特定のリガンドを含むアフィニティー樹脂を使用する、ヒト成長ホルモンポリペプチドの精製方法
本発明は、成長ホルモンポリペプチド、例えば組換えヒト成長ホルモンの精製のための新規な方法に関する。本発明の方法は、一つ以上の低分子量合成リガンドを固定化している固相材料を含むアフィニティー樹脂を利用する。前記アフィニティー樹脂は、密接に関連するタンパク質からの成長ホルモンの分離を可能にする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成長ホルモンポリペプチド、例えば組換えヒト成長ホルモンの精製のための新規な方法に関する。本発明の方法は、一つ以上の低分子量合成リガンドを固定化している固相材料を含むアフィニティー樹脂を利用する。前記アフィニティー樹脂は、密接に関連するタンパク質からの成長ホルモンの分離を可能にする。
【背景技術】
【0002】
治療上のタンパク質は、生存細胞で生産され、患者において使用する前に、タンパク質の複雑な混合物、及び他の生物学的種類から精製されなければならない。この分離は、非常に労力を必要としコストが掛かるはずである。数多くのクロマトグラフィー材料が、そのような分離における使用のために記載されている。
【0003】
アフィニティークロマトグラフィーは、アフィニティーカラムに実装された固相材料、通常は多孔性のポリマーマトリックスに、タンパク質のような生物学的物質を選択的且つ可逆的に吸着することが可能である。適切なリガンドが、固相材料に直接またはリンカーによって共有結合される。リガンドに対してアフィニティーを有する生物学的物質を含むサンプルが、リガンドと、リガンドに対するアフィニティーを有する生物学的物質との間の特異的な結合を促進する適切な結合条件下で、固相材料に共有結合で固定化されたアフィニティーリガンドと接触させることができる。アフィニティーカラムは、バッファーで後に洗浄して未結合の物質を除去でき、さらなる工程で、リガンドに対するアフィニティーを有する生物学的物質が溶出されて、精製形態または更に単離した形態で得られる。従ってリガンドは。精製または単離の目的である生物学的物質に対して特異的かつ可逆的な結合特性を好ましくは示す。
【0004】
数多くのクロマトグラフィー材料及び方法が、ヒト成長ホルモン(hGH)の精製について記載されている。
【0005】
US5,047,333は、イオン交換クロマトグラフィーまたは固定化金属アフィニティークロマトグラフィーを使用するヒト成長ホルモンの精製方法を開示している。
【0006】
US4,332,717は、アルキル基またはフェニル基といった疎水性基を有する水不溶性担体をクロマトグラフィー材料として使用する疎水性相互作用クロマトグラフィーを使用する、ヒト成長ホルモンの精製方法を開示している。
【0007】
上記二つの方法は、化合物の物理化学的特性の差異を利用する伝統的な精製技術に依存している。しかしながらこれらは、より低収率且つより高コストを結果として導くいくつかの過度の精製工程をしばしば必要とする。
【0008】
US6,117,996は、以下の一般式を有するリガンドを含むアフィニティーリガンド−マトリックス接合体を開示している:
【化1】
【0009】
前記リガンドは、マトリックスとリガンドの間に位置するスペーサーアームを任意に介して、位置(A)で支持体マトリックスに結合している。そのようなアフィニティーリガンド−マトリックス接合体を使用する、例えばイムノグロブリン、インスリン、第VII因子、またはヒト成長ホルモン若しくはそのアナログ、誘導体及び断片及び前駆体といったタンパク質性材料の精製も開示されている。
【0010】
US5,760,187は、支持体マトリックスに結合したCibacron 3GA:
【化2】
のような青色色素を使用するヒト成長ホルモンの精製方法を開示している。青色色素は、トリプシンまたはラクテートデヒドロゲナーゼといったアデニル含有補因子依存性酵素のアフィニティークロマトグラフィー精製で長く使用されている。しかしながら、前記担体からの成長ホルモンの溶出は、6Mウレアといったタンパク質変性剤を必要とする。
【0011】
上記当該技術分野で記載されているクロマトグラフィー材料は、実際にhGHの精製で使用することができる。しかしながら、合成アフィニティーリガンドを含み、更により少ない工程とより穏やかな溶出条件を含む精製方法を可能にする、hGHに対する高い特異性を有するクロマトグラフィー材料に対する必要性が未だ存在する。
【0012】
現在の組換えヒト成長ホルモン(rhHG)は、以下の各種の工程による発酵上清から精製できる:
【0013】
例えばUS5,268,277及びUS5,633,352に開示された方法といった、複数のクロマトグラフィー工程を利用する従来のクロマトグラフィー:
【0014】
例えばUS5,350,836に開示されたような、タンパク質リガンドを有するアフィニティー樹脂を利用するアフィニティークロマトグラフィー:または
【0015】
例えばUS5,760,187に開示されたような、合成小分子リガンドを有するアフィニティー樹脂を利用するアフィニティークロマトグラフィー。
【0016】
複数の工程を含む従来のクロマトグラフィーは、低い全体の収率、高いバッファーの消費、長い反応時間及び方法装置の大きい投資、過度の労力の一つ以上に苦慮している。
【0017】
タンパク質リガンドを有するアフィニティー樹脂は、選択性の増大、より高い収率、より低いバッファーの消費、及び方法装置の投資の減少を導いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】US5,047,333
【特許文献2】US4,332,717
【特許文献3】US6,117,996
【特許文献4】US5,760,187
【特許文献5】US5,268,277
【特許文献6】US5,633,352
【特許文献7】US5,350,836
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
しかしながら、タンパク質リガンドを有するアフィニティー樹脂は、製造が非常に高価であり、且つ小合成リガンドと比較して化学的及び構造的に不安定であり、タンパク質リガンドを有するアフィニティー樹脂の生産から、タンパク質リガンドまたは他の生物学的物質由来のタンパク質断片が、精製したrhGHに混在する危険を固有にはらんでいる。
【0020】
US5,760,187に開示されたもののような、ヒト成長ホルモンのアフィニティークロマトグラフィー用の最近報告された合成リガンドは、アフィニティー樹脂からタンパク質を放出するための強力なタンパク質変性剤の使用を必要とする。
【0021】
それゆえ、組換えヒト成長ホルモン(rhGH)の精製のためのより優れたアフィニティー樹脂に対する必要性が存在している
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は、新規なアフィニティー樹脂を使用する成長ホルモンポリペプチドの精製方法を提供する。本発明は、成長ホルモンポリペプチド、特にヒト成長ホルモン(hGH)、例えばrhGHに選択的であり、タンパク質リガンドに基づかず、且つ安価で塩基安定性である新規な合成アフィニティーリガンドを含むアフィニティー樹脂を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、AA1(上部)、AA2(中央)及びCA(下部)についての平均蛍光値(任意単位)を示すグラフである。
【図2】図2は、Fractogel Amino上のリガンド11(左図)及びFractogel Amino上のリガンド6(右図)の選択性試験から得られたSDS−PAGEのゲルの写真である。
【図3】図3は、リガンドL10を有するアフィニティー樹脂を使用した典型的な稼動を示すクロマトグラムを示すグラフである。
【図4】図4は、リガンドL10を有するアフィニティー樹脂を使用した精製のSDS−PAGEゲルの写真である。レーン1:Mark 12マーカー;レーン2:フロースルー;レーン3:溶出物(リガンドL10を有するアフィニティー樹脂);レーン4:精製hGH(アミノ酸伸張を欠く);レーン5:精密濾過された大腸菌細胞培養液。
【図5】図5は、Fractogel Amino Mに対するリガンドL10を使用するhGH回収由来の精密濾過物からのhGHのアフィニティー精製のクロマトグラムを示すグラフである。
【図6】図6は、リガンドL10を有するアフィニティー樹脂を使用した精製のSDS−PAGEゲルの写真である。レーン1(左から):タンパク質マーカーMark 12(Invitrogen);レーン2:フロースルー(フラクション1+2+3のプール、ゲル上に10μlのサンプル);レーン3:溶出物(フラクション6+7+8のプール、ゲル上に10μlのサンプル);レーン4:CIP(フラクション10+11+12のプール、ゲル上に10μlのサンプル);レーン5:参照精密濾過サンプル(×50の希釈)。
【図7】図7は、SDS−PAGEのレーン3に示されたプールされたフラクションのHPLCを示すグラフである。純度74%、Tr=22分でのhGH。
【図8】図8は、50mM BisTris、pH6.25のロードバッファーで得られたクロマトグラムを示すグラフである。
【図9】図9は、リガンドL10を有するアフィニティー樹脂を使用した精製のSDS−PAGEゲルの写真である。レーン1(左から):タンパク質マーカーMark 12(Invitrogen);レーン2:フロースルー(フラクション1+2+3のプール、ゲル上に10μlのサンプル);レーン3:溶出物(フラクション6+7+8のプール、ゲル上に10μlのサンプル);レーン4:CIP(フラクション10+11+12のプール、ゲル上に10μlのサンプル);レーン5:参照精密濾過サンプル(×50の希釈)。
【図10】図10は、プールされた溶出フラクション(フラクション6−8)のHPLCクロマトグラムを示すグラフである。Tr=21.5分でのhGH。
【図11】図11は、Fractogel上のリガンドL14を使用するhGHのアフィニティー精製から得られたクロマトグラムを示すグラフである。
【図12】図12は、リガンドL14を有するアフィニティー樹脂を使用した精製のSDS−PAGEゲルの写真である。ゲル分析:レーン1(左から):タンパク質マーカーMark 12(Invitrogen);レーン2:フロースルー(フラクション1+2のプール、ゲル上に10μlのサンプル);レーン3:溶出物(フラクション8のプール、ゲル上に10μlのサンプル);レーン4:溶出物(フラクション9のプール、ゲル上に10μlのサンプル);レーン5:溶出物(フラクション7+8+9のプール、ゲル上に10μlのサンプル);レーン6:CIP(フラクション16+17のプール、ゲル上に10μlのサンプル);レーン7:hGH参照;レーン8:参照精密濾過サンプル(×50の希釈)。
【図13】図13は、フラクション9の溶出物のHPLCクロマトグラムを示すグラフである。
【図14】図14は、Fractogel上のリガンドL16を使用するhGHのアフィニティー精製から得られたクロマトグラムを示すグラフである。
【図15】図15は、リガンドL16を有するアフィニティー樹脂を使用した精製のSDS−PAGEゲルの写真である。レーン1:タンパク質マーカーMark 12(Invitrogen);レーン2:フロースルー(フラクション1+2のプール、ゲル上に10μlのサンプル);レーン3:溶出物(フラクション7+8のプール、ゲル上に10μlのサンプル);レーン4:溶出物(フラクション9のプール、ゲル上に10μlのサンプル);レーン5:溶出物(フラクション7+8+9のプール、ゲル上に10μlのサンプル);レーン6:CIP(フラクション16+17のプール、ゲル上に10μlのサンプル);レーン7:hGH参照;レーン8:参照精密濾過サンプル(×50の希釈)。
【図16】図16は、プールされた溶出物フラクション7,8及び9のHPLCクロマトグラムを示すグラフである。
【図17】図17は、Fractogel上のリガンドL14を使用するハイパーグリコシル化hGHのアフィニティー精製から得られたクロマトグラムを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、成長ホルモンポリペプチドの精製方法を提供する。
【0025】
本発明は、リガンドが成長ホルモンポリペプチドの特異的結合パートナーであり、それ故前記ポリペプチドの精製に使用できる、アフィニティーリガンドとアフィニティー樹脂の使用を含む、成長ホルモン(GH)ポリペプチドの精製方法を開示する。
【0026】
従って、本発明の一つの実施態様は、
(a)成長ホルモンポリペプチドの一部のアフィニティー樹脂への結合を容易にする条件下で、成長ホルモンポリペプチドをアフィニティー樹脂と接触させる工程;
(b)結合した成長ホルモンポリペプチドを含む前記アフィニティー樹脂を、洗浄バッファーで任意に洗浄する工程;及び
(c)成長ホルモンポリペプチドを含む前記アフィニティー樹脂を溶出バッファーで溶出し、溶出物として精製成長ホルモンポリペプチドを回収する工程
を含む、成長ホルモンポリペプチドの精製方法に関する。
【0027】
本発明の一つの実施態様では、アフィニティー樹脂は、一般式(I)のリガンドを共有結合で固定化している固相材料である:
【化3】
[式中、
i=1,2,・・・,m、及びj=1,2,・・・,n;
m及びnは独立に0−3の範囲の整数であり、但しn+mの合計は1−4の範囲内である;
p、q及びrは独立に0−6の範囲の整数である;
A11,・・・,A1m及びA21,・・・,A2nは独立に、α−アミノ酸部分、β−アミノ酸部分、α−アミノスルホン酸部分、及びβ−アミノスルホン酸部分から選択される;
Z1及びZ2は独立に、水素、C1−6アルキル、カルボン酸部分(Z−C(=O)−)、及びスルホン酸部分(Z−S(=O)2−)から選択され、Zは水素、任意に置換されたC1−12アルキル、任意に置換されたC3−12シクロアルキル、任意に置換されたC1−12アルケニル、任意に置換されたC1−12アルキニル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、及び任意に置換されたヘテロシクリルから選択される;
R1及びR2は独立に、水素及びC1−6アルキルから選択される;
Xは直接のまたはリンカーを介した固相材料に対するリガンドの結合のための基であり、Xはカルボン酸(−COOH)、カルボン酸エステル(−COOR)、カルボン酸無水物(−COOCOR)、カルボン酸ハライド(−COHal)、スルホン酸(−S(=O)2OH)、スルホニルクロリド(−S(=O)2Cl)、チオール(−SH)、ジスルフィド(−S−S−R)、ヒドロキシ(−OH)、アルデヒド(C(=O)H)、エポキシド(−CH(O)CH2)、シアニド(−CN)、ハロゲン(−Hal)、第一級アミン(−NH2)、第二級アミン(−NHR)、ヒドラジド(−NH=NH2)、及びアジド(−N3)から選択され、Rは任意に置換されたC1−12アルキルから選択され、Halはハロゲンである;及び
前記リガンドの全分子量(「X」といずれかのリンカーを除く)は200−2000g/molである]。
【0028】
驚くべきことに、例えばα,ω−ジアミノカルボン酸、及び同種のタイプ、例えばα,β−ジアミノプロピオン酸(p=1、q=r=0)、α,γ−ジアミノ酪酸、及びα,δ−ジアミノペントン酸、特にα,β−ジアミノプロピオン酸(p=1、q=r=0)に基づく足場が、hGHポリペプチドに対する優れた結合特性を有し、例えば細胞培養上清または血漿中に存在する他のタンパク質と比較して、hGHポリペプチドに対する特異的な結合を更に示す興味深いリガンドのクラスを与えることが見出された。
【0029】
更に、上記仮説によって支持される通り、「X」及びいずれかのリンカーを除くリガンドは好ましくは、200Daより大きい、例えば300Daより大きい、例えば400Daより大きい、例えば500Daより大きい、例えば600Daより大きい、例えば700Daより大きい、例えば800Daより大きい分子量を有する。それに独立して前記リガンドは、5000Da未満、例えば4000Da未満、例えば3000Da未満、例えば2500Da未満、例えば2000Da未満、例えば1500Da未満、例えば1000Da未満の分子量を有する。
【0030】
本発明の一つの実施態様では、Z1−(A1i)m−N(R1)−及びZ2−(A2j)n−N(R2)−の各々は、50−500g/molの分子量の有機部分を表し、リガンドの全分子量は250−1500g/mol、例えば300−1200g/mol、例えば350−1000g/molである。
【0031】
本発明の一つの実施態様では、A11,・・・,A1m及びA21,・・・,A2nはα−アミノ酸部分及びβ−アミノ酸部分から独立に選択され、特にα−アミノ酸部分から独立に選択される。
【0032】
本発明の一つの実施態様では、A11,・・・,A1m及びA21,・・・,A2nは、L型及びD型のいずれかのTyr、Phe、Arg、Trp、Ile、Pro、Thr、Lys、Gln、Asn及びAspのアミノ酸から独立に選択される。
【0033】
本発明の一つの実施態様では、A11,・・・,A1m及びA21,・・・,A2nは、D−Tyr、D−Phe、D−Arg、D−Trp、D−Ile、D−Pro、D−Thr、D−Lys、D−Gln、D−Asn及びD−Aspから独立に選択される。
【0034】
本発明の一つの実施態様では、A11,・・・,A1m及びA21,・・・,A2nは、L−Tyr、L−Phe、L−Arg、L−Trp、L−Ile、L−Pro、L−Thr、L−Lys、L−Gln、L−Asn及びL−Aspから独立に選択される。
【0035】
本発明の一つの実施態様では、A11,・・・,A1m及びA21,・・・,A2nの少なくとも一つは、L−Tyr、L−Phe、L−Arg、L−Trp、L−Ile、L−Pro、L−Thr、L−Lys、L−Gln、L−Asn及びL−Aspから独立に選択される。
【0036】
本発明の一つの実施態様では、A11,・・・,A1m及びA21,・・・,A2nは、Arg、Phe、Ile及びTyrから選択される少なくとも一つのアミノ酸部分を含み、特にL−Arg、L−Phe及びL−Ileから選択される少なくとも一つのアミノ酸部分を含む。
【0037】
本発明の一つの実施態様では、Z1及びZ2は、水素、C1−6アルキル、カルボン酸部分、及びスルホン酸部分から独立に選択される。
【0038】
本発明の一つの実施態様では、Z1及びZ2は、少なくとも一つのカルボン酸部分またはスルホン酸部分からを含む、特に少なくとも一つのカルボン酸部分を含む。
【0039】
本発明の別の実施態様では、Z1及びZ2は、水素、C1−6アルキル、キサンテン−9−イルカルボニル、5−メチル−2−フェニル−2H−1,2,3−トリアゾール−4−イルカルボニル、3−アミノ−(フェニルスルホニル)−チオフェン−2−イルカルボニル、(+/−)−3−オキソ−1−インダニルカルボニル、5,6,7,8−テトラヒドロアクリジン−9−イルカルボニル、及び2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イルカルボニルから独立に選択される。
【0040】
特に好ましい例は、以下に与えられた表から選択される(対応するカルボン酸の構造が明確化のために提供される):
【0041】
【化4−1】
【化4−2】
【0042】
本発明の一つの実施態様では、Z1は1,2,3,4−テトラヒドロアクリジン−9−イルカルボニル、キサンテン−9−イルカルボニル、2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イルカルボニル、及び3−オキソ−インダン−1−イルカルボニルから選択される。
【0043】
本発明の一つの実施態様では、Z1は三環式へテロ芳香族基を含み、例えばZ1は5,6,7,8−テトラヒドロアクリジン−9−イルカルボニル、またはキサンテン−9−イルカルボニルである。
【0044】
本発明の一つの実施態様では、アミノ酸/アミノスルホン酸の数に関して、nは好ましくは0−2、例えば0−1、特に0であり、mは好ましくは1−3、例えば2−3、特に2である。n+mの合計は好ましくは2−4、例えば2−3、特に2または3である。
【0045】
本発明の一つの実施態様では、nが0である場合、Z2は好ましくはカルボン酸部分及びスルホン酸部分から選択される。更に、mが0である場合、Z1は好ましくはカルボン酸部分及びスルホン酸部分から選択される。
【0046】
本発明の一つの実施態様では、足場中の炭素原子の数に関して、pは好ましくは0−3、例えば0−2、例えば1−2、特に2であり、qは好ましくは0−3、例えば0−2、特に0または1である。p+qの合計は好ましくは1−7、例えば2−5、特に2または3である。それと独立に、rは好ましくは0−6、例えば0−4、例えば0−2、特に0または1、とりわけ0である。
【0047】
本発明の一つの実施態様では、足場中の炭素原子の数に関するさらなる変形例では、(p,q)は(0,1)、(0,2)、(0,3)、(0,4)、(1,0)、(2,0)、(3,0)、または(4,0)である。
【0048】
本発明の一つの実施態様では、rの変形例は好ましくは0である。
【0049】
本発明の一つの実施態様では、Xは、直接またはリンカーを介して(更に以下参照)、固相材料にリガンドを結合させるために使用される反応基である。好ましい実施態様では、前記リンカーは−CON(R)−(特に−NHCO−)セグメントを介して足場に結合され、固相ペプチド合成から既知の標準的な方法体系によりリガンドを調製可能とするため、前記カルボニルは「X」を表す足場の一部である。
【0050】
本発明の一つの実施態様では、Xはカルボン酸(−COOH)、カルボン酸エステル(−COOR)、カルボン酸無水物(−COOCOR)、カルボン酸ハライド(−COHal)、スルホン酸(−S(=O)2OH)、スルホニルクロリド(−S(=O)2Cl)、チオール(−SH)、ジスルフィド(−S−S−R)、ヒドロキシ(−OH)、アルデヒド(C(=O)H)、エポキシド(−CH(O)CH2)、シアニド(−CN)、ハロゲン(−Hal)、第一級アミン(−NH2)、第二級アミン(−NHR)、ヒドラジド(−NH=NH2)、及びアジド(−N3)から選択され、Rは任意に置換されたC1−12アルキルから選択され、Halはハロゲンである。
【0051】
本発明の一つの実施態様では、XはCOOHである。
【0052】
本発明の一つの実施態様では、リンカーを任意に介して結合した一般式(I)のリガンドを有する固相材料を含むアフィニティー樹脂であって、式中、
A21,・・・,A2nが、Tyr、Phe、Arg、Trp、Ile、Pro、Thr、Lys、Gln、Asn及びAsp、特にL−Tyr、L−Phe、L−Arg、L−Trp、L−Ile、L−Pro、L−Thr、L−Lys、L−Gln、L−Asn及びL−Aspから独立に選択され;
Z1が水素、C1−6アルキル、キサンテン−9−カルボニル、2−アミノニコチニル、2−キナルジンカルボニル、4,8−ジヒドロキシ−2−キノリンカルボニル、4−キノリンカルボニル、5−メチル−2−ニトロベンゾイル、2−(ベンゾイミダゾリルチオ)アセチル、5−メチル−2−フェニル−2H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボニル、6−ヒドロキシ−2−ナフトイル、4,7−ジメチルピラゾロ[5,1−c][1,2,4]トリアジン−3−カルボニル、3−アミノ−4−(フェニルスルホニル)−2−チオフェンカルボニル、(+/−)−3−オキソ−1−インダンカルボニル、5,6,7,8−テトラヒドロアクリジン−9−カルボニル、2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−カルボニル、5−(4−メチル−2−ニトロフェニル)フロイル、1−シクロヘキシル−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボニル、キノキサリン−6−カルボニル、及び4−メチル−2−フェニルピリミジン−5−カルボニルから選択され;
Z2がHであり;
R1及びR2が水素及びC1−6アルキルから独立に選択され;
m=0、n=2、p=1、q=0、r=0
であるアフィニティー樹脂が好ましい。
【0053】
本発明の一つの実施態様では、リンカーを任意に介して結合した一般式(I)のリガンドを有する固相材料を含むアフィニティー樹脂であって、式中、
A21,・・・,A2nが、Tyr、Phe、Arg、Trp、Ile、Pro、Thr、Lys、Gln、Asn及びAsp、特にL−Tyr、L−Phe、L−Arg、L−Trp、L−Ile、L−Pro、L−Thr、L−Lys、L−Gln、L−Asn及びL−Aspから独立に選択され;
Z1が水素、C1−6アルキル、キサンテン−9−イルカルボニル、5−メチル−2−フェニル−2H−1,2,3−トリアゾール−4−イルカルボニル、3−アミノ−(フェニルスルホニル)−チオフェン−2−イルカルボニル、(+/−)−3−オキソ−1−インダニルカルボニル、5,6,7,8−テトラヒドロアクリジン−9−イルカルボニル、及び2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イルカルボニルから選択され;
Z2がHであり;
R1及びR2が水素及びC1−6アルキルから独立に選択され;
m=0、n=2、p=1、q=0、r=0
であるアフィニティー樹脂が好ましい。
【0054】
本発明の一つの実施態様では、リガンドは以下の一般式(II)を有する:
【化5】
[式中、Z1、Z2、A21及びA22は、一般式(I)について上述した通りであり、この一般式について記載された実施態様を含む]。
【0055】
特に好ましい一般式(II)のリガンドは、式中、
Z1がZ−C(=O)−であり、Zが任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、及び任意に置換されたヘテロシクリルから選択され;
Z2が水素及びZ−C(=O)−から選択され、Zが任意に置換されたC1−12アルキル、任意に置換されたC3−12シクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、及び任意に置換されたヘテロシクリルから選択され;
A21及びA22の各々がα−アミノ酸及びβ−アミノ酸から独立に選択される
ものである。
【0056】
本発明の一つの実施態様では、式中、A21がアルギニン、フェニルアラニン、チロシン、イソロイシン、及びリジンから好ましくは選択され、A22がアルギニン、フェニルアラニン、イソロイシン、プロリン、チロシン、及びトリプトファンから選択される、一般式(II)を有する。
【0057】
本発明の一つの実施態様では、一般式(II)のリガンドは、好ましくは一般式(III):
【化6】
[式中、R’及びR”はα−アミノ酸の側鎖から独立に選択され、R’’’は任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、及び任意に置換されたヘテロシクリルからなる群から選択される]
を有する。
【0058】
本発明の一つの実施態様では、前記リガンドは、以下のリガンド番号(1)−(16)から選択される構造を有する。
【0059】
【化7−1】
【化7−2】
【化7−3】
【化7−4】
【化7−5】
【化7−6】
【化7−7】
【0060】
更に好ましい実施態様では、前記リガンドは、式中、Z1及びZ2が水素、C1−6アルキル、5,6,7,8−テトラヒドロアクリジン−9−カルボニル、及び2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−カルボニルから独立に選択される、一般式(I)を有する。
【0061】
ここに記載されたリガンドは、ここでの記載または表現から明らかな通り、いずれかのまたは全ての非対称の原子での濃縮または分解光学異性体を含む。ラセミ混合物及びジアステレオマー混合物の両者、並びに個々の光学異性体は、そのエナンチオマーまたはジアステレオマーカウンターパートを実質的に含まないように単離または合成することができ、これらは全て本発明の範囲内に存在する。
【0062】
定義
「α−アミノ酸部分」は、アミノ基がα−炭素に共有結合している天然に存在する及び合成のアミノ酸(必須アミノ酸を含む)を指す。本発明のリガンドに存在する場合、α−アミノ酸部分は−N(R)−X−C(=O)−断片として存在し、Xはα−炭素及びいずれかの側鎖を表す。
【0063】
「β−アミノ酸部分」は、アミノ基がβ−炭素に共有結合している天然に存在する及び合成のアミノ酸を指す。本発明のリガンドに存在する場合、β−アミノ酸部分は−N(R)−X−C(=O)−断片として存在し、Xはα−及びβ−炭素及びいずれかの側鎖を表す。
【0064】
「α−アミノスルホン酸部分」は、カルボニル基(−C(=O)−)がスルホン基(−S(=O)2−)で置換されている「α−アミノ酸部分」に対応する。本発明のリガンドに存在する場合、α−アミノスルホン酸部分は−N(R)−X−S(=O)2−断片として存在し、Xはα−炭素及びいずれかの側鎖を表す。
【0065】
「β−アミノスルホン酸部分」は、カルボニル基(−C(=O)−)がスルホン基(−S(=O)2−)で置換されている「β−アミノ酸部分」に対応する。本発明のリガンドに存在する場合、β−アミノスルホン酸部分は−N(R)−X−S(=O)2−断片として存在し、Xはα−及びβ−炭素及びいずれかの側鎖を表す。
【0066】
用語「必須アミノ酸」は、20の遺伝的にコードされたL−α−アミノ酸及びその立体異性体D−α−アミノ酸のいずれか一つを指す。それ故、本発明の範囲内の「アミノ酸部分」はその最も広い意味で使用され、その天然に存在するL−アミノ酸を含むように意味される。天然に存在するアミノ酸について一般的に使用される一文字及び三文字標記がここで使用される(Lehninger, Biochemistry, 第2版, pp, 71-92, Worth Publishers: New York, 1975)。この用語は更にD−アミノ酸(及びその残基)、並びに化学的に修飾されたアミノ酸、例えば通常タンパク質には取り込まれない天然に存在するアミノ酸を含むアミノ酸アナログ、例えばノルロイシン、並びにアミノ酸の特徴であると当該技術分野で既知の特性を有する化学的に合成された化合物を含む。
【0067】
「アミノ酸部分」として本発明によってリガンドに一般的に取り込まれることができるアミノ酸の例が以下に記載される:
【0068】
グリシル(GLY);アミノポリカルボン酸、例えばアスパラギン酸(ASP)、p−ヒドロキシアスパラギン酸、グルタミン酸(GLU)、β-ヒドロキシグルタミン酸、β−メチルアスパラギン酸、β−メチルグルタミン酸、β,β−ジメチルアスパラギン酸、γ−ヒドロキシグルタミン酸、β,γ−ジヒドロキシグルタミン酸、β−フェニルグルタミン酸、γ−メチレングルタミン酸、3−アミノアジピン酸、2−アミノピメリン酸、2−アミノスベリン酸及び2−アミノセバシン酸残基;グルタミン(GLN);アスパラギン(ASN);アルギニン(ARG)、リジン(LYS)、β−アミノアラニン、γ−アミノブチリン、オルニチン(ORN)、シトルリン、ホモアルギニン、ホモシトルリン、5−ヒドロキシ−2,6−ジアミノヘキサン酸、ジアミノ酪酸;ヒスチジン(HIS);α, α’−ジアミノコハク酸、α, α’−ジアミノグルタル酸、α, α’−ジアミノアジピン酸、α, α’−ジアミノピメリン酸、α, α’−アジミノ−β−ヒドロキシピメリン酸、α, α’−ジアミノスベリン酸、α, α’−ジアミノアゼライン酸、及びα, α’−ジアミノセバシン酸残基;プロリン(PRO);4−または3−ヒドロキシ−2−ピロリジンカルボン酸、γ−メチルピロリン、ピペコリン酸、5−ヒドロキシピペコリン酸、−N[CH2]2−CO−、アゼチジン−2−カルボン酸;アラニン(ALA)、バリン(VAL)、ロイシン(LEU),アリルグリシン、ブチリン、ノルバリン、ノルロイシン(NLE)、ヘプチリン、α−メチルセリン、α−アミノ−α−メチル−γ−ヒドロキシ吉草酸。α−アミノ−α−メチル−6−ヒドロキシ吉草酸、α−アミノ−α−メチル−ε−ヒドロキシカプロン酸、イソバリン、α−メチルグルタミン酸、α−アミノイソ酪酸、α−アミノジエチル酢酸、α−アミノジイソプロピル酢酸、α−アミノジ−n−プロピル酢酸、α−アミノジイソブチル酢酸、α−アミノジ−n−ブチル酢酸、α−アミノエチルイソプロピル酢酸、α−アミノ−n−プロピル酢酸、α−アミノジイソアミ酢酸、α−メチルアスパラギン酸、α−メチルグルタミン酸、1−アミノシクロプロパン−1−カルボン酸;イソロイシン(ILE)、アロイソロイシン、tert−ロイシン、β−メチルトリプトファン;α−アミノ−α−フェニルプロピオン酸;β−フェニルセリニル;セリン(SER)、β−ヒドロキシロイシン、β−ヒドロキシノルロイシン、β−ヒドロキシノルバリン、α−アミノ−α−ヒドロキシステアリン酸;ホモセリン、γ−ヒドロキシノルバリン、δ-ヒドロキシノルバリン、ε−ヒドロキシノルロイシン;カナビニル、カナリニル;γ−ヒドロキシオルニチニル;2−ヘキソサミン酸、D−グルコサミン酸、D−ガラクトサミン酸;α−アミノ−β−チオール、ペニシルアミン、β−チオールノルバリン、β−チオールブチリン;システイン(CYS);ホモシステイン;β−フェニルメチオニン;メチオニン(MET);S−アリル−(L)−システインスルホキシド;2−チオールヒスチジン;シスタチオニン;フェニルアラニン(PHE)、トリプトファン(TRP)、α−アミノフェニル酢酸、α−アミノシクロヘキシル酢酸、α−アミノ−β−シクロヘキシルプロピオン酸;アリール−、C1−6−アルキル−、ヒドロキシ−、ハロゲン−、グアニジン−、オキシアルキルエーテル−、ニトロ−、サルファー−、またはハロ−置換フェニル(例えばチロシン(TYR)、メチルチロシン、及びo−クロロ−、p−クロロ−、3,4−ジクロロ−、o−、m−、またはp−メチル−、2,4,6−トリメチル−、2−エトキシ−5−ニトロ−、2−ヒドロキシ−5−ニトロ−、及びp−ニトロ−フェニルアラニン);フリル−、チエニル−、ピリジル−、ピリミジニル−、プリンまたはナフチルアラニン;キヌレニン、3−ヒドロキシキヌレニン、2−ヒドロキシトリプトファン、4−カルボキシトリプトファン;サルコシン(N−メチルグリシン;SAR)、N−ベンジルグリシン、N−メチルアラニン、N−ベンジルアラニン、N−メチルフェニルアラニン、N−ベンジルフェニルアラニン、N−メチルバリン、及びN−ベンジルバリン;トレオニン(THR)、アロトレオニン、ホスホセリン、ホスホトレオニン。
【0069】
用語「α−アミノ酸の側鎖」は、上記開示されたアミノ酸の側鎖を構成する基を指す。典型的にそのような側鎖は、水素(グリシンを表す)、メチル(アラニン)、2−プロピル(バリン)、2−メチル−1−プロピル(ロイシン)、2−ブチル(イソロイシン)、メチルチオエチル(メチオニン)、ベンジル(フェニルアラニン)、3−インドリルメチル(トリプトファン)、ヒドロキシメチル(セリン)、1−ヒドロキシエチル(トレオニン)、メルカプトメチル(システイン)、4−ヒドロキシベンジル(チロシン)、アミノカルボニルメチル(アスパラギン)、2−アミノカルボニルエチル(グルタミン)、カルボキシメチル(アスパラギン酸)、2−カルボキシエチル(グルタミン酸)、4−アミノ−1−ブチル(リジン)、3−グアニジノ−1−プロピル(アルギニン)、及び4−イミダゾリルメチル(ヒスチジン)、または介在する炭素と隣接する窒素原子とが一緒になってピロリジン環を形成する側鎖(プロリン)から選択される。
【0070】
「α−アミノスルホン酸部分」は、カルボニル酸素(=O)が硫黄(=S)に置換されている「α−アミノ酸部分」を指す。「β−アミノスルホン酸部分」は、カルボニル酸素(=O)が硫黄(=S)に置換されている「β−アミノ酸部分」を指す。
【0071】
ここでの文脈で、用語「C1−12アルキル」及び「C1−6アルキル」は、それぞれ1から12の炭素原子、及び1から6の炭素原子を有する直鎖状、環状、または分枝状の炭化水素基、例えばメチル、エチル、プロピル、イソ−プロピル、ペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシルを企図する。用語「C1−4アルキル」は、1から4の炭素原子を有する直鎖状、環状、または分枝状の炭化水素基、例えばメチル、エチル、プロピル、イソ−プロピル、シクロプロピル、ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル、シクロブチルを企図する。
【0072】
用語「C3−12シクロアルキル」は、用語「C1−12アルキル」によって包含されるが、特にエキソ−サイクリック原子を有するアルキル基を含む一環式及び二環式カウンターパート、例えばシクロヘキシルメチルを指す。
【0073】
同様に、用語「C2−12アルケニル」及び用語「C2−6アルケニル」は、それぞれ2から12の炭素原子、及び2から6の炭素原子を有し、(少なくとも)一つの不飽和結合を含む直鎖状、環状、または分枝状の炭化水素基を包含するように企図される。アルケニル基の例は、ビニル、アリル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ヘプタデカエニルである。アルケニルの好ましい例は、ビニル、アリル、ブテニル、特にアリルである。
【0074】
用語「C3−12シクロアルケニル」は、用語「C2−12アルケニル」によって包含されるが、特にエキソ−サイクリック原子を有するアルケニル基を含む一環式及び二環式カウンターパート、例えばシクロヘキセニルメチルを指す。
【0075】
同様に、用語「C2−12アルキニル」及び用語「C2−6アルキニル」は、それぞれ2から12の炭素原子、及び2から6の炭素原子を有し、(少なくとも)一つの三重結合を含む直鎖状、環状、または分枝状の炭化水素基を包含するように企図される。
【0076】
用語「C1−6アルコシキ」は、「C1−6アルキル−O」を意味するように企図される。
【0077】
ここでの文脈で、即ち用語「アルキル」、「アルコキシ」、「アルケニル」、「アルキニル」等と関連して、用語「任意に置換された」は、問題となる基が、ヒドロキシ(不飽和炭素原子に結合した際、互変異性のケト形態で存在しても良い)、C1−6アルコキシ(即ちC1−6アルキル−オキシ)、C2−6アルケニルオキシ、カルボキシ、オキソ(ケトまたはアルデヒド官能性を形成する)、C1−6アルコキシカルボニル、C1−6アルキルカルボニル、ホルミル、アリール、アリールオキシ、アリールアミノ、アリールカルボニル、アリールオキシカルボニル、アリールカルボニルオキシ、アリールアミノカルボニル、アリールカルボニルアミノ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールアミノ、ヘテロアリールカルボニル、ヘテロアリールオキシカルボニル、ヘテロアリールカルボニルオキシ、ヘテロアリールアミノカルボニル、ヘテロアリールカルボニルアミノ、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルアミノ、ヘテロシクリルカルボニル、ヘテロシクリルオキシカルボニル、ヘテロシクリルカルボニルオキシ、ヘテロシクリルアミノカルボニル、ヘテロシクリルカルボニルアミノ、アミノ、モノ及びジ(C1−6アルキル)アミノ、−N(C1−4アルキル)3+、カルバモイル、モノ及びジ(C1−6アルキル)アミノカルボニル、C1−6アルキルカルボニルアミノ、シアノ、グアニジノ、C1−6アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、ヘテロアリールスルホニルアミノ、C1−6アルカノイルオキシ、C1−6アルキルスルホニル、C1−6アルキルスルフィニル、C1−6アルキルスルホニルオキシ、ニトロ、C1−6アルキルチオ、及びハロゲンから選択される基で、一回または数回、好ましくは1−3回置換されて良いことを意味するように企図され、ここでいずれかのアリール、ヘテロアリール及びヘテロシクリルは、アリール、ヘテロアリール及びヘテロシクリル、及びいずれかのアルキル、アルコキシ等について以下に特に記載されるように置換されても良く、置換基はヒドロキシ、C1−6アルコキシ、アミノ、モノ及びジ(C1−6アルキル)アミノ、カルボキシ、C1−6アルキルカルボニルアミノ、C1−6アルキルアミノカルボニル、またはハロゲンで置換されても良いことを表す。
【0078】
典型的に置換基は、ヒドロキシ(不飽和炭素原子に結合した際、互変異性のケト形態で存在しても良い)、C1−6アルコキシ(即ちC1−6アルキル−オキシ)、C2−6アルケニルオキシ、カルボキシ、オキソ(ケトまたはアルデヒド官能性を形成する)、C1−6アルキルカルボニル、ホルミル、アリール、アリールオキシ、アリールアミノ、アリールカルボニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールアミノ、ヘテロアリールカルボニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルアミノ、ヘテロシクリルカルボニル、アミノ、モノ及びジ(C1−6アルキル)アミノ、カルバモイル、モノ及びジ(C1−6アルキル)アミノカルボニル、アミノ−C1−6アルキルアミノカルボニル、モノ及びジ(C1−6アルキル)アミノ−C1−6アルキル−アミノカルボニル、C1−6アルキルカルボニルアミノ、グアニジノ、カルバミド、C1−6アルキルスルホニルアミノ、C1−6アルキルスルホニル、C1−6アルキルスルフィニル、C1−6アルキルチオ、及びハロゲンから選択され、ここでいずれかのアリール、ヘテロアリール及びヘテロシクリルは、アリール、ヘテロアリール及びヘテロシクリルについて以下に特に記載されるように置換されても良い。
【0079】
いくつかの実施態様では、置換基は、ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、アミノ、モノ及びジ(C1−6アルキル)アミノ、カルボキシ、C1−6アルキルカルボニルアミノ、C1−6アルキルアミノカルボニル、またはハロゲンから選択される。
【0080】
用語「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、及びヨードを含む。
【0081】
ここでの文脈で、用語「アリール」は、完全にまたは部分的に芳香族の炭素環または環系、例えばフェニル、ナフチル、1,2,3,4−テトラヒドロナフチル、ビフェニル、アントラシル、フェナントラシル、ピレニル、ベンゾピレニル、フルオレニル、及びキサンテニルを意味するように企図し、その中でもフェニルが好ましい例である。
【0082】
用語「ヘテロアリール」は、一つ以上の炭素原子がヘテロ原子、例えば窒素(=N−または−NH−)、硫黄、及び/または酸素原子で置換されている完全にまたは部分的に芳香族の炭素環または環系を意味するように企図する。そのようなヘテロアリールの例は、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、クマリル、フラニル、チエニル、キノリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾジアゾリル、ベンゾオキソゾリル、フタラジニル、フタラニル、トリアゾリル、テトラゾリル、イソキノリル、アクリジニル、カルバゾリル、ジベンザゼピニル、インドリル、ベンゾピラゾリル、フェノキサゾニルである。特に興味深いヘテロアリール基は、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、フリル、チエニル、キノリル、トリアゾリル、テトラゾリル、イソキノリル、インドリル、特にベンジイミダゾリル、ピロリル、イミダゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、フリル、チエニル、キノリル、テトラゾリル、及びイソキノリルである。
【0083】
用語「ヘテロシクリル」は、一つ以上の炭素原子がヘテロ原子、例えば窒素(=N−または−NH−)、硫黄、及び/または酸素原子で置換されている非芳香族の炭素環または環系を意味するように企図する。そのようなヘテロシクリル基(環に従って命名される)の例は、イミダゾリジン、ピペラジン、ヘキサヒドロピリダジン、ヘキサヒドロピリミジン、ジアゼパン、ジアゾカン、ピロリジン、ピペリジン、アセパン、アゾカン、アジリジン、アジリン、アゼチジン、ピロリン、トロパン、オキサジナン(モルホリン)、アゼピン、ジヒドロアゼピン、テトラヒドロアゼピン、及びヘキサヒドロアゼピン、オキサゾラン、オキサゼパン、オキサゾカン、チアゾラン、チアジナン、チアゼパン、チアゾカン、オキサゼタン、ジアゼタン、チアゼタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、オキセパン、テトラヒドロチオフェン、テトラヒドロチオピラン、チエパン、ジチアン、ジチエパン、ジオキサン、ジオキセパン、オキサチアン、オキサチエパンである。最も興味深い例は、テトラヒドロフラン、イミダゾリジン、ピペラジン、ヘキサヒドロピリダジン、ヘキサヒドロピリミジン、ジアゼパン、ジアゾカン、ピロリジン、ピペリジン、アセパン、アゾカン、アゼチジン、トロパン、オキサジナン(モルホリン)、オキサゾラン、オキサゼパン、チアゾラン、チアジナン、及びチアゼパン、特にテトラヒドロフラン、イミダゾリジン、ピペラジン、ヘキサヒドロピリダジン、ヘキサヒドロピリミジン、ジアゼパン、ピロリジン、ピペリジン、アセパン、オキサジナン(モルホリン)、及びチアジナンである。
【0084】
ここでの文脈で、即ち用語「アリール」、「ヘテロアリール」、「ヘテロシクリル」等(例えば「アリールオキシ」、「ヘテロアリールカルボニル」等)に関連して、用語「任意に置換された」は、問題となる基が、ヒドロキシ(エノール系に存在する際、互変異性のケト形態で存在しても良い)、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C2−6アルケニルオキシ、オキソ(互変異性のエノール形態で表されても良い)、オキシド(N−オキシドとしてのみ関連する)、カルボキシ、C1−6アルコキシカルボニル、C1−6アルキルカルボニル、ホルミル、アリール、アリールオキシ、アリールアミノ、アリールオキシカルボニル、アリールカルボニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアミノ、アミノ、モノ及びジ(C1−6アルキル)アミノ、カルバモイル、モノ及びジ(C1−6アルキル)アミノカルボニル、アミノ−C1−6アルキルアミノカルボニル、モノ及びジ(C1−6アルキル)アミノ−C1−6アルキル−アミノカルボニル、C1−6アルキルカルボニルアミノ、シアノ、グアニジノ、カルバミド、C1−6アルキルアルカノイルオキシ、C1−6アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、ヘテロアリールスルホニルアミノ、C1−6アルキルスルホニル、C1−6アルキルスルフィニル、C1−6アルキルスルホニルオキシ、ニトロ、スルファニル、アミノ、アミノスルホニル、モノ及びジ(C1−6アルキル)アミノスルホニル、ジハロゲン−C1−4アルキル、トリハロゲン−C1−4アルキル、ハロゲンから選択される基で、一回または数回、好ましくは1−5回、特に1−3回置換されて良いことを意味するように企図され、ここで置換基を表すアリール及びヘテロアリールは、C1−4アルキル、C1−6アルコキシ、ニトロ、シアノ、アミノ、またはハロゲンで1−3回置換されても良く、及び置換基を表すいずれかのアルキル、アルコキシ等は、ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、C2−6アルケニルオキシ、アミノ、モノ及びジ(C1−6アルキル)アミノ、カルボキシ、C1−4アルキルカルボニルアミノ、ハロゲン、C1−6アルキルチオ、C1−6アルキルスルホニルアミノ、またはグアニジノで置換されても良い。
【0085】
典型的に置換基は、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、オキソ(互変異性のエノール形態で表されても良い)、カルボキシ、C1−6アルキルカルボニル、ホルミル、アリール、アミノ、モノ及びジ(C1−6アルキル)アミノ、カルバモイル、モノ及びジ(C1−6アルキル)アミノカルボニル、アミノ−C1−6アルキルアミノカルボニル、C1−6アルキルカルボニルアミノ、グアニジノ、カルバミド、C1−6アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、ヘテロアリールスルホニルアミノ、C1−6アルキルスルホニル、C1−6アルキルスルフィニル、C1−6アルキルスルホニルオキシ、スルファニル、アミノ、アミノスルホニル、モノ及びジ(C1−6アルキル)アミノスルホニル、またはハロゲンから選択され、ここで置換基を表すいずれかのアルキル、アルコキシ等は、ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、C2−6アルケニルオキシ、アミノ、モノ及びジ(C1−6アルキル)アミノ、カルボキシ、C1−4アルキルカルボニルアミノ、ハロゲン、C1−6アルキルチオ、C1−6アルキルスルホニルアミノ、またはグアニジノで置換されても良い。いくつかの実施態様では、置換基は、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、アミノ、モノ及びジ(C1−6アルキル)アミノ、スルファニル、カルボキシ、またはハロゲンから選択され、ここで置換基を表すいずれかのアルキル、アルコキシ等は、ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、C2−6アルケニルオキシ、アミノ、モノ及びジ(C1−6アルキル)アミノ、カルボキシ、C1−4アルキルカルボニルアミノ、ハロゲン、C1−6アルキルチオ、C1−6アルキルスルホニルアミノ、またはグアニジノで置換されても良い。
【0086】
カルボン酸部分は、Q−C(=O)−としてZ1及びZ2として含まれる部分を指し、ここでQは任意に置換されたC1−12アルキル、任意に置換されたC2−12アルケニル、任意に置換されたC2−12アルキニル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、及び任意に置換されたヘテロシクリルから選択される。
【0087】
スルホン酸部分は、Q−S(=O)2−としてZ1及びZ2として含まれる部分を指し、ここでQは任意に置換されたC1−12アルキル、任意に置換されたC2−12アルケニル、任意に置換されたC2−12アルキニル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、及び任意に置換されたヘテロシクリルから選択される。
【0088】
ここで使用される場合、用語「有機部分」(及び「有機部分類」)は、共有結合した一つ以上の炭素原子、及び一つ以上の水素(H)、酸素(O)、窒素(N)、硫黄(S)、臭素(Br)、塩素(Cl)、フッ素(F)、またはリン(P)原子を含む分子断片を意味するように企図される。
【0089】
本発明の特定の特徴点では、有機部分Z1−(A1i)m−N(R1)−及びZ2−(A2j)n−N(R2)−のそれぞれは、典型的に一般式CaHbOcNdSeBrfClgFhPiを有し、式中、0≦a≦15、0≦b≦2x+1、0≦c≦x、0≦d≦x、0≦e≦x、0≦f≦3x、0≦g≦3x、0≦h≦3x、0≦i≦x、及び50≦12a+b+16c+14d+32e+80f+35g+19h+31i≦500である。
【0090】
溶液または懸濁物
ここでの用語「溶液または懸濁物」は、成長ホルモンポリペプチド、特にヒト成長ホルモンポリペプチドを含む固体の塊及び/または液体の塊を意味するように企図する。用語「溶液または懸濁物」は、特に「大きな」体積または質量を指し、即ちラージスケール及び工業的なスケールでの方法から既知の体積及び質量を指すように意味する。
【0091】
成長ホルモンポリペプチドの「懸濁物または溶液」は典型的に、例えば細胞培養物、微生物的方法、クローン動物(例えばウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、及び魚)または昆虫等、特に細胞培養物または工業的スケールの生産方法から由来する。別法として、成長ホルモンポリペプチドの懸濁物または溶液は、血漿等から由来しても良い。
【0092】
成長ホルモンポリペプチドの懸濁物または溶液は典型的に、細胞、特に細胞培養物の溶解後に、あるいは細胞培養液から直接得られる。成長ホルモンポリペプチドを含む懸濁物または溶液は、所望されるまたは有益であれば、pH、イオン強度の変化によって、または二価金属イオンのキレート化等によって後に調節できる。
【0093】
本発明の一つの実施態様では、成長ホルモンポリペプチドを含む懸濁物または溶液は、事前の精製工程から直接、または所望されるまたは有益であれば、pH、イオン強度の変化、または二価金属イオンのキレート化等を後に有する事前の精製工程から得られる。
【0094】
リガンド
アフィニティー樹脂は、本発明の文脈で記載されるような成長ホルモンポリペプチドに対して高い特異性を有するリガンドを共有結合で固定化した固相材料(以下参照)である。
【0095】
ここで使用される場合、用語「リガンド」は、ここでの文脈で成長ホルモンポリペプチドであり得る標的化合物を結合できる分子を意味する。好ましくはリガンドは、少なくとも実質的に特異的な態様で問題となる成長ホルモンポリペプチドに結合すべきである(「特異的な結合」)。用語「一つ以上のリガンド」は、固相材料が一つのタイプを超えたそこに固定化されたリガンドを有しても良いという事実を指す。こう称されると、単一のタイプのリガンド(「一つのリガンド」)の固定化は典型的に、複数/多数の種類の同一のリガンドの固定化を含むであろう。
【0096】
ここでの文脈で、「特異的な結合」は、好ましくは結合した成長ホルモンポリペプチドの質量が、成長ホルモンポリペプチド以外の結合した分子の相対的質量よりも、少なくとも2倍、例えば50倍、例えば100倍、例えば1000倍以上大きいような、成長ホルモンポリペプチドに結合するリガンドの特性を指す。結合した化合物の相対質量は、結合した特異的バインダーの相対的質量=(特異的に結合した質量/結合した全化合物の質量)/(非特異的に結合した質量/結合した全化合物の質量)を意味する。
【0097】
アフィニティーリガンドは、サイト1として既知のhGHポリペプチドのhGHbp結合エピトープに結合するバーチャルコンビナトリアルスクリーニング法によってin silicoでデザインされた。前記リガンドは、hGHのサイト1エピトープ中のGlu56、Ile58、Thr60、Pro61、Ser62、Asn63、Arg64、Thr67、Gln68、Gln69、Lys168、Asp171、Lys172、Thr175、Phe176及びIle179の残基と相互作用するように特にデザインされている。hGHは、hGHポリペプチドの高アフィニティーのサイト1で初めに結合し、その後より低いアフィニティーのサイト2でhGHbpの第二の分子と結合し、2:1のレセプター−リガンドの複合体を形成することを通じてhGHのレセプター(hGHbp)と相互作用する(Walsh等, Proc. Natl. Acad. Sci. 2004, 101, 17078-17083)。サイト1でのhGHbpに対するhGHポリペプチドの結合アフィニティーは、hGHの二つのトリプトファン残基、主にTrp104とTrp169によって主として容易になり、両者はより大きいサイト1内の中央の疎水性パッチに位置している。これらの残基は、hGHに対する結合アフィニティーの大部分を説明し、hGHbpミュータントW104A及びW169Aは、それぞれ2500を超える因数まで野生型に対してアフィニティーを減少することを示す(Clackson等, J. Mol. Biol. 1998, 277, 1111-1128)。ここに記載されたリガンドは、hGHのTrp104及びTrp169と相互作用するサイト1の高アフィニティーパッチ、特にhGHのサイト1エピトープ中のGlu56、Ile58、Thr60、Pro61、Ser62、Asn63、Arg64、Thr67、Gln68、Gln69、Lys168、Asp171、Lys172、Thr175、Phe176及びIle179内に、数多くのコンビナトリアルに構築されたリガンドのコンピュータードッキングによるこれらの好ましい相互作用を模倣するようにデザインされている。
【0098】
固相材料
上述のように、アフィニティー樹脂は、一つ以上の合成リガンドを固定化している置換された固相材料である。固相材料(場合により、「マトリックス」または「ポリマーマトリックス」と称される)は、クロマトグラフィー目的とペプチド合成について従来使用されている広範囲の材料から原則として選択されて良い。そのような材料の例は以下に記載される。
【0099】
前記リガンドは、任意に架橋化された及び/またはビーズ状の形態またはモノリスの多孔物で、多孔性の無機マトリックスまたはポリマーマトリックスのような固相材料に共有結合で固定化される。好ましくはポリマーマトリックスの孔は、前記孔を通じて標的タンパク質が拡散し、孔の内側表面上のリガンドと相互作用するように十分に広い。約22kDaの分子量を有するGHポリペプチドについては、20−150nmの平均孔径が好ましく、例えば約75nmである。
【0100】
一つの実施態様では、ビーズ状の任意に架橋されたポリマーマトリックスは、複数の親水性部分を含む。親水性部分は、架橋した際に、架橋化ポリマーマトリックスを形成するポリマー鎖であることができる。例として、例えばポリエチレングリコール部分、ポリアミン部分、ポリビニルアミン部分、及びポリオール部分が含まれる。
【0101】
本発明の一つの実施態様では、ビーズ状ポリマーマトリックスの孔及び/または表面は、ポリビニル、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリスチレンポリエステル、及びポリアミドからなる群から選択されるポリマー材料を含む。
【0102】
ビーズ状ポリマーマトリックスは更に、PS、POEPS、POEPOP、SPOCC、PEGA、CLEAR、Expansin、Polyamide、Jandagel、PS−BDODMA、PS−HDODA、PS−TTEGDA、PS−TEGDA、GDMA−PMMA、PS−TRPGDA、ArgoGel、Argopore樹脂、ULTRAMIME、架橋化LUPAMINE、高性能PEGA、Silica、Fractogel、Sephadex、Sepharose、Glassビーズ、架橋化ポリアクリレート及び上述のものの誘導体からなる群から選択でき、特にポリマーマトリックスは、SPOCC、PEGA、HYDRA、POEPOP、PEG−アクリレートコポリマー、ポリエーテル−ポリアミンコポリマー、及び架橋化ポリエチレンジアミンからなる群から選択される。
【0103】
上述の例から離れて、ポリマーマトリックスを形成できるいずれかの材料は、本発明のビーズの生産において原則として使用できる。好ましくは、ビーズのコア材料はポリマー状である。いくつかの実施態様では、前記コアは、親水性ポリマー材料を含むまたはこれらからなる。他の実施態様では、前記コアは疎水性ポリマー材料を含むまたはこれらからなる。いくつかの実施態様では、ビーズの表面はコアと同じ材料を含むまたはこれらからなる。
【0104】
ラージスケールでの応用に有用な樹脂は、上述のものの一つ、またはSephadex(登録商標)、Sepharose(登録商標)、Fractogel(登録商標)、CIMGEL(登録商標)、Toyopearl(登録商標)、HEMA(登録商標)、架橋化アガロース、架橋化セルロース、他の架橋化された炭水化物に基づく樹脂、及び多孔性ポリスチレンまたはポリアクリレートといった他の樹脂であって良い。前記マトリックスは更に、主に無機性質を有するもの、例えば多孔性ガラス若しくはクレー材料、または樹脂と無機材料との組み合わせ、例えばCeramic HyperD(登録商標)若しくはシリカゲルであっても良い。
【0105】
本発明に係るポリマービーズは、スチレン、アクリレート、及び不飽和クロリド、エステル、アセテート、アミド及びアルコールを含み、ポリスチレン(高密度ポリスチレンラテックス、例えばブロミネート化ポリスチレンを含む)、ポリメチルメタクリレート、及び他のポリアクリル酸、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリアクロレイン、ポリジメチルシロキサン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリウレタン、ポリビニルアセテート、ポリビニルクロリド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルベンジルクロリド、ポリビニルトルエン、ポリビニリデンクロリド、及びポリビニルベンゼンをこれらに制限することなく含む、各種の重合化モノマーから調製できる。他の実施態様では、前記ビーズは、スチレンモノマーまたはPEGに基づくマクロモノマーから調製される。前記ポリマーは好ましい実施態様では、ポリエーテル、ポリビニル、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアシルアミド、ポリウレタン、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。特に好ましい表面及びコア部分は、架橋化PEG部分、ポリアミン部分、ポリビニルアミン部分、及びポリオール部分を含む。
【0106】
本発明の組成物のビーズの生産に使用される好ましい疎水性ポリマーは、PS−DVB(ポリスチレンジビニルベンゼン)である。PS−DVBは、固相ペプチド合成(SPPS)で広く使用されており、より最近では特定の有機分子のポリマー支持性の調製についての有用性が示されている(Adams等 (1998) J. Org. Chem. 63: 3706-3716)。正確に調製されると(Grotll等 (2000) J. Combi. Chem. 2: 108-119)、PS−DVB固相材料は、高ローディング、有機溶媒中での合理的な膨潤、及び物理的安定性といった化学合成についての優れた特性を示す。
【0107】
リンカー
上述のリガンドは、可能であればリンカーを介して固相材料に共有結合で固定化されている。好ましい実施態様では、リガンドは、ポリマーマトリックスに共有結合されているリンカーに共有結合される。固相材料にアフィニティーリガンドを結合するための一般的な方法は、Hermanson, Krishna及びSmith, Immobilized Affinity Ligand Techniques, Academic Press, 1992に見出すことができる。
【0108】
前記リンカーは、リガンドの適切な移動度を提供すべきであるが、興味ある抗体に対するリガンドの結合においてはそのように関与するべきではない。実際、固定化リガンドの結合は、非固定化リガンドの結合と同様であるべきである。
【0109】
リンカーは、例えばポリマーマトリックスまたは無機支持体といった固相材料にリガンドを結合するために使用される。好ましくはリンカーは、リガンドと固相材料との間に強力で永続的な結合を形成する。本発明の固相材料がGHポリペプチドの繰り返しの精製に使用される際、これは特に重要である。
【0110】
しかしながら、本発明の一つの実施態様では、リンカーは選択的に切断可能であることができる。固相材料が分析的な目的で使用される際、これは有用であることができる。
【0111】
アミノ酸及びポリペプチドは、典型的なリンカーの例である。他の考え得るリンカーは、炭水化物及び核酸を含む。
【0112】
本発明の一つの実施態様では、ポリマーマトリックスに結合したリンカー残基Lは、酸、塩基、温度、光によって、または化学試薬との接触によって切断可能である。特にポリマーマトリックスに結合したリンカーは、(3−ホルミルインドール−1−イル)酢酸、2,4−ジメトキシ−4’−ヒドロキシベンゾフェノン、HMPA、HMPB、HMPPA、Rink酸、Rinkアミド、Knorrリンカー、PALリンカー、DCHDリンカー、Wangリンカー、及びTritylリンカーであることができる。
【0113】
前記リンカーは、好ましくは50Å未満の長さ、例えば3から30Åの長さ、例えば3から20Åの長さ、例えば3から10Åの長さを有するリンカーを介して固相材料と会合できる。
【0114】
好ましくは前記リンカーは、カルボン酸基、アミノ基、特にカルボン酸基を解してリガンドに結合される。
【0115】
前記リンカーは更に、複数の共有結合したサブユニットを含んでも良い、例えば前記サブユニットは、同一の及び非同一のリンカーサブユニットから選択される。一つの変形例では、前記リンカーはフレキシブルで、3から好ましくは50未満の同一または非同一の共有結合したサブユニットを含む。
【0116】
本発明の一つの実施態様では、リンカーLは、グリシン、アラニン、3−アミノプロピオン酸、4−アミノプロピオン酸、及びHMBAからなる群から選択される。
【0117】
本発明の一つの実施態様では、前記リンカーは、アルカン、例えば直鎖状アルカン、例えば2−12の炭素原子を有する直鎖状アルカン、単分散ポリエチレングリコール(PEG)、例えば2−20の繰り返し単位を有するPEG、及びペプチド、例えば1−20の結合したアミノ酸を含むペプチドから選択できる。
【0118】
前記リンカーは更に、多分散ポリエチレングリコール;単分散ポリエチレングリコール、例えばトリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、ヘプタエチレングリコール;アミノ酸;ジペプチド;トリペプチド;テトラペプチド;ペンタペプチド;ヘキサペプチド;ヘプタペプチド;オクタペプチド;ノナペプチド;デカペプチド;ポリアラニン;ポリグリシン;それらの組み合わせからなる群から選択できる。
【0119】
固相材料は、ビーズの形態、例えば0.1−1000μmの範囲の平均径を有する粒子状材料、またはスティック、膜、ペレット、モノリス等の形態で最もしばしば提供される。
【0120】
ペプチド
用語「ペプチド」は、ペプチド結合によって連結した二つ以上のアミノ酸の配列を示すように企図され、ここのアミノ酸は天然に存在するものでも合成のものでも良い。この用語は、用語ポリペプチド及びタンパク質を包含し、後者は共有相互作用、例えばシステイン架橋、または非共有相互作用によって共に保持された二つ以上のポリペプチドからなって良い。この用語は更に、例えば脂溶性基、PEGまたはプロテーゼ基の結合によって誘導化されているペプチドを含むように企図するものと解される。用語ペプチドは、いずれかの適切なペプチドを含み、他に記載がないまたは文脈によって否定されなければ、用語ポリペプチド及びタンパク質と同義語として使用されて良い;但し読者は、それぞれのタイプの各アミノ酸ポリマー含有分子が、有意な差異で会合しても良く、それによって本発明の個々の実施態様を形成しても良いことを認識すべきである(例えば、複数のポリペプチド鎖からなる抗体のようなペプチドは、例えば一本鎖抗体、ペプチドイムのアドヘシン、または一本鎖免疫原性ペプチドとは有意に異なる)。それ故ここでの用語ペプチドは、いずれかの適切なサイズ及び組成のいずれかの適切なペプチドを参照するものと一般的に解されるべきである(ペプチド分子中のアミノ酸の数及び会合鎖の数に関して)。更にここで記載されるペプチドは、他に記載がないまたは文脈によって否定されなければ、天然に存在しない及び/または非Lアミノ酸残基を含んでも良い。
【0121】
用語ペプチドは、他に記載がないまたは文脈によって否定されなければ(且つ、用語ポリペプチド及び/またはタンパク質の個々の実施態様として議論されるならば)、誘導化ペプチド分子をも包含する。略記すると、本発明の文脈では、誘導体は、ペプチドの一つ以上のアミノ酸残基が化学的に修飾されている(例えばアルキル化、アシル化、エステル形成、またはアミド形成によって)、あるいは一つ以上の非アミノ酸有機及び/または無機の原子性または分子性置換基(例えばポリエチレングリコール(PEG)基、脂溶性置換基(リンカー残基またはβ−アラニン、γ−アミノ酪酸(GABA)、L/D−グルタミン酸、コハク酸等といった基によって、ペプチドのアミノ酸配列に任意に結合してよい)、蛍光分子、ビオチン等)と会合しているペプチドであり、更にまたは別法として、他に記載がないまたは文脈によって否定されなければ、非必須の天然に存在しない、及び/または非L−アミノ酸残基を含んでも良い(しかしながら、そのような誘導体は、それら自体が及びそれら自体で、本発明の独立の特徴を考慮されても良く、ペプチドの意味内のそのような分子の取り込みは、そのままのペプチドとそのような誘導体との間の等価値のいずれかの類を意味するよりはむしろ、本発明を記載する簡便性の目的でなされることが再度認識されるべきである)。そのようなアミノ酸残基の非制限的な例は、例えば2−アミノアジピン酸、3−アミノアジピン酸、β−アラニン、β−アミノプロピオン酸、2−アミノ酪酸、4−アミノ酪酸、6−アミノカプロン酸、2−アミノヘプタン酸、2−アミノイソ酪酸、3−アミノイソ酪酸、2−アミノピメリン酸、2,4−ジアミノ酪酸、デスモシン、2,2−ジアミノピメリン酸、2,3−ジアミノプロピオン酸、N−エチルグリシン、N−エチルアスパラギン、ヒドロキシリジン、アロヒドロキシリジン、3−ヒドロキシプロリン、4−ヒドロキシプロリン、イソデスモシン、アロイソロイシン、N−メチルグリシン、N−メチルイソロイシン、6−N−メチルリジン、N−メチルバリン、ノルバリン、ノルロイシン、オルニチン、及びスタチンハロゲン化アミノ酸を含む。この誘導化は本発明の誘導化ではなく、むしろ本発明の方法による精製前の成長ホルモンポリペプチドにすでに存在する誘導化、または精製後に実施される誘導化であると解されるべきである。
【0122】
同一性
当該技術分野で既知の用語「同一性」は、配列を比較することによって測定される、二つ以上のペプチドの配列の間の関係を指す。当該技術分野では、「同一性」は更に、二つ以上のアミノ酸残基の一群の間の適合の数によって測定される、ペプチド間の配列の関係性の度合いを意味する。「同一性」は、特定の機械的なモデルまたはコンピュータープログラム(即ち「アルゴリズム」)によって接近される、ギャップアライメント(存在すれば)を有する二つ以上の配列のより小さい間の同一の適合のパーセントを測定する。関連するペプチドの同一性は、既知の方法によって容易に計算できる。そのような方法は、Computatinal Molecular Biology, Lesk, A.M.編, Oxford University Press, New York, 1988; Biocomputing: Information and Genome Projects, Smith, D.W.編, Academic Press, New York, 1993; Computer Analysis of Sequence Data, Part 1, Griffin, A.M.及びGriffin, H.G.編, Humana Press, New Jersey, 1994; Sequence Analysis in Molecular Biology, von Heinje G., Academic Press, 1987; Sequence Analysis Primer, Gribskov, M.及びDevereux, J.編, M. Stockton Press, New York, 1991; 並びにCarillo等, SIAM J. Applied Math. 48, 1073 (1988)に記載されたものをこれらに制限されることなく含む。
【0123】
同一性を測定する好ましい方法は、試験される配列間の最大の適合を与えるようにデザインされている。同一性を測定する方法は、市販のコンピュータープログラムに記載されている。二つの配列間の同一性を測定する好ましいコンピュータープログラム方法は、GCGプログラムパッケージに含まれており、GAP(Devereux等, Nucl. Acid. Res. 12, 387 (1984); Genetics Computer Group, University of Wilconsin, Madison, Wis.)、BLASTP、BLASTN、及びFASTA(Altschul等, J. Mol. Biol. 215, 403-410 (1990))を含む。BLASTXプログラムは、National Center for Biotechnology Information (NCBI)及び他のソース(BLAST Manual, Altschul等, NCB/NLM/NIH Bethesda, Md. 20894; Altschul等, 上記参照)から公衆に入手可能である。周知のSmith Watermanアルゴリズムもまた、同一性の測定のために使用されて良い。
【0124】
例えば、コンピューターアルゴリズムGAP(Genetics Computer Group, University of Wisconsin, Madison, Wis.)を使用して、配列同一性パーセントが測定される二つのペプチドが、それらそれぞれのアミノ酸の最適なマッチングのために整列される(アルゴリズムによって測定される「マッチスパン」)。ギャップオープニングペナルティ(3倍として計算される。平均項;「平均項」は、使用される比較行列の項の平均である);「項」は特定の比較行列による各完全なアミノ酸適合に割り付けられるスコアまたは数字である)及びギャップエクステンションペナルティ(通常ギャップオープニングペナルティの{分数(1/10)}倍である)、並びにPAM250またはBLOSUM62のような比較行列を、アルゴリズムでの連言命題で使用する。標準的な比較行列(PAM250比較行列についてDayhoff等, Atlas of Protein Sequence and Structure, vol. 5, supp. 3 (1978);BLOSUM62比較行列についてHenikoff等, Proc Natl. Acad. Sci USA 89, 10915-10919 (1992)を参照)もまた前記アルゴリズムによって使用される。
【0125】
ペプチド配列比較のための好ましいパラメーターは以下のものを含む:
【0126】
アルゴリズム:Needleman等, J. Mol. Biol. 48, 443-453 (1970);比較行列:Henikoff等, PNAS USA 89, 10915-10919 (1992)由来のBLOSUM62;ギャップペナルティ:12、ギャップ長ペナルティ:4、相同性の閾値:0
【0127】
GAPプログラムは、上記パラメーターで有用である。上述のパラメーターは、GAPアルゴリズムを使用するペプチド比較(末端ギャップについてペナルティーなし)のためのデフォルトパラメーターである。
【0128】
用語「相同性」は、同一性に関連する概念であるが、「同一性」とは対照的に、同一の適合及び保存的な置換の適合の両者を含む配列の関係を指す。二つのポリペプチド配列が、例えば(分数(10/20))の同一なアミノ酸を有し、残りの部分は全て非保存的な置換であれば、同一性及び相同性のパーセントは両者とも50%となろう。同じ例で、保存的な置換が5を超える位置で存在するのであれば、同一性パーセントは50%のままであるが、相同性パーセントは75%であろう(分数(15/20))。それ故、保存的な置換が存在する場合、二つのポリペプチド間の相同性の度合いは、これらの二つのポリペプチド間の同一性パーセントよりも高くなるであろう。
【0129】
配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドの保存的な修飾(及びコードしている核酸に対する対応する修飾)は、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドのものと同じである機能的及び化学的特徴を有するペプチドを生ずる。対照的に、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドと比較して、本発明に係るペプチドの機能的及び/または化学的特徴の実質的な修飾は、(a)例えばシート形状またはへリックス形状としての、置換の領域の分子骨格の構造、(b)標的部位での分子の電荷または疎水性度、あるいは(c)側鎖の嵩を維持するその効果において有意に異なるアミノ酸配列中の置換を選択することによって達成されて良い。
【0130】
例えば「保存的なアミノ酸置換」は、当該位置でのアミノ酸残基の極性または電荷にほとんどまたは全く影響のないように、本来のアミノ酸残基を本来ではない残基で置換することを含んで良い。更に、ポリペプチド中のいずれかの本来の残基が、「アラニンスキャニングミュータジェネシス」について以前に記載されているように、アラニンで置換されても良い(例えば、アラニンミュータジェネシスを議論しているMacLennan等, Acta Physiol. Scand. Suppl. 643, 55-67 (1998); Sasaki等, Adv. Biophys. 35, 1-24 (1998)を参照)。
【0131】
所望のアミノ酸置換(保存的でも非保存的でも)は、そのような置換が所望される時期で当業者によって決定されて良い。例えばアミノ酸置換は、本発明に係るペプチドの重要な残基を同定するために、またはすでに記載されたミューテーションに加えて、レセプターに対するここに記載されるペプチドのアフィニティーを増大若しくは減少するために使用できる。
【0132】
天然に存在するアミノ酸残基は、一般的な側鎖の特性に基づいてクラスに分けられて良い:
1) 疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
2) 中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
3) 酸性:Asp、Glu
4) 塩基性:His、Lys、Arg;
5) 鎖の配向に影響する残基:Gly、Pro;及び
6) 芳香族:Trp、Tyr、Phe。
【0133】
そのような変化を行う際、アミノ酸の疎水性親水性指標が考慮されて良い。各アミノ酸は、その疎水性及び電荷特性に基づいて以下のような疎水性親水性指標が割り付けられている:イソロイシン(+4.5);バリン(+4.2);ロイシン(+3.8);フェニルアラニン(+2.8);システイン/シスチン(+2.5);メチオニン(+1.9);アラニン(+1.8);グリシン(−0.4);トレオニン(−0.7);セリン(−0.8);トリプトファン(−0.9);チロシン(−1.3);プロリン(−1.6);ヒスチジン(−3.2);グルタメート(−3.5);グルタミン(−3.5);アスパルテート(−3.5);アスパラギン(−3.5);リジン(−3.9);及びアルギニン(−4.5)。
【0134】
タンパク質に対して相互作用的な生物学的機能を与えるアミノ酸の疎水性親水性指標の重要性は、当該技術分野で理解されている。Kyte等, J. Mol. Biol., 157, 105-131 (1982)。特定のアミノ酸は、同じ疎水性親水性指標またはスコアを有する他のアミノ酸について置換されて良く、同じ生物学的活性を未だ維持する。疎水性親水性指標に基づいて変化を行う際、疎水性親水性指標が±2の範囲内であるアミノ酸の置換が好ましく、±1以内のものが特に好ましく、±0.5以内のものが更に特に好ましい。隣接するアミノ酸の親水性によって支配されるように、タンパク質の最大の局所的平均親水性は、その免疫原性及び抗原性、即ち前記タンパク質の生物学的特性と相関する。
【0135】
以下の親水性値がアミノ酸残基に割り当てられている:アルギニン(+3.0);リジン(+3.0);アスパルテート(+3.0±1);グルタメート(+3.0±1);セリン(+0.3);アスパラギン(+0.2);グルタミン(+0.2);グリシン(0);トレオニン(−0.4);プロリン(−0.5±1);アラニン(−0.5);ヒスチジン(−0.5);システイン(−1.0);メチオニン(−1.3);バリン(−1.5);ロイシン(−1.8);イソロイシン(−1.8);チロシン(−2.3);フェニルアラニン(−2.5);トリプトファン(−3.4)。同様な親水性値に基づいて変化を行う際、親水性値が±2の範囲内のアミノ酸の置換が好ましく、±1の範囲内が特に好ましく、±0.5の範囲内が特に好ましい。
本発明のポリペプチドは更に、天然に存在しないアミノ酸を含んでも良い。
【0136】
成長ホルモンポリペプチド
ここでの文脈で、用語「ヒト成長ホルモン(hGH)」及び「野生型hGH(wthGH)」は互換的に使用され、配列番号1のアミノ酸配列を有するタンパク質を両者とも指す。
【0137】
本発明の文脈で、ここで使用される用語「成長ホルモンポリペプチド」は、配列番号1と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含むペプチドを意味する。
【0138】
本発明の一つの実施態様では、成長ホルモンポリペプチドは、配列番号1に対して少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも96%、例えば少なくとも97%、例えば少なくとも98%、例えば少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むペプチドである。
【0139】
本発明の一つの実施態様では、成長ホルモンポリペプチドは、そのようなペプチドの断片であり、当該断片は、有意な量の成長ホルモン活性を保持し、例えばそのようなペプチドと実質的に同じ成長ホルモン活性を有する。
【0140】
本発明の一つの実施態様では、成長ホルモン化合物は、hGHの切り詰めた形態、即ち一つ以上のアミノ酸が配列番号1に対応するN及び/またはC末端から欠如しており、野生型hGHの所望の生物学的特性を保持しているものである。
【0141】
本発明の一つの実施態様では、成長ホルモン化合物は、少なくとも20%、例えば少なくとも30%、例えば少なくとも40%、例えば少なくとも50%、例えば少なくとも60%、例えば少なくとも70%、例えば少なくとも80%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも96%、例えば少なくとも97%、例えば少なくとも98%、例えば少なくとも99%配列番号1と相同である配列を有するアミノ酸配列を含み、少なくとも1%、例えば少なくとも5%、例えば少なくとも10%、例えば少なくとも25%のhGHの活性の関連するhGHアッセイでの活性を有するポリペプチドである。
【0142】
疑義を避けるために、本発明の成長ホルモン化合物は、野生型hGHより高い活性を有するものであっても良い。成長ホルモン化合物がいくつかの態様で誘導化されるのであれば、誘導化は活性を有意に変化させるかもしれないので、hGHに関して成長ホルモンの活性は、非誘導化成長ホルモン化合物について測定されるべきである。例えば、成長ホルモン化合物のin vivoでの半減期を長くする特性改変基で誘導化された成長ホルモン化合物の場合、誘導化成長ホルモン化合物の活性は、hGHの活性よりもずっと低くなっても良く、その減少は長期化した滞留時間によって中和される。一つの実施態様では、成長ホルモン化合物はそのようなポリペプチドの断片であり、当該断片は、有意な量の上述の成長ホルモン活性を維持している。
【0143】
さらなるジスルフィド架橋が導入されて良いGH化合物の他の例は、WO92/09690(Genentech)、US6,004,931(Genentech)、US6,143,523(Genentech)、US6,136,536(Genentech)、US6,057,292(Genentech)、US5,849,535(Genentech)、WO97/11178(Genentech)、WO90/04788(Genentech)、WO02/055532(Maxygen APS及びMaxygen Holdings)、US5,951,972(American Cynanamid Corporation)、US2003/0162949(Bolder Biotechnologies Inc.)に記載されたものを含み、これらの文献が参考としてここに取り込まれる。
【0144】
一つの現在好ましい実施態様では、成長ホルモンポリペプチドは、ヒト成長ホルモンポリペプチド、特に組換えヒト成長ホルモンポリペプチドである。一つのその重要な変形例では、ヒト成長ホルモンポリペプチドは、修飾ヒト成長ホルモンポリペプチド、特にPEG化ヒト成長ホルモンポリペプチド、ハイパーグリコシル化成長ホルモン、または2を超えるジスルフィド架橋を有するポリペプチドである。
【0145】
アフィニティー樹脂の調製
アフィニティー樹脂は、特に(i)遊離形態でリガンドを合成し、その後直接またはリンカー(上記参照)を介して固相にリガンドを固定化することにより、または(ii)固相材料を官能化し、その後連続してリガンドを合成することにより、二つの基本的に異なる態様で原則として調製できる。第一の変形例に関して、固定化法は当該技術分野で容易に利用可能であり、例えばHermanson等(上記参照)を参照。第二の変形例に関して、この方法も容易に利用可能であり、例えば固相ペプチド合成の当該技術分野で既知の方法及び由来する方法を参照[Fields, G.B.等, (1992) Principles and practice of solid-phase peptide synthesis. In Synthetic Peptides: A User’s Guide (Grant, G.A.編), pp. 77-183, W.H. Freeman]及び[Fields, G.B.編, (1997) Solid-phase peptide synthesis. Methods in Enzymology 289. 3; Dorwald, F.Z. Organic synthesis on solid phase-supports, linker, reactions; Wiley-VCH: Weinheim, 2000]。
【0146】
この例は、実施例1及び2に提供される。
【0147】
工程(a)−成長ホルモンポリペプチドとアフィニティー樹脂との接触
前記方法の第一の工程では、成長ホルモンポリペプチドを含む懸濁物または溶液をアフィニティー樹脂と、前記成長ホルモンポリペプチドの一部の前記アフィニティー樹脂への結合を容易にする条件下で接触させる。この目的は、前記アフィニティー樹脂へのGHを含む懸濁物または溶液の成長ホルモンを含む一部の結合を容易にすることである。
【0148】
工程(a)に関して用語「一部」は、懸濁物または溶液に存在する成長ホルモンポリペプチドの質量の少なくとも30%(即ち30−100%)を意味する。ほとんどの例では、成長ホルモンポリペプチドの質量の30%をはるかに超える量、例えば少なくとも50%、または少なくとも70%、または主たる部分を結合することが望ましいことが理解されるべきである。用語「主たる部分」は、懸濁物または溶液に存在する成長ホルモンポリペプチドの質量の少なくとも90%を意味する。好ましくは更に高い部分、例えば成長ホルモンポリペプチドを含む懸濁物または溶液に存在する成長ホルモンポリペプチドの質量の少なくとも95%、または少なくとも98%、または少なくとも99%、または実質的に全てがアフィニティー樹脂に結合されるようになる。
【0149】
アフィニティー樹脂の最も一般的なアレンジは、カラムフォーマットで存在する。バッチ容器でのアレンジももちろん可能である。
【0150】
成長ホルモンポリペプチドの懸濁物または溶液の接触は、典型的には従来のプロトコールに従って実施され、即ち懸濁物または溶液の濃度、温度、イオン強度等を通常のようにしてよく、アフィニティー樹脂を洗浄し、通常のように適用する前に平衡化して良い。
【0151】
成長ホルモンポリペプチドの搭載は、典型的にはアフィニティー樹脂のリットル当たり少なくとも5.6g、例えば湿潤形態のフィニティー樹脂のリットル当たり1−20.0g、例えば3.0−10.0gの範囲の成長ホルモンポリペプチドの量であり、成長ホルモンポリペプチドを含む懸濁物または溶液は、典型的に一時間当たり1−50カラム体積(CV/h)、例えば25−35CV/hのフローで典型的に搭載される。
【0152】
アフィニティー樹脂への適用前及び適用の際の成長ホルモンポリペプチドを含む懸濁物または溶液のpHは、例えば成長ホルモンポリペプチドのダイマーの形態及び分解産物といった混在物の形成と関連する役割を果たすと思われる。かくして、成長ホルモンポリペプチドを含む懸濁物または溶液は液体形態で存在し、アフィニティー樹脂への適用の際に、3.0−10.0の範囲、例えば3.0−7.0、または6.5−10.0の範囲のpHを有する。いくつかの興味深い実施態様では、成長ホルモンポリペプチドを含む懸濁物または溶液は、4.0−7.0の範囲、または7.0−9.0の範囲、または4.5−8.5の範囲のpHを有する。好ましいpH範囲は5.0−6.5であろう。
【0153】
典型的に伝導度は、少なくとも1mS/cm、例えば40mS/cm、例えば少なくとも50mS/cm、例えば少なくとも100mS/cm、例えば少なくとも200mS/cmである。
【0154】
成長ホルモンポリペプチドを含む懸濁物または溶液の温度は、典型的に0−30℃、例えば約2−25℃である。
【0155】
結合した成長ホルモンポリペプチドを有するアフィニティー樹脂の温度は、典型的に0−30℃、例えば約2−25℃であり、冷却筒と制御された温度の溶液を使用することにより特定の範囲内で維持される。
【0156】
工程(b)−洗浄工程(任意)
アフィニティー樹脂に対する成長ホルモンポリペプチドの結合の後、アフィニティー樹脂に非特異的に結合したタンパク質を除去するために、洗浄工程(b)が典型的に実施される。この工程により、アフィニティー樹脂上の成長ホルモンポリペプチドの残留(結合)フラクションは、ずっと低い混在物の存在量を有するであろう。
【0157】
この洗浄工程(b)は、好ましくは2.0−6.9の範囲のpHを有する洗浄バッファーで実施される。いくつかの興味深い実施態様では、洗浄バッファーは、アフィニティー樹脂への適用の際に3.0−10.0の範囲、例えば3.0−7.0、または6.5−10.0の範囲のpHを有する。いくつかの興味深い実施態様では、洗浄バッファーは、4.0−7.0の範囲、または7.0−9.0の範囲、または4.5−8.5の範囲のpHを有する。
【0158】
洗浄工程(b)は、一時間当たり1−50カラム体積のフローで典型的に実施される。
【0159】
洗浄バッファーは典型的に緩衝剤を含む水溶液であり、典型的に緩衝剤は、MES、PIPES、ACES、BES、TES、HEPES、TRIS、BISTRIS、トリエタノールアミン、ヒスチジン、イミダゾール、グリシン、グリシルグリシン、グリシンアミド、リン酸、酢酸(例えば酢酸ナトリウム)、乳酸、グルタル酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、マレイン酸、及びコハク酸の酸及び塩基からなる群から選択される少なくとも一つの成分を含む。緩衝剤は二つ以上の成分の混合物を含んでも良いことが理解されるべきであり、前記混合物は特定の範囲のPH値を提供することができる。例として、酢酸と酢酸ナトリウム等が挙げられる。
【0160】
緩衝剤に加えて、洗浄バッファーは、NP−40、Triton−X100、Tween−80といった非イオン性界面活性剤、またはカプリル酸のような他の添加剤を含んでも良い。
【0161】
緩衝剤に加えて、洗浄バッファーは更に、バッファーのpHを変化しないイオン強度増強剤、例えば塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム等を含んでも良い。
【0162】
本発明の一つの実施態様では、工程(b)は、好ましくは室温近くで0−50mMのBisTris、pH6.0−6.5を含む少なくとも一つの洗浄バッファーを含む。
【0163】
本発明の一つの実施態様では、工程(b)は、25mMのTris-HCl、pH7.5を含む少なくとも一つの洗浄バッファー(バッファーA)を含む。
【0164】
洗浄工程(b)は、一つ、二つまたはいくつかの異なる洗浄バッファーを使用することにより、あるいは洗浄バッファーの勾配の適用により実施されて良いと解されるべきである。
【0165】
洗浄工程と溶出工程は別個の工程である必要はないが、特に溶出バッファーの勾配が溶出工程で使用されるのであれば、両者を組み合わせても良いことに注意すべきである。
【0166】
工程(c)−溶出工程
洗浄工程(b)の後、アフィニティー樹脂は溶出バッファーで溶出され、精製された成長ホルモンポリペプチドが溶出物として回収される。
【0167】
非常に多くの変形例が溶出工程(c)では可能である。
【0168】
溶出のタイプは特に必須ではない、即ち例えば、塩の段階的に減少する勾配を含む溶出バッファーでの溶出、塩の直線的に減少する勾配での溶出(または勾配−維持−勾配プロフィール、または他の変形例)、あるいはpH勾配の使用、あるいは温度勾配の使用、あるいは上述のものの組み合わせが可能である。
【0169】
最終溶出バッファーの伝導度は、好ましくは工程(a)の成長ホルモンポリペプチドを含む組成物の伝導度より高い。
【0170】
ほとんどの例では、工程(c)の溶出バッファーは典型的に、工程(a)及び(b)と同じpHを有する。しかしながら工程(c)の溶出バッファーは、工程(a)及び(b)より高いpHを有しても良い。
【0171】
工程(c)の溶出バッファーが7.0から8.0の間のpHを有するのが好ましい実施態様である。
【0172】
更により好ましい実施態様では、溶出バッファーは、好ましくは室温近くで25−200mMのBisTris、pH6.5−7.5を含む。
【0173】
別の好ましい実施態様では、溶出バッファーは、25−200mMのTRIS、pH7.5−8.0を含む。
【0174】
別の好ましい実施態様では、溶出バッファーは、50mMのトリエタノールアミン、pH8.0を含む。
【0175】
別の好ましい実施態様では、溶出バッファーは、上述のバッファーのいずれかの組み合わせで1M NaClまたは1M MgCl2を含む。
【0176】
別の好ましい実施態様では、溶出バッファーは、上述のバッファーのいずれかの組み合わせで5−30%v/vグリセロールまたはプロピレングリコールを含む。
【0177】
典型的に本発明の方法は、少なくとも50%で他のタンパク質の含量を減少できるが、より好ましくは且つ実際には、減少は少なくとも60%、例えば少なくとも70%、更には少なくとも80%、または少なくとも85%である。
【0178】
通常アフィニティー樹脂は、連続的な工程により後の使用の目的のために再生できる。
【0179】
洗浄工程と溶出工程は別個の工程である必要はないが、特に溶出バッファーの勾配が溶出工程で使用されるのであれば、両者を組み合わせても良いことに注意すべきである。
【0180】
これらに制限されるものではないが、本発明の方法は、成長ホルモンポリペプチドの「工業的なスケール」(または「ラージスケール」)での精製のために特に実施可能である。用語「工業的なスケール」は典型的に、液体成長ホルモンポリペプチド組成物の体積が少なくとも10L、例えば少なくとも50L、例えば少なくとも500L、または少なくとも5000Lであり、生成物の重量が少なくとも10g(乾燥重量)、例えば少なくとも100g、例えば少なくとも500g、例えば1−15000gである方法を意味する。
【0181】
新規なアフィニティー樹脂
ここに記載されるもっとも興味深いアフィニティー樹脂のいくつかは、そのままで新規なものであると解される。それ故本発明は、一つ以上のリガンド、即ち上述のリガンドを共有結合している固相材料を含む新規なアフィニティー樹脂を提供する。
【0182】
本発明は更に、一つ以上のリガンド、即ち上述のリガンドを共有結合している固相材料を含む新規なアフィニティー樹脂を提供する。
【0183】
本発明の一つの実施態様は、
(a)成長ホルモンポリペプチドの一部のアフィニティー樹脂への結合を容易にする条件下で、成長ホルモンポリペプチドを含む懸濁物または溶液をアフィニティー樹脂と接触させる工程;
(b)成長ホルモンポリペプチドを含む前記アフィニティー樹脂を、洗浄バッファーで任意に洗浄する工程;及び
(c)成長ホルモンポリペプチドを含む前記アフィニティー樹脂を溶出バッファーで溶出し、溶出物として成長ホルモンポリペプチドを回収する工程
を含む、成長ホルモンポリペプチドの精製方法であって、
前記アフィニティー樹脂が、一般式(I)の一つ以上のリガンドを共有結合で固定化している固相材料を含む、方法を提供する:
【化8】
[式中、
i=1,2,・・・,m、及びj=1,2,・・・,n;
m及びnは独立に0−3の範囲の整数であり、但しn+mの合計は1−4の範囲内である;
p、q及びrは独立に0−6の範囲の整数である;
A11,・・・,A1m及びA21,・・・,A2nは独立に、α−アミノ酸部分、β−アミノ酸部分、α−アミノスルホン酸部分、及びβ−アミノスルホン酸部分から選択される;
Z1及びZ2は独立に、水素、C1−6アルキル、カルボン酸部分(Z−C(=O)−)、及びスルホン酸部分(Z−S(=O)2−)から選択され、Zは水素、任意に置換されたC1−12アルキル、任意に置換されたC3−12シクロアルキル、任意に置換されたC1−12アルケニル、任意に置換されたC1−12アルキニル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、及び任意に置換されたヘテロシクリルから選択される;
R1及びR2は独立に、水素及びC1−6アルキルから選択される;
Xは直接のまたはリンカーを介した固相材料に対するリガンドの結合のための基であり、Xはカルボン酸(−COOH)、カルボン酸エステル(−COOR)、カルボン酸無水物(−COOCOR)、カルボン酸ハライド(−COHal)、スルホン酸(−S(=O)2OH)、スルホニルクロリド(−S(=O)2Cl)、チオール(−SH)、ジスルフィド(−S−S−R)、ヒドロキシ(−OH)、アルデヒド(C(=O)H)、エポキシド(−CH(O)CH2)、シアニド(−CN)、ハロゲン(−Hal)、第一級アミン(−NH2)、第二級アミン(−NHR)、ヒドラジド(−NH=NH2)、及びアジド(−N3)から選択され、Rは任意に置換されたC1−12アルキルから選択され、Halはハロゲンである;及び
前記リガンドの全分子量(「X」といずれかのリンカーを除く)は200−2000g/molである]。
【0184】
本発明の一つの実施態様では、Z1及びZ2は、水素、C1−6アルキル、キサンテン−9−カルボニル、2−アミノニコチニル、2−キナルジンカルボニル、4,8−ジヒドロキシ−2−キノリンカルボニル、4−キノリンカルボニル、5−メチル−2−ニトロベンゾイル、2−(ベンゾイミダゾリルチオ)アセチル、5−メチル−2−フェニル−2H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボニル、6−ヒドロキシ−2−ナフトイル、4,7−ジメチルピラゾロ[5,1−c][1,2,4]トリアジン−3−カルボニル、3−アミノ−4−(フェニルスルホニル)−2−チオフェンカルボニル、(+/−)−3−オキソ−1−インダンカルボニル、5,6,7,8−テトラヒドロアクリジン−9−カルボニル、2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−カルボニル、5−(4−メチル−2−ニトロフェニル)フロイル、1−シクロヘキシル−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボニル、キノキサリン−6−カルボニル、及び4−メチル−2−フェニルピリミジン−5−カルボニルから独立に選択される。
【0185】
本発明の一つの実施態様では、Z1及びZ2は、水素、C1−6アルキル、キサンテン−9−イルカルボニル、5−メチル−2−フェニル−2H−1,2,3−トリアゾール−4−イルカルボニル、3−アミノ−(フェニルスルホニル)−チオフェン−2−イルカルボニル、(+/−)−3−オキソ−1−インダニルカルボニル、5,6,7,8−テトラヒドロアクリジン−9−イルカルボニル、及び2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イルカルボニルから独立に選択される。
【0186】
本発明の一つの実施態様では、Z1は三環式の任意に置換されたヘテロ芳香族基を含む。
【0187】
本発明の一つの実施態様では、Z1−(A1i)m−N(R1)−及びZ2−(A2j)n−N(R2)−の各々は、50−500g/molの分子量の有機部分を表し、リガンドの全分子量は250−1500g/mol、例えば300−1200g/mol、例えば350−1000g/molである。
【0188】
本発明の一つの実施態様では、リガンドは一般式(I)、(II)及び(III)で上記特定されたものであり、更に各種の実施態様、特に一般式(II)及び(III)の実施態様のものである。現在最も興味深いリガンドは、上述のリガンド番号(1)−(16)のものである。
【0189】
本発明の一つの実施態様によれば、
(a)成長ホルモンポリペプチドの一部のアフィニティー樹脂への結合を容易にする条件下で、成長ホルモンポリペプチドを含む懸濁物または溶液をアフィニティー樹脂と接触させる工程;
(b)成長ホルモンポリペプチドを含む前記アフィニティー樹脂を、洗浄バッファーで任意に洗浄する工程;及び
(c)成長ホルモンポリペプチドを含む前記アフィニティー樹脂を溶出バッファーで溶出し、溶出物として精製成長ホルモンポリペプチドを回収する工程
を含む、成長ホルモンポリペプチドの精製方法であって、
前記アフィニティー樹脂が、一般式(II)を有する、方法を提供する:
【化9】
[式中、
Z1はZ−C(=O)−であり、Zが任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、及び任意に置換されたヘテロシクリルから選択され
Z2は水素及びZ−C(=O)−から選択され、Zが任意に置換されたC1−12アルキル、任意に置換されたC3−12シクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、及び任意に置換されたヘテロシクリルから選択され;
A21及びA22の各々はα−アミノ酸及びβ−アミノ酸から独立に選択される]。
【0190】
本発明の一つの実施態様では、式中、A21がアルギニン、フェニルアラニン、チロシン、イソロイシン、及びリジンから好ましくは選択され、A22がアルギニン、フェニルアラニン、イソロイシン、プロリン、チロシン、及びトリプトファンから選択される。
【0191】
本発明の一つの実施態様では、成長ホルモンポリペプチドの精製方法であって、リガンドが一般式(III):
【化10】
[式中、R’及びR”はα−アミノ酸の側鎖から独立に選択され、R’’’は任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、及び任意に置換されたヘテロシクリルからなる群から選択される]
を有する、方法を提供する。
【0192】
本発明の一つの実施態様では、前記リガンドが以下のリガンド番号(1)−(16)から選択される、方法を提供する。
【0193】
【化11−1】
【化11−2】
【化11−3】
【化11−4】
【化11−5】
【化11−6】
【化11−7】
【0194】
本発明の一つの実施態様は、工程(b)において、少なくとも一つの洗浄バッファーが0−50mMのBisTris、pH6.0−6.5を含む、成長ホルモンポリペプチドの精製方法を提供する。
【0195】
本発明の一つの実施態様は、工程(c)において、溶出バッファーが7.0から8.0の間のpHを有する、成長ホルモンポリペプチドの精製方法を提供する。
【0196】
本発明の一つの実施態様は、溶出バッファーが0−200mMのBisTris、pH7.0−7.5を含む、成長ホルモンポリペプチドの精製方法を提供する。
【0197】
本発明の一つの実施態様は、成長ホルモンポリペプチドがヒト成長ホルモンポリペプチドである、成長ホルモンポリペプチドの精製方法を提供する。
【0198】
本発明の一つの実施態様は、ヒト成長ホルモンポリペプチドが組換えヒト成長ホルモンポリペプチドである、成長ホルモンポリペプチドの精製方法を提供する。
【0199】
本発明の一つの実施態様は、ヒト成長ホルモンポリペプチドが修飾ヒト成長ホルモンポリペプチドである、成長ホルモンポリペプチドの精製方法を提供する。
【0200】
本発明の一つの実施態様は、修飾ヒト成長ホルモンポリペプチドがPEG化ヒト成長ホルモンポリペプチドである、成長ホルモンポリペプチドの精製方法を提供する。
【0201】
本発明の一つの実施態様は、一般式(I)の一つ以上のリガンドを共有結合で固定化している固相材料を含むアフィニティー樹脂を提供する:
【化12】
[式中、
i=1,2,・・・,m、及びj=1,2,・・・,n;
m及びnは独立に0−3の範囲の整数であり、但しn+mの合計は1−4の範囲内である;
p、q及びrは独立に0−6の範囲の整数である;
A11,・・・,A1m及びA21,・・・,A2nは独立に、α−アミノ酸部分、β−アミノ酸部分、α−アミノスルホン酸部分、及びβ−アミノスルホン酸部分から選択される;
Z1及びZ2は独立に、水素、C1−6アルキル、カルボン酸部分(Z−C(=O)−)、及びスルホン酸部分(Z−S(=O)2−)から選択され、Zは水素、任意に置換されたC1−12アルキル、任意に置換されたC3−12シクロアルキル、任意に置換されたC1−12アルケニル、任意に置換されたC1−12アルキニル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、及び任意に置換されたヘテロシクリルから選択される;
R1及びR2は独立に、水素及びC1−6アルキルから選択される;
Xは直接のまたはリンカーを介した固相材料に対するリガンドの結合のための基であり、Xはカルボン酸(−COOH)、カルボン酸エステル(−COOR)、カルボン酸無水物(−COOCOR)、カルボン酸ハライド(−COHal)、スルホン酸(−S(=O)2OH)、スルホニルクロリド(−S(=O)2Cl)、チオール(−SH)、ジスルフィド(−S−S−R)、ヒドロキシ(−OH)、アルデヒド(C(=O)H)、エポキシド(−CH(O)CH2)、シアニド(−CN)、ハロゲン(−Hal)、第一級アミン(−NH2)、第二級アミン(−NHR)、ヒドラジド(−NH=NH2)、及びアジド(−N3)から選択され、Rは任意に置換されたC1−12アルキルから選択され、Halはハロゲンである;及び
前記リガンドの全分子量(「X」といずれかのリンカーを除く)は200−2000g/molである]。
【0202】
本発明の一つの実施態様は、リガンドが上述の実施態様のいずれか一つに従って特定されるアフィニティー樹脂を提供する。
【0203】
本発明の一つの実施態様は、リガンドが直接にまたはリンカーを介してのいずれかで、カルボン酸基を介してアフィニティー樹脂の固相材料に共有結合している、上述のリガンド(1)−(16)からなる群から選択されるリガンドを提供する。
【0204】
本発明の一つの実施態様は、ここに規定されたリガンド(1)−(16)からなる群から選択されるアフィニティーリガンドを提供する。
【0205】
新規なアフィニティー樹脂は、タンパク質、特に成長ホルモンポリペプチドといった生体分子の精製及び/または単離に特に有用である。アフィニティーリガンドは、成長ホルモンポリペプチドに対する特異的な結合パートナーであり、緊密に関連するタンパク質から前記ポリペプチドを単離することができる。
【0206】
本発明の一つの実施態様では、リガンドはセンサーまたはアレイプレート(「固相材料」)の表面に固定化され、生物学的サンプル中の成長ホルモンポリペプチドの検出及び/または定量のために使用できる。
【0207】
ここで使用される用語「生物学的サンプル」は、天然の方法または他の方法、例えば工業的な方法、組換え方法から得られるサンプルを含み、「体液」、即ち生物または生物の組織から抽出、排泄、または分泌されたいずれかの液体物質を含む。体液は細胞を必ずしも含む必要はない。本発明に関連する体液は、全血、血清、尿、血漿、脊髄液、涙、乳、洞液、及び羊水をこれらに制限されることなく含む。
【0208】
本発明の一つの実施態様では、複数のリガンドがアレイプレート(「固相材料」)の表面に固定化され、複数のスポットに並べられ、各スポットは一つのリガンドを示す。そのような官能化アレイは、溶液中の成長ホルモンポリペプチドの存在を検出するために使用できる。そのようなアレイは、生物学的サンプル中の成長ホルモンポリペプチドの存在を検出するための診断の応用のために使用できる。
【0209】
本発明の一つの実施態様では、成長ホルモンポリペプチドの検出及び任意に定量のためのカンチレバーセンサー(「固相材料」)の結合表面に、複数のリガンドが固定化される。複数のアフィニティーリガンドは複数のカンチレバーに固定化でき、各カンチレバーが一つのリガンドを示す。そのような官能化アレイは、溶液中の各種の抗体の存在を検出するために使用できる。そのようなマルチセンサーは、生物学的サンプル中の特定の成長ホルモンポリペプチドの存在を検出するための診断の応用のために使用できる。
【0210】
更に、リガンドのいくつかはそのままで新規であると解される。
【0211】
それゆえ本発明は更に、一般式(I)、(II)及び(II)で上記特定されたアフィニティーリガンド、特にリガンド(1)−(16)からなる群から選択されるリガンドを提供する。
【実施例】
【0212】
実施例1
コードされたビーズ法と共に固相コンビナトリアルアプローチを使用する、ヒト成長ホルモン(hGH)の精製のための小分子アフィニティー樹脂の開発
【0213】
hGHは、ヒトにおける成長と細胞再生を刺激するタンパク質ホルモンである。それは、活性な1:2(hGH:hGHbp)複合体を形成することにより、そのレセプター、hGHbpを結合する。前記ホルモンはそのレセプター上の同じ部位を結合するが、hGHの二つの結合部位は、最も高いアフィニティーを有するサイト1とは構造的に別個である。サイト1は大きなタンパク質表面であり、各タンパク質について30を超えるアミノ酸を包含する。アフィニティーは、いくつかの残基、特にレセプターのTrp104及びTrp169で濃縮される。
【0214】
In silicoスクリーニング及びライブラリーデザイン
天然リガンドの小分子模倣体を構築するために、3点の多様性を有する分枝状構造(IV)を選択した:
【化13】
[式中、AA2及びAA1はアミノ酸残基であり、CAはカルボン酸残基である]。
活性リガンドの発見の可能性を高めるために、事実上40000の化合物ライブラリーを、hGHの結晶構造に対してin silicoでスクリーニングした(1A22)。このライブラリーは、化学物質データベース(ACD)から得られた2500のビルディングブロックのセットを選択することによりデザインされた。前記ライブラリーは、R1、R2及びR3位置にビルディングブロックを導入することにより、Sybyl(Legion)で構築された。ドッキングアルゴリズムFlexXを使用して、ドッキングがSybylで更に実施された。これらの結果から、いくつかの異なるスコアリング機能、並びに化学的安定性、毒性、及び入手可能性に基づいて、18のビルディングブロックのサブセットがCAについて選択され、11のビルディングブロックがAA1とAA2のそれぞれについて選択された。
【0215】
AA1とAA2は、Asp、His、Asn、Thr、Pro、Trp、Lys、Tyr、Ile、Phe及びArgから独立に選択された。CAは、表1に記載されたCA1−CA18から選択された。
【0216】
表1
【化14−1】
【化14−2】
【0217】
ライブラリー合成及びスクリーニング
コードされたポリエチレングリコール−アクリルアミド(PEGA)ビーズ状でのスプリットアンドミックス固相合成によって、リガンドライブラリーを合成した。全ライブラリーは2178の独特の化合物からなった。ビーズコード法は、PEGAビーズの内部のランダムな位置で固定化された蛍光粒子によって作製された3次元イメージパターン認識に基づく。3の直交するCCDカメラを備えた装置による各化学的転位の後、個々のビーズコードを記録した。3つのイメージを三角測量し、各ビーズに独特のコードを与え、化学的ヒストリーが追跡できるようにした[S.F. Christensen, M. Meldal, Genetic Engineering News, 25, No. 7, April 1, 2005]。
【0218】
このビーズをPBS中のローダミン標識hGHとインキュベートし、PBSで洗浄し、その蛍光を測定して定量した。hGHに対して高アフィニティーを有するリガンドを有するビーズは高い蛍光値を有し、hGHに対して低アフィニティーを有するリガンドを有するビーズは低い蛍光を有する。リガンドのビルディングブロック配列と全てのビーズの蛍光値をマッチさせることにより、構造とアフィニティーの関係を全ての2178化合物について確立した。各化合物の蛍光値はここでは示されていない。変わりに、各AA1、各AA2及び各CAについての平均蛍光値が図1に示されている。
【0219】
構造−アフィニティーデータに基づいて、16の高アフィニティーが予測されるリガンドが表2に示され(L1−L16)、並びに2の低アフィニティーが予測されるリガンドが表3に示され(L17−L18)、それらは0.16mmol/gのアミン搭載と40−90μmの粒径を有するFractogel Amino(Merck)で段階的に合成された。樹脂をDMF、DCMおよびエタノールで徹底的に洗浄し、1mLのカラムに実装し、0.2M NaCl、次いで20%エタノールで洗浄し、25mMのTris−HClでpH=7.50に平衡化した(バッファーA)。
【0220】
表2
【化15−1】
【化15−2】
【化15−3】
【化15−4】
【化15−5】
【化15−6】
表3
【化16】
【0221】
a)0.5ml/分の流速で、バッファーA中のhGHの5mg/ml溶液でカラムを充填する工程;
b)カラムを離れるバッファーの安定な低いUV吸光度が観察されるまで、少なくとも10カラム体積のバッファーAでカラムを洗浄する工程;
c)1MのNaCl/25mMのTrsi、pH7.5(バッファーB)の勾配を適用することにより、タンパク質を溶出する工程;
d)0.2MのNaOH、次いでバッファーB、次いでバッファーAでカラムを浄化する工程
によって、各樹脂サンプルについて 野生型hGHについての結合能力を測定した。
【0222】
工程(c)の間でUVシグナルを調査することによって結合能力を計算し、上記の各リガンドについて示された。
【0223】
(a)バッファーAで5倍希釈されたhGH発酵ブロスでカラムを搭載する工程;
(b)カラムを離れるバッファーの安定な低いUV吸光度が観察されるまで、少なくとも10カラム体積のバッファーAでカラムを洗浄する工程;
(c)バッファーBの勾配を適用することにより、タンパク質を溶出する工程;
(d)0.2MのNaOH、次いでバッファーB、次いでバッファーAでカラムを浄化する工程
によって、樹脂の選択性を試験した。
【0224】
「観察された選択性」は、工程(g)の間で得られた溶出物のSDS-PAGEゲルによって判断され、上記の各リガンドについて示された。「非常に良好な」選択性を有する樹脂の例(Fractogel上のリガンドL11)、及び「穏やかな」選択性を有する樹脂の例(Fractogel上のリガンド16)が図2に示されている。
【0225】
図2は、Fractogel Amino上のリガンド11(左図)及びFractogel Amino上のリガンド6(右図)の選択性試験から得られたSDS−PAGEゲルを示す。
【0226】
実施例2
以下の構造を有するリガンドをFractogel Amino上に合成し、実施例1に記載されたのと同じ方法によって試験した。生成した樹脂は、<0.5mg/mlの結合能力を有した。選択性は試験しなかった。
【化17】
【0227】
L19のカルボン酸残基は置換したナフトイルであり、実施例1のCA3、CA4、CA5、CA9及びCA17と構造的に類似するが、これら全ては図2により「非常に低い」から「穏やかな」平均蛍光値を生じる。これに基づいて、L19はhGHに対する低いアフィニティーを有すると予測されるであろう。他方で、表1によれば、L19の(AA1,AA2)=(Tyr,Arg)のアミノ酸残基の組み合わせは、hGHに対する高いアフィニティーを生ずると予測されるであろう。しかしながら、hGHに対するリガンドアフィニティーについてのアミノ酸残基の組み合わせの予測されたポジティブな効果は、カルボン酸残基の予測されたネガティブな効果によって打ち消され、合計でL19の低いhGHアフィニティーを生じる。
【0228】
実施例3−アミノ官能化Fractogel樹脂に対する実施例1由来のリガンドL10の直接的合成
Fractogel EMD−アミノ樹脂(70ml、2.34mmol、Merck KGaAによって供給)を、ガラスシリンジで水(3×)、EtOH(3×)及びDMF(5×)で洗浄し、丸底フラスコ(250ml)に移した。Fmoc-L-DAPA(Alico)−OH(2.88g、3.0当量、7.0mmol)及びTBTU(2.10g、2.8当量、6.5mmol)をDMF(50ml)とN−エチルモルホリン(1.18ml、4.0当量、9.4mmol)に溶解し、10分間事前活性化した。透明な溶液を樹脂に添加し、更に50mlのDMFを添加した。フラスコを一晩シェイカーに配置した。樹脂を大きなガラスシリンジに移し、DMF(5×)及びDCM(5×)で洗浄した。小サンプルのFmoc定量により、0.19mmol/gの搭載を測定した。残りのアミノ残基をDMF中の20%無水酢酸で1時間キャップした。樹脂をDMF(5×)及びDCM(5×)で洗浄した。ネガティブKaiser試験により、樹脂上の遊離アミノ基の不存在が示された。樹脂の一部(15ml)をDMF(5×)で洗浄し、Fmoc保護基をDMF中の20%ピペリジンでの2+30分の処理によって除去した。樹脂をDMF(5×)及びDCM(5×)で洗浄し、小サンプルはポジティブKaiser試験を与えた。樹脂をDMF(5×)で洗浄した。Fmoc−L−Phe−OH(582mg、3.0当量、1.50mmol)及びTBTU(450mg、2.8当量、1.40mmol)をDMF(10ml)及びNEM(254μl、4.0当量、2.00mmol)に溶解し、10分間事前活性化した。溶液を樹脂に添加し、キャップしたガラスシリンジで一晩震盪した。樹脂をDMF(5×)、DCM(5×)で徹底的に洗浄し、ネガティブKaiser試験を与えた。樹脂をDMF(5×)で洗浄し、Fmoc保護基をDMF中の20%ピペリジンでの2+30分の処理によって除去した。Kaiser試験はポジティブであった。樹脂をDMF(5×)で洗浄した。Fmoc−L−Ile−OH(532mg、3.0当量、1.50mmol)及びTBTU(450mg、2.8当量、1.40mmol)をDMF(10ml)及びNEM(254μl、4.0当量、2.00mmol)に溶解し、10分間事前活性化した。溶液を樹脂に添加し、キャップしたガラスシリンジで一晩震盪した。Kaiser試験はネガティブであったが、わずかに青味がかった色合いを有した。樹脂をDMF中の20%無水酢酸で1時間キャップし、DMF(5×)、DCM(5×)で洗浄し、ネガティブKaiser試験を与えた。樹脂を担持しているシリンジをラバーセプタムでフィットし、窒素環境下で維持した。樹脂を窒素で徹底的に脱気している純粋DCM(2×)で洗浄した。Alloc保護基を除去するために、Me2NHBH3(590mg、20当量、10.0mmol)を純粋な脱気したDCM(10ml)で溶解し、震盪して10分間静置した樹脂に添加した。Pd(PPh3)4(116mg、0.2当量、0.1mmol)を脱気したDCM(1ml)に溶解し、1時間震盪した樹脂に添加した。樹脂をDCM(3×)で洗浄し、この方法を繰り返して完全な脱保護を達成した。樹脂をDCM(5×)、DMF(5×)、DCM(5×)、EtOH(5×)、DCM(5×)及びDMF(5×)で徹底的に洗浄した。1,2,3,4−テトラヒドロアクリジン−9−カルボン酸(342mg、3.0当量、1.50mmol)及びTBTU(450mg、2.8当量、1.40mmol)をDMF(10ml)、NEM(254μl、4.0当量、2.00mmol)及び10滴のDMSOに溶解し、10分間事前活性化した。この溶液を樹脂に添加し、キャップしたガラスシリンジで一晩震盪した。樹脂をDMF(5×)、DCM(5×)及びDMF(5×)で洗浄し、カップリング法を上述のように繰り返した。Fmoc保護基をDMF中の20%ピペリジンでの5+40分の処理によって除去した。酸標識側鎖保護基を有するリガンドを、TFA/水/TIS(93:5:2)で一時間処理した。樹脂をDCM、EtOH、DCM、DMF、DMF中の5%DIPEA、DMF、DCM、EtOH及び水で徹底的に洗浄した。
【0229】
実施例4−実施例1由来のリガンドL10の合成とアミノ官能化Fractogel樹脂へのカップリング
DCM中のDIC(3当量)とHOBt(3当量)を使用して結合された酸で切断可能な4−ヒドロキシメチルフェノキシ酢酸(HMPA、3当量)リンカーを使用して、アミノメチルポリスチレン樹脂(CBL Patras社により供給)に対して、実施例1に記載された態様でリガンドL10を合成した。乾燥環境下で、DCM中の1−(メシチレン−2−スルホニル)−3−ニトロ−1,2,4−トリアゾール(MSNT,3当量)と1−メチルイミダゾール(2.25当量)を使用して、前記樹脂にFmoc−L−DAPA(Alloc)−OH(3当量)を結合した。Alloc基の脱保護を、スカベンジャーとしてフェニルシランを使用して実施した。1,2,3,4−テトラヒドロアクリジン−9−カルボン酸のカップリングを、NMP中のHATUとDIPEAを使用して実施した。未だNα−Fmoc保護基を含むリガンドを、TFA/水/TIS(93:5:2)を使用して樹脂から切断した。リガンドを回収し、フラッシュクロマトグラフィーによって精製した。リガンド(1当量)をDMF中に溶解し、HATU(1当量)とDIPEA(1.2当量)を添加した。リガンドを10分間事前活性化し、次いでFractogel EMD-アミノ樹脂(1当量、Merck KGaA社により供給)に添加し、60℃で3時間震盪した。次いでこの方法を二度繰り返した。DMF中の20%ピペリジン、2+30分を使用して、Fmoc保護基を除去した。DMF(5×)、DCM(5×)、EtOH(5×)、及び水(5×)で樹脂を徹底的に洗浄した。
【0230】
実施例5−アミノ官能化セファロース樹脂へのL10のカップリング
25%EtOH/水(5×)、50%EtOH/水(5×)、75%EtOH/水(5×)、EtOH(5×)、25%NMP/EtOH(5×)、50%NMP/EtOH(5×)、75%NMP/EtOH(5×)、及びNMP(10×)で、アミノーセファロース樹脂(5ml、〜10μmolアミノ/ml)を洗浄した。Ileアミノ基(3当量)上のBoc保護を有するhGHリガンドL10を、NMP/DMSO(2:1,5ml)に溶解し、EDC(3当量)、HOAt(3当量)及びDIPEA(4当量)を添加した。反応混合物を5分間攪拌し、次いで樹脂に添加し、室温で4時間震盪した。溶媒を濾過し、樹脂をNMP(10×)とDCM(5×)で洗浄した。
30%TFA/DCM(30分)を使用してBoc保護を切断し、樹脂をDCM(5×)で洗浄した。樹脂を10%DIPEA/DCM(10分)で中和し、樹脂をDCM(5×)、NMP(6×)、75%NMP/EtOH(4×)、50%NMP/EtOH(4×)、25%NMP/EtOH(4×)、EtOH(6×)、75%EtOH/水(4×)、50%EtOH/水(4×)、25%EtOH/水(4×)、水(6×)、及び20%EtOH/水(4×)で洗浄した。
【0231】
実施例6−アミノ官能化Fractogel樹脂へのL12のカップリング
アルギニン部分上のPbf保護基とフェニルアラニンのアミノ基上のFmoc基を有するリガンドL12(5g)を、TFA/水/TIS(93:5:2)(20ml)で室温で3時間処理した。溶媒を蒸発させ、残余物のみを冷却ジエチルエーテルで沈降した。沈降した生成物をジエチルエーテル(10×)で洗浄し、凍結乾燥して97%の収率で生成物を得た。
25%EtOH/水(5×)、50%EtOH/水(5×)、75%EtOH/水(5×)、EtOH(5×)、25%NMP/EtOH(5×)、50%NMP/EtOH(5×)、75%NMP/EtOH(5×)、及びNMP(10×)で、Fractogel EMDアミノ樹脂(5ml)を洗浄した。
Pbf切断リガンドL12(3当量)をNMP/DMSO(2:1、5ml)に溶解し、EDC(3当量)、HOAt(3当量)及びDIPEA(4当量)を添加した。反応混合物を5分間攪拌して樹脂に添加し、室温で一晩震盪した。溶媒を濾過し、樹脂をNMP(1×)で洗浄した。20%ピペリジン/NMP(30分)でFmocを切断し、樹脂をNMP(6×)、75%NMP/EtOH(4×)、50%NMP/EtOH(4×)、25%NMP/EtOH(4×)、EtOH(6×)、75%EtOH/水(4×)、50%EtOH/水(4×)、25%EtOH/水(4×)、水(6×)、及び20%EtOH/水(4×)で洗浄した。
【0232】
実施例7−アミノ官能化セファロース樹脂へのL12のカップリング
25%EtOH/水(5×)、50%EtOH/水(5×)、75%EtOH/水(5×)、EtOH(5×)、25%NMP/EtOH(5×)、50%NMP/EtOH(5×)、75%NMP/EtOH(5×)、及びNMP(10×)で、アミノーセファロース樹脂(5ml、〜10μmolアミノ/ml)を洗浄した。
実施例6から得られたPbf切断hGHリガンド006を、NMP/DMSO(2:1,5ml)に溶解し、EDC(3当量)、HOAt(3当量)及びDIPEA(4当量)を添加した。反応混合物を5分間攪拌し、次いで樹脂に添加し、室温で4時間震盪した。溶媒を濾過し、樹脂をNMP(10×)で洗浄した。20%ピペリジン/NMP(30分)でFmocを切断し、樹脂をNMP(6×)、75%NMP/EtOH(4×)、50%NMP/EtOH(4×)、25%NMP/EtOH(4×)、EtOH(6×)、75%EtOH/水(4×)、50%EtOH/水(4×)、25%EtOH/水(4×)、水(6×)、及び20%EtOH/水(4×)で洗浄した。
【0233】
実施例8−アミノ官能化Fractogel樹脂へのL14のカップリング
25%EtOH/水(5×)、50%EtOH/水(5×)、75%EtOH/水(5×)、EtOH(5×)、25%NMP/EtOH(5×)、50%NMP/EtOH(5×)、75%NMP/EtOH(5×)、及びNMP(10×)で、Fractogel EMDアミノ樹脂(5ml)を洗浄した。
リジンのα及びεアミノ基上のBoc保護基を有するリガンドL14(3当量)を、NMP/DMSO(2:1、5ml)に溶解し、EDC(3当量)、HOAt(3当量)及びDIPEA(4当量)を添加した。反応混合物を5分間攪拌し、次いで樹脂に添加し、室温で一晩震盪した。溶媒を濾過し、樹脂をNMP(10×)で、次いでジクロロメタン(5×)で洗浄した。次いで樹脂をジクロロメタン中の30%TFAで30分処理し、樹脂を水(5×)とEtOH(5×)で洗浄した。樹脂を10%DIPEA/EtOH(10分)で中和し、樹脂をEtOH(6×)、75%EtOH/水(4×)、50%EtOH/水(4×)、25%EtOH/水(4×)、水(6×)、及び20%EtOH/水(4×)で洗浄した。
【0234】
実施例9−アミノ官能化セファロース樹脂へのL14のカップリング
25%EtOH/水(5×)、50%EtOH/水(5×)、75%EtOH/水(5×)、EtOH(5×)、25%NMP/EtOH(5×)、50%NMP/EtOH(5×)、75%NMP/EtOH(5×)、及びNMP(10×)で、アミノーセファロース樹脂(5ml、〜10μmolアミノ/ml)を洗浄した。
リジンのα及びεアミノ基上のBoc保護基を有するリガンドL14(3当量)を、NMP/DMSO(2:1、5ml)に溶解し、EDC(3当量)、HOAt(3当量)及びDIPEA(4当量)を添加した。反応混合物を5分間攪拌し、次いで樹脂に添加し、室温で4時間震盪した。溶媒を濾過し、樹脂をNMP(10×)で、次いでジクロロメタン(5×)で洗浄した。次いで樹脂をジクロロメタン中の30%TFAで30分処理し、樹脂を水(5×)とEtOH(5×)で洗浄した。樹脂を10%DIPEA/EtOH(10分)で中和し、樹脂をEtOH(6×)、75%EtOH/水(4×)、50%EtOH/水(4×)、25%EtOH/水(4×)、水(6×)、及び20%EtOH/水(4×)で洗浄した。
【0235】
実施例10−セファロース及びFractogel樹脂にカップリングしたリガンドL2、L10及びL14のhGHに対する結合能力
【0236】
a)1ml/分の流速で、バッファーA中のhGHの0.5mg/ml溶液でカラムを充填する工程;
b)5以上のカラム体積のバッファーAでカラムを洗浄する工程;
c)1MのNaCl/25mMのTrsi、pH7.5(バッファーB)の勾配を適用することにより、タンパク質を溶出する工程;
d)0.2MのNaOH、次いでバッファーB、次いでバッファーAでカラムを浄化する工程
によって、約2mlで各樹脂サンプルについて 野生型hGHについての結合能力を測定した。
【0237】
工程(c)の間のUVシグナルを調査することにより結合能力を計算し、以下の表4に示された。
【0238】
表4
【表1】
【0239】
実施例11−組換え野生型ヒト成長ホルモン(hGH)の精製
実施例3及び4で調製されたクロマトグラフィー樹脂のそれぞれ1.0mlを有するTricorn 5/50(GE Healthcare Life Sciences, 1ml)カラムを、1:1の水中のスラリーとして実装した。16℃に冷蔵したAkta Explorer(GE Healthcare Life Sciences)液体クロマトグラフィーシステムにカラムを結合した。安定なUVベースラインが観察されるまで、樹脂を0.2MのNaOHで徹底的に洗浄した。次いで樹脂を1MのNaCl、25mMのTris−HClバッファー(バッファーB、pH=7.50)で中和し、25mMのTris−HClバッファー(バッファーA、pH=7.50)で平衡化した。精密濾過した大腸菌細胞培養物の液体(2.61mg/mlhGH力価)をシリンジドライブフィルター(Millex HV、0.45mm、Millipore)を使用して濾過し、次いで200μlをバッファーAで1mlに希釈した。サンプル中のhGHの全予測量は0.52mgであった。サンプルを2ml/分で100%バッファーA中のカラムに搭載し、フロースルーを回収した。バッファーAでの10カラム体積での洗浄後、吸着したタンパク質を6カラム体積を超えるバッファーBの勾配を適用することにより溶出し、溶出物を回収した。次いでカラムを0.2MのNaOHでその場で洗浄し(CIP)、別の稼動のため平衡化した。Invitrogen Nu-PAGEシステム(Novex 4-12% Bis-Trisゲルで実施)を使用してSDS−PAGEにより複数の溶出物を測定した。ゲルを製造者のプロトコールに従って稼動した。複数の溶出タンパク質は、両者の樹脂について約75%であった。
【0240】
実施例12
実施例1から得たリガンドL10を、Fractogel Amino M(Merck KgaA社により供給)で段階的に合成し、生成したアフィニティー樹脂をTricorn 5/50、1ml(GE Healthcare)に実装した。
【0241】
タンパク質サンプル:
hGHスタンダード:hGHを新たに調製された50mMのNH4HCO3中に20mg/mlで溶解し、次いでバッファーA(50mMのTris−HCl、pH=7.50、T=15℃(Akta中で20℃))で2または3.3mg/mlに希釈した。
【0242】
hGH精密濾過バッファー:hGH回収物由来の2.61mg/mlhGHの大腸菌精密濾過物。凍結した15mlのサンプルを室温で解凍し、シリンジドライブフィルター(0.22mm)を使用して濾過した。バッファーAで0.52mghGH/mlに希釈した。
【0243】
搭載条件:
バッファーA1:50mMのBisTris−HCl、pH=6.50、T=15℃(Akta中で20℃)、フロー0.5ml/分(150cm/h)
【0244】
溶出条件:
バッファーZ1:25mMのTris−HCl、1MのNaCl、pH=7.50、T=15℃(Akta中で20℃)、フロー0.5ml/分(150cm/h)
【0245】
その場での洗浄(CIP)条件
0.2MのNaOH
これらの条件下で動的10%BT能力(精製したhGH)は6.7mg/mlであり、hGH精密濾過物についての動的10%BT能力は3.22mg/mlであった。
【0246】
200mMのTris-HCl、pH8.00、1MのNaCl、30%プロピレングリコールの溶出バッファーは、hGHの高回収を生じた。この溶出バッファーと上述の50mMのBisTris−HCl、pH6.5搭載バッファーを使用した。カラムをhGHでオーバーロードした、これらの条件を使用する実験からの結果が以下に示されている:
【0247】
搭載バッファーを50mMのBisTris−HCl、pH6.25に変更し、各種の溶出バッファー、pH7.25,7.50及び8.00を試験した。この結果が表5に要約されている。
【0248】
表5
【表2】
【0249】
最も高い純度(91%)がpH7.25で観察され、回収は予測された通りpH8.00で最も高かった。pH8.00での回収は高いが、より不純物が多く存在した。
【0250】
以下の条件:搭載バッファー:50mMのBisTris、pH6.25及び溶出バッファー:50mMのBisTris、pH8.00での稼動についてのクロマトグラム及びゲルは図8に示されている。
【0251】
実施例13−Fractogel−リガンドL10−遊離リガンドカップリング
3種の異なるカップリング条件下でリガンドL10をFractogel Amino Mにカップリングすることにより、一連の樹脂を調製した。この樹脂は33μmol/mlのアミノ密度を有し、リガンドL10を十分に搭載した。
【0252】
【表3】
【0253】
全ての3種の樹脂は、Fractogel上での直接合成によって合成された樹脂と同じ挙動を示すが、純粋なhGHに対するいくらか高い能力を有した。精密濾過物hGHについての能力は、直接合成された樹脂と同様であった。
【0254】
実施例14
実施例1由来のリガンド14をFractogelに直接合成した。この樹脂を5mlのスケールで評価した。
搭載バッファー:50mMのBisTris、pH6.25
溶出バッファー:50mMのBisTris、pH8.00勾配
CIP:0.2MのNaOH
流速:2ml/分
温度:15℃(Aktaにより測定すると20℃)
純粋なhGHに対する動的10%BT能力:16.3mg/ml
精密濾過物hGHに対する動的10%BT能力:6.7mg/ml
回収:92%
純度:71%
【0255】
実施例15
実施例1由来のリガンド16をFractogel Aminoに直接合成した。この樹脂を5mlのスケールで評価した。
搭載バッファー:50mMのBisTris、pH6.25
溶出バッファー:50mMのBisTris、pH8.00勾配
CIP:0.2MのNaOH
流速:2ml/分
温度:20℃
純粋なhGHに対する動的10%BT能力:11.9mg/ml
精密濾過物hGHに対する動的10%BT能力:5.7mg/ml
回収:98%
純度:70%
【0256】
実施例16−Fractogel上のリガンドF10及びF14に対するハイパーグリコシル化hGHの結合
ハイパーグリコシル化hGHを含む3mlの細胞回収物を、0.25MのHClで7.7から6.23にpH調節し、水で3倍に希釈した。
回収物を、50mMのBIS-TRIS、pH6.23で平衡化した樹脂の1mlカラムに適用した。適用後、樹脂を同じバッファーで洗浄し(15CV)、結合したタンパク質を200mMのTrisHCl、pH8.0(10CV)で溶出した。両者の樹脂により精製されたハイパーグリコシル化hGHの量は3.5mg/mlであった。
【0257】
議論
高アフィニティーが予測されたリガンドはhGHを結合する一方、低アフィニティーが予測されたリガンドは、予測どおり低アフィニティーを示すという事実は、実施例1で生成され図1及び表2に示された構造−蛍光データが、hGHに対する一般構造(IV)を有するリガンドのアフィニティーを予測するための良好な基礎を構成することを示す。
【0258】
更に、実施例1に略述されたコンピューター的で実験的な方法は、コンビナトリアル合成工程の数を変数m及びnに従って調節する範囲において(即ち式(I))、一般式(I)を有するかなりの数のhGHアフィニティーリガンドをデザインし、合成し、スクリーニングするための良好な基礎を構成するものと仮定することは公正である。
【0259】
同様に、実施例1に略述された実験的な方法は、コンビナトリアル合成工程の数を変数m及びnに従って調節し(即ち式(I))、蛍光スクリーニングをhGHの代わりに問題となるタンパク質で実施する範囲において、いずれかのタンパク質に対する一般式(I)を有するかなりの数のアフィニティーリガンドをスクリーニングするための良好な基礎を構成するものと仮定することは公正である。
【0260】
実施例3〜9に記載されたような本発明に係る新規なアフィニティー樹脂の合成及び試験は、NaOH溶液に曝露することを含む方法の変わりに洗浄に対する樹脂の安定性を含むアフィニティー樹脂の工業的な応用を説明する。
【0261】
配列番号1
【化18】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成長ホルモンポリペプチド、例えば組換えヒト成長ホルモンの精製のための新規な方法に関する。本発明の方法は、一つ以上の低分子量合成リガンドを固定化している固相材料を含むアフィニティー樹脂を利用する。前記アフィニティー樹脂は、密接に関連するタンパク質からの成長ホルモンの分離を可能にする。
【背景技術】
【0002】
治療上のタンパク質は、生存細胞で生産され、患者において使用する前に、タンパク質の複雑な混合物、及び他の生物学的種類から精製されなければならない。この分離は、非常に労力を必要としコストが掛かるはずである。数多くのクロマトグラフィー材料が、そのような分離における使用のために記載されている。
【0003】
アフィニティークロマトグラフィーは、アフィニティーカラムに実装された固相材料、通常は多孔性のポリマーマトリックスに、タンパク質のような生物学的物質を選択的且つ可逆的に吸着することが可能である。適切なリガンドが、固相材料に直接またはリンカーによって共有結合される。リガンドに対してアフィニティーを有する生物学的物質を含むサンプルが、リガンドと、リガンドに対するアフィニティーを有する生物学的物質との間の特異的な結合を促進する適切な結合条件下で、固相材料に共有結合で固定化されたアフィニティーリガンドと接触させることができる。アフィニティーカラムは、バッファーで後に洗浄して未結合の物質を除去でき、さらなる工程で、リガンドに対するアフィニティーを有する生物学的物質が溶出されて、精製形態または更に単離した形態で得られる。従ってリガンドは。精製または単離の目的である生物学的物質に対して特異的かつ可逆的な結合特性を好ましくは示す。
【0004】
数多くのクロマトグラフィー材料及び方法が、ヒト成長ホルモン(hGH)の精製について記載されている。
【0005】
US5,047,333は、イオン交換クロマトグラフィーまたは固定化金属アフィニティークロマトグラフィーを使用するヒト成長ホルモンの精製方法を開示している。
【0006】
US4,332,717は、アルキル基またはフェニル基といった疎水性基を有する水不溶性担体をクロマトグラフィー材料として使用する疎水性相互作用クロマトグラフィーを使用する、ヒト成長ホルモンの精製方法を開示している。
【0007】
上記二つの方法は、化合物の物理化学的特性の差異を利用する伝統的な精製技術に依存している。しかしながらこれらは、より低収率且つより高コストを結果として導くいくつかの過度の精製工程をしばしば必要とする。
【0008】
US6,117,996は、以下の一般式を有するリガンドを含むアフィニティーリガンド−マトリックス接合体を開示している:
【化1】
【0009】
前記リガンドは、マトリックスとリガンドの間に位置するスペーサーアームを任意に介して、位置(A)で支持体マトリックスに結合している。そのようなアフィニティーリガンド−マトリックス接合体を使用する、例えばイムノグロブリン、インスリン、第VII因子、またはヒト成長ホルモン若しくはそのアナログ、誘導体及び断片及び前駆体といったタンパク質性材料の精製も開示されている。
【0010】
US5,760,187は、支持体マトリックスに結合したCibacron 3GA:
【化2】
のような青色色素を使用するヒト成長ホルモンの精製方法を開示している。青色色素は、トリプシンまたはラクテートデヒドロゲナーゼといったアデニル含有補因子依存性酵素のアフィニティークロマトグラフィー精製で長く使用されている。しかしながら、前記担体からの成長ホルモンの溶出は、6Mウレアといったタンパク質変性剤を必要とする。
【0011】
上記当該技術分野で記載されているクロマトグラフィー材料は、実際にhGHの精製で使用することができる。しかしながら、合成アフィニティーリガンドを含み、更により少ない工程とより穏やかな溶出条件を含む精製方法を可能にする、hGHに対する高い特異性を有するクロマトグラフィー材料に対する必要性が未だ存在する。
【0012】
現在の組換えヒト成長ホルモン(rhHG)は、以下の各種の工程による発酵上清から精製できる:
【0013】
例えばUS5,268,277及びUS5,633,352に開示された方法といった、複数のクロマトグラフィー工程を利用する従来のクロマトグラフィー:
【0014】
例えばUS5,350,836に開示されたような、タンパク質リガンドを有するアフィニティー樹脂を利用するアフィニティークロマトグラフィー:または
【0015】
例えばUS5,760,187に開示されたような、合成小分子リガンドを有するアフィニティー樹脂を利用するアフィニティークロマトグラフィー。
【0016】
複数の工程を含む従来のクロマトグラフィーは、低い全体の収率、高いバッファーの消費、長い反応時間及び方法装置の大きい投資、過度の労力の一つ以上に苦慮している。
【0017】
タンパク質リガンドを有するアフィニティー樹脂は、選択性の増大、より高い収率、より低いバッファーの消費、及び方法装置の投資の減少を導いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】US5,047,333
【特許文献2】US4,332,717
【特許文献3】US6,117,996
【特許文献4】US5,760,187
【特許文献5】US5,268,277
【特許文献6】US5,633,352
【特許文献7】US5,350,836
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
しかしながら、タンパク質リガンドを有するアフィニティー樹脂は、製造が非常に高価であり、且つ小合成リガンドと比較して化学的及び構造的に不安定であり、タンパク質リガンドを有するアフィニティー樹脂の生産から、タンパク質リガンドまたは他の生物学的物質由来のタンパク質断片が、精製したrhGHに混在する危険を固有にはらんでいる。
【0020】
US5,760,187に開示されたもののような、ヒト成長ホルモンのアフィニティークロマトグラフィー用の最近報告された合成リガンドは、アフィニティー樹脂からタンパク質を放出するための強力なタンパク質変性剤の使用を必要とする。
【0021】
それゆえ、組換えヒト成長ホルモン(rhGH)の精製のためのより優れたアフィニティー樹脂に対する必要性が存在している
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は、新規なアフィニティー樹脂を使用する成長ホルモンポリペプチドの精製方法を提供する。本発明は、成長ホルモンポリペプチド、特にヒト成長ホルモン(hGH)、例えばrhGHに選択的であり、タンパク質リガンドに基づかず、且つ安価で塩基安定性である新規な合成アフィニティーリガンドを含むアフィニティー樹脂を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、AA1(上部)、AA2(中央)及びCA(下部)についての平均蛍光値(任意単位)を示すグラフである。
【図2】図2は、Fractogel Amino上のリガンド11(左図)及びFractogel Amino上のリガンド6(右図)の選択性試験から得られたSDS−PAGEのゲルの写真である。
【図3】図3は、リガンドL10を有するアフィニティー樹脂を使用した典型的な稼動を示すクロマトグラムを示すグラフである。
【図4】図4は、リガンドL10を有するアフィニティー樹脂を使用した精製のSDS−PAGEゲルの写真である。レーン1:Mark 12マーカー;レーン2:フロースルー;レーン3:溶出物(リガンドL10を有するアフィニティー樹脂);レーン4:精製hGH(アミノ酸伸張を欠く);レーン5:精密濾過された大腸菌細胞培養液。
【図5】図5は、Fractogel Amino Mに対するリガンドL10を使用するhGH回収由来の精密濾過物からのhGHのアフィニティー精製のクロマトグラムを示すグラフである。
【図6】図6は、リガンドL10を有するアフィニティー樹脂を使用した精製のSDS−PAGEゲルの写真である。レーン1(左から):タンパク質マーカーMark 12(Invitrogen);レーン2:フロースルー(フラクション1+2+3のプール、ゲル上に10μlのサンプル);レーン3:溶出物(フラクション6+7+8のプール、ゲル上に10μlのサンプル);レーン4:CIP(フラクション10+11+12のプール、ゲル上に10μlのサンプル);レーン5:参照精密濾過サンプル(×50の希釈)。
【図7】図7は、SDS−PAGEのレーン3に示されたプールされたフラクションのHPLCを示すグラフである。純度74%、Tr=22分でのhGH。
【図8】図8は、50mM BisTris、pH6.25のロードバッファーで得られたクロマトグラムを示すグラフである。
【図9】図9は、リガンドL10を有するアフィニティー樹脂を使用した精製のSDS−PAGEゲルの写真である。レーン1(左から):タンパク質マーカーMark 12(Invitrogen);レーン2:フロースルー(フラクション1+2+3のプール、ゲル上に10μlのサンプル);レーン3:溶出物(フラクション6+7+8のプール、ゲル上に10μlのサンプル);レーン4:CIP(フラクション10+11+12のプール、ゲル上に10μlのサンプル);レーン5:参照精密濾過サンプル(×50の希釈)。
【図10】図10は、プールされた溶出フラクション(フラクション6−8)のHPLCクロマトグラムを示すグラフである。Tr=21.5分でのhGH。
【図11】図11は、Fractogel上のリガンドL14を使用するhGHのアフィニティー精製から得られたクロマトグラムを示すグラフである。
【図12】図12は、リガンドL14を有するアフィニティー樹脂を使用した精製のSDS−PAGEゲルの写真である。ゲル分析:レーン1(左から):タンパク質マーカーMark 12(Invitrogen);レーン2:フロースルー(フラクション1+2のプール、ゲル上に10μlのサンプル);レーン3:溶出物(フラクション8のプール、ゲル上に10μlのサンプル);レーン4:溶出物(フラクション9のプール、ゲル上に10μlのサンプル);レーン5:溶出物(フラクション7+8+9のプール、ゲル上に10μlのサンプル);レーン6:CIP(フラクション16+17のプール、ゲル上に10μlのサンプル);レーン7:hGH参照;レーン8:参照精密濾過サンプル(×50の希釈)。
【図13】図13は、フラクション9の溶出物のHPLCクロマトグラムを示すグラフである。
【図14】図14は、Fractogel上のリガンドL16を使用するhGHのアフィニティー精製から得られたクロマトグラムを示すグラフである。
【図15】図15は、リガンドL16を有するアフィニティー樹脂を使用した精製のSDS−PAGEゲルの写真である。レーン1:タンパク質マーカーMark 12(Invitrogen);レーン2:フロースルー(フラクション1+2のプール、ゲル上に10μlのサンプル);レーン3:溶出物(フラクション7+8のプール、ゲル上に10μlのサンプル);レーン4:溶出物(フラクション9のプール、ゲル上に10μlのサンプル);レーン5:溶出物(フラクション7+8+9のプール、ゲル上に10μlのサンプル);レーン6:CIP(フラクション16+17のプール、ゲル上に10μlのサンプル);レーン7:hGH参照;レーン8:参照精密濾過サンプル(×50の希釈)。
【図16】図16は、プールされた溶出物フラクション7,8及び9のHPLCクロマトグラムを示すグラフである。
【図17】図17は、Fractogel上のリガンドL14を使用するハイパーグリコシル化hGHのアフィニティー精製から得られたクロマトグラムを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、成長ホルモンポリペプチドの精製方法を提供する。
【0025】
本発明は、リガンドが成長ホルモンポリペプチドの特異的結合パートナーであり、それ故前記ポリペプチドの精製に使用できる、アフィニティーリガンドとアフィニティー樹脂の使用を含む、成長ホルモン(GH)ポリペプチドの精製方法を開示する。
【0026】
従って、本発明の一つの実施態様は、
(a)成長ホルモンポリペプチドの一部のアフィニティー樹脂への結合を容易にする条件下で、成長ホルモンポリペプチドをアフィニティー樹脂と接触させる工程;
(b)結合した成長ホルモンポリペプチドを含む前記アフィニティー樹脂を、洗浄バッファーで任意に洗浄する工程;及び
(c)成長ホルモンポリペプチドを含む前記アフィニティー樹脂を溶出バッファーで溶出し、溶出物として精製成長ホルモンポリペプチドを回収する工程
を含む、成長ホルモンポリペプチドの精製方法に関する。
【0027】
本発明の一つの実施態様では、アフィニティー樹脂は、一般式(I)のリガンドを共有結合で固定化している固相材料である:
【化3】
[式中、
i=1,2,・・・,m、及びj=1,2,・・・,n;
m及びnは独立に0−3の範囲の整数であり、但しn+mの合計は1−4の範囲内である;
p、q及びrは独立に0−6の範囲の整数である;
A11,・・・,A1m及びA21,・・・,A2nは独立に、α−アミノ酸部分、β−アミノ酸部分、α−アミノスルホン酸部分、及びβ−アミノスルホン酸部分から選択される;
Z1及びZ2は独立に、水素、C1−6アルキル、カルボン酸部分(Z−C(=O)−)、及びスルホン酸部分(Z−S(=O)2−)から選択され、Zは水素、任意に置換されたC1−12アルキル、任意に置換されたC3−12シクロアルキル、任意に置換されたC1−12アルケニル、任意に置換されたC1−12アルキニル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、及び任意に置換されたヘテロシクリルから選択される;
R1及びR2は独立に、水素及びC1−6アルキルから選択される;
Xは直接のまたはリンカーを介した固相材料に対するリガンドの結合のための基であり、Xはカルボン酸(−COOH)、カルボン酸エステル(−COOR)、カルボン酸無水物(−COOCOR)、カルボン酸ハライド(−COHal)、スルホン酸(−S(=O)2OH)、スルホニルクロリド(−S(=O)2Cl)、チオール(−SH)、ジスルフィド(−S−S−R)、ヒドロキシ(−OH)、アルデヒド(C(=O)H)、エポキシド(−CH(O)CH2)、シアニド(−CN)、ハロゲン(−Hal)、第一級アミン(−NH2)、第二級アミン(−NHR)、ヒドラジド(−NH=NH2)、及びアジド(−N3)から選択され、Rは任意に置換されたC1−12アルキルから選択され、Halはハロゲンである;及び
前記リガンドの全分子量(「X」といずれかのリンカーを除く)は200−2000g/molである]。
【0028】
驚くべきことに、例えばα,ω−ジアミノカルボン酸、及び同種のタイプ、例えばα,β−ジアミノプロピオン酸(p=1、q=r=0)、α,γ−ジアミノ酪酸、及びα,δ−ジアミノペントン酸、特にα,β−ジアミノプロピオン酸(p=1、q=r=0)に基づく足場が、hGHポリペプチドに対する優れた結合特性を有し、例えば細胞培養上清または血漿中に存在する他のタンパク質と比較して、hGHポリペプチドに対する特異的な結合を更に示す興味深いリガンドのクラスを与えることが見出された。
【0029】
更に、上記仮説によって支持される通り、「X」及びいずれかのリンカーを除くリガンドは好ましくは、200Daより大きい、例えば300Daより大きい、例えば400Daより大きい、例えば500Daより大きい、例えば600Daより大きい、例えば700Daより大きい、例えば800Daより大きい分子量を有する。それに独立して前記リガンドは、5000Da未満、例えば4000Da未満、例えば3000Da未満、例えば2500Da未満、例えば2000Da未満、例えば1500Da未満、例えば1000Da未満の分子量を有する。
【0030】
本発明の一つの実施態様では、Z1−(A1i)m−N(R1)−及びZ2−(A2j)n−N(R2)−の各々は、50−500g/molの分子量の有機部分を表し、リガンドの全分子量は250−1500g/mol、例えば300−1200g/mol、例えば350−1000g/molである。
【0031】
本発明の一つの実施態様では、A11,・・・,A1m及びA21,・・・,A2nはα−アミノ酸部分及びβ−アミノ酸部分から独立に選択され、特にα−アミノ酸部分から独立に選択される。
【0032】
本発明の一つの実施態様では、A11,・・・,A1m及びA21,・・・,A2nは、L型及びD型のいずれかのTyr、Phe、Arg、Trp、Ile、Pro、Thr、Lys、Gln、Asn及びAspのアミノ酸から独立に選択される。
【0033】
本発明の一つの実施態様では、A11,・・・,A1m及びA21,・・・,A2nは、D−Tyr、D−Phe、D−Arg、D−Trp、D−Ile、D−Pro、D−Thr、D−Lys、D−Gln、D−Asn及びD−Aspから独立に選択される。
【0034】
本発明の一つの実施態様では、A11,・・・,A1m及びA21,・・・,A2nは、L−Tyr、L−Phe、L−Arg、L−Trp、L−Ile、L−Pro、L−Thr、L−Lys、L−Gln、L−Asn及びL−Aspから独立に選択される。
【0035】
本発明の一つの実施態様では、A11,・・・,A1m及びA21,・・・,A2nの少なくとも一つは、L−Tyr、L−Phe、L−Arg、L−Trp、L−Ile、L−Pro、L−Thr、L−Lys、L−Gln、L−Asn及びL−Aspから独立に選択される。
【0036】
本発明の一つの実施態様では、A11,・・・,A1m及びA21,・・・,A2nは、Arg、Phe、Ile及びTyrから選択される少なくとも一つのアミノ酸部分を含み、特にL−Arg、L−Phe及びL−Ileから選択される少なくとも一つのアミノ酸部分を含む。
【0037】
本発明の一つの実施態様では、Z1及びZ2は、水素、C1−6アルキル、カルボン酸部分、及びスルホン酸部分から独立に選択される。
【0038】
本発明の一つの実施態様では、Z1及びZ2は、少なくとも一つのカルボン酸部分またはスルホン酸部分からを含む、特に少なくとも一つのカルボン酸部分を含む。
【0039】
本発明の別の実施態様では、Z1及びZ2は、水素、C1−6アルキル、キサンテン−9−イルカルボニル、5−メチル−2−フェニル−2H−1,2,3−トリアゾール−4−イルカルボニル、3−アミノ−(フェニルスルホニル)−チオフェン−2−イルカルボニル、(+/−)−3−オキソ−1−インダニルカルボニル、5,6,7,8−テトラヒドロアクリジン−9−イルカルボニル、及び2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イルカルボニルから独立に選択される。
【0040】
特に好ましい例は、以下に与えられた表から選択される(対応するカルボン酸の構造が明確化のために提供される):
【0041】
【化4−1】
【化4−2】
【0042】
本発明の一つの実施態様では、Z1は1,2,3,4−テトラヒドロアクリジン−9−イルカルボニル、キサンテン−9−イルカルボニル、2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イルカルボニル、及び3−オキソ−インダン−1−イルカルボニルから選択される。
【0043】
本発明の一つの実施態様では、Z1は三環式へテロ芳香族基を含み、例えばZ1は5,6,7,8−テトラヒドロアクリジン−9−イルカルボニル、またはキサンテン−9−イルカルボニルである。
【0044】
本発明の一つの実施態様では、アミノ酸/アミノスルホン酸の数に関して、nは好ましくは0−2、例えば0−1、特に0であり、mは好ましくは1−3、例えば2−3、特に2である。n+mの合計は好ましくは2−4、例えば2−3、特に2または3である。
【0045】
本発明の一つの実施態様では、nが0である場合、Z2は好ましくはカルボン酸部分及びスルホン酸部分から選択される。更に、mが0である場合、Z1は好ましくはカルボン酸部分及びスルホン酸部分から選択される。
【0046】
本発明の一つの実施態様では、足場中の炭素原子の数に関して、pは好ましくは0−3、例えば0−2、例えば1−2、特に2であり、qは好ましくは0−3、例えば0−2、特に0または1である。p+qの合計は好ましくは1−7、例えば2−5、特に2または3である。それと独立に、rは好ましくは0−6、例えば0−4、例えば0−2、特に0または1、とりわけ0である。
【0047】
本発明の一つの実施態様では、足場中の炭素原子の数に関するさらなる変形例では、(p,q)は(0,1)、(0,2)、(0,3)、(0,4)、(1,0)、(2,0)、(3,0)、または(4,0)である。
【0048】
本発明の一つの実施態様では、rの変形例は好ましくは0である。
【0049】
本発明の一つの実施態様では、Xは、直接またはリンカーを介して(更に以下参照)、固相材料にリガンドを結合させるために使用される反応基である。好ましい実施態様では、前記リンカーは−CON(R)−(特に−NHCO−)セグメントを介して足場に結合され、固相ペプチド合成から既知の標準的な方法体系によりリガンドを調製可能とするため、前記カルボニルは「X」を表す足場の一部である。
【0050】
本発明の一つの実施態様では、Xはカルボン酸(−COOH)、カルボン酸エステル(−COOR)、カルボン酸無水物(−COOCOR)、カルボン酸ハライド(−COHal)、スルホン酸(−S(=O)2OH)、スルホニルクロリド(−S(=O)2Cl)、チオール(−SH)、ジスルフィド(−S−S−R)、ヒドロキシ(−OH)、アルデヒド(C(=O)H)、エポキシド(−CH(O)CH2)、シアニド(−CN)、ハロゲン(−Hal)、第一級アミン(−NH2)、第二級アミン(−NHR)、ヒドラジド(−NH=NH2)、及びアジド(−N3)から選択され、Rは任意に置換されたC1−12アルキルから選択され、Halはハロゲンである。
【0051】
本発明の一つの実施態様では、XはCOOHである。
【0052】
本発明の一つの実施態様では、リンカーを任意に介して結合した一般式(I)のリガンドを有する固相材料を含むアフィニティー樹脂であって、式中、
A21,・・・,A2nが、Tyr、Phe、Arg、Trp、Ile、Pro、Thr、Lys、Gln、Asn及びAsp、特にL−Tyr、L−Phe、L−Arg、L−Trp、L−Ile、L−Pro、L−Thr、L−Lys、L−Gln、L−Asn及びL−Aspから独立に選択され;
Z1が水素、C1−6アルキル、キサンテン−9−カルボニル、2−アミノニコチニル、2−キナルジンカルボニル、4,8−ジヒドロキシ−2−キノリンカルボニル、4−キノリンカルボニル、5−メチル−2−ニトロベンゾイル、2−(ベンゾイミダゾリルチオ)アセチル、5−メチル−2−フェニル−2H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボニル、6−ヒドロキシ−2−ナフトイル、4,7−ジメチルピラゾロ[5,1−c][1,2,4]トリアジン−3−カルボニル、3−アミノ−4−(フェニルスルホニル)−2−チオフェンカルボニル、(+/−)−3−オキソ−1−インダンカルボニル、5,6,7,8−テトラヒドロアクリジン−9−カルボニル、2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−カルボニル、5−(4−メチル−2−ニトロフェニル)フロイル、1−シクロヘキシル−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボニル、キノキサリン−6−カルボニル、及び4−メチル−2−フェニルピリミジン−5−カルボニルから選択され;
Z2がHであり;
R1及びR2が水素及びC1−6アルキルから独立に選択され;
m=0、n=2、p=1、q=0、r=0
であるアフィニティー樹脂が好ましい。
【0053】
本発明の一つの実施態様では、リンカーを任意に介して結合した一般式(I)のリガンドを有する固相材料を含むアフィニティー樹脂であって、式中、
A21,・・・,A2nが、Tyr、Phe、Arg、Trp、Ile、Pro、Thr、Lys、Gln、Asn及びAsp、特にL−Tyr、L−Phe、L−Arg、L−Trp、L−Ile、L−Pro、L−Thr、L−Lys、L−Gln、L−Asn及びL−Aspから独立に選択され;
Z1が水素、C1−6アルキル、キサンテン−9−イルカルボニル、5−メチル−2−フェニル−2H−1,2,3−トリアゾール−4−イルカルボニル、3−アミノ−(フェニルスルホニル)−チオフェン−2−イルカルボニル、(+/−)−3−オキソ−1−インダニルカルボニル、5,6,7,8−テトラヒドロアクリジン−9−イルカルボニル、及び2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イルカルボニルから選択され;
Z2がHであり;
R1及びR2が水素及びC1−6アルキルから独立に選択され;
m=0、n=2、p=1、q=0、r=0
であるアフィニティー樹脂が好ましい。
【0054】
本発明の一つの実施態様では、リガンドは以下の一般式(II)を有する:
【化5】
[式中、Z1、Z2、A21及びA22は、一般式(I)について上述した通りであり、この一般式について記載された実施態様を含む]。
【0055】
特に好ましい一般式(II)のリガンドは、式中、
Z1がZ−C(=O)−であり、Zが任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、及び任意に置換されたヘテロシクリルから選択され;
Z2が水素及びZ−C(=O)−から選択され、Zが任意に置換されたC1−12アルキル、任意に置換されたC3−12シクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、及び任意に置換されたヘテロシクリルから選択され;
A21及びA22の各々がα−アミノ酸及びβ−アミノ酸から独立に選択される
ものである。
【0056】
本発明の一つの実施態様では、式中、A21がアルギニン、フェニルアラニン、チロシン、イソロイシン、及びリジンから好ましくは選択され、A22がアルギニン、フェニルアラニン、イソロイシン、プロリン、チロシン、及びトリプトファンから選択される、一般式(II)を有する。
【0057】
本発明の一つの実施態様では、一般式(II)のリガンドは、好ましくは一般式(III):
【化6】
[式中、R’及びR”はα−アミノ酸の側鎖から独立に選択され、R’’’は任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、及び任意に置換されたヘテロシクリルからなる群から選択される]
を有する。
【0058】
本発明の一つの実施態様では、前記リガンドは、以下のリガンド番号(1)−(16)から選択される構造を有する。
【0059】
【化7−1】
【化7−2】
【化7−3】
【化7−4】
【化7−5】
【化7−6】
【化7−7】
【0060】
更に好ましい実施態様では、前記リガンドは、式中、Z1及びZ2が水素、C1−6アルキル、5,6,7,8−テトラヒドロアクリジン−9−カルボニル、及び2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−カルボニルから独立に選択される、一般式(I)を有する。
【0061】
ここに記載されたリガンドは、ここでの記載または表現から明らかな通り、いずれかのまたは全ての非対称の原子での濃縮または分解光学異性体を含む。ラセミ混合物及びジアステレオマー混合物の両者、並びに個々の光学異性体は、そのエナンチオマーまたはジアステレオマーカウンターパートを実質的に含まないように単離または合成することができ、これらは全て本発明の範囲内に存在する。
【0062】
定義
「α−アミノ酸部分」は、アミノ基がα−炭素に共有結合している天然に存在する及び合成のアミノ酸(必須アミノ酸を含む)を指す。本発明のリガンドに存在する場合、α−アミノ酸部分は−N(R)−X−C(=O)−断片として存在し、Xはα−炭素及びいずれかの側鎖を表す。
【0063】
「β−アミノ酸部分」は、アミノ基がβ−炭素に共有結合している天然に存在する及び合成のアミノ酸を指す。本発明のリガンドに存在する場合、β−アミノ酸部分は−N(R)−X−C(=O)−断片として存在し、Xはα−及びβ−炭素及びいずれかの側鎖を表す。
【0064】
「α−アミノスルホン酸部分」は、カルボニル基(−C(=O)−)がスルホン基(−S(=O)2−)で置換されている「α−アミノ酸部分」に対応する。本発明のリガンドに存在する場合、α−アミノスルホン酸部分は−N(R)−X−S(=O)2−断片として存在し、Xはα−炭素及びいずれかの側鎖を表す。
【0065】
「β−アミノスルホン酸部分」は、カルボニル基(−C(=O)−)がスルホン基(−S(=O)2−)で置換されている「β−アミノ酸部分」に対応する。本発明のリガンドに存在する場合、β−アミノスルホン酸部分は−N(R)−X−S(=O)2−断片として存在し、Xはα−及びβ−炭素及びいずれかの側鎖を表す。
【0066】
用語「必須アミノ酸」は、20の遺伝的にコードされたL−α−アミノ酸及びその立体異性体D−α−アミノ酸のいずれか一つを指す。それ故、本発明の範囲内の「アミノ酸部分」はその最も広い意味で使用され、その天然に存在するL−アミノ酸を含むように意味される。天然に存在するアミノ酸について一般的に使用される一文字及び三文字標記がここで使用される(Lehninger, Biochemistry, 第2版, pp, 71-92, Worth Publishers: New York, 1975)。この用語は更にD−アミノ酸(及びその残基)、並びに化学的に修飾されたアミノ酸、例えば通常タンパク質には取り込まれない天然に存在するアミノ酸を含むアミノ酸アナログ、例えばノルロイシン、並びにアミノ酸の特徴であると当該技術分野で既知の特性を有する化学的に合成された化合物を含む。
【0067】
「アミノ酸部分」として本発明によってリガンドに一般的に取り込まれることができるアミノ酸の例が以下に記載される:
【0068】
グリシル(GLY);アミノポリカルボン酸、例えばアスパラギン酸(ASP)、p−ヒドロキシアスパラギン酸、グルタミン酸(GLU)、β-ヒドロキシグルタミン酸、β−メチルアスパラギン酸、β−メチルグルタミン酸、β,β−ジメチルアスパラギン酸、γ−ヒドロキシグルタミン酸、β,γ−ジヒドロキシグルタミン酸、β−フェニルグルタミン酸、γ−メチレングルタミン酸、3−アミノアジピン酸、2−アミノピメリン酸、2−アミノスベリン酸及び2−アミノセバシン酸残基;グルタミン(GLN);アスパラギン(ASN);アルギニン(ARG)、リジン(LYS)、β−アミノアラニン、γ−アミノブチリン、オルニチン(ORN)、シトルリン、ホモアルギニン、ホモシトルリン、5−ヒドロキシ−2,6−ジアミノヘキサン酸、ジアミノ酪酸;ヒスチジン(HIS);α, α’−ジアミノコハク酸、α, α’−ジアミノグルタル酸、α, α’−ジアミノアジピン酸、α, α’−ジアミノピメリン酸、α, α’−アジミノ−β−ヒドロキシピメリン酸、α, α’−ジアミノスベリン酸、α, α’−ジアミノアゼライン酸、及びα, α’−ジアミノセバシン酸残基;プロリン(PRO);4−または3−ヒドロキシ−2−ピロリジンカルボン酸、γ−メチルピロリン、ピペコリン酸、5−ヒドロキシピペコリン酸、−N[CH2]2−CO−、アゼチジン−2−カルボン酸;アラニン(ALA)、バリン(VAL)、ロイシン(LEU),アリルグリシン、ブチリン、ノルバリン、ノルロイシン(NLE)、ヘプチリン、α−メチルセリン、α−アミノ−α−メチル−γ−ヒドロキシ吉草酸。α−アミノ−α−メチル−6−ヒドロキシ吉草酸、α−アミノ−α−メチル−ε−ヒドロキシカプロン酸、イソバリン、α−メチルグルタミン酸、α−アミノイソ酪酸、α−アミノジエチル酢酸、α−アミノジイソプロピル酢酸、α−アミノジ−n−プロピル酢酸、α−アミノジイソブチル酢酸、α−アミノジ−n−ブチル酢酸、α−アミノエチルイソプロピル酢酸、α−アミノ−n−プロピル酢酸、α−アミノジイソアミ酢酸、α−メチルアスパラギン酸、α−メチルグルタミン酸、1−アミノシクロプロパン−1−カルボン酸;イソロイシン(ILE)、アロイソロイシン、tert−ロイシン、β−メチルトリプトファン;α−アミノ−α−フェニルプロピオン酸;β−フェニルセリニル;セリン(SER)、β−ヒドロキシロイシン、β−ヒドロキシノルロイシン、β−ヒドロキシノルバリン、α−アミノ−α−ヒドロキシステアリン酸;ホモセリン、γ−ヒドロキシノルバリン、δ-ヒドロキシノルバリン、ε−ヒドロキシノルロイシン;カナビニル、カナリニル;γ−ヒドロキシオルニチニル;2−ヘキソサミン酸、D−グルコサミン酸、D−ガラクトサミン酸;α−アミノ−β−チオール、ペニシルアミン、β−チオールノルバリン、β−チオールブチリン;システイン(CYS);ホモシステイン;β−フェニルメチオニン;メチオニン(MET);S−アリル−(L)−システインスルホキシド;2−チオールヒスチジン;シスタチオニン;フェニルアラニン(PHE)、トリプトファン(TRP)、α−アミノフェニル酢酸、α−アミノシクロヘキシル酢酸、α−アミノ−β−シクロヘキシルプロピオン酸;アリール−、C1−6−アルキル−、ヒドロキシ−、ハロゲン−、グアニジン−、オキシアルキルエーテル−、ニトロ−、サルファー−、またはハロ−置換フェニル(例えばチロシン(TYR)、メチルチロシン、及びo−クロロ−、p−クロロ−、3,4−ジクロロ−、o−、m−、またはp−メチル−、2,4,6−トリメチル−、2−エトキシ−5−ニトロ−、2−ヒドロキシ−5−ニトロ−、及びp−ニトロ−フェニルアラニン);フリル−、チエニル−、ピリジル−、ピリミジニル−、プリンまたはナフチルアラニン;キヌレニン、3−ヒドロキシキヌレニン、2−ヒドロキシトリプトファン、4−カルボキシトリプトファン;サルコシン(N−メチルグリシン;SAR)、N−ベンジルグリシン、N−メチルアラニン、N−ベンジルアラニン、N−メチルフェニルアラニン、N−ベンジルフェニルアラニン、N−メチルバリン、及びN−ベンジルバリン;トレオニン(THR)、アロトレオニン、ホスホセリン、ホスホトレオニン。
【0069】
用語「α−アミノ酸の側鎖」は、上記開示されたアミノ酸の側鎖を構成する基を指す。典型的にそのような側鎖は、水素(グリシンを表す)、メチル(アラニン)、2−プロピル(バリン)、2−メチル−1−プロピル(ロイシン)、2−ブチル(イソロイシン)、メチルチオエチル(メチオニン)、ベンジル(フェニルアラニン)、3−インドリルメチル(トリプトファン)、ヒドロキシメチル(セリン)、1−ヒドロキシエチル(トレオニン)、メルカプトメチル(システイン)、4−ヒドロキシベンジル(チロシン)、アミノカルボニルメチル(アスパラギン)、2−アミノカルボニルエチル(グルタミン)、カルボキシメチル(アスパラギン酸)、2−カルボキシエチル(グルタミン酸)、4−アミノ−1−ブチル(リジン)、3−グアニジノ−1−プロピル(アルギニン)、及び4−イミダゾリルメチル(ヒスチジン)、または介在する炭素と隣接する窒素原子とが一緒になってピロリジン環を形成する側鎖(プロリン)から選択される。
【0070】
「α−アミノスルホン酸部分」は、カルボニル酸素(=O)が硫黄(=S)に置換されている「α−アミノ酸部分」を指す。「β−アミノスルホン酸部分」は、カルボニル酸素(=O)が硫黄(=S)に置換されている「β−アミノ酸部分」を指す。
【0071】
ここでの文脈で、用語「C1−12アルキル」及び「C1−6アルキル」は、それぞれ1から12の炭素原子、及び1から6の炭素原子を有する直鎖状、環状、または分枝状の炭化水素基、例えばメチル、エチル、プロピル、イソ−プロピル、ペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシルを企図する。用語「C1−4アルキル」は、1から4の炭素原子を有する直鎖状、環状、または分枝状の炭化水素基、例えばメチル、エチル、プロピル、イソ−プロピル、シクロプロピル、ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル、シクロブチルを企図する。
【0072】
用語「C3−12シクロアルキル」は、用語「C1−12アルキル」によって包含されるが、特にエキソ−サイクリック原子を有するアルキル基を含む一環式及び二環式カウンターパート、例えばシクロヘキシルメチルを指す。
【0073】
同様に、用語「C2−12アルケニル」及び用語「C2−6アルケニル」は、それぞれ2から12の炭素原子、及び2から6の炭素原子を有し、(少なくとも)一つの不飽和結合を含む直鎖状、環状、または分枝状の炭化水素基を包含するように企図される。アルケニル基の例は、ビニル、アリル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ヘプタデカエニルである。アルケニルの好ましい例は、ビニル、アリル、ブテニル、特にアリルである。
【0074】
用語「C3−12シクロアルケニル」は、用語「C2−12アルケニル」によって包含されるが、特にエキソ−サイクリック原子を有するアルケニル基を含む一環式及び二環式カウンターパート、例えばシクロヘキセニルメチルを指す。
【0075】
同様に、用語「C2−12アルキニル」及び用語「C2−6アルキニル」は、それぞれ2から12の炭素原子、及び2から6の炭素原子を有し、(少なくとも)一つの三重結合を含む直鎖状、環状、または分枝状の炭化水素基を包含するように企図される。
【0076】
用語「C1−6アルコシキ」は、「C1−6アルキル−O」を意味するように企図される。
【0077】
ここでの文脈で、即ち用語「アルキル」、「アルコキシ」、「アルケニル」、「アルキニル」等と関連して、用語「任意に置換された」は、問題となる基が、ヒドロキシ(不飽和炭素原子に結合した際、互変異性のケト形態で存在しても良い)、C1−6アルコキシ(即ちC1−6アルキル−オキシ)、C2−6アルケニルオキシ、カルボキシ、オキソ(ケトまたはアルデヒド官能性を形成する)、C1−6アルコキシカルボニル、C1−6アルキルカルボニル、ホルミル、アリール、アリールオキシ、アリールアミノ、アリールカルボニル、アリールオキシカルボニル、アリールカルボニルオキシ、アリールアミノカルボニル、アリールカルボニルアミノ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールアミノ、ヘテロアリールカルボニル、ヘテロアリールオキシカルボニル、ヘテロアリールカルボニルオキシ、ヘテロアリールアミノカルボニル、ヘテロアリールカルボニルアミノ、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルアミノ、ヘテロシクリルカルボニル、ヘテロシクリルオキシカルボニル、ヘテロシクリルカルボニルオキシ、ヘテロシクリルアミノカルボニル、ヘテロシクリルカルボニルアミノ、アミノ、モノ及びジ(C1−6アルキル)アミノ、−N(C1−4アルキル)3+、カルバモイル、モノ及びジ(C1−6アルキル)アミノカルボニル、C1−6アルキルカルボニルアミノ、シアノ、グアニジノ、C1−6アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、ヘテロアリールスルホニルアミノ、C1−6アルカノイルオキシ、C1−6アルキルスルホニル、C1−6アルキルスルフィニル、C1−6アルキルスルホニルオキシ、ニトロ、C1−6アルキルチオ、及びハロゲンから選択される基で、一回または数回、好ましくは1−3回置換されて良いことを意味するように企図され、ここでいずれかのアリール、ヘテロアリール及びヘテロシクリルは、アリール、ヘテロアリール及びヘテロシクリル、及びいずれかのアルキル、アルコキシ等について以下に特に記載されるように置換されても良く、置換基はヒドロキシ、C1−6アルコキシ、アミノ、モノ及びジ(C1−6アルキル)アミノ、カルボキシ、C1−6アルキルカルボニルアミノ、C1−6アルキルアミノカルボニル、またはハロゲンで置換されても良いことを表す。
【0078】
典型的に置換基は、ヒドロキシ(不飽和炭素原子に結合した際、互変異性のケト形態で存在しても良い)、C1−6アルコキシ(即ちC1−6アルキル−オキシ)、C2−6アルケニルオキシ、カルボキシ、オキソ(ケトまたはアルデヒド官能性を形成する)、C1−6アルキルカルボニル、ホルミル、アリール、アリールオキシ、アリールアミノ、アリールカルボニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールアミノ、ヘテロアリールカルボニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルアミノ、ヘテロシクリルカルボニル、アミノ、モノ及びジ(C1−6アルキル)アミノ、カルバモイル、モノ及びジ(C1−6アルキル)アミノカルボニル、アミノ−C1−6アルキルアミノカルボニル、モノ及びジ(C1−6アルキル)アミノ−C1−6アルキル−アミノカルボニル、C1−6アルキルカルボニルアミノ、グアニジノ、カルバミド、C1−6アルキルスルホニルアミノ、C1−6アルキルスルホニル、C1−6アルキルスルフィニル、C1−6アルキルチオ、及びハロゲンから選択され、ここでいずれかのアリール、ヘテロアリール及びヘテロシクリルは、アリール、ヘテロアリール及びヘテロシクリルについて以下に特に記載されるように置換されても良い。
【0079】
いくつかの実施態様では、置換基は、ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、アミノ、モノ及びジ(C1−6アルキル)アミノ、カルボキシ、C1−6アルキルカルボニルアミノ、C1−6アルキルアミノカルボニル、またはハロゲンから選択される。
【0080】
用語「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、及びヨードを含む。
【0081】
ここでの文脈で、用語「アリール」は、完全にまたは部分的に芳香族の炭素環または環系、例えばフェニル、ナフチル、1,2,3,4−テトラヒドロナフチル、ビフェニル、アントラシル、フェナントラシル、ピレニル、ベンゾピレニル、フルオレニル、及びキサンテニルを意味するように企図し、その中でもフェニルが好ましい例である。
【0082】
用語「ヘテロアリール」は、一つ以上の炭素原子がヘテロ原子、例えば窒素(=N−または−NH−)、硫黄、及び/または酸素原子で置換されている完全にまたは部分的に芳香族の炭素環または環系を意味するように企図する。そのようなヘテロアリールの例は、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、クマリル、フラニル、チエニル、キノリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾジアゾリル、ベンゾオキソゾリル、フタラジニル、フタラニル、トリアゾリル、テトラゾリル、イソキノリル、アクリジニル、カルバゾリル、ジベンザゼピニル、インドリル、ベンゾピラゾリル、フェノキサゾニルである。特に興味深いヘテロアリール基は、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、フリル、チエニル、キノリル、トリアゾリル、テトラゾリル、イソキノリル、インドリル、特にベンジイミダゾリル、ピロリル、イミダゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、フリル、チエニル、キノリル、テトラゾリル、及びイソキノリルである。
【0083】
用語「ヘテロシクリル」は、一つ以上の炭素原子がヘテロ原子、例えば窒素(=N−または−NH−)、硫黄、及び/または酸素原子で置換されている非芳香族の炭素環または環系を意味するように企図する。そのようなヘテロシクリル基(環に従って命名される)の例は、イミダゾリジン、ピペラジン、ヘキサヒドロピリダジン、ヘキサヒドロピリミジン、ジアゼパン、ジアゾカン、ピロリジン、ピペリジン、アセパン、アゾカン、アジリジン、アジリン、アゼチジン、ピロリン、トロパン、オキサジナン(モルホリン)、アゼピン、ジヒドロアゼピン、テトラヒドロアゼピン、及びヘキサヒドロアゼピン、オキサゾラン、オキサゼパン、オキサゾカン、チアゾラン、チアジナン、チアゼパン、チアゾカン、オキサゼタン、ジアゼタン、チアゼタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、オキセパン、テトラヒドロチオフェン、テトラヒドロチオピラン、チエパン、ジチアン、ジチエパン、ジオキサン、ジオキセパン、オキサチアン、オキサチエパンである。最も興味深い例は、テトラヒドロフラン、イミダゾリジン、ピペラジン、ヘキサヒドロピリダジン、ヘキサヒドロピリミジン、ジアゼパン、ジアゾカン、ピロリジン、ピペリジン、アセパン、アゾカン、アゼチジン、トロパン、オキサジナン(モルホリン)、オキサゾラン、オキサゼパン、チアゾラン、チアジナン、及びチアゼパン、特にテトラヒドロフラン、イミダゾリジン、ピペラジン、ヘキサヒドロピリダジン、ヘキサヒドロピリミジン、ジアゼパン、ピロリジン、ピペリジン、アセパン、オキサジナン(モルホリン)、及びチアジナンである。
【0084】
ここでの文脈で、即ち用語「アリール」、「ヘテロアリール」、「ヘテロシクリル」等(例えば「アリールオキシ」、「ヘテロアリールカルボニル」等)に関連して、用語「任意に置換された」は、問題となる基が、ヒドロキシ(エノール系に存在する際、互変異性のケト形態で存在しても良い)、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C2−6アルケニルオキシ、オキソ(互変異性のエノール形態で表されても良い)、オキシド(N−オキシドとしてのみ関連する)、カルボキシ、C1−6アルコキシカルボニル、C1−6アルキルカルボニル、ホルミル、アリール、アリールオキシ、アリールアミノ、アリールオキシカルボニル、アリールカルボニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアミノ、アミノ、モノ及びジ(C1−6アルキル)アミノ、カルバモイル、モノ及びジ(C1−6アルキル)アミノカルボニル、アミノ−C1−6アルキルアミノカルボニル、モノ及びジ(C1−6アルキル)アミノ−C1−6アルキル−アミノカルボニル、C1−6アルキルカルボニルアミノ、シアノ、グアニジノ、カルバミド、C1−6アルキルアルカノイルオキシ、C1−6アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、ヘテロアリールスルホニルアミノ、C1−6アルキルスルホニル、C1−6アルキルスルフィニル、C1−6アルキルスルホニルオキシ、ニトロ、スルファニル、アミノ、アミノスルホニル、モノ及びジ(C1−6アルキル)アミノスルホニル、ジハロゲン−C1−4アルキル、トリハロゲン−C1−4アルキル、ハロゲンから選択される基で、一回または数回、好ましくは1−5回、特に1−3回置換されて良いことを意味するように企図され、ここで置換基を表すアリール及びヘテロアリールは、C1−4アルキル、C1−6アルコキシ、ニトロ、シアノ、アミノ、またはハロゲンで1−3回置換されても良く、及び置換基を表すいずれかのアルキル、アルコキシ等は、ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、C2−6アルケニルオキシ、アミノ、モノ及びジ(C1−6アルキル)アミノ、カルボキシ、C1−4アルキルカルボニルアミノ、ハロゲン、C1−6アルキルチオ、C1−6アルキルスルホニルアミノ、またはグアニジノで置換されても良い。
【0085】
典型的に置換基は、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、オキソ(互変異性のエノール形態で表されても良い)、カルボキシ、C1−6アルキルカルボニル、ホルミル、アリール、アミノ、モノ及びジ(C1−6アルキル)アミノ、カルバモイル、モノ及びジ(C1−6アルキル)アミノカルボニル、アミノ−C1−6アルキルアミノカルボニル、C1−6アルキルカルボニルアミノ、グアニジノ、カルバミド、C1−6アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、ヘテロアリールスルホニルアミノ、C1−6アルキルスルホニル、C1−6アルキルスルフィニル、C1−6アルキルスルホニルオキシ、スルファニル、アミノ、アミノスルホニル、モノ及びジ(C1−6アルキル)アミノスルホニル、またはハロゲンから選択され、ここで置換基を表すいずれかのアルキル、アルコキシ等は、ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、C2−6アルケニルオキシ、アミノ、モノ及びジ(C1−6アルキル)アミノ、カルボキシ、C1−4アルキルカルボニルアミノ、ハロゲン、C1−6アルキルチオ、C1−6アルキルスルホニルアミノ、またはグアニジノで置換されても良い。いくつかの実施態様では、置換基は、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、アミノ、モノ及びジ(C1−6アルキル)アミノ、スルファニル、カルボキシ、またはハロゲンから選択され、ここで置換基を表すいずれかのアルキル、アルコキシ等は、ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、C2−6アルケニルオキシ、アミノ、モノ及びジ(C1−6アルキル)アミノ、カルボキシ、C1−4アルキルカルボニルアミノ、ハロゲン、C1−6アルキルチオ、C1−6アルキルスルホニルアミノ、またはグアニジノで置換されても良い。
【0086】
カルボン酸部分は、Q−C(=O)−としてZ1及びZ2として含まれる部分を指し、ここでQは任意に置換されたC1−12アルキル、任意に置換されたC2−12アルケニル、任意に置換されたC2−12アルキニル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、及び任意に置換されたヘテロシクリルから選択される。
【0087】
スルホン酸部分は、Q−S(=O)2−としてZ1及びZ2として含まれる部分を指し、ここでQは任意に置換されたC1−12アルキル、任意に置換されたC2−12アルケニル、任意に置換されたC2−12アルキニル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、及び任意に置換されたヘテロシクリルから選択される。
【0088】
ここで使用される場合、用語「有機部分」(及び「有機部分類」)は、共有結合した一つ以上の炭素原子、及び一つ以上の水素(H)、酸素(O)、窒素(N)、硫黄(S)、臭素(Br)、塩素(Cl)、フッ素(F)、またはリン(P)原子を含む分子断片を意味するように企図される。
【0089】
本発明の特定の特徴点では、有機部分Z1−(A1i)m−N(R1)−及びZ2−(A2j)n−N(R2)−のそれぞれは、典型的に一般式CaHbOcNdSeBrfClgFhPiを有し、式中、0≦a≦15、0≦b≦2x+1、0≦c≦x、0≦d≦x、0≦e≦x、0≦f≦3x、0≦g≦3x、0≦h≦3x、0≦i≦x、及び50≦12a+b+16c+14d+32e+80f+35g+19h+31i≦500である。
【0090】
溶液または懸濁物
ここでの用語「溶液または懸濁物」は、成長ホルモンポリペプチド、特にヒト成長ホルモンポリペプチドを含む固体の塊及び/または液体の塊を意味するように企図する。用語「溶液または懸濁物」は、特に「大きな」体積または質量を指し、即ちラージスケール及び工業的なスケールでの方法から既知の体積及び質量を指すように意味する。
【0091】
成長ホルモンポリペプチドの「懸濁物または溶液」は典型的に、例えば細胞培養物、微生物的方法、クローン動物(例えばウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、及び魚)または昆虫等、特に細胞培養物または工業的スケールの生産方法から由来する。別法として、成長ホルモンポリペプチドの懸濁物または溶液は、血漿等から由来しても良い。
【0092】
成長ホルモンポリペプチドの懸濁物または溶液は典型的に、細胞、特に細胞培養物の溶解後に、あるいは細胞培養液から直接得られる。成長ホルモンポリペプチドを含む懸濁物または溶液は、所望されるまたは有益であれば、pH、イオン強度の変化によって、または二価金属イオンのキレート化等によって後に調節できる。
【0093】
本発明の一つの実施態様では、成長ホルモンポリペプチドを含む懸濁物または溶液は、事前の精製工程から直接、または所望されるまたは有益であれば、pH、イオン強度の変化、または二価金属イオンのキレート化等を後に有する事前の精製工程から得られる。
【0094】
リガンド
アフィニティー樹脂は、本発明の文脈で記載されるような成長ホルモンポリペプチドに対して高い特異性を有するリガンドを共有結合で固定化した固相材料(以下参照)である。
【0095】
ここで使用される場合、用語「リガンド」は、ここでの文脈で成長ホルモンポリペプチドであり得る標的化合物を結合できる分子を意味する。好ましくはリガンドは、少なくとも実質的に特異的な態様で問題となる成長ホルモンポリペプチドに結合すべきである(「特異的な結合」)。用語「一つ以上のリガンド」は、固相材料が一つのタイプを超えたそこに固定化されたリガンドを有しても良いという事実を指す。こう称されると、単一のタイプのリガンド(「一つのリガンド」)の固定化は典型的に、複数/多数の種類の同一のリガンドの固定化を含むであろう。
【0096】
ここでの文脈で、「特異的な結合」は、好ましくは結合した成長ホルモンポリペプチドの質量が、成長ホルモンポリペプチド以外の結合した分子の相対的質量よりも、少なくとも2倍、例えば50倍、例えば100倍、例えば1000倍以上大きいような、成長ホルモンポリペプチドに結合するリガンドの特性を指す。結合した化合物の相対質量は、結合した特異的バインダーの相対的質量=(特異的に結合した質量/結合した全化合物の質量)/(非特異的に結合した質量/結合した全化合物の質量)を意味する。
【0097】
アフィニティーリガンドは、サイト1として既知のhGHポリペプチドのhGHbp結合エピトープに結合するバーチャルコンビナトリアルスクリーニング法によってin silicoでデザインされた。前記リガンドは、hGHのサイト1エピトープ中のGlu56、Ile58、Thr60、Pro61、Ser62、Asn63、Arg64、Thr67、Gln68、Gln69、Lys168、Asp171、Lys172、Thr175、Phe176及びIle179の残基と相互作用するように特にデザインされている。hGHは、hGHポリペプチドの高アフィニティーのサイト1で初めに結合し、その後より低いアフィニティーのサイト2でhGHbpの第二の分子と結合し、2:1のレセプター−リガンドの複合体を形成することを通じてhGHのレセプター(hGHbp)と相互作用する(Walsh等, Proc. Natl. Acad. Sci. 2004, 101, 17078-17083)。サイト1でのhGHbpに対するhGHポリペプチドの結合アフィニティーは、hGHの二つのトリプトファン残基、主にTrp104とTrp169によって主として容易になり、両者はより大きいサイト1内の中央の疎水性パッチに位置している。これらの残基は、hGHに対する結合アフィニティーの大部分を説明し、hGHbpミュータントW104A及びW169Aは、それぞれ2500を超える因数まで野生型に対してアフィニティーを減少することを示す(Clackson等, J. Mol. Biol. 1998, 277, 1111-1128)。ここに記載されたリガンドは、hGHのTrp104及びTrp169と相互作用するサイト1の高アフィニティーパッチ、特にhGHのサイト1エピトープ中のGlu56、Ile58、Thr60、Pro61、Ser62、Asn63、Arg64、Thr67、Gln68、Gln69、Lys168、Asp171、Lys172、Thr175、Phe176及びIle179内に、数多くのコンビナトリアルに構築されたリガンドのコンピュータードッキングによるこれらの好ましい相互作用を模倣するようにデザインされている。
【0098】
固相材料
上述のように、アフィニティー樹脂は、一つ以上の合成リガンドを固定化している置換された固相材料である。固相材料(場合により、「マトリックス」または「ポリマーマトリックス」と称される)は、クロマトグラフィー目的とペプチド合成について従来使用されている広範囲の材料から原則として選択されて良い。そのような材料の例は以下に記載される。
【0099】
前記リガンドは、任意に架橋化された及び/またはビーズ状の形態またはモノリスの多孔物で、多孔性の無機マトリックスまたはポリマーマトリックスのような固相材料に共有結合で固定化される。好ましくはポリマーマトリックスの孔は、前記孔を通じて標的タンパク質が拡散し、孔の内側表面上のリガンドと相互作用するように十分に広い。約22kDaの分子量を有するGHポリペプチドについては、20−150nmの平均孔径が好ましく、例えば約75nmである。
【0100】
一つの実施態様では、ビーズ状の任意に架橋されたポリマーマトリックスは、複数の親水性部分を含む。親水性部分は、架橋した際に、架橋化ポリマーマトリックスを形成するポリマー鎖であることができる。例として、例えばポリエチレングリコール部分、ポリアミン部分、ポリビニルアミン部分、及びポリオール部分が含まれる。
【0101】
本発明の一つの実施態様では、ビーズ状ポリマーマトリックスの孔及び/または表面は、ポリビニル、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリスチレンポリエステル、及びポリアミドからなる群から選択されるポリマー材料を含む。
【0102】
ビーズ状ポリマーマトリックスは更に、PS、POEPS、POEPOP、SPOCC、PEGA、CLEAR、Expansin、Polyamide、Jandagel、PS−BDODMA、PS−HDODA、PS−TTEGDA、PS−TEGDA、GDMA−PMMA、PS−TRPGDA、ArgoGel、Argopore樹脂、ULTRAMIME、架橋化LUPAMINE、高性能PEGA、Silica、Fractogel、Sephadex、Sepharose、Glassビーズ、架橋化ポリアクリレート及び上述のものの誘導体からなる群から選択でき、特にポリマーマトリックスは、SPOCC、PEGA、HYDRA、POEPOP、PEG−アクリレートコポリマー、ポリエーテル−ポリアミンコポリマー、及び架橋化ポリエチレンジアミンからなる群から選択される。
【0103】
上述の例から離れて、ポリマーマトリックスを形成できるいずれかの材料は、本発明のビーズの生産において原則として使用できる。好ましくは、ビーズのコア材料はポリマー状である。いくつかの実施態様では、前記コアは、親水性ポリマー材料を含むまたはこれらからなる。他の実施態様では、前記コアは疎水性ポリマー材料を含むまたはこれらからなる。いくつかの実施態様では、ビーズの表面はコアと同じ材料を含むまたはこれらからなる。
【0104】
ラージスケールでの応用に有用な樹脂は、上述のものの一つ、またはSephadex(登録商標)、Sepharose(登録商標)、Fractogel(登録商標)、CIMGEL(登録商標)、Toyopearl(登録商標)、HEMA(登録商標)、架橋化アガロース、架橋化セルロース、他の架橋化された炭水化物に基づく樹脂、及び多孔性ポリスチレンまたはポリアクリレートといった他の樹脂であって良い。前記マトリックスは更に、主に無機性質を有するもの、例えば多孔性ガラス若しくはクレー材料、または樹脂と無機材料との組み合わせ、例えばCeramic HyperD(登録商標)若しくはシリカゲルであっても良い。
【0105】
本発明に係るポリマービーズは、スチレン、アクリレート、及び不飽和クロリド、エステル、アセテート、アミド及びアルコールを含み、ポリスチレン(高密度ポリスチレンラテックス、例えばブロミネート化ポリスチレンを含む)、ポリメチルメタクリレート、及び他のポリアクリル酸、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリアクロレイン、ポリジメチルシロキサン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリウレタン、ポリビニルアセテート、ポリビニルクロリド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルベンジルクロリド、ポリビニルトルエン、ポリビニリデンクロリド、及びポリビニルベンゼンをこれらに制限することなく含む、各種の重合化モノマーから調製できる。他の実施態様では、前記ビーズは、スチレンモノマーまたはPEGに基づくマクロモノマーから調製される。前記ポリマーは好ましい実施態様では、ポリエーテル、ポリビニル、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアシルアミド、ポリウレタン、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。特に好ましい表面及びコア部分は、架橋化PEG部分、ポリアミン部分、ポリビニルアミン部分、及びポリオール部分を含む。
【0106】
本発明の組成物のビーズの生産に使用される好ましい疎水性ポリマーは、PS−DVB(ポリスチレンジビニルベンゼン)である。PS−DVBは、固相ペプチド合成(SPPS)で広く使用されており、より最近では特定の有機分子のポリマー支持性の調製についての有用性が示されている(Adams等 (1998) J. Org. Chem. 63: 3706-3716)。正確に調製されると(Grotll等 (2000) J. Combi. Chem. 2: 108-119)、PS−DVB固相材料は、高ローディング、有機溶媒中での合理的な膨潤、及び物理的安定性といった化学合成についての優れた特性を示す。
【0107】
リンカー
上述のリガンドは、可能であればリンカーを介して固相材料に共有結合で固定化されている。好ましい実施態様では、リガンドは、ポリマーマトリックスに共有結合されているリンカーに共有結合される。固相材料にアフィニティーリガンドを結合するための一般的な方法は、Hermanson, Krishna及びSmith, Immobilized Affinity Ligand Techniques, Academic Press, 1992に見出すことができる。
【0108】
前記リンカーは、リガンドの適切な移動度を提供すべきであるが、興味ある抗体に対するリガンドの結合においてはそのように関与するべきではない。実際、固定化リガンドの結合は、非固定化リガンドの結合と同様であるべきである。
【0109】
リンカーは、例えばポリマーマトリックスまたは無機支持体といった固相材料にリガンドを結合するために使用される。好ましくはリンカーは、リガンドと固相材料との間に強力で永続的な結合を形成する。本発明の固相材料がGHポリペプチドの繰り返しの精製に使用される際、これは特に重要である。
【0110】
しかしながら、本発明の一つの実施態様では、リンカーは選択的に切断可能であることができる。固相材料が分析的な目的で使用される際、これは有用であることができる。
【0111】
アミノ酸及びポリペプチドは、典型的なリンカーの例である。他の考え得るリンカーは、炭水化物及び核酸を含む。
【0112】
本発明の一つの実施態様では、ポリマーマトリックスに結合したリンカー残基Lは、酸、塩基、温度、光によって、または化学試薬との接触によって切断可能である。特にポリマーマトリックスに結合したリンカーは、(3−ホルミルインドール−1−イル)酢酸、2,4−ジメトキシ−4’−ヒドロキシベンゾフェノン、HMPA、HMPB、HMPPA、Rink酸、Rinkアミド、Knorrリンカー、PALリンカー、DCHDリンカー、Wangリンカー、及びTritylリンカーであることができる。
【0113】
前記リンカーは、好ましくは50Å未満の長さ、例えば3から30Åの長さ、例えば3から20Åの長さ、例えば3から10Åの長さを有するリンカーを介して固相材料と会合できる。
【0114】
好ましくは前記リンカーは、カルボン酸基、アミノ基、特にカルボン酸基を解してリガンドに結合される。
【0115】
前記リンカーは更に、複数の共有結合したサブユニットを含んでも良い、例えば前記サブユニットは、同一の及び非同一のリンカーサブユニットから選択される。一つの変形例では、前記リンカーはフレキシブルで、3から好ましくは50未満の同一または非同一の共有結合したサブユニットを含む。
【0116】
本発明の一つの実施態様では、リンカーLは、グリシン、アラニン、3−アミノプロピオン酸、4−アミノプロピオン酸、及びHMBAからなる群から選択される。
【0117】
本発明の一つの実施態様では、前記リンカーは、アルカン、例えば直鎖状アルカン、例えば2−12の炭素原子を有する直鎖状アルカン、単分散ポリエチレングリコール(PEG)、例えば2−20の繰り返し単位を有するPEG、及びペプチド、例えば1−20の結合したアミノ酸を含むペプチドから選択できる。
【0118】
前記リンカーは更に、多分散ポリエチレングリコール;単分散ポリエチレングリコール、例えばトリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、ヘプタエチレングリコール;アミノ酸;ジペプチド;トリペプチド;テトラペプチド;ペンタペプチド;ヘキサペプチド;ヘプタペプチド;オクタペプチド;ノナペプチド;デカペプチド;ポリアラニン;ポリグリシン;それらの組み合わせからなる群から選択できる。
【0119】
固相材料は、ビーズの形態、例えば0.1−1000μmの範囲の平均径を有する粒子状材料、またはスティック、膜、ペレット、モノリス等の形態で最もしばしば提供される。
【0120】
ペプチド
用語「ペプチド」は、ペプチド結合によって連結した二つ以上のアミノ酸の配列を示すように企図され、ここのアミノ酸は天然に存在するものでも合成のものでも良い。この用語は、用語ポリペプチド及びタンパク質を包含し、後者は共有相互作用、例えばシステイン架橋、または非共有相互作用によって共に保持された二つ以上のポリペプチドからなって良い。この用語は更に、例えば脂溶性基、PEGまたはプロテーゼ基の結合によって誘導化されているペプチドを含むように企図するものと解される。用語ペプチドは、いずれかの適切なペプチドを含み、他に記載がないまたは文脈によって否定されなければ、用語ポリペプチド及びタンパク質と同義語として使用されて良い;但し読者は、それぞれのタイプの各アミノ酸ポリマー含有分子が、有意な差異で会合しても良く、それによって本発明の個々の実施態様を形成しても良いことを認識すべきである(例えば、複数のポリペプチド鎖からなる抗体のようなペプチドは、例えば一本鎖抗体、ペプチドイムのアドヘシン、または一本鎖免疫原性ペプチドとは有意に異なる)。それ故ここでの用語ペプチドは、いずれかの適切なサイズ及び組成のいずれかの適切なペプチドを参照するものと一般的に解されるべきである(ペプチド分子中のアミノ酸の数及び会合鎖の数に関して)。更にここで記載されるペプチドは、他に記載がないまたは文脈によって否定されなければ、天然に存在しない及び/または非Lアミノ酸残基を含んでも良い。
【0121】
用語ペプチドは、他に記載がないまたは文脈によって否定されなければ(且つ、用語ポリペプチド及び/またはタンパク質の個々の実施態様として議論されるならば)、誘導化ペプチド分子をも包含する。略記すると、本発明の文脈では、誘導体は、ペプチドの一つ以上のアミノ酸残基が化学的に修飾されている(例えばアルキル化、アシル化、エステル形成、またはアミド形成によって)、あるいは一つ以上の非アミノ酸有機及び/または無機の原子性または分子性置換基(例えばポリエチレングリコール(PEG)基、脂溶性置換基(リンカー残基またはβ−アラニン、γ−アミノ酪酸(GABA)、L/D−グルタミン酸、コハク酸等といった基によって、ペプチドのアミノ酸配列に任意に結合してよい)、蛍光分子、ビオチン等)と会合しているペプチドであり、更にまたは別法として、他に記載がないまたは文脈によって否定されなければ、非必須の天然に存在しない、及び/または非L−アミノ酸残基を含んでも良い(しかしながら、そのような誘導体は、それら自体が及びそれら自体で、本発明の独立の特徴を考慮されても良く、ペプチドの意味内のそのような分子の取り込みは、そのままのペプチドとそのような誘導体との間の等価値のいずれかの類を意味するよりはむしろ、本発明を記載する簡便性の目的でなされることが再度認識されるべきである)。そのようなアミノ酸残基の非制限的な例は、例えば2−アミノアジピン酸、3−アミノアジピン酸、β−アラニン、β−アミノプロピオン酸、2−アミノ酪酸、4−アミノ酪酸、6−アミノカプロン酸、2−アミノヘプタン酸、2−アミノイソ酪酸、3−アミノイソ酪酸、2−アミノピメリン酸、2,4−ジアミノ酪酸、デスモシン、2,2−ジアミノピメリン酸、2,3−ジアミノプロピオン酸、N−エチルグリシン、N−エチルアスパラギン、ヒドロキシリジン、アロヒドロキシリジン、3−ヒドロキシプロリン、4−ヒドロキシプロリン、イソデスモシン、アロイソロイシン、N−メチルグリシン、N−メチルイソロイシン、6−N−メチルリジン、N−メチルバリン、ノルバリン、ノルロイシン、オルニチン、及びスタチンハロゲン化アミノ酸を含む。この誘導化は本発明の誘導化ではなく、むしろ本発明の方法による精製前の成長ホルモンポリペプチドにすでに存在する誘導化、または精製後に実施される誘導化であると解されるべきである。
【0122】
同一性
当該技術分野で既知の用語「同一性」は、配列を比較することによって測定される、二つ以上のペプチドの配列の間の関係を指す。当該技術分野では、「同一性」は更に、二つ以上のアミノ酸残基の一群の間の適合の数によって測定される、ペプチド間の配列の関係性の度合いを意味する。「同一性」は、特定の機械的なモデルまたはコンピュータープログラム(即ち「アルゴリズム」)によって接近される、ギャップアライメント(存在すれば)を有する二つ以上の配列のより小さい間の同一の適合のパーセントを測定する。関連するペプチドの同一性は、既知の方法によって容易に計算できる。そのような方法は、Computatinal Molecular Biology, Lesk, A.M.編, Oxford University Press, New York, 1988; Biocomputing: Information and Genome Projects, Smith, D.W.編, Academic Press, New York, 1993; Computer Analysis of Sequence Data, Part 1, Griffin, A.M.及びGriffin, H.G.編, Humana Press, New Jersey, 1994; Sequence Analysis in Molecular Biology, von Heinje G., Academic Press, 1987; Sequence Analysis Primer, Gribskov, M.及びDevereux, J.編, M. Stockton Press, New York, 1991; 並びにCarillo等, SIAM J. Applied Math. 48, 1073 (1988)に記載されたものをこれらに制限されることなく含む。
【0123】
同一性を測定する好ましい方法は、試験される配列間の最大の適合を与えるようにデザインされている。同一性を測定する方法は、市販のコンピュータープログラムに記載されている。二つの配列間の同一性を測定する好ましいコンピュータープログラム方法は、GCGプログラムパッケージに含まれており、GAP(Devereux等, Nucl. Acid. Res. 12, 387 (1984); Genetics Computer Group, University of Wilconsin, Madison, Wis.)、BLASTP、BLASTN、及びFASTA(Altschul等, J. Mol. Biol. 215, 403-410 (1990))を含む。BLASTXプログラムは、National Center for Biotechnology Information (NCBI)及び他のソース(BLAST Manual, Altschul等, NCB/NLM/NIH Bethesda, Md. 20894; Altschul等, 上記参照)から公衆に入手可能である。周知のSmith Watermanアルゴリズムもまた、同一性の測定のために使用されて良い。
【0124】
例えば、コンピューターアルゴリズムGAP(Genetics Computer Group, University of Wisconsin, Madison, Wis.)を使用して、配列同一性パーセントが測定される二つのペプチドが、それらそれぞれのアミノ酸の最適なマッチングのために整列される(アルゴリズムによって測定される「マッチスパン」)。ギャップオープニングペナルティ(3倍として計算される。平均項;「平均項」は、使用される比較行列の項の平均である);「項」は特定の比較行列による各完全なアミノ酸適合に割り付けられるスコアまたは数字である)及びギャップエクステンションペナルティ(通常ギャップオープニングペナルティの{分数(1/10)}倍である)、並びにPAM250またはBLOSUM62のような比較行列を、アルゴリズムでの連言命題で使用する。標準的な比較行列(PAM250比較行列についてDayhoff等, Atlas of Protein Sequence and Structure, vol. 5, supp. 3 (1978);BLOSUM62比較行列についてHenikoff等, Proc Natl. Acad. Sci USA 89, 10915-10919 (1992)を参照)もまた前記アルゴリズムによって使用される。
【0125】
ペプチド配列比較のための好ましいパラメーターは以下のものを含む:
【0126】
アルゴリズム:Needleman等, J. Mol. Biol. 48, 443-453 (1970);比較行列:Henikoff等, PNAS USA 89, 10915-10919 (1992)由来のBLOSUM62;ギャップペナルティ:12、ギャップ長ペナルティ:4、相同性の閾値:0
【0127】
GAPプログラムは、上記パラメーターで有用である。上述のパラメーターは、GAPアルゴリズムを使用するペプチド比較(末端ギャップについてペナルティーなし)のためのデフォルトパラメーターである。
【0128】
用語「相同性」は、同一性に関連する概念であるが、「同一性」とは対照的に、同一の適合及び保存的な置換の適合の両者を含む配列の関係を指す。二つのポリペプチド配列が、例えば(分数(10/20))の同一なアミノ酸を有し、残りの部分は全て非保存的な置換であれば、同一性及び相同性のパーセントは両者とも50%となろう。同じ例で、保存的な置換が5を超える位置で存在するのであれば、同一性パーセントは50%のままであるが、相同性パーセントは75%であろう(分数(15/20))。それ故、保存的な置換が存在する場合、二つのポリペプチド間の相同性の度合いは、これらの二つのポリペプチド間の同一性パーセントよりも高くなるであろう。
【0129】
配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドの保存的な修飾(及びコードしている核酸に対する対応する修飾)は、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドのものと同じである機能的及び化学的特徴を有するペプチドを生ずる。対照的に、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドと比較して、本発明に係るペプチドの機能的及び/または化学的特徴の実質的な修飾は、(a)例えばシート形状またはへリックス形状としての、置換の領域の分子骨格の構造、(b)標的部位での分子の電荷または疎水性度、あるいは(c)側鎖の嵩を維持するその効果において有意に異なるアミノ酸配列中の置換を選択することによって達成されて良い。
【0130】
例えば「保存的なアミノ酸置換」は、当該位置でのアミノ酸残基の極性または電荷にほとんどまたは全く影響のないように、本来のアミノ酸残基を本来ではない残基で置換することを含んで良い。更に、ポリペプチド中のいずれかの本来の残基が、「アラニンスキャニングミュータジェネシス」について以前に記載されているように、アラニンで置換されても良い(例えば、アラニンミュータジェネシスを議論しているMacLennan等, Acta Physiol. Scand. Suppl. 643, 55-67 (1998); Sasaki等, Adv. Biophys. 35, 1-24 (1998)を参照)。
【0131】
所望のアミノ酸置換(保存的でも非保存的でも)は、そのような置換が所望される時期で当業者によって決定されて良い。例えばアミノ酸置換は、本発明に係るペプチドの重要な残基を同定するために、またはすでに記載されたミューテーションに加えて、レセプターに対するここに記載されるペプチドのアフィニティーを増大若しくは減少するために使用できる。
【0132】
天然に存在するアミノ酸残基は、一般的な側鎖の特性に基づいてクラスに分けられて良い:
1) 疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
2) 中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
3) 酸性:Asp、Glu
4) 塩基性:His、Lys、Arg;
5) 鎖の配向に影響する残基:Gly、Pro;及び
6) 芳香族:Trp、Tyr、Phe。
【0133】
そのような変化を行う際、アミノ酸の疎水性親水性指標が考慮されて良い。各アミノ酸は、その疎水性及び電荷特性に基づいて以下のような疎水性親水性指標が割り付けられている:イソロイシン(+4.5);バリン(+4.2);ロイシン(+3.8);フェニルアラニン(+2.8);システイン/シスチン(+2.5);メチオニン(+1.9);アラニン(+1.8);グリシン(−0.4);トレオニン(−0.7);セリン(−0.8);トリプトファン(−0.9);チロシン(−1.3);プロリン(−1.6);ヒスチジン(−3.2);グルタメート(−3.5);グルタミン(−3.5);アスパルテート(−3.5);アスパラギン(−3.5);リジン(−3.9);及びアルギニン(−4.5)。
【0134】
タンパク質に対して相互作用的な生物学的機能を与えるアミノ酸の疎水性親水性指標の重要性は、当該技術分野で理解されている。Kyte等, J. Mol. Biol., 157, 105-131 (1982)。特定のアミノ酸は、同じ疎水性親水性指標またはスコアを有する他のアミノ酸について置換されて良く、同じ生物学的活性を未だ維持する。疎水性親水性指標に基づいて変化を行う際、疎水性親水性指標が±2の範囲内であるアミノ酸の置換が好ましく、±1以内のものが特に好ましく、±0.5以内のものが更に特に好ましい。隣接するアミノ酸の親水性によって支配されるように、タンパク質の最大の局所的平均親水性は、その免疫原性及び抗原性、即ち前記タンパク質の生物学的特性と相関する。
【0135】
以下の親水性値がアミノ酸残基に割り当てられている:アルギニン(+3.0);リジン(+3.0);アスパルテート(+3.0±1);グルタメート(+3.0±1);セリン(+0.3);アスパラギン(+0.2);グルタミン(+0.2);グリシン(0);トレオニン(−0.4);プロリン(−0.5±1);アラニン(−0.5);ヒスチジン(−0.5);システイン(−1.0);メチオニン(−1.3);バリン(−1.5);ロイシン(−1.8);イソロイシン(−1.8);チロシン(−2.3);フェニルアラニン(−2.5);トリプトファン(−3.4)。同様な親水性値に基づいて変化を行う際、親水性値が±2の範囲内のアミノ酸の置換が好ましく、±1の範囲内が特に好ましく、±0.5の範囲内が特に好ましい。
本発明のポリペプチドは更に、天然に存在しないアミノ酸を含んでも良い。
【0136】
成長ホルモンポリペプチド
ここでの文脈で、用語「ヒト成長ホルモン(hGH)」及び「野生型hGH(wthGH)」は互換的に使用され、配列番号1のアミノ酸配列を有するタンパク質を両者とも指す。
【0137】
本発明の文脈で、ここで使用される用語「成長ホルモンポリペプチド」は、配列番号1と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含むペプチドを意味する。
【0138】
本発明の一つの実施態様では、成長ホルモンポリペプチドは、配列番号1に対して少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも96%、例えば少なくとも97%、例えば少なくとも98%、例えば少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むペプチドである。
【0139】
本発明の一つの実施態様では、成長ホルモンポリペプチドは、そのようなペプチドの断片であり、当該断片は、有意な量の成長ホルモン活性を保持し、例えばそのようなペプチドと実質的に同じ成長ホルモン活性を有する。
【0140】
本発明の一つの実施態様では、成長ホルモン化合物は、hGHの切り詰めた形態、即ち一つ以上のアミノ酸が配列番号1に対応するN及び/またはC末端から欠如しており、野生型hGHの所望の生物学的特性を保持しているものである。
【0141】
本発明の一つの実施態様では、成長ホルモン化合物は、少なくとも20%、例えば少なくとも30%、例えば少なくとも40%、例えば少なくとも50%、例えば少なくとも60%、例えば少なくとも70%、例えば少なくとも80%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも96%、例えば少なくとも97%、例えば少なくとも98%、例えば少なくとも99%配列番号1と相同である配列を有するアミノ酸配列を含み、少なくとも1%、例えば少なくとも5%、例えば少なくとも10%、例えば少なくとも25%のhGHの活性の関連するhGHアッセイでの活性を有するポリペプチドである。
【0142】
疑義を避けるために、本発明の成長ホルモン化合物は、野生型hGHより高い活性を有するものであっても良い。成長ホルモン化合物がいくつかの態様で誘導化されるのであれば、誘導化は活性を有意に変化させるかもしれないので、hGHに関して成長ホルモンの活性は、非誘導化成長ホルモン化合物について測定されるべきである。例えば、成長ホルモン化合物のin vivoでの半減期を長くする特性改変基で誘導化された成長ホルモン化合物の場合、誘導化成長ホルモン化合物の活性は、hGHの活性よりもずっと低くなっても良く、その減少は長期化した滞留時間によって中和される。一つの実施態様では、成長ホルモン化合物はそのようなポリペプチドの断片であり、当該断片は、有意な量の上述の成長ホルモン活性を維持している。
【0143】
さらなるジスルフィド架橋が導入されて良いGH化合物の他の例は、WO92/09690(Genentech)、US6,004,931(Genentech)、US6,143,523(Genentech)、US6,136,536(Genentech)、US6,057,292(Genentech)、US5,849,535(Genentech)、WO97/11178(Genentech)、WO90/04788(Genentech)、WO02/055532(Maxygen APS及びMaxygen Holdings)、US5,951,972(American Cynanamid Corporation)、US2003/0162949(Bolder Biotechnologies Inc.)に記載されたものを含み、これらの文献が参考としてここに取り込まれる。
【0144】
一つの現在好ましい実施態様では、成長ホルモンポリペプチドは、ヒト成長ホルモンポリペプチド、特に組換えヒト成長ホルモンポリペプチドである。一つのその重要な変形例では、ヒト成長ホルモンポリペプチドは、修飾ヒト成長ホルモンポリペプチド、特にPEG化ヒト成長ホルモンポリペプチド、ハイパーグリコシル化成長ホルモン、または2を超えるジスルフィド架橋を有するポリペプチドである。
【0145】
アフィニティー樹脂の調製
アフィニティー樹脂は、特に(i)遊離形態でリガンドを合成し、その後直接またはリンカー(上記参照)を介して固相にリガンドを固定化することにより、または(ii)固相材料を官能化し、その後連続してリガンドを合成することにより、二つの基本的に異なる態様で原則として調製できる。第一の変形例に関して、固定化法は当該技術分野で容易に利用可能であり、例えばHermanson等(上記参照)を参照。第二の変形例に関して、この方法も容易に利用可能であり、例えば固相ペプチド合成の当該技術分野で既知の方法及び由来する方法を参照[Fields, G.B.等, (1992) Principles and practice of solid-phase peptide synthesis. In Synthetic Peptides: A User’s Guide (Grant, G.A.編), pp. 77-183, W.H. Freeman]及び[Fields, G.B.編, (1997) Solid-phase peptide synthesis. Methods in Enzymology 289. 3; Dorwald, F.Z. Organic synthesis on solid phase-supports, linker, reactions; Wiley-VCH: Weinheim, 2000]。
【0146】
この例は、実施例1及び2に提供される。
【0147】
工程(a)−成長ホルモンポリペプチドとアフィニティー樹脂との接触
前記方法の第一の工程では、成長ホルモンポリペプチドを含む懸濁物または溶液をアフィニティー樹脂と、前記成長ホルモンポリペプチドの一部の前記アフィニティー樹脂への結合を容易にする条件下で接触させる。この目的は、前記アフィニティー樹脂へのGHを含む懸濁物または溶液の成長ホルモンを含む一部の結合を容易にすることである。
【0148】
工程(a)に関して用語「一部」は、懸濁物または溶液に存在する成長ホルモンポリペプチドの質量の少なくとも30%(即ち30−100%)を意味する。ほとんどの例では、成長ホルモンポリペプチドの質量の30%をはるかに超える量、例えば少なくとも50%、または少なくとも70%、または主たる部分を結合することが望ましいことが理解されるべきである。用語「主たる部分」は、懸濁物または溶液に存在する成長ホルモンポリペプチドの質量の少なくとも90%を意味する。好ましくは更に高い部分、例えば成長ホルモンポリペプチドを含む懸濁物または溶液に存在する成長ホルモンポリペプチドの質量の少なくとも95%、または少なくとも98%、または少なくとも99%、または実質的に全てがアフィニティー樹脂に結合されるようになる。
【0149】
アフィニティー樹脂の最も一般的なアレンジは、カラムフォーマットで存在する。バッチ容器でのアレンジももちろん可能である。
【0150】
成長ホルモンポリペプチドの懸濁物または溶液の接触は、典型的には従来のプロトコールに従って実施され、即ち懸濁物または溶液の濃度、温度、イオン強度等を通常のようにしてよく、アフィニティー樹脂を洗浄し、通常のように適用する前に平衡化して良い。
【0151】
成長ホルモンポリペプチドの搭載は、典型的にはアフィニティー樹脂のリットル当たり少なくとも5.6g、例えば湿潤形態のフィニティー樹脂のリットル当たり1−20.0g、例えば3.0−10.0gの範囲の成長ホルモンポリペプチドの量であり、成長ホルモンポリペプチドを含む懸濁物または溶液は、典型的に一時間当たり1−50カラム体積(CV/h)、例えば25−35CV/hのフローで典型的に搭載される。
【0152】
アフィニティー樹脂への適用前及び適用の際の成長ホルモンポリペプチドを含む懸濁物または溶液のpHは、例えば成長ホルモンポリペプチドのダイマーの形態及び分解産物といった混在物の形成と関連する役割を果たすと思われる。かくして、成長ホルモンポリペプチドを含む懸濁物または溶液は液体形態で存在し、アフィニティー樹脂への適用の際に、3.0−10.0の範囲、例えば3.0−7.0、または6.5−10.0の範囲のpHを有する。いくつかの興味深い実施態様では、成長ホルモンポリペプチドを含む懸濁物または溶液は、4.0−7.0の範囲、または7.0−9.0の範囲、または4.5−8.5の範囲のpHを有する。好ましいpH範囲は5.0−6.5であろう。
【0153】
典型的に伝導度は、少なくとも1mS/cm、例えば40mS/cm、例えば少なくとも50mS/cm、例えば少なくとも100mS/cm、例えば少なくとも200mS/cmである。
【0154】
成長ホルモンポリペプチドを含む懸濁物または溶液の温度は、典型的に0−30℃、例えば約2−25℃である。
【0155】
結合した成長ホルモンポリペプチドを有するアフィニティー樹脂の温度は、典型的に0−30℃、例えば約2−25℃であり、冷却筒と制御された温度の溶液を使用することにより特定の範囲内で維持される。
【0156】
工程(b)−洗浄工程(任意)
アフィニティー樹脂に対する成長ホルモンポリペプチドの結合の後、アフィニティー樹脂に非特異的に結合したタンパク質を除去するために、洗浄工程(b)が典型的に実施される。この工程により、アフィニティー樹脂上の成長ホルモンポリペプチドの残留(結合)フラクションは、ずっと低い混在物の存在量を有するであろう。
【0157】
この洗浄工程(b)は、好ましくは2.0−6.9の範囲のpHを有する洗浄バッファーで実施される。いくつかの興味深い実施態様では、洗浄バッファーは、アフィニティー樹脂への適用の際に3.0−10.0の範囲、例えば3.0−7.0、または6.5−10.0の範囲のpHを有する。いくつかの興味深い実施態様では、洗浄バッファーは、4.0−7.0の範囲、または7.0−9.0の範囲、または4.5−8.5の範囲のpHを有する。
【0158】
洗浄工程(b)は、一時間当たり1−50カラム体積のフローで典型的に実施される。
【0159】
洗浄バッファーは典型的に緩衝剤を含む水溶液であり、典型的に緩衝剤は、MES、PIPES、ACES、BES、TES、HEPES、TRIS、BISTRIS、トリエタノールアミン、ヒスチジン、イミダゾール、グリシン、グリシルグリシン、グリシンアミド、リン酸、酢酸(例えば酢酸ナトリウム)、乳酸、グルタル酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、マレイン酸、及びコハク酸の酸及び塩基からなる群から選択される少なくとも一つの成分を含む。緩衝剤は二つ以上の成分の混合物を含んでも良いことが理解されるべきであり、前記混合物は特定の範囲のPH値を提供することができる。例として、酢酸と酢酸ナトリウム等が挙げられる。
【0160】
緩衝剤に加えて、洗浄バッファーは、NP−40、Triton−X100、Tween−80といった非イオン性界面活性剤、またはカプリル酸のような他の添加剤を含んでも良い。
【0161】
緩衝剤に加えて、洗浄バッファーは更に、バッファーのpHを変化しないイオン強度増強剤、例えば塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム等を含んでも良い。
【0162】
本発明の一つの実施態様では、工程(b)は、好ましくは室温近くで0−50mMのBisTris、pH6.0−6.5を含む少なくとも一つの洗浄バッファーを含む。
【0163】
本発明の一つの実施態様では、工程(b)は、25mMのTris-HCl、pH7.5を含む少なくとも一つの洗浄バッファー(バッファーA)を含む。
【0164】
洗浄工程(b)は、一つ、二つまたはいくつかの異なる洗浄バッファーを使用することにより、あるいは洗浄バッファーの勾配の適用により実施されて良いと解されるべきである。
【0165】
洗浄工程と溶出工程は別個の工程である必要はないが、特に溶出バッファーの勾配が溶出工程で使用されるのであれば、両者を組み合わせても良いことに注意すべきである。
【0166】
工程(c)−溶出工程
洗浄工程(b)の後、アフィニティー樹脂は溶出バッファーで溶出され、精製された成長ホルモンポリペプチドが溶出物として回収される。
【0167】
非常に多くの変形例が溶出工程(c)では可能である。
【0168】
溶出のタイプは特に必須ではない、即ち例えば、塩の段階的に減少する勾配を含む溶出バッファーでの溶出、塩の直線的に減少する勾配での溶出(または勾配−維持−勾配プロフィール、または他の変形例)、あるいはpH勾配の使用、あるいは温度勾配の使用、あるいは上述のものの組み合わせが可能である。
【0169】
最終溶出バッファーの伝導度は、好ましくは工程(a)の成長ホルモンポリペプチドを含む組成物の伝導度より高い。
【0170】
ほとんどの例では、工程(c)の溶出バッファーは典型的に、工程(a)及び(b)と同じpHを有する。しかしながら工程(c)の溶出バッファーは、工程(a)及び(b)より高いpHを有しても良い。
【0171】
工程(c)の溶出バッファーが7.0から8.0の間のpHを有するのが好ましい実施態様である。
【0172】
更により好ましい実施態様では、溶出バッファーは、好ましくは室温近くで25−200mMのBisTris、pH6.5−7.5を含む。
【0173】
別の好ましい実施態様では、溶出バッファーは、25−200mMのTRIS、pH7.5−8.0を含む。
【0174】
別の好ましい実施態様では、溶出バッファーは、50mMのトリエタノールアミン、pH8.0を含む。
【0175】
別の好ましい実施態様では、溶出バッファーは、上述のバッファーのいずれかの組み合わせで1M NaClまたは1M MgCl2を含む。
【0176】
別の好ましい実施態様では、溶出バッファーは、上述のバッファーのいずれかの組み合わせで5−30%v/vグリセロールまたはプロピレングリコールを含む。
【0177】
典型的に本発明の方法は、少なくとも50%で他のタンパク質の含量を減少できるが、より好ましくは且つ実際には、減少は少なくとも60%、例えば少なくとも70%、更には少なくとも80%、または少なくとも85%である。
【0178】
通常アフィニティー樹脂は、連続的な工程により後の使用の目的のために再生できる。
【0179】
洗浄工程と溶出工程は別個の工程である必要はないが、特に溶出バッファーの勾配が溶出工程で使用されるのであれば、両者を組み合わせても良いことに注意すべきである。
【0180】
これらに制限されるものではないが、本発明の方法は、成長ホルモンポリペプチドの「工業的なスケール」(または「ラージスケール」)での精製のために特に実施可能である。用語「工業的なスケール」は典型的に、液体成長ホルモンポリペプチド組成物の体積が少なくとも10L、例えば少なくとも50L、例えば少なくとも500L、または少なくとも5000Lであり、生成物の重量が少なくとも10g(乾燥重量)、例えば少なくとも100g、例えば少なくとも500g、例えば1−15000gである方法を意味する。
【0181】
新規なアフィニティー樹脂
ここに記載されるもっとも興味深いアフィニティー樹脂のいくつかは、そのままで新規なものであると解される。それ故本発明は、一つ以上のリガンド、即ち上述のリガンドを共有結合している固相材料を含む新規なアフィニティー樹脂を提供する。
【0182】
本発明は更に、一つ以上のリガンド、即ち上述のリガンドを共有結合している固相材料を含む新規なアフィニティー樹脂を提供する。
【0183】
本発明の一つの実施態様は、
(a)成長ホルモンポリペプチドの一部のアフィニティー樹脂への結合を容易にする条件下で、成長ホルモンポリペプチドを含む懸濁物または溶液をアフィニティー樹脂と接触させる工程;
(b)成長ホルモンポリペプチドを含む前記アフィニティー樹脂を、洗浄バッファーで任意に洗浄する工程;及び
(c)成長ホルモンポリペプチドを含む前記アフィニティー樹脂を溶出バッファーで溶出し、溶出物として成長ホルモンポリペプチドを回収する工程
を含む、成長ホルモンポリペプチドの精製方法であって、
前記アフィニティー樹脂が、一般式(I)の一つ以上のリガンドを共有結合で固定化している固相材料を含む、方法を提供する:
【化8】
[式中、
i=1,2,・・・,m、及びj=1,2,・・・,n;
m及びnは独立に0−3の範囲の整数であり、但しn+mの合計は1−4の範囲内である;
p、q及びrは独立に0−6の範囲の整数である;
A11,・・・,A1m及びA21,・・・,A2nは独立に、α−アミノ酸部分、β−アミノ酸部分、α−アミノスルホン酸部分、及びβ−アミノスルホン酸部分から選択される;
Z1及びZ2は独立に、水素、C1−6アルキル、カルボン酸部分(Z−C(=O)−)、及びスルホン酸部分(Z−S(=O)2−)から選択され、Zは水素、任意に置換されたC1−12アルキル、任意に置換されたC3−12シクロアルキル、任意に置換されたC1−12アルケニル、任意に置換されたC1−12アルキニル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、及び任意に置換されたヘテロシクリルから選択される;
R1及びR2は独立に、水素及びC1−6アルキルから選択される;
Xは直接のまたはリンカーを介した固相材料に対するリガンドの結合のための基であり、Xはカルボン酸(−COOH)、カルボン酸エステル(−COOR)、カルボン酸無水物(−COOCOR)、カルボン酸ハライド(−COHal)、スルホン酸(−S(=O)2OH)、スルホニルクロリド(−S(=O)2Cl)、チオール(−SH)、ジスルフィド(−S−S−R)、ヒドロキシ(−OH)、アルデヒド(C(=O)H)、エポキシド(−CH(O)CH2)、シアニド(−CN)、ハロゲン(−Hal)、第一級アミン(−NH2)、第二級アミン(−NHR)、ヒドラジド(−NH=NH2)、及びアジド(−N3)から選択され、Rは任意に置換されたC1−12アルキルから選択され、Halはハロゲンである;及び
前記リガンドの全分子量(「X」といずれかのリンカーを除く)は200−2000g/molである]。
【0184】
本発明の一つの実施態様では、Z1及びZ2は、水素、C1−6アルキル、キサンテン−9−カルボニル、2−アミノニコチニル、2−キナルジンカルボニル、4,8−ジヒドロキシ−2−キノリンカルボニル、4−キノリンカルボニル、5−メチル−2−ニトロベンゾイル、2−(ベンゾイミダゾリルチオ)アセチル、5−メチル−2−フェニル−2H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボニル、6−ヒドロキシ−2−ナフトイル、4,7−ジメチルピラゾロ[5,1−c][1,2,4]トリアジン−3−カルボニル、3−アミノ−4−(フェニルスルホニル)−2−チオフェンカルボニル、(+/−)−3−オキソ−1−インダンカルボニル、5,6,7,8−テトラヒドロアクリジン−9−カルボニル、2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−カルボニル、5−(4−メチル−2−ニトロフェニル)フロイル、1−シクロヘキシル−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボニル、キノキサリン−6−カルボニル、及び4−メチル−2−フェニルピリミジン−5−カルボニルから独立に選択される。
【0185】
本発明の一つの実施態様では、Z1及びZ2は、水素、C1−6アルキル、キサンテン−9−イルカルボニル、5−メチル−2−フェニル−2H−1,2,3−トリアゾール−4−イルカルボニル、3−アミノ−(フェニルスルホニル)−チオフェン−2−イルカルボニル、(+/−)−3−オキソ−1−インダニルカルボニル、5,6,7,8−テトラヒドロアクリジン−9−イルカルボニル、及び2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イルカルボニルから独立に選択される。
【0186】
本発明の一つの実施態様では、Z1は三環式の任意に置換されたヘテロ芳香族基を含む。
【0187】
本発明の一つの実施態様では、Z1−(A1i)m−N(R1)−及びZ2−(A2j)n−N(R2)−の各々は、50−500g/molの分子量の有機部分を表し、リガンドの全分子量は250−1500g/mol、例えば300−1200g/mol、例えば350−1000g/molである。
【0188】
本発明の一つの実施態様では、リガンドは一般式(I)、(II)及び(III)で上記特定されたものであり、更に各種の実施態様、特に一般式(II)及び(III)の実施態様のものである。現在最も興味深いリガンドは、上述のリガンド番号(1)−(16)のものである。
【0189】
本発明の一つの実施態様によれば、
(a)成長ホルモンポリペプチドの一部のアフィニティー樹脂への結合を容易にする条件下で、成長ホルモンポリペプチドを含む懸濁物または溶液をアフィニティー樹脂と接触させる工程;
(b)成長ホルモンポリペプチドを含む前記アフィニティー樹脂を、洗浄バッファーで任意に洗浄する工程;及び
(c)成長ホルモンポリペプチドを含む前記アフィニティー樹脂を溶出バッファーで溶出し、溶出物として精製成長ホルモンポリペプチドを回収する工程
を含む、成長ホルモンポリペプチドの精製方法であって、
前記アフィニティー樹脂が、一般式(II)を有する、方法を提供する:
【化9】
[式中、
Z1はZ−C(=O)−であり、Zが任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、及び任意に置換されたヘテロシクリルから選択され
Z2は水素及びZ−C(=O)−から選択され、Zが任意に置換されたC1−12アルキル、任意に置換されたC3−12シクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、及び任意に置換されたヘテロシクリルから選択され;
A21及びA22の各々はα−アミノ酸及びβ−アミノ酸から独立に選択される]。
【0190】
本発明の一つの実施態様では、式中、A21がアルギニン、フェニルアラニン、チロシン、イソロイシン、及びリジンから好ましくは選択され、A22がアルギニン、フェニルアラニン、イソロイシン、プロリン、チロシン、及びトリプトファンから選択される。
【0191】
本発明の一つの実施態様では、成長ホルモンポリペプチドの精製方法であって、リガンドが一般式(III):
【化10】
[式中、R’及びR”はα−アミノ酸の側鎖から独立に選択され、R’’’は任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、及び任意に置換されたヘテロシクリルからなる群から選択される]
を有する、方法を提供する。
【0192】
本発明の一つの実施態様では、前記リガンドが以下のリガンド番号(1)−(16)から選択される、方法を提供する。
【0193】
【化11−1】
【化11−2】
【化11−3】
【化11−4】
【化11−5】
【化11−6】
【化11−7】
【0194】
本発明の一つの実施態様は、工程(b)において、少なくとも一つの洗浄バッファーが0−50mMのBisTris、pH6.0−6.5を含む、成長ホルモンポリペプチドの精製方法を提供する。
【0195】
本発明の一つの実施態様は、工程(c)において、溶出バッファーが7.0から8.0の間のpHを有する、成長ホルモンポリペプチドの精製方法を提供する。
【0196】
本発明の一つの実施態様は、溶出バッファーが0−200mMのBisTris、pH7.0−7.5を含む、成長ホルモンポリペプチドの精製方法を提供する。
【0197】
本発明の一つの実施態様は、成長ホルモンポリペプチドがヒト成長ホルモンポリペプチドである、成長ホルモンポリペプチドの精製方法を提供する。
【0198】
本発明の一つの実施態様は、ヒト成長ホルモンポリペプチドが組換えヒト成長ホルモンポリペプチドである、成長ホルモンポリペプチドの精製方法を提供する。
【0199】
本発明の一つの実施態様は、ヒト成長ホルモンポリペプチドが修飾ヒト成長ホルモンポリペプチドである、成長ホルモンポリペプチドの精製方法を提供する。
【0200】
本発明の一つの実施態様は、修飾ヒト成長ホルモンポリペプチドがPEG化ヒト成長ホルモンポリペプチドである、成長ホルモンポリペプチドの精製方法を提供する。
【0201】
本発明の一つの実施態様は、一般式(I)の一つ以上のリガンドを共有結合で固定化している固相材料を含むアフィニティー樹脂を提供する:
【化12】
[式中、
i=1,2,・・・,m、及びj=1,2,・・・,n;
m及びnは独立に0−3の範囲の整数であり、但しn+mの合計は1−4の範囲内である;
p、q及びrは独立に0−6の範囲の整数である;
A11,・・・,A1m及びA21,・・・,A2nは独立に、α−アミノ酸部分、β−アミノ酸部分、α−アミノスルホン酸部分、及びβ−アミノスルホン酸部分から選択される;
Z1及びZ2は独立に、水素、C1−6アルキル、カルボン酸部分(Z−C(=O)−)、及びスルホン酸部分(Z−S(=O)2−)から選択され、Zは水素、任意に置換されたC1−12アルキル、任意に置換されたC3−12シクロアルキル、任意に置換されたC1−12アルケニル、任意に置換されたC1−12アルキニル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、及び任意に置換されたヘテロシクリルから選択される;
R1及びR2は独立に、水素及びC1−6アルキルから選択される;
Xは直接のまたはリンカーを介した固相材料に対するリガンドの結合のための基であり、Xはカルボン酸(−COOH)、カルボン酸エステル(−COOR)、カルボン酸無水物(−COOCOR)、カルボン酸ハライド(−COHal)、スルホン酸(−S(=O)2OH)、スルホニルクロリド(−S(=O)2Cl)、チオール(−SH)、ジスルフィド(−S−S−R)、ヒドロキシ(−OH)、アルデヒド(C(=O)H)、エポキシド(−CH(O)CH2)、シアニド(−CN)、ハロゲン(−Hal)、第一級アミン(−NH2)、第二級アミン(−NHR)、ヒドラジド(−NH=NH2)、及びアジド(−N3)から選択され、Rは任意に置換されたC1−12アルキルから選択され、Halはハロゲンである;及び
前記リガンドの全分子量(「X」といずれかのリンカーを除く)は200−2000g/molである]。
【0202】
本発明の一つの実施態様は、リガンドが上述の実施態様のいずれか一つに従って特定されるアフィニティー樹脂を提供する。
【0203】
本発明の一つの実施態様は、リガンドが直接にまたはリンカーを介してのいずれかで、カルボン酸基を介してアフィニティー樹脂の固相材料に共有結合している、上述のリガンド(1)−(16)からなる群から選択されるリガンドを提供する。
【0204】
本発明の一つの実施態様は、ここに規定されたリガンド(1)−(16)からなる群から選択されるアフィニティーリガンドを提供する。
【0205】
新規なアフィニティー樹脂は、タンパク質、特に成長ホルモンポリペプチドといった生体分子の精製及び/または単離に特に有用である。アフィニティーリガンドは、成長ホルモンポリペプチドに対する特異的な結合パートナーであり、緊密に関連するタンパク質から前記ポリペプチドを単離することができる。
【0206】
本発明の一つの実施態様では、リガンドはセンサーまたはアレイプレート(「固相材料」)の表面に固定化され、生物学的サンプル中の成長ホルモンポリペプチドの検出及び/または定量のために使用できる。
【0207】
ここで使用される用語「生物学的サンプル」は、天然の方法または他の方法、例えば工業的な方法、組換え方法から得られるサンプルを含み、「体液」、即ち生物または生物の組織から抽出、排泄、または分泌されたいずれかの液体物質を含む。体液は細胞を必ずしも含む必要はない。本発明に関連する体液は、全血、血清、尿、血漿、脊髄液、涙、乳、洞液、及び羊水をこれらに制限されることなく含む。
【0208】
本発明の一つの実施態様では、複数のリガンドがアレイプレート(「固相材料」)の表面に固定化され、複数のスポットに並べられ、各スポットは一つのリガンドを示す。そのような官能化アレイは、溶液中の成長ホルモンポリペプチドの存在を検出するために使用できる。そのようなアレイは、生物学的サンプル中の成長ホルモンポリペプチドの存在を検出するための診断の応用のために使用できる。
【0209】
本発明の一つの実施態様では、成長ホルモンポリペプチドの検出及び任意に定量のためのカンチレバーセンサー(「固相材料」)の結合表面に、複数のリガンドが固定化される。複数のアフィニティーリガンドは複数のカンチレバーに固定化でき、各カンチレバーが一つのリガンドを示す。そのような官能化アレイは、溶液中の各種の抗体の存在を検出するために使用できる。そのようなマルチセンサーは、生物学的サンプル中の特定の成長ホルモンポリペプチドの存在を検出するための診断の応用のために使用できる。
【0210】
更に、リガンドのいくつかはそのままで新規であると解される。
【0211】
それゆえ本発明は更に、一般式(I)、(II)及び(II)で上記特定されたアフィニティーリガンド、特にリガンド(1)−(16)からなる群から選択されるリガンドを提供する。
【実施例】
【0212】
実施例1
コードされたビーズ法と共に固相コンビナトリアルアプローチを使用する、ヒト成長ホルモン(hGH)の精製のための小分子アフィニティー樹脂の開発
【0213】
hGHは、ヒトにおける成長と細胞再生を刺激するタンパク質ホルモンである。それは、活性な1:2(hGH:hGHbp)複合体を形成することにより、そのレセプター、hGHbpを結合する。前記ホルモンはそのレセプター上の同じ部位を結合するが、hGHの二つの結合部位は、最も高いアフィニティーを有するサイト1とは構造的に別個である。サイト1は大きなタンパク質表面であり、各タンパク質について30を超えるアミノ酸を包含する。アフィニティーは、いくつかの残基、特にレセプターのTrp104及びTrp169で濃縮される。
【0214】
In silicoスクリーニング及びライブラリーデザイン
天然リガンドの小分子模倣体を構築するために、3点の多様性を有する分枝状構造(IV)を選択した:
【化13】
[式中、AA2及びAA1はアミノ酸残基であり、CAはカルボン酸残基である]。
活性リガンドの発見の可能性を高めるために、事実上40000の化合物ライブラリーを、hGHの結晶構造に対してin silicoでスクリーニングした(1A22)。このライブラリーは、化学物質データベース(ACD)から得られた2500のビルディングブロックのセットを選択することによりデザインされた。前記ライブラリーは、R1、R2及びR3位置にビルディングブロックを導入することにより、Sybyl(Legion)で構築された。ドッキングアルゴリズムFlexXを使用して、ドッキングがSybylで更に実施された。これらの結果から、いくつかの異なるスコアリング機能、並びに化学的安定性、毒性、及び入手可能性に基づいて、18のビルディングブロックのサブセットがCAについて選択され、11のビルディングブロックがAA1とAA2のそれぞれについて選択された。
【0215】
AA1とAA2は、Asp、His、Asn、Thr、Pro、Trp、Lys、Tyr、Ile、Phe及びArgから独立に選択された。CAは、表1に記載されたCA1−CA18から選択された。
【0216】
表1
【化14−1】
【化14−2】
【0217】
ライブラリー合成及びスクリーニング
コードされたポリエチレングリコール−アクリルアミド(PEGA)ビーズ状でのスプリットアンドミックス固相合成によって、リガンドライブラリーを合成した。全ライブラリーは2178の独特の化合物からなった。ビーズコード法は、PEGAビーズの内部のランダムな位置で固定化された蛍光粒子によって作製された3次元イメージパターン認識に基づく。3の直交するCCDカメラを備えた装置による各化学的転位の後、個々のビーズコードを記録した。3つのイメージを三角測量し、各ビーズに独特のコードを与え、化学的ヒストリーが追跡できるようにした[S.F. Christensen, M. Meldal, Genetic Engineering News, 25, No. 7, April 1, 2005]。
【0218】
このビーズをPBS中のローダミン標識hGHとインキュベートし、PBSで洗浄し、その蛍光を測定して定量した。hGHに対して高アフィニティーを有するリガンドを有するビーズは高い蛍光値を有し、hGHに対して低アフィニティーを有するリガンドを有するビーズは低い蛍光を有する。リガンドのビルディングブロック配列と全てのビーズの蛍光値をマッチさせることにより、構造とアフィニティーの関係を全ての2178化合物について確立した。各化合物の蛍光値はここでは示されていない。変わりに、各AA1、各AA2及び各CAについての平均蛍光値が図1に示されている。
【0219】
構造−アフィニティーデータに基づいて、16の高アフィニティーが予測されるリガンドが表2に示され(L1−L16)、並びに2の低アフィニティーが予測されるリガンドが表3に示され(L17−L18)、それらは0.16mmol/gのアミン搭載と40−90μmの粒径を有するFractogel Amino(Merck)で段階的に合成された。樹脂をDMF、DCMおよびエタノールで徹底的に洗浄し、1mLのカラムに実装し、0.2M NaCl、次いで20%エタノールで洗浄し、25mMのTris−HClでpH=7.50に平衡化した(バッファーA)。
【0220】
表2
【化15−1】
【化15−2】
【化15−3】
【化15−4】
【化15−5】
【化15−6】
表3
【化16】
【0221】
a)0.5ml/分の流速で、バッファーA中のhGHの5mg/ml溶液でカラムを充填する工程;
b)カラムを離れるバッファーの安定な低いUV吸光度が観察されるまで、少なくとも10カラム体積のバッファーAでカラムを洗浄する工程;
c)1MのNaCl/25mMのTrsi、pH7.5(バッファーB)の勾配を適用することにより、タンパク質を溶出する工程;
d)0.2MのNaOH、次いでバッファーB、次いでバッファーAでカラムを浄化する工程
によって、各樹脂サンプルについて 野生型hGHについての結合能力を測定した。
【0222】
工程(c)の間でUVシグナルを調査することによって結合能力を計算し、上記の各リガンドについて示された。
【0223】
(a)バッファーAで5倍希釈されたhGH発酵ブロスでカラムを搭載する工程;
(b)カラムを離れるバッファーの安定な低いUV吸光度が観察されるまで、少なくとも10カラム体積のバッファーAでカラムを洗浄する工程;
(c)バッファーBの勾配を適用することにより、タンパク質を溶出する工程;
(d)0.2MのNaOH、次いでバッファーB、次いでバッファーAでカラムを浄化する工程
によって、樹脂の選択性を試験した。
【0224】
「観察された選択性」は、工程(g)の間で得られた溶出物のSDS-PAGEゲルによって判断され、上記の各リガンドについて示された。「非常に良好な」選択性を有する樹脂の例(Fractogel上のリガンドL11)、及び「穏やかな」選択性を有する樹脂の例(Fractogel上のリガンド16)が図2に示されている。
【0225】
図2は、Fractogel Amino上のリガンド11(左図)及びFractogel Amino上のリガンド6(右図)の選択性試験から得られたSDS−PAGEゲルを示す。
【0226】
実施例2
以下の構造を有するリガンドをFractogel Amino上に合成し、実施例1に記載されたのと同じ方法によって試験した。生成した樹脂は、<0.5mg/mlの結合能力を有した。選択性は試験しなかった。
【化17】
【0227】
L19のカルボン酸残基は置換したナフトイルであり、実施例1のCA3、CA4、CA5、CA9及びCA17と構造的に類似するが、これら全ては図2により「非常に低い」から「穏やかな」平均蛍光値を生じる。これに基づいて、L19はhGHに対する低いアフィニティーを有すると予測されるであろう。他方で、表1によれば、L19の(AA1,AA2)=(Tyr,Arg)のアミノ酸残基の組み合わせは、hGHに対する高いアフィニティーを生ずると予測されるであろう。しかしながら、hGHに対するリガンドアフィニティーについてのアミノ酸残基の組み合わせの予測されたポジティブな効果は、カルボン酸残基の予測されたネガティブな効果によって打ち消され、合計でL19の低いhGHアフィニティーを生じる。
【0228】
実施例3−アミノ官能化Fractogel樹脂に対する実施例1由来のリガンドL10の直接的合成
Fractogel EMD−アミノ樹脂(70ml、2.34mmol、Merck KGaAによって供給)を、ガラスシリンジで水(3×)、EtOH(3×)及びDMF(5×)で洗浄し、丸底フラスコ(250ml)に移した。Fmoc-L-DAPA(Alico)−OH(2.88g、3.0当量、7.0mmol)及びTBTU(2.10g、2.8当量、6.5mmol)をDMF(50ml)とN−エチルモルホリン(1.18ml、4.0当量、9.4mmol)に溶解し、10分間事前活性化した。透明な溶液を樹脂に添加し、更に50mlのDMFを添加した。フラスコを一晩シェイカーに配置した。樹脂を大きなガラスシリンジに移し、DMF(5×)及びDCM(5×)で洗浄した。小サンプルのFmoc定量により、0.19mmol/gの搭載を測定した。残りのアミノ残基をDMF中の20%無水酢酸で1時間キャップした。樹脂をDMF(5×)及びDCM(5×)で洗浄した。ネガティブKaiser試験により、樹脂上の遊離アミノ基の不存在が示された。樹脂の一部(15ml)をDMF(5×)で洗浄し、Fmoc保護基をDMF中の20%ピペリジンでの2+30分の処理によって除去した。樹脂をDMF(5×)及びDCM(5×)で洗浄し、小サンプルはポジティブKaiser試験を与えた。樹脂をDMF(5×)で洗浄した。Fmoc−L−Phe−OH(582mg、3.0当量、1.50mmol)及びTBTU(450mg、2.8当量、1.40mmol)をDMF(10ml)及びNEM(254μl、4.0当量、2.00mmol)に溶解し、10分間事前活性化した。溶液を樹脂に添加し、キャップしたガラスシリンジで一晩震盪した。樹脂をDMF(5×)、DCM(5×)で徹底的に洗浄し、ネガティブKaiser試験を与えた。樹脂をDMF(5×)で洗浄し、Fmoc保護基をDMF中の20%ピペリジンでの2+30分の処理によって除去した。Kaiser試験はポジティブであった。樹脂をDMF(5×)で洗浄した。Fmoc−L−Ile−OH(532mg、3.0当量、1.50mmol)及びTBTU(450mg、2.8当量、1.40mmol)をDMF(10ml)及びNEM(254μl、4.0当量、2.00mmol)に溶解し、10分間事前活性化した。溶液を樹脂に添加し、キャップしたガラスシリンジで一晩震盪した。Kaiser試験はネガティブであったが、わずかに青味がかった色合いを有した。樹脂をDMF中の20%無水酢酸で1時間キャップし、DMF(5×)、DCM(5×)で洗浄し、ネガティブKaiser試験を与えた。樹脂を担持しているシリンジをラバーセプタムでフィットし、窒素環境下で維持した。樹脂を窒素で徹底的に脱気している純粋DCM(2×)で洗浄した。Alloc保護基を除去するために、Me2NHBH3(590mg、20当量、10.0mmol)を純粋な脱気したDCM(10ml)で溶解し、震盪して10分間静置した樹脂に添加した。Pd(PPh3)4(116mg、0.2当量、0.1mmol)を脱気したDCM(1ml)に溶解し、1時間震盪した樹脂に添加した。樹脂をDCM(3×)で洗浄し、この方法を繰り返して完全な脱保護を達成した。樹脂をDCM(5×)、DMF(5×)、DCM(5×)、EtOH(5×)、DCM(5×)及びDMF(5×)で徹底的に洗浄した。1,2,3,4−テトラヒドロアクリジン−9−カルボン酸(342mg、3.0当量、1.50mmol)及びTBTU(450mg、2.8当量、1.40mmol)をDMF(10ml)、NEM(254μl、4.0当量、2.00mmol)及び10滴のDMSOに溶解し、10分間事前活性化した。この溶液を樹脂に添加し、キャップしたガラスシリンジで一晩震盪した。樹脂をDMF(5×)、DCM(5×)及びDMF(5×)で洗浄し、カップリング法を上述のように繰り返した。Fmoc保護基をDMF中の20%ピペリジンでの5+40分の処理によって除去した。酸標識側鎖保護基を有するリガンドを、TFA/水/TIS(93:5:2)で一時間処理した。樹脂をDCM、EtOH、DCM、DMF、DMF中の5%DIPEA、DMF、DCM、EtOH及び水で徹底的に洗浄した。
【0229】
実施例4−実施例1由来のリガンドL10の合成とアミノ官能化Fractogel樹脂へのカップリング
DCM中のDIC(3当量)とHOBt(3当量)を使用して結合された酸で切断可能な4−ヒドロキシメチルフェノキシ酢酸(HMPA、3当量)リンカーを使用して、アミノメチルポリスチレン樹脂(CBL Patras社により供給)に対して、実施例1に記載された態様でリガンドL10を合成した。乾燥環境下で、DCM中の1−(メシチレン−2−スルホニル)−3−ニトロ−1,2,4−トリアゾール(MSNT,3当量)と1−メチルイミダゾール(2.25当量)を使用して、前記樹脂にFmoc−L−DAPA(Alloc)−OH(3当量)を結合した。Alloc基の脱保護を、スカベンジャーとしてフェニルシランを使用して実施した。1,2,3,4−テトラヒドロアクリジン−9−カルボン酸のカップリングを、NMP中のHATUとDIPEAを使用して実施した。未だNα−Fmoc保護基を含むリガンドを、TFA/水/TIS(93:5:2)を使用して樹脂から切断した。リガンドを回収し、フラッシュクロマトグラフィーによって精製した。リガンド(1当量)をDMF中に溶解し、HATU(1当量)とDIPEA(1.2当量)を添加した。リガンドを10分間事前活性化し、次いでFractogel EMD-アミノ樹脂(1当量、Merck KGaA社により供給)に添加し、60℃で3時間震盪した。次いでこの方法を二度繰り返した。DMF中の20%ピペリジン、2+30分を使用して、Fmoc保護基を除去した。DMF(5×)、DCM(5×)、EtOH(5×)、及び水(5×)で樹脂を徹底的に洗浄した。
【0230】
実施例5−アミノ官能化セファロース樹脂へのL10のカップリング
25%EtOH/水(5×)、50%EtOH/水(5×)、75%EtOH/水(5×)、EtOH(5×)、25%NMP/EtOH(5×)、50%NMP/EtOH(5×)、75%NMP/EtOH(5×)、及びNMP(10×)で、アミノーセファロース樹脂(5ml、〜10μmolアミノ/ml)を洗浄した。Ileアミノ基(3当量)上のBoc保護を有するhGHリガンドL10を、NMP/DMSO(2:1,5ml)に溶解し、EDC(3当量)、HOAt(3当量)及びDIPEA(4当量)を添加した。反応混合物を5分間攪拌し、次いで樹脂に添加し、室温で4時間震盪した。溶媒を濾過し、樹脂をNMP(10×)とDCM(5×)で洗浄した。
30%TFA/DCM(30分)を使用してBoc保護を切断し、樹脂をDCM(5×)で洗浄した。樹脂を10%DIPEA/DCM(10分)で中和し、樹脂をDCM(5×)、NMP(6×)、75%NMP/EtOH(4×)、50%NMP/EtOH(4×)、25%NMP/EtOH(4×)、EtOH(6×)、75%EtOH/水(4×)、50%EtOH/水(4×)、25%EtOH/水(4×)、水(6×)、及び20%EtOH/水(4×)で洗浄した。
【0231】
実施例6−アミノ官能化Fractogel樹脂へのL12のカップリング
アルギニン部分上のPbf保護基とフェニルアラニンのアミノ基上のFmoc基を有するリガンドL12(5g)を、TFA/水/TIS(93:5:2)(20ml)で室温で3時間処理した。溶媒を蒸発させ、残余物のみを冷却ジエチルエーテルで沈降した。沈降した生成物をジエチルエーテル(10×)で洗浄し、凍結乾燥して97%の収率で生成物を得た。
25%EtOH/水(5×)、50%EtOH/水(5×)、75%EtOH/水(5×)、EtOH(5×)、25%NMP/EtOH(5×)、50%NMP/EtOH(5×)、75%NMP/EtOH(5×)、及びNMP(10×)で、Fractogel EMDアミノ樹脂(5ml)を洗浄した。
Pbf切断リガンドL12(3当量)をNMP/DMSO(2:1、5ml)に溶解し、EDC(3当量)、HOAt(3当量)及びDIPEA(4当量)を添加した。反応混合物を5分間攪拌して樹脂に添加し、室温で一晩震盪した。溶媒を濾過し、樹脂をNMP(1×)で洗浄した。20%ピペリジン/NMP(30分)でFmocを切断し、樹脂をNMP(6×)、75%NMP/EtOH(4×)、50%NMP/EtOH(4×)、25%NMP/EtOH(4×)、EtOH(6×)、75%EtOH/水(4×)、50%EtOH/水(4×)、25%EtOH/水(4×)、水(6×)、及び20%EtOH/水(4×)で洗浄した。
【0232】
実施例7−アミノ官能化セファロース樹脂へのL12のカップリング
25%EtOH/水(5×)、50%EtOH/水(5×)、75%EtOH/水(5×)、EtOH(5×)、25%NMP/EtOH(5×)、50%NMP/EtOH(5×)、75%NMP/EtOH(5×)、及びNMP(10×)で、アミノーセファロース樹脂(5ml、〜10μmolアミノ/ml)を洗浄した。
実施例6から得られたPbf切断hGHリガンド006を、NMP/DMSO(2:1,5ml)に溶解し、EDC(3当量)、HOAt(3当量)及びDIPEA(4当量)を添加した。反応混合物を5分間攪拌し、次いで樹脂に添加し、室温で4時間震盪した。溶媒を濾過し、樹脂をNMP(10×)で洗浄した。20%ピペリジン/NMP(30分)でFmocを切断し、樹脂をNMP(6×)、75%NMP/EtOH(4×)、50%NMP/EtOH(4×)、25%NMP/EtOH(4×)、EtOH(6×)、75%EtOH/水(4×)、50%EtOH/水(4×)、25%EtOH/水(4×)、水(6×)、及び20%EtOH/水(4×)で洗浄した。
【0233】
実施例8−アミノ官能化Fractogel樹脂へのL14のカップリング
25%EtOH/水(5×)、50%EtOH/水(5×)、75%EtOH/水(5×)、EtOH(5×)、25%NMP/EtOH(5×)、50%NMP/EtOH(5×)、75%NMP/EtOH(5×)、及びNMP(10×)で、Fractogel EMDアミノ樹脂(5ml)を洗浄した。
リジンのα及びεアミノ基上のBoc保護基を有するリガンドL14(3当量)を、NMP/DMSO(2:1、5ml)に溶解し、EDC(3当量)、HOAt(3当量)及びDIPEA(4当量)を添加した。反応混合物を5分間攪拌し、次いで樹脂に添加し、室温で一晩震盪した。溶媒を濾過し、樹脂をNMP(10×)で、次いでジクロロメタン(5×)で洗浄した。次いで樹脂をジクロロメタン中の30%TFAで30分処理し、樹脂を水(5×)とEtOH(5×)で洗浄した。樹脂を10%DIPEA/EtOH(10分)で中和し、樹脂をEtOH(6×)、75%EtOH/水(4×)、50%EtOH/水(4×)、25%EtOH/水(4×)、水(6×)、及び20%EtOH/水(4×)で洗浄した。
【0234】
実施例9−アミノ官能化セファロース樹脂へのL14のカップリング
25%EtOH/水(5×)、50%EtOH/水(5×)、75%EtOH/水(5×)、EtOH(5×)、25%NMP/EtOH(5×)、50%NMP/EtOH(5×)、75%NMP/EtOH(5×)、及びNMP(10×)で、アミノーセファロース樹脂(5ml、〜10μmolアミノ/ml)を洗浄した。
リジンのα及びεアミノ基上のBoc保護基を有するリガンドL14(3当量)を、NMP/DMSO(2:1、5ml)に溶解し、EDC(3当量)、HOAt(3当量)及びDIPEA(4当量)を添加した。反応混合物を5分間攪拌し、次いで樹脂に添加し、室温で4時間震盪した。溶媒を濾過し、樹脂をNMP(10×)で、次いでジクロロメタン(5×)で洗浄した。次いで樹脂をジクロロメタン中の30%TFAで30分処理し、樹脂を水(5×)とEtOH(5×)で洗浄した。樹脂を10%DIPEA/EtOH(10分)で中和し、樹脂をEtOH(6×)、75%EtOH/水(4×)、50%EtOH/水(4×)、25%EtOH/水(4×)、水(6×)、及び20%EtOH/水(4×)で洗浄した。
【0235】
実施例10−セファロース及びFractogel樹脂にカップリングしたリガンドL2、L10及びL14のhGHに対する結合能力
【0236】
a)1ml/分の流速で、バッファーA中のhGHの0.5mg/ml溶液でカラムを充填する工程;
b)5以上のカラム体積のバッファーAでカラムを洗浄する工程;
c)1MのNaCl/25mMのTrsi、pH7.5(バッファーB)の勾配を適用することにより、タンパク質を溶出する工程;
d)0.2MのNaOH、次いでバッファーB、次いでバッファーAでカラムを浄化する工程
によって、約2mlで各樹脂サンプルについて 野生型hGHについての結合能力を測定した。
【0237】
工程(c)の間のUVシグナルを調査することにより結合能力を計算し、以下の表4に示された。
【0238】
表4
【表1】
【0239】
実施例11−組換え野生型ヒト成長ホルモン(hGH)の精製
実施例3及び4で調製されたクロマトグラフィー樹脂のそれぞれ1.0mlを有するTricorn 5/50(GE Healthcare Life Sciences, 1ml)カラムを、1:1の水中のスラリーとして実装した。16℃に冷蔵したAkta Explorer(GE Healthcare Life Sciences)液体クロマトグラフィーシステムにカラムを結合した。安定なUVベースラインが観察されるまで、樹脂を0.2MのNaOHで徹底的に洗浄した。次いで樹脂を1MのNaCl、25mMのTris−HClバッファー(バッファーB、pH=7.50)で中和し、25mMのTris−HClバッファー(バッファーA、pH=7.50)で平衡化した。精密濾過した大腸菌細胞培養物の液体(2.61mg/mlhGH力価)をシリンジドライブフィルター(Millex HV、0.45mm、Millipore)を使用して濾過し、次いで200μlをバッファーAで1mlに希釈した。サンプル中のhGHの全予測量は0.52mgであった。サンプルを2ml/分で100%バッファーA中のカラムに搭載し、フロースルーを回収した。バッファーAでの10カラム体積での洗浄後、吸着したタンパク質を6カラム体積を超えるバッファーBの勾配を適用することにより溶出し、溶出物を回収した。次いでカラムを0.2MのNaOHでその場で洗浄し(CIP)、別の稼動のため平衡化した。Invitrogen Nu-PAGEシステム(Novex 4-12% Bis-Trisゲルで実施)を使用してSDS−PAGEにより複数の溶出物を測定した。ゲルを製造者のプロトコールに従って稼動した。複数の溶出タンパク質は、両者の樹脂について約75%であった。
【0240】
実施例12
実施例1から得たリガンドL10を、Fractogel Amino M(Merck KgaA社により供給)で段階的に合成し、生成したアフィニティー樹脂をTricorn 5/50、1ml(GE Healthcare)に実装した。
【0241】
タンパク質サンプル:
hGHスタンダード:hGHを新たに調製された50mMのNH4HCO3中に20mg/mlで溶解し、次いでバッファーA(50mMのTris−HCl、pH=7.50、T=15℃(Akta中で20℃))で2または3.3mg/mlに希釈した。
【0242】
hGH精密濾過バッファー:hGH回収物由来の2.61mg/mlhGHの大腸菌精密濾過物。凍結した15mlのサンプルを室温で解凍し、シリンジドライブフィルター(0.22mm)を使用して濾過した。バッファーAで0.52mghGH/mlに希釈した。
【0243】
搭載条件:
バッファーA1:50mMのBisTris−HCl、pH=6.50、T=15℃(Akta中で20℃)、フロー0.5ml/分(150cm/h)
【0244】
溶出条件:
バッファーZ1:25mMのTris−HCl、1MのNaCl、pH=7.50、T=15℃(Akta中で20℃)、フロー0.5ml/分(150cm/h)
【0245】
その場での洗浄(CIP)条件
0.2MのNaOH
これらの条件下で動的10%BT能力(精製したhGH)は6.7mg/mlであり、hGH精密濾過物についての動的10%BT能力は3.22mg/mlであった。
【0246】
200mMのTris-HCl、pH8.00、1MのNaCl、30%プロピレングリコールの溶出バッファーは、hGHの高回収を生じた。この溶出バッファーと上述の50mMのBisTris−HCl、pH6.5搭載バッファーを使用した。カラムをhGHでオーバーロードした、これらの条件を使用する実験からの結果が以下に示されている:
【0247】
搭載バッファーを50mMのBisTris−HCl、pH6.25に変更し、各種の溶出バッファー、pH7.25,7.50及び8.00を試験した。この結果が表5に要約されている。
【0248】
表5
【表2】
【0249】
最も高い純度(91%)がpH7.25で観察され、回収は予測された通りpH8.00で最も高かった。pH8.00での回収は高いが、より不純物が多く存在した。
【0250】
以下の条件:搭載バッファー:50mMのBisTris、pH6.25及び溶出バッファー:50mMのBisTris、pH8.00での稼動についてのクロマトグラム及びゲルは図8に示されている。
【0251】
実施例13−Fractogel−リガンドL10−遊離リガンドカップリング
3種の異なるカップリング条件下でリガンドL10をFractogel Amino Mにカップリングすることにより、一連の樹脂を調製した。この樹脂は33μmol/mlのアミノ密度を有し、リガンドL10を十分に搭載した。
【0252】
【表3】
【0253】
全ての3種の樹脂は、Fractogel上での直接合成によって合成された樹脂と同じ挙動を示すが、純粋なhGHに対するいくらか高い能力を有した。精密濾過物hGHについての能力は、直接合成された樹脂と同様であった。
【0254】
実施例14
実施例1由来のリガンド14をFractogelに直接合成した。この樹脂を5mlのスケールで評価した。
搭載バッファー:50mMのBisTris、pH6.25
溶出バッファー:50mMのBisTris、pH8.00勾配
CIP:0.2MのNaOH
流速:2ml/分
温度:15℃(Aktaにより測定すると20℃)
純粋なhGHに対する動的10%BT能力:16.3mg/ml
精密濾過物hGHに対する動的10%BT能力:6.7mg/ml
回収:92%
純度:71%
【0255】
実施例15
実施例1由来のリガンド16をFractogel Aminoに直接合成した。この樹脂を5mlのスケールで評価した。
搭載バッファー:50mMのBisTris、pH6.25
溶出バッファー:50mMのBisTris、pH8.00勾配
CIP:0.2MのNaOH
流速:2ml/分
温度:20℃
純粋なhGHに対する動的10%BT能力:11.9mg/ml
精密濾過物hGHに対する動的10%BT能力:5.7mg/ml
回収:98%
純度:70%
【0256】
実施例16−Fractogel上のリガンドF10及びF14に対するハイパーグリコシル化hGHの結合
ハイパーグリコシル化hGHを含む3mlの細胞回収物を、0.25MのHClで7.7から6.23にpH調節し、水で3倍に希釈した。
回収物を、50mMのBIS-TRIS、pH6.23で平衡化した樹脂の1mlカラムに適用した。適用後、樹脂を同じバッファーで洗浄し(15CV)、結合したタンパク質を200mMのTrisHCl、pH8.0(10CV)で溶出した。両者の樹脂により精製されたハイパーグリコシル化hGHの量は3.5mg/mlであった。
【0257】
議論
高アフィニティーが予測されたリガンドはhGHを結合する一方、低アフィニティーが予測されたリガンドは、予測どおり低アフィニティーを示すという事実は、実施例1で生成され図1及び表2に示された構造−蛍光データが、hGHに対する一般構造(IV)を有するリガンドのアフィニティーを予測するための良好な基礎を構成することを示す。
【0258】
更に、実施例1に略述されたコンピューター的で実験的な方法は、コンビナトリアル合成工程の数を変数m及びnに従って調節する範囲において(即ち式(I))、一般式(I)を有するかなりの数のhGHアフィニティーリガンドをデザインし、合成し、スクリーニングするための良好な基礎を構成するものと仮定することは公正である。
【0259】
同様に、実施例1に略述された実験的な方法は、コンビナトリアル合成工程の数を変数m及びnに従って調節し(即ち式(I))、蛍光スクリーニングをhGHの代わりに問題となるタンパク質で実施する範囲において、いずれかのタンパク質に対する一般式(I)を有するかなりの数のアフィニティーリガンドをスクリーニングするための良好な基礎を構成するものと仮定することは公正である。
【0260】
実施例3〜9に記載されたような本発明に係る新規なアフィニティー樹脂の合成及び試験は、NaOH溶液に曝露することを含む方法の変わりに洗浄に対する樹脂の安定性を含むアフィニティー樹脂の工業的な応用を説明する。
【0261】
配列番号1
【化18】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)成長ホルモンポリペプチドの一部のアフィニティー樹脂への結合を容易にする条件下で、成長ホルモンポリペプチドを含む懸濁物または溶液をアフィニティー樹脂と接触させる工程;
(b)成長ホルモンポリペプチドを含む前記アフィニティー樹脂を、洗浄バッファーで任意に洗浄する工程;及び
(c)成長ホルモンポリペプチドを含む前記アフィニティー樹脂を溶出バッファーで溶出し、溶出物として成長ホルモンポリペプチドを回収する工程
を含む、成長ホルモンポリペプチドの精製方法であって、
前記アフィニティー樹脂が、一般式(I)の一つ以上のリガンドを共有結合で固定化している固相材料である、方法:
【化1】
[式中、
i=1,2,・・・,m、及びj=1,2,・・・,n;
m及びnは独立に0−3の範囲の整数であり、但しn+mの合計は1−4の範囲内である;
p、q及びrは独立に0−6の範囲の整数である;
A11,・・・,A1m及びA21,・・・,A2nは独立に、α−アミノ酸部分、β−アミノ酸部分、α−アミノスルホン酸部分、及びβ−アミノスルホン酸部分から選択される;
Z1及びZ2は独立に、水素、C1−6アルキル、カルボン酸部分(Z−C(=O)−)、及びスルホン酸部分(Z−S(=O)2−)から選択され、Zは水素、任意に置換されたC1−12アルキル、任意に置換されたC3−12シクロアルキル、任意に置換されたC1−12アルケニル、任意に置換されたC1−12アルキニル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、及び任意に置換されたヘテロシクリルから選択される;
R1及びR2は独立に、水素及びC1−6アルキルから選択される;
Xは直接のまたはリンカーを介した固相材料に対するリガンドの結合のための基であり、Xはカルボン酸(−COOH)、カルボン酸エステル(−COOR)、カルボン酸無水物(−COOCOR)、カルボン酸ハライド(−COHal)、スルホン酸(−S(=O)2OH)、スルホニルクロリド(−S(=O)2Cl)、チオール(−SH)、ジスルフィド(−S−S−R)、ヒドロキシ(−OH)、アルデヒド(C(=O)H)、エポキシド(−CH(O)CH2)、シアニド(−CN)、ハロゲン(−Hal)、第一級アミン(−NH2)、第二級アミン(−NHR)、ヒドラジド(−NH=NH2)、及びアジド(−N3)から選択され、Rは任意に置換されたC1−12アルキルから選択され、Halはハロゲンである;及び
前記リガンドの全分子量(「X」といずれかのリンカーを除く)は200−2000g/molである]。
【請求項2】
Z1及びZ2が、水素、C1−6アルキル、キサンテン−9−カルボニル、2−アミノニコチニル、2−キナルジンカルボニル、4,8−ジヒドロキシ−2−キノリンカルボニル、4−キノリンカルボニル、5−メチル−2−ニトロベンゾイル、2−(ベンゾイミダゾリルチオ)アセチル、5−メチル−2−フェニル−2H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボニル、6−ヒドロキシ−2−ナフトイル、4,7−ジメチルピラゾロ[5,1−c][1,2,4]トリアジン−3−カルボニル、3−アミノ−4−(フェニルスルホニル)−2−チオフェンカルボニル、(+/−)−3−オキソ−1−インダンカルボニル、5,6,7,8−テトラヒドロアクリジン−9−カルボニル、2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−カルボニル、5−(4−メチル−2−ニトロフェニル)フロイル、1−シクロヘキシル−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボニル、キノキサリン−6−カルボニル、及び4−メチル−2−フェニルピリミジン−5−カルボニルから独立に選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
Z1及びZ2が、水素、C1−6アルキル、キサンテン−9−イルカルボニル、5−メチル−2−フェニル−2H−1,2,3−トリアゾール−4−イルカルボニル、3−アミノ−(フェニルスルホニル)−チオフェン−2−イルカルボニル、(+/−)−3−オキソ−1−インダニル、5,6,7,8−テトラヒドロアクリジン−9−イルカルボニル、及び2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イルカルボニルから独立に選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
Z1が三環式の任意に置換されたヘテロ芳香族基を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記リガンドが一般式(II)を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法:
【化2】
[式中、
Z1はZ−C(=O)−であり、Zが任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、及び任意に置換されたヘテロシクリルから選択され
Z2は水素及びZ−C(=O)−から選択され、Zが任意に置換されたC1−12アルキル、任意に置換されたC3−12シクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、及び任意に置換されたヘテロシクリルから選択され;
A21及びA22の各々はα−アミノ酸及びβ−アミノ酸から独立に選択される]。
【請求項6】
A21がアルギニン、フェニルアラニン、チロシン、イソロイシン、及びリジンから選択され、A22がアルギニン、フェニルアラニン、イソロイシン、プロリン、チロシン、及びトリプトファンから選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記リガンドが一般式(III)を有する、請求項5に記載の方法:
【化3】
[式中、R’及びR”はα−アミノ酸の側鎖から独立に選択され、R’’’は任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、及び任意に置換されたヘテロシクリルからなる群から選択される]。
【請求項8】
前記リガンドが以下のリガンド番号(1)−(16)から選択される、請求項7に記載の方法:
【化4−1】
【化4−2】
【化4−3】
【化4−4】
【請求項9】
工程(b)において、少なくとも一つの洗浄バッファーが0−50mMのBisTris、pH6.0−6.5を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
工程(c)において、溶出バッファーが7.0から8.0の間のpHを有する、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
溶出バッファーが0−200mMのBisTris、pH7.0−7.5を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
成長ホルモンポリペプチドがヒト成長ホルモンポリペプチドである、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
ヒト成長ホルモンポリペプチドが組換えヒト成長ホルモンポリペプチドである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ヒト成長ホルモンポリペプチドが修飾ヒト成長ホルモンポリペプチドである、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
修飾ヒト成長ホルモンポリペプチドがPEG化ヒト成長ホルモンポリペプチドである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
一般式(I)の一つ以上のリガンドを共有結合で固定化している固相材料を含むアフィニティー樹脂:
【化5】
[式中、
i=1,2,・・・,m、及びj=1,2,・・・,n;
m及びnは独立に0−3の範囲の整数であり、但しn+mの合計は1−4の範囲内である;
p、q及びrは独立に0−6の範囲の整数である;
A11,・・・,A1m及びA21,・・・,A2nは独立に、α−アミノ酸部分、β−アミノ酸部分、α−アミノスルホン酸部分、及びβ−アミノスルホン酸部分から選択される;
Z1及びZ2は独立に、水素、C1−6アルキル、カルボン酸部分(Z−C(=O)−)、及びスルホン酸部分(Z−S(=O)2−)から選択され、Zは水素、任意に置換されたC1−12アルキル、任意に置換されたC3−12シクロアルキル、任意に置換されたC1−12アルケニル、任意に置換されたC1−12アルキニル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、及び任意に置換されたヘテロシクリルから選択される;
R1及びR2は独立に、水素及びC1−6アルキルから選択される;
Xは直接のまたはリンカーを介した固相材料に対するリガンドの結合のための基であり、Xはカルボン酸(−COOH)、カルボン酸エステル(−COOR)、カルボン酸無水物(−COOCOR)、カルボン酸ハライド(−COHal)、スルホン酸(−S(=O)2OH)、スルホニルクロリド(−S(=O)2Cl)、チオール(−SH)、ジスルフィド(−S−S−R)、ヒドロキシ(−OH)、アルデヒド(C(=O)H)、エポキシド(−CH(O)CH2)、シアニド(−CN)、ハロゲン(−Hal)、第一級アミン(−NH2)、第二級アミン(−NHR)、ヒドラジド(−NH=NH2)、及びアジド(−N3)から選択され、Rは任意に置換されたC1−12アルキルから選択され、Halはハロゲンである;及び
前記リガンドの全分子量(「X」といずれかのリンカーを除く)は200−2000g/molである]。
【請求項17】
前記リガンドが請求項2から8のいずれか一項に特定される、請求項16に記載のアフィニティー樹脂。
【請求項18】
前記リガンドが直接にまたはリンカーを介してのいずれかで、カルボン酸基を介してアフィニティー樹脂の固相材料に共有結合している、請求項8に規定されるリガンド(1)−(16)からなる群から選択される、請求項17に記載のアフィニティー樹脂。
【請求項19】
ここに規定されたリガンド(1)−(16)からなる群から選択されるアフィニティーリガンド。
【請求項1】
(a)成長ホルモンポリペプチドの一部のアフィニティー樹脂への結合を容易にする条件下で、成長ホルモンポリペプチドを含む懸濁物または溶液をアフィニティー樹脂と接触させる工程;
(b)成長ホルモンポリペプチドを含む前記アフィニティー樹脂を、洗浄バッファーで任意に洗浄する工程;及び
(c)成長ホルモンポリペプチドを含む前記アフィニティー樹脂を溶出バッファーで溶出し、溶出物として成長ホルモンポリペプチドを回収する工程
を含む、成長ホルモンポリペプチドの精製方法であって、
前記アフィニティー樹脂が、一般式(I)の一つ以上のリガンドを共有結合で固定化している固相材料である、方法:
【化1】
[式中、
i=1,2,・・・,m、及びj=1,2,・・・,n;
m及びnは独立に0−3の範囲の整数であり、但しn+mの合計は1−4の範囲内である;
p、q及びrは独立に0−6の範囲の整数である;
A11,・・・,A1m及びA21,・・・,A2nは独立に、α−アミノ酸部分、β−アミノ酸部分、α−アミノスルホン酸部分、及びβ−アミノスルホン酸部分から選択される;
Z1及びZ2は独立に、水素、C1−6アルキル、カルボン酸部分(Z−C(=O)−)、及びスルホン酸部分(Z−S(=O)2−)から選択され、Zは水素、任意に置換されたC1−12アルキル、任意に置換されたC3−12シクロアルキル、任意に置換されたC1−12アルケニル、任意に置換されたC1−12アルキニル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、及び任意に置換されたヘテロシクリルから選択される;
R1及びR2は独立に、水素及びC1−6アルキルから選択される;
Xは直接のまたはリンカーを介した固相材料に対するリガンドの結合のための基であり、Xはカルボン酸(−COOH)、カルボン酸エステル(−COOR)、カルボン酸無水物(−COOCOR)、カルボン酸ハライド(−COHal)、スルホン酸(−S(=O)2OH)、スルホニルクロリド(−S(=O)2Cl)、チオール(−SH)、ジスルフィド(−S−S−R)、ヒドロキシ(−OH)、アルデヒド(C(=O)H)、エポキシド(−CH(O)CH2)、シアニド(−CN)、ハロゲン(−Hal)、第一級アミン(−NH2)、第二級アミン(−NHR)、ヒドラジド(−NH=NH2)、及びアジド(−N3)から選択され、Rは任意に置換されたC1−12アルキルから選択され、Halはハロゲンである;及び
前記リガンドの全分子量(「X」といずれかのリンカーを除く)は200−2000g/molである]。
【請求項2】
Z1及びZ2が、水素、C1−6アルキル、キサンテン−9−カルボニル、2−アミノニコチニル、2−キナルジンカルボニル、4,8−ジヒドロキシ−2−キノリンカルボニル、4−キノリンカルボニル、5−メチル−2−ニトロベンゾイル、2−(ベンゾイミダゾリルチオ)アセチル、5−メチル−2−フェニル−2H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボニル、6−ヒドロキシ−2−ナフトイル、4,7−ジメチルピラゾロ[5,1−c][1,2,4]トリアジン−3−カルボニル、3−アミノ−4−(フェニルスルホニル)−2−チオフェンカルボニル、(+/−)−3−オキソ−1−インダンカルボニル、5,6,7,8−テトラヒドロアクリジン−9−カルボニル、2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−カルボニル、5−(4−メチル−2−ニトロフェニル)フロイル、1−シクロヘキシル−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボニル、キノキサリン−6−カルボニル、及び4−メチル−2−フェニルピリミジン−5−カルボニルから独立に選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
Z1及びZ2が、水素、C1−6アルキル、キサンテン−9−イルカルボニル、5−メチル−2−フェニル−2H−1,2,3−トリアゾール−4−イルカルボニル、3−アミノ−(フェニルスルホニル)−チオフェン−2−イルカルボニル、(+/−)−3−オキソ−1−インダニル、5,6,7,8−テトラヒドロアクリジン−9−イルカルボニル、及び2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イルカルボニルから独立に選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
Z1が三環式の任意に置換されたヘテロ芳香族基を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記リガンドが一般式(II)を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法:
【化2】
[式中、
Z1はZ−C(=O)−であり、Zが任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、及び任意に置換されたヘテロシクリルから選択され
Z2は水素及びZ−C(=O)−から選択され、Zが任意に置換されたC1−12アルキル、任意に置換されたC3−12シクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、及び任意に置換されたヘテロシクリルから選択され;
A21及びA22の各々はα−アミノ酸及びβ−アミノ酸から独立に選択される]。
【請求項6】
A21がアルギニン、フェニルアラニン、チロシン、イソロイシン、及びリジンから選択され、A22がアルギニン、フェニルアラニン、イソロイシン、プロリン、チロシン、及びトリプトファンから選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記リガンドが一般式(III)を有する、請求項5に記載の方法:
【化3】
[式中、R’及びR”はα−アミノ酸の側鎖から独立に選択され、R’’’は任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、及び任意に置換されたヘテロシクリルからなる群から選択される]。
【請求項8】
前記リガンドが以下のリガンド番号(1)−(16)から選択される、請求項7に記載の方法:
【化4−1】
【化4−2】
【化4−3】
【化4−4】
【請求項9】
工程(b)において、少なくとも一つの洗浄バッファーが0−50mMのBisTris、pH6.0−6.5を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
工程(c)において、溶出バッファーが7.0から8.0の間のpHを有する、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
溶出バッファーが0−200mMのBisTris、pH7.0−7.5を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
成長ホルモンポリペプチドがヒト成長ホルモンポリペプチドである、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
ヒト成長ホルモンポリペプチドが組換えヒト成長ホルモンポリペプチドである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ヒト成長ホルモンポリペプチドが修飾ヒト成長ホルモンポリペプチドである、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
修飾ヒト成長ホルモンポリペプチドがPEG化ヒト成長ホルモンポリペプチドである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
一般式(I)の一つ以上のリガンドを共有結合で固定化している固相材料を含むアフィニティー樹脂:
【化5】
[式中、
i=1,2,・・・,m、及びj=1,2,・・・,n;
m及びnは独立に0−3の範囲の整数であり、但しn+mの合計は1−4の範囲内である;
p、q及びrは独立に0−6の範囲の整数である;
A11,・・・,A1m及びA21,・・・,A2nは独立に、α−アミノ酸部分、β−アミノ酸部分、α−アミノスルホン酸部分、及びβ−アミノスルホン酸部分から選択される;
Z1及びZ2は独立に、水素、C1−6アルキル、カルボン酸部分(Z−C(=O)−)、及びスルホン酸部分(Z−S(=O)2−)から選択され、Zは水素、任意に置換されたC1−12アルキル、任意に置換されたC3−12シクロアルキル、任意に置換されたC1−12アルケニル、任意に置換されたC1−12アルキニル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、及び任意に置換されたヘテロシクリルから選択される;
R1及びR2は独立に、水素及びC1−6アルキルから選択される;
Xは直接のまたはリンカーを介した固相材料に対するリガンドの結合のための基であり、Xはカルボン酸(−COOH)、カルボン酸エステル(−COOR)、カルボン酸無水物(−COOCOR)、カルボン酸ハライド(−COHal)、スルホン酸(−S(=O)2OH)、スルホニルクロリド(−S(=O)2Cl)、チオール(−SH)、ジスルフィド(−S−S−R)、ヒドロキシ(−OH)、アルデヒド(C(=O)H)、エポキシド(−CH(O)CH2)、シアニド(−CN)、ハロゲン(−Hal)、第一級アミン(−NH2)、第二級アミン(−NHR)、ヒドラジド(−NH=NH2)、及びアジド(−N3)から選択され、Rは任意に置換されたC1−12アルキルから選択され、Halはハロゲンである;及び
前記リガンドの全分子量(「X」といずれかのリンカーを除く)は200−2000g/molである]。
【請求項17】
前記リガンドが請求項2から8のいずれか一項に特定される、請求項16に記載のアフィニティー樹脂。
【請求項18】
前記リガンドが直接にまたはリンカーを介してのいずれかで、カルボン酸基を介してアフィニティー樹脂の固相材料に共有結合している、請求項8に規定されるリガンド(1)−(16)からなる群から選択される、請求項17に記載のアフィニティー樹脂。
【請求項19】
ここに規定されたリガンド(1)−(16)からなる群から選択されるアフィニティーリガンド。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公表番号】特表2012−508728(P2012−508728A)
【公表日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536029(P2011−536029)
【出願日】平成21年11月13日(2009.11.13)
【国際出願番号】PCT/EP2009/065143
【国際公開番号】WO2010/055135
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(511099685)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月13日(2009.11.13)
【国際出願番号】PCT/EP2009/065143
【国際公開番号】WO2010/055135
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(511099685)
【Fターム(参考)】
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