説明

物品の切り出し装置及び整列装置

【課題】レトルトパウチのような袋状の物品にも適用でき、搬送コンベアの搬送速度と切り出しコンベアの搬送速度が大きく異なっている場合でも、切り出し後の物品間隔を高精度で一定にする。
【解決手段】物品切り出し装置の搬送コンベアと切り出しコンベアの間に加速/減速コンベアを設け、加速/減速コンベアは、少なくとも物品の一部が加速/減速コンベア上に来たときに低速運転から高速運転に加速し、少なくとも物品の一部が加速/減速コンベア上から外に出たときに高速運転から低速運転に減速し、切り出しコンベアは、搬送コンベアの搬送速度よりも高速で間欠運転し、少なくとも物品の一部が該切り出しコンベア上に来たときに1ピッチ分の搬送距離を運転することで、前記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送コンベアで不定間隔に搬送されてくる物品を所定の等間隔で切り出す切り出し装置、及び、この切り出し装置を用いて物品をトレー上にマトリックス状に整列させる整列装置に関する。
【背景技術】
【0002】
搬送コンベアで不定間隔に搬送されてくる物品を切り出す装置は、例えば下記特許文献1〜3に開示されている。
特許文献1は、搬送コンベアの終端にこれよりも高速搬送する切り出しコンベアを設け、切り出しコンベアの入り口付近にストッパを設けて搬送されてくる物品をせき止めておき、前の物品が切り出しコンベア上を所定距離行ったところでストッパを解除し、次の物品を切り出しコンベア上に送り出す切り出し装置が開示されている。
これにより、物品を切り出しコンベア上にほぼ等間隔で切り出すことができる。
【0003】
特許文献2は、基本的には前記特許文献1の切り出し装置と同じであるが、搬送コンベアと切り出しコンベアの間に第3のコンベアを設け、この第3のコンベアを低速と高速に切り替え可能とし、物品の長さが短い場合には第3のコンベアを低速で運転し、長い場合には高速で運転することで、ストッパが物品と干渉するのを防ぎ、処理能力を向上する技術が開示されている。
【0004】
特許文献3は、ストッパを用いない切り出し装置で、切り出しコンベア(ローラコンベア)の搬送速度を下流側に行くにしたがって高速になるようにして、物品の間隔を確実にあけることができる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−104427号公報
【特許文献2】特開平11−263432号公報
【特許文献3】特開平7−149413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1、2の技術は、物品を切り出す際に、物品をせき止めるストッパが必須であるので、例えばレトルトパウチ(包装袋)のような物品に対しては使用することができない。この種の物品は、ストッパでせき止めると、後続の物品が折り重なってしまい、1個ずつの切り出しが不能になるからである。
また、切り出しに際して、物品の搬送速度が、停止状態→搬送コンベアの低速度→切り出しコンベアの高速度の順に切り替わるため、その際に物品がコンベアに対してスリップしやすく、しかも、種々の要因でスリップの程度が各物品一様ではないので、切り出し後の物品間隔を正確に一定にすることは難しかった。一般に、搬送コンベアの搬送速度と切り出しコンベアの搬送速度が30%以上異なっていると、物品のコンベアに対するスリップが大きくなり、物品間隔を正確に一定にすることが難しくなる。
【0007】
前記特許文献3の技術は、物品を切り出す際にストッパを用いないのでレトルトパウチのような物品にも使用することができるが、切り出し後の物品間隔は、搬送コンベアで運ばれてくるときの物品間隔に依存するので、搬送コンベアで不定間隔に搬送されてくると、切り出し後の物品間隔が完全にバラバラになってしまうという問題がある。
【0008】
本発明は、レトルトパウチのような袋状の物品にも適用でき、しかも、搬送コンベアの搬送速度と切り出しコンベアの搬送速度が大きく(30%以上)異なっている場合でも、切り出し後の物品間隔が高精度で一定になる切り出し装置を開発することを課題とする。
また、物品間隔が高精度で一定になる切り出し装置を利用して、物品をトレー上に高精度でマトリックス状に整列させる整列装置を開発することも課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、搬送コンベアにより不等間隔で運ばれてくる物品を、その下流側にある切り出しコンベアで等間隔に切り出す切り出し装置であって、前記搬送コンベアと切り出しコンベアの間に加速/減速コンベアを備え、該加速/減速コンベアは、少なくとも物品の一部が加速/減速コンベア上に来たときに低速運転から高速運転に加速し、少なくとも物品の一部が加速/減速コンベア上から外に出たときに高速運転から低速運転に減速するものであり、前記切り出しコンベアは、前記搬送コンベアの搬送速度よりも高速で間欠運転し、少なくとも物品の一部が該切り出しコンベア上に来たときに1ピッチ分の搬送距離を高速運転するものであることを特徴とする物品の切り出し装置である。(請求項1)
【0010】
これは、切り出しコンベアの搬送速度が搬送コンベアの搬送速度よりも大きい場合である。
高速の切り出しコンベアが、所定の位置に物品が到達するごとに間欠的に1ピッチ分の搬送距離を運転するので、ストッパを用いることなく、物品を等間隔に切り出すことができる。したがって、レトルトパウチのような袋状の物品にも適用することができる。
1ピッチ分の搬送距離とは、切り出し後に物品が所定の間隔となる距離で、スリップを無視した場合、物品間隔sと物品の搬送方向長さLの和(s+L)になる。
【0011】
また、低速の搬送コンベアと高速の切り出しコンベアの間に加速/減速コンベアを備え、物品が搬送コンベアから加速/減速コンベアに乗り移った際に加速/減速コンベアが物品と共に加速するので、コンベアに対する物品のスリップがきわめて少なくなり、切り出し間隔が高精度で一定になる。
【0012】
本発明において、搬送コンベア、切り出しコンベア及び加速/減速コンベアはコンベアの種類を問わず、ベルトコンベア又はローラコンベアを用いることができる。
【0013】
搬送コンベアの搬送速度vと切り出しコンベアの搬送速度Vは、具体的には、
1.3v≦V≦3.0v
の範囲であることが望ましい。(請求項2)
Vが1.3vよりも小さいと、搬送コンベアで小型の物品が接近して搬送されてきたときに適切に切り出しができない可能性がある。3.0vよりも大きいと、加速の際のスリップが大きくなり、切り出し間隔の精度が悪くなるおそれがある。
【0014】
また本発明は、搬送コンベアにより不等間隔で運ばれてくる物品を、その下流側にある切り出しコンベアで等間隔に切り出す切り出し装置であって、前記搬送コンベアと切り出しコンベアの間に加速/減速コンベアを備え、該加速/減速コンベアは、少なくとも物品の一部が加速/減速コンベア上に来たときに高速運転から低速運転に減速し、少なくとも物品の一部が加速/減速コンベア上から外に出たときに低速運転から高速運転に加速するものであり、前記切り出しコンベアは、前記搬送コンベアの搬送速度よりも低速で間欠運転し、少なくとも物品の一部が該切り出しコンベア上に来たときに1ピッチ分の搬送距離を運転するものであることを特徴とする物品の切り出し装置である。(請求項3)
【0015】
これは、切り出しコンベアの搬送速度が搬送コンベアの搬送速度よりも小さい場合である。
本発明は、請求項1の発明の切り出しコンベアと搬送コンベアの搬送速度の大きさが逆転しただけで、作用効果は請求項1の発明と同じである。
【0016】
請求項3の発明において、搬送コンベアの搬送速度vと切り出しコンベアの搬送速度Vは、具体的には、
1.3V≦v≦3.0V
の範囲であることが望ましい。(請求項4)
vが1.3Vよりも小さいと、搬送速度が遅すぎて物品切り出しの作業能率が悪くなる。3.0vよりも大きいと、減速の際のスリップが大きくなり、切り出し間隔の精度が悪くなるおそれがある。
【0017】
加速/減速コンベアの物品が乗り移って加速又は減速が行われる前の搬送速度v’と、それから加速又は減速が終了したときの搬送速度V’は、搬送コンベアの搬送速度vと切り出しコンベアの搬送速度Vに対して、
v≦v’≦1.3v
0.7V≦V’≦1.3V
の範囲であることが望ましい。(請求項5)
さらに望ましくは、v’=v、V’=V である。
v’及びV’が上記の範囲から外れると、物品が搬送コンベアから加速/減速コンベアに乗り移る際、又は加速/減速コンベアから切り出しコンベアに乗り移る際にスリップが大きくなり、切り出し間隔の精度が悪くなるおそれがある。
また、v’がvよりも小さいと、物品が搬送コンベア上を近接して搬送されてきたときに加速/減速コンベア上で後の物品が前の物品に衝突するおそれがあり、好ましくない。
【0018】
加速/減速コンベアが物品が乗り移って加速又は減速を開始するタイミングは、具体的には、物品の先端が加速/減速コンベアの始端から所定距離xに来たときで、物品の搬送方向の長さをLとしたときに、
0.2L≦x≦1.0L
であることが望ましい。(請求項6)
加速/減速コンベアが、加速又は減速を開始する最適なタイミングは、物品の形状、大きさ、コンベアのローラの径、加速/減速コンベアの長さなどによって変動するが、上記の範囲から適当なxを選択することで、最善の加速タイミングを得ることができる。加速タイミングを適正にすることで、切り出し間隔の精度がきわめて高くなる。
【0019】
加速/減速コンベアが、前記の加速又は減速を終了した後、減速又は加速を開始するタイミングは、物品の少なくとも一部が加速/減速コンベアの終端から出たときである。具体的には、物品の後端が加速/減速コンベアの終端から所定距離yに来たときで、物品の搬送方向の長さをLとしたときに、
0≦y≦0.5L
であることが望ましい。(請求項7)
加速/減速コンベアが減速又は加速を開始する最適なタイミングは、物品の形状、大きさ、コンベアのローラの径、加速/減速コンベアの長さなどによって変動するが、上記の範囲から適当なyを選択することで、最善の減速又は加速タイミングを得ることができる。減速タイミングを適正にすることで、切り出し間隔の精度がきわめて高くなる。
【0020】
切り出しコンベアが1ピッチ分の搬送距離の高速運転を開始するタイミングは、物品の少なくとも一部が切り出しコンベアの上に来たときである。具体的には、物品の先端が加速/減速コンベアの始端から所定距離zに来たときで、物品の搬送方向の長さをLとしたときに、
0.2L≦z≦0.5L
であることが望ましい。(請求項8)
切り出しコンベアの1ピッチ運転を開始する最適なタイミングは、物品の形状、大きさ、コンベアのローラの径、加速/減速コンベアの長さなどによって変動するが、上記の範囲から適当なzを選択することで、最善の運転開始タイミングを得ることができる。このタイミングを適正にすることで、切り出し間隔の精度がきわめて高くなる。
【0021】
また本発明は、請求項1〜8のいずれかの切り出し装置と、前記切り出しコンベア上に切り出された所定数の物品を切り出しコンベアの搬送方向と直角方向に一列に押し出すプッシャーと、該プッシャーで押し出された一列の物品をプッシャーの押し出し方向と同方向(平面視)に搬送する列搬送コンベアと、該列搬送コンベアと同方向(平面視)にトレーを搬送するトレーコンベアを有し、該トレーコンベアが前記列搬送コンベアの終端からトレー上に一列の物品が供給されたときに所定量だけ間欠運転することで、トレー上に物品をマトリックス状に整列させることを特徴とする物品の整列装置である。(請求項9)
【0022】
前記した本発明の切り出し装置は、レトルトパウチなどの種々の物品を、精度よく所定間隔で切り出すことができるので、切り出しコンベア上に切り出された所定数の物品を一列としてプッシャーで押し出し、列搬送コンベアでトレーに搬送すると、列における物品間隔が精度よく所定の間隔となる。また、トレーコンベアは、列搬送コンベアの終端からトレー上に一列の物品が供給されたときに所定量だけ間欠運転するので、列と列の間隔も所定の間隔となり、物品をトレー上に高精度でマトリックス状に整列させることができる。
さらに、
【発明の効果】
【0023】
本発明の切り出し装置は、ストッパを用いないので、レトルトパウチを含む種々の物品の切り出しに用いることができる。また、切り出し間隔を高精度に所定の間隔にすることができる。
本発明の整列装置は、レトルトパウチなどの種々の物品をトレー上に高精度でマトリックス状に整列させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施例の切り出し装置1の概略側面説明図である。
【図2】実施例の切り出し装置1の概略側面説明図である。
【図3】実施例の切り出し装置1の概略側面説明図である。
【図4】実施例の切り出し装置1の概略側面説明図である。
【図5】実施例の切り出し装置1の概略側面説明図である。
【図6】実施例の切り出し装置1の概略側面説明図である。
【図7】実施例の切り出し装置1の概略側面説明図である。
【図8】搬送コンベアの速度の説明図である。
【図9】切り出しコンベアの速度変化の説明図である。
【図10】加速/減速コンベアの速度変化の説明図である。
【図11】実施例の整列装置の概略平面説明図である。
【図12】実施例の整列装置の概略側面説明図である。
【図13】リフタの櫛爪部の概略正面説明図である。
【図14】プッシャーの押板部の概略正面説明図である。
【図15】リフタの動作の概略説明図である。
【図16】リフタの動作の概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0025】
以下、実施例を表した図面に基づいて本発明を詳細に説明する。
図1〜7に示す切り出し装置1は、物品(レトルトパウチ)Pを所定間隔で切り出すためのもので、搬送コンベア2及び切り出しコンベア3を有し、その間に加速/減速コンベア4が配置されている。この場合、搬送コンベア2はベルトコンベア、切り出しコンベア3及び加速/減速コンベア4はローラコンベアである。この場合、加速度コンベア4は2本のローラからなる。加速/減速コンベアのローラの数は1本以上であればよいが、一般的には、加速度コンベアの長さは、物品Pの搬送方向長さLと同程度かやや短い程度の長さが好適である。
加速/減速コンベア4のローラの間には搬送される物品を検知するセンサAが、切り出しコンベアの1本目と2本目の間には同様のセンサBが設けられている。
【0026】
搬送コンベアは2、物品Pを不定間隔で搬送してくる。図8に示すように、その搬送速度vは常に一定である。vは、例えば15m/分とすることができる。
【0027】
切り出しコンベア3は、この上に物品が所定間隔で切り出されるもので、図9に示すように、センサBがOFFからONになったとき(センサA、Bは物品がセンサの位置にあるときにON、無いときにOFFとなる)に1ピッチ分の搬送距離を運転する。その搬送速度Vは、搬送コンベア2の搬送速度vよりも高速で、例えばV=30m/分(2v)とすることができる。1ピッチ分の搬送距離は、図9の台形の面積となる。
【0028】
加速/減速コンベア4は、物品Pを加速させるためのもので、図10に示すように、センサAがONになったときに低速度v’から高速度V’への加速を開始し、高速度V’に到達するとそのままV’で運転を続けるが、センサAがOFFに切り替わったときに高速度V’から低速度v’への減速を開始し、低速度v’に到達すると次にセンサAがONになるまでそのままv’で運転を続ける。
本例の場合、v’=v、V’=Vである。
【0029】
次に、図1〜7に基づいて切り出し装置1の動作を説明する。
図1は、搬送コンベア2の上を1番目の物品Pが、搬送速度vで搬送されてきた状態である。
【0030】
図2は、1番目の物品Pの一部が搬送コンベア2から加速/減速コンベア4に乗り移り、その先端がセンサAの位置まで来てセンサAがONになった瞬間で、加速/減速コンベア4は低速度v’(=v)から高速度V’(=V)への加速を開始し、物品の搬送速度はV’まで加速される。このとき、物品Pの先端と加速/減速コンベア4の始端の距離xは、物品の搬送方向の長さをLとすると、約0.3Lである。
物品が加速/減速コンベア上に来た当初は、加速/減速コンベアは物品の搬送速度と同じ低速度(v)で運転されているので、物品の加速/減速コンベアに対するスリップはほとんど無い。
【0031】
図3は、1番目の物品Pの一部が加速/減速コンベア4から切り出しコンベア3に乗り移り、その先端がセンサBの位置まで来てセンサBがONになった瞬間で、切り出しコンベア3は1ピッチ分の搬送距離の運転を開始する。
このとき、物品Pの先端と切り出しコンベア3の始端の距離zは、物品の搬送方向の長さをLとすると、約0.3Lである。
切り出しコンベアが運転を開始するとき、物品は加速/減速コンベアにより、切り出しコンベアの搬送速度と同じ速度Vで搬送されているので、物品の切り出しコンベアに対するスリップはほとんど無い。
【0032】
図4は、1番目の物品Pが搬送速度V(=V’)でさらに搬送され、その後端が加速/減速コンベア4の終端がセンサAの位置まで来て、センサAがOFFになった瞬間で、加速/減速コンベア4は高速度V’(=V)から低速度v’(=v)への減速を開始する。
このとき、物品Pの後端と加速/減速コンベア4の終端の距離yは、物品の搬送方向の長さをLとすると、約0.3Lである。
【0033】
図5は、1番目の物品Pが切り出しコンベア3による搬送距離1ピッチ分の搬送が終わった瞬間で、切り出しコンベアは次の図6の状態まで停止を続け、したがって1番目の物品Pはそれまでこの位置にとどまる。図5の1pの符号は切り出しコンベア3による搬送距離1ピッチ分の運転によって物品Pが搬送された距離(s+L)を示している。
【0034】
図6は、1番目の物品と同様にして、2番目の物品Pの先端がセンサBの位置に到達した瞬間で、切り出しコンベア3は1ピッチ分の搬送距離の運転を開始する。このとき、1番目と2番目の物品の間隔はsで、1番目と2番目の物品は、この間隔sを保ったまま切り出しコンベア3により1ピッチ分の搬送が行われる。
【0035】
図7は、2番目の物品Pが切り出しコンベア3による搬送距離1ピッチ分の搬送が終わった瞬間で、このときの1番目と2番目の物品の間隔はsである。
3番目以降の物品も同様にして切り出されるから、物品Pは切り出しコンベア3上に所定の間隔sをもって切り出される。
【0036】
センサAのON、OFFにより加速/減速コンベアの加速又は減速を開始するタイミング、センサBのONにより切り出しコンベアの運転を開始するタイミングのトリガーを、センサのON又はOFFの瞬間よりもタイマで遅らせることができる。このようにすれば、センサの位置を変更することなく、タイマの時間を調整することで、距離x、y、zを容易に調整することができる。
【0037】
上記の実施例は、切り出しコンベアの搬送速度が搬送コンベアの搬送速度よりも大きい場合であるが、切り出しコンベアの搬送速度が搬送コンベアの搬送速度よりも小さい場合であっても、加速/減速コンベアの「加速」と「減速」が逆転するのみで、全く同様に実施することができる。
【0038】
図11〜16に示す実施例の整列装置は、前記実施例の切り出し装置1を用いている。
この整列装置は、切り出しコンベア3上に切り出された所定数の物品Pを所定の高さまで持ち上げるリフタ6、リフタ6で持ち上げた所定数の物品を切り出しコンベア3の搬送方向と直角方向に一列に押し出すプッシャー5、プッシャーで5押し出された一列の物品をプッシャー5の押し出し方向と同方向(平面視)に搬送する列搬送コンベア7、及び列搬送コンベア7と同方向(平面視)にトレーを搬送するトレーコンベア8を有し、トレーコンベア8が列搬送コンベア7の終端からトレーT上に一列の物品が供給されたときに所定量だけ間欠運転することで、トレーT上に物品Pをマトリックス状に整列させるものである。
【0039】
プッシャー5は、押板部5aと駆動部5bを有する。押板部5aは板状をなし、図14に示すように、下辺にプッシャー5の櫛爪部6aが入り込む切欠部5cを有する。これにより、プッシャー5の櫛爪部6a上の物品Pを確実に押し出すことができる。
【0040】
押板部5aは、駆動部5b(エアシリンダなど)により水平方向に移動し、プッシャー5の櫛爪部6a上の物品Pを直線状に揃えながら列コンベア7上に押し出す。駆動部5bは図示しないフレームの上に固定されている。
【0041】
リフタ6は櫛爪部6a、垂直駆動部6b、台部6c、レール6d、水平駆動部6eを有する。レール6d、及び水平駆動部6eは図示しないフレームの上に固定されている。
台部6cはレール6dに沿って、水平駆動部6e(エアシリンダなど)により水平方向に移動する。台部6cの上には垂直駆動部6b(エアシリンダなど)が固定されている。垂直駆動部6bには櫛爪部6aが接続され、この結果櫛爪部6aは水平方向及び垂直方向に移動する。
【0042】
櫛爪部6aは、多数の細長い爪板を所定間隔で櫛状に並列させたもので、図13に示すように、待機状態においては、各爪板が切り出しコンベア3の各ローラの間に収まっている。
【0043】
次に、図15、16に基づいてリフタ6及びプッシャー5の動作を説明する。
図15に実線で示すのは、リフタ6及びプッシャー5の待機状態である。このときに、切り出しコンベア3上に所定個数の物品Pが所定間隔で切り出される。同図に鎖線で示すのは、垂直駆動部6bによりリフタの櫛爪部が上昇した状態である。これにより、所定個数(この場合は4個)の物品が櫛爪部の上に載置されて持ち上げられる。次に、鎖線で示すように、プッシャー5の押板部5aが駆動部5bにより押し出され、所定数の物品Pが列揃えされ、一列に列搬送コンベア7上に押し出される。
【0044】
次に、図16に実線でに示すように、水平駆動部6eが作動して台部6cが切り出しコンベア3から離隔する水平方向に移動し、さらに鎖線で示すように垂直駆動部6dが作動して櫛爪部6aが下降する。この状態から水平駆動部6eが作動して台部6cが切り出しコンベア3に接近する水平方向に移動し、櫛爪部6aの各爪板が、図13に示すように切り出しコンベア3の各ローラの間におさまり、待機状態(図15実線)に戻る。
一方、プッシャー5の押板部5aは、駆動部5bにより水平移動して、図16に鎖線で示すように元の状態に戻る。
【0045】
このように、物品の押し出しを切り出しコンベアの搬送面から持ち上げた状態で行うことで、押し出し動作の最中でも切り出しコンベア上に物品を切り出すことができるので、押し出し動作の際に切り出しを中断する必要がなく、単位時間あたりの物品処理数が多くなる。
【0046】
列搬送コンベア7(ベルトコンベアなど)はその搬送面が下降勾配となっており、トレーT上に滑らかに物品を供給できるようになっている。列搬送コンベア7は常時運転していてもよいし、物品が押し出されたときからトレーに供給されるまで間欠的に運転してもよい。
【0047】
トレーコンベア8(ベルトコンベアなど)はトレーを図11、12の矢印方向に搬送するもので、列搬送コンベア7終端の直ぐ下方に水平に配置され、その搬送方向は列搬送コンベアの搬送方向と同じである(平面視)。
トレーコンベアは、1列分の物品が列搬送コンベアから供給された後、所定量だけトレーを搬送するので、トレー上の物品の各列は所定の等間隔となる。トレー上に所定の列数供給し終わると、トレーコンベアは、次のトレーの物品の第1列が供給されるべき位置が列搬送コンベアの終端付近の所定の位置となるようにトレーを搬送する。
【符号の説明】
【0048】
1 切り出し装置
2 搬送コンベア
3 切り出しコンベア
4 加速/減速コンベア
5 プッシャー
5a 押板部
5b 駆動部
5c 切欠部
6 リフタ
6a 櫛爪部
6b 垂直駆動部
6c 台部
6d レール
6e 水平駆動部
7 列搬送コンベア
8 トレーコンベア
A センサA
B センサB
P 物品
T トレー


【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送コンベアにより不等間隔で運ばれてくる物品を、その下流側にある切り出しコンベアで等間隔に切り出す切り出し装置であって、
前記搬送コンベアと切り出しコンベアの間に加速/減速コンベアを備え、
該加速/減速コンベアは、少なくとも物品の一部が加速/減速コンベア上に来たときに低速運転から高速運転に加速し、少なくとも物品の一部が加速/減速コンベア上から外に出たときに高速運転から低速運転に減速するものであり、
前記切り出しコンベアは、前記搬送コンベアの搬送速度よりも高速で間欠運転し、少なくとも物品の一部が該切り出しコンベア上に来たときに1ピッチ分の搬送距離を運転するものであることを特徴とする物品の切り出し装置。
【請求項2】
前記搬送コンベアの搬送速度vと前記切り出しコンベアの搬送速度Vが、
1.3v≦V≦3.0v
の範囲にある請求項1に記載の切り出し装置。
【請求項3】
搬送コンベアにより不等間隔で運ばれてくる物品を、その下流側にある切り出しコンベアで等間隔に切り出す切り出し装置であって、
前記搬送コンベアと切り出しコンベアの間に加速/減速コンベアを備え、
該加速/減速コンベアは、少なくとも物品の一部が加速/減速コンベア上に来たときに高速運転から低速運転に減速し、少なくとも物品の一部が加速/減速コンベア上から外に出たときに低速運転から高速運転に加速するものであり、
前記切り出しコンベアは、前記搬送コンベアの搬送速度よりも低速で間欠運転し、少なくとも物品の一部が該切り出しコンベア上に来たときに1ピッチ分の搬送距離を運転するものであることを特徴とする物品の切り出し装置。
【請求項4】
前記搬送コンベアの搬送速度vと前記切り出しコンベアの搬送速度Vが、
1.3V≦v≦3.0V
の範囲にある請求項3に記載の切り出し装置。
【請求項5】
前記加速/減速コンベアの物品が乗り移って加速又は減速が行われる前の搬送速度v’と、それから加速又は減速が終了したときの搬送速度V’が、前記搬送コンベアの搬送速度vと前記切り出しコンベアの搬送速度Vに対して、
v≦v’≦1.3v
0.7V≦V’≦1.3V
の範囲にある請求項1〜4のいずれかに記載の切り出し装置。
【請求項6】
前記加速/減速コンベアが、物品の先端が該加速/減速コンベアの始端から所定距離xに来たときに加速又は減速を開始するもので、物品の搬送方向の長さをLとしたときに、
0.2L≦x≦1.0L
である請求項1〜5のいずれかに記載の切り出し装置。
【請求項7】
前記加速/減速コンベアが、物品の後端が該加速/減速コンベアの終端から所定距離yだけ手前に来たときに減速又は加速を開始するもので、物品の搬送方向の長さをLとしたときに、
0≦y≦0.5L
である請求項1〜6のいずれかに記載の切り出し装置。
【請求項8】
前記切り出しコンベアが、物品の先端が該切り出しコンベアの始端から所定距離zに来たときに1ピッチ分の搬送距離の高速運転を開始するもので、物品の搬送方向の長さをLとしたときに、
0.2L≦z≦0.5L
である請求項1〜7のいずれかに記載の切り出し装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかの切り出し装置と、前記切り出しコンベア上に切り出された所定数の物品を切り出しコンベアの搬送方向と直角方向に一列に押し出すプッシャーと、該プッシャーで押し出された一列の物品をプッシャーの押し出し方向と同方向(平面視)に搬送する列搬送コンベアと、該列搬送コンベアと同方向(平面視)にトレーを搬送するトレーコンベアを有し、該トレーコンベアが前記列搬送コンベアの終端からトレー上に一列の物品が供給されたときに所定量だけ間欠運転することで、トレー上に物品をマトリックス状に整列させることを特徴とする物品の整列装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−260686(P2010−260686A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−112874(P2009−112874)
【出願日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(000222233)東洋ガラス機械株式会社 (10)
【Fターム(参考)】