説明

物品保管装置とその保管棚および保管棚の係止部材

【課題】部品点数の増加や組み立て工数の増加を招くことのない、物品保管装置とその保管棚および保管棚の係止部材を提供する。
【解決手段】物品が格納される容器を搬送する搬送装置を備えた物品保管装置の保管棚であって、容器が載置される荷載置面4Aと、荷載置面4Aの開口前面の一部を閉鎖する突出部4A1と、容器が搬送装置との間で搬出入される際に搬送装置に押される接触部4A2と、を備えた係止部材と、を有してなり、係止部材は、弾性を有し、荷載置面4Aの間口前面近傍に設けられていて、突出部4A1は、接触部4A2に対する搬送装置からの押圧状態に応じて、荷載置面4Aの開口前面の一部を閉鎖する位置と開口前面を開放する位置とに弾性変形して移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品保管装置に関し、さらに詳しくは、物品保管装置の保管棚の荷載置面に載置されている容器などの落下防止の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
移動式あるいは固定式の格納保管庫の構成として、垂直方向に沿って複数の荷受け用棚板を配列した構成が知られている。
荷受け用棚板には、昇降自在および荷受け用棚板の荷載置面に沿って移動可能な掛け止め部を備えたスタッカクレーンなどの荷移載装置を用いて物品や書類を収納している容器を搬出入する場合がある。
【0003】
容器を搬出入する際の構成として、例えば、荷移載装置に装備されて容器の係合部に係脱可能な掛け止め部をチェーンなどを用いて容器の搬出入方向に移動させ、掛け止め部の移動に伴い容器を荷受け用棚の荷載置面に対して搬出入する構成が用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
一方、荷載置面に載置されている容器は、自身の重量により定置されていることが多いが、地震などによって荷載置面上で移動することがあり、落下などの危険がある。
そこで、従来では、荷載置面に載置されている容器の落下を防止するための構成が提案されている(例えば、特許文献2,3参照。)。
【0005】
特許文献2には、荷載置面の下面に設けられて容器の搬出入方向と同一平面内で直角な方向に揺動する蝶板の一方の揺動片に設けられて容器端面に対向可能な直立部を有した係止部材からなる落下防止装置が開示されている。
この構成では、落下防止装置が荷移載装置の搬出入方向移動に連動して上記直立部を有した係止部材を容器の端面に対して係止する位置と係止が解除されて容器の搬出入が可能となる位置とに揺動できるようになっている。
【0006】
特許文献2には、上述した係止部材の直立部を容器の係止位置と搬出入が可能な位置とに揺動させる機構として、図9に示す構成が開示されている。
図6において、容器の荷移載装置側の荷受け台(図示されず)には、通常、荷受け台上の容器の端面を押圧する方向に揺動付勢されている揺動可能なローラ支持板Aおよびこれの揺動端に設けられているローラA1と、容器の搬出入方向に移動可能な荷載置台Bの移動に連動してローラ支持板Aに設けられている当接部A2に接触してこれを押し下げることができる押し下げ片Cとを備えた構成とされている。
この構成において、例えば、容器の搬入時には、押し下げ片Cがローラ支持板Aの当接部A2に接触してこれを押し下げると、ローラA1により落下防止装置D側の蝶板D1に支持されて揺動可能な係止片D2が押し下げられて容器の搬入路を開放する。
【0007】
一方、特許文献3には、容器の落下防止装置の構成として、荷載置面から突出する初期付勢を付与されている係止部材の一部に、初期付勢に抗して係止部材を荷載置面から下方に沈没させる揺動可能な係止片の押し下げレバーを設けた構成が開示されている。
【0008】
【特許文献1】特許第3773096号明細書
【特許文献2】特公昭62−61482号公報
【特許文献3】特許第4017528号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
容器の落下防止装置の構成が開示されている特許文献2,3においては、いずれも、荷受け用棚板および荷移載装置側にこれら構造物とは別に、それぞれ落下防止のための装置としての構成を必要としている。
特に、特許文献2,3に開示されている構成では、荷受け用棚側の荷載置面とは別に落下防止のための付属設備とした構成であることから、部品点数の増加や部品組み立ての際の作業性の悪化などが生じるおそれがある。
このように荷載置面とは別の構造として落下防止装置を設けた場合には、荷移載装置を用いて容器を搬出入する際に、係止操作や係止解除操作を行う部材が必要となり、これら各部材間の連動関係を保証する必要があり、この点からしても、部品点数の増加に伴うコスト上昇が避けられない。
【0010】
本発明の目的は、上記従来の保管棚における問題、特に保管棚の載置面に載置された容器が落下するのを防止するための構成における問題に鑑み、部品点数の増加や組み立て工数の増加を招くことのない、物品保管装置とその保管棚および保管棚の係止部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明にかかる物品保管装置の保管棚は、物品が格納される容器を搬送する搬送装置を備えた物品保管装置の保管棚であって、容器が載置される荷載置面と、荷載置面の開口前面の一部を閉鎖する突出部と、容器が搬送装置との間で搬出入される際に搬送装置に押される接触部と、を備えた係止部材と、を有してなり、係止部材は、弾性を有し、荷載置面の間口前面近傍に設けられていて、突出部は、接触部に対する搬送装置からの押圧状態に応じて、荷載置面の開口前面の一部を閉鎖する位置と開口前面を開放する位置とに弾性変形して移動することを特徴とする。
【0012】
また、本発明にかかる物品保管装置の保管棚は、荷載置面と係止部材とは、連続して一体に構成されている、ことを特徴とする。
【0013】
また、本発明にかかる物品保管装置の保管棚は、突出部は、接触部が搬送装置に押されていないときには荷載置面から突出した状態で荷載置面の開口前面の一部を閉鎖し、接触部が搬送装置に押されたときにのみ荷載置面より下方に移動し、接触部に対する搬送装置からの応力が解除されると、上方に移動して荷載置面から突出した状態に復帰して荷載置面の開口前面の一部を閉鎖する、ことを特徴とする。
【0014】
また、本発明にかかる物品保管装置の保管棚は、荷載置面の間口前面近傍には、搬送装置に押されたときに突出部を移動可能にする切欠き部が形成されている、ことを特徴とする。
【0015】
また、本発明にかかる物品保管装置の保管棚は、突出部は、荷載置面の開口前面近傍を折り曲げて形成されている、ことを特徴とする。
【0016】
また、本発明にかかる物品保管装置の保管棚は、係止部材は、荷載置面の間口前面の左右の側面の少なくともいずれか一面に設けられていて、突出部は、接触部が搬送装置に押されたときにのみ、荷載置面の開口前面の幅方向の外側に移動する、ことを特徴とする。
【0017】
また、本発明にかかる物品保管装置の保管棚は、荷載置面の間口前面の左右両端には、荷載置面に連接する側面が設けられ、荷載置面と各側面との連接部の間口前面近傍には、搬送装置に押されたときに突出部を移動可能にする切欠き部が形成されている、ことを特徴とする。
【0018】
また、本発明にかかる物品保管装置は、物品が格納される容器を搬送する搬送装置と、容器が載置される保管棚と、を有してなる物品保管装置であって、保管棚は、本発明にかかる物品保管装置の保管棚であることを特徴とする。
【0019】
また、本発明にかかる保管棚の係止部材は、保管棚の荷載置面に載置される容器の落下防止用の係止部材であって、荷載置面の開口前面近傍に取り付け可能な板状部材で構成され、下向き逆くの字状に形成された突出部と、突出部の頂部から下方に延長された傾斜面で構成された、容器を保管棚に搬送する搬送装置により押される接触部と、を有してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、係止部材を構成する突出部と接触部が保管棚の荷載置面と一体に構成されていて、搬送装置で接触部を押すことで係止部材の係止状態の解除および係止状態の復帰をすることができ、係止状態の解除と復帰に特別な構造部品を必要としない。
また、部品点数が少なく簡便な構成で係止状態の解除と復帰を実現できるため、係止部材の信頼性を高めることができると共に、組立施工コストを低減することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明にかかる物品保管装置とその保管棚および保管棚の係止部材の実施の形態について説明する。
【0022】
図1は、本発明にかかる物品保管装置の実施の形態を示す正面図である。物品保管装置1には、物品保管装置1が設置されている床上2に複数の柱部材3が直立して設けられている。柱部材3には、上下方向に亘って所定間隔ごとに水平方向へ指向したアングル状の保管棚の荷受け部材4が設けられていて、棚通路7を挟んで左右両側に棚小間5a,5bが形成されている。柱部材3と荷受け部材4とは、物品保管装置の保管棚を構成する部材である。
なお、物品保管装置の保管棚を構成する荷受け部材としては、アングル状のもの以外に、例えば、棚板などを用いるようにしてもよい。
【0023】
各棚小間5a,5bには、物品が格納される容器9が格納される。後述するように、略直方体状の容器9には、棚間口面10側の側面と、この側面に対向する側の側面とに係合部9Aが設けられている。
なお、容器9の例としては、例えば、コンテナなどがある。
【0024】
棚通路7の底部と頂部とには、棚間口面10と平行に走行レール11とガイドレール12とが架設されている。棚通路7に設けられている容器搬送機5は、ガイドレール12に案内されながら走行レール11上を走行することができるスタッカクレーンのサドル部13と、スタッカクレーンのサドル部13上に立設されたスタッカクレーンのマスト14と、スタッカクレーンのマスト14上を昇降可能に設けられたスタッカクレーンのフォーク部(荷移載装置)6とからなる。容器搬送機5は、スタッカクレーンのサドル部13に内蔵された走行モータ(図示省略)により、棚通路7内を往復走行できるように構成されている。
【0025】
荷移載装置6は、図2に示すように、容器9の搬出入方向(図1の紙面左右方向)に移動する荷載置台6Aを備えている。荷載置台6Aは、その内部に一対のチェーン6Cに連動して往復動可能な係止爪8を備えている。荷載置台6Aは、図示しないスライダ機構により容器9の搬出入方向に加えて上下方向にも移動可能に構成されている。
【0026】
荷載置台6Aは、荷移載装置6が所望の荷受け部材4と対向する位置に移動した後に、荷移載装置6(荷載置台6A)に搭載されている容器9の底面(荷載置台6Aの表面)が荷受け部材4の荷載置面と略同一面となる位置に達するように上方向に移動し、さらに荷受け部材4に向かって移動する。荷載置台6Aは、荷受け部材4と接触した後に、係止爪8を動作させて容器9を荷受け部材4の荷載置面に対して搬出入する。
【0027】
係止爪8は、容器9に設けられている係合部9Aに対して係脱することができ、搬出入時は係合して容器9を移動させ、搬出入終了後に係合部9Aから離脱可能となるように構成されている。なお、この係止爪8を用いた容器9の搬出入に関する構成は、例えば、特許文献1に開示されている。
【0028】
次に、荷受け部材4の構成について説明する。
図3は、本発明にかかる係止部材の実施の形態を示す説明図である。荷受け部材4は、容器9が載置される荷載置面4Aと、これと連続して略直角に折り曲げられた側面4Bとを備える。荷受け部材4の例としては、たとえば、弾性を有した熱間圧延鋼板などの金属製のアングル部材が用いられている。
【0029】
荷受け部材4は、2つのアングル材が容器9の幅方向、つまり、容器9の搬出入方向と直交する方向両側にそれぞれ対をなして配置されており、容器9の搬入方向における後方側の端面同士で荷載置面開口を構成している。
荷載置面開口前面(以下、「開口前面」という。)には、容器9の落下を防止するための係止部材が設けられている。
【0030】
荷載置面4Aと連続して一体に構成されている係止部材は、荷載置面4Aの開口前面側に形成された突出部4A1と、荷移載装置6により押圧される接触部4A2とを備えている。符号4B1は、側面における開口前面側の端部を左右方向外側に向けて折り曲げて傾けた搬入ガイド部である。
【0031】
係止部材は、側面視形状が開口前面先端部において下向き「逆くの字」状を呈した形態とされている。つまり、荷載置面4Aの開口前面端部から連続して上方に向けほぼ直立した状態で折り曲げられた部分が突出部4A1を構成し、容器9の端面を係止する部分として用いられる。また、突出部4A1の頂部から連続して下方に折り曲げられて延長された部分が、荷移載装置6に押される接触部4A2を構成している。
【0032】
接触部4A2は、突出部4A1の頂部を起点として容器9の搬入方向上流側(荷移載装置6側)に向けて傾けられており、荷移載装置6により押される際の衝撃を抑制できる片部で構成されている。
【0033】
荷載置面4Aと側面4Bとが合致する稜線のうち、荷載置面4A側の係止部材に相当する部分には、荷載置面4Aと側面4Bとを切り離すスリット4Cが稜線に沿って形成されている。
【0034】
係止部材は、アングル材の弾性を利用して突出部4A1が荷載置面4Aから上方に突出する初期習性を有している。すなわち、係止部材の初期状態(係止部材に応力がかかっていない状態)では、突出部4A1が荷受け部材4の荷載置面4Aよりも上方に位置している。その結果、荷受け部材4の開口前面には、係止部材が容器9の搬入を阻害する状態(格好)となっている。
【0035】
一方、接触部4A2が荷載置台6A(荷移載装置6)に押された際には、載置面4Aがスリット4Cを介して側面4Bと切り離されていることから、接触部4A2が荷載置面4Aから独立して押し下げられる方向に移動する。また、突出部4A1も、接触部4A2の移動に連動して荷載置面4Aの下方、つまり、開口前面の下方向外側に向け移動する。その結果、荷載置台6Aに押された状態の係止部材は、開口前面を開放した状態、つまり、容器9の搬出入を阻害しない状態となる。
【0036】
次に、荷受け部材4の係止部材の動作およびその作用について、容器9を荷移載装置6から荷受け部材4に搬入する(払い出す)場合を例に説明する。図4は、容器9の搬入時における荷受け部材4の係止部材の動作を示す模式図である。
【0037】
まず、容器9が載置された荷移載装置6の荷載置台6Aが、荷受け部材4の方向(紙面右方向)に向かって移動する(図4(A)参照。)。このとき、荷受け部材4の開口前面には、突出部4A1が荷受け部材4の荷載置面4Aよりも上方に位置していて、係止部材が容器9の搬入を阻害する状態となっている。また、荷載置台6Aの係止爪8は、荷移載装置6の移動方向後方に位置し、荷移載装置6に載置されている容器9の係合部9Aに係合している。
【0038】
次に、容器9を載置した荷載置台6Aが、荷受け部材4の係止部材の接触部4A2に接触する(図4(B)参照。)。その後、さらに荷載置台6Aが接触部4A2に当接しながら荷受け部材4の方向に移動すると、接触部4A2は押し下げられて荷載置面4Aの下方に移動し、これと連動して突出部4A1も係止部材の初期習性に抗して荷載置面4Aの下方に移動する。その結果、係止部材が容器9の搬入を阻害する状態は解除、つまり、荷受け部材4の開口前面が開放された状態になる。
【0039】
なお、荷載置台6Aが接触部4A2を押すのは、係止部材の弾性限界を超えない範囲である。すなわち、荷載置台6Aからの応力が解除された場合に、接触部4A2が元の状態(位置)に復帰可能な範囲で、荷載置台6Aは接触部4A2を押す。
【0040】
その後、図示しない駆動装置によりチェーン6Cが回転動作されて、係止爪8を荷受け部材4の方向に移動させる。その結果、係合部9Aが係止爪8に係合されている容器9は、荷受け部材4の荷載置面4Aに搬入される(図4(C)参照。)。
【0041】
荷受け部材4への容器9の搬入後、係止爪8は、チェーン6Cの回転動作により下方向に移動し、容器9の係合部9Aとの係合が解除される(図4(D)参照。)。
【0042】
さらに、荷載置台6Aは、荷受け部材4から離れる方向(紙面左方向)に移動する(図4(E)参照。)。その間、チェーン6Cの回転動作により、係止爪8は、荷載置台6Aの移動方向前方に移動する。なお、係止爪8は、図4(B)−(E)に示すように、紙面時計回りに回転移動する。
【0043】
荷載置台6Aが荷受け部材4から離れる方向に移動することで、荷載置台6Aと接触部4A2との当接が解除され、突出部4A1がその弾性を利用して荷載置面4Aから上方に向けて移動する。その結果、荷受け部材4の開口前面には突出部4A1が荷受け部材4の荷載置面4Aよりも上方に位置し、突出部4A1は荷載置面4Aに載置された容器9の落下を防止する部材として機能する。
【0044】
一方、容器9を荷受け部材4から荷移載装置6に引き込む場合の荷受け部材4の係止部材の動作および作用についても、以上説明した容器9を荷移載装置6から荷受け部材4に搬入する場合と同様である。
すなわち、容器9が載置されている荷受け部材4に向かって荷移載装置6が移動する間、荷受け部材4の開口前面には、突出部4A1が荷受け部材4の荷載置面4Aよりも上方に位置していて、係止部材が容器9の引き出しを阻害する状態となっている。荷載置台6Aが荷受け部材4の係止部材の接触部4A2に接触しながら荷受け部材4の方向に移動すると、接触部4A2は押し下げられて荷載置面4Aの下方に移動し、これと連動して突出部4A1も係止部材の初期習性に抗して荷載置面4Aの下方に移動する。その結果、係止部材が容器9の引き出しを阻害する状態は解除されて、荷受け部材4の開口前面が開放された状態となる。
【0045】
その後、荷載置台6Aが上方向に移動し、係止爪8を荷受け部材4の方向に移動させる。ここで、係止爪8は、容器9を荷移載装置6から荷受け部材4に搬入する場合とは逆方向に回転移動される。
係止爪8は、容器9の係合部9Aに係合された後に、荷載置台6Aの表面上を移動して、荷受け部材4の荷載置面4A上の容器9は荷載置台6A上に引き込まれる。その後、荷載置台6Aは荷受け部材4から離れる方向に移動し、荷載置台6Aと接触部4A2との当接が解除され、突出部4A1がその弾性を利用して荷載置面4Aから上方に向けて移動する。その結果、荷受け部材4の開口前面には、突出部4A1が荷受け部材4の荷載置面4Aよりも上方に位置し、係止部材が容器9の搬入を阻害する状態(係止状態)となる。
【0046】
以上説明した実施の形態によれば、係止部材を構成する突出部4A1および接触部4A2が荷載置面4Aの一部を用いて構成されていて、荷載置台6Aで接触部4A2を押すことで係止部材の係止状態の解除および係止状態の復帰をすることができ、係止状態の解除と復帰に特別な構造部品を必要としない。
【0047】
なお、図3に示した実施の形態では、容器を搬送する搬送装置である荷載置台6Aに押されたときに突出部4A1を移動可能にするためのスリット4Cが、荷載置面4Aの開口前面近傍であって、荷載置面4Aと側面4Bとの稜線上に形成されていた。ここで、荷載置台6Aに押されたときに突出部を移動可能にするためのスリットの形成位置は、稜線上でなくてもよい。
すなわち、たとえば、図5に示すように、荷載置面4Aの開口前面近傍であって、荷載置面4A側にスリット4C’を形成し、荷載置面4Aは、移動片4A10と固定片4A10’とに分割されている。移動片4A10の開口前面側には、突出部4A1と接触部4A2とからなる係止部材が設けられている。接触部4A2が荷載置台6Aに押されたときの係止部材の動作は、図3に示した実施の形態と同様である。
【0048】
また、係止部材は、図3または図5に示したように、荷載置面4Aに設けるのに代えて、たとえば、図6に示すように、側面4Bに設けるようにしてもよい。すなわち、側面4Bの開口前面には、突出部4B11と接触部4B12とからなる係止部材4B10が設けられている。ここで、突出部4B11は、係止部材4B10の初期状態、つまり、接触部4B12に荷載置台6Aからの応力がかかっていない状態では、側面4Bよりも内側に位置し、荷受け部材4の開口前面の一部を閉鎖した格好となっている。接触部4B12が荷載置台6Aから押されると、荷載置面4Aと側面4Bとの稜線上にはスリット4Cが形成されているため、接触部4B12が荷載置面4Aから独立して間口前面の幅方向の外側に移動する。その結果、突出部4B11も接触部4B12の移動に連動して、間口前面の幅方向の外側に移動し、荷受け部材4の開口前面を開放する。
なお、側面4Bに設けられる係止部材4B10は、荷載置面4Aの開口前面の左右の側面の少なくともいずれか一面に設けておくとよい。
【0049】
次に、本発明にかかる保管棚の係止部材について、先に説明した実施の形態と異なる部分を中心に説明する。先に説明した実施の形態は、係止部材が荷受け部材4の荷載置面4Aの一部で形成されたものであったが、本実施の形態では、係止部材が荷載置面4Aとは別の部材で形成されている。
【0050】
図7は、本発明にかかる係止部材の別の実施の形態を示す斜視図である。
荷受け部材4は、その荷載置面4Aにおける開口前面近傍が欠如されて、欠如部分4A3が形成されている。荷載置面4Aの欠如部分4A3には、係止部材10が荷載置面4Aの開口前面を覆う状態となるように設けられている。
【0051】
係止部材10は、突出部10Aと接触部10Bとを備えた、下向き「逆くの字」状を呈した弾性部材からなる板状部材である。係止部材10は、その先端位置(荷載置面4Aとの取付側とは逆側の位置)が側面4Bのガイド部4B1の先端位置と略同じ位置となるように、また、突出部10Aが荷載置面4Aより上方に位置するように荷受け部材4に取り付けられている。荷受け部材4への係止部材10の取り付け方法として、たとえば、図5に示すように、荷載置面4Aの開口前面近傍の下面側に、係止部材10を締結などにより取り付ける。
【0052】
係止部材10の接触部10Bが、荷載置面4Aの開口前面側(紙面右側)から荷載置面4A側(紙面左側)に押されると、荷載置面4Aとの締結部を支点にして、接触部10Bは下方向に押し下げられる。つまり、図中、実線の位置から点線の位置に移動する。また、接触部10Bの下方向への移動に連動して、突出部10Aも荷載置面4Aの下方向に押し下げられる。接触部10Bへの押圧力が解除されると、接触部10Bと突出部10Aとは、係止部材10の弾性を利用して荷載置面4Aから上方に向けて移動し、接触部10Bが押圧される前の位置に復帰する。
【0053】
ここで、係止部材10の動作と作用について、容器9の搬入時(先に説明した実施の形態の図4参照)を例に説明する。
【0054】
容器9が載置された荷移載装置6が荷受け部材4と離れている状態では、荷受け部材4の開口前面に取り付けられている係止部材10の突出部10Aは、荷載置面4Aの上方に位置していて、容器9の搬入を阻害する状態となっている。その後、荷移載装置6の荷載置台6Aが荷受け部材4に向かって移動し(図4(A)に相当)、荷受け部材4の開口前面に取り付けられた係止部材10の接触部10Bが荷載置台6Aに押されると、接触部10Bは荷受け部材4の荷載置面4Aの下方に移動し、これと連動して突出部10Aも係止部材の初期習性に抗して荷載置面4Aの下方に移動する。その結果、係止部材10が容器9の搬入を阻害する状態は解除されて荷受け部材4の開口前面が開放された状態となる。
【0055】
その後、係止爪8が荷受け部材4の方向に移動(時計回りに移動)することで、容器9が荷受け部材4に搬入される。その後、係止爪8と容器9の係合部9Aとの係合が解除され、荷載置台6Aは荷受け部材4から離れるように移動する。その結果、荷載置台6Aと接触部10Bとの当接が解除され、突出部10Aがその弾性を利用して荷載置面4Aから上方に向けて移動する。その結果、荷受け部材4の開口前面には突出部10Aが荷受け部材4の荷載置面4Aよりも上方に位置し、突出部10Aは容器9の落下を防止する部材として機能する。
【0056】
容器9を荷受け部材4から荷移載装置6に引き込む場合の荷受け部材4の係止部材10の動作および作用についても、以上説明した容器9を荷移載装置6から荷受け部材4に搬入する場合と同様である。
【0057】
以上説明した実施の形態によれば、荷載置面4Aとは別部材でありながら係止部材10が荷載置面4Aと一体となるように構成されていて、荷載置台6Aで接触部10Bを押すことで係止部材10の係止状態の解除および係止状態の復帰をすることができ、係止状態の解除と復帰に特別な構造部品を必要としない。
【0058】
また、係止部材を荷受け部材とは別部材とすることで、荷載置面の強度を強化することができる。したがって、たとえば、図3、図6,図7などに示したスリットを設けたときに、荷物の荷重に対して荷載置面の強度が不足する場合に、荷受け部材とは別部材の係止部材を荷載置面に設けることで、荷載置面の強度不足を解消することができる。さらに、図3,図6,図7などに示した係止部材の動作を実現可能な長さのスリットを荷載置面上にスリットを設けることができない場合などに、荷受け部材とは別部材の係止部材を用いることで、対応可能となる。
【0059】
また、係止部材10は、荷載置面4Aに締結することができ、既存の荷載置面を対象とした後付け部品として用いることも可能である。よって、係止部材を装備していない保管棚に係止部材10を適用することで、落下防止が可能な保管棚に機能向上させることも可能となる。
【0060】
なお、係止部材は、荷載置面4Aに設けるのに代えて、図8に示すように、側面4Bに設けるようにしてもよい。すなわち、側面4Bの開口前面には、突出部10A’と接触部10B’とからなる係止部材10’が締結などにより設けられている。係止部材10’の作用は、図6に示した係止部材4B10と同様である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明にかかる物品保管装置の実施の形態を示す正面図である。
【図2】上記物品保管装置を構成する荷移載装置の例を示す説明図である。
【図3】本発明にかかる係止部材の実施の形態を示す説明図である。
【図4】上記係止部材の作用を示す説明図である。
【図5】本発明にかかる係止部材の別の実施の形態を示す説明図である。
【図6】本発明にかかる係止部材のさらに別の実施の形態を示す説明図である。
【図7】本発明にかかる係止部材のさらに別の実施の形態を示す説明図である。
【図8】本発明にかかる係止部材のさらに別の実施の形態を示す説明図である。
【図9】容器の係止構造に関する従来例を示す図である。
【符号の説明】
【0062】
1 物品保管装置
3 保管棚を構成する柱部材
4 保管棚を構成する荷受け部材
4A 荷載置面
4A1 突出部
4A2 接触部
4B 側面
4B10 係止部材
4B11 突出部
4B12 接触部
4C スリット
4C’ スリット
5 容器搬送機
6 荷移載装置
6A 荷載置台
8 係止爪
9 容器
9A 係合部
10 係止部材
10A 突出部
10B 接触部
10’ 係止部材
10A’ 突出部
10B’ 接触部
11 走行レール
13 スタッカクレーンのサドル部
14 スタッカクレーンのマスト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品が格納される容器を搬送する搬送装置を備えた物品保管装置の保管棚であって、
上記容器が載置される荷載置面と、
上記荷載置面の開口前面の一部を閉鎖する突出部と、上記容器が上記搬送装置との間で搬出入される際に上記搬送装置に押される接触部と、を備えた係止部材と、
を有してなり、
上記係止部材は、弾性を有し、上記荷載置面の間口前面近傍に設けられていて、
上記突出部は、接触部に対する搬送装置からの押圧状態に応じて、荷載置面の開口前面の一部を閉鎖する位置と上記開口前面を開放する位置とに弾性変形して移動することを特徴とする物品保管装置の保管棚。
【請求項2】
荷載置面と係止部材とは、連続して一体に構成されている、
請求項1記載の物品保管装置の保管棚。
【請求項3】
突出部は、接触部が搬送装置に押されていないときには荷載置面から突出した状態で荷載置面の開口前面の一部を閉鎖し、上記接触部が上記搬送装置に押されたときにのみ上記荷載置面より下方に移動し、上記接触部に対する上記搬送装置からの応力が解除されると、上方に移動して上記荷載置面から突出した状態に復帰して上記荷載置面の開口前面の一部を閉鎖する、
請求項1記載の物品保管装置の保管棚。
【請求項4】
荷載置面の間口前面近傍には、搬送装置に押されたときに突出部を移動可能にする切欠き部が形成されている、
請求項3記載の物品保管装置の保管棚。
【請求項5】
突出部は、荷載置面の開口前面近傍を折り曲げて形成されている、
請求項2記載の物品保管装置の保管棚。
【請求項6】
係止部材は、荷載置面の間口前面の左右の側面の少なくともいずれか一面に設けられていて、
突出部は、接触部が搬送装置に押されたときにのみ、上記荷載置面の開口前面の幅方向の外側に移動する、
請求項1記載の物品保管装置の保管棚。
【請求項7】
荷載置面の間口前面の左右両端には、上記荷載置面に連接する側面が設けられ、
上記荷載置面と上記各側面との連接部の間口前面近傍には、搬送装置に押されたときに突出部を移動可能にする切欠き部が形成されている、
請求項1記載の物品保管装置の保管棚。
【請求項8】
物品が格納される容器を搬送する搬送装置と、上記容器が載置される保管棚と、を有してなる物品保管装置であって、
上記保管棚は、請求項1乃至7のいずれかに記載の物品保管装置の保管棚であることを特徴とする物品保管装置。
【請求項9】
保管棚の荷載置面に載置される容器の落下防止用の係止部材であって、
上記荷載置面の開口前面近傍に取り付け可能な板状部材で構成され、
下向き逆くの字状に形成された突出部と、
上記突出部の頂部から下方に延長された傾斜面で構成された、上記容器を保管棚に搬送する搬送装置により押される接触部と、
を有してなることを特徴とする保管棚の係止部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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