説明

物品仕分け方法

【課題】 出荷頻度が低く出荷量の少ない物品の突発的な多量の注文に対してもピッキング能力を向上するとともに、出荷頻度が特に低い物品について固定的な保管棚を常備せずにピッキング可能にすること。
【解決手段】 物品仕分け設備1を用いる物品仕分け方法であって、物品が物品取出口と同じ方向から補充される保管部13と、出荷〆単位で出荷総量分の物品を移動可能な保管棚に補充する保管部14を用いるもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は物品仕分け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、物品仕分け設備は、ケース単位で出荷される物品毎に保管領域が設定された主保管設備と、物品収納箱容器に取出される物品毎に保管領域が設定された仕分け用保管設備を備え、仕分け用保管設備への物品補充は主保管設備から行なっている。仕分け用保管設備に格納されて保管される物品の保管場所の登録は、未来の出荷内容が予想できないから、過去の出荷データを累積分析して出荷頻度や1回当たりの出荷量を求めて保管場所を決定している。
【0003】
出荷頻度が高く出荷量の多いものは、流動棚(CFR)を用いる。流動棚は後述する中量棚に比べ保管容量が大きい。また流動棚への物品の補充(供給)は、主保管設備からケース単位で取出された物品を流動棚の取出口の反対側からなされるので、その補充作業が取出口からのピッキング作業を邪魔することなく、ピッキング中に補充作業ができる。
【0004】
出荷頻度が低く出荷量の少ないものは、中量棚を用いている。中量棚の保管容量は流動棚に比べ小さいが、少ないスペースに多くの物品が置ける利点がある。中量棚の物品の出し入れは、中量棚の前面の取出口から行なう。ピッキング中に補充を行なうと、ピッキングする人と、補充する人の作業導線が一緒になり、お互い邪魔になる。一般的には、中量棚への補充(供給)は、主保管設備からケース単位で取出し、ピッキング開始する前にその間口を満杯にしておく。即ち、タイムシェアリングで混乱を避ける方法を取っている。
【0005】
特許文献1に記載の物品仕分け方法は、上述の仕分け用保管設備に設けられる中量棚を用いた物品仕分け方法に関する。出荷頻度が低く出荷量が少ない物品が多品種保管されている中量棚の間口を回避してピッキングする距離を短縮するため、出荷する物品の総量を、主保管設備から上述の如くに補充済とされている中量棚の間口から予めピッキングし、中量棚の近傍にまとめて仮置きしておき、そこから必要量の物品のピッキングを行ない、作業導線の短縮を図る方法である。出荷量が中量棚の保管数量以内ならば導線短縮が図れてピッキング能力を向上し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005-298076
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の物品仕分け方法において、中量棚の登録物品であって、通常は出荷頻度が低く出荷量の少ない物品であっても、販売店の特売、社会の状況、気温の変化等により、突発的に出荷の注文が増える場合がある。前述の特許文献1による仮置き対象であっても、仮置き対象外であっても、中量棚の登録物品の出荷の注文量が当該中量棚の保管可能量より多くなると、その物品の当該中量棚からの出荷中に、主保管設備から当該中量棚へのケース単位による物品の補充作業が発生する。このとき、仮置き対象の物品については、その物品の当該中量棚からの出荷中に主保管設備から一旦当該中量棚へ補充後、当該中量棚からピッキングして仮置きすることになる。また、仮置き対象外の物品については、その物品の当該中量棚からの出荷中に主保管設備から当該中量棚へ補充することになる。
【0008】
このように、中量棚からの物品の出荷中に、当該中量棚への物品の補充、当該中量棚の物品の仮置きのためのピッキングの各作業が重複すると、中量棚の周辺のピッキング通路が通常は出荷頻度の低い物品を扱うこととの関係で元々狭く設定されていることと相まって、多数のカートがそのピッキング通路上で渋滞し、ひいてはピッキング能力が低下する。
【0009】
更に、中量棚の登録物品の上述の出荷の注文量が大量になると、その物品が仮置き対象であっても、仮置き対象外であっても、主保管設備から取出された後に当該中量棚へ入りきらず、当該中量棚の近傍にケース単位で仮置きすることになる。中量棚の近傍にケースが仮置きされると、中量棚の周辺のピッキング通路が一層狭くなり、また作業者がケースを探してピッキングを行なうことになるから、ピッキング通路上での渋滞は一層悪くなり、ピッキング能力が一層低下する。
【0010】
また、従来の物品仕分け方法では、出荷頻度が特に低い物品についても、固定的な保管棚を常備しており、仕分け用保管設備が大型化する。
【0011】
本発明の課題は、出荷頻度が低く出荷量の少ない物品の突発的な多量の注文に対してもピッキング能力を向上するとともに、出荷頻度が特に低い物品について固定的な保管棚を常備せずにピッキング可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明は、ケース単位で出荷される物品毎に保管領域が設定された主保管設備と、物品収納箱容器に取出される物品毎に保管領域が設定された仕分け用保管設備を備え、仕分け用保管設備への物品補充は主保管設備から行ない、且つ仕分け用保管設備は、物品が物品取出口と同じ方向から補充される保管部と、出荷〆単位で出荷総量分の物品を移動可能な保管棚に補充する保管部を備えた物品仕分け設備を用いる物品仕分け方法であって、出荷〆単位での必要量が、前記物品取出口と同じ方向から補充される保管部に保管されている物品について、前記物品取出口と同じ方向から補充される保管部に保管可能な量より多い場合に、出荷〆単位での出荷総量分の当該物品を、移動可能な保管棚に補充することで、当該物品の臨時間口を移動可能な保管棚に作り、前記物品取出口と同じ方向から補充される保管部からの物品取出しを行なわず、当該物品の臨時間口から当該物品の取出しを行なうようにしたものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、出荷頻度が低く出荷量の少ない物品の突発的に多量の注文に対してもピッキング能力を向上するとともに、出荷頻度が特に低い物品について固定的な保管棚を常備せずにピッキング可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は物品仕分け設備を示す平面図である。
【図2】図2は仕分け用保管設備の保管部を示す平面図である。
【図3】図3は仕分け用保管設備の各保管部への物品補充手順を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1、図2に示す物品仕分け設備1は、例えば物流倉庫のフロア内に設けられ、主保管設備2と仕分け用保管設備3を備える。主保管設備2は外部から入荷されて、ケース単位で出荷される物品毎に保管領域が設定される。仕分け用保管設備3は集荷かご(オリコン等の物品収納箱容器)に取出される物品毎に保管領域(第1〜第4の保管部11〜14)が設定される。仕分け用保管設備3への物品補充は主保管設備2から行なわれる。
【0016】
物品仕分け設備1にトラック等で入荷される物品は主保管設備2に一時的に保管され、主保管設備2に保管した物品を出荷頻度、出荷量に応じて物品毎に区分けした仕分け用保管設備3の各保管部11〜14に移動して保管し直し、ピッキングカート4に積み込んだ集荷かごを、所望の物品が保管されている保管部11〜14の前に移動し、必要量の物品をカート4上の集荷かごに取出して集荷し、カート4の集荷かごに集荷された物品を出荷スペース5で検品、梱包等して外部に出荷する。
【0017】
尚、集荷かごはオリコン組立機6等で組立てられ、RFID等の記憶装置をセットされた後、ホストコンピュータから送信されてくるピッキング情報をその記憶装置に書き込まれるとともに、そのピッキング情報をラベラーにより印字されたラベルを貼付されてカート4に積み込まれる。作業者は、カート4上の読取り装置により記憶装置から読取られたピッキング情報の表示に従って、各保管部11〜14の物品を順に取出して集荷する。
【0018】
物品仕分け設備1のホストコンピュータは、出荷〆単位(一度にピッキングする単位の出荷量であり、1日の注文を1又は複数の〆単位に分け(例えば午前と午後の2回)、その単位毎にピッキング作業する)での物品の必要量に対し、主保管設備2から仕分け用保管設備3への補充計算を行なうに際し、各物品の保管区分(保管部11〜14)を以下の如くに設定する(図3)。
【0019】
即ち、仕分け用保管設備3は、各品種の物品を仕分けするにあたり、出荷〆単位の出荷量が大量(SA)、中量(A)、少量(B)、極少量(C)に渡り、出荷頻度が高(多頻度〜中頻度)、低(小頻度)に渡る物品を集荷することを前提とし、以下の4つの保管部11〜14を備えるものとする。
【0020】
(保管部11)(保管数量:大)
出荷量が非常に多く、出荷頻度の高い物品を主保管設備2からパレット(PL)に積載されたPL単位で取出し、保管部11に補充して保管し、その後カート4で取出してピッキングするように登録する。
【0021】
(保管部12)(保管数量:中)
出荷量が多く、出荷頻度の高い物品を多列、多段、多数の物品格納分の奥行きサイズの流動棚(CFR)からなる保管部12にその物品取出口と反対の方向から投入して保管し、その後カート4でその物品取出口から取出してピッキングするように登録する。主保管設備2からケース単位で取出し、保管部12に補充して保管するものとし、この保管部12からの出荷〆単位のピッキング終了時に、この保管部12が満杯になるケース数、又は出荷〆単位のピッキングを行なうに不足するケース数だけを補充する。
【0022】
(保管部13)(保管数量:小)
出荷量が少なく、出荷頻度の高い物品を多列、多段、1個の物品格納分の奥行きサイズの固定棚(中量棚)からなる保管部13にその物品取出口と同じ方向から挿入して保管し、その後カート4でその物品取出口から取出してピッキングするように登録する。主保管設備2からケース単位で取出し、保管部13に補充して保管するものとし、任意の固定数になる物品数を補充する。
【0023】
(保管部14)(保管数量:大、中、小)
i.保管部13(中量棚)の登録物品の突発的な出荷の注文であって、注文数が保管部13に保管可能な量(保管部13の最大保管数量)より多い場合、この物品の臨時間口を多列、多段、1個の物品格納分の奥行きサイズの、移動可能な保管棚からなる保管部14に作る。そして、この物品を主保管設備2から出荷〆単位の出荷総量分取出し、保管部14に補充して保管し、その後カート4で取出してピッキングする。保管部14は仕分け場のカート通路の近傍の取出し易い位置に作られる。この場合、主保管設備2から保管部13(中量棚)への補充は行なわず、保管部13からの物品取出しも行なわず、保管部14の臨時間口から物品を取出してピッキングする。
【0024】
上述の主保管設備2から保管部14への出荷〆単位の物品の補充にあっては、主保管設備2からケース単位に切り上げてケース単位で取出して保管部14に補充し、保管部14からの出荷〆単位でのピッキング作業完了後、当該保管部14の臨時間口に残った物品を対応する保管部13(中量棚)(当該物品と同一物品を登録物品としている保管部13)へ移動して格納する。
【0025】
但し、上述の主保管設備2から保管部14への物品の他の補充方法として、出荷〆単位の出荷総量分を主保管設備2からバラ単位で取出して補充しても良いし、又は出荷〆単位の出荷総量分をケース分とバラ分に分け、ケース分は主保管設備2から取出して補充し、バラ分は保管部13(中量棚)から取出して補充しても良い。
【0026】
ii.保管部12(CFR)や保管部13(中量棚)の登録物品でなく、出荷頻度が特に低い物品について、出荷の注文がある都度、多列、多段、1個の物品格納分の奥行きサイズの移動可能な保管棚からなる保管部14を作る。そして、この物品を主保管設備2から出荷〆単位の出荷総量分取出し(バラ総量ピッキング)、保管部14に保管し、その後カート4で取出してピッキングする。保管部14は仕分け場のカート通路の近傍の取出し易い位置に作られる。
【0027】
本実施例の物品仕分け設備1によれば以下の作用効果を奏する。
(a)保管部13(中量棚)の登録物品についての注文数(出荷〆単位の必要量)が当該保管部13の保管可能量より多い場合には、当該保管部13(中量棚)の間口への補充を行なわず、注文数分の当該物品を主保管設備2から取出して移動可能な保管棚からなる保管部14の臨時間口に保管することとし、この保管部14をカート通路の近傍の取出し易い場所に置く。この保管部14の臨時間口の物品をカート4でピッキングすることにより、出荷頻度が低く出荷量の少ない物品の注文が突発的に多量にあっても、このピッキングのためのカート4の導線を短くし、カート4の渋滞も招かず、ピッキング能力を向上し得る。
【0028】
(b)出荷頻度が特に低い物品であって、保管部12(CFR)や保管部13(中量棚)の登録物品でない物品の注文に対しては、その注文数(出荷〆単位の必要量)分の物品を主保管設備2から取出して移動可能な保管棚からなる保管部14の臨時間口に保管することとし、当該物品についての固定的な保管棚を用意する必要をなくす。物品の品種数が増えても、仕分け用保管設備3を大型化せずに、ピッキングできる。
【0029】
(c)保管部13(中量棚)の登録物品の移動可能な保管棚からなる保管部14の臨時間口への補充は、注文数分の物品を主保管設備2からケース単位に切り上げてケース単位で取出し、その保管部14(移動可能な保管棚)からの注文数分のピッキング完了後、当該保管部14(移動可能な保管棚)の臨時間口に残った物品を当該保管部13(中量棚)へ移動して格納する。これにより、仕分け用保管設備3における突発的な必要時にだけ保管部14(移動可能な保管棚)を作り、仕分け用保管設備3のコンパクトを図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、出荷〆単位で出荷総量分の物品を移動可能な保管棚に補充する保管部を用いるようにした。これにより、出荷頻度が低く出荷量の少ない物品の突発的な多量の注文に対してもピッキング能力を向上するとともに、出荷頻度が特に低い物品について固定的な保管棚を常備せずにピッキング可能にすることにある。
【符号の説明】
【0031】
1 物品仕分け設備
2 主保管設備
3 仕分け用保管設備
11 保管部
12 保管部(CFR)
13 保管部(中量棚)
14 保管部(移動可能な保管棚)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース単位で出荷される物品毎に保管領域が設定された主保管設備と、物品収納箱容器に取出される物品毎に保管領域が設定された仕分け用保管設備を備え、仕分け用保管設備への物品補充は主保管設備から行ない、且つ仕分け用保管設備は、物品が物品取出口と同じ方向から補充される保管部と、出荷〆単位で出荷総量分の物品を移動可能な保管棚に補充する保管部を備えた物品仕分け設備を用いる物品仕分け方法であって、
出荷〆単位での必要量が、前記物品取出口と同じ方向から補充される保管部に保管されている物品について、前記物品取出口と同じ方向から補充される保管部に保管可能な量より多い場合に、出荷〆単位での出荷総量分の当該物品を、移動可能な保管棚に補充することで、当該物品の臨時間口を移動可能な保管棚に作り、前記物品取出口と同じ方向から補充される保管部からの物品取出しを行なわず、当該物品の臨時間口から当該物品の取出しを行なう物品仕分け方法。
【請求項2】
ケース単位で出荷される物品毎に保管領域が設定された主保管設備と、物品収納箱容器に取出される物品毎に保管領域が設定された仕分け用保管設備を備え、仕分け用保管設備への物品補充は主保管設備から行ない、且つ仕分け用保管設備は、物品がパレットに積載されたPL単位で補充される保管部と、物品が物品取出口と反対の方向から補充される保管部と、物品が物品取出口と同じ方向から補充される保管部と、出荷〆単位で出荷総量分の物品を移動可能な保管棚に補充する保管部を備えた物品仕分け設備を用いる物品仕分け方法であって、
出荷〆単位での必要量が、前記物品取出口と同じ方向から補充される保管部に保管されている物品について、前記物品取出口と同じ方向から補充される保管部に保管可能な量より多い場合に、出荷〆単位での出荷総量分の当該物品を、移動可能な保管棚に補充することで、当該物品の臨時間口を移動可能な保管棚に作り、前記物品取出口と同じ方向から補充される保管部からの物品取出しを行なわず、当該物品の臨時間口から当該物品の取出しを行なう物品仕分け方法。
【請求項3】
前記移動可能な保管棚への補充において、前記主保管部からケース単位に切り上げてケース単位で取出し、出荷〆単位でのピッキング作業完了後、当該移動可能な保管棚の臨時間口に残った物品を上記物品取出口と同じ方向から補充される保管部へ移動して格納する請求項1又は2に記載の物品仕分け方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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