説明

物品スクリーニングシステム

【課題】走査される物品の鮮明な三次元視覚を得ることができる新規な構成の画像化システムを提供する。
【解決手段】最近10年間に、旅行用かばん走査装置に関する特許が、特許分野に現れ始めた。同一の対象の2つ以上の画像(各々、わずかに異なる視野から取られた)を照射することを必要とする、立体視的な画像化が、この分野における種々のアプローチになかった。視野が異なり過ぎる場合、すなわち、X線照射が分離し過ぎている場合、画像は、平坦に見える。しかし、わずかに分離した、立体分離でも干渉が生じる。立体対の作成のためのシステムが本明細書中に提供される。1つの視野(左または右の視野角)がまず確立される。次に、他の視野角が計算される。これらの左右の視野を使用して、次いで、X線源(L、R)が、互いに間隔を空けられ得る。
【選択図】図3

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への引用)
本出願に関連する出願は存在しない。
【0002】
(政府の支援による研究または開発に関する陳述)
この特許に記載される発明は、米国政府の雇用者によりなされ、いかなる特許権使用料も支払うことなく、政府の目的のために、政府によってか、または、政府のために、製造および使用され得る。
【0003】
(発明の分野)
本発明は、物品または対象(例えば、アセンブリラインの部品および手荷物)をスクリーニングするのに特に適したスクリーニング装置に関する。
【背景技術】
【0004】
(発明の背景)
まず、手荷物の局面を考えると、最近10年間に、旅行用かばん検査装置に関する特許が、特許分野に現れ始めた。最近、旅行用かばんの走査に関する特許がかなり増加しており、各々が、別のアプローチを有する。これらのアプローチを例示すると、特許文献1が対象とする発明は、コンプトン散乱に基づく。コンプトン散乱は、密度に対して比例する。旅行用かばんコンテナに照射されたエネルギー(例えば、X線)が測定され、コンテナ内の対象の三次元画像が構築される。特許文献2において、コンベヤベルトは、隔離されたトンネル(カーテンにより包囲されているトンネルの実質的に囲まれた領域)を通過し、その結果、X線は、漏出しない。特許文献3に開示されるX線手荷物システムは、囲まれたトンネル内で、3つの平行な据え置き型のX線ビームを使用する。平行線は、手荷物がトンネルを通って移動する方向に沿って、トンネル内で互いに分かれる。3つの扇形のビームは、一連の走査ラインを生じ、この走査ラインから、X線の減衰データが測定される。この特許の背景の節は、断層的に生じたX線画像に関する種々の特許(例えば、特許文献4特許文献5および特許文献6)に言及する。コンピュータX線断層撮影は、20年以上にわたって医療適用において使用されている技術である。特許文献4において、コンピュータ断層撮影において必要とされるさらなる時間を省くために、まず、データは部分的にのみ分析される。この前もって選択され、前もってスクリーニングされたデータから、目的の体格が存在するか否かが決定される。特許文献6において、複数のX線検出器(各々が、少なくとも2つの閾値データレベルを備える出力を有する)が利用される。複数のX線検出器に対応する表示手段が、異なるエネルギー帯についての断層撮影画像を生じる。特許文献5のコンピュータ断層撮影システムにおいて、コンピュータ断層撮影機器が、視野を走査して、走査データを作成する。走査された対象の大きさおよび位置を使用して、視野において2つの部分の画素が同定される。走査された対象に関する情報を提供する画素のみ(第1の部分の画素)が、画像再構築の間に処理される。
【0005】
今日の使用における異なる検出技術の研究は、線形検出器アレイの使用が、高速の検査速度を可能にするが、その出力信号は、十分に詳細な情報を提供しないことが明らかにする。干渉性X線散乱スペクトル分析は、より良好な検出およびはるかに低いフォールスアラーム率(<1%)を可能にするが、この方法は、より時間がかかり、より低い処理能力をもたらす。二重エネルギー検出システムは、その判断を、バッグまたは他の容器中の対象の密度の推測に基づく。この推測は、2つの異なるX線電圧(例えば、150kVおよび75W)において作成された2つの異なるX線画像の評価を合わせることによってなされる。このアプローチは、投影画像において互いに重ねられた異なる対象を分離するための、専用の画像処理を含む。測定された密度は、既知の爆発物の密度のライブラリー値と比較される。このマルチビュー技術は、2つの異なる視野(下部視野、上部視野)を有する2つのX線システムを使用する。2つの投影画像の画素データから作成されたこれらの推測された物質密度値は、画像対象を同定するために、代表的な密度データと比較される。
【0006】
先行技術は、特許文献3において到達された、現在の手荷物検査システムが、検査のいくつかの要件は満たすが、全ての要件は満たさないという、結論を示すことが理解され得る。従って、三次元技術は、断層撮影だけでなく、二重エネルギー技術も利用する。種々のアプローチではなく、立体視的な画像化技術が議論される。対象の形状をつかむために、影または風合いに頼るのではなく、より効率的な方法は、同一の対象の2つ以上の画像(各々わずかに異なる視野または観点から取られた)を使用することである。X線管が離れすぎているか、逸れ過ぎている場合、画像は、平坦が見えるか、または、結果は、拡大または縮小された奥行知覚であり得る。実際、立体対が全く融合し得ず、検査官は、2つの別個の画像を見る。しかし、わずかな分離干渉が生じていることが、なぜ立体視的なシステムが採用されていなかったかをどうにか説明する。
【特許文献1】米国特許第5,247,561号
【特許文献2】米国特許第6,304,629号
【特許文献3】米国特許第6,088,423号
【特許文献4】米国特許第5,796,802号
【特許文献5】米国特許第6,256,404号
【特許文献6】米国特許第5,943,388号
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要旨)
双眼差異のキューが較正されるときに、立体対が三次元画像を作成する。双眼差異は、主 に、X線源から投影平面または標的までの距離と、左右のX線装置またはX線菅の分離の両方に基づく。X線走査の場合、双眼差異が較正限界内である場合、2つのX線管からのX線は、標的に集光する。この集光により、交差照射干渉(本明細書中で後により詳細に議論する)が生じ、不鮮明な画像を生じる。このことは、指摘されるように、対象走査に対する立体対アプローチへの障壁となり得た望ましくない状態である。しかし、複数のX線源が使用された場合、これらは、X線ビームが対象の頂部および側部に向かって右の角にて投影された直交性ビームX線システムであった。
【0008】
本発明の目的は、立体対の作成により、物品(例えば、旅行用かばんおよび他の対象)を走査するためのシステムを提供することである。物品が左から右へと移動すると仮定すると、このことは、通路の上の同一平面上にある共通ラインに整列された左右のX線管の使用、および、この管により放射されたX線を検知するための通路の下に配置された左右のX線センサによって達成される。適切なまたは所望の左の観点または視野角が、まず、共通ラインと標的までのラインにより形成される角により確立され、決定される。次に、右の視野角が、左のX線管から標的までの距離、左のX線管から仮想地点までの距離、およびこの仮想地点から標的までの距離を使用して計算される。仮想地点は、管の間の共通ライン上の立体視的な範囲内にある点である。次いで、計算されたかまたは決定された右の視野角は、わずかに異なる視野からの右の観点であり、立体対を生じる。これらの左右の視野または視野角を使用して、左右のX線源または管が、次いで、互いに実際の距離離され得、その結果、立体ベースが、画像の立体対に必要とされる正常な立体ベースよりも大きくなる。この空間は、2つのわずかに異なる視野からのX線照射を得つつ、交差照射干渉を排除する。物品は、コンベヤベルトまたは他の方法にて、左から右へと移動するので、立体視的な画像に必要とされる2つの画像は、順序がばらばらではあるが、順に検知されている。この目的のために、旅行用かばんのベルト位置を決定し、さらに、左右のセンサの視界の中心に現れる旅行用かばんのベルトの座標の推測を可能にするために、センサが使用される。次いで、プロセッサが、それぞれ、各センサの視界の中心のベルト座標と共に、各センサの視野内に現れる対象についてのX線撮影データを別個に保存する。プロセッサは、立体表示デバイスへの送信のために、左右のX線撮影画像を、同様のベルト座標推測と検索することによって、立体画法表示のための立体画像の連続シーケンスを提供する。立体X線撮影対を見る際に、人間のオペレーターが、オペレーター制御インターフェースパネルとのやりとりにより、ベルトの動きと表示順序を制御して、アイテムをより接近して検査または再検査し得る。
より特定すれば、本発明は以下の項目に関し得る。
(項目1)
2つのX線放射管の下の通路を左から右へと移動する対象の立体視的な三次元画像を提供するX線ベースの画像化システムであって、上記システムは、
上記通路の上の同一平面上の共通ラインに配置される左右のX線管と;
上記管により放出されるX線を検知するために、上記X線管と整列している、上記通路の下に配置される左右のX線センサと;
上記左のX線管を、標的から既知の距離の位置かつ既知の視野に拘束するように適合された左のX線管支持体であって、上記視野は、上記共通ラインにより形成される角であり、そして、標的までのラインは、上記左のX線管が、左の観点の角で平行X線ビームを放出することを可能にする、左のX線管支持体と;
上記左のX線管から上記標的までの距離、上記左のX腺管から仮想地点までの距離、および、上記仮想地点から上記標的までの距離を使用して、右の視野角を決定するためのコンピュータ手段であって、上記仮想地点は、上記管の間の上記共通ライン上の立体視的な範囲内にある地点であり、決定された右の視野角は、わずかに異なる視野からの右の観点であり、立体対を生じる、コンピュータ手段と;
その角位置において上記共通ライン上に上記右のX線管を保持し、その所定の右の視野角を保持するように適合されているが、上記左のX線管から間隔を開けられている右のX線管支持体であって、実際の距離または立体ベース(stereobase)が、通常の立体ベースよりも大きく、なお2つのわずかに異なる視野からのX線照射を得つつ、交差照射による干渉を排除する、右のX線管支持体と;
連続して上記X線の供給源を操作する手段と;
上記左のセンサにより検知されるX線撮影画像をサンプリングし、かつ、上記センサの上を通過する別個の対象を識別するように適合された選別器と;
上記左のセンサにより検知される各対象についての別個のX線撮影データを保存するように適合されたプロセッサと;
各対象のコンベヤ位置を検知し、上記左センサからの保存されたX線撮影データを上記右のセンサにより検知された対応するX線撮影データとマッチさせ、かつ、マッチさせた左右のX線撮影データを合わせて、三次元視覚のための立体対を形成するように適合された、エンコーダ
とを備える、X線ベースの画像化システム。
(項目2)
上記選別器が、ベルトの参照フレームにおける座標を規定する際に使用するための符号化されたストリップを有する印を運ぶコンベヤベルト、上記座標を読み取るように適合された位置センサ、および上記座標からのベルト位置を導くように適合されたエンコーダを備える、項目1に記載のX線ベースの画像化システム。
(項目3)
上記プロセッサが、上記座標に沿って左右の検知されたX線撮影画像データを保存し、かつ、視覚手段のために立体対を提供するように適合された、主要コントローラである、項目2に記載のX線ベースの画像化システム。
(項目4)
上記視角手段が、それ自体により立体画像を作成するデバイスである、項目3に記載のX線ベースの画像化システム。
(項目5)
上記視角手段が、使用者が上記画像を見る方法に影響を及ぼす一対のメガネである、項目3に記載のX線ベースの画像化システム。
(項目6)
上記視覚手段が、専用の立体−313ソフトウェアを伴う標準型モニターである、項目3に記載のX線ベースの画像化システム。
【0009】
(発明の詳細な説明)
通常の立体視的な画像は、各眼が、わずかに異なる視野から見ているという事実に本質的に基づく。次いで、立体視的な表示を作成するために重要なのは、各眼に対して異なる視野を得ることである。視差は、単に、観察地点の変化または1つの見るスポットから別の見るスポットへの再配置から生じる、表示点の明らかな変位である。脳は、異なる視差を使用して、見られる対象までの距離を決定する。この同じ効果が、2つの側面位置から取られた表示立体対の中心に存在する。立体対が、左から右へと適切に位置付けられ、次いで、立体視的なデバイスから見られる場合、眼は、脳に信号を送り、脳においてさらに処い理され、奥行知覚を生じる。三次元効果を得るために、ここで得られなければならないのは、この奥行知覚である。
【0010】
以前に示したように、立体効果の程度は、X線源から放射平面または物品までの距離、および、左右のX線源の分離の両方に依存する。分離が大き過ぎると、解像することが非常に困難になり、これは、過立体(hyperstereo)として知られている。本明細書中で関心を持つのは、左右のX線源のこの分離である。しかし、走査のために必要とされるX線デバイスの場合、過立体の距離未満の分離は、近過ぎる。このことを例示するために、図1が与えられる。この図1を参照して、コンベヤベルト6上の対象4と共に、X線源1および2が例示される。センサまたは検出器7は、コンベヤ6内に配置される。2つの適切に間隔を空けられたX線源1および2から導かれる光線は互いに交差し、その結果、望ましくない結果を生じる交差照射干渉が生じることが理解され得る。立体画像対について、この画像は、重ならないように拘束されなければならない。本発明を実施することによって、立体対を使用して、走査される物品の三次元的視覚を得ることができる。このことがいかにして達成されるかをよく理解するために、ここで、本発明の具体的な実施形態を、添付の図面と組み合せて記載する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(具体的な実施形態)
3−D画像が、検知される画像の立体対を必要とすることが、以前に説明されている。立体対において、左右のX線源の分離が、標準的な距離よりも少ない場合、各眼に対して異なる視野が得られる。一般に、2つのX線源についての標準的な立体視的距離または分離範囲は、X線から放射平面または対象までの距離の1/12〜1/15である。しかし、この分離または立体ベースが維持される場合、交差照射干渉が生じる。左(L)および右(R)のX線放射管が、同一平面上にある共通ライン上に整列されなければならないことがまた記されている。図2は、右のX線源が、左の源から、立体視的な距離以上に離されて、干渉を回避し得る方法を例示する。点線8は、共通ラインを表す。X線カメラが10として表され、ここで、左の管Lが、共通ライン8と標的までのX線通路12により形成される所定の視野角αにて、標的14に向かってX線12を放射する。右のX線管P2は立体ベース内にないので、立体視的な範囲内の、共通ライン8上で既知の距離d1だけ間隔を空けられた仮想地点P1が、参照点として取られる。点P1から標的14までのX線通路16上のこの距離はまた、既知である。d1からP1までの距離、点P1から標的14までのX線通路16上の距離、および、標的から左のX線管Lまでの距離12を使用して、右の視野角βが決定され得る。角αおよびβは、立体対を生じる、わずかに異なる視野からの必要な観点である。この角βは既知であるため、X線管Rは、共通ライン8上を、所望の距離d2だけ離れて移動し得(すなわち、点P2)、交差照射干渉を伴うことなく、スキャナが使用され得る。
【0012】
図2と組み合せて議論されるアプローチを利用するシステムが、図3に示される。プレート22によりX線源Lを支持する軌道20は、左のX線カメラ30を運び、そして、プレート24は、同じ軌道上でX線管Rを運ぶX線カメラ32を支持する。図2と比較するために、共通ライン8が図3において点線として示されている。同等に、角αおよびβが、説明の目的のために図3に盛り込まれている。従って、カメラLが、所定の角αを維持するために設置され、X線デバイスRが、生成された角βにて平行X線ビームを放射するように方向を合わせられている(共に共通ライン8に対して)。
【0013】
ここで、一般に、システムの操作を参照して、説明の目的のために、コンベヤが左から右へと移動していると仮定している。明らかに、右から左へと移動しているとして見る場合、右の視野角がまず確立され、左の角が生じる。物品36(例えば、旅行用かばん、製造された部品またはコンベヤベルト37により移動される他の走査対象)が、ローラー38および39により普通の様式で駆動され、荷物を平行扇形X線ビームを通って移動される。左のセンサLSおよび右のセンサRSは、荷物が、X線源と左右のセンサとの間を通過するにつれ、それぞれ、LおよびRのX線源により別個に照射される。図4と組み合せて説明されるように、これは、左右のセンサからの画像データを同定し、合わせるように、残存する。
【0014】
図4において、コンベヤ41は、本明細書中のベルトが、好ましくはその端で、符号化されたストリップを運び、座標を規定するのに使用するための印を有し、センサ46がベルトの位置を読み取ることを可能にすることを除いて、従来の旅行用かばんスキャナで使用されているベルトと同じである。ベルトの外周に沿って規定される座量は、位置センサ46により読み取られる。左のX線源42および左の画像センサ43が、それぞれ、ベルトの表面の上および下に、以前に議論したように、装置の過立体相対位置的制約に合うために必要な角で、位置付けられる。右のX線源44およびセンサ45は、左の画像センサ43から離れてベルトのさらに下の位置に位置付けられる。右のX線源およびセンサは、ベルト表面に対しての通常に関して負の角にて、ベルトの上および下に同様に位置付けられる。本明細書中で説明されるように、この相対位置は、交差干渉を伴うことなく、ベルト上に配置される対象の3D放射線像の形成を達成する必要がある。位置センサ46は、符号化されたストリップが、ベルト位置の連続的な読み取りを提供するように、ベルトに近接して配置されている。位置センサ46からのベルト位置データは、通路46aを介して主要コントローラ47まで移動される。主要コントローラ47はまた、左のセンサ43からと、右のセンサ45からのX線撮影画像データを、それぞれ、データ通路43aおよび45aを介して受け取る。主要コントローラ47はまた、データ通路49aを介して、オペレーター制御インターフェース49に接続される。主要コントローラ47はさらに、立体表示デバイス48に接続され、このデバイスは、人間のオペレーター50により観察される。さらに、主要コントローラ47は、53aによりサーボモーター駆動機構53に接続されて、ローラーおよびベルトシステム41を制御することを可能にする。旅行用かばんスキャナの全ての操作様式の機能的な制御は、オペレーター制御インターフェース49の制御下である。人間−機器インターフェースは、このオペレーター制御インターフェース49と立体表示デバイス48から構成される。種々の操作様式が、オペレーター制御インターフェース49を使用して、人間のオペレーター50により開始され得る。このような様式の例は、主要な操作様式、初期化様式およびサービス様式である(これらは全て、ここで記載される)。
【0015】
主要な操作様式において、移動ベルト41上に配置される旅行用かばんは、通常、ベルト表面上を滑ることなく移動する。左右の源およびセンサの対は、逐次的なセットの画像を主要コントローラ47に送る。同時に、ベルト位置に対応するベルト位置センサ46の読み取りを使用して、左右の検知されたデータと、対応する各センサの視野の中心に現れる点のベルト座標を結び付ける。画像センサ43および45の視野の中心は、互いに関して、センサ46により検知されるベルト位置に関して固定されているので、ビューの測定値の中心は、ベルト位置センサデータから容易に生じる。左のセンサ画像データが、ベルト座標における視野の中心の測定値に沿って、主要コントローラ47における逐次的なデータ構造に保存される。同様に、右のセンサ画像データが、右眼のために、その視野の中心の測定値に沿って、別の逐次的なデータ構造に保存される。移動するベルト上に置かれた1つの旅行用かばん51が、図4に示されるように、左のX線源42と左のセンサ42との間を移動する場合、この旅行用かばんの、ベルトの参照フレームにおける視野の中心の座標測定値が、主要コントローラ47によって保存される。次いで、旅行用かばんが、右のX線源44および右の画像センサ45までの距離を移動し、そして、右眼のための第2の画像が、図4の52において示される右のシステムの視野内を通過する際に、旅行用かばんの部品から作成される。主要コントローラ47において、右のX線画像データがベルト41上の座標測定値または参照フレームに沿って保存される。旅行用かばんは、めったにスライドすることなく移動しないので、右のセンサ45の上で52の位置として示される1つの旅行用かばんの座標測定値と、51の位置としての左のセンサにおける測定値は同一である。座標測定値を使用することによって、次いで、主要コントローラ47は、以前に議論されたように、立体表示デバイス48に、各眼のための左右の画像を提供する。この処理は、ベルトが動いている間に連続的に行う。全ての画像フレームデータが、座標測定値と結び付けられるので、個々の旅行用かばんの片は、連続的な処理として検知される必要がない。この実施形態において、立体対は、モニターの形態で、表示デバイス48上においてオペレーターにより見られる。本明細書中で記載されるように、種々の他の表示方法が利用可能である。オペレーターの観察に基づいて、例えば、53aおよびオペレーター制御インターフェースパネル49を介して、コマンドが出され得、ベルトのスピードを調節もしくは変更するか、または、画像の流れを停止および逆行させる。オペレーターはまた、他の制御様式で機器を配置し得る。
【0016】
ここで、初期化様式を参照すると、この様式は、使用のために機器を調製し、かつ、各オペレーターの固有の生理学的特徴のために機器をカスタマイズするために使用される。立体画像は、2つの眼だけでなく、脳により果たされる役割にも依存するので、2つの視野を、単一の3D画像に合わせる能力は、個体間で異なる。次いで、初期化様式の主要な機能は、形式的な過立体の相対位置からの相殺の調整を提供し、各オペレーターに最適化した状態を可能にすることである。初期化様式はまた、オペレーターのパスワード設定を可能にする。システムを起動する際、または、オペレーターを変更する際に、認証されたオペレーターの肯定的な同定がなされ得るように、かつ、適切なオペレーター固有のパラメータが設定され得るように、初期化様式が呼び出される。
【0017】
第3の様式はサービス様式である。この様式は、全てのサブシステムの、適切な作動を保証し、かつ、予防および修正的なメンテナンスを行うために、ルーチンおよび装置の診断試験を提供する。
【0018】
(他の実施形態)
例示される具体的な実施形態において、モニターおよび主要コントローラが、立体対を表示するために使用された。しかし、脳が2つの視野を1つの真の3D画像に合わせることを可能にする種々の手段が利用可能であることが理解される。このような手段は広く利用可能である。従って、表示に必須であるということを除いて、これらは、それ自体は、本発明の部分ではない。このような手段の例は、それ自体により画像を実際に作成するデバイス、使用者が標準型モニター上で画像を見る方法にほとんど影響を及ぼさないグラス、および専用の立体−3Dソフトウェアである。これらの3つの手段をより詳細に考えると、それ自体により画像を実際に作成するデバイスの例は、VR−ヘルメットおよびヘッドマウントデバイスである。これらのデバイスは、基本的に装着可能なモニターである。立体視的な画像を可能にするために、各眼につき小型のLCDモニターまたはCRTモニターがある。VFX−1、i−グラスまたはCybermaxxのような民間製品は、各々約263×240インチの有効解像度を有する2つのLCDモニターを有する。さらに、これらのヘルメットのいくつかは、頭の動きによって、キーボード、マウスまたは、ジョイスティックの入力を取って代わるか、または補足するヘッドトラッカーを有する。立体視的な画像のために専用のグラフィックス様式またはドライバーソフトウェアを必要としないため、これらのデバイスのハードウェアおよびソフトウェアの適合性は良好であるが、ヘッドトラッキングのためのドライバーを必要とする。
【0019】
標準型もモニターに画像が見える方法にのみ影響を及ぼすグラスの例は、液晶Shutterグラスおよび偏光グラスを備えるShutter−Screensである。ShutterグラスおよびShutterScreensは、通常のカソード−光線−管−モニターまたはカソード−光線−管−プロジェクターと組み合せて使用される。次いで、立体視的な画像に必要とされる2つの画像が、標準型モニターに表示される。第2の分画について、左眼専用の画像が表示され、その後、右眼のための画像が同じ持続時間現れる、などである。ガラスの仕事は、左眼が右眼専用の画像を見ることを防ぐことであり、そして、逆のこともまた同じである。これを行うために、光は、LCD−「Shutter」によって遮蔽される。これは、2つの方法において達成され得る。1つの方法は、シャッターをモニター上に置いて、受動的な非電気的な偏光グラスを通して光を見ることである。他の方法は、グラス内にシャッターを作ることである。最も高いソフトウェアの適合性は、VGA通過コントローラを使用することによって達成される。これらのコントローラは、グラフィックスボードとモニターとの間に挿入される。一体化されたグラスコントローラを備えるいくつかのグラフィックスボードが存在する。他のシャッターグラスは、ソフトウェアに接続され、従って、種々の代替物が、本発明により作成される立体対を表示するために利用可能であることが理解され得る。
【0020】
本発明の上記の説明を参照して、改変は当業者により想到される。一例として、旅行用かばんに加え、本発明は、学校、政府の建物のセキュリティ、空港の手荷物、産業的な処理への適用および病院においてさえ、禁制品を検出するために使用され得ることが理解され得る。別の改変としては、旅行用かばんが滑らないことを保証するために、コンベヤベルトに、リブ、リッジ、または仕切りなどが備え付けられ得る。さらに、図3においてセンサはコンベヤベルト内に示されているが、X線ビーム角は、これらのセンサが、コンベヤの各端に置かれ、その結果、コンベヤがX線照射を受けないように調節され得る。なお別の改変としては、本発明の1つの構造形態が図5に例示される。この図において、ハウジング60が、ストラップ形態のカーテン62、ならびにX線カメラ30および32を収容するタレット64および66を有するトンネルの形態で提供される。ハウジング68は、図4と組み合せて記載される電子工学についての囲い込みとして機能する。明らかに、本発明は、任意の構造、または、図5に示されるハウジング構造ではなく、開放設定においてさえ組み込まれ得る。このような派生および改変は、本発明の範囲内であるとみなされる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、交差照射干渉の図の例である。
【図2】図2は、左右の視野角がいかにして生じるかを示す図である。
【図3】図3は、立体ベースが過立体範囲になるように配置された左右のX線源を含む、操作システムを例示する線図である。
【図4】図4は、運転中の立体走査システムを描写するブロック図である。
【図5】図5は、本発明の立体視的な走査デバイスの例示的な実施形態の等角図である。
【符号の説明】
【0022】
1、2 X線源
4 対象
6 コンベアベルト
7 検出器
20 軌道
22、24 プレート
30、32 X線カメラ
38、39 ローラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つのX線放射管の下の通路を左から右へと移動する対象の立体視的な三次元画像を提供するX線ベースの画像化システムであって、図3に示される、X線ベースの画像化システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−241725(P2008−241725A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−172830(P2008−172830)
【出願日】平成20年7月1日(2008.7.1)
【分割の表示】特願2004−531561(P2004−531561)の分割
【原出願日】平成15年8月29日(2003.8.29)
【出願人】(505068398)ユナイテッド ステイツ オブ アメリカ, アズ レプレゼンテッド バイ ザ アドミニストレイター オブ ザ ナショナル エアロノーティクス アンド スペース アドミニストレーション (1)
【Fターム(参考)】