説明

特別な酸化防止剤を含有する水分架橋型ポリマー組成物

本発明は、a.シラン官能基化されたオレフィン系ポリマー、b.酸性シラノール縮合触媒、及びc.三級アルキル置換アリールあるいはフェノール基を有しない酸化防止剤を含み、このポリマー組成物が多量の悪臭を発するガス、又は可燃性ガスを発生しない水分架橋型ポリマー組成物である。別法としては、この酸化防止剤は、この酸性シラノール縮合触媒の存在下及び従来の加工条件において脱アルキル化を受けやすい置換基を実質的に含まない。本発明は、この水分架橋型ポリマー組成物を製造するための方法も含む。この水分架橋型ポリマー組成物はコーティングとして使用でき、ワイヤ又は又はケーブルの上に塗布しうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多量の悪臭を発するガス、可燃性ガス、また両方を発生しない水分架橋型ポリマー組成物に関する。このポリマー組成物は低電圧ないし高電圧のワイヤ及びケーブル用途に有用である。
【背景技術】
【0002】
酸性シラノール縮合触媒の使用によって、水分架橋型ポリマー組成物の硬化速度が増進される。残念なことには、スルホン酸触媒などのある酸性シラノール縮合触媒は、触媒として高温(>100℃)で安定でなく、あるいは選択反応性でない。結果として、このスルホン酸は、通常の加工条件下でスルホキシドガスを発生するか、あるいはポリマー組成物中の他の添加剤と反応することがある。これらのガス又は又は反応生成物のあるものは、強烈な匂いを生じ、可燃性であり、及び/又は又はこのポリマー組成物から製造される熱老化物品の引っ張り特性に悪影響する。この生成ガスは、水分架橋型ポリマー組成物から製造される物品中に空孔又は又は表面欠陥を生じることもある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
多量の悪臭を発するガス又は又は可燃性ガスを発生しない水分架橋型ポリマー組成物に対する必要性が存在する。(a)酸性シラノール縮合触媒の触媒性能又は(b)水分架橋型ポリマー組成物から製造される熱老化製品の引っ張り性質に悪影響を及ぼさないような改良に対する更なる必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、a.シラン官能基化されたオレフィン系ポリマー、b.酸性シラノール縮合触媒、及びc.三級アルキル置換アリールあるいはフェノール基を有しない酸化防止剤
を含み、このポリマー組成物が多量の悪臭を発するガス、可燃性ガス、又は又はその両方を発生しない水分架橋型ポリマー組成物である。別法としては、この酸化防止剤は、この酸性シラノール縮合触媒の存在下及び従来の加工条件において脱アルキル化を受けやすい置換基を実質的に含まない。この水分架橋型ポリマー組成物はコーティングとして使用可能で、ワイヤ又はケーブルの上に塗布可能である。本発明は、この水分架橋型ポリマー組成物を製造するための方法も含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
本発明の水分架橋型ポリマー組成物は、
(a)シラン官能基化されたオレフィン系ポリマー、(b)酸性シラノール縮合触媒、及び(c)三級アルキル置換アリールあるいはフェノール基を有しない酸化防止剤を含み、多量の悪臭を発するガス、可燃性ガス、又はその両方を発生しない。
【0006】
好適なシラン官能基化されたオレフィン系ポリマーは、シランで官能化されたポリエチレンポリマー、シランで官能化されたポリプロピレンポリマー、及びこれらのブレンドを含む。好ましくは、このシランで官能化されたオレフィン系ポリマーは、(i)エチレンと加水分解型シランのコポリマー、(ii)エチレン、加水分解型シラ
ン、及び1又はそれ以上のC3あるいは更に高級なアルファ−オレフィン及び不飽和エステルのコポリマー、(iii)骨格にグラフトされた加水分解型シランを有するエチレンのホモポリマー、及び(iv)骨格にグラフトされた加水分解型シランを有するエチレンと1又はそれ以上のC3あるいは更に高級なアルファ−オレフィン及び不飽和エステルのコポリマーからなる群から選択される。
【0007】
本明細書で使用されるポリエチレンポリマーという用語は、エチレンのホモポリマー又はエチレンと3〜12個の炭素原子、好ましくは4〜8個の炭素原子を有する少量部分の1又はそれ以上のアルファ−オレフィン、場合によってはジエンのコポリマー又はこのようなホモポリマー及びコポリマーの混合物又はブレンドである。この混合物は機械的ブレンド又は系内のブレンドでありうる。このアルファ−オレフィンの例は、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、及び1−オクテンである。このポリエチレンは、また、エチレンと不飽和エステル、例えばビニルエステル(例えば、ビニルアセテート又はアクリルあるいはメタクリル酸エステル)のコポリマーでもありうる。
【0008】
このポリエチレンは均質あるいは不均質でありうる。この均質なポリエチレンは、通常、1.5〜3.5の範囲の多分散性(Mw/Mn)と本質的に均一なコモノマー分布を有し、示差走査熱量計で測定して単一で、比較的低い融点を特徴とする。この不均質なポリエチレンは、通常、3.5よりも大きい多分散性(Mw/Mn)を有し、均一なコモノマー分布を欠く。Mwは重量平均分子量と定義され、そしてMnは数平均分子量と定義される。
【0009】
このポリエチレンは1立方センチメートル当たり0.860〜0.970グラムの範囲の密度を有することができ、好ましくは1立方センチメートル当たり0.870〜0.930グラムの範囲の密度を有する。これらは、10分間当たり0.1〜50グラムの範囲のメルトインデックスをも有しうる。このポリエチレンがホモポリマーである場合には、このメルトインデックスは好ましくは10分間当たり0.75〜3グラムの範囲にある。メルトインデックスはASTMD−1238、条件E下で求められ、190℃及び2160グラムで測定される。
【0010】
低圧あるいは高圧法でこのポリエチレンを生成することができる。これらは、従来の方法による、気相法又は液相法(すなわち、溶液法又はスラリー法)で製造しうる。低圧法は、通常、1平方インチ当たり1000ポンド(「psi」)以下の圧力で行われ、高圧法は、通常、15,000psi以上の圧力で行われる。
【0011】
これらのポリエチレンを製造するための通常の触媒系は、マグネシウム/チタンベースの触媒系、バナジウムベースの触媒系、クロムベースの触媒系、メタロセン触媒系、及び他の遷移金属触媒系を含む。これらの触媒系の多くは、しばしばチーグラー・ナッタ触媒系又はフィリップス触媒系とよばれる。有用な触媒系はシリカ−アルミナ担体上のクロムあるいはモリブデン酸化物を使用する触媒を含む。
【0012】
有用なポリエチレンは、高圧法により製造される低密度エチレンホモポリマー(HP−LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、極低密度ポリエチレン(VLDPE)、超低密度ポリエチレン(ULDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、及びメタロセンコポリマーを含む。
【0013】
高圧法は、通常、フリーラジカル開始される重合であり、管状反応器又は撹拌オートクレーブ中で行われる。管状反応器中では、圧力は25,000〜45,000psiの範囲内にあり、そして温度は200〜350℃の範囲にある。撹拌オートクレーブ中では、圧力は10,000〜30,000psiの範囲にあり、そして温度は175〜250℃の範囲にある。
【0014】
エチレンと不飽和エステルから構成されるコポリマーは周知であり、従来の高圧法により製造しうる。この不飽和エステルは、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、又はビニルカルボキシレートでありうる。このアルキル基は1〜8個の炭素原子を有することができ、好ましくは1〜4個の炭素原子を有する。このカルボキシレート基は2〜8個の炭素原子を有することができ、好ましくは2〜5個の炭素原子を有する。エステルコモノマーに帰属されるコポリマーの部分は、コポリマーの重量基準で5〜50重量パーセントの範囲にあることができ、好ましくは15〜40重量パーセントの範囲にある。このアクリレート及びメタクリレートの例は、エチルアクリレート、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、t−ブチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、及び2−エチルヘキシルアクリレートである。このビニルカルボキシレートの例は、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、及びビニルブタノエートである。このエチレン/不飽和エステルコポリマーのメルトインデックスは、10分間当たり0.5〜50グラムの範囲にあることができ、好ましくは10分間当たり2〜25グラムの範囲にある。
【0015】
エチレンとビニルシランのコポリマーも使用され得る。好適なシランの例は、ビニルトリメトキシシランとビニルトリエトキシシランである。このようなポリマーは、通常、高圧法を用いて製造される。水分架橋型組成物を所望する場合には、このようなエチレン−ビニルシランコポリマーの使用が望ましい。
【0016】
VLDPE又はULDPEはエチレンと3〜12個の炭素原子、好ましくは3〜8個の炭素原子を有する1又はそれ以上のアルファ−オレフィンのコポリマーでありうる。VLDPE又はULDPEの密度は1立方センチメートル当たり0.870〜0.915グラムの範囲にありうる。VLDPE又はULDPEのメルトインデックスは10分間当たり0.1〜20グラムの範囲にあることができ、好ましくは10分間当たり0.3〜5グラムの範囲にある。エチレン以外のコモノマーに帰属されるVLDPE又はULDPEの部分は、このコポリマーの重量基準で1〜49重量パーセントの範囲にあることができ、好ましくは15〜40重量パーセントの範囲にある。
【0017】
第3のコモノマー、例えば別のアルファ−オレフィン又はジエン、例えばエチリデンノルボルネン、ブタジエン、1,4−ヘキサジエン、又はジシクロペンタジエンが包含されうる。エチレン/プロピレンコポリマーは一般にEPRと呼ばれ、そしてエチレン/プロピレン/ジエンターポリマーは一般にEPDMと呼ばれる。この第3のコモノマーは、このコポリマーの重量基準で1〜15重量パーセントの量で存在することができ、好ましくは1〜10重量パーセントの量で存在する。このコポリマーはエチレンを含めて2つあるいは3つのコモノマーを含有することが好ましい。
【0018】
このLLDPEは、直鎖状であるが、一般に、1立方センチメートル当たり0.916〜0.925グラムの範囲の密度を有するVLDPE、ULDPE、及びMDPEを含みうる。これは、エチレンと3〜12個の炭素原子、好ましくは3〜8個の炭素原子を有する1又はそれ以上のアルファ−オレフィンのコポリマーでありうる。このメルトインデックスは、10分間当たり1〜20グラムの範囲にあることができ、好ましくは10分間当たり3〜8グラムの範囲にある。
【0019】
いかなるポリプロピレンもこれらの組成物中で使用され得る。例としては、プロピレンのホモポリマー、プロピレンと他のオレフィンのコポリマー、及びプロピレン、エチレン、及びジエン(例えば、ノルボナジエン及びデカジエン)のターポリマーが挙げられる。加えて、このポリプロピレンはEPR又はEPDMなどの他のポリマーと分散あるいはブレンドされ得る。好適なポリプロピレンはTPE、TPO及びTPVを含む。ポリプロピレンの例は、「Polypropylene Handbook: Polymerization, Characterization, Properties, Processing, Applications」3-14, 113-176(E.Moore, Jr.ed., 1996)に記載されている。
【0020】
ビニルアルコキシシラン(例えば、ビニルトリメトキシシラン及びビニルトリエトキシシラン)は、グラフト化あるいは共重合されて、シラン官能基化されたオレフィン系ポリマーを形成するのに好適なシラン化合物である。
【0021】
好適な酸性シラノール縮合触媒は、(a)有機スルホン酸とこれらの加水分解型前駆体、(b)有機ホスホン酸とこれらの加水分解型前駆体、及び(c)ハロゲン酸を含む。好ましくは、この酸性シラノール縮合触媒は有機スルホン酸である。更に好ましくは、この酸性シラノール縮合触媒は、アルキルアリールスルホン酸、アリールアルキルスルホン酸、及びアルキル化アリールジスルホン酸からなる群から選択される。なお更に好ましくは、この酸性シラノール縮合触媒は、置換ベンゼンスルホン酸及び置換ナフタレンスルホン酸からなる群から選択される。最も好ましくは、この酸性シラノール縮合触媒はドデシルベンジルスルホン酸又はジノニルナフチルスルホン酸である。
【0022】
好適な酸化防止剤は、(a)フェノール系酸化防止剤、(b)チオベースの酸化防止剤、(c)ホスフェートベースの酸化防止剤、及び(d)ヒドラジンベースの金属不活性化剤を含む。好適なフェノール系酸化防止剤はメチル置換フェノールを含む。一級あるいは二級カルボニル付きの置換基を有する他のフェノールは好適な酸化防止剤である。好ましいフェノール系酸化防止剤はイソブチリデンビス(4,6−ジメチルフェノール)である。好ましいヒドラジンベースの金属不活性化剤はオキサリルビス(ベンジリデンヒドラジン)である。好ましくは、この酸化防止剤はこのポリマー組成物の0.05重量パーセント〜10重量パーセントの間の量で存在する。
【0023】
加えて、この組成物は、他の添加剤、例えば着色剤、腐食防止剤、潤滑剤、ブロッキング防止剤、難燃剤、及び加工助剤を含有し得る。
【0024】
好ましい実施形態においては、本発明は、
(a)(i)エチレンと加水分解型シランのコポリマー、(ii)エチレン、加水
分解型シラン、及び1又はそれ以上のC3あるいは更に高級なアルファ−オレフィン及び不飽和エステルのコポリマー、(iii)骨格にグラフトされた加水分解型シランを有するエチレンのホモポリマー、及び(iv)骨格にグラフトされた加水分解型シランを有するエチレンと1又はそれ以上のC3あるいは更に高級なアルファ−オレフィン及び不飽和エステルのコポリマーからなる群から選択されるシランで官能化されたオレフィン系ポリマー、
(b)アルキルアリールスルホン酸、アリールアルキルスルホン酸、及びアルキル化アリールジスルホン酸からなる群から選択される酸性シラノール縮合触媒、及び
(c)三級アルキル置換アリールあるいはフェノール基有さず、(i)フェノール系酸化防止剤、(ii)チオベースの酸化防止剤、(iii)ホスフェートベースの酸化防止剤、及び(iv)ヒドラジンベースの金属不活性化剤からなる群から選択される酸化防止剤
を含み、
このポリマー組成物が多量の悪臭を発するガス、可燃性ガス、又はその両方を発生しない水分架橋型ポリマー組成物である。
【0025】
代替の実施形態においては、本発明は、このポリマー組成物をワイヤ又はケーブルの上に塗布することにより製造されるワイヤあるいはケーブル構成物である。
【0026】
更なる別の実施形態においては、本発明は、(a)シラン官能基化されたオレフィン系ポリマー、(b)酸性シラノール縮合触媒、及び(c)酸性シラノール縮合触媒の存在下及び従来の加工条件においてで脱アルキル化を受けやすい置換基を実質的に含まない酸化防止剤を含み、多量の悪臭を発するガス、可燃性ガス、又はその両方を発生しない水分架橋型ポリマー組成物である。
【実施例】
【0027】
次の非限定的な実施例が本発明を例示する。
50グラムの試料に対する爆発性下限(LEL)
本発明の3つの実施例を6つの比較例に対して評価した。すべての例示のポリマー組成物を46.33重量パーセントのAMPLIFY EA100(商標)のエチレン−エチルアクリレートコポリマー、46.33重量パーセントの直鎖状低密度ポリエチレン(「LLDPE」)、4重量パーセントのNACURE(商標)B201アルキル芳香族スルホン酸、及び3.34重量パーセントの評価対象の酸化防止剤を用いて、50グラムの重量に作製した。
【0028】
AMPLIFY EA100(商標)のエチレン−エチルアクリレートコポリマーは、The Dow Chemical Companyから入手可能であり、1.5グラム/10分間のメルトインデックスと15重量パーセントのエチルアクリレート濃度である。このLLDPEは1−ブテンとエテンのコポリマーであり、0.7グラム/10分間のメルトインデックスと0.92グラム/立方センチメートルの密度である。NACURE(商標)B201アルキル芳香族スルホン酸はKing Industries、Inc.から入手可能である。
【0029】
各々の例示されたポリマー組成物に対して、50グラムのこの組成物を蓋中にゴムセプタムを有する密封された32オンスジャー中に入れた。このジャーとこの内容物を180℃で30分間加熱した。このジャーを室温まで冷却した後、セプタムを取り外し、そしてEagle検出メーターをこのジャーの内部に入れて、発生ガスの量を測定した。
【0030】
RKI Instruments Eagleシリーズの可搬型マルチガス検出器メーターを使用して、発生したガスを測定した。このメーターを較正して、0〜50,000パーツ・パー・ミリオン(ppm)のメタンに対応する0〜100パーセントLELの目盛によりメタンを検出した。すべての検出ガスの代表としてこのメタンガスの目盛を使用して、パーセントLELを示した。

【表1】

【0031】
DSTDPはGreat Lakes Chemical Corporationから入手可能なジステアリル−3,3−チオジプロピオネートである。Lowinox 22IB46(商標)のイソブチリデンビス−(4,6−ジメチルフェノール)はGreat Lakes Chemical Corporationから入手可能な酸化防止剤である。OABHはEastman Chemical Companyから入手可能な金属不活性化剤のオキサリルビス−(ベンジリデンヒドラジン)である。Cyanox 1790(商標)のトリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−s−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオンはCytecIndustriesから入手可能である。Irganox 1010(商標)のテトラキスメチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシルヒドロシンナメート)メタン、Irganox1035(商標)のチオジエチレン−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)、及びIrganox 3114(商標)の1,3,5−トリス[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオンはCiba Speciality Chemicals Inc.から入手可能である。Lowinox AH25(商標)の2,5−ジ−tert−アミルヒドロキノンはGreat Lakes Chemical Corporationから入手可能である。TBM6はGreat Lakes Chemical Corporationから入手可能である4,4−チオビス(2−t−ブチル−5−メチルフェノール)である。
【0032】
50ポンド試料に対する爆発性下限(LEL)
本発明の実施例を2つの比較例に対して評価した。すべての例示されたポリマー組成物を50ポンドの重量に作製した。これは4.0重量パーセントのNACURE(商標)B201アルキル芳香族スルホン酸を含有していた。各成分に対する重量パーセントを表2に示す。
【0033】
各々の例示されたポリマー組成物に対して、混練に続いて、50ポンドの組成物を50℃の温度において、全容積の10パーセントを空気として有する25キログラムのフォイルバッグ中に入れ、密封した。24時間後、Eagle検出メーターをこのフォイルバッグの内部に入れて、発生ガスの量を測定した。

【表2】

【0034】
lrganox 1024(商標)の1,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナモイル)ヒドラジンはCiba Speciality Chemicals Inc.から入手可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.シラン官能基化されたオレフィン系ポリマー、
b.酸性シラノール縮合触媒、及び
c.三級アルキル置換アリールあるいはフェノール基を有しない酸化防止剤
を含み、
前記ポリマー組成物が多量の悪臭を発するガス、可燃性ガス、又は又はその両方を発生しない、水分架橋型ポリマー組成物。
【請求項2】
前記シランで官能化されたオレフィン系ポリマーが(a)エチレンと加水分解型シランのコポリマー、(b)エチレン、加水分解型シラン、及び1又はそれ以上のC3あるいは更に高級なアルファ−オレフィン及び不飽和エステルのコポリマー、(c)骨格にグラフトされた加水分解型シランを有するエチレンのホモポリマー、及び(d)骨格にグラフトされた加水分解型シランを有するエチレンと1又はそれ以上のC3あるいは更に高級なアルファ−オレフィン及び不飽和エステルのコポリマーからなる群から選択される請求項1に記載の水分架橋型ポリマー組成物。
【請求項3】
前記酸性シラノール縮合触媒が(a)有機スルホン酸とこれらの加水分解型前駆体、(b)有機ホスホン酸とこれらの加水分解型前駆体、及び(c)ハロゲン酸からなる群から選択される請求項1に記載の水分架橋型ポリマー組成物。
【請求項4】
前記酸性シラノール縮合触媒がアルキルアリールスルホン酸、アリールアルキルスルホン酸、及びアルキル化アリールジスルホン酸からなる群から選択される有機スルホン酸である請求項3に記載の水分架橋型ポリマー組成物。
【請求項5】
前記有機スルホン酸が置換ベンゼンスルホン酸と置換ナフタレンスルホン酸からなる群から選択される請求項4に記載の水分架橋型ポリマー組成物。
【請求項6】
前記有機スルホン酸がドデシルベンジルスルホン酸である請求項4に記載の水分架橋型ポリマー組成物。
【請求項7】
前記有機スルホン酸がジノニルナフチルスルホン酸である請求項4に記載の水分架橋型ポリマー組成物。
【請求項8】
前記酸化防止剤が(a)フェノール系酸化防止剤、(b)チオベースの酸化防止剤、(c)ホスフェートベースの酸化防止剤、及び(d)ヒドラジンベースの金属不活性化剤からなる群から選択される請求項1に記載の水分架橋型ポリマー組成物。
【請求項9】
前記酸化防止剤がイソブチリデンビス(4,6−ジメチルフェノール)である請求項8に記載の水分架橋型ポリマー組成物。
【請求項10】
前記酸化防止剤がオキサリルビス(ベンジリデンヒドラジン)である請求項8に記載の水分架橋型ポリマー組成物。
【請求項11】
前記酸化防止剤が前記酸性シラノール縮合触媒の触媒性能に悪影響を及ぼさない請求項1に記載の水分架橋型ポリマー組成物。
【請求項12】
請求項1に記載の水分架橋型ポリマー組成物をワイヤ又は又はケーブルの上に塗布することにより製造されるワイヤあるいはケーブル構成物。
【請求項13】
a.(i)エチレンと加水分解型シランのコポリマー、(ii)エチレン、加水分
解型シラン、及び1又はそれ以上のC3あるいは更に高級なアルファ−オレフィン及び不飽和エステルのコポリマー、(iii)骨格にグラフトされた加水分解型シランを有するエチレンのホモポリマー、及び(iv)骨格にグラフトされた加水分解型シランを有するエチレンと1又はそれ以上のC3あるいは更に高級なアルファ−オレフィン及び不飽和エステルのコポリマーからなる群から選択される前記シランで官能化されたオレフィン系ポリマー、
b.アルキルアリールスルホン酸、アリールアルキルスルホン酸、及びアルキル化アリールジスルホン酸からなる群から選択される酸性シラノール縮合触媒、及び
c.(i)フェノール系酸化防止剤、(ii)チオベースの酸化防止剤、(iii)ホスフェートベースの酸化防止剤、及び(iv)ヒドラジンベースの金属不活性化剤からなる群から選択される三級アルキル置換アリールあるいはフェノール基有しない酸化防止剤
を含み、
前記ポリマー組成物が多量の悪臭を発するガス、可燃性ガス、又は又はその両方を発生しない水分架橋型ポリマー組成物。
【請求項14】
a.シラン官能基化されたオレフィン系ポリマー、
b.酸性シラノール縮合触媒、及び
c.前記酸性シラノール縮合触媒の存在下で脱アルキル化を受けやすい置換基を実質的に含まない酸化防止剤
を含み、
前記ポリマー組成物が多量の悪臭を発するガス、可燃性ガス、又は又はその両方を発生しない水分架橋型ポリマー組成物。
【請求項15】
a.シラン官能基化されたオレフィン系ポリマー、
b.酸性シラノール縮合触媒、及び
c.三級アルキル置換アリールあるいはフェノール基を有しない酸化防止剤
を混和する段階を含み、
前記ポリマー組成物が多量の悪臭を発するガス、可燃性ガス、又は又はその両方を発生しない水分架橋型ポリマー組成物を製造するための方法。

【公表番号】特表2007−517075(P2007−517075A)
【公表日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517516(P2006−517516)
【出願日】平成16年6月22日(2004.6.22)
【国際出願番号】PCT/US2004/019910
【国際公開番号】WO2005/003199
【国際公開日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(591123001)ユニオン・カーバイド・ケミカルズ・アンド・プラスティックス・テクノロジー・コーポレイション (85)
【Fターム(参考)】