説明

特にフレキソ印刷分野において使用可能なレリーフ画像構造の作製方法、及び該方法によって作製された構造

【課題】本発明の目的は、特に、フレキソ印刷、エンボス印刷、輪転グラビア印刷の分野に使用でき、且つ基層、基層に固定する感光性材料層からなるレリーフ画像構造の製造方法の提供。
【解決手段】方法は、レリーフにしなければならない領域を所定の波長を有する光に露光して選択的なレチキュレーションを生じさせることで、感光層に画像を形成するタイプである。方法は、基層(5)の方向に広がるほぼピラミッド形状となる点の集合として画像を形成することを特徴とする。本発明は、フレキソ印刷分野のレリーフ画像の作製に使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基層と、該基層に固定された感光性材料層とからなるレリーフ画像構造(agencement)であって、特にフレキソ印刷分野で使用でき、レリーフにすべき領域を所定の波長を有する光によって露光することで選択的なレチキュレーション(reticulation)を生じさせて、感光層に画像を形成するタイプのレリーフ画像構造の作製プロセス、及び該プロセスによって作製された構造に関する。
【0002】
このタイプのプロセス及び構造は、特許文献1によって既に公知である。しかし、この文献に記載の技術は、スクリーンの点、及びポジ線によって形成されるレリーフ部分が、結果(特性)として、印刷の圧力の影響で変形することで直径が小さな点、及び離間した又はポジ直線が、クリシェを彫刻する際に脆く、且つ不安定であるショルダーの構成を有し、ハイライトにおける色調範囲の欠落、より一般的に細部の欠落を生じる点が問題である。更に、シャドウではスペースがより広く又はより近接した点が得られる点は、予備領域(reserves)を塞ぎ、色調範囲においてシャドウが広過ぎたり、制限されたりする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】仏国特許第2,834,802号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、この問題点を改善することにある。
この目的を達成するため、本発明のプロセスは、基層に向かって広がるほぼピラミッド形状となる点の集合として画像を形成することを特徴とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1つの特徴によると、画像の1つの点の頂点の領域だけを、この領域の感光層の完全なレチキュレーションに必要な全エネルギーに露光させて、且つ頂点の周りの領域を、前記エネルギーが頂点の領域から遠ざかる方向に小さくなるような前記全エネルギーの一部に露光させることで、これら領域の感光層の材料の溶解度がこの方向に上昇する。
【0006】
本発明の1つの特徴によると、画像の1つの点が、多くの画素より形成されるスクリーンの1点として作製されることを特徴とするプロセスである。
【0007】
本発明の他の特徴によると、感光性材料層を露光する光が、波長390nm〜410nm、好ましくは、約405nmのレーザービームであることを特徴とするプロセスである。
【0008】
本発明の他の特徴によると、波長325nm〜375nmの紫外線領域で動作する光源であって、レーザーであってもよい光源を使用することを特徴とするプロセスである。
【0009】
本発明の他の特徴によると、1つのスクリーンの点が、サイズが漸減する点の領域を、感光性材料に完全にレチキュレーションを生じさせるのに必要なエネルギーの適切な一部分に相当する照射エネルギーレベルに、連続的に露光させることで作製されることを特徴とするプロセスである。
【0010】
本発明の他の特徴によると、1つのスクリーンの点がレーザービームを数回前後にパスすることにより作製されることを特徴とするプロセスである。
【0011】
本発明の他の特徴によると、1つのスクリーンの点が、1パス中に同時に動作する複数のレーザービームを使用して異なるスキャンを行うことで作製されることを特徴とするプロセスである。
【0012】
本発明の他の特徴によると、1つのスクリーンの点が、スキャンに対して垂直方向にオフセットした一列の複数のレーザーを支持するヘッドを使用して作製され、進行方向に異なる露光領域の幅に対応する段差のスキャンに対して垂直方向にスキャンした後で進むことを特徴とするプロセスである。
【0013】
本発明の他の特徴によると、1レーザー当たりの出力は10mW〜300mW、好ましくは10mW〜20mWであることを特徴とするプロセスである。
【0014】
本発明の他の特徴によると、画像を形成する表面のスキャンに使用する画素の大きさが6μm〜15μmであることを特徴とするプロセスである。
【0015】
本発明の他の特徴によると、使用するレーザーの適切な数が1〜256であることを特徴とするプロセスである。
【0016】
本発明の他の特徴によると、形成されるレリーフ画像の解像度が1,000dpi〜8,000dpiであることを特徴とするプロセスである。
【0017】
本発明の他の特徴によると、スクリーン・ルーリングが60 lpi〜200 lpiであることを特徴とするプロセスである。
【0018】
本発明の他の特徴によると、レリーフ画像の支持体として、刷版、スリーブ、及びシリンダを使用することを特徴とするプロセスである。
【0019】
本発明の他の特徴によると、液相、半液相、又は固相の感光性ポリマーを使用することを特徴とするプロセスである。
【0020】
本発明の他の特徴によると、支持体の構造(agencement)が、基底があっても無くてもよく、圧縮可能又は不可能でもよいことを特徴とするプロセスである。
【0021】
本発明の他の特徴によると、支持体がポリエステル等からなることを特徴とするプロセスである。
【0022】
本発明の他の特徴によると、支持体がスチール又はアルミニウム等の金属からなることを特徴とするプロセスである。
【0023】
本発明の他の特徴によると、外面がレリーフに、且つピラミッド形状の画像の点により形成される感光性材料層からなることを特徴とするプロセスである。
【0024】
本発明の他の特徴によると、1つの画像の点が複数の画素により形成されることを特徴とするプロセスである。
【0025】
本発明の他の特徴によると、感光層が支持体に固定されることを特徴とするプロセスである。
【0026】
本発明の他の特徴によると、支持体が、刷版、スリーブ、又はシリンダの形状であることを特徴とするプロセスである。
【0027】
本発明の他の特徴によると、支持体が、ポリエステル、又はスチール若しくはアルミニウム等の金属からなることを特徴とするプロセスである。
【0028】
本発明の他の特徴によると、刷版、スリーブ、又はシリンダが、厚さ0.4mm〜6.35mmの感光性材料を有することを特徴とするプロセスである。
【0029】
本発明の他の特徴によると、刷版、スリーブ、又はシリンダの硬度が、25ShA〜75ShDであることを特徴とするプロセスである。
【0030】
本発明の他の特徴によると、画像解像度が1,000dpi〜8,000dpiであることを特徴とするプロセスである。
【0031】
本発明の他の特徴によると、スクリーン・ルーリングが50 lpi〜200 lpiであることを特徴とするプロセスである。
【0032】
本発明の他の特徴によると、レーザーが出力調整されることを特徴とするプロセスである。
【0033】
本発明の他の特徴によると、色調範囲及び詳細の維持を最適化するために、彫刻後に、デジタルファイルでレーザーを誘導しながら同一パス、又は連続するパスの間に複数回スキャンして画像を形成することで、印刷される領域のショルダーを制御することで画像形成されるレリーフ状の刷版の各点で受け入れる全エネルギーを調整することができる画像を形成することを特徴とするプロセスである。
【0034】
各点のレベルでスキャン毎に、表面に対して同時に複数のレーザーの物理的なパスを数回行うことで、画像形成されるレリーフ版、又は作製される印刷形態の各点のエネルギーが調整できるという事実を主張することは妥当である。
【0035】
上記調整は、また、ドラムをらせんスキャンする場合に前進又は回転する毎に、画線比率で一組の複数のレーザーの1パスによって行うことができるため、各点で個別に出力を調整したスキャンを複数回行うことができる。
【0036】
パスは、各露光点のレベルでのレーザーヘッド全体の前進、及び1つ以上のレーザーの動作によるスキャンを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0037】
本発明は、以下に続く説明の記載とともに、本発明の作製方法の例示として示す添付の概略図を参照することで、本発明の他の目的、特徴、詳細、及び利点をより明確に示すことでよりよく理解される。
【図1】図1は、レリーフ印刷版のレリーフ画像の原理を示す概略図である。
【図2A】図2Aは、点の周りのレチキュレーションのグラデーションを設けずに作製されたスクリーンの点を概略的に示す。
【図2B】図2Bは、本発明により作製されるスクリーンの点を概略的に示す。
【図3A】図3Aは、本発明による、スクリーンの点の構成の2種の様相のうちの1方を概略的に示す。
【図3B】図3Bは、本発明による、スクリーンの点の構成の2種の様相のうちの他方を概略的に示す。
【図4】図4は、その構成の2種の様相が図3A及び図3Bにそれぞれ示されるスクリーンの点のレリーフの概略図である。
【図5】図5は、本発明による細線の本発明による作製を示す概略図である。
【図6】図6は、本発明によるシャドウ領域における互いに近接する直径が大きいスクリーン点の概略図である。
【図7】図7は、本発明による、スクリーンの1点の複数の露光パスによる構成を実施する方法の3段階のうちの1つを示す。
【図8】図8は、本発明によるスクリーンの1点の複数の露光パスによる構成を実施する方法の3段階のうちの1つを示す。
【図9】図9は、本発明によるスクリーンの1点の複数の露光パスによる構成を実施する方法の3段階のうちの1つを示す。
【図10】本発明の複数のパスによる構成を用いる間のハーフトーンの点の過剰なインク付着の数値を理論上の参照線の補正値で概略的に示す。
【図11】図11は、複数のパスによる本発明のスクリーンの点の構成の3種類のうちの1つを示す。
【図12】図12は、複数のパスによる本発明のスクリーンの点の構成の3種類のうちの1つを示す。
【図13】図13は、複数のパスによる本発明のスクリーンの点の構成の3種類のうちの1つを示す。
【図14】図14は、幾つかのレーザービームを有するヘッドを使用して本発明のスクリーンの点の作製を示す概略図である。
【図15A】図15Aは、図14に示す1つのスクリーンの点の構成のプロセスの6つのスキャンとその結果のうちの1つを示す。
【図15B】図15Bは、図14に示す1つのスクリーンの点の構成のプロセスの6つのスキャンとその結果のうちの1つを示す。
【図15C】図15Cは、図14に示す1つのスクリーンの点の構成のプロセスの6つのスキャンとその結果のうちの1つを示す。
【図15D】図15Dは、図14に示す1つのスクリーンの点の構成のプロセスの6つのスキャンとその結果のうちの1つを示す。
【図15E】図15Eは、図14に示す1つのスクリーンの点の構成のプロセスの6つのスキャンとその結果のうちの1つを示す。
【図15F】図15Fは、図14に示す1つのスクリーンの点の構成のプロセスの6つのスキャンとその結果のうちの1つを示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明は、フレキソ印刷の版、プレート又はクリシェ(plaque ou cliche)の画像形成プロセスへの使用に関する。もちろん、本発明は、レリーフ状のエンボス加工、タイポグラフィー、及び輪転グラビア印刷用途等の他の分野でも使用可能である。
【0039】
フレキソ印刷の刷版、及びスリーブへの画像形成においては、レチキュレーションを生じさせる領域を露光する光源として、波長390nm〜410nmの紫外光と可視光との境界である紫光領域において動作するレーザーダイオードと、この光に対して感受性とされた感光性ポリマーを使用する。好ましくは、所定の偏位で並行な光のビームを、刷版或いはスリーブに対して正確に垂直に向けるように、波長405nmで同時に動作する一組のレーザーダイオードを配置して使用する。これらのダイオードは、「CTP印刷」(Computer to Plate)として公知である所定のタイプのプロセスを含むオフセット版の作製のデータ保存システム及び使用に広く使用されるという利点がある。
【0040】
本発明は、「オートタイプハーフトーン処理(autotypical halftone process)」として公知の技術を使用し、この技術によると、画像は、画素と呼ばれる複数の基本の点で構成されるスクリーンの点でレリーフ状に形成されるレリーフ画像であり、画素形成がデジタル技術の使用を含む。よって、本発明は、ネガフィルム、いわゆる「アブレーション」マスク又は印刷されたフォーマットに画像形成するのと同様に、感光性材料からなる刷版に直接デジタル画像を形成するプロセスに関する。
【0041】
図1は、露光されてレチキュレーションが生じた黒色の領域と、例えば溶媒を使用して感光層の材料が除去された白色の非露光領域からなる、本発明によるレリーフ画像の原理を示す。レリーフ画像のデザイン、即ち文字「E」が近接する画素(各画素は、線及びカラムのグリッドセル中に存在する)によって形成されていることが確認される。概して、本発明のレリーフ画像において、スクリーンの点は、表面の一定割合を覆っているだけだが、観察者の目の統合能力によって、観察者は画像が別個の点によって形成されていると感じるのではなく、もちろん解像度が十分に高いという条件付きではあるが、連続したレリーフ領域として見る。解像度により、dpi(1インチあたりのドット数、即ち、1インチあたりの点の数)という表現によって定義されるインクが付いた点で印刷して再生された点の数の密度が理解される。「スクリーン・ルーリング」により、インチ当りのハーフトーンのセルの数を理解する。スクリーン・ルーリングによって、グレイレベルを印刷することができ、又は色を分けることができる。これは、また、lpiで表したスクリーン線数、lpi(ライン・パー・インチ)、又はライン・パー・センチメートルといわれる。例えば、以下に記載の1%のスクリーンの場合、所定のスクリーン・ルーリングに対するスクリーンの点による表面被覆の割合は、例えば、130 lpi〜175 lpiである。175 lpiは、69 lpcに相当する。
【0042】
本発明の目的は、ハイライトの点、又は塞がれた予備領域、過剰なインク付着、範囲全体におけるシャドウの制限がある場合等の印刷の影響下で、変形が非常に少なく、安定した形状を有するような(レリーフにおける)スクリーンの画像の点の作製である。図2A及び2Bにおいて、図2Aは印刷中に均一に接触するピラミッド形状を示すスクリーン点1、及び頂点2を示し、平らであり、実質的に上昇せず、印刷影響下で変形する場合でもショルダー3により点が安定する。
【0043】
各点が多くの画素によって形成される本発明のスクリーンの点のピラミッド構造は、画像形成される刷版の感光性材料において入射光を計測することで点及び線のショルダー3を制御することで得られる。レーザービームによって適切に形成される光がコヒーレントであり、刷版の表面に対して極めて垂直であるため、放射によって生じるレチキュレーションは、刷版の表面にスキャンされたデザインに応じた深さで支配的に行われる。結果的に、ハイライトの点、及びポジ線の点のショルダー3は、媒体、即ち、感光性材料における光拡散によってのみ決まる。
【0044】
本発明は、受ける光エネルギーが少ない領域は、レチキュレーションがあまり生じずに結果としてより多く溶解するという条件で、点の先端は、完全にレチキュレーションを生じさせ、且つ後の洗浄に耐えることができるように所定量のエネルギーを受けなければならないという事実に基づく。感光性材料のレチキュレーションに対して必要なエネルギーは、1回の露光、即ち、同じ点或いは画素をレーザービームによる、又は幾つか連続するパスによる1回のスキャンで与えることができる。幾つか連続したスキャンでエネルギーを分配することで、刷版の各点、即ち各画素に与える光線量を調整可能であり、各スキャンは必要な効果を得るようにプログラミングされた、いわゆる、リップファイルからのデジタル指示によって決まり、即ち、レリーフの点のショルダー、及び概して彫刻後の印刷領域を制御する。
【0045】
よって、図3Aによると、1%のスクリーンの点、即ち小さな半径の孤立した点の作製は、第1回目のスキャンを、この点を形成する画素の分布を40%に拡大したスクリーンの点に相当するように行う。これは、中心の1%の濃いグレイの周りの40%のライトグレイ領域であり、この第1パスの間に照射される頂点2を後に形成する。第2パスの間、図3Bに示すように、画素の分布を6%に拡大したスクリーンの点に相当するようにスキャンを行う。もし、材料において、6%の円内に位置する画素が、2パスのエネルギーを受けるならば、6%の円と40%の円との間の画素よりもレチキュレーションが生じるためより溶解しなくなる。1%のスクリーンの点の作製は、1%の円に対応する領域だけに完全にレチキュレーションを生じさせて全く溶解しないように、追加的に適切な回数スキャンすることで完了する。
【0046】
パス毎にレーザーで与えられるエネルギーを調整することで、異なる値のエネルギーを与えることができる。
【0047】
本発明は、点の構造を最適化することができる。形成されるスクリーン点の近傍における2回の第1パスの間に、エネルギーを送ることで、高度に制御して該領域の材料が溶解しないようにすることができるため、図4に示すように溶媒又は熱的手段によって彫刻された後に残存する最適なショルダーが作製される。しかし、上述のように2回以上のスキャンを行う間にスクリーンの点の大きさを操作しないと、スクリーンの点は、点を機械的に不安的にするショルダーを有することになる。画像形成されるハイライトの点の近傍に対して供給するエネルギーを変えることで、ショルダー及び固着を制御できることが容易に理解される。幾つかのパスによって、同心円又は他の所望の幾何学的形態で計測できる。
【0048】
例えば、100μm(マイクロメートル)の微細なポジ型レリーフ線の作製は、数回のパスで同様に作製できる。第1パスは、所望の線の各辺から50μmはみ出た200μmの線に対応する画素の分布で有用に行うことができる。第2パスは、所望の線の各辺から10μmはみ出た120μmの線に対応する画素の分布で有用に行うことができる。必要であれば、更なるパスを100μmの線に対応する画素の分布で行ってもよい。この説明を図5に示す。
【0049】
左右対称に、画素のファイルを反対方向に操作して、数回のパスで画像形成することで、シャドウにおける光拡散の影響を減らすことができる。図6に示すように、陰を98%遮断するには、予備領域の開口に影響する拡散の影響を減らすために、第1パスで50%、次のパスで92%、更に次のパスで98%に減らすことができる。
【0050】
200μmの予備領域に対して同様に、例えば、200μmの大きさ、次に240μmの大きさの2パス、最後に予備領域が300μmの大きさになるようなパスを行うことで数値を操作できる。
【0051】
図7〜図9は、一例として図2〜図6を参照して彫刻されたような上記に例示した用途におけるスクリーンの点の数値の操作の原理を示す。これらの図は、画素を含むセルの点PRによる被覆率(%)で横軸に示すスクリーンの点と、縦軸に示すパス毎の刷版に作製される画素の分布RPXとの関係を示す。図7は、理論上は50%よりも小さい全てのスクリーンの点の大きさが、第1パスで数値的に50%に拡大されることを示し、これは、図2に示すライトグレイの領域及び図4に示す領域に相当する。同様に、図8は、第2パス中に行われた操作を示したグラフである。グラフの水平部分は、図3のライトグレイの円に位置する画素の分布に相当する。図9は、スクリーンの点とその後に続くパスに対する画素との関係を示す。
【0052】
特に、一例として図10に示すように、ハーフトーンのスクリーンの点の過剰なインク付着を調整するために、理論上の参照線の補正値を重ねることができることに注目すべきである。
【0053】
本発明によると、ハイライトしたスクリーンの点の操作をシャドウの点の操作と組み合わせることもでき、図11に、スクリーンの点と4つの連続スキャンa,b,c,dの画素の分布との関係を示す。図12及び図13は、毎回4つのスキャンを行ったスクリーンの点の構造の2種類の方法を示す。
【0054】
上記では、スクリーンの点の作製は、例えば、装置においてレーザービームを前後に移動させることで、表面の数回のパス、よって連続的なスキャンを行うことで説明してきた。本発明によると、更に、複数のレーザービームを同時に動作して使用することで異なるスキャンを行うこともでき、同時に幾つかスキャンして異なるレーザーの効果を重ねることで、1パスだけを行うこともできる。よって、48のレーザーを、12レーザー当たり4区分に分けることができ、第1区分が第1パスに対する作業を行い、第2区分が第2パスに対する作業を行い、その後も引き続き同様に行われる。また異なる態様として、3レーザーを使用せずに、且つレーザーを9レーザー当たり5区分に再編成することで、48レーザーの45レーザーだけを使用することもできる。これにより、5つのスキャンを同時に行うことができる。また更に異なる態様として、6レーザー当たり8区分にレーザーを分配して、8倍大きい速度で8つのスキャンを行うことができる。
【0055】
この本発明の第2の実施形態を、図14を参照して以下により詳細に示す。図14は、基層5上に1で示すスクリーンの点のピラミッド構造を概略的に示す。この図は、照射光の4連続露光により行うことができる、底部から頂点へと進み、eからhへ(外部から内部へ)と幅を減らす4つの同心円領域を示す。この図は、また、照射毎の7e〜7hの領域を示す。各照射で、対応する領域は、それぞれエネルギーの4分の1で照射される。点の照射領域の大きさは、第1露光では80μm、第2露光では60μm、第3及び第4露光では、それぞれ40μmと20μmである。太い斜線は、露光後の点のショルダー3を示す。刷版の裏面5は、点の支持体を確保するように下から露光して刷版材料の基板を硬化することで作製される。RIP(RASTER IMAGE PROCESSOR SOFTWARE)の名称で知られる適切な画像のグリッド処理ソフトによって異なる大きさの点を作製することができる。
【0056】
図15A〜図15Fは、単純化した例として、図14のスクリーンの点の作製について概略的に示し、8つのレーザービーム6を保持する可動式ヘッド8の使用を含み、傾斜して配列されたレーザーの第1レーザービームを底部とし、第8レーザービームを頂点とする。スキャンの方向は、矢印F1で示される。各パス後、レーザーヘッドは、20μmの段差で矢印F2の方向に進む。図15A〜図15Fは、ヘッドの異なる位置を示し、ハッチングは6つのスキャンのそれぞれに対して行った光への露光を示す。図14の7h領域では、線L4及び線L5(図14参照)をレーザー光で4回露光し、図14の7g領域では線L3を3回、図14の7f領域では線L2を2回、7e領域では線L1を1回露光する。また、図15にもハッチング領域を示す。これは、線L6〜線L8に対して左右対称に有効である。
【0057】
これらの4つのスキャンで生じるエネルギーの分布により、1パス間で、彫刻後にスクリーンの点に制御されたショルダーを生じさせことが可能になる。
【0058】
本発明の記載は単に一例として挙げるもので、本発明の必須の特徴に関する限り多くの方法に変更できる。これは、一般的に、フレキソ印刷、タイポグラフィー、及び他の同様の用途におけるレリーフ状の印刷物の作製を提案する。本発明は、また、レリーフ状にエンボス加工する用途、及び輪転グラビア印刷用途を含む。これらのレリーフは、刷版、スリーブ及びシリンダの形状の支持体上に作製できる。本発明は、液相、半液相、又は固相で使用する感光性ポリマーの使用を含む。刷版は、ポリエステル等の支持体、スチール若しくはアルミニウム支持体上で、基材があっても無くてもよく、且つ圧縮性であっても非圧縮性であってもよい。レーザーは、半導体ダイオードであることが好ましい。レーザーは、最小発光照射強度と公称最大出力との間で調整される。最小発光照射強度は、この場合0であってもよい。結果を最適化するために同じ又は異なる出力レベルで連続的なパスを行うことができる。刷版は、0.4mm〜6.35mm程度の厚さを有することができる。作製される刷版、スリーブ、又はシリンダの硬度は、一般的に約25ShA〜約75ShDである。刷版は、単層又は多層であってもよい。感光性材料にレチキュレーションを生じさせるために必要なエネルギー量は、一般的に、40mJ/cm〜1,000mJ/cmである。好ましくは、50mJ/cm〜150mJ/cmである。レーザーは、好ましくは、波長405nm、又は波長390nm〜410nmで動作するダイオードである。この方法は、紫外線範囲の波長325nm〜375nm又はその近傍で動作するレーザーに用いることができる。1レーザー当たりに有効な出力は、10mW〜300mW、好ましくは、10mW〜200mWで変えることができる。各レーザーモジュールに用いる出力は、他と異なってもよい。レリーフ印刷した形状の表面のスキャンに使用する基本画素の大きさは、一般的に6μm〜15μmである。使用するレーザーの数は、材料にレチキュレーションを生じさせるのに必要な出力又はエネルギーに応じて任意の値でよく、1〜256又はそれ以上で変えることができる。画像の解像度は、約1,000dpi〜約8,000dpiである。用いるスクリーン・ルーリングは、約50 lpi〜約200 lpiである。スキャン又は連続パスの数は、一般的に2〜16、好ましくは3〜4であり、これらのスキャンの間に使用する異なるRIPファイルの数は、一般的に2〜5、好ましくは3又は4である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特にフレキソ印刷、エンボス印刷、輪転グラビア印刷の分野に使用でき、且つ基層と、該基層に固定された感光性材料層とからなるレリーフ画像構造(agencement)の製造プロセスであって、
レリーフにしなければならない領域を所定の波長を有する光に露光して選択的なレチキュレーション(reticulation)を生じさせることで、感光層に画像を形成するタイプであり、基層(5)の方向に広がるほぼピラミッド形状となる点(1)の集合として画像を形成することを特徴とするレリーフ画像構造の製造プロセス。
【請求項2】
画像の1つの点(1)の頂点(2)の領域だけを、この領域の感光層の完全なレチキュレーションに必要な全エネルギーに露光させて、且つ頂点の周りの領域を、前記エネルギーが頂点の領域から遠ざかる方向に小さくなるように前記全エネルギーの一部に露光させることで、これら領域の感光層の材料の溶解度がこの方向に上昇する請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
画像の1つの点(1)が、多くの画素より形成されるスクリーンの1点として作製される請求項1から2のいずれかに記載のプロセス。
【請求項4】
感光性材料層を露光する光が、波長390nm〜410nm、好ましくは、約405nmのレーザービームである請求項1から3のいずれかに記載のプロセス。
【請求項5】
波長325nm〜375nmの紫外線領域で動作する光源であって、レーザーであってもよい光源を使用する、請求項1から3のいずれかに記載のプロセス。
【請求項6】
1つのスクリーンの点(1)が、サイズが漸減する点の領域を、感光性材料に完全にレチキュレーションを生じさせるのに必要なエネルギーの適切な一部分に相当する照射エネルギーレベルに、連続的に露光させることで作製される請求項3から5のいずれかに記載のプロセス。
【請求項7】
1つのスクリーンの点がレーザービームを数回前後にパスすることにより作製される請求項6に記載のプロセス。
【請求項8】
1つのスクリーンの点が、1パス中に同時に動作する複数のレーザービームを使用することで行われる異なるスキャンによって作製される請求項6に記載のプロセス。
【請求項9】
1つのスクリーンの点が、スキャンに対して垂直方向にオフセットした一列の複数のレーザーを支持するヘッドを使用して作製され、進行方向に異なる露光領域の幅に対応する段差のスキャンに対して垂直方向にスキャンした後で進む請求項6に記載のプロセス。
【請求項10】
1レーザー当たりの出力は、10mW〜300mW、好ましくは、10mW〜20mWである請求項3から9のいずれかに記載のプロセス。
【請求項11】
画像を形成する表面のスキャンに使用する画素の大きさが、6μm〜15μmである請求項3から10のいずれかに記載のプロセス。
【請求項12】
使用するレーザーの適切な数が、1〜256である請求項3から11のいずれかに記載のプロセス。
【請求項13】
形成されるレリーフ画像の解像度が、1,000dpi〜8,000dpiである請求項3から12のいずれかに記載のプロセス。
【請求項14】
スクリーン・ルーリングが60 lpi〜200 lpiである請求項3から13のいずれかに記載のプロセス。
【請求項15】
レリーフ画像の支持体として、刷版、スリーブ、及びシリンダを使用する請求項1から14のいずれかに記載のプロセス。
【請求項16】
液相、半液相、又は固相の感光性ポリマーを使用する請求項1から15のいずれかに記載のプロセス。
【請求項17】
支持体の構造が、適切に圧縮される基材を含む請求項1から16のいずれかに記載のプロセス。
【請求項18】
支持体がポリエステル等の材料からなる請求項1から17のいずれかに記載のプロセス。
【請求項19】
支持体が、スチール又はアルミニウム等の金属からなる請求項1から17のいずれかに記載のプロセス。
【請求項20】
外面がレリーフに、且つピラミッド形状の画像の点(1)により形成される感光性材料層からなる請求項1から19のいずれかに記載のプロセスによって得られるレリーフ画像構造。
【請求項21】
1つの画像の点(1)が複数の画素により形成される請求項20に記載の構造。
【請求項22】
感光層が支持体(5)に固定される請求項20及び21のいずれかに記載の構造。
【請求項23】
支持体が、刷版、スリーブ、又はシリンダの形状である請求項22に記載の構造。
【請求項24】
支持体が、ポリエステル、又はスチール若しくはアルミニウム等の金属からなる請求項23に記載の構造。
【請求項25】
刷版、スリーブ、又はシリンダが、厚さ0.4mm〜6.35mmの感光性材料を有する請求項23及び24のいずれかに記載の構造。
【請求項26】
刷版、スリーブ、又はシリンダの硬度が、25ShA〜75ShDである請求項25に記載の構造。
【請求項27】
画像の解像度が、1,000dpi〜8,000dpiである請求項20から26のいずれかに記載の構造。
【請求項28】
スクリーン・ルーリングが、50 lpi〜200 lpiである請求項20から27のいずれかに記載の構造。
【請求項29】
レーザーが出力調整される請求項7から18のいずれかに記載のプロセス。
【請求項30】
色調の範囲及び詳細の維持を最適化するために、彫刻後に、デジタルファイルでレーザーを駆動しながら、1パス、又は連続するパスの間に複数回スキャンして画像を形成することで、印刷される領域のショルダーを制御することで画像形成されるレリーフ状の刷版の各点で受け入れる全エネルギーを調整することができる請求項7から18のいずれかに記載のプロセス。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図15D】
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【図15E】
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【図15F】
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【公表番号】特表2011−511951(P2011−511951A)
【公表日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−527506(P2010−527506)
【出願日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際出願番号】PCT/FR2008/051787
【国際公開番号】WO2009/053586
【国際公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(507350048)マクダーミッド プリンティング ソリューションズ ヨーロッパ エスエーエス (4)
【Fターム(参考)】