説明

物品監視装置、物品監視方法及び物品監視プログラム

【課題】妨害電波の存在を精度よく検出するとともに、妨害電波が存在すると判定した場合、適切な措置を行うことが可能な物品監視装置、物品監視方法及び物品監視プログラムを提供する。
【解決手段】物品監視装置100は、無線タグ105Aが貼付された物品105を収納する収納什器104と、収納什器104の物品105に貼付された無線タグ105Aに対して信号を送受信するアンテナ103と、アンテナ103を用いて無線タグ105Aを読み取る読取装置102と、読取装置102から受信した無線タグ105Aとの通信結果に基づいて妨害電波の存在を検出した場合、妨害電波存在時処理を行う制御部101と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、物品監視装置、物品監視方法及び物品監視プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信可能な情報記憶媒体である無線タグはRFID(Radio Frequency Identification)とも呼ばれ、読取装置との間で情報を送受信するシステムが実用化されている。
【0003】
この無線タグの利用の一形態として物品監視装置への応用がある。この物品監視装置は無線タグが貼付された物品を収納治具に収納した状態により継時監視を行うものである。
【0004】
しかし、この物品監視装置の近くに、他の読取装置のような強力な電波を放射するものがあると、物品に貼付された無線タグを正確に読み取れない場合がある。
【0005】
この点に関し、無線タグからの応答信号に衝突が発生している場合、スロットを増大させ、このスロットの増大にもかかわらず衝突が減少しない場合、妨害電波があると判定する技術が提案されている。
【0006】
しかし、この技術によっては、読取装置が無線タグの応答を検知できなくなった場合、妨害電波によるものか無線タグが貼付された物品がなくなったことによるものかの判定ができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−323586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、妨害電波の存在を精度よく検出するとともに、妨害電波が存在すると判定した場合、適切な措置を行うことが可能な物品監視装置、物品監視方法及び物品監視プログラムが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の一実施形態は、無線タグが貼付された物品を収納する収納什器と、無線タグに対して信号を送受信するアンテナと、アンテナを用いて無線タグを読み取る読取装置と、読取装置から受信した無線タグとの通信結果に基づいて妨害電波の存在を検出した場合、妨害電波存在時処理を行う制御部と、を備える物品監視装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】物品監視装置を示す図である。
【図2】制御部の構成を示す図である。
【図3】読取装置の構成を示すブロック図である。
【図4】補助記憶装置が格納する各ファイルのデータ構造を示す図である。
【図5】監視用無線タグを備える物品監視装置の第1の例を示す図である。
【図6】監視用無線タグを備える物品監視装置の第2の例を示す図である。
【図7】監視用無線タグを備える物品監視装置の第3の例を示す図である。
【図8】物品監視装置の動作を示すフローチャートである。
【図9】物品監視装置「監視状態」時処理の動作を示すフローチャートである。
【図10】物品監視装置の妨害電波検出処理の第1の実施形態の動作を示すフローチャートである。
【図11】物品監視装置の妨害電波検出処理の第2の実施形態の動作を示すフローチャートである。
【図12】物品監視装置の妨害電波検出処理の第3の実施形態の動作を示すフローチャートである。
【図13】物品監視装置の妨害電波検出処理の第4の実施形態の動作を示すフローチャートである。
【図14】物品監視装置の「待ち状態」時処理の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、物品監視装置、物品監視方法及び物品監視プログラムの一実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0012】
本実施形態の物品監視装置は、無線タグが貼付された物品を収納する収納什器と、無線タグに対して信号を送受信するアンテナと、アンテナを用いて無線タグを読み取る読取装置と、読取装置から受信した無線タグとの通信結果に基づいて妨害電波の存在を検出した場合、妨害電波存在時処理を行う制御部と、を備える。
【0013】
(物品監視装置の構成)
図1は、本実施形態における物品監視装置100を示す図である。図1に示すように、物品監視装置100は、無線タグ105Aが貼付された物品105を収納する収納什器104と、収納什器104の物品105に貼付された無線タグ105Aに対して信号を送受信するアンテナ103と、アンテナ103を用いて無線タグ105Aを読み取る読取装置102と、読取装置102から受信した無線タグ105Aとの通信結果に基づいて妨害電波の存在を検出した場合、妨害電波存在時処理を行う制御部101と、を備える。
【0014】
収納什器104は、棚でもハンガーでもよい。アンテナ103は収納什器104に収納された物品105の無線タグ105Aと通信できる位置に配置される。
【0015】
図2は、制御部101の構成を示す図である。図2に示すように、制御部101は、演算装置であるCPU201と、キーボード、マウスなどの入力装置202と、ディスプレイなどの表示装置203と、読取装置102と通信を行うための通信インターフェース(以下、インターフェースをI/Fという。)204と、記憶装置であるROM205及びRAM206と、ハードディスクドライブのような補助記憶装置207と、を備える。
【0016】
RAM206は、無線タグ105Aの状態を格納する状態テーブル206Aと、無線タグ105Aの読み取り結果を格納する読み取り結果テーブル206Bと、を格納する。
【0017】
補助記憶装置207は、監視対象の無線タグ105AのIDを格納するIDリストファイル207Aと、エラー件数などの通信結果を格納する交信状態ログファイル207Bと、を格納する。
【0018】
図3は、読取装置102の構成を示すブロック図である。図3に示すように、読取装置102は、制御信号を生成し、情報を演算処理するCPU1と、送信信号を生成する送信部2と、受信信号を処理する受信部3と、無線信号を送受信するアンテナ103と、送信信号を送信部2からアンテナ103に供給し、受信信号をアンテナ103から受信部3に供給する方向性結合器16と、情報を記憶する記憶装置24と、制御部101と通信するための通信I/F25と、を備える。
【0019】
送信部2は、CPU1から入力した送信信号をディジタル信号からアナログ信号に変換するディジタルアナログコンバータ(DAC)11と、変換されたアナログ信号から不要な高周波成分を除去するフィルタ12と、PLL回路(PLL)15からの信号をフィルタ12の出力信号に積算する積算器13と、積算された送信信号を増幅する増幅器(PA)14と、を備える。
【0020】
受信部3は、受信信号を増幅する増幅器(LNA:Low Noise Amplifier)18と、PLL回路15からの信号と増幅後の受信信号とを積算する積算器19と、積算された信号から不要な高周波成分を除去するフィルタ20と、CPU1からの増幅率信号に基づいて信号を増幅する可変ゲインアンプ(PA)21と、増幅された受信信号をアナログ信号からディジタル信号に変換するアナログディジタルコンバータ(ADC)22と、信号強度に応じてCPU1が生成した増幅率信号をディジタル信号からアナログ信号に変換するディジタルアナログコンバータ(DAC)23と、を備える。
【0021】
CPU1は、DAC23に出力する増幅率信号に基づいて受信信号強度(RSSI:Received Signal Strength Indicator)を算出する。ここで、DAC23、PA21、ADC22をまとめてRSSI計測部4と呼ぶ。
【0022】
図4は、補助記憶装置207が格納する各ファイルのデータ構造を示す図である。図4(A)は、IDリストファイル207Aのデータ構造を示す図である。図4(A)に示すように、IDリストファイル207Aは無線タグ105Aに固有に割り振られた識別子である「ID」を格納する。IDのデータの例は「00001」である。
【0023】
図4(B)は、状態テーブル206Aのデータ構造を示す図である。図4(B)に示すように、状態テーブル206Aは、「ID」と、読取装置102が無線タグ105Aを最後に検出した時刻である「最終検出時刻」と、物品105が収納什器104から取り上げられたか否かを示す「ピックアップ状態」と、物品105が収納什器104から取り上げられた回数を示す「ピックアップ回数」と、を格納する。
【0024】
格納するデータの例は、IDが「00001」、最終検出時刻が「18:34:50」、ピックアップ状態が陳列を示す「0」又は取り上げられたことを示す「1」、ピックアップ回数が「1」である。
【0025】
図4(C)は、読み取り結果テーブル206Bのデータ構造を示す図である。図4(C)に示すように、読み取り結果テーブル206Bは、「ID」と、エラーの種別を示す「エラー種別」と、受信信号強度(RSSI)である「信号強度」と、を格納する。
【0026】
格納するデータの例は、IDが「00005」、エラー種別が、正常を示す「0」、タイムアウトを示す「1」、又はCRC(Cyclic Redundancy Check)エラーを示す「2」、信号強度が「5」である。
【0027】
図4(D)は、交信状態ログファイル207Bのデータ構造を示す図である。図4(D)に示すように、交信状態ログファイル207Bは、無線タグ105Aの検出時刻を示す「タイムスタンプ」と、読み取った無線タグ105Aの総枚数である「読み取り枚数」と、CRCエラーの発生件数を示す「CRCエラー件数」と、読み取り枚数を監視対象のIDの総数によって除算した値である「読み取り率」と、を格納する。
【0028】
格納するデータの例は、タイムスタンプが「18:34:50」、読み取り枚数が「100」、CRCエラー件数が「0」、読み取り率が「1」である。
【0029】
図5は、監視用無線タグ105Bを備える物品監視装置100の第1の例を示す図である。図5に示すように、物品監視装置100は収納什器104のアンテナ103の通信範囲内のうち、アンテナ103からの距離がどの物品105の無線タグ105Aまでの距離よりも長い位置に監視用無線タグ105Bを備える。
【0030】
物品監視装置100は収納什器104のアンテナ103の通信範囲内のうち、妨害電波が存在する場合物品105に貼付された無線タグ105Aよりも先にこの妨害電波の影響を受けて通信が妨害される位置に監視用無線タグ105Bを備える。
【0031】
物品監視装置100は、収納什器104の外側に電波が飛ぶのを避けるため、アンテナ103を収納什器104の最下部に備える。この場合、監視用無線タグ105Bはアンテナ103による通信範囲のうち、アンテナ103からの距離がどの物品105の無線タグ105Aまでの距離よりも長い位置である最上部に配置される。
【0032】
監視用無線タグ105Bは、IDがあらかじめ制御部101の補助記憶装置207に格納される。監視用無線タグ105Bの構成は無線タグ105Aの構成と同様である。
【0033】
監視用無線タグ105Bをこの位置に配置する理由は次の点にある。妨害電波がある場合、アンテナ103から遠い無線タグ105Aから読めなくなる。従って、読取装置102が監視用無線タグ105Bを読めなくなった場合、物品監視装置100は妨害電波があると判定することができるからである。
【0034】
図6は、監視用無線タグ105Bを備える物品監視装置100の第2の例を示す図である。図6に示すように、物品監視装置100は、収納什器104の下部に配置されたアンテナ103の通信範囲内のうち、アンテナ103からの距離がどの物品105の無線タグ105Aまでの距離よりも長い位置に監視用無線タグ105Bを備える。
【0035】
物品監視装置100は、収納什器104が平置き型の場合、アンテナ103は収納什器104の最下部に配置される。この場合、監視用無線タグ105Bはアンテナ103による通信範囲のうち、アンテナ103からの距離がどの物品105の無線タグ105Aまでの距離よりも長い位置である収納什器104に付属する治具であるPOP台601の上部に配置される。
【0036】
監視用無線タグ105Bをこの位置に配置する理由は、次の点にある。平置き型の収納什器104の場合、アンテナ103は収納什器104の下方に配置される。また、収納什器104の天板部にも物品105が陳列される。従って、これらの物品105の無線タグ105Aよりもアンテナ103からの距離を長くとるために、POP台601の上部に配置する。
【0037】
図7は、監視用無線タグ105Bを備える物品監視装置100の第3の例を示す図である。図7に示すように、物品監視装置100は収納什器104のアンテナ103の通信範囲内のうち、アンテナ103から放射される電波の届く範囲の辺縁部に監視用無線タグ105Bを備える。
【0038】
物品監視装置100は収納什器104のアンテナ103の通信範囲内のうち、アンテナ103を介して有効に無線タグ105Aと通信できる範囲701の最も外側に監視用無線タグ105Bを備える。
【0039】
物品監視装置100は、収納什器104が天板部にも物品105を陳列できる棚型の場合、アンテナ103は収納什器104の最下部に配置される。この場合、監視用無線タグ105Bはアンテナ103を介して有効に無線タグ105Aと通信できる範囲701の最も外側である天板の両端部に配置される。
【0040】
(物品監視装置の動作)
図8は、物品監視装置100の動作を示すフローチャートである。ここで、物品監視装置100の動作を制御しているのは制御部101である。
【0041】
図8に示すように、動作801において、物品監視装置100はIDリストファイル207AからIDを読み出し、状態テーブル206Aを生成する。初期状態では、状態テーブル206Aには値としてはIDのみが格納される。
【0042】
動作802において、物品監視装置100は読取装置102に対して無線タグ105Aの読取の開始を指示する。
【0043】
動作803において、物品監視装置100はRAM206に格納する変数「状態」に「監視状態」を代入する。
【0044】
動作804において、物品監視装置100は変数「状態」が「監視状態」であるかを判定する。物品監視装置100は、変数「状態」が「監視状態」であると判定した場合、「監視状態」時に行う一連の処理を行い、変数「状態」が「監視状態」でないと判定した場合、「待ち状態」時に行う一連の処理を行う。
【0045】
動作807において、物品監視装置100は、「監視状態」時処理又は「待ち状態」時処理が終了したかを判定する。物品監視装置100は、各処理が終了した場合、処理を終了し、処理が終了していない場合、動作804に戻る。
【0046】
(「監視状態」時処理)
図9は、物品監視装置100の「監視状態」時処理の動作を示すフローチャートである。図9に示すように、動作901において、物品監視装置100は読取装置102から無線タグ105Aの読取結果を取得する。
【0047】
動作902において、物品監視装置100は読取結果に基づいて交信状態ログファイル207Bを更新する。
【0048】
動作903において、物品監視装置100は妨害電波検出処理を行う。妨害電波検出処理には後述のようにいくつかの実施形態がある。妨害電波検出処理はいずれかの実施形態の処理のみを行っても、複数の実施形態の処理を組み合わせて行ってもよい。
【0049】
動作904において、物品監視装置100は妨害電波があるかを判定する。物品監視装置100は、妨害電波があると判定した場合、動作905に進み、ないと判定した場合、動作906に進む。
【0050】
動作905において、物品監視装置100は変数「状態」に「待ち状態」を代入して処理を抜け、図8の動作807に進む。
【0051】
動作906において、物品監視装置100は妨害電波の可能性があるかを判定する。物品監視装置100は、妨害電波の可能性があると判定した場合、動作907に進み、ないと判定した場合、動作908に進む。
【0052】
動作907において、物品監視装置100は状態テーブル206Aのコピーを補助記憶装置207に保存し、動作905に進む。
【0053】
動作908において、物品監視装置100は読取装置102の読み取り結果のIDと、制御部101のタイムスタンプと、を用いて状態テーブル206Aを更新して処理を抜け、図8の動作807に進む。
【0054】
(妨害電波検出処理の第1の実施形態)
図10は、物品監視装置100の妨害電波検出処理の第1の実施形態の動作を示すフローチャートである。
【0055】
図10に示すように、物品監視装置100は無線タグ105Aの読取率を所定時間間隔ごとに算出し、この所定時間に読取率がこの所定時間に低下した割合である読取率低下率が閾値以上となった場合、すなわち所定時間間隔内に無線タグ105Aの読み取り率が有意に低下した場合は妨害電波があると判定する。
【0056】
動作1001において、物品監視装置100は、次の(1)式に従って読み取り率を算出する。
【0057】
(読み取り率)=((読み取った無線タグ105AのIDの数)/(IDリストファイル207AのIDの総数))×100 ・・・ (1)
動作1002において、物品監視装置100は、読み取り率が100%であるかを判定する。物品監視装置100は、読み取り率が100%であった場合、動作1008にすすみ、100%でなかった場合、動作1003に進む。
【0058】
動作1003において、物品監視装置100は、次の(2)式に従って読み取り率低下率を算出する。
【0059】
(読み取り率低下率)=(((前回読み取り率)−(今回読み取り率))/(前回読み取り率))×100 ・・・ (2)
ここで、前回読み取り率は、今回読み取り率の算出時よりも所定時間前に算出した読み取り率である。この所定時間は、例えば2秒とすることができる。
【0060】
動作1004において、物品監視装置100は読み取り率低下率が50%以上であるかを判定する。物品監視装置100は、読み取り率低下率が50%以上であると判定した場合、動作1005に進み、50%以上でないと判定した場合、動作1006に進む。
【0061】
動作1005において、物品監視装置100は、妨害電波ありと判定し、妨害電波存在時処理である無線タグ105Aの読取の中断を読取装置102に指示する。この場合、物品監視装置100は所定時間経過後、処理を抜け、図8の動作807に進む。この所定時間は2秒とすることができる。
【0062】
動作1006において、物品監視装置100は読み取り率低下率が25%以上50%未満であるかを判定する。物品監視装置100は、読み取り率低下率が25%以上50%未満であると判定した場合、動作1007に進み、25%以上50%未満でないと判定した場合、動作1008に進む。
【0063】
動作1007において、物品監視装置100は妨害電波の可能性ありと判定し、図10に示した処理を抜け、動作907において状態テーブル206Aのコピーを保存する。その後、物品監視装置100は動作905に進み、図9に示した処理を抜け、図8の動作807に進む。
【0064】
動作1008において、物品監視装置100は妨害電波なしと判定し、図10に示した処理を抜け、動作908において物品監視装置100は読み取り装置102の読取結果のIDと、制御部101のタイムスタンプと、を用いて状態テーブル206Aを更新して図9に示した処理を抜け、図8の動作807に進む。
【0065】
この実施形態においては、短時間の間に、無線タグ105Aが大量に読めなくなった場合、すなわち所定時間間隔内に無線タグ105Aの読み取り率が有意に低下した場合は異常な事態であるため、この場合に妨害電波が存在すると判定することが可能となるという効果がある。
【0066】
(妨害電波検出処理の第2の実施形態)
図11は、物品監視装置100の妨害電波検出処理の第2の実施形態の動作を示すフローチャートである。図11に示すように、物品監視装置100はCRCエラーの発生率によって妨害電波の存在を判定する。この実施形態においては、所定時間間隔内におけるCRCエラーの発生率と閾値とを比較することにより妨害電波の存在を判定する。
【0067】
動作1101において、物品監視装置100は読み取り枚数が0かを判定する。物品監視装置100は、読み取り枚数が0でないと判定した場合、動作1102に進み、読み取り枚数が0であると判定した場合、動作1108に進む。
【0068】
動作1102において、物品監視装置100は所定時間間隔ごとにCRCエラー発生率を次の(3)式に従って算出する。
【0069】
(CRCエラー発生率)=(CRCエラー件数)/(無線タグ105Aの読み取り枚数)
・・・ (3)
動作1103において、物品監視装置100は、CRCエラー発生率が閾値以上かを判定する。物品監視装置100はCRCエラー発生率が閾値以上であると判定した場合、動作1004に進み、閾値以上でないと判定した場合、動作1105に進む。
【0070】
ここで、閾値は予め実験によって得られた値を用いることができる。また、閾値を操作することにより妨害電波の判定精度を変化させることができる。
【0071】
動作1104において、物品監視装置100は、妨害電波ありと判定し、妨害電波存在時処理である無線タグ105Aの読取の中断を読取装置102に指示する。この場合、物品監視装置100は所定時間経過後、処理を抜け、図8の動作807に進む。この所定時間は2秒とすることができる。
【0072】
動作1105において、物品監視装置100はCRCエラー発生率が閾値未満であり、閾値の1/2以上であるかを判定する。物品監視装置100は、CRCエラー発生率が閾値未満であり、閾値の1/2以上であると判定したとき、動作1106に進み、CRCエラー発生率が閾値未満と閾値の1/2以上の間にないと判定したとき、動作1107に進む。
【0073】
動作1106において、物品監視装置100は妨害電波の可能性ありと判定し、図11に示した処理を抜け、動作907において状態テーブル206Aのコピーを保存する。その後、物品監視装置100は動作905に進み、図9に示した処理を抜け、図8の動作807に進む。
【0074】
動作1107において、物品監視装置100は妨害電波なしと判定し、図11に示した処理を抜け、動作908において物品監視装置100は読み取り装置102の読取結果のIDと、制御部101のタイムスタンプと、を用いて状態テーブル206Aを更新して図9に示した処理を抜け、図8の動作807に進む。
【0075】
動作1108において、物品監視装置100はIDリストファイル207Aのエントリ数が0であるかを判定する。物品監視装置100はIDリストファイル207Aのエントリ数が0でないと判定したとき、動作1109に進み、0であると判定したとき、動作1107に進む。
【0076】
動作1109において、物品監視装置100はCRCエラー件数0であるかを判定する。物品監視装置100はCRCエラー件数が0でないと判定したとき、動作1104に進み、0であると判定したとき、動作1107に進む。
【0077】
以上述べたように、物品監視装置100は、閾値を変化させることによりCRCエラー発生率による妨害電波の存在の判定精度を変化させることができるという効果がある。
【0078】
(妨害電波検出処理の第3の実施形態)
図12は、物品監視装置100の妨害電波検出処理の第3の実施形態の動作を示すフローチャートである。図12に示すように、物品監視装置100はCRCエラーの発生率によって妨害電波の存在を判定する。この実施形態においては、最新のCRCエラーの発生率と過去のCRCエラー発生率の代表値とを比較することにより妨害電波の存在を判定する。
【0079】
動作1201において、物品監視装置100は読み取り枚数が0かを判定する。物品監視装置100は、読み取り枚数が0でないと判定した場合、動作1202に進み、読み取り枚数が0であると判定した場合、動作1209に進む。
【0080】
動作1202において、物品監視装置100はCRCエラー発生率を上述の(3)式に従って算出する。
【0081】
動作1203において、物品監視装置100は過去N回のCRCエラー発生率の代表値を算出する。代表値としては、相加平均、中央値、最頻値などが挙げられ、適宜選択できる。
【0082】
動作1204において、物品監視装置100は、最新のCRCエラー発生率を過去N回のCRCエラー発生率の代表値によって除算した値が閾値以上であるか、例えば2以上であるかを判定する。物品監視装置100は、最新のCRCエラー発生率を過去N回のCRCエラー発生率の代表値によって除算した値が2以上であると判定した場合、動作1205に進み、2以上でないと判定した場合、動作1206に進む。
【0083】
すなわち、物品監視装置100は通常のCRCエラー発生率よりも有意に高いCRCエラー発生率を検知した場合、妨害電波があると判定する。従って、閾値を変化させることによりCRCエラー発生率による妨害電波の存在の判定精度を変化させることができる。
【0084】
動作1205において、物品監視装置100は、妨害電波ありと判定し、妨害電波存在時処理である無線タグ105Aの読取の中断を読取装置102に指示する。この場合、物品監視装置100は所定時間経過後、処理を抜け、図8の動作807に進む。この所定時間は2秒とすることができる。
【0085】
動作1206において、物品監視装置100は最新のCRCエラー発生率を過去N回のCRCエラー発生率の代表値によって除算した値が2未満1.5以上であるかを判定する。物品監視装置100は、最新のCRCエラー発生率を過去N回のCRCエラー発生率の代表値によって除算した値が2未満1.5以上であると判定したとき、動作1207に進み、2未満1.5以上の間にないと判定したとき、動作1208に進む。
【0086】
動作1207において、物品監視装置100は妨害電波の可能性ありと判定し、図12に示した処理を抜け、動作907において状態テーブル206Aのコピーを保存する。その後、物品監視装置100は動作905に進み、図9に示した処理を抜け、図8の動作807に進む。
【0087】
動作1208において、物品監視装置100は妨害電波なしと判定し、図12に示した処理を抜け、動作908において物品監視装置100は読み取り装置102の読取結果のIDと、制御部101のタイムスタンプと、を用いて状態テーブル206Aを更新して図9に示した処理を抜け、図8の動作807に進む。
【0088】
動作1209において、物品監視装置100はIDリストファイル207Aのエントリ数が0であるかを判定する。物品監視装置100はIDリストファイル207Aのエントリ数が0でないと判定したとき、動作1210に進み、0であると判定したとき、動作1208に進む。
【0089】
動作1210において、物品監視装置100はCRCエラー件数0であるかを判定する。物品監視装置100はCRCエラー件数が0でないと判定したとき、動作1205に進み、0であると判定したとき、動作1208に進む。
【0090】
以上述べたように、物品監視装置100は通常のCRCエラー発生率よりも有意に高いCRCエラー発生率を検知した場合、妨害電波があると判定する。従って、閾値を変化させることによりCRCエラー発生率による妨害電波の存在の判定精度を変化させることができるという効果がある。
【0091】
(妨害電波検出処理の第4の実施形態)
図13は、物品監視装置100の妨害電波検出処理の第4の実施形態の動作を示すフローチャートである。図13に示すように、物品監視装置100は監視用無線タグ105Bの読み取り結果に応じて妨害電波の存在を判定する。
【0092】
動作1301において、物品監視装置100は監視用無線タグ105Bを読み込む。
【0093】
動作1302において、物品監視装置100は全ての監視用無線タグ105Bが読めているかを判定する。物品監視装置100は全ての監視用無線タグ105Bが読めていると判定しなかった場合、動作1303に進み、全て読めていると判定した場合、動作1307に進む。
【0094】
動作1303において、物品監視装置100は初期値0の変数「ロスト回数」に1を加算する。
【0095】
動作1304において、物品監視装置100はロスト回数が閾値以上であるかを判定する。物品監視装置100は、ロスト回数が閾値以上であると判定した場合、動作1305に進み、閾値未満であると判定した場合、動作1306に進む。
【0096】
動作1307において、物品監視装置100はロスト回数に0を代入する。
【0097】
動作1305において、物品監視装置100は、妨害電波ありと判定し、妨害電波存在時処理である無線タグ105Aの読取の中断を読取装置102に指示する。この場合、物品監視装置100は所定時間経過後、処理を抜け、図8の動作807に進む。この所定時間は2秒とすることができる。
【0098】
動作1306において、物品監視装置100は妨害電波の可能性ありと判定し、図13に示した処理を抜け、動作907において状態テーブル206Aのコピーを保存する。その後、物品監視装置100は動作905に進み、図9に示した処理を抜け、図8の動作807に進む。
【0099】
動作1308において、物品監視装置100は妨害電波なしと判定し、図13に示した処理を抜け、動作908において物品監視装置100は読み取り装置102の読取結果のIDと、制御部101のタイムスタンプと、を用いて状態テーブル206Aを更新して図9に示した処理を抜け、図8の動作807に進む。
【0100】
以上のべたように、物品監視装置100は妨害電波が存在するときに最初に読めなくなる位置に配置される監視用無線タグ105Bの読み取り結果に基づいて妨害電波の存在の判定を行う。従って、精度よく妨害電波の存在を検出することができるという効果がある。
【0101】
(「待ち状態」時処理)
図14は、物品監視装置100の「待ち状態」時処理の動作を示すフローチャートである。図14に示すように、動作1401において、物品監視装置100は読取装置102から無線タグ105Aの読み取り結果を取得する。
【0102】
動作1402において、物品監視装置100は上述の妨害電波検出処理を行う。妨害電波検出処理はいずれかの実施形態の処理のみを行っても、複数の実施形態の処理を組み合わせて行ってもよい。
【0103】
動作1403において、物品監視装置100は妨害電波がないかを判定する。物品監視装置100は妨害電波がないと判定したとき動作1404に進み、ないと判定しなかったとき、処理を抜け、図8の動作807に進む。
【0104】
動作1404において、物品監視装置100は保存してあった状態テーブル206Aのコピーを状態テーブル206Aにリストアする。
【0105】
動作1405において、物品監視装置100は、変数「状態」に「監視状態」を代入し、処理を抜け、図8の動作807に進む。
【0106】
(物品監視プログラム)
上記の動作を実行するプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録され、物品監視装置100はこの記録媒体からプログラムを読み出して実行する。
【0107】
コンピュータが読み取り可能な記録媒体は、フレキシブル磁気ディスク、ハードディスク、フラッシュメモリ、磁気テープ、ROMなどのメモリ、ASICなどが挙げられるが、これらに限られるわけではない。
【0108】
(本実施形態の効果)
以上のべたように、本実施形態の物品監視装置100は、無線タグ105Aが貼付された物品105を収納する収納什器104と、収納什器104の物品105に貼付された無線タグ105Aに対して信号を送受信するアンテナ103と、アンテナ103を用いて無線タグ105Aを読み取る読取装置102と、読取装置102から受信した無線タグ105Aとの通信結果に基づいて妨害電波の存在を検出した場合、妨害電波存在時処理を行う制御部101と、を備える。
【0109】
従って、妨害電波の存在を精度よく検出するとともに、妨害電波が存在すると判定した場合、適切な措置を行うことが可能となるという効果がある。
【0110】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0111】
100:物品監視装置
102:読取装置
103:アンテナ
104:収納什器
105A:無線タグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線タグが貼付された物品を収納する収納什器と、
前記無線タグに対して信号を送受信するアンテナと、
前記アンテナを用いて前記無線タグを読み取る読取装置と、
前記読取装置から受信した前記無線タグとの通信結果に基づいて妨害電波の存在を検出した場合、妨害電波存在時処理を行う制御部と、を備える物品監視装置。
【請求項2】
前記収納什器は、
前記アンテナの通信範囲内のうち、前記妨害電波が存在する場合前記無線タグよりも先に前記妨害電波の影響を受けて通信が妨害される位置に監視用無線タグを備え、
前記制御部は、
前記監視用無線タグを読み取れないと判定した場合、妨害電波が存在すると判定する請求項1記載の物品監視装置。
【請求項3】
前記監視用無線タグは、
前記アンテナの通信範囲内のうち、前記アンテナからの距離がどの前記無線タグまでの距離よりも長い位置に配置される請求項2記載の物品監視装置。
【請求項4】
前記監視用無線タグは、
前記アンテナの通信範囲内のうち、前記アンテナを介して有効に前記無線タグと通信できる範囲の最も外側に監視用無線タグを備える請求項2記載の物品監視装置。
【請求項5】
前記制御部は、
所定時間間隔内に無線タグの読み取り率が有意に低下した場合、妨害電波が存在すると判定する請求項1記載の物品監視装置。
【請求項6】
前記制御部は、
所定時間間隔ごとに、CRCエラー件数を無線タグ読み取り件数によって除算した値であるCRCエラー発生率を算出し、
CRCエラー発生率が閾値以上であった場合、妨害電波が存在すると判定する請求項1記載の物品監視装置。
【請求項7】
前記制御部は、
所定時間間隔ごとに、CRCエラー件数を無線タグ読み取り件数によって除算した値であるCRCエラー発生率を算出し、
過去の前記CRCエラー発生率の代表値を算出し、
最新の前記CRCエラー発生率が、前記代表値に対して有意に高い場合、妨害電波が存在すると判定する請求項1記載の物品監視装置。
【請求項8】
収納什器に無線タグが貼付された物品を収納し、
アンテナを介して前記無線タグに対して信号を送受信し、
読取装置によって前記無線タグを読み取り、
前記読取装置から受信した前記無線タグとの通信結果に基づいて妨害電波の存在を検出した場合、妨害電波存在時処理を行う物品監視方法。
【請求項9】
前記収納什器の前記アンテナの通信範囲内のうち、前記妨害電波が存在する場合前記無線タグよりも先に前記妨害電波の影響を受けて通信が妨害される位置に監視用無線タグを設置し、
前記監視用無線タグを読み取れないと判定した場合、妨害電波が存在すると判定する請求項8記載の物品監視方法。
【請求項10】
前記監視用無線タグは、
前記アンテナの通信範囲内のうち、前記アンテナからの距離がどの前記無線タグまでの距離よりも長い位置に配置される請求項9記載の物品監視方法。
【請求項11】
前記監視用無線タグは、
前記アンテナの通信範囲内のうち、前記アンテナを介して有効に前記無線タグと通信できる範囲の最も外側に監視用無線タグを備える請求項9記載の物品監視方法。
【請求項12】
所定時間間隔内に無線タグの読み取り率が有意に低下した場合、妨害電波が存在すると判定する請求項8記載の物品監視方法。
【請求項13】
所定時間間隔ごとに、CRCエラー件数を無線タグ読み取り件数によって除算した値であるCRCエラー発生率を算出し、
CRCエラー発生率が閾値以上であった場合、妨害電波が存在すると判定する請求項8記載の物品監視方法。
【請求項14】
所定時間間隔ごとに、CRCエラー件数を無線タグ読み取り件数によって除算した値であるCRCエラー発生率を算出し、
過去の前記CRCエラー発生率の代表値を算出し、
最新の前記CRCエラー発生率が、前記代表値に対して有意に高い場合、妨害電波が存在すると判定する請求項8記載の物品監視方法。
【請求項15】
収納什器に配置されたアンテナを有する無線タグの読取装置に接続する制御部が、前記アンテナを介して前記読み取り装置によって前記収納什器に収納された物品に貼付された前記無線タグに対して信号を送受信し、
前記制御部が読取装置によって前記無線タグを読み取り、
前記制御部が前記読取装置から受信した前記無線タグとの通信結果に基づいて妨害電波の存在を検出した場合、妨害電波存在時処理を行う物品監視プログラム。
【請求項16】
前記収納什器は、
前記アンテナの通信範囲内のうち、前記妨害電波が存在する場合前記無線タグよりも先に前記妨害電波の影響を受けて通信が妨害される位置に監視用無線タグを備え、
前記制御部は、
前記監視用無線タグを読み取れないと判定した場合、妨害電波が存在すると判定する請求項15記載の物品監視プログラム。
【請求項17】
前記監視用無線タグは、
前記アンテナの通信範囲内のうち、前記アンテナからの距離がどの前記無線タグまでの距離よりも長い位置に配置される請求項16記載の物品監視プログラム。
【請求項18】
前記監視用無線タグは、
前記アンテナの通信範囲内のうち、前記アンテナを介して有効に前記無線タグと通信できる範囲の最も外側に監視用無線タグを備える請求項16記載の物品監視プログラム。
【請求項19】
前記制御部は、
所定時間間隔内に無線タグの読み取り率が有意に低下した場合、妨害電波が存在すると判定する請求項15記載の物品監視プログラム。
【請求項20】
前記制御部は、
所定時間間隔ごとに、CRCエラー件数を無線タグ読み取り件数によって除算した値であるCRCエラー発生率を算出し、
CRCエラー発生率が閾値以上であった場合、妨害電波が存在すると判定する請求項15記載の物品監視プログラム。
【請求項21】
前記制御部は、
所定時間間隔ごとに、CRCエラー件数を無線タグ読み取り件数によって除算した値であるCRCエラー発生率を算出し、
過去の前記CRCエラー発生率の代表値を算出し、
最新の前記CRCエラー発生率が、前記代表値に対して有意に高い場合、妨害電波が存在すると判定する請求項15記載の物品監視プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−70148(P2013−70148A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205902(P2011−205902)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】