説明

物理量検出装置

【課題】インナーリードによるフォーミング量の工程バラツキが少なく、静止時出力電圧
の温度ドリフトが少ない物理量検出装置を提供する。
【解決手段】水晶振動片12をインナーリード36によりリッド50側へ押し上げ、水晶
振動片12をパッケージ40のキャビティ68内に弾性支持する構造を有するジャイロセ
ンサーであって、水晶振動片12におけるリッド50に対抗する面にスペーサー28を設
け、スペーサー28は、パッケージ40をリッド50により封止した状態においてリッド
50に接触し、インナーリード36による水晶振動片12の押し上げ量を規制することを
特徴とする。このような特徴を有するジャイロセンサー10では、スペーサー28は、イ
ンナーリード36による水晶振動片12の中心に設けることが望ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物理量検出装置に係り、特に耐衝撃性及び搭載高さの精度を高めた物理量検
出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
角速度や加速度といった物理量を検出する物理量検出装置として、ジャイロセンサーや
加速度センサーが知られている。そして、このような物理量検出装置における物理量検出
素子として、基部と、この基部から延設された一対の検出アームと一対の支持アーム、お
よび各支持アームから延設された対を成す駆動アームを有する、いわゆるWT型と呼ばれ
るものがある。このような物理量検出素子は、近年の小型化薄型化への要望を受け、基板
等へ固定される基部のサイズが小型化されたことにより、次のような問題を生ずるように
なった。すなわち、接着部の面積が小さくなることにより、接着剤の塗布量や接着面の面
積を均一に保つことが困難となるのである。このように物理量検出素子を接着する接着層
の形状や接着剤の量に不均一が生じたり、接着剤に液ダレや不要な回り込みが生じた場合
、接着層の全体的な物性が変動する。このような物性の変動が生ずると、素子の振動特性
が変化し、物理量の検出精度が低下するという問題があった。
【0003】
このような振動特性の変化を抑制する手段として、特許文献1には、インナーリード(
ボンディングワイヤ)を利用して物理量検出素子を実装する構成が開示されている。具体
的には、インナーリードの先端側、すなわち物理量検出素子との接合部側を折り曲げ、物
理量検出素子がパッケージの底板等の基板から浮いた状態で実装されるようにしたのであ
る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−294450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されているような実装形態によれば確かに、物理量検出素子が直接パ
ッケージの底面等に接触することが無くなり、接着剤の余分な回り込みを避けることがで
きる。また、電気的導通を図るための接合部は略点接触となるため、接合面の面積の誤差
を小さくすることができる。このため、上記のような理由による素子の振動特性の変化を
抑制することができると共に、インナーリードがバネの役割を担うことより、物理量検出
装置としての耐衝撃性等も向上することとなる。
【0006】
しかし、上記のようなインナーリードを用いた実装方法では、素子を支持する高さ(フ
ォーミング量)によってインナーリードの持つ共振周波数が変化する。インナーリードの
共振周波数の変化は、静止時出力電圧の温度ドリフトの要因となるため、検出精度の向上
に関する課題となる。
【0007】
そこで本発明では上記課題を解決し、インナーリードによるフォーミング量の工程バラ
ツキが少なく、いわゆるヌル電圧(静止時出力電圧)の温度ドリフトが少ない物理量検出
装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の
形態又は適用例として実現することが可能である。
[適用例1]物理量検出素子をインナーリードによりリッド側へ押し上げ、前記物理量
検出素子をパッケージのキャビティ内に弾性支持する構造を有する物理量検出装置であっ
て、前記物理量検出素子における前記リッドに対向する面にスペーサーを設け、前記スペ
ーサーは、前記パッケージを前記リッドにより封止した状態において前記リッドに接触し
、前記インナーリードによる前記物理量検出素子の押し上げ量を規制することを特徴とす
る物理量検出装置。
【0009】
このような特徴を有する物理量検出装置によれば、物理量検出素子のフォーミング量の
工程バラツキの少ない物理量検出装置を構成することができる。このため、静止時出力電
圧の温度ドリフトが少なく、検出精度、信頼性の高い物理量検出装置とすることができる

【0010】
[適用例2]適用例1に記載の物理量検出装置であって、前記スペーサーは、前記イン
ナーリードによる前記物理量検出素子支持点間の中心に設けたことを特徴とする物理量検
出装置。
【0011】
このような特徴を有する物理量検出装置によれば、物理量検出素子支持点間の中心に設
けたスペーサーがリッドに接触することとなるため、スペーサーを1つとした場合であっ
ても、安定してフォーミング量の調整を行うことができる。また、スペーサーを1つとし
て物理量検出素子支持点間の中心のみに設ける構成とすることで、角速度や加速度等の物
理量を加えた際に物理量検出素子に生ずる変形に影響を与えない。このため、物理量の検
出感度が低下する虞が無い。
【0012】
[適用例3]適用例1に記載の物理量検出装置であって、前記スペーサーは少なくとも
3つ設け、前記リッドに対して少なくとも3点で接触することを特徴とする物理量検出装
置。
【0013】
このような特徴を有する物理量検出装置によれば、スペーサーとリッドとの接点を線で
結ぶことで面を構成することができる。このため、物理量検出素子のフォーミング量の調
整と共に、実装状態の傾きを修正することができる。
【0014】
[適用例4]適用例2または適用例3に記載の物理量検出装置であって、前記物理量検
出素子は、基部と、当該基部から延設された一対の支持アームと一対の検出アーム、およ
び前記支持アームのそれぞれから延設された対を成す駆動アームとを有し、前記スペーサ
ーは、前記支持アームと前記駆動アームとの交差部にも設けたことを特徴とする物理量検
出装置。
【0015】
このような特徴を有することにより、物理量検出素子の厚み方向に衝撃が加えられた際
の支持アームの変形を抑制することができる。このため、変形によるリッドと駆動アーム
の接触を防止することが可能となる。
【0016】
[適用例5]適用例1乃至適用例4のいずれかに記載の物理量検出装置であって、前記
リッドにおける前記物理量検出素子と対向する側の面の前記スペーサーに対向する位置に
凸部を形成したことを特徴とする物理量検出装置。
このような構成とすることにより、物理量検出素子のフォーミング量の調整量の自由度
が増すこととなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1の実施形態に係るジャイロセンサーの構成を示す図である。
【図2】実施形態に係る水晶振動片の形態を示す平面図である。
【図3】実施形態に係る水晶振動片に、バンプおよびスペーサーを形成する工程を示した図である。
【図4】実施形態に係る支持基板の構成を示す平面図である。
【図5】第2の実施形態に係るジャイロセンサーの構成を示す図である。
【図6】第3の実施形態に係るジャイロセンサーの構成を示す図である。
【図7】第4の実施形態に係るジャイロセンサーの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下本発明の物理量検出装置に係る実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明
する。なお、以下の実施形態では、物理量検出装置としてジャイロセンサーを例に挙げて
説明する。
まず、第1の実施形態に係るジャイロセンサーついて、図1を参照して詳細に説明する

【0019】
本実施形態に係るジャイロセンサー10は、物理量検出素子としての水晶振動片12と
支持基板30、IC38、パッケージ40、およびリッド50を基本として構成される。
なお、図1はジャイロセンサーの側断面を示す図である。水晶振動片12は、角速度を検
出する役割を担う。本実施形態では、物理量検出素子として水晶振動片12を例に挙げた
が、振動片の材質としては、ニオブ酸リチウムやタンタル酸リチウム等、圧電効果を奏す
る部材であれば特に限定するものでは無い。水晶振動片12の具体的構成は、図2を参照
して以下に説明する。
【0020】
本実施形態の水晶振動片12は、基部14と、基部14から延設された一対の検出アー
ム16a,16b、検出アーム16a,16bに直交する方向へ向けて基部14から延設
された一対の支持アーム20、各支持アーム20の先端から検出アーム16a,16bに
平行に延設された2対の駆動アーム22a〜22dとを有する。図2に示す水晶振動片1
2では、各検出アーム16a,16b、各駆動アーム22a〜22dの先端には、重み付
けの役割を担う重量部18a,18b,24a〜24dが設けられている。また、検出ア
ーム16a,16b、駆動アーム22a〜22dにはそれぞれ、励振電極としての検出電
極(不図示)と駆動電極(不図示)が形成され、基部14に形成された入出力電極26に
接続されている。なお、検出アーム16a,16b、駆動アーム22a〜22dの断面形
状に関しては、アームに溝(不図示)を設けることにより、いわゆるH型断面を採用する
ことで、溝の深さ方向と直交する方向の屈曲性を向上させ、検出感度を上げるようにして
も良い。
【0021】
ここで、本実施形態に係る水晶振動片12は、詳細を後述するリッド50と対向する側
の面(他方の面)における基部14に、スペーサー28が形成されている。スペーサー2
8は、金バンプやハンダ、或いは樹脂などで構成することができる凸部である。基部14
の他方の面にスペーサー28を設けることにより、リッド50によりパッケージ40の開
口部を封止した際、リッド50にスペーサー28が接触することとなり、水晶振動片12
のフォーミング量の調整が成される。なお、本実施形態におけるスペーサー28は、水晶
振動片12における基部の中心、換言すると、詳細を後述するインナーリード36による
支持部である複数の入出力電極26間の中心に1つ設けるようにしている。スペーサー2
8の数を1つとし、配設位置を水晶振動片12の中心としたことで、水晶振動片12に対
して角速度が印加された際の水晶振動片12の変形に影響を与えることが無い。よって、
ジャイロセンサー10としての感度を低下させる虞が無い。
【0022】
水晶振動片12は、上記のようなスペーサー28を金バンプにより構成することで、詳
細を後述するインナーリード36(36a〜36f:図4参照)との接合面(一方の面)
と、リッド50との対向面(他方の面)の双方に凸部を有することとなる。ここで、水晶
振動片12に対するバンプの形成は、図3に示すような工程で行うことができる。
【0023】
まず、一方の面におけるバンプ64の形成である。水晶振動片12の一方の面と他方の
面の双方には、金バンプを接合するための下地として、クロムメッキ層13と、クロムメ
ッキ層13の上層に形成された金メッキ層15が施されている。なお、一方の面における
クロムメッキ層13、金メッキ層15はそれぞれ、上述した入出力電極26、励振電極等
を構成する電極膜であり、他方の面におけるクロムメッキ層13、金メッキ層15はそれ
ぞれ、入出力電極26や励振電極とは電気的に切断された金属膜として形成される。
【0024】
上記のように構成された水晶振動片12をボンディングステージ70上に配置する。そ
して一方の面の入出力電極26上にバンプ64を形成する。バンプ64の形成は、超音波
接合によれば良い(図3(A)参照)。
【0025】
超音波接合によりバンプ64を形成した後、定盤72とボンディングステージ70とに
より水晶振動片12を挟み込み、バンプ64を押圧する。定盤72により押圧されたバン
プ64は、その高さが均一となり、インナーリード36に接合した際の傾きを抑制するこ
とができる(図3(B)参照)。
【0026】
次に、他方の面におけるバンプ(スペーサー28)の形成である。一方の面にバンプ6
4を形成した水晶振動片12をボンディングステージ70a上に配置する。ここで、ボン
ディングステージ70aには、実装用のバンプ64を収容する凹部71を形成し、一方の
面に形成したバンプ64が潰れてしまうこと、および加圧時のバランスが崩れることを防
ぐようにする。スペーサー28の形成は、一方の面におけるバンプ64の形成と同様に、
超音波接合により行う(図3(C)参照)。そして形成されたスペーサー28は、ボンデ
ィングステージ70aと定盤72により挟み込み、高さの調整が行われる。
【0027】
このようにして形成されるバンプ64やスペーサー28は、水晶振動片12からの高さ
(厚み)を略一定に定めることができるため、水晶振動片12のフォーミング量調整のた
めの基準とすることに適することとなる。
【0028】
支持基板30は、詳細を後述するパッケージ40の底面42、あるいは段部44,46
から水晶振動片12を浮かせた状態で支持する役割を担う。その構成としては図4に示す
ように、可撓性を有する導電性のワイヤ(インナーリード)36(36a〜36f)と、
当該インナーリード36を被覆する絶縁性の樹脂フィルム32とより成る。支持基板30
の中心付近の樹脂フィルム32には開口部34が設けられ、インナーリード36が剥き出
しにされている。開口部34に位置するインナーリード36は、水晶振動片12を浮かせ
た状態で支持するために、支持基板30の主面に対して水晶振動片12を配置する側へオ
フセットさせるように屈曲している。ここで、オフセットさせたインナーリード36の先
端(一端)が、水晶振動片12の入出力電極26に接続される接続端子となる。また、各
インナーリード36の他端は、詳細を後述するパッケージ40の段差部46に配された内
部接続端子(不図示)と接続される接続端子となる。
【0029】
IC38は、上述した水晶振動片12の駆動アーム22a〜22dを制御すると共に、
水晶振動片12の検出アーム16a,16bによって得られた信号を検出する役割等を担
う集積回路である。なお、IC38は、パッケージの底面42に対して接着剤60等を介
して搭載される。また、能動面に形成された接続パッド(不図示)とパッケージ40の段
部44に配された内部接続端子(不図示)は、金属ワイヤ45を介して電気的に接続され
る。
【0030】
パッケージ40は、上述した水晶振動片12と支持基板30、及びIC38を収容する
箱体である。パッケージ40の内側には、段部44,46、および底面42から構成され
る階段状のキャビティ68が形成されている。なお、構成部材としては絶縁性を有するセ
ラミックス等とすると良い。
【0031】
パッケージ40の底面42、及び段部44,46には、上述した支持基板30やIC3
8を実装するための内部接続端子(不図示)が設けられている。また、パッケージ40の
外部底面(裏面)には、外部接続端子(不図示)が設けられている。なお上述した内部接
続端子と外部接続端子とは、図示しないスルーホール等により、電気的に接続されている

【0032】
パッケージ40は一般的に、複数のセラミックグリーンシート等を積層し、これを焼結
することで構成される。その際、各セラミックグリーンシートの厚みに関してはロット間
誤差が殆ど無い。このため、パッケージ40の開口部の上部に載置されるリッド50から
、スペーサー28の厚み分だけ水晶振動子12を押し下げるようにすることで、水晶振動
片12のフォーミング量を略均等に調整することが可能となる。
【0033】
リッド50は、上述したパッケージ40の開口部を封止する蓋体である。一般的には構
成部材として、パッケージ40と線膨張係数の近似する金属(合金:例えばコバール)や
ガラス(例えばソーダガラス)等が用いられる。パッケージ40とリッド50の接合に関
しては接続部材66として、リッド50を金属とした場合にはコバール等の低融点金属が
、リッド50をガラスとした場合には低融点ガラスが、それぞれ用いられる。
【0034】
上記のような構成要素を有するジャイロセンサー装置10は、パッケージ40の底面4
2に接着剤60を塗布し、IC38を搭載する。IC38を搭載した後、金属ワイヤ45
を介したワイヤボンディングを行い、パッケージ40の内部実装端子との電気的な接続を
図る。
【0035】
次に、水晶振動片12に対してバンプ64、およびスペーサー28の形成を行う。バン
プ64の形成を行った水晶振動片12は、当該バンプ64を介して支持基板30のインナ
ーリード36に接合する。水晶振動片12を接合した後、パッケージ40の段部46に設
けた内部実装端子に導電性接着剤62を塗布し、支持基板30を実装する。このような構
成とすることで、水晶振動片12はインナーリード36により弾性的に支持されることと
なる。
【0036】
なお、支持基板30のインナーリード36に対する水晶振動片12の搭載方法は、バン
プ64を介した超音波ボンディングの他、スポット溶接や導電性接着剤、ハンダ付け等で
あっても良い。また、支持基板のパッケージ40の段部46に対する実装も同様に、バン
プを介した接合等であっても良い。
【0037】
支持基板30を実装した後、パッケージ40の開口部にリッド50を接合する。リッド
50の接合により、水晶振動片12の他方の面に形成されたスペーサー28がリッド50
の主面に接触し、インナーリード36によって弾性支持された水晶振動片12を底面42
側へ押し下げる。これにより、水晶振動片12のフォーミング量が調整される。
【0038】
リッド50の接合は、シームリングを用いたシーム溶接や、低融点ガラスを用いた溶着
により行えば良い。なおリッド50の接合は真空雰囲気中で行い、パッケージ40の内部
空間を真空とする。水晶振動子12の励振を妨げないようにするためである。
【0039】
このような構成のジャイロセンサー10によれば、水晶振動片12のフォーミング量の
工程バラツキが無くなる。このため、インナーリード36の持つ共振周波数にもバラツキ
が無くなり、インナーリード36の接合状態の対称性も確保される。これにより、ジャイ
ロセンサー10の静止時出力電圧の温度ドリフトが抑制され、角速度の検出精度、信頼性
を向上させることができる。
また、水晶振動片12には、インナーリード36による弾性作用が効くため、耐衝撃性
を確保した上で水晶振動片12の搭載高さを高精度に定めることができる。
【0040】
次に、第2の実施形態に係るジャイロセンサーについて、図5を参照して説明する。な
お、本実施形態のジャイロセンサー10aの基本的な構成は、上述した第1の実施形態に
係るジャイロセンサー10と同様である。相違点は、水晶振動片における他方の面に設け
たスペーサーの数と配置位置にある。よって、その機能と同一とする箇所については、図
面に同一の符号を付してその詳細な説明は省略することとする。また、図5において、図
5(A)はジャイロセンサーの側断面を示す図であり、図5(B)は水晶振動片の構成を
示す平面図である。
【0041】
第1の実施形態におけるスペーサー28は、水晶振動片12の中心に1つ設ける構成と
していた。これに対して本実施形態に係るジャイロセンサー10aでは、水晶振動片12
における基部14に少なくとも3つ(本実施形態では4つ:スペーサー28a〜28d)
設けたことを特徴としている。なお4つのスペーサー28a〜28dの配置は直線的では
無く、4つのスペーサー28a〜28dを結ぶ線が多角形を形成する位置関係とすると良
い。
【0042】
このような構成とすることにより、スペーサー28a〜28dを結ぶ4点が面を構成す
ることとなり、水晶振動片12の実装時の傾きを修正することが可能となる。なお、その
他の構成、作用、効果については、上述した第1の実施形態に係るジャイロセンサー10
と同様である。
【0043】
次に、第3の実施形態に係るジャイロセンサーについて、図6を参照して説明する。な
お、本実施形態のジャイロセンサー10bも、その基本的な構成は、上述した第1、第2
の実施形態に係るジャイロセンサー10、10aと同様である。相違点は、リッドにおけ
る一方の面に設けたスペーサーの形態にある。よって、その機能と同一とする箇所につい
ては、図面に同一の符号を付してその詳細な説明は省略することとする。また、図6にお
いて、図6(A)はジャイロセンサーの側断面を示す図であり、図6(B)は水晶振動片
の構成を示す平面図である。
【0044】
本実施形態に係るジャイロセンサー10bのスペーサーは、水晶振動片12側と、リッ
ド50側に分割された形態を有する。具体的には、水晶振動片12側に設けられたスペー
サー28eと、リッド50における水晶振動片12に対向する側の面に設けられた凸状部
によって構成されるスペーサー52とから構成されるのである。
【0045】
スペーサー52は、リッド50における水晶振動片12に対向する側の面であって、ス
ペーサー28eに対応する位置に設けられる。このような構成とすることにより、スペー
サー28eの高さはスペーサー52の高さ分だけ低く抑えた場合でも、フォーミング量の
調整を行うことが可能となる。このため、設計段階においてリッド50と水晶振動片12
との間の隙間が大きいジャイロセンサーであっても、フォーミング量の調整が可能となる

【0046】
なお、スペーサー52はその先端に、スペーサー28eの接触面よりも広い面積の平面
を有する。このような構成とすることにより、工程のバラツキにより水晶振動片12の実
装位置がパッケージ40の中心位置から外れた場合であっても、スペーサー28eの先端
をスペーサー52の先端に接触させることが可能となる。
【0047】
スペーサーの形態を上記のようにする場合、リッド50側に設けるスペーサー52は、
水晶振動片12におけるスペーサーと同様にバンプ等により構成することも可能であるが
、エッチング等によりリッドを削り込むことで構成しても良い。このような処理で形成す
る場合、バッチ処理が可能となるため、生産性が高く、製造コストを抑えることができる
からである。
なお、その他の構成、作用、効果については、上述した第2の実施形態に係るジャイロ
センサー10aと同様である。
【0048】
次に、第4の実施形態に係るジャイロセンサーについて、図7を参照して説明する。本
実施形態に係るジャイロセンサー10cは、水晶振動片の基部に1つ乃至複数のスペーサ
ーを有する(図7においてはスペーサーは1つ)。すなわち、基本構成を第1の実施形態
に係るジャイロセンサー10乃至第3の実施形態に係るジャイロセンサー10bのいずれ
かにしているのである。よって、その機能を同一とする箇所については、図面に同一の符
号を付してその詳細な説明は省略することとする。また、図7において、図7(A)はジ
ャイロセンサーの側断面を示す図であり、図7(B)は水晶振動片の構成を示す平面図で
ある。
【0049】
本実施形態に係るジャイロセンサー10cでは、基部14に設けたスペーサー28の他
に、支持アーム20と駆動アーム22との交差部にもスペーサー28f,28gを設ける
構成とした。
【0050】
このような構成とすることにより、水晶振動片12のフォーミング量の調整だけでなく
、水晶振動片12に対して垂直方向(Z軸方向)の衝撃が加えられた際、支持アーム20
の変形を抑制することができる。このため、衝撃による変形で、駆動アーム22がリッド
50と接触することを防止することができる。なお、その他の構成、作用、効果について
は、上述した第1乃至第3の実施形態に係るジャイロセンサー10,10a,10bと同
様である。
【符号の説明】
【0051】
10………ジャイロセンサー、12………水晶振動片、14………基部、16(16a
,16b)………検出アーム、18(18a,18b)………重量部、20………支持ア
ーム、22(22a〜22d)………駆動アーム、24(24a〜24d)………重量部
、28………スペーサー、30………支持基板、32………樹脂フィルム、34………開
口部、36(36a〜36f)………インナーリード、38………IC、40………パッ
ケージ、42………底面、44,46………段部、50………リッド。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物理量検出素子をインナーリードによりリッド側へ押し上げ、前記物理量検出素子をパ
ッケージのキャビティ内に弾性支持する構造を有する物理量検出装置であって、
前記物理量検出素子における前記リッドに対向する面にスペーサーを設け、
前記スペーサーは、前記パッケージを前記リッドにより封止した状態において前記リッ
ドに接触し、前記インナーリードによる前記物理量検出素子の押し上げ量を規制すること
を特徴とする物理量検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の物理量検出装置であって、
前記スペーサーは、前記インナーリードによる前記物理量検出素子支持点間の中心に設
けたことを特徴とする物理量検出装置。
【請求項3】
請求項1に記載の物理量検出装置であって、
前記スペーサーは少なくとも3つ設け、前記リッドに対して少なくとも3点で接触する
ことを特徴とする物理量検出装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の物理量検出装置であって、
前記物理量検出素子は、基部と、当該基部から延設された一対の支持アームと一対の検
出アーム、および前記支持アームのそれぞれから延設された対を成す駆動アームとを有し

前記スペーサーは、前記支持アームと前記駆動アームとの交差部にも設けたことを特徴
とする物理量検出装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の物理量検出装置であって、
前記リッドにおける前記物理量検出素子と対向する側の面の前記スペーサーに対向する
位置に凸部を形成したことを特徴とする物理量検出装置。


【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図1】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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