説明

物品管理システム、仕切り板及び仕切り板用ラベル

【課題】物品棚に分野別に収容される物品の入れ替えを行っても、容易にその物品を管理できるようにする。
【解決手段】物品棚1に収容され、それぞれ物品識別用無線タグ4が付された複数の物品2を管理するシステムは、区画識別用無線タグが付された仕切り板3A〜3Eと、無線タグ読取装置5と、複数の仕切り板によってそれぞれ仕切られる棚板の複数区画をそれぞれ識別するための区画識別情報に対応して、その区画内に収容されるべき各物品をそれぞれ識別するための物品識別情報を記録する物品管理データベースと、この物品管理データベースにアクセス可能であるとともに、無線タグ読取装置5に接続され、この無線タグ読取装置5によって読み取られた物品識別用無線タグ及び区画識別用無線タグの各タグ情報を処理する情報処理装置7を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棚に並べられる書籍等の物品を管理する物品管理システム及びこのシステムに用いられる仕切り板並びにこの仕切り板に貼り付けられるラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の物品管理システムとして、特許文献1記載のものが知られている。この文献記載のシステムは、管理対象である各書籍にそれぞれ書籍無線タグを付すとともに、これらの書籍が分野別に収容される棚の前面に、分野毎にそれぞれ棚無線タグを付す。そして、これら書籍無線タグ及び棚無線タグと無線通信を行い、非接触でデータの読書きを行うリーダ・ライタと、このリーダ・ライタに接続されたパソコンとを備える。
【0003】
書籍無線タグには、そのタグが付された書籍を識別するための書籍識別IDが記憶される。棚無線タグには、そのタグが付された棚に収容される書籍の分野を識別するための棚識別IDが記憶される。パソコンは、書籍管理データベースを有する。書籍管理データベースには、各書籍の通し番号に対応して、その書籍に付されている書籍無線タグの書籍識別IDと、その書籍が置かれている棚に付された棚無線タグの棚識別IDとが記憶される。
【0004】
棚卸の際には、リーダ・ライタで、棚卸対象の棚に付された棚無線タグの棚識別IDを読み取るとともに、その棚に収容された各書籍にそれぞれ付された書籍無線タグの書籍識別IDを読み取る。パソコンは、書籍管理用ソフトに基づき、書籍管理データベースを検索して、過去の棚卸時にその棚に収容されていた書籍と、今回の棚卸時に実際にその棚に収容されている書籍との照合を行い、その結果、パソコンのディスプレイに表示する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来の物品管理システムは、書籍が分野別に収容される棚の前面に、分野毎に棚無線タグを付すので、予めどの分野の書籍を棚のどの場所に置くかを決めておく必要があった。このため、書籍の増減や分野の変更等により書籍の入替えをしたくても、容易には対応できないという問題があった。
【0006】
本発明はこのような事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは、物品棚に区画別に収容される物品の入れ替えを行っても、容易にその物品を管理することができる物品管理システム及びこのシステムに用いられる仕切り板、並びにこの仕切り板に付されるラベルを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の物品管理システムは、物品棚の棚板に収容され、それぞれ物品を識別するための物品識別情報を記録可能な物品識別用無線タグが付された複数の物品を管理するものであって、区画識別用無線タグが付された仕切り板と、前記物品識別用無線タグ及び区画識別用無線タグにそれぞれ記録されたタグ情報を無線通信により読み取る無線タグ読取装置と、複数の仕切り板によってそれぞれ仕切られる棚板の複数区画をそれぞれ識別するための区画識別情報に対応して、その区画内に収容されるべき各物品をそれぞれ識別するための物品識別情報を記録する物品管理データベースと、この物品管理データベースにアクセス可能であるとともに、無線タグ読取装置に接続され、この無線タグ読取装置によって読み取られた物品識別用無線タグ及び区画識別用無線タグの各タグ情報を処理する情報処理装置とを備える。
【0008】
仕切り板は、電波を遮断する部材からなる第1の板体と、電波を透過する部材からなり、第1の板体の少なくとも一方の面に裏面が張り合わされる第2の板体とを具備し、第2の板体の表面側に、当該仕切り板によって仕切られる棚板の区画を識別するための区画識別情報を記録可能な区画識別用無線タグを取り付けている。
【0009】
あるいは、仕切り板は、電波を遮断する部材からなる第1の板体と、電波を透過する部材からなり、第1の板体の両面にそれぞれ裏面が張り合わされる一対の第2の板体とを備えた仕切り板本体と、この仕切り板本体に貼り付けられるラベルとを具備する。
【0010】
そのラベルは、一対の平行な長辺と一対の平行な短辺とを有し、裏面を前記仕切り板との接着面とするラベル用紙と、仕切り板本体の物品棚への挿入方向に沿って手前側の端面を覆うように、ラベル用紙の一対の長辺の各中央部よりいずれか一方の短辺側にずれた位置に短辺と平行に形成された折り返し部と、ラベル用紙の折り返し部を挟んで両側近傍の表面に設けられた2つの印字部とを備えている。そして、仕切り板本体によって仕切られる棚板の区画を識別するための区画識別情報を記録可能な区画識別用無線タグを、仕切り板本体に貼り付けられたラベル用紙の前記折り返し部から短辺までの長さが長い側に設けられた印字部の近傍に取り付けたものである。
【0011】
情報処理装置は、区画識別用無線タグのタグ情報が読み取られたことに応じて、そのタグ情報に含まれる区画識別情報で物品管理データベースを検索して当該区画識別情報に対応して記憶されている物品識別情報を抽出する抽出手段と、いずれか1つの区画識別用無線タグのタグ情報が読み取られてから別の区画識別用無線タグのタグ情報が読み取られるまでの間、物品識別用無線タグのタグ情報が読み取られる毎に、この物品識別用無線タグのタグ情報に含まれる物品識別情報が、抽出手段で抽出した物品識別情報の中に存在するか否かを判定する判定手段と、この判定手段による判定結果を報知する報知手段とを備える。
【発明の効果】
【0012】
かかる手段を講じた本発明によれば、物品棚に区画別に収容される物品の入れ替えを行っても、容易にその物品を管理することができる物品管理システム及びこのシステムに用いられる仕切り板、並びにこの仕切り板に付されるラベルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施の形態における書籍管理システムの全体構成図。
【図2】同実施形態における仕切り板の正面図、裏面図及び断面図。
【図3】同実施形態におけるラベルの平面図。
【図4】同実施形態における図書管理端末の要部構成を示すブロック図。
【図5】同実施形態において、図書管理端末が有する仕切り板データベースのデータ構造を示す図。
【図6】同実施形態において、図書管理端末が有する図書データベースのデータ構造を示す図。
【図7】同実施形態において、図書管理端末のCPUが実行する図書管理処理の要部処理手順を示す流れ図。
【図8】図7における蔵書検索処理の手順を具体的に示す流れ図。
【図9】図書管理端末のディスプレイに表示される警告画面の一例を示す図。
【図10】仕切り板の他の実施形態を示す正面図、裏面図及び断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る一実施の形態を図面を用いて説明する。
なお、この実施の形態は、図書館の書棚に収容される図書(書籍、CD、DVD等を含む)を管理する図書管理システムに、本発明を適用した場合である。
【0015】
初めに、図書管理システムの概略について説明する。図1は本実施の形態における書籍管理システムの全体構成図であり、符号“1”は、物品棚としての書棚を示している。同図では、3段の書棚を1基のみ示しているが、棚の段数及び基数は、特に限定されるものではない。
【0016】
書棚1の各段を形成する棚板1A,1B,1Cには、物品としての複数の図書2が分野別に分類されて収容される。また、各棚板1A,1B,1Cにそれぞれ収容された図書2を分野毎に仕切るために、複数枚(図では5枚)の仕切り板3(3A,3B,3C,3D,3E)が、分野の異なる図書2の間に挿入される。
【0017】
各図書2には、その背表紙部分に、それぞれ物品識別用無線タグとしての図書識別用無線タグ4が貼り付けられている。図書識別用無線タグ4は、パッシブ型無線タグであり、そのタグが付された図書2を識別するための図書識別情報として図書固有の図書IDを記憶している。なお、図1では、スペースの都合上、1段目の棚板1Aに収容された図書のみに該図書の符号“2”を付し、3段目の棚板1Cに収容された図書の図書識別用無線タグのみに該タグの符号“4”を付している。
【0018】
図1において、符号“5”は、無線タグ読取装置の一態様であるハンディ型の無線タグリーダである。この無線タグリーダ5は、起動状態にあるとき、把持部5Aに設けられた動作ボタン5Bが押下されると、把持部5Aと反対側のアンテナ面5Cに設けられたアンテナ5Dから、アンテナ面5Cの前方にタグ読取用の電波を送信出力する。この電波の交信領域6内に無線タグが存在すると、この無線タグとアンテナ5Dとの間で無線による信号の送受信が行われて、無線タグリーダ5は、この無線タグのメモリに記憶されているタグデータ(ID等)を非接触で読み取ることができる。無線タグリーダ5は、アンテナ面5Cから放射される電波の送信出力レベルを段階的に強弱させることができる。
【0019】
図1において、符号“7”は、情報処理装置としての図書管理端末である。図書管理端末7は、通信ケーブル8を介して無線タグリーダ5を接続する。そして、この無線タグリーダ5の起動及び停止を制御する機能と、無線タグリーダ5で読み取られた無線タグのデータを処理して図書2を管理する機能とを、後述する図書管理プログラムによって実現している。
【0020】
次に、仕切り板3について説明する。図2の(a)は仕切り板3の正面図、図2の(b)は裏面図、図2の(c)は図2(b)のR−R矢視断面図である。仕切り板3は、例えばアルミ板等のように電波を遮断する部材からなる第1の板体11と、この第1の板体11と同一サイズであって、例えば発泡スチロール等のように電波を透過する部材からなる一対の第2の板体12、13を備える。そして、第1の板体11を挟み込むように、第1の板体11の両面にそれぞれ第2の板体12,13の背面を張り合わせて、仕切り板3の本体10を構成している。
【0021】
電波を遮断する部材に無線タグが接していると、無線タグは、無線タグリーダ5からの電波に応答しない。電波を遮断する部材から少なくとも1cm程度離れると、無線タグは、無線タグリーダ5からの電波に応答する。このため、第2の板体12,13は、1cm以上の板厚を有する。ただし、必要以上に厚くすると、仕切り板本体10の厚みが増して、棚に収容できる図書2の数が減少する。したがって、第2の板体12,13の板厚は、1cm程度とすることが望ましい。
【0022】
なお、電波を遮断する部材からどの程度離れると無線タグが無線タグリーダ5からの電波に応答するかは、無線タグの特性によって異なる。要は、無線タグの特性を考慮して、第2の板体12,13の板厚を、無線タグリーダ5からの電波に無線タグが応答する最小の厚みとすることで、そのメリットは大きい。
【0023】
仕切り板本体10には、ラベル20が貼り付けられている。ラベル20は、図3に示すように、一対の平行な長辺と、同じく一対の平行な短辺とを有する長方形状のラベル用紙21を主体とする。なお、ラベル用紙21の形状は長方形に限定されるものではなく、一対の平行な長辺と短辺を有していれば、例えば4隅の角を丸くした形状であってもよい。
【0024】
ラベル用紙21は、その裏面を、前記仕切り板本体10との接着面とする。そして、仕切り板本体10の前記書棚1への挿入方向に沿って手前側の端面を覆うように、ラベル用紙21の一対の長辺の各中央部より一方の短辺側にずれた位置に、折り返し部22を短辺と平行に形成している。また、この折り返し部22を挟んで両側近傍の表面に、2つの印字部23、24を形成している。各印字部23,24には、当該ラベル20が貼り付けられる仕切り板本体10によって仕切られる棚板の区画に収容される図書の分野を示す情報(分類番号、分類名称等)がそれぞれ印字される。
【0025】
ラベル用紙21は、一方の印字部23の近傍に、区画識別用無線タグ31を取り付けている。さらに、この区画識別用無線タグ31の取付位置より折り返し部22側とは反対側の短辺近傍に、電波出力調整用無線タグ32を取り付けている。なお、両無線タグ31,32は、ラベル用紙21の表面側に取り付けられていてもよいし、裏面側に取り付けられていてもよい。
【0026】
両無線タグ31,32は、いずれもパッシブ型無線タグである。区画識別用無線タグ31は、このタグ31が付された仕切り板本体10によって仕切られる棚板の区画を識別するための区画識別情報として区画IDを記憶する。電波出力調整用無線タグ32は、この区画IDに関連付けられて任意に設定された出力調整用IDを記憶する。
【0027】
次に、図書管理端末7について説明する。図4は図書管理端末7のハードウェア構成を示すブロック図である。図4に示すように、図書管理端末7は、制御部本体を構成するCPU41、ROM、RAM等の主記憶部42、ハードディスク、フラッシュメモリ等の補助記憶部43、キーボード44、ディスプレイ45及びインターフェース46を備えている。インターフェース46には、前記無線タグリーダ5が電気的に接続される。このようなハードウェア構成を有する図書管理端末7は、例えばパソコンによって実現することができる。
【0028】
補助記憶部43は、図5に示すデータ構造の仕切り板データベース50と、図6に示すデータ構造の図書データベース60とを記憶する。
図5に示すように、仕切り板データベース50は、各仕切り板3にそれぞれラベル20を介して取り付けられる区画識別用無線タグ31の区間IDに関連付けて、この仕切り板3によって仕切られた区画に収容されるべき図書の分野を示す分類番号及び分類名称と、この仕切り板3にラベル20を介して取り付けられる電波出力調整用無線タグ32の出力調整用IDとを記憶する。
【0029】
図6に示すように、図書データベース60は、各図書2にそれぞれ付されている図書識別用無線タグ4の図書IDに関連付けて、その図書が属する分野の分類番号、図書名、著者などの図書情報を記憶する。このような図書データベース60は、物品管理データベースとして機能する。
【0030】
主記憶部42は、前記図書管理プログラムを記憶する。例えばキーボード44の操作入力により、この図書管理プログラムが起動すると、CPU41は、図7の流れ図によって示される手順の図書管理処理を開始する。
【0031】
先ず、CPU41は、ST(ステップ)1として終了待ちフラグを“0”にリセットする。終了待ちフラグは、例えば主記憶部42のRAM領域で記憶している。次に、CPU41は、ST2としてインターフェース46を介して接続された無線タグリーダ5に、タグIDの読取開始コマンドを送信する。
【0032】
このコマンドを受けて、無線タグリーダ5は起動する。そして、動作ボタン5Bが押下されている間、アンテナ5Dを介してタグ問合せ電波を送信する。このタグ問合せ電波は、問合せ先の読取IDを指定しない。したがって、タグ問合せ電波が到達する交信領域6内に存在する無線タグは、全て応答する。無線タグリーダ5は、応答のあった無線タグと個々に無線通信を行い、そのメモリに記憶されているタグIDを非接触で読み取る。読み取られたタグIDは、通信ケーブル8を介して図書管理端末7に入力される。
【0033】
読取開始コマンドを送信したCPU41は、ST3として無線タグリーダ5により無線タグのタグIDが読み取られるのを待機する。タグIDが読み取られたならば(ST3のYES)、CPU41は、ST4としてそのタグIDが、仕切り板3に取り付けられている区画識別用無線タグ31のタグID、すなわち区間IDであるか否かを判断する。
【0034】
本実施の形態では、タグIDの種類を、IDの先頭の2桁の数字で識別可能とする。すなわち、図5及び図6を参酌すると、区間IDは、先頭の2桁の数字を「10」とし、出力調整用IDは「90」とし、図書IDはそれ以外としている。したがって、ST4では、CPU41は、読み取られたタグIDの先頭の2桁の数字を調べ、「10」であれば区間IDと認識し、「10」以外であれば区間ID以外と認識する。なお、タグIDの種類を識別する方法は、これに限定されるものではない。
【0035】
読み取られたタグIDが区間ID以外であった場合には(ST4のNO)、CPU41は、ST3に戻り、次の無線タグのタグIDが読み取られるのを待機する。
【0036】
これに対し、読み取られたタグIDが区間IDであった場合には(ST4のYES)、CPU41は、ST5としてその区間IDを主記憶部42で記憶する。次に、CPU41は、ST6としてこの記憶した区間IDで仕切り板データベース50を検索する。そして、この区間IDに対応して記憶されている出力調整用IDを取得する。
【0037】
出力調整用IDを取得したならば、CPU41は、ST7として無線タグリーダ5の電波出力レベルLを最大レベルLMAXに設定する。そして、ST8として無線タグリーダ5に、この最大レベルの電波出力レベルLMAXで、上記出力調整用IDが設定された無線タグ、すなわち電波出力調整用無線タグ32の読取指示コマンドを送信する。
【0038】
このコマンドを受けて、無線タグリーダ5は、動作ボタン5Bが押下されている間、タグ問合せ電波を電波出力レベルLMAXで送信する。このタグ問合せ電波は、問合せ先の読取IDとして上記出力調整用IDを指定する。したがって、タグ問合せ電波が到達する交信領域6内に上記出力調整用IDが設定された無線タグ、すなわち電波出力調整用無線タグ32が存在すると、その無線タグ32は応答する。それ以外の無線タグは応答しない。無線タグリーダ5は、応答のあった無線タグ32と無線通信を行い、そのメモリに記憶されているタグID、すなわち出力調整用IDを非接触で読み取る。読み取られた出力調整用IDは、通信ケーブル8を介して図書管理端末7に入力される。
【0039】
読取指示コマンドを送信したCPU41は、ST9として読取対象の出力調整用IDが読み取られるのを待機する。コマンドの送信から所定時間内に上記出力調整用IDが読み取られたならば(ST9のYES)、CPU41は、ST10として無線タグリーダ5の電波出力レベルLを、現段階から1段階下のレベル(L−1)に変更する。そして、ST11として電波出力レベルLが最小レベルLMINより小さくなったか否か判断する。電波出力レベルLが最小レベルLMIN以上であった場合には(ST11のYES)、ST8に戻る。すなわち、無線タグリーダ5に、最新の電波出力レベルLで同一の読取指示コマンドを送信する。なお、電波出力レベルLの最大レベルLMAXと最小レベルLMINは、無線タグリーダ5の仕様等によって予め設定される。
【0040】
このように、CPU41は、先ず、無線タグリーダ5の電波出力レベルLを最大レベルLMAXに設定した状態で、区間IDに対応して記憶されている出力調整用IDの読み取りを指示する。そして、無線タグリーダ5によって当該出力調整用IDが読み取られたならば、無線タグリーダ5の電波出力レベルLを1段階下げて、この出力調整用IDの読み取りを再度指示する。そして、この指示を受けた無線タグリーダ5により、当該出力調整用IDが再び読み取られたならば、無線タグリーダ5の電波出力レベルLをさらに1段階下げる。
【0041】
こうして、所望の出力調整用IDが読み取られる毎に、無線タグリーダ5の電波出力レベルLを1段階ずつ下げていき、出力調整用IDが読み取られなくなったならば(ST9のNO)、CPU41は、ST12として出力調整終了を報知する(レベル設定手段)。この報知方法としては、例えば、ディスプレイ45に出力調整終了を示すメッセージを表示して報知する方法や、図示しないブザーを鳴動させて報知する方法が考えられる。無線タグリーダ5にLEDランプやブザーなどの報知手段が備えられている場合は、この報知手段を動作させてもよい。
【0042】
なお、電波出力レベルLを最小レベルLMINまで下げても、依然として当該出力調整用IDが読み取られた場合には(ST11のYES)、CPU41は、今回の処理をエラーとして、図書管理プログラムを停止させる。
【0043】
出力調整終了を報知すると、CPU41は、ST13として主記憶部42に記憶した区間IDで仕切り板データベース50を再度検索する。そして、この区間IDに対応して記憶されている区間情報である分類番号と分類名称を取得する。
【0044】
区間情報を取得すると、CPU41は、ST14としてその区間情報の分類番号で図書データベース60を検索する。そして、当該分類番号が設定された図書情報(図書ID、分類番号、図書名、著者等)を全て抽出する(抽出手段)。当該分類番号が設定された図書情報を抽出し終えたならば、CPU41は、ST15として図8の流れ図に具体的に示す蔵書検索処理を実行する。
【0045】
先ず、CPU41は、ST21として読取済IDリストメモリを初期化する。このリストメモリは、主記憶部42に形成されている。次に、CPU41は、ST22として無線タグリーダ5の電波出力レベルを現時点のレベルL、すなわち出力調整用IDが読み取られなくなったときの電波出力レベルに設定して、タグIDの読取開始コマンドを送信する。
【0046】
このコマンドを受けて、無線タグリーダ5は、動作ボタン5Bが押下されている間、タグ問合せ電波を電波出力レベルLで送信する。このタグ問合せ電波は、問合せ先の読取IDを指定しない。したがって、タグ問合せ電波の交信領域6内に存在する全ての無線タグが応答する。無線タグリーダ5は、応答のあった無線タグと個々に無線通信を行い、そのメモリに記憶されているタグIDを非接触で読み取る。読み取られたタグIDは、通信ケーブル8を介して図書管理端末7に入力される。
【0047】
読取開始コマンドを送信したCPU41は、ST23として無線タグリーダ5により無線タグのタグIDが読み取られるのを待機する。タグIDが読み取られたならば(ST23のYES)、CPU41は、ST24としてそのタグIDが読取済IDリストメモリに既に記憶されているか否かを判断する。記憶されている場合には(ST24のYES)、CPU41は、ST23に戻り、次のタグIDが読み取られるのを待機する。
【0048】
無線タグリーダ5により読み取られたタグIDが、読取済IDリストメモリに未だ記憶されていない新規のタグIDであった場合には(ST24のNO)、CPU41は、ST25としてその読み取ったタグIDを読取済IDリストメモリに追加する。しかる後、CPU41は、ST26〜ST28として読取済IDリストメモリに追加したタグIDの種類を判別する。このときも、CPU41は、タグIDの先頭の2桁の数字によって、タグIDの種類を判別する。
【0049】
読取済IDリストメモリに追加したタグIDが出力調製用IDであった場合(ST26のYES)、CPU41は、ST29として出力調整のやり直しを報知する。この場合の報知方法も、ST12の処理の報知方法と同様な方法が考えられる。あるいは、全く別な方法で、ユーザに出力調整のやり直しを報知してもよい。その後、CPU41は、ST7に戻り、電波出力レベルを最大レベルLMAXに設定して、ST8以降の処理を再度実行する。
【0050】
読取済IDリストメモリに追加したタグIDが区間IDであった場合には(ST27のYES)、CPU41は、ST30としてその区間IDが、ST5の処理で主記憶部42に記憶した区間IDと一致するか否かを判断する。一致する場合(ST30のNO)、CPU41は、ST23に戻り、次のタグIDが読み取られるのを待機する。一致しない場合(ST30のYES)、すなわち別の仕切り板3に設けられた区画識別用無線タグ31を読み取った場合については、後述する。
【0051】
読取済IDリストメモリに追加したタグIDが出力調製用IDや区間IDでなく、図書IDであった場合には(ST28のYES)、CPU41は、ST31として、ST14の処理で図書データベース60から抽出した全ての図書情報を検索する。そして、ST32としてこの図書情報の中に、今回読み取った図書IDを含む情報が存在するか否かを判定する(判定手段)。存在する場合(ST32のYES)、CPU41は、ST33として抽出した図書情報から当該図書IDを含む情報を削除する。しかる後、ST23に戻り、次のタグIDが読み取られるのを待機する。
【0052】
これに対し、抽出した図書情報のなかに、今回読み取った図書IDを含む情報が存在しない場合には(ST32のNO)、CPU41は、ST34として図書データベース60を検索して、今回読み取った図書IDに対応する分類番号、図書名称、著者等の図書情報を取得する。そして、ST35としてこの取得した図書情報を、ST13の処理で取得した区間情報等とともにディスプレイ45に表示して、不適切な図書が収容されていることをユーザに警告する(報知手段)。
【0053】
このときの表示画面(警告画面70)の一例を図9に示す。図示するように、警告画面70には、区間情報である分類番号及び分類名称71と、不適切な図書が収容されていることを警告するメッセージ72と、今回読み取った図書IDに対応する図書情報73と、継続ボタン74と、中止ボタン75とが表示される。図書管理端末7は、キーボード44または図示しないマウスを操作することで、警告画面70上の継続ボタン74と中止ボタン75を選択的に入力することができる。ディスプレイ45をタッチパネル付のディスプレイとし、警告画面70上の継続ボタン74及び中止ボタン75の領域に接触することで、継続ボタン74及び中止ボタン75を選択的に入力できるようにしてもよい。なお、警告画面70のレイアウトは、図9に限定されるものではなく、種々変形実施可能であることはいうまでもないことである。
【0054】
警告画面70を表示させたCPU41は、ST36として継続ボタン74と中止ボタン75のうちいずれか一方のボタンが入力されるのを待機する。継続ボタン74が入力された場合には、CPU41は、ST23に戻り、次のタグIDが読み取られるのを待機する。中止ボタン75が入力された場合には、CPU41は、ST37として無線タグリーダ5にタグIDの読取終了コマンドを送信して、蔵書検索処理を終了する。
【0055】
この読取終了コマンドを受けた無線タグリーダ5は、その動作を停止する。したがって、動作ボタン4Bを押下しても、電波が送信されることはない。
【0056】
ST30の判断処理にて、読み取った区間IDが主記憶部42で記憶している区間IDと異なる場合(ST30のYES)、CPU41は、ST38として終了待ちフラグを“1”にセットする。しかる後、ST23の処理に戻る。
【0057】
CPU41は、ST23にて次のタグIDが読み取られるのを待機する際、ST39として終了待ちフラグを調べる。ここで、終了待ちフラグが“0”にリセットされていた場合には(ST39のNO)、次のタグIDが読み取られるのを待機する。
【0058】
これに対し、終了待ちフラグが“1”にセットされていた場合には(ST39のYES)、CPU41は、ST40として無線タグリーダ5に、前記読取終了コマンドを送信して、蔵書検索処理を終了する。すなわち、ST5の処理で記憶した区間IDと別の区間IDが無線タグリーダ5によって読み取られると、蔵書検索処理が終了する。
【0059】
蔵書検索処理が終了すると、CPU41は、ST16としてディスプレイ45に不在図書リスト画面を表示させる(報知手段)。この画面には、ST14の処理で抽出した図書情報のうち、ST33の処理で削除されなかった図書情報(図書ID、分類番号、図書名称、著者等)の一覧が表示される。また、警告画面70と同様の継続ボタンと中止ボタンとが表示される。
【0060】
CPU41は、ST17として継続ボタンと中止ボタンのうちいずれか一方のボタンが入力されるのを待機する。継続ボタンが入力された場合には、CPU41は、ST1の処理に戻る。中止ボタンが入力された場合には、CPU41は、図書管理プログラムを停止させる。
【0061】
本実施形態の図書管理システムは、上述した仕切り板3と、ラベル20と、無線タグリーダ5を接続した図書管理端末7とにより構成される。このような図書管理システムが導入される図書館では、書棚1の棚板1A,1B,1Cに、図書2を分野別に分類して収容する際に、図1に示すように、図書2の背表紙に付されている図書識別用無線タグ4が書棚1の手前に位置するように収容する。そして、分野の異なる図書2の間に、適切なラベル20が貼り付けられた仕切り板3を適宜挿入して、分野別に分類された図書2を収容するための区画を形成する。
【0062】
図1の場合、書棚1の最上段の棚板1Aの右端に挿入された仕切り板3Aから、この棚板1Aの略中央に挿入された仕切り板3Bまでが、第1の分野に属する図書を収容するための区画となる。また、この仕切り板3Bから2段目の棚板1Bの右側に挿入された仕切り板3Cまでが、第2の分野に属する図書を収容するための区画となる。また、この仕切り板3Cから、同棚板1Bの左側に挿入された仕切り板3Dまでが、第3の分野に属する図書を収容するための区画となる。また、この仕切り板3Dから3段目の棚板1Cに挿入された仕切り板3Eまでが、第4の分野に属する図書を収容するための区画となる。また、この仕切り板3Eから棚板1C1の左端までが、第5の分野に属する図書を収容するための区画となる。
【0063】
この場合、仕切り板3Aには、第1の分野を示す区間情報が印刷されたラベル20Aが貼り付けられる。仕切り板3Bには、第2の分野を示す区間情報が印刷されたラベル20Bが貼り付けられる。仕切り板3Cには、第3の分野を示す区間情報が印刷されたラベル20Cが貼り付けられる。仕切り板3Dには、第4の分野を示す区間情報が印刷されたラベル20Dが貼り付けられる。仕切り板3Eには、第5の分野を示す区間情報が印刷されたラベル20Eが貼り付けられる。
【0064】
ラベル20Aには、仕切り板データベース50において、第1の分野の区間情報である分類番号と分類名称とが設定されたレコードの区間IDを記憶した区画識別用無線タグ31Aと、同レコードの出力調整用IDを記憶した電波出力調整用無線タグ32Aとが取り付けられている。同様に、ラベル20Bには、第2の分野の区間情報である分類番号と分類名称とが設定されたレコードの区間IDを記憶した区画識別用無線タグ31Bと、同レコードの出力調整用IDを記憶した電波出力調整用無線タグ32Cとが付されている。ラベル20C〜20Eについても同様である。
【0065】
このような書棚1に収容されている図書2の蔵書整理を行う場合、担当者は、図書管理端末7の図書管理プログラムを起動した後、先ず、無線タグリーダ5のアンテナ面5Cを第1の分野に属する図書を収容するための区画の起点となる書棚1の最上段右端に近づけて、動作ボタン5Bを押下する。そうすると、無線タグリーダ5からタグ問合せ電波が送信される。そして、この電波に、仕切り板3Aに設けられた区画識別用無線タグ31Aが応答し、そのタグID(区間ID)が無線タグリーダ5によって読み取られると、仕切り板データベース50から当該区間IDに対応して記憶されている出力調整用IDが取得される。そして、無線タグリーダ5からこの出力調整用IDを指定したタグ問合せ電波が送信される。
【0066】
このとき、電波の送信出力は、無線タグリーダ5の仕様の最大レベルLMAXである。この最大レベルLMAXは、電波が書棚1の奥まで充分に到達するレベルであると仮定すると、仕切り板3Aに設けられた電波出力調整用無線タグ32Aは電波を受信する。また、仕切り板3Aの近傍に位置する図書2の図書識別用無線タグ4も電波を受信する。さらに、書棚1の背面側に別の書棚があった場合には、その書棚に収容されている図書2の図書識別用無線タグ4も電波を受信する可能性がある。しかし、タグ問合せ電波は、出力調整用IDを指定しているので、このIDを記憶した無線タグ、すなわち、電波出力調整用無線タグ32Aしか応答しない。
【0067】
電波出力調整用無線タグ32Aが応答して、そのタグID(出力調整用ID)が読み取られると、無線タグリーダ5から同一の出力調整用IDを指定したタグ問合せ電波が再度送信される。ただし、このときの電波出力レベルは、前回より1段階小さくなる。こうして、無線タグリーダ5は、電波出力レベルを段階的に小さく調整しながら、同一の出力調整用IDを指定したタグ問合せ電波の送信動作を繰り返す。そして、電波出力調整用無線タグ32AのタグIDが読み取られなくなると、出力調整終了が報知される。
【0068】
このように、出力調整終了が報知されたときの電波出力レベルLは、電波が仕切り板3Aの挿入方向に対して奥側の端面近傍に設けられた電波出力調整用無線タグ32Aまで到達しないレベルである。したがって、電波が書棚1の背面側に置かれた別の書棚に収容された図書の図書識別用無線タグ4まで到達することはない。
【0069】
出力調整終了を確認した担当者は、動作ボタン5Bを押下したまま、無線タグリーダ5を第1の分野に属する図書を収容するための区画に沿ってゆっくりと左側へ動かす。このとき、無線タグリーダ5から送信されるタグ問合せ電波の出力レベルは、出力調整終了時のレベルLである。したがって、無線タグリーダ5の移動に伴ない、無線タグリーダ5から送信されるタグ問合せ電波は、その区画内に収容されている各図書2の図書識別用無線タグ4で受信される。その結果、無線タグリーダ5は、これらの図書識別用無線タグ4のデータ(図書ID)を読み取ることができる。
【0070】
一方、図書管理端末7においては、出力調整終了に応動して、図書データベース6から第1の分野に属する図書の図書情報が一括して抽出される。そして、無線タグリーダ5により図書IDが読み取られる毎に、この図書IDを含む図書情報が、抽出した図書情報の中に存在するか検索される。存在する場合には、抽出した図書情報の中からその図書情報が削除される。
【0071】
これに対し、存在しない場合には、図9に示すような警告画面70が表示される。担当者は、この画面70の内容から、蔵書整理中の区画内に収容されている図書ID「123456789」の図書「AAAAAAAA」は、その区画に収容するべき分類番号「300」の分野に属する図書ではないことを容易に知ることができる。
【0072】
このとき、担当者は、例えばこの図書「AAAAAAAA」を書棚1から抜き取った後、継続ボタン74を押下する。その後、無線タグリーダ5をさらに左側へ移動させる。そして、無線タグリーダ5が第1の分野に属する図書を収容するための区画の終点となる仕切り板3Bの挿入位置を越えると、無線タグリーダ5によって、この仕切り板3Bに設けられている区間識別用無線タグ31BのタグID(区間ID)が読み取られる。なお、仕切り板3Bの挿入位置を越えるまでは、仕切り板3Bの第1の板体11が電波を遮蔽する部材で構成されているので、無線タグリーダ5によって、区間識別用無線タグ31Bや、この隣接する区画に収容されている図書の図書識別用無線タグ4が読み取られることはない。
【0073】
区間識別用無線タグ31BのタグID(区間ID)が読み取られると、無線タグリーダ5は、読み取動作を一旦停止する。このとき、削除されずに残った図書情報があった場合には、その図書情報のリストがディスプレイ45に表示される。このリストの図書情報は、本来、当該区画内に存在するべき図書の情報である。したがって、担当者は、リストに表示された図書が蔵書整理中の区画内に存在していないことを容易に把握することができる。
【0074】
このリスト画面にも、継続ボタンと中止ボタンとが表示される。次の区画の蔵書整理を行う場合、担当者は継続ボタンを押す。そして、次の区画の起点となる仕切り板の挿入位置に無線タグリーダ5を近づけて動作ボタン5Bを押下する。以後は、前記と同様にして、蔵書整理を実行すればよい。次の区画の蔵書整理を行わない場合は、中止ボタンを押す。
【0075】
このように、本実施の形態によれば、無線タグリーダ5を書棚1の区画に近づけ、その区画に沿って図書2の整列方向に移動させながら無線タグの読み取動作を行なわせるだけで、その区画に収容されている図書を整理することができる。すなわち、間違った区画に収容されている図書を見つけたり、正しく収容されていない図書のリストを得たりすることができる。この場合において、書棚1における各区画のサイズは、仕切り板3A〜3Eの挿入箇所をずらすだけで増減させることができる。したがって、図書の増減により区画のサイズに変更が生じたり、分野のレイアウトを変更したりする場合でも、仕切り板3を抜き差しするだけでよいので、容易に対処できる。
【0076】
また、本実施の形態では、蔵書整理を行っている間の無線タグリーダ5の電波出力レベルを、電波が仕切り板3の挿入方向に対して奥側の端面近傍に設けられた電波出力調整用無線タグ32まで到達しないレベルとしている。したがって、書棚1の背面側に置かれた別の書棚に収容された図書が、蔵書整理を行っている区画に収容されていると誤判定することはなく、信頼性の高い図書管理システムを実現することができる。
【0077】
次に、仕切り板の他の実施形態について説明する。図10の(a)は、他の実施形態における仕切り板9の正面図、図10の(b)は裏面図、図10の(c)は図10(b)のR−R矢視断面図である。仕切り板9は、電波を遮断する部材からなる第1の板体91の両面に、所定の間隔を有して周期的に配列される正方形の導体パターンを形成してなるEBG(Electronic Band Gap)構造体92,93を配置し、さらに各EBG構造体92,93の表面を、それぞれ保護層94,95で覆うことにより、本体90を構成している。そして、この本体90に、前記ラベル20を貼り付けている。
【0078】
EBG構造体92,93は、電磁波の波長より短い周期で導体パターンを配置することで、特定帯域の電磁波の反射を抑制する特性を有する。したがって、一方のEBG構造体92にラベル20を介して無線タグ31,32を設け、この無線タグ31,32が設けられている側から仕切り板9に無線タグリーダ5を近づけると、無線タグリーダ5は、無線タグ31,32のデータを読み取ることができる。このとき、無線タグリーダ5からの電波は、第1の板体91によって反射するので、無線タグ31,32が設けられている側とは反対側に位置する無線タグを読み取ってしまうことはない。したがって、前記実施形態と同様な作用効果を奏することができる。
【0079】
なお、EBG構造体92,93の導体パターンは、図10に示すものに限定されるものではなく、特定帯域の電磁波の反射を抑制する特性を有するパターンであればよい。
【0080】
本発明は、前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
【0081】
例えば、前記実施の形態では、区画識別用無線タグ31及び電波出力調整用無線タグ32をラベル20を介して仕切り板3,9に取り付けたが、仕切り板3,9の本体10,90の表面に直接取り付けてもよい。また、物品棚の背面側に別の棚が位置することのない運用形態では、電波出力調整用無線タグ32を省略することができる。
【0082】
また、前記実施の形態では、仕切り板3,9において、第1の板体11,91の両面に第2の板体12,13またはEBG構造体92,93を貼り付けたが、図1の書棚1に挿入されている仕切り板3Aについては、無線タグ31,32が設けられる側だけに第2の板体12またはEBG構造体92を貼り付けるだけであってもよい。こうすることにより、板体本体10.90の厚みを薄くすることができる。
【0083】
また、本発明は、書棚1に収容される図書の管理システムに限定されるものではなく、棚に分野別に分類されて収容される物品の管理システム全般に適用できるものである。
【符号の説明】
【0084】
1…書棚、2…図書、3、9…仕切り板、4…図書識別用無線タグ、5…無線タグリーダ、7…図書管理端末、10,90…仕切り板本体、11,91…第1の板体、12,13…第2の板体、20…ラベル、31…区間識別用無線タグ、32…出力調整用無線タグ、50…仕切り板データベース、60…図書データベース、92,93…EBG構造体。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0085】
【特許文献1】特開2005−350205号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品棚の棚板に収容された物品を仕切る仕切り板であって、
電波を遮断する部材からなる第1の板体と、
電波を透過する部材からなり、前記第1の板体の少なくとも一方の面に裏面が張り合わされる第2の板体と、を具備し、
前記第2の板体の表面側に、当該仕切り板によって仕切られる棚板の区画を識別するための区画識別情報を記録可能な区画識別用無線タグを取り付けたことを特徴とする仕切り板。
【請求項2】
前記第2の板体の表面側における前記区画識別用無線タグ取付位置より、当該仕切り板の前記物品棚への挿入方向に沿って奥側の端部に、電波出力調整用無線タグを取り付けたことを特徴とする請求項1記載の仕切り板。
【請求項3】
物品棚の棚板に収容された物品を仕切る仕切り板であって、
板体と、
この板体の少なくとも一方の面に、所定の間隔を有して周期的に配列される導体パターンを形成してなるEBG(Electronic Band Gap)構造体とを具備し、
前記EBG構造体の表面側に、当該仕切り板によって仕切られる棚板の区画を識別するための区画識別情報を記録可能な区画識別用無線タグを取り付けたことを特徴とする仕切り板。
【請求項4】
前記EBG構造体の表面側における前記区画識別用無線タグ取付位置より、当該仕切り板の前記物品棚への挿入方向に沿って奥側の端部に、電波出力調整用無線タグを取り付けたことを特徴とする請求項3記載の仕切り板。
【請求項5】
物品棚の棚板に収容された物品を仕切る仕切り板であって、
電波を遮断する部材からなる第1の板体と、電波を透過する部材からなり、前記第1の板体の両面にそれぞれ裏面が張り合わされる一対の第2の板体とを備えた仕切り板本体と、
この仕切り板本体に貼り付けられるラベルと、を具備し、
前記ラベルは、
一対の平行な長辺と一対の平行な短辺とを有し、裏面を前記仕切り板との接着面とするラベル用紙と、
前記仕切り板本体の前記物品棚への挿入方向に沿って手前側の端面を覆うように、前記ラベル用紙の前記一対の長辺の各中央部よりいずれか一方の短辺側にずれた位置に前記短辺と平行に形成された折り返し部と、
前記ラベル用紙の前記折り返し部を挟んで両側近傍の表面に設けられた2つの印字部と、を備え、
前記仕切り板本体によって仕切られる棚板の区画を識別するための区画識別情報を記録可能な区画識別用無線タグを、前記仕切り板本体に貼り付けられた前記ラベル用紙の前記折り返し部から短辺までの長さが長い側に設けられた前記印字部の近傍に取り付けることを特徴とする仕切り板。
【請求項6】
前記ラベル用紙の前記区画識別用無線タグ取付位置より前記折り返し部側とは反対側の前記短辺近傍に、電波出力調整用無線タグを取り付けたことを特徴とする請求項5記載の仕切り板。
【請求項7】
物品棚の棚板に収容された物品を仕切る仕切り板であって、
板体と、この板体の両面に、所定の間隔を有して周期的に配列される導体パターンを形成してなる一対のEBG(Electronic Band Gap)構造体とを備えた仕切り板本体と、
この仕切り板本体に貼り付けられるラベルと、を具備し、
前記ラベルは、
一対の平行な長辺と一対の平行な短辺とを有し、裏面を前記仕切り板本体との接着面とするラベル用紙と、
前記仕切り板本体の前記物品棚への挿入方向に沿って手前側の端面を覆うように、前記ラベル用紙の前記一対の長辺の各中央部よりいずれか一方の短辺側にずれた位置に前記短辺と平行に形成された折り返し部と、
前記ラベル用紙の前記折り返し部を挟んで両側近傍の表面に設けられた2つの印字部と、を備え、
前記仕切り板本体によって仕切られる棚板の区画を識別するための区画識別情報を記録可能な区画識別用無線タグを、前記仕切り板本体に貼り付けられた前記ラベル用紙の前記折り返し部から短辺までの長さが長い側に設けられた前記印字部の近傍に取り付けることを特徴とする仕切り板。
【請求項8】
前記ラベル用紙の前記区画識別用無線タグ取付位置より前記折り返し部側とは反対側の前記短辺近傍に、電波出力調整用無線タグを取り付けたことを特徴とする請求項7記載の仕切り板。
【請求項9】
物品棚の棚板に収容された物品を仕切る仕切り板に貼り付けられるラベルであって、
一対の平行な長辺と一対の平行な短辺とを有し、裏面を前記仕切り板との接着面とするラベル用紙と、
前記仕切り板の前記物品棚への挿入方向に沿って手前側の端面を覆うように、前記ラベル用紙の前記一対の長辺の各中央部よりいずれか一方の短辺側にずれた位置に前記短辺と平行に形成された折り返し部と、
前記ラベル用紙の前記折り返し部を挟んで両側近傍の表面に設けられた2つの印字部と、を具備し、
前記仕切り板によって仕切られる棚板の区画を識別するための区画識別情報を記録可能な区画識別用無線タグを、前記ラベル用紙の前記折り返し部から短辺までの長さが長い側に設けられた前記印字部の近傍に取り付けることを特徴とする仕切り板用ラベル。
【請求項10】
前記ラベル用紙の前記区画識別用無線タグ取付位置より前記折り返し部側とは反対側の前記短辺側の端部に、電波出力調整用無線タグを取り付けたことを特徴とする請求項9記載の仕切り板用ラベル。
【請求項11】
物品棚の棚板に収容され、それぞれ物品を識別するための物品識別情報を記録可能な物品識別用無線タグが付された複数の物品を管理する物品管理システムにおいて、
請求項1,3,5または7のうちいずれか1項に記載の仕切り板と、
前記物品識別用無線タグ及び前記仕切り板に取り付けられた区画識別用無線タグにそれぞれ記録されたタグ情報を無線通信により読み取る無線タグ読取装置と、
複数の前記仕切り板によってそれぞれ仕切られる前記棚板の複数区画をそれぞれ識別するための区画識別情報に対応して、その区画内に収容されるべき各物品をそれぞれ識別するための物品識別情報を記録する物品管理データベースと、
この物品管理データベースにアクセス可能であるとともに、前記無線タグ読取装置に接続され、この無線タグ読取装置によって読み取られた前記物品識別用無線タグ及び前記区画識別用無線タグの各タグ情報を処理する情報処理装置と、を具備し、
前記情報処理装置は、
前記区画識別用無線タグのタグ情報が読み取られたことに応じて、そのタグ情報に含まれる区画識別情報で前記物品管理データベースを検索して当該区画識別情報に対応して記憶されている物品識別情報を抽出する抽出手段と、
いずれか1つの区画識別用無線タグのタグ情報が読み取られてから別の区画識別用無線タグのタグ情報が読み取られるまでの間、前記物品識別用無線タグのタグ情報が読み取られる毎に、この物品識別用無線タグのタグ情報に含まれる物品識別情報が、前記抽出手段で抽出した物品識別情報の中に存在するか否かを判定する判定手段と、
この判定手段による判定結果を報知する報知手段と、
を具備したことを特徴とする物品管理システム。
【請求項12】
物品棚の棚板に収容され、それぞれ物品を識別するための物品識別情報を記録可能な物品識別用無線タグが付された複数の物品を管理する物品管理システムにおいて、
請求項2,4,6または8のうちいずれか1項に記載の仕切り板と、
前記物品識別用無線タグ及び前記仕切り板に取り付けられた区画識別用無線タグ並びに電波出力調整用無線タグにそれぞれ記録されたタグ情報を無線通信により読み取る無線タグ読取装置と、
複数の前記仕切り板によってそれぞれ仕切られる前記棚板の複数区画をそれぞれ識別するための区画識別情報に対応して、その区画内に収容されるべき各物品をそれぞれ識別するための物品識別情報を記録する物品管理データベースと、
この物品管理データベースにアクセス可能であるとともに、前記無線タグ読取装置に接続され、この無線タグ読取装置によって読み取られた前記物品識別用無線タグ、前記区画識別用無線タグ及び前記電波出力調整用無線タグのタグ情報を処理する情報処理装置と、を具備し、
前記情報処理装置は、
前記区画識別用無線タグのタグ情報が読み取られたことに応じて、その区画識別用無線タグと同じ仕切り板に取り付けられている電波出力調整用無線タグの読み取りを、前記無線タグ読取装置の電波出力レベルを段階的に切り換えて繰返し行い、前記無線タグ読取装置の電波出力レベルを前記電波出力調整用無線タグが読み取れない最大レベルに設定するレベル設定手段と、
前記区画識別用無線タグのタグ情報が読み取られたことに応じて、そのタグ情報に含まれる区画識別情報で前記物品管理データベースを検索して当該区画識別情報に対応して記憶されている物品識別情報を抽出する抽出手段と、
前記レベル設定手段により設定された電波出力レベルで前記無線タグ読取装置を動作させ、いずれか1つの区画識別用無線タグのタグ情報が読み取られてから別の区画識別用無線タグのタグ情報が読み取られるまでの間、前記物品識別用無線タグのタグ情報が読み取られる毎に、この物品識別用無線タグのタグ情報に含まれる物品識別情報が、前記抽出手段で抽出した物品識別情報の中に存在するか否かを判定する判定手段と、
この判定手段による判定結果を報知する報知手段と、
を具備したことを特徴とする物品管理システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2010−247906(P2010−247906A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−96116(P2009−96116)
【出願日】平成21年4月10日(2009.4.10)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】