物品移載装置
【課題】 物品の移載後の向きを制御できる物品移載装置を提供する。
【解決手段】 第1の主軸2に軸支された回転ベース部3と、回転ベース部3上で第1の主軸周りの円周上に配置され、先端に吸着パッド40を有する複数の副軸4と、第1の主軸2に対向する第2の主軸5に取り付けられた主プーリ50と、各副軸4に取り付けられた複数の副プーリ41と、主プーリ50および各副プーリ41間に巻き掛けられたタイミングベルト42とから物品移載装置1を構成する。第1の主軸2の回転により回転ベース部3が回転して、副軸4が第1の主軸回りに回転し、これにより、吸着パッド40に保持されたワークWが第1の位置から第2の位置に移載される。このとき、第2の主軸5を回転させ、主プーリ50を回転させることにより、タイミングベルト42を介して副プーリ41が回転して副軸4が回転する。これにより、移載時のワークWの向きが変えられる。
【解決手段】 第1の主軸2に軸支された回転ベース部3と、回転ベース部3上で第1の主軸周りの円周上に配置され、先端に吸着パッド40を有する複数の副軸4と、第1の主軸2に対向する第2の主軸5に取り付けられた主プーリ50と、各副軸4に取り付けられた複数の副プーリ41と、主プーリ50および各副プーリ41間に巻き掛けられたタイミングベルト42とから物品移載装置1を構成する。第1の主軸2の回転により回転ベース部3が回転して、副軸4が第1の主軸回りに回転し、これにより、吸着パッド40に保持されたワークWが第1の位置から第2の位置に移載される。このとき、第2の主軸5を回転させ、主プーリ50を回転させることにより、タイミングベルト42を介して副プーリ41が回転して副軸4が回転する。これにより、移載時のワークWの向きが変えられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の移載後の向きを制御できる物品移載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物品移載装置として、例えば特開2001−158530号公報に示すような容器移載装置が本件出願人により提案されている。この容器移載装置は、支軸の回りを鉛直面内で90度旋回可能なアーム部材と、アーム部材の先端に取り付けられ、容器を吸着保持する吸着パッドとから構成されている。
【0003】
上記容器移載装置において、容器を移載する際には、まず、供給コンベアにより、瓶やボトル等の容器が横転状態のまま、容器移載装置に向かって供給される。その一方、容器移載装置は、吸着パッドを上向きに配置した状態で待機している。この状態から、横転状態の容器が容器移載装置の吸着パッドに導入されて、吸着パッドにより吸着保持される。次に、容器移載装置のアーム部材が鉛直面内で90度旋回して、吸着パッドを水平方向に配向させる。そして、吸着パッドによる吸着保持状態を解除することにより、容器移載装置の側方に配設された搬送コンベア上に容器が起立状態で載置される。このようにして、供給コンベアから搬送コンベアに容器が移載される。
【0004】
この場合には、移載後の容器の向きが移載前の状態から90度傾いた状態に限られる。その一方、容器の形態やコンベアの配列等に応じて、移載後の容器の向きを種々の向きに変えたいとする業界の要請がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたもので、本発明が解決しようとする課題は、物品の移載後の向きを制御できる物品移載装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明に係る物品移載装置は、回転可能な第1の主軸と、第1の主軸により中央部が軸支された回転ベース部と、回転ベース部において第1の主軸の周りの円周上に配置され、物品を保持するための保持部を先端に有する複数の副軸と、第1の主軸に対向配置された回転可能な第2の主軸と、第2の主軸に取り付けられた主プーリと、各副軸にそれぞれ取り付けられた複数の副プーリと、主プーリおよび各副プーリ間に巻き掛けられた無端状のベルト部材とを備えている。
【0007】
請求項1の発明においては、副軸の保持部に物品を保持した状態から、第1の主軸を回転させて回転ベース部を回転させると、各副軸が第1の主軸の回りを回転する。これにより、副軸の保持部に保持された物品が移載位置へと移動する。また、この場合には、物品を移載位置へ移動させる際に、第2の主軸を回転させて主プーリを回転させると、ベルト部材が走行して各副プーリが回転し、これにより、各副軸が回転して保持部が回転する。このようにして、保持部に保持された物品の向きを変えることができる。しかも、この場合には、第2の主軸の回転量を制御することにより、移載後の物品の向きを制御できるようになる。
【0008】
請求項2の発明では、請求項1において、第1の主軸の回転により回転ベース部が回転することによって、保持部に物品が保持された副軸が第1の主軸の回りに回転し、これにより、物品が第1の位置から第2の位置に移載されるようになっている。
【0009】
また、請求項3の発明では、請求項2において、物品が第1の位置から第2の位置に移動する際に、第2の主軸の回転により、主プーリが回転してベルト部材が走行することにより、副プーリが回転して副軸が回転し、これにより、移載時の物品の向きが変えられるようになっている。
【0010】
これらの場合においても、物品を第1の位置から第2の位置へ移動させる際に、第2の主軸を回転させて主プーリを回転させることにより、各副軸とともに保持部が回転し、これにより、保持部に保持された物品の向きを変えることができる。さらに、第2の主軸の回転量を制御することにより、移載後の物品の向きを制御できるようになる。
【0011】
請求項4の発明では、請求項1において、第1の主軸の回転制御により、物品の移載位置が制御されるとともに、第2の主軸の回転制御により、移載後の物品の向きが制御されている。
【0012】
請求項5の発明では、請求項1において、回転ベース部が、各副軸の配置された複数の位置に向かって中央部から放射状に延びる部材である。
【0013】
請求項6の発明では、請求項1において、各副軸が円周上に均等間隔で配置されている。
【0014】
この場合には、移載前の物品が供給される第1のステーションから、物品が移載される第2のステーションまで保持部が移動する間に、次に移載すべき物品を保持する保持部が第1のステーションまで移動するので、物品の移載処理を連続して行えるようになる。
【0015】
請求項7の発明では、請求項1において、副軸または保持部がそれぞれ軸方向に移動可能に設けられている。
【0016】
この場合には、例えば保持部が物品を保持する際には、副軸または保持部が軸方向下方に移動して、保持部が物品に接近し、これにより、保持部による物品の保持(例えば吸着保持)が容易に行える。また、保持部が移動する際には、副軸または保持部が軸方向上方に移動して、保持部が上方に移動し、これにより、保持部の回転を円滑に行える。
【0017】
請求項8の発明では、請求項1において、各副軸およびこれに対応する各副プーリ間の係合は、各副プーリが各副軸に対して軸方向に移動可能かつ相対回転不能になって(つまり回転方向に固定されて)いる。
【0018】
この場合には、各副軸の回転時には、各副軸とともに各副プーリが回転し、さらに、保持部による物品の保持および保持部の回転の際には、各副プーリが各副軸に対して軸方向に移動する。なお、このような副軸および副プーリ間の係合には、例えばスプライン係合の他、すべりキーによる係合がある。
【0019】
請求項9の発明では、請求項1において、第1の主軸を回転自在に支持する固定ベース部が設けられており、固定ベース部および副軸には、回転ベース部の回転時に各副軸を軸方向に移動させるための移動機構が設けられている。
【0020】
この場合、回転ベース部の回転時には、固定ベース部および副軸に設けられた移動機構により、各副軸が軸方向に移動するので、各副軸の各保持部による物品の保持および各保持部の第1の主軸回りの回転を円滑に行えるようになる。
【0021】
請求項10の発明では、請求項9において、移動機構が、各副軸に回転自在に設けられかつ各副軸に対して軸方向に移動不能に設けられるとともに、回転自在なカムフォロアを外周に有するブロック部材と、固定ベース部に設けられ、カムフォロアが当接するカム溝とから構成されている。
【0022】
この場合には、カムフォロアがカム溝に当接しつつカム溝に沿って転動することにより、ブロック部材とともに各副軸が軸方向に移動する。
【0023】
請求項11の発明では、請求項10において、ブロック部材の回り止めを行う回り止め機構が設けられている。
【0024】
この場合には、ブロック部材の回り止め機構が設けられていることにより、カムフォロアをカム溝に常時当接させておくことができる。
【0025】
請求項12の発明では、請求項11において、ブロック部材が複数のカムフォロアを有するとともに、回転ベース部がブロック部材の周囲に配設されたブラケット部を有し、回り止め機構が、いずれかのカムフォロアと、ブラケット部に形成され、カムフォロアが係合する係合溝とから構成されている。
【0026】
この場合には、ブロック部材に設けられた複数のカムフォロアのうちのいずれかのカムフォロアが、回転ベース部のブラケット部に形成された係合溝に係合することにより、ブロック部材の回り止め機構が構成されているので、構造を簡略化できる。
【0027】
請求項13の発明では、請求項1において、保持部が、物品を吸着保持する吸着パッドから構成されている。
【0028】
請求項14の発明では、請求項1において、各副プーリが回転ベース部にそれぞれ回転自在に支持されている。
【0029】
請求項15の発明では、請求項1において、主プーリおよび副プーリがタイミングプーリであって、ベルト部材がタイミングベルトである。
【発明の効果】
【0030】
以上のように、本発明に係る物品移載装置によれば、回転可能な第1の主軸により中央部が軸支された回転ベース部と、回転ベース部において第1の主軸周りの円周上に配置され、物品の保持部を先端に有する複数の副軸と、第1の主軸に対向する回転可能な第2の主軸に取り付けられた主プーリと、各副軸にそれぞれ取り付けられた複数の副プーリと、主プーリおよび各副プーリ間に巻き掛けられた無端状のベルト部材とを設けたので、副軸の保持部が物品を保持した状態から、第1の主軸を回転させて回転ベース部を回転させると、各副軸が第1の主軸の回りを回転して、保持部に保持された物品が移載位置へと移動し、その際に、第2の主軸を回転させて主プーリを回転させると、ベルト部材を介して各副プーリが回転し、各副軸が回転して保持部が回転する。これにより、保持部に保持された物品の向きを移載時に変えることができる。しかも、この場合、第2の主軸の回転量を制御することで、移載後の物品の向きを制御できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施例による物品移載装置の正面断面概略図である。
【図2】物品移載装置(図1)の一部拡大図である。
【図3】物品移載装置(図1)の平面概略図であって、主プーリ、各副プーリ、これらに巻き掛けられるタイミングベルト、および回転ベース部を主に示す図である。
【図4】物品移載装置(図1)における副軸部分の拡大図である。
【図5】図2のV-V線断面図である。
【図6】物品の移載の仕方の一例である第1の移載例を示す模式図であって、主プーリが回転しない場合を示している。
【図7】物品の移載の仕方の一例である第1の移載例を示す模式図であって、主プーリが回転ベース部の回転方向と同方向(順方向)に回転ベース部の回転速度の1/2倍の速度で回転する場合を示している。
【図8】物品の移載の仕方の一例である第1の移載例を示す模式図であって、主プーリが回転ベース部の回転方向と逆方向に回転ベース部の回転速度の1/2倍の速度で回転する場合を示している。
【図9】物品の移載の仕方の一例である第1の移載例を示す模式図であって、主プーリが回転ベース部の回転方向と同方向(順方向)に回転ベース部の回転速度と同じ速度で回転する場合を示している。
【図10】物品の移載の仕方の他の例である第2の移載例を示す模式図であって、主プーリが回転しない場合を示している。
【図11】物品の移載の仕方の他の例である第2の移載例を示す模式図であって、主プーリが回転ベース部の回転方向と同方向(順方向)に回転ベース部の回転速度と同じ速度で回転する場合を示している。
【図12】物品の移載の仕方の他の例である第2の移載例を示す模式図であって、主プーリが回転ベース部の回転方向と逆方向に回転ベース部の回転速度と同じ速度で回転する場合を示している。
【図13】物品の移載の仕方の他の例である第2の移載例を示す模式図であって、主プーリが回転ベース部の回転方向と同方向(順方向)に回転ベース部の回転速度の2倍の速度で回転する場合を示している。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
図1ないし図5は、本発明の一実施例による物品移載装置を示している。
【0033】
図1に示すように、物品移載装置1は、上下方向に延びかつサーボモータM1の出力軸に駆動連結されるとともに、ブラケット20に回転自在に支持された第1の主軸2と、第1の主軸2の上側端部がその中央部にキー止めされた回転ベース部3と、回転ベース部3上において第1の主軸2の周りの円周上に均等間隔で配置されるとともに、回転ベース部3を上下に挿通して上下方向に延びる複数の副軸4とを備えている。
【0034】
各副軸4の下端には、ワーク(物品)Wを吸着保持するための吸着パッド(保持部)40がそれぞれ設けられている。各副軸4の内部には、各吸着パッド40に連通する上下方向の貫通孔4aがそれぞれ形成されている(図2参照)。これらの貫通孔4aは、真空ポンプや真空ブロア等の真空形成装置(図示せず)に接続されている。なお、ここでは、ワークWとして、菓子類等の食品や石鹸等の洗剤、医薬品等に用いられるピロー包装品を例にとって示しているが、本発明の適用はこれらに限定されないことはいうまでもない。
【0035】
第1の主軸2の上方には、上下方向に延びかつサーボモータM2の出力軸に駆動連結されるとともに、ブラケット50に回転自在に支持された第2の主軸5が設けられている。第2の主軸5は、第1の主軸2に対向配置されている。第2の主軸5の下側端部には、主プーリ(タイミングプーリ)51がキー止めされている。一方、各副軸4には、それぞれ副プーリ(タイミングプーリ)41が取り付けられており、主プーリ51および各副プーリ41間には、無端状のベルト部材としてのタイミングベルト42が巻き掛けられている。
【0036】
回転ベース部3は、図3に示すように、中央部から外周に向かって放射状に延びる部材である。ここでは、円周上に均等間隔で4本の副軸4が設けられた例を示しており、放射状の各突起部の形成位置は、これら副軸4および副プーリ41の位置に対応している。また、隣り合う各副プーリ41の間、ならびに主プーリ51およびこれと隣り合う副プーリ41の間には、複数のテンショナプーリ43が配置されている。主プーリ51および各副プーリ41間に巻き掛けられるタイミングベルト42は、これらのテンショナプーリ43にも巻き掛けられており、これにより、タイミングベルト42に適度の張力が常時付与されている。
【0037】
回転ベース部3上において、各副プーリ41に対応する位置には、ブラケット30がそれぞれ固定されている。各副プーリ41のボス部41aは、対応するブラケット30および回転ベース部3に回転自在に支持されている。
【0038】
各副軸4の上部外周には、図2に示すように、スプライン軸部4bが形成されている(図4参照)。一方、各副プーリ41のボス部41aの取付穴には、スプライン軸部4bに対応するスプライン穴が形成されており、これらスプライン軸部4bおよびスプライン穴が係合している。これにより、副軸4は副プーリ41に対して回転方向に固定される(つまり副プーリ41とともに回転する)とともに、副プーリ41に対して上下方向に移動可能になっている。
【0039】
各副軸4の下部の周囲には、それぞれブラケット31が設けられている(図4参照)。各ブラケット31は、回転ベース部3の下面に固定されている。各副軸4の下部と各ブラケット31との間には、例えば角柱状のブロック部材6がそれぞれ介装されている。各ブロック部材6には上下方向の貫通孔6aが形成されるとともに、当該貫通孔6aに副軸4が挿入されており(図2参照)、各ブロック部材6は、各副軸4の下部に回転自在に支持されている。また、各ブロック部材6は、貫通孔6aに止着された穴止め輪、および副軸4に止着された軸止め輪を介して、副軸4に対し軸方向移動不能に設けられている。
【0040】
各ブラケット31の一部には、図2に示すように、窓孔31aが貫通形成されている。ブロック部材6の一側部は、窓孔31a内に進入しており、その外側面にカムフォロア7の支軸部7aが固定されている(図4、図5参照)。カムフォロア7のローラ7bは、支軸部7aに回転自在に設けられている。
【0041】
ブラケット20の上端において水平方向に張り出すフランジ部20aには、環状ベース部21が固定されている。環状ベース部21には、カム溝21aが形成されている。カム溝21aは、環状ベース部21の外周に沿って円周上に形成されており、そのカム曲線の上下方向の高さは、上方位置と下方位置との間で徐々に変化している。各ブロック部材6に設けられたカムフォロア7のローラ7bは、カム溝21a上に当接している。図1、図2および図4においては、ローラ7bがカム溝21aのカム曲線の下方位置に当接した状態が示されている。
【0042】
カムフォロア7のローラ7bがカム溝21aのカム曲線の下方位置に当接しているとき、ブロック部材6および副軸4は軸方向下方に移動しており、このとき、副軸先端の吸着パッド40は、ワークWを吸着保持するワーク吸着保持位置、または移載位置においてワークWの吸着保持状態を解除するワーク吸着保持解除位置に移動している。また、カムフォロア7のローラ7bがカム溝21aのカム曲線の上方位置に当接しているとき、ブロック部材6および副軸4は軸方向上方に移動している。このとき、副軸先端の吸着パッド40は、上方の退避位置に移動しており、吸着パッド40は、副軸4とともに主軸2の回りを旋回し得るようになっている。
【0043】
ブロック部材6、カムフォロア7およびカム溝21aにより、副軸4の移動機構8が構成されている。また、ブラケット20および環状ベース部21により、第1の主軸2を回転自在に支持する固定ベース部が構成されている。
【0044】
ブロック部材6において、カムフォロア7が取り付けられた側面と異なる側面には、図4および図5に示すように、別のカムフォロア7’が取り付けられている。ここでは、カムフォロア7が取り付けられた側面の両隣の各側面にカムフォロア7’が取り付けられた例を示している。カムフォロア7’は、ブロック部材6に固定された支軸部7’aと、その先端に回転自在に設けられたローラ7’bとを有している。
【0045】
ブラケット31の外周面において、各カムフォロア7’に対応する位置には、切欠き(係合溝)31bがそれぞれ形成されている(図4参照)。これらの切欠き31bに、各カムフォロア7’の各ローラ7’bが上下方向スライド自在に係合している。これにより、ブロック部材6が副軸4の回りに回転するのを防止する回り止め機構が構成されている。
【0046】
次に、本実施例の作動の概略について説明する。
まず、ワークWを第1の位置から第2の位置に移載する際には、吸着パッド40によりワークWを吸着保持した状態から、サーボモータM1を駆動して第1の主軸2を回転させ、副軸4を第1の主軸2の回りに所定角度回転(つまり旋回)させる。これにより、副軸4が第1の位置から第2の位置に移動して、ワークWが第2の位置に移載される。
【0047】
この場合において、ワークWの旋回時には、副軸4にスプライン係合した副プーリ41は、当該副プーリ41および主プーリ51にタイミングベルト42が巻き掛けられた状態で、主プーリ51の回りを旋回する(図3参照)。このため、この旋回時にサーボモータM2により第2の主軸5を駆動して主プーリ51を回転させるか否か、またいずれの向きにどれだけ回転させるかに応じて、移載後のワークWの向きが異なってくる(これについては後述する)。
【0048】
具体的なワーク移載例として、図6ないし図9に示す第1の移載例、および図10ないし図13に示す第2の移載例について以下に説明する。
【0049】
〔第1の移載例〕
図6ないし図9に示す第1の移載例においては、供給コンベア100により矢印a方向に搬送されて供給されてきたワークWが、移載後は搬出コンベア101により、矢印a方向から180度反転した矢印b方向に搬出される例が示されている。供給コンベア100および搬出コンベア101は、180度反転した向きに配設されており、ワークWの供給、移載および搬出の流れが略U字状に形成されている。回転ベース部3は、90度間隔で放射状に延設されており、前記実施例と同様に、各延設部の先端に4本の副軸を有している。各副軸および各吸着パッド40は、ワークWが供給される供給ステーションA(第1の位置)から中間ステーションBをへて移載ステーションC(第2の位置)に移行し、ワーク移載後、中間ステーションDをへて供給ステーションAに戻るようになっている。また、ワークWの一部に斜線を施しているのは、図示の便宜上、ワークWの向きを分かりやすくするためである。
【0050】
この場合に、ステーションAおよびCにおいては、カムフォロア7(図1)が環状ベース部21のカム溝21aのカム曲線に沿って下方位置に移動しており、副軸4が下方に移動して、吸着パッド40が下方位置に配置されている。これにより、ステーションAでのワーク吸着保持、ならびにステーションCでのワーク吸着保持の解除およびワーク移載処理を容易に行える。また、ステーションBおよびDにおいては、カムフォロア7が環状ベース部21のカム溝21aのカム曲線に沿って上方位置に移動しており、副軸4が上方に移動して、吸着パッド40が上方位置に配置されている。これにより、ステーションA〜CおよびステーションC〜Aへのワーク移動がスムーズに行われる。
【0051】
なお、実際の運転時には、回転ベース部3はサーボモータM1の駆動により一定速度で連続して回転している。回転ベース部3の回転速度は、ステーションAにおける接線方向速度(つまり周速度)が供給コンベア100の搬送速度と等しくなるように制御されている。
【0052】
図6は、サーボモータM2を回転させない例を示している。
図6中(図7ないし図9においても同様)、ステーションAにおいて、括弧内の数字1、2、3は、回転ベース部3のそれぞれ1回転目、2回転目、3回転目を示し、各数字の上側に山形形状で示されているのは、それぞれの回転時における吸着パッド40の向きを示している。
【0053】
図6に示すように、回転ベース部3のいずれかの放射状延設部がステーションAに移動したとき、カムフォロア7のローラ7bが環状ベース部21のカム溝21aに沿って下方位置に移動しており(図1、図2、図4参照)、これにより、ブロック部材6を介して副軸4および吸着パッド40が下方に移動している。この状態から、吸着パッド40により、供給コンベア100のステーションAに供給されたワークWが吸着保持される。
【0054】
ワークWの吸着保持後、回転ベース部3がステーションAからステーションBをへてステーションCまで移動するとき、この移動の間、サーボモータM2が回転せずに停止していることから、各副プーリ41およびテンショナプーリ43(図3参照)は、当該各副プーリ41、テンショナプーリ43および主プーリ51の回りにタイミングベルト42が巻き掛けられた状態で、主プーリ51の回りを回転する。このため、図6に示すように、ステーションAからステーションBをへてステーションCまで移動する間に、吸着パッド40の向きは変化しておらず、ワークWは常時同じ向きに配置されている。
【0055】
また、ワークWの吸着保持後、回転ベース部3の回転により、カムフォロア7のローラ7bが環状ベース部21のカム溝21aに沿って上方位置に移動し、この状態で、ステーションAからステーションBをへてステーションCの近傍まで、回転ベース部3および吸着パッド40の旋回が行われる。なお、回転ベース部3の旋回時には、ブロック部材6の各カムフォロア7’の各ローラ7’bがブラケット31の切欠き31bに係合していることにより(図4参照)、ブロック部材7の副軸回りの回転が規制されており、これにより、カムフォロア7とカム溝21aと当接状態が維持されるようになっている。ステーションCでは、カムフォロア7のローラ7bが環状ベース部21のカム溝21aに沿って下方位置に移動しており、これにより、ブロック部材6を介して副軸4および吸着パッド40が下方に移動している。この状態から、吸着パッド40の吸着保持状態を解除することにより、搬出コンベア101のステーションCにワークWが移載される。
【0056】
なお、移載後のワークWは、搬出コンベア101により矢印b方向に搬送されるとともに、次工程のワーク集積・包装工程に導入される。ワーク集積・包装工程では、ワークWが所定の個数ずつ集積されるとともに、所定の容器内に充填される。
【0057】
ワークWの移載後、回転ベース部3がステーションCからステーションDをへてステーションAまで移動するとき、この移動の間、同様にサーボモータM2が回転せずに停止していることから、各副プーリ41およびテンショナプーリ43は、当該各副プーリ41、テンショナプーリ43および主プーリ51の回りにタイミングベルト42が巻き掛けられた状態で、主プーリ51の回りを回転する。このため、図6に示すように、ステーションCからステーションDをへてステーションAまで移動する間に、吸着パッド40の向きは変化しない。
【0058】
また、ワークWの移載後、回転ベース部3の回転により、カムフォロア7のローラ7bが環状ベース部21のカム溝21aに沿って上方位置に移動し、この状態で、ステーションCからステーションDをへてステーションAの近傍まで、回転ベース部3および吸着パッド40の旋回が行われる。ステーションAでは、上述のように、カムフォロア7のローラ7bが環状ベース部21のカム溝21aに沿って下方位置に移動して、吸着パッド40によるワークWの吸着保持が行われる。
【0059】
このように、図6に示す例では、供給コンベア100により供給されてきたワークWは、その向きを変えることなく、搬出コンベア101上に移載される。また、回転ベース部3が一回転した後でも、吸着パッド40の向きは変化しておらず、このため、2回転目および3回転目における吸着パッド40の向きも変化しない。
【0060】
次に、図7は、サーボモータM2を回転ベース部3の回転方向と同じ方向(順方向)に回転ベース部3(つまりサーボモータM1)の回転速度の半分(つまり1/2倍)の速度で回転させる例を示している。
【0061】
図7に示すように、回転ベース部3のいずれかの放射状延設部がステーションAに移動したとき、カムフォロア7のローラ7bが環状ベース部21のカム溝21aに沿って下方位置に移動していることにより、ブロック部材6を介して下方に移動した吸着パッド40により、供給コンベア100のステーションAに供給されたワークWが吸着保持される。
【0062】
ワークWの吸着保持後、回転ベース部3がステーションAからステーションBをへてステーションCまで移動するとき、サーボモータM2が順方向に1/2倍の速度で回転することから、主プーリ51およびタイミングベルト42を介して各副プーリ41が順方向に回転し、図7に示すように、ステーションAからステーションBをへてステーションCまで移動する間、吸着パッド40は徐々に左回りに回転しており、ステーションCにおける吸着パッド40の向きは、ステーションAでの向きから90度左回りに回転した状態におかれている。
【0063】
ステーションCでは、カムフォロア7のローラ7bが環状ベース部21のカム溝21aに沿って下方位置に移動しており、ブロック部材6を介して下方に移動した吸着パッド40の吸着保持状態を解除することにより、搬出コンベア101のステーションCにワークWが移載される。
【0064】
ワークWの移載後、回転ベース部3がステーションCからステーションDをへてステーションAまで移動するとき、この移動の間、同様にサーボモータM2が順方向に1/2倍の速度で回転することから、主プーリ51およびタイミングベルト42を介して各副プーリ41が順方向に回転し、その結果、図7に示すように、ステーションCからステーションDをへてステーションAまで移動する間、吸着パッド40は徐々に左回りに回転しており、ステーションAにおける吸着パッド40の向きは、ステーションCでの向きからさらに90度左回りに回転した状態におかれている。このため、2回転目の吸着パッド40の向きは、1回転目の吸着パッド40の向きから180度回転した状態になっている。同様に、3回転目の吸着パッド40の向きは、2回転目の吸着パッド40の向きから180度回転した状態になっており、1回転目の吸着パッド40の向きと等しくなっている。
【0065】
このように、図7に示す例では、供給コンベア100により供給されてきたワークWは、左回りに90度回転した状態で、搬出コンベア101上に移載される。また、回転ベース部3が一回転するごとに、吸着パッド40の向きは180度ずつ変化する。
【0066】
なお、回転ベース部3の回転中に、カムフォロア7およびカム溝21aの協働作用により、ステーションA、Cにおいて副軸4および吸着パッド40が下方に移動し、ステーションA〜C間およびC〜A間で副軸4および吸着パッド40が上方に移動する点は図6の場合と同様である(以下の図8および図9においても同様)。
【0067】
次に、図8は、サーボモータM2を回転ベース部3の回転方向と逆方向に回転ベース部3(つまりサーボモータM1)の回転速度の半分(つまり1/2倍)の速度で回転させる例を示している。
【0068】
図8に示すように、回転ベース部3のいずれかの放射状延設部がステーションAに移動したとき、カムフォロア7のローラ7bが環状ベース部21のカム溝21aに沿って下方位置に移動していることにより、ブロック部材6を介して下方に移動した吸着パッド40により、供給コンベア100のステーションAに供給されたワークWが吸着保持される。
【0069】
ワークWの吸着保持後、回転ベース部3がステーションAからステーションBをへてステーションCまで移動するとき、サーボモータM2が逆方向に1/2倍の速度で回転することから、主プーリ51およびタイミングベルト42を介して各副プーリ41が逆方向に回転し、図8に示すように、ステーションAからステーションBをへてステーションCまで移動する間、吸着パッド40は徐々に右回りに回転しており、ステーションCにおける吸着パッド40の向きは、ステーションAでの向きから90度右回りに回転した状態におかれている。
【0070】
ステーションCでは、カムフォロア7のローラ7bが環状ベース部21のカム溝21aに沿って下方位置に移動しており、ブロック部材6を介して下方に移動した吸着パッド40の吸着保持状態を解除することにより、搬出コンベア101のステーションCにワークWが移載される。
【0071】
ワークWの移載後、回転ベース部3がステーションCからステーションDをへてステーションAまで移動するとき、この移動の間、同様にサーボモータM2が逆方向に1/2倍の速度で回転することから、主プーリ51およびタイミングベルト42を介して各副プーリ41が逆方向に回転し、その結果、図8に示すように、ステーションCからステーションDをへてステーションAまで移動する間、吸着パッド40は徐々に右回りに回転しており、ステーションAにおける吸着パッド40の向きは、ステーションCでの向きからさらに90度右回りに回転した状態におかれている。このため、2回転目の吸着パッド40の向きは、1回転目の吸着パッド40の向きから180度回転した状態になっている。同様に、3回転目の吸着パッド40の向きは、2回転目の吸着パッド40の向きから180度回転した状態になっており、1回転目の吸着パッド40の向きと等しくなっている。
【0072】
このように、図8に示す例では、供給コンベア100により供給されてきたワークWは、右回りに90度回転した状態で、搬出コンベア101上に移載される。また、回転ベース部3が一回転するごとに、吸着パッド40の向きは180度ずつ変化する。
【0073】
次に、図9は、サーボモータM2を回転ベース部3の回転方向と同じ方向(順方向)に回転ベース部3(つまりサーボモータM1)の回転速度と同じ速度で回転させる例を示している。
【0074】
図9に示すように、回転ベース部3のいずれかの放射状延設部がステーションAに移動したとき、カムフォロア7のローラ7bが環状ベース部21のカム溝21aに沿って下方位置に移動していることにより、ブロック部材6を介して下方に移動した吸着パッド40により、供給コンベア100のステーションAに供給されたワークWが吸着保持される。
【0075】
ワークWの吸着保持後、回転ベース部3がステーションAからステーションBをへてステーションCまで移動するとき、サーボモータM2が順方向に同じ速度で回転することから、主プーリ51およびタイミングベルト42を介して各副プーリ41が順方向に回転し、図9に示すように、ステーションAからステーションBをへてステーションCまで移動する間、吸着パッド40は徐々に左回りに回転しており、ステーションCにおける吸着パッド40の向きは、ステーションAでの向きから180度左回りに回転した状態におかれている。
【0076】
ステーションCでは、カムフォロア7のローラ7bが環状ベース部21のカム溝21aに沿って下方位置に移動しており、ブロック部材6を介して下方に移動した吸着パッド40の吸着保持状態を解除することにより、搬出コンベア101のステーションCにワークWが移載される。
【0077】
ワークWの移載後、回転ベース部3がステーションCからステーションDをへてステーションAまで移動するとき、この移動の間、同様にサーボモータM2が順方向に同じ速度で回転することから、主プーリ51およびタイミングベルト42を介して各副プーリ41が順方向に回転し、図9に示すように、ステーションCからステーションDをへてステーションAまで移動する間、吸着パッド40は徐々に左回りに回転しており、ステーションAにおける吸着パッド40の向きは、ステーションCでの向きからさらに180度左回りに回転した状態におかれている。このため、2回転目の吸着パッド40の向きは、1回転目の吸着パッド40の向きから360度回転した状態になっており、1回転目の吸着パッド40の向きと等しくなっている。同様に、3回転目の吸着パッド40の向きは、2回転目の吸着パッド40の向きから360度回転した状態になっており、1回転目の吸着パッド40の向きと等しくなっている。
【0078】
このように、図9に示す例では、供給コンベア100により供給されてきたワークWは、180度左回りに回転した状態で、搬出コンベア101上に移載される。また、回転ベース部3が何回転しても、ステーションAでの吸着パッド40の向きは変化しない。
【0079】
〔第2の移載例〕
図10ないし図13に示す第2の移載例においては、供給コンベア100により矢印a方向に搬送されて供給されてきたワークWが、移載後は搬出コンベア101により、矢印a方向から90度回転した矢印b方向に搬出される例が示されている。供給コンベア100および搬出コンベア101は、90度回転した向きに配設されており、ワークWの供給、移載および搬出の流れが略逆J字状に形成されている。回転ベース部3は、90度間隔で放射状に延設されており、前記実施例と同様に、各延設部の先端に4本の副軸を有している。各副軸および各吸着パッド40は、ワークWが供給される供給ステーションA(第1の位置)から移載ステーションB(第2の位置)に移行し、ワーク移載後、中間ステーションC、Dをへて供給ステーションAに戻るようになっている。また、ワークWの一部に斜線を施しているのは、図示の便宜上、ワークWの向きを分かりやすくするためである。
【0080】
この場合に、ステーションAおよびBにおいては、カムフォロア7が環状ベース部21のカム溝21aのカム曲線に沿って下方位置に移動しており、副軸4が下方に移動して、吸着パッド40が下方位置に配置されている。これにより、ステーションAでのワーク吸着保持、ならびにステーションBでのワーク吸着保持の解除およびワーク移載処理を容易に行える。また、ステーションA、B間の中間位置、およびステーションC、Dにおいては、カムフォロア7が環状ベース部21のカム溝21aのカム曲線に沿って上方位置に移動しており、副軸4が上方に移動して、吸着パッド40が上方位置に配置されている。これにより、ステーションA〜BおよびステーションB〜Aへのワーク移動がスムーズに行われる。
【0081】
なお、実際の運転時には、回転ベース部3はサーボモータM1の駆動により一定速度で連続して回転している。回転ベース部3の回転速度は、ステーションAにおける接線方向速度(つまり周速度)が供給コンベア100の搬送速度と等しくなるように制御されている。
【0082】
図10は、サーボモータM2を回転させない例を示している。
図10中(図11ないし図13においても同様)、ステーションAにおいて、括弧内の数字1、2、3は、回転ベース部3のそれぞれ1回転目、2回転目、3回転目を示し、各数字の上側に山形形状で示されているのは、それぞれの回転時における吸着パッド40の向きを示している。
【0083】
図10に示すように、回転ベース部3のいずれかの放射状延設部がステーションAに移動したとき、カムフォロア7のローラ7bが環状ベース部21のカム溝21aに沿って下方位置に移動しており(図1、図2、図4参照)、これにより、ブロック部材6を介して副軸4および吸着パッド40が下方に移動している。この状態から、吸着パッド40により、供給コンベア100のステーションAに供給されたワークWが吸着保持される。
【0084】
ワークWの吸着保持後、回転ベース部3がステーションAからステーションBまで移動するとき、この移動の間、サーボモータM2が回転せずに停止していることから、各副プーリ41およびテンショナプーリ43(図3参照)は、当該各副プーリ41、テンショナプーリ43および主プーリ51の回りにタイミングベルト42が巻き掛けられた状態で、主プーリ51の回りを回転する。このため、図10に示すように、ステーションAからステーションBまで移動する間に、吸着パッド40の向きは変化しておらず、ワークWは常時同じ向きに配置されている。
【0085】
また、ワークWの吸着保持後、回転ベース部3の回転により、カムフォロア7のローラ7bが環状ベース部21のカム溝21aに沿って上方位置に移動し、この状態で、ステーションAからステーションBの近傍まで、回転ベース部3およびワークWの旋回が行われる。なお、回転ベース部3の旋回時には、ブロック部材6の各カムフォロア7’の各ローラ7’bがブラケット31の切欠きに係合していることにより(図4参照)、ブロック部材7の副軸回りの回転が規制されており、これにより、カムフォロア7とカム溝21aと当接状態が維持されるようになっている。ステーションBでは、カムフォロア7のローラ7bが環状ベース部21のカム溝21aに沿って下方位置に移動しており、これにより、ブロック部材6を介して副軸4および吸着パッド40が下方に移動している。この状態から、吸着パッド40の吸着保持状態を解除することにより、搬出コンベア101のステーションBにワークWが移載される。
【0086】
なお、移載後のワークWは、搬出コンベア101により矢印b方向に搬送されるとともに、次工程のワーク集積・包装工程に導入される。ワーク集積・包装工程では、ワークWが所定の個数ずつ集積されるとともに、所定の容器内に充填される。
【0087】
ワークWの移載後、回転ベース部3がステーションBからステーションC、DをへてステーションAまで移動するとき、この移動の間、同様にサーボモータM2が回転せずに停止していることから、各副プーリ41およびテンショナプーリ43は、当該各副プーリ41、テンショナプーリ43および主プーリ51の回りにタイミングベルト42が巻き掛けられた状態で、主プーリ51の回りを回転する。このため、図10に示すように、ステーションBからステーションC、DをへてステーションAまで移動する間に、吸着パッド40の向きは変化していない。
【0088】
また、ワークWの移載後、回転ベース部3の回転により、カムフォロア7のローラ7bが環状ベース部21のカム溝21aに沿って上方位置に移動し、この状態で、ステーションBからステーションC、DをへてステーションAの近傍まで、回転ベース部3および吸着パッド40の旋回が行われる。ステーションAでは、上述のように、カムフォロア7のローラ7bが環状ベース部21のカム溝21aに沿って下方位置に移動して、吸着パッド40によるワークWの吸着保持が行われる。
【0089】
このように、図10に示す例では、供給コンベア100により供給されてきたワークWは、その向きを変えることなく、搬出コンベア101上に移載される。また、回転ベース部3が何回転しても、回転後の吸着パッド40の向きは変化しない。
【0090】
次に、図11は、サーボモータM2を回転ベース部3の回転方向と同じ方向(順方向)に回転ベース部3(つまりサーボモータM1)の回転速度と同じ速度で回転させる例を示している。
【0091】
図11に示すように、回転ベース部3のいずれかの放射状延設部がステーションA移動したとき、カムフォロア7のローラ7bが環状ベース部21のカム溝21aに沿って下方位置に移動していることにより、ブロック部材6を介して下方に移動した吸着パッド40により、供給コンベア100のステーションAに供給されたワークWが吸着保持される。
【0092】
ワークWの吸着保持後、回転ベース部3がステーションAからステーションBまで移動するとき、サーボモータM2が順方向に同じ速度で回転することから、主プーリ51およびタイミングベルト42を介して各副プーリ41が順方向に回転し、図11に示すように、ステーションAからステーションBまで移動する間、吸着パッド40は徐々に左回りに回転しており、ステーションBにおける吸着パッド40の向きは、ステーションAでの向きから90度左回りに回転した状態におかれている。
【0093】
ステーションBでは、カムフォロア7のローラ7bが環状ベース部21のカム溝21aに沿って下方位置に移動しており、ブロック部材6を介して下方に移動した吸着パッド40の吸着保持状態を解除することにより、搬出コンベア101のステーションCにワークWが移載される。
【0094】
ワークWの移載後、回転ベース部3がステーションBからステーションC、DをへてステーションAまで移動するとき、この移動の間、同様にサーボモータM2が順方向に同じ速度で回転することから、主プーリ51およびタイミングベルト42を介して各副プーリ41が順方向に回転し、その結果、図11に示すように、ステーションBからステーションC、DをへてステーションAまで移動する間、吸着パッド40は徐々に左回りに回転しており、ステーションAにおける吸着パッド40の向きは、ステーションBでの向きからさらに270度左回りに回転した状態におかれている。このため、2回転目の吸着パッド40の向きは、1回転目の吸着パッド40の向きと等しくなっている。同様に、3回転目の吸着パッド40の向きは、2回転目の吸着パッド40の向きと等しくなっている。
【0095】
このように、図11に示す例では、供給コンベア100により供給されてきたワークWは、左回りに90度回転した状態で、搬出コンベア101上に移載される。また、回転ベース部3が何回転しても、ステーションAでの吸着パッド40の向きは変化しない。
【0096】
なお、回転ベース部3の回転中に、カムフォロア7およびカム溝21aの協働作用により、ステーションA、Bにおいて副軸4および吸着パッド40が下方に移動し、ステーションA〜B間およびB〜A間で副軸4および吸着パッド40が上方に移動する点は図10の場合と同様である(以下の図12および図13においても同様)。
【0097】
次に、図12は、サーボモータM2を回転ベース部3の回転方向と逆方向に回転ベース部3(つまりサーボモータM1)の回転速度と同じ速度で回転させる例を示している。
【0098】
図12に示すように、回転ベース部3のいずれかの放射状延設部がステーションAに移動したとき、カムフォロア7のローラ7bが環状ベース部21のカム溝21aに沿って下方位置に移動していることにより、ブロック部材6を介して下方に移動した吸着パッド40により、供給コンベア100のステーションAに供給されたワークWが吸着保持される。
【0099】
ワークWの吸着保持後、回転ベース部3がステーションAからステーションBまで移動するとき、サーボモータM2が逆方向に同じ速度で回転することから、主プーリ51およびタイミングベルト42を介して各副プーリ41が逆方向に回転し、図12に示すように、ステーションAからステーションBまで移動する間、吸着パッド40は徐々に右回りに回転しており、ステーションBにおける吸着パッド40の向きは、ステーションAでの向きから90度右回りに回転した状態におかれている。
【0100】
ステーションBでは、カムフォロア7のローラ7bが環状ベース部21のカム溝21aに沿って下方位置に移動しており、ブロック部材6を介して下方に移動した吸着パッド40の吸着保持状態を解除することにより、搬出コンベア101のステーションBにワークWが移載される。
【0101】
ワークWの移載後、回転ベース部3がステーションBからステーションC、DをへてステーションAまで移動するとき、この移動の間、同様にサーボモータM2が逆方向に同じ速度で回転することから、主プーリ51およびタイミングベルト42を介して各副プーリ41が逆方向に回転し、その結果、図12に示すように、ステーションBからステーションC、DをへてステーションAまで移動する間、吸着パッド40は徐々に右回りに回転しており、ステーションAにおける吸着パッド40の向きは、ステーションBでの向きからさらに270度右回りに回転した状態におかれている。このため、2回転目の吸着パッド40の向きは、1回転目の吸着パッド40の向きから360度回転した状態になっており、1回転目の吸着パッド40の向きと等しくなっている。同様に、3回転目の吸着パッド40の向きは、2回転目の吸着パッド40の向きから360度回転した状態になっており、1回転目の吸着パッド40の向きと等しくなっている。
【0102】
このように、図12に示す例では、供給コンベア100により供給されてきたワークWは、90度右回りに回転した状態で、搬出コンベア101上に移載される。また、回転ベース部3が何回転しても、ステーションAでの吸着パッド40の向きは変化しない。
【0103】
次に、図13は、サーボモータM2を回転ベース部3の回転方向と同じ方向(順方向)に回転ベース部3(つまりサーボモータM1)の回転速度の2倍の速度で回転させる例を示している。
【0104】
図13に示すように、回転ベース部3のいずれかの放射状延設部がステーションAに移動したとき、カムフォロア7のローラ7bが環状ベース部21のカム溝21aに沿って下方位置に移動していることにより、ブロック部材6を介して下方に移動した吸着パッド40により、供給コンベア100のステーションAに供給されたワークWが吸着保持される。
【0105】
ワークWの吸着保持後、回転ベース部3がステーションAからステーションBまで移動するとき、サーボモータM2が順方向に2倍の速度で回転することから、主プーリ51およびタイミングベルト42を介して各副プーリ41が順方向に回転し、図13に示すように、ステーションAからステーションBまで移動する間、吸着パッド40は徐々に左回りに回転しており、ステーションBにおける吸着パッド40の向きは、ステーションAでの向きから180度左回りに回転した状態におかれている。
【0106】
ステーションBでは、カムフォロア7のローラ7bが環状ベース部21のカム溝21aに沿って下方位置に移動しており、ブロック部材6を介して下方に移動した吸着パッド40の吸着保持状態を解除することにより、搬出コンベア101のステーションCにワークWが移載される。
【0107】
ワークWの移載後、回転ベース部3がステーションBからステーションC、DをへてステーションAまで移動するとき、この移動の間、同様にサーボモータM2が順方向に2倍の速度で回転することから、主プーリ51およびタイミングベルト42を介して各副プーリ41が順方向に回転し、図13に示すように、ステーションBからステーションC、DをへてステーションAまで移動する間、吸着パッド40は徐々に左回りに回転しており、ステーションAにおける吸着パッド40の向きは、ステーションBでの向きからさらに540度左回りに回転した状態におかれている。このため、2回転目の吸着パッド40の向きは、1回転目の吸着パッド40の向きから720度回転した状態になっており、1回転目の吸着パッド40の向きと等しくなっている。同様に、3回転目の吸着パッド40の向きは、2回転目の吸着パッド40の向きから720度回転した状態になっており、1回転目の吸着パッド40の向きと等しくなっている。
【0108】
このように、図13に示す例では、供給コンベア100により供給されてきたワークWは、180度左回りに回転した状態で、搬出コンベア101上に移載される。また、回転ベース部3が何回転しても、ステーションAでの吸着パッド40の向きは変化しない。
【0109】
以上のように、本実施例によれば、ワークWを移載ステーションへ移動させる際に、サーボモータM2を駆動して主プーリ51を回転させることにより、タイミングベルト42を介して各副プーリ41および各吸着パッド40が回転するので、移載後のワークWの向きを変えることができる。しかも、この場合、サーボモータM2の回転速度を制御することにより、移載後のワークWの向きを制御できるようになる。
【0110】
なお、前記実施例では、ワークWを保持するための保持部として、吸着パッド40を例にとって説明したが、ワークWの保持部はこれに限定されるものではなく、例えば、開閉可能な複数の把持部材からワークWの保持部を構成するようにしてもよい。
【0111】
また、前記実施例では、4本の副軸4が円周上に均等間隔で設けられた例を示したが、本発明の適用はこれに限定されるものではなく、副軸の本数としては、6本または8本、あるいはその他の本数でもよい。
【0112】
より具体的には、図6ないし図9に示すようなコンベア配列においては、副軸の本数は2の倍数になり、図10ないし図13に示すようなコンベア配列においては、副軸の本数は4の倍数になる。
【0113】
前記実施例では、副軸4が軸方向に移動することにより、副軸先端の吸着パッド40が副軸4とともに昇降する場合を例にとって説明したが、本発明の適用はこれに限定されない。吸着パッド40を副軸4に対して軸方向移動可能に設けるようにしてもよい。また、この場合、吸着パッド40の移動機構としては、前記実施例と同様に、溝カムを用いた移動機構を採用できる。
【0114】
また、前記第1および第2の移載例においては、移載後のワークWが搬出コンベア101上においてすべて同じ向きに配置される例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。移載後のワークWの向きは、種々の向きのものを混在させるようにしてもよい。
【0115】
前記実施例では、副軸4および副プーリ41間の係合をスプライン係合により行った例を示したが、本発明の適用はこれには限定されない。副軸4および副プーリ41間にすべりキーを設け、すべりキーを介して、副軸4および副プーリ41を回転方向に固定しかつ副軸4を副プーリ41に対して軸方向移動可能に構成するようにしてもよい。
【0116】
また、前記実施例では、第2の主軸5の回転力を、タイミングプーリ41、51およびこれらに巻き掛けられたタイミングベルト42を介して、各副軸4に伝達させる場合を例にとって説明したが、タイミングプーリ41、51の代わりにそれぞれギヤを用いるとともに、これらのギヤの間にさらにギヤを配列して噛み合わせることにより、第2の主軸5の回転力をギヤを介して各副軸4に伝達させるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明は、物品移載装置に有用であり、とくに移載後の物品の向きの制御を要求されるものに適している。
【符号の説明】
【0118】
1: 物品移載装置
2: 第1の主軸
20: ブラケット(固定ベース部)
21: 環状ベース部(固定ベース部)
21a: カム溝
3: 回転ベース部
31: ブラケット
31b: 切欠き(係合溝)
4: 副軸
4b: スプライン軸部
40: 吸着パッド(保持部)
41: 副プーリ(タイミングプーリ)
42: タイミングベルト(ベルト部材)
5: 第2の主軸
51: 主プーリ(タイミングプーリ)
6: ブロック部材
7: カムフォロア
7’: カムフォロア
8: 移動機構
W; ワーク(物品)
A: 供給ステーション(第1の位置)
C: 搬出ステーション(第2の位置)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0119】
【特許文献1】特開2001−158530号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の移載後の向きを制御できる物品移載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物品移載装置として、例えば特開2001−158530号公報に示すような容器移載装置が本件出願人により提案されている。この容器移載装置は、支軸の回りを鉛直面内で90度旋回可能なアーム部材と、アーム部材の先端に取り付けられ、容器を吸着保持する吸着パッドとから構成されている。
【0003】
上記容器移載装置において、容器を移載する際には、まず、供給コンベアにより、瓶やボトル等の容器が横転状態のまま、容器移載装置に向かって供給される。その一方、容器移載装置は、吸着パッドを上向きに配置した状態で待機している。この状態から、横転状態の容器が容器移載装置の吸着パッドに導入されて、吸着パッドにより吸着保持される。次に、容器移載装置のアーム部材が鉛直面内で90度旋回して、吸着パッドを水平方向に配向させる。そして、吸着パッドによる吸着保持状態を解除することにより、容器移載装置の側方に配設された搬送コンベア上に容器が起立状態で載置される。このようにして、供給コンベアから搬送コンベアに容器が移載される。
【0004】
この場合には、移載後の容器の向きが移載前の状態から90度傾いた状態に限られる。その一方、容器の形態やコンベアの配列等に応じて、移載後の容器の向きを種々の向きに変えたいとする業界の要請がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたもので、本発明が解決しようとする課題は、物品の移載後の向きを制御できる物品移載装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明に係る物品移載装置は、回転可能な第1の主軸と、第1の主軸により中央部が軸支された回転ベース部と、回転ベース部において第1の主軸の周りの円周上に配置され、物品を保持するための保持部を先端に有する複数の副軸と、第1の主軸に対向配置された回転可能な第2の主軸と、第2の主軸に取り付けられた主プーリと、各副軸にそれぞれ取り付けられた複数の副プーリと、主プーリおよび各副プーリ間に巻き掛けられた無端状のベルト部材とを備えている。
【0007】
請求項1の発明においては、副軸の保持部に物品を保持した状態から、第1の主軸を回転させて回転ベース部を回転させると、各副軸が第1の主軸の回りを回転する。これにより、副軸の保持部に保持された物品が移載位置へと移動する。また、この場合には、物品を移載位置へ移動させる際に、第2の主軸を回転させて主プーリを回転させると、ベルト部材が走行して各副プーリが回転し、これにより、各副軸が回転して保持部が回転する。このようにして、保持部に保持された物品の向きを変えることができる。しかも、この場合には、第2の主軸の回転量を制御することにより、移載後の物品の向きを制御できるようになる。
【0008】
請求項2の発明では、請求項1において、第1の主軸の回転により回転ベース部が回転することによって、保持部に物品が保持された副軸が第1の主軸の回りに回転し、これにより、物品が第1の位置から第2の位置に移載されるようになっている。
【0009】
また、請求項3の発明では、請求項2において、物品が第1の位置から第2の位置に移動する際に、第2の主軸の回転により、主プーリが回転してベルト部材が走行することにより、副プーリが回転して副軸が回転し、これにより、移載時の物品の向きが変えられるようになっている。
【0010】
これらの場合においても、物品を第1の位置から第2の位置へ移動させる際に、第2の主軸を回転させて主プーリを回転させることにより、各副軸とともに保持部が回転し、これにより、保持部に保持された物品の向きを変えることができる。さらに、第2の主軸の回転量を制御することにより、移載後の物品の向きを制御できるようになる。
【0011】
請求項4の発明では、請求項1において、第1の主軸の回転制御により、物品の移載位置が制御されるとともに、第2の主軸の回転制御により、移載後の物品の向きが制御されている。
【0012】
請求項5の発明では、請求項1において、回転ベース部が、各副軸の配置された複数の位置に向かって中央部から放射状に延びる部材である。
【0013】
請求項6の発明では、請求項1において、各副軸が円周上に均等間隔で配置されている。
【0014】
この場合には、移載前の物品が供給される第1のステーションから、物品が移載される第2のステーションまで保持部が移動する間に、次に移載すべき物品を保持する保持部が第1のステーションまで移動するので、物品の移載処理を連続して行えるようになる。
【0015】
請求項7の発明では、請求項1において、副軸または保持部がそれぞれ軸方向に移動可能に設けられている。
【0016】
この場合には、例えば保持部が物品を保持する際には、副軸または保持部が軸方向下方に移動して、保持部が物品に接近し、これにより、保持部による物品の保持(例えば吸着保持)が容易に行える。また、保持部が移動する際には、副軸または保持部が軸方向上方に移動して、保持部が上方に移動し、これにより、保持部の回転を円滑に行える。
【0017】
請求項8の発明では、請求項1において、各副軸およびこれに対応する各副プーリ間の係合は、各副プーリが各副軸に対して軸方向に移動可能かつ相対回転不能になって(つまり回転方向に固定されて)いる。
【0018】
この場合には、各副軸の回転時には、各副軸とともに各副プーリが回転し、さらに、保持部による物品の保持および保持部の回転の際には、各副プーリが各副軸に対して軸方向に移動する。なお、このような副軸および副プーリ間の係合には、例えばスプライン係合の他、すべりキーによる係合がある。
【0019】
請求項9の発明では、請求項1において、第1の主軸を回転自在に支持する固定ベース部が設けられており、固定ベース部および副軸には、回転ベース部の回転時に各副軸を軸方向に移動させるための移動機構が設けられている。
【0020】
この場合、回転ベース部の回転時には、固定ベース部および副軸に設けられた移動機構により、各副軸が軸方向に移動するので、各副軸の各保持部による物品の保持および各保持部の第1の主軸回りの回転を円滑に行えるようになる。
【0021】
請求項10の発明では、請求項9において、移動機構が、各副軸に回転自在に設けられかつ各副軸に対して軸方向に移動不能に設けられるとともに、回転自在なカムフォロアを外周に有するブロック部材と、固定ベース部に設けられ、カムフォロアが当接するカム溝とから構成されている。
【0022】
この場合には、カムフォロアがカム溝に当接しつつカム溝に沿って転動することにより、ブロック部材とともに各副軸が軸方向に移動する。
【0023】
請求項11の発明では、請求項10において、ブロック部材の回り止めを行う回り止め機構が設けられている。
【0024】
この場合には、ブロック部材の回り止め機構が設けられていることにより、カムフォロアをカム溝に常時当接させておくことができる。
【0025】
請求項12の発明では、請求項11において、ブロック部材が複数のカムフォロアを有するとともに、回転ベース部がブロック部材の周囲に配設されたブラケット部を有し、回り止め機構が、いずれかのカムフォロアと、ブラケット部に形成され、カムフォロアが係合する係合溝とから構成されている。
【0026】
この場合には、ブロック部材に設けられた複数のカムフォロアのうちのいずれかのカムフォロアが、回転ベース部のブラケット部に形成された係合溝に係合することにより、ブロック部材の回り止め機構が構成されているので、構造を簡略化できる。
【0027】
請求項13の発明では、請求項1において、保持部が、物品を吸着保持する吸着パッドから構成されている。
【0028】
請求項14の発明では、請求項1において、各副プーリが回転ベース部にそれぞれ回転自在に支持されている。
【0029】
請求項15の発明では、請求項1において、主プーリおよび副プーリがタイミングプーリであって、ベルト部材がタイミングベルトである。
【発明の効果】
【0030】
以上のように、本発明に係る物品移載装置によれば、回転可能な第1の主軸により中央部が軸支された回転ベース部と、回転ベース部において第1の主軸周りの円周上に配置され、物品の保持部を先端に有する複数の副軸と、第1の主軸に対向する回転可能な第2の主軸に取り付けられた主プーリと、各副軸にそれぞれ取り付けられた複数の副プーリと、主プーリおよび各副プーリ間に巻き掛けられた無端状のベルト部材とを設けたので、副軸の保持部が物品を保持した状態から、第1の主軸を回転させて回転ベース部を回転させると、各副軸が第1の主軸の回りを回転して、保持部に保持された物品が移載位置へと移動し、その際に、第2の主軸を回転させて主プーリを回転させると、ベルト部材を介して各副プーリが回転し、各副軸が回転して保持部が回転する。これにより、保持部に保持された物品の向きを移載時に変えることができる。しかも、この場合、第2の主軸の回転量を制御することで、移載後の物品の向きを制御できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施例による物品移載装置の正面断面概略図である。
【図2】物品移載装置(図1)の一部拡大図である。
【図3】物品移載装置(図1)の平面概略図であって、主プーリ、各副プーリ、これらに巻き掛けられるタイミングベルト、および回転ベース部を主に示す図である。
【図4】物品移載装置(図1)における副軸部分の拡大図である。
【図5】図2のV-V線断面図である。
【図6】物品の移載の仕方の一例である第1の移載例を示す模式図であって、主プーリが回転しない場合を示している。
【図7】物品の移載の仕方の一例である第1の移載例を示す模式図であって、主プーリが回転ベース部の回転方向と同方向(順方向)に回転ベース部の回転速度の1/2倍の速度で回転する場合を示している。
【図8】物品の移載の仕方の一例である第1の移載例を示す模式図であって、主プーリが回転ベース部の回転方向と逆方向に回転ベース部の回転速度の1/2倍の速度で回転する場合を示している。
【図9】物品の移載の仕方の一例である第1の移載例を示す模式図であって、主プーリが回転ベース部の回転方向と同方向(順方向)に回転ベース部の回転速度と同じ速度で回転する場合を示している。
【図10】物品の移載の仕方の他の例である第2の移載例を示す模式図であって、主プーリが回転しない場合を示している。
【図11】物品の移載の仕方の他の例である第2の移載例を示す模式図であって、主プーリが回転ベース部の回転方向と同方向(順方向)に回転ベース部の回転速度と同じ速度で回転する場合を示している。
【図12】物品の移載の仕方の他の例である第2の移載例を示す模式図であって、主プーリが回転ベース部の回転方向と逆方向に回転ベース部の回転速度と同じ速度で回転する場合を示している。
【図13】物品の移載の仕方の他の例である第2の移載例を示す模式図であって、主プーリが回転ベース部の回転方向と同方向(順方向)に回転ベース部の回転速度の2倍の速度で回転する場合を示している。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
図1ないし図5は、本発明の一実施例による物品移載装置を示している。
【0033】
図1に示すように、物品移載装置1は、上下方向に延びかつサーボモータM1の出力軸に駆動連結されるとともに、ブラケット20に回転自在に支持された第1の主軸2と、第1の主軸2の上側端部がその中央部にキー止めされた回転ベース部3と、回転ベース部3上において第1の主軸2の周りの円周上に均等間隔で配置されるとともに、回転ベース部3を上下に挿通して上下方向に延びる複数の副軸4とを備えている。
【0034】
各副軸4の下端には、ワーク(物品)Wを吸着保持するための吸着パッド(保持部)40がそれぞれ設けられている。各副軸4の内部には、各吸着パッド40に連通する上下方向の貫通孔4aがそれぞれ形成されている(図2参照)。これらの貫通孔4aは、真空ポンプや真空ブロア等の真空形成装置(図示せず)に接続されている。なお、ここでは、ワークWとして、菓子類等の食品や石鹸等の洗剤、医薬品等に用いられるピロー包装品を例にとって示しているが、本発明の適用はこれらに限定されないことはいうまでもない。
【0035】
第1の主軸2の上方には、上下方向に延びかつサーボモータM2の出力軸に駆動連結されるとともに、ブラケット50に回転自在に支持された第2の主軸5が設けられている。第2の主軸5は、第1の主軸2に対向配置されている。第2の主軸5の下側端部には、主プーリ(タイミングプーリ)51がキー止めされている。一方、各副軸4には、それぞれ副プーリ(タイミングプーリ)41が取り付けられており、主プーリ51および各副プーリ41間には、無端状のベルト部材としてのタイミングベルト42が巻き掛けられている。
【0036】
回転ベース部3は、図3に示すように、中央部から外周に向かって放射状に延びる部材である。ここでは、円周上に均等間隔で4本の副軸4が設けられた例を示しており、放射状の各突起部の形成位置は、これら副軸4および副プーリ41の位置に対応している。また、隣り合う各副プーリ41の間、ならびに主プーリ51およびこれと隣り合う副プーリ41の間には、複数のテンショナプーリ43が配置されている。主プーリ51および各副プーリ41間に巻き掛けられるタイミングベルト42は、これらのテンショナプーリ43にも巻き掛けられており、これにより、タイミングベルト42に適度の張力が常時付与されている。
【0037】
回転ベース部3上において、各副プーリ41に対応する位置には、ブラケット30がそれぞれ固定されている。各副プーリ41のボス部41aは、対応するブラケット30および回転ベース部3に回転自在に支持されている。
【0038】
各副軸4の上部外周には、図2に示すように、スプライン軸部4bが形成されている(図4参照)。一方、各副プーリ41のボス部41aの取付穴には、スプライン軸部4bに対応するスプライン穴が形成されており、これらスプライン軸部4bおよびスプライン穴が係合している。これにより、副軸4は副プーリ41に対して回転方向に固定される(つまり副プーリ41とともに回転する)とともに、副プーリ41に対して上下方向に移動可能になっている。
【0039】
各副軸4の下部の周囲には、それぞれブラケット31が設けられている(図4参照)。各ブラケット31は、回転ベース部3の下面に固定されている。各副軸4の下部と各ブラケット31との間には、例えば角柱状のブロック部材6がそれぞれ介装されている。各ブロック部材6には上下方向の貫通孔6aが形成されるとともに、当該貫通孔6aに副軸4が挿入されており(図2参照)、各ブロック部材6は、各副軸4の下部に回転自在に支持されている。また、各ブロック部材6は、貫通孔6aに止着された穴止め輪、および副軸4に止着された軸止め輪を介して、副軸4に対し軸方向移動不能に設けられている。
【0040】
各ブラケット31の一部には、図2に示すように、窓孔31aが貫通形成されている。ブロック部材6の一側部は、窓孔31a内に進入しており、その外側面にカムフォロア7の支軸部7aが固定されている(図4、図5参照)。カムフォロア7のローラ7bは、支軸部7aに回転自在に設けられている。
【0041】
ブラケット20の上端において水平方向に張り出すフランジ部20aには、環状ベース部21が固定されている。環状ベース部21には、カム溝21aが形成されている。カム溝21aは、環状ベース部21の外周に沿って円周上に形成されており、そのカム曲線の上下方向の高さは、上方位置と下方位置との間で徐々に変化している。各ブロック部材6に設けられたカムフォロア7のローラ7bは、カム溝21a上に当接している。図1、図2および図4においては、ローラ7bがカム溝21aのカム曲線の下方位置に当接した状態が示されている。
【0042】
カムフォロア7のローラ7bがカム溝21aのカム曲線の下方位置に当接しているとき、ブロック部材6および副軸4は軸方向下方に移動しており、このとき、副軸先端の吸着パッド40は、ワークWを吸着保持するワーク吸着保持位置、または移載位置においてワークWの吸着保持状態を解除するワーク吸着保持解除位置に移動している。また、カムフォロア7のローラ7bがカム溝21aのカム曲線の上方位置に当接しているとき、ブロック部材6および副軸4は軸方向上方に移動している。このとき、副軸先端の吸着パッド40は、上方の退避位置に移動しており、吸着パッド40は、副軸4とともに主軸2の回りを旋回し得るようになっている。
【0043】
ブロック部材6、カムフォロア7およびカム溝21aにより、副軸4の移動機構8が構成されている。また、ブラケット20および環状ベース部21により、第1の主軸2を回転自在に支持する固定ベース部が構成されている。
【0044】
ブロック部材6において、カムフォロア7が取り付けられた側面と異なる側面には、図4および図5に示すように、別のカムフォロア7’が取り付けられている。ここでは、カムフォロア7が取り付けられた側面の両隣の各側面にカムフォロア7’が取り付けられた例を示している。カムフォロア7’は、ブロック部材6に固定された支軸部7’aと、その先端に回転自在に設けられたローラ7’bとを有している。
【0045】
ブラケット31の外周面において、各カムフォロア7’に対応する位置には、切欠き(係合溝)31bがそれぞれ形成されている(図4参照)。これらの切欠き31bに、各カムフォロア7’の各ローラ7’bが上下方向スライド自在に係合している。これにより、ブロック部材6が副軸4の回りに回転するのを防止する回り止め機構が構成されている。
【0046】
次に、本実施例の作動の概略について説明する。
まず、ワークWを第1の位置から第2の位置に移載する際には、吸着パッド40によりワークWを吸着保持した状態から、サーボモータM1を駆動して第1の主軸2を回転させ、副軸4を第1の主軸2の回りに所定角度回転(つまり旋回)させる。これにより、副軸4が第1の位置から第2の位置に移動して、ワークWが第2の位置に移載される。
【0047】
この場合において、ワークWの旋回時には、副軸4にスプライン係合した副プーリ41は、当該副プーリ41および主プーリ51にタイミングベルト42が巻き掛けられた状態で、主プーリ51の回りを旋回する(図3参照)。このため、この旋回時にサーボモータM2により第2の主軸5を駆動して主プーリ51を回転させるか否か、またいずれの向きにどれだけ回転させるかに応じて、移載後のワークWの向きが異なってくる(これについては後述する)。
【0048】
具体的なワーク移載例として、図6ないし図9に示す第1の移載例、および図10ないし図13に示す第2の移載例について以下に説明する。
【0049】
〔第1の移載例〕
図6ないし図9に示す第1の移載例においては、供給コンベア100により矢印a方向に搬送されて供給されてきたワークWが、移載後は搬出コンベア101により、矢印a方向から180度反転した矢印b方向に搬出される例が示されている。供給コンベア100および搬出コンベア101は、180度反転した向きに配設されており、ワークWの供給、移載および搬出の流れが略U字状に形成されている。回転ベース部3は、90度間隔で放射状に延設されており、前記実施例と同様に、各延設部の先端に4本の副軸を有している。各副軸および各吸着パッド40は、ワークWが供給される供給ステーションA(第1の位置)から中間ステーションBをへて移載ステーションC(第2の位置)に移行し、ワーク移載後、中間ステーションDをへて供給ステーションAに戻るようになっている。また、ワークWの一部に斜線を施しているのは、図示の便宜上、ワークWの向きを分かりやすくするためである。
【0050】
この場合に、ステーションAおよびCにおいては、カムフォロア7(図1)が環状ベース部21のカム溝21aのカム曲線に沿って下方位置に移動しており、副軸4が下方に移動して、吸着パッド40が下方位置に配置されている。これにより、ステーションAでのワーク吸着保持、ならびにステーションCでのワーク吸着保持の解除およびワーク移載処理を容易に行える。また、ステーションBおよびDにおいては、カムフォロア7が環状ベース部21のカム溝21aのカム曲線に沿って上方位置に移動しており、副軸4が上方に移動して、吸着パッド40が上方位置に配置されている。これにより、ステーションA〜CおよびステーションC〜Aへのワーク移動がスムーズに行われる。
【0051】
なお、実際の運転時には、回転ベース部3はサーボモータM1の駆動により一定速度で連続して回転している。回転ベース部3の回転速度は、ステーションAにおける接線方向速度(つまり周速度)が供給コンベア100の搬送速度と等しくなるように制御されている。
【0052】
図6は、サーボモータM2を回転させない例を示している。
図6中(図7ないし図9においても同様)、ステーションAにおいて、括弧内の数字1、2、3は、回転ベース部3のそれぞれ1回転目、2回転目、3回転目を示し、各数字の上側に山形形状で示されているのは、それぞれの回転時における吸着パッド40の向きを示している。
【0053】
図6に示すように、回転ベース部3のいずれかの放射状延設部がステーションAに移動したとき、カムフォロア7のローラ7bが環状ベース部21のカム溝21aに沿って下方位置に移動しており(図1、図2、図4参照)、これにより、ブロック部材6を介して副軸4および吸着パッド40が下方に移動している。この状態から、吸着パッド40により、供給コンベア100のステーションAに供給されたワークWが吸着保持される。
【0054】
ワークWの吸着保持後、回転ベース部3がステーションAからステーションBをへてステーションCまで移動するとき、この移動の間、サーボモータM2が回転せずに停止していることから、各副プーリ41およびテンショナプーリ43(図3参照)は、当該各副プーリ41、テンショナプーリ43および主プーリ51の回りにタイミングベルト42が巻き掛けられた状態で、主プーリ51の回りを回転する。このため、図6に示すように、ステーションAからステーションBをへてステーションCまで移動する間に、吸着パッド40の向きは変化しておらず、ワークWは常時同じ向きに配置されている。
【0055】
また、ワークWの吸着保持後、回転ベース部3の回転により、カムフォロア7のローラ7bが環状ベース部21のカム溝21aに沿って上方位置に移動し、この状態で、ステーションAからステーションBをへてステーションCの近傍まで、回転ベース部3および吸着パッド40の旋回が行われる。なお、回転ベース部3の旋回時には、ブロック部材6の各カムフォロア7’の各ローラ7’bがブラケット31の切欠き31bに係合していることにより(図4参照)、ブロック部材7の副軸回りの回転が規制されており、これにより、カムフォロア7とカム溝21aと当接状態が維持されるようになっている。ステーションCでは、カムフォロア7のローラ7bが環状ベース部21のカム溝21aに沿って下方位置に移動しており、これにより、ブロック部材6を介して副軸4および吸着パッド40が下方に移動している。この状態から、吸着パッド40の吸着保持状態を解除することにより、搬出コンベア101のステーションCにワークWが移載される。
【0056】
なお、移載後のワークWは、搬出コンベア101により矢印b方向に搬送されるとともに、次工程のワーク集積・包装工程に導入される。ワーク集積・包装工程では、ワークWが所定の個数ずつ集積されるとともに、所定の容器内に充填される。
【0057】
ワークWの移載後、回転ベース部3がステーションCからステーションDをへてステーションAまで移動するとき、この移動の間、同様にサーボモータM2が回転せずに停止していることから、各副プーリ41およびテンショナプーリ43は、当該各副プーリ41、テンショナプーリ43および主プーリ51の回りにタイミングベルト42が巻き掛けられた状態で、主プーリ51の回りを回転する。このため、図6に示すように、ステーションCからステーションDをへてステーションAまで移動する間に、吸着パッド40の向きは変化しない。
【0058】
また、ワークWの移載後、回転ベース部3の回転により、カムフォロア7のローラ7bが環状ベース部21のカム溝21aに沿って上方位置に移動し、この状態で、ステーションCからステーションDをへてステーションAの近傍まで、回転ベース部3および吸着パッド40の旋回が行われる。ステーションAでは、上述のように、カムフォロア7のローラ7bが環状ベース部21のカム溝21aに沿って下方位置に移動して、吸着パッド40によるワークWの吸着保持が行われる。
【0059】
このように、図6に示す例では、供給コンベア100により供給されてきたワークWは、その向きを変えることなく、搬出コンベア101上に移載される。また、回転ベース部3が一回転した後でも、吸着パッド40の向きは変化しておらず、このため、2回転目および3回転目における吸着パッド40の向きも変化しない。
【0060】
次に、図7は、サーボモータM2を回転ベース部3の回転方向と同じ方向(順方向)に回転ベース部3(つまりサーボモータM1)の回転速度の半分(つまり1/2倍)の速度で回転させる例を示している。
【0061】
図7に示すように、回転ベース部3のいずれかの放射状延設部がステーションAに移動したとき、カムフォロア7のローラ7bが環状ベース部21のカム溝21aに沿って下方位置に移動していることにより、ブロック部材6を介して下方に移動した吸着パッド40により、供給コンベア100のステーションAに供給されたワークWが吸着保持される。
【0062】
ワークWの吸着保持後、回転ベース部3がステーションAからステーションBをへてステーションCまで移動するとき、サーボモータM2が順方向に1/2倍の速度で回転することから、主プーリ51およびタイミングベルト42を介して各副プーリ41が順方向に回転し、図7に示すように、ステーションAからステーションBをへてステーションCまで移動する間、吸着パッド40は徐々に左回りに回転しており、ステーションCにおける吸着パッド40の向きは、ステーションAでの向きから90度左回りに回転した状態におかれている。
【0063】
ステーションCでは、カムフォロア7のローラ7bが環状ベース部21のカム溝21aに沿って下方位置に移動しており、ブロック部材6を介して下方に移動した吸着パッド40の吸着保持状態を解除することにより、搬出コンベア101のステーションCにワークWが移載される。
【0064】
ワークWの移載後、回転ベース部3がステーションCからステーションDをへてステーションAまで移動するとき、この移動の間、同様にサーボモータM2が順方向に1/2倍の速度で回転することから、主プーリ51およびタイミングベルト42を介して各副プーリ41が順方向に回転し、その結果、図7に示すように、ステーションCからステーションDをへてステーションAまで移動する間、吸着パッド40は徐々に左回りに回転しており、ステーションAにおける吸着パッド40の向きは、ステーションCでの向きからさらに90度左回りに回転した状態におかれている。このため、2回転目の吸着パッド40の向きは、1回転目の吸着パッド40の向きから180度回転した状態になっている。同様に、3回転目の吸着パッド40の向きは、2回転目の吸着パッド40の向きから180度回転した状態になっており、1回転目の吸着パッド40の向きと等しくなっている。
【0065】
このように、図7に示す例では、供給コンベア100により供給されてきたワークWは、左回りに90度回転した状態で、搬出コンベア101上に移載される。また、回転ベース部3が一回転するごとに、吸着パッド40の向きは180度ずつ変化する。
【0066】
なお、回転ベース部3の回転中に、カムフォロア7およびカム溝21aの協働作用により、ステーションA、Cにおいて副軸4および吸着パッド40が下方に移動し、ステーションA〜C間およびC〜A間で副軸4および吸着パッド40が上方に移動する点は図6の場合と同様である(以下の図8および図9においても同様)。
【0067】
次に、図8は、サーボモータM2を回転ベース部3の回転方向と逆方向に回転ベース部3(つまりサーボモータM1)の回転速度の半分(つまり1/2倍)の速度で回転させる例を示している。
【0068】
図8に示すように、回転ベース部3のいずれかの放射状延設部がステーションAに移動したとき、カムフォロア7のローラ7bが環状ベース部21のカム溝21aに沿って下方位置に移動していることにより、ブロック部材6を介して下方に移動した吸着パッド40により、供給コンベア100のステーションAに供給されたワークWが吸着保持される。
【0069】
ワークWの吸着保持後、回転ベース部3がステーションAからステーションBをへてステーションCまで移動するとき、サーボモータM2が逆方向に1/2倍の速度で回転することから、主プーリ51およびタイミングベルト42を介して各副プーリ41が逆方向に回転し、図8に示すように、ステーションAからステーションBをへてステーションCまで移動する間、吸着パッド40は徐々に右回りに回転しており、ステーションCにおける吸着パッド40の向きは、ステーションAでの向きから90度右回りに回転した状態におかれている。
【0070】
ステーションCでは、カムフォロア7のローラ7bが環状ベース部21のカム溝21aに沿って下方位置に移動しており、ブロック部材6を介して下方に移動した吸着パッド40の吸着保持状態を解除することにより、搬出コンベア101のステーションCにワークWが移載される。
【0071】
ワークWの移載後、回転ベース部3がステーションCからステーションDをへてステーションAまで移動するとき、この移動の間、同様にサーボモータM2が逆方向に1/2倍の速度で回転することから、主プーリ51およびタイミングベルト42を介して各副プーリ41が逆方向に回転し、その結果、図8に示すように、ステーションCからステーションDをへてステーションAまで移動する間、吸着パッド40は徐々に右回りに回転しており、ステーションAにおける吸着パッド40の向きは、ステーションCでの向きからさらに90度右回りに回転した状態におかれている。このため、2回転目の吸着パッド40の向きは、1回転目の吸着パッド40の向きから180度回転した状態になっている。同様に、3回転目の吸着パッド40の向きは、2回転目の吸着パッド40の向きから180度回転した状態になっており、1回転目の吸着パッド40の向きと等しくなっている。
【0072】
このように、図8に示す例では、供給コンベア100により供給されてきたワークWは、右回りに90度回転した状態で、搬出コンベア101上に移載される。また、回転ベース部3が一回転するごとに、吸着パッド40の向きは180度ずつ変化する。
【0073】
次に、図9は、サーボモータM2を回転ベース部3の回転方向と同じ方向(順方向)に回転ベース部3(つまりサーボモータM1)の回転速度と同じ速度で回転させる例を示している。
【0074】
図9に示すように、回転ベース部3のいずれかの放射状延設部がステーションAに移動したとき、カムフォロア7のローラ7bが環状ベース部21のカム溝21aに沿って下方位置に移動していることにより、ブロック部材6を介して下方に移動した吸着パッド40により、供給コンベア100のステーションAに供給されたワークWが吸着保持される。
【0075】
ワークWの吸着保持後、回転ベース部3がステーションAからステーションBをへてステーションCまで移動するとき、サーボモータM2が順方向に同じ速度で回転することから、主プーリ51およびタイミングベルト42を介して各副プーリ41が順方向に回転し、図9に示すように、ステーションAからステーションBをへてステーションCまで移動する間、吸着パッド40は徐々に左回りに回転しており、ステーションCにおける吸着パッド40の向きは、ステーションAでの向きから180度左回りに回転した状態におかれている。
【0076】
ステーションCでは、カムフォロア7のローラ7bが環状ベース部21のカム溝21aに沿って下方位置に移動しており、ブロック部材6を介して下方に移動した吸着パッド40の吸着保持状態を解除することにより、搬出コンベア101のステーションCにワークWが移載される。
【0077】
ワークWの移載後、回転ベース部3がステーションCからステーションDをへてステーションAまで移動するとき、この移動の間、同様にサーボモータM2が順方向に同じ速度で回転することから、主プーリ51およびタイミングベルト42を介して各副プーリ41が順方向に回転し、図9に示すように、ステーションCからステーションDをへてステーションAまで移動する間、吸着パッド40は徐々に左回りに回転しており、ステーションAにおける吸着パッド40の向きは、ステーションCでの向きからさらに180度左回りに回転した状態におかれている。このため、2回転目の吸着パッド40の向きは、1回転目の吸着パッド40の向きから360度回転した状態になっており、1回転目の吸着パッド40の向きと等しくなっている。同様に、3回転目の吸着パッド40の向きは、2回転目の吸着パッド40の向きから360度回転した状態になっており、1回転目の吸着パッド40の向きと等しくなっている。
【0078】
このように、図9に示す例では、供給コンベア100により供給されてきたワークWは、180度左回りに回転した状態で、搬出コンベア101上に移載される。また、回転ベース部3が何回転しても、ステーションAでの吸着パッド40の向きは変化しない。
【0079】
〔第2の移載例〕
図10ないし図13に示す第2の移載例においては、供給コンベア100により矢印a方向に搬送されて供給されてきたワークWが、移載後は搬出コンベア101により、矢印a方向から90度回転した矢印b方向に搬出される例が示されている。供給コンベア100および搬出コンベア101は、90度回転した向きに配設されており、ワークWの供給、移載および搬出の流れが略逆J字状に形成されている。回転ベース部3は、90度間隔で放射状に延設されており、前記実施例と同様に、各延設部の先端に4本の副軸を有している。各副軸および各吸着パッド40は、ワークWが供給される供給ステーションA(第1の位置)から移載ステーションB(第2の位置)に移行し、ワーク移載後、中間ステーションC、Dをへて供給ステーションAに戻るようになっている。また、ワークWの一部に斜線を施しているのは、図示の便宜上、ワークWの向きを分かりやすくするためである。
【0080】
この場合に、ステーションAおよびBにおいては、カムフォロア7が環状ベース部21のカム溝21aのカム曲線に沿って下方位置に移動しており、副軸4が下方に移動して、吸着パッド40が下方位置に配置されている。これにより、ステーションAでのワーク吸着保持、ならびにステーションBでのワーク吸着保持の解除およびワーク移載処理を容易に行える。また、ステーションA、B間の中間位置、およびステーションC、Dにおいては、カムフォロア7が環状ベース部21のカム溝21aのカム曲線に沿って上方位置に移動しており、副軸4が上方に移動して、吸着パッド40が上方位置に配置されている。これにより、ステーションA〜BおよびステーションB〜Aへのワーク移動がスムーズに行われる。
【0081】
なお、実際の運転時には、回転ベース部3はサーボモータM1の駆動により一定速度で連続して回転している。回転ベース部3の回転速度は、ステーションAにおける接線方向速度(つまり周速度)が供給コンベア100の搬送速度と等しくなるように制御されている。
【0082】
図10は、サーボモータM2を回転させない例を示している。
図10中(図11ないし図13においても同様)、ステーションAにおいて、括弧内の数字1、2、3は、回転ベース部3のそれぞれ1回転目、2回転目、3回転目を示し、各数字の上側に山形形状で示されているのは、それぞれの回転時における吸着パッド40の向きを示している。
【0083】
図10に示すように、回転ベース部3のいずれかの放射状延設部がステーションAに移動したとき、カムフォロア7のローラ7bが環状ベース部21のカム溝21aに沿って下方位置に移動しており(図1、図2、図4参照)、これにより、ブロック部材6を介して副軸4および吸着パッド40が下方に移動している。この状態から、吸着パッド40により、供給コンベア100のステーションAに供給されたワークWが吸着保持される。
【0084】
ワークWの吸着保持後、回転ベース部3がステーションAからステーションBまで移動するとき、この移動の間、サーボモータM2が回転せずに停止していることから、各副プーリ41およびテンショナプーリ43(図3参照)は、当該各副プーリ41、テンショナプーリ43および主プーリ51の回りにタイミングベルト42が巻き掛けられた状態で、主プーリ51の回りを回転する。このため、図10に示すように、ステーションAからステーションBまで移動する間に、吸着パッド40の向きは変化しておらず、ワークWは常時同じ向きに配置されている。
【0085】
また、ワークWの吸着保持後、回転ベース部3の回転により、カムフォロア7のローラ7bが環状ベース部21のカム溝21aに沿って上方位置に移動し、この状態で、ステーションAからステーションBの近傍まで、回転ベース部3およびワークWの旋回が行われる。なお、回転ベース部3の旋回時には、ブロック部材6の各カムフォロア7’の各ローラ7’bがブラケット31の切欠きに係合していることにより(図4参照)、ブロック部材7の副軸回りの回転が規制されており、これにより、カムフォロア7とカム溝21aと当接状態が維持されるようになっている。ステーションBでは、カムフォロア7のローラ7bが環状ベース部21のカム溝21aに沿って下方位置に移動しており、これにより、ブロック部材6を介して副軸4および吸着パッド40が下方に移動している。この状態から、吸着パッド40の吸着保持状態を解除することにより、搬出コンベア101のステーションBにワークWが移載される。
【0086】
なお、移載後のワークWは、搬出コンベア101により矢印b方向に搬送されるとともに、次工程のワーク集積・包装工程に導入される。ワーク集積・包装工程では、ワークWが所定の個数ずつ集積されるとともに、所定の容器内に充填される。
【0087】
ワークWの移載後、回転ベース部3がステーションBからステーションC、DをへてステーションAまで移動するとき、この移動の間、同様にサーボモータM2が回転せずに停止していることから、各副プーリ41およびテンショナプーリ43は、当該各副プーリ41、テンショナプーリ43および主プーリ51の回りにタイミングベルト42が巻き掛けられた状態で、主プーリ51の回りを回転する。このため、図10に示すように、ステーションBからステーションC、DをへてステーションAまで移動する間に、吸着パッド40の向きは変化していない。
【0088】
また、ワークWの移載後、回転ベース部3の回転により、カムフォロア7のローラ7bが環状ベース部21のカム溝21aに沿って上方位置に移動し、この状態で、ステーションBからステーションC、DをへてステーションAの近傍まで、回転ベース部3および吸着パッド40の旋回が行われる。ステーションAでは、上述のように、カムフォロア7のローラ7bが環状ベース部21のカム溝21aに沿って下方位置に移動して、吸着パッド40によるワークWの吸着保持が行われる。
【0089】
このように、図10に示す例では、供給コンベア100により供給されてきたワークWは、その向きを変えることなく、搬出コンベア101上に移載される。また、回転ベース部3が何回転しても、回転後の吸着パッド40の向きは変化しない。
【0090】
次に、図11は、サーボモータM2を回転ベース部3の回転方向と同じ方向(順方向)に回転ベース部3(つまりサーボモータM1)の回転速度と同じ速度で回転させる例を示している。
【0091】
図11に示すように、回転ベース部3のいずれかの放射状延設部がステーションA移動したとき、カムフォロア7のローラ7bが環状ベース部21のカム溝21aに沿って下方位置に移動していることにより、ブロック部材6を介して下方に移動した吸着パッド40により、供給コンベア100のステーションAに供給されたワークWが吸着保持される。
【0092】
ワークWの吸着保持後、回転ベース部3がステーションAからステーションBまで移動するとき、サーボモータM2が順方向に同じ速度で回転することから、主プーリ51およびタイミングベルト42を介して各副プーリ41が順方向に回転し、図11に示すように、ステーションAからステーションBまで移動する間、吸着パッド40は徐々に左回りに回転しており、ステーションBにおける吸着パッド40の向きは、ステーションAでの向きから90度左回りに回転した状態におかれている。
【0093】
ステーションBでは、カムフォロア7のローラ7bが環状ベース部21のカム溝21aに沿って下方位置に移動しており、ブロック部材6を介して下方に移動した吸着パッド40の吸着保持状態を解除することにより、搬出コンベア101のステーションCにワークWが移載される。
【0094】
ワークWの移載後、回転ベース部3がステーションBからステーションC、DをへてステーションAまで移動するとき、この移動の間、同様にサーボモータM2が順方向に同じ速度で回転することから、主プーリ51およびタイミングベルト42を介して各副プーリ41が順方向に回転し、その結果、図11に示すように、ステーションBからステーションC、DをへてステーションAまで移動する間、吸着パッド40は徐々に左回りに回転しており、ステーションAにおける吸着パッド40の向きは、ステーションBでの向きからさらに270度左回りに回転した状態におかれている。このため、2回転目の吸着パッド40の向きは、1回転目の吸着パッド40の向きと等しくなっている。同様に、3回転目の吸着パッド40の向きは、2回転目の吸着パッド40の向きと等しくなっている。
【0095】
このように、図11に示す例では、供給コンベア100により供給されてきたワークWは、左回りに90度回転した状態で、搬出コンベア101上に移載される。また、回転ベース部3が何回転しても、ステーションAでの吸着パッド40の向きは変化しない。
【0096】
なお、回転ベース部3の回転中に、カムフォロア7およびカム溝21aの協働作用により、ステーションA、Bにおいて副軸4および吸着パッド40が下方に移動し、ステーションA〜B間およびB〜A間で副軸4および吸着パッド40が上方に移動する点は図10の場合と同様である(以下の図12および図13においても同様)。
【0097】
次に、図12は、サーボモータM2を回転ベース部3の回転方向と逆方向に回転ベース部3(つまりサーボモータM1)の回転速度と同じ速度で回転させる例を示している。
【0098】
図12に示すように、回転ベース部3のいずれかの放射状延設部がステーションAに移動したとき、カムフォロア7のローラ7bが環状ベース部21のカム溝21aに沿って下方位置に移動していることにより、ブロック部材6を介して下方に移動した吸着パッド40により、供給コンベア100のステーションAに供給されたワークWが吸着保持される。
【0099】
ワークWの吸着保持後、回転ベース部3がステーションAからステーションBまで移動するとき、サーボモータM2が逆方向に同じ速度で回転することから、主プーリ51およびタイミングベルト42を介して各副プーリ41が逆方向に回転し、図12に示すように、ステーションAからステーションBまで移動する間、吸着パッド40は徐々に右回りに回転しており、ステーションBにおける吸着パッド40の向きは、ステーションAでの向きから90度右回りに回転した状態におかれている。
【0100】
ステーションBでは、カムフォロア7のローラ7bが環状ベース部21のカム溝21aに沿って下方位置に移動しており、ブロック部材6を介して下方に移動した吸着パッド40の吸着保持状態を解除することにより、搬出コンベア101のステーションBにワークWが移載される。
【0101】
ワークWの移載後、回転ベース部3がステーションBからステーションC、DをへてステーションAまで移動するとき、この移動の間、同様にサーボモータM2が逆方向に同じ速度で回転することから、主プーリ51およびタイミングベルト42を介して各副プーリ41が逆方向に回転し、その結果、図12に示すように、ステーションBからステーションC、DをへてステーションAまで移動する間、吸着パッド40は徐々に右回りに回転しており、ステーションAにおける吸着パッド40の向きは、ステーションBでの向きからさらに270度右回りに回転した状態におかれている。このため、2回転目の吸着パッド40の向きは、1回転目の吸着パッド40の向きから360度回転した状態になっており、1回転目の吸着パッド40の向きと等しくなっている。同様に、3回転目の吸着パッド40の向きは、2回転目の吸着パッド40の向きから360度回転した状態になっており、1回転目の吸着パッド40の向きと等しくなっている。
【0102】
このように、図12に示す例では、供給コンベア100により供給されてきたワークWは、90度右回りに回転した状態で、搬出コンベア101上に移載される。また、回転ベース部3が何回転しても、ステーションAでの吸着パッド40の向きは変化しない。
【0103】
次に、図13は、サーボモータM2を回転ベース部3の回転方向と同じ方向(順方向)に回転ベース部3(つまりサーボモータM1)の回転速度の2倍の速度で回転させる例を示している。
【0104】
図13に示すように、回転ベース部3のいずれかの放射状延設部がステーションAに移動したとき、カムフォロア7のローラ7bが環状ベース部21のカム溝21aに沿って下方位置に移動していることにより、ブロック部材6を介して下方に移動した吸着パッド40により、供給コンベア100のステーションAに供給されたワークWが吸着保持される。
【0105】
ワークWの吸着保持後、回転ベース部3がステーションAからステーションBまで移動するとき、サーボモータM2が順方向に2倍の速度で回転することから、主プーリ51およびタイミングベルト42を介して各副プーリ41が順方向に回転し、図13に示すように、ステーションAからステーションBまで移動する間、吸着パッド40は徐々に左回りに回転しており、ステーションBにおける吸着パッド40の向きは、ステーションAでの向きから180度左回りに回転した状態におかれている。
【0106】
ステーションBでは、カムフォロア7のローラ7bが環状ベース部21のカム溝21aに沿って下方位置に移動しており、ブロック部材6を介して下方に移動した吸着パッド40の吸着保持状態を解除することにより、搬出コンベア101のステーションCにワークWが移載される。
【0107】
ワークWの移載後、回転ベース部3がステーションBからステーションC、DをへてステーションAまで移動するとき、この移動の間、同様にサーボモータM2が順方向に2倍の速度で回転することから、主プーリ51およびタイミングベルト42を介して各副プーリ41が順方向に回転し、図13に示すように、ステーションBからステーションC、DをへてステーションAまで移動する間、吸着パッド40は徐々に左回りに回転しており、ステーションAにおける吸着パッド40の向きは、ステーションBでの向きからさらに540度左回りに回転した状態におかれている。このため、2回転目の吸着パッド40の向きは、1回転目の吸着パッド40の向きから720度回転した状態になっており、1回転目の吸着パッド40の向きと等しくなっている。同様に、3回転目の吸着パッド40の向きは、2回転目の吸着パッド40の向きから720度回転した状態になっており、1回転目の吸着パッド40の向きと等しくなっている。
【0108】
このように、図13に示す例では、供給コンベア100により供給されてきたワークWは、180度左回りに回転した状態で、搬出コンベア101上に移載される。また、回転ベース部3が何回転しても、ステーションAでの吸着パッド40の向きは変化しない。
【0109】
以上のように、本実施例によれば、ワークWを移載ステーションへ移動させる際に、サーボモータM2を駆動して主プーリ51を回転させることにより、タイミングベルト42を介して各副プーリ41および各吸着パッド40が回転するので、移載後のワークWの向きを変えることができる。しかも、この場合、サーボモータM2の回転速度を制御することにより、移載後のワークWの向きを制御できるようになる。
【0110】
なお、前記実施例では、ワークWを保持するための保持部として、吸着パッド40を例にとって説明したが、ワークWの保持部はこれに限定されるものではなく、例えば、開閉可能な複数の把持部材からワークWの保持部を構成するようにしてもよい。
【0111】
また、前記実施例では、4本の副軸4が円周上に均等間隔で設けられた例を示したが、本発明の適用はこれに限定されるものではなく、副軸の本数としては、6本または8本、あるいはその他の本数でもよい。
【0112】
より具体的には、図6ないし図9に示すようなコンベア配列においては、副軸の本数は2の倍数になり、図10ないし図13に示すようなコンベア配列においては、副軸の本数は4の倍数になる。
【0113】
前記実施例では、副軸4が軸方向に移動することにより、副軸先端の吸着パッド40が副軸4とともに昇降する場合を例にとって説明したが、本発明の適用はこれに限定されない。吸着パッド40を副軸4に対して軸方向移動可能に設けるようにしてもよい。また、この場合、吸着パッド40の移動機構としては、前記実施例と同様に、溝カムを用いた移動機構を採用できる。
【0114】
また、前記第1および第2の移載例においては、移載後のワークWが搬出コンベア101上においてすべて同じ向きに配置される例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。移載後のワークWの向きは、種々の向きのものを混在させるようにしてもよい。
【0115】
前記実施例では、副軸4および副プーリ41間の係合をスプライン係合により行った例を示したが、本発明の適用はこれには限定されない。副軸4および副プーリ41間にすべりキーを設け、すべりキーを介して、副軸4および副プーリ41を回転方向に固定しかつ副軸4を副プーリ41に対して軸方向移動可能に構成するようにしてもよい。
【0116】
また、前記実施例では、第2の主軸5の回転力を、タイミングプーリ41、51およびこれらに巻き掛けられたタイミングベルト42を介して、各副軸4に伝達させる場合を例にとって説明したが、タイミングプーリ41、51の代わりにそれぞれギヤを用いるとともに、これらのギヤの間にさらにギヤを配列して噛み合わせることにより、第2の主軸5の回転力をギヤを介して各副軸4に伝達させるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明は、物品移載装置に有用であり、とくに移載後の物品の向きの制御を要求されるものに適している。
【符号の説明】
【0118】
1: 物品移載装置
2: 第1の主軸
20: ブラケット(固定ベース部)
21: 環状ベース部(固定ベース部)
21a: カム溝
3: 回転ベース部
31: ブラケット
31b: 切欠き(係合溝)
4: 副軸
4b: スプライン軸部
40: 吸着パッド(保持部)
41: 副プーリ(タイミングプーリ)
42: タイミングベルト(ベルト部材)
5: 第2の主軸
51: 主プーリ(タイミングプーリ)
6: ブロック部材
7: カムフォロア
7’: カムフォロア
8: 移動機構
W; ワーク(物品)
A: 供給ステーション(第1の位置)
C: 搬出ステーション(第2の位置)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0119】
【特許文献1】特開2001−158530号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品移載装置であって、
回転可能な第1の主軸と、
前記第1の主軸により中央部が軸支された回転ベース部と、
前記回転ベース部において前記第1の主軸の周りの円周上に配置され、物品を保持するための保持部を先端に有する複数の副軸と、
前記第1の主軸に対向配置された回転可能な第2の主軸と、
前記第2の主軸に取り付けられた主プーリと、
前記各副軸にそれぞれ取り付けられた複数の副プーリと、
前記主プーリおよび前記各副プーリ間に巻き掛けられた無端状のベルト部材と、
を備えた物品移載装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1の主軸の回転により前記回転ベース部が回転することによって、前記保持部に物品が保持された前記副軸が前記第1の主軸の回りに回転し、これにより、物品が第1の位置から第2の位置に移載されるようになっている、
ことを特徴とする物品移載装置。
【請求項3】
請求項2において、
物品が前記第1の位置から前記第2の位置に移動する際に、前記第2の主軸の回転により、前記主プーリが回転して前記ベルト部材が走行することにより、前記副プーリが回転して前記副軸が回転し、これにより、移載時の物品の向きが変えられるようになっている、
ことを特徴とする物品移載装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記第1の主軸の回転制御により、物品の移載位置が制御されるとともに、前記第2の主軸の回転制御により、移載後の物品の向きが制御されている、
ことを特徴とする物品移載装置。
【請求項5】
請求項1において、
前記回転ベース部が、前記各副軸の配置された複数の位置に向かって前記中央部から放射状に延びる部材である、
ことを特徴とする物品移載装置。
【請求項6】
請求項1において、
前記各副軸が円周上に均等間隔で配置されている、
ことを特徴とする物品移載装置。
【請求項7】
請求項1において、
前記副軸または保持部がそれぞれ軸方向に移動可能に設けられている、
ことを特徴とする物品移載装置。
【請求項8】
請求項1において、
前記各副軸およびこれに対応する前記各副プーリ間の係合は、前記各副軸が前記各副プーリに対して軸方向に移動可能かつ相対回転不能になっている、
ことを特徴とする物品移載装置。
【請求項9】
請求項1において、
前記第1の主軸を回転自在に支持する固定ベース部が設けられており、前記固定ベース部および前記副軸には、前記回転ベース部の回転時に前記各副軸を軸方向に移動させるための移動機構が設けられている、
ことを特徴とする物品移載装置。
【請求項10】
請求項9において、
前記移動機構が、前記各副軸に回転自在に設けられかつ前記各副軸に対して軸方向に移動不能に設けられるとともに、回転自在なカムフォロアを外周に有するブロック部材と、前記固定ベース部に設けられ、前記カムフォロアが当接するカム溝とから構成されている、
ことを特徴とする物品移載装置。
【請求項11】
請求項10において、
前記ブロック部材の回り止めを行う回り止め機構が設けられている、
ことを特徴とする物品移載装置。
【請求項12】
請求項11において、
前記ブロック部材が複数のカムフォロアを有するとともに、前記回転ベース部が前記ブロック部材の周囲に配設されたブラケット部を有し、前記回り止め機構が、いずれかの前記カムフォロアと、前記ブラケット部に形成され、前記カムフォロアが係合する係合溝とから構成されている、
ことを特徴とする物品移載装置。
【請求項13】
請求項1において、
前記保持部が、物品を吸着保持する吸着パッドから構成されている、
ことを特徴とする物品移載装置。
【請求項14】
請求項1において、
前記各副プーリが前記回転ベース部にそれぞれ回転自在に支持されている、
ことを特徴とする物品移載装置。
【請求項15】
請求項1において、
前記主プーリおよび副プーリがタイミングプーリであって、前記ベルト部材がタイミングベルトである、
ことを特徴とする物品移載装置。
【請求項1】
物品移載装置であって、
回転可能な第1の主軸と、
前記第1の主軸により中央部が軸支された回転ベース部と、
前記回転ベース部において前記第1の主軸の周りの円周上に配置され、物品を保持するための保持部を先端に有する複数の副軸と、
前記第1の主軸に対向配置された回転可能な第2の主軸と、
前記第2の主軸に取り付けられた主プーリと、
前記各副軸にそれぞれ取り付けられた複数の副プーリと、
前記主プーリおよび前記各副プーリ間に巻き掛けられた無端状のベルト部材と、
を備えた物品移載装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1の主軸の回転により前記回転ベース部が回転することによって、前記保持部に物品が保持された前記副軸が前記第1の主軸の回りに回転し、これにより、物品が第1の位置から第2の位置に移載されるようになっている、
ことを特徴とする物品移載装置。
【請求項3】
請求項2において、
物品が前記第1の位置から前記第2の位置に移動する際に、前記第2の主軸の回転により、前記主プーリが回転して前記ベルト部材が走行することにより、前記副プーリが回転して前記副軸が回転し、これにより、移載時の物品の向きが変えられるようになっている、
ことを特徴とする物品移載装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記第1の主軸の回転制御により、物品の移載位置が制御されるとともに、前記第2の主軸の回転制御により、移載後の物品の向きが制御されている、
ことを特徴とする物品移載装置。
【請求項5】
請求項1において、
前記回転ベース部が、前記各副軸の配置された複数の位置に向かって前記中央部から放射状に延びる部材である、
ことを特徴とする物品移載装置。
【請求項6】
請求項1において、
前記各副軸が円周上に均等間隔で配置されている、
ことを特徴とする物品移載装置。
【請求項7】
請求項1において、
前記副軸または保持部がそれぞれ軸方向に移動可能に設けられている、
ことを特徴とする物品移載装置。
【請求項8】
請求項1において、
前記各副軸およびこれに対応する前記各副プーリ間の係合は、前記各副軸が前記各副プーリに対して軸方向に移動可能かつ相対回転不能になっている、
ことを特徴とする物品移載装置。
【請求項9】
請求項1において、
前記第1の主軸を回転自在に支持する固定ベース部が設けられており、前記固定ベース部および前記副軸には、前記回転ベース部の回転時に前記各副軸を軸方向に移動させるための移動機構が設けられている、
ことを特徴とする物品移載装置。
【請求項10】
請求項9において、
前記移動機構が、前記各副軸に回転自在に設けられかつ前記各副軸に対して軸方向に移動不能に設けられるとともに、回転自在なカムフォロアを外周に有するブロック部材と、前記固定ベース部に設けられ、前記カムフォロアが当接するカム溝とから構成されている、
ことを特徴とする物品移載装置。
【請求項11】
請求項10において、
前記ブロック部材の回り止めを行う回り止め機構が設けられている、
ことを特徴とする物品移載装置。
【請求項12】
請求項11において、
前記ブロック部材が複数のカムフォロアを有するとともに、前記回転ベース部が前記ブロック部材の周囲に配設されたブラケット部を有し、前記回り止め機構が、いずれかの前記カムフォロアと、前記ブラケット部に形成され、前記カムフォロアが係合する係合溝とから構成されている、
ことを特徴とする物品移載装置。
【請求項13】
請求項1において、
前記保持部が、物品を吸着保持する吸着パッドから構成されている、
ことを特徴とする物品移載装置。
【請求項14】
請求項1において、
前記各副プーリが前記回転ベース部にそれぞれ回転自在に支持されている、
ことを特徴とする物品移載装置。
【請求項15】
請求項1において、
前記主プーリおよび副プーリがタイミングプーリであって、前記ベルト部材がタイミングベルトである、
ことを特徴とする物品移載装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−32060(P2011−32060A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−180797(P2009−180797)
【出願日】平成21年8月3日(2009.8.3)
【出願人】(000141886)株式会社京都製作所 (83)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月3日(2009.8.3)
【出願人】(000141886)株式会社京都製作所 (83)
【Fターム(参考)】
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