説明

物品整理システム、及び無線タグ通信装置

【課題】操作者の労力負担を低減でき、また試し収納時に誤って物品や区画を破損させるのを防止する。
【解決手段】プリンタBの体積情報を記憶した物品タグTbと、保管区画101の容積情報を記憶した区画タグTpと、物品タグTb及び区画タグTpと情報送受信を行うハンディリーダ1とを有する物品整理システム301であって、ハンディリーダ1は、リーダアンテナを介し、物品タグTbから体積情報を取得するステップの手順と、リーダアンテナを介し、区画タグTpから容積情報を取得するステップの手順と、体積情報と容積情報とに基づき、プリンタBの保管区画101への収納の適否を判定するステップの手順と有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物品に備えられた無線タグに保持された情報を読み取ることで物品整理を行う物品整理システム、及びこれに用いる無線タグ通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信による情報伝達を活用し、物品の整理を効率的に行えるようにした従来技術として、例えば、特許文献1記載の資材管理システムがある。
【0003】
この従来技術では、資材置場に保管された各資材に送信機を設けておく。そして、既に資材置場に保管された資材の送信機から送信された情報に基づき、管理事務所に設けられたサーバ(資材管理装置)が、その資材の保管位置情報及びその形状情報を取得し、当該資材置き場内における残余の複数の空きエリアを検出する。新たに資材置場へ資材を搬入する際に、複数の空きエリアのうち、その後搬出する際の手間(作業量)が最小となる空きエリアを逆算して選択し、搬入するようになっている。
【特許文献1】特開2007−210800号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、棚などの収納区画に、比較的小さな物品を立体的に収納して整理する場合がある。この場合、物品と区画との大小関係により、物品の体積が区画の容積に対し大きすぎて収納できなかったり、あるいは物品の体積が区画の容積に対し小さすぎて無駄なスペースができてしまったりする可能性がある。そのため、このような物品の収納管理を行う場合には、収納しようとする物品の体積と各区画の容積とを対比させ、収納の適否を判定しなければならない。
【0005】
上記従来技術では、物品として資材を対象とし、平面的に広大な広がりをもつ資材置場への資材配置管理を行うものである。資材置場には十分なスペースがあり(複数の空きエリアから選択できる余地があることを前提としている)、各資材ごとに細かく仕切る区画等も特に設けられていない。この結果、新たに資材を搬入する際、その資材が配置できるかどうかの判定を行う必要がない。したがって、前述のような、区画への物品の収納においてスペースの有効活用を行いたい場合に適用できるものではなかった。
【0006】
本発明の目的は、物品の区画への収納時に、物品の体積に対し最適な容積の区画を選定し、スペースの有効活用を図れる物品整理システム、及びこれに用いる無線タグ通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、第1の発明は、物品に設けられ、情報を記憶する第1IC回路部と情報の送受信を行う第1タグアンテナとを備え、前記第1IC回路部に前記物品の体積情報を記憶した物品タグと、物品整理用の区画に設けられ、情報を記憶する第2IC回路部と情報の送受信を行う第2タグアンテナとを備え、前記第2IC回路部に前記区画の容積情報を記憶した区画タグと、前記物品タグ及び前記区画タグと情報送受信を行う無線タグ通信装置とを有する物品整理システムであって、前記無線タグ通信装置は、無線通信を行うための装置アンテナと、前記装置アンテナを介し、前記物品タグの前記第1IC回路部から前記体積情報を取得する第1情報取得手段と、前記装置アンテナを介し、前記区画タグの前記第2IC回路部から前記容積情報を取得する第2情報取得手段と、前記第1情報取得手段で取得した前記体積情報と、前記第2情報取得手段で取得した前記容積情報とに基づき、前記物品の前記区画への収納の適否を判定する判定手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
本願第1発明の物品整理システムにおいては、物品に物品タグが設けられ、物品整理用の区画に区画タグが設けられる。物品タグの第1IC回路部には、対応する物品の体積情報が記憶されており、区画タグの第2IC回路部には、対応する区画の容積情報が記憶されている。無線タグ通信装置の第1情報取得手段が物品タグより体積情報を取得し、第2情報取得手段が同様に区画タグより容積情報を取得すると、判定手段が、それら取得した体積情報と容積情報とに基づき、当該区画が物品の収納に適しているのかどうかを判定する。
【0009】
これにより、操作者が物品を物品整理用の区画に収納しようとする場合、収納しようとする物品の物品タグと、物品を収納しようとする区画の区画タグとに対し、読み取りを行うだけで、当該収納に適しているかどうかの判定結果を得ることができる。したがって、操作者は、物品の体積に対し最適な容積の区画を確実に見つけ出すことができる。この結果、物品の体積に対して区画の容積が大きすぎ収納すると余剰スペースが多くなったり、物品の体積が区画容積に対して大きすぎ収納が困難となるのを防止することができるので、スペースの有効活用を図ることができる。
【0010】
また、物品体積と区画容積との間にあまり差がなく、物品を収納できるのかどうか操作者の目視等では判別困難な場合であっても、確実に収納の可否を知ることができる。これにより、実際に物品を試しに区画に入れてみたりする必要がなくなるので、操作者の労力負担を低減でき、また上記試し収納時に誤って物品や区画を破損させるのを防止することができる。
【0011】
さらに、無線タグ通信装置のみで情報取得とこれを用いた判定を行うことができ、別途サーバ等を用いることなく簡素な構成でスペースの有効活用を図れるという効果もある。
【0012】
第2発明は、上記第1発明において、前記判定手段は、前記第1情報取得手段で取得した前記体積情報が、前記第2情報取得手段で取得した前記容積情報よりも大きい場合には、前記物品の前記区画への収納を許可しないように判定することを特徴とする。
【0013】
物理的に収納できない大小関係である場合に収納を許可しないようにすることで、誤って物品や区画を破損させるのを確実に防止することができる。
【0014】
第3発明は、上記第2発明において、前記第1情報取得手段で取得した前記体積情報に含まれる、幅寸法、奥行き寸法、高さ寸法のいずれか1つが、前記第2情報取得手段で取得された前記容積情報に含まれる、幅寸法、奥行き寸法、高さ寸法のいずれか1つより大きい場合には、前記物品の前記区画への収納を許可しないように判定することを特徴とする。
【0015】
収納時の大きさを3次元的に規定する幅寸法、奥行き寸法、高さ寸法それぞれについての大小関係を比較し、物品側のいずれかの寸法が対応する区画側の寸法より大きい場合は収納を許可しないようにすることで、物品や区画の破損を確実に防止することができる。
【0016】
第4発明は、上記第2又は第3発明において、前記判定手段は、前記物品の前記区画への収納を許可しないように判定した場合において、前記物品の前記区画への収納方向を変えた状態におきかえたときに、前記体積情報に含まれる幅寸法、奥行き寸法、高さ寸法が、前記容積情報において対応付けられる、幅寸法、奥行き寸法、高さ寸法よりそれぞれ小さくなった場合には、前記物品の前記区画への収納を許可するように再判定することを特徴とする。
【0017】
体積情報と容積情報との、幅寸法同士、奥行き寸法同士、高さ寸法同士を比較したときに物品側のいずれかの寸法が対応する区画側の寸法より大きい等によりそのままでは収納困難な場合であっても、物品を区画へ収納するときの方向を変えることで、収納可能となる場合がある。例えば、通常の向きにおいて物品の幅寸法が区画の幅寸法より大きくても、物品の奥行き寸法が比較的小さかった場合には、物品を水平に90度回転させることで(物品の元の奥行き寸法が区画の幅寸法に対応し、その区画の幅寸法より小さくなることから)収納可能な寸法関係となる。本願第4発明においては、このような場合を考慮し、判定手段が、物品の収納方向を変えた状態におきかえたときに、物品の幅寸法、奥行き寸法、高さ寸法が、区画側において対応付けられる、幅寸法、奥行き寸法、高さ寸法よりそれぞれ小さくなった場合には、収納を許可する。これにより、収納可能か不可能かの判定をより柔軟に行うことができ、操作者が物品の体積に対し最適な容積の区画をさらに確実に見つけ出すことができるので、利便性を向上することができる。
【0018】
第5発明は、上記第2乃至第4発明のいずれかにおいて、前記無線タグ通信装置は、第1情報取得手段で取得した前記体積情報と、前記第2情報取得手段で取得した前記容積情報とに基づき、前記物品の体積が前記区画の容積に対して占める割合を算出する割合演算手段を有し、前記判定手段は、前記割合演算手段で算出した前記割合が、所定の第1しきい値以上となった場合に、前記物品の前記区画への収納を許可するように判定することを特徴とする。
【0019】
これにより、物理的に収納できる大小関係の場合で、収納後の余剰スペースが比較的小さくなる場合に限って収納を許可することが可能となる。この結果、余剰スペースが無駄に発生するのを回避し、スペースの有効活用を確実に図ることができる。
【0020】
第6発明は、上記第5発明において、前記無線タグ通信装置は、前記割合演算手段で算出した前記割合が、前記第1しきい値より大きい第2しきい値以上となった場合には、対応する確認報知を行う報知手段を備えることを特徴とする。
【0021】
これにより、操作者に対し、物品の体積と区画の容積との比率が想定された限界値を超えていることを報知し、当該区画の大きさと物品の大きさとがかなり近く、収納が容易ではないこと(=破損防止のために慎重に収納すべきであること)を確実に認識させることができる。
【0022】
第7発明は、上記第6発明において、前記無線タグ通信装置は、前記割合演算手段での算出結果を表示する表示手段とを備えることを特徴とする。
【0023】
これにより、操作者に対し、物品の体積と区画の容積との比率を、視覚的に確実に認識させることができる。
【0024】
第8発明は、上記第1乃至第7発明のいずれかにおいて、前記無線タグ通信装置は、前記第2情報取得手段で取得した前記容積情報を、前記物品の前記区画に対する収納に対応して更新する更新演算手段と、前記更新演算手段で更新した前記容積情報を、前記装置アンテナを介し、前記区画タグの前記第2IC回路部に書き込む、情報書き込み手段とを備えることを特徴とする。
【0025】
区画への物品の収納に対応して更新演算手段で区画タグの容積情報を更新し、これを区画タグに書き込むようにする。これにより、当該区画における物品の収納後の使える容積値(例えば、収納により事実上、新たに使える容積がなくなったこと)を情報として記録することができる。
【0026】
上記目的を達成するために、第9発明の無線タグ通信装置は、物品の体積情報を記憶した物品タグと、物品整理用の区画の容積情報を記憶した区画タグとに対し、情報送受信を行う無線タグ通信装置であって、無線通信を行うための装置アンテナと、前記装置アンテナを介し、前記物品タグから前記体積情報を取得する第1情報取得手段と、前記装置アンテナを介し、前記区画タグから前記容積情報を取得する第2情報取得手段と、前記第1情報取得手段で取得した前記体積情報と、前記第2情報取得手段で取得した前記容積情報とに基づき、前記物品の前記区画への収納の適否を判定する判定手段とを有することを特徴とする。
【0027】
本願第9発明の無線タグ通信装置においては、第1情報取得手段で物品タグより体積情報を取得し、第2情報取得手段で区画タグより容積情報を取得すると、判定手段が、それら取得した体積情報と容積情報とに基づき、当該区画が物品の収納に適しているのかどうかを判定する。
【0028】
これにより、操作者が物品を物品整理用の区画に収納しようとする場合、収納しようとする物品の物品タグと、物品を収納しようとする区画の区画タグとに対し、読み取りを行うだけで、当該収納に適しているかどうかの判定結果を得ることができる。したがって、操作者は、物品の体積に対し最適な容積の区画を確実に見つけ出すことができる。この結果、物品の体積に対して区画の容積が大きすぎ収納すると余剰スペースが多くなったり、物品の体積が区画容積に対して大きすぎ収納が困難となるのを防止することができるので、スペースの有効活用を図ることができる。
【0029】
また、物品体積と区画容積との間にあまり差がなく、物品を収納できるのかどうか操作者の目視等では判別困難な場合であっても、確実に収納の可否を知ることができる。これにより、実際に物品を試しに区画に入れてみたりする必要がなくなるので、操作者の労力負担を低減でき、また上記試し収納時に誤って物品や区画を破損させるのを防止することができる。
【0030】
第10発明は、上記第9発明において、第1情報取得手段で取得した前記体積情報と、前記第2情報取得手段で取得した前記容積情報とに基づき、前記物品の体積が前記区画の容積に対して占める割合を算出する割合演算手段と、前記割合演算手段で算出した前記割合が、所定のしきい値を超えた場合には、対応する確認報知を行う報知手段とを有することを特徴とする。
【0031】
これにより、操作者に対し、物品の体積と区画の容積との比率が想定された限界値を超えていることを報知し、当該区画の大きさと物品の大きさとがかなり近く、収納が容易ではないこと(=破損防止のために慎重に収納すべきであること)を確実に認識させることができる。
【0032】
第11発明は、上記第10発明において、前記割合演算手段での算出結果を表示する表示手段とを有することを特徴とする。
【0033】
これにより、操作者に対し、物品の体積と区画の容積との比率を、視覚的に確実に認識させることができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、物品の区画への収納時に、物品の体積に対し最適な容積の区画を選定し、スペースの有効活用を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0036】
図1は、本実施形態の物品整理システムを、例えば保管棚に収納されている物品の保管管理に適用した場合の一例を表す図である。
【0037】
図1において、物品整理システム301は、この例で3行×3列=9箇所の保管区画(物品整理用の区画)101を有する保管棚100において、保管対象の物品が保管棚100のどの保管区画101に収納保管できるかを判定するものである。この例では、保管対象物品は、例えば試作又は評価のために作成された複数のプリンタBである。各プリンタBは、種類や仕様の違いなどにより全体の形や体積が異なっている。保管棚100が有する各保管区画101は、手前側の開放面を除く上下左右奥側の5面がいずれも仕切られた直方体形状の空間である(奥側や上方が開放された区画もありうる)。これら保管区画101は、この例では、互いに容積が異なる複数種類のものが混在している。
【0038】
各プリンタBには物品タグTbがそれぞれ貼付されており、この物品タグTbには、識別情報としての物品タグID(タグ識別情報)と、当該プリンタBの外形寸法に関する情報(体積情報。詳細は後述)を記憶している。保管棚100の各保管区画101のすぐ上方には区画タグTpがそれぞれ貼付されており、この区画タグTpには、識別情報としての区画タグID(タグ識別情報)と、当該保管区画101の内部空間に関する情報(容積情報。詳細は後述)を記憶している。また、保管棚100のほぼ中央の一カ所に棚タグTtが貼付されており、この棚タグTtには、識別情報としての棚タグID(タグ識別情報)と、当該保管棚100が有する複数の保管区画101のうちで最も広い保管区画101の内部空間に関する情報を記憶している。
【0039】
そして、この図1に示すように、物品整理システム301は、保管対象物品や保管棚100に貼付される上記物品タグTb、区画タグTp、及び棚タグTt(以下適宜、これらを総称して単に「無線タグT」という)と、利用者Hが携帯して上記無線タグTからそれぞれの上記タグID及び上記体積情報又は上記容積情報(以下適宜、これらを単に「無線タグ情報」という)を読み取るハンディリーダ(無線タグ通信装置)1とから構成されている。
【0040】
上記物品タグTb、区画タグTp、及び棚タグTtはそれぞれハンディリーダ1と無線通信が可能であり、利用者Hはハンディリーダ1のリーダアンテナ3(図2に後述)からの所定の通信範囲20に位置する目的の無線タグTから、無線タグID情報を読み取る。そして、読み取った無線タグ情報に含まれる各種収納情報の比較によって、保管棚100の各保管区画101に対するプリンタBの収納の可否を判定する。
【0041】
図2は、上記物品整理システム301のうちのハンディリーダ1の詳細機能を表す機能ブロック図である。
【0042】
この図2において、ハンディリーダ1は、本体制御部2と、無線タグTに対し無線通信を行うためのリーダアンテナ(装置アンテナ)3とから構成されている。
【0043】
本体制御部2は、CPU(中央演算装置)4と、例えばRAMやROM等からなるメモリ5と、システム管理者からの指示や情報が入力される操作部6と、各種収納情報やメッセージを表示する表示部(表示手段)7と、上記リーダアンテナ3を介して無線タグTからタグ情報の読み取りを行うRF通信制御部8とを備えている。CPU4は、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行い、それによって無線タグTとの間で各種の情報信号の送受を行ったり、ハンディリーダ1の各部の基本動作の制御を行うものである。
【0044】
無線タグT(物品タグTb、区画タグTp、及び棚タグTt)は、タグアンテナ151とIC回路部150とを備える無線タグ回路素子Toを有しており、この無線タグ回路素子Toを特に図示しない基材などに設けている(無線タグ回路素子Toについては後に詳述する)。
【0045】
図3は、上記ハンディリーダ1におけるRF通信制御部8の詳細構成をCPU4及びリーダアンテナ3とともに表す機能ブロック図である。
【0046】
図3において、CPU4は、無線タグ回路素子ToのIC回路部150から読み出された信号を処理して情報を読み出すとともに、無線タグ回路素子ToのIC回路部150へアクセスするための応答要求コマンドを生成する。
【0047】
リーダアンテナ3は、例えば、指向性が鋭く、すなわち通信範囲20が狭い幅でメインローブ方向に細長く形成される(例えばメインローブ方向はハンディリーダ1の筐体の長手方向と一致する)ように構成されている。これにより、ハンディリーダ1は、その筐体の長手方向の延長線上付近に存在する無線タグTに対して無線通信を行えるようになっている(上述の図1参照)。
【0048】
RF通信制御部8は、上記リーダアンテナ3を介し上記無線タグ回路素子ToのIC回路部150の情報(タグID及び各種情報を含む無線タグ情報)へアクセスするためのものである。すなわち、RF通信制御部8は、リーダアンテナ3を介し無線タグ回路素子Toに対して信号を送信する送信部212と、リーダアンテナ3により受信された無線タグ回路素子Toからの応答波を入力する受信部213と、送受分離器214とから構成される。
【0049】
送信部212は、無線タグ回路素子ToのIC回路部150の無線タグ情報にアクセスする(この例では読み取り及び書き込み)ための質問波を生成するブロックである。すなわち、送信部212は、周波数の基準信号を出力する水晶振動子215Aと、CPU4の制御により水晶振動子215Aの出力を分周/逓倍して所定周波数の搬送波を発生させるPLL(Phase Locked Loop)215B及びVCO(Voltage Controlled Oscillator)215Cと、上記CPU4から供給される信号に基づいて上記発生させられた搬送波を変調(この例ではCPU4からの「TX_ASK」信号に基づく振幅変調)する送信乗算回路216(但し「TX_ASK信号」の場合は増幅率可変アンプ等を用いてもよい)と、その送信乗算回路216により変調された変調波を増幅(この例ではCPU4からの「TX_PWR」信号によって増幅率を決定される増幅)して所望の質問波を生成する可変送信アンプ217とを備えている。
【0050】
そして、上記発生される搬送波は、例えばUHF帯、マイクロ波帯、あるいは短波帯の周波数を用いており、上記可変送信アンプ217の出力は、送受分離器214を介しリーダアンテナ3に伝達されて無線タグ回路素子ToのIC回路部150に供給される。なお、質問波は上記のように変調した信号に限られず、単なる搬送波のみの場合もある。
【0051】
受信部213は、リーダアンテナ3で受信された無線タグ回路素子Toからの応答波と上記発生させられた搬送波とを乗算して復調するI相受信乗算回路218と、そのI相受信乗算回路218の出力から必要な帯域の信号のみを取り出すためのI相バンドパスフィルタ219と、このI相バンドパスフィルタ219の出力を増幅するI相受信アンプ221と、このI相受信アンプ221の出力をさらに増幅してデジタル信号に変換するI相リミッタ220と、上記リーダアンテナ3で受信された無線タグ回路素子Toからの応答波と上記発生された後に移相器227により位相を90°遅らせた搬送波とを乗算するQ相受信乗算回路222と、そのQ相受信乗算回路222の出力から必要な帯域の信号のみを取り出すためのQ相バンドパスフィルタ223と、このQ相バンドパスフィルタ223の出力を増幅するQ相受信アンプ225と、このQ相受信アンプ225の出力をさらに増幅してデジタル信号に変換するQ相リミッタ224とを備えている。そして、上記I相リミッタ220から出力される信号「RXS−I」及びQ相リミッタ224から出力される信号「RXS−Q」は、上記CPU4に入力されて処理される。
【0052】
また、I相受信アンプ221及びQ相受信アンプ225の出力は、強度検出手段としてのRSSI(Received Signal Strength Indicator)回路226にも入力され、それらの信号の強度を示す信号「RSSI」がCPU4に入力されるようになっている。このようにして、ハンディリーダ1では、I−Q直交復調によって無線タグ回路素子Toからの応答波の復調が行われる。
【0053】
上記構成のRF通信制御部8を用いて、ハンディリーダ1は、上記の通信範囲20内に存在する無線タグTの無線タグ回路素子Toに対し、それぞれのタグIDを応答信号として発信させるよう要求する応答要求コマンド(問い合わせ信号)を送信する。
【0054】
図4は、上記無線タグTに備えられた無線タグ回路素子Toの機能的構成の一例を表すブロック図である。なお、物品タグTb、区画タグTp、及び棚タグTtのいずれについても無線タグ回路素子Toの構成は共通となっている。
【0055】
図4において、無線タグ回路素子Toは、上述したようにハンディリーダ1のリーダアンテナ3と無線通信もしくは電磁誘導により非接触で信号の送受信を行う上記タグアンテナ151(物品タグTbの第1タグアンテナ;区画タグTpの第2タグアンテナ)と、このタグアンテナ151に接続された上記IC回路部150(物品タグTbの第1IC回路部、区画タグTpの第2IC回路部)とを有している。
【0056】
IC回路部150は、タグアンテナ151により受信された質問波を整流する整流部152と、この整流部152により整流された質問波のエネルギを蓄積し駆動電源とするための電源部153と、上記タグアンテナ151により受信された質問波からクロック信号を抽出して制御部157に供給するクロック抽出部154と、所定の情報信号を記憶し得るメモリ部155と、上記タグアンテナ151に接続された変復調部156と、上記メモリ部155、クロック抽出部154、及び変復調部156等を介して上記無線タグ回路素子Toの作動を制御するための上記制御部157とを備えている。
【0057】
変復調部156は、タグアンテナ151により受信された上記ハンディリーダ1のリーダアンテナ3からの通信信号の復調を行い、また、上記制御部157からの返信信号を変調し、タグアンテナ151より応答波(タグIDを含む無線タグ情報)として送信する。
【0058】
クロック抽出部154は受信した信号からクロック成分を抽出するものであり、受信した信号のクロック成分の周波数に対応したクロックを制御部157に供給する。
【0059】
制御部157は、上記変復調部156により復調された受信信号を解釈し、上記メモリ部155において記憶された情報信号に基づいて返信信号を生成し、この返信信号を上記変復調部156により上記タグアンテナ151から返信する制御等の基本的な制御を実行する。
【0060】
次に、本実施形態において、保管対象物品のプリンタBを保管棚100の各保管区画101に収納するための条件について説明する。
【0061】
図5は、ある保管区画101にプリンタBが適切に収納された状態の寸法関係を概念的に示す説明図である。図5において、後述するように、保管対象物品であるプリンタBに貼付されている物品タグTbからは、物品タグIDとともに当該プリンタB全体の外形寸法に関する情報(体積情報)としてのその幅寸法Wb、奥行き寸法Db、高さ寸法Hbを読み取ることができる。また、保管区画101に対応して貼付されている区画タグTpからは、区画タグIDとともに当該保管区画101の内部空間に関する情報(容積情報)としてのその幅寸法Wp、奥行き寸法Dp、高さ寸法Hpを読み取ることができる。
【0062】
ハンディリーダ1は、物品タグTbから上記3つの寸法情報を読み取り、また区画タグTpから上記3つの寸法情報を読み取る(前後関係はいずれでもよい)。ここで、まず管理対象物品のプリンタBが保管区画101の内部に収納するには、プリンタBの3つの寸法が、保管区画101のそれぞれ対応する3つの寸法より小さい値でなくてはならず、いずれか一つの寸法でも超過する場合には収納不可とする。
【0063】
そしてハンディリーダ1は、物品タグTbと区画タグTpでそれぞれ読み取った3つの寸法情報から、積算により保管対象物品のプリンタBの全体の物品体積Vb(=Wb×Db×Hb)と、保管区画101の内部の区画容積Vp(=Wp×Dp×Hp)とを算出する。さらに、プリンタBの物品体積Vbが保管区画101の区画容積Vpに対して占める空間占有割合Vb/Vpも求める。
【0064】
そしてこの例では、空間占有割合Vb/Vpが65%(第1しきい値)以上であれば収納可能とし、65%未満であれば保管区画101内の余剰スペースが過剰に生じて不適切であるとして収納不可とする。また、90%(第2しきい値)以上であれば収納が容易でない旨の警告対象とする。つまり、図中の斜線範囲で示すような空間占有割合Vb/Vpが65%〜90%の範囲にある場合にだけ警告がなく適切に収納できるものとしている。なお、図の斜線範囲は、(理解の容易のために)奥行き寸法Db,Dpは互いにほぼ等しく、幅寸法Wb,Wp及び高さ寸法Hb,Hpのみの設定により空間占有割合Vb/Vp=65%〜90%が実現される場合を例にとって示している。
【0065】
なお、上述したようにプリンタBの3つの寸法が、保管区画101のそれぞれ対応する3つの寸法と比較していずれか一つの寸法でも超過する場合には収納不可であるため、空間占有割合Vb/Vpが100%を超えることはない。
【0066】
図6は、ハンディリーダ1のCPU4によって実行される制御手順を表すフローチャートである。この例では、電源が投入されるとこのフローが開始される(START位置)。
【0067】
まずステップS1において、前述の応答要求コマンドを無線タグTに対して送信する。
【0068】
次に、ステップS5において、例えば利用者Hがハンディリーダ1を保管対象物品のプリンタBに近接させ、上記応答要求コマンドに応じ物品タグTbから物品タグIDを含む無線タグ情報が取得されるまでループ待機する。物品タグIDを含む無線タグ情報を取得した際には、ステップS10へ移り、取得した物品タグ情報(物品タグTbから取得した無線タグ情報)に含まれる上記体積情報の幅寸法Wb、奥行き寸法Db、高さ寸法Hbを積算して物品体積Vbを算出する。なお、寸法Wb、奥行き寸法Db、高さ寸法Hbの積算値であるこの物品体積Vb自体を体積情報として物品タグTbに記憶させておいてもよい(図5中のカッコ書き参照)。この場合には、ステップS5の判定が満たされたときに物品体積Vbが取得されていることとなるので、上記ステップS10を省略することができる。
【0069】
次にステップS15へ移り、例えば利用者Hがハンディリーダ1を保管棚100に貼付されている棚タグTtに近接させ、上記応答要求コマンドに応じ棚タグTtから棚タグIDを含む無線タグ情報が取得されるまでループ待機する。棚タグIDを含む無線タグ情報を取得した際には、ステップS20へ移り、取得した棚タグ情報(棚タグTtから取得した無線タグ情報)に含まれる最大区画容積Vtmax(当該保管棚100が有するうちで最も大きい保管区画101の容積)が、上記ステップS10で算出したプリンタBの物品体積Vbより大きいか否かを判定する。
【0070】
最大区画容積VtmaxがプリンタBの物品体積Vb以下である場合、判定は満たされず、すなわちこの保管棚100には当該プリンタBを収納できる保管区画101が1つもないものとして、ステップS25でその旨を表示部7にエラー表示する。そして、ステップS15に戻り、同様の手順を繰り返す。一方、最大区画容積VtmaxがプリンタBの物品体積Vbより大きい場合、判定が満たされ、次のステップ30へ移る。
【0071】
ステップS30では、例えば利用者Hがハンディリーダ1を保管区画101に貼付されている区画タグTpに近接させ、上記応答要求コマンドに応じ区画タグTpから区画タグIDを含む無線タグ情報が取得されるまでループ待機する。区画タグIDを含む無線タグ情報を取得した際には、ステップS35へ移り、取得した区画タグ情報(区画タグTbから取得した無線タグ情報)に含まれる上記容積情報の幅寸法Wp、奥行き寸法Dp、高さ寸法Hpを積算して区画容積Vpを算出する。
【0072】
次にステップS40へ移り、上記ステップS5で取得した物品タグ情報に含まれるプリンタBの3つの寸法Wb、Db、Hbが、上記ステップS30で取得した区画タグ情報に含まれる保管区画101の3つの寸法Wp、Dp、Hpにそれぞれと対応して比較して小さい値であるか否か、すなわちWb<WpかつDb<DpかつHb<Hpであるか否かをAND条件(論理積)で判定する。
【0073】
プリンタBの3つの寸法Wb、Db、Hbが、いずれか一つでもそれぞれ対応する保管区画101の3つの寸法Wp、Dp、Hpより大きい場合、判定は満たされない。すなわちこの保管区画101には当該プリンタBを収納できないものとして、ステップS25でその旨を表示部7にエラー表示し、ステップS15に戻って同様の手順を繰り返す。一方、プリンタBの3つの寸法Wb、Db、Hbが、全てそれぞれ対応する保管区画101の3つの寸法Wp、Dp、Hpより小さい場合、判定が満たされ、次のステップS45へ移る。
【0074】
ステップS45では、プリンタBの物品体積Vbが保管区画101の区画容積Vpに対して占める空間占有割合Vb/Vpを求め(割合演算手段)、その値を表示部7に例えば%表示で表示する。そして、この空間占有割合Vb/Vpが65%以上(0.65≦Vb/Vp)であるか否かを判定する。空間占有割合Vb/Vpが65%未満である場合、判定が満たされない。すなわち当該保管区画101内の余剰スペースが過剰に生じて収納に不適切であるとして、ステップS25でその旨と空間占有割合Vb/Vpとを表示部7にエラー表示し、ステップS15に戻って同様の手順を繰り返す。一方、空間占有割合Vb/Vpが65%以上である場合、判定は満たされ、次のステップS50へ移る。
【0075】
ステップS50では、空間占有割合Vb/Vpが90%未満(Vb/Vp<0.90)であるか否かを判定する。空間占有割合Vb/Vpが90%以上である場合、判定が満たされない。すなわち、当該保管区画101にプリンタBを収納すると収納に余裕がないため破損防止のために慎重に収納すべきであるとして、ステップS55でその旨と空間占有割合Vb/Vpとを表示部7に表示して警告報知し(報知手段)、ステップS60へ移る。一方、空間占有割合Vb/Vpが90%未満である場合、判定が満たされ、そのままステップS60へ移る。
【0076】
ステップS60では、当該保管区画101へ当該プリンタBを収納可能である旨を表示部7に表示する。
【0077】
次にステップS65へ移り、当該保管区画101への当該プリンタBの返却を決定した旨の選択操作が、利用者Hから操作部6を介して入力されたか否かを判定する。返却決定の選択操作が入力されている場合、判定が満たされ、そのままこのフローを終了する。一方、他の選択操作が入力されている場合、判定が満たされず、ステップS15へ戻って同様の手順を繰り返す。
【0078】
以上において、上記図6のフローにおけるステップS5の手順が、各請求項記載の第1情報取得手段を構成し、ステップS30の手順が第2情報取得手段を構成する。また、ステップS40、ステップS45の手順が判定手段を構成する。
【0079】
以上説明したように、本実施形態においては、使用者Hが保管対象物品であるプリンタBを保管棚100の保管区画101に収納しようとする場合、収納しようとするプリンタBの物品タグTbと、プリンタBを収納しようとする保管区画101の区画タグTtとに対し、読み取りを行うだけで、当該収納に適しているかどうかの判定結果を得ることができる(ステップS25、ステップS60参照)。したがって、利用者Hは、プリンタBの体積に対し最適な容積の保管区画101を確実に見つけ出すことができる。この結果、保管区画101の容積が大きすぎてプリンタBを収納すると余剰スペースが多くなったり、保管区画101の容積に対してプリンタBが大きすぎ収納が困難となるのを防止することができるので、スペースの有効活用を図ることができる。
【0080】
また、プリンタBの体積と保管区画101の容積との間にあまり差がなく、プリンタBを収納できるのかどうか利用者の目視等では判別困難な場合であっても、確実に収納の可否を知ることができる。これにより、実際にプリンタBを試しに保管区画101に入れてみたりする必要がなくなるので、利用者の労力負担を低減でき、また上記試し収納時に誤ってプリンタBや保管区画101を破損させるのを防止することができる。
【0081】
さらに、ハンディリーダ1のみで情報取得とこれを用いた判定を行うことができ、別途サーバ等を用いることなく簡素な構成でスペースの有効活用を図れるという効果もある。
【0082】
また、この実施形態では特に、ステップS40において、プリンタBの体積と保管区画101の容積とが物理的に収納できない大小関係である場合に収納を許可しないようにする。これにより、誤ってプリンタBや保管区画101を破損させるのを確実に防止することができる。
【0083】
また、この実施形態では特に、ステップS45において、プリンタBの物品体積Vbが保管区画101の区画容積Vpに対して占める空間占有割合Vb/Vpを求め、この空間占有割合Vb/Vpが65%を超えた場合に当該プリンタBの当該保管区画101への収納を許可する。すなわち、物理的に収納できる大小関係の場合で、収納後の余剰スペースが比較的小さくなる場合に限って収納を許可する(ステップS60参照)。この結果、余剰スペースが無駄に発生するのを回避し、スペースの有効活用を確実に図ることができる。
【0084】
また、この実施形態では特に、空間占有割合Vb/Vpが65%より大きい90%を超えた場合には、当該保管区画101への当該プリンタBの収納に余裕がないことを警告報知する(ステップS55参照)。これにより、利用者Hに対し、プリンタBの物品体積Vbと保管区画101の区画容積Vpとの比率が想定された限界値(90%)を超えていることを報知し、当該保管区画101の大きさとプリンタBの大きさとがかなり近く、収納が容易ではないこと(=破損防止のために慎重に収納すべきであること)を確実に認識させることができる。
【0085】
また、この実施形態では特に、表示部7で空間占有割合Vb/Vpの値を表示する(ステップS45参照)。これにより、利用者Hに対し、物品体積Vbと区画容積Vpとの比率を、視覚的に確実に認識させることができる。
【0086】
なお、上記実施形態では、一つの保管区画101に対して一つの保管対象物品であるプリンタBを収納する場合のみを説明したが、本発明はこれに限られず、例えば一つの保管区画101に複数のプリンタBを収納させるようにしてもよい。この場合には、専用のN(Nは2以上の整数)個収納可能モードの処理手順を設けておき(特に図示せず)、例えば、プリンタBの3つの寸法Wb、Db、Hbのいずれか一つでもそれぞれ対応する保管区画101の3つの寸法Wp、Dp、Hpの約N分の1の寸法である場合(収納と取り出しの両方の容易さを考慮して、幅寸法比Db/Dpが1/N以下である場合が望ましい)でも収納を許可し、当該保管区画101に2つめ以降のプリンタBを収納できるようにしてもよい。この場合、上記Nの値、すなわち、保管区画101とプリンタBとの大小関係に基づき、プリンタBを収納できる個数を表示部7に表示するようにしてもよい。この場合、先に上記のN個の表示(保管区画101に1個収納可能か複数個収納可能か)を行っておき、その後、1個収納モードとするか複数個収納モードとするかを利用者Hに選ばせるようにしてもよい。
【0087】
そしてこの場合には、N個のプリンタBを収納可能な当該保管区画101において、一度にN個を収納した場合を除き、収納できる区画容積Vp及びいずれかの寸法が変動することになる(1個収納すると、その1個分減った容積が実質的に収納可能な区画容積Vpとなる)。この場合、ステップS35において、区画タグTtの無線タグ回路素子Toに記憶された容積情報(幅寸法Wp、奥行き寸法Dp、高さ寸法Hp)から収納した(少なくとも1つの)プリンタBの体積情報(幅寸法Wb、奥行き寸法Db、高さ寸法Hb)を差し引き(更新演算手段)、その差し引いた容積情報を、リーダアンテナ3を介して当該保管区画101の区画タグTtの無線タグ回路素子Toに書き込んで更新すればよい(情報書き込み手段)。これにより、当該保管区画101におけるプリンタBの収納後の使える容積値を情報として記録することができる。なお、このような複数個収納の変形例ではなく、1つの保管区画101に1つのプリンタBを収納する上記実施形態において上記の更新演算や情報書き込みを行うようにしてもよい。この場合、1個のプリンタBの収納により、当該保管区画101において事実上、新たに使える容積がなくなったことを明確にすることができる。
【0088】
また、棚タグTtには上記最大区画容積Vtmaxだけでなく、例えばプリンタBの種別情報(グループ情報)を記憶させておき、ハンディリーダ1がその種別情報も考慮することで、保管棚100別に(又は保管棚100中における配置領域別に)同じ種別や類似した種別のプリンタBを近づけた配置で収納させて物品整理することもできる。
【0089】
また、上記(プリンタBを収納する)実施形態では、保管区画に対してプリンタBの向きが固定されている場合を例にとって説明し、プリンタBと保管区画101との各寸法同士、すなわち幅寸法WbとWp、奥行き寸法DbとDp、高さ寸法HbとHpとを比較し、これらのうちプリンタB側の寸法が1つでも保管区画101側の寸法以上となっていれば、収納不可能と判定してエラー表示とした(図6のステップS40、ステップS25参照)。しかしながらこれに限られない。すなわち、上記のようにいずれか1つの寸法に関し、プリンタB側の寸法が保管区画101側の寸法より大きかったとしても、プリンタBの収納方向を変えた状態で考えてプリンタB側の寸法が対応する保管区画101側の寸法よりすべて小さくなるのであれば、収納可能と再判定するようにしてもよい。
【0090】
すなわち、例えば、Hb<Hp、Wb>Wp、Db<Dpの場合水平方向に90度向きを変えて収納した状態を想定し、Wb<Dp、Db<Wpとなるのであれば、収納可能であると判定し、ステップS60において向きを変えれば収納可能の旨表示するようにしてもよい。またこのときに、前述の空間占有割合(Vb/Vp)が65〜90%の範囲内であることを前提として、上記の収納方向を変えた場合の再判定を試行するようにしてもよい。これにより、収納可能か不可能かの判定をより柔軟に行うことができ、利用者Hが物品(この例ではプリンタB)の体積に対し最適な容積の保管区画101をさらに確実に見つけ出すことができるので、利便性を向上することができる。
【0091】
また、上記実施形態では、保管区画101に収納する保管対象物品がプリンタBである場合を説明したが、本発明はこれに限られず、他の物品でもよい。例えば、図7に示すように保管対象物品として靴B′を適用してもよい。この場合には、靴B′の載置に要する面積(幅寸法×奥行き寸法)がどの靴でもあまり変わりがないとすると、靴B′の高さ寸法だけで収納の適否を判断できることになる。すなわち、実質的に高さ寸法のみで体積情報や容積情報として機能させることができる。したがって、この場合、物品タグTb、区画タグTp、及び棚タグTtに、高さ寸法のみを(体積情報や容積情報として)記憶するようにしてもよい。
【0092】
なお、図6に示すフローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
【0093】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0094】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の一実施形態の物品整理システムを、保管棚に収納されている物品の保管管理に適用した場合の一例を表す図である。
【図2】物品整理システムのうちのハンディリーダの詳細機能を表す機能ブロック図である。
【図3】ハンディリーダにおけるRF通信制御部の詳細構成をCPU及びリーダアンテナとともに表す機能ブロック図である。
【図4】無線タグに備えられた無線タグ回路素子の機能的構成の一例を表すブロック図である。
【図5】保管区画にプリンタが適切に収納された状態の寸法関係を概念的に示す説明図である。
【図6】ハンディリーダのCPUによって実行される制御手順を表すフローチャートである。
【図7】保管棚に保管対象物品として靴を収納整理する場合を表す図である。
【符号の説明】
【0096】
1 ハンディリーダ
3 リーダアンテナ(装置アンテナ)
4 CPU
6 操作部
7 表示部(表示手段)
100 保管棚
101 保管区画
301 物品整理システム
Tb 物品タグ
Tp 区画タグ
Tt 棚タグ
To 無線タグ回路素子(第1IC回路部、第2IC回路部)
B プリンタ(物品)
B′ 靴(物品)
H 利用者(操作者)



【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品に設けられ、情報を記憶する第1IC回路部と情報の送受信を行う第1タグアンテナとを備え、前記第1IC回路部に前記物品の体積情報を記憶した物品タグと、
物品整理用の区画に設けられ、情報を記憶する第2IC回路部と情報の送受信を行う第2タグアンテナとを備え、前記第2IC回路部に前記区画の容積情報を記憶した区画タグと、
前記物品タグ及び前記区画タグと情報送受信を行う無線タグ通信装置と
を有する物品整理システムであって、
前記無線タグ通信装置は、
無線通信を行うための装置アンテナと、
前記装置アンテナを介し、前記物品タグの前記第1IC回路部から前記体積情報を取得する第1情報取得手段と、
前記装置アンテナを介し、前記区画タグの前記第2IC回路部から前記容積情報を取得する第2情報取得手段と、
前記第1情報取得手段で取得した前記体積情報と、前記第2情報取得手段で取得した前記容積情報とに基づき、前記物品の前記区画への収納の適否を判定する判定手段と
を備えることを特徴とする物品整理システム。
【請求項2】
前記判定手段は、
前記第1情報取得手段で取得した前記体積情報が、前記第2情報取得手段で取得した前記容積情報よりも大きい場合には、前記物品の前記区画への収納を許可しないように判定する
ことを特徴とする請求項1記載の物品整理システム。
【請求項3】
前記判定手段は、
前記第1情報取得手段で取得した前記体積情報に含まれる、幅寸法、奥行き寸法、高さ寸法のいずれか1つが、前記第2情報取得手段で取得された前記容積情報に含まれる、幅寸法、奥行き寸法、高さ寸法のいずれか1つより大きい場合には、前記物品の前記区画への収納を許可しないように判定する
ことを特徴とする請求項2記載の物品整理システム。
【請求項4】
前記判定手段は、
前記物品の前記区画への収納を許可しないように判定した場合において、前記物品の前記区画への収納方向を変えた状態におきかえたときに、前記体積情報に含まれる幅寸法、奥行き寸法、高さ寸法が、前記容積情報において対応付けられる、幅寸法、奥行き寸法、高さ寸法よりそれぞれ小さくなった場合には、前記物品の前記区画への収納を許可するように再判定する
ことを特徴とする請求項2又は請求項3記載の物品整理システム。
【請求項5】
前記無線タグ通信装置は、
第1情報取得手段で取得した前記体積情報と、前記第2情報取得手段で取得した前記容積情報とに基づき、前記物品の体積が前記区画の容積に対して占める割合を算出する割合演算手段を有し、
前記判定手段は、
前記割合演算手段で算出した前記割合が、所定の第1しきい値以上となった場合に、前記物品の前記区画への収納を許可するように判定する
ことを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか1項記載の物品整理システム。
【請求項6】
前記無線タグ通信装置は、
前記割合演算手段で算出した前記割合が、前記第1しきい値より大きい第2しきい値以上となった場合には、対応する確認報知を行う報知手段を備える
ことを特徴とする請求項5記載の物品整理システム。
【請求項7】
前記無線タグ通信装置は、
前記割合演算手段での算出結果を表示する表示手段と
を備えることを特徴とする請求項6記載の物品整理システム。
【請求項8】
前記無線タグ通信装置は、
前記第2情報取得手段で取得した前記容積情報を、前記物品の前記区画に対する収納に対応して更新する更新演算手段と、
前記更新演算手段で更新した前記容積情報を、前記装置アンテナを介し、前記区画タグの前記第2IC回路部に書き込む、情報書き込み手段と
を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載の物品整理システム。
【請求項9】
物品の体積情報を記憶した物品タグと、物品整理用の区画の容積情報を記憶した区画タグとに対し、情報送受信を行う無線タグ通信装置であって、
無線通信を行うための装置アンテナと、
前記装置アンテナを介し、前記物品タグから前記体積情報を取得する第1情報取得手段と、
前記装置アンテナを介し、前記区画タグから前記容積情報を取得する第2情報取得手段と、
前記第1情報取得手段で取得した前記体積情報と、前記第2情報取得手段で取得した前記容積情報とに基づき、前記物品の前記区画への収納の適否を判定する判定手段と
を有することを特徴とする無線タグ通信装置。
【請求項10】
第1情報取得手段で取得した前記体積情報と、前記第2情報取得手段で取得した前記容積情報とに基づき、前記物品の体積が前記区画の容積に対して占める割合を算出する割合演算手段と、
前記割合演算手段で算出した前記割合が、所定のしきい値を超えた場合には、対応する確認報知を行う報知手段と
を有する
ことを特徴とする請求項9記載の無線タグ通信装置。
【請求項11】
前記割合演算手段での算出結果を表示する表示手段と
を有することを特徴とする請求項10記載の無線タグ通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−58935(P2010−58935A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−228034(P2008−228034)
【出願日】平成20年9月5日(2008.9.5)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】