説明

特に、殺菌可能な食品のための柔軟性材料のパッケージ

【課題】製造が容易且つ安価であると共に易開封性の柔軟性材料のパッケージを提供する。
【解決手段】特に殺菌可能な食品の収容に適した、柔軟性材料のパッケージについて記載する。上記パッケージは、底部または底壁2、上壁3、前壁4、後壁5、および、2つの側壁6、7を有する平行6面体の箱形を有している。上壁3には、剥離可能なパッチ9によって閉鎖された開口部8が設けられており、剥離可能なパッチ9は、開口部8の周囲縁にまたがって配置されたシール輪郭部20に沿ってシールされている。底部2および上壁3からは、それぞれ、周囲縁10が突出している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、オートクレーブにおいて加熱処理される、例えばジャム、フルーツジュース等といった、液状または粘性状態にある食品、若しくは保存液に入った固体の状態にある食品の収容に適した柔軟性材料のパッケージに関する。しかしながら、本発明に係るパッケージは、必ずしも食用でない顆粒または固形の製品を収容するためにも用いられ得る。
【背景技術】
【0002】
現在、本発明が特に対象とする殺菌可能な食品を液体として保持するために、これらの食品は、密閉された缶またはアルミニウムトレー内に包装される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これらのパッケージは、コストが比較的高いこと、パッケージを製造および充填するための工程が複雑であること、パッケージの開封が困難であることといった、多岐にわたる様々な欠点を有している。
【0004】
本発明の目的は、製造が容易且つ安価であると共に易開封性の柔軟性材料のパッケージを提供することによって、上述の欠点を解決することにある。
【0005】
本発明の他の一目的は、パッケージ内に収容された製品の絶対無菌状態を確保することが可能なパッケージを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
これらの目的を、本発明に係る、添付の特許請求の範囲に係る独立請求項1に挙げた特徴を有するパッケージによって実現する。
【0007】
本発明の好ましい実施形態は、従属請求項に記載する。
【0008】
基本的に、本発明に係る平行6面体の箱形を有する柔軟性材料のパッケージは、1つの面に開口部を備えている。この開口部は、該開口部の周辺に沿ってヒートシールされた剥離可能なシートまたはパッチによって閉じられている。
【0009】
通常、柔軟性を有するパッケージの材料は、多層に構成されており、障壁として機能する少なくとも1つのアルミニウムの内層、または、二酸化ケイ素または酸化アルミニウムにて被膜されたポリエステル層といった別のバリア(障壁)層を含む。同様に、柔軟性を有する閉鎖パッチの材料も、多層に構成されており、易開封型のシールを可能にするような剥離可能な内層を含む。
【0010】
特に、パッケージに設けられた開口部の周辺にパッチをシールすることは、該開口部の縁にまたがって配置される輪郭部に沿って行われる。そのため、ヒートシール工程の熱がパッチの内層を軟化させ、軟化した内層が開口部の縁の上まで「流れ」て、アルミニウムの層の端部を覆う。
【0011】
このようにして、パッケージ内に収容された液状または粘性の製品とアルミニウムの層との間の任意の接触が回避されると共に、パッケージの内部を無菌状態で維持することが保証される。上記接触は酸化または腐食を生じさせ得る。
【0012】
この柔軟性を有するパッケージは、連続供給用シートから得ることが好ましい。連続供給用シートは、上述のパッチによって閉鎖された開口部を得るために予め規則的な間隔で型抜きされて、成形充填型の成形マンドレルに送られる。すなわち、成形マンドレルの周囲において、パッケージが成形されると共に製品が充填される。
【0013】
特に、本発明に係るパッケージは、パッケージにおける4つの縦方向の縁部に、フィンシール式またはインサイドトゥーインサイド式の4つの縦シールを有している。これらの縦シールは、パッケージに剛性を与えるように機能しており、これらの縦シールうちの1つは、連続供給用シートを縦方向に閉じて、チューブを形成するように機能する。
【0014】
このパッケージは、その後、2つの横シールによって、および、これらの横シールを折り畳んでひだを形成することによって完成する。
【0015】
成形されたパッケージの使用位置では、上述の縦シールは、水平に配置されており、突出した底縁および上縁を形成する。これら底縁および上縁は、パッケージを補強し、該パッケージを直立位置にて、つまり剥離可能なパッチが上面に配置された状態で安定させて保つことを可能にする。
【0016】
一例として、本発明に係るパッケージのフレキシブルフィルムは、4つの層から構成されていることが好ましい。これら4つの層の配置は、外側から内側に向かっていうと、第1の層として、無延伸ポリプロピレン(CPP)、ヒートシール式二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)、または、ヒートシール式テレフタル酸ポリエチレン、第2の層として、アルミニウム、第3の層として、テレフタル酸ポリエチレンまたはナイロン、第4の層として、無延伸ポリプロピレンである。
【0017】
他方、窓を閉じるパッチのフィルムは3層構造であってよい。これら3つの層は、ここでも外側から内側に向かっていうと、テレフタル酸ポリエチレン、アルミニウム、無延伸または剥離可能なポリプロピレンである。
【0018】
本発明のさらなる特徴は、以下の詳細な説明によって明らかとなろう。詳細な説明では、添付の図面に示した本発明の実施形態を参照しているが、上記実施形態は、単に本発明を例示するにすぎず、本発明を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明に係るパッケージを、使用位置において、再閉鎖が可能な蓋と共に示す不等角投影図である。
【図2】図2は、上記蓋を有していない、図1のパッケージを示す平面図である。
【図3】図3は、図2の切断線III−IIIに沿って切断した断面を示す図である。
【図4】図4は、図3の文字Aによって示される細部を拡大した図である。
【図5】図5は、本発明に係るパッケージの製造工程における一連のステップ(図5〜図8)のうち、1つのステップを示す図である。
【図6】図6は、本発明に係るパッケージの製造工程における一連のステップ(図5〜図8)のうち、1つのステップを示す図である。
【図7】図7は、本発明に係るパッケージの製造工程における一連のステップ(図5〜図8)のうち、1つのステップを示す図である。
【図8】図8は、本発明に係るパッケージの製造工程における一連のステップ(図5〜図8)のうち、1つのステップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明について説明する。図面を参照し、まず、特に図1を参照すると、参照番号1は、本発明に係るパッケージ全体を示している。パッケージ1は、特に、液状の、または、場合によっては固体の断片を含有する半流動状態の、殺菌可能な食品のためのパッケージである。
【0021】
パッケージ1は、平行6面体の箱形をしており、(長方形の)底部2、上壁3、前壁4、後壁5、および、2つの側壁6、7を有している。
【0022】
上壁3には、長方形の開口部または窓8が形成されている。開口部または窓8は、剥離可能なシートまたはパッチ9によって閉じられている。この状態については、以下に詳述する。
【0023】
底部2および上壁3の周辺には、突出した周囲縁(縁)10があり、周囲縁10は、以下に説明するパッケージを形成するフィルムのシールエッジによって得られると共に、パッケージ1を硬化させて安定させている。
【0024】
当然ながら、他の一実施形態では周囲縁10が備えられていなくともよい。
【0025】
次に、本発明に係るパッケージの考えられ得る製造工程について、図5〜図8を参照しながら説明するが、この説明は単に概略的なものである。実際、これらの図、特に図6では、パッケージはほぼ完成しているがまだ閉じられていない時に、窓8を形成して窓8をパッチ9で閉じるステップが示されている。実際には、窓8は、パッケージの成形前、つまり、材料である連続供給用シートが閉じられてチューブが形成され、既に適切な長さに切断されてパッケージ1が形成されていることが図示されている図5の図の前に、シート材料から成る連続供給用シート上で、規則的な間隔に型抜きされて、パッチ9によって閉じられていることが好ましい。
【0026】
図1に示すように、予めマンドレルに沿って形成され、通常は垂直に配置されている材料の連続供給用シート上に、フィンシール式の4つの縦シール11が形成されている。これらの縦シールでは、フィルムの内縁が接触し合い互いに密閉されている。図5において他と区別するために太字で示した縦シール11のいずれか1つは、シート材料の連続供給用シートを閉じて、チューブを形成している。
【0027】
次に、底部の横シール12を形成する(図6)。底部の横シール12は、上記チューブの底部を閉じるものである。その後、ひだの折り畳み部14(図7)を形成し、最後にさらなる上部の横シール13を形成し、次に、ひだの折り畳み部15(図8)を形成することによって、パッケージを閉じる。
【0028】
実際には、周りにパッケージ1を成形するマンドレルが、成形充填型のマンドレル、つまり成形工程中にパッケージが充填される形態のマンドレルであれば、横シール13が形成されてパッケージが閉じられる時に、同時に、直ぐ後のパッケージに底部の横シール12が形成される。上記直ぐ後のパッケージは、その後、前のパッケージから切断されることによって分離される。
【0029】
次に、成形されたパッケージを、図1に示す使用位置に配置する。この位置では、上述の縦シール11が、パッケージ1の突出した上部および底部の周囲縁10を形成する。上部および底部の周囲縁10は、各側壁6、7を形成するために配置されたひだの折り畳み部14、15を備えている。
【0030】
次に、特に図1〜図4を参照する。これらの図には、パッチ9を貼り付けて、開口部8を閉じる方法がより良好に示されている。
【0031】
図1および図2の灰色の領域によって示されるように、パッチ9は、パッケージ1の上壁3の上に、シール輪郭部20に沿って剥離可能にシールされている。シール輪郭部20は、開口部8の周囲の縁にまたがって配置されている。このように配置することによって、ヒートシール工程中にパッチ9の領域が受ける熱は、シール輪郭部20の、真下の上壁3に重なっていない領域において材料を軟化させ、軟化された材料は、開口部8の内縁を覆う。
【0032】
図4の拡大図は、この状態を、強調して図式化したものである。ここでは、パッケージ1のフレキシブルフィルムは、4つの層の積層として示されており、剥離可能なパッチ9のフィルムは、3つの層の積層として示されている。
【0033】
具体的に例を挙げる。パッケージのフィルムは、図4を参照して外側から内側に向かっていうと、つまり3つの上部から底部までをいうと、無延伸ポリプロピレン(CPP)、ヒートシール式二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)、またはヒートシール式ポリエステル(PET)の第1の層31と;アルミニウムの第2の層32と;ポリエステルまたはナイロンの第3の層33と;再び無延伸ポリプロピレンの第4の層34とを含む。
【0034】
他方、パッチ9のフィルムは、再び外側から内側に向かっていうと、すなわち、上部から底部に向かっていうと、ポリエステルの第1の層91と、アルミニウムの第2の層92と、剥離可能な無延伸ポリプロピレンの第3の層93とを含む。
【0035】
図4に示すように、ヒートシール工程中にパッチ9のCPPの層93が溶融することによって、この材料CCPは、開口部8の内縁上に「流出」し、特にアルミニウムの層32を覆う。これによって、パッケージ1の内容物が、アルミニウムの層の端部に接触することを妨げ、従って、場合によっては起こり得るパッケージの内容物の無菌状態を損なう酸化または腐食を回避する。
【0036】
上述のように、実際には、本発明に係るパッケージは、特に、殺菌可能な製品、つまり包装を行った後にオートクレーブにおいて加熱処理を受ける製品の収容に適している。
【0037】
従って、パッケージ1およびパッチ9に用いられるフレキシブルフィルムの材料は、高い殺菌温度に耐えられるように選択される。
【0038】
パッケージに加熱処理を行う必要がない場合、すなわち、殺菌不可能な製品を収容することになっている場合、ポリプロピレンまたはポリエステルの代わりに、ポリエチレンを、フィルムの様々な層に用いてもよい。
【0039】
図1は、パッチ9の端部25を持ち上げて引っ張ると共に該パッチを取り除くことによって、パッケージ1を開封する方法を示している。これは、ヒートシールがシール輪郭部20に沿って剥離可能であるために可能である。
【0040】
一旦、パッチ9を取り除くと、パッケージ1の内容物は、該内容物を、例えばスプーンを用いてパッケージから直接取り出すことによっても、消費可能である。
【0041】
任意により、パッチ9が設けられる上壁3の上には、衛生上の理由から、パッケージ1を覆うための蓋40が設けられていてもよい。蓋40は、パッケージの内容物が部分的にしか使用されない場合に、パッケージを再び閉じるためのものでもある。
【0042】
図1に示す蓋40は、パッケージ1の上壁3の形状を再生した長方形の壁から構成されている。この長方形の壁は、下方を向いた周囲縁41を備えており、周囲縁41は、パッケージの突出した上部における周囲縁10を包囲する。
【0043】
上記蓋のシールは、向かい合う2つの舌状部(つまみ部)42(図1には一方の舌状部しか示していない)によって実現される。2つの舌状部42は、パッケージの側壁6、7に設けられた扇形の各折り畳み部14、15内に挿入される。
【0044】
蓋40は、厚紙、プラスチック、または他の材料から形成されていてもよい。場合によっては、パッケージの上部における周囲縁10の外側に粘着する熱収縮性のプラスチック材料から形成されていてもよい。
【0045】
しかしながら本発明は、上述すると共に添付の図面に示した特定の実施形態に制限されるものでなく、当業者が到達できる範囲における細部の種々の変形も、添付の特許請求の範囲において説明した本発明の範囲から逸脱することなく行われ得ることは明らかであろう。
【符号の説明】
【0046】
1 パッケージ
2 底部、底壁
3 上壁
4 前壁
5 後壁
6・7 側壁
8 開口部
9 パッチ
10 周囲縁
11 縦シール
12・13 横シール
14・15 ひだの折り畳み部
20 シール輪郭部
31 第1の層
32 第2の層
33 第3の層
34 第4の層
40 蓋
41 周囲縁
42 舌状部(つまみ部)
91 第1の層
92 第2の層
93 第3の層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に、殺菌可能な食品のための柔軟性材料のパッケージ(1)であって、
使用位置において、底部または底壁(2)、上壁(3)、前壁(4)、後壁(5)、および2つの側壁(6、7)を有する平行6面体の箱状をしており、上記底部または底壁(2)、上壁(3)、前壁(4)、後壁(5)、および2つの側壁(6、7)、のうちのいずれか1つの壁の上には、剥離可能なパッチ(9)によって閉鎖された開口部(8)が設けられているパッケージ(1)であって、
上記パッチ(9)は、上記開口部(8)の周囲縁にまたがって配置されたシール輪郭部(20)に沿って、上記パッケージにおける当該壁に、剥離可能にヒートシールされていることを特徴とする、パッケージ(1)。
【請求項2】
上記剥離可能なパッチ(9)によって閉鎖された開口部(8)は、上記上壁(3)に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載のパッケージ(1)。
【請求項3】
上記開口部(8)の周囲縁は、上記パッチ(9)の内面の材料によって覆われており、上記材料は、上記パッケージ(1)の内容物が上記開口部(8)の周囲縁に接触することを回避するように、ヒートシール工程中に、上記パッケージ(1)の壁に重なっていない上記シール輪郭部(20)の領域から流出するものであることを特徴とする、請求項1または2に記載のパッケージ(1)。
【請求項4】
上記底壁(2)および上記上壁(3)は、それぞれ、突出した周囲縁(10)を有していることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のパッケージ(1)。
【請求項5】
上記パッケージ(1)の底壁(2)および上壁(3)の上記突出した周囲縁(10)は、パッケージ成形工程中に作成されるフィンシール式の各縦シール(11)対によって得られ、横シール(12、13)が、その後に形成されるひだの折り畳み部(14、15)と共に、上記パッケージの側壁(6、7)に配置されていることを特徴とする、請求項4に記載のパッケージ(1)。
【請求項6】
上記パッケージ(1)および上記パッチ(9)を形成するフレキシブルフィルムは、多層フィルムであり、少なくとも1つのアルミニウムの内層または他のバリア層と、上記アルミニウムの内層または他のバリア層に接触するヒートシール層とを含み、上記層のうち少なくとも1つは、剥離可能なタイプの層であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のパッケージ(1)。
【請求項7】
上記パッケージ(1)のフレキシブルフィルムは、外側から内側に向かって、無延伸ポリプロピレン、ヒートシール式二軸延伸ポリプロピレン、またはヒートシール式ポリエステルの第1の層(31)と;アルミニウムの第2の層(32)と;ポリエステルまたはナイロンの第3の層(33)と;無延伸ポリプロピレンの第4の層(34)とを含み、
上記パッチ(9)のフレキシブルフィルムは、外側から内側に向かって、ポリエステルの第1の層(91)と;アルミニウムの第2の層(92)と;剥離可能な無延伸ポリプロピレンの第3の層(93)とを含むことを特徴とする、請求項6に記載のパッケージ(1)。
【請求項8】
上記上壁(3)を覆うための蓋(40)が設けられていることを特徴とする、請求項2〜7のいずれか1項に記載のパッケージ(1)。
【請求項9】
上記蓋(40)は、下方に向かって突出した周囲縁(41)を有しており、上記下方に向かって突出した周囲縁(41)は、上記上壁(3)の突出した周囲縁(10)を包囲することを特徴とする、請求項8に記載のパッケージ(1)。
【請求項10】
上記蓋(40)は、上記パッケージの側壁(6、7)の各ひだの折り畳み部(14、15)内に挿入されるように構成された、向かい合った2つのつまみ部(42)を備えていることを特徴とする、請求項9に記載のパッケージ(1)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−89838(P2010−89838A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−235572(P2009−235572)
【出願日】平成21年10月9日(2009.10.9)
【出願人】(508218822)ゴグリオ ソシエタ ペル アチオニ (7)
【氏名又は名称原語表記】GOGLIO S.P.A.
【住所又は居所原語表記】Via Andrea Solari,10,20144 Milano,ITALY
【Fターム(参考)】