説明

独立気泡硬質ポリウレタン発泡体の調製方法

空洞に充填する、迅速にゲル化する独立気泡硬質ポリウレタン発泡体を調製する方法は、少なくともポリイソシアネート、少なくとも約10重量%のアミン開始ポリオールを含む比較的高粘度のポリオールシステム、物理発泡剤、発泡触媒および硬化触媒、ならびに任意選択でポリオールシステム基準で約1.6重量%未満の水量を含む配合物の調製を含む。鎖延長剤および/または架橋剤、界面活性剤などの他の従来の成分もまた、含むことができる。減圧下において、配合物を注入して、約40kg/m未満の密度、約250ミクロン未満の平均気泡径、および10℃の平均板温度において約19mW/mK未満の熱伝導率を有する独立気泡硬質ポリウレタン発泡体を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立気泡硬質ポリウレタン発泡体を製造するための配合物および方法に関する。より詳細には、特に電気器具の断熱に使用され得る高速反応性の低密度ポリウレタン発泡体を作製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
硬質ポリウレタン発泡体の商業的に最も重要な用途の1つは、電気器具産業におけるものである。この用途において、発泡体は、熱および/または冷却からの断熱をもたらし、また電気器具の構造的完全性および/または強度を向上する働きをもし得る。発泡体は、サンドイッチ型コンポジット構造体の一部となることが多く、例えば、紙、プラスチックフィルム、硬質プラスチック、金属シート、ガラス不織布材料、合板などの硬質材料または弾性材料の少なくとも1つの外層も含まれる。冷蔵庫、冷凍庫、温水貯蔵タンク、およびパイプインパイプなどの特定の用途において、硬質ポリウレタン発泡体の成分は、空洞内に注入することができ、該成分は最初に空洞を充填し、次に完全に反応して最終の硬質ポリウレタン発泡体を形成する。空洞充填用途において、最終の発泡体の必要な特性を確保するために、発泡体形成成分の導入を、比較的短い時間内に完了することが特に望まれる。
【0003】
これらの用途のための発泡体形成ポリウレタンシステムを開発するために、多くの研究が行われてきた。例えば、本技術の概要、および特にコンポジット要素における層としての硬質ポリウレタン発泡体の使用、ならびに冷却または加熱技術における断熱層としての使用について、Polyurethanes、Kunststoff−Handbuch、7巻、第1版、1966年、Dr.R.ViewegおよびDr.A.Hochtlen編集、および2版、1983年、Dr.G.Oertel編集、Carl Hanser Verlagに見出すことができる。
【0004】
一般に、断熱および保冷硬質ポリウレタン発泡体は、通常、低分子量の鎖延長剤、および/または架橋剤の存在下、発泡剤および発泡触媒(blowing catalysts)の存在下で、有機ポリイソシアネートを、少なくとも2つの反応性水素原子を含有する、1種または複数の比較的高粘度の化合物(ポリエステルポリオールおよび/またはポリエーテルポリオールなど)と反応させることによって製造され得る。所望の場合、補助剤および/または添加剤がさらに含まれてもよい。適切な成分を選択すると、許容できる低熱伝導率、および所望の機械的特性を有する硬質ポリウレタン発泡体を製造することが可能である。
【0005】
例えば、カナダ特許第2,161,065号は、少なくとも32重量%の芳香族基を単独で、または組み合わせて含有する成分を含む配合物の使用について開示している。配合物の比較的高い芳香族性が、断熱性能(熱伝導率)を、少なくとも0.5mW/mK改善するよう働き、また発泡体の難燃性および老化挙動も改善することが、その中で主張されている。
【0006】
発泡剤の選択は、しばしば、問題となってきた。これは、クロロフルオロカーボン(CFC)が、断熱発泡体において優れた働きをすることが長らく知られてきたが、環境面の理由のために、これらの使用の法による制限が徐々に、強められているからである。したがって、望ましい断熱および機械性能を依然として達成しながら、または達成しようと試みながら、CFC使用の削減または排除を目標とする、一連の技術が現れてきた。これは、一般に、発泡剤は気泡ガスとして相当な時間、硬質ポリウレタン発泡体内に残存するので、特に重要である。したがって、発泡体マトリックスだけでなく、気泡ガス自体も、発泡体の総合的な断熱性能の非常に重要な一部となる。これは、電気器具などの用途において、特にそうであり、プラスチックまたは金属の外層(複数可)中に発泡体を入れることによって、気泡からのガスの一般に非常に遅い拡散速度が、さらに遅くなる、または実質的に阻止される。
【0007】
例えば、米国特許第4,972,002号は、フッ化炭化水素の使用を示しており、典型的な硬質ポリウレタン配合物における、限られたその溶解性を、少なくとも1種の成分にフッ化炭化水素を乳化することによって補っている。他の特許であるドイツ特許A第4142148号は、フッ化化合物と少なくとも1種のイソアルカンの組合せを開示している。
【0008】
広範に使用されている他のアプローチは、発泡剤の少なくとも一部としての水の含有である。例えば、米国特許第5,096,933号は、シクロペンタンまたはシクロペンタンおよび/またはシクロヘキサンと、シクロペンタンおよび/またはシクロヘキサンと均一に混和する不活性な低沸点化合物とを含む混合物について開示している。これらの試剤は、好ましくは水と組み合わせて、望ましい発泡体形成度を達成する。
【0009】
上記で論じたように、発泡体形成配合物の成分の選択は、最終の硬質ポリウレタン発泡体の断熱能力の決定に重要であるが、特にそれらは、加工変数が発泡体の断熱能力および機械的能力にどのように影響するかに関係するので、当業者はまた、加工に関係する問題に対処しなければならない。優れた空洞充填性能または型充填性能をも確保しながら、最適な発泡体密度、気泡サイズ、および特に均一性を達成することは、配合物成分を導入するための新しい方法の探索を産業界に要求している。注入は、例えば、単発注入、多点同時注入、型または「キャビネット(cabinet)」(すなわちポリウレタン発泡体などによって充填されることになる空洞を有する容器)の位置変数によって達成され得る。反応速度と比べた、空洞全体の配合物の移動速度もまた、重要な因子となり得る。発泡体のゲル化が速いほど、ゲル(またはストリング)時間が短く、したがって、反応剤が迅速に粘度を増大するために、隙間無く空洞を充填するのはさらに難しい。
【0010】
減圧下におけるポリウレタン発泡の使用が公知である。例えば、米国特許第5,439,945号は、200kg/mの範囲の密度を通常有し、真空を利用して密度を100kg/mに低下させて調製した水発泡の「高密度」発泡体について開示している。国際公開第2007/058793号の公報は、硬質ポリウレタン発泡体を成形する方法について記載しており、300mbarから950mbarの圧力下、および1.03から1.9の充填率で、1.65から2.15の密度/ラムダ(密度/断熱)比が達成されている。さらに他の例が、米国特許第5,439,945A号に見出すことができ、減圧下で調製し、次いで周囲空気が気泡の隙間に入るのを防止する物質に入れた発泡体について開示している。発泡体内のガスは、前のシステムにおける場合より低い圧力で平衡に到達する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
残念なことに、上記発明の多くは、比較的高価である、生産ラインの再編成が必要となる可能性がある、空洞充填能力または型充填能力が比較的乏しい、所望とするものより高い密度に制限される、機械的特性に比較的乏しいことなどがある。これを考慮すると、これらの問題に対する多数のアプローチにもかかわらず、独立気泡硬質ポリウレタン発泡体が、成形製品または空洞充填製品として使用されるものであっても、所望の成形密度および断熱係数を実現する一方で、隙間無く空洞を充填し、同時に良好な機械的特性および迅速な離型性(demoldability)をもたらす、そのような発泡体の効率的で、費用効果の高い製造を可能にする配合物および/または方法が、当分野において依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
したがって、本発明は、一態様では、空洞充填用の独立気泡硬質ポリウレタン発泡体を調製する方法であって、(a)成分として、少なくとも、ポリイソシアネートと、少なくとも約10重量%のアミン開始ポリオールを含有し、ASTM D445に従い、25℃において少なくとも約5,000センチポアズ(cP)の粘度を有するポリオールシステムと、非クロロフルオロカーボンの物理発泡剤と、発泡触媒と、硬化触媒と、任意選択でポリオールシステムに基づき約1.6重量%未満の量の水とを含む、反応性発泡体形成システムを調製するステップと、(b)減圧(reduced atmospheric pressure)において、反応性発泡体形成システムを空洞に注入し、反応性発泡体形成システムが約25秒以内にゲルを形成するステップ、および(c)ゲルが、約40kg/m未満の密度、約250ミクロン未満の平均気泡径、およびISO 12939/DIN 52612に従い、10℃の平均板温度において約19mW/mK未満の熱伝導率を有する独立気泡硬質ポリウレタン発泡体を少なくとも形成するまで、減圧を維持するステップを含む方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、独立気泡硬質ポリウレタン発泡体が、断熱用途、特に成形用途および空洞充填用途において、特に有用性を示す配合物および製法を提供する。このような用途は、例えば、パイプインパイプ、冷蔵庫、冷凍庫、温水貯蔵タンクなどの電気器具を含む。冷蔵庫および冷凍庫などの、多分にエネルギー効率によって運転される用途において、独立気泡硬質ポリウレタン発泡体の適用を、構造における真空断熱パネル(vacuum insulation panels)(VIP)の使用と組み合わせてもよい。
【0014】
該配合物は、有機ポリイソシアネートを含む点で、他のポリウレタン配合物と類似している。適切なポリイソシアネートは、脂肪族、環状脂肪族、芳香脂肪族(araliphatic)、芳香族のポリイソシアネート、またはそれらの組合せとすることができる。このようなものには、例えば、アルキレンジイソシアネート、特に4個から12個の炭素原子をアルキレン部位に有するもの(1,12−ドデカンジイソシアネート、2−エチルテトラメチレン1,4−ジイソシアネート、2−メチル−ペンタメチレン1,5−ジイソシアネート、2−エチル−2−ブチルペンタメチレン1,5−ジイソシアネート、テトラメチレン1,4−ジイソシアネート、および好ましくはヘキサメチレン1,6−ジイソシアネートなど)、環状脂肪族ジイソシアネート(シクロヘキサン1,3−ジイソシアネートおよびシクロヘキサン1,4−ジイソシアネート、およびこれらの異性体の任意の望ましい混合物、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナト−メチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート)、2,4−および2,6−ヘキサヒドロトリレンジイソシアネート、および対応する異性体混合物、4,4−、2,2’−および2,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートならびに対応する異性体混合物など)、芳香脂肪族ジイソシアネート、(例えば1,4−キシリレンジイソシアネートおよびキシレンジイソシアネート異性体混合物)、ならびに好ましくは芳香族ジイソシアネート、およびポリイソシアネート(例えば2,4−および2,6−トリレンジイソシアネートおよび対応する異性体混合物、4,4’−、2,4’−および2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよび対応する異性体混合物、4,4’−および2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリフェニル−ポリメチレンポリイソシアネート、4,4’−、2,4’−および2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよびポリフェニル−ポリメチレンポリイソシアネートの混合物(粗製MDI)、ならびに粗製MDIおよびトリレンジイソシアネートの混合物)を含み得る。有機ジイソシアネートおよびポリイソシアネートは、個別に、またはそれらの組合せの形態で使用されてもよい。
【0015】
有機ポリイソシアネートは、公知の方法によって調製され得る。それらは、好ましくは、対応するポリアミンのホスゲン化によるポリカルバモイルクロリドの形成、ならびにその熱分解による有機ポリイソシアネートおよび塩化水素の形成、または、例えば対応するポリアミンのウレアおよびアルコールとの反応によるポリカーバメートの形成、ならびにその熱分解によるポリイソシアネートおよびアルコールの形成などのホスゲンフリーの方法によって調製される。
【0016】
修飾ポリイソシアネート、すなわち有機ジイソシアネートおよび/またはポリイソシアネートの化学反応によって得られる生成物もまた使用され得る。具体例は、エステル、ウレア、ビウレット、アロファネート、ウレトネイミン、カルボジイミド、イソシアヌレート、ウレトジオン、および/またはウレタンを含有するジイソシアネート、および/またはポリイソシアネートである。個々の例は、総重量基準で33.6重量%から15重量%、好ましくは31重量%から21重量%のNCOを含有し、ウレタンを含有する有機の、好ましくは芳香族のポリイソシアネートである。例は、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−および2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート混合物、または粗製MDI、または2,4−または2,6−トリレンジイソシアネートを含み、各場合において、低分子量のジオール、トリオール、ジアルキレングリコール、トリアルキレングリコール、または分子量が最大約6,000を有するポリオキシアルキレングリコールによって修飾されている。個別に、または混合物として使用されてよいジ−およびポリオキシアルキレングリコールの具体例は、ジエチレン、ジイソロピレン、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、およびポリオキシプロピレンポリオキシエチレンのグリコール、トリオール、および/またはテトロールである。総重量基準で25重量%から3.5重量%、好ましくは21重量%から14重量%のNCOを含有し、かつ以下に記載のポリエステル−および/または好ましくはポリエーテルポリオールと、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−および4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの混合物、2,4−および/または2,6−トリレンジイソシアネート、または粗製MDIとから調製される、NCO含有プレポリマーもまた適切である。さらに、カルボジイミド基および/またはイソシアヌレート環を含有し、総重量基準で33.6重量%から15重量%、好ましくは31重量%から21重量%のNCOを含有する液体ポリイソシアネート(例えば、4,4’−、2,4’−および/または2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、および/または2,4’および/または2,6−トリレンジイソシアネートに基づく)もまた、成功を収め得る。
【0017】
修飾ポリイソシアネートは互いに混合してもよく、または非修飾の有機ポリイソシアネート、例えば、2,4’−または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、粗製MDI、および/または2,4−および/または2,6−トリレンジイソシアネートと混合してもよい。
【0018】
特に、成功を収め得る有機ポリイソシアネートは、ウレタン基を含有し、33.6重量%から15重量%のNCO含有量を有する修飾有機ポリイソシアネートの混合物、特に、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート異性体混合物、または粗製MDI、特に、4,4’−、2,4’−および2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート、2,4−および2,6−トリレンジイソシアネート、約30重量%から約80重量%、好ましくは、約35重量%から約45重量%のジフェニルメタンジイソシアネート異性体含有量を有する粗製MDI、および上で示した少なくとも2種のポリイソシアネートの混合物(例えば、粗製MDI、またはトリレンジイソシアネートおよび粗製MDIの混合物)を主体とするものをさらに含んでもよい。
【0019】
発泡体形成配合物の第2番目に挙げられる主要な成分は、少なくとも2つの反応性水素原子を含有するアミン開始ポリオールを、少なくとも約10重量%含むポリオールシステムである。このポリオールは、2から8個好ましくは3から8個の官能基、および好ましくは約200から約850、好ましくは約300から約770の平均ヒドロキシル数を一般に有する。アミン開始ポリオールは、窒素原子が存在するために、主に発泡体硬化に関する触媒活性を有する可能性があり、また、発泡反応に影響を及ぼす可能性がある。ポリオールシステムは、ASTM D455に準拠して測定した場合、25℃において、少なくとも約5,000cPの粘度を有し、これは、発泡体形成配合物の他の成分と接触する前に、比較的粘稠な物質であることを意味する。いくつかの実施形態では、少なくとも約6,000cPという、より一層高い粘度が好ましい場合がある。粘度の上限は、実用性および装置限界によって規定され得るが、ほとんどの目的の場合、約20,000cP未満、より典型的には、15,000cPのポリオールシステム粘度が一般に適切である。
【0020】
システムに含まれ得る他のポリオールの例は、ポリチオエーテルポリオール、ポリエステルアミド、ヒドロキシル含有ポリアセタールおよびヒドロキシル含有脂肪族ポリカーボネート、ならびに好ましくは、ポリエステルポリオールおよびポリエーテルポリオールである。他の選択は、上記のポリヒドロキシル化合物の少なくとも2種、および100未満のヒドロキシル数を有するポリヒドロキシル化合物との混合物を含む。
【0021】
適切なポリエステルポリオールは、例えば、約2個から約12個の炭素原子を有する有機ジカルボン酸、好ましくは、8個から12個の炭素原子を有する芳香族ジカルボン酸、および多価アルコール、好ましくは、2個から12個の炭素原子、好ましくは、2個から6個の炭素原子を有するジオールから調製され得る。適切なジカルボン酸の例は、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、ならびに、好ましくはフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、および異性体のナフタレンジカルボン酸である。ジカルボン酸は、個別に、または互いに混合して使用してもよい。さらに、遊離ジカルボン酸は、対応するジカルボン酸誘導体、例えば1個から4個の炭素原子を有するアルコールのジカルボン酸エステル、またはジカルボン酸無水物によって代替してもよい。好ましいのは、コハク酸、グルタル酸およびアジピン酸を、例えば20〜35:35〜50:20〜32重量部の比で含むジカルボン酸混合物、ならびにアジピン酸、ならびに、特にフタル酸および/またはフタル酸無水物およびアジピン酸の混合物、フタル酸またはフタル酸無水物、イソフタル酸およびアジピン酸の混合物、あるいはコハク酸、グルタル酸およびアジピン酸のジカルボン酸混合物、ならびにテレフタル酸およびアジピン酸の混合物、あるいはコハク酸、グルタル酸およびアジピン酸のジカルボン酸混合物である。二価および多価アルコール、特にジオールの例は、エタンジオール、ジエチレングリコール、1,2−および1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパンである。好ましいのは、エタンジオール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、または前記ジオールの少なくとも2種の混合物、特に、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、および1,6−ヘキサンジオールの混合物である。さらに、ラクトン、例えば、ε−カプロラクトン、またはヒドロキシカルボン酸、例えば、ω−ヒドロキシカプロン酸およびヒドロ安息香酸から作られるポリエステルポリオールもまた、使用してよい。
【0022】
ポリエステルポリオールは、有機の、例えば脂肪族、および好ましくは芳香族ポリカルボン酸、ならびに芳香族および脂肪族ポリカルボン酸の混合物、および/またはそれらの誘導体と多価アルコールを、触媒を使用せず、または好ましくはエステル化触媒の存在下で、適切には不活性ガス雰囲気(例えば、窒素、一酸化炭素、ヘリウム、アルゴン)中、とりわけ約150℃から約250℃、好ましくは180℃から220℃の溶融物で、大気圧または減圧下で、好都合には10未満、好ましくは2未満の所望の酸価に達するまで、重縮合することによって調製され得る。好ましい実施形態では、80から30、好ましくは40から30の酸価に達するまで、エステル化混合物を、上記の温度で大気圧下、次いで500mbar未満、好ましくは50mbarから150mbarの圧力下で重縮合される。適切なエステル化触媒の例は、金属、金属酸化物、または金属塩の形態の、鉄、カドミウム、コバルト、鉛、亜鉛、アンチモン、マグネシウム、チタン、およびスズの触媒である。しかし、重縮合はまた、共沸による縮合水を除去するために、希釈剤および/または添加溶媒(entrainer)、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、またはクロロベンゼンの存在下で、液相で実施してもよい。
【0023】
ポリエステルポリオールは、有機ポリカルボン酸および/またはその誘導体を多価アルコールと、1:1から1:1.8、好ましくは、1:1.05から1:1.2のモル比で重縮合することによって、都合よく調製される。ポリエステルポリオールは、2から3個の官能基、および150から600、特には200から400のヒドロキシル数を、好ましくは有する。
【0024】
しかし、使用されるポリヒドロキシル化合物は、特に、公知の方法、例えば、触媒としてアルカリ金属水酸化物(水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなど)、またはアルカリ金属アルコキシド(ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシドまたはカリウムイソプロポキシドなど)を使用し、また、結合形態の反応性水素原子を2から8個、好ましくは3から8個の含有する開始剤分子を少なくとも1種添加したアニオン重合、あるいは触媒として、ルイス酸(とりわけ、五塩化アンチモン、フッ化ホウ素エーテル錯体など)または漂白土、アルキレン部位に2個から4個の炭素原子を有する1種または複数のアルキレンオキシドを使用した、カチオン重合によって調製されるポリエーテルポリオールである。
【0025】
適切なアルキレンオキシドの例は、テトラヒドロフラン、1,3−プロピレンオキシド、1,2−および2,3−ブチレンオキシド、スチレンオキシド、および好ましくは、エチレンオキシドおよび1,2−プロピレンオキシドである。アルキレンオキシドは、個別に使用してもよく、代わりに、順次使用してもよく、または混合物として使用してもよい。適切な開始剤分子の例は、水、有機ジカルボン酸、例えばコハク酸、アジピン酸、フタル酸およびテレフタル酸など、ならびに種々のアミン、例えば、以下に限定されないが、アルキル部位に1個から4個の炭素原子を有する脂肪族および芳香族の無置換、またはN−モノアルキル、N,N−およびN,N’−ジアルキル−置換ジアミン(無置換またはモノアルキルまたはジアルキル−置換エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、1,3−プロピレン−ジアミン、1,3−および1,4−ブチレンジアミン、1,2−、1,3−、1,4−、1,5−および1,6−ヘキサメチレンジアミン、アニリン、シクロヘキサンジアミン、フェニレンジアミン、2,3−、2,4−、3,4−および2,6−トリレンジアミン、ならびに4,4’−、2,4’−および2,2’−ジアミノジフェニルメタンなど)を含むアミンである。
【0026】
他の適切な開始剤分子は、アルカノールアミン(例えば、エタノールアミン、N−メチル−およびN−エチルエタノールアミン)、ジアルカノールアミン(例えば、ジエタノールアミン、N−メチル−およびN−エチルジエタノールアミン)、およびトリアルカノールアミン(例えば、トリエタノールアミン)、およびアンモニア、ならびに多価アルコール、特に2価および/または3価アルコール(エタンジオール、1,2−および1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ソルビトール、およびスクロースなど)、多価フェノール(例えば、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタンおよび4,4’−ジヒドロキシ−2,2−ジフェニルプロパン)、レゾール(例えば、フェノールおよびホルムアルデヒドの縮合のオリゴマー状生成物)、ならびにフェノール、ホルムアルデヒドおよびジアルカノールアミンのマンニッヒ縮合物、ならびにメラミンがある。
【0027】
ポリオールシステムに含まれるポリオールは、開始剤分子として、少なくとも2つの反応性水素原子を含有し、かつ少なくとも1つのヒドロキシル基、アミノ基および/またはカルボキシル基を含有する少なくとも1種の芳香族化合物上に、2から8個の官能基および100から850のヒドロキシル数を有する、少なくとも1種のアルキレンオキシド、好ましくはエチレンオキシド、または1,2−ピロピレンオキシド、あるいは1,2−プロピレンオキシドおよびエチレンオキシドがアニオン重付加することによって調製されるポリエーテルポリオールであることが、いくつかの実施形態では有利である。このような開始剤分子と言い得る例は、芳香族ポリカルボン酸(例えば、ヘミメリット酸、トリメリット酸、トリメシン酸、および好ましくはフタル酸、イソフタル酸、およびテレフタル酸、または少なくとも前記2種のポリカルボン酸の混合物)、ヒドロキシカルボン酸(例えば、サリチル酸、p−およびm−ヒドロキシ安息香酸、および没食子酸)、アミノカルボン酸(例えば、アントラニル酸、m−およびp−アミノ安息香酸)、ポリフェノール(例えば、レゾルシノール、および好ましくはジヒドロキシジフェニルメタン、およびジヒロドキシ−2,2−ジフェニルプロパン)、フェノール、ホルムアルデヒドおよびジアルカノールアミン(好ましくはジエタノールアミン)のマンニッヒ縮合物、ならびに芳香族ポリアミン(例えば、1,2−、1,3−および1,4−フェニレンジアミン、および特に2,3−、2,4−、3,4−および2,6−トリレンジアミン、4,4’−、2,4’−および2,2’−ジアミノ−ジフェニルメタン、ポリフェニル−ポリメチレン−ポリアミン、ジアミノ−ジフェニルメタンおよび、例えば、アニリンとホルムアルデヒドの縮合によって形成されたポリフェニル−ポリメチレン−ポリアミンの混合物、ならびに少なくとも2種の前記ポリアミンの混合物)である。
【0028】
このタイプの、少なくとも二官能性芳香族の開始剤分子を使用するポリエーテルポリオールの調製は公知であり、また、例えば、旧東ドイツ特許A第290201号、旧東ドイツ特許A第290202号、ドイツ特許A第3412082号、ドイツ特許A第4232970号、および英国特許A第2,187,449号に記載されている。
【0029】
ポリエーテルポリオールは、3から8個、特に3から7個の官能基、および120から770、特に200から650のヒドロキシル数を有するのが好ましい。
【0030】
他の適切なポリエーテルポリオールは、欧州特許A第23987号(米国特許A第4,293,657号)に記載されているようなメラミン/ポリエーテルポリオールの分散物、ドイツ特許第2943689号(米国特許第4,305,861号)に記載されているようなポリエーテルポリオール存在下で、ポリエポキシドおよびエポキシ樹脂硬化剤から調製されるポリマー/ポリエーテルポリオールの分散物、欧州特許A第62204号(米国特許A第4,435,537号)およびドイツ特許第3300474号に記載されているようなポリヒドロキシル化合物中の芳香族ポリエステルの分散物、欧州特許A第11751号(米国特許第4,243,755号)に記載されているようなポリヒドロキシル化合物中の有機および/または無機フィラーの分散物、ドイツ特許A第3125402号に記載されているようなポリウレア/ポリエーテルポリオールの分散物、欧州特許A第136571号(米国特許第4,514,426号)に記載されているようなトリス(ヒドロキシアルキル)イソシアヌレート/ポリエーテルポリオールの分散物、ならびにドイツ特許A第3342176号およびドイツ特許A第3342177号(米国特許第4,560,708号)に記載されているような結晶性懸濁液である。本発明に有用となり得る他のタイプの分散物は、核形成剤(液状パーフルオロアルカンおよびヒドロフルオロエーテルなど)、ガス(窒素など)、および例えば、球状シリケートおよび球状アルミネート、層状ラポナイト(flat laponites)、モンモリロナイト、およびバーミキュライト、ならびにセピオライトおよびカオリナイト−シリカなどのエッジ表面を含む粒子を含む無機固体(非修飾、部分修飾、および修飾粘土など)のものを含む。チタネートおよびシリコネートなどの有機および無機の顔料および相溶剤もまた、有用なポリオール分散物に含んでもよい。
【0031】
ポリエステルポリオールと同様に、ポリエーテルポリオールは、個別に、または混合物の形態で使用されてよい。さらに、それらは、グラフトポリエーテルポリオールまたはグラフトポリエステルポリオール、およびヒドロキシル含有ポリエステル−アミド、ヒドロキシル含有ポリアセタール、ヒドロキシル含有ポリカーボネート、および/またはフェノール性ポリオールと混合してもよい。
【0032】
適切なヒドロキシル含有ポリアセタールの例は、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどのグリコール、4,4’−ジヒドロキシエトキシジフェニルジメチルメタン、ヘキサンジオール、およびホルムアルデヒドから調製され得る化合物である。適切なポリアセタールはまた、環状アセタールを重合することによって調製することができる。
【0033】
適切なヒドロキシル含有ポリカーボネートは、例えば、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオールおよび/または1,6−ヘキサンジオールなどのジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールまたはテトラエチレングリコールを、例えばジフェニルカーボネートなどのジアリールカーボネート、またはホスゲンと反応させることによって調製することができる、従来のタイプのものである。
【0034】
ポリエステル−アミドは、例えば、多価塩基性の飽和および/または不飽和のカルボン酸あるいはその無水物、ならびに多価の飽和および/または不飽和のアミノアルコール、あるいは多価アルコールおよびアミノアルコールおよび/またはポリアミンの混合物から得られる、主に直線状の縮合物を含む。
【0035】
少なくとも2種の反応性水素原子を含有する適切な化合物は、さらに、フェノール性およびハロゲン化フェノール性ポリオール、例えばベンジルエーテル基を含有するレゾール−ポリオールである。このタイプのレゾール−ポリオールは、例えば、フェノール、ホルムアルデヒド、好都合にはパラホルムアルデヒド、および多価脂肪族アルコールから調製することができる。このようなものは、例えば、欧州特許A第0116308号および欧州特許A第0116310号に記載されている。
【0036】
ある種の好ましい実施形態では、ポリオールシステムは、芳香族の多官能性の開始剤分子に基づく少なくとも1種のポリエーテルポリオール、および非芳香族の開始剤分子、好ましくは、3価アルコールから8価アルコールに基づく少なくとも1種のポリエーテルポリオールを含有するポリエーテルポリオールの混合物を含んでもよい。上で言及したように、アミン開始ポリオールは、少なくとも約10重量%のポリオールシステムを示す。
【0037】
本発明の配合物はまた、配合物を発泡するために必要であり、望ましくは、最終の硬質ポリウレタン発泡体の断熱能力の向上にも役立つ、少なくとも1種の物理発泡剤も含む。イソシアネートと反応すると二酸化炭素を形成する化学発泡剤である水も、第2の発泡剤として、上記の比較的高粘度のポリオールシステムの重量基準で、約1.6%を超えない量で含んでもよい。水量を制限すると、発泡体形成反応の総発熱量を低下させ、同時に発泡体の断熱性および機械的特性、ならびに低温における寸法安定性の向上に役立つ。二酸化炭素も、カーバメートなどのCO付加物として供給してもよく、発泡体配合物にも添加してもよい。
【0038】
物理発泡剤の考えられる選択の中には、液体CO、シクロアルカン、特にシクロペンタン、シクロヘキサン、およびそれらの混合物など、最大4個の炭素原子を有する他のシクロアルカン、ジアルキルエーテル、シクロアルキレンエーテル、フルオロアルカン、およびそれらの混合物がある。アルカンの具体例は、例えば、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−およびイソペンタン、ならびに工業グレードのペンタン混合物、シクロアルカン(例えば、シクロブタン)、ジアルキルエーテル(例えば、ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル、メチルブチルエーテル、およびジエチルエーテル)、シクロアルキレンエーテル(例えば、フラン)、さらに対流圏で分解されると考えられており、したがってオゾン層を破壊しないと現在見なされているフルオロアルカン(例えば、トリフルオロメタン、ジフルオロメタン、ジフルオロエタン、テトラフルオロエタン、およびヘプタフルオロプロパン)である。
【0039】
物理発泡剤は、上で言及したように、単独で、または好ましくは、水と組み合わせて使用される。以下の組合せは、非常に好い結果となることが実証されているため、好ましい。すなわち、水およびシクロペンタン、水およびシクロペンタンまたはシクロヘキサン、あるいはこれらのシクロヘキサンとn−ブタン、イソブタン、n−およびイソペンタン、工業グレードのペンタン混合物、シクロブタン、メチルブチルエーテル、ジエチルエーテル、フラン、トリフルオロメタン、ジフルオロメタン、ジフルオロエタン、テトラフルオロエタン、およびヘプタフルオロプロパンからなる群の少なくとも1種の化合物との混合物である。特に好ましい実施形態では、好ましくは約40℃未満の沸点を有し、一方だけまたは混合物として使用されているシクロペンタンまたはシクロヘキサンと均一に相溶する少なくとも1種の低沸点化合物をその中に含むと、発泡体全体、および/またはその加工性を改善し得ることが見出されている。特定の実施形態では、すべての発泡剤の生成混合物は、約50℃未満の沸点、好ましくは約30℃から約0℃の沸点を有することが望ましい。このような発泡剤も、例えば、欧州特許A第0421269号(米国特許A第5,096,933号)に記載されている。
【0040】
他の適切な非クロロフルオロカーボンの物理発泡剤は、長期保存性を有する発泡剤含有エマルジョンであって、3個から8個の炭素原子を有し、必要な配合物成分のいずれにも難溶または不溶な、少なくとも1種の低沸点のフッ化または過フッ化炭化水素、六フッ化硫黄、またはその混合物および欧州特許A第0351614号に記載のような少なくとも1種の配合物成分、あるいは3個から8個の炭素原子を有し、形成性成分に難溶または不溶な、上記の低沸点のフッ化または過フッ化炭化水素と、6個から12個の炭素原子を有するイソアルカン、または4個から6個の炭素原子を有するシクロアルカンを少なくとも1種と、または4個から6個の炭素原子を有するシクロアルカンと、例えばドイツ特許A第4143148号に記載されているような少なくとも1種の形成性成分との混合物のエマルジョンを含む。
【0041】
必要量は、混合物の沸点曲線の経路に依存し、公知の方法によって実験的に決定し得る。しかし、ある種の実施形態では、所望の密度および低熱伝導率を有する硬質ポリウレタン発泡体を得ることができ、その場合、発泡剤は、100部のポリオールシステム基準で、約3重量部から約22重量部、好ましくは5から21、さらに好ましくは、8重量部から20重量部の量のシクロペンタンを、同一基準で、0重量部から1.6重量部、好ましくは0.1重量部から1.5重量部、および特に0.2重量部から1.5重量部の水と組み合わせる。シクロペンタンまたはシクロヘキサンの両方に均一に相溶する低沸点化合物、例えばイソペンタンまたはブタンなどのアルカン、最大4個の炭素原子を有するシクロアルカン、ジアルキルエーテル、シクロアルキレンエーテル、フルオロアルカン、またはそれらの混合物が含まれる。このような低沸点化合物が使用される場合、同一基準で、0.1重量部から18重量部、好ましくは0.5重量部から15重量部、および特に1.0重量部から12重量部の量で存在する。ヒドロフルオロカーボン発泡剤の例は、245fa、134a、365mfc、227a、およびそれらの組合せを含む。本発明の硬質ポリウレタン発泡体を製造するために、水と組み合わせた非クロロフルオロカーボンの発泡剤(複数可)が、最終の発泡体形成反応の開始前に、公知の方法によって、少なくとも1種の配合物成分中に導入される。このような成分中への導入は、所望の場合、加圧下で行ってもよい。発泡剤または発泡剤混合物を直接反応混合物中に、適切な混合装置によって都合よく導入することもまた可能である。
【0042】
発泡体形成反応を促進するために、発泡触媒および硬化触媒の両方が、好ましくは配合物に含まれる。一部の触媒は、発泡および硬化(いわゆる「均衡のとれた」触媒)の両方を促進し得ることが知られているが、このようなものは、発泡触媒の場合のウレア(発泡)反応、または硬化触媒の場合のウレタン(ゲル)反応のいずれか一方に有利となる傾向によって、従来から区別されている。いくつかの非限定的な実施形態では、発泡および硬化の両方を技術的に触媒し得る触媒は、そのより不利に働く傾向、例えば、硬化のために選択し、もう一方の目的、例えば発泡への指向性がより高い別の触媒と組み合わせても、その逆でもよい。
【0043】
ウレア(または水およびイソシアネート)反応に有利に働く傾向となり得る適切な発泡剤の例は、短鎖の第三級アミンまたは少なくとも酸素を含有する第三級アミンであり、またビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、ペンタメチルジエチレントリアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、ジメチルエタノールアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、またはウレアを含んでよい。一実施形態では、例えば70/30重量%の比のビス(ジメチルアミノエチル)エーテルの、ジプロピレングリコール中における組合せを、効果的な発泡触媒とすることができる。上記の任意の組合せもまた、選択してもよい。
【0044】
ウレタン、またはポリオールおよびイソシアネート(ゲルまたはストリング)反応に有利に働く傾向となり得る適切な硬化触媒の例は、アミジン、有機金属化合物、およびそれらの組合せを一般に含む。これらは、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、および2,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、およびそれらの塩を含んでもよいが、それらに限定されない。
【0045】
有機金属化合物は、例えば、二酢酸スズ(II)、ジオクタン酸スズ(II)、ジエチルヘキサン酸スズ(II)およびジラウリン酸スズ(II)などの有機カルボン酸のスズ(II)塩、および、例えば、二酢酸ジブチルスズ、ジラウリン酸ジブチルスズ、マレイン酸ジブチルスズ、および二酢酸ジオクチルスズなどの有機カルボン酸のジアルキルスズ(IV)塩などの有機スズ化合物を含んでよい。例えばオクタン酸ビスマスなどの有機カルボン酸のビスマス塩もまた、選択されてよい。有機金属化合物は、単独で、または組み合わせて使用するために選択してもよく、またいくつかの実施形態では、上で挙げた強塩基性アミンを1種または複数で組み合わせて使用するために選択してもよい。
【0046】
発泡反応および硬化反応の両方を促進することができる触媒の例は、ジメチルベンジルアミン、N−メチル、N−エチルおよびN−シクロヘキシルモルホリン、N,N,N’,N’−テトラメチルブタンジアミン、およびN,N,N’,N’−テトラメチルヘキサンジアミン、ビス(ジメチルアミノプロピル)ウレア、ジメチルピペラジン、ジメチルシクロヘキシルアミン、1,2−ジメチル−イミダゾール、1−アザ−ビシクロ[3.3.0]オクタン、トリエチレンジアミン(TEDA)などのいくつかの窒素原子を含有する環状第三級アミンまたは長鎖アミンである。一実施形態では、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(TEDA)が使用される。
【0047】
発泡および硬化反応の両方のための他のクラスの触媒は、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N−メチルおよびN−エチルジエタノールアミンなどのアルカノールアミン化合物であり、またジメチルエタノールアミンも選択することができる。上記の任意の組合せもまた効果的に使用され得る。
【0048】
市販の発泡触媒、硬化触媒、または発泡/硬化触媒の例は、NIAX A−4、NIAX A6、POLYCAT 6、POLYCAT 5、POLYCAT 8、Niax A1、POLYCAT 58、DABCO T、DABCO NE 300、TOYOCAT RX 20、DABCO DMDEE、JEFFCAT ZR 70、DABCO(登録商標)33 LV、NIAX A−33、DABCO R−8020、NIAX TMBDA、POLYCAT 77、POLYCAT 6、POLYCAT 9、POLYCAT 15、JEFFCAT ZR 50、TOYOCAT NP、TOYOCAT F94、DABCO NEMなどを含む。POLYCATおよびDABCO触媒はAir Productsから入手可能であり、TOYOCAT触媒は、Tosho Corporationから入手可能であり、NIAX触媒は、Momentive Performance Materialから入手可能であり、またJEFFCAT触媒は、Huntsmanから入手可能である。
【0049】
固体または結晶であるこれらの触媒のいくつかは、ポリオール、水、発泡剤、DPG、またはポリウレタン発泡と相性のよい任意の担体とすることができる適切な溶媒に溶解される。
【0050】
第3クラスの触媒は、それ自体の上でイソシアネートの反応を促進することができる三量化触媒すなわち、1,3,5−トリス(N,N−ジメチルアミノプロピル)−s−ヘキサヒドロトリアジンなどのトリス(ジアルキルアミノアルキル)−s−ヘキサヒドロトリアジン、DABCO TMR 30、DABCO K 2097、DABCO K15、酢酸カリウム、オクタン酸カリウム、POLYCAT 41、POLYCAT 43、POLYCAT 46、DABCO TMR、CURITHANE 352、水酸化テトラメチルアンモニウムなどの水酸化テトラアルキルアンモニウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物、ナトリウムメトキシドおよびカリウムイソプロポキシドなどのアルカリ金属アルコキシド、ならびに10個から20個の炭素原子を有する長鎖脂肪酸のアルカリ金属塩であり、いくつかの実施形態では、ヒドロキシルペンダント基(pendant hydroxyl group)である。これらの三量化触媒は、他の発泡触媒および硬化触媒に添加して、発泡反応性を増加できるが、これらは本発明に必要ではない。
【0051】
これらの触媒のいくつかは、固体または結晶であり、ポリウレタン発泡組成物とともに、ポリオール、水、発泡剤、ジプロピレングリコール、または他の担体とすることができる適切な溶媒に溶解することができる。
【0052】
特定の一実施形態では、発泡触媒および硬化触媒の組合せ量(溶媒は考慮しない)は、ポリオールシステムの重量基準で約1.7%より大きい。いくつかの実施形態では、発泡触媒および硬化触媒の組合せ量は、ポリオールシステムの2%以上である。一般に、発泡触媒および硬化触媒のレベルは、ポリオールシステムの5%未満である。触媒の量は、物質の温度に基づき変化し得る。
【0053】
ポリイソシアネート、比較的高粘度のポリオールシステム、非クロロフルオロカーボンの発泡剤、水、ならびに発泡触媒および硬化触媒の他に、配合物は追加の任意選択の成分を含んでもよい。これらの中には、ポリオールとは異なりそれら自体はポリマーでない、鎖延長剤および/または架橋剤があってもよい。鎖延長剤は、より高い分子量のポリウレタン鎖を形成させるために、より低い分子量のポリウレタン鎖と一緒に合わせて使用され、また、2個に等しい官能基を有するものとして、一般に分類される。架橋剤は、ポリマー鎖間の分子間共有結合または分子間イオン結合を促進する、または調節するように働き、それらを一緒に連結して、より一層硬質な構造を作る。架橋剤は、3個以上の官能基を有するものとして一般に分類される。これらのグループの両方共に、ヒドロキノンジ(β−ヒドロキシエチル)エーテル、ひまし油などの反応性ヒドロキシル基を含有する天然オイルポリオール(NOP)、グリセリン、エチレングリコール(EG)、ジエチレングリコール(DEG)、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール(BDO)、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、エタノールアミン、ジエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、フェニルジエタノールアミン、グリセロール、トリメチロールプロパン(TMP)、1,2,6−ヘキサントリオール、トリエタノールアミン、ペンタエリトリトール、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、ジエチル−トルエンジアミン、ジメチルチオトルエンジアミン、それらの組合せなどの比較的短鎖または低分子量分子によって、通常示される。1,4−ブタンジオール(BDO)、ジエチレングリコール(DEG)、グリセリン、1,4−トリメチロールプロパン(TMP)、およびそれらの組合せが、とりわけ頻用される。一部の分子は、鎖延長および架橋の両方に寄与し得る。当業者であれば、広範囲の適切な鎖延長剤および/または架橋剤に精通されていよう。使用時には、架橋剤は、ポリオールの最大8wt%の量が使用され得る。
【0054】
任意選択の別の添加物は、界面活性剤または界面活性剤の組合せである。配合物に界面活性剤を含有すると、液体成分の乳化、気泡サイズの調節、ならびに破壊および表面下(sub-surface)の隙間を防止するための気泡構造の安定化に役立つ。適切な界面活性剤には、シリコンオイル、および有機シリコーン−ポリエーテルコポリマーとしてポリジメチルシロキサンおよびポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレンブロックコポリマー(例えば、ポリエーテル修飾ポリジメチルシロキサン)などのシリコン系化合物を挙げ得るが、それらに限定されない。他の適切な選択は、シリカ粒子およびシリカエアロゲル粉末、ならびにノニルフェノールエトキシレート、および比較的高い分子量を有するエチレンオキシド/ブチレンオキシドのブロックコポリマーであるVORASURF(登録商標)504などの有機界面活性剤を含むことができる。DABCO(登録商標)およびTEGOSTAB(登録商標)などの商標で販売されている多くの界面活性剤製品は、本発明の配合物に有用となり得る。
【0055】
実施者の所望に応じて、追加の配合物成分が、任意選択で含まれてもよい。このようなものは、顔料および着色剤、難燃剤、抗酸化剤、表面改質剤、抗生物(bioretardant)剤、離型剤、それらの組合せなどを含んでもよい。
【0056】
配合物成分は、硬質ポリウレタン発泡体を製造するため、当分野において公知の任意の方法で、混合して、型または空洞に導入し得る。一般に、比較的高粘度のポリオールシステム成分は、発泡剤、水、発泡触媒および硬化触媒、架橋剤、および/または鎖延長剤、界面活性剤、および任意の追加の添加剤と最初に混合して、「B」側(side)(欧州では「A」側)を形成し、また、発泡および重合反応を開始するために、この「B」側は次に、素早く「A」側(欧州では「B」側)と接触させる。比例的に、2つの「側」の比は、一般に、スプレー装置において約1:1(体積)になるであろう、しかし、イソシアネートインデックスは、約70から約500がしばしば都合よく用いられ、いくつかの非限定的な実施形態では、約80から約300、他の非限定的な実施形態では、約90から約150、およびさらに他の非限定的な実施形態では、約100から約130である。当業者は、適切なレベルの混合を行って、最終の発泡体の均一性を確保することを確実にしながら、接触を実現するための様々な種類の装置を承知しているだろう。これを行う1つの方法は、混合注入ヘッドを使用することであり、配合物の2つの「側」は、一緒にして混合されて、次に、ほぼ同時に充填されるべき型または空洞に注入される。別の点から同時に真空に吸引しながら、型または空洞が単一注入点から充填される、いわゆる「単回」注入が特に望ましい。真空は、配合物の望ましい迅速なゲル時間前の型充填または空洞充填を最大化することができ、特定の実施形態では、ゲル時間は約25秒未満とすることができ、また別の実施形態では、約20秒未満とすることができる。いくつかの実施形態では、約15秒未満である。ゲル時間の低下は、触媒濃度およびアミン開始ポリオールの量のバランスによって達成され得る。例えば、アミン開始ポリオールの量を増加することによって、発泡触媒および硬化触媒の総量を低減することができる。付加的な、第一級ヒドロキシル含有物の増量、または反応剤の温度上昇は、ゲル時間を減少させることができる。
【0057】
望ましくは、約350ミリバール(mbar)から約850mbar、より望ましくは、約400mbarから約800mbarの減圧を用い得る(大気圧は約1013.25mbarまたは101.325kPaである)。適切な減圧環境の適用について、さらに記載した技術は、国際公開A1第2007/058793号、米国特許A第5,972,260号、国際公開A1第2006/013004号、国際公開A1第2006/013002号、および国際公開A2第2000/047384号に見出すことができる。型を使用する場合、離型は標準的技術を利用して実施することができ、また所望の場合、適切な外部および/または内部離型剤を使用してよい。
【0058】
他の実施形態では、反応性発泡体形成システムは、大気圧以上で空洞に注入され、また次いで、真空が型に適用される。さらなる実施形態では、真空度はまた、発泡工程の間に変化させてよい。
【0059】
本発明の配合物および方法は、約40kg/m未満の密度を有する微細気泡のある、硬質ポリウレタン発泡体を製造するために使用することができ、ある種の実施形態では、密度は約38kg/m未満、および他の実施形態では、密度は約36kg/m未満である。密度は、ASTM 1622−88に準拠して測定される。パイプインパイプの用途の場合、成形された密度は、一般に40kg/mより大きくなると見込まれ、一般に60kg/mから90kg/mの範囲とすることができる。気泡は、特定の非限定的な実施形態では、少なくとも約70%が独立(closed)しており、他の非限定的な実施形態では、少なくとも約80%が独立しており、さらに他の非限定的な実施形態では、少なくとも約85%が独立し得る。発泡体はまた、特定の非限定的な実施形態では、約250ミクロン未満、ならびにいくつかの実施形態では、約200ミクロン未満の平均気泡径、およびISO 12939/DIN 52612に準拠すると、10℃の平均板温度において、約19mW/mK未満の熱伝導率を示す場合がある。いくつかの実施形態では、10℃の平均板温度において、約18.5mW/mK未満の熱伝導率が達成される場合がある。このような発泡体は、非限定的な実施形態である、冷蔵庫、冷凍庫、および温水貯蔵タンクなどに使用するための、電気器具の断熱用壁などの成形用途および空洞充填用途の両方に、特に有用となり得る。
【0060】
上記説明は、一般的な説明を意図するものであり、本発明の可能なすべての実施形態を包含することを意図するものではない。同様に、以下の実施例は、例示するためだけに提示しており、決して本発明を規定または制限する意図はない。当業者は、特許請求の範囲内の他の実施形態が、本明細書に開示されたような本発明の詳細および/または実施を考慮すれば、明らかとなることを、十分に承知されていよう。このような他の実施形態には、特定のイソシアネート、ポリオール、物理発泡剤および触媒の選択、鎖延長剤および/または架橋剤の選択、添加剤および補助剤の選択、混合条件および反応条件、反応容器、およびプロトコール、性能および選択性、実験室的および商業的適用を含むスケールの変更、生成物および副生成物の同定などを含むことができ、また当業者は、このようなものが、本明細書に添付される特許請求の範囲内で変更し得ることを認識されよう。
【実施例】
【0061】
[実施例1]
(比較)
配合物:
イソシアネート(「A−側」)
Voratec SD 100 Dow Chemical Company社から入手可能な約31%のNCO含有量を有するポリマー状MDI

ポリオールシステム(「B−側」)
Voratec SD 308 385mg KOH/gのヒドロキシル数、25℃において3500mPa.sの粘度、および2.3%の水含有量を有し、5wt%のアミン開始ポリオールおよびDow Chemical Company社から市販の1.4wt%の発泡触媒および硬化触媒を含有する配合ポリオール

Voranol RN 482 Dow Chemical Company社から入手可能な480mg KOH/gのヒドロキシル数を有するプロポキシル化ソルビトール

Voranol CP 1055 Dow Chemical Company社から入手可能な156mg KOH/gのヒドロキシル数を有するプロポキシル化グリセロール

Voranol RA 500 Dow Chemical Company社から入手可能な500mg KOH/gのヒドロキシル数を有するプロポキシル化エチレンジアミン

Stepanpol PS 3152 Stepan Chemical社から入手可能な、315mg KOH/gのヒドロキシル数を有する芳香族ポリエステルポリオール

Tercarol 5903 Dow Chemical Company社から入手可能な440mg KOH/gのヒドロキシル数を有するプロポキシル化トルエンジアミン

グリセロール 1828mg KOH/gのヒドロキシル数を有するトリオール

ポリオールA 440mg KOH/gのヒドロキシル数を有するプロポキシル化1,2−シクロヘキサンジアミン

ポリオールB 270mg KOH/gのヒドロキシル数を有し、フタル酸無水物、グリセリンおよびジエチレングリコールから作製されるポリエステルポリオール
【0062】
追加の配合物成分
Curitane 206 Dow Chemical Company社から入手可能なアミン触媒

Pmdeta Polycat 5として、例えば、Air Products & Chemicals Inc.社から入手可能な発泡アミン触媒(N,N,N’,N’,N−ペンタメチルジエチレントリアミン)

Dmcha Polycat 8として、例えば、Air Products & Chemicals Inc.社から入手可能な発泡および硬化特性を有するアミン触媒(ジメチルシクロヘキシルアミン)

Dabco TMR−30 Air Products & Chemicals Inc.社から入手可能な三量化触媒

Dabco K2097 Air Products & Chemicals Inc.社から入手可能な三量化触媒

Polycat 41 Air Products & Chemicals Inc.社から入手可能な三量化触媒(リス(ジメチルアミノプロピル)−s−ヘキサヒドロトリアジン)

シリコン−A Momentive社から入手可能な硬質発泡体用界面活性剤

シリコン−B Evonik社から入手可能な硬質発泡体用界面活性剤

シクロペンタン Haltermanから入手可能な95%シクロペンタン
【0063】
4つの実施例発泡体(1〜4と表す)、および1つの比較例発泡体(「対照発泡体1」と表す)を、表1に示した配合量を用いて調製する。大気圧が約1,000mbarである実験室で、混合ヘッドを備えた高圧キャノン装置を、型注入ホールに結合する。この型/混合ヘッドの接合を気密にする。ポリオールシステムおよび追加の配合物成分を事前に混合し、次いで、少なくとも90mbarの混合ヘッド圧にて、イソシアネート成分と同時に、ブレット型(Brett mold)内に注入する。成分温度を20℃+/−2℃に維持する。該装置の排出量は、通常約150g/秒から約250g/秒である。ブレット型は、200×20×5cmの寸法を有するアルミニウム製であり、また排出口を持たず、これにより発泡中、型内に減圧を発生することができる。したがって、発泡塊の押出しは存在しない。型の内部圧は、中容量の真空ポンプ(1500l/分)に連結した500l緩衝タンクに連結させたパイプを介して制御する。緩衝タンク内の真空、したがって型内の空気圧は、制御弁で維持される。このブレット型内で製造した発泡体が、熱伝導率(「ラムダ」とも呼ばれる)、圧縮強度、成形密度、および密度分布を測定するために、通常使用される。型の温度は約45℃である。発泡体の典型的な離型時間は、約8分から約10分の範囲である。離型剤は、離型を容易にするために、充填の前に型内に施用される。
【0064】
発泡体のサンプルは、発泡体製造24時間後、成形品の中心部から切り取り、またこれらのサンプルは、切り取り直後に試験のために使用する。ラムダ、すなわち熱伝導率は、Lasercomp FOX 200を用い、ISO 12939−01/DIN 52612に準拠して、10℃(平均板温度)において測定する。成形した発泡体の密度、および自由上昇発泡体密度(free rise foam density)は、ASTM 1622−88に準拠して測定する。発泡体の圧縮強度(kPa)は、DIN 53421−06−84に準拠して測定する。報告値は、ブレット型の様々な位置から取り出した5つのサンプルの平均値である。
【0065】
発泡実験の間に決定した一部の他のパラメータは、以下の通りである。
自由上昇密度(Free Rise Density):300g以上の全システム配合物重量から(周囲空気圧において)製造された自由上昇発泡体の中心から得られた100×100×100mmのブロックから測定した密度。FRDはkg/mで報告する。

発泡体反応性:発泡体反応性は、20×20×20cmの型を用い、200gの注入重量(shot-weight)の自由上昇発泡体について決定する。周囲圧で作製したこれらの発泡体から、クリームタイム、ゲル時間、および不粘着時間を決定する。

クリームタイムは、反応剤の目視変化(曇り)が起こるまでの、混合工程の始めからの時間経過(秒)である。

ゲル時間は、舌圧子(tongue depressor)を用いてストリングを上昇発泡体(rising foam)から引き抜くことができるまでの、混合工程の始めからの時間(秒)である。

不粘着時間は、発泡体の上端表面が、操作者の指に粘り付かなくなるまでの、混合工程の始めからの時間(秒)である。

ポリオールシステムの粘度は、ASTM D445に準拠して測定される、発泡剤を含まない、完全配合されたポリオールの粘度である(25℃における、mPa.s)。

最小充填密度(Minimum Fill Density):型を完全に充填するために必要な最小重量、およびこの型の体積から決定される密度。MFDは、ブレット型が、95%より大きく充填される場合、ブレット型長から推定してもよい。MFDは、kg/mで報告する。

成形密度(Molded Density) 型に注入された重量、およびこの型の体積から決定される密度。MDは、kg/mで報告する。測定された成形密度は、サンプル重量を測定し、かつ、各サンプル重量をサンプルの測定体積で割ることによって、少なくとも5つの100×100×「厚さ」(mm)(外板(skin)を含む)のサンプルの平均から決定する。

過剰充填 過剰充填は、[成形密度×100/最小充填密度]として定義される。過剰充填を%で報告し、物理発泡剤および適用される型内圧力に応じて、10〜25%の典型的な値を有する。

圧力 本発明に記載の圧力は、発泡体にかかる空気圧、型の空洞内の空気圧、または型にかかる発泡体塊の圧力とすることができる。圧力はすべて、ミリバール(mbar)またはキロパスカル(kPa)単位の、絶対圧力で報告する。
【0066】
【表1】

【0067】
【表2】

【0068】
[実施例2]
(比較)
実施例1で使用した成分、一般条件、および装置を用いて、第2シリーズの発泡体を調製する。しかし、表3に示すように、その実施例の修正を使用し、またこの一連の発泡体(対照発泡体2、ならびに発泡体例5および6と表す)に関する試験結果を表4に示す。
【0069】
【表3】

【0070】
【表4】

【0071】
[実施例3]
(比較)
表5に与えられた成分を使用し、一連の発泡体を調製する。発泡体は、ジャンボ(Jumbo)型(70×35×10cm)内で調製される。発泡体の後膨張を、異なる離型時間を用いた発泡体について、24時間後に測定する。後膨張は離型性能の尺度である。製造された発泡体の特性を表6に与える。
【0072】
【表5】

【0073】
【表6】

【0074】
結果は、例9および10に対して、発泡体の熱伝導率が改善され、また、より一層低い膨張値によって示される離型時間の性能が向上したことを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空洞を充填する独立気泡硬質ポリウレタン発泡体を調製する方法であって、
(a)成分として、少なくとも
ポリイソシアネートと、
少なくとも10重量%のアミン開始ポリオールを含有し、ASTM D445に従い、25℃において少なくとも5,000cPの粘度を有するポリオールシステムと、
非クロロフルオロカーボンの物理発泡剤と、
発泡触媒と、
硬化触媒と、
任意選択でポリオールシステムに基づき1.6重量%未満の量の水と
を含む、反応性発泡体形成システムを調製するステップ、
(b)減圧下において、反応性発泡体形成システムを空洞内に注入し、反応性発泡体形成システムが25秒以内にゲルを形成するステップ、ならびに
(c)ゲルが、約40kg/m未満の密度、250ミクロン未満の平均気泡径、およびISO 12939/DIN 52612に従い、10℃の平均板温度において19mW/mK未満の熱伝導率を有する、独立気泡硬質ポリウレタン発泡体を少なくとも形成するまで、減圧を維持するステップ
を含む方法。
【請求項2】
ポリイソシアネートが、4,4’−、2,4’−および2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよび対応する異性体混合物、4,4’−および2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの混合物、ポリフェニル−ポリメチレンポリイソシアネート、4,4’−、2,4’−および2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネートの混合物、ならびにそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
アミン開始ポリオールが、モノアルキルおよびジアルキル−置換エチレンジアミン、1,2−、1,3−、1,4−、1,5−、および1,6−ヘキサメチレンジアミン、アニリン、2,3−、2,4−、3,4−、および2,6−トリレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ならびにそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
非クロロフルオロカーボンの物理発泡剤が、アルカン、シクロアルカン、ヒドロフルオロアルカン、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
発泡触媒が、ビス−(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、ペンタメチルジエチレントリアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルエチレンジアミン、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
発泡触媒が、ビス−(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、ペンタメチルジエチレントリアミン、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
硬化触媒が、アミジン、有機金属化合物、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
硬化触媒が、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、2,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−ピリミジン、有機カルボン酸のスズ(II)およびジアルキルスズ(IV)塩、有機カルボン酸のビスマス塩、ならびにそれらの組合せからなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
減圧が、約350mbarから約850mbarの範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
硬質ポリウレタン発泡体の密度が、約38kg/m未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
硬質ポリウレタン発泡体の密度が、約36kg/m未満である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ポリオールシステムの粘度が、ASTM D445に従い、25℃において少なくとも約6,000cPである、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記システムが、約20秒以内にゲル化する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
ISO 12939/DIN 52612に従い、10℃の平均板温度における熱伝導率が約18.5mW/mK未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
発泡触媒および硬化触媒を一緒にした総量が、ポリオールシステムの重量に基づき、約1.7%より大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
空洞を充填する独立気泡硬質ポリウレタン発泡体を調製する方法であって、
(a)成分として、少なくとも
ポリイソシアネートと、
少なくとも約10重量%のアミン開始ポリオールを含有し、またASTM D445に従い、25℃において少なくとも約5,000cPの粘度を有するポリオールシステムと、
非クロロフルオロカーボンの物理発泡剤と、
発泡触媒と、
硬化触媒と、
任意選択でポリオールシステム基づき約1.6重量%未満の量の水と
を含む、反応性発泡体形成システムを調製するステップ、
(b)大気圧以上において、反応性発泡体形成システムを空洞内に注入し、反応性発泡体形成システムが約25秒以内にゲルを形成するステップ、
(c)空洞を減圧下に付すステップ、ならびに
(d)ゲルが、約40kg/m未満の密度、約250ミクロン未満の平均気泡径、およびISO 12939/DIN 52612に従い、10℃の平均板温度において約19mW/mK未満の熱伝導率を有する、独立気泡硬質ポリウレタン発泡体を少なくとも形成するまで、減圧を維持するステップ
を含む方法。
【請求項17】
発泡触媒および硬化触媒が、ジメチルベンジルアミン、N−メチル−、N−エチル−およびN−シクロヘキシルモルホリン、N,N,N’,N’−テトラメチルブタンジアミン、およびN,N,N’,N’−テトラメチルヘキサンジアミン、ビス(ジメチルアミノ−プロピル)ウレア、ジメチルピペラジン、ジメチルシクロヘキシルアミン、1,2−ジメチル−イミダゾール、1−アザ−ビシクロ[3.3.0]オクタン、トリエチレンジアミン、ならびにそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。

【公表番号】特表2012−506468(P2012−506468A)
【公表日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−532610(P2011−532610)
【出願日】平成21年10月20日(2009.10.20)
【国際出願番号】PCT/EP2009/063736
【国際公開番号】WO2010/046361
【国際公開日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】