説明

物品収納設備

【課題】物品搬送車の搬送能力を有効に活用しながら、全ての自動倉庫から出庫される物品を搬送先に搬送できるまでの総作業時間の短縮化を図る物品収納設備の提供。
【解決手段】倉庫制御手段は、物品出庫情報に基づいて、最も多い総物品出庫数と同数の時系列的に連続して並ぶ複数の出庫計画単位を定めて、複数の出庫計画単位の夫々に総物品出庫数が最も多い自動倉庫6についての出庫を割り当て、他の自動倉庫6における出庫を時系列的に分散させた状態で複数の出庫計画単位に割り当てる出庫計画を求める出庫計画処理、及び、出庫計画処理にて求めた出庫計画に沿って複数の自動倉庫6から物品4を出庫させるように複数の自動倉庫6の作動を制御する出庫作動処理を実行し、搬送車制御手段は、複数の自動倉庫6の夫々における出庫部2に出庫された物品4を順次搬送するように複数台の物品搬送車7を作動させる物品搬送処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品収納棚と出庫部との間で物品を搬送する物品搬送装置を備えた複数の自動倉庫と、前記複数の自動倉庫の夫々における前記出庫部の夫々及び搬送先を経由する軌道を走行自在な複数台の物品搬送車と、前記複数の自動倉庫の夫々における前記出庫部への物品の出庫を行うべく、前記複数の自動倉庫の作動を制御する倉庫制御手段と、前記複数の出庫部の何れかに物品が出庫されるとその物品を前記搬送先に搬送すべく、前記複数台の物品搬送車の作動を制御する搬送車制御手段とが設けられている物品収納設備に関する。
【背景技術】
【0002】
このような物品収納設備は、各自動倉庫において、物品搬送装置が物品収納棚に収納されている物品を出庫部に出庫し、物品搬送車が出庫部に出庫された物品を順次搬送先に搬送するように構成されている。そして、倉庫制御手段は、物品出庫情報に基づいて、各自動倉庫から総物品出庫数だけの物品を出庫部に出庫すべく、各自動倉庫の作動を制御するように構成されている。物品出庫情報は、例えばバッチ作業として設定期間での出庫作業を定めたものであり、複数の自動倉庫の夫々からの総物品出庫数を定めている。
【0003】
物品出庫情報における総物品出庫数は、全ての自動倉庫で同数という訳ではなく、自動倉庫によって総物品出庫数が異なる。例えば、自動倉庫によって物品収納棚に収納する物品の種類を異ならせるようにしていると、物品の種類によって出庫する物品数が異なることから、自動倉庫によって総物品出庫数に差が生じる。したがって、各自動倉庫から物品を出庫するに当たり、複数の自動倉庫の夫々で物品の出庫を同様に順次繰り返し行うと、物品出庫数が少ない自動倉庫での出庫作業が早く終わり、総物品出庫数が多い自動倉庫での出庫作業だけが残ってしまうことになる。
一方、物品搬送車については、複数の出庫部の夫々に物品が順次出庫されても、その物品を複数台の物品搬送車にて順次搬送先に搬送できるだけの搬送能力を有しており、その搬送能力は、出庫部に物品を出庫する物品搬送装置個々の搬送能力よりも大きな能力となっている。
【0004】
よって、総物品出庫数が多い自動倉庫での出庫作業だけが残ると、総物品出庫数が多い自動倉庫の出庫部だけに物品が出庫されることとなるのに対して、物品搬送車の搬送能力の方が物品搬送装置個々の搬送能力よりも大きいので、物品搬送車が、その出庫部に物品が出庫されてくるのを待ちながら搬送先に搬送することになる。その為に、設備全体としての搬送能力は、物品搬送車の搬送能力よりも小さい物品搬送装置個々の搬送能力に制限させてしまい、全ての自動倉庫から出庫される物品を搬送先に搬送できるまでの総作業時間が長くなる。
【0005】
そこで、従来の物品収納設備では、搬送車制御手段が、複数の自動倉庫の夫々における出庫部に出庫された物品を順次搬送するのではなく、複数の自動倉庫の夫々での総物品出庫数から出庫された物品数を引いた残物品出庫数に基づいて設定した優先順序に従って複数の自動倉庫の夫々における出庫部に出庫された物品を搬送すべく、複数台の物品搬送車の作動を制御している。優先順序については、搬送車制御手段が、複数の自動倉庫の夫々での総物品出庫数から出庫された物品数を引いた残物品出庫数を演算し、各自動倉庫の残物品出庫数の平均値よりも残物品出庫数が多い自動倉庫のうちから、最も残物品出庫数の多い自動倉庫を優先するように優先順序を設定している。これにより、残物品出庫数の多い自動倉庫については、残物品出庫数の少ない自動倉庫に比べて、物品搬送車による物品の搬送作業を早く進めることができ、残物品出庫数が早く減っていくことになる。その結果、各自動倉庫における残物品出庫数の平準化を図ることができ、残物品出庫数の多い自動倉庫での出庫作業だけが残ってしまうのを抑制して、総作業時間の短縮化を図っている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
【特許文献1】特開平3−13404号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来の物品収納設備では、残物品出庫数の多い自動倉庫について、出庫部に出庫される物品が優先して搬送先に搬送されるので、作業の初期においては、残物品出庫数の多い自動倉庫の出庫部に出庫される物品を繰り返し物品搬送車にて搬送先に搬送する傾向となる。しかしながら、上述の如く、物品搬送車は、複数の出庫部の夫々に物品が順次出庫されても、その物品を複数台の物品搬送車にて順次搬送先に搬送できるだけの搬送能力を有しているので、残物品出庫数の少ない自動倉庫の出庫部に出庫される物品についても物品搬送車にて搬送先に物品を搬送できるだけの搬送能力があるにもかかわらず、その物品搬送車の搬送能力を活かしきれていなかった。
【0008】
本発明は、かかる点に着目してなされたものであり、その目的は、物品搬送車の搬送能力を有効に活用しながら、全ての自動倉庫から出庫される物品を搬送先に搬送できるまでの総作業時間の短縮化を図ることができる物品収納設備を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するために、本発明に係る物品収納設備の第1特徴構成は、物品収納棚と出庫部との間で物品を搬送する物品搬送装置を備えた複数の自動倉庫と、前記複数の自動倉庫の夫々における前記出庫部の夫々及び搬送先を経由する軌道を走行自在な複数台の物品搬送車と、前記複数の自動倉庫の夫々における前記出庫部への物品の出庫を行うべく、前記複数の自動倉庫の作動を制御する倉庫制御手段と、前記複数の出庫部の何れかに物品が出庫されるとその物品を前記搬送先に搬送すべく、前記複数台の物品搬送車の作動を制御する搬送車制御手段とが設けられている物品収納設備において、
前記倉庫制御手段は、前記複数の自動倉庫の夫々からの総物品出庫数を定めた物品出庫情報に基づいて、前記総物品出庫数のうちの最も多い総物品出庫数と同数の時系列的に連続して並ぶ複数の出庫計画単位を定めて、その複数の出庫計画単位の夫々に前記総物品出庫数が最も多い自動倉庫についての出庫を割り当て、他の自動倉庫における出庫を時系列的に分散させた状態で前記複数の出庫計画単位に割り当てる出庫計画を求める出庫計画処理、及び、その出庫計画処理にて求めた出庫計画に沿って複数の自動倉庫から物品を出庫させるように前記複数の自動倉庫の作動を制御する出庫作動処理を実行するように構成され、前記搬送車制御手段は、前記複数の自動倉庫の夫々における前記出庫部に出庫された物品を順次搬送するように前記複数台の物品搬送車を作動させる物品搬送処理を実行するように構成されている点にある。
【0010】
本特徴構成によれば、倉庫制御手段が出庫計画処理を行い且つ倉庫制御手段が出庫作動処理を実行することにより、総物品出庫数が最も多い自動倉庫については、総物品出庫数のうちの最も多い総物品出庫数と同数の時系列的に連続して並ぶ複数の出庫計画単位の夫々において物品が出庫される。一方、他の自動倉庫については、時系列的に分散させた状態で複数の出庫計画単位に物品が出庫される。
これにより、総物品出庫数が最も多い自動倉庫については、複数の出庫計画単位の夫々において出庫部への物品の出庫を繰り返して行うことができるので、他の自動倉庫よりも早く出庫作業を進めて行くことができる。よって、総物品出庫数が最も多い自動倉庫での出庫作業だけが残ってしまうのを抑制できる。しかも、他の自動倉庫については、時系列的に分散された状態で複数の出庫計画単位において出庫部への物品の出庫を行うので、作業の初期においても、総物品出庫数が最も多い自動倉庫からだけでなく、他の自動倉庫からも物品が出庫されることになる。これにより、作業の初期や後期にかかわらず作業に要する期間の全体に亘って各自動倉庫から物品を出庫させることができ、物品搬送車の搬送能力を有効に活用しながら作業を行うことができる。
以上のことから、物品搬送車の搬送能力を有効に活用しながら、全ての自動倉庫から出庫される物品を搬送先に搬送できるまでの総作業時間の短縮化を図ることができる物品収納設備を実現できる。
【0011】
本発明に係る物品収納設備の第2特徴構成は、前記倉庫制御手段は、前記出庫計画処理において、前記総物品出庫数が最も多い自動倉庫の前記総物品出庫数に対する他の自動倉庫の前記総物品出庫数の比率に基づいて、他の自動倉庫における出庫を前記複数の出庫計画単位に割り当てるように構成されている点にある。
【0012】
本特徴構成によれば、出庫計画処理において、倉庫制御手段が他の自動倉庫における出庫を複数の出庫計画単位に割り当てる際に、総物品出庫数が最も多い自動倉庫の総物品出庫数に対する他の自動倉庫の総物品出庫数の比率に基づいて、総物品出庫数が多いものほど高い頻度で割り当てて、他の自動倉庫の出庫が一時に集中する等の偏りを抑制して時系列的にバランスよく分散させることができる。よって、作業に要する期間の全体に亘ってバランスよく分散させた状態で他の自動倉庫からの出庫を行うことができ、物品搬送車の搬送能力をより効率よく活用することができる。
【0013】
本発明に係る物品収納設備の第3特徴構成は、前記搬送車制御手段は、前記物品搬送処理において、前記複数の自動倉庫の夫々での前記総物品出庫数から出庫された物品数を引いた残物品出庫数に基づいて、残物品出庫数が少ない自動倉庫の前記出庫部に出庫された物品よりも残物品出庫数が多い自動倉庫の前記出庫部に出庫された物品を優先して前記搬送先に搬送すべく、前記複数台の物品搬送車の作動を制御するように構成されている点にある。
【0014】
本特徴構成によれば、例えば、複数の出庫部に物品が出庫されたときに、搬送車制御手段が、残物品出庫数が少ない自動倉庫の出庫部に出庫された物品よりも残物品出庫数が多い自動倉庫の出庫部に出庫された物品を優先して搬送先に搬送するように物品搬送車を作動させる。残物品出庫数の多い自動倉庫とは、総物品出庫数が最も多い自動倉庫となるので、総物品出庫数が最も多い自動倉庫の出庫部に出庫される物品について、物品搬送車による搬送作業を的確に進めることができる。よって、総物品出庫数が最も多い自動倉庫での出庫作業だけが残ってしまうのを的確に抑制でき、総作業時間の短縮化を的確に図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明に係る物品収納設備の実施形態について図面に基づいて説明する。
〔第1実施形態〕
この物品収納設備は、図1に示すように、入庫部1、出庫部2及び物品収納棚3の間で物品4を搬送するスタッカークレーン5(物品搬送装置に相当する)を備えた自動倉庫6が複数設けられている。そして、搬入部8に搬入される物品4は、物品搬送車7及びスタッカークレーン5により複数の自動倉庫6の何れかの入庫部1に入庫させて物品収納棚3に収納されるように構成されている。また、各自動倉庫6の物品収納棚3に収納されている物品4は、スタッカークレーン5及び物品搬送車7により、出庫部2に出庫されて搬出部9(搬送先に相当する)に搬送されるように構成されている。
【0016】
(自動倉庫)
複数の自動倉庫6の夫々は、同様の構成をしている。入庫部1は、物品搬送車7との間での移載箇所に移載された物品4をスタッカークレーン5との間での移載箇所に搬送可能な搬送コンベヤにて構成されている。出庫部2も、入庫部1と同様に、スタッカークレーン5との間での移載箇所に移載された物品4を物品搬送車7との間での移載箇所に搬送可能な搬送コンベヤにて構成されている。物品収納棚3は、複数の収納部10を棚上下方向及び棚横幅方向に並べて配設するように構成されている。スタッカークレーン5は、入庫部1に入庫された物品4を複数の収納部10の夫々に収納可能で、且つ、複数の収納部10の夫々に収納された物品4を出庫部2に出庫可能に構成されている。
【0017】
(物品搬送車)
物品搬送車7は、複数台設けられており、複数の入庫部1、複数の出庫部2、搬入部8、搬出部9に亘るループ状の走行経路11(軌道に相当する)に沿って一方向に走行するように構成されている。物品搬送車7は、入庫部1、出庫部2、搬入部8及び搬出部9の夫々との間で物品4を移載可能な移載装置12(例えば、移載用コンベヤ)を備えている。
【0018】
(物品収納設備の制御)
図2に示すように、複数の自動倉庫6の作動を制御する倉庫制御手段13と、複数台の物品搬送車7の作動を制御する搬送車制御手段14とが設けられ、倉庫制御手段13と搬送車制御手段14との間で各種の情報が通信可能に構成されている。
【0019】
倉庫制御手段13は、入庫部1に入庫された物品4を複数の収納部10のうちから選択した収納部10に収納すべく、各自動倉庫6のスタッカークレーン5の作動を制御し、且つ、複数の収納部10のうちから選択した収納部10に収納された物品4を出庫部2に出庫すべく、各自動倉庫6のスタッカークレーン5の作動を制御するように構成されている。倉庫制御手段13は、どの自動倉庫6のどの収納部10にどの物品4が収納されているか等の収納情報を管理するように構成されている。
【0020】
搬送車制御手段14は、搬入部8に物品4が搬入されるとその物品4の固有情報や倉庫制御手段13が管理している収納状態等からその物品4を収納すべき自動倉庫6を選択し、その選択した自動倉庫6の入庫部1に搬入部8に搬入された物品4を搬送すべく、複数台の物品搬送車7の作動を制御し、且つ、複数の出庫部2の何れかに物品4が出庫されるとその物品4を搬出部9に搬送すべく、複数台の物品搬送車7の作動を制御するように構成されている。搬送車制御手段14は、どの物品4をどの物品搬送車7にてどこからどこに搬送しているか等の搬送状況を管理するように構成されている。
【0021】
ここで、物品搬送車7については、複数の出庫部2の夫々に物品4が順次出庫されても、その物品4を複数台の物品搬送車7にて順次搬出部9等に搬送できるだけの搬送能力を有しており、その搬送能力は、各自動倉庫6において出庫部2に物品4を出庫するスタッカークレーン5個々の搬送能力よりも大きな能力となっている。
【0022】
(出庫計画処理)
倉庫制御手段13は、物品出庫情報を入力すると、その物品出庫情報に基づいて、複数の自動倉庫6の夫々からどのような順序で物品4を出庫部2に出庫するかの出庫計画を求める出庫計画処理を行うように構成されている。ここで、物品出庫情報は、例えばバッチ作業として設定期間での出庫作業を定めたものであり、複数の自動倉庫の夫々からの総物品出庫数を定めている。
出庫計画処理として、倉庫制御手段13は、総物品出庫数のうちの最も多い総物品出庫数と同数の時系列的に連続して並ぶ複数の出庫計画単位を定める。そして、倉庫制御手段13は、定めた複数の出庫計画単位の夫々に総物品出庫数が最も多い自動倉庫についての出庫を割り当て、他の自動倉庫における出庫を時系列的に分散させた状態で複数の出庫計画単位に割り当てる。倉庫制御手段13は、他の自動倉庫における出庫を割り当てる際に、総物品出庫数が最も多い自動倉庫の総物品出庫数に対する他の自動倉庫の総物品出庫数の比率に基づいて、他の自動倉庫における出庫を時系列的に分散させた状態で複数の出庫計画単位に割り当てる。
【0023】
自動倉庫として、図1に示すように、第1〜第4自動倉庫6a〜6dの4つが設けられ、物品出庫情報が、複数の自動倉庫6の夫々からの総物品出庫数について、例えば、第1自動倉庫6aの総物品出庫数を8個、第2自動倉庫6bの総物品出庫数を5個、第3自動倉庫6cの総物品出庫数を6個、第4自動倉庫6dの総物品出庫数を4個と定めている場合について、図3のフローチャート及び図4の表に基づいて説明する。
ここで、図4(a)は、第1〜第4自動倉庫6a〜6dの夫々における引当率を示しており、図4(b)〜(e)は、複数の出庫計画単位の夫々において第1〜第4自動倉庫6a〜6dの夫々についての各数値を示している。図4(b)は総物品出庫数から割り付けられた物品数を引いた引当残数を示しており、図4(c)は引当値を示しており、図4(d)は引当結果(出庫の割り当てを行うと引当結果が1となり、出庫の割り当てを行わないと引当結果が0となる)を示しており、図4(e)は出庫が割り当てられた出庫計画を示している。
【0024】
倉庫制御手段13は、まず、第1自動倉庫6a、第3自動倉庫6c、第2自動倉庫6b、第4自動倉庫6dの順に、第1〜第4自動倉庫6a〜6dを総物品出庫数が多い順に並び替える(#1)。そして、倉庫制御手段13は、総物品出庫数が最も多い第1自動倉庫6aの総物品出庫数と同数の時系列的に連続して並ぶ出庫計画単位を定め、総物品出庫数が最も多い第1自動倉庫6aの総物品出庫数に対して第1〜第4自動倉庫6a〜6dの夫々の総物品出庫数の比率である引当率Rを求める(#2、#3)。
第1自動倉庫6aの総物品出庫数は8個であるので、図4(b)〜(e)に示すように、出庫計画単位はNo.1〜8の8個となる。第1〜第4自動倉庫6a〜6dの夫々の引当率は、自己の総物品出庫数を第1自動倉庫6aの総物品出庫数(8個)で割った値であり、図4(a)に示すように、第1自動倉庫6aは1(=8/8)、第3自動倉庫6cは0.75(=6/8)、第2自動倉庫6bは0.625(=5/8)、第4自動倉庫6dは0.5(=4/8)となる。
【0025】
倉庫制御手段13は、時系列的に連続して並ぶNo.1〜8の出庫計画単位の夫々について出庫の割り当てを行うのであるが、まず、m=1として、No.1の出庫計画単位を割当処理対象として、そのNo.1の出庫計画単位について出庫の割り当てを行う(#4,#5)。そして、倉庫制御手段13は、No.1の出庫計画単位において第1〜第4自動倉庫6a〜6dの夫々について出庫の割り当てを行うか否かの判別を行うのであるが、まず、n=1として、総物品出庫数が多い順に並べた1番目の第1自動倉庫6aを判別処理対象とし、その第1自動倉庫6aの引当値Sを演算して出庫の割り当てを行うか否かの判別を行う(#6〜8)。倉庫制御手段13は、引当値Sが1以上であると、引当結果T=1として、1番目の出庫計画単位に1番目の自動倉庫6(第1自動倉庫6a)の出庫を割り当て、1番目の自動倉庫6における引当残数を1だけ減算して更新する(#10〜12)。倉庫制御手段13は、逆に、引当値Sが1未満であると、引当結果T=0として、出庫の割り当てを行わない(#13)。
【0026】
引当値Sの演算については、下記の〔数1〕により行う。前回求めた引当値S1は、図4(c)において1つ上の段の引当値となる。例えば、No.1の出庫計画単位において第1〜第4自動倉庫6a〜6dの夫々では、引当値Sの演算は1回目であるので、前回求めた引当値S1は0となり、No.2の出庫計画単位において第3自動倉庫6cでは、前回求めた引当値S1は0.75となる。
引当結果Tは、図4(d)において1つ上の出庫計画単位における引当結果を用いる。例えば、No.1の出庫計画単位において第1〜第4自動倉庫6a〜6dの夫々では、引当結果Tは0となり、No.2の出庫計画単位において第1自動倉庫6aでは、引当結果Tは1となる。
【0027】
〔数1〕
S=S1+R−T
Sを引当値、S1を前回求めた引当値、Rを引当率、Tを引当結果とする。
【0028】
倉庫制御手段13は、1番目の第1自動倉庫6aについて出庫の割り当てを行うか否かの判別処理(#7〜13の処理)を行うと、No.1の出庫計画単位において全ての自動倉庫について判別処理を終了しているか否かを判別する(#14)。倉庫制御手段13は、全ての自動倉庫について判別処理を終了していないので、n=n+1として、判別処理対象の自動倉庫6を2番目の第3自動倉庫6cとし、その第3自動倉庫6cについて判別処理(#7〜13の処理)を行う(#15)。このようにして、倉庫制御手段13は、全ての自動倉庫について判別処理を終了するまで、判別処理を繰り返し行うことにより、総物品出庫数が多い順で各自動倉庫6について出庫の割り当てを行う否かの判別を行い、No.1の出庫計画単位において全ての自動倉庫6について出庫の割り当てを行う。
【0029】
倉庫制御手段13は、全ての自動倉庫について判別処理を終了すると、全ての出庫計画単位について出庫を割り当てる割当処理を終了しているか否かを判別する(#16)。倉庫制御手段13は、全ての出庫計画単位について割当処理を終了していないので、m=m+1として、割当処理対象の出庫計画単位をNo.2の出庫計画単位とし、そのNo.2の出庫計画単位について出庫割当処理(#5〜15の処理)を行う(#17)。このようにして、倉庫制御手段13は、全ての出庫計画単位について出庫割当処理を終了するまで、出庫割当処理を繰り返し行うことにより、No.1〜8の全ての出庫計画単位について出庫の割り当てを行う。そして、図4(e)に示すように、No.1〜8の出庫計画単位の夫々において第1〜第4自動倉庫4aの出庫が1〜23の出庫順序で割り当てられる。
【0030】
総物品出庫数が最も多い第1自動倉庫6aについては、No.1〜8の出庫計画単位の夫々において物品4が出庫される。一方、他の第2〜第4自動倉庫6b〜6dについては、時系列的に分散させた状態でNo.1〜8の出庫計画単位に物品4が出庫される。これにより、第1自動倉庫6aについては、No.1〜8の出庫計画単位の夫々において出庫部2への物品4の出庫を繰り返して行うことができるので、第2〜第4自動倉庫6b〜6dよりも早く出庫作業を進めて行くことができる。よって、第1自動倉庫6aでの出庫作業だけが残ってしまうのを抑制できる。しかも、第2〜第4自動倉庫6b〜6dについては、時系列的に分散された状態でNo.1〜8の出庫計画単位に出庫部2への物品4の出庫を行うので、作業の初期においても、第1自動倉庫6aからだけでなく、他の第2〜第4自動倉庫6b〜6dからも物品4が出庫されることになる。これにより、作業の初期や後期にかかわらず作業に要する期間の全体に亘って各自動倉庫6から物品4を出庫させることができ、物品搬送車7の搬送能力を有効に活用しながら作業を行うことができることになる。また、出庫計画処理では、複数の自動倉庫6を総物品出庫数が多い順に並び替えて処理を行うことにより、同一の出庫計画単位に複数の自動倉庫6の割り当てる際に、総物品出庫数が多い順に出庫順序を定めることができる。よって、複数の自動倉庫6から物品4を出庫する場合でも、総物品出庫数が多い自動倉庫6から極力早く物品4を出庫させることができる。その結果、総物品出庫数が多い自動倉庫6の出庫作業が残ってしまうのを的確に防止することができ、総作業時間の短縮化を的確に図ることができる。
【0031】
〔出庫作動処理〕
倉庫制御手段13は、出庫計画処理にて求めた出庫計画に沿って複数の自動倉庫6から物品4を出庫させるように、複数の自動倉庫6の作動を制御する出庫作動処理を実行するように構成されている。
例えば、倉庫制御手段13が出庫計画処理を行うことにより、出庫計画として図4(e)に示す出庫計画を得ると、その出庫順序に沿って各自動倉庫6から物品4を出庫させるように、各自動倉庫6の作動を制御する。つまり、倉庫制御手段13は、1番目に第1自動倉庫6aから物品4を出庫するように、第1自動倉庫6aの作動を制御し、2番目にも第1自動倉庫6aから物品4を出庫するように、第1自動倉庫6aの作動を制御する。そして、3番目に第3自動倉庫6cから物品4を出庫するように、第3自動倉庫6cの作動を制御し、4番目に第2自動倉庫6bから物品4を出庫するように、第2自動倉庫6bの作動を制御する。倉庫制御手段13、その後も、図4(e)に示す出庫順序に沿って出庫順序に沿って各自動倉庫6から物品4を出庫させるように、各自動倉庫6の作動を制御する。
【0032】
〔物品搬送処理〕
搬送車制御手段14は、複数の自動倉庫6の夫々における出庫部2に出庫された物品4を順次搬送するように複数台の物品搬送車7を作動させる物品搬送処理を実行するように構成されている。複数の自動倉庫6の夫々における出庫部2には、物品搬送車7との間での移載箇所に物品4が搬送されたことを検出する在荷センサ15が設けられている。搬送車制御手段14は、在荷センサ15にて物品搬送車7との間での移載箇所に物品4が搬送されたことを検出するたびに、その物品4を搬出部9に搬送すべく、物品搬送車7を作動させる。これにより、例えば、複数の出庫部2の夫々には、図4(e)に示す出庫順序にしたがって物品4が出庫されるので、その物品4を複数台の物品搬送車7にて順次搬出部9に搬送することができ、物品搬送車7の搬送能力を有効に活用しながら、物品4を搬出部9に搬送することができる。
【0033】
〔第2実施形態〕
この第2実施形態は、上記第1実施形態において、物品搬送処理の別実施形態であるので、その点について説明する。その他の構成については、上記第1実施形態と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0034】
搬送車制御手段14は、物品搬送処理において、物品搬送車7にて物品4を出庫部2から搬送するたびに、その出庫部2の自動倉庫6における総物品出庫数から1を減算することにより、複数の自動倉庫6の夫々での総物品出庫数から出庫された物品数を引いた残物品出庫数を管理している。そして、搬送車制御手段14は、複数の出庫部2に物品4が出庫されると、残物品出庫数が少ない自動倉庫6の出庫部2に出庫された物品4よりも残物品出庫数が多い自動倉庫6の出庫部2に出庫された物品4を優先して搬出部9に搬送すべく、複数台の物品搬送車7の作動を制御するように構成されている。つまり、搬送車制御手段14は、複数の出庫部2において在荷センサ15にて物品搬送車7との間での移載箇所に物品4が搬送されたことを検出すると、残物品出庫数が多い方の自動倉庫6の出庫部2に出庫された物品4を搬出部9に搬送すべく、物品搬送車7を作動させる。
【0035】
ここで、残物品出庫数の多い自動倉庫6とは、総物品出庫数が最も多い自動倉庫6となるので、総物品出庫数が最も多い自動倉庫6の出庫部2に出庫される物品4について、物品搬送車7による搬送作業を的確に進めることができる。よって、総物品出庫数が最も多い自動倉庫6での出庫作業だけが残ってしまうのを的確に抑制でき、総作業時間の短縮化を的確に図ることができる。
【0036】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、物品搬送車7の搬送先を搬出部9としているが、例えば、物品4を、パレット及びそのパレットに載置支持された複数の単位物品とすると、作業者が搬送された物品4から必要数の単位物品を取り出すピッキング作業を行うピッキング作業箇所を搬送先とすることもできる。よって、搬送先は、搬出部9に限られず、その他各種の箇所を適応することができる。
【0037】
(2)上記実施形態において、自動倉庫6の数や物品搬送車7の台数については適宜変更が可能である。
【0038】
(3)上記実施形態での出庫計画処理において、他の自動倉庫6における出庫を複数の出庫計画単位に割り当てるに当たり、例えば、8つの出庫計画単位に対して4つの出庫を割り当てるときには、出庫を割り当てた出庫計画単位と出庫を割り当てない出庫計画単位とが時系列的に交互に並ぶように、複数の出庫計画単位に対して均等になるように出庫を割り当てることもできる。よって、他の自動倉庫6における出庫を複数の出庫計画単位にどのようにして割り当てるかは適宜変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】物品収納設備の全体構成図
【図2】物品収納設備の制御ブロック図
【図3】出庫計画処理におけるフローチャート
【図4】出庫計画処理を説明するための表
【符号の説明】
【0040】
2 出庫部
3 物品収納棚
4 物品
5 物品搬送装置(スタッカークレーン)
6 自動倉庫
7 物品搬送車
9 搬送先(搬出部)
11 軌道(走行経路)
13 倉庫制御手段
14 搬送車制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品収納棚と出庫部との間で物品を搬送する物品搬送装置を備えた複数の自動倉庫と、前記複数の自動倉庫の夫々における前記出庫部の夫々及び搬送先を経由する軌道を走行自在な複数台の物品搬送車と、前記複数の自動倉庫の夫々における前記出庫部への物品の出庫を行うべく、前記複数の自動倉庫の作動を制御する倉庫制御手段と、前記複数の出庫部の何れかに物品が出庫されるとその物品を前記搬送先に搬送すべく、前記複数台の物品搬送車の作動を制御する搬送車制御手段とが設けられている物品収納設備であって、
前記倉庫制御手段は、
前記複数の自動倉庫の夫々からの総物品出庫数を定めた物品出庫情報に基づいて、前記総物品出庫数のうちの最も多い総物品出庫数と同数の時系列的に連続して並ぶ複数の出庫計画単位を定めて、その複数の出庫計画単位の夫々に前記総物品出庫数が最も多い自動倉庫についての出庫を割り当て、他の自動倉庫における出庫を時系列的に分散させた状態で前記複数の出庫計画単位に割り当てる出庫計画を求める出庫計画処理、及び、その出庫計画処理にて求めた出庫計画に沿って複数の自動倉庫から物品を出庫させるように前記複数の自動倉庫の作動を制御する出庫作動処理を実行するように構成され、
前記搬送車制御手段は、前記複数の自動倉庫の夫々における前記出庫部に出庫された物品を順次搬送するように前記複数台の物品搬送車を作動させる物品搬送処理を実行するように構成されている物品収納設備。
【請求項2】
前記倉庫制御手段は、前記出庫計画処理において、前記総物品出庫数が最も多い自動倉庫の前記総物品出庫数に対する他の自動倉庫の前記総物品出庫数の比率に基づいて、他の自動倉庫における出庫を前記複数の出庫計画単位に割り当てるように構成されている請求項1に記載の物品収納設備。
【請求項3】
前記搬送車制御手段は、前記物品搬送処理において、前記複数の自動倉庫の夫々での前記総物品出庫数から出庫された物品数を引いた残物品出庫数に基づいて、残物品出庫数が少ない自動倉庫の前記出庫部に出庫された物品よりも残物品出庫数が多い自動倉庫の前記出庫部に出庫された物品を優先して前記搬送先に搬送すべく、前記複数台の物品搬送車の作動を制御するように構成されている請求項1又は2に記載の物品収納設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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