説明

物品収納ボックス

【課題】容量を小さくすることなくボックス支持体への組み付け性を向上させることができる物品収納ボックスを提供する。
【解決手段】ボックス本体9とリッド10を備え、開閉機構45は、リッド10からリッド10の裏側に突出する側面視円弧状のアーム15と、ボックス本体9の側壁12に横軸芯O1周りに回転自在に支持され、アーム15に形成された円弧状の長孔H1に挿入されて、アーム15をアーム15の外周面15Gに沿う方向に相対移動自在に支持する回転軸と、付勢手段25と、ロック機構27とを備え、付勢手段25は定荷重ばねで構成されて、板ばね29の一端部29Aがアーム15の突出端部15T側に固定されるとともに、板ばね29がアーム15の突曲した外周面15Gに重ね合わされ、板ばね29の他端部29Bが巻き取り部30に固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
ボックス支持体の開口の奥側に収容固定され、前記ボックス支持体の開口に対応するボックス開口を備えたボックス本体と、
前記ボックス開口を開閉機構を介して開閉するリッドとを備え、
前記開閉機構は、前記ボックス本体の側壁の横外方側に位置する状態に前記リッドから前記リッドの裏側に突出する側面視円弧状のアームと、
前記ボックス本体の側壁に横軸芯周りに回転自在に支持され、前記アームの外周面に沿うように前記アームに形成された円弧状の長孔に挿入されて、前記アームを前記アームの外周面に沿う方向に相対移動自在に支持する回転軸と、
前記リッドを開放付勢する付勢手段と、
前記リッドを閉じ状態にロック及びロック解除自在なロック機構とを備えた物品収納ボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
上記のボックス支持体の一例として自動車に設けられたインストルメントパネルがある。以下、本発明の背景技術をインストルメントパネルを例に挙げて説明する。
図7に示すように、従来、前記付勢手段25は巻きばねで構成されて、ばね材29の一端部29Aがアーム15の突出端部側に固定されるとともに、ばね材29の他端部がアーム15の湾曲面15Wの上方側の巻き取り部30に固定されていた。図7において符号10はリッドである。
一般に、上記の物品収納ボックスでは、ボックス本体9のボックス開口の上側周縁部や下側周縁部に設けられた係合爪17をインストルメントパネル側の係合孔に係合させている。この係合爪17はボックス本体9の側壁12の横外方側に位置し、インストルメントパネルの開口の奥側に向かって突出している。
上記従来の構造によれば、前記付勢手段25は巻きばねで構成されて、ばね材29の一端部29Aがアーム15の突出端部側に固定されるとともに、ばね材29の他端部がアーム15の湾曲面15Wの上方側の巻き取り部30に固定されていたために、ばね材29や巻き取り部30とアーム15との上下方向の間隔が大きくなっていた。
その結果、前記係合爪17の先端の外方側の空間が狭くなり、前記係合爪17を前記係合孔に係合させる際にばね材29や巻き取り部30がインストルメントパネル側の他物に干渉してインストルメントパネルに組み付けにくく組み付け性が低下していた。
この問題を解消するために、ボックス本体9の幅方向で係合爪17と巻き取り部30の位置をずらすと、ボックス本体9の幅が狭くなってボックス本体9の容量が小さくなるという新たな問題が生じる。
リッド10の回転軸に巻きばねを同芯状に設ける手段も考えられるが、回転軸を備えないタイプの構造には、このような手段を採用することができない。
上記の技術に類似した技術として特許文献1の技術がある。この特許文献1の技術でもボックス本体の容量が小さくなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平7−54532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記実状に鑑みて成されたもので、その目的は、容量を小さくすることなくボックス支持体への組み付け性を向上させることができる物品収納ボックスを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の特徴は、
ボックス支持体の開口の奥側に収容固定され、前記ボックス支持体の開口に対応するボックス開口を備えたボックス本体と、
前記ボックス開口を開閉機構を介して開閉するリッドとを備え、
前記開閉機構は、前記ボックス本体の側壁の横外方側に位置する状態に前記リッドから前記リッドの裏側に突出する側面視円弧状のアームと、
前記ボックス本体の側壁に横軸芯周りに回転自在に支持され、前記アームの外周面に沿うように前記アームに形成された円弧状の長孔に挿入されて、前記アームを前記アームの外周面に沿う方向に相対移動自在に支持する回転軸と、
前記リッドを開放付勢する付勢手段と、
前記リッドを閉じ状態にロック及びロック解除自在なロック機構とを備えた物品収納ボックスであって、
前記付勢手段は、板ばねと前記板ばねの巻き取り部とを備えた定荷重ばねで構成されて、前記板ばねの一端部が前記アームの突出端部側に固定されるとともに、前記板ばねが前記アームの突曲した外周面に重ね合わされ、前記板ばねの他端部が、前記ボックス本体に支持された前記巻き取り部に固定されている点にある。(請求項1)
【0006】
この構成によれば、前記板ばねの一端部が前記アームの突出端部側に固定されるとともに、前記板ばねが前記アームの突曲した外周面に重ね合わされ、前記板ばねの他端部が、前記ボックス本体に支持された巻き取り部に固定されているから、板ばねをアームの突曲した外周面に沿わせることができるとともに、巻き取り部をアームの外周面の近傍に配置することができ、アームと付勢手段をコンパクトに纏めることができて省スペース化を図ることができる。
その結果、ボックス支持体(例えばインストルメントパネル)に対するボックス本体側の係合爪等の連結部の周り(連結部の連結方向下手側、例えば係合爪の先端の外方側)に広い空間を形成することができ、前記連結部をボックス支持体側の係合孔等の被連結部に連結させる際に、巻き取り部や板ばねがボックス支持体側の他物に干渉する不具合を回避することができて組み付け性を向上させることができる。
従って、ボックス本体の幅方向で係合爪と巻き取り部の位置をずらす必要がなくなって、ボックス本体の容量が小さくなることを回避することができる。
しかも、付勢手段は、板ばねと前記板ばねの巻き取り部とを備えた定荷重ばねで構成されているから、リッドの開閉操作の際の荷重が一定になり、リッドの開閉操作の操作性を向上させることができる。(請求項1)
【0007】
本発明において、
前記リッドの開放速度を減速するダンパが前記ボックス本体に支持されていると、リッドの開閉速度を減速することができて、リッドの開閉操作の操作性をより向上させることができる。(請求項2)
【0008】
本発明において、
前記ボックス本体の側壁に突設され、前記アームの上下両側に位置する複数の脚部と、
前記脚部を介して前記ボックス本体の側壁に支持され、前記アームを挟んで前記ボックス本体の側壁とは反対側に位置するブラケット本体と備えたブラケットが設けられ、
前記ダンパが前記ブラケット本体に取り付けられて、前記回転軸に同芯状に連結していると、次の作用を奏することができる。(請求項3)
【0009】
前記アームとボックス本体の側壁との間に前記ダンパを配置した構造に比べると、前記アームとボックス本体の側壁との間隔を狭くすることができ、構造をよりコンパクト化することができる。(請求項3)
【0010】
本発明において、
前記長孔の周部にラックが形成され、
前記回転軸は前記ラックに咬み合うピニオンに構成されていると、アームをボックス本体側から正確に出退させることができて、リッドの開閉動作を正確に行わせることができる。(請求項4)
【0011】
本発明において、
前記ボックス本体の側壁に横軸芯周りに回転自在に支持され、前記長孔と平行に前記アームに形成された円弧状の第2の長孔に挿入されて、前記アームを前記アームの外周面に沿う方向にガイドするガイドピンが前記開閉機構に設けられていると、次の作用を奏することができる。(請求項5)
【0012】
アームをガイドピンで安定支持することができ、アームをボックス本体側からより正確に出退させることができて、リッドの開閉動作をより正確に行わせることができる。(請求項5)
【0013】
本発明において、
前記巻き取り部は前記アームの厚み方向の幅の範囲内に位置していると、次の作用を奏することができる。
【0014】
ボックス本体の幅方向で巻き取りドラムの左側の側面はアームの左側の側面よりも右側に位置し、巻き取りドラムの右側の側面はアームの右側の側面よりも左側に位置する。これにより、開閉機構をボックス本体の幅方向でコンパクト化することができる。(請求項6)
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、
容量を小さくすることなくボックス支持体への組み付け性を向上させることができる物品収納ボックスを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】インストルメントパネルの斜視図
【図2】インストルメントパネルの縦断側面図
【図3】リッドが開放した物品収納ボックスの斜視図
【図4】物品収納ボックスの縦断側面図
【図5】物品収納ボックスを斜め下方から見た斜視図
【図6】物品収納ボックスを斜め側方から見た斜視図
【図7】従来の技術を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
図1,図2に自動車のインストルメントパネル1(ボックス支持体に相当)を示してある。インストルメントパネル1は車室内のほぼ全幅にわたる長さに合成樹脂で成形されて運転席及び助手席の前方に配設されている。このインストルメントパネル1の車幅方向中央部にカーステレオ(オーディオ類)・エアコン(空調機器)などの操作系パネル2が集約して配置され、前記車幅方向中央部の下端部から下方にセンターコンソール3の前部が延びている。
【0018】
そして、インストルメントパネル1の助手席と対向する箇所の下部に、後ろ下方を向く長方形状の下側開口4が形成され、前記下側開口4の奥側にグローブボックス5が配設されて下側の横軸芯周りに開閉自在に構成されている。また、グローブボックス5の上方のインストルメントパネル部分に、後ろ上方を向く長方形状の上側開口6(インストルメントパネルの開口に相当)が形成され、前記上側開口6の奥側にアッパーボックス7(物品収納ボックスに相当)が配置されている。
【0019】
[アッパーボックス7の構造]
図3〜図6に示すように、アッパーボックス7は、インストルメントパネル1の上側開口6に対応したボックス開口8を備えるボックス本体9と、ボックス開口8を開閉機構45を介して開閉するリッド10とを備え、ボックス本体9がインストルメントパネル1の上側開口6の奥側に収容固定されている(図2参照)。
【0020】
[ボックス本体9の構造]
ボックス本体9は、壁面が後ろ上方を向く奥壁11と、奥壁11の左右両側部から前記上側開口6側に延びる左右一対の側壁12と、奥壁11の上端部11J(図2参照)から前記上側開口6側に延びる上壁13とを備え、上壁13の左右両側部が左右一対の側壁12の上端部に連なっている。ボックス本体9は下側が開放しており、ボックス本体9に対する下壁14はインストルメントパネル1側に設けられている(図2,図4参照)。
【0021】
前記奥壁11の下端部11Kは左右一対の側壁12の下端部よりも下方に延びている。また、左右一対の側壁12のボックス開口8側の端部から横外方に横側フランジ12F1がそれぞれ張り出し、左右一対の側壁12の下端部から横外方側に下側フランジ12F2が張り出している。さらに、前記奥壁11の下端部11Kが幅方向に張り出し、前記横側フランジ12F1と下側フランジ12F2と奥壁11の下端部11Kの張り出し端部同士がボックス本体9の幅方向で同一位置に位置して互いに連なっている。左右一対の横側フランジ12F1の上端部には、後述の開閉機構45のアーム15を挿通させる縦長の長方形状のアーム挿通孔16が形成されている。
【0022】
そして、図6に示すように、前記奥壁11の上端部の左右両端部と、奥壁11の下端部11Kの左右一対の張り出し端部と、前記左右一対の横側フランジ12F1の上下両端部に、ボックス開口8とは反対側(インストルメントパネル1の上側開口6の奥側)に突出する係合爪17がそれぞれ形成され、前記係合爪17がインストルメントパネル1側の係合孔に係合している。
【0023】
[開閉機構45の構造]
図3〜図6に示すように、前記開閉機構45は、ボックス本体9の側壁12の横外方側に位置する状態にリッド10からリッド10の裏側に突出する側面視下側に凸の円弧状のアーム15と、
ボックス本体9の側壁12に横軸芯O1(図6参照)周りに回転自在に支持され、アーム15の外周面15Gに沿うようにアーム15に形成された円弧状の第1長孔H1(長孔に相当)に挿入されて、アーム15をアーム15の外周面15Gに沿う方向に相対移動自在に支持する回転軸(後述のピニオン28)と、
ボックス本体9の側壁12に横軸芯O2(図6参照)周りに回転自在に支持され、前記第1長孔H1と平行にアーム15に形成された円弧状の第2長孔H2(第2の長孔に相当)に挿入されて、アーム15をアーム15の外周面15Gに沿う方向にガイドする前後一対(車両前後方向で一対)のガイドピン24と、
リッド10を開放付勢する付勢手段25と、
リッド10を閉じ状態にロック及びロック解除自在なロック機構27とを備えている。
【0024】
前記開閉機構45はボックス本体9を挟んで左右一対設けられ、左右一対の開閉機構45が左右対称に形成されている。これにより、開閉機構45にリッド10の開閉動作を正確に行わせることができる。
【0025】
前記第1長孔H1はアーム15の長手方向の一端部側から他端部側にわたって形成され、前記第1長孔H1の上側の内周部にほぼ全長にわたってラック26が形成されている。そして、前記回転軸がラック26に咬み合うピニオン28に構成されている。前記第2長孔H2は第1長孔H1の上側に形成されて、第1長孔H1よりも幅狭に設定されるとともに、前記第1長孔H1と略同じ長さに設定されている。
【0026】
前記付勢手段25は、板ばね29と、板ばね29が板ばね29の付勢力で巻き取られる巻き取りドラム30(巻き取り部に相当)とを備えた定荷重ばねで構成されて、前記板ばね29の一端部29Aがアーム15の突出端部15T側に固定されるとともに、前記板ばね29がアーム15の突曲した外周面15Gに重ね合わされ、板ばね29の他端部29B(図5参照)が巻き取りドラム30に固定されている。
【0027】
図4に示すように、前記巻き取りドラム30は、ボックス本体9の側壁12の前端部のうち、アーム15の下方の前端部部分に横軸芯O3周りに回転自在に支持され、ブラケット本体34のリッド10側の下側コーナー部とボックス本体9の側壁12との間に位置している。
【0028】
また、前記巻き取りドラム30は前記アーム15の厚み方向の幅の範囲内に位置している。すなわち、ボックス本体9の幅方向で巻き取りドラム30の左側の側面はアーム15の左側の側面よりも右側に位置し、巻き取りドラム30の右側の側面はアーム15の右側の側面よりも左側に位置している。これにより、開閉機構45をボックス本体9の幅方向でコンパクト化することができる。巻き取りドラム30の外径はピニオン28の外径よりも大きく設定されている。
【0029】
また、前記ボックス本体9の側壁12に突設され、前記アーム15の上下両側に位置する複数の脚部33と、複数の脚部33を介してボックス本体9の側壁12に支持され、アーム15を挟んでボックス本体9の側壁12とは反対側に位置するブラケット本体34と備えたブラケット35が前記ボックス本体9に設けられている。
【0030】
ブラケット本体34はコーナー部が円弧の台形状に形成され、前記脚部33に複数のスクリューSで固定されている。ブラケット本体34の周部にはボックス本体9の幅方向外方側に立ち上がる環状の補強リブ36が設けられ、周部の内方側にもボックス本体9の幅方向外方側に立ち上がる縦横の補強リブ36が設けられている。前記環状の補強リブ36と縦横の補強リブ36はリブ高さが同一に設定されて互いに連なっている。
【0031】
そして、ブラケット本体34の略中央部の内側(ボックス本体9の幅方向でブラケット本体34よりもボックス本体9側)に前記ピニオン28が前記横軸芯O1周りに回転自在にボックス本体9の側壁12に支持され、リッド10の開放速度を減速するダンパ37が、ブラケット本体34の略中央部に形成された嵌合孔に嵌合して前記ピニオン28に同芯状に連結している。
【0032】
前記一対のガイドピン24は車両前後方向で前記ピニオン28の前上方と後ろ上方に位置する状態に前記ブラケット本体34に横軸芯O2周りに回転自在に設けられている。つまり、ダンパ37がブラケット本体34に取り付けられるとともに、ブラケット35を介してボックス本体9に支持されている。
【0033】
これにより、前記アーム15をガイドピン24で安定支持することができ、アーム15をボックス本体9側からより正確に出退させることができて、リッド10の開閉動作をより正確に行わせることができる
【0034】
上記のように、前記リッド10の開放速度を減速するダンパ37がボックス本体9にブラケット35を介して支持されているので、リッド10の開閉速度を減速することができて、リッド10の開閉操作の操作性をより向上させることができる。
【0035】
前記開閉機構45はボックス本体9の横側フランジ12F1に車室内側から覆い隠されている。これにより、アッパーボックス7の外観品質を向上させることができる。
【0036】
前記ロック機構27は、リッド10の下端部の幅方向中央部の裏側に突設された係合凸部38と、インストルメントパネル1の上側開口6の下側の周縁部に設けられ、前記係合凸部38を係合及び係合解除自在な被係合部39とから成る。
【0037】
乗員が前記定荷重ばねの付勢力に抗しながら前記リッド10の下端部を押圧して前記リッド10で前記上側開口6を閉じ、その閉じ状態で前記リッド10の下端部を押圧すると前記係合凸部38が被係合部39に係合してロック機構27がロック作動する。
【0038】
前記リッド10は長方形状に形成され、車室内側のアウターパネル40とボックス本体9側のインナーパネル41から成る。アウターパネル40の下端部と左右両側部には裏側に張り出すフランジが形成されている。またインナーパネル41にアウターパネル40側に突出する複数のリブ41Rが形成されている(図4参照)。アウターパネル40の上下方向中間部はボックス本体9側に少しだけ湾曲し、上下両端部に表側に突出する凸部42が形成されている。
【0039】
上記の構成によれば、
(1) 前記板ばね29の一端部29Aがアーム15の突出端部15T側に固定されるとともに、板ばね29がアーム15の突曲した外周面15Gに重ね合わされ、板ばね29の他端部29Bが、ボックス本体9に支持された巻き取りドラム30に固定されているから、板ばね29をアーム15の突曲した外周面15Gに沿わせることができるとともに、巻き取りドラム30をアーム15の外周面15Gの近傍に配置することができ、アーム15と付勢手段25をコンパクトに纏めることができて省スペース化を図ることができる。
その結果、ボックス本体9側の係合爪17の先端の外方側に広い空間を形成することができ、係合爪17をインストルメントパネル1側の係合孔に係合させる際に、巻き取りドラム30や板ばね29がインストルメントパネル1側の他物に干渉する不具合を回避することができて組み付け性を向上させることができる。
従って、ボックス本体9の幅方向で係合爪17と巻き取りドラム30の位置をずらす必要がなくなって、ボックス本体9の容量が小さくなることを回避することができる。
しかも、付勢手段25は、板ばね29と巻き取りドラム30を備えた定荷重ばねで構成されているから、リッド10の開閉操作の際の荷重が一定になり、リッド10の開閉操作の操作性を向上させることができる。
【0040】
(2) 前記ボックス本体9の側壁12に突設され、アーム15の上下両側に位置する複数の脚部33と、脚部33を介してボックス本体9の側壁12に支持され、アーム15を挟んでボックス本体9の側壁12とは反対側に位置するブラケット本体34と備えたブラケット35が設けられ、ダンパ37がブラケット本体34に取り付けられて、ピニオン28に同芯状に連結しているから、アーム15とボックス本体9の側壁12との間にダンパ37を配置した構造に比べると、アーム15とボックス本体9の側壁12との間隔を狭くすることができ、構造をよりコンパクト化することができる。
【0041】
(3) 前記第1長孔H1の周部にラック26が形成され、前記回転軸はラック26に咬み合うピニオン28に構成されているから、アーム15をボックス本体9側から正確に出退させることができて、リッド10の開閉動作を正確に行わせることができる。
【0042】
[別実施形態]
(1) 前記ボックス支持体はインストルメントパネル以外の支持体であってもよい。
(2) 前記物品収納ボックスはアッパーボックス以外の収納ボックスであってもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 ボックス支持体(インストルメントパネル)
6 開口(インストルメントパネルの開口)
8 ボックス開口
9 ボックス本体
10 リッド
12 側壁
15 アーム
15G アームの外周面
15T アームの突出端部
24 ガイドピン
25 付勢手段
26 ラック
27 ロック機構
28 回転軸(ピニオン)
29 板ばね
29A 板ばねの一端部
29B 板ばねの他端部
30 巻き取り部(巻き取りドラム)
33 脚部
34 ブラケット本体
35 ブラケット
37 ダンパ
45 開閉機構
H1 長孔(第1長孔)
H2 第2の長孔(第2長孔)
O1 横軸芯(回転軸の横軸芯)
O2 横軸芯(ガイドピンの横軸芯)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボックス支持体の開口の奥側に収容固定され、前記ボックス支持体の開口に対応するボックス開口を備えたボックス本体と、
前記ボックス開口を開閉機構を介して開閉するリッドとを備え、
前記開閉機構は、前記ボックス本体の側壁の横外方側に位置する状態に前記リッドから前記リッドの裏側に突出する側面視円弧状のアームと、
前記ボックス本体の側壁に横軸芯周りに回転自在に支持され、前記アームの外周面に沿うように前記アームに形成された円弧状の長孔に挿入されて、前記アームを前記アームの外周面に沿う方向に相対移動自在に支持する回転軸と、
前記リッドを開放付勢する付勢手段と、
前記リッドを閉じ状態にロック及びロック解除自在なロック機構とを備えた物品収納ボックスであって、
前記付勢手段は、板ばねと前記板ばねの巻き取り部とを備えた定荷重ばねで構成されて、前記板ばねの一端部が前記アームの突出端部側に固定されるとともに、前記板ばねが前記アームの突曲した外周面に重ね合わされ、前記板ばねの他端部が、前記ボックス本体に支持された前記巻き取り部に固定されている物品収納ボックス。
【請求項2】
前記リッドの開放速度を減速するダンパが前記ボックス本体に支持されている請求項1記載の物品収納ボックス。
【請求項3】
前記ボックス本体の側壁に突設され、前記アームの上下両側に位置する複数の脚部と、
前記脚部を介して前記ボックス本体の側壁に支持され、前記アームを挟んで前記ボックス本体の側壁とは反対側に位置するブラケット本体と備えたブラケットが設けられ、
前記ダンパが前記ブラケット本体に取り付けられて、前記回転軸に同芯状に連結している請求項2記載の物品収納ボックス。
【請求項4】
前記長孔の周部にラックが形成され、
前記回転軸は前記ラックに咬み合うピニオンに構成されている請求項1〜3のいずれか一つに記載の物品収納ボックス。
【請求項5】
前記ボックス本体の側壁に横軸芯周りに回転自在に支持され、前記長孔と平行に前記アームに形成された円弧状の第2の長孔に挿入されて、前記アームを前記アームの外周面に沿う方向にガイドするガイドピンが前記開閉機構に設けられている請求項1〜4のいずれか一つに記載の物品収納ボックス。
【請求項6】
前記巻き取り部は前記アームの厚み方向の幅の範囲内に位置している請求項1〜5のいずれか一つに記載の物品収納ボックス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−111365(P2012−111365A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−262271(P2010−262271)
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【Fターム(参考)】