説明

物品収納容器及び物品保管設備

【課題】使用状態の切り換え作業を効率良く確実に行うことができる物品収納容器を提供すること。
【解決手段】物品を収納する収納空間Zを複数の区画Kに分割する仕切体4を装着した分割使用状態と仕切体を装着しない一体使用状態とに切り換え自在に構成され、一体使用状態における収納空間を識別する収納空間識別体が容器本体に取り付けられ、分割使用状態における区画の夫々を識別する複数の区画識別体8が、分割使用状態で識別作用可能となる状態で仕切体に一体的に取り付けられ、仕切体が、分割使用状態で収納空間識別体を識別作用不可能となる状態で覆うカバー部11を備えて構成されている物品収納容器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を収納する収納空間を複数の区画に分割する仕切体が着脱自在に備えられ、前記仕切体を装着した分割使用状態と前記仕切体を装着しない一体使用状態とに切り換え自在に構成され、前記一体使用状態における前記収納空間を識別する収納空間識別体及び前記分割使用状態における前記区画の夫々を識別する複数の区画識別体が備えられた物品収納容器及び前記物品収納容器を保管する物品保管設備に関する。
【背景技術】
【0002】
上記の物品収納容器は、物品の大きさ、種類、組み合わせ等に応じて複数の物品を分類して収納するための容器である。この物品収納容器は、物品収納容器における収納空間を仕切体にて複数の区画に分割して各区画に物品を振り分けて収納する分割使用状態で使用される場合と、当該物品収納容器における収納空間を複数の区画に分割せずにそのまま一つの収納空間に物品を収納する一体使用状態とで使用される場合とがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、分割使用状態の物品収納容器では、例えば、複数種類の物品を振り分けて収納できるので、複数の物品収納容器を保管可能な保管棚において、一体使用状態の物品収納容器だけでなく、分割使用状態の物品収納容器も保管することで、できるだけ多くの種類の物品を振り分けて保管することが可能である。
【0004】
そして、物品収納容器の容器本体の例えば側壁等に収納空間識別体や複数の区画識別体が備えられており、一体使用状態における収納空間や、分割使用状態における区画の夫々を識別することができるようになっている。例えば、複数の物品収納容器を用いて物品を保管する物品保管設備では、一体使用状態の物品収納容器と分割使用状態の収納容器とが混在して使用されることになるが、収納空間識別体や区画識別体により一体使用状態における収納空間や、分割使用状態における区画の夫々を識別することで、物品収納容器の収納空間や各区間に収納される物品を、収納空間や区画に対応して管理することが可能となっている。
【0005】
従来では、特許文献1に記載されているように、容器本体に備えさせる収納空間識別体及び区画識別体を物品収納容器の使用状態によって対応するものを選択して取り付けるようにしている。すなわち、仕切体を装着しない一体使用状態では、一つの収納空間識別体(特許文献1の図1におけるカードホルダー9)を取り付け、仕切体を装着する分割使用状態では、複数の区画識別体(特許文献1の図1におけるカードホルダー5・6)の夫々をそれらが識別する各区画に対応した位置に取り付けるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭62−11728号公報(第2ページ及び第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来では、物品収納容器を一体使用状態から分割使用状態に使用状態を切り換える場合や、逆に、分割使用状態から一体使用状態に使用状態を切り換える場合には、作業者は、仕切体の着脱作業に加えて、容器本体に収納空間識別体及び区画識別体を物品収納容器の使用状態によって対応するものを選択して取り付ける交換作業が必要である。そのため、例えば、一体使用状態となっている物品収納容器の容器本体に仕切体を装着して分割使用状態に切り換えようとした場合に、収納空間識別体が区画識別体に交換されずに誤って収納空間識別体が取り付けられたままになったり、区画識別体及び収納空間識別体のいずれもが取り付けられていない状態となったりする作業者の作業ミスが発生するおそれがあった。
【0008】
また、物品収納容器の使用状態を分割使用状態と一体使用状態とに切り換える場合に、仕切体の着脱作業と識別体の交換作業との二つの作業が発生するため、切り換え作業が面倒なものであり作業効率の点で改善の余地があった。
【0009】
本発明は上記実情に鑑みて為されたものであって、その目的は、使用状態の切り換え作業を効率良く確実に行うことができる物品収納容器を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的を達成するために、本発明に係る物品収納容器の第1特徴構成は、物品を収納する収納空間を複数の区画に分割する仕切体が着脱自在に備えられ、前記仕切体を装着した分割使用状態と前記仕切体を装着しない一体使用状態とに切り換え自在に構成され、前記一体使用状態における前記収納空間を識別する収納空間識別体及び前記分割使用状態における前記区画の夫々を識別する複数の区画識別体が備えられた物品収納容器において、
前記収納空間識別体が容器本体に取り付けられ、前記区画識別体が、前記分割使用状態で識別作用可能となる状態で前記仕切体に一体的に取り付けられ、前記仕切体が、前記分割使用状態で前記収納空間識別体を識別作用不可能となる状態で覆うカバー部を備えて構成されている点にある。
【0011】
本特徴構成によれば、一体使用状態から分割使用状態に切り換える場合、仕切体を装着する作業だけで、仕切体に一体的に設けられたカバー部が収納空間識別体を覆う状態として収納空間識別体を識別作用不可能とし、区画識別体を識別作用可能とすることができるので、仕切体を装着する作業の他は、収納空間識別体を区画識別体に交換する等の作業が不要である。識別作用可能な状態とは、例えば、作業者の視認により識別できる状態であり、識別作用不可能な状態とは、例えば、作業者の視認により識別できない状態である。
【0012】
同様に、分割使用状態から一体使用状態に切り換える場合、仕切体を離脱する作業だけで、仕切体に一体的に設けられたカバー部が収納空間識別体を覆わない状態として収納空間識別体を識別作用可能とすることができるので、仕切体を装着する作業の他は、区画識別体を収納空間識別体に交換する等の作業が不要である。したがって、物品収納容器の使用状態を効率よく切り換えることができる。
【0013】
また、物品収納容器を仕切体が装着されない一体使用状態で使用する場合は、容器本体に取り付けられている収納空間識別体が識別作用可能となっている。また、区画識別体は、分割使用状態で識別作用可能となる状態で仕切体に一体的に取り付けられているので、容器本体に仕切体が装着されない一体使用状態では区画識別体が物品収納容器に備えられることはない。これにより、一体使用状態において区画識別体が識別作用することはない。一方、物品収納容器を分割使用状態で使用する場合は、仕切体を装着するので、仕切体が備えるカバー部により収納空間識別体は識別作用不可能となる状態で覆われる。これにより、分割使用状態において収納空間識別体が識別作用することはない。つまり、仕切体を容器本体に装着しない一体使用状態では、収納空間識別体だけが識別作用可能となり、仕切体を容器本体に装着する分割使用状態では、区画識別体だけが識別作用可能となる。このように、物品収納容器の使用状態を切り換えるべく、仕切体を着脱させることで、必然的に使用状態に応じた識別体だけが識別作用可能となる。したがって、使用状態の切り換え作業を確実に行うことができる。
【0014】
このように、使用状態の切り換え作業を効率良く確実に行うことができる物品収納容器を得るに至った。
【0015】
本発明に係る物品収納容器の第2特徴構成は、前記容器本体が、上面が開口した直方体状に構成され、前記収納空間識別体が、前記容器本体の側壁部の上端面に取り付けられ、前記仕切体が、前記収納空間を水平方向で複数の前記区画に分割するように構成され、かつ、前記カバー部として、前記分割使用状態において、前記収納空間識別体が取り付けられた前記側壁部の上端面を覆う水平面部分を備えて構成され、前記区画識別体が、前記水平面部分の上面に取り付けられている点にある。
【0016】
本特徴構成によれば、収納空間識別体は上面が開口した直方体状に構成された容器本体の側壁部の上端面に取り付けられているので、収納空間識別体は、一体使用状態において作業者が収納対象の物品を出し入れする容器本体の上方空間に向くことになる。したがって、収納空間識別体についての識別情報を、例えば、識別情報が視認可能な文字で表示されていれば目視で、また、識別情報がバーコードで表示されていればバーコードリーダー等で読み取る場合に、読み取り作業が行い易い。
【0017】
仕切体は、収納空間を水平方向で複数の区画に分割するように構成されているので、分割使用状態においても一体使用状態における場合と同様に、作業者は容器本体の上方空間を利用しながら収納対象の物品を出し入れすることになる。そして、仕切体は、カバー部として、分割使用状態において、収納空間識別体が取り付けられた側壁部の上端面を覆う水平面部分を備えており、この水平面部分の上面に区画識別体が取り付けられているので、区画識別体は容器本体の上方空間を向くことになる。したがって、分割使用状態において、区画識別体についての識別情報を、例えば、識別情報が視認可能な文字で表示されていれば目視で、また、識別情報がバーコードで表示されていればバーコードリーダー等で読み取る場合に、読み取り作業が行い易い。
【0018】
このように、一体使用状態における収納空間識別体及び分割使用状態における区画識別体のいずれについても、これらの識別情報の読み取り作業が行い易くなる。
【0019】
本発明に係る物品収納容器の第3特徴構成は、前記側壁部の上端に、前記分割使用状態において前記水平面部分が嵌入する凹部が形成され、前記凹部は、前記水平面部分が嵌入したときに前記水平面部分の上面高さが前記側壁部の上端面の高さ以下になる深さに形成されている点にある。
【0020】
物品収納容器の容器本体は、従来から複数個を段積みできるように、側壁部の上端面の高さが揃うように形成されている。仕切体が、側壁部の上端面を覆う水平面部分を備えて構成される場合、仕切体を容器本体に装着すると、水平面部分の上面高さが、側壁部の上端面の高さよりも、水平面部分の厚み分だけ高くなる状態で、水平面部分の上面高さと側壁部の上端面の高さとが不揃いになってしまう。その結果、分割使用状態の物品収納容器を含む複数個の物品収納容器を安定よく段積みできないという不都合が生じ得る。
【0021】
この点、本特徴構成によれば、側壁部の上端に、分割使用状態において水平面部分が嵌入する凹部が形成されているので、仕切体を装着すると、この凹部に水平面部分が嵌入する。そして、凹部は、水平面部分が嵌入したときに水平面部分の上面高さが側壁部の上端面の高さ以下になる深さに形成されているので、凹部に水平面部分が嵌入することで、水平面部分の上面高さが側壁部の上端面より突出する状態となることを防止できる。したがって、分割使用状態の物品収納容器を含む複数個の物品収納容器を段積みしても不安定になり難く、使い勝手のよい物品収納容器となる。
【0022】
本発明に係る物品収納容器の第4特徴構成は、
直方体状の前記容器本体の側壁部のうち、前記収納空間識別体が取り付けられている識別体取付用側壁部にのみ前記凹部が形成され、
前記仕切体は、前記分割使用状態において前記識別体取付用側壁部に沿って隣接配置自在な一枚の支持用縦板とこれに垂直に接続され前記収納空間を複数の前記区画に分割する仕切縦板とを備えて構成され、
前記支持用縦板の上端にのみ前記水平面部分が形成されている点にある。
【0023】
本特徴構成によれば、容器本体の凹部と仕切体の水平面部分が、夫々一つずつしか設けられていないので、仕切体を容器本体に装着する場合に、識別体取付用側壁部に形成された凹部に支持用縦板の上端に形成された水平面部分が嵌入するように装着することで、仕切体は、支持用縦板が識別体取付用側壁部に沿って隣接配置される向きで装着されることになる。これにより、支持用縦板の上端にのみ形成された水平面部分により、識別体取付用側壁部の上端面が覆われて、識別体取付用側壁部の上端面に取り付けられている収納空間識別体が識別作用不可能な状態となる。このように、作業者が仕切体を容器本体に装着する場合に、容器本体の側壁部に形成された凹部に仕切体の水平面部分が嵌入するように装着することで、仕切体は容器本体に対して収納空間識別体が識別作用不可能となるような決まった向きにて装着されることになるので、容器本体に対して仕切体が不適切な向きで装着される誤作業が極力防止される。
【0024】
そして、例えば、識別体取付用側壁部に対向する壁部の上端面が仕切体の水平面部分にて覆われる向きなどのように、仕切体が容器本体に対して誤った向きで装着されると、分割使用状態において、収納空間識別体が識別作用可能な状態のまま、仕切体における区画識別体が識別作用可能な状態となり、分割使用状態において収納空間識別体の識別情報が謝って読み取られるおそれがある。この点、本特徴構成によれば、容器本体に対して仕切体が不適切な向きで装着される誤作業が極力防止されるので、分割使用状態において収納空間識別体は確実に仕切体の水平面部分で覆われることになり、一体使用状態の物品収納容器を分割使用状態に切り換える作業が適確に行われる。
【0025】
本発明に係る物品収納容器の第5特徴構成は、前記収納空間識別体が、前記収納空間を識別するための識別情報が記録されたバーコードを備えて構成され、前記区画識別体が、前記区画を識別するための識別情報が記録されたバーコードを備えて構成されている点にある。
【0026】
本特徴構成によれば、収納空間を識別するための識別情報や区画を識別するための識別情報がバーコードに記録されるので、バーコードリーダー及びコンピュータを利用した識別情報の読み取り・管理が可能となり、使い勝手がよい。また、収納空間識別体におけるバーコードを仕切体のカバー部にて覆うことで識別作用不可能な状態とすることができる。なお、この場合、識別作用可能な状態とは、バーコードに記録された識別情報をバーコードリーダーにて読み取ることができる状態であり、識別作用不可能な状態とは、バーコードに記録された識別情報をバーコードリーダーにて読み取ることができない状態である。
【0027】
本発明に係る物品収納容器の第6特徴構成は、前記収納空間識別体が、前記収納空間を識別するための識別情報が記録されたIDタグを備えて構成され、前記区画識別体が、前記区画を識別するための識別情報が記録されたIDタグを備えて構成され、前記カバー部が、導電性の金属にて構成されている点にある。
【0028】
本特徴構成によれば、収納空間を識別するための識別情報や区画を識別するための識別情報がIDタグに記録されるので、IDタグリーダー及びコンピュータを利用した識別情報の読み取り・管理が可能となり、使い勝手がよい。また、仕切体のカバー部が導電性の金属にて構成されているので、収納空間識別体におけるIDタグを仕切体のカバー部にて覆うことで、IDタグリーダーによる読み取り用の電磁波が遮蔽されて、収納空間識別体を識別作用不可能な状態とすることができる。
【0029】
本発明に係る物品保管設備の第1特徴構成は、第5又は第6特徴構成における物品収納容器を複数保管する保管棚を備えた物品保管設備において、
前記物品収納容器は、前記収納空間及び前記区画に物品を品種別に収納自在に構成され、前記物品収納容器に、当該物品収納容器を識別する識別情報が記録された容器識別体と、前記容器識別体、前記収納空間識別体及び前記区画識別体に記録された識別情報を読み取る読み取り手段と、前記読み取り手段にて読み取られた識別情報及び物品の品種を識別する物品識別情報に基づいて、前記物品収納容器における前記収納空間及び前記区画の夫々を特定して、前記収納空間及び前記区画の夫々に収納されている物品の品種及び数量を、当該収納空間及び当該区画と関連付けて管理する管理手段とが設けられている点にある。
【0030】
本特徴構成によれば、一体使用状態の物品収納容器や分割使用状態の物品収納容器を保管棚に保管する場合に、読み取り手段にて、容器識別体、収納空間識別体及び区画識別体に記録された識別情報を読み取って、これらの識別情報に基づいて、管理手段にて、物品収納容器の収納空間及び区画の夫々を特定して、保管棚に保管される物品収納容器の夫々における収納空間及び区画の夫々に収納されている物品の品種及び数量を管理することができる。
【0031】
そして、物品収納容器は、使用状態の切り換え作業を確実に行うことができるものであるから、読み取り手段にて読み取られる識別情報は、物品収納容器の実際の使用状態を正確に反映した識別情報となっている。したがって、これらの識別情報に基づいて管理することで各物品収納容器の収納空間や区画に収納されている物品の品種及び数量を精度良く管理することができる。
【0032】
本発明に係る物品保管設備の第2特徴構成は、前記容器本体が、上面が開口した直方体状に構成され、前記収納空間識別体が、前記容器本体の側壁部のうちの識別体取付用側壁部における上端面に取り付けられ、前記仕切体が、前記カバー部として、前記分割使用状態において、前記識別体取付用側壁部の上端面を覆う水平面部分を備えて構成され、前記区画識別体が、前記水平面部分の上面に取り付けられ、前記識別体取付用側壁部の外側面に前記容器識別体を取り付けるための取り付け位置が設けられている点にある。
【0033】
本特徴構成によれば、識別体取付用側壁部の外側面に容器識別体を取り付けるための取り付け位置が設けられているので、容器識別体は、識別体取付用側壁部に取り付けられることになる。そして、収納空間識別体は識別体取付用側壁部に取り付けられており、区画識別体は仕切体の識別体取付用側壁部の上端面を覆う水平面部分の上面に取り付けられている。したがって、一体使用状態では、識別体取付用側壁部の上端面に収納空間識別体が、識別体取付用側壁部における取り付け位置に容器識別体が、夫々取り付けられることになる。また、分割使用状態では、識別体取付用側壁部の上端面を覆う仕切体の水平面部分に区画識別体が、識別体取付用側壁部における取り付け位置に容器識別体が、夫々取り付けられることになる。
【0034】
つまり、一体使用状態であっても、分割使用状態であっても、ともに、識別体取付用側壁部における取り付け位置及び識別体取付用側壁部の上端面箇所に取り付けられた識別体に対して読み取り作業を行えばよいので、一体使用状態において容器識別体及び収納空間識別体の識別情報を読み取る際、並びに、分割使用状態において容器識別体及び区画識別体の識別情報を読み取る際の読み取り作業が行ない易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】容器本体の斜視図
【図2】仕切体の斜視図
【図3】分割使用状態における物品収納容器の斜視図
【図4】分割使用状態における段積み状態の正面図
【図5】物品保管設備の全体平面図
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明に係る物品収納容器及び物品保管設備の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔物品収納容器〕
図1〜図3に示すように、物品収納容器10は容器本体としてのプラスチック樹脂製のコンテナ10aと仕切体4とを備えている。図1に示すように、コンテナ10aは、上面が開口した直方体状に構成され、4つの側壁部12を備えており、底面3と側壁部12とで、物品を収納する収納空間Zが形成されている。仕切体4は、コンテナ10aに対して着脱自在となっており、物品収納容器10は、コンテナ10aに仕切体4が装着されず、収納空間Zが区切られていない一体使用状態(図1参照)と、コンテナ10aに仕切体4が装着されて、収納空間Zが複数の区画Kに区画された分割使用状態(図3参照)とに切り換え自在に構成されている。
【0037】
コンテナ10aの側壁部12のうちの、長手方向の側壁12の一つである識別体取付用側壁部12aには、粘着シールにて構成された収納空間識別ラベル7(収納空間識別体の一例)が取り付けられている。識別体取付用側壁部12aの上端部12tには、分割使用状態において仕切体4における水平面部分14が嵌入する凹部15が形成されており、収納空間識別ラベル7は、凹部15の上端面に貼り付けられている。
【0038】
各側壁部12の収納空間外方側には補強用のリブ9が縦横に形成されている。前記識別体取付用側壁部12aの外側面には、左右方向に沿う一対のリブ9と上下方向に沿う一対のリブ9とで囲まれる領域Pが形成されている。そして、この領域Pは、容器識別ラベル6(容器識別体の一例)の面積より広くなっており、容器識別ラベル6を周辺のリブに干渉することなく貼り付けることができるようになっている。すなわち、この領域Pは、容器識別ラベル6を取り付けるための取り付け位置Pとして機能しており、識別体取付用側壁部12aの外側面に容器識別ラベル6を取り付けるための取り付け位置Pが設けられている。
【0039】
図2に示すように、仕切体4は、装着状態で収納空間Zを2つの区画Kに区切る二分割用仕切体4W(図2(a)参照。)と、装着状態で収納空間Zを3つの区画Kに区切る三分割用仕切体4T(図2(b)参照。)とが用意されている。
【0040】
各仕切体4は、分割使用状態において識別体取付用側壁部12aに沿って隣接配置自在な1枚の支持用縦板5sとこれに垂直に接続され収納空間Zを複数の区画Kに分割する仕切縦板5tとを備えている。支持用縦板5sの長さは、識別体取付用側壁部12aの略全長に亘る長さとなっている。二分割用仕切体4Wは、1枚の支持用縦板5sと1枚の仕切縦板5tとを備え、三分割用仕切体4Tは、1枚の支持用縦板5sと2枚の仕切縦板5tとを備えている。これにより、図3に示すように、二分割用仕切体4Wは、コンテナ10aに装着した分割使用状態において、収納空間Zを水平方向で二つの区画Kに分割することができるようになっており、また、三分割用仕切体4Tは、コンテナ10aに装着した分割使用状態において、収納空間Zを水平方向で三つの区画Kに分割することができるようになっている。
【0041】
仕切体の支持用縦板5sの上端部には、コンテナ10aに装着したときの容器外側方向に折り曲げ加工されたカバー部11としての水平面部分14が形成されている。分割使用状態では、この水平面部分14が収納空間識別ラベル7が取り付けられた識別体取付用側壁部12aの上端面を、識別体取付用側壁部12aの横幅方向全体に亘って覆うことで、収納空間識別ラベル7が水平面部分14に覆われ、収納空間識別ラベル7は識別作用不可能となる状態になる。つまり、仕切体4が、分割使用状態で収納空間識別ラベル7を識別作用不可能となる状態で覆うカバー部11を備え、分割使用状態において識別体取付用側壁部12aに隣接配置自在な一枚の支持用縦板5sの上端にのみ、水平面部分14が形成されている。
【0042】
水平面部分14の上面には、区画識別ラベル8(区画識別体の一例)が取り付けられている。このように、区画識別ラベル8は、分割使用状態で識別作用可能となる状態で仕切体4に一体的に取り付けられている。二分割用仕切体4Wの水平面部分14の上面には2つの区画Kの夫々に対応した識別情報を備えた区画識別ラベル8が、分割使用状態における各区画Kの位置に対応して2つ設けられており、三分割用仕切体4Tの水平面部分14の上面には3つの区画Kの夫々に対応した識別情報を備えた区画識別ラベル8が、分割使用状態における各区画Kの位置に対応して3つ設けられている。
【0043】
上記二分割用仕切体4Wや三分割用仕切体4Tをコンテナ10aに装着すると、図3に示すように、仕切体4における水平面部分14により収納空間識別ラベル7が覆われて、収納空間識別ラベル7は視認できない状態となり、収納空間識別ラベル7に代わって、複数の区画識別ラベル8が視認できる状態となる。
【0044】
図4に示すように、識別体取付用側壁部12aに形成された凹部15は、仕切体4の水平面部分14が嵌入したときに水平面部分14の上面高さH1が、側壁部12の上端面の高さH2以下になる深さに形成されている。これにより、図4に示すように、物品収納容器10を段積み状態にしたときに、仕切体4を装着した分割使用状態であっても、上段の物品収納容器10の底面3における下面の外周が、下段の物品収納容器10の側壁部12の上端に当接した状態となる。したがって、上段の物品収納容器10の底面の一辺だけが水平面部分14に乗り上げる状態となって下段の物品収納容器10に対して上段の物品収納容器10が傾斜する不都合が生じないようになっている。
【0045】
容器識別ラベル6、収納空間識別ラベル7及び区画識別ラベル8には、バーコード13が印刷されている。容器識別ラベル6のバーコード13には、複数のコンテナ10aの夫々に固有のID番号である数値情報が記録されている。収納空間識別ラベル7のバーコード13には、物品を収納する空間が一体使用状態における収納空間Zであることを示す収納空間判別情報である数値情報が記録されている。区画識別ラベル8のバーコード13には、物品を収納する空間が、分割使用状態における区画Kのうち物品収納容器10における複数の区画Kのうちいずれの区画Kであるかを示す区画位置判別情報である数値情報が記録されている。このように、収納空間識別ラベル7は、収納空間Zを識別するための識別情報が記録されたバーコード13を備えて構成され、区画識別ラベル8が、区画Kを識別するための識別情報が記録されたバーコード13を備えて構成されている。
【0046】
上記物品収納容器10に比較的大きい品種の物品を収納するときは、コンテナ10aに仕切体4を装着せずに一体使用状態で使用することで、収納空間Zに当該品種の物品を複数個収納できる。上記物品収納容器10に比較的小さな物品を収納するときは、コンテナ10aに二分割用仕切体4W、または、三分割用仕切体4Tを装着することで、分割使用状態で使用し、二分割用仕切体4Wを装着した場合は、第1の区画Kと第2の区画Kに異なる品種の物品を収納することができ、三分割用仕切体4Tを装着した場合は、第1の区画Kと第2の区画Kと第3の区画Kの夫々に異なる品種の物品を収納することができる。
【0047】
コンテナ10aの容器識別ラベル6のバーコード13及び収納空間識別ラベル7のバーコード13に記録されている数値情報をバーコードリーダーにて読み取って、これらの数値情報を組み合わせることで、ある品種が収納されている収納区間Zを特定することができる。また、コンテナ10aの容器識別ラベル6のバーコード13及び区画識別ラベル8のバーコード13に記録されている数値情報をバーコードリーダーにて読み取って、これらの数値情報を組み合わせることで、ある品種が収納されている収納区間Zを特定することができる。これにより、収納空間Zや区画Kの夫々にどの品種の物品が収納されているか管理することができる。
【0048】
そして、本実施形態における物品収納容器10の収納空間識別ラベル7および区画識別ラベル8は、仕切体4が装着されない一体使用状態であれば収納空間識別ラベル7だけが識別作用可能な状態であり、仕切体4が装着される分割使用状態であれば区画識別ラベル8だけが識別作用可能な状態であるから、バーコードリーダーにて、容器識別ラベル6のバーコード13に記録されたID番号を読み取って、このID番号と組み合わせる対象である収納空間識別ラベル7および区画識別ラベル8のバーコード13の数値情報を読み取る場合において、実際の使用状態と異なる使用状態についての識別ラベルを誤って読み取ってしまうおそれがない。したがって、実際の使用状態を示す識別ラベルについての数値情報を的確に読み取って、物品収納容器10の収納空間Z及び区画Kを的確に識別して管理することができる。
【0049】
また、仕切体4は容器本体10aに対して適正な一定の向きに装着されるので、分割使用状態において仕切体4における各区画識別ラベル8は、容器本体10aの決まった位置に位置することになる。したがって、例えば、二分割用仕切体4Wであれば、二つの区画識別ラベル8の夫々は、分割使用状態における区画Kについて収納容器における識別体取付用側壁部12aを基準とした左右の位置を正しく識別するものとなる。
【0050】
〔物品保管設備〕
次に、上記物品収納容器10を複数保管する保管棚23を備えた物品保管設備1について説明する。図5に示すように、物品保管設備は、物品収納容器10を保管自在な保管部2を縦横に複数の設けた保管棚23が一対設けられ、これらの保管棚23の間に走行自在に設けられたスタッカークレーン20を備えている。スタッカークレーン20の走行経路の一方側の端部に、出庫コンベヤ17、入庫コンベヤ18、及び作業コンベヤ19がコの字状を形成するように配設されている。なお、スタッカークレーン20としては、互いに接近離間自在でかつ移載方向に出退自在な一対の把持部材を備えたサイドクランプ式又は一対の把持部材に搬送用回転ベルトを備えたベルトクランプ式の移載装置を備えたものが好ましい。
【0051】
コの字状に配設されたコンベヤ群17・18・19の内側には、スタッカークレーン20の入出庫作動、並びに、出庫コンベヤ17、及び、入庫コンベヤ18の搬送作動を制御するマイクロコンピュータ利用のコントローラCが設けられている。なお、作業コンベヤ19はフリーローラーコンベヤである。
【0052】
コントローラCは、作業用ディスプレイ21の表示動作の制御や入力された作業情報を管理するよう構成されている。作業用ディスプレイ21は、コの字状に配設されたコンベヤ群17・18・19の外側で作業コンベヤ19の正面付近に位置する作業エリアに隣接する場所に設けられており、ハンディータイプのバーコードリーダー16(読み取り手段の一例)が接続ケーブル24にて接続されている。
【0053】
作業エリアを挟んで作業コンベヤ19の反対側には、仕切体4を保管するための仕切体保管棚22が設けられている。仕切体保管棚22には、二分割用仕切体4Tや三分割用仕切体4Wが夫々複数個保管されており、作業エリアで作業をする作業者Wが入庫作業を行うときに必要に応じて仕切体4を取り出して、コンテナ10aに装着する。また、作業エリアで作業者Wが出庫作業を行うときに空になった物品収納容器10aから離脱させた仕切体4を仕切体保管棚22に収納する。
【0054】
入庫作業は、作業コンベヤ19に載置支持された物品収納容器10に各種の物品を品種別に収納し、かつ、収納した物品についての入庫情報を登録する作業である。入庫作業は、入庫作業指示書に基づいて行われる。入庫作業指示書には、入庫対象の物品名・物品ID・数量・コンテナ10aの使用状態が指定されている。すなわち、作業者Wは、コンテナ10aを入庫作業指示書にて指定された使用状態にして、入庫作業指示書にて指定された品種の物品を指定された個数だけ、コンテナ10aの収納空間Z又は区画Kに投入する。
【0055】
入庫作業指示書にて、一体使用状態の物品収納容器10における収納空間Zに入庫対象の物品を投入すべき指示があれば、作業者Wは、空状態のコンテナ10aにおける収納空間Zにそのまま指定された物品を投入する。入庫作業指示書にて、分割使用状態の物品収納容器10における区画Kに入庫対象の物品を投入すべき指示があれば、作業者Wは、二分割用仕切体4W及び三分割用仕切体4Tのうち、入庫作業指示書にて指定された区画を形成しうる仕切体4を仕切体保管棚22から取り出して、空状態のコンテナ10aにその仕切体4を装着して、当該指定された区画Kに指定された物品を投入する。作業者Wは、物品が投入された物品収納容器10を入庫コンベヤ19まで送り出す。
【0056】
なお、空状態のコンテナ10aは、例えば、保管棚23に、空状態のコンテナ10aを仕切体4を装着していない一体使用状態にて保管しておき、作業コンベヤ19まで空状態のコンテナ10aを回送させるコンテナ回送指令を指令可能な回送指令ボタンを設けて、作業者Wが必要に応じて回送指令ボタンにてコンテナ回送指令を指令操作して、空状態のコンテナ10aを作業コンベヤ19まで回送させてもよいし、また、作業者Wの作業エリアの周辺に空状態のコンテナ10aを段積み状態で保管しておき、必要に応じて作業者が手作業で作業コンベヤ19上に空状態のコンテナ10aをセットするようにしてもよい。
【0057】
作業者Wが物品を一体使用状態の収納空間Zに投入した場合は、バーコードリーダー16を用いて、当該物品投入対象の収納空間Zについてのコンテナ10aに取り付けられた容器識別ラベル6及び収納空間識別ラベル7のバーコード13を読み取って、当該品種の物品についての入庫作業指示書に記載された品番(物品識別情報の一例)及び投入個数を図外の数値入力キーにて入力操作し、当該品種の物品についての投入の完了を指令する図外の投入完了ボタンを押し操作する。
【0058】
作業者Wがバーコードリーダー16にて容器識別ラベル6、及び、収納空間識別ラベル7のバーコード13を読み取る際、何れのバーコード13も識別体取付用側壁部12aに取り付けられているので、集約された領域内でバーコードリーダー16を読み取り操作すれば済むので、読み取り作業が行いやすい。また、一体使用状態の収納空間識別ラベル7のバーコード13を読み取る場合、区画識別ラベル8が一体的に取り付けられた仕切体4はコンテナ10aから離脱されているので、誤って区画識別ラベル8のバーコード13を読み取ってしまうおそれがない。
【0059】
作業者Wが物品を分割使用状態の区画Kに投入した場合は、バーコードリーダー16を用いて、当該物品投入対象の区画Kについてのコンテナ10aに取り付けられた容器識別ラベル6、及び、複数の区画識別ラベル8のうち当該物品投入対象の区画Kについてのバーコード13を読み取って、当該品種の物品についての入庫作業指示書に記載された品番及び投入個数を図外の数値入力キーにて入力操作し、当該品種の物品についての投入完了を指令する図外の投入完了ボタンを押し操作する。
【0060】
作業者Wがバーコードリーダー16にて容器識別ラベル6、及び、区画識別ラベル8のバーコード13を読み取る際、容器識別ラベル6のバーコード13は識別体取付用側壁部12aに、また、区画識別ラベル8のバーコード13は識別体取付用側壁部12aの上面を覆う仕切体4における水平面部分14に取り付けられているので、作業者Wがバーコードリーダー16にて容器識別ラベル6、及び、収納空間識別ラベル7のバーコード13を読み取る際と同様に、集約された領域内でバーコードリーダー16を読み取り操作すれば済むので、読み取り作業が行いやすい。また、分割使用状態の区画識別ラベル8のバーコード13を読み取る場合、収納空間識別ラベル7は、区画識別ラベル8が一体的に取り付けられている仕切体4における水平面部分14にて覆われて、収納空間識別ラベル7は識別作用不可能な状態となっているので、誤って収納空間識別ラベル7のバーコード13を読み取ってしまうおそれがない。
【0061】
作業者Wにより投入完了ボタンが押し操作されると、バーコードリーダー16にて読み取られたコンテナ10aのID番号と、収納空間Z及び複数の区画Kのうちから何れかを特定する識別情報としての数値情報と、数値入力キーにて入力された当該品種の物品についての品番と、投入個数とが、関連付けられた状態でコントローラCの記憶部に在庫情報として記憶される。
【0062】
そして、作業者Wにより投入完了ボタンが押し操作されると、コントローラCにより、入庫コンベヤ18の搬送作動と、スタッカークレーン20の入庫作動とが制御されることで、入庫対象の物品収納容器10が保管棚23の空き保管部2に入庫される。複数の空き保管部2のうちから割り付けられた入庫先の保管部2の位置情報は、上述の在庫情報に付加され、当該物品収納容器10についての在庫情報が完成する。
【0063】
上述した入庫作業指示書に基づく入庫作業が繰り返し行われることで複数の物品収納容器10についての在庫情報が蓄積され、物品保管設備1にて保管する物品の在庫データベースが構成される。コントローラCは、在庫データベースを用いて、物品収納容器10における収納空間Z及び区画Kの夫々に収納されている物品の品種及び数量を管理する。すなわち、コントローラCは本願の管理手段として機能している。
【0064】
次に出庫作業について説明する。出庫作業は、作業用ディスプレイ21に表示される出庫作業指示に基づいて行われる。作業用ディスプレイ21に表示される出庫作業指示情報は、出庫対象の物品の品種及び数量を、当該出庫対象の物品が収納されている物品収納容器10における保管態様(一体使用状態・二分割使用状態・三分割使用状態)を平面視による模式図に示しながら、その模式図における収納空間Zや区画Kを強調表示(例えば、反転表示や点滅表示)させた映像情報にて構成されている。なお、出庫作業指示情報として、上記映像情報に合わせて、実際の品種を表わす文字情報を補助的に表示させてもよい。
【0065】
作業者Wが、図外の出庫作業開始ボタン等の出庫作業開始指令手段にて出庫作業の開始を指令操作すると、作業用ディスプレイ21に出庫対象の品種の物品についての出庫指示情報が表示されるとともに、在庫データベースに基づいて、出庫対象の品種の物品が収納されている物品収納容器10が作業コンベヤ19まで搬出される。
【0066】
出庫対象の品種の物品が一体使用状態の物品収納容器10における収納空間Zに収納されている場合は、作業用ディスプレイ21に模式的に表示される一体使用状態のコンテナ容器10aの全体が強調表示され、表示されているコンテナ容器10aの中央箇所に取り出し個数が表示される。物品の取り出しに先立って、作業者Wは、バーコードリーダー16を用いて、当該物品取り出し対象の収納空間Zについてのコンテナ10aに取り付けられた容器識別ラベル6及び収納空間識別ラベル7のバーコード13を読み取って、コントローラCにて、実際に作業コンベヤ19に搬出されてきた物品収納容器10についての容器識別ラベル6及び収納空間識別ラベル7に基づいて在庫データベースから取得した物品の品種と、出庫指示情報に基づく物品の品種とを照合する。
【0067】
万が一、両者が一致しない場合、作業用ディスプレイ21に異常用表示を表示させたり、アラームなどを鳴動させたり等、異常の発生を通報する警報手段を作動させ、当該コンテナ10aから物品が取り出されないように作業者Wの取り出し作業を阻止する。
【0068】
両者が一致した場合、作業用ディスプレイ21に表示された内容に基づいて、作業コンベヤ19に搬出された物品収納容器10から、作業用ディスプレイ21に表示されている如く、一体使用状態における収納空間Zから、指定された個数の物品を取り出す。取り出し対象物品の全数の取り出しが完了した時点で、当該品種の物品についての取り出しの完了を指令する図外の取り出し完了ボタンを押し操作する。
【0069】
作業者Wがバーコードリーダー16にて容器識別ラベル6、及び、収納空間識別ラベル7のバーコード13を読み取る際、何れのバーコード13も識別体取付用側壁部12aに取り付けられているので、集約された領域内でバーコードリーダー16を読み取り操作すれば済むので、読み取り作業が行いやすい。また、一体使用状態の収納空間識別ラベル7のバーコード13を読み取る場合、区画識別ラベル8が一体的に取り付けられた仕切体4はコンテナ10aから離脱されているので、誤って区画識別ラベル8のバーコード13を読み取ってしまうおそれがない。
【0070】
出庫対象の品種の物品が分割使用状態の物品収納容器10における区画Kに収納されている場合は、作業用ディスプレイ21に模式的に表示される分割使用状態のコンテナ容器10aの複数の区画Kのうち取り出し対象の品種の物品が収納されている区画Kだけが強調表示され、当該区画Kの中央箇所に取り出し個数が表示される。物品の取り出しに先立って、作業者Wは、バーコードリーダー16を用いて、当該物品取り出し対象の区画Kについてのコンテナ10aに取り付けられた容器識別ラベル6及び当該区画7に対応して取り付けられた区画識別ラベル8のバーコード13を読み取って、コントローラCにて、実際に作業コンベヤ19に搬出されてきた物品収納容器10についての容器識別ラベル6及び区画識別ラベル7に基づいて在庫データベースから取得した物品の品種と、出庫指示情報に基づく物品の品種とを照合する。
【0071】
万が一、両者が一致しない場合、作業用ディスプレイ21に異常用表示を表示させたり、アラームなどを鳴動させたり等、異常の発生を通報する警報手段を作動させ、当該コンテナ10aから物品が取り出されないように作業者Wの取り出し作業を阻止する。
【0072】
両者が一致した合、作業用ディスプレイ21に表示された内容に基づいて、作業コンベヤ19に搬出された物品収納容器10から、作業用ディスプレイ21に表示されている如く、分割使用状態における区画Kから、指定された個数の物品を取り出す。取り出し対象物品の全数の取り出しが完了した時点で、当該物品収納容器10を入庫コンベヤ18に送り出して、当該品種の物品についての取り出しの完了を指令する図外の取り出し完了ボタンを押し操作する。
【0073】
作業者Wがバーコードリーダー16にて容器識別ラベル6、及び、区画識別ラベル8のバーコード13を読み取る際、容器識別ラベル6のバーコード13は識別体取付用側壁部12aに、また、区画識別ラベル8のバーコード13は識別体取付用側壁部12aの上面を覆う仕切体4における水平面部分14に取り付けられているので、作業者Wがバーコードリーダー16にて容器識別ラベル6、及び、収納空間識別ラベル7のバーコード13を読み取る際と同様に、集約された領域内でバーコードリーダー16を読み取り操作すれば済むので、読み取り作業が行いやすい。また、分割使用状態の区画識別ラベル8のバーコード13を読み取る場合、収納空間識別ラベル7は、区画識別ラベル8が一体的に取り付けられている仕切体4における水平面部分14にて覆われて、収納空間識別ラベル7は識別作用不可能な状態となっているので、誤って収納空間識別ラベル7のバーコード13を読み取ってしまうおそれがない。
【0074】
出庫対象の品種の物品が分割使用状態の物品収納容器10における区画Kに収納されている場合の一例として、出庫対象の品種の物品が三分割使用状態の物品収納容器10における3つの区画Kのうち識別体取付用側壁部12aを正面として正面に向かって右側の区画Kに収納されているものであると、図5に示すように、作業用ディスプレイ21に模式的に表示される分割使用状態のコンテナ容器10aの複数の区画Kのうち取り出し対象の品種の物品が収納されている区画Kである画面右側の区画Kだけが強調表示され、その強調表示される区画Kの中央箇所に取り出し個数(図5の例では「15」個)が表示される。
【0075】
このように、出庫作業では、作業者Wは、作業用ディスプレイ21に模式的に表示される物品収納容器10を見ながら、取り出し対象の品種の物品が収納されている区画Kや収納空間Zを把握するので、取り出し対象の品種の物品についての品名や商品管理番号を目視して行うより取り出し対象の物品を、他の区画Kや収納空間Zに収納されている物品と取り違えるおそれが少なく、確実な出庫作業が行える。また、作業者は品名等を読む必要がないので、例えば、外国人作業者のように、文字が読めない作業者でも確実に作業を行うことができる。
【0076】
取り出し完了ボタンの押し操作により、入庫コンベヤ18及びスタッカークレーン20が作動し、物品収納容器10は、それが元々保管されていた保管部2に再入庫される。なお、今回の出庫作業で分割使用状態の物品収納容器10における全ての物品が取り出された場合は、作業者Wは、物品収納容器10から仕切体4を離脱させ、その離脱させた仕切体4を仕切体保管棚22に保管する。また、空の一体使用状態の物品収納容器10は、再入庫させずに作業エリア周辺に仮置きしてもよい。
【0077】
〔別の実施形態〕
以下、本発明の別実施形態について説明する。
【0078】
(1)上記実施形態では、仕切体として平面視でT字状及びΠ(パイ)字状のものを例示したが、仕切体としては、縦板5が平面視H状に接続されたものや、平面視でハシゴ状に接続されたものや、平面視で十字状に接続されたものでもよい。また、上記実施形態では、仕切体として、二分割用仕切体4W及び三分割用仕切体4Tのように二種類の仕切体が用意されたものを例示したが、一種類だけ用意されたものであってもよい。
【0079】
(2)上記実施形態では、凹部が識別体取付用側壁部にだけ形成されたものを例示したが、これに限らず、直方体形状における対向する一対の側壁部の夫々に凹部が形成されたものであってもよい。
【0080】
(3)上記実施形態では、入庫作業や出庫作業を行う作業エリアが自動倉庫の端部側の一箇所に設定された小規模な物品保管設備について例示したが、ピック箇所を複数設ける等、物品保管設備の具体的構成は適宜変更可能である。
【0081】
(4)上記実施形態では、収納空間識別体が、収納空間を識別するための識別情報が記録されたバーコードを備えて構成され、区画識別体が、区画を識別するための識別情報が記録されたバーコードを備えて構成されているものを例示したが、これに代えて、収納空間識別体が、収納空間を識別するための識別情報が記録されたIDタグを備えて構成され、区画識別体が、区画を識別するための識別情報が記録されたIDタグを備えて構成されているものであってもよい。この場合、IDタグとしては小型なパッシブタグを用いることが好ましい。また、分割使用状態で収納空間識別体を識別作用不可能となる状態で覆うカバー部としては、仕切体4を導電性の金属にて構成することが考えられる。取り付けの面で不利となるが、IDタグとしてはアクティブタグを用いることも可能である。この場合、仕切体4として、一体使用状態でアクティブタグに対する電源供給を一時的に遮断する絶縁片などを備えたものであってもよい。
【0082】
(5)上記実施形態では、容器本体が、上面が開口した直方体状に構成されたものを例示したが、これに代えて、例えば、上面が開口した円柱状に構成されたものや、側面が開口した直方体状に構成されたものであってもよい。容器本体を円柱状に構成する場合は、仕切体は、円柱の中心軸から径方向に沿う縦板を中心軸付近で接合して構成することも考えられる。
【0083】
(6)上記実施形態では、側壁部の上端に、分割使用状態において仕切体の水平面部分が嵌入する凹部が形成されものを例示したが、この凹部が形成されていないものであってもよい。
【0084】
(7)上記実施形態では、区画識別体が、仕切体における水平面部分の上面に取り付けられているものを例示したが、これに限らず、区画識別体が、仕切体における他の部分、例えば、上記実施形態における縦板5の仕切縦板5tの表面及び裏面等、に取り付けられているものであってもよい。
【0085】
(8)上記実施形態では、読み取り手段の一例としてのバーコードリーダーがハンディータイプであるものを例示したが、これに代えて、読み取り手段が、識別体を読み取るための読み取り用位置に対応した位置に固定状態で設けられたものであってもよい。読み取り用位置としては、例えば、上記実施形態であれば、コンベヤ群17・18・19の搬送経路のいずれかの位置に設定することが考えられる。これにより、物品収納容器10がコンベヤ群17・18・19にて搬送されるに伴って自動的に容器識別ラベル6、及び、収納空間識別ラベル7又は区画識別ラベル8の識別情報を読み取ることが可能であり、作業者は、識別ラベルの読み取り作業を行わずに済む。なお、読み取り手段を読み取り用位置に対応した位置に固定状態で設ける場合、物品収納容器10の識別体取付用側壁部12aにおける容器識別ラベル6だけに対して読み取り作用可能なバーコードリーダーを設けて、保管棚23から物品収納容器10が出庫されたときに、収納空間識別ラベル7や区画識別ラベル8の識別情報を読み取らないようにしてもよい。
【符号の説明】
【0086】
1 物品保管設備
3 底面
4 仕切体
5s 支持用縦板
5t 仕切縦板
6 容器識別体
7 収納空間識別体
8 区画識別体
10 物品収納容器
10a 容器本体
11 カバー部
12 側壁部
12a 識別体取付用側壁部
12t 上端部
13 バーコード
14 水平面部分
15 凹部
16 読み取り手段
C 管理手段
K 区画
P 取り付け位置
Z 収納空間
H1 分割使用状態における仕切体における水平面部分の高さ
H2 容器本体の側壁部の上端面の高さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を収納する収納空間を複数の区画に分割する仕切体が着脱自在に備えられ、
前記仕切体を装着した分割使用状態と前記仕切体を装着しない一体使用状態とに切り換え自在に構成され、
前記一体使用状態における前記収納空間を識別する収納空間識別体及び前記分割使用状態における前記区画の夫々を識別する複数の区画識別体が備えられた物品収納容器であって、
前記収納空間識別体が容器本体に取り付けられ、
前記区画識別体が、前記分割使用状態で識別作用可能となる状態で前記仕切体に一体的に取り付けられ、
前記仕切体が、前記分割使用状態で前記収納空間識別体を識別作用不可能となる状態で覆うカバー部を備えて構成されている物品収納容器。
【請求項2】
前記容器本体が、上面が開口した直方体状に構成され、
前記収納空間識別体が、前記容器本体の側壁部の上端面に取り付けられ、
前記仕切体が、前記収納空間を水平方向で複数の前記区画に分割するように構成され、かつ、前記カバー部として、前記分割使用状態において、前記収納空間識別体が取り付けられた前記側壁部の上端面を覆う水平面部分を備えて構成され、
前記区画識別体が、前記水平面部分の上面に取り付けられている請求項1記載の物品収納容器。
【請求項3】
前記側壁部の上端に、前記分割使用状態において前記水平面部分が嵌入する凹部が形成され、前記凹部は、前記水平面部分が嵌入したときに前記水平面部分の上面高さが前記側壁部の上端面の高さ以下になる深さに形成されている請求項2記載の物品収納容器。
【請求項4】
直方体状の前記容器本体の側壁部のうち、前記収納空間識別体が取り付けられている識別体取付用側壁部にのみ前記凹部が形成され、
前記仕切体は、前記分割使用状態において前記識別体取付用側壁部に沿って隣接配置自在な一枚の支持用縦板とこれに垂直に接続され前記収納空間を複数の前記区画に分割する仕切縦板とを備えて構成され、
前記支持用縦板の上端にのみ前記水平面部分が形成されている請求項3記載の物品収納容器。
【請求項5】
前記収納空間識別体が、前記収納空間を識別するための識別情報が記録されたバーコードを備えて構成され、
前記区画識別体が、前記区画を識別するための識別情報が記録されたバーコードを備えて構成されている請求項1〜4の何れか1項記載の物品収納容器。
【請求項6】
前記収納空間識別体が、前記収納空間を識別するための識別情報が記録されたIDタグを備えて構成され、
前記区画識別体が、前記区画を識別するための識別情報が記録されたIDタグを備えて構成され、
前記カバー部が、導電性の金属にて構成されている請求項1〜4の何れか1項記載の物品収納容器。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の物品収納容器を複数保管する保管棚を備えた物品保管設備であって、
前記物品収納容器は、前記収納空間及び前記区画に物品を品種別に収納自在に構成され、
前記物品収納容器に、当該物品収納容器を識別する識別情報が記録された容器識別体と、
前記容器識別体、前記収納空間識別体及び前記区画識別体に記録された識別情報を読み取る読み取り手段と、
前記読み取り手段にて読み取られた識別情報及び物品の品種を識別する物品識別情報に基づいて、前記物品収納容器における前記収納空間及び前記区画の夫々を特定して、前記収納空間及び前記区画の夫々に収納されている物品の品種及び数量を、当該収納空間及び当該区画と関連付けて管理する管理手段とが設けられている物品保管設備。
【請求項8】
前記容器本体が、上面が開口した直方体状に構成され、
前記収納空間識別体が、前記容器本体の側壁部のうちの識別体取付用側壁部における上端面に取り付けられ、
前記仕切体が、前記カバー部として、前記分割使用状態において、前記識別体取付用側壁部の上端面を覆う水平面部分を備えて構成され、
前記区画識別体が、前記水平面部分の上面に取り付けられ、
前記識別体取付用側壁部の外側面に前記容器識別体を取り付けるための取り付け位置が設けられている請求項7記載の物品保管設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−269807(P2010−269807A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−121381(P2009−121381)
【出願日】平成21年5月19日(2009.5.19)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】