説明

特異臭を消臭したシステアミン系毛髪処理剤

【課題】 システアミン又はその塩を含む毛髪処理剤の特異臭を消臭した毛髪処理剤の提供。
【解決手段】 システアミン又はその塩を主原料にした毛髪処理剤であって、システアミン又はその塩100重量%に対し、L−システイン又はDL−システインを5.0重量%以上50.0重量%以下、DL−リンゴ酸を0.01重量%以上5.0重量%以下、エタノールを5.0重量%以上50.0重量%以下の範囲に含有し、システアミンの特異臭を消臭したことを特徴とした毛髪処理剤の提供。

【発明の詳細な説明】
【発明が属する技術分野】
【0001】
本発明は、システアミン又はその塩を含む毛髪処理剤の不快な反応臭を消臭した毛髪処理剤の組成に関する。
【背景技術】
【0002】
システアミン又はその塩を含む毛髪処理剤は、主に毛髪の変形を目的として、酸性領域でも効果が得られるため、損傷毛に最適とされている毛髪処理剤である。
【0003】
しかしシステアミンは毛髪に作用したとき、不快な特異臭を発生させるため、特異臭を消臭した毛髪処理剤の開発が望まれていた。
【0004】
この不快な特異臭を抑制するため、後処理剤が提供されている。シクロデキストリンを含み、分子内部に疎水性の空間に水に不溶の物質を取り込む性質を利用した消臭剤組成物(特許文献1参照)または変性シリコーンを含有し、毛髪を覆う性質を利用した消臭剤組成物(特許文献2参照)が提供されている。しかし後処理剤においては、洗い流すと効果が減少し、不快な特異臭が発生するため、改善する必要があった。
【特許文献1】特開2001−123194
【特許文献2】特開2006−117622
【0005】
また、同様に過酸化水素を含む酸化剤で処理する方法も提示されている(特許文献3参照)が、現薬事法ではチオグリコール酸及びその塩、システイン及びその塩又は誘導体を主体とするパーマネントウェーブ用剤、すなわち医薬部外品に限り使用でき、システアミン及びその塩を含む毛髪処理剤のいわゆる化粧品には使用できず、実用的でない。
【特許文献3】特開2004−155748
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、現薬事法のシステアミン及びその塩を含む毛髪処理剤のいわゆる化粧品に使用が許可されている臭素酸を含む酸化剤を使用して、顕著な成果を発揮し、ウェーブ、ストレート等の毛髪処理効果、毛髪の仕上がり感触等の毛髪処理剤の基本的機能が損なわれることなく、システアミンの不快な特異臭を消臭し優れた毛髪処理剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために研究を行った結果、システアミン又はその塩を含む毛髪処理剤中に、特定量のシステイン又はその塩と共に、エタノール及びリンゴ酸を配合することにより前記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【発明の効果】
【0008】
この発明により、システアミン又はその塩を含む毛髪処理剤の不快な特異臭を消臭し、かつ毛髪の仕上がり感触等が損なわれることなく優れたものであった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、この発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0010】
毛髪処理剤を構成するシステアミン又はその塩は、配合重量%に比例し毛髪に対する作用が強く不快臭も強くなる。
【0011】
実施例においては以下のものを使用した。尚、配合量は重量%とする。
【0012】
この実施形態にかかる毛髪処理剤は、システアミン又はその塩と共に毛髪処理剤を構成する添加材料として、L−システイン又はその塩をDL−システイン0.5重量%以上50.0重量%以下の範囲で、DL−リンゴ酸を0.01重量%以上5.0重量%以下、エタノールを0.1重量%以上5.0重量%以下の範囲で含有されるものである。
【0013】
かかる毛髪処理剤の典型的な構成例(配合例)の一つを表1に示す。
【表1】

【0014】
実施例におけるシステアミンHCLの配合量が多いほど、毛髪処理剤の本発明の効果を顕著に評価できる。
【実施例】
【0015】
ヘアカラー処理のされているモニターを選択し、頭髪にロッドを巻き、上記(表1)配合例−1の毛髪処理剤を塗布後、6分から10分放置し、水ですすぎ流した後、酸化剤の臭素酸ナトリウムを塗布し10分放置、すすぎ流した後及び翌日のシャンプー後、官能テストにより臭気を評価した。官能テストにおける評価基準は以下のとおりである。
【0016】
(臭気の評価基準)
◎…当日及び翌日のシャンプー後も特異臭を消臭できている。
○…当日は特異臭をやや消臭できて、翌日のシャンプー後は特異臭を消臭できている。
△…当日及び翌日のシャンプー後も特異臭をやや消臭できている。
×…特異臭をほとんど消臭できていない。
【0017】
モニター(A)女性 35才 ◎
モニター(B)女性 62才 ◎
モニター(C)女性 65才 ◎
モニター(D)男性 26才 ◎
モニター(E)女性 41才 ◎
モニター(F)女性 75才 ◎
モニター(G)女性 29才 ◎
モニター(H)女性 61才 ◎
モニター(I)男性 46才 ○
モニター(J)女性 83才 ◎
モニター(K)女性 28才 ◎
モニター(L)女性 38才 ◎

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主原料がシステアミン又はその塩を含む毛髪処理剤であって、L−システイン又はDL−システインと、DL−リンゴ酸と、エタノールを含有し、システアミンの特異臭を消臭したことを特徴とする毛髪処理剤。
【請求項2】
システアミン又はその塩100重量%に対し、L−システイン又はDL−システインを5.0重量%以上50.0重量%以下、DL−リンゴ酸を0.01重量%以上5.0重量%以下、かつエタノールを5.0重量%以上50.0重量%以下の範囲に有り、システアミンの特異臭を消臭したことを特徴とした毛髪処理剤。

【公開番号】特開2011−93875(P2011−93875A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−266800(P2009−266800)
【出願日】平成21年11月2日(2009.11.2)
【出願人】(593010693)株式会社インター・ビューティー・イノベーション (3)
【Fターム(参考)】