説明

物品整列装置

【課題】上流側から表裏がランダムな物品列を受け、その物品列を物品毎に選別して、表裏を予め定めた物品列に整列させる装置において、エアー機構を使わないことで物品の汚れ・汚染を防ぎ無塵条件内での稼動を可能とすると共に、その供給エアーの変動による選別不良の発生を抑え、さらに、突き出し機構を使わず、その物品が選別される際の傷付きを抑え、しかも、設定した物品列を高速で形成させ下流側の工程に搬送する装置を提供する。
【解決手段】スペースが少なくて構成できる多角形カム回転機構の回転により物品を選別して排出した物品の傷付きを抑え、この多角形カムの回転により排出時間を短縮すると共に、設定した物品列に高速で配置する高速化への対応を可能とする。兼用性の高い選別多角形カム回転機構により、物品の品種毎の型替え作業を容易にする事を可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充填包装業界における物品の整列装置に関する。詳しくは、物品の表裏を何れか一方に高速で揃えて整列させ、次の下流側の工程に搬送する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から物品の表裏をセンサー等で探知し、何れか一方をエアーシリンダー等にて列から突き出し、排出することにより物品の整列を行う装置はあった。
その突き出し機構は、「出」と「引」の往復運動により動作するため「引」の動作」が完了するまでは次の物品を受け入れることが出来ない為、高能力化(高速化)への対応が困難であった。
【0003】
上記機構とは別に従来から、物品の表裏をセンサー等で探知後、それら物品にエアーを吹き付け方向整列・選別が行われる装置もあった。
そのエアー機構は、供給されるエアーに水分・油分が含まれていた場合、物品が汚染されてしまう事があった。
また、エアーを吹き付ける事により周囲の埃・粉塵等を巻き上げることがあり、物品汚染等の恐れがあった。
また、エアーは他の装置等への供給の有無によって供給圧力が変動する事があり、圧力が変動した場合、選別用に吹き付けられたエアーの強弱に影響が出て、バランスが崩れ、落ちるべき物品が落ちなかったり、その逆になったりと、選別不良が起こることがあった。
【0004】
よって、不良、或は不必要配列物品の突き出し動作機構を用いず,且つエアーを使用しない物品整列装置が切望されていた。
【0005】
そこで、ランダムに上流から搬送される物品列の表裏を必要に応じて反転可能とする反転整列部と、その反転整列部に前記物品を搬入及び搬出する移送手段とを備える装置(特許文献1参照)が発明された。
【0006】
しかしながら、明細書段落[0013〜16]及び図1,2に記載のように、スペースを必要とし大型装置となり、機構部品数が多く、高速処理の速度には限度があると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−206211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、以上の問題点に鑑みて成されたものであり、エアー機構を使わないことで物品の汚れ・汚染を防ぎ無塵条件内での稼動を可能とすると共に、その供給エアーの変動による選別不良の発生を抑え、又、前記突き出し機構を使わず、後述するスペースが少なくて構成できる三角カム回転機構の回転により物品を選別して排出した物品の傷付きを抑え、この三角カム回転により排出時間を短縮すると共に、設定した物品列に高速で配置する高速化への対応を可能とする物品整列装置の提供を目的とする。
更に、物品の品種毎の型替え作業の容易な兼用性の高い選別三角カム回転機構を備えた物品整列装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明の物品整列装置は、上流側から投入された物品を受け入れる傾斜して回転する内側ローターと、その内側ローターにより上方に持ち上げられた物品を上端部で受ける水平に同方向に回転する外側ローターと;外側ローター上を搬送するそれら物品の表裏がランダムの状態で配列された物品列を予め設定された物品列となるように表裏選別制御を行う制御部と;を少なくとも備える物品整列装置であって、
前記外側ローターの接線方向に沿って搬送されてくる物品毎に選択して回転させ排出し所定の物品列とする選別用多角形カムと;
前記外側ローター上面の外周部寄りに設けられた前記多角形カム回転軸と前記上面の内側端部との間に形成された物品列の通過路の付近に配置され、物品が前記位置に来たことを探知した時点でタイミング信号を前記制御部へ出力するタイミング用検出装置と;
前記制御部からの信号を受けた時点における物品の表裏の判別結果を、前記制御部に返信する表裏判別用検出装置と;
予め定めた表裏方向でないと判断した前記制御部からの信号を受け、前記選別用多角形カムを所定角度に回転させる多角形カム駆動源と;
を備えることを特徴とする。
また、前記選別用多角形カムは三角形状であることを特徴とする。
【0010】
また、前記選別用多角形カムは所定角度毎に凸部を形成させ凸部間にはそれぞれ同一形状の線で結ぶ辺で多辺を形成させた形状であって、その多角形カム本体は外周キャップガイド内に納められその多角形カム駆動源は角度制御可能な駆動源であり、
前記制御部は、その多角形カムの一辺は前記カム駆動源で回転後の停止時には常に物品列の前記通過路に対して平行にさせる平行手段と;
前記表裏判別用検出装置からの信号が予め定めた表裏方向ならば、多角形カムは動かさず物品を素通しさせ、予め定めた表裏方向でなければ、前記多角形カムは駆動源を介して所定角度回転させ、その物品を排出させると共に、その多角形カムの次の一辺が前記通過路に対して平行な状態とさせる判別処理手段と;を少なくとも備えることを特徴とする。
【0011】
また、前記制御部は、電源ONにより、制御信号出力端子部より、前記多角形カム駆動源の駆動信号入力端子へ初期化信号を送り、前記通過路に対して多角形カムの一辺を平行にさせる初期手段と;
タイミング用検出装置からのタイミング信号を情報信号入力端子部で受けて、CPUは表裏判別用検出装置へ制御信号出力端子部から信号を送り、その判別結果を情報信号入力端子部より受ける表裏情報入力手段と;
CPUはその判別結果と予め記憶部に記憶された設定と比較して、物品を素通しさせるか、又は多角形カム駆動源に駆動信号を送り多角形カムを所定角度回転させて物品を排出させて内側ローターに物品を戻すかを判断する物品処理手段と;を少なくとも含むことを特徴とする。
【0012】
前記選別用回転多角形カムの駆動は、サーボモーターを使用することを特徴とする。
また、前記選別用回転多角形カムの駆動は、ステッピングモーターを使用することを特徴とする。
【0013】
前記表裏判別用検出装置は、画像認識装置を使用することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の物品整列装置は、以下に示す効果を奏する。
即ち、選別用回転多角形カムにより所定の物品列を高速で下流の工程に搬送させることが可能となる。
【0015】
また、エアーを使わない構成なので、無塵条件室内での稼動が可能となると共に、物品が供給エアー中の物質で汚染されることがない。更に、エアー圧力・エアー流量のバラつきによる選別の閾値の変化による選別不良の発生が抑えられる。
【0016】
物品の種類による型替作業が容易で兼用性が高く、稼動停止時間を最低限に抑えることができる装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の物品整列装置の一実施例の平面図である。
【図2】本発明の物品整列装置の一実施例の前面図である。
【図3】本発明の選別用三角カム及び表裏判別用検知装置並びに多角形カム形状各種を示す平面図である。
【図4】本発明の選別用三角カム及び表裏判別用検知装置を示す前面図である。
【図5】本発明の選別用三角カムの動作説明図であり、(a)は三角カムが突き出した状態の側面図、(b)は三角カムの一辺が物品通過路に平行な状態の前面図を示す。
【図6】制御部50の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態を以下図に基づいて説明する。
図1,2は、物品整列装置の一実施例の平面図と前面図を示す。ここで、1は容器或はキャップなどの表裏・上下のある物品を示す。
【0019】
60は、上流側からきて、投入された物品1を受け入れる傾斜している内側ローター、61はその駆動モーター、70は、時計回りに回転する内側ローターにより上方に持ち上げられた物品1を上端部で遠心力で乗り移る物品1を受け同じ方向に回転する外側ローター、71はその駆動モーターである。
物品1は、次々と、外側ローターの内壁である外側ローター支持枠70aに沿って移動し、更に進行ガイド70bにより一列にされ、表裏ランダムの物品列1を形成し搬送される。
【0020】
その物品列1は、外側ローター70に乗ったまま、その回転につれて物品1の選別部に到達する。
30は、その選別部であり、表裏判別用検知装置であり、タイミング用検出装置31と表裏判別用検出装置32とスイッチ位置調節部33からなる。
【0021】
そのタイミング用検出装置31の付近には物品1の通過路72があり、外側ローター70の上面回転幅の内側方向即ち内側ローター60寄りにある。一方、その検出装置31と外側ローター支持枠70aとの間には選別用三角カム10を備える。
【0022】
その選別用三角カム10は、本実施例では正三角形状であるが、図3(b),(c)の形状でもよい。所定角度毎に凸部があり凸部先端を結ぶ線は任意の曲線でもよい。そのカム10は、外側ローター支持枠70aの外側の架台100上に固定された駆動源11(ここでは、スッテッピングモーター)によって駆動ベルト14を介して回転させる。13は、その選択用三角カム10の回転軸を示す。尚、前記所定角度は三角形状では120度、4角形状では90度,6角形状では60度である。
【0023】
図3,4は、選別用三角カム10及び表裏判別用検知装置30の平面図及び前面図の詳細を示す。符号は図1,2と同様である。タイミング用検出装置31は、三角カム10の回転中心軸13と内側ローター60,外側ローター70の回転中心軸とを結ぶ線上にある。
一方、表裏判別用検出装置32は、図3に示すように物品1がタイミング用検出装置31へ進入する直前に位置する。物品列1の移動方向は時計回りである。
【0024】
図5は、本発明の選別用三角カム10の動作説明図を示す。ここで、(a)の2点鎖線は、その三角カム10が物品列1の通過路72へ向かって突き出している状態を示す。但し側面図である。物品1は内側ローター60側へ排出される。
一方、(b)は、三角カム10の一辺が物品列1の通過路72に対して平行な状態を示す。但し、平面図である。三角カム10本体は外周キャップガイド15に納められた状態となっている。
【0025】
図6は本装置に使用される制御部50の構成例を示す。ここで、51はCPU(中央制御部)52はセンサー、スイッチなどからの情報信号受信する入力端子部、53は駆動モーター、多角形カム駆動源などへの制御信号を送信する出力端子部、54は記憶部、55は表示部を示す。
更に、51aは前記平行手段、51bは前記判別処理手段、51cは前記初期手段、51dは表裏情報入力手段、51eは物品処理手段である。これらの三角カム10に関する各手段は、物品列1選別動作の説明の中で以下に詳しく述べる。
【0026】
物品列1に対する選別用三角カム10の選別動作を以下に説明する。
本装置の稼動に際してその制御部50の電源がONとすると、制御部50は、先ず、三角カム駆動源11の駆動信号入力端子11aに対して出力端子部53から制御信号を送り、三角形の一辺が前記物品通過路72に平行となるように回転させ停止する(初期手段51c)。
【0027】
次に、内側ローター60,外側ローター70が回転し、物品列1が表裏判別用検知装置30に進行するので、制御部50は、タイミング用検出装置31からの信号を待つ。
物品列の先頭がタイミング用検出装置31に検知されると、そのタイミング信号を制御部50へ送信するので、制御部50は、その信号を受け、表裏判別用検出装置32へ信号を送り、その判別結果を受けるZ表裏情報入力手段51d)。
【0028】
制御部50は、その判別結果を予め記憶部54に記憶された設定と比較し、一致すれば信号を出さず、一致しなければ三角カム駆動源11へ120度回転の駆動信号を送る(物品処理手段51e、判別処理手段51b)。
従って、設定と一致した物品1は素通りして外側ローター70上面を移動し、設定と一致しない物品1は三角カム10の回転によりその物品が排出され内側ローター60の中に戻される。
【0029】
制御部50は三角カム駆動源11へ回転信号を送り、その三角カム10の回転を停止させるときは、その三角形状の何れか一辺を前記物品通過路72に平行にさせて、初期の状態に戻す(平行手段51a)。
【符号の説明】
【0030】
1 物品(列)
10 選別用多角形(三角)カム
11 多角形(三角)カム駆動源
11a 駆動信号入力端子
13 多角形(三角)カム回転中心軸
14 駆動ベルト
15 外周キャップガイド
30 表裏判別用検知装置(31+32)
31 タイミング用検出装置
32 表裏判別用検出装置
50 制御部
51 CPU
52 情報信号入力端子部
53 制御信号出力端子部
54 記憶部
60 内側ローター
61 内側ローター駆動用モーター
70 外側ローター
70a 支持枠
70b 進行ガイド
71 外側ローター駆動用モーター
100 架台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流側から投入された物品を受け入れる傾斜して回転する内側ローターと、その内側ローターにより上方に持ち上げられた物品を上端部で受ける水平に同方向に回転する外側ローターと;外側ローター上を搬送するそれら物品の表裏以外の物品を前記内側ローターに落とし、裏表がランダムの状態で配列された物品列を予め設定された物品列となるように表裏選別制御を行う制御部と;を少なくとも備える物品整列装置であって、
前記外側ローターの接線方向に沿って搬送されてくる物品毎に選択して回転させ排出し所定の物品列とする選別用多角形カムと;
前記外側ローター上面の外周部寄りに設けられた前記多角形カム回転軸と前記上面の内側端部との間に形成された物品列の通過路に、物品が来たことを探知した時点でタイミング信号を前記制御部へ出力するタイミング用検出装置と;
前記制御部からの信号を受けた時点における物品の表裏の判別結果を、前記制御部に返信する表裏判別用検出装置と;
予め定めた表裏方向でないと判断した前記制御部からの信号を受け、前記選別用多角形カムを所定角度回転させる多角形カム駆動源と;
を備えることを特徴とする物品整列装置。
【請求項2】
前記選別用多角形カムは三角形状であることを特徴とする請求項1記載の物品整列装置。
【請求項3】
前記選別用多角形カムは、所定角度毎に凸部を形成させ凸部間にはそれぞれ同一形状の線で結ぶ辺で多辺を形成させた形状であって、その多角形カム本体は外周キャップガイド内に納められその多角形カム駆動源は角度制御可能な駆動源であり、
前記制御部は、その多角形カムの一辺は前記カム駆動源で回転後の停止時には常に物品列の前記通過路に対して平行にさせる平行手段と;
前記表裏判別用検出装置からの信号が予め定めた表裏方向ならば、多角形カムは動かさず物品を素通しさせ、予め定めた表裏方向でなければ、前記多角形カムは駆動源を介して所定角度回転させ、その物品を排出させると共に、その多角形カムの次の一辺が前記通過路に対して平行な状態にさせる判別処理手段と;を少なくとも備えることを特徴とする請求項1記載の物品整列装置。
【請求項4】
前記制御部は、電源ONにより制御信号出力端子部より、前記多角形カム駆動源の駆動信号入力端子へ初期化信号を送り、前記通過路に対して多角形カムの一辺を平行にさせる初期手段と;
タイミング用検出装置からのタイミング信号を情報信号入力端子部で受けて、CPUは表裏判別用検出装置へ制御信号出力端子部から信号を送り、その判別結果を情報信号入力端子部より受ける表裏情報入力手段と;
CPUはその判別結果と予め記憶部に記憶された設定と比較して、物品を素通しさせるか、又は多角形カム駆動モーターに駆動信号を送り多角形カムを所定角度回転させて物品を排出させてその物品を内側ローターに戻すかを判断する物品処理手段と;を少なくとも含むことを特徴とする請求項1または請求項2記載の物品整列装置。
【請求項5】
前記選別用回転多角形カムの駆動は、サーボモーターを使用することを特徴とする請求項1記載の物品整列装置。
【請求項6】
前記選別用回転多角形カムの駆動は、ステッピングモーターを使用することを特徴とする請求項1記載の物品整列装置。
【請求項7】
前記表裏判別用検出装置は、画像認識装置を使用することを特徴とする請求項1記載の物品整列装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−20771(P2011−20771A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−165743(P2009−165743)
【出願日】平成21年7月14日(2009.7.14)
【出願人】(390029090)靜甲株式会社 (30)
【Fターム(参考)】