説明

特に表示装置のための装置

本発明は、第1のパネル状要素と、第2のパネル状要素と、第1のパネル状要素と第2のパネル状要素の間に挿入されたコーティングとを含む、特に表示装置のための装置に関する。本発明は、コーティングが第1及び/又は第2の要素に施与されている赤外反射コーティングであり、少なくとも第1のパネル状要素、少なくとも第2のパネル状要素及びコーティングが複合材を形成し、さらにパネル間の空間が充填材で埋められていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に表示装置のための装置に関する。
【0002】
第1の態様によれば本発明は、少なくとも第1のパネル状要素と、第2のパネル状要素と、該第1のパネル状要素と該第2のパネル状要素の間に挿入されたコーティングとを含む、表示装置のための装置に関する。第2の態様によれば本発明は、第1のパネル状要素と偏光フィルタとを含む、表示装置のための装置に関する。
【背景技術】
【0003】
とりわけ好ましくは屋外領域で使用される表示装置の場合には、表示装置の許容し得ない加熱を防ぐために、表示装置が高価な冷却装置を使用して冷却されなければならないという問題が存在する。
【0004】
このことは、表示装置が屋外領域で高い日射にさらされている場合にとりわけ問題である。表示装置には例えばディスプレイが含まれてよい。このディスプレイ自体に偏光子が備えられていてもよいし、ディスプレイ自体が偏光を発してもよい。
【0005】
日射による加熱を防止するために、従来技術による表示装置、例えばディスプレイの場合には例えばHaller社(独キルヒレンゲルン)製の合わせガラスの形の赤外線を反射するSIPLEXソーラーコントロールフィルムが表示装置の好ましくはアタッチメントパネルの、ガラス、殊にガラスパネル、に施与される。しかしながら、このような解決の場合にはなお依然として赤外域、即ち780〜2000nmの波長域での28%の透過が生じ、そのことによって入射光、とりわけ日射、によるこのように装備されたガラスパネルの背後にともに存在する表示装置の加熱は十分には回避することができないに至る。日射による加熱についてはとりわけ700nm〜約1200nmの範囲内の波長の放射が重要である、というのも太陽スペクトルがこの波長スペクトルでなお特筆すべきエネルギーを示すからである。さらにSIPLEXソーラーコントロールフィルムによって大部分の放射は吸収され、その結果、このフロントガラスパネルが著しく加熱され、その熱を例えばその背後にあるディスプレイに放射する。
【0006】
外部の日射による入熱を下げるさらなるフィルムは例えば、Southwall社、米カリフォルニア州パロアルト(インターネット:www.southwall.com)のXIRフィルムを含む積層物である。このフィルムの場合には赤外スペクトル域の望ましくない日射のより大きな部分が反射され、その結果、その背後に配置されたディスプレイないしは表示装置への日射が軽度に減少されるのがわかる。
【0007】
しかしながら、このXIRフィルムはきわめて著しく吸収性であり、その結果、このフロントガラスパネル自体がSIPLEXソーラーコントロールフィルムが使用される場合より強く加熱される。そのうえXIRフィルムが積層複合材に挿入されており、そのことによって著しい光学不均一性がもたらされ、その結果、ディスプレイガラス範囲内での実用は不可能である。
【0008】
前記フィルムの欠点は、わずかな透過が高い吸収という犠牲を払って獲得されることである。このことによってフロントガラスパネル、例えば表示装置、が加熱されることになり、さらに熱放射によって熱が系全体、ここでは表示装置、にもたらされることになる。
【0009】
前記解決のもう一つの欠点は、影響が赤外スペクトル域、即ち780〜2500nmの波長域、に限定されることであった。しかしながら、まさしく380nm〜780nmの可視域では日射のかなりの部分が作用し、赤外域に加えて表示装置のフロントガラスパネルの背後のディスプレイの著しい温度上昇をもたらす。まさしく日射の強い部位ではこのことによって入射光、とりわけ日射、によるこのように装備されたガラスパネルの背後に存在する表示装置の加熱は十分には回避することができず、さらにディスプレイがその最大許容作動温度を上回って加熱されるに至る。これによりディスプレイは黒変し、もはや判読不能である。日射による加熱についてはとりわけ300nm〜約2500nmの範囲内の波長のスペクトル全体が重要である。一般的には公知の解決は、日射をヒトの眼が敏感ではない780〜2500nmの赤外域のみに減少させることを目標とし、可視スペクトル域には、太陽スペクトルがこの波長域でなお特筆すべきエネルギーを示すにもかかわらず、ほぼ影響を受けさせない。
【0010】
可視波長域でのエネルギー入力の減少のための受動的な方法は、可視光の大部分を反射し、そのことによりエネルギー入力を低下させるコーティングである。これの例として、可視域における約35%の反射を示すSCHOTT AG社の製品MIRONAを挙げておこう。この解決の欠点は、その背後にある表示装置のコントラストがこの反射率によって顕著に下げられることである。表示装置のフロントガラスパネルの前面の周囲から観察者に反射される放射に対する表示装置から観察者への所望の放射の比は、周囲の明るさがより強い場合に一層悪化し、そして明るい昼光の場合にはしばしば表示装置が完全に判読不能になる。このコントラストの改善のための解決としてこの場合にはしばしば反射防止膜でコーティングされたガラスパネルが使用されるが、その場合、このガラスパネルは可視域内での有効な日射遮蔽を示さない。
【0011】
特に表示装置に使用される場合のこのフィルムのもう一つの欠点は、このフィルムが不良な光学的性質を示すことであった。
【0012】
特許文献1からは、特に大面積のガラス用の、赤外反射膜を備えた合わせガラス板が公知となっている。
【0013】
特許文献2には、赤外線及び長波光を反射する金属層、殊に金層もしくは銅層、を備えた大面積のガラスが示されている。
【0014】
特許文献3からは太陽光線及び熱放射を反射する合わせガラス板が公知となっている。
【0015】
特許文献4には赤外反射性の合わせガラス板の製法が示されている。
【0016】
特許文献5には電極として放射率が低い被覆を有する光弁が示されている。
【0017】
表示装置が特許文献6又は特許文献7から公知となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】米国特許第2009/0237782号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第1596810号明細書
【特許文献3】独国特許第19927683号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第19503510号明細書
【特許文献5】独国特許第69430986号明細書(DE−T)
【特許文献6】独国特許出願公開第2824195号明細書
【特許文献7】特開2006−162890号公報
【特許文献8】欧州特許出願公開第1248959号明細書
【非特許文献】
【0019】
【非特許文献1】Hans−Joachim Glaser著、「Dunnfilmtechnologie auf Flachglas」、Karl Hoffmann出版、1999年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
したがって本発明の課題は、従来技術の欠点を回避する装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明によればこの課題は本発明の第1の態様により、第1のパネル状要素と第2のパネル状要素とから成る系において赤外反射コーティングが第1のパネル状要素と第2のパネル状要素との間に挿入され、詳しくは第1のパネル状要素と第2のパネル状要素が一つの複合材を形成し、その際、前記パネル間の空間が固形もしくは液状の充填材で埋められていることによって解決される。つまり充填材は、例えば断熱ガラス複合材の場合のような、ガス状ではない。
【0022】
このような複合材によって、780nm〜2000nmの赤外線域での著しく高い反射率を示す、例えば透明な金属層、殊に銀層、を基礎とする赤外反射コーティング、いわゆるLow−Eコーティングを使用できることが可能になる。
【0023】
赤外反射コーティングが該第1のパネル状要素と該第2のパネル状要素の間に挿入されかつこれにより保護されることによって、高効率だが腐食しやすい銀の単層もしくは多層を赤外反射コーティングとして使用し、そして化学的及び機械的な攻撃、特に酸化に対して保護することが可能である。
【0024】
銀層を基礎とするこのような、高反射の赤外コーティングはいわゆる「ソフト・コーティング(Soft−Coatings)」と呼ばれ、例えばきわめて詳細に非特許文献1、p.167−171に記載されている。この出版物の開示内容は本願にきわめて広範囲にともに受け入れられる。該第1のパネル状要素と該第2のパネル状要素の間に挿入されたコーティングの腐食傾向を最小にするために、好ましくは第1のパネル状要素及び/又は第2のパネル状要素の縁部は赤外反射コーティングを有していないことが定められている。特に有利であるのは、赤外反射コーティングが780nm〜2500nmの波長域での著しく高い反射率を有する場合である。理想的なケースでは反射率は780nm〜2500nmの範囲内の波長に対して100%である。
【0025】
温度TSTRAHLER=5762Kを有するプランク放射体によって太陽から放射される光線、つまり太陽光のスペクトル、が近似される場合には、波長<350nmの紫外分を無視すれば可視波長域350nm〜780nmにおける太陽光のエネルギーないしは強度の約55%であり、赤外波長域780nm〜2500nmにおけるエネルギーの約45%であることが導き出されうる。波長域780nm〜2500nmでの反射率100%である理想赤外線鏡であれば、したがって太陽光の45%、つまり赤外の一部が反射される。
【0026】
赤外線についてのコーティングの反射率の品質を示すために、本願では赤外域日射反射率が定義される。赤外域日射反射率は、温度5762Kを有するプランク放射体についての太陽光の近似スペクトルの相対強度で畳み込まれた波長域780nm〜2500nmでの赤外コーティングのスペクトル反射率であると本願で定義される。このように定義された赤外域日射反射率が従来技術によるフィルム、つまり例えば積層複合材中のXIRフィルムについては約40%であるのに対して、本発明による赤外コーティングを含む系は45%〜95%、特に50%〜80%の範囲内の赤外域日射反射率が特徴である。
【0027】
2枚のパネル間に挿入された固形ないしは液状の充填材として好ましくはポリマー材料、硬化無機材料、例えば注型用樹脂又はフィルム、例えばPCBフィルム、PVBフィルム、EVAフィルム、が使用される。
【0028】
前記フィルムは本発明による赤外線反射コーティングに加えてさらに別のコーティング、例えばフィルム上に施与されたさらなるLow−E層を含んでもよい。
【0029】
前記赤外線高反射率コーティングは前記パネル状要素の一つもしくは二つに施与されてもよいし、これらパネル間に挿入積層された前記フィルムに施与されてもよい。
例えばポリマー材料、PCBフィルム、PVBフィルム又はEVAフィルムを用いての前記複合材の製造のために、これらポリマー材料ないしはフィルムは加圧により液状化もしくは軟化され、これを用いて第1のパネル状要素と第2のパネル状要素が接着されることにより複合材が得られる。これにより、前記高反射率の赤外コーティングを直接接着するのに有利である。
【0030】
耐食性に関して特に好ましいのは、第1のパネル状要素及び第2のパネル状要素の縁部がシール材を有する場合である。これに使用することができる可能なシール材は例えば、気体透過性がわずかであることに優れているブチルゴムである。代替的なシール方法は、またもや気体透過性がわずかであるプラスチックで接着された環状のアルミニウム箔によるシールである。
【0031】
例えば非特許文献1、p.155−200ないしはp.219−228に記載された、銀層を基礎とする上記Low−Eコーティングのほかに著しく良好な伝導率を有する他の層を使用することもできる。これの例は金層もしくはアルミニウム層である。
【0032】
第1及び/又は第2のパネル状要素の縁部は、施与されたLow−E層が複合材の側からは腐食しないように形成されていることが好ましい。有効な手段として例えばエッジデリーションを使用してよく、このエッジデリーションの場合にはLow−E層が縁部までは続いておらず、したがって積層物が縁部にて上下のガラス間で直接密封されることができる。
【0033】
好ましくはパネルの少なくとも5mmが、赤外反射コーティングが途切れているかないしは赤外反射コーティングがない縁部として形成されている。縁部の最大境界は、合わせガラス板の観察者にとっての可視域が妨げられないよう選択される。
【0034】
とりわけディスプレイ分野、即ち表示装置にガラスが使用される場合の、コントラスト及びこれに伴い表示品質を高めるために、第1及び/又は第2のパネル状要素に反射防止膜が備えられていることが定められている。
【0035】
少なくとも1つの反射防止膜を本装置に備えることによってとりわけパネル状要素の可視波長域380nm〜800nmにおける反射は顕著に縮小され、したがってコントラストは反射防止膜なしの装置に比して顕著に高められる。好ましくは反射率Rvisは反射防止膜によって、反射防止膜が備えられていないパネル状要素に比して10%〜4%減少される。反射防止膜なしのパネル状要素の反射率Rvisが例えば8%である場合には、反射防止膜によって反射率Rvisは0.1%〜6%、特に0.2%〜4%、に減少されることができる。前記反射率Rvisとは、視感度で畳み込まれた標準光D65(人工昼光)での反射率のことである。個々の波長についての反射が例えば2%より大きくてよいにもかかわらず、標準光D65について1%以下の値Rvisが得られることができる。
【0036】
45%〜95%、特に50%〜80%、の範囲内の高い赤外反射及びとりわけ赤外域日射反射率を二つのパネル状要素とこれらの間に挿入された固形及び液状の充填材とから成る系全体について達成するために、高い赤外反射を達成するための少なくとも1つの銀層から成るLow−Eコーティング系は調整される。このために、反射防止作用が固形もしくは液状の充填材、とりわけ、例えばPVBフィルムの、積層フィルム、の屈折率に適合されているように、前記銀を取り囲む層が調整される。例えばこのような屈折率への適合は陰極スパッタによって達成することができる。例えば、陰極スパッタは、このような適合を実施できるようにする多数の酸化物物質を有する。Low−Eコーティングのベースとして例えば、上記調整に従って改質された、即ち固形もしくは液状の充填材、とりわけフィルム、の屈折率に適合された、ARCON社(独Bucha、Feuchtwangen)により製造される日射遮蔽層Sunbelt Platinを使用してよい。
【0037】
とりわけ、好ましくは酸化物層もしくは酸化物伝導層を含む適合層の挿入によって、本装置の反射率Rvisが<2%、特に<1%、であることが可能である。
【0038】
前記複合材の表面での反射が減少することによって次のことがもたらされる、つまり反射防止膜によってならびに複合材の内部ではLow−E層と場合によっては適合層によってコントラストが反射防止膜が備えられていない要素に比して顕著に高められる。反射防止膜として好ましくは干渉被膜系が使用される。このような系の場合には反射防止膜の境界面で光が反射される。それどころか、境界面で反射された波は干渉によって位相ならびに振幅の条件が満たされた場合に完全に消滅することができる。
【0039】
このような反射防止膜は例えば、Schott AG社の製品AMIRAN、CONTURAN又はMIROGARDで実現されている。広帯域の反射防止のための干渉被膜系に関して特許文献8も参照され、この特許文献の開示内容がきわめて広範囲に本願にともに受け入れられる。
【0040】
光学的に可視のスペクトル域380nm〜780nmでの反射Rvisの減少のほかに反射防止膜によって好ましくは10%までの透過率の増大を達成することもできる。
【0041】
反射防止膜は好ましくは第1及び/又は第2のパネル状要素の外向きの側面、即ち外気に向けられた側面に備えられる。反射防止膜として、種々の方法によって製造された層が使用される。このような層はゾル−ゲル法、スパッター法、エッチング法又はCVD法で製造することができる。詳しくは反射防止膜は次の施与方法の一つで施与することができる:
a)反射防止膜を液体法(Flussigtechnologie)を用いて施与し、その際、液体法を用いて施与された層は次の方法の一つを用いて提供される:
反射防止膜をゾル−ゲル法を用いて施与する;
反射防止膜を干渉単層としてゾル−ゲル法から製造する;
反射防止膜を干渉多層としてゾル−ゲル法から製造する;
反射防止膜を干渉三層としてゾル−ゲル法から製造し、その際、第1層は屈折率1.6〜1.8を有し、第2層は屈折率1.9〜2.5を有し、そして第3層の屈折率は1.4〜1.55である。
b)反射防止膜を高真空法を用いて製造し、その際、高真空法を用いて施与された層は次の方法の一つを用いて提供される:
反射防止膜を高真空法を用いて多層の干渉被膜系として製造する;
反射防止膜を高真空法を用いて単層系として製造する;
反射防止膜を高真空下でのスパッター法から製造する;
反射防止膜を高真空下での蒸着法から製造する。
c)反射防止膜をCVD法を用いて製造し、その際、CVD法を用いて施与された層は次の方法の一つを用いて提供される:
反射防止膜をオンラインCVD法から製造する;
反射防止膜をオフラインCVD法から製造する;
d)反射防止膜をエッチング法を用いて製造し、その際、エッチング法を用いて施与された層は次の方法の一つを用いて提供される:
反射防止膜をエッチング法を用いて多孔層として製造する;
反射防止膜をエッチング法を用いて光拡散表面として製造する。
【0042】
使用としては、一方で高い赤外反射率を示すことに特に優れている本発明にとって表示装置、とりわけ屋外領域での表示装置、及びここでは好ましくは液晶表示装置、の分野への使用が考慮の対象となる。反射防止膜が使用される場合には高いコントラスト、例えば40〜80の範囲内であるコントラスト、を達成することができ、これに制限されない。とりわけ表示装置のためのパネルの、装置のほかに本発明はディスプレイないしはディスプレイ装置及びアタッチメントパネルを備えた表示装置をも提供し、この場合、アタッチメントパネルはこれらに挟まれた赤外反射コーティングを伴う2枚のパネル状要素を含む本発明による装置として形成されている。表示装置として殊に液晶表示装置ならびに有機LED表示装置もしくはLED表示装置が考慮の対象となる。
【0043】
表示装置への使用のほかに額縁用ガラスとしての使用も可能である。
【0044】
本発明によれば冒頭に記載の課題は本発明の第2の態様により、少なくとも1つの第1のパネル状要素と少なくとも1つの偏光フィルタから成る表示要素のための装置が提供されることによって解決される。この場合には偏光フィルタは、表示装置の放射された偏光が本装置によってわずかにしか減衰されないように施与される。このことは本発明によれば、本装置の偏光フィルタの透過方向が、偏光フィルタが表示装置から放射された光の最大限の部分を透過するよう配向されることによって達成される。このことによって表示装置の有効信号が70%より大きな、特に80%より大きな、高い割合で本装置を透過されるが、同時に、偏光フィルタの透過方向に対して直交する振動面を有する太陽光が減衰される。ディスプレイの表示の良好な可読性にとって、本装置を通しての表示装置の放射光の透過率は50%以上、特に70%以上、であることが好ましい。
【0045】
本装置と表示装置の間に隙間が形成され、この隙間はガス状媒体で充填されている。ガス状媒体は空気もしくは窒素でもよいし、希ガス、例えばヘリウムもしくはアルゴン、でもよい。隙間を形成する本発明による装置と表示装置間の距離は1〜500mm、特に5〜100mm、の範囲内である。
【0046】
このような構造によって、ここでは波長380nm〜780nmのスペクトル域として定義される、偏光された可視光線が表示装置から70%より大きな、特に80%より大きな高い透過率で本装置を通して観察者に到達することが可能となり、その一方で光線の可視波長域での偏光されていない太陽光の一部は約50%しか表示装置に到達しない。
【0047】
加えて、このスペクトル分をも抑制するために、この構造の場合には当然のことながら日射の赤外分、赤外波長域780nm〜2500nm、における透過率を減少させるための上記の解決の全て使用することができる。とりわけ、本発明の第1の態様により記載された本装置を通して表示装置までの太陽光の赤外分の透過率を減少させるための措置を使用することができる。
【0048】
本発明の第2の態様により課題を解決するために、標準として本明細書で示した表示装置に使用される偏光フィルタが使用される。本発明による表示装置は液晶ディスプレイ、液晶画面、液晶表示装置又はTFTディスプレイとも呼ばれ、これらの場合には光はバックライト及び偏光フィルタを用いて得られ、そして、さらなる前面の偏光フィルタと組み合わされた液晶エレメントによる偏光方向の回転によって輝度変化に変換される。上記実施形態によって偏光を放射する他の全ての表示システムもまた改善することができる。
【0049】
本発明の代替的な実施形態の場合には表示装置は、本装置の偏光フィルタが同時に表示装置の前方のフィルタとして使用することができるよう変更することができる。この場合にも表示装置における液晶の加熱を減少させるために、本装置と表示装置との間の距離、特に液晶を含む範囲の距離が必要である。
【0050】
偏光フィルタは、一定に配向された光ないしは光波のみを通す偏光フィルタ又は偏光子である。偏光フィルタはいくつかの種々の技術により実現することができる。最も知られた技術は、ポリビニルアルコールから成る層を有し、適当な粒子、例えば二色性色素、著しく微細な炭素糸又は拡散導入されたヨウ素が混入されているフィルムの延伸によって作業が行なわれる。一方向でのフィルムの塑性伸びによって分子が引き方向に沿って平行に配向される。これら分子は配向後に貫通する光を著しく異方性をもって吸収する。偏光フィルタを通過する非偏光が振動面ではほぼ吸収されないのに対して、とりわけ、これに対して垂直の直交する振動面はほぼ完全に吸収される。当業者には、本発明による装置への適用には、偏光フィルタが少なくとも日射の可視域で透過への顕著な偏光の作用を示す限り、全ての入手しうる偏光フィルタを使用することもできることが公知である。これを凌駕して光の赤外分にも影響を及ぼす偏光フィルタの場合には有利な作用が改めて増幅される。偏光子は多くの企業によって提供されている。例として本明細書では、偏光フィルタを提供し、さらに偏光子の作動方式についての技術的情報もインターネットで提供しているマインツのITOS社を挙げる。
【0051】
温度TSTRAHLER=5762Kを有するプランク放射体によって太陽から放射される光線、つまり太陽光のスペクトル、が近似される場合には、波長<380nmの紫外分を無視すれば可視波長域380nm〜780nmにおける太陽光の強度の約55%であり、赤外波長域780nm〜2500nmでの約45%であることが導き出されうる。本明細書に記載した偏光子が使用される場合にはスペクトルの可視分のうち(つまりスペクトル強度の約55%)光線の半分が偏光子で吸収されることが可能であり(つまり主として偏光フィルタの配向に対して直交する光線)、そして表示装置の加熱にはもはや寄与しない。したがって、回避しうるこの割合はエネルギーの約27%、即ち上記スペクトル強度の半分55%である。
【0052】
上記偏光フィルタはディスプレイ産業用に大量に製造されている。その際、表示装置のフロントガラスパネルに直に固定するために、通常、偏光フィルタには粘着性層が備えられている。偏光子の前面には任意で、前面での妨げになる反射を最小限にしかつ明るい環境でのコントラスト増大に寄与する反射防止膜がさらに備えられてよい。
【0053】
本発明の第2の態様による装置はディスプレイのためのアタッチメントパネル及びフロントガラスとして種々に実現されてよい。
【0054】
最も簡単な形では上記偏光フィルタは第1のパネル状要素、好ましくは固定のガラスパネルに固定され、さらにこのようにして簡単な複合材を形成する。そのような複合材が表示装置のためのアタッチメントパネルもしくはフロントガラスとして使用されるべき場合には、偏光方向が高い透過率のために、表示要素における前面の偏光子の偏光方向に対して平行であるように、上記偏光フィルタは第1のパネル状要素に固定される。
【0055】
しかしながら、高められた機械的強度を有し、そして例えば合わせ安全ガラスとして許容されうる固定の複合材を得るために、上記偏光フィルタは第1のパネル状要素と第2のパネル状要素間に積層されてもよい。
【0056】
2枚のパネル状要素間に挿入された固形ないしは液状の充填材として好ましくはポリマー材料、硬化無機材料、例えば注型用樹脂又はフィルム、例えばPVB(ポリビニルブチラール)フィルム、EVA(エチレン酢酸ビニル)フィルム、PA(ポリアクリレート)フィルム、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)フィルム又はPUR(ポリウレタン)フィルムが使用される。
【0057】
上記ポリマー材料を用いて、偏光フィルタの本発明による挿入に加えて、赤外線を反射するコーティング又は赤外反射フィルム、例えば本発明の第1の態様により記載されたようなフィルムに施与されたさらなるLow−E層も複合材に挿入されてよい。これにより赤外域における保護作用がなお付加的に改善されることができる。Low−Eコーティングは、780nm〜2500nmの赤外線域での著しく高い反射率を示す、例えば透明な金属層、殊に銀層を基礎とする赤外反射コーティングの例である。
【0058】
例えばPVBフィルム、EVAフィルム、PAフィルム、PMMAフィルム又はPURフィルムといったポリマー材料を用いての前記複合材の製造のために、これらポリマー材料ないしはフィルムは加圧により液状化もしくは軟化され、これを用いて第1のパネル状要素と第2のパネル状要素が接着されることにより複合材が得られる。
【0059】
とりわけディスプレイ分野への本装置の使用により表示装置についてのコントラスト及びしたがって表示品質を高めるために、本発明の別の実施形態の場合には、複合材の最初及び/又は最後の表面が反射防止膜でコーティングされていることが定められている。
【0060】
反射防止膜で複合材の少なくとも1つの表面がコーティングされることによってとりわけ装置の可視波長域350nm〜780nmにおける反射は顕著に縮小され、したがってコントラストは反射防止膜なしの装置に比して顕著に高められる。このコントラストは、周辺光がアタッチメントパネルで反射された光線に対するディスプレイから放射される光の比に関する。好ましくは反射率Rvisは反射防止膜によって、反射防止膜が備えられていないパネル状要素に比して4〜50倍(Faktor)減少される。反射防止膜なしのパネル状要素の反射率Rvisが例えば8%である場合には、反射防止膜によって反射率Rvisは0.1%〜6%、特に0.2%〜4%、に減少されることができる。前記反射率Rvisとは、視感度で畳み込まれた標準光D65(人工昼光)での反射率のことである。個々の波長についての反射が例えば2%より大きくてよいにもかかわらず、標準光D65について1%以下の値Rvisが得られることができる。
【0061】
前記複合材の表面での反射が減少することによって次のことがもたらされる、つまり反射防止膜によってならびに複合材の内部ではLow−E層と場合によっては適合層によってコントラストが反射防止膜が備えられていない要素に比して顕著に高められる。反射防止膜として好ましくは干渉被膜系が使用される。このような系の場合には反射防止膜の境界面で光が反射される。それどころか、境界面で反射された波は干渉によって位相ならびに振幅の条件が満たされた場合に完全に消滅することができる。
【0062】
このような反射防止膜は例えば、Schott AG社の製品AMIRAN、CONTURAN又はMIROGARDで実現されている。
【0063】
広帯域の反射防止のための干渉被膜系に関して特許文献8も参照され、この特許文献の開示内容がきわめて広範囲に本願にともに受け入れられる。
【0064】
光学的に可視のスペクトル域380nm〜780nmでの反射Rvisの減少のほかに反射防止膜によって好ましくは10%までの透過率の増大を達成することもできる。
【0065】
反射防止膜、短くARコーティング、は好ましくは第1及び/又は第2のパネル状要素の外向きの側面、即ち外気に向けられた側面に備えられる。反射防止膜として、種々の方法によって製造された層が使用される。このような層はゾル−ゲル法、スパッター法、エッチング法又はCVD法で製造することができる。偏光フィルタ上に直にこのようなARコーティングを析出することも可能である。詳しくは反射防止膜は、液体法、高真空法、CVD法又はエッチング法を用いた前記施与方法の一つで施与することができる。
【0066】
第2の態様による本発明は、本装置を光が通過する際に偏光フィルタの偏光方向の配置に応じて光スペクトル域380nm〜780nmでの光の振動面が相応する直交の振動面に対して著しく抑制されることにとりわけ優れている。光学的に可視の波長域での工業用の偏光子によって1:1000を上回る一偏光方向での光の抑制が達成されるのが通常であるが;しかしながら、日射遮蔽作用の上記の有利な効果は光学的に可視のスペクトル域での1:5より良好な抑制度から既に達成されることができる。本装置を通しての光スペクトル域380nm〜780nmの光の透過率は本発明によれば、偏光を用いて測定された、本装置を通しての透過の、偏光フィルタの平行の偏光方向での、直交の偏光方向に対しての比は、少なくとも3:1、好ましくは5:1、特に好ましくは少なくとも10:1、である。
【0067】
反射防止膜が使用される場合には高いコントラスト、例えば40〜80の範囲内であるコントラスト、を達成することができ、これに制限されない。
【0068】
本発明に従ったこのような装置は表示装置、とりわけ屋外領域での表示装置、の分野そしてここでは好ましくは液晶表示装置、に使用されることができる。この場合には本発明による装置はアタッチメントパネルもしくはフロントガラスとして表示装置の前に配置され、その際、好ましくは本装置と表示装置の間に距離が設けられ、この距離はガス状媒体で満たされている。
【0069】
とりわけ屋外領域での適用のために本発明の第2の態様による装置は別の実施形態の場合にはエッジシール材を備えて実施されていてよく、このことには高い空気湿度に対する耐性というさらなる利点がある。偏光フィルタの耐食性に関して特に好ましいのは、複合材で第1のパネル状要素及び第2のパネル状要素の縁部がシール材を有する場合である。これに使用することができる可能なシール材は例えば、気体透過性がわずかであることに優れているブチルゴムである。代替的なシール方法は、またもや気体透過性がわずかであるプラスチックで接着された環状のアルミニウム箔によるシールである。
【0070】
第1及び/又は第2のパネル状要素の縁部は、施与された偏光フィルタ及び場合によってはさらに、施与されたLow−E層もが複合材の側からは腐食しないように形成されていることが好ましい。有効な手段として例えばエッジデリーションを使用してよく、このエッジデリーションの場合にはLow−E層及びまた偏光フィルタが縁部までは続いておらず、したがって積層物が縁部にて上下のガラス間で直接密封されることができる。
【0071】
好ましくはパネルの少なくとも5mmが、偏光フィルタ及び場合によっては赤外反射コーティングが途切れているかないしは赤外反射コーティング及び偏光フィルタがない縁部として形成されている。縁部の最大境界は、合わせガラス板の観察者にとっての可視域が妨げられないよう選択される。
【0072】
表示装置のために本発明はディスプレイないしはディスプレイ装置及びアタッチメントパネルを備えた表示装置をも提供し、この場合、本発明による装置としてのアタッチメントパネルは、施与された偏光子を備えた少なくとも1つのパネル状要素を含み、そしてディスプレイないしはディスプレイ装置とアタッチメントパネルとの間に隙間が配置されている。表示装置として殊に液晶表示装置ならびに、ディスプレイから放射された光が著しく偏光されて放射される他の表示装置が考慮の対象となる。
【0073】
次に本発明を図につき次のとおり説明する。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1a】本発明の第1の態様による赤外反射コーティングを備えた本発明によるパネルの基本構造を示す図である。
【図1b】本発明の第1の態様による赤外反射コーティングを備えた本発明によるパネルの基本構造を示す図である。
【図2】図1a−1bによる本発明によるパネルを備えた液晶表示装置を示す図である。
【図3a】波長に応じた本発明による赤外コーティングの反射率曲線を示す図である。
【図3b】波長に応じた本発明による赤外コーティングの透過率曲線を示す図である。
【図4a】本発明の第2の態様による偏光フィルタが組み込まれた本発明による装置の基本構造を示す図である。
【図4b】本発明の第2の態様による偏光フィルタが組み込まれた本発明による装置の基本構造を示す図である。
【図4c】本発明の第2の態様による偏光フィルタが組み込まれた本発明による装置の基本構造を示す図である。
【図4d】本発明の第2の態様による偏光フィルタが組み込まれた本発明による装置の基本構造を示す図である。
【図5a】組み込まれた偏光フィルタ及び補助的な赤外線保護装置を備えた本発明による装置の基本構造を示す図である。
【図5b】組み込まれた偏光フィルタ及び補助的な赤外線保護装置を備えた本発明による装置の基本構造を示す図である。
【図6】図4a〜4dもしくは5a〜5bの一つによる本発明による装置を備えた直達日射のある適用のための液晶表示装置の構造を示す図である。
【図7】波長に対する、検光子を備えた偏光フィルタの平行な(同じ)配向及びこれに垂直な配向での本発明による、2枚の4mmのフロートガラス間に積層された偏光フィルタの透過率曲線を示す図である。
【図8】波長に対する、検光子を備えた偏光フィルタの平行な(同一の)配向及びこれに垂直な配向での本発明による、片面が反射防止された2枚の4mmのフロートガラス間に積層された偏光フィルタの反射率曲線を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0075】
図1aは本発明の第1の態様による本発明による装置1の平面図を示し、図1bは線A−Aに沿った断面を示す。
【0076】
図1aの平面図は、本発明の第1の態様による第1のパネル状要素3を示す。第1のパネル状要素3は、赤外反射コーティング9が備えられていない縁部5を有する。2枚のパネル状要素3,7から成る、合わせガラス要素とも呼ばれる系ないしは装置1の構造は、図1bの線A−Aに沿った断面図に明示されている。第1のパネル状要素の方は符号3で示されている。赤外反射コーティングは、第1のパネル状要素3と第2のパネル状要素7間に挿入され、符号9で示されている。
【0077】
赤外反射コーティングは2枚のパネル状要素とともに一つの複合材ないしは合わせガラス板を形成する。複合材を形成するために2枚のパネル3及び7間の隙間に固形もしくは液状の充填材8、殊にポリマー材料又は硬化された無機物質、が挿入される。2枚のパネルがガス状媒体を有する隙間によって相互に分離されて配置されている断熱ガラス複合材と異なり、本発明による装置の場合にはパネル状要素3、7は充填材8及び赤外反射コーティング9を介して直接相互に接していて、合わせガラス要素を生じている。図1bの断面図からわかるように、パネル状要素3ならびにパネル状要素7の縁部5は充填材8も赤外反射コーティング9も備えられていない。縁部領域にはシール剤(示されていない)がもたらされてよく、このシール剤によって充填材、例えばフィルム、に沿った拡散によって湿気が第1のパネル状要素と第2のパネル状要素間の隙間に侵入するのが阻止され、このようにして第1及び第2のパネル状要素間に存在する、好ましくはLow−Eコーティングである赤外反射コーティング9が腐食から保護される。合わせガラス要素ないしは本装置1についての外側面AUSSENに入射する、可視光(VIS)及び赤外線を含む太陽光の透過率TvisないしはT(IR)及び反射率Rvisないしは赤外域日射反射率も記載されている。可視波長域で高い透過率Tvis及び低い反射率Rvis、特にRvis<2%、殊に<1%、を達成するために、本装置1ないしは合わせガラス要素の内部の反射率Rvisを最小にする酸化物及び/又は伝導性酸化物適合層23.1、23.2が備えられていてよい。銀層を第2のパネル状要素7のガラスに適合させるために、このような層23.1は既にLow−E層9の下側に使用される。類似の層構造23.2は次にLow−E層9の上側に同じく使用されることができ、その結果、Low−E層9に対して両側にほぼ対称的な層構造が生じる。この層はLow−E層の銀の保護のための拡散遮断層と、その屈折率ジャンプ及び膜厚がその場合には適合層として設計された他の酸化物又は窒化物から成る適合層とによって構成される。
【0078】
赤外反射コーティング、殊に銀層を基礎とするLow−Eコーティングの形成は非特許文献1、p.167−171に詳細に記載されており、この特許文献の開示内容がきわめて広範囲に本願にともに取り入れられる。他の金属、例えば金又はアルミニウム、も赤外反射コーティングとして可能であるのに対して、銀はその良好な色の効果ゆえに有利である。
【0079】
本装置がとりわけ屋外領域で表示装置に使用される際には、直射日光の入射の際のコントラストを高めるために本装置の外側面AUSSEN、即ち外気に向けられた側面13に反射防止膜20が備えられている場合が有利である。この場合には第1のパネル状要素の側面13のみに反射防止膜20が備えられている。当然のことながら、付加的に外側面INNEN、即ち第2のパネル状要素7の側面11にも反射防止膜が備えられていることが好ましい。
【0080】
反射防止膜として、例えばゾル−ゲル法又はスパッター法によって製造された反射防止膜が使用される。次にこのような反射防止膜についての2つの実施例を記載することとする。
【0081】
例1
ゾル−ゲル法により製造される片面の反射防止膜:
このコーティングはそれぞれ3つの個々の層から成り、次の構造を有する:基板+M+T+S。Tの符号がつけられた個別の層は二酸化チタンTiOを含有し、Sの符号がつけられた個別の層は二酸化ケイ素SiOを含有し、そしてMの符号がつけられた個別の層はそれぞれS−及びT−混合溶液から引かれる。フロートガラス基板をコーティング前に入念に清浄化する。浸漬溶液をそれぞれ空気湿度5〜10g/mで28℃に温度調節した室内で塗布し、引き出し速度は個別の層M/T/Sについて約275/330/288mm/minである。各ゲル層のこの引き出しに空気中での焼成工程が続く。焼成温度及び焼成時間は第1のゲル層の製造後の180℃/20minならびに第2及び第3のゲル層の製造後の440℃/60minである。T層の場合には浸漬溶液は次のとおり組成されている(リットルあたり):チタニウム−N−ブチレート68ml、エタノール(無水)918ml、アセチルアセトン5ml及びエチルブチルアセテート9ml。S層の製造のための浸漬溶液はケイ酸メチルエステル125ml、エタノール(無水)400ml、HO(蒸留)75ml、酢酸7.5mlを含有し、さらに約12時間の休止時間後にエタノール(無水)393mlで希釈される。平均屈折率を有する酸化物を製造するためのコーティング溶液をS+T溶液の混合によって調製する。Mの符号がつけられた層を二酸化ケイ素含量5.5g/l及び二酸化チタン含量2.8g/lを有する浸漬溶液から引き出す。使用された湿式化学的なゾル−ゲル法により浸漬方法として大きな面積の経済的なコーティングが可能となり、その際、2枚のパネルを浸漬過程前に相互に接合し、それにより必要な片面の反射防止作用が達成される。接着剤は、440℃で上記焼付け時間内に燃焼するように選択されており、その結果、パネルは分離してこの工程を出て行く。
【0082】
例2
スパッター法により製造される片面の反射防止膜:
この被膜はマグネトロンスパッターによるMFスパッター法を用いた連続装置で被膜化され、その際、基板はいわゆるキャリア上に置かれ、このキャリア上でこのスパッター装置内を運搬される。コーティング装置内で基板を先ず表面の「脱水」のために約150℃に予熱する。引き続き、反射防止系(4層から成る例として)を次のとおり製造する:
A) 1.7m/minの送りで高屈折率の層をスパッターし、その際、キャリアはスパッター源の前で往復し、そしてその間に厚さ30nmの層が析出される。層の生成をプラズマインピーダンスへの反応ガスの調整下でのアルゴン及び反応ガスの添加によって行なう。1×E−3〜1×E−2mbarの範囲内の通常のプロセス圧をもたらすプロセス圧をとりわけアルゴンの量によって決定する。プラズマ内での析出をパルジングを介して行なう。
B) 低屈折率の層を2.14m/minの送りでスパッターする。これにより厚さ30.5nmの層が得られる。層の生成を層1下の析出に従い行なう。
C) 高屈折率の層を層1に従いスパッターする。この場合には0.9m/minの送りで厚さ54nmの層が生成される。
D) 低屈折率の層を層2に従いスパッターする。0.63m/minの送りで厚さ103nmの層が生成される。引き続き、コーティングされた基板はキャリアを用いて移送チャンバを経て排出される。
【0083】
上記のような反射防止膜を用いてTvis/Rvisで定義される、10〜60、特に20〜60、殊に40〜50、の範囲内のコントラストが標準光で達成されることができ、この場合、反射防止されていないパネルの場合にはコントラスト値は7未満である。Rvisは標準光D65での層の反射率を、Tvisは透過率を、即ち可視波長域350〜780nmにおける反射率ないしは透過率を示す。
【0084】
図2には、ディスプレイ、この場合には液晶表示装置130、のためのアタッチメントパネルとしての本発明の第1の態様による本発明による装置101を備えた表示装置1000が示されている。図1a〜1bに示されているように、本発明による装置101には第1のパネル状要素103と、第2のパネル状要素107と、これらに挟まれた赤外反射層109と、この第1のパネルの外側面に施与された反射防止膜120とが備えられている。アタッチメントパネルとして形成された本装置101の背後にある液晶表示装置130は、これに限定されることなく、照明手段135を備えた2枚のパネル131.1、131.2間に挿入された液晶133を有する。液晶表示装置130全体はハウジング137に組み込まれている。液晶表示装置130は可能なディスプレイの一つにすぎず、その他の可能なディスプレイには制御可能LEDあるいはまたOLEDが含まれる。液晶表示装置が示されてはいるが、本発明はこれに限定されていない。
【0085】
アタッチメントパネルとしての本発明による装置101によって、太陽150の光によりアタッチメントパネルと液晶表示装置130間の隙間が加熱されるのが十分に阻止される。しかし、それにもかかわらず液晶表示装置130の固有の発熱という理由から、液晶表示装置を能動的に冷却装置160で冷却する必要がある。
【0086】
しかしながら、冷却装置160は、従来技術の場合よりはるかに小さくサイズ決定されることができる、というのもパネルと液晶表示装置間への日射に基づく入熱が行なわれないからである。
【0087】
図3aは、波長400nm〜2400nmにわたる種々の層系を備えた装置についての反射率を示す。
【0088】
図3bには同じ符号を有する同じ層系についての関連の透過率値が示されている。
【0089】
符号1000は反射防止膜を備えた「Sunbelt Platin」層の修正された層設計を基礎とするARCON社(Feuchtwangen、Bucha)の赤外反射層としての銀をベースとするコーティングから成る系を示し、符号1010はSouthwall社のXIRフィルムと反射防止膜とを有する系の反射率及び吸収率を示し、ならびに符号1020は反射防止及び赤外反射フィルムSiplex Solar Controlを有する従来技術による系を示し、ならびに比較として赤外反射コーティングなしの、符号1030が付された反射防止膜(SCHOTT社のCONTURAN)が示されている。付加的に図3aにはさらに780nm、可視光の境界、を上回る全ての波長を反射する理想的な反射の赤外線鏡の曲線1040が示されており、表面温度5762Kを有するプランク放射体として近似された太陽スペクトルの理想化された強度分布1050が示されている。この場合には吸収バンドはスペクトルの簡素化のため無視した。全ての装置とは、第1及び第2のパネル状要素ならびにそれに対応するコーティングを有する複合材系である。可視波長域における反射率Rvis及び透過率Tvisならびに赤外透過率T(IR)及び赤外域日射反射率についての表1に記載されたデータは、システム全体、即ちそれに対応するコーティングを有する2枚のパネル状要素から成る合わせガラス要素に関する。これに関しては図1bが参照される。
【0090】
表1には、図3a及び3bに示した種々の層系についてのデータが示されている。
【表1】

【0091】
表1から明らかなように、反射防止膜と組み合わされた、2枚のパネルとこれらに挟まれた銀をベースとする赤外反射系とから成る本発明による装置についての最大コントラスト、つまりTvis/Rvis=60が最大透過率Tvis、つまり84%とともに、68%の最大IR日光反射及び9%のみの低赤外透過率T(IR)で複合材系の第1及び/又は第2のパネルに現れている。
【0092】
表1から明らかなように、XIRフィルムを備えた合わせガラス板もまた低い透過率を有するが、それにもかかわらず赤外域日射反射率は40%のみであって、金属ないしは銀をベースとする赤外反射層の場合のような68%ではない。XIRフィルムには、つまり天然太陽光ないしは太陽スペクトルの赤外線の大部分が吸収ないしはもたらされ、それによりこのような系は金属をベースとする赤外反射層を有する系に比べて許容し得ないほどに加熱される。
【0093】
T=5762Kを有するプランク放射体によって十分に表わすことができる近似の太陽スペクトルを用いて、780nmを超えて2500nmまでの赤外域での太陽光エネルギーのどのくらいがなくなるのかを導き出すことができ:それによればこの範囲内の太陽エネルギーの約45%であり、そして350nm−780nmの範囲内では約55%である。この場合には350nm未満の紫外分は無視した、というのもその透過率がこの場合には固形ないしは液状の充填材によって既に顕著に減少されているからである。2500nmを超える波長も同様に考慮しなかった、というのもガラスが2500nm超そのものを著しく吸収するからである。
【0094】
図3bには近似された太陽スペクトル1050のほかに、可視域の780nm未満では反射を示さずに780nm超では100%の反射率を示す理想赤外線鏡1040も示されている。鏡のこの理想設計は、可視域を損なうことなく該当する日射の約45%の反射を可能にする。赤外反射の数値は本願の場合にはこの理想赤外鏡に相関して示されている。
【0095】
図3aの例のスペクトル反射率が、T=5762Kを有するプランク放射体の形で近似された近似された太陽スペクトルの相対強度で畳み込まれる場合には、780nmを超える赤外域の日射のどのくらいが反射されるかをつきとめることができる。780nmを超えての100%の反射を示す理想赤外鏡の反射率に対するこの値は、本願では赤外域日射反射率と定義される。
【0096】
表1から、本明細書に記載した銀をベースとする赤外反射層を用いて、曲線1040の理想鏡に対して68%の赤外域日射反射率に相当する、太陽スペクトル全体のエネルギーの30%を反射することができるのに対してXIRフィルムでは、理想鏡に対して40%の赤外域日射反射率に相当する18%しか可能ではないことがわかる。
【0097】
当業者には、実際の実施の場合には曲線1000、1100、1040及び1050の可視スペクトルのなお一部を赤外反射に利用することができることは明らかである、というのも眼が可視域の縁部に向かってますます不感になるからである。効果を証明するために、理想鏡による簡略化を導入した。
【0098】
例えば前記の赤外反射コーティングを備えた合わせガラス板の本発明による系によって、ディスプレイ分野における屋外使用の場合の可視波長域内の高い光学的コントラストをとりわけ高い赤外反射率に結びつけることならびにしたがって近赤外域日射に基づく入熱を回避することが初めて可能となった。さらなる利点は簡単に製造できることである、というのも銀をベースとするLow−Eコーティングのための標準のコーティング工程を赤外コーティングの生成に使用することができるからである。
【0099】
図4a〜4dならびに5a〜5bは、本発明の第2の態様による偏光フィルタを備えた本発明による装置の断面図を示す。
【0100】
図4aでは第1のパネル状要素が符号2001で示されている。図4aでは偏光フィルタ2005を接着層2003を用いて直接第1のパネル状要素に接合した。
【0101】
図4bは、偏光フィルタ2005が2つの充填材2007及び2009を用いて2枚のパネル状要素2001及び2002間に挿入された解決のさらなる別の形を示している。偏光フィルタ2005は2枚のパネル状要素2001及び2002とともに一つの複合材ないしは合わせガラス板を形成する。複合材を形成するために2枚のパネル2001及び2002間の隙間に固形もしくは液状の充填材2007及び2009、殊にポリマー材料又は硬化された無機物質、を挿入する。2枚のパネルがガス状媒体を有する隙間によって相互に分離されて配置されている断熱ガラス複合材と異なり、本発明による装置の場合にはパネル状要素2001及び2002は充填材2007及び2009ならびに偏光フィルタ2005を介して直接相互に接していて、合わせガラス要素を生じている。
【0102】
可視波長域内で表示装置から本装置2010を通って観察者に至る高い透過率Tvisを達成するために、そして本装置2010に片側もしくは両側から入射する光の、特にRvis<2%、殊に<1%、である低い反射率Rvisを達成するために、図4c及び4dに示されたとおり、本装置ないしは合わせガラス要素2010の内部の反射率Rvisを最小にする酸化物及び/又は伝導性酸化物適合層が備えられていてよい。
【0103】
図5a及び5bは、図4に示した偏光フィルタと、例えば図1a〜1bに示した付加的な赤外反射コーティングとの組合せを示しており、この組合せは前記構造に組み込むことができる。図5aには例えばXIR日射遮蔽フィルムであってよい層2201ならびに図5bには例えばLow−E層によって実現することができる層2202が例として示されている。前記系へのLow−E層の組込みには、例えば前記記述、例えば図1a〜3についての記述、で説明された全ての前提条件が該当する。
【0104】
赤外反射コーティング、殊に銀層を基礎とするLow−Eコーティングの形成は非特許文献1、p.167−171に詳細に記載されており、この特許文献の開示内容がきわめて広範囲に本願にともに取り入れられる。他の金属、例えば金又はアルミニウム、も赤外反射コーティングとして可能であるのに対して、銀はその良好な色の効果ゆえに優先される。
【0105】
本発明による装置がとりわけ屋外領域で表示装置に使用される際には、直射日光の入射の際のコントラストを高めるために本装置の外側面AUSSEN、即ち外気に向けられた側面2011に反射防止膜2300、2302が備えられている場合が有利である。当然のことながら、内側面INNEN、即ち表示装置を向いた本装置の側面2012にも反射防止膜2301、2303が備えられていることが好ましい。最適な作用のためには、パネル状材料2001、2002ないしは偏光フィルタ2005と環境空気ないしは隙間2102の空気/充填ガスとの間の境界面のいずれにも反射防止膜が備えられていることが好ましい。
【0106】
反射防止膜として、例えばゾル−ゲル法又はスパッター法によって製造された前記例1及び2の反射防止膜が使用される。
【0107】
例えば例1及び2に記載された反射防止膜を用いてTvis/Rvisで定義される、10〜60、特に20〜60、殊に40〜50、の範囲内のコントラストが標準光で達成されることができ、この場合、反射防止されていないパネルの場合にはコントラスト値は7未満である。Rvisは標準光D65での層の反射率を、Tvisは透過率を、即ち可視波長域380〜780nmにおける反射率ないしは透過率を示す。
【0108】
図6には、ディスプレイ、この場合には液晶表示装置2130、のためのアタッチメントパネルとしての本発明による装置2101を備えた表示装置2120が示されている。図5bに示されかつ本明細書で例として使用されているように、本発明による装置には第1のパネル状要素2001及び第2のパネル状要素2002ならびにこれらに挟まれた偏光フィルタ2005及びこれらに挟まれた赤外反射層2202及びこの第1のパネルの外側面に施与された反射防止膜2302及びこの第2のパネルの外側面に施与された反射防止膜2303が備えられている。アタッチメントパネル101として形成された本装置の背後にある液晶表示装置2130は、これに限定されることなく、照明手段2136を備えた2枚のパネル2131、2132間に挿入された液晶2133を有する。照明手段2136に向かってパネル2131の裏面には液晶表示装置2130の後方の偏光子2134が取り付けられており、そしてパネル2132の前面には前方の偏光子2135が取り付けられている。別の選択肢としてこの前方の偏光子2135を省略してもよく、その際、その機能はこの実施形態ではその場合にはアタッチメントパネル2101の偏光フィルタ2005によって受け継がれる。液晶表示装置2130全体はハウジング2137に組み込まれている。液晶表示装置2130は可能なディスプレイの一つにすぎず、その他の可能なディスプレイには制御可能LEDあるいはまたOLEDが含まれる。液晶表示装置が示されてはいるが、本発明はこれに限定されていない。
【0109】
アタッチメントパネルとしての本発明による装置2101によって、太陽2150の光によりアタッチメントパネルと液晶表示装置2130間の隙間2102が加熱されるのが十分に阻止される。しかし、それにもかかわらず液晶表示装置2130の固有の発熱という理由から、液晶表示装置を能動的に冷却装置2160で冷却する必要がある。
【0110】
しかしながら、冷却装置2160は、従来技術の場合よりはるかに小さくサイズ決定されることができる、というのもパネルと液晶表示装置間への日射に基づく入熱が行なわれないからである。
【0111】
図7は、波長400nm〜2000nmにわたる組み込まれた偏光子及び種々の層系を備えた装置についての透過率を示す。
【0112】
曲線2500では、図1bの場合の構造に類似の、ポリウレタンフィルムを用いて厚さ4mmの2枚のパネル状の透明な要素間に挿入積層された偏光子から成る装置2010についての透過率が示されている。この曲線における透過率は430nm〜750nmの範囲内で透過率60%以上である。曲線2501は曲線2500と同じ構造を示しており、この場合、試料を90°回転させた。透過率はこの場合には430nm〜750nmの範囲内で10%未満であり、それどころか大部分は透過率1%未満である。
【0113】
図8は、波長400nm〜2000nmにわたる組み込まれた偏光子及び種々の層系を備えた装置についての反射率を示す。積層物の外側面上への図4dの構造に同じ挿入された反射防止層(2302、2303)によって本装置2010の全反射は、約8%を示すコーティングされていないフロートガラスの使用下での反射に対して380nm〜780nmの光の可視域で顕著に下げられる。
【0114】
【表2】

表2:図4dによる偏光フィルタを備えたCONTURANの反射率及び透過率及び比較のために偏光フィルタなしのCONTURAN
【0115】
表2には図4dによる偏光フィルタを備えたSchott AG社のCONTURANの反射率及び透過率についてのデータならびに偏光フィルタなしのCONTURANが比較されて示されている。偏光フィルタのない構造の場合には太陽光(非偏光)が96%でガラスを通過して背後にある液晶ディスプレイを加熱しているのがわかる(この観測は、可視の、つまり380nm〜780nmである日射の一部に該当する)。同時に液晶ディスプレイから放射された光が同様に同一のパーセンテージでガラスを通過して観察者に到達することができる。偏光フィルタを使用するやいなや、偏光されていない可視の太陽光の44%しか透過されず、その一方で定義によれば平行な偏光方向に沿って配向された液晶ディスプレイの放射の83.6%が本装置10を通過する。つまり液晶ディスプレイから観察者への放射の透過率はわずかしか減衰されない。Tvis(D65、非偏光):Tvis(D65、平行)の比によって、この解決策によって効果的に太陽光の可視光線の53%しかディスプレイに到達しないことが示されている。これによりディスプレイは目立ってわずかにしか加熱されない。
【0116】
表1による本装置2010の0.9%のみの低い反射率Rvisによって、液晶ディスプレイ画面の画像を見た際の太陽光の好ましくない反射の抑制が同時に達成することができる。したがってそれどころか、この構造によって反射防止ガラスを備えたディスプレイ装置の標準的な構造に対して若干改善された値が達成される。
【0117】
偏光子及び場合によっては赤外反射フィルムを備えた本発明による装置によって、表示装置の輝度を有意に低下させることも、同時にとりわけ可視波長域内の日射全体にわたる入熱を低下させることもなく、高い光学的なコントラスト、即ち、とりわけ屋外使用の場合の、可視波長域での、太陽光の好ましくない反射に対する表示装置からの所望の放射の比を達成することが初めて可能となる。もう一つの利点は簡単な製造可能性である、というのも標準的工程及びフィルムを本発明の実現に使用することができるからである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のパネル状要素(3)と、第2のパネル状要素(7)と、該第1のパネル状要素と該第2のパネル状要素の間に挿入されたコーティングとを含む、特に表示装置(1000)のための装置(1)において、
前記コーティングが前記第1及び/又は第2の要素に施与されている赤外反射コーティング(9)であり、前記少なくとも第1のパネル状要素(3)、前記少なくとも第2のパネル状要素(7)及び前記コーティングが複合材を形成し、さらに前記パネル間の空間が充填材(8)で埋められていることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記装置が、装置(1)の赤外域日射反射率が45%〜95%の範囲内、殊に50%〜80%の範囲内、であるように形成されていることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
第1のパネル状要素(3)及び/又は第2のパネル状要素(7)の縁部(5)は赤外反射コーティング(9)を有していないか、又は該赤外反射コーティングが縁部にて途切れていることを特徴とする請求項1又は2記載の装置。
【請求項4】
第1のパネル状要素の縁部(5)及び/又は第2のパネル状要素の縁部(5)がシール材を有することを特徴とする請求項3記載の装置。
【請求項5】
前記赤外反射コーティング(9)が次のコーティング:
Low−Eコーティング
金属高伝導層から成るLow−Eコーティング
次の金属:


アルミニウム
の一つ以上を含むLow−Eコーティング
の一つである
ことを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
第1及び/又は第2のパネル状要素が、とりわけ可視波長域における、反射防止膜(20)を含み、その際、好ましくは
反射防止膜(20)が次の表面:
第1のパネル状要素(3)の外側面(13);
第2のパネル状要素(7)の外側面(11)
の一つ以上に配置されている
ことを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記装置が、装置の反射率Rvisが<2%、特に<1%、であるよう形成されている適合層(23.1、23.2)を含むことを特徴とする請求項1から6までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記適合層(23.1、23.2)が酸化物層及び/又は伝導性酸化物層であることを特徴とする請求項7記載の装置。
【請求項9】
前記適合層(23.1、23.2)が第1のパネル状要素(3)と赤外反射コーティング(9)、ならびに赤外反射コーティング(9)と第2のパネル状要素(7)の間に配置されていることを特徴とする請求項7から8までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記反射防止膜(20)が、
a)反射防止膜が液体法を用いて施与され、その際、液体法を用いて施与される層が次の技術の一つを用いて提供される:
反射防止膜をゾル−ゲル法を用いて施与する;
反射防止膜を干渉単層としてゾル−ゲル法から製造する;
反射防止膜を干渉多層としてゾル−ゲル法から製造する;
反射防止膜を干渉三層としてゾル−ゲル法から製造し、その際、第1層は屈折率1.6〜1.8を有し、第2層は屈折率1.9〜2.5を有し、そして第3層の屈折率は1.4〜1.5である、
b)反射防止膜を高真空法を用いて製造し、その際、高真空法を用いて施与された層は次の方法の一つを用いて提供される:
反射防止膜を高真空法を用いて多層の干渉被膜系として製造する;
反射防止膜を高真空法を用いて単層系として製造する;
反射防止膜を高真空下でのスパッター法から製造する;
反射防止膜を高真空下での蒸着法から製造する、
c)反射防止膜をCVD法を用いて製造し、その際、CVD法を用いて施与された層は次の方法の一つを用いて提供される:
反射防止膜をオンラインCVD法から製造する;
反射防止膜をオフラインCVD法から製造する;
d)反射防止膜をエッチング法を用いて製造し、その際、エッチング法を用いて施与された層は次の方法の一つを用いて提供される:
反射防止膜をエッチング法を用いて多孔層として製造する;
反射防止膜をエッチング法を用いて光拡散表面として製造する、
これら構造の一つを有するかないしはこれら施与方法で施与されていることを特徴とする請求項6から8までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
第1のパネル状要素(2001)と偏光フィルタ(2005)とを含む、表示装置(2120)のための装置において、
該偏光フィルタ(2005)が該パネル状要素(2001)と結合されており、さらにその偏光方向がその背後にある表示装置(2120)から放射される光の偏光方向に対して平行に配向されており、そして該装置と表示装置(2120)の間に隙間(2102)が設けられている
ことを特徴とする表示装置のための装置。
【請求項12】
前記装置が偏光フィルタを含み、該偏光フィルタが該第1パネル状要素と結合されており、さらにその偏光方向がその背後にある表示装置から放射される光の偏光方向に対して平行に配向されており、そして該装置と表示装置の間に隙間が設けられている
ことを特徴とする請求項1から10までのいずれか1項記載の表示装置のための装置。
【請求項13】
前記装置が、光スペクトル域380nm〜780nmの透過率が、偏光を用いて測定された、平行の偏光方向でと直交の偏光方向でとの比、少なくとも3:1、好ましくは5:1、特に好ましくは少なくとも10:1、を示すように形成されていることを特徴とする請求項11から12までのいずれか1項記載の装置。
【請求項14】
少なくとも第2のパネル状要素(2011)が偏光子(2005)と結合されていることを特徴とする請求項11から13までのいずれか1項記載の装置。
【請求項15】
表示装置(2120)の前方の偏光子が構造標準と異なり省略されており、そしてその作用が偏光フィルタから前記装置(10)に受け継がれたことを特徴とする請求項11から14までのいずれか1項記載の装置。
【請求項16】
前記装置が偏光フィルタ(2005)に加えてもう一つの赤外反射層(2201、2202)を含み、この赤外反射層は赤外域内で該装置を通る780nm〜2500nmの光についての透過率TIRを60%未満、好ましくは30%未満、特に好ましくは10%未満、に低下させることを特徴とする請求項11から15までのいずれか1項記載の装置。
【請求項17】
第1及び/又は第2のパネル状要素が、とりわけ可視波長域における、反射防止膜(2300、2301、2302、2303)を含み、その際、好ましくは
反射防止膜(2300、2301、2302、2303)が次の表面:
第1のパネル状要素(2001)の外側面(2011);
第2のパネル状要素(2011)の外側面(2012);
偏光フィルタが前記装置の外気側の終端を形成する場合には、偏光フィルタ(2005)の外側面(2013)、
の一つ以上に配置されていることを特徴とする請求項11から16までのいずれか1項記載の装置。
【請求項18】
前記装置が、装置の反射率Rvisが<3%、特に<2%、であるよう形成されている反射防止膜(2300、2301、2302、2303)を含むことを特徴とする請求項17記載の装置。
【請求項19】
前記装置が、Low−E層を含み、その光学的設計が装置の反射率Rvisが<3%、特に<2%、であるよう形成されていることを特徴とする請求項17又は18記載の装置。
【請求項20】
前記反射防止膜(2300、2301、2302、2303)が、
a)反射防止膜が液体法を用いて施与され、その際、液体法を用いて施与される層が次の技術の一つを用いて提供される:
反射防止膜をゾル−ゲル法を用いて施与する;
反射防止膜を干渉単層としてゾル−ゲル法から製造する;
反射防止膜を干渉多層としてゾル−ゲル法から製造する;
反射防止膜を干渉三層としてゾル−ゲル法から製造し、その際、第1層は屈折率1.6〜1.8を有し、第2層は屈折率1.9〜2.5を有し、そして第3層の屈折率は1.4〜1.5である、
b)反射防止膜を高真空法を用いて製造し、その際、高真空法を用いて施与された層は次の方法の一つを用いて提供される:
反射防止膜を高真空法を用いて多層の干渉被膜系として製造する;
反射防止膜を高真空法を用いて単層系として製造する;
反射防止膜を高真空下でのスパッター法から製造する;
反射防止膜を高真空下での蒸着法から製造する、
c)反射防止膜をCVD法を用いて製造し、その際、CVD法を用いて施与された層は次の方法の一つを用いて提供される:
反射防止膜をオンラインCVD法から製造する;
反射防止膜をオフラインCVD法から製造する;
d)反射防止膜をエッチング法を用いて製造し、その際、エッチング法を用いて施与された層は次の方法の一つを用いて提供される:
反射防止膜をエッチング法を用いて多孔層として製造する;
反射防止膜をエッチング法を用いて光拡散表面として製造する、
これら構造の一つを有するかないしはこれら施与方法で施与されていることを特徴とする請求項17から19までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項21】
前記隙間(2102)がガス状物質、殊に空気、窒素、ヘリウム又はアルゴンで充填されていることを特徴とする請求項11又は12記載の装置。
【請求項22】
表示装置(2120)、好ましくは著しく偏光された光を放射する液晶表示装置(2130)、のためのアタッチメントパネル(2101)としての、請求項11から21までのいずれか1項に記載の装置の使用。
【請求項23】
縁部領域が密封されている屋外領域での表示装置(2120)のためのアタッチメントパネル(2101)としての、請求項11から21までのいずれか1項に記載の装置の使用。
【請求項24】
アタッチメントパネル(2101)が請求項11から21までのいずれか1項に記載の装置であることを特徴とする、液晶表示装置(2130)とアタッチメントパネル(2101)を有する表示装置。
【請求項25】
次の分野:
表示装置、とりわけ屋外領域での表示装置、特に液晶表示装置、の分野;
額縁用ガラスの分野
への、
請求項1から10までのいずれか1項に記載の装置の使用。
【請求項26】
アタッチメントパネルが請求項1から10までのいずれか1項に記載の装置であることを特徴とする、
液晶表示装置(1000)と、
アタッチメントパネル101)
を有する表示装置。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図4d】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2013−509602(P2013−509602A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535654(P2012−535654)
【出願日】平成22年10月12日(2010.10.12)
【国際出願番号】PCT/EP2010/006236
【国際公開番号】WO2011/050908
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(504299782)ショット アクチエンゲゼルシャフト (346)
【氏名又は名称原語表記】Schott AG
【住所又は居所原語表記】Hattenbergstr.10,D−55122 Mainz,Germany
【Fターム(参考)】