物理状態測定装置及び物理状態測定方法
【課題】従来に比べて高速に測定対象物の物理状態を測定できる物理状態測定装置及び物理状態測定方法を提供する。
【解決手段】光源と、光源からの光を測定対象物の測定ポイントまで伝送する伝送手段と、測定ポイントで反射した光の波長を異なる波長に変換する非線形光学素子と、波長変換後の光を受光する受光手段と、受光手段で受光された光の波形に基づいて、測定ポイントにおける測定対象物の物理状態を測定する測定手段と、を備える。
【解決手段】光源と、光源からの光を測定対象物の測定ポイントまで伝送する伝送手段と、測定ポイントで反射した光の波長を異なる波長に変換する非線形光学素子と、波長変換後の光を受光する受光手段と、受光手段で受光された光の波形に基づいて、測定ポイントにおける測定対象物の物理状態を測定する測定手段と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象物の物理状態を非接触で測定可能な物理状態測定装置及び物理状態測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板処理装置により処理される被処理基板(例えば、半導体ウエハ)の物理状態(例えば、内部構造や温度等)を正確に測定することは、成膜やエッチングなど種々の処理の結果により半導体ウエハ上に形成される膜やホールなどの形状、物性等を正確にコントロールする点からも極めて重要である。このため、FIB−SEMや蛍光式温度計等様々な手法により半導体ウエハの内部構造や温度等を計測することが従来から行われている。
【0003】
近年では、上述したような従来の温度計測方法では困難だった半導体ウエハの内部構造や温度等を直接計測することができる低コヒーレンス干渉計を利用した計測技術が知られている。このような低コヒーレンス干渉計を利用した計測技術において、第1スプリッタによって光源からの光を温度測定用の測定光と参照光とに分岐し、さらに、分岐された測定光を第2スプリッタによってn個の測定光に分岐してn個の測定光をn個の測定ポイントへ照射し、これらのn個の測定光の反射光と、参照光反射手段で反射された参照光の反射光との干渉を測定し、複数の測定ポイントの温度を同時に測定できるようにした技術も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−112826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように光源からの光を測定対象物に照射し、反射光により測定対象物の物理状態を測定する技術では、測定対象物及び測定する物理状態に応じて光源から照射する光の波長を選択する必要がある。例えば、上記した従来の技術では、半導体ウエハの温度を測定するためには、半導体ウエハ(Si)を透過する波長帯域の光(例えば、1000nm以上)を使用する必要がある。このため、受光手段として、波長が1000nm以上の光に感度を有する受光素子(例えば、InGaAsフォトダイオード)を使用する必要がある。しかしながら、InGaAsフォトダイオードは、Siフォトダイオードに比べて応答性が低いため、測定対象物の物理状態の測定を高速に行えないという問題があった。
【0006】
本発明は、かかる従来の事情に対処してなされたもので、波長が1000nm以上の長波長の光を使用しなければならない場合であっても、従来に比べて高速に測定対象物の物理状態を測定できる物理状態測定装置及び物理状態測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の物理状態測定装置は、光源と、光源からの光を測定対象物の測定ポイントまで伝送する伝送手段と、測定ポイントで反射した光の波長を異なる波長に変換する非線形光学素子と、波長変換後の光を受光する受光手段と、受光手段で受光された光の波形に基づいて、測定ポイントにおける測定対象物の物理状態を測定する測定手段と、を備える。
【0008】
本発明の物理状態測定方法は、光源からの光を測定対象物の測定ポイントまで伝送する工程と、測定ポイントで反射した光の波長を異なる波長に変換する工程と、波長変換後の光を受光する工程と、受光された光の波形に基づいて、測定ポイントにおける測定対象物の物理状態を測定する工程と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、従来に比べて高速に測定対象物の物理状態を測定できる物理状態測定装置及び物理状態測定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施形態に係る物理状態測定装置の構成図。
【図2】温度算出手段の機能を示す図。
【図3】干渉波形の具体例。
【図4】第2の実施形態に係る物理状態測定装置の構成図。
【図5】受光手段の構成図。
【図6】温度算出手段の機能を示す図。
【図7】DTF処理後の信号を示す図。
【図8】記憶手段に記憶されている光路長と温度との関係を示す図。
【図9】第3の実施形態に係る物理状態測定装置の構成図。
【図10】波長選択の説明図。
【図11】第4の実施形態に係る物理状態測定装置の構成図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の各実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付して重複した説明を省略する。また、測定対象物として半導体ウエハを、物理状態として半導体ウエハの温度を例に説明するが、測定対象物は、半導体ウエハに限られず、種々の対象物を測定することができる。また、物理状態についても、温度に限られず、種々の物理状態(例えば、内部構造等)を測定することができる。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態にかかる物理状態測定装置100の構成図である。第1の実施形態にかかる物理状態測定装置100は、CW光源110と、CW光源110からの光を温度測定用の光(測定光)と参照光とに分岐するスプリッタ120と、測定光を測定対象物W(例えば、半導体ウエハ)の測定ポイントPへ伝送するコリメートファイバF1と、スプリッタ120からの参照光を反射するための参照光反射手段130と、スプリッタ120で分岐された参照光を、参照光反射手段130まで伝送するコリメートファイバF2と、参照光反射手段130から反射する参照光の光路長を変化させるための光路長変化手段140と、測定対象物Wの測定ポイントP及び参照光反射手段130からの反射光の波長を変換する波長変換手段150と、波長変換手段150で波長変換された測定光及び参照光の反射光による干渉波形に基づいて、測定対象物Wの測定ポイントPの温度を測定する信号処理装置160とを備える。信号処理装置160は、受光手段161及び温度算出手段162を備える。
【0013】
CW光源110は、連続光を発生する光源である。CW光源110は、測定光と参照光との干渉が測定できれば、任意の光を使用することが可能であるが、この第1の実施形態では、測定対象物Wとして半導体ウエハの温度測定を行うので、少なくとも測定対象物Wである半導体ウエハの表面Hと裏面Rとの間の距離(通常は800〜1500μm程度)からの反射光が干渉を生じない程度の光が好ましい。
【0014】
具体的には例えば低コヒーレンス光を用いることが好ましい。低コヒーレンス光とは、コヒーレンス長の短い光をいう。低コヒーレンス光の中心波長は、測定対象物Wである半導体ウエハの主成分であるシリコン(Si)を透過する1000nm以上であることが好ましい。また、コヒーレンス長としては、例えば0.1〜100μmが好ましく、更に3μm以下がより好ましい。このような低コヒーレンス光をCW光源110として使用することにより、余計な干渉による障害を回避でき、ウエハの表面又は内部層からの反射光に基づく参照光との干渉を容易に測定することができる。
【0015】
スプリッタ120は、例えば光ファイバカプラである。但し、これに限定されるものではなく、参照光と測定光とにスプリットすることが可能なものであればよい。スプリッタ120は、例えば光導波路型分波器、半透鏡などを用いてもよい。
【0016】
参照光反射手段130には、例えば、コーナーキューブプリズム、平面ミラー等などを使用することができる。これらの中でも、反射光の入射光との平行性の点に鑑みれば、コーナーキューブプリズムを用いることが好ましい。但し、参照光を反射できれば、上記のものに限られず、例えばディレーラインなどで構成してもよい。
【0017】
光路長変化手段140は、例えば、参照ミラーなどで構成される参照光反射手段130を参照光の入射方向に平行な一方向へ駆動するモータなどの駆動手段により構成される。このように、参照ミラーを一方向へ駆動させることにより、参照ミラーから反射する参照光の光路長を変化させることができる。
【0018】
波長変換手段150は、測定対象物Wの測定ポイントPで反射した測定光及び参照光反射手段130で反射した参照光の波長を受光手段161で受光可能な波長(具体的には、1000nm未満)に変換する。
【0019】
波長変換手段150としては、例えば、入力された光の波長(λ)の半波長(λ/2)の二次高調波を放射する非線形光学結晶を使用することができる。非線形光学結晶を使用することで、光の位相を保ったまま、波長を変換することができる。このような非線形光学結晶としては、例えば、LiNbO3(ニオブ酸リチウム)結晶、KTP結晶、BBO結晶、LBO結晶、AgGaS2結晶、AgGaSe2結晶、PPLN(周期分極反転ニオブ酸リチウム)結晶等を使用することができる。
【0020】
受光手段161は、波長変換手段150で波長変換された測定光及び参照光の反射光を受光し、電気信号に変換する。この第1の実施形態では、受光手段161は、Siフォトダイオードを用いたCCDイメージセンサにより構成されている。
【0021】
上述したように、波長が1000nm以上の光に感度を有するInGaAsフォトダイオードは、Siフォトダイオードに比べて応答性が低いため測定対象物Wの温度測定を高速に行えないという問題がある。そこで、この第1の実施形態では、波長変換手段150により、Siフォトダイオードを用いたCCDイメージセンサで構成される受光手段161で受光可能な波長に変換することにより、温度測定の高速化を実現している。また、Siフォトダイオードを用いたCCDイメージセンサは、フォトダイオードを高密度に形成できるため解像度、すなわちサンプリング数を向上させることができる。なお、CCDイメージセンサの替わりにCMOSイメージセンサを用いても同様に解像度を向上させることができ、また、サンプリング速度の高速化、小型化、省電力化を実現できる。
【0022】
図2は、温度算出手段162の機能を示す図である。温度算出手段162は、例えば、コンピュータ(電算機)等であり、受光手段161で検出される干渉波形に基づいて測定対象物Wの温度を算出する。温度算出手段162は、信号取得手段101と、記憶手段102と、温度演算手段103とを備える。なお、図2に示す機能は、温度算出手段162が備えるハードウェア(例えば、HDD、CPU、メモリ等)により実現される。具体的には、CPUが、HDDもしくはメモリに記録されているプログラムを実行することで実現される。
【0023】
信号取得手段101は、受光手段161からの波形信号及び光路長変化手段140からの参照光反射手段130の駆動距離信号を取り込む。
【0024】
記憶手段102は、例えば、Flash Memory(フラッシュメモリ)やFeRAM(強誘電体メモリ)等の不揮発性メモリである。記憶手段102には、測定ポイントPの温度を算出するための物性値、および数式が記憶されている。具体的には、測定対象物Wの温度に応じた線膨張率α及び屈折率変化の温度係数βや、後述する数式が記憶されている。
【0025】
温度演算手段103は、記憶手段102を参照して、受光手段161からの波形信号及び光路長変化手段140からの参照光反射手段130の駆動距離信号に基づいて、測定対象物Wの測定ポイントPにおける温度を算出する。具体的な算出方法については、後述の「干渉光に基づく温度測定方法」で説明する。
【0026】
(物理状態測定装置100の動作)
図1に示すように、物理状態測定装置100においては、CW光源110からの光は、スプリッタ120に入射され、スプリッタ120により2分岐される。このうち、一方(測定光)は、コリメートファイバF1を介して測定対象物Wに照射され、表面Hや裏面R及び内部の層や構造物によって反射される。
【0027】
スプリッタ120で分岐された他方(参照光)は、コリメートファイバF2から出射され、参照光反射手段130によって反射される。そして、反射光はスプリッタ120へ入射し、測定光の反射光と再び合波されて波長変換手段150で波長変換された後、信号処理装置160で干渉波形が検出され、この検出された干渉波形に基づいて測定ポイントPの温度が算出される。
【0028】
(測定光と参照光との干渉波形の具体例)
ここで、物理状態測定装置100により得られる干渉波形の具体例を図3に示す。図3は、測定光が、測定対象物Wの面内における測定ポイントPに照射されるようにした場合における測定光と参照光との干渉波形を示したものである。図3(a)は温度変化前の干渉波形を示したものであり、図3(b)は温度変化後の干渉波形を示したものである。図3において縦軸は干渉強度、横軸は参照ミラーの移動距離をとっている。
【0029】
図3(a)、(b)によれば、参照光反射手段(例えば参照ミラー)130を一方向へ走査していくと、先ず測定対象物Wの測定ポイントPの表面Hと参照光との干渉波Aが現れ、次いで測定対象物Wの測定ポイントPの裏面Rと参照光との干渉波Bが現れる。
【0030】
(干渉光に基づく温度測定方法)
次に、測定光と参照光との干渉波に基づいて温度を測定する方法について説明する。干渉波に基づく温度測定方法としては、例えば温度変化に基づく光路長変化を用いる温度換算方法がある。ここでは、上記干渉波形の位置ズレを利用した温度換算方法について説明する。
【0031】
測定対象物Wがヒータ等によって温められると、測定対象物Wは膨張するとともに屈折率が変化するため、温度変化前と温度変化後では、干渉波形の位置がずれて、干渉波形のピーク間幅が変化する。このような測定ポイントの干渉波形のピーク間幅を測定することにより温度変化を検出することができる。例えば図1に示すような物理状態測定装置100であれば、干渉波形のピーク間幅は、参照光反射手段130の移動距離に対応しているため、干渉波形のピーク間幅における参照光反射手段130の移動距離を測定することにより、温度変化を検出することができる。
【0032】
温度測定対象物の厚さをdとし、屈折率をnとした場合、干渉波形についてのピーク位置のずれは、厚さdについては各層固有の線膨張係数αに依存し、また屈折率nの変化については主として各層固有の屈折率変化の温度係数βに依存する。なお、屈折率変化の温度係数βについては波長にも依存することが知られている。
【0033】
従って、ある測定ポイントPにおける温度変化後のウエハの厚さd′と屈折率n′を数式で表すと下記数式(1)に示すようになる。なお、数式(1)において、ΔTは測定ポイントの温度変化を示し、αは線膨張率、βは屈折率変化の温度係数を示している。また、d、nは、夫々温度変化前の測定ポイントPにおける厚さ、屈折率を示している。
【0034】
d′=d・(1+αΔT)、n′=n・(1+βΔT) …(1)
上記数式(1)に示すように、温度変化によって測定ポイントPを透過する測定光の光路長が変化する。光路長は一般に、厚さdと屈折率nとの積で表される。従って、温度変化前の測定ポイントPを透過する測定光の光路長をLとし、測定ポイントにおける温度がΔTだけ変化した後の光路長をL′とすると、L、L′は夫々下記の数式(2)に示すようになる。
【0035】
L=d・n 、 L′=d′・n′ …(2)
従って、測定ポイントにおける測定光の光路長の温度変化前後の差(L′−L)は、上記数式(1)、(2)により計算して整理すると、下記数式(3)に示すようになる。なお、下記数式(3)では、α・β≪α、α・β≪βを考慮して微小項を省略している。
【0036】
L′−L=d′・n′−d・n=d・n・(α+β)・ΔT
=L・(α+β)・ΔT …(3)
【0037】
ここで、測定ポイントにおける測定光の光路長は、参照光との干渉波形のピーク間幅に相当する。従って、線膨張率α、屈折率変化の温度係数βを予め調べておけば、測定ポイントにおける参照光との干渉波形のピーク間幅を計測することによって、上記数式(3)を用いて、測定ポイントの温度に換算することができる。
【0038】
このように、干渉波から温度への換算する場合、上述したように干渉波形のピーク間で表される光路長が線膨張率α及び屈折率変化の温度係数βによって変るため、これら線膨張率α及び屈折率変化の温度係数βを予め調べておく必要がある。半導体ウエハを含めた物質の線膨張率α及び屈折率変化の温度係数βは一般に、温度帯によっては、温度に依存する場合もある。例えば線膨張率αについては一般に、物質の温度が0〜100℃くらいの温度範囲ではそれほど変化しないので、一定とみなしても差支えないが、100℃以上の温度範囲では物質によっては温度が高くなるほど変化率が大きくなる場合もあるので、そのような場合には温度依存性が無視できなくなる。屈折率変化の温度係数βについても同様に温度範囲によっては、温度依存性が無視できなくなる場合がある。
【0039】
例えば半導体ウエハを構成するシリコン(Si)の場合は、0〜500℃の温度範囲において線膨張率α及び屈折率変化の温度係数βは例えば二次曲線で近似することができることが知られている。このように、線膨張率α及び屈折率変化の温度係数βは温度に依存するので、例えば温度に応じた線膨張率α及び屈折率変化の温度係数βを予め調べておき、その値を考慮して温度換算すれば、より正確な温度に換算することができる。
【0040】
なお、測定光と参照光との干渉波に基づく温度測定方法としては上述したような方法に限られることはなく、例えば温度変化に基づく吸収強度変化を用いる方法であってもよく、記温度変化に基づく光路長変化と温度変化に基づく吸収強度変化とを組み合わせた方法であってもよい。
【0041】
以上のように、第1の実施形態に係る物理状態測定装置100は、測定対象物Wの測定ポイントPで反射した測定光及び参照光反射手段130で反射した参照光の波長(1000nm以上)を、Siフォトダイオードを用いたCCDイメージセンサで構成される受光手段161で受光可能な波長に変換する波長変換手段150を備えるようにしたので、物理状態測定装置100における温度測定をより高速化できる。また、Siフォトダイオードを用いたCCDイメージセンサは、高密度化できるため解像度、すなわちサンプリング数が向上する。また、CCDイメージセンサの替わりにCMOSイメージセンサを用いても同様の効果を得ることができる。
【0042】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、CW光源110で発生する光を測定光と参照光とに分岐し、測定対象物Wの測定ポイントPで反射された測定光と、参照光反射手段130で反射された参照光を干渉させて測定対象物W(例えば、半導体ウエハ)の測定ポイントの温度を測定する実施形態について説明した。この第2の実施形態では、参照光を使用しない実施形態について説明する。
【0043】
図4は、第2の実施形態に係る物理状態測定装置200の構成図である。物理状態測定装置200は、CW光源110と、光サーキュレータ170と、コリメートファイバF1と、波長変換手段150と、信号処理装置180とを備える。信号処理装置180は、受光手段181及び温度算出手段182を備える。以下、第2の実施形態に係る物理状態測定装置200の構成について説明するが、第1の実施形態に係る物理状態測定装置100と同一の構成には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0044】
光サーキュレータ170は、3つのポートA〜Cを備える、ポートAに入力した光はポートBから出力され、ポートBから入力した光はポートCから出力され、ポートCに入力した光はポートAから出力される特性を有する。すなわち、CW光源110から入力される測定光はコリメートファイバF1を介して測定対象物Wへ照射され、測定対象物Wからの反射光は信号処理装置180の受光手段181へ入力される。
【0045】
図5は、受光手段181の構成図である。受光手段181は、光サーキュレータ170からの反射光を波長分解する回折格子181aと、波長分解された反射光を電気信号に変換するSiフォトダイオードを用いたCCDイメージセンサ181bとを備え、光サーキュレータ170からの反射光を複数の波長に離散化した離散化信号を生成して出力する。
【0046】
図6は、温度算出手段182の機能を示す図である。温度算出手段182は、例えば、コンピュータ(電算機)等であり、受光手段181から入力される離散化信号に基づいて測定対象物Wの温度を算出する。温度算出手段182は、信号取得手段201と、離散フーリエ変換手段202と、光路長算出手段203と、記憶手段204と、温度演算手段205とを備える。なお、図6に示す機能は、温度算出手段182が備えるハードウェア(例えば、HDD、CPU、メモリ等)により実現される。具体的には、CPUが、HDDもしくはメモリに記録されているプログラムを実行することで実現される。
【0047】
信号取得手段201は、受光手段181からの離散化信号を取り込む。
【0048】
離散フーリエ変換手段202は、信号取得手段201で取得した信号に対してDFT(discrete fourier transform)処理を行う。このDFT処理により、受光手段181からの離散化信号を振幅と距離との情報に変換する。図7は、DTF処理後の信号を示す図である。図7の縦軸は振幅、横軸は距離である。
【0049】
光路長算出手段203は、離散フーリエ変換手段202により変換された振幅と距離との情報に基づいて光路長を算出する。具体的には、図7に示すピークAからピークBまでの距離を算出する。図7に示すピークAとピークBは、測定対象物である測定対象物Wの表面Hからの反射光と裏面Rからの反射光との干渉により生じ、この光路長の差は、測定対象物Wの温度に依存する。測定対象物Wの温度が変化すると、測定対象物Wの熱膨張と屈折率との変化により、測定対象物Wの表面Hと裏面Rとの光路長が変化するためである。
【0050】
記憶手段204には、図8に示す光路長と温度との関係が記憶されている。上述したように図7に示すピークAからピークBの光路長は、測定対象物Wの温度に依存する。そこで、予め、ピークAからピークBの光路長と測定対象物Wの温度との関係を記憶手段204に記憶しておくことで、光路長算出手段203で算出された光路長から測定対象物Wの温度を算出することができる。
【0051】
なお、図8に示す光路長と温度との関係は、実際に実験等で測定したものを記憶手段204へ記憶してもよいし、半導体ウエハ(Si)の物性値から計算したものを記憶手段204へ記憶してもよい。記憶手段204は、例えば、Flash Memory(フラッシュメモリ)やFeRAM(強誘電体メモリ)等の不揮発性メモリである。
【0052】
温度演算手段205は、記憶手段204を参照して、光路長算出手段203で算出された光路長から測定対象物である測定対象物Wの温度を算出する。
【0053】
以上のように、この第2の実施形態に係る物理状態測定装置200は、測定ポイントPからの反射光を、受光手段により離散化信号に変換し、この離散化信号をDFT処理して光路長を算出しているので、参照ミラーからの反射光との干渉により光路長を算出する場合と異なり、参照ミラーを機械的に動作させる必要がないので測定ポイントの温度測定が非常に早くなり、効率的に温度測定を行うことができる。その他の効果は、第1の実施形態に係る物理状態測定装置100の効果と同じである。
【0054】
(第3の実施形態)
図9は、第3の実施形態に係る物理状態測定装置300の構成 図である。この第3の実施形態に係る物理状態測定装置300は、CW光源110の代わりに、広い波長帯域の光を発生する多波長CW光源110Aを使用し、この多波長CW光源110Aで発生する多波長光(測定光)を分波器190で複数の波長λ1〜λmに分波し、この分波された測定光を測定対象物W(例えば、半導体ウエハ)の互いに異なる測定ポイントP1〜Pmへ照射している点が、第2の実施形態に係る物理状態測定装置200と異なる。
【0055】
なお、多波長CW光源110Aで発生する光の波長間隔、すなわち波長λ1〜λmの間隔は、互いに異なる不等間隔であることが望ましい。波長変換手段150で二次高調波を発生させる際に、差周波が同時に発生しSNR(signal-noise ratio)が劣化するのを抑制するためである。
【0056】
また、受光手段181には、各測定ポイントP1〜Pmからの波長λ1〜λmの反射光が合波された状態で入力されるが、温度算出手段182で処理したい波長の反射光のみを受光手段181のCCDイメージセンサ181bから取り出すようにすればよい。
【0057】
上記以外にも、図10(a)に示すように回折格子181aを回転させることにより、波長変換手段150から入力される多波長光(反射光)から特定の波長を分離してCCDイメージセンサ181bへ取り込むように構成してもよい。この場合、波長変換手段150により、受光手段181へ入射される波長が半分(λ/2)の波長に変化されているため、回折格子181aの回転角度も半分で済む、このため、回折格子181aを回転させて特定の波長を分離するために必要な時間を短縮することができる。
【0058】
また、図10(b)に示すように波長変換手段150として、二次高調波の波長を選択可能な機能を有するPPLN(周期分極反転ニオブ酸リチウム)結晶を使用するように構成してもよい。その他の構成は、第2の実施形態に係る物理状態測定装置200の構成と同一であるため重複した説明を種略する。
【0059】
以上のように、この第3の実施形態に係る物理状態測定装置300によれば、多波長CW光源110Aを使用し、この多波長CW光源110Aで発生する多波長光(測定光)を分波器190で複数の波長λ1〜λmに分波し、この分波された測定光を互いに異なる測定ポイントP1〜Pmへ照射しているので複数の測定ポイントの温度を簡易に測定できる。
【0060】
なお、この第3の実施形態では、特定の測定対象物Wの互いに異なる測定ポイントP1〜Pmの物理状態を測定しているが、分波器190で分波された各波長λ1〜λmの測定光を異なる測定対象物Wの物理状態を測定するように構成してもよい。
【0061】
(第4の実施形態)
図11は、第4の実施形態に係る物理状態測定装置400の構成図である。この第4の実施形態に係る物理状態測定装置400は、CW光源110の代わりに、広い波長帯域の光を発生する多波長CW光源110Aを使用し、この多波長CW光源110Aで発生する多波長光(測定光)を分波器190で複数の波長λ1〜λmに分波して互いに異なる測定ポイントP1〜Pmへ照射するように構成した点が、第1の実施形態に係る物理状態測定装置100と異なる。その他の構成については、第1の実施形態に係る物理状態測定装置100と同一であるため、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0062】
この第4の実施形態に係る物理状態測定装置400は、多波長CW光源110Aを使用し、この多波長CW光源110Aで発生する多波長光を分波器190で複数の波長λ1〜λmに分波して互いに異なる測定ポイントP1〜Pmへ照射するようしたので、複数の測定ポイントの温度を簡易に測定できる。その他の効果は、第1の実施形態に係る物理状態測定装置100と同じである。
【0063】
なお、複数の波長λ1〜λmから特定の波長を取り出すためには、第3の実施形態で述べたように、受光手段161から特定の波長を取り出すように構成してもよいし、受光手段161の手前に回折格子を備えるように構成してもよい。また、波長変換手段150として、二次高調波の波長を選択可能な機能を有するPPLN(周期分極反転ニオブ酸リチウム)結晶を使用するように構成してもよい。
【0064】
(その他の実施形態)
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。例えば、上記実施形態では、測定対象物Wの温度を測定する実施形態について説明した。しかし、測定対象物W内に屈折率が異なる層や構造物が存在する場合、測定光は該層や構造物でも反射して干渉光を生ずる。このため、測定対象物Wの他の物理状態(例えば、内部構造)を測定することも可能である。また、測定光の波長を変更すれば、半導体ウエハ(Si)以外にも種々の構造体(例えば、人体)の物理状態を測定することもできる。
【符号の説明】
【0065】
100,200,300…物理状態測定装置、110…光源、120…スプリッタ、130…参照光反射手段、140…光路長変化手段、150…波長変換手段、160…信号処理手段、161…受光手段、162…温度算出手段、170…光サーキュレータ、180…信号処理装置、181…受光手段、182…温度算出手段、F1〜Fn+1…コリメートファイバ、P1〜Pm…測定ポイント、λ1〜λm…波長。
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象物の物理状態を非接触で測定可能な物理状態測定装置及び物理状態測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板処理装置により処理される被処理基板(例えば、半導体ウエハ)の物理状態(例えば、内部構造や温度等)を正確に測定することは、成膜やエッチングなど種々の処理の結果により半導体ウエハ上に形成される膜やホールなどの形状、物性等を正確にコントロールする点からも極めて重要である。このため、FIB−SEMや蛍光式温度計等様々な手法により半導体ウエハの内部構造や温度等を計測することが従来から行われている。
【0003】
近年では、上述したような従来の温度計測方法では困難だった半導体ウエハの内部構造や温度等を直接計測することができる低コヒーレンス干渉計を利用した計測技術が知られている。このような低コヒーレンス干渉計を利用した計測技術において、第1スプリッタによって光源からの光を温度測定用の測定光と参照光とに分岐し、さらに、分岐された測定光を第2スプリッタによってn個の測定光に分岐してn個の測定光をn個の測定ポイントへ照射し、これらのn個の測定光の反射光と、参照光反射手段で反射された参照光の反射光との干渉を測定し、複数の測定ポイントの温度を同時に測定できるようにした技術も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−112826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように光源からの光を測定対象物に照射し、反射光により測定対象物の物理状態を測定する技術では、測定対象物及び測定する物理状態に応じて光源から照射する光の波長を選択する必要がある。例えば、上記した従来の技術では、半導体ウエハの温度を測定するためには、半導体ウエハ(Si)を透過する波長帯域の光(例えば、1000nm以上)を使用する必要がある。このため、受光手段として、波長が1000nm以上の光に感度を有する受光素子(例えば、InGaAsフォトダイオード)を使用する必要がある。しかしながら、InGaAsフォトダイオードは、Siフォトダイオードに比べて応答性が低いため、測定対象物の物理状態の測定を高速に行えないという問題があった。
【0006】
本発明は、かかる従来の事情に対処してなされたもので、波長が1000nm以上の長波長の光を使用しなければならない場合であっても、従来に比べて高速に測定対象物の物理状態を測定できる物理状態測定装置及び物理状態測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の物理状態測定装置は、光源と、光源からの光を測定対象物の測定ポイントまで伝送する伝送手段と、測定ポイントで反射した光の波長を異なる波長に変換する非線形光学素子と、波長変換後の光を受光する受光手段と、受光手段で受光された光の波形に基づいて、測定ポイントにおける測定対象物の物理状態を測定する測定手段と、を備える。
【0008】
本発明の物理状態測定方法は、光源からの光を測定対象物の測定ポイントまで伝送する工程と、測定ポイントで反射した光の波長を異なる波長に変換する工程と、波長変換後の光を受光する工程と、受光された光の波形に基づいて、測定ポイントにおける測定対象物の物理状態を測定する工程と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、従来に比べて高速に測定対象物の物理状態を測定できる物理状態測定装置及び物理状態測定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施形態に係る物理状態測定装置の構成図。
【図2】温度算出手段の機能を示す図。
【図3】干渉波形の具体例。
【図4】第2の実施形態に係る物理状態測定装置の構成図。
【図5】受光手段の構成図。
【図6】温度算出手段の機能を示す図。
【図7】DTF処理後の信号を示す図。
【図8】記憶手段に記憶されている光路長と温度との関係を示す図。
【図9】第3の実施形態に係る物理状態測定装置の構成図。
【図10】波長選択の説明図。
【図11】第4の実施形態に係る物理状態測定装置の構成図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の各実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付して重複した説明を省略する。また、測定対象物として半導体ウエハを、物理状態として半導体ウエハの温度を例に説明するが、測定対象物は、半導体ウエハに限られず、種々の対象物を測定することができる。また、物理状態についても、温度に限られず、種々の物理状態(例えば、内部構造等)を測定することができる。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態にかかる物理状態測定装置100の構成図である。第1の実施形態にかかる物理状態測定装置100は、CW光源110と、CW光源110からの光を温度測定用の光(測定光)と参照光とに分岐するスプリッタ120と、測定光を測定対象物W(例えば、半導体ウエハ)の測定ポイントPへ伝送するコリメートファイバF1と、スプリッタ120からの参照光を反射するための参照光反射手段130と、スプリッタ120で分岐された参照光を、参照光反射手段130まで伝送するコリメートファイバF2と、参照光反射手段130から反射する参照光の光路長を変化させるための光路長変化手段140と、測定対象物Wの測定ポイントP及び参照光反射手段130からの反射光の波長を変換する波長変換手段150と、波長変換手段150で波長変換された測定光及び参照光の反射光による干渉波形に基づいて、測定対象物Wの測定ポイントPの温度を測定する信号処理装置160とを備える。信号処理装置160は、受光手段161及び温度算出手段162を備える。
【0013】
CW光源110は、連続光を発生する光源である。CW光源110は、測定光と参照光との干渉が測定できれば、任意の光を使用することが可能であるが、この第1の実施形態では、測定対象物Wとして半導体ウエハの温度測定を行うので、少なくとも測定対象物Wである半導体ウエハの表面Hと裏面Rとの間の距離(通常は800〜1500μm程度)からの反射光が干渉を生じない程度の光が好ましい。
【0014】
具体的には例えば低コヒーレンス光を用いることが好ましい。低コヒーレンス光とは、コヒーレンス長の短い光をいう。低コヒーレンス光の中心波長は、測定対象物Wである半導体ウエハの主成分であるシリコン(Si)を透過する1000nm以上であることが好ましい。また、コヒーレンス長としては、例えば0.1〜100μmが好ましく、更に3μm以下がより好ましい。このような低コヒーレンス光をCW光源110として使用することにより、余計な干渉による障害を回避でき、ウエハの表面又は内部層からの反射光に基づく参照光との干渉を容易に測定することができる。
【0015】
スプリッタ120は、例えば光ファイバカプラである。但し、これに限定されるものではなく、参照光と測定光とにスプリットすることが可能なものであればよい。スプリッタ120は、例えば光導波路型分波器、半透鏡などを用いてもよい。
【0016】
参照光反射手段130には、例えば、コーナーキューブプリズム、平面ミラー等などを使用することができる。これらの中でも、反射光の入射光との平行性の点に鑑みれば、コーナーキューブプリズムを用いることが好ましい。但し、参照光を反射できれば、上記のものに限られず、例えばディレーラインなどで構成してもよい。
【0017】
光路長変化手段140は、例えば、参照ミラーなどで構成される参照光反射手段130を参照光の入射方向に平行な一方向へ駆動するモータなどの駆動手段により構成される。このように、参照ミラーを一方向へ駆動させることにより、参照ミラーから反射する参照光の光路長を変化させることができる。
【0018】
波長変換手段150は、測定対象物Wの測定ポイントPで反射した測定光及び参照光反射手段130で反射した参照光の波長を受光手段161で受光可能な波長(具体的には、1000nm未満)に変換する。
【0019】
波長変換手段150としては、例えば、入力された光の波長(λ)の半波長(λ/2)の二次高調波を放射する非線形光学結晶を使用することができる。非線形光学結晶を使用することで、光の位相を保ったまま、波長を変換することができる。このような非線形光学結晶としては、例えば、LiNbO3(ニオブ酸リチウム)結晶、KTP結晶、BBO結晶、LBO結晶、AgGaS2結晶、AgGaSe2結晶、PPLN(周期分極反転ニオブ酸リチウム)結晶等を使用することができる。
【0020】
受光手段161は、波長変換手段150で波長変換された測定光及び参照光の反射光を受光し、電気信号に変換する。この第1の実施形態では、受光手段161は、Siフォトダイオードを用いたCCDイメージセンサにより構成されている。
【0021】
上述したように、波長が1000nm以上の光に感度を有するInGaAsフォトダイオードは、Siフォトダイオードに比べて応答性が低いため測定対象物Wの温度測定を高速に行えないという問題がある。そこで、この第1の実施形態では、波長変換手段150により、Siフォトダイオードを用いたCCDイメージセンサで構成される受光手段161で受光可能な波長に変換することにより、温度測定の高速化を実現している。また、Siフォトダイオードを用いたCCDイメージセンサは、フォトダイオードを高密度に形成できるため解像度、すなわちサンプリング数を向上させることができる。なお、CCDイメージセンサの替わりにCMOSイメージセンサを用いても同様に解像度を向上させることができ、また、サンプリング速度の高速化、小型化、省電力化を実現できる。
【0022】
図2は、温度算出手段162の機能を示す図である。温度算出手段162は、例えば、コンピュータ(電算機)等であり、受光手段161で検出される干渉波形に基づいて測定対象物Wの温度を算出する。温度算出手段162は、信号取得手段101と、記憶手段102と、温度演算手段103とを備える。なお、図2に示す機能は、温度算出手段162が備えるハードウェア(例えば、HDD、CPU、メモリ等)により実現される。具体的には、CPUが、HDDもしくはメモリに記録されているプログラムを実行することで実現される。
【0023】
信号取得手段101は、受光手段161からの波形信号及び光路長変化手段140からの参照光反射手段130の駆動距離信号を取り込む。
【0024】
記憶手段102は、例えば、Flash Memory(フラッシュメモリ)やFeRAM(強誘電体メモリ)等の不揮発性メモリである。記憶手段102には、測定ポイントPの温度を算出するための物性値、および数式が記憶されている。具体的には、測定対象物Wの温度に応じた線膨張率α及び屈折率変化の温度係数βや、後述する数式が記憶されている。
【0025】
温度演算手段103は、記憶手段102を参照して、受光手段161からの波形信号及び光路長変化手段140からの参照光反射手段130の駆動距離信号に基づいて、測定対象物Wの測定ポイントPにおける温度を算出する。具体的な算出方法については、後述の「干渉光に基づく温度測定方法」で説明する。
【0026】
(物理状態測定装置100の動作)
図1に示すように、物理状態測定装置100においては、CW光源110からの光は、スプリッタ120に入射され、スプリッタ120により2分岐される。このうち、一方(測定光)は、コリメートファイバF1を介して測定対象物Wに照射され、表面Hや裏面R及び内部の層や構造物によって反射される。
【0027】
スプリッタ120で分岐された他方(参照光)は、コリメートファイバF2から出射され、参照光反射手段130によって反射される。そして、反射光はスプリッタ120へ入射し、測定光の反射光と再び合波されて波長変換手段150で波長変換された後、信号処理装置160で干渉波形が検出され、この検出された干渉波形に基づいて測定ポイントPの温度が算出される。
【0028】
(測定光と参照光との干渉波形の具体例)
ここで、物理状態測定装置100により得られる干渉波形の具体例を図3に示す。図3は、測定光が、測定対象物Wの面内における測定ポイントPに照射されるようにした場合における測定光と参照光との干渉波形を示したものである。図3(a)は温度変化前の干渉波形を示したものであり、図3(b)は温度変化後の干渉波形を示したものである。図3において縦軸は干渉強度、横軸は参照ミラーの移動距離をとっている。
【0029】
図3(a)、(b)によれば、参照光反射手段(例えば参照ミラー)130を一方向へ走査していくと、先ず測定対象物Wの測定ポイントPの表面Hと参照光との干渉波Aが現れ、次いで測定対象物Wの測定ポイントPの裏面Rと参照光との干渉波Bが現れる。
【0030】
(干渉光に基づく温度測定方法)
次に、測定光と参照光との干渉波に基づいて温度を測定する方法について説明する。干渉波に基づく温度測定方法としては、例えば温度変化に基づく光路長変化を用いる温度換算方法がある。ここでは、上記干渉波形の位置ズレを利用した温度換算方法について説明する。
【0031】
測定対象物Wがヒータ等によって温められると、測定対象物Wは膨張するとともに屈折率が変化するため、温度変化前と温度変化後では、干渉波形の位置がずれて、干渉波形のピーク間幅が変化する。このような測定ポイントの干渉波形のピーク間幅を測定することにより温度変化を検出することができる。例えば図1に示すような物理状態測定装置100であれば、干渉波形のピーク間幅は、参照光反射手段130の移動距離に対応しているため、干渉波形のピーク間幅における参照光反射手段130の移動距離を測定することにより、温度変化を検出することができる。
【0032】
温度測定対象物の厚さをdとし、屈折率をnとした場合、干渉波形についてのピーク位置のずれは、厚さdについては各層固有の線膨張係数αに依存し、また屈折率nの変化については主として各層固有の屈折率変化の温度係数βに依存する。なお、屈折率変化の温度係数βについては波長にも依存することが知られている。
【0033】
従って、ある測定ポイントPにおける温度変化後のウエハの厚さd′と屈折率n′を数式で表すと下記数式(1)に示すようになる。なお、数式(1)において、ΔTは測定ポイントの温度変化を示し、αは線膨張率、βは屈折率変化の温度係数を示している。また、d、nは、夫々温度変化前の測定ポイントPにおける厚さ、屈折率を示している。
【0034】
d′=d・(1+αΔT)、n′=n・(1+βΔT) …(1)
上記数式(1)に示すように、温度変化によって測定ポイントPを透過する測定光の光路長が変化する。光路長は一般に、厚さdと屈折率nとの積で表される。従って、温度変化前の測定ポイントPを透過する測定光の光路長をLとし、測定ポイントにおける温度がΔTだけ変化した後の光路長をL′とすると、L、L′は夫々下記の数式(2)に示すようになる。
【0035】
L=d・n 、 L′=d′・n′ …(2)
従って、測定ポイントにおける測定光の光路長の温度変化前後の差(L′−L)は、上記数式(1)、(2)により計算して整理すると、下記数式(3)に示すようになる。なお、下記数式(3)では、α・β≪α、α・β≪βを考慮して微小項を省略している。
【0036】
L′−L=d′・n′−d・n=d・n・(α+β)・ΔT
=L・(α+β)・ΔT …(3)
【0037】
ここで、測定ポイントにおける測定光の光路長は、参照光との干渉波形のピーク間幅に相当する。従って、線膨張率α、屈折率変化の温度係数βを予め調べておけば、測定ポイントにおける参照光との干渉波形のピーク間幅を計測することによって、上記数式(3)を用いて、測定ポイントの温度に換算することができる。
【0038】
このように、干渉波から温度への換算する場合、上述したように干渉波形のピーク間で表される光路長が線膨張率α及び屈折率変化の温度係数βによって変るため、これら線膨張率α及び屈折率変化の温度係数βを予め調べておく必要がある。半導体ウエハを含めた物質の線膨張率α及び屈折率変化の温度係数βは一般に、温度帯によっては、温度に依存する場合もある。例えば線膨張率αについては一般に、物質の温度が0〜100℃くらいの温度範囲ではそれほど変化しないので、一定とみなしても差支えないが、100℃以上の温度範囲では物質によっては温度が高くなるほど変化率が大きくなる場合もあるので、そのような場合には温度依存性が無視できなくなる。屈折率変化の温度係数βについても同様に温度範囲によっては、温度依存性が無視できなくなる場合がある。
【0039】
例えば半導体ウエハを構成するシリコン(Si)の場合は、0〜500℃の温度範囲において線膨張率α及び屈折率変化の温度係数βは例えば二次曲線で近似することができることが知られている。このように、線膨張率α及び屈折率変化の温度係数βは温度に依存するので、例えば温度に応じた線膨張率α及び屈折率変化の温度係数βを予め調べておき、その値を考慮して温度換算すれば、より正確な温度に換算することができる。
【0040】
なお、測定光と参照光との干渉波に基づく温度測定方法としては上述したような方法に限られることはなく、例えば温度変化に基づく吸収強度変化を用いる方法であってもよく、記温度変化に基づく光路長変化と温度変化に基づく吸収強度変化とを組み合わせた方法であってもよい。
【0041】
以上のように、第1の実施形態に係る物理状態測定装置100は、測定対象物Wの測定ポイントPで反射した測定光及び参照光反射手段130で反射した参照光の波長(1000nm以上)を、Siフォトダイオードを用いたCCDイメージセンサで構成される受光手段161で受光可能な波長に変換する波長変換手段150を備えるようにしたので、物理状態測定装置100における温度測定をより高速化できる。また、Siフォトダイオードを用いたCCDイメージセンサは、高密度化できるため解像度、すなわちサンプリング数が向上する。また、CCDイメージセンサの替わりにCMOSイメージセンサを用いても同様の効果を得ることができる。
【0042】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、CW光源110で発生する光を測定光と参照光とに分岐し、測定対象物Wの測定ポイントPで反射された測定光と、参照光反射手段130で反射された参照光を干渉させて測定対象物W(例えば、半導体ウエハ)の測定ポイントの温度を測定する実施形態について説明した。この第2の実施形態では、参照光を使用しない実施形態について説明する。
【0043】
図4は、第2の実施形態に係る物理状態測定装置200の構成図である。物理状態測定装置200は、CW光源110と、光サーキュレータ170と、コリメートファイバF1と、波長変換手段150と、信号処理装置180とを備える。信号処理装置180は、受光手段181及び温度算出手段182を備える。以下、第2の実施形態に係る物理状態測定装置200の構成について説明するが、第1の実施形態に係る物理状態測定装置100と同一の構成には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0044】
光サーキュレータ170は、3つのポートA〜Cを備える、ポートAに入力した光はポートBから出力され、ポートBから入力した光はポートCから出力され、ポートCに入力した光はポートAから出力される特性を有する。すなわち、CW光源110から入力される測定光はコリメートファイバF1を介して測定対象物Wへ照射され、測定対象物Wからの反射光は信号処理装置180の受光手段181へ入力される。
【0045】
図5は、受光手段181の構成図である。受光手段181は、光サーキュレータ170からの反射光を波長分解する回折格子181aと、波長分解された反射光を電気信号に変換するSiフォトダイオードを用いたCCDイメージセンサ181bとを備え、光サーキュレータ170からの反射光を複数の波長に離散化した離散化信号を生成して出力する。
【0046】
図6は、温度算出手段182の機能を示す図である。温度算出手段182は、例えば、コンピュータ(電算機)等であり、受光手段181から入力される離散化信号に基づいて測定対象物Wの温度を算出する。温度算出手段182は、信号取得手段201と、離散フーリエ変換手段202と、光路長算出手段203と、記憶手段204と、温度演算手段205とを備える。なお、図6に示す機能は、温度算出手段182が備えるハードウェア(例えば、HDD、CPU、メモリ等)により実現される。具体的には、CPUが、HDDもしくはメモリに記録されているプログラムを実行することで実現される。
【0047】
信号取得手段201は、受光手段181からの離散化信号を取り込む。
【0048】
離散フーリエ変換手段202は、信号取得手段201で取得した信号に対してDFT(discrete fourier transform)処理を行う。このDFT処理により、受光手段181からの離散化信号を振幅と距離との情報に変換する。図7は、DTF処理後の信号を示す図である。図7の縦軸は振幅、横軸は距離である。
【0049】
光路長算出手段203は、離散フーリエ変換手段202により変換された振幅と距離との情報に基づいて光路長を算出する。具体的には、図7に示すピークAからピークBまでの距離を算出する。図7に示すピークAとピークBは、測定対象物である測定対象物Wの表面Hからの反射光と裏面Rからの反射光との干渉により生じ、この光路長の差は、測定対象物Wの温度に依存する。測定対象物Wの温度が変化すると、測定対象物Wの熱膨張と屈折率との変化により、測定対象物Wの表面Hと裏面Rとの光路長が変化するためである。
【0050】
記憶手段204には、図8に示す光路長と温度との関係が記憶されている。上述したように図7に示すピークAからピークBの光路長は、測定対象物Wの温度に依存する。そこで、予め、ピークAからピークBの光路長と測定対象物Wの温度との関係を記憶手段204に記憶しておくことで、光路長算出手段203で算出された光路長から測定対象物Wの温度を算出することができる。
【0051】
なお、図8に示す光路長と温度との関係は、実際に実験等で測定したものを記憶手段204へ記憶してもよいし、半導体ウエハ(Si)の物性値から計算したものを記憶手段204へ記憶してもよい。記憶手段204は、例えば、Flash Memory(フラッシュメモリ)やFeRAM(強誘電体メモリ)等の不揮発性メモリである。
【0052】
温度演算手段205は、記憶手段204を参照して、光路長算出手段203で算出された光路長から測定対象物である測定対象物Wの温度を算出する。
【0053】
以上のように、この第2の実施形態に係る物理状態測定装置200は、測定ポイントPからの反射光を、受光手段により離散化信号に変換し、この離散化信号をDFT処理して光路長を算出しているので、参照ミラーからの反射光との干渉により光路長を算出する場合と異なり、参照ミラーを機械的に動作させる必要がないので測定ポイントの温度測定が非常に早くなり、効率的に温度測定を行うことができる。その他の効果は、第1の実施形態に係る物理状態測定装置100の効果と同じである。
【0054】
(第3の実施形態)
図9は、第3の実施形態に係る物理状態測定装置300の構成 図である。この第3の実施形態に係る物理状態測定装置300は、CW光源110の代わりに、広い波長帯域の光を発生する多波長CW光源110Aを使用し、この多波長CW光源110Aで発生する多波長光(測定光)を分波器190で複数の波長λ1〜λmに分波し、この分波された測定光を測定対象物W(例えば、半導体ウエハ)の互いに異なる測定ポイントP1〜Pmへ照射している点が、第2の実施形態に係る物理状態測定装置200と異なる。
【0055】
なお、多波長CW光源110Aで発生する光の波長間隔、すなわち波長λ1〜λmの間隔は、互いに異なる不等間隔であることが望ましい。波長変換手段150で二次高調波を発生させる際に、差周波が同時に発生しSNR(signal-noise ratio)が劣化するのを抑制するためである。
【0056】
また、受光手段181には、各測定ポイントP1〜Pmからの波長λ1〜λmの反射光が合波された状態で入力されるが、温度算出手段182で処理したい波長の反射光のみを受光手段181のCCDイメージセンサ181bから取り出すようにすればよい。
【0057】
上記以外にも、図10(a)に示すように回折格子181aを回転させることにより、波長変換手段150から入力される多波長光(反射光)から特定の波長を分離してCCDイメージセンサ181bへ取り込むように構成してもよい。この場合、波長変換手段150により、受光手段181へ入射される波長が半分(λ/2)の波長に変化されているため、回折格子181aの回転角度も半分で済む、このため、回折格子181aを回転させて特定の波長を分離するために必要な時間を短縮することができる。
【0058】
また、図10(b)に示すように波長変換手段150として、二次高調波の波長を選択可能な機能を有するPPLN(周期分極反転ニオブ酸リチウム)結晶を使用するように構成してもよい。その他の構成は、第2の実施形態に係る物理状態測定装置200の構成と同一であるため重複した説明を種略する。
【0059】
以上のように、この第3の実施形態に係る物理状態測定装置300によれば、多波長CW光源110Aを使用し、この多波長CW光源110Aで発生する多波長光(測定光)を分波器190で複数の波長λ1〜λmに分波し、この分波された測定光を互いに異なる測定ポイントP1〜Pmへ照射しているので複数の測定ポイントの温度を簡易に測定できる。
【0060】
なお、この第3の実施形態では、特定の測定対象物Wの互いに異なる測定ポイントP1〜Pmの物理状態を測定しているが、分波器190で分波された各波長λ1〜λmの測定光を異なる測定対象物Wの物理状態を測定するように構成してもよい。
【0061】
(第4の実施形態)
図11は、第4の実施形態に係る物理状態測定装置400の構成図である。この第4の実施形態に係る物理状態測定装置400は、CW光源110の代わりに、広い波長帯域の光を発生する多波長CW光源110Aを使用し、この多波長CW光源110Aで発生する多波長光(測定光)を分波器190で複数の波長λ1〜λmに分波して互いに異なる測定ポイントP1〜Pmへ照射するように構成した点が、第1の実施形態に係る物理状態測定装置100と異なる。その他の構成については、第1の実施形態に係る物理状態測定装置100と同一であるため、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0062】
この第4の実施形態に係る物理状態測定装置400は、多波長CW光源110Aを使用し、この多波長CW光源110Aで発生する多波長光を分波器190で複数の波長λ1〜λmに分波して互いに異なる測定ポイントP1〜Pmへ照射するようしたので、複数の測定ポイントの温度を簡易に測定できる。その他の効果は、第1の実施形態に係る物理状態測定装置100と同じである。
【0063】
なお、複数の波長λ1〜λmから特定の波長を取り出すためには、第3の実施形態で述べたように、受光手段161から特定の波長を取り出すように構成してもよいし、受光手段161の手前に回折格子を備えるように構成してもよい。また、波長変換手段150として、二次高調波の波長を選択可能な機能を有するPPLN(周期分極反転ニオブ酸リチウム)結晶を使用するように構成してもよい。
【0064】
(その他の実施形態)
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。例えば、上記実施形態では、測定対象物Wの温度を測定する実施形態について説明した。しかし、測定対象物W内に屈折率が異なる層や構造物が存在する場合、測定光は該層や構造物でも反射して干渉光を生ずる。このため、測定対象物Wの他の物理状態(例えば、内部構造)を測定することも可能である。また、測定光の波長を変更すれば、半導体ウエハ(Si)以外にも種々の構造体(例えば、人体)の物理状態を測定することもできる。
【符号の説明】
【0065】
100,200,300…物理状態測定装置、110…光源、120…スプリッタ、130…参照光反射手段、140…光路長変化手段、150…波長変換手段、160…信号処理手段、161…受光手段、162…温度算出手段、170…光サーキュレータ、180…信号処理装置、181…受光手段、182…温度算出手段、F1〜Fn+1…コリメートファイバ、P1〜Pm…測定ポイント、λ1〜λm…波長。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源からの光を測定対象物の測定ポイントまで伝送する伝送手段と、
前記測定ポイントで反射した光の波長を異なる波長に変換する非線形光学素子と、
前記波長変換後の光を受光する受光手段と、
前記受光手段で受光された光の波形に基づいて、前記測定ポイントにおける前記測定対象物の物理状態を測定する測定手段と、
を備えたことを特徴とする物理状態測定装置。
【請求項2】
前記光源は、複数の波長の光を発生し、
前記変換後の光から特定の波長の光を選択して前記受光手段へ入力する波長選択手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の物理状態測定装置。
【請求項3】
前記複数の波長の間隔が不等間隔であることを特徴とする請求項2に記載の物理状態測定装置。
【請求項4】
前記波長選択手段は、PPLN(periodically poled lithium niobate)結晶または音響光学素子から構成されることを特徴とする請求項2又は3に記載の物理状態測定装置。
【請求項5】
前記測定対象物は、半導体ウエハであり、
前記物理状態は、前記半導体ウエハの温度であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の物理状態測定装置。
【請求項6】
前記光源は、波長が1000nm以上の光を発生し、
前記受光手段は、CCDイメージセンサまたはCMOSイメージセンサから構成されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の物理状態測定装置。
【請求項7】
前記光源からの光を、測定光と参照光とに分岐する分岐手段と、
前記分岐手段からの参照光を反射するための参照光反射手段と、
前記参照光反射手段から反射される参照光の光路長を変化させる光路長変化手段と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の物理状態測定装置。
【請求項8】
光源からの光を測定対象物の測定ポイントまで伝送する工程と、
前記測定ポイントで反射した光の波長を異なる波長に変換する工程と、
前記波長変換後の光を受光する工程と、
前記受光された光の波形に基づいて、前記測定ポイントにおける前記測定対象物の物理状態を測定する工程と、
を備えたことを特徴とする物理状態測定方法。
【請求項9】
前記光源は、複数の波長を含む光を発生し、
前記変換後の光から特定の波長の光を選択して出力する工程をさらに備えたことを特徴とする請求項8に記載の物理状態測定方法。
【請求項10】
前記複数の波長の間隔が不等間隔であることを特徴とする請求項9に記載の物理状態測定方法。
【請求項11】
前記測定対象物は、半導体ウエハであり、
前記物理状態は、前記半導体ウエハの温度であることを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載の物理状態測定方法。
【請求項12】
前記光源からの光を、測定光と参照光とに分岐する工程と、
前記分岐された参照光を反射する工程と、
前記反射される参照光の光路長を変化させる工程と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項8〜11のいずれかに記載の物理状態測定方法。
【請求項1】
光源と、
前記光源からの光を測定対象物の測定ポイントまで伝送する伝送手段と、
前記測定ポイントで反射した光の波長を異なる波長に変換する非線形光学素子と、
前記波長変換後の光を受光する受光手段と、
前記受光手段で受光された光の波形に基づいて、前記測定ポイントにおける前記測定対象物の物理状態を測定する測定手段と、
を備えたことを特徴とする物理状態測定装置。
【請求項2】
前記光源は、複数の波長の光を発生し、
前記変換後の光から特定の波長の光を選択して前記受光手段へ入力する波長選択手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の物理状態測定装置。
【請求項3】
前記複数の波長の間隔が不等間隔であることを特徴とする請求項2に記載の物理状態測定装置。
【請求項4】
前記波長選択手段は、PPLN(periodically poled lithium niobate)結晶または音響光学素子から構成されることを特徴とする請求項2又は3に記載の物理状態測定装置。
【請求項5】
前記測定対象物は、半導体ウエハであり、
前記物理状態は、前記半導体ウエハの温度であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の物理状態測定装置。
【請求項6】
前記光源は、波長が1000nm以上の光を発生し、
前記受光手段は、CCDイメージセンサまたはCMOSイメージセンサから構成されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の物理状態測定装置。
【請求項7】
前記光源からの光を、測定光と参照光とに分岐する分岐手段と、
前記分岐手段からの参照光を反射するための参照光反射手段と、
前記参照光反射手段から反射される参照光の光路長を変化させる光路長変化手段と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の物理状態測定装置。
【請求項8】
光源からの光を測定対象物の測定ポイントまで伝送する工程と、
前記測定ポイントで反射した光の波長を異なる波長に変換する工程と、
前記波長変換後の光を受光する工程と、
前記受光された光の波形に基づいて、前記測定ポイントにおける前記測定対象物の物理状態を測定する工程と、
を備えたことを特徴とする物理状態測定方法。
【請求項9】
前記光源は、複数の波長を含む光を発生し、
前記変換後の光から特定の波長の光を選択して出力する工程をさらに備えたことを特徴とする請求項8に記載の物理状態測定方法。
【請求項10】
前記複数の波長の間隔が不等間隔であることを特徴とする請求項9に記載の物理状態測定方法。
【請求項11】
前記測定対象物は、半導体ウエハであり、
前記物理状態は、前記半導体ウエハの温度であることを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載の物理状態測定方法。
【請求項12】
前記光源からの光を、測定光と参照光とに分岐する工程と、
前記分岐された参照光を反射する工程と、
前記反射される参照光の光路長を変化させる工程と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項8〜11のいずれかに記載の物理状態測定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−63150(P2012−63150A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−205402(P2010−205402)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
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