説明

物品管理システム

【課題】 管理対象物の各々に識別情報を持たせることなくそれらのトレーサビリティを容易に実施させることができる物品管理システムを提供する。
【解決手段】 管理対象物に対して前工程における製品としての製品データを作成する製品データ作成手段と、該製品に対応したデータであって、次工程における部品としての部品データを作成する部品データ作成手段と、該前工程又は該次工程の少なくとも一方において第一の時刻から第二の時刻までの間に処理が施される複数の管理対象物に対し、仮想的な識別情報を割り当てる識別情報割当手段と、該製品データ、該部品データ、及び、該識別情報を関連付けて、単一のファイルから成る管理データとして作成する管理データ作成手段とを備えた物品管理システムを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、次工程において部品として用いられる管理対象物を製品として製造する前工程と、前工程において製造された製品を部品として用いて第2の製品を製造する次工程とを連鎖的に接続することにより、複数の工程を階層的に配置した構成としてモデル化された物品管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
製品は、一般に、所定の順序で並べられた複数の工程を持つ生産ラインを経て製造されている。各工程では、生産ライン上を上流から下流に流れる主たる物品に対して、各種の部品を組み付けたり、加工を施したりしている。このような生産ラインにおいて物品の良否を確認するため、例えば抜き取り検査が行われている。抜き取り検査は、工程間を流れている複数の物品の中から幾つかをランダムに取り出して検査し、その検査結果に応じて物品の良否判定を行う検査である。抜き取り検査された物品が良品である場合、例えばそれと同ロットの物品や、生産ライン上においてそれの前後に流れている物品も良品と判断される。また、抜き取り検査された物品が不良品である場合、例えばそれと同ロットの物品や、生産ライン上においてそれの前後に流れている物品も不良品と判断される。
【0003】
例えば下記特許文献1には、効率の高い抜き取り検査を実現させることができる抜き取り検査管理システムが記載されている。
【0004】
ここで近年、様々な業種において、例えば生産管理向上等を理由としてトレーサビリティの重要性が唱えられている。本出願人は、各部品が他の生産設備において製品として製造されたものであることに着目し、部品を受け入れて製品(各生産設備において製造される部品)を製造する機能的単位を「工程」と捉えて、最終的な製品の製造を、複数の「工程」が階層的に接続された構造として表現することにより、生産管理を容易にすると共に、トレーサビリティの機能(すなわち追跡調査機能)を向上させることができる管理システムを提案している(下記特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2002−76087号公報
【特許文献2】特開2001−56706号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の如き抜き取り検査が実施される生産ラインに対しても優れたトレーサビリティの機能を有した管理システムを適用させることが要求されている。ここで、既存の管理システムでは、管理対象物の各々に対して何らかの識別情報(ロット番号やバーコード、ICチップ等)を持たせる必要がある。全数検査が実施される生産ラインでは、全ての管理対象物が検査されることから、それぞれに識別情報を持たせる必要がある。従って既存の管理システムをそのまま適用させても効率良くトレーサビリティが実施され得る。しかしながら抜き取り検査が実施される生産ラインでは、検査される物品は全体の中の一部である。このため、各管理対象物の識別が必ずしも要求されない。換言すると、それぞれに識別情報を持たせる必要性が低い。
【0006】
全ての管理対象物に識別情報を持たせたシステムの場合、識別情報を持たせないシステムと比較して、工程数が増加したりコストがアップしたりする。このため、工程間を流れている物品の一部を抜き取り検査する生産ラインに対しては、管理対象物の各々に識別情報を持たせることなくそれらのトレーサビリティを容易に実施させることができる物品管理システムが要求されていた。
【0007】
そこで、本発明は上記の事情に鑑みて、管理対象物の各々に識別情報を持たせることなくそれらのトレーサビリティを容易に実施させることができる物品管理システムを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決する本発明の一態様に係る物品管理システムは、次工程において部品として用いられる管理対象物を製品として製造する前工程と、前工程において製造された製品を部品として用いて第2の製品を製造する次工程とを連鎖的に接続することにより、複数の工程を階層的に配置した構成としてモデル化されたシステムである。当該システムは、管理対象物に対して前工程における製品としての製品データを作成する製品データ作成手段と、該製品に対応したデータであって、次工程における部品としての部品データを作成する部品データ作成手段と、該前工程又は該次工程の少なくとも一方において第一の時刻から第二の時刻までの間に処理が施される複数の管理対象物に対し、仮想的な識別情報を割り当てる識別情報割当手段と、該製品データ、該部品データ、及び、該識別情報を関連付けて、単一のファイルから成る管理データとして作成する管理データ作成手段とを備えたことを特徴としている。
【0009】
なお、上記物品管理システムにおいて、該第一の時刻が、前工程において製品の製造が開始される製造開始時刻であり、該第二の時刻が、該製品の製造が終了する製造終了時刻であっても良い。また、該第一の時刻が、次工程において部品の使用が開始される使用開始時刻であり、該第二の時刻が、該部品の使用が終了する使用終了時刻であっても良い。
【0010】
また、上記物品管理システムにおいて、該管理データは、該第一の時刻と該第二の時刻との間の時刻に実施される検査結果のデータも含んだものであっても良い。
【発明の効果】
【0011】
本発明の物品管理システムを採用すると、管理対象物の各々に識別情報を持たせることなくそれらのトレーサビリティを容易に実施させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態による物品管理システムについて説明する。なお、本実施形態の物品管理システムは、工業製品や食料品等を始めとする様々な物品の管理に適用可能である。
【0013】
本実施形態の物品管理システムでは、複数の工程からなる生産ライン全体の管理が行われている。ここでいう「工程」とは、受け入れた「部品」を使用して「製品」を製造する機能的単位を表すものとする。すなわち「工程」とは、工場等の生産施設内における所定の領域に設置された工作機械等の各種生産設備、及び、これらの生産設備等を利用して生産活動を行う作業者やロボット等により実現される機能的単位を示したものである。最終的な製品の製造は、このような「工程」が順次階層的に接続されたツリー構造でモデル化される。
【0014】
図1は、本実施形態の物品管理システムの構成を模式的に示した図である。本実施形態では、例えば生産ラインに設置されたベルトコンベア上を流れる物品を管理対象物としている。ベルトコンベア沿いの複数の地点の各々には、組立や加工等の処理を施す工程が配置されている。なお、図1では三つの工程(A工程、B工程、及び、C工程)のみが示されているが、実際にはC工程の後に複数の工程が存在している。上記管理対象物は、A〜C工程、及び、C工程の後に配置された複数の工程の各々(不図示)を経て順次処理されることにより、目的となる最終製品として製造される。
【0015】
各工程は所定の順序で接続されている。各工程では、前工程で「製品」として搬出された物品(換言すると、自己の工程に搬入された物品)を「部品」として使用して「製品」を製造し、当該「製品」を次工程に搬出する。例えばB工程では、A工程で「製品」として搬出された物品を「部品」として使用して「製品」を製造し、当該「製品」をC工程に搬出する。なお、本明細書では、先の記載から明らかなように、「物品」を「製品」及び「部品」の総称としている。
【0016】
図1に示されているように本実施形態の物品管理システムは、サーバ1、ネットワークの一態様であるLAN(Local Area Network)2、LAN2を介してサーバ1に接続されている複数の端末3A〜3C、及び、管理対象物を各工程に順次搬送していくベルトコンベア4を有している。なお、端末3A〜3Cは、A工程〜C工程にそれぞれ対応して配置されている。また、C工程の後に存在する複数の工程にもそれぞれ対応した端末が設置されており、LAN2を介してサーバ1に接続されている。
【0017】
以下、サーバ1及び端末3A〜3Cについて詳細に説明する。
【0018】
図2は、サーバ1の構成を示す図である。図2に示されるように、サーバ1は、複数の端末を統括して管理するための機器であり、バス(BUS)によって相互に接続された、CPU(Central Processing Unit)11、RAM(Random Access Memory)12、HDD(Hard Disk Drive)13、通信制御回路14、表示制御回路15、及び、入力制御回路16を有している。更にサーバ1は、表示制御回路15に接続されたCRT17、及び、入力制御回路16に接続されたキーボード18を有している。また、サーバ1は、通信制御回路14によりLAN2に接続されている。
【0019】
HDD13には、オペレーティングシステム及びデータベース・プログラム等の各種プログラムが予め格納されている。また、後述する管理データであって、各工程間の接続を示すリンクに関連付けられたデータが格納される。なお、ここでいうリンクとは、物品管理システム内の各工程間に内在している、各工程間を関連付けて接続させる為の接続情報である。本実施形態では、後述される仮想的な箱番号(以下、「仮想箱番号」と略記)が上記リンクに相当する。
【0020】
CPU11は、HDD13に格納されたプログラムを読み出してRAM12の所定領域に展開させて実行させる。また、表示制御回路15を制御してCRT17に画像を画面表示させることにより、作業者に対して必要な情報を出力する。作業者がキーボード18に対して入力操作を行うと、入力制御回路16を介して当該入力操作を検知する。
【0021】
図3は、端末3Aの構成を示す図である。なお、他の端末3B及び3Cは、端末3Aと同一の構成を有している。このため、これら他の端末3B及び3Cの説明は、端末3Aの説明をもって省略する。図3に示されるように、端末3Aは、プログラマブル・ロジック・コントローラ(以下、PLCと略記)31、及び、表示入力装置32を有している。
【0022】
PLC31は、バスによって相互に接続された、CPU311、HDD312、RAM313、通信制御回路314、入力制御回路315、及び、表示制御回路316を有している。また、CPU311は、計時手段として時計Mを内蔵しており、この時計Mによって、時刻(年、月、日、時、分、秒)を取得することができる。HDD312には、データベース・プログラム等の各種プログラムが予め格納されている。
【0023】
表示入力装置32は、タッチパネル321、及び、液晶パネル(以下、LCDと略記)322を有している。タッチパネル321は、LCD322の画面上に配置されると共に、PLC31の入力制御回路315に接続されている。また、LCD322は、PLC31の表示制御回路316に接続されている。
【0024】
PLC31のCPU311は、HDD312に格納されているプログラムをRAM313の所定領域に展開して実行する。また、表示制御回路316を制御して表示入力装置32のLCD322に画像を表示させる。この画像には、例えば、部品の使用を開始するときに押下される使用開始ボタン、製品の製造を開始するときに押下される製造開始ボタン、部品の使用が終了したときに押下される使用終了ボタン、製品の製造が終了したときに押下される製造終了ボタン等が含まれる。例えば上記使用開始ボタンが押下されると、CPU311は、時計Mを参照して押下時刻を取得し、それをHDD312に格納する。
【0025】
作業者は、LCD322に表示された各ボタンを押下することにより、入力操作を行うことができる。すなわちLCD322の画面上に配置されたタッチパネル321は、作業者によって押下された画面上の位置を検出可能であり、この位置を示す信号をPLC31の入力制御回路315へ送信することができる。CPU311は、この入力制御回路315を介して、作業者によって押下された画面上の位置を検知すると共に、この位置が画面上の何れのボタンの位置と一致しているかを認識することができる。
【0026】
このように構成された各端末3A〜3Cは、通信制御回路314を介してLAN2に接続されている。
【0027】
なお、上記端末3Aの操作をプログラム上で自動的に実行させることもできる。このようなプログラムを実行させた場合、所定のタイミング(例えば部品の使用が開始されるタイミング)毎に、所定のボタン(例えば使用開始ボタン)押下時に出力される信号と同一のものが入力制御回路315に送信される。また、サーバ1が、所定のタイミング毎に、各処理に対応した信号であって、ボタン押下時に出力される信号と同一のものを、各端末に一括して送信するようにしても良い。上記タイミングは例えば予め設定された時刻であり得る。
【0028】
次に、実際の各工程における部品/製品の流れと、物品管理システム内のデータ処理との対応関係について説明する。なお、本実施形態の物品管理システムでは、ベルトコンベア4上を流れていく物品群を時系列で区切り、その区切られた物品群の各々に対して、データ上で仮想的に割り当てられる「仮想箱番号」を関連付けることにより物品管理を実現している。
【0029】
本実施形態の物品管理システムでは、1つの「仮想箱番号」を、1単位(1ファイル)の管理データに対応させて各種処理を実行している。各管理データは、各端末で実行されるデータベース・プログラムにより作成される。
【0030】
管理データは、工程間を移動する物品群であって、所定の「仮想箱番号」に関連付けられた物品群に対応したデータである。所定の物品群は、前工程において「製品」として扱われ、次工程において「部品」として扱われる。これに伴い、管理データには、前工程に関するデータ、すなわち「仮想箱番号」に関連付けられた物品を「製品」として考えたときのデータ(前工程データ又は製品データ)と、次工程に関するデータ、すなわち「仮想箱番号」に関連付けられた物品を「部品」として考えたときのデータ(次工程データ又は部品データ)とが含まれている。
【0031】
前工程データには、例えば、該製品が製造された工程の名称のデータ(製品工程名称データ)、該製品の製造が開始された時刻のデータ(製品製造開始時刻データ)、該製品の製造が終了した時刻のデータ(製品製造終了時刻データ)等が含まれている。
【0032】
また、次工程データには、例えば、該部品が使用された工程の名称のデータ(部品工程名称データ)や、該部品の使用が開始された時刻のデータ(部品使用開始時刻データ)、該部品の使用が終了した時刻のデータ(部品使用終了時刻データ)等が含まれている。
【0033】
ベルトコンベア4上を物品が流れていくと、該物品の流れに一致した状態で、対応する管理データが物品管理システム内において更新されていく。
【0034】
図4は、本実施形態において各工程を経て処理される物品の流れを時系列で模式的に示した図である。図4(a)〜(g)には、それぞれ、時刻T、T'、T、T'、T、T'、Tにおける物品の流れが示されている。なお、時刻T、T'、T、T'、T、T'、T・・・の順に時間は経過するものとする。時刻T'は、時刻TとTの丁度中間の時刻である。時刻T'は、時刻TとTの丁度中間の時刻である。時刻T'は、時刻TとTの丁度中間の時刻である。また、各時刻の間隔は全て等しい。例えば時刻TとTの間隔、時刻TとTの間隔、及び、時刻TとTの間隔は全て等しい。
【0035】
図4(a)に示されるように、ベルトコンベア4上を流れる先頭の物品は、時刻TにA工程に到達する。図5に、時刻Tに端末3Aで作成される管理データを示す。
【0036】
先に記載されたように、各工程では、自己の工程に搬入された物品を「部品」として使用して「製品」を製造し、次工程に搬出する。従ってA工程では、ベルトコンベア4上を流れる先頭の物品が到達した時刻(時刻T)が、「部品」を使用開始した時刻として取り扱われる。また、「部品」は、A工程に到達すると同時に、作業者やロボット等により処理されて「製品」として製造される。従って時刻Tが、「製品」を製造開始した時刻として取り扱われる。製造された「製品」は、ベルトコンベア4上を流れ、A工程を通過してB工程に搬送されていく。
【0037】
上述したことから、A工程に物品が到達したとき、作業者は使用開始ボタン及び製造開始ボタンを押下する。これに呼応して、端末3AのCPU311は、RAM313に展開されているプログラムを実行して管理データを作成し、HDD312に格納する。なお、管理データは複数のフィールドから成るデータである。これらのフィールドには、「仮想箱番号」、「Pro(製品工程名称データ)」、「t(製品製造開始時刻データ)」、「t(製品製造終了時刻データ)」、「Part(部品工程名称データ)」、「t'(部品使用開始時刻データ)」、「t'(部品使用終了時刻データ)」、及び、「検査結果(抜き取り検査の結果を示すデータ)」がある。
【0038】
時刻Tに使用開始ボタンが押下されると、端末3AのCPU311は、1つの管理データを作成し、そのデータの「Part」のフィールドに「A」、「t'」のフィールドに「T」を格納すると共に、仮想箱番号「001」を割り当てる。これは、仮想箱番号「001」が割り当てられた物品群が、時刻TにA工程で「部品」として使用開始されたことを意味する。なお、上記管理データ(すなわち端末3Aによって作成され且つ仮想箱番号「001」を有する管理データ)を、「管理データA001」と略記する。また、他の管理データもそれに準じて同様に略記する。
【0039】
また、時刻Tに製造開始ボタンが押下されると、端末3AのCPU311は、上記とは別の管理データA'001を作成し、そのデータの「Pro」のフィールドに「A」、「t」のフィールドに「T」、「Part」のフィールドに「B」を格納すると共に、仮想箱番号「001」を割り当てる。これは、仮想箱番号「001」が割り当てられた物品群が、時刻TにA工程で「製品」として製造開始されたことを意味する。なお、本実施形態の物品管理システムにおいて各端末は、少なくとも、隣接する工程について予め把握している。従って端末3AのCPU311は、管理データA'001の「Part」のフィールドにA工程の次工程を表す「B」を格納することができる。
【0040】
図4(b)に示されるように、ベルトコンベア4上を流れる先頭の物品は、時刻T'に、A工程とB工程との間に位置する。ここで、ベルトコンベア4は常に一定の速度で物品を搬送している。また、各工程が配置されている間隔は全て等しい。例えばA工程とB工程との間隔、B工程とC工程との間隔は全て等しい。従って時刻T'においてベルトコンベア4上を流れる先頭の物品は、A工程とB工程との丁度中間の地点に位置する。
【0041】
図6に、時刻T'に端末3Aで更新される管理データを示す。時刻T'では、A工程において抜き取り検査が実施される。抜き取り検査は、工程(ここではA工程)で処理されて「製品」とされた物品に対して実施される。なお、抜き取り検査では、作業者が、ベルトコンベア4上を流れる物品の中から幾つかをピックアップしてそれらの良否判定を行う。端末3AのCPU311は、ピックアップされた物品が全て良品である場合、管理データA001及びA'001の「検査結果」のフィールドに「○(検査時刻)」を格納する。また、ピックアップされた物品の中に一つでも不良品が存在していた場合、上記フィールドに「×(検査時刻)」を格納する。ここでは全て良品であったと判定され、ユーザ・オペレーション(例えばキーボードによる入力操作)により、管理データA001及びA'001の「検査結果」のフィールドに「○(T')」が格納される。
【0042】
図4(c)に示されるように、ベルトコンベア4上を流れる先頭の物品は、時刻TにB工程に到達する。図7(a)に、時刻Tに端末3Aで更新される管理データを示す。また、図7(b)に、時刻Tに端末3Bで作成される管理データを示す。
【0043】
A工程では、時刻Tから所定時間経過すると(すなわち時刻Tになると)、仮想箱番号「001」が割り当てられた物品群に対する「部品」としての使用、及び、「製品」としての製造が終了したものとして扱われる。従って作業者は使用終了ボタン及び製造終了ボタンを押下する。これに呼応して、端末3AのCPU311は、管理データA001及びA'001を更新する。
【0044】
時刻Tに使用終了ボタンが押下されると、端末3AのCPU311は、管理データA001の「t'」のフィールドに「T」を格納する。これは、時刻Tにおいて、仮想箱番号「001」が割り当てられた物品群に対するA工程での「部品」としての使用が終了したことを意味する。
【0045】
また、時刻Tにおいて製造終了ボタンが押下されると、端末3AのCPU311は、管理データA'001の「t」のフィールドに「T」を格納する。ここで、端末3AのCPU311は、ベルトコンベア4の搬送速度及びB工程との距離が既知であることから、仮想箱番号「001」が割り当てられた物品群の先頭が時刻TにB工程に到達することを予め認識している。このため、本実施形態では、管理データA'001の「t'」のフィールドにも「T」が格納される。次いで、更新された管理データA'001を、B工程とのリンクを果たすデータとして、LAN2を介して端末3Bに送信する。ここでの更新内容は、時刻Tにおいて、仮想箱番号「001」が割り当てられた物品群に対するA工程での「製品」としての製造が終了したこと、及び、B工程での「部品」としての使用が開始されたことを意味する。
【0046】
上述した一連の処理により、時刻Tから時刻Tまでの間にA工程を通過した物品群が、仮想箱番号「001」という識別情報を有した集合体として、物品管理システム内で処理される。
【0047】
物品はベルトコンベア4上に連続して並べられて搬送されている。従って時刻Tが経過しても、A工程には次々と物品が搬入されてくる。このため作業者は、時刻T後に搬入されていく物品に対する管理データを作成するため、使用終了ボタン及び製造終了ボタンの押下と同時に使用開始ボタン及び製造開始ボタンも押下する。これに呼応して、端末3AのCPU311は、RAM313に展開されているプログラムを実行して管理データを作成し、HDD312に記憶させる。
【0048】
時刻Tに使用開始ボタンが押下されると、端末3AのCPU311は、管理データA002を作成し、そのデータの「Part」のフィールドに「A」、「t'」のフィールドに「T」を格納すると共に、仮想箱番号「002」を割り当てる。
【0049】
また、時刻Tに製造開始ボタンが押下されると、端末3AのCPU311は、管理データA'002を作成し、そのデータの「Pro」のフィールドに「A」、「t」のフィールドに「T」、「Part」のフィールドに「B」を格納すると共に、仮想箱番号「002」を割り当てる。
【0050】
また、B工程に物品が到達したとき、A工程での先の例と同様に、B工程の作業者は使用開始ボタン及び製造開始ボタンを押下する。これに呼応して、端末3BのCPU311は、RAM313に展開されているプログラムを実行して管理データを作成し、HDD312に格納する。また、端末3Aから送信された管理データA'001を受信して、HDD312に一時的に格納する。
【0051】
時刻Tに使用開始ボタンが押下されると、端末3BのCPU311は、管理データB001を作成し、そのデータの「Part」のフィールドに「B」、「t'」のフィールドに「T」を格納すると共に、仮想箱番号「001」を割り当てる。ここで、管理データB001は、「Part」及び「t'」のフィールドに関し、管理データA'001と同一のデータを有している。端末(ここでは端末3B)は、このような管理データを、隣接した工程と共有すべき内容を持つデータと判定する。端末3Aと端末3Bとで上記データを共有するため(ここでは同一内容のデータを持たせるため)、管理データA'001の各フィールド・データは、管理データB001の各フィールドにコピーされる(但し、「検査結果」のフィールド・データはコピーされない)。これにより、管理データB001と管理データA'001とが、「検査結果」のフィールド・データを除いて同一のデータとなる。
【0052】
また、時刻Tに製造開始ボタンが押下されると、端末3BのCPU311は、管理データB'001を作成し、そのデータの「Pro」のフィールドに「B」、「t」のフィールドに「T」、「Part」のフィールドにB工程の次工程を表す「C」を格納すると共に、仮想箱番号「001」を割り当てる。
【0053】
図4(d)に示されるように、ベルトコンベア4上を流れる先頭の物品は、時刻T'にB工程とC工程との間に位置する。また、A工程で仮想箱番号「002」が割り当てられた物品群の先頭の物品が、A工程とB工程との間に位置する。
【0054】
図8(a)に、時刻T'に端末3Aで更新される管理データを示す。また、図8(b)に、時刻T'に端末3Bで更新される管理データを示す。時刻T'では、A工程及びB工程において抜き取り検査が実施される。A工程では全て良品であったと判定され、ユーザ・オペレーションにより、管理データA002及びA'002の「検査結果」のフィールドに「○(T')」が格納される。また、B工程では不良品があったと判定され、ユーザ・オペレーションにより、管理データB001及びB'001の「検査結果」のフィールドに「×(T')」が格納される。
【0055】
図4(e)に示されるように、ベルトコンベア4上を流れる先頭の物品は、時刻TにC工程に到達する。図9(a)に、時刻Tに端末3Aで更新される管理データを示す。また、図9(b)に、時刻Tに端末3Bで更新される管理データを示す。また、図9(c)に、時刻Tに端末3Cで作成される管理データを示す。
【0056】
A工程では、時刻Tから所定時間経過すると(すなわち時刻Tになると)、仮想箱番号「002」が割り当てられた物品群に対する「部品」としての使用、及び、「製品」としての製造が終了したものとして扱われる。従って作業者は使用終了ボタン及び製造終了ボタンを押下する。これに呼応して、端末3AのCPU311は、管理データA002及びA'002を更新する。
【0057】
時刻Tに使用終了ボタンが押下されると、端末3AのCPU311は、管理データA002の「t'」のフィールドに「T」を格納する。また、製造終了ボタンが押下されると、管理データA'002の「t」及び「t'」のフィールドに「T」を格納する。次いで、更新された管理データA'002を、B工程とのリンクを果たすデータとして、LAN2を介して端末3Bに送信する。
【0058】
上述した一連の処理により、時刻Tから時刻Tまでの間にA工程を通過した物品群が、仮想箱番号「002」という識別情報を有した集合体として、物品管理システム内で処理される。
【0059】
また、A工程の作業者は、時刻T後に搬入されていく物品に対する管理データを作成するため、使用開始ボタン及び製造開始ボタンも押下する。使用開始ボタンが押下されると、端末3AのCPU311は、管理データA003を作成し、そのデータの「Part」のフィールドに「A」、「t'」のフィールドに「T」を格納すると共に、仮想箱番号「003」を割り当てる。また、製造開始ボタンが押下されると、管理データA'003を作成し、そのデータの「Pro」のフィールドに「A」、「t」のフィールドに「T」、「Part」のフィールドに「B」を格納すると共に、仮想箱番号「003」を割り当てる。
【0060】
B工程では、時刻Tから所定時間経過すると(すなわち時刻Tになると)、仮想箱番号「001」が割り当てられた物品群に対する「部品」としての使用、及び、「製品」としての製造が終了したものとして扱われる。従って作業者は使用終了ボタン及び製造終了ボタンを押下する。これに呼応して、端末3BのCPU311は、管理データB001及びB'001を更新する。
【0061】
時刻Tに使用終了ボタンが押下されると、端末3BのCPU311は、管理データB001の「t'」のフィールドに「T」を格納する。また、更新後の管理データB001を端末3Aに送信する。これを受けた端末3AのCPU311は、管理データB001と同一の「仮想箱番号」、「Pro」、及び、「Part」のフィールド・データを持つ管理データを検索する。ここでは管理データA'001が検索される。端末3AのCPU311は、管理データA'001の「t'」のフィールドに管理データB001の持つデータ(すなわち「T」)を格納する。
【0062】
また、製造終了ボタンが押下されると、端末3BのCPU311は、管理データB'001の「t」及び「t'」のフィールドに「T」を格納する。次いで、更新された管理データB'001を、C工程とのリンクを果たすデータとして、LAN2を介して端末3Cに送信する。
【0063】
上述した一連の処理により、時刻Tから時刻Tまでの間にB工程を通過した物品群も、仮想箱番号「001」という識別情報を有した集合体として、物品管理システム内で処理される。
【0064】
また、B工程の作業者は、時刻T後に搬入されていく物品に対する管理データを作成するため、使用開始ボタン及び製造開始ボタンも押下する。使用開始ボタンが押下されると、端末3BのCPU311は、管理データB002を作成し、そのデータの「Part」のフィールドに「B」、「t'」のフィールドに「T」を格納すると共に、仮想箱番号「002」を割り当てる。ここで、端末3Bは、端末3Aから送信された管理データA'002を受信して、HDD312に一時的に格納させている。管理データB002は、「Part」及び「t'」のフィールドに関し、管理データA'002と同一のデータを有している。端末3Bは、このような管理データを、隣接した工程と共有すべき内容を持つデータと判定する。端末3Aと端末3Bとで上記データを共有するため、管理データA'002の各フィールド・データは、管理データB002の各フィールドにコピーされる(但し、「検査結果」のフィールド・データはコピーされない)。これにより、管理データB002と管理データA'002とが、「検査結果」のフィールド・データを除いて同一のデータとなる。
【0065】
また、時刻Tに製造開始ボタンが押下されると、端末3BのCPU311は、管理データB'002を作成し、そのデータの「Pro」のフィールドに「B」、「t」のフィールドに「T」、「Part」のフィールドにB工程の次工程を表す「C」を格納すると共に、仮想箱番号「002」を割り当てる。
【0066】
また、C工程に物品が到達したとき、AやB工程での先の例と同様に、C工程の作業者は使用開始ボタン及び製造開始ボタンを押下する。これに呼応して、端末3CのCPU311は、RAM313に展開されているプログラムを実行して管理データを作成し、HDD312に格納する。また、端末3Bから送信された管理データB'001を受信して、HDD312に一時的に格納させる。
【0067】
時刻Tに使用開始ボタンが押下されると、端末3CのCPU311は、管理データC001を作成し、そのデータの「Part」のフィールドに「C」、「t'」のフィールドに「T」を格納すると共に、仮想箱番号「001」を割り当てる。ここで、管理データC001は、「Part」及び「t'」のフィールドに関し、管理データB'001と同一のデータを有している。端末3Cは、このような管理データを、隣接した工程と共有すべき内容を持つデータと判定する。端末3Bと端末3Cとで上記データを共有するため、管理データB'001の各フィールド・データは、管理データC001の各フィールドにコピーされる(但し、「検査結果」のフィールド・データはコピーされない)。これにより、管理データC001と管理データB'001とが、「検査結果」のフィールド・データを除いて同一のデータとなる。
【0068】
また、時刻Tに製造開始ボタンが押下されると、端末3CのCPU311は、管理データC'001を作成し、そのデータの「Pro」のフィールドに「C」、「t」のフィールドに「T」、「Part」のフィールドにC工程の次工程(例えば「D」)を格納すると共に、仮想箱番号「001」を割り当てる。
【0069】
図4(f)に示されるように、ベルトコンベア4上を流れる先頭の物品は、時刻T'にC工程と次工程(以下、D工程とする)との間に位置する。また、A工程で仮想箱番号「003」が割り当てられた物品群の先頭の物品が、A工程とB工程との間に位置する。また、A工程で仮想箱番号「002」が割り当てられた物品群の先頭の物品が、B工程とC工程との間に位置する。
【0070】
図10(a)に、時刻T'に端末3Aで更新される管理データを示す。また、図10(b)に、時刻T'に端末3Bで更新される管理データを示す。また、図10(c)に、時刻T'に端末3Cで更新される管理データを示す。時刻T'では、A工程、B工程、及び、C工程において抜き取り検査が実施される。ここではA及びB工程において良品であったと判定され、ユーザ・オペレーションにより、管理データA003及びA'003、管理データB002及びB'002の「検査結果」のフィールドの各々に「○(T')」が格納される。また、C工程において不良品であったと判定され、管理データC001及びC'001の「検査結果」のフィールドの各々に「×(T')」が格納される。
【0071】
ベルトコンベア4上を流れる先頭の物品は、時刻TにD工程に到達する(不図示)。図11(a)に、時刻Tにおいて、端末3Aで更新される管理データを示す。また、図11(b)に、端末3Bで更新される管理データを示す。また、図11(c)に、端末3Cで更新される管理データを示す。
【0072】
A工程では、時刻Tから所定時間経過すると(すなわち時刻Tになると)、仮想箱番号「003」が割り当てられた物品群に対する「部品」としての使用、及び、「製品」としての製造が終了したものとして扱われる。従って作業者は使用終了ボタン及び製造終了ボタンを押下する。これに呼応して、端末3AのCPU311は、管理データA003及びA'003を更新する。
【0073】
時刻Tに使用終了ボタンが押下されると、端末3AのCPU311は、管理データA003の「t'」のフィールドに「T」を格納する。また、製造終了ボタンが押下されると、管理データA'003の「t」及び「t'」のフィールドに「T」を格納する。次いで、更新された管理データA'003を、B工程とのリンクを果たすデータとして、LAN2を介して端末3Bに送信する。
【0074】
上述した一連の処理により、時刻Tから時刻Tまでの間にA工程を通過した物品群が、仮想箱番号「003」という識別情報を有した集合体として、物品管理システム内で処理される。
【0075】
また、A工程の作業者は、時刻T後に搬入されていく物品に対する管理データを作成するため、使用開始ボタン及び製造開始ボタンも押下する。使用開始ボタンが押下されると、端末3AのCPU311は、管理データA004を作成し、そのデータの「Part」のフィールドに「A」、「t'」のフィールドに「T」を格納すると共に、仮想箱番号「004」を割り当てる。また、製造開始ボタンが押下されると、管理データA'004を作成し、そのデータの「Pro」のフィールドに「A」、「t」のフィールドに「T」、「Part」のフィールドに「B」を格納すると共に、仮想箱番号「004」を割り当てる。
【0076】
B工程では、時刻Tから所定時間経過すると(すなわち時刻Tになると)、仮想箱番号「002」が割り当てられた物品群に対する「部品」としての使用、及び、「製品」としての製造が終了したものとして扱われる。従って作業者は使用終了ボタン及び製造終了ボタンを押下する。これに呼応して、端末3BのCPU311は、管理データB002及びB'002を更新する。
【0077】
時刻Tに使用終了ボタンが押下されると、端末3BのCPU311は、管理データB002の「t'」のフィールドに「T」を格納する。また、更新後の管理データB002を端末3Aに送信する。これを受けた端末3AのCPU311は、管理データB002と同一の「仮想箱番号」、「Pro」、及び、「Part」のフィールド・データを持つ管理データを検索する。ここでは管理データA'002が検索される。端末3AのCPU311は、管理データA'002の「t'」のフィールドに管理データB002の持つデータ(すなわち「T」)を格納する。
【0078】
また、製造終了ボタンが押下されると、端末3BのCPU311は、管理データB'002の「t」及び「t'」のフィールドに「T」を格納する。次いで、更新された管理データB'002を、C工程とのリンクを果たすデータとして、LAN2を介して端末3Cに送信する。
【0079】
上述した一連の処理により、時刻Tから時刻Tまでの間にB工程を通過した物品群も、仮想箱番号「002」という識別情報を有した集合体として、物品管理システム内で処理される。
【0080】
また、B工程の作業者は、時刻T後に搬入されていく物品に対する管理データを作成するため、使用開始ボタン及び製造開始ボタンも押下する。使用開始ボタンが押下されると、端末3BのCPU311は、管理データB003を作成し、そのデータの「Part」のフィールドに「B」、「t'」のフィールドに「T」を格納すると共に、仮想箱番号「003」を割り当てる。ここで、端末3Bは、端末3Aから送信された管理データA'003を受信して、HDD312に一時的に格納させている。管理データB003は、「Part」及び「t'」のフィールドに関し、管理データA'003と同一のデータを有している。端末3Bは、このような管理データを、隣接した工程と共有すべき内容を持つデータと判定する。端末3Aと端末3Bとで上記データを共有するため、管理データA'003の各フィールド・データは、管理データB003の各フィールドにコピーされる(但し、「検査結果」のフィールド・データはコピーされない)。これにより、管理データB003と管理データA'003とが、「検査結果」のフィールド・データを除いて同一のデータとなる。
【0081】
また、時刻Tに製造開始ボタンが押下されると、端末3BのCPU311は、管理データB'003を作成し、そのデータの「Pro」のフィールドに「B」、「t」のフィールドに「T」、「Part」のフィールドにB工程の次工程を表す「C」を格納すると共に、仮想箱番号「003」を割り当てる。
【0082】
C工程では、時刻Tから所定時間経過すると(すなわち時刻Tになると)、仮想箱番号「001」が割り当てられた物品群に対する「部品」としての使用、及び、「製品」としての製造が終了したものとして扱われる。従って作業者は使用終了ボタン及び製造終了ボタンを押下する。これに呼応して、端末3CのCPU311は、管理データC001及びC'001を更新する。
【0083】
時刻Tに使用終了ボタンが押下されると、端末3CのCPU311は、管理データC001の「t'」のフィールドに「T」を格納する。また、更新後の管理データC001を端末3Bに送信する。これを受けた端末3BのCPU311は、管理データB001と同一の「仮想箱番号」、「Pro」、及び、「Part」のフィールド・データを持つ管理データを検索する。ここでは管理データB'001が検索される。端末3BのCPU311は、管理データB'001の「t'」のフィールドに管理データC001の持つデータ(すなわち「T」)を格納する。
【0084】
また、製造終了ボタンが押下されると、端末3CのCPU311は、管理データC'001の「t」及び「t'」のフィールドに「T」を格納する。次いで、更新された管理データC'001を、D工程とのリンクを果たすデータとして、LAN2を介して端末3Dに送信する。
【0085】
上述した一連の処理により、時刻Tから時刻Tまでの間にB工程を通過した物品群も、仮想箱番号「001」という識別情報を有した集合体として、物品管理システム内で処理される。
【0086】
また、C工程の作業者は、時刻T後に搬入されていく物品に対する管理データを作成するため、使用開始ボタン及び製造開始ボタンも押下する。使用開始ボタンが押下されると、端末3CのCPU311は、管理データC002を作成し、そのデータの「Part」のフィールドに「C」、「t'」のフィールドに「T」を格納すると共に、仮想箱番号「002」を割り当てる。ここで、端末3Cは、端末3Bから送信された管理データB'002を受信して、HDD312に一時的に格納させている。管理データC002は、「Part」及び「t'」のフィールドに関し、管理データB'002と同一のデータを有している。端末3Cは、このような管理データを、隣接した工程と共有すべき内容を持つデータと判定する。端末3Bと端末3Cとで上記データを共有するため、管理データB'002の各フィールド・データは、管理データC002の各フィールドにコピーされる(但し、「検査結果」のフィールド・データはコピーされない)。これにより、管理データC002と管理データC'002とが、「検査結果」のフィールド・データを除いて同一のデータとなる。
【0087】
また、時刻Tに製造開始ボタンが押下されると、端末3CのCPU311は、管理データC'002を作成し、そのデータの「Pro」のフィールドに「C」、「t」のフィールドに「T」、「Part」のフィールドにC工程の次工程を表す「D」を格納すると共に、仮想箱番号「002」を割り当てる。
【0088】
以上に説明された端末3A〜3Cで実行される一連の処理が、他の工程の端末でも実行される。本実施形態の物品管理システムでは、サーバ1が、各端末のHDD312を検索し、その検索結果に基づいてトレーサビリティを行う。一例として、仮想箱番号「001」の物品群に対するトレーサビリティであって、工程を遡及するタイプのトレーサビリティを説明する。
【0089】
サーバ1は、仮想箱番号「001」の物品群に対するトレーサビリティを行うため、例えば端末3Cにアクセスする。次いで、端末3CのHDD312に格納されている管理データを検索する。ここでのトレーサビリティは工程を遡及するタイプのものであるため、サーバ1は、仮想箱番号「001」、及び、自己以外の他の工程のデータを「前工程データ」(又は自己の工程のデータを「次工程データ」)として持っている管理データを取得する。すなわちサーバ1は、検索結果として管理データC001を取得する。
【0090】
サーバ1は、管理データC001の「Pro」を参照し、C工程の上流に位置する工程の情報(すなわちB工程)を取得する。次いで、取得された情報に基づいて端末3Bにアクセスし、端末3BのHDD312に格納されている管理データを検索する。サーバ1は、仮想箱番号「001」、及び、自己以外の他の工程のデータを「前工程データ」(又は自己の工程のデータを「次工程データ」)として持っている管理データを取得する。すなわちサーバ1は、検索結果として管理データB001を取得する。
【0091】
サーバ1は、管理データB001の「Pro」を参照し、B工程の上流に位置する工程の情報(すなわちA工程)を取得する。次いで、取得された情報に基づいて端末3Aにアクセスし、端末3AのHDD312に格納されている管理データを検索する。サーバ1は、仮想箱番号「001」、及び、自己以外の他の工程のデータを「前工程データ」(又は自己の工程のデータを「次工程データ」)として持っている管理データを取得する。すなわちサーバ1は、検索結果として管理データA001を取得する。管理データA001には「前工程データ」が含まれていないため、A工程を最上流の工程であると判断し、トレーサビリティを終了させる。
【0092】
サーバ1は、上述のトレーサビリティによって取得された管理データA001、管理データB001、及び、管理データC001を参照して、仮想箱番号「001」の物品群の経路情報(すなわちA工程、B工程、C工程・・・の順に接続された経路)を取得する。加えて、仮想箱番号「001」の物品群に対する抜き取り検査結果を取得する。ここで取得される検査結果は、「時刻T'における抜き取り検査では良品と判定され、時刻T'及びT'おける抜き取り検査では不良品と判定された」というものである。ここで、各管理データに含まれている時刻のデータ(例えば管理データB001の「t'」、「t'」のフィールド・データ)を参照することにより、サーバ1は、時刻T'の抜き取り検査がB工程で実施されたものであることを特定することができる。これにより、サーバ1は、仮想箱番号「001」の物品群がB工程において不良品となった可能性が高いと判断する。管理側は、この結果を参照して、不良に対する処置を迅速に行うことができる。
【0093】
このように本実施形態の物品管理システムでは、時間の情報に関連付けて物品を識別している。すなわち生産ライン上を流れていく物品群を時系列で区切り、その区切られた物品群の各々に対して、データ上で仮想的に割り当てられる「仮想箱番号」を関連付けることにより物品管理を実現している。従って物品の各々に対してロット番号やバーコード、ICチップ等の識別情報を持たせる必要がない。このため、ICチップやバーコード等の識別情報を付加する工程を削減でき、それに伴ってコストダウンも実現させることができる。
【0094】
以上が本発明の実施形態である。本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく様々な範囲で変形が可能である。
【0095】
先の実施形態では分岐点のない生産ラインに本発明の物品管理システムを適用させているが、別の実施形態では、物品を混在させる混在点(或いは物品の流れを分岐させる分岐点)のある生産ラインに当該物品管理システムを適用させることもできる。図12は、本発明の別の実施形態において各工程を経て処理される物品の流れを時系列で模式的に示した図である。なお、先の実施形態と同様に、AA工程には端末3AA、BB工程には端末3BB、CC工程には端末3CC、AA'工程には端末3AA'が設置されている。また、図12(a)〜(c)には、それぞれ、時刻T'11、T12、T'12における物品の流れが示されている。また、時刻T11、T'11、T12、T'12・・・の順に時間は経過するものとする。各時刻の間隔は全て等しい。
【0096】
図12に示された生産ラインでは、AA工程、BB工程、CC工程・・・が順次接続されている。また、BB工程には、AA工程に加えてAA'工程がその下流に接続されている。すなわち別の実施形態では、BB工程において、AA工程から流れてきた物品とAA'工程から流れてきた物品とが混在する。例えばAA工程は米を精米する工程であり、AA'工程は麦を精米する工程である。また、BB工程は米と麦とを混ぜ合わせる工程であり、CC工程は、混ぜ合わされた米と麦を袋詰めする工程である。
【0097】
ベルトコンベア上を流れる先頭の物品(例えば米)は、時刻T11にAA工程に到達して精米される。また、別のベルトコンベア上を流れる先頭の物品(例えば麦)は、時刻T11にAA'工程に到達して精米される。このとき端末3AA、3AA'は、それぞれ、図5に示されたものと同様の管理データAA011、AA'021を作成する。端末3AA、3AA'は、それぞれ、物品に対して仮想箱番号「011」、「021」を割り当てる。
【0098】
図13(a)に、時刻T'11に端末3AAで作成される管理データAA011を示す。また、図13(b)に、時刻T'11に端末3AA'で作成される管理データAA'021を示す。図12(a)に示されるように、AA工程を通過した米は、時刻T'11に、AA工程とBB工程との間に位置する。また、AA'工程を通過した麦は、時刻T'11に、AA'工程とBB工程との間に位置する。時刻T'11において抜き取り検査が実施され、端末3AA及び端末3AA'はその結果を基に管理データを更新する。
【0099】
図14(a)に、時刻T12に端末3AAで更新される管理データを示す。また、図14(b)に、時刻T12に端末3AA'で作成される管理データを示す。また、図14(c)に、時刻T12に端末3BBで作成される管理データを示す。図12(b)に示されるように、AA工程、AA'工程を通過した米、麦は、時刻T12にBB工程に到達して混ぜ合わされる。このとき端末3AA、3AA'は、それぞれ、図7(a)に示されたものと同様の管理データを作成する。また、端末3BBは、仮想箱番号「011」が割り当てられた米、及び、「021」が割り当てられた麦に対して、図7(b)に示されたものと同様の管理データを作成する。
【0100】
図15(a)に、時刻T'12に端末3AAで作成される管理データを示す。また、図15(b)に、時刻T'12に端末3AA'で作成される管理データを示す。また、図15(c)に、時刻T'12に端末3BBで作成される管理データを示す。図12(c)に示されるように、BB工程で混ぜ合わされた米及び麦は、時刻T'12に、BB工程とCC工程との間に位置する。また、AA工程を通過した米(仮想箱番号「012」が割り当てられたもの)は、AA工程とBB工程との間に位置する。また、AA'工程を通過した麦(仮想箱番号「022」が割り当てられたもの)は、AA'工程とBB工程との間に位置する。時刻T'12において抜き取り検査が実施され、端末3AA、端末3AA'及び、端末3BBはその結果を基に管理データを更新する。次いで、米及び麦は、CC工程に到達すると所定量ずつ袋詰めされ、後の工程で封をされて出荷される。
【0101】
別の実施形態の物品管理システムにおいても先の実施形態と同様にトレーサビリティを行うことができる。すなわち本発明の物品管理システムは、混在点(或いは分岐点)のある生産ラインの管理にも適用可能である。特に、識別番号(ロット番号やバーコード、ICチップ等)を持たせることが困難な米や麦などの物品の管理に有用であると言える。
【0102】
なお、本実施形態では、部品を加工して製品を製造する行為を工程と定義し、各工程間を移動する集合体を箱と定義している。しかしながら工程間を該物品が移動する際に何らかの問題が生じた可能性の有無等を迅速に判断するようなシステムやその追跡調査を行う為のシステムは、これら「物品」、「工程」、「製品」、「部品」、「箱」を他のものに置き換えることにより、他の分野(経済等)にも応用可能である。
【0103】
より具体的には、例えば、「物品」を、有形的な存在を有する有体物(上記の如き部品及び製品或いは食肉等)及び有形的な存在を有さない無体物(経済又は経営等)を含む「物」、「工程」を様々な形態の物に施す処置である「処理」、「製品」をある処理で生成される物である「生成物」、「部品」を生成物を成す為に用いられる「部分物」、「箱」を各処理間を移動する「集合物」に置き換えることができる。各要素を上述の如く置き換えることにより、本実施形態の如き物品管理システムを、食肉等の有体物や、経済又は経営等をコントロールする為の情報である無体物を管理する為の様々な態様の物品管理システムに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明の実施の形態の物品管理システムの構成を模式的に示した図である。
【図2】本発明の実施の形態の物品管理システムに備えられたサーバの構成を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態の物品管理システムに備えられた端末の構成を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態において各工程を経て処理される物品の流れを時系列で模式的に示した図である。
【図5】本発明の実施の形態において時刻Tに端末3Aで作成される管理データを示した図である。
【図6】本発明の実施の形態において時刻T'に端末3Aで作成される管理データを示した図である。
【図7】本発明の実施の形態において時刻Tに端末3A及び3Bで作成される管理データを示した図である。
【図8】本発明の実施の形態において時刻T'に端末3A及び3Bで作成される管理データを示した図である。
【図9】本発明の実施の形態において時刻Tに端末3A〜3Cで作成される管理データを示した図である。
【図10】本発明の実施の形態において時刻T'に端末3A〜3Cで作成される管理データを示した図である。
【図11】本発明の実施の形態において時刻Tに端末3A〜3Cで作成される管理データを示した図である。
【図12】本発明の別の実施の形態において各工程を経て処理される物品の流れを時系列で模式的に示した図である。
【図13】本発明の別の実施の形態において時刻T'11に端末3AA及び3AA'で作成される管理データを示した図である。
【図14】本発明の別の実施の形態において時刻T12に端末3AA、3AA'、及び、3BBで作成される管理データを示した図である。
【図15】本発明の別の実施の形態において時刻T'12に端末3AA、3AA'、及び、3BBで作成される管理データを示した図である。
【符号の説明】
【0105】
1 サーバ
2 LAN
3A〜3C 端末
4 ベルトコンベア
11 CPU
31 PLC

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次工程において部品として用いられる管理対象物を製品として製造する前工程と、前工程において製造された製品を部品として用いて第2の製品を製造する次工程とを連鎖的に接続することにより、複数の工程を階層的に配置した構成としてモデル化された物品管理システムにおいて、
管理対象物に対して前工程における製品としての製品データを作成する製品データ作成手段と、
該製品に対応したデータであって、次工程における部品としての部品データを作成する部品データ作成手段と、
該前工程又は該次工程の少なくとも一方において第一の時刻から第二の時刻までの間に処理が施される複数の管理対象物に対し、仮想的な識別情報を割り当てる識別情報割当手段と、
該製品データ、該部品データ、及び、該識別情報を関連付けて、単一のファイルから成る管理データとして作成する管理データ作成手段と、を備えたこと、を特徴とする物品管理システム。
【請求項2】
該第一の時刻が、前工程において製品の製造が開始される製造開始時刻であり、該第二の時刻が、該製品の製造が終了する製造終了時刻であること、を特徴とする請求項1に記載の物品管理システム。
【請求項3】
該第一の時刻が、次工程において部品の使用が開始される使用開始時刻であり、該第二の時刻が、該部品の使用が終了する使用終了時刻であること、を特徴とする請求項1に記載の物品管理システム。
【請求項4】
該管理データは、該第一の時刻と該第二の時刻との間の時刻に実施される検査結果のデータも含むこと、を特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の物品管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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