説明

現像剤供給装置

【課題】 現像剤の供給状態を適切にすることによって、良好な画像形成が行われるようにする。
【解決手段】 搬送基板(63)は、底部搬送基板(63a)と垂直搬送基板(63b)とを備えている。垂直搬送基板(63b)は、現像剤(T)を垂直上方に搬送するように立設されている。底部搬送基板(63a)は、現像剤(T)との摩擦により当該現像剤(T)を帯電させるとともに帯電した当該現像剤(T)を垂直搬送基板(63b)の下端部に向けて搬送するように当該下端部と接続されていて、現像剤貯留部(61a)の底面を構成するように設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電した粉末状の現像剤を、電界により現像剤搬送経路に沿って搬送しつつ、供給対象に対して供給するように構成された、現像剤供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置として、特開昭60−115962号公報、特開平11−84862号公報、特開2001−209246号公報、特開2002−287495号公報、等に開示されているものが知られている。かかる装置は、現像剤搬送方向に沿って配列された複数の搬送電極を備えていて、これら複数の搬送電極に対する駆動電圧の印加により発生する電界によって前記現像剤を搬送するように構成されている。
【発明の概要】
【0003】
この種の装置において、前記現像剤の供給状態が不良となると、形成画像の乱れ等の不具合が生じる。よって、この種の装置における前記現像剤の供給状態を適切にすることによって、良好な画像形成が行われるようになる。本発明は、かかる課題に対処するためになされたものである。
【0004】
<構成>
本発明の対象となる現像剤供給装置は、帯電した粉末状の現像剤を、電界(時間経過に応じて所定方向に進行する進行波状の電界)により現像剤搬送経路に沿って搬送しつつ、供給対象に対して供給するように構成されている。この現像剤供給装置は、ケーシングと、現像剤担持部材と、搬送基板を備えている。
【0005】
前記ケーシングは、箱状の部材であって、前記供給対象に向けて上方に開口する開口部を有し、底部の現像剤貯留部にて前記現像剤を貯留するように構成されている。
【0006】
前記現像剤担持部材は、円柱面状の周面を有するローラ状の部材であって、前記開口部に面するように前記ケーシングの内側に収容されつつ、前記供給対象と対向するように設けられている。
【0007】
前記搬送基板は、前記ケーシングの内壁面にて支持されている。この搬送基板は、前記現像剤搬送経路に沿って配列された複数の搬送電極を備えていて、これらの搬送電極への電圧印加に伴って発生する電界により、前記現像剤搬送経路に沿って前記現像剤を搬送するように構成されている。なお、前記搬送基板は、その表面に絶縁層を有することがあり得る。
【0008】
前記搬送基板は、上方搬送基板を備え得る。この上方搬送基板は、前記現像剤を前記現像剤担持部材に向けて上方(例えば垂直上方)に搬送するように設けられている。なお、この上方搬送基板は、平板状に構成され得る。
【0009】
前記搬送基板は、また、回収基板をさらに備え得る。この回収基板は、前記現像剤を前記現像剤貯留部に還流させるために下方に搬送するように、前記現像剤担持部材を挟んで前記上方搬送基板における前記上端部と対向して設けられている。
【0010】
本発明の特徴は、前記現像剤供給装置が、さらに、前記現像剤担持部材と前記搬送基板との間隔を調整する間隔調整手段を備えたことにある。具体的には、例えば、前記間隔調整手段は、前記上方搬送基板の前記現像剤担持部材と対向する上端部と前記現像剤担持部材との間隔を調整するように構成され得る。あるいは、前記間隔調整手段は、前記回収基板と前記現像剤担持部材との間隔を調整するように構成され得る。
【0011】
<作用・効果>
かかる構成においては、複数の前記搬送電極への電圧印加に伴って発生する(進行波状の)電界により、前記現像剤が、前記現像剤搬送経路に沿って搬送される。
【0012】
具体的には、前記現像剤は、前記上方搬送基板によって、前記現像剤貯留部から、当該上方搬送基板の前記上端部と前記現像剤担持部材とが対向する位置まで、上方に搬送される。この位置にて、前記上方搬送基板によって搬送されてきた前記現像剤は、前記現像剤担持部材の前記周面上に担持され得る。
【0013】
かかる上方への搬送及び前記現像剤担持部材の前記周面上での担持の際に、帯電状態が不良な前記現像剤は、上述の位置や前記現像剤搬送経路から逸脱して、下方に落下する。これにより、前記上方搬送基板にて、前記現像剤における、帯電状態が良好なものと不良なものとが、良好に選別される。
【0014】
一方、前記周面上に担持された前記現像剤は、前記現像剤担持部材と前記回収基板とが対向する位置にて、当該回収基板によって回収される。このようにして回収された前記現像剤は、当該回収基板の電界搬送作用等により、下方の前記現像剤貯留部に還流する。
【0015】
ここで、本発明の構成においては、前記間隔調整手段により、前記現像剤担持部材と前記搬送基板(前記上方搬送基板及び/又は前記回収基板)との間隔が、適宜調整される。具体的には、例えば、前記現像剤の帯電量に応じて前記間隔が調整され得る。あるいは、湿度に応じて前記間隔が調整され得る。あるいは、前記現像剤の新しさに応じて前記間隔が調整され得る。あるいは、現像剤搬送動作が行われないときに前記間隔が最大限狭くされ得る。
【0016】
すなわち、運転条件に応じて前記上方搬送基板と前記現像剤担持部材との間隔が調整されることで、前記上方搬送基板から前記現像剤担持部材への前記現像剤の供給特性(換言すれば前記現像剤担持部材の前記周面における前記現像剤の担持特性)が調整され得る。一方、運転状態に応じて前記回収基板と前記現像剤担持部材との間隔が調整されることで、前記回収基板による前記現像剤の回収特性が調整され得る。さらに、現像剤搬送動作が行われないときに前記間隔が最大限狭くされることで、当該現像剤供給装置からの前記現像剤の不用意な漏出が良好に抑制され得る。
【0017】
上述のように、本発明の現像剤供給装置によれば、前記現像剤が前記供給対象に対してより適切に供給されるようになり、以て、当該現像剤供給装置を備えた画像形成装置にて良好な画像形成が行われる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態が適用された画像形成装置としてのレーザープリンタの概略構成を示す側面図である。
【図2】図1に示されているトナー供給装置を拡大した側断面図である。
【図3】図2に示されている搬送基板を拡大した側断面図である。
【図4】図3に示されている各電源回路の出力波形の一例を示すグラフである。
【図5】図2に示されているトナー供給装置の動作の様子を示す側断面図である。
【図6】図2に示されているトナー供給装置の動作の様子を示す側断面図である。
【図7】図2に示されているトナー供給装置の一変形例の概略構成を示す側断面図である。
【図8】図2に示されているトナー供給装置の他の変形例の概略構成を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態(本願の出願時点において取り敢えず出願人が最良と考えている実施形態)について、図面を参照しつつ説明する。
【0020】
なお、以下の実施形態に関する記載は、法令で要求されている明細書の記載要件(記述要件・実施可能要件)を満たすために、本発明の具体化の単なる一例を、可能な範囲で具体的に記述しているものにすぎない。よって、後述するように、本発明が、以下に説明する実施形態の具体的構成に何ら限定されるものではないことは、全く当然である。本実施形態に対して施され得る各種の変更(modification)は、当該実施形態の説明中に挿入されると、一貫した実施形態の説明の理解が妨げられるので、末尾にまとめて記載されている。
【0021】
<レーザープリンタの構成>
図1は、本発明の一実施形態が適用された画像形成装置であるレーザープリンタ1の概略構成を示す側面図である。
【0022】
図1を参照すると、レーザープリンタ1は、用紙搬送機構2と、感光体ドラム3と、帯電器4と、スキャナーユニット5と、トナー供給装置6と、を備えている。
【0023】
レーザープリンタ1内に備えられた、図示しない給紙トレイには、シート状の用紙Pが積み重ねられた状態で収容されている。用紙搬送機構2は、用紙Pを所定の用紙搬送経路PPに沿って搬送し得るように構成されている。
【0024】
本発明の供給対象としての感光体ドラム3の周面には、静電潜像担持面LSが形成されている。静電潜像担持面LSは、主走査方向(図中z軸方向)と平行な円筒面として形成されている。この静電潜像担持面LSは、電位分布による静電潜像が形成されるとともに、当該静電潜像に対応した位置にて本発明の現像剤としてのトナーT(図2参照)を担持するように構成されている。
【0025】
感光体ドラム3は、前記主走査方向と平行な中心軸Cを中心として、図中矢印で示されている方向(図1における時計回り)に回転駆動され得るように構成されている。すなわち、静電潜像担持面LSが、前記主走査方向と直交する副走査方向に沿って移動し得るように、感光体ドラム3が構成されている。
【0026】
帯電器4は、静電潜像担持面LSと対向するように配置されている。この帯電器4は、コロトロン型あるいはスコロトロン型の帯電器であって、静電潜像担持面LSを一様に正帯電させ得るように構成されている。
【0027】
スキャナーユニット5は、画像データに基づいて変調されたレーザービームLBを生成するように構成されている。すなわち、スキャナーユニット5は、画素の有無によって発光のON/OFFが制御された、所定の波長帯域のレーザービームLBを生成するように構成されている。
【0028】
また、スキャナーユニット5は、生成されたレーザービームLBを、静電潜像担持面LSにおけるスキャン位置SPにて結像させる(露光する)ように構成されている。ここで、スキャン位置SPは、帯電器4よりも、感光体ドラム3の回転方向(図1における矢印で示されている方向:図中時計回り)における下流側の位置に設けられている。
【0029】
さらに、スキャナーユニット5は、静電潜像担持面LS上にてレーザービームLBが結像される位置を、前記主走査方向に沿って等速度にて移動させる(走査する)ことで、静電潜像担持面LS上に静電潜像を形成し得るように構成されている。
【0030】
本発明の現像剤供給装置としてのトナー供給装置6は、感光体ドラム3と対向するように、感光体ドラム3の下方に配置されている。トナー供給装置6は、現像位置DPにて、トナーを帯電した状態で静電潜像担持面LSに供給し得るように構成されている。ここで、現像位置DPとは、トナー供給装置6が静電潜像担持面LSと対向する位置である。このトナー供給装置6の詳細な構成については後述する。
【0031】
次に、レーザープリンタ1の各部の具体的な構成について、より詳細に説明する。
【0032】
用紙搬送機構2は、一対のレジストローラ21と、転写ローラ22と、を備えている。
【0033】
レジストローラ21は、用紙Pを所定のタイミングにて感光体ドラム3と転写ローラ22との間に向けて送り出し得るように構成されている。
【0034】
転写ローラ22は、感光体ドラム3の外周面である静電潜像担持面LSと、転写位置TPにて、用紙Pを挟んで対向するように配置されている。また、転写ローラ22は、図中矢印で示されている方向(反時計回り)に回転駆動され得るように構成されている。
【0035】
転写ローラ22は、図示しないバイアス電源回路に接続されている。すなわち、転写ローラ22と感光体ドラム3との間で、静電潜像担持面LS上に付着したトナー(現像剤)を用紙Pに転写させるための所定の転写バイアス電圧が印加されるようになっている。
【0036】
<<トナー供給装置>>
図2は、図1に示されているトナー供給装置6を拡大した側断面図である。図2を参照すると、トナー供給装置6は、帯電したトナーTを、電界によりトナー搬送経路TTPに沿って搬送しつつ、感光体ドラム3に対して供給するように構成されている。
【0037】
トナー供給装置6のケーシングをなすトナーボックス61は、側断面視にて長円状に形成された箱状部材であって、その長手方向が上下方向(図中y軸方向)と平行となるように配置されている。トナーボックス61の内部には、粉末状の乾式現像剤としてのトナーTが収容されている。なお、本実施形態においては、トナーTは、正帯電性、非磁性1成分の、黒色トナーである。
【0038】
トナーボックス61は、搬送側パネル61aと、回収側パネル61bと、半円筒部61cと、一対の側壁61dと、から構成されている。このトナーボックス61は、合成樹脂によって一体に形成されている。
【0039】
搬送側パネル61aは、主走査方向及び高さ方向と平行な平板状の部材であって、水平面に対して直交するように立設されている。回収側パネル61bは、搬送側パネル61aと平行な平板状の部材であって、水平面に対して直交するように立設されている。搬送側パネル61a及び回収側パネル61bは、それぞれの上端縁が主走査方向に平行で同じ高さになるように、互いに対向して設けられている。回収側パネル61bは、上部が搬送側パネル61aと同じ厚さで、下部が搬送側パネル61aよりも厚く形成されている。
【0040】
半円筒部61cは、主走査方向と平行な中心軸線を有する薄肉半円筒状の部材であって、搬送側パネル61a及び回収側パネル61bのそれぞれの下端縁と接続されている。この半円筒部61cは、搬送側パネル61aと同じ厚さで形成されている。すなわち、搬送側パネル61a、回収側パネル61b、及び半円筒部61cにより、側断面視にて略U字状の合成樹脂フレームが形成されている。一対の側壁61dは、互いに平行な平板状の部材であって、かかる略U字状の合成樹脂フレームの側方を塞ぐように設けられている。
【0041】
上述の構造により、トナーボックス61の内側の空間における底部の、略半円筒状の部分に、トナー貯留部61eが形成されている。また、トナーボックス61の頂部であって、感光体ドラム3と対向する位置に、開口部61fが形成されている。すなわち、開口部61fは、感光体ドラム3に向けて上方に開口するように設けられている。この開口部61fは、トナーボックス61の内側の空間の、奥行き方向(主走査方向及び上下方向と直交する方向:図中x軸方向)における全幅分にわたって形成されている。
【0042】
主走査方向に対向する一対のトナーボックス61の側壁61dのそれぞれには、貫通孔であるスライド孔61gが設けられている。スライド孔61gは、当該側壁61dの、上端部すなわち開口部61fの近傍位置であって、奥行き方向における中央に配設されている。このスライド孔61gは、奥行き方向に沿った長手方向を有する長円状に形成されている。
【0043】
また、回収側パネル61bの上部の肉薄部には、操作孔61hが設けられている。操作孔61hは、略矩形状の貫通孔であって、回収側パネル61bの主走査方向における中央部に設けられている。
【0044】
本発明の現像剤担持部材としての現像ローラ62は、円柱面状の周面であるトナー担持面62aを有するローラ状の部材であって、感光体ドラム3と対向するように設けられている。すなわち、トナー担持面62aが現像位置DPにて感光体ドラム3における静電潜像担持面LSと近接しつつ所定間隔(500μm程度)のギャップを介して対向するように、現像ローラ62が配置されている。また、現像ローラ62は、主走査方向と平行な回転中心軸がトナーボックス61の内側に位置することでトナー担持面62aのほぼ半分がトナーボックス61の外側に露出するように設けられている。
【0045】
本実施形態においては、現像ローラ62は、トナーボックス61内で奥行き方向に移動し得るように、トナーボックス61に収容されている。具体的には、現像ローラ62の回転中心軸を構成する現像ローラシャフト62bは、スライド孔61gによって、回転可能且つ奥行き方向にスライド可能に支持されている。
【0046】
トナーボックス61の内部には、トナー搬送経路TTPに沿って、搬送基板63が設けられている。搬送基板63は、トナーボックス61の内壁面に固定されている。すなわち、搬送基板63は、トナーボックス61の内壁面によって支持されている。本実施形態においては、搬送基板63は、底部搬送基板63aと、垂直搬送基板63bと、回収基板63cと、を備えている。なお、搬送基板63(底部搬送基板63a、垂直搬送基板63b、及び回収基板63c)の内部構成の詳細については後述する。
【0047】
底部搬送基板63aは、トナー貯留部61eの底面を構成するように、トナーボックス61の内側の空間における底部に配置されている。底部搬送基板63aは、搬送基板63の底部の、側断面視にて半円筒形状に屈曲された凹状の曲面状の部分であって、トナーボックス61における半円筒部61cの内壁面によって支持されている。
【0048】
底部搬送基板63aの、トナー搬送方向TTDにおける下流側の端部は、垂直搬送基板63bの下端部と滑らかに接続されている。すなわち、底部搬送基板63aは、トナー貯留部61e内のトナーTを、垂直搬送基板63bの下端部に向けてスムーズに搬送するようになっている。
【0049】
垂直搬送基板63bは、平板状に形成されていて、底部搬送基板63aと接続された下端部からトナーTを垂直上方に搬送するように立設されている。具体的には、垂直搬送基板63bは、トナーボックス61における搬送側パネル61aの内壁面によって支持されている。この垂直搬送基板63bは、底部搬送基板63aから受け渡されたトナーTを現像ローラ62及び現像位置DPに向けてトナー搬送方向TTDに搬送するように構成されている。
【0050】
本実施形態においては、垂直搬送基板63bの上端部63b1は、現像ローラ62の中心とほぼ同じ高さに設けられている。この上端部63b1は、現像ローラ62における円柱面状のトナー担持面62aと一定間隔(300μm程度)のギャップを隔てて対向するように設けられている。
【0051】
回収基板63cは、垂直搬送基板63bの上端部63b1と現像ローラ62を挟んだ反対側にて、現像ローラ62と対向するように設けられている。すなわち、回収基板63cは、トナーボックス61の開口部61fよりもトナー搬送方向TTDにおける下流側に配置されている。本実施形態においては、回収基板63cのトナー搬送方向TTDにおける終端部は、現像ローラ62の下端に対応する位置に設けられている。
【0052】
回収基板63cは、現像位置DPにて消費されなかったトナーTを現像ローラ62から回収するとともに、この回収されたトナーTを下方のトナー貯留部61eに向けて搬送するように構成されている。具体的には、本実施形態においては、回収基板63cは、平板状に形成されている。そして、回収基板63cは、現像ローラ62と所定間隔(現像位置DPにおける感光体ドラム3と現像ローラ62とのギャップの間隔よりも狭い間隔:300μm程度)のギャップを隔てて対向しつつ、トナーTを垂直下方に搬送するように設けられている。
【0053】
本実施形態においては、回収基板63cは、回収側パネル61bの上部の肉薄部に対応する位置に配設されている。また、回収基板63cは、当該肉薄部から離隔可能に設けられている。すなわち、回収基板63cの下端及び側端(主走査方向における端縁)は、薄肉状のゴムからなるダイアフラム63dを介して、回収側パネル61bによって支持されている。
【0054】
搬送基板63における底部搬送基板63a及び垂直搬送基板63bは、搬送電源回路64と電気的に接続されている。回収基板63cは、回収電源回路65と電気的に接続されている。現像ローラ62は、現像バイアス電源回路66と電気的に接続されている。
【0055】
搬送電源回路64、回収電源回路65、及び現像バイアス電源回路66は、トナーTをトナー搬送経路TTPに沿ってトナー搬送方向TTDに循環させる(トナー貯留部61e内のトナーTを現像ローラ62に一旦担持させつつ現像位置DPまで供給するとともに、現像位置DPにて消費されなかったトナーTを現像ローラ62から回収して下方のトナー貯留部61eに還流させる)ために必要な電圧を出力するようになっている。
【0056】
具体的には、搬送電源回路64は、400V〜1000V(振幅600V、DCオフセット700V)、300Hzの矩形波状の交流電圧を出力するようになっている。また、回収電源回路65は、−300V〜+300V(振幅600V、DCオフセット0V)、300Hzの矩形波状の交流電圧を出力するようになっている。さらに、現像バイアス電源回路66は、−600V〜1400V(振幅2000V、DCオフセット400V)、1200Hzの矩形波状の交流電圧を出力するようになっている。
【0057】
すなわち、現像バイアス電源回路66は、回収電源回路65よりも大きな振幅で、回収電源回路65の出力電圧の周波数の整数倍の周波数の出力電圧(回収バイアス)を、現像ローラ62に印加するようになっている。また、回収電源回路65は、静電潜像担持面LSにおけるトナーTを供給すべき露光部位の電位(240V)よりも低い平均電位(0V)となるような出力電圧を、回収基板63cに印加するようになっている。そして、現像ローラ62と感光体ドラム3との間の電界よりも、現像ローラ62と回収基板63cとの間の電界の方が強くなるように、回収電源回路65及び現像バイアス電源回路66の出力電圧が設定されている。
【0058】
トナーボックス61の内側の空間内における、現像ローラ62よりも下方であって、垂直搬送基板63bに近接する位置には、遮蔽板67が配置されている。遮蔽板67は、搬送基板63の動作によってトナーボックス61の内側の空間内にてトナーTが舞い上がった場合に、このトナーTが現像ローラ62に付着しないように(すなわち舞い上がったトナーTから現像ローラ62を遮蔽するように)設けられている。
【0059】
<<<間隔調整手段>>>
トナー供給装置6は、間隔調整手段68を備えている。間隔調整手段68は、係合部68aと、アクチュエータ68b及び68cと、制御回路68dと、を備えている。
【0060】
係合部68aは、現像ローラシャフト62bの外周面と係合するように形成されている。アクチュエータ68bは、係合部68aをスライド孔61gに沿ってスライドさせることで、現像ローラ62を奥行き方向に移動可能に構成されている。アクチュエータ68cは、回収基板63cにおける操作孔61hによって露出した部分を操作することで、回収基板63cを奥行き方向にスライドさせ得るように構成されている。制御回路68dは、アクチュエータ68b及び68cの動作を制御するようになっている。
【0061】
すなわち、間隔調整手段68は、レーザープリンタ1(図1参照)の運転条件(例えば環境条件等)に応じて、アクチュエータ68b及び68cの動作を制御することで、垂直搬送基板63b(上端部63b1)と現像ローラ62(トナー担持面62a)との間隔、及び、現像ローラ62(トナー担持面62a)と回収基板63cとの間隔を、それぞれ個別に調整可能に構成されている。
【0062】
<<<搬送基板>>>
図3は、図2に示されている搬送基板63を拡大した側断面図である。
【0063】
図3を参照すると、搬送基板63は、薄板状の部材であって、フレキシブルプリント配線基板と同様の構成を有している。具体的には、搬送基板63は、搬送電極631と、搬送電極支持フィルム632と、搬送電極コーティング層633と、搬送電極オーバーコーティング層634と、から構成されている。
【0064】
搬送電極631(なお、底部搬送基板63aにおける搬送電極631を底部搬送電極631a、垂直搬送基板63bにおける搬送電極631を垂直搬送電極631b、回収基板63cにおける搬送電極631を回収電極631cと称する。)は、前記主走査方向と平行な(すなわち前記副走査方向と直交する)長手方向を有する線状の配線パターンであって、厚さが数十μm程度の銅箔によって形成されている。複数の搬送電極631は、トナー搬送経路TTPに沿って配列されていて、互いに平行に配置されている。
【0065】
トナー搬送経路TTPに沿って多数配列された各搬送電極631は、3本置きに同一の電源回路に接続されている。すなわち、電源回路VAに接続された搬送電極631,電源回路VBに接続された搬送電極631,電源回路VCに接続された搬送電極631,電源回路VDに接続された搬送電極631,電源回路VAに接続された搬送電極631,電源回路VBに接続された搬送電極631,電源回路VCに接続された搬送電極631・・・が、トナー搬送経路TTPに沿って順に配列されている(なお、これらの電源回路VAないしVDは、図2における搬送電源回路64や回収電源回路65の構成要素である。)。
【0066】
ここで、図4は、図3に示されている各電源回路VAないしVDの出力波形の一例を示すグラフである。本実施形態においては、図4に示されているように、各電源回路VAないしVDは、ほぼ同一波形の交流電圧である駆動電圧を出力し得るように構成されている。また、各電源回路VAないしVDが発生する電圧の波形における位相が、90°ずつ異なるように、各電源回路VAないしVDが構成されている。すなわち、電源回路VAから電源回路VDに向かう順に、電圧の位相が90°ずつ遅れるようになっている。
【0067】
このように、搬送基板63は、各搬送電極631に対して上述のような駆動電圧が印加されて、トナー搬送経路TTPに沿った進行波状の電界が発生することで、正帯電したトナーTをトナー搬送方向TTDに搬送し得るように構成されている。
【0068】
複数の搬送電極631は、搬送電極支持フィルム632の表面上に形成されている。搬送電極支持フィルム632は、可撓性のフィルムであって、ポリイミド樹脂等の絶縁性の合成樹脂から構成されている。
【0069】
搬送電極コーティング層633は、絶縁性の合成樹脂から構成されている。この搬送電極コーティング層633は、搬送電極支持フィルム632における搬送電極631が設けられている表面、及び搬送電極631を覆うように設けられている。
【0070】
搬送電極コーティング層633の上には、搬送電極オーバーコーティング層634(なお、底部搬送基板63aにおける搬送電極オーバーコーティング層634を底部オーバーコーティング層634a、垂直搬送基板63bにおける搬送電極オーバーコーティング層634を垂直オーバーコーティング層634b、回収基板63cにおける搬送電極オーバーコーティング層634を回収オーバーコーティング層634cと称する。)が設けられている。すなわち、上述の搬送電極コーティング層633は、搬送電極オーバーコーティング層634と搬送電極631との間に形成されている。搬送電極オーバーコーティング層634の表面は、トナーTがスムーズに搬送され得るように、凹凸の極めて少ない平滑な面として形成されている。
【0071】
本実施形態においては、垂直オーバーコーティング層634b及び回収オーバーコーティング層634cは、同一の材料(ポリエステル)によって形成されている。そして、この材料としては、トナーの帯電量を適正値にする摩擦帯電材料であって、摩擦帯電列における位置が、底部オーバーコーティング層634aを構成する材料(ポイリミド)よりも、プラス側すなわちトナーTの帯電極性と同極性側となるものが用いられている。
【0072】
<レーザープリンタの動作説明>
次に、上述のように構成されたレーザープリンタ1による動作の概要を、実施形態の構成による作用・効果とともに、図面を適宜参照しつつ説明する。
【0073】
<<給紙動作>>
まず図1を参照すると、図示しない前記給紙トレイ上に積載された用紙Pの先端が、レジストローラ21まで送られる。このレジストローラ21にて、用紙Pの斜行が補正されるとともに、搬送タイミングが調整される。その後、用紙Pは、転写位置TPまで給送される。
【0074】
<<潜像形成面上へのトナー像の担持>>
上述のように用紙Pが転写位置TPに向けて搬送されている間に、感光体ドラム3の周面である静電潜像担持面LS上に、以下のようにしてトナーTによる像が担持される。
【0075】
<<<静電潜像の形成>>>
感光体ドラム3の静電潜像担持面LSは、まず、帯電器4によって、正極性に一様に帯電される。
【0076】
帯電器4によって帯電された静電潜像担持面LSは、感光体ドラム3の図中矢印で示されている方向(時計回り)の回転により、スキャナーユニット5と対向する(正対する)位置であるスキャン位置SPまで、前記副走査方向に沿って移動する。
【0077】
このスキャン位置SPにて、画像情報に基づいて変調されたレーザービームLBが、前記主走査方向に沿って走査されつつ、静電潜像担持面LSに照射される。このレーザービームLBの変調状態に応じて、静電潜像担持面LS上の正電荷が消失する部分が生じる。これにより、静電潜像担持面LS上に、正電荷のパターン(画像状分布)による静電潜像が形成される。
【0078】
静電潜像担持面LSに形成された静電潜像は、感光体ドラム3の図中矢印で示されている方向(時計回り)の回転により、トナー供給装置6と対向する現像位置DPに向かって移動する。
【0079】
<<<帯電トナーの搬送・供給>>>
図2及び図3を参照すると、トナーボックス61内に貯留されているトナーTは、底部搬送基板63aにおける底部オーバーコーティング層634aとの接触や摩擦等により帯電する。底部搬送基板63aにおける底部オーバーコーティング層634aと接触あるいは近接している、帯電したトナーTは、底部搬送電極631aに対する印加電圧によって発生する電界により、トナー搬送方向TTDに搬送され、垂直搬送基板63bに受け渡される。
【0080】
ここで、本実施形態においては、底部搬送基板63aのトナー搬送方向TTDにおける下流側の端部、すなわち、垂直搬送基板63bとの接続部が、曲面状に形成されている。これにより、垂直搬送基板63bの下端部における、底部搬送基板63aからのトナーTの受け渡しが、スムーズに行われ得る。
【0081】
垂直搬送基板63bは、その下端部にて底部搬送基板63aから受け渡されたトナーTを、垂直上方に搬送する。このとき、垂直搬送基板63bにおける垂直オーバーコーティング層634bは、底部搬送基板63aにおける底部オーバーコーティング層634aとは異なり、搬送中の正帯電のトナーTをさらに正帯電にする機能が低い。よって、垂直搬送基板上を搬送中の前記現像剤の帯電状態の変化が、可及的に抑制され得る。
【0082】
ここで、底部搬送基板63aから受け渡されたトナーTには、帯電状態が不良なもの(逆極性すなわち負極性に帯電したものや無帯電のものなど)が混入している。
【0083】
もっとも、本実施形態の構成においては、垂直搬送基板63bによって垂直上方に搬送されている際や、垂直搬送基板63bと現像ローラ62との間に形成された電界によって正帯電のトナーTが現像ローラ62に担持される際に、帯電状態が不良なトナーTは、重力や上述の電界の作用、あるいは遮蔽板67との衝突により、トナー搬送経路TTPから離脱し、垂直搬送基板63bから下方に落下する。
【0084】
これにより、帯電状態が良好なトナーTのみが選択的に、現像ローラ62及び現像位置DPに向けて搬送される。すなわち、垂直搬送基板63bにて、トナーTにおける、帯電状態が良好なものと不良なものとが、良好に選別される。
【0085】
垂直搬送基板63bから下方に落下したトナーTは、底部搬送基板63aのトナー搬送方向TTDにおける下流側の端部に達する。これにより、トナー貯留部61e内のトナーTであって、底部搬送基板63aのトナー搬送方向TTDにおける下流側の端部の近傍のものが、良好に流動化されるとともに、底部オーバーコーティング層634aとの摩擦により良好に帯電する。
【0086】
このように、本実施形態のトナー供給装置6においては、撹拌部材やブレード等による機械的な作用でトナー貯留部61e内のトナーTを強制的(積極的)に帯電させなくても、トナーTが良好に搬送される。したがって、トナーTの経時劣化が、可及的に抑制され得る。
【0087】
また、垂直搬送基板63bから落下した、帯電状態が不良なトナーTは、垂直搬送基板63bの途中ではなく、トナー貯留部61eにまで達する。したがって、垂直搬送基板63bによるトナーTの搬送が乱されること(例えば、帯電状態が良好な搬送中のトナーTの垂直搬送基板63b上からの脱落、帯電状態が不良なトナーTの垂直搬送基板63b上における堆積や滞留、等。)が、可及的に抑制される。
【0088】
上述のようにして、正帯電のトナーTが、現像位置DPに供給される。この現像位置DPの近傍にて、静電潜像担持面LSに形成された静電潜像が、トナーTによって現像される。すなわち、静電潜像担持面LS上であって、静電潜像における正電荷が消失した部分に、トナーTが付着する。これにより、トナーTによる画像(以下、「トナー像」と称する。)が、静電潜像担持面LS上に担持される。
【0089】
現像位置DPを通過した(現像位置DPにて消費されなかった)トナー担持面62a上のトナーTは、上述の回収バイアスの作用で、回収基板63c側に移行する。すなわち、かかるトナーは、回収基板63cによってトナー担持面62aから回収される。
【0090】
ここで、本実施形態においては、現像ローラ62に対して、交流の回収バイアスが印加されている。かかる回収バイアスの交流成分の作用で、現像ローラ62におけるトナー担持面62aの近傍のトナーTが振動する。この振動により、トナー担持面62aから浮き上がっているトナーTが、トナー担持面62aに担持されている(付着している)トナーTと衝突する。かかる衝突により、トナー担持面62aに担持されているトナーTは、トナー担持面62aから浮き上がりやすくなる。
【0091】
また、本実施形態においては、回収バイアスの平均電位(0V)は、静電潜像担持面LSにおけるトナーTを供給すべき露光部位の電位(240V)よりも低い電位に設定されている。さらに、本実施形態においては、現像ローラ62と感光体ドラム3との間の電界よりも、現像ローラ62と回収基板63cとの間の電界の方が強くなる。
【0092】
このような回収バイアスにより、トナー担持面62aにおける、現像位置DPを通過した部分から、消費されなかったトナーTが、良好に剥離され、回収基板63c側に移行する。したがって、形成画像におけるゴーストの発生が、可及的に抑制される。
【0093】
また、本実施形態においては、回収バイアスの振幅は、回収電極631cへの印加電圧の振幅よりも大きく設定されている。このため、隣り合う回収電極631c間の電圧を大きくしなくても、上述のようなトナー担持面62aからのトナーTの回収作用が、良好に行われ得る。したがって、回収基板63cにおける、隣り合う回収電極631c間の絶縁が、良好に確保され得る。
【0094】
さらに、この回収バイアスは、現像位置DPにおける所謂ジャンピング現像のためのバイアスを兼ねたものである。したがって、回収バイアスが、簡略な装置構成によって良好に印加され得る。
【0095】
トナー担持面62aから回収基板63c側に移行したトナーTは、回収電極631cに対する印加電圧によって発生する電界により、下方のトナー貯留部61eに向けて搬送される。
【0096】
ここで、本実施形態においては、回収バイアスの周波数は、垂直搬送電極631bや回収電極631cへの印加電圧の周波数の整数倍に設定されている。これにより、回収バイアスと、回収基板63cにおけるトナーTの搬送のための電界とが、良好に同期する。
【0097】
回収基板63cの下端部にて、トナーTは、垂直下方に搬送される。このとき、トナーTには、重力と同方向の慣性が作用する。そして、回収基板63cの下端部よりも下方においては、トナーTは、重力と、この重力と同方向の慣性の作用で、トナー貯留部61eに落下する。よって、回収基板63cがトナー貯留部61eに達するまで設けられていなくても、トナーTがトナー貯留部61eに良好に還流する。
【0098】
<<潜像形成面から用紙へのトナー像の転写>>
図1を参照すると、上述のようにして感光体ドラム3の静電潜像担持面LS上に担持されたトナー像は、当該静電潜像担持面LSが図中矢印で示されている方向(時計回り)に回転することにより、転写位置TPに向けて搬送される。そして、この転写位置TPにて、トナー像が、静電潜像担持面LSから用紙P上に転写される。
【0099】
<本実施形態の構成による作用・効果>
図5及び図6は、図2に示されているトナー供給装置6の動作の様子を示す側断面図である。以下、図2、図5、及び図6を参照しつつ、間隔調整手段68の動作の詳細について説明する。
【0100】
レーザープリンタ1(図1参照)による画像形成動作(実際の印字動作の他に、待機動作や各部のクリーニング動作等、搬送基板63によるトナーTの搬送を伴う動作はすべて含まれ得る)中においては、運転条件(累積印字枚数等)に応じて、制御回路68dにより、アクチュエータ68b及び68cの動作が制御される。これにより、図2及び図5に示されているように、現像ローラ62及び回収基板63cの奥行き方向における位置が調整される。
【0101】
具体的には、例えば、累積印字枚数が非常に少なく、トナーTが新品あるいは新品同様であると判定される場合、図2に示されているように、垂直搬送基板63bと現像ローラ62との間隔、及び、現像ローラ62と回収基板63cとの間隔が、それぞれ最大限広く設定される。その後、累積印字枚数の増加に伴って、図5に示されているように、これらの間隔が、それぞれ徐々に狭くされる。これにより、トナーTの特性(新しさ)に応じて、トナー担持面62aにおける担持特性や、回収基板63cによる回収特性が、適切に設定され得る。
【0102】
このように、本実施形態の構成においては、レーザープリンタ1(図1参照)の運転条件に応じて、垂直搬送基板63bと現像ローラ62との間隔、及び、現像ローラ62と回収基板63cとの間隔が、適切に調整される。これにより、トナーTが感光体ドラム3に対してより適切に供給されるようになり、以て良好な画像形成が行われる。
【0103】
また、非画像形成動作時(すなわち搬送基板63によるトナーTの搬送動作が行われないとき)においては、図6に示されているように、垂直搬送基板63bと現像ローラ62との間隔、及び、現像ローラ62と回収基板63cとの間隔が、それぞれ最大限狭く設定される。すなわち、垂直搬送基板63bとトナー担持面62aとが接触し、且つトナー担持面62aと回収基板63cとが接触する。これにより、非画像形成動作時における、トナーボックス61からのトナーTの不用意な漏出が、良好に抑制され得る。
【0104】
<変形例の例示列挙>
なお、上述の実施形態は、上述した通り、出願人が取り敢えず本願の出願時点において最良であると考えた本発明の代表的な実施形態を、単に例示したものにすぎない。よって、本発明はもとより上述の実施形態に何ら限定されるものではない。したがって、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において、上述の実施形態に対して種々の変形が施され得ることは、当然である。
【0105】
以下、代表的な変形例について、幾つか例示する。以下の変形例の説明において、上述の実施形態にて説明されているものと同様の構成及び機能を有する部材に対しては、上述の実施形態と同様の符号が用いられ得るものとする。そして、かかる部材の説明については、技術的に矛盾しない範囲内において、上述の実施形態における説明が援用され得るものとする。
【0106】
もっとも、言うまでもなく、変形例とて、以下に列挙されたものに限定されるものではない。また、複数の変形例が、技術的に矛盾しない範囲内において、適宜、複合的に適用され得る。
【0107】
本発明(特に、本発明の課題を解決するための手段を構成する各構成要素における、作用的・機能的に表現されているもの)は、上述の実施形態及び下記変形例の記載に基づいて限定解釈されてはならない。このような限定解釈は、(先願主義の下で出願を急ぐ)出願人の利益を不当に害する反面、模倣者を不当に利するものであって、発明の保護及び利用を目的とする特許法の目的に反し、許されない。
【0108】
(1)本発明の適用対象は、単色のレーザープリンタに限定されない。例えば、本発明は、カラーのレーザープリンタや、単色及びカラーの複写機等の、いわゆる電子写真方式の画像形成装置に対して、好適に適用され得る。このとき、感光体の形状は、上述の実施形態のようなドラム状でなくてもよい。例えば、平板状や無端ベルト状等であってもよい。また、露光光源としては、レーザースキャナ以外のもの(LED、EL(エレクトロルミネッセンス)素子、蛍光体、等)が好適に用いられ得る。
【0109】
あるいは、本発明は、上述の電子写真方式以外の方式(例えば、感光体を用いないトナージェット方式、イオンフロー方式、マルチスタイラス電極方式、等)の画像形成装置に対しても、好適に適用され得る。
【0110】
(2)図4を参照すると、各電源回路VA〜VDが発生する電圧の波形は、矩形波状以外にも、正弦波状や三角波状等の任意のものが用いられ得る。
【0111】
また、上述の実施形態においては、4つの電源回路VA〜VDが設けられるとともに、各電源回路VA〜VDが発生する電圧の位相が90°ずつ異なっていた。もっとも、本発明はこれに限定されず、例えば、3つの電源回路が備えられるとともに、各電源回路が発生する電圧の位相が120°ずつ異なるようになっていてもよい。
【0112】
(3)現像ローラ62への印加電圧は、直流成分(接地を含む)のみであってもよい。
【0113】
(4)感光体ドラム3と現像ローラ62とは、接触していてもよい。
【0114】
(5)搬送基板63の構成は、上述の実施形態のものに限定されない。
【0115】
例えば、搬送電極オーバーコーティング層634は省略され得る(この場合、上述の実施形態における搬送電極オーバーコーティング層634の材料選択と同様に、搬送電極コーティング層633の材料選択が行われる。)。あるいは、搬送電極631が搬送電極支持フィルム632内に埋め込まれることで、搬送電極コーティング層633及び搬送電極オーバーコーティング層634の双方が省略され得る。
【0116】
垂直搬送基板63bは、実質的に上下方向に沿って立設していればよく、多少傾いていてもよい。同様に、回収基板63cも、多少傾いていてもよい。
【0117】
底部搬送基板63aの中央部は、平坦であってもよい。すなわち、底部搬送基板63aにおける曲面状の部分は、垂直搬送基板63bの下端部との接続部のみであってもよい。
【0118】
回収基板63cのトナー搬送方向TTDにおける終端部は、底部搬送基板63aと接続されていてもよい。
【0119】
(6)本発明の間隔調整手段も、上述の実施形態に開示された具体的構成に何ら限定されない。
【0120】
例えば、現像ローラ62及び回収基板63cが移動する態様に代えて、垂直搬送基板63bを支持する搬送側パネル61a、及び、回収基板63cを支持する回収側パネル61bが、それぞれ、下端部を揺動中心として上端部が揺動するように構成されていてもよい。この場合、搬送側パネル61a及び回収側パネル61bのそれぞれの上端部を揺動させるためのアクチュエータ(カム機構等)が設けられ得る。
【0121】
また、トナーTの特性(帯電量等)や、ユーザによる所望の画像形成濃度や、現像ローラ62におけるトナー担持面62a上のトナーTの濃度、等に応じて、トナー搬送経路TTPに沿った現像ローラ62と垂直搬送基板63bとの位置関係が調整(制御)されてもよい。
【0122】
具体的には、図7に示されているように、湿度センサ68eの出力に基づいて、垂直搬送基板63bと現像ローラ62との間隔、及び、現像ローラ62と回収基板63cとの間隔が制御されてもよい。この場合、湿度が高いときに、上述の間隔は狭くされる。
【0123】
また、図8に示されているように、垂直搬送基板63bと対向するように設けられた帯電量センサ68f(表面電位を測定可能なセンサ素子)の出力に基づいて、垂直搬送基板63bと現像ローラ62との間隔、及び、現像ローラ62と回収基板63cとの間隔が制御されてもよい。
【0124】
(7)その他、特段に言及されていない変形例についても、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において、本発明の技術的範囲に含まれることは当然である。
【0125】
また、本発明の課題を解決するための手段を構成する各要素における、作用・機能的に表現されている要素は、上述の実施形態や変形例にて開示されている具体的構造の他、当該作用・機能を実現可能ないかなる構造をも含む。さらに、本明細書にて引用した各公報の内容(明細書及び図面を含む)は、本明細書の一部を構成するものとして援用され得る。
【符号の説明】
【0126】
1 … レーザープリンタ
2 … 用紙搬送機構
21 … レジストローラ
22 … 転写ローラ
3 … 感光体ドラム(供給対象)
4 … 帯電器
5 … スキャナーユニット
6 … トナー供給装置(現像剤供給装置)
61 … トナーボックス(ケーシング)
61a … 搬送側パネル
61b … 回収側パネル
61c … 半円筒部
61d … 側壁
61e … トナー貯留部(現像剤貯留部)
61f … 開口部
61g … スライド孔
61h … 操作孔
62 … 現像ローラ(現像剤担持部材)
62a … トナー担持面
62b … 現像ローラシャフト
63 … 搬送基板
63a … 底部搬送基板
63b … 垂直搬送基板(上方搬送基板)
63b1 … 上端部
63c … 回収基板
63d … ダイアフラム
631 … 搬送電極
631a … 底部搬送電極
631b … 垂直搬送電極
631c … 回収電極
632 … 搬送電極支持フィルム
633 … 搬送電極コーティング層
634 … 搬送電極オーバーコーティング層(絶縁層)
634a … 底部オーバーコーティング層
634b … 垂直オーバーコーティング層
634c … 回収オーバーコーティング層
64 … 搬送電源回路
65 … 回収電源回路
66 … 現像バイアス電源回路
67 … 遮蔽板
68 … 間隔調整手段
68a … 係合部
68b … アクチュエータ
68c … アクチュエータ
68d … 制御回路
68e … 湿度センサ
68f … 帯電量センサ
C … 中心軸
DP … 現像位置
LB … レーザービーム
LS … 静電潜像担持面
P … 用紙
PP … 用紙搬送経路
SP … スキャン位置
T … トナー
TP … 転写位置
TTD … トナー搬送方向
TTP … トナー搬送経路(現像剤搬送経路)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0127】
【特許文献1】特開昭60−115962号公報
【特許文献2】特開平11−84862号公報
【特許文献3】特開2001−209246号公報
【特許文献4】特開2002−287495号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯電した粉末状の現像剤を、電界により現像剤搬送経路に沿って搬送しつつ、供給対象に対して供給するように構成された、現像剤供給装置において、
前記供給対象に向けて上方に開口する開口部を有し、底部の現像剤貯留部にて前記現像剤を貯留するように構成された、箱状のケーシングと、
円柱面状の周面を有するローラ状の部材であって、前記開口部に面するように前記ケーシングの内側に収容されつつ前記供給対象と対向するように設けられた、現像剤担持部材と、
前記現像剤搬送経路に沿って配列された複数の搬送電極を備えていて、これらの搬送電極への電圧印加に伴って発生する電界により、前記現像剤搬送経路に沿って前記現像剤を搬送するように構成され、前記ケーシングの内壁面にて支持された、搬送基板と、
前記現像剤担持部材と前記搬送基板との間隔を調整する、間隔調整手段と、
を備えたことを特徴とする、現像剤供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の、現像剤供給装置であって、
前記搬送基板は、その表面に絶縁層を有することを特徴とする、現像剤供給装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の、現像剤供給装置であって、
前記搬送基板は、前記現像剤を前記現像剤担持部材に向けて上方に搬送するように設けられた、上方搬送基板を備え、
前記間隔調整手段は、前記上方搬送基板の前記現像剤担持部材と対向する上端部と前記現像剤担持部材との間隔を調整するように構成されたことを特徴とする、現像剤供給装置。
【請求項4】
請求項3に記載の、現像剤供給装置であって、
前記上方搬送基板は、前記現像剤を垂直上方に搬送するように設けられたことを特徴とする、現像剤供給装置。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載の、現像剤供給装置であって、
前記上方搬送基板は、平板状に構成されたことを特徴とする、現像剤供給装置。
【請求項6】
請求項3ないし請求項5のうちのいずれか1項に記載の、現像剤供給装置であって、
前記搬送基板は、前記現像剤を前記現像剤貯留部に還流させるために下方に搬送するように、前記現像剤担持部材を挟んで前記上方搬送基板における前記上端部と対向して設けられた、回収基板をさらに備え
前記間隔調整手段は、前記回収基板と前記現像剤担持部材との間隔を調整するように構成されたことを特徴とする、現像剤供給装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のうちのいずれか1項に記載の、現像剤供給装置であって、
前記間隔調整手段は、前記現像剤の帯電量に応じて前記間隔を調整することを特徴とする、現像剤供給装置。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のうちのいずれか1項に記載の、現像剤供給装置であって、
前記間隔調整手段は、湿度に応じて前記間隔を調整することを特徴とする、現像剤供給装置。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のうちのいずれか1項に記載の、現像剤供給装置であって、
前記間隔調整手段は、前記現像剤の新しさに応じて前記間隔を調整することを特徴とする、現像剤供給装置。
【請求項10】
請求項1ないし請求項9のうちのいずれか1項に記載の、現像剤供給装置であって、
前記間隔調整手段は、現像剤搬送動作が行われないときに前記間隔を最大限狭くすることを特徴とする、現像剤供給装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2010−224456(P2010−224456A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−74302(P2009−74302)
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】