説明

独泡ウレタンシート及びその製造方法

【課題】従来と比べて低密度であり、シーリング材として防水性を維持しつつ、高い伸びと強度を合わせ持つ独泡ウレタンシート及びその製造方法を得ることを課題とする。
【解決手段】液状ウレタン原料に熱膨張マイクロカプセルを配合してなる、シーリング材として利用される独泡ウレタンシートであり、前記液状ウレタン原料がダイマー酸系ポリオール及び低分子量グリコールとイソシアナートの反応生成物であるイソシアナート末端ウレタンプレポリマーよりなり、独泡ウレタンの接触角が90度以上であることを特徴とする独泡ウレタンシート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独泡ウレタンシート及びその製造方法に関する。具体的には、例えば自動車のテールランプのシール部のような自動車分野あるいは建築分野や家電分野等で防水シーリング材として利用される独泡ウレタンシート及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
周知の如く、軟質ウレタンフォームは連続気泡であることが一般的である。また、独立気泡のウレタンフォームを得ようとしても、収縮し易く、収縮しないようにするにはウレタンの剛性を上げていき、収縮力に耐える方法しかない。しかし、この方法では硬質のウレタンフォームは得られるが、軟質のウレタンフォームは原理的に得られない。
【0003】
従来、ウレタンフォームに関する技術としては、例えば特許文献1〜3が知られている。
【0004】
特許文献1には、特定のポリオール化合物と多官能イソシアネート化合物、整泡剤を添加して非反応性気体の存在下で攪拌し、メレンゲ状態の気泡分散液を得た後硬化させる技術が開示されている。特許文献1は、衝撃吸収性とクッション性に優れ、底着き感の無い軟質ポリウレタンフォームを提供することを目的とする。しかし、この技術では、機械的攪拌により気泡を混入させる方法であるため、密度は実施例1に記載のように0.85g/cmと高く、低密度にすることができない。
【0005】
特許文献2には、特定のポリプロピレングリコールに特定の溶解性を有するガスを溶解させて得られるポリウレタンフォームの製造方法について開示されている。しかし、特許文献2の場合、ポリウレタンフォームの平均密度が0.6〜1.0g/cmと低密度にならない。
【0006】
特許文献3には、液状ポリウレタンプレポリマーと水とを含むポリウレタン組成物において、熱膨張性マイクロカプセルを配合したことを特徴とするポリウレタンフォーム組成物について開示されている。特許文献3は、低硬度で耐摩耗性に優れたウレタンフォームを得ることを目的とし、用途として、紙葉搬送ロールが挙げられている。なお、特許文献3において、熱膨張マイクロカプセルの配合量は0.25〜1.0重量部と少ない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−264048号公報
【特許文献2】特開2006−206793号公報
【特許文献3】特開平6−199978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はこうした事情を考慮してなされたもので、従来と比べて低密度であるとともに、シーリング材として防水性を維持しつつ、高い伸びと強度を合わせ持つ独泡ウレタンシート及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る独泡ウレタンシートは、液状ウレタン原料に熱膨張マイクロカプセルを配合してなる、シーリング材として利用される独泡ウレタンシートであり、前記液状ウレタン原料がダイマー酸系ポリオール及び低分子量グリコールとイソシアナートの反応生成物であるイソシアナート末端ウレタンプレポリマーよりなり、独泡ウレタンの接触角が90度以上であることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る独泡ウレタンシートの製造方法は、ダイマー酸系ポリオール及び低分子量グリコールとイソシアナートの反応生成物であるイソシアナート末端ウレタンプレポリマーよりなる液状ウレタン原料と、熱膨張マイクロカプセルを配合する工程と、この熱膨張マイクロカプセルを配合したウレタン原料を、離型性基材の少なくとも片側にシート状に塗布する工程と、シート状の液状ウレタン原料を加熱により発泡させて硬化し、ウレタンシートを形成する工程を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、シーリング材として実用的に満足する高い伸び,強度の独泡ウレタンシートが得られる。また、得られる独泡ウレタンシートによれば、高い止水性とともに、透湿性が大幅に低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明に係る独泡ウレタンシートの一例について、製造方法を工程順に示す断面図を示す。
【図2】図2は、本発明に係る片面にスキン層を有する独泡ウレタンシートの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明について更に詳しく説明する。
周知の如く、一般に軟質ウレタンフォームは連続気泡であるが、疎水性原料を用いることにより止水性を発現するウレタン発泡体を作ることができる。このことは、例えば特公昭59−37036号公報、特公昭58−17784号公報に開示されている。しかし、連続気泡のため水蒸気が透過して、条件によってはシール構造物付近で結露が発生する可能性がある。従って、結露によって支障が生じる用途では独立気泡タイプの止水性シーリング材が望まれている。
【0014】
本発明者等は、独立気泡タイプのウレタンシーリング材実現のために、ウレタン原料に膨張マイクロカプセルを配合した発泡ウレタンフォームを以前から研究しており、その結果、単に膨張マイクロカプセルと液状ウレタン原料を配合しただけのものでは、十分な伸びと強度を得ることは困難で、シーリング材として用いた場合に裂けたり接着時に切れたりして実用上問題があることを既に究明している。
【0015】
このようなことから、本発明者は、上述したように、液状ウレタン原料に熱膨張マイクロカプセルを配合してなり、液状ウレタン原料がダイマー酸系ポリオール及び低分子量グリコールとイソシアナートの反応生成物であるイソシアナート末端ウレタンプレポリマーよりなり、独泡ウレタンの接触角が90度以上である独泡ウレタンシートを究明するに至ったものである。本発明では、熱膨張マイクロカプセルを配合すると同時に接触角を90度以上とした疎水性ウレタンにすることで、独立気泡が付加されるために止水性や耐透湿性が大幅に向上する。
【0016】
本発明において、液状ウレタン原料はダイマー酸系ポリオール、前記のイソシアナート末端プレポリマー、発泡剤、触媒、架橋剤などからなり、これらを混合することでウレタン発泡体が製造できる。
使用できる前記ポリオールとしては、例えばダイマー酸ポリエステルポリオールが挙げられる。ダイマー酸とは、トール油脂肪酸などの不飽和脂肪酸の二量体で、略二価の脂肪酸である。ダイマー酸ポリエステルポリオールとは、このダイマー酸と短鎖ジオールとのポリエステルである。その他のダイマー酸系ポリオールとしては、ダイマー酸を水素添加して得られるダイマージオールとアジピン酸やセバチン酸などの二塩基性酸とのポリエステル、あるいはダイマー酸及びダイマージオールにプロピレンオキサイドやエチレンオキサイドを付加重合したアルキレンポリオールなどが例示できる。これらのダイマー酸系ポリオールを用いることで、疎水性が向上し止水性及び透湿性の向上がはかられる。
【0017】
本発明において、低分子量グリコールとイソシアナートとの反応生成物であるイソシアネート末端プレポリマーとは、低分子量のグリコール類としてポリアルキレングリコール、ポリエステルジオール、ポリテトラメチレングリコール、ポリカプロラクトングリコール等とMDI系ポリイソシアネート、トリレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ナフタリンジイソシアネートなどの芳香族系ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添XDIなどのジイソシアナートとの反応性生物である。前記低分子グリコールの分子量は、300〜1000であることが伸びと強度を向上することが顕著であり好ましい。これらのイソシアネート末端プレポリマーのNCO%は、10〜25%であることが伸び・強度の向上および原料の粘度が低いことから好ましい。
【0018】
本発明において、イソシアネート末端プレポリマーとポリオールとの混合比は、NCO/OH(インデックス)が0.8〜1.4の範囲となるようにするのが望ましい。ここで、インデックスが0.8未満では、得られるポリウレタンフォームの止水性や永久歪みなどの物性が低下し、1.4を越えると架橋反応が進み過ぎて成形性が低下する。
【0019】
本発明においては、従来の製造方法と同様に、触媒、架橋剤、整泡剤、鎖伸長剤、減粘剤などの添加物を適宜に配合することができる。
本発明において、触媒としては公知のアミン系触媒や有機金属系触媒を用いることができる。具体的には、例えばビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルプロピレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、トリエチレンジアミン、N−メチル−N’−(ジメチルアミノ)エチルピペラジン、N−メチルモノフォリン、N−エチルモノフォリン、トリエチルアミン、ラウリン酸錫、オクタン酸錫が挙げられる。この触媒の添加量は、ポリオール成分100重量部に対して一般に0.01〜5重量部程度が好ましい。
【0020】
本発明において、架橋剤としては、比較的低分子量のものが用いられる。例えばジオールやトリオール、多価アミン、又はこれらにエチレンオキシド、プロピレンオキシドを付加したもの、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンなどを用いることができる。架橋剤の添加量は、ポリオール成分100重量部に対して一般に0〜20重量部程度が好ましい。整泡剤としては、一般に用いられているシリコーン系整泡剤を適宜用いることができる。なお、ポリウレタンフォームに要求される性能に応じて、難燃剤、充填材、帯電防止剤、着色剤、安定剤などを必要に応じて本発明の目的を逸脱しない範囲で添加することができる。
【0021】
本発明において、独泡ウレタンの接触角を90度以上のウレタン、つまり疎水性ウレタンにする方法としては、例えば疎水性オイルの添加として、アスファルト、粘着付与樹脂、石油樹脂、ポリブテン、ワックスなどの疎水性防水付与材を添加する方法や、疎水性ポリオールとしてオレフィン系ポリオール、ポリブタジエン系ポリオールやダイマー酸系ポリオール、ひまし油系ポリオールのような分子骨格が主に炭素と水素から成る疎水性ポリオールを用いる方法、整泡剤として分子中にOH基、アミノ基などのイソシアナートと反応する官能基を有するシリコーン化合物や官能基を持たないシリコーンオイル、あるいはフッ素系整泡剤などを用いる方法、イソシアナートとしてジフェニルメタンジイソシアナートのような芳香環を多く有するイソシアナートを大量に用いる方法などが挙げられる。
【0022】
本発明において、熱膨張性マイクロカプセルは、加熱することで膨張する液体や気体で、例えばプロパン、ブタン、ノルマルブタン、イソブタン、イソペンタン、ノルマルペンタン、ヘキサン、メチレンクロライド、フロン類などを合成樹脂カプセルに内包させたものである。合成樹脂の種類は、アクリルニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニリデンなどの共重合体である。それ以外に、発泡ビーズとして知られているスチレン樹脂に炭酸ガスを含浸したスチレンビーズやポリプロピレンビーズ、ポリエチレンビーズなども膨張性マイクロカプセルとして好適である。
補助発泡剤としては、通常のウレタンフォームを製造する時に用いる発泡剤で、水や低沸点炭化水素、フッ素系化合物、塩素系化合物など揮発性の有機化合物などを併用すると低密度発泡体を安定して製造するのに好ましい。
【0023】
本発明において、熱膨張性マイクロカプセルを配合した液状ウレタン原料を離型性基材の少なくとも片面にシート状に塗布する方法としては、離型性基材として、紙やポリエステルフィルムの表面にシリコーン樹脂をコーティングしたものや、ポリプロピレンやポリメチルペンテンのようにそれ自体が離型性を持った樹脂のフィルムの上にコーティング法により塗布するものである。
液状ウレタン原料を塗布する方法としては、例えばロールコーターやナイフコーター、ダイスコーター、スプレーコーターが好適な手段として挙げられる。
【0024】
本発明において、独泡ウレタンシートは例えば図1(A)〜(C)に示すように製造する。
【0025】
まず、ポリオール、イソシアネート、触媒、熱膨張性マイクロカプセル及び他の添加剤を混合し、液状ウレタン原料を準備する。次に、図1(A)に示すように、離型性基材としての第1のフィルム1a上に液状ウレタン原料2を均一に塗布する。つづいて、液状ウレタン原料2の上に第2のフィルム1bを載せる(図1(B)参照)。更に、第1・第2のフィルム1a,1bで挟まれた状態の液状ウレタン原料を、オーブンに入れ、60℃〜130℃で均一に加熱する。これにより、発泡と樹脂化が進行し、独泡ウレタンシート3が形成される。なお、熱膨張性マイクロカプセルの加熱が均一でないと、発泡倍率が不均一となり厚みなど寸法が一定しないため、形状の整ったシート状ウレタンフォームが得られない。ひきつづき、第1・第2のフィルム1a,1bに挟まれた状態の独泡ウレタンシート3を取り出した後、第1・第2のフィルム1a,1bを剥離し、上下面にスキン層4が形成された製品を得る(図1(C)参照)。
なお、図1では、第1・第2のフィルム1a,1bを剥離した場合について述べたが、これに限らず、図2に示すように、第2のフィルム1bのみを剥し第1のフィルム1aを残してもよい。この場合、片面にスキン層4を有する独泡ウレタンシート3と第1のフィルム1aの一体品となる。また、本発明は、図示しないが、両面に第1・第2のフィルムを有する独泡ウレタンシートにも及ぶ。
【0026】
本発明において、シート状の液状ウレタン原料を加熱により発泡する手段としては、熱膨張性マイクロカプセルを含有したウレタン原液を離型性基材の上に塗布した後、加熱装置に導入して60℃〜130℃に加熱することが挙げられる。これにより、ウレタンの硬化と同時にマイクロカプセルの膨張が進行する。補助発泡剤を用いる場合は、加熱と同時に補助発泡剤による発泡が進行し、マイクロカプセルの膨張がやや遅れて進行する。
【0027】
以下、本発明の具体的な実施例について説明する。なお、本実施形態は下記に述べることに限定されない。また、文中、「部」は質量基準であるものとする。
(実施例1)
まず、ダイマー酸ポリエステルポリオール(DIC社製、分子量1300で水酸基価120のダイマー酸とジエチレングリコールからなるポリエステルポリオール)100部、水0.9部、シリコーン整泡剤(信越化学社製の商品名:NP−405)1部、スタノクトSO(錫系触媒)0.3部、イソシアナート末端プレポリマー(日本ポリウレタン社製DC5600、分子量600のポリプロピレングリコールとMDIからなるプレポリマー)112部よりなる液状ウレタン原料に、膨張マイクロカプセル(日本フィライト社製の商品名:エクスパンセルDU40、膨張マイクロカプセル)10部を配合して液温35℃にて撹拌した。次に、このマイクロカプセルを配合した液状ウレタン原料を、ポリエステル系離型フィルム上に1.8mmの隙間を設けたナイフコーターを用いコーティングした。次に、加熱オーブン中で70℃,3.5分加熱後、130℃で6.5分加熱した後、シート状ウレタン製品を離型フィルムから剥離した。得られた製品の接触角は95度で、密度0.0955g/cm、独泡率13%、厚み約10mmの極めて平滑な表面を持った製品であった。また、引張強さは196kPa,伸びは120%,透湿性は1.3gで止水性は160mmであった。
【0028】
(実施例2)
実施例1におけるダイマー酸ポリエステルポリオールを、水酸基価80に変更し、イソシアナート末端プレポリマーを81.7部に変更した以外は、実施例1と同じしてシート状ウレタンを作製した。得られた製品の接触角は95度で、密度0.0925g/cm,独泡率15%で、厚み約10mmの極めて平滑な表面を持った製品であった。また、引張強さは181kPa、伸び140%、透湿性1.3gで、止水性は160mmであった。
【0029】
(比較例1)
まず、エクセノール4600(旭硝子社製の商品名、分子量5000で水酸基価34.5のポリプロピレングリコール)100部、FTR1600(三井化学社製の商品名で石油樹脂)15部、水2.0部、NP−405(信越化学社製の商品名でシリコーン整泡剤)1部、スタノクトSO(錫系触媒)0.3部、T65(日本ポリウレタン社製の商品名でトルエンジイソシアナート)25.9部よりなる液体原料を液温35℃にて攪拌した。次に、この液状ウレタン原料をポリエステル系離型フィルム上に1.8mmの隙間を設けたナイフコーターを用いてコーティングした。つづいて、加熱オーブン中で70℃,3.5分加熱し、更に130℃で6.5分加熱した後、独泡ウレタンシート(シート状ウレタン製品)を離型フィルムから剥離した。得られた製品の接触角は95度で、密度0.094g/cm、独泡率0%、厚み約10mmの極めて平滑な表面を持った製品であった。なお、引張強さは113kPa、伸びは120%、透湿性は4.5gで、止水性は70mmであった。
【0030】
(比較例2)
まず、テスラック2456(日立化成ポリオール社製の商品名、分子量1000で、水酸基価130、ダイマー酸とジエチレングリコールからなるポリエステルポリオール)100部、水1.6部、NP−405(信越化学社製の商品名でシリコーン整泡剤)1部、DABCO−33LV(日本乳化剤社製の商品名でアミン触媒)0.2部、スタノクトSO(錫系触媒)0.26部、イソシアナート末端プレポリマー(前述のダイマー酸ポリオールとT65よりなる、NCO%=30)60.2部よりなる液状ウレタン原料を液温35℃にて攪拌した。次に、この液状ウレタン原料をポリエステル系離型フィルム上に1.8mmの隙間を設けたナイフコーターを用いてコーティングした。つづいて、加熱オーブン中で70℃,3.5分加熱し、更に130℃で6.5分加熱した後、シート状ウレタン製品を離型フィルムから剥離した。得られた製品の接触角は98度で、密度0.091g/cm、独泡率0%の厚み約10mmの極めて平滑な表面を持った製品であった。なお、引張強さは147kPa、伸びは110%で、透湿性は3.4gで、止水性は70mmであった。
【0031】
次に、物性測定方法について述べる。
1)接触角の測定は、得られたウレタンフォームをアルミフォイルではさみ、約200℃で加熱しつつ圧力約50kg/cmにてプレスし薄いフィルム状にして、協和接触角測定機で測定した。
2)独泡率はASTMD2856−70により、サンプルサイズ(25mm×25mm×10mm)の試験片を、東京サイエンス社製のベックマン空気比較式比重計にて独泡率を測定した。
【0032】
3)透湿性は、サンプルサイズ(外径φ75mm,内径φ35.5mm,厚み10mm)の試験片を標準瓶に50%圧縮してセットし、瓶の中にシリカゲルを約45g正確に秤量し、85℃,湿度85%の高温恒湿槽に24時間放置した後の重量増加量とする。
4)止水性はサンプルサイズ(外径φ60mm,内径60mm,厚み10mm)の試験片をアクリル板に50%圧縮にて圧締し注水し漏れを観察する。24時間ごとに10mmずつ水圧を上げていき漏れた水圧を止水性とする。
【0033】
下記表1は、上記実施例1,2及び比較例1,2は、マイクロカプセル,水の配合量及び得られた製品の物性値を示す。
【表1】

【0034】
なお、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0035】
1a…第1のフィルム(離型性基材)、1b…第2のフィルム(離型性基材)、2…液状ウレタン原料、3…独泡ウレタンシート、4…スキン層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状ウレタン原料に熱膨張マイクロカプセルを配合してなる、シーリング材として利用される独泡ウレタンシートであり、
前記液状ウレタン原料がダイマー酸系ポリオール及び低分子量グリコールとイソシアナートの反応生成物であるイソシアナート末端ウレタンプレポリマーよりなり、独泡ウレタンの接触角が90度以上であることを特徴とする独泡ウレタンシート。
【請求項2】
ダイマー酸系ポリオール及び低分子量グリコールとイソシアナートの反応生成物であるイソシアナート末端ウレタンプレポリマーよりなる液状ウレタン原料と、熱膨張マイクロカプセルを配合する工程と、この熱膨張マイクロカプセルを配合したウレタン原料を、離型性基材の少なくとも片側にシート状に塗布する工程と、シート状の液状ウレタン原料を加熱により発泡させて硬化し、ウレタンシートを形成する工程を具備することを特徴とする独泡ウレタンシートの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−235805(P2010−235805A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−86071(P2009−86071)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000004640)日本発條株式会社 (1,048)
【Fターム(参考)】