説明

物品の乾燥装置及び乾燥方法

【課題】物品、例えば飲料容器やビンを乾燥する物品乾燥装置から発生する音響(騒音)を低減するための装置及び方法を開示する。
【解決手段】装置は、空気ノズル40、42を備えた1以上のチャンバが取り付けられている密閉したハウジングを含み、乾燥されるべき物品30のため搬入口及び搬出口を有する。ハウジング内の空気流の内部ルートでは、1以上の排気口から空気の規定された排気が行われる。空気流の内部ルートは、空気の流れが乾燥されるべき物品30のため搬入口及び/又は搬出口を通過していくように設計される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品、特に飲料用容器の乾燥方法に関し、特に、請求項1の上位概念(前置部)に記載の特徴を持つ物品、特に飲料用容器の乾燥装置に関する。即ち、本発明は1以上の乾燥用空気供給用の空気供給口と、乾燥用空気をハウジングから排気するための1以上の排気口と、乾燥されるべき物品のための搬入口及び搬出口と、空気ノズルとを備える1以上のチャンバを有するほぼ密閉されたハウジングを有する物品の乾燥装置に関する。
【0002】
本発明は、また、物品、特に飲料用容器の乾燥方法に関し、特に、請求項13の上位概念(前置部)に記載の特徴を持つ飲料用容器の乾燥方法に関する。即ち、本発明はほぼ密閉されたハウジングの内部での、物品の乾燥方法であって、空気ノズルが、乾燥されるべき物品に空気を吹き付け;乾燥用空気供給用の1以上の空気供給口を設け、ハウジングから1以上の排気口を経由して空気を排出する、乾燥方法に関する。
【背景技術】
【0003】
容器に内容物を充填し、ラベルを貼り付ける装置の周囲には、ある程度の湿分が存在し、充填後の容器の外側表面にはそのような湿分が付着していることが普通である。容器を洗浄した後には、容器の内側及び/又は外側表面に多少の液がまた残りうる。
【0004】
容器の機械的健全性及び/又は汚れやガラスの破片といった異物を光学的に検査する工程では、このように液滴の形で残る微量の液は、光学画像の画質を著しく制限する。従って、光学検査対象の容器はできるだけ乾燥させることが好ましい。
【0005】
従来技術として公知の容器乾燥装置は、1以上の箱型チャンバを配列し、上向きに立置きした容器を載せたコンベヤベルトが中を通過する。チャンバ内では、複数の空気ノズルからの空気が容器の外表面に付着した残存液を吹き飛ばし、乾燥された容器が物品乾燥装置から出てくる仕組みになっている。乾燥に必要な空気は、大容量のブロアが外気から取り入れ、ノズルまで導くことにより供給される。物品乾燥装置の特殊なチャンバ内にかかる過圧は、特に容器の搬入口及び容器の搬出口に設けられた、コンベヤベルトの位置に対応する複数の開口から排気(放出)される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
エアノズルに供給する空気はかなりの容量が必要となるので、過圧による排気空気流速度はかなり大きいものとなる。かくて排気される空気と高速で回転するブロアにより大きな騒音が発生するという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、物品、例えば飲料容器やビンを乾燥する物品乾燥装置から発生する音響(騒音)を低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、本願の各独立請求項の主題により解決される。即ち、本発明の第1の視点において、ハウジング内部の空気の流れる内部ルートは、1以上の排気口から規定された排気を行うように構成され、該排気口は、空気排気チャンネルとして形成され、かつ反響及び/又は吸収消音器として構成され、前記空気の流れる内部ルートは、乾燥されるべき物品のための、搬入口及び/又は搬出口を通過するように方向付けられること、を特徴とする物品乾燥装置が提供される。
また、本発明の第2の視点において、ハウジング内部の空気の流れる内部ルートを、1以上の排気口から規定された排気を行うように構成し、排出空気は、基本的には、乾燥されるべき物品のための搬入口および/または搬出口を通過するように方向付けられ、排出空気を、音響吸収空気排気チャンネルとして形成されている1以上の排気口を経由して排出すること、を特徴とする乾燥方法が提供される。
有利な実施形態に係る特徴は従属請求項に記載のとおりである。なお、特許請求の範囲に付記した図面参照番号は、専ら理解を助けるためのものであり、図示の態様に限定することを意図しない。以下に有利な実施形態を掲げる。
音響吸収要素が、空気排気チャンネル内に配置され、前記音響吸収要素は、メタルウールを備える1以上の構造板であり、前記構造板は、空気排気チャンネルの長軸方向に対して斜めに配置されることが好ましい。(形態1)
2以上の構造板が、空気排気チャンネルの長軸方向に対して斜めに連続的に配置されることが好ましい。(形態2)
空気排気チャンネルの内壁が、音響吸収材で構成されるか、及び/又は内張りされることが好ましい。(形態3)。
空気排気チャンネルに適した排出方向に向けて吹き込みノズルが、ハウジング内部において物品のための搬入口及び搬出口の近傍に配置されることが好ましい。(形態4)
前記ハウジングには、空気音響吸収及び/又は本体音響吸収要素ないし部材が設けられることが好ましい。(形態5)
物品乾燥装置は、互いに接続された、複数の連続して配置された乾燥用モジュールで組み立て設計されることが好ましい。(形態6)
物品の供給方向において、物品の搬入口を備える第一の乾燥用モジュールが設けられ、ノズルが物品の水平方向領域の乾燥のため配され、さらに物品の供給方向において、第二の乾燥用モジュールが、物品の底部を乾燥するためノズルを取り付けて、設けられ、さらに物品の供給方向において、第三の乾燥用モジュールが、水平方向領域を乾燥するため搬出口及びノズルを取り付けて、設けられることが好ましい。(形態7)
1以上の空気流発生器が、ブロアを用いて設けられ、前記ブロアは、ハウジング内または当該ハウジングに配され、前記ブロアには、空気吸入フィルタ及び/又は吸入消音器が設けられることが好ましい。(形態8)
圧力センサが、ブロアに後置して設けられ、前記圧力センサは、空気供給管における送風圧力を検出するのに適していることが好ましい。(形態9)
ブロアが、物品乾燥装置とは別に配置され、空気供給管を介して前記物品乾燥装置と接続されることが好ましい。(形態10)
排出空気消音器が、ハウジングに又は当該ハウジングとは別に配置され、前記排出空気消音器は、排出空気供給管を介して前記ハウジングと接続されることが好ましい。(形態11)
物品の乾燥方法について、さらに以下の有利な形態がある。
吹き込みノズルが、ハウジング内部の物品のための搬入口及び搬出口の近傍に配置され、前記吹き込みノズルは、空気排気チャンネルに適合して空気を供給することが好ましい。(形態12)
前記空気の流れは、ブロアによって発生し、前記ブロアは、ハウジング内または当該ハウジングに配されることが好ましい。(形態13)
ブロアの下流にて、空気供給管内部における送給圧力を検出すること、を含むことが好ましい。(形態14)
ブロアの力を調整することによって、ブロアの送給圧力の変動を抑制することが好ましい。(形態15)
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は物品乾燥装置に関し、特にビンの乾燥装置に関する。本装置は、1以上のチャンバを備えた、ほぼ密閉されたハウジングを含む。物品及びビンを乾燥させるため、物品又はビンはコンベヤベルトに乗せられハウジング内を通過し、ハウジング内で加圧空気ないし強く加速された空気に曝される。コンベヤベルトとそれに乗せるビン又はその他の物品のために、搬入口(1以上)と搬出口(1以上)が設けられている。さらに、1以上の乾燥用空気供給用の空気搬入口と、乾燥用空気をハウジングから排気するための1以上の排気口が備えられている。本発明によれば、ハウジング内部の空気の流れるルートは、1以上の排出口から規定された排気を行うように構成される。空気流の内部ルートは、乾燥される物品のために、搬入口及び/又は搬出口の近傍を(横切って)通過するように方向付けられる(配向される)。このように方向付けられた空気流は、負圧を搬入口及び搬出口に生じさせ、搬入口及び搬出口から漏出する空気を最小限にすることができ、そのため搬入口及び搬出口を通る空気によって運ばれる音響を大きく低減することができる。
【0010】
本発明に係る好ましい実施形態によれば、1以上の空気排出口が空気排気チャンネルとして形成され、それを経由してブロア空気が排出される。空気排気チャンネルをこのように形成すると、音響を減衰(吸収)する特徴を効果的に達成できる。さらに、効果的な音響減衰(吸収)が比較的簡易な構造で達成できる。結果として、空気排気チャンネルは特に反響及び/又は吸収消音器として構成できる。そのため、音響減衰(吸収)要素を排気ダクト内に配置できる。音響減衰(吸収)要素は、機械音響の分野で公知及び利用されている、基本的にほとんどあらゆる形態のものを適用できる。減衰(吸収)要素としてメタルウールを組み込んだ1以上の(音響減衰)構造板(特定構造化した板)を、(チャンネルの)軸方向に対して斜めに配置することは、特に簡易で安価である。あるいは、2以上のこのような軸方向に対して斜めに配置した構造板を、排気ダクト内に交互に連続して配置することも可能である。音響は一部は吸収され、一部は構造板に反響し、強く散乱されて、エネルギーを失う。
【0011】
音響減衰(吸収)は、空気排気チャンネル内壁を音響減衰(吸収)材で内張りするか、及び/又は空気排気チャンネル内壁を構造化した内壁で構成することにより補強される。(音響減衰)構造板としては、大きなメッシュサイズのメッシュ表面の裏側に、メタルウール又は鉱物ウールを配したものが1例として挙げられる。ステンレススチールウールは音響減衰(吸収)材として特に適している。ほとんど腐食せず、長期間の運転にわたって高い衛生上の要求も満たすからである。
【0012】
空気排気チャンネルを経由して流れる空気流は、任意的に送風または排気する補助送風機により補助され得る。空気排気チャンネルの外部口に、負圧(吸引)効果によりハウジング内部で空気流の規定された流れルートを更に維持することができる吸引送風機を設けることが有利な実施形態である。
【0013】
本発明に係る別の実施形態によれば、空気排気チャンネルに取り付けられる吹き込みノズル(1または複数)を、乾燥されるべき物品のため、ハウジング内部の搬入口および/または搬出口近傍に配置することが可能である。これらの吹き込みノズルは、コンベヤベルトの両側に斜め上方に向けて配向することが可能である。好ましくは、吹き込みノズル(複数)は、空気排気チャンネルの近傍ないし下部にそれぞれ配置される。その結果、ハウジングを経由して空気排気チャンネルの方へ流れる空気流が、場合により補助排気送風機により生じる吸引(負圧)に(よる吸引流れ)加えて、これらのノズルの気流によって、前もって定められる(方向づけられる)。典型的には、上述した配置を採用すると乾燥用空気のごくわずかな部分が搬入口及び搬出口から排気されるだけで、音響減衰(吸収)手段に関する要求は、これらの位置で低い状態に維持され得る(即ち、この位置では他の音響減衰手段の必要は少ない)。
【0014】
更に、前記ハウジングには、例えばハウジングの内表面に防音マットの形で、1または複数の空気音響減衰(吸収)および/または本体音響減衰(吸収)要素ないし部材を設けることが可能である。好ましくは、弁又は蓋の隙間等の空気流にとって必要でないハウジングの全ての開口部がシールされる。前記防音マットは、更に本体音響振動を減少させるとともに、ハウジング表面の音響放射を減少させる。
【0015】
本発明に係る装置の特に有利な実施形態は、互いに接続された、複数の連続して配置された乾燥用モジュールを有するモジュール組み立て体である。最も小さいユニットは、容器等の乾燥されるべき物品のため、搬入口ならびに搬出口を有する一つの単一モジュールによって形成される。前記ハウジング内部には、物品に吹き付けるため、1以上の空気ノズル装置が設けられる。なお、(ノズルへの)空気供給系および排気口が必要である。これに代えて、異なる又は同一の空気ノズル配置及びそれを除いてほぼ同一の組み立て状態を有する、複数の更なるモジュールが、この一つの単一モジュールと接続可能である。
【0016】
このように、物品ないし容器のため搬入口を備え、かつ物品の及び/又は容器首部分の側部領域の乾燥のためノズルを備える(移送方向で見て)第一の乾燥用モジュールを設けることが可能である。物品の搬送方向で見て前記第一の乾燥用モジュールと接続されている第二の乾燥用モジュールを、例えば、物品の底部及び/又は容器の底部を乾燥するためノズルを取り付けて、設けることが可能である。物品の搬送方向で見て前記第二の乾燥用モジュールと接続されている第三の乾燥用モジュールを、乾燥されるべき物品のため搬出口と側部領域及び/又は容器首部分を乾燥するため更なるノズルの両方を取り付けて、設けることが可能である。当然のことながら、特定の用途に必要かつ適当な乾燥作業次第で、二つの乾燥用モジュールのみを備える装置、あるいは四つ又はそれ以上の乾燥用モジュールを備える装置もまた可能である。
【0017】
仕上げ工程の間の衛生上の要求及び永続的に湿気のある雰囲気に関しては、物品乾燥装置の要素ないし部材が本質的に耐食材料であれば適当である。この目的のため、ステンレス鋼が特に適している。これに代えて、非金属部材もまた採用可能である。
【0018】
本発明の好ましい実施形態(変形態様)では、ハウジング内または当該ハウジングに(外付けとして)配されているブロアによって形成される1以上の空気流発生器が提供される。そのようなブロアには、特に(一つの)電動モータ及び軸流ブロアもしくはラジアルブロアが用いられ、好ましくは空気吸入フィルタおよび/または吸入消音器が設けられる。必要に応じて、前記ブロアの力は可変に調整され得る。もはや十分に透過できない(目詰まりした)空気吸入フィルタにより生ずる損失を平衡化させるため、適当なセンサによって、ブロア下流の空気供給管におけるフィルタ透過率の減少により生ずる圧力の減少を検出し、かつ前記ブロアの力を増加させることによって減少した透過率を平衡化させることが適当であり得る。長期間運転されていた後ブロアの力が最大値に達し次第、空気吸入フィルタを交換又は清掃する必要があり得る。
【0019】
これに代えて、空気流発生器を、物品乾燥装置とは別に配置することができ、これを、空気供給管を介して前記物品乾燥装置と接続することができる。これは、物品乾燥の複数のモジュールまたは複数の装置のため、中央空気供給装置を考えることも効果的であり得る。しかしながら、全体の音響防止機構においてブロア及びその原動機並びに吸入騒音の音響平衡はもはや考慮されなくてもよいので、この代替案は、さらに良く騒音を減少させることに関して効果的であり得る。基本的には、乾燥ノズルから発する空気の騒音発生並びにハウジングから排出している空気の伝送音のみが考慮されるべき点である。
【0020】
さらに、音響減衰(吸収)は、ハウジングとは別の排出空気消音器を配置し、前記排出空気消音器を、排出空気供給管を介して前記ハウジングと接続することによっても達成され得る。
【0021】
さらに、本発明には、第2の視点として、物品、特にビン等の飲料用容器の乾燥方法が含まれる。本方法では、空気ノズルが、ほぼ密閉されたハウジングの内部で、乾燥されるべき物品に空気を吹き付ける。また、本方法では、乾燥用空気が、1以上の空気搬入口を経由して供給され、空気が、ハウジングから1以上の排出口を経由して排出される。本発明によれば、1以上の排出口に向かって規定された空気流(排気の流れ)が、ハウジング内部の空気の流れるルートによって行われ、その際、排出空気(流)は、基本的には、乾燥されるべき物品のための搬入口および/または搬出口の近傍を(横切って)通過するように方向付けられる。このように、前記物品を搬送するための搬入口および搬出口から空気がハウジングを経由して制御されずに排出されること、並びにそれによって全ての音響吸収措置が、関連した音源への直接の影響のために、大がかりになることが回避される。本発明に係る方法の好ましい実施形態によれば、排出空気は、音響減衰(吸収)空気排気チャンネルとして形成されている排出口(排気口)を経由して排出される。
【0022】
前記方法の別の実施形態では、物品のためハウジング内部の搬入口および搬出口近傍に配置される吹き込みノズルによって、空気排気チャンネルに向けて排出空気流が生ずるよう配向され得る。空気の流れは、好ましくはハウジング内部または当該ハウジングに(外付け)配置されるブロアによって形成される。
【0023】
しかしながら、これに代えて、乾燥用空気が、空気供給管を経由して外部から同様に供給されることもできる。
【0024】
前記方法の別の実施形態では、ブロアの下流に、空気供給管内部の送風圧力または送風容積を検出することが含まれる。このように、ブロアの出力の調整によって、ブロアの送風圧力の変動を抑制することができる。送風圧力は、例えば、吸引フィルタの目詰まりの進行に応じて減少することにより、変動する。送風ファンの回転数増大により、送風モータの最大出力に達するまで、送風能力は一定に保つことができる。
【0025】
さらに本発明の特徴、目的及び利点を、以下の記載においてより詳細に説明するが、本発明はこれに限定されず、付随的な特徴に言及するものである。同一の参照番号は、各図全体を通して同一の要素に言及するものであり、繰り返して説明されない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、互いに接続された三つの乾燥用モジュールからなる物品乾燥装置の一実施例の斜視図(透視図)を示す。
【0027】
【図2】図2は、図1に係る物品乾燥装置の長軸方向の切開断面図を示す。
【0028】
【図3】図3は、物品乾燥装置の第一の乾燥用モジュールの一例の詳細図を示す。
【0029】
【図4】図4は、乾燥用モジュールの空気排気チャンネル(ダクト)の一例及びいかにして前記空気排気チャンネルが消音器として形成されるかを示す。
【0030】
【図5】図5は、空気排気チャンネルの上面図を示す。
【0031】
【図6】図6は、乾燥用モジュール内部の空気流の方向の一例を示す。
【実施例】
【0032】
図1の模式図は、互いに接続された三つの乾燥用モジュール10からなる物品乾燥装置12の斜視図を示す。当該装置は、本願の実施形態において特に充填され、蓋をかぶせられた後のビンに対して役立ち得る。これらの乾燥用モジュール10は、壁(複数)の1つの側面が(隣接モジュールの側面と)互いに向き合って除去されている(不要)ので、物品乾燥装置12を共通のハウジング14を構成する。コンベヤベルト16は、物品乾燥装置12に貫通して行き渡り、直立したビンは、物品乾燥装置12を通って前記ベルトコンベヤ16上で搬送される。この目的のため、第一の乾燥用モジュール10aには、ビン(複数)を備えるコンベヤベルト16のため搬入口18が設けられる。ビン(複数)は、第二の乾燥用モジュール10bとは(反対側の)離れた側壁に配置される。同様に、第三の乾燥用モジュール10cには、コンベヤベルト16のため搬出口20が設けられ、それに関して、前記搬出口20もまた第二の乾燥用モジュール10bとは反対側の離れた側壁に配される。搬入口18および搬出口20の両方は、付属的なエアロック22として形成される。エアロック22は、内部組み立て品によって、わずかな空気のみが物品乾燥装置12のハウジング内部から開口18および20を経由して漏れる可能性があるようにする。さらに、エアロック22ならびに当該エアロック22の音響減衰(吸収)設計としてのこの機能は、ごくわずかな騒音のみが開口18および20から発せられるようにする。
【0033】
乾燥用モジュール10の残りの壁24はしっかりと組み立てられ、旋回軸が取り付けられたものであり、好ましくはビチューメンマット等の音響減衰(吸収)材を内張りする。前壁24は、特に、ハウジング内部に迅速にアクセスできるよう枢軸(蝶番)ドアとして形成される。
【0034】
各乾燥用モジュール10のハウジングの上部は、上部側壁に配される空気搬入口(取入れ口)26とハウジングの上端に配される排気口28とを有する空気流発生器として形成される。搬入口26から入ってくる乾燥用空気は、電動ブロア(図2参照)及び空気供給管によってコンベヤベルト16上に直立しているビンを載置されたコンベヤベルト16の近傍の乾燥ノズルまで送られ、排気口28を通って再び外部に導かれる。
【0035】
図2の模式図は、乾燥用ビン30用の物品乾燥装置12の長軸方向の透視断面図を示す。乾燥用ビン30は、コンベヤベルト16上を搬送されている。これにより、図示された乾燥用モジュール10a、10bおよび10cのそれぞれには、基本的に三つのハウジング部分が設けられることが確認できる。中間のハウジング部分には、コンベヤベルト16ならびにビン30に吹き付けるためのノズル(図3参照)が位置している。下部には、漏斗状またはトレイ状の水流出路ならびに、必要に応じて、中間のハウジング部分の最深部に防音用のサイホンが設けられる。ビンからまたは乾燥用モジュール10の他の部分からたれるおよび/または流れ出る水は、ここに集められ、処理される。
【0036】
空気搬入口26、空気流発生器(ユニット)34ならびに、排気口28まで経由される空気排気チャンネル(流路)36は、中間のハウジング上部に配され、水平隔離板32によって区切られる。消音器の形態を有する空気排気チャンネル36は、図4および図5に基づき、より詳細に記載される。
【0037】
図3の詳細図は、物品乾燥装置12の第一の乾燥用モジュール10aとその実質的な要素を示す。コンベヤベルト16の下部に配置されるトレイ38は、必要に応じて音響減衰(吸収)迷路管(図示せず)およびサイホンのそれぞれを経由して、水を集め、水を処理する。搬入口18および当該搬入口18を覆っているエアロック22を通り越して直ぐに、第一の空気ノズル装置40が、4組の円形ノズルの形態で上方に傾けて配される。前記円形ノズルは、ビン30の首部分に向けて方向付けられ(配向され)、前記ビン30に対し(斜め)上方へ吹き付ける。第一の空気ノズル装置40の円形ノズルは、コンベヤベルト16の両側にそれぞれ配置される。好ましくは、円形ノズルとコンベヤベルト16との間隔、ならびに前記円形ノズルの鉛直位置および/または吹き込み角度の両方は、幅の違うコンベヤベルト16ならびに同様に大きさの違う、すなわち幅の違うビンおよび高さの違うビンを考慮して変更可能なよう構成する。
【0038】
第一の空気ノズル装置40を通り越すと、第二の空気ノズル装置42が、ビン30の搬送方向において互いに連続的に、互い違い(段階的)に配置される平型の吹出ノズルの形態で続いて配される。二つの平型吹出ノズルは、コンベヤベルト16の両側に互いに向き合って配される。第二の空気ノズル装置42も、好ましくは、必要に応じてコンベヤベルト16に対するそれぞれの間隔についてならびにその傾きおよび/または高さについて調整可能である。
【0039】
空気ノズル装置40及び42の両方には、空気が空気流発生器34から空気供給管44を経由して供給されている。前記空気流発生器34は、水平隔離板32の上部に配されている。それによって、前記空気流発生器34は、図示された実施形態において、軸流ブロア46ならびにブロア46の駆動用電動モータ48を含む。これに代えて、ラジアルブロアまたは別の適当な設計もまた採用可能である。駆動モータ48は、駆動ベルトまたはギアを介してあるいは直接の軸接続によって、ブロア46と任意的に接続可能である。図2から確認できるように、空気吸入フィルタ50がブロア46の上流に配され、それによって前記空気吸入フィルタ50は吸入される空気を濾過する。前記空気吸入フィルタ50は、吸入消音器として役立ち得るが、必要に応じて別の吸入消音器と接続される。
【0040】
ブロア46近傍の空気供給管44の内部には、センサ(図示せず)が配される。前記センサは、周囲圧力と空気供給管44の内部にある過圧との圧力差を測定し、駆動モータ48のコントロールユニットに出力信号を送る。そのようなコントロールユニットを用いることによって、空気吸入フィルタ50の透過率が減少しても、ブロア46の結果として生ずる力は、少なくとも駆動モータ48が回転速度を上昇させることによってその最大限度に達する間は、一定に維持され得る。
【0041】
空気流発生器34は、空気排気チャンネル36とは垂直隔離板52によって区切られており、前記空気排気チャンネル36には、下部開口54が設けられている。前記下部開口54は、水平隔離板32を貫通しており、乾燥用ノズル40、及び42を備える中間部分に対して自由な空気連通路を成す。
【0042】
図4の長軸方向の実施形態は、乾燥用モジュール10の空気排気チャンネル36を示す。それによって、前記空気排気チャンネル36は、音響消音器として形成される。空気排気チャンネル36の、互いに向き合っている二つの鉛直の側壁56には、音響減衰(吸収)要素58が配されている。前記音響減衰(吸収)要素58は、空気排気チャンネル36の長軸方向に対して傾斜され特定構造化された板(構造板)60によって与えられる。図示された実施形態において、構造板60は、粗い金属格子62、およびメタルウールの充填材64を有している。このため、音響減衰効果が、排出空気の偏向(方向転換)による反響ダンピングとメタルウールによる吸収ダンピングの両方によって、もたらされる。必要に応じて、空気排気チャンネル36の内壁を、さらに構造化した表面で構成するか、および/または音響減衰(吸収)材(吸音材)で内張りすることができる。
【0043】
空気排気チャンネル36のカバー板66において、例えば、1または2つの吸引ブロアによって、別途空気排気が行われる。図5の上面図は、2つの吸引ブロアを備える空気排気チャンネル36の実施形態を示す。
【0044】
図1から3に基づき明確化されるように、物品乾燥装置12の乾燥用モジュール10は、もう一つの選択肢として、底部において垂直支持体70によってならびに必要に応じて高さ調節可能な台座72によって支持され得る。支持体70は、有利には支持用フレームを形成し、これは、側壁が保持されるクロスバーによって安定化される。当然、乾燥用モジュール10のハウジング14は、示されているものとは異なる手段で設計可能である。
【0045】
図2に基づき明確化されるように、ほぼ同様の組み立て乾燥用モジュール10には、異なる空気ノズル装置40を設けることができる。このように、第二の乾燥用モジュール10bは、容器30を底部から吹き付ける第三の空気ノズル装置74を含む。第三の乾燥用モジュール10cには、第四の空気ノズル装置76ならびに第五の空気ノズル装置78が設けられる。第五の空気ノズル装置78は、コンベヤベルト16およびビン30の搬出口20の近傍での組み付けおよびその位置決めについて、第一の空気ノズル装置40と一致するが、斜め上方に傾斜し、複数の細い空気ノズルを有する第四の空気ノズル装置76は、ビン30に下から上へ(順次)吹き付けるように、設けられる。一方、エアロック22が搬出口20に配されている(図1参照)。
【0046】
図6の模式図は、一つの乾燥用モジュール10の内部での空気が流れる方向を示す。これは、ブロア46から始まり、空気供給管44および第二の空気ノズル装置42を経由して空気排気チャンネル36へ向かう方面への循環を開示する。空気排気チャンネル36へ向かって上方への流れの転向は、一方では第一の空気ノズル装置40での排出空気による恩恵を受けられる。第一の空気ノズル装置40は、空気排気チャンネル36の真下に配され、ノズルの空気は、斜め上方に突出しているので、第二の空気ノズル装置42から排出された空気もまた、コンベヤベルト16の上部の領域において第一の空気ノズル装置40へ向かう方面へ左に運ばれ、さらにそこから空気排気チャンネル36へ向かう方面へ上方に運ばれる。開示した空気の流れは、吸引ブロア68によって、さらに補強される。前記吸引ブロア68は、空気排気チャンネル36の排出口(排気口)に配され、物品乾燥装置12のハウジングから上方へ湿った排出空気を運ぶ。図6の実施形態において、参照番号80は、ブロア46によって、空気供給管を経由して空気ノズル装置40、および42まで運ばれる乾燥用空気を示すが、参照番号82は、空気排気チャンネル36を経由して運ばれる湿った排出空気を示す。空気の流れの示された方向では、湿った排出空気82のごくわずかな部分が搬入口18を通ってまたは搬出口20を通って漏れる。音響減衰(吸収)は、最適化され、それにより湿った排出空気82の大部分が、音響消音器として形成される空気排気チャンネル36を通って外部へ排出される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の乾燥用空気(80)供給用の空気供給口(26)と、乾燥用空気をハウジングから排気するための1以上の排気口(28)と、乾燥されるべき物品のための搬入口(18)及び搬出口(20)と、空気ノズル(40、42、74、76、78)とを備える1以上のチャンバを有するほぼ密閉されたハウジング(14)を有する物品の乾燥装置(12)であって、
ハウジング(14)内部の空気の流れる内部ルートは、1以上の排気口(28)から規定された排気を行うように構成され、
該排気口(28)は、空気排気チャンネル(36)として形成され、かつ反響及び/又は吸収消音器として構成され、
前記空気の流れる内部ルートは、乾燥されるべき物品のための、搬入口(18)及び/又は搬出口(20)を通過するように方向付けられること、
を特徴とする物品乾燥装置。
【請求項2】
音響吸収要素が、空気排気チャンネル(36)内に配置され、前記音響吸収要素は、メタルウール(64)を備える1以上の構造板(60)であり、前記構造板(60)は、空気排気チャンネル(36)の長軸方向に対して斜めに配置される請求項1に記載の物品乾燥装置。
【請求項3】
2以上の構造板(60)が、空気排気チャンネル(36)の長軸方向に対して斜めに連続的に配置される請求項2に記載の物品乾燥装置。
【請求項4】
空気排気チャンネル(36)の内壁が、音響吸収材で構成されるか、及び/又は内張りされる請求項1に記載の物品乾燥装置。
【請求項5】
空気排気チャンネル(36)に適した排出方向に向けて吹き込みノズル(40、78)が、ハウジング(14)内部において物品のための搬入口(18)及び搬出口(20)の近傍に配置される請求項1〜4の何れかに記載の物品乾燥装置。
【請求項6】
前記ハウジング(14)には、空気音響吸収及び/又は本体音響吸収要素ないし部材が設けられる請求項1に記載の物品乾燥装置。
【請求項7】
物品乾燥装置(12)は、互いに接続された、複数の連続して配置された乾燥用モジュール(10a、10b、10c)で組み立て設計される請求項1に記載の物品乾燥装置。
【請求項8】
物品の供給方向において、物品の搬入口(18)を備える第一の乾燥用モジュール(10a)が設けられ、ノズル(40、42)が物品の水平方向領域の乾燥のため配され、さらに物品の供給方向において、第二の乾燥用モジュール(10b)が、物品の底部を乾燥するためノズル(74)を取り付けて、設けられ、さらに物品の供給方向において、第三の乾燥用モジュール(10c)が、水平方向領域を乾燥するため搬出口(20)及びノズル(76、78)を取り付けて、設けられる請求項7に記載の物品乾燥装置。
【請求項9】
1以上の空気流発生器(34)が、ブロアを用いて設けられ、前記ブロア(46)は、ハウジング(14)内または当該ハウジング(14)に配され、前記ブロア(46)には、空気吸入フィルタ(50)及び/又は吸入消音器が設けられる請求項1〜8の何れかに記載の物品乾燥装置。
【請求項10】
圧力センサが、ブロア(46)に後置して設けられ、前記圧力センサは、空気供給管(44)における送風圧力を検出するのに適している請求項9に記載の物品乾燥装置。
【請求項11】
ブロア(46)が、物品乾燥装置(12)とは別に配置され、空気供給管を介して前記物品乾燥装置(12)と接続される請求項1〜10の何れかに記載の物品乾燥装置。
【請求項12】
排出空気消音器が、ハウジング(14)に又は当該ハウジング(14)とは別に配置され、前記排出空気消音器は、排出空気供給管を介して前記ハウジング(14)と接続される請求項1〜11の何れかに記載の物品乾燥装置。
【請求項13】
ほぼ密閉されたハウジングの内部での、物品の乾燥方法であって、
空気ノズル(40、42、74、76、78)が、乾燥されるべき物品に空気を吹き付け;
乾燥用空気(80)供給用の1以上の空気供給口を設け、ハウジング(14)から1以上の排気口(28)を経由して空気(82)を排出する、乾燥方法において、
ハウジング(14)内部の空気の流れる内部ルートを、1以上の排気口(28)から規定された排気を行うように構成し、
排出空気(82)は、基本的には、乾燥されるべき物品のための搬入口(18)および/または搬出口(20)を通過するように方向付けられ、
排出空気を、音響吸収空気排気チャンネル(36)として形成されている1以上の排気口を経由して排出すること、
を特徴とする乾燥方法。
【請求項14】
吹き込みノズル(40、78)が、ハウジング(14)内部の物品のための搬入口(18)及び搬出口(20)の近傍に配置され、前記吹き込みノズル(40、78)は、空気排気チャンネル(36)に適合して空気(82)を供給する請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記空気の流れは、ブロア(46)によって発生し、前記ブロア(46)は、ハウジング(14)内または当該ハウジング(14)に配される請求項13に記載の方法。
【請求項16】
ブロア(46)の下流にて、空気供給管(44)内部における送給圧力を検出すること、を含む請求項13〜15の何れかに記載の方法。
【請求項17】
ブロア(46)の力を調整することによって、ブロアの送給圧力の変動を抑制する請求項16に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−168440(P2009−168440A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−7961(P2009−7961)
【出願日】平成21年1月16日(2009.1.16)
【出願人】(506040652)クロネス アクティェンゲゼルシャフト (55)
【Fターム(参考)】