説明

現像剤の製造方法

【課題】耐オフセット性及び帯電特性が良好なカプセル化された現像剤を提供する。
【解決手段】トナー材料分散液に機械的せん断を与えることによりトナー材料微粒子を得る工程、トナー材料微粒子を凝集させて、凝集粒子を形成する工程、バインダー樹脂分散液に機械的せん断を与えることによりバインダー樹脂微粒子を得る工程、凝集粒子、バインダー樹脂微粒子を水系媒体中で混合し、凝集粒子をコア成分とし、バインダー樹脂微粒子をシェル成分としてカプセル化されたトナー粒子を形成する現像剤の製造方法において、バインダー樹脂分散液に機械的せん断を与える前に、バインダー樹脂分散液にスルホコハク酸系界面活性剤を添加することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電子写真法、静電印刷法等における静電荷像、磁気潜像を現像するための現像剤の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポリエステル樹脂を用いたトナーの製造方法として、有機溶剤に溶解させた溶液にアンモニア水等を添加し、さらに、これに水を加える転相乳化法がで提案されているが、トナー中に有機溶剤が残存することがある。また、有機溶剤を除去回収する必要がある。有機溶剤を使用せずに水系媒体中で機械的せん断により微粒子を製造する方法がで提案されているが、溶融状態の樹脂等を撹拌装置に供給する必要があり、ハンドリングが困難であった。
【0003】
しかしながら、これらには、コア剤を樹脂微粒子でカプセル化する場合、樹脂の微粒化工程で有機溶剤を使用するため、洗浄が困難である。その結果、微量ながらトナー中に含有し、定着時に臭いが発生する問題があった。
【0004】
そこで、ポリエステル樹脂と顔料の混練物粗砕品を湿式で機械による微粒化を行い、これを凝集により均一な粒度分布をもつ凝集粒子を製造する。つぎにあらかじめ湿式で機械により微粒化した樹脂微粒子を適量添加し加熱することで凝集粒子をカプセル化するトナーの製造方法が提案されているが、スラリーに含有するアニオン系界面活性剤がアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、ノニオン性界面活性剤がポリオキシエチレンオレイルエーテルを使用しているため、ヘテロ凝集工程において、凝集剤が少ない場合は、シェル材である樹脂微粒子が吸着されず未凝集粒子として残り、多い場合は、カプセル粒子のほかに、シェル材同士の合一や、コア材同士の合一、シェル材とコア材がヘテロ凝集せず、ランダムに凝集するなどの欠陥粒子が発生する。このため吸着量を上げることが困難であり、被覆率が制御し難くなる傾向がある。また、洗浄が困難である高分子界面活性剤を含有しているため、高温多湿の環境試験において、トナー性状として帯電性や対飛散性が良くないという欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−180874号公報
【特許文献2】特開平9−311502号公報
【特許文献3】特開2008−275742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、耐オフセット性及び帯電特性が良好なカプセル化された現像剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態にかかる現像剤の製造方法は、粒状化されたトナー材料、及び水系媒体を含む第1の水系分散液を調製する工程、
該分散液に機械的せん断を与えることにより該粒状化されたトナー材料を細かくして、該粒状化されたトナー材料の大きさよりも小さい大きさを持つトナー材料微粒子を得る工程、
該トナー材料微粒子を凝集させて、凝集粒子を形成する工程、
バインダー樹脂、スルホコハク酸系界面活性剤及び水系媒体を含む第2の水系分散液を調製する工程、
該第2の水系分散液に機械的せん断を与えることにより該バインダー樹脂を細かくして、該バインダー樹脂の大きさよりも小さい大きさを持つバインダー樹脂微粒子を得る工程、
前記凝集粒子、前記バインダー樹脂微粒子を水系媒体中で混合し、第3の水系分散液を形成する工程、及び
該凝集粒子をコア成分とし、該バインダー樹脂微粒子をシェル成分として、該コア成分表面上にシェル成分を凝集せしめることにより、カプセル化されたトナー粒子を形成する工程を具備することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施形態に係る現像剤の製造方法の一例を表すフロー図である。
【図2】実施形態に使用可能な高圧式ホモジナイザー構成の一例を表す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施形態にかかる現像剤の製造方法は、粒状化されたトナー材料、及び水系媒体を含むトナー材料分散液を調製する工程、分散液に機械的せん断を与えることにより粒状化されたトナー材料を細かくして、該粒状化されたトナー材料の大きさよりも小さい大きさを持つトナー材料微粒子を得る工程、
トナー材料微粒子を凝集させて、凝集粒子を形成する工程、
バインダー樹脂、及び水系媒体を含むバインダー樹脂分散液を調製する工程、
バインダー樹脂分散液に機械的せん断を与えることにより該バインダー樹脂を細かくして、該バインダー樹脂の大きさよりも小さい大きさを持つバインダー樹脂微粒子を得る工程、
凝集粒子、バインダー樹脂微粒子を水系媒体中で混合し、凝集粒子とバインダー樹脂微粒子の分散液を形成する工程、及び
凝集粒子をコア成分とし、バインダー樹脂微粒子をシェル成分として、コア成分表面上にシェル成分を凝集せしめることにより、カプセル化されたトナー粒子を形成する工程を具備することを特徴とする方法において、
バインダー樹脂分散液に機械的せん断を与える前に、スルホコハク酸系界面活性剤を添加することを特徴とする。
【0010】
実施形態に係る現像剤の製造方法によれば、バインダー樹脂を含むシェル成分をスルホコハク酸の構造をもつ界面活性剤を含む水系媒体中に混合させて機械的せん断に供することにより、有機溶媒を使用することなく、トナー材料を微細に分割しながら粒状化することが可能となる。
【0011】
凝集工程では、トナー材料微粒子、及びバインダー樹脂微粒子に含まれる界面活性剤の量を基準とし、一定量の酸を添加し、トナー材料微粒子のpHを下げながら凝集することができる。酸を添加することにより得られた凝集粒子に、スルホコハク酸の構造をもつ界面活性剤を含むバインダー樹脂微粒子分散液と混合させ、さらにに含まれる樹脂微粒化液の量を基準とし、一定量の一価の酸性塩を添加することができる。バインダー樹脂及び着色剤及び離型剤を含有する凝集体に樹脂微粒子が吸着した粒子をTg以上に加熱し、トナー粒子を形成することができる。
【0012】
さらに、スルホコハク酸の構造をもつ界面活性剤を含むシェル材の量と凝集剤量を調整することにより、吸着量を制御できる。その結果、表面組成のばらつきが少なく、十分な定着性及び転写性を示すトナーが得られる。
【0013】
シェル材に用いるバインダー樹脂スラリー中に10ppm以上、10重量%以下、望ましくは10ppm以上、0.5重量%以下のスルホコハク酸の構造をもつ界面活性剤を添加し、スルホコハク酸の構造をもつ界面活性剤を樹脂組成の分散助剤として用いることにより、機械的せん断工程にて、均一な微粒化が可能となる。また、凝集粒子が存在するスラリーに適量添加し、カプセル化工程においてその分散液を用いると、シェル成分と凝集剤量を調節することにより吸着適正領域が制御できる。また、凝集剤は、一価の酸性塩を用いることにより、粒度分布がシャープに制御できる。カプセル化工程のスラリー中における一価の酸性塩とシェル成分中のバインダー樹脂との重量比は1:1〜20が望ましく、1:2〜10がさらに望ましい。一価の酸性塩成分とシェル材中の樹脂成分の重量比が1:20より大きいと、一部の樹脂微粒子のみコア材に吸着され、未凝集樹脂微粒子が残存する。また、一価の酸性塩とシェル成分中のバインダー樹脂との重量比は1:1未満だと、樹脂微粒子とコア成分がランダムに凝集した欠陥凝集物が生じやすく、カプセル粒子が製造し難いだけでなく、粗粒が発生する。融着工程において、さらに、界面活性剤の添加を行ってもいいが、添加しなくても製造可能である。粒径の調節は、攪拌翼の回転数を任意に変えることにより制御可能である。さらに、洗浄、乾燥、外添によって得られたトナーは、帯電性や耐フィルミング性、定着性が改善できる効果がある。
【0014】
また、このようなトナーを用いることにより、良好な画像を形成し得る。
【0015】
以下、図面を参照し、実施形態をより詳細に説明する。
【0016】
図1に、実施形態に係る現像剤の製造方法の一例を表すフロー図を示す。
【0017】
図示するように、実施形態に係る現像剤の製造方法では、まず、バインダー樹脂及び任意に、着色剤、及び離型剤を含有する粗く粒状化されたトナー材料を調製する。
【0018】
粗く粒状化されたトナー材料は、例えばバインダー樹脂及び着色剤を含有するトナー材料混合物を溶融混練して粗粉砕する工程により得られる。あるいは、バインダー樹脂及び着色剤を含有するトナー材料混合物を造粒して得られる。
【0019】
粗く粒状化されたトナー材料は、好ましくは、0.05mmないし10mmの体積平均粒径を有する。
【0020】
体積平均粒径が0.03mm未満であると、水系媒体中に分散させるために強い攪拌が必要となる傾向があり、攪拌により発生した泡が混合品の分散を低下させる傾向がある。体積平均粒径が10mmを超えると、機械的せん断装置のせん断部に設けられたギャップと比較して粒子径が大きいため、せん断部に粒子が詰まったり、混合物の内部と外部での受けたエネルギーの違いにより、組成や粒子径の不均一な粒子が発生したりする傾向がある。
【0021】
粗く粒状化されたトナー材料は、より好ましくは、0.1mmないし5mmの体積平均粒径を有する。
【0022】
粗く粒状化されたトナー材料を水系媒体中に分散させ、第1の水系分散液を形成する(Act1)。
【0023】
粗く粒状化されたトナー材料の第1の水系分散液を形成する工程において、水系媒体に、任意に、界面活性剤及びpH調整剤のうち少なくとも1種を添加することができる。
【0024】
界面活性剤を添加することにより、混合物表面に吸着した界面活性剤の働きにより容易に水系媒体中に分散することができるが、10%より多く添加した場合、後の凝集や融着工程の造粒が困難になる。また、pH調整剤を添加することにより、混合品表面の解離性官能基の解離度を増加させたり、極性を高めたりすることにより、自己分散性を向上することができる。
【0025】
続いて、得られた混合液を機械的せん断に供し、該粗く粒状化されたトナー材料を微細に粒状化して、微粒子を形成する(Act2)。
【0026】
実施形態によれば、水系媒体中で、バインダー樹脂のTg以上の温度で機械的せん断を行うことにより、粗く粒状化されたバインダー樹脂の粘性を確保でき、微細に分割して粒状化することができる。実施形態によれば、機械的せん断の処理温度、処理時間及び高圧微粒化装置のパス回数、攪拌微粒化装置の回転数、超音波微粒化装置の超音波強度等を調整することにより、得られる微粒子の大きさを制御することができる。
【0027】
次に、バインダー樹脂、着色剤ならびに離型剤含有物の分散液と凝集剤を容器に仕込む。
【0028】
これら微粒子を所望の大きさになるまで凝集せしめ、凝集粒子を形成する(Act3)。
【0029】
凝集粒子を形成するために、分散液中に酸を投入することができる。
【0030】
凝集粒子を形成する工程では、酸の添加、及び温度調整のうち少なくとも1つのプロセスを用いて微粒子を複数個凝集させることができる。これらのプロセスを調整することにより得られる凝集粒子の形状を制御することが可能である。
【0031】
酸は、バインダー樹脂及び着色剤及び離型剤を含有する微粒化液に添加した時のpHが、好ましくは1.0から6.5の酸性を示す。pHが7.0以上だと、凝集剤としてスラリーに添加した場合、pHが下げられないために凝集融着が困難であり、1未満だと、比較的凝集挙動が大きいため、スラリーの増粘が起きやすく、均一な攪拌が困難になったり、粒子径が不均一な粒子が生成する傾向がある。
【0032】
次に、粗く粒状化されたバインダー樹脂粒子を用意する。
【0033】
粗く粒状化されたバインダー樹脂粒子は、例えばバインダー樹脂及び任意の添加物を粗粉砕する工程により得られる。あるいは、例えばバインダー樹脂粒子を含有する粒子を造粒して得られる。
【0034】
粗く粒状化された粒子は、好ましくは、0.05mmないし10mmの体積平均粒径を有する。
【0035】
体積平均粒径が0.03mm未満であると、水系媒体中に分散させるために強い攪拌が必要となり、攪拌により発生した泡が混合品の分散を低下させる傾向があり、10mmを超えると、機械的せん断装置のせん断部に設けられたギャップと比較して粒子径が大きいため、せん断部に粒子が詰まったり、混合物の内部と外部での受けたエネルギーの違いにより、組成や粒子径の不均一な粒子が発生したりする傾向がある。
【0036】
粗く粒状化されたバインダー樹脂は、より好ましくは、0.1mmないし5mmの体積平均粒径を有する。
【0037】
次に、粗く粒状化されたバインダー樹脂を水系媒体中に分散させ、粗く粒状化されたバインダー樹脂の混合液を形成する(Act4)。
【0038】
粗く粒状化されたバインダー樹脂の混合液を形成する工程において、水系媒体に、任意に、スルホコハク酸の構造をもつ界面活性剤及びpH調整剤を添加することができる。
【0039】
実施形態に使用されるスルホコハク酸の構造をもつ界面活性剤としては、スルホコハク酸ジオクチルNa、スルホコハク酸ジエチルへキシルNa、スルホコハク酸ジエチルへキシルNa、スルホコハク酸ジラウリルNa、ポリオキシエチレンアルキル(12〜14)スルホコハク酸二ナトリウム、スルホコハク酸ポリオキシエチレンラウロイルエタノールアミド二ナトリウムなどのスルホコハク酸エステル塩を投入することができる。
【0040】
スルホコハク酸の構造をもつ界面活性剤を添加することにより、混合物表面に吸着した界面活性剤の働きにより容易に水系媒体中に分散することができる。また、0.5%以上10%以下添加した場合、後のカプセル工程の造粒がより容易になる。また、pH調整剤を添加することにより、混合品表面の解離性官能基の解離度を増加させたり、極性を高めたりすることにより、自己分散性を向上することができる。
【0041】
続いて、得られた混合液を機械的高圧せん断に供し、該粗く粒状化されたバインダー樹脂を微細に粒状化して、微粒子を形成する(Act5)。
【0042】
実施形態によれば、水系媒体中で、バインダー樹脂のTg以上の温度で機械的せん断を行うことにより、粗く粒状化されたバインダー樹脂の粘性を確保でき、微細に分割して粒状化することができる。また、実施形態によれば、機械的せん断の処理温度、処理時間及び高圧微粒化装置のパス回数、攪拌微粒化装置の回転数、超音波微粒化装置の超音波強度等を調整することにより、得られる微粒子の大きさを制御することができる。
【0043】
次に、(Act3)で得られたトナー材料微粒子、(Act5)で得られたバインダー樹脂微粒子、凝集剤を水系媒体とともに混合して容器に仕込む(Act6)。
【0044】
これら微粒子を所望の吸着量になるまで凝集による吸着を行い、樹脂微粒子を着色凝集粒子に吸着せしめる(Act7)。
【0045】
着色凝集粒子に樹脂微粒子を吸着せしめるために、分散液中に凝集剤として一価の酸性塩を投入することができる。
【0046】
着色凝集粒子に樹脂微粒子を吸着する工程では、樹脂微粒子の添加量調整、凝集剤の添加量調整、及び温度調整のうち少なくとも1つのプロセスを用いて着色凝集粒子に樹脂微粒子を吸着させることができる。これらのプロセスを調整することにより得られる吸着適正領域を制御することが可能である。
【0047】
凝集剤は水溶性の塩のうち、一価の水溶性酸性塩がより望ましい。一価の水溶性中性塩でも製造は可能だが、一価の水溶性酸性塩を適量用いると、粒度分布が均一になる傾向にある。一価の水溶性酸性塩は、50gをイオン交換水で1Lにした溶液のpHが、好ましくは1.0から6.5の酸性を示す。50gをイオン交換水で1Lにした溶液のpHが7.0以上だと、凝集剤としてスラリーに添加した場合、製造は可能であるが、pHを下げたほうが凝集後の融着がより容易である。1未満だと、製造は可能であるが、比較的凝集挙動が大きいため、スラリーの増粘が起きやすく、均一な攪拌が困難になったり、粒度分布を制御するため、凝集剤添加後にpH調整が必要であり、粒子径が不均一な粒子が生成したり、工程が複雑になる傾向がある。
【0048】
この分散液を例えばバインダー樹脂のガラス転移点に対して+5〜+80℃位の温度に加温することができる。実施形態によれば、凝集後の処理温度、処理時間及び攪拌装置の回転数を調整することにより、得られる融着粒子の大きさや円形度を制御することができる。
【0049】
凝集粒子は、好ましくは1〜15μmの体積平均粒子径を有する。
【0050】
凝集粒子は、好ましくは0.8〜1.0の円形度を有する。
【0051】
凝集粒子を形成した後、この分散液を例えば5℃ないしガラス転移点以下まで冷却し、その後、例えばフィルタープレス等を用いて洗浄し(Act8)、乾燥する(Act9)ことにより、トナー粒子が得られる。
【0052】
バインダー樹脂としては、定着性や透明性に優れたポリエステル樹脂が使用できるが、他の樹脂を併用することもできる。例えばポリスチレン、スチレン・ブタジエン共重合体、スチレン・アクリル共重合体などのスチレン系樹脂、ポリエチレン、ポリエチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン・ノルボルネン共重合体、ポリエチレン・ビニルアルコール共重合体などのエチレン系樹脂、アクリル系樹脂、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、アリルフタレート系樹脂、ポリアミド系樹脂、及びマレイン酸系樹脂が挙げられる。これら樹脂は、2種以上を併用してもよい。
【0053】
バインダー樹脂は、好ましくは1以上の酸価を有する。
【0054】
着色剤としては、カーボンブラックや有機もしくは無機の顔料や染料などがあげられる。例えばカーボンブラックでは、アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、チャネルブラック、ケッチェンブラックなどが挙げられる。また、イエロー顔料の例としては、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、65、73、74、81、83、93、95、97、98、109、117、120、137、138、139、147、151、154、167、173、180、181、183、185、C.I.バットイエロー1、3、20などが挙げられる。これらを単独で、あるいは混合して使用することもできる。また、マゼンタ顔料の例としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48、49、50、51、52、53、54、55、57、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、146、150、163、184、185、202、206、207、209、238、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35がなど挙げられる。これらを単独で、あるいは混合して使用することもできる。また、シアン顔料の例としては、C.I.ピグメントブルー2、3、15、16、17、C.I.バットブルー6、C.I.アシッドブルー45などが挙げられる。これらを単独で、あるいは混合して使用することもできる。
【0055】
粗く粒状化されたバインダー樹脂中には、ワックス、及び帯電制御剤のうち少なくとも1つをさらに添加することができる。
【0056】
ワックスとして、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合物、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックス、酸化ポリエチレンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、または、それらのブロック共重合体、キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろう、ライスワックスの如き植物系ワックス、みつろう、ラノリン、鯨ろうの如き動物系ワックス、オゾケライト、セレシン、ぺトロラタムの如き鉱物系ワックス、モンタン酸エステルワックス、カスターワックスの如き脂肪酸エステルを主成分とするワックス類、脱酸カルナバワックスの如き脂肪酸エステルを一部または全部を脱酸化したものなどがあげられる。さらに、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、あるいは更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルカルボン酸類の如き飽和直鎖脂肪酸、ブラシジン酸、エレオステアリン酸、パリナリン酸の如き不飽和脂肪酸、ステアリルアルコール、エイコシルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール、あるいは更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルアルコールの如き飽和アルコール、ソルビトールの如き多価アルコール、リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドの如き脂肪酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドの如き飽和脂肪酸ビスアミド、エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N′−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N′−ジオレイルセバシン酸アミドの如き不飽和脂肪酸アミド類、m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N′−ジステアリルイソフタル酸アミドの如き芳香族系ビスアミド、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムの如き脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの)、脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸の如きビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス、ベヘニン酸モノグリセリドの如き脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物、植物性油脂を水素添加することによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物が挙げられる。
【0057】
また、摩擦帯電電荷量を制御するための帯電制御剤としては、例えば含金属アゾ化合物が用いられ、金属元素が鉄、コバルト、クロムの錯体、錯塩、あるいはその混合物が望ましい。その他、含金属サリチル酸誘導体化合物も使用可能であり、金属元素がジルコニウム、亜鉛、クロム、ボロンの錯体、錯塩、あるいはその混合物が望ましい。
【0058】
使用可能なpH調整剤としては、アミン化合物を使用することが望ましい。アミン化合物として、例えば、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジプロピルアミン、ブチルアミン,イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、イソプロパノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン、N,N−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N−ジエチル−1,3−ジアミノプロパンなどが挙げられる。
【0059】
使用可能な界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン性界面活性剤、アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン性界面活性剤、ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、及び多価アルコール系等の非イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0060】
機械的せん断装置としては、例えば、NANO3000(株式会社美粒)などの高圧ホモジナイザー、ウルトラタラックス(IKAジャパン社製)、TKオートホモミクサー(プライミックス社製)、TKパイプラインホモミクサー(プライミックス社製)、TKフィルミックス(プライミックス社製)、クレアミックス(エム・テクニック社製)、クレアSS5(エム・テクニック社製)、キャビトロン(ユーロテック社製)、ファインフローミル(太平洋機工社製)のようなメディアレス撹拌機、ビスコミル(アイメックス製)、アペックスミル(寿工業社製)、スターミル(アシザワ、ファインテック社製)、DCPスーパーフロー(日本アイリッヒ社製)、エムピーミル(井上製作所社製)、スパイクミル(井上製作所社製)、マイティーミル(井上製作所社製)、SCミル(三井鉱山社製)などのメディア攪拌機等が挙げられる。
【0061】
図2に、実施形態に使用可能な高圧式ホモジナイザー構成の一例を表す概略図を示す。
【0062】
図示するように、高圧ホモジナイザー10は、ホッパータンク1、送液ポンプ2、高圧ポンプ3、高圧ポンプ3の上流側及び下流側にそれぞれ設けられた逆止弁12,13、加熱部4、微粒化部5、減圧部6、冷却部7、及び減圧部8を順に配置した構成と、各部を接続する配管とを含む。
【0063】
ホッパータンク1は、分散液を投入するタンクである。装置稼動時は、装置内に空気を送り込まないよう常に液を満たしておく必要が有る。処理液の粒子径が大きく、沈降性があるものの場合は、さらに攪拌機を設けることができる。
【0064】
送液ポンプ2は、高圧ポンプ3に分散液を連続的に送るために設置する。また、高圧ポンプ3の上流側及び下流側に各々設けられた逆止弁12,13での詰まりを回避するためにも有効である。この送液ポンプ2としては、例えばダイアフラムポンプ、チュービングポンプ、ギアポンプ等が使用できる。
【0065】
高圧ポンプ3は、プランジャー式ポンプであり、図示しない処理液入口及び処理液出口に逆止弁を有する。プランジャーの数は生産規模に応じ、1から10個使用される。脈流を極力減らすために、2個以上あることが望ましい。
【0066】
加熱部4は、オイルバス等の加熱器具内に熱交換面積を多くとるためにらせん状に形成された高圧配管9が設置されている。この加熱部4は、分散液の流れる方向に対し、高圧ポンプ3の上流側または下流側のどちらでも問題が無いが、少なくとも微粒化部5の上流側である必要がある。高圧ポンプ3の上流側に加熱部4を設置する場合は、ホッパー1に加熱装置を付与しても良いが、高温下での滞留時間が長いため、バインダー樹脂の加水分解が起こり易くなる。
【0067】
微粒化部5には、強力なせん断をかけるための微小な径を有するノズルが含まれている。ノズルの径及び形状は様々あるが、ノズル径は0.05mmから0.5mmが望ましく、形状は、通過型ノズル、または衝突型ノズルが望ましい。また、このノズルは多段で構成しても良く、多段にする場合は異なるノズル径を複数並べても良い。複数並べる方法は並列でも直列でも良い。ノズルの材質は高圧に耐えることが可能なダイヤモンド等が使用される。
【0068】
冷却部7には、冷水が連続的に流されるバス内に熱交換面積を多くとるためにらせん状に形成された配管11が設置されている。
【0069】
必要に応じ、上記冷却部7の前後に減圧部6,8を設けることができる。減圧部の構成としては、微粒化部5のノズル径より、大きくかつ接続配管径より小さい流路を有するセル、または2方向バルブを1つ以上配置する。
【0070】
この高圧型湿式微粒化機による処理は以下のように行う。
【0071】
まず、処理液をホッパーに投入し、微粒化処理を行う。
【0072】
処理液は、バインダー樹脂のガラス転移温度Tg以上に加熱される。加熱を行う理由は、バインダー樹脂を溶融させる目的がある。
【0073】
この加熱温度は、バインダー樹脂の溶融特性により異なる。融け易い樹脂は低い温度でも問題無いが、溶け難い樹脂は高い温度が必要となる。また、連続的に熱交換器を通過させ加熱する方法の場合、分散液の流速及び熱交換の配管の長さにも影響する。流速が速い場合や配管が短い場合は高い温度が必要で、逆に流速が遅い場合や配管が長い場合は充分に分散液が加熱されるため、低い温度で処理が可能となる。流量が300から400cc/min、熱交換配管が3/8インチ・12mの高圧配管、バインダー樹脂のTgが60℃、トナーの軟化点Tmが130℃の場合、加熱温度は、100℃から200℃で良い。加熱温度は、好ましくは、ガラス転移温度TgないしTg+150℃の範囲である。加熱温度が高すぎると、バインダー樹脂の加水分解する傾向がある。加熱温度がTgないしTg+150℃程度であれば、定着性が悪化するような問題がない。
【0074】
トナーの軟化点測定は、島津製作所製フローテスターCFT−500の昇温法により行い、フローチャートよりプランジャー降下量の2mmに相当する曲線上の点を軟化点とする。
【0075】
次に、この加熱された分散液を10MPa以上の圧力をかけながらせん断を与える。この時、せん断を与えるのはノズルである。10MPa以上の高圧をかけながら、ノズルを通過することにより、溶融したトナー成分が微粒化される。この時の圧力は10MPaから300MPaあると良い。
【0076】
最後にTg以下まで冷却する。この冷却により、溶融した微粒子が固化される。処理液が急速に冷却されるため、冷却による凝集や合一が起こり難くなる。
【0077】
必要に応じ、上記冷却部の前後に背圧を付与したり、減圧を行っても良い。背圧または減圧とは、ノズル通過後にすぐに大気圧開放するのではなく、1段階(背圧)または、多段階(減圧)で大気圧付近に戻すことを意味する。背圧部または減圧部通過後の圧力は0.1MPa〜10MPa、望ましくは0.1〜5MPaである。この減圧部は径の異なるセル又はバルブを複数個並べるとさらに良い。多段階で減圧することにより粗粒子が少なく粒度分布がシャープな微粒子を得ることができる。
【0078】
この高圧型湿式微粒化機の洗浄には例えばアルカリ性の洗浄液を使用することができる。配管内の汚れが落ち易くなり、次の処理液でのコンタミを最小限に抑えることができる。
【0079】
以上により2μm以下の微粒子を得ることが可能となる。
【0080】
これらの微粒化機には微粒化部の上流部に200℃程度まで加熱可能な熱交換装置が設けられる。また、微粒化部の下流部には樹脂のTg以下までの冷却可能な熱交換装置が設けられる。これによりミクロン〜サブミクロンオーダーの粒子を得ることができる。
【0081】
実施形態においては、機械的せん断装置を用いて少なくとも樹脂と顔料を含む混合品、もしくは、混練品を加熱しながら微粒化するが、微粒化後は一旦所望の温度まで冷却しても良いし、凝集を行う所望の温度に設定しても良い。
【0082】
実施形態においては、粗く粒状化されたトナー材料を調製するために、バインダー樹脂と着色剤を含む混合物を混練することができる。
【0083】
使用する混練機は、溶融混練が可能であれば特に限定されないが、例えば1軸押出機、2軸押出機、加圧型ニーダー、バンバリーミキサー、ブラベンダーミキサー等が挙げられる。具体的には、FCM(神戸製鋼所社製)、NCM(神戸製鋼所社製)、LCM(神戸製鋼所社製)、ACM(神戸製鋼所社製)、KTX(神戸製鋼所社製)、GT(池貝社製)、PCM(池貝社製)、TEX(日本製鋼所社製)、TEM(東芝機械社製)、ZSK(ワーナー社製)、及びニーデックス(三井鉱山社製)などが挙げられる。
【0084】
実施形態においては、微粒子を凝集させる場合に、水溶性の塩のうち、一価の酸性塩を使用することができる。一価の酸性塩として例えば、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、スルホン酸アンモニウム、モノ硫酸エステルアンモニウム、硝酸アンモニウム等のアンモニアの塩、硫酸水素アンモニウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウム、第一燐酸アンモニウム等の酸水素塩、ジメチルアミノエタノール塩酸塩、ジメチルアミノエタノール硫酸塩、ジエチルアミノエタノール塩酸塩、エチルアミン塩酸塩、ジエチルアミン塩酸塩、トリエチルアミン塩酸塩等のアミン酸塩などが挙げられる。
【0085】
実施形態においては、トナー粒子に対して流動性や帯電性を調整するために、トナー粒子表面に、トナー全重量に対し、0.01〜20重量%の無機微粒子を添加混合してもよい。このような無機微粒子としてはシリカ、チタニア、アルミナ、及びチタン酸ストロンチウム、酸化錫等を単独であるいは2種以上混合して使用することができる。
【0086】
無機微粒子は疎水化剤で表面処理されたものを使用することが環境安定性向上の観点から好ましい。また、このような無機酸化物以外に1μm以下の樹脂微粒子をクリーニング性向上のために外添してもよい。
【0087】
無機微粒子等の混合機としては、例えば、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)、スーパーミキサー(カワタ社製)、リボコーン(大川原製作所社製)、ナウターミキサー(ホソカワミクロン社製)、タービュライザー(ホソカワミクロン社製)、サイクロミキサー(ホソカワミクロン社製)、スパイラルピンミキサー(太平洋機工社製)、レーディゲミキサー(マツボー社製)が挙げられる。
【0088】
実施形態においては、更に粗粒などをふるい分けしてもよい。篩に用いられる篩い装置としては、ウルトラソニック(晃栄産業社製)、ジャイロシフター(徳寿工作所社)、バイブラソニックシステム(ダルトン社製)、ソニクリーン(新東工業社製)、ターボスクリーナー(ターボ工業社製)、ミクロシフター(槙野産業社製)、円形振動篩い等が挙げられる。
【0089】
このような構成をとることにより、シャープな粒度分布が得られた。さらに、離型剤のブリードが抑えられた。その結果、対汚染性の向上が可能となり、所望の帯電特性、耐フィルミング性を有する電子写真用トナーを得ることができるため、良好な画像を提供することができる。
【0090】
次に下記に実施例を示し、実施形態の説明をする。
【0091】
実施例1
粒状化されたトナー材料の製造
下記組成のトナー材料微粒子材料を混合後、120℃に温度設定した2軸混練機にて処理することにより、混練物を得た。混練物をハンマーミルにて粉砕し、粗く粒状化されたトナー材料を得た。
【0092】
トナー材料組成
ポリエステル樹脂、分子量5000 78重量部、
ポリエステル樹脂、分子量40000 12重量部、
シアン顔料、ピグメントブルー2 5重量部、
エステルワックス 5重量部、
粗く粒状化されたトナー材料40重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.4重量部、アミン化合物1重量部、イオン交換水58.6重量部をNANO3000に投入し、サンプル温度を150℃に加熱し、パス回数1回にて微粒化物を得た。処理終了後、30℃まで冷却し、体積平均粒径350nmのトナー材料微粒子が得られた。
【0093】
なお、体積平均粒径はコールターカウンター(ベックマンコールター社製)を用いて計測した。
【0094】
また、ここでいう分子量の値は、Waters社製のGPCであるWaters2695により測定された重量平均分子量である。
【0095】
バインダー樹脂微粒子の製造
下記組成のバインダー樹脂微粒子材料を混合後、120℃に温度設定した2軸混練機にて処理することにより、混練物を得た。混練物をハンマーミルにて粉砕し、粗く粒状化されたバインダー樹脂を得た。
【0096】
バインダー樹脂微粒子組成
ポリエステル樹脂、分子量6000 98重量部、
帯電制御剤、サリチル酸系化合物 2重量部
バインダー樹脂微粒子の製造
粗く粒状化されたバインダー樹脂 40重量部
ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム 0.4重量部
アミン化合物 1重量部
イオン交換水 58.6重量部
を、NANO3000に投入し、サンプル温度を150℃に加熱し、パス回数を1回にて微粒化物を得た。処理終了後、30℃まで冷却し、体積平均粒径100nmの樹脂微粒子が得られた。
【0097】
凝集粒子の製造
30℃で攪拌しながら、
トナー材料微粒子 5重量部
1N塩酸 0.2重量部
イオン交換水 94.8重量部
を混合後、ジメチルアミノエタノールを添加してpHを6に調整し、50℃まで加熱を行い、体積平均粒径4.9μmの凝集粒子が得られた。
【0098】
カプセル粒子の製造
50℃で攪拌しながら、
凝集粒子 78重量部
樹脂微粒子 14重量部を混合後、
15%塩化アンモニウム水溶液 8重量部を添加し、93℃まで加熱を行い、体積平均粒径5.2μmのカプセル粒子が得られた。
【0099】
カプセル粒子を遠心分離機にて洗浄水の導電率が50μS/cmとなるまで洗浄し、真空乾燥機にて含水率が0.3重量%になるまで乾燥させて、トナー粒子を得た。
【0100】
乾燥後、疎水性シリカ2重量部、酸化チタン0.5重量部を着色粒子表面に付着させ、トナーを得ることができた。トナーの体積平均粒径をコールターカウンター(ベックマンコールター社製)にて測定した結果、平均粒径は5.2μmであり、FPIA(シスメックス社製)により円形度を測定した結果、0.98であった。
【0101】
カプセルトナー5重量部をキャリア95重量部と混合し現像剤を得た。
【0102】
この現像剤を評価用複写機に投入し、定着評価を実施した。定着器温度を意図的に変更し、良好な画像を得ることができる定着器の温度範囲を測定した結果、良好な画像を得ることができる温度領域(非オフセット領域と呼ぶ)が70℃であることが分った。
【0103】
非オフセット領域は広いほど定着器温度のドリフトに対応できるため望ましく、50℃以上あれば実用上問題なく使用できる。40℃以下の場合、欠陥画像発生の確率が高くなり望ましくない。
【0104】
次に、現像剤を評価用に改造した複写機に投入し、印字率10%にて100K枚の通紙試験を実施した。通紙終了後の現像剤を採取し、キャリア表面を汚染した物質の量を測定した結果、キャリア汚染量は0.07重量部であった。
【0105】
100K枚の通紙にわたり、良好な画像を得るためにはキャリア汚染量は0.10重量部以下であることが望ましい。
【0106】
また、現像剤を30℃85%の高温高湿環境下に16時間放置し、吸引式ブローオフで測定した帯電量q/m(HH/LL(高温高湿))と、10℃20%の低温低湿環境下に16時間放置し、吸引式ブローオフにて測定した帯電量q/m(低温低湿)を用いて帯電安定性の評価を実施した。帯電安定性はq/m(高温高湿)をq/m(低温低湿)にて除して求めることができ、現像剤の値は0.82であった。帯電安定性は、値が0.70以上であれば環境雰囲気によらず良好な画像を得ることができる。
【0107】
フィルミングについては、デジタル複合機(e-STUDIO2330c :東芝製)に上記の各現像剤を使用し、印字率10%にて200K枚の通紙試験を実施した。通紙終了後の感光体ドラムを観察した結果、目視にて、フィルミングしていない場合を○、多少フィルミングが見られる場合を△、フィルミングしている場合を×とし、フィルミング性の評価を実施した結果、耐フィルミング性が○であり、良好なことがわかった。
【0108】
そして、透明性については、デジタル複合機(e-STUDIO2330c :東芝製)に上記の各現像剤を使用し、定着温度を130℃において、付着が2.0mg/cmになった5cm×5cmのべた画像をOHPに定着させ、この画像部分の透明性を目視により調べ、画像の濁りが全くない場合を○、多少濁りがある場合を△、濁りがある場合を×とし、透明性の評価を実施した結果、透明性が良好な画像を得ることができることがわかった。
【0109】
得られた結果を下記表1に示す。
【0110】
このような構成をとることにより、帯電性、定着性、耐フィルミング性、透明性を改善することができる。
【0111】
実施例2
トナー材料微粒子の製造
下記組成のトナー材料微粒子材料を混合後、120℃に温度設定した2軸混練機にて処理することにより、混練物を得た。混練物をハンマーミルにて粉砕し、粗く粒状化されたトナー材料を得た。
【0112】
トナー材料微粒子組成
ポリエステル樹脂、分子量5000 78重量部、
ポリエステル樹脂、分子量40000 12重量部、
シアン顔料、ピグメントブルー2 5重量部、
エステルワックス 5重量部、

粗く粒状化されたトナー材料40重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.4重量部、アミン化合物1重量部、イオン交換水58.6重量部をNANO3000に投入し、サンプル温度を150℃に加熱し、パス回数1回にて微粒化物を得た。処理終了後、30℃まで冷却し、体積平均粒径350nmのトナー材料微粒子が得られた。
【0113】
なお、体積平均粒径はコールターカウンター(ベックマンコールター社製)を用いて計測した。
【0114】
また、ここでいう分子量の値は、Waters社製のGPCであるWaters2695により測定された重量平均分子量である。
【0115】
樹脂微粒子の製造
下記組成の樹脂微粒子材料を混合後、120℃に温度設定した2軸混練機にて処理することにより、混練物を得た。混練物をハンマーミルにて粉砕し、粗く粒状化されたバインダー樹脂を得た。
【0116】
樹脂微粒子組成
ポリエステル樹脂、分子量6000 98重量部、
帯電制御剤、サリチル酸系化合物 2重量部
樹脂微粒子の製造
粗く粒状化されたバインダー樹脂40重量部、ジ−2−ラウリルスルホコハク酸ナトリウム0.4重量部、アミン化合物1重量部、イオン交換水58.6重量部をNANO3000に投入し、サンプル温度を150℃に加熱し、パス回数を1回にて微粒化物を得た。処理終了後、30℃まで冷却し、体積平均粒径100nmの樹脂微粒子が得られた。
【0117】
凝集粒子の製造
30℃で攪拌しながら、トナー材料微粒子5重量部、1N塩酸0.2重量部、イオン交換水94.8重量部を混合後、ジメチルアミノエタノールを添加してpHを6に調整し、50℃まで加熱を行い、体積平均粒径4.9μmの凝集体が得られた。
【0118】
カプセル粒子の製造
50℃で攪拌しながら、凝集粒子78重量部、樹脂微粒子14重量部を混合後、15%塩化アンモニウム水溶液8重量部を添加し、93℃まで加熱を行い、体積平均粒径5.2μmのカプセル粒子が得られた。
【0119】
カプセル粒子を遠心分離機にて洗浄水の導電率が50μS/cmとなるまで洗浄し、真空乾燥機にて含水率が0.3重量%になるまで乾燥させて、トナー粒子を得た。
【0120】
乾燥後、疎水性シリカ2重量部、酸化チタン0.5重量部を着色粒子表面に付着させ、トナーを得ることができた。トナーの体積平均粒径をコールターカウンター(ベックマンコールター社製)にて測定した結果、平均粒径は5.2μmであり、FPIA(シスメックス社製)により円形度を測定した結果、0.98であった。
【0121】
カプセルトナー5重量部をキャリア95重量部と混合し現像剤を得た。この現像剤を評価用複写機に投入し、定着評価を実施した。定着器温度を意図的に変更し、良好な画像を得ることができる定着器の温度範囲を測定した結果、良好な画像を得ることができる温度領域(非オフセット温度領域と呼ぶ)が70℃であることが分った。
【0122】
次に、現像剤を評価用に改造した複写機に投入し、実施例1と同様にしてキャリア表面を汚染した物質の量を測定した結果、キャリア汚染量は0.07重量部であった。
【0123】
また、実施例1と同様にして帯電安定性の評価を実施したところ、この現像剤の値は0.82であった。
【0124】
実施例1と同様にしてフィルミング性の評価を実施した結果、耐フィルミング性が○であり、良好なことがわかった。
【0125】
そして、実施例1と同様にして透明性について調べた結果、透明性が○であり、良好な画像を得ることができることがわかった。
【0126】
得られた結果を下記表1に示す
このような構成をとることにより、帯電性、定着性、耐フィルミング性、透明性を改善することができる。
【0127】
実施例3
トナー材料微粒子の製造
下記組成のトナー材料微粒子材料を混合後、120℃に温度設定した2軸混練機にて処理することにより、混練物を得た。混練物をハンマーミルにて粉砕し、粗く粒状化されたトナー材料を得た。
【0128】
トナー材料微粒子組成
ポリエステル樹脂、分子量5000 78重量部、
ポリエステル樹脂、分子量40000 12重量部、
シアン顔料、ピグメントブルー2 5重量部、
エステルワックス 5重量部、
粗く粒状化されたトナー材料40重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.4重量部、アミン化合物1重量部、イオン交換水58.6重量部をNANO3000に投入し、サンプル温度を150℃に加熱し、パス回数1回にて微粒化物を得た。処理終了後、30℃まで冷却し、体積平均粒径350nmのトナー材料微粒子が得られた。
【0129】
なお、体積平均粒径はコールターカウンター(ベックマンコールター社製)を用いて計測した。
【0130】
また、ここでいう分子量の値は、Waters社製のGPCであるWaters2695により測定された重量平均分子量である。
【0131】
バインダー樹脂微粒子の製造
下記組成のバインダー樹脂微粒子材料を混合後、120℃に温度設定した2軸混練機にて処理することにより、混練物を得た。混練物をハンマーミルにて粉砕し、粗く粒状化されたバインダー樹脂を得た。
【0132】
バインダー樹脂微粒子組成
ポリエステル樹脂、分子量6000 98重量部、
帯電制御剤、サリチル酸系化合物 2重量部
バインダー樹脂微粒子の製造
粗く粒状化されたバインダー樹脂40重量部、ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム0.4重量部、アミン化合物1重量部、イオン交換水58.6重量部をNANO3000に投入し、サンプル温度を150℃に加熱し、パス回数を1回にて微粒化物を得た。処理終了後、30℃まで冷却し、体積平均粒径100nmの樹脂微粒子が得られた。
【0133】
凝集粒子の製造
30℃で攪拌しながら、トナー材料微粒子5重量部、1N塩酸0.2重量部、イオン交換水94.8重量部を混合後、ジメチルアミノエタノールを添加してpHを6に調整し、50℃まで加熱を行い、体積平均粒径4.9μmの凝集体が得られた。
【0134】
カプセル粒子の製造
50℃で攪拌しながら、凝集粒子78重量部、バインダー樹脂微粒子14重量部を混合後、18%硫酸アンモニウム水溶液8重量部を添加し、93℃まで加熱を行い、体積平均粒径5.0μmのカプセル粒子が得られた。
【0135】
カプセル粒子を遠心分離機にて洗浄水の導電率が50μS/cmとなるまで洗浄し、真空乾燥機にて含水率が0.3重量%になるまで乾燥させて、トナー粒子を得た。
【0136】
乾燥後、疎水性シリカ2重量部、酸化チタン0.5重量部を着色粒子表面に付着させ、トナーを得ることができた。トナーの体積平均粒径をコールターカウンター(ベックマンコールター社製)にて測定した結果、平均粒径は5.2μmであり、FPIA(シスメックス社製)により円形度を測定した結果、0.98であった。
【0137】
実施形態のカプセルトナー5重量部をキャリア95重量部と混合し現像剤を得た。この現像剤を評価用複写機に投入し、定着評価を実施した。定着器温度を意図的に変更し、良好な画像を得ることができる定着器の温度範囲を測定した結果、良好な画像を得ることができる温度領域(非オフセット温度領域と呼ぶ)が70℃であることが分った。
【0138】
次に、現像剤を評価用に改造した複写機に投入し、印字率10%にて100K枚の通紙試験を実施した。通紙終了後の現像剤を採取し、キャリア表面を汚染した物質の量を測定した結果、キャリア汚染量は0.06重量部であった。
【0139】
また、実施例1と同様にして帯電安定性の評価を実施した。帯電安定性の値は0.80であった。
【0140】
実施例1と同様にしてフィルミングについて観察した結果、透明性は○であり、良好な画像を得ることができることがわかった。
【0141】
得られた結果を下記表1に示す
このような構成をとることにより、帯電性、定着性、耐フィルミング性、透明性を改善することができる。
【0142】
実施例4
トナー材料微粒子の製造
下記組成のトナー材料微粒子材料を混合後、120℃に温度設定した2軸混練機にて処理することにより、混練物を得た。混練物をハンマーミルにて粉砕し、粗く粒状化されたトナー材料を得た。
【0143】
トナー材料微粒子組成
ポリエステル樹脂、分子量5000 78重量部、
ポリエステル樹脂、分子量40000 12重量部、
シアン顔料、ピグメントブルー2 5重量部、
エステルワックス 5重量部、

粗く粒状化されたトナー材料40重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.4重量部、アミン化合物1重量部、イオン交換水58.6重量部をNANO3000に投入し、サンプル温度を150℃に加熱し、パス回数1回にて微粒化物を得た。処理終了後、30℃まで冷却し、体積平均粒径350nmのトナー材料微粒子が得られた。
【0144】
なお、体積平均粒径はコールターカウンター(ベックマンコールター社製)を用いて計測した。
【0145】
また、ここでいう分子量の値は、Waters社製のGPCであるWaters2695により測定された重量平均分子量である。
【0146】
バインダー樹脂微粒子の製造
下記組成のバインダー樹脂微粒子材料を混合後、120℃に温度設定した2軸混練機にて処理することにより、混練物を得た。混練物をハンマーミルにて粉砕し、粗く粒状化されたバインダー樹脂を得た。
【0147】
バインダー樹脂微粒子組成
ポリエステル樹脂、分子量6000 98重量部、
帯電制御剤、サリチル酸系化合物 2重量部
バインダー樹脂微粒子の製造
粗く粒状化されたバインダー樹脂40重量部、ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム0.4重量部、アミン化合物1重量部、イオン交換水58.6重量部をNANO3000に投入し、サンプル温度を150℃に加熱し、パス回数を1回にて微粒化物を得た。処理終了後、30℃まで冷却し、体積平均粒径100nmの樹脂微粒子が得られた。
【0148】
凝集粒子の製造
30℃で攪拌しながら、トナー材料微粒子5重量部、1N塩酸0.2重量部、イオン交換水94.8重量部を混合後、ジメチルアミノエタノールを添加してpHを6に調整し、50℃まで加熱を行い、体積平均粒径4.9μmの凝集体が得られた。
【0149】
カプセル粒子の製造
50℃で攪拌しながら、凝集粒子78重量部、バインダー樹脂微粒子14重量部を混合後、16%硝酸アンモニウム水溶液8重量部を添加し、93℃まで加熱を行い、体積平均粒径5.0μmのカプセル粒子が得られた。
【0150】
カプセル粒子を遠心分離機にて洗浄水の導電率が50μS/cmとなるまで洗浄し、真空乾燥機にて含水率が0.3重量%になるまで乾燥させて、トナー粒子を得た。
【0151】
乾燥後、疎水性シリカ2重量部、酸化チタン0.5重量部をトナー粒子表面に付着させ、トナーを得ることができた。トナーの体積平均粒径をコールターカウンター(ベックマンコールター社製)にて測定した結果、平均粒径は5.2μmであり、FPIA(シスメックス社製)により円形度を測定した結果、0.98であった。
【0152】
実施形態のカプセルトナー5重量部をキャリア95重量部と混合し現像剤を得た。
【0153】
実施例1と同様にして非オフセット温度領域を調べたところ、70℃であることが分った。
【0154】
実施例1と同様にキャリア汚染量を調べた結果、キャリア汚染量は0.07重量部であった。
【0155】
100K枚の通紙にわたり、良好な画像を得るためにはキャリア汚染量は0.10重量部以下であることが望ましい。
【0156】
また、実施例1と同様にして帯電安定性を調べたところ、現像剤の値は0.80であった。
【0157】
実施例1と同様にしてフィルミング性の評価を実施した結果、耐フィルミング性が○であり、良好なことがわかった。
【0158】
そして、実施例1と同様にして透明性の評価を実施した結果、透明性が○であり、良好な画像を得ることができることがわかった。
【0159】
得られた結果を下記表1に示す
このような構成をとることにより、帯電性、定着性、耐フィルミング性、透明性を改善することができる。
【0160】
比較例1
トナー材料微粒子の製造
下記組成のトナー材料微粒子材料を混合後、120℃に温度設定した2軸混練機にて処理することにより、混練物を得た。混練物をハンマーミルにて粉砕し、粗く粒状化されたトナー材料を得た。
【0161】
トナー材料微粒子組成
ポリエステル樹脂、分子量5000 78重量部、
ポリエステル樹脂、分子量40000 12重量部、
シアン顔料、ピグメントブルー2 5重量部、
エステルワックス 5重量部、
粗く粒状化されたトナー材料40重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.4重量部、アミン化合物1重量部、イオン交換水58.6重量部をNANO3000に投入し、サンプル温度を150℃に加熱し、パス回数1回にて微粒化物を得た。処理終了後、30℃まで冷却し、体積平均粒径350nmのトナー材料微粒子が得られた。
【0162】
なお、体積平均粒径はコールターカウンター(ベックマンコールター社製)を用いて計測した。
【0163】
また、ここでいう分子量の値は、Waters社製のGPCであるWaters2695により測定された重量平均分子量である。
【0164】
バインダー樹脂微粒子の製造
下記組成のバインダー樹脂微粒子材料を混合後、120℃に温度設定した2軸混練機にて処理することにより、混練物を得た。混練物をハンマーミルにて粉砕し、粗く粒状化されたバインダー樹脂を得た。
【0165】
バインダー樹脂微粒子組成
ポリエステル樹脂、分子量6000 98重量部
帯電制御剤、サリチル酸系化合物 2重量部
バインダー樹脂微粒子の製造
粗く粒状化されたバインダー樹脂40重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.4重量部、アミン化合物1重量部、イオン交換水58.6重量部をNANO3000に投入し、サンプル温度を150℃に加熱し、パス回数を1回にて微粒化物を得た。処理終了後、30℃まで冷却し、体積平均粒径100nmの樹脂微粒子が得られた。
【0166】
凝集粒子の製造
30℃で攪拌しながら、トナー材料微粒子5重量部、1N塩酸0.2重量部、イオン交換水94.8重量部を混合後、ジメチルアミノエタノールを添加してpHを6に調整し、50℃まで加熱を行い、体積平均粒径4.9μmの凝集体が得られた。
【0167】
カプセル粒子の製造
50℃で攪拌しながら、凝集粒子78重量部、樹脂微粒子14重量部を混合後、15%塩化アンモニウム水溶液8重量部を添加し、93℃まで加熱を行い、体積平均粒径4.9μmの不完全なカプセル粒子が得られた。
【0168】
カプセル粒子を遠心分離機にて洗浄水の導電率が50μS/cmとなるまで洗浄し、真空乾燥機にて含水率が0.3重量%になるまで乾燥させて、トナー粒子を得た。
【0169】
乾燥後、疎水性シリカ2重量部、酸化チタン0.5重量部を着色粒子表面に付着させ、トナーを得ることができた。トナーの体積平均粒径をコールターカウンター(ベックマンコールター社製)にて測定した結果、平均粒径は5.2μmであり、FPIA(シスメックス社製)により円形度を測定した結果、0.88であった。
【0170】
非オフセット温度領域を測定した結果、温度領域が38℃で、良好な画像が得られないことが分った。
【0171】
次に、現像剤を評価用に改造した複写機に投入し、印字率10%にて100K枚の通紙試験を実施した。通紙終了後の現像剤を採取し、キャリア表面を汚染した物質の量を測定した結果、キャリア汚染量は0.25重量部であった。
【0172】
100K枚の通紙にわたり、良好な画像を得るためにはキャリア汚染量は0.10重量部以下であることが望ましい。
【0173】
また、実施例1と同様にして帯電安定性の評価を実施したところ、現像剤の値は0.64であった。
【0174】
実施例1と同様にしてフィルミング性の評価を実施した結果、耐フィルミング性が×であり、不良であることがわかった。
【0175】
そして、実施例1と同様にして透明性の評価を実施した結果、透明性が×であり、不良であることがわかった。
【0176】
得られた結果を下記表1に示す
スルホコハク酸系界面活性剤を含まないことにより、帯電性、定着性、耐フィルミング性、透明性に対して十分な性能が得られないことがわかった。
【0177】
実施例5
トナー材料微粒子の製造
下記組成のトナー材料微粒子材料を混合後、120℃に温度設定した2軸混練機にて処理することにより、混練物を得た。混練物をハンマーミルにて粉砕し、粗く粒状化されたトナー材料を得た。
【0178】
トナー材料微粒子組成
ポリエステル樹脂、分子量5000 78重量部、
ポリエステル樹脂、分子量40000 12重量部、
シアン顔料、ピグメントブルー2 5重量部、
エステルワックス 5重量部、
粗く粒状化されたトナー材料40重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.4重量部、アミン化合物1重量部、イオン交換水58.6重量部をNANO3000に投入し、サンプル温度を150℃に加熱し、パス回数1回にて微粒化物を得た。処理終了後、30℃まで冷却し、体積平均粒径350nmのトナー材料微粒子が得られた。
【0179】
なお、体積平均粒径はコールターカウンター(ベックマンコールター社製)を用いて計測した。
【0180】
また、ここでいう分子量の値は、Waters社製のGPCであるWaters2695により測定された重量平均分子量である。
【0181】
樹脂微粒子の製造
下記組成の樹脂微粒子材料を混合後、120℃に温度設定した2軸混練機にて処理することにより、混練物を得た。混練物をハンマーミルにて粉砕し、粗く粒状化されたバインダー樹脂を得た。
【0182】
樹脂微粒子組成
ポリエステル樹脂、分子量6000 98重量部、
帯電制御剤、サリチル酸系化合物 2重量部
樹脂微粒子の製造
粗く粒状化されたバインダー樹脂40重量部、ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム0.4重量部、アミン化合物1重量部、イオン交換水58.6重量部をNANO3000に投入し、サンプル温度を150℃に加熱し、パス回数を1回にて微粒化物を得た。処理終了後、30℃まで冷却し、体積平均粒径100nmの樹脂微粒子が得られた。
【0183】
凝集粒子の製造
30℃で攪拌しながら、トナー材料微粒子5重量部、1N塩酸0.2重量部、イオン交換水94.8重量部を混合後、ジメチルアミノエタノールを添加してpHを6に調整し、50℃まで加熱を行い、体積平均粒径4.9μmの凝集体が得られた。
【0184】
カプセル粒子の製造
50℃で攪拌しながら、凝集粒子78重量部、樹脂微粒子14重量部を混合後、15%塩化ナトリウム水溶液8重量部を添加し、93℃まで加熱を行い、体積平均粒径4.9μmの不完全なカプセル粒子が得られた。
【0185】
カプセル粒子を遠心分離機にて洗浄水の導電率が50μS/cmとなるまで洗浄し、真空乾燥機にて含水率が0.3重量%になるまで乾燥させて、トナー粒子を得た。
【0186】
乾燥後、疎水性シリカ2重量部、酸化チタン0.5重量部を着色粒子表面に付着させ、トナーを得ることができた。トナーの体積平均粒径をコールターカウンター(ベックマンコールター社製)にて測定した結果、平均粒径は5.0μmであり、FPIA(シスメックス社製)により円形度を測定した結果、0.81であった。
【0187】
非オフセット温度領域を測定した結果、温度領域が40℃であった。
【0188】
実施例1と同様にしてキャリア表面を汚染した物質の量を測定した結果、キャリア汚染量は0.12重量部であった。
【0189】
実施例1と同様にして帯電安定性の評価を実施したところ、現像剤の値は0.68であった。
【0190】
実施例1と同様にしてフィルミング性の評価を実施した結果、耐フィルミング性が△であることがわかった。
【0191】
そして、実施例1と同様にして透明性の評価を実施した結果、透明性が△であることがわかった。
【0192】
得られた結果を下記表1に示す
凝集剤が中性塩(NaCl)であることにより、帯電性、定着性、耐フィルミング性、透明性について、実施例1ないし4と比較してやや性能が劣ることがわかった。
【0193】
実施例6
トナー材料微粒子の製造
下記組成のトナー材料微粒子材料を混合後、120℃に温度設定した2軸混練機にて処理することにより、混練物を得た。混練物をハンマーミルにて粉砕し、粗く粒状化されたトナー材料を得た。
【0194】
トナー材料微粒子組成
ポリエステル樹脂、分子量5000 78重量部、
ポリエステル樹脂、分子量40000 12重量部、
シアン顔料、ピグメントブルー2 5重量部、
エステルワックス 5重量部、
粗く粒状化されたトナー材料40重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.4重量部、アミン化合物1重量部、イオン交換水58.6重量部をNANO3000に投入し、サンプル温度を150℃に加熱し、パス回数1回にて微粒化物を得た。処理終了後、30℃まで冷却し、体積平均粒径350nmのトナー材料微粒子が得られた。
【0195】
なお、体積平均粒径はコールターカウンター(ベックマンコールター社製)を用いて計測した。
【0196】
また、ここでいう分子量の値は、Waters社製のGPCであるWaters2695により測定された重量平均分子量である。
【0197】
バインダー樹脂微粒子の製造
下記組成の樹脂微粒子材料を混合後、120℃に温度設定した2軸混練機にて処理することにより、混練物を得た。混練物をハンマーミルにて粉砕し、粗く粒状化されたバインダー樹脂を得た。
【0198】
バインダー樹脂微粒子組成
ポリエステル樹脂、分子量6000 98重量部、
帯電制御剤、サリチル酸系化合物 2重量部
バインダー樹脂微粒子の製造
粗く粒状化されたバインダー樹脂40重量部、ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム0.4重量部、アミン化合物1重量部、イオン交換水58.6重量部をNANO3000に投入し、サンプル温度を150℃に加熱し、パス回数を1回にて微粒化物を得た。処理終了後、30℃まで冷却し、体積平均粒径100nmの樹脂微粒子が得られた。
【0199】
凝集粒子の製造
30℃で攪拌しながら、トナー材料微粒子5重量部、1N塩酸0.2重量部、イオン交換水94.8重量部を混合後、ジメチルアミノエタノールを添加してpHを6に調整し、50℃まで加熱を行い、体積平均粒径4.9μmの凝集体が得られた。
【0200】
カプセル粒子の製造
50℃で攪拌しながら、凝集粒子78重量部、樹脂微粒子14重量部を混合後、1%塩化アンムニウム溶液8重量部を添加し、93℃まで加熱を行い、体積平均粒径4.9μmの不完全なカプセル粒子が得られた。
【0201】
カプセル粒子を遠心分離機にて洗浄水の導電率が50μS/cmとなるまで洗浄し、真空乾燥機にて含水率が0.3重量%になるまで乾燥させて、トナー粒子を得た。
【0202】
乾燥後、疎水性シリカ2重量部、酸化チタン0.5重量部を着色粒子表面に付着させ、トナーを得ることができた。トナーの体積平均粒径をコールターカウンター(ベックマンコールター社製)にて測定した結果、平均粒径は4.9μmであり、FPIA(シスメックス社製)により円形度を測定した結果、0.80であった。
【0203】
実施形態のカプセルトナー5重量部をキャリア95重量部と混合し現像剤を得た。この現像剤を評価用複写機に投入し、定着評価を実施した。定着器温度を意図的に変更し、非オフセット温度領域を測定した結果、温度領域が43℃であった。
【0204】
実施例1と同様にして、キャリア表面を汚染した物質の量を測定した結果、キャリア汚染量は0.11重量部であった。
【0205】
帯電安定性は、現像剤の値は0.65であった。値が0.70以上であれば環境雰囲気によらず良好な画像を得ることができる。
【0206】
実施例1と同様にして、フィルミング性の評価を実施した結果、耐フィルミング性が△であることがわかった。
【0207】
実施例1と同様にして、透明性の評価を実施した結果、透明性が△であることがわかった。
【0208】
得られた結果を下記表1に示す
一価の酸性塩成分とシェル材中の樹脂成分の比が1:20より大きいことにより、帯電性、定着性、耐フィルミング性、透明性に対して、実施例1ないし4と比較してやや性能が劣ることがわかった。
【0209】
実施例7
トナー材料微粒子の製造
下記組成のトナー材料微粒子材料を混合後、120℃に温度設定した2軸混練機にて処理することにより、混練物を得た。混練物をハンマーミルにて粉砕し、粗く粒状化されたトナー材料を得た。
【0210】
トナー材料微粒子組成
ポリエステル樹脂、分子量5000 78重量部、
ポリエステル樹脂、分子量40000 12重量部、
シアン顔料、ピグメントブルー2 5重量部、
エステルワックス 5重量部、

粗く粒状化されたトナー材料40重量部、ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム0.4重量部、アミン化合物1重量部、イオン交換水58.6重量部をNANO3000に投入し、サンプル温度を150℃に加熱し、パス回数1回にて微粒化物を得た。処理終了後、30℃まで冷却し、体積平均粒径350nmのトナー材料微粒子が得られた。
【0211】
なお、体積平均粒径はコールターカウンター(ベックマンコールター社製)を用いて計測した。
【0212】
また、ここでいう分子量の値は、Waters社製のGPCであるWaters2695により測定された重量平均分子量である。
【0213】
バインダー樹脂微粒子の製造
下記組成の樹脂微粒子材料を混合後、120℃に温度設定した2軸混練機にて処理することにより、混練物を得た。混練物をハンマーミルにて粉砕し、粗く粒状化されたバインダー樹脂を得た。
【0214】
バインター樹脂微粒子組成
ポリエステル樹脂、分子量6000 98重量部、
帯電制御剤、サリチル酸系化合物 2重量部
樹脂微粒子の製造
粗く粒状化されたバインダー樹脂40重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.4重量部、アミン化合物1重量部、イオン交換水58.6重量部をNANO3000に投入し、サンプル温度を150℃に加熱し、パス回数を1回にて微粒化物を得た。処理終了後、30℃まで冷却し、体積平均粒径100nmの樹脂微粒子が得られた。
【0215】
凝集粒子の製造
30℃で攪拌しながら、トナー材料微粒子5重量部、1N塩酸0.2重量部、イオン交換水94.8重量部を混合後、ジメチルアミノエタノールを添加してpHを6に調整し、50℃まで加熱を行い、体積平均粒径4.9μmの凝集体が得られた。
【0216】
カプセル粒子の製造
50℃で攪拌しながら、凝集粒子78重量部、樹脂微粒子14重量部を混合後、塩化アンムニウム8重量部を添加し、93℃まで加熱を行い、体積平均粒径6.7μmの不完全なカプセル粒子が得られた。
【0217】
カプセル粒子を遠心分離機にて洗浄水の導電率が50μS/cmとなるまで洗浄し、真空乾燥機にて含水率が0.3重量%になるまで乾燥させて、トナー粒子を得た。
【0218】
乾燥後、疎水性シリカ2重量部、酸化チタン0.5重量部を着色粒子表面に付着させ、トナーを得ることができた。トナーの体積平均粒径をコールターカウンター(ベックマンコールター社製)にて測定した結果、平均粒径は6.7μmであり、FPIA(シスメックス社製)により円形度を測定した結果、0.71であった。
【0219】
実施形態のカプセルトナー5重量部をキャリア95重量部と混合し現像剤を得た。この現像剤を評価用複写機に投入し、定着評価を実施した。定着器温度を意図的に変更し、非オフセット温度領域を測定した結果、温度領域が44℃であった。
【0220】
次に、現像剤を評価用に改造した複写機に投入し、印字率10%にて100K枚の通紙試験を実施した。通紙終了後の現像剤を採取し、キャリア表面を汚染した物質の量を測定した結果、キャリア汚染量は0.14重量部であった。
【0221】
また、実施例1と同様にして帯電安定性の評価を実施した。帯電安定性は、現像剤の値は0.70であった。
【0222】
実施例1と同様にして、フィルミング性の評価を実施した結果、耐フィルミング性が△であることがわかった。
【0223】
そして、実施例1と同様にして透明性の評価を実施した結果、透明性が△であることがわかった。
【0224】
得られた結果を下記表1に示す
凝集剤が多く、一価の酸性塩成分とシェル材中の樹脂成分の比は1:1未満で、凝集剤に対するシェル中のスルホコハク酸系界面活性剤+コアのスラリーに含まれるドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが不足していることにより、帯電性、定着性、耐フィルミング性、透明性について、実施例1ないし4と比較して、十分な性能が得られないことがわかった。
【表1】

【符号の説明】
【0225】
3…高圧ポンプ、5…微粒化部、10…高圧ホモジナイザー、12,13…逆止弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒状化されたトナー材料、及び水系媒体を含む第1の水系分散液を調製する工程、
該分散液に機械的せん断を与えることにより該粒状化されたトナー材料を細かくして、該粒状化されたトナー材料の大きさよりも小さい大きさを持つトナー材料微粒子を得る工程、
該トナー材料微粒子を凝集させて、凝集粒子を形成する工程、
バインダー樹脂、スルホコハク酸系界面活性剤及び水系媒体を含む第2の水系分散液を調製する工程、
該第2の水系分散液に機械的せん断を与えることにより該バインダー樹脂を細かくして、該バインダー樹脂の大きさよりも小さい大きさを持つバインダー樹脂微粒子を得る工程、
前記凝集粒子、前記バインダー樹脂微粒子を水系媒体中で混合し、第3の水系分散液を形成する工程、及び
該凝集粒子をコア成分とし、該バインダー樹脂微粒子をシェル成分として、該コア成分表面上にシェル成分を凝集せしめることにより、カプセル化されたトナー粒子を形成する工程を具備することを特徴とする現像剤の製造方法。
【請求項2】
前記スルホコハク酸系界面活性剤は、スルホコハク酸ジオクチルNa、スルホコハク酸ジエチルへキシルNa、スルホコハク酸ジエチルへキシルNa、スルホコハク酸ジラウリルNa、ポリオキシエチレンアルキル(12〜14)スルホコハク酸二ナトリウム、及びスルホコハク酸ポリオキシエチレンラウロイルエタノールアミド二ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種のスルホコハク酸エステル塩である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記バインダー樹脂は、ポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記粒状化されたトナー材料は、さらに着色剤及び/離型剤またはを含有することを特徴とする請求項1なまたは2に記載の方法。
【請求項5】
前記粒状化されたトナ材料は、前記バインダー樹脂及び前記着色剤を含有する混合物を溶融混練して粗粉砕する工程により得られる請求項1ないし4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記機械的せん断は、高圧ホモジナイザーを用いて行われる請求項1ないし5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記トナー材料微粒子の凝集は、pH調整と加熱をさらに含む請求項1ないし6のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−282206(P2010−282206A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−127101(P2010−127101)
【出願日】平成22年6月2日(2010.6.2)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】