記所定範囲の前記左右方向幅を、所定上限値に収束させるようにして、自車両の左右方向に伸長傾向に変化させることを特徴とする請求項3に記載の物体検知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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