説明

現像剤供給装置

【課題】 現像剤の供給効率を向上させる構成を、可及的に簡略な装置構成で実現すること。
【解決手段】 現像剤供給装置は、第一現像剤担持部材、第二現像剤担持部材、ケーシング、及び供給用搬送基板を備えている。第一現像剤担持部材は、現像剤供給位置にて供給対象と対向するように配置されている。第二現像剤担持部材は、第一現像剤担持面の移動方向における現像剤供給位置よりも上流側の第一担持位置にて第一現像剤担持部材と対向するように配置されている。第二現像剤担持部材は、第一現像剤担持部材との間に交番電界を発生させるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電した粉末状の現像剤を供給対象に対して供給するように構成された、現像剤供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の装置として、例えば、特開2008−70803号公報、国際公開第2008/066015号、特開2010−145910号公報、等に開示されているものが知られている。かかる装置は、現像剤担持部材(現像ローラ)と、上流側現像剤搬送手段と、下流側現像剤搬送手段と、を備えている。
【0003】
前記現像剤担持部材は、所定の現像領域にて静電潜像担持体(感光体ドラム)と対向するように設けられている。この現像剤担持部材は、帯電した現像剤を担持するための現像剤担持面を有している。
【0004】
前記上流側現像剤搬送手段は、上流側搬送面を有している。この上流側搬送面は、前記現像領域よりも前記現像剤担持面の移動方向における上流側にて、当該現像剤担持面と所定の距離を隔てて対向するように配置されている。この上流側現像剤搬送手段は、上流側搬送電界(前記上流側搬送面上の前記現像剤を前記現像剤担持部材の移動方向における上流側から下流側に向けて移動させるための電界)を形成するように構成されている。
【0005】
前記下流側現像剤搬送手段は、下流側搬送面を有している。この下流側搬送面は、前記現像領域よりも前記現像剤担持面の移動方向における下流側にて、当該現像剤担持面と所定の距離を隔てて対向するように配置されている。この下流側現像剤搬送手段は、下流側搬送電界(前記下流側搬送面上の前記現像剤を前記現像剤担持部材の移動方向における上流側から下流側に向けて移動させるための電界)を形成するように構成されている。
【0006】
かかる構成においては、帯電した前記現像剤を前記現像剤担持面の移動方向(前記現像ローラの回転方向)における上流側から下流側へ向けて移動させる電界が、前記上流側搬送面上及び前記下流側搬送面上の空間に形成する。これにより、前記現像剤は、前記上流側搬送面及び前記下流側搬送面のそれぞれにて、前記現像剤担持部材の移動方向における上流側から下流側へ向けて移動する。
【0007】
前記上流側現像剤搬送手段によって搬送された前記現像剤は、前記上流側搬送面と前記現像剤担持面(前記現像ローラの周面)とが対向する位置にて、当該現像剤担持面に向かう。これにより、前記現像剤は、前記現像剤担持面に付着する。すなわち、前記現像剤担持面上に、前記現像剤が担持される。
【0008】
前記現像剤担持面上に担持された前記現像剤の一部は、静電潜像の現像に供されることで、前記現像領域にて消費される。すなわち、前記現像剤担持面上に担持された前記現像剤の一部は、前記現像領域に到達すると、前記静電潜像担持体の周面である静電潜像担持面上の、静電潜像に応じた位置に移行して付着する。
【0009】
前記現像剤担持面上に担持された前記現像剤のうちの、前記静電潜像担持面に付着しなかった(前記現像領域にて消費されなかった)残部は、前記下流側現像剤搬送手段によって回収され、前記下流側搬送面上を、前記現像剤担持面の移動方向(前記現像ローラの回転方向)における上流側から下流側へ搬送される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
この種の装置において、前記現像剤の供給状態をより適切化することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
<構成>
本発明の現像剤供給装置は、帯電した粉末状の現像剤を供給対象に対して供給するように構成されている。この現像剤供給装置は、第一現像剤担持部材と、第二現像剤担持部材と、ケーシングと、供給用搬送基板と、を備えている。
【0012】
前記第一現像剤担持部材は、主走査方向と平行な円柱面状の周面である第一現像剤担持面を有していて、所定の現像剤供給位置にて前記供給対象と最近接しつつ対向するように配置されている。この第一現像剤担持部材は、回転駆動されることによる前記第一現像剤担持面の前記主走査方向と直交する方向への移動により、当該第一現像剤担持面上に担持された前記現像剤を前記現像剤供給位置に供給するように構成されている。
【0013】
前記第二現像剤担持部材は、前記主走査方向と平行な円柱面状の周面である第二現像剤担持面を有していて、所定の第一担持位置にて前記第一現像剤担持部材と最近接しつつ対向するように配置されている。ここで、前記第一担持位置は、前記第一現像剤担持部材の回転による前記第一現像剤担持面の移動方向における前記現像剤供給位置よりも上流側の位置である。
【0014】
前記第二現像剤担持部材は、前記第一現像剤担持部材との間に交番電界を発生させるようになっている。具体的には、前記第二現像剤担持部材は、前記第一現像剤担持部材との間に(直流電圧が重畳された)交流電圧が印加されるようになっている。また、前記第二現像剤担持部材は、回転駆動されることで、その周面である前記第二現像剤担持面が前記主走査方向と直交する方向へ移動するようになっている。そして、前記第二現像剤担持部材は、前記第二現像剤担持面上に担持された前記現像剤を、上述の交番電界の作用及び前記第二現像剤担持面の移動により、帯電させつつ前記第一担持位置近傍にて前記第一現像剤担持面上に担持させるように構成されている。
【0015】
前記ケーシングは、前記供給対象に対向する位置に開口部が設けられた箱状部材であって、前記現像剤を収容するための空間である現像剤収容部を内部に備えている。このケーシングは、前記第一現像剤担持面を前記開口部にて前記供給対象に対向させつつ、前記第一現像剤担持部材を回転可能に支持するように構成されている。また、このケーシングは、内部にて前記第二現像剤担持部材を回転可能に支持するように構成されている。すなわち、前記第二現像剤担持部材は、前記ケーシングの内部に収容されている。
【0016】
前記供給用搬送基板は、前記主走査方向と交差する現像剤搬送経路に沿って配列された複数の供給用搬送電極を備えている。この供給用搬送基板は、前記ケーシングの内部に収容されている。そして、この供給用搬送基板は、複数の前記供給用搬送電極への多相交流電圧成分を含む供給搬送バイアス電圧の印加により、前記現像剤を、前記現像剤収容部から前記第二現像剤担持面と最近接しつつ対向する第二担持位置に向かって前記現像剤搬送経路に沿って搬送するとともに、当該第二担持位置近傍にて前記第二現像剤担持面上に担持させるようになっている。
【0017】
前記供給用搬送基板は、その現像剤搬送方向(前記供給用搬送基板による前記現像剤の搬送方向)における下流端が、前記第二現像剤担持部材の回転中心軸よりも前記第一現像剤担持部材側に突出しないように設けられていてもよい。
【0018】
前記現像剤供給装置は、回収用搬送基板をさらに備えていてもよい。この回収用搬送基板は、前記主走査方向と交差する現像剤回収経路に沿って配列された複数の回収用搬送電極を備えている。この回収用搬送基板は、前記ケーシングの内部に収容されている。そして、この回収用搬送基板は、複数の前記回収用搬送電極への多相交流電圧成分を含む回収搬送バイアス電圧の印加により、前記現像剤を、前記第一現像剤担持部材及び前記第二現像剤担持部材から回収しつつ、前記現像剤収容部に還流させるようになっている。
【0019】
<動作>
かかる構成においては、前記供給用搬送基板における複数の前記供給用搬送電極に前記供給搬送バイアス電圧が印加されることで発生する進行波状の電界によって、前記現像剤は、前記現像剤収容部から前記第二担持位置に向かって、前記現像剤搬送経路に沿って搬送される(この搬送中に当該現像剤が徐々に帯電することがある)。この第二担持位置近傍にて、前記現像剤は、前記第二現像剤担持部材の周面である前記第二現像剤担持面上に、一旦担持される。
【0020】
前記第二担持位置近傍にて前記現像剤を担持した前記第二現像剤担持面は、前記第二現像剤担持部材が回転駆動されることで、前記第二担持位置近傍の位置から前記第一担持位置に向かって移動する。そして、かかる前記第二現像剤担持面が、前記第一現像剤担持部材の周面である前記第一現像剤担持面と対向する前記第一担持位置の近傍に達すると、上述の交番電界の作用により、前記現像剤が(さらに)帯電させられる。
【0021】
上述のように、前記第二現像剤担持面上に一旦担持されて上述の交番電界の作用により(さらに)帯電させられた前記現像剤は、前記第一担持位置近傍にて、前記第一現像剤担持面上に担持される。
【0022】
前記第一担持位置近傍にて前記現像剤を担持した前記第一現像剤担持面は、前記第一現像剤担持部材が回転駆動されることで、前記第二担持位置近傍の位置から前記第一担持位置に向かって移動する。そして、かかる前記第一現像剤担持面が、前記供給対象と対向する前記現像剤供給位置(の近傍)に達する。これにより、前記第一現像剤担持面上に担持された前記現像剤が、前記供給対象に対して供給される。
【発明の効果】
【0023】
上述のように、本発明の構成においては、前記第二現像剤担持面上に一旦担持された前記現像剤が、前記第一現像剤担持部材と前記第二現像剤担持部材との間に発生する交番電界の作用で(さらに)帯電させられた後に、前記第一現像剤担持面上に担持されて前記供給対象に対して供給される。これにより、前記現像剤の帯電状態が最適な状態に設定され得る。
【0024】
ここで、前記第二現像剤担持部材は、前記ケーシングの内部に収容されている。このため、前記現像剤の帯電状態の最適化が、可及的に簡略な装置構成で実現される。具体的には、例えば、交番電界の作用で前記現像剤を(さらに)帯電させる前記第一担持位置の近傍にて前記ケーシングの外部への前記現像剤の漏出が防止(抑制)され得る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態であるトナー供給装置を備えた画像形成装置の概略構成を示す側断面図である。
【図2】図1に示されている搬送基板を拡大した側断面図である。
【図3】図2に示されている各電源回路の出力波形の一例を示すグラフである。
【図4】トナーの挙動を示す概略図である。
【図5】図1に示されているトナー供給装置の一変形例の概略構成を示す側断面図である。
【図6】図1に示されているトナー供給装置の他の変形例の概略構成を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態に対して施され得る各種の変更(変形例:modification)の例示は、当該実施形態の説明中に挿入されると、一貫した実施形態の説明の理解が妨げられるので、末尾にまとめて記載されている。
【0027】
<画像形成装置の全体構成>
図1は、本発明の現像剤供給装置の一実施形態を備えた画像形成装置1の概略構成を示す側断面図である。図1を参照すると、この画像形成装置1は、感光体ドラム2と、帯電器3と、トナー供給装置4と、を備えている。
【0028】
本発明の供給対象としての感光体ドラム2の周面には、静電潜像を形成可能な静電潜像担持面LSが設けられている。静電潜像担持面LSは、主走査方向(図中z軸方向)と平行な円筒面として形成されている。感光体ドラム2は、前記主走査方向と平行な軸を中心として回転駆動されることで、静電潜像担持面LSが前記主走査方向と直交する副走査方向に沿って移動するように構成されている。
【0029】
静電潜像担持面LSに対向するように、帯電器3が設けられている。帯電器3は、静電潜像形成前の静電潜像担持面LSを一様に帯電させるように構成及び配置されている。
【0030】
本発明の現像剤供給装置の一実施形態であるトナー供給装置4は、現像位置DP(本発明の現像剤供給位置に相当する)にて、静電潜像担持面LSと対向するように、感光体ドラム2の側方に配置されている。ここで、現像位置DPは、感光体ドラム2の回転駆動による静電潜像担持面LSの移動方向における、帯電器3と対向する位置よりも下流側であって、且つ画像情報に対応して変調されたレーザービームLBの照射によって静電潜像が形成される位置よりも下流側に設けられている。このトナー供給装置4は、帯電した粉末状のトナーを、現像位置DPの近傍にて、感光体ドラム2(静電潜像担持面LS)に供給するように構成されている。
【0031】
<トナー供給装置の構成>
本実施形態においては、トナー供給装置4のケーシング41は、側断面視にて前記主走査方向と直交し且つ水平方向(図中x軸方向)に沿った長手方向を有する箱状部材である。ケーシング41の長手方向における一方の端部には、開口部41aが設けられている。この開口部41aは、ケーシング41の長手方向における、感光体ドラム2と対向する位置に設けられている。
【0032】
ケーシング41の内側の空間における底部であって、長手方向における他方の端部(前記一方の端部とは反対側の端部)に対応する位置には、搬送前トナー貯留部41bが形成されている。本発明の現像剤収容部に対応する搬送前トナー貯留部41bは、上方に開口する側断面視にて略C字状の空間である。この搬送前トナー貯留部41b内には、電界搬送される前(直前)のトナーが貯留(収容)されている。
【0033】
ケーシング41の内側の空間における底部には、搬送前トナー貯留部41bに隣接するように、補助トナー貯留部41c,41dが形成されている。補助トナー貯留部41dは、補助トナー貯留部41cよりも開口部41aに近い側に設けられている。補助トナー貯留部41c及び41dは、上方に開口する側断面視にて略C字状の空間である。なお、補助トナー貯留部41c及び41dは、前記主走査方向における両端部にてトナーが流通し得るように、互いに接続されている。
【0034】
すなわち、搬送前トナー貯留部41bと補助トナー貯留部41cとの間には、前記主走査方向に沿って隔壁41eが設けられている。また、補助トナー貯留部41cと補助トナー貯留部41dとの間には、前記主走査方向に沿って隔壁41fが設けられている。隔壁41eは、隔壁41fよりも低く形成されている。
【0035】
ケーシング41の内側の空間には、遮蔽部材41gが設けられている。遮蔽部材41gは、平板状の部材であって、ケーシング41の長手方向における前記一方の端部(開口部41aが設けられている側の端部)側の空間であるローラ収容部41hと残部(搬送前トナー貯留部41b並びに補助トナー貯留部41c及び41d側の空間)とにケーシング41の内側の空間を仕切るように配置されている。このローラ収容部41h内には、後述する現像ローラ42及び供給ローラ43が収容されている。すなわち、この遮蔽部材41gは、トナーが貯留されている空間(上述の「残部」)から現像ローラ42及び供給ローラ43を遮蔽するように設けられている。
【0036】
ケーシング41は、搬送前トナー貯留部41b、補助トナー貯留部41c、及び補助トナー貯留部41dが形成された底板41jと、この底板41jと対向するように設けられた天板41kと、上述の遮蔽部材41gと、図示しない一対の側板と、から構成されている。底板41jと天板41kとは、ケーシング41の長手方向における前記他方の端部にて、側断面視にて略円弧状に滑らかに接続されている。
【0037】
底板41jの内側面であって、開口部41a側の端部には、下側シール板41mの基端部が固定されている。同様に、天板41kの内側面であって、開口部41a側の端部には、上側シール板41nの基端部が固定されている。下側シール板41m及び上側シール板41nは、それぞれの先端部が現像ローラ42の側断面視における円形状の接線方向に沿って突出するように設けられることで、開口部41aにおける底板41j及び天板41kと現像ローラ42との隙間からケーシング41の外部へのトナーの漏出を防止するようになっている。
【0038】
<<現像ローラ・供給ローラ>>
本発明の第一現像剤担持部材としての現像ローラ42は、前記主走査方向と平行な円柱面状の周面である下流側トナー担持面42a(本発明の第一現像剤担持面に相当する)を有するローラ状の部材であって、開口部41aを介して感光体ドラム2と対向するように設けられている。すなわち、現像ローラ42は、下流側トナー担持面42aを感光体ドラム2と対向させるように開口部41aを介してケーシング41の外部に露出させた状態で、ケーシング41内に収容されている。
【0039】
現像位置DPにて、現像ローラ42における下流側トナー担持面42aと、感光体ドラム2における静電潜像担持面LSとの間には、所定間隔のギャップが設けられている。すなわち、現像ローラ42は、現像位置DPにて、感光体ドラム2と最も近接しつつ対向するように設けられている。
【0040】
現像ローラ42は、ケーシング41におけるローラ収容部41hの、開口部41a側にて、回動可能に支持されている。すなわち、現像ローラ42は、前記主走査方向と平行な軸を中心とした回転によって下流側トナー担持面42aを前記主走査方向と直交する方向に移動させることで、下流側トナー担持面42a上に担持されたトナーを現像位置DPに供給するように構成されている。
【0041】
現像ローラ42は、所定の現像バイアス電圧が印加されることにより、静電潜像担持面LSにおけるレーザービームLBが照射された位置にトナーを担持させる一方、レーザービームLBが照射されていない位置にはトナーを担持させないようになっている。
【0042】
現像ローラ42と遮蔽部材41gとの間には、本発明の第二現像剤担持部材としての供給ローラ43が配置されている。供給ローラ43は、前記主走査方向と平行な円柱面状の周面である上流側トナー担持面43a(本発明の第二現像剤担持面に相当する)を有するローラ状の部材であって、下流側担持位置CPd(本発明の第一担持位置に相当する)にて現像ローラ42と所定のギャップを隔てて最近接しつつ対向するように設けられている。ここで、下流側担持位置CPdは、現像ローラ42の回転による下流側トナー担持面42aの移動方向について、現像位置DPよりも上流側の位置である。
【0043】
供給ローラ43は、ケーシング41におけるローラ収容部41hの、遮蔽部材41g側にて、回動可能に支持されつつ収容されている。すなわち、供給ローラ43は、前記主走査方向と平行な軸を中心とした回転によって上流側トナー担持面43aを前記主走査方向と直交する方向に移動させることで、上流側トナー担持面43a上に担持されたトナーを下流側担持位置CPdに供給するように構成されている。
【0044】
供給ローラ43は、所定の供給バイアス電圧が印加されることで、当該供給バイアス電圧と上述の現像バイアス電圧とによって現像ローラ42との間に交番電界を発生させるようになっている。そして、供給ローラ43は、上流側トナー担持面43a上に担持されたトナーを、この交番電界の作用で、(さらに)帯電させつつ下流側トナー担持面42a上に担持させるようになっている。
【0045】
<<電界搬送基板>>
ケーシング41の内部には、電界搬送基板44が収容されている。本実施形態においては、電界搬送基板44は、供給用電界搬送基板44aと、回収用電界搬送基板44cと、を備えている。電界搬送基板44は、薄板状の部材であって、いわゆるフレキシブルプリント配線基板と同様の構成を有している。この電界搬送基板44の内部構成の詳細については後述する(図2参照)。
【0046】
供給用電界搬送基板44aは、搬送前トナー貯留部41bに貯留されているトナーを、多相交流電圧成分を含む供給搬送バイアス電圧の印加により発生する進行波状の電界の作用で、上流側担持位置CPu(本発明の第二担持位置に相当する)に向かって搬送するとともに、上述の供給バイアス電圧及び供給搬送バイアス電圧によって形成される電界の作用で、上流側担持位置CPuにて上流側トナー担持面43a上に担持させるように構成されている。
【0047】
ここで、上流側担持位置CPuは、供給用電界搬送基板44aのトナー搬送方向における下流端(以下、単に「下流端」と称する。)と供給ローラ43(上流側トナー担持面43a)とが最近接しつつ対向する位置である。この上流側担持位置CPuにて、供給用電界搬送基板44aの下流端と上流側トナー担持面43aとの間には、所定間隔のギャップが設けられている。また、供給用電界搬送基板44aのトナー搬送方向における上流端は、搬送前トナー貯留部41bに面する位置に(搬送前トナー貯留部41b内に収容されたトナーに浸漬されるように)設けられている。
【0048】
供給用電界搬送基板44aは、その主要部分(天板41kが略水平に設けられている部分)にて、トナーを「背面搬送」するように設けられている。すなわち、供給用電界搬送基板44aにおける、トナーを搬送するための表面(トナー搬送経路TTPを構成する表面:以下「トナー搬送面」と称する。)の主要部分は、トナーを進行波電界によって上流側担持位置CPuに向かって搬送しつつ、帯電状態が不良なトナーを下方に落下させるように設けられている。具体的には、供給用電界搬送基板44aは、トナー搬送面が下方を向きつつケーシング41の長手方向に沿って設けられるように、ケーシング41の天板41kにおける内壁面に固定されている。
【0049】
供給用電界搬送基板44aの下流端は、遮蔽部材41gよりもローラ収容部41h側に設けられている。また、本実施形態においては、供給用電界搬送基板44aの下流端は、供給ローラ43の回転中心軸CAよりも現像ローラ42側に(図中x軸負方向側に)突出しないように設けられている。具体的には、供給用電界搬送基板44aの下流端は、水平方向(図中x軸方向)について、供給ローラ43の回転中心軸CAと遮蔽部材41gとの間の位置に設けられている。
【0050】
回収用電界搬送基板44cは、底板41jの内壁面に固定されている。回収用電界搬送基板44cの、トナー搬送方向における上流端は、現像位置DPよりも下流側トナー担持面42aの移動方向における下流側の第一回収位置RP1にて、所定のギャップを隔てて下流側トナー担持面42aと対向するように設けられている。一方、回収用電界搬送基板44cの、トナー搬送方向における下流端は、補助トナー貯留部41dに面するように設けられている。
【0051】
また、回収用電界搬送基板44cは、これによるトナーの搬送経路であるトナー回収経路TRPにおける中途(下流側担持位置CPdよりも上流側トナー担持面43aの移動方向における下流側)の第二回収位置RP2にて、所定のギャップを隔てて上流側トナー担持面43aと対向するように設けられている。
【0052】
回収用電界搬送基板44cは、多相交流電圧成分を含む回収搬送バイアス電圧の印加により発生する進行波状の電界の作用で、トナーを補助トナー貯留部41dに向けて搬送するように構成されている。
【0053】
また、回収用電界搬送基板44cは、現像位置DPにて静電潜像担持面LS側に移行せずに現像位置DPを通過して下流側トナー担持面42aに残留したトナーを、上述の回収搬送バイアス電圧及び現像バイアス電圧によって形成される電界の作用で、第一回収位置RP1にて下流側トナー担持面42aから回収するようになっている。
【0054】
さらに、回収用電界搬送基板44cは、下流側担持位置CPdにて下流側トナー担持面42a側に移行せずに下流側担持位置CPdを通過して上流側トナー担持面43aに残留したトナーを、上述の回収搬送バイアス電圧及び供給バイアス電圧によって形成される電界の作用で、第二回収位置RP2にて上流側トナー担持面43aから回収するようになっている。
【0055】
<<トナー攪拌・循環手段>>
ケーシング41の底部であって、搬送前トナー貯留部41bに対応する位置には、アジテータ45が設けられている。すなわち、アジテータ45は、搬送前トナー貯留部41b内に収容されている。アジテータ45は、回転駆動されることで、搬送前トナー貯留部41b内のトナーを攪拌するように構成されている。
【0056】
第一オーガ46及び第二オーガ47は、ケーシング41の底部に設けられている。第一オーガ46及び第二オーガ47は、ケーシング41の底部であって搬送前トナー貯留部41bに隣接する補助トナー貯留部41c及び41dにて、予め収容されたトナーと供給用電界搬送基板44aから落下してきたトナーとを攪拌しつつ、搬送前トナー貯留部41bにトナーを送出するように構成されている。
【0057】
第一オーガ46は、補助トナー貯留部41cに対応する位置に設けられている。すなわち、第一オーガ46は、補助トナー貯留部41c内に収容されている。第一オーガ46は、回転駆動されることで、補助トナー貯留部41c内にてトナーを攪拌しつつ前記主走査方向と平行な第一の方向(例えば図中z軸正方向)に移動させるように構成されている。
【0058】
第二オーガ47は、補助トナー貯留部41dに対応する位置に設けられている。すなわち、第二オーガ47は、補助トナー貯留部41d内に収容されている。第二オーガ47は、回転駆動されることで、補助トナー貯留部41d内にてトナーを攪拌しつつ前記主走査方向と平行な第二の方向(例えば図中z軸負方向)に移動させるように構成されている。
【0059】
<<電界搬送基板の内部構成>>
図2は、図1に示されている電界搬送基板44を拡大した側断面図である。図2を参照すると、電界搬送基板44は、搬送電極441と、搬送電極支持フィルム442と、搬送電極コーティング層443と、搬送電極オーバーコーティング層444と、から構成されている。
【0060】
搬送電極441(なお、供給用電界搬送基板44aにおける搬送電極441を供給用搬送電極441a、回収用電界搬送基板44cにおける搬送電極441を回収用搬送電極441cと称する。)は、前記主走査方向と平行な長手方向を有する線状の配線パターンであって、銅箔によって形成されている。複数の搬送電極441は、トナー搬送経路TTP(回収用電界搬送基板44cの場合はトナー回収経路TRP:以下同様)に沿って配列されていて、互いに平行に配置されている。
【0061】
トナー搬送経路TTPに沿って多数配列された各搬送電極441は、3本置きに同一の電源回路に接続されている。すなわち、電源回路VAに接続された搬送電極441,電源回路VBに接続された搬送電極441,電源回路VCに接続された搬送電極441,電源回路VDに接続された搬送電極441,電源回路VAに接続された搬送電極441,電源回路VBに接続された搬送電極441,電源回路VCに接続された搬送電極441・・・が、トナー搬送経路TTPに沿って順に配列されている。
【0062】
ここで、図3は、図2に示されている各電源回路VAないしVDの出力波形の一例を示すグラフである。本実施形態においては、図3に示されているように、各電源回路VAないしVDは、ほぼ同一波形の交流電圧である駆動電圧を出力するように構成されている。
【0063】
また、各電源回路VAないしVDが発生する電圧の波形における位相が、90°ずつ異なるように、各電源回路VAないしVDが構成されている。すなわち、電源回路VAから電源回路VDに向かう順に、電圧の位相が90°ずつ遅れるようになっている。このように、電界搬送基板44は、各搬送電極441に対して上述のような駆動電圧(搬送バイアス電圧あるいは回収バイアス電圧)が印加されて、電界搬送基板44の表面(トナー搬送面)に沿った進行波状の電界が発生することで、正帯電したトナーを搬送するように構成されている。
【0064】
複数の搬送電極441は、搬送電極支持フィルム442の表面上に形成されている。搬送電極支持フィルム442は、可撓性のフィルムであって、ポリイミド樹脂等の絶縁性の合成樹脂から構成されている。搬送電極コーティング層443は、絶縁性の合成樹脂から構成されている。この搬送電極コーティング層443は、搬送電極支持フィルム442における搬送電極441が設けられている表面、及び搬送電極441を覆うように設けられている。
【0065】
搬送電極コーティング層443の上には、搬送電極オーバーコーティング層444が設けられている。すなわち、上述の搬送電極コーティング層443は、搬送電極オーバーコーティング層444と搬送電極441との間に形成されている。搬送電極オーバーコーティング層444の表面(トナー搬送面を構成する表面)は、トナーがスムーズに搬送され得るように、凹凸の極めて少ない平滑な面として形成されている。
【0066】
<動作説明>
次に、上述のように構成された画像形成装置1の動作の概要を、図面を適宜参照しつつ説明する。
【0067】
供給用電界搬送基板44a(図2における複数の供給用搬送電極441a)に供給搬送バイアス電圧(具体例:直流バイアス+1000V、交流バイアス600Vpp(ピーク間)・300Hz)が印加されることで、供給用電界搬送基板44aにおけるトナー搬送面に、進行波状の電界が発生する。
【0068】
すると、供給用電界搬送基板44aのトナー搬送方向における上流側の端部(搬送前トナー貯留部41bに貯留されているトナー内に浸漬されている部分)にて、トナーの進行波電界による搬送が開始される。すなわち、搬送前トナー貯留部41b内にアジテータ45によって攪拌されつつ貯留されているトナーのうちの、供給用電界搬送基板44aのトナー搬送方向における上流側の端部におけるトナー搬送面に近接するものが、供給用電界搬送基板44aにて発生している進行波電界によって起動される。
【0069】
起動されたトナーは、供給用電界搬送基板44aにおける下向きの略水平なトナー搬送面に沿って、上流側担持位置CPuに向かって搬送される。この途中で、帯電状態が不良な(無帯電あるいは低帯電の)トナーは、トナー搬送経路TTPから脱落して、下方の搬送前トナー貯留部41bや補助トナー貯留部41cに落下する。したがって、ローラ収容部41hに到達したトナーのうちのほとんどが、帯電状態が良好なものとなっている。
【0070】
なお、ケーシング41の内部の空間における、ローラ収容部41hとその残部(搬送前トナー貯留部41bや補助トナー貯留部41cに向けてトナーが落下する部分)とは、遮蔽部材41gによって遮蔽されている。よって、供給用電界搬送基板44aにおける下向きのトナー搬送面から落下中の帯電状態が不良なトナーが下流側トナー担持面42aに付着することが、良好に防止される。
【0071】
ここで、本実施形態においては、供給用電界搬送基板44aのトナー搬送方向における上流側の端部にてトナーの搬送が起動される部分と、供給用電界搬送基板44aの平板状部分のトナー搬送方向における上流側の端部とが、鉛直方向において重ならないようになっている。このため、供給用電界搬送基板44aにおける下向きのトナー搬送面から脱落した、帯電状態が不良なトナーの、かかる起動部分への落下が、可及的に抑制される。したがって、常にフレッシュなトナーを電界搬送基板44によって搬送することが可能になる。
【0072】
上述のようにして、供給用電界搬送基板44aにおける、ケーシング41の長手方向に沿って設けられている下向きのトナー搬送面に沿って搬送されたトナーは、供給用電界搬送基板44aのトナー搬送方向における下流側の端部にて、ローラ収容部41hに達し、上流側担持位置CPuの近傍にて、上述の供給バイアス電圧(具体例:直流バイアス+800V)及び供給搬送バイアス電圧によって形成される電界の作用で、上流側トナー担持面43a上に一旦担持される。
【0073】
上流側担持位置CPuの近傍にてトナーを担持した上流側トナー担持面43aは、供給ローラ43が回転駆動されることで、上流側担持位置CPuの近傍の位置から下流側担持位置CPdに向かって移動し、現像ローラ42の周面である下流側トナー担持面42aと対向する下流側担持位置CPdの近傍に達する。
【0074】
ここで、上流側担持位置CPuの近傍にて上流側トナー担持面43a上に一旦担持されたトナーは、供給用電界搬送基板44aによる電界搬送の最中に、搬送電極オーバーコーティング層444(図2参照)との接触によってチャージアップすることがある。この点、かかる上流側トナー担持面43aが、現像ローラ42の周面である下流側トナー担持面42aと対向する下流側担持位置CPdの近傍に達すると、上述の交番電界の作用により、トナーが(さらに)帯電させられるとともに、帯電状態が整えられる(詳細は後述する)。
【0075】
下流側担持位置CPdの近傍にて、トナーは、上述のように、帯電状態が整えられつつ、下流側トナー担持面42aに供給される。これにより、下流側トナー担持面42a上にトナーが担持される。下流側トナー担持面42a上に担持されたトナーは、現像ローラ42の回転に伴う下流側トナー担持面42aの移動により、現像位置DPに到達することで、感光体ドラム2(静電潜像担持面LS)に供給される。これにより、静電潜像担持面LS上に形成された静電潜像が現像される。
【0076】
開口部41aよりも下流側トナー担持面42aの移動方向における下流側にて当該下流側トナー担持面42aに残留した(すなわち現像位置DPにて感光体ドラム2側に移行しなかった)トナーは、ゴースト発生防止のため、第一回収位置RP1にて、上述の回収搬送バイアス電圧(具体例:直流バイアス0V、交流バイアス600Vpp(ピーク間)・300Hz)及び現像バイアス電圧(具体例:直流バイアス+500V、交流バイアス2.6kVpp(ピーク間)・1kHz)によって形成される電界の作用で、回収用電界搬送基板44cによって、下流側トナー担持面42aから回収される。
【0077】
同様に、下流側担持位置CPdにて下流側トナー担持面42a側に移行せずに下流側担持位置CPdを通過して上流側トナー担持面43aに残留したトナーは、第二回収位置RP2にて、上述の回収搬送バイアス電圧及び供給バイアス電圧によって形成される電界の作用で、上流側トナー担持面43aから回収される。
【0078】
このようにして、下流側トナー担持面42a及び上流側トナー担持面43aから回収されたトナーは、補助トナー貯留部41dに向けて進行波電界によって搬送され、補助トナー貯留部41dに還流する。
【0079】
補助トナー貯留部41c及び41d内に予め貯留されたトナーと、ローラ収容部41h側から還流してきたトナーとは、第一オーガ46及び第二オーガ47によって、前記主走査方向に往復移動させられることにより、均一に攪拌される。このようにして攪拌されているトナーの一部は、隔壁41eを乗り越えて、搬送前トナー貯留部41bに流入する。すなわち、第一オーガ46及び第二オーガ47によって、トナーが、補助トナー貯留部41c及び31d内にて攪拌されつつ、搬送前トナー貯留部41bに送出される。
【0080】
上述のように、本実施形態によれば、略水平な長手方向を有する薄型の装置構成において、トナー搬送面に沿ってトナーを搬送中に、帯電状態が不良なものが、当該トナー搬送面から落下(脱落)する。これにより、帯電状態が不良なトナーが下流側トナー担持面42a上に担持されることが、可及的に抑制される。また、トナー搬送面から落下したトナーが、補助トナー貯留部41c及び41d内にて良好に攪拌されつつ、再度搬送前トナー貯留部41bに送出される。
【0081】
したがって、本実施形態によれば、感光体ドラム2にトナーをより良好に供給することが可能な、略水平な長手方向を有する薄型のトナー供給装置4が得られる。
【0082】
<実施形態の構成による作用・効果>
図4(A)に示されているように、通常の非磁性一成分現像装置(現像ローラ42に対して帯電したトナーをスポンジローラやブレード等によって担持させる方式の装置)においては、トナーは現像ローラ42とスポンジローラやブレードとの間でランダムに摩擦帯電させられるため、トナーにおける帯電位置(図中グレーの塗りつぶし部分参照)は均一に散らばっているものと想定される。
【0083】
一方、図4(B)に示されているように、従来のこの種の装置においては、以下の理由により、トナーにおける帯電位置が局所的に集中している(トナーにおける特定の部分が集中的に帯電している)ものと想定される。したがって、図4(B)に示されている状態においては、図4(A)に示されている状態に比べ、静電気力によるトナーの付着力(鏡像力)が強力になるものと考えられる(図中下向き矢印参照)。
【0084】
図4(C)に示されているように、電界搬送基板44による電界搬送中に、トナーは、ループ状の電気力線に沿ってホッピングしながら進行する(図中破線参照)。このとき、トナーは、(最も)帯電した特定の位置を先頭として飛翔する。このため、かかる特定の位置が集中的にトナー搬送面と衝突し、摩擦帯電する。よって、当該位置が、電界搬送基板44による電界搬送中に集中的にチャージアップしていく。
【0085】
これに対し、本実施形態の構成においては、図4(B)に示されているような帯電状態となって上流側担持位置CPuの近傍にて上流側トナー担持面43a上に一旦担持されたトナーは、現像ローラ42と供給ローラ43とが対向する下流側担持位置CPdの近傍にて、図4(D)に示されているように、交番電界の作用により帯電させられる。かかる交番電界の作用による帯電によって、トナーの帯電状態が、より均一化される。
【0086】
すなわち、現像ローラ42と供給ローラ43とが対向する下流側担持位置CPdの近傍における図4(D)に示されているような帯電によって、トナーは、図4(A)に示されているような、帯電位置が均一に散らばった状態に近づく。これにより、感光体ドラム2から用紙への転写効率、現像位置DPにおける現像効率、あるいは、第一回収位置RP1における回収効率が、向上する。
【0087】
ここで、供給ローラ43は、ケーシング41の内部に収容されている。このため、交番電界の作用でトナーを(さらに)帯電させる下流側担持位置CPdは、ケーシング41の内部に位置することになる。よって、交番電界の作用でトナーを(さらに)帯電させる部位における、ケーシング41の外部へのトナーの漏出を防止(抑制)するような構成は、必要ない。また、交番電界の作用でトナーを(さらに)帯電させるための部材から剥離された(クリーニングされた)トナーを貯留したりこれを搬送前トナー貯留部41b側に還流させたりするための、特別な外部的装置構成も、必要ない。
【0088】
また、本実施形態の構成においては、供給用電界搬送基板44aは、その下流端が、供給ローラ43の回転中心軸CAよりも現像ローラ42側に(図中x軸負方向側に)突出しないように設けられている。このため、トナーが供給用電界搬送基板44aの下流端から直接的に現像ローラ42に移行すること(これによって上述の供給ローラ43による帯電均一化作用が減殺されてしまう)が、効果的に防止される。
【0089】
このように、本実施形態によれば、トナーの帯電状態の最適化が、可及的に簡略な装置構成で実現される。したがって、本実施形態によれば、トナーの供給効率を向上させる構成を、可及的に簡略な装置構成で実現することが可能になる。
【0090】
<変形例の例示列挙>
なお、上述の実施形態は、出願人が取り敢えず本願の出願時点において最良であると考えた本発明の代表的な実施形態を、単に例示したものにすぎない。よって、本発明はもとより上述の実施形態に何ら限定されるものではない。したがって、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において、上述の実施形態に対して種々の変形が施され得ることは、当然である。
【0091】
以下、代表的な変形例について、幾つか例示する。以下の変形例の説明において、上述の実施形態にて説明されているものと同様の構成及び機能を有する部材に対しては、上述の実施形態と同様の符号が用いられ得るものとする。そして、かかる部材の説明については、技術的に矛盾しない範囲内において、上述の実施形態における説明が援用され得るものとする。
【0092】
もっとも、言うまでもなく、変形例とて、以下に列挙されたものに限定されるものではない。また、複数の変形例が、技術的に矛盾しない範囲内において、適宜、複合的に適用され得る。
【0093】
本発明(特に、本発明の課題を解決するための手段を構成する各構成要素における、作用的・機能的に表現されているもの)は、上述の実施形態及び下記変形例の記載に基づいて限定解釈されてはならない。このような限定解釈は、(特に先願主義の下で出願を急ぐ)出願人の利益を不当に害する反面、模倣者を不当に利するものであって、発明の保護及び利用を目的とする特許法の目的に反し、許されない。
【0094】
本発明は、単色のレーザープリンタ、カラーレーザープリンタ、単色及びカラーの複写機等の、いわゆる電子写真方式の画像形成装置に対して、好適に適用され得る。このとき、感光体の形状は、上述の実施形態のようなドラム状でなくてもよい。例えば、平板状や無端ベルト状等であってもよい。露光光源としては、レーザースキャナ以外のもの(LED、EL(エレクトロルミネッセンス)素子、蛍光体、等)が好適に用いられ得る。この場合、「主走査方向」は、発光素子(LED等)の配列方向と平行な方向となり、「用紙幅方向」とも称され得る。
【0095】
本発明の「供給対象」は、感光体ドラム2に限定されない。本発明の「供給対象」には、例えば、平板状や無端ベルト状の感光体や、いわゆるトナージェット方式におけるアパチャー電極等が含まれ得る。すなわち、本発明は、電子写真方式以外の方式(例えば、感光体を用いない上述のトナージェット方式、イオンフロー方式、マルチスタイラス電極方式、等)の画像形成装置に対しても、好適に適用され得る。
【0096】
搬送前トナー貯留部41bは、ケーシング41の長手方向における略中央部に至るまで形成されていてもよい。また、隔壁41fは省略され得る。また、遮蔽部材41gは、部分的に、あるいは、全体的に、省略され得る。アジテータ45の有無や細部構成、及び、オーガの数や構成についても、特段の限定はない。
【0097】
供給用電界搬送基板44aや回収用電界搬送基板44cは、上述の実施形態のように、ケーシング41の内壁面に固定されていてもよいし、ケーシング41と一体化されていてもよい。すなわち、ケーシング41の内壁面に搬送電極441を埋設することによって、供給用電界搬送基板44aや回収用電界搬送基板44cが形成されていてもよい。
【0098】
各種バイアス電圧も、上述の具体例に何ら限定されない。例えば、供給バイアス電圧は、交流バイアスを含んでいてもよい。
【0099】
本発明は、いわゆる「背面搬送」に限定されない。図5は、図1に示されているトナー供給装置4の一変形例の概略構成を示す側断面図である。図5に示されているように、本変形例においては、トナー供給装置4のケーシング41は、側断面視にて前記主走査方向と直交し且つ上下方向(図中y軸方向)に沿った長手方向を有する箱状部材である。そして、開口部41aは、ケーシング41の上端部に設けられている。
【0100】
ケーシング41における底板41jは、側断面視にて上方に開口する略U字状あるいは略C字状に形成されている。底板41jの一方の端部(図中x軸負方向の端部)から上方に延出するように、フロントパネル41pが設けられている。また、底板41jの他方の端部(図中x軸正方向の端部)から上方に延出するように、リアパネル41rが設けられている。そして、搬送前トナー貯留部41bは、ケーシング41の底部、すなわち、底板41jとフロントパネル41pとリアパネル41rと図示しない一対の側板とによって囲まれた空間における底部に設けられている。
【0101】
フロントパネル41pの内側面であって、開口部41a側の端部には、フロント側シール板41sの基端部が固定されている。同様に、リアパネル41rの内側面であって、開口部41a側の端部には、リア側シール板41tの基端部が固定されている。フロント側シール板41s及びリア側シール板41tは、それぞれの先端部が現像ローラ42の側断面視における円形状の接線方向に沿って設けられることで、開口部41aにおけるフロントパネル41p及びリアパネル41rと現像ローラ42との隙間からケーシング41の外部へのトナーの漏出を防止するようになっている。
【0102】
供給用電界搬送基板44aは、フロントパネル41pの供給ローラ43と対向する位置から、フロントパネル41pの下端を経て、底板41jの底部(搬送前トナー貯留部41bの底部)に至る位置にわたって、ケーシング41の内壁面に固定されている。すなわち、本変形例の特徴は、供給用電界搬送基板44aが、搬送前トナー貯留部41bから上流側担持位置CPuに向かってトナーを垂直上方に搬送するように設けられたことにある。
【0103】
一方、回収用電界搬送基板44cは、リアパネル41rの現像ローラ42と対向する位置から、供給ローラ43と対向する位置を経て、リアパネル41rの下端に至る位置にわたって、ケーシング41の内壁面に固定されている。すなわち、回収用電界搬送基板44cは、第一回収位置RP1及び第二回収位置RP2にて回収したトナーを下方の搬送前トナー貯留部41bに向けて垂直下方に搬送するように設けられている。
【0104】
本変形例においても、上流側担持位置CPuは、トナーが供給用電界搬送基板44aの下流端から直接的に現像ローラ42に移行することを防止するために、供給ローラ43の回転中心軸CAよりも、トナー搬送方向における手前側、具体的には、この回転中心軸CAよりも下方に設けられている。また、本変形例においては、アジテータ45のみが、搬送前トナー貯留部41b内に設けられている。すなわち、本変形例においては、上述の実施形態のような、第一オーガ46及び第二オーガ47(図1参照)は設けられていない。
【0105】
かかる本変形例の構成によっても、上述の実施形態と同様の作用・効果が奏される。
【0106】
なお、上述の実施形態及び変形例においては、現像ローラ42からの残留トナーの回収と、供給ローラ43からの残留トナーの回収とを、一枚の回収用電界搬送基板44cによって行っていたが、本発明は何らこれに限定されない。
【0107】
図6は、図1に示されているトナー供給装置4の他の変形例(図5に示されているトナー供給装置4のさらなる変形例)の概略構成を示す側断面図である。図6に示されているように、供給ローラ43からの残留トナーの回収は、クリーニング部材48によって行われてもよい。このクリーニング部材48としては、例えば、ブレードやローラ等を用いることが可能である。
【0108】
さらに、現像ローラ42からの残留トナーの回収もまた、クリーニング部材によって行われてもよい。この場合、回収用電界搬送基板44cは、省略される。但し、この場合、現像位置DPにて感光体ドラム2側に移行せずに下流側トナー担持面42aに残留したトナーを良好に回収するために、かかるクリーニング部材としては、適宜バイアス電圧が印加されたローラ状部材が好適に用いられる(なお、かかるローラ状部材に付着したトナーを剥離して搬送前トナー貯留部41b内に落下させるためのクリーニングブレード等の部材も設けられる。)。
【0109】
これに対し、供給ローラ43からの残留トナーの回収は、現像ローラ42からの残留トナーの回収とは異なり、完全でなくてもゴースト等の形成画像不良の懸念がない。よって、供給ローラ43からの残留トナーの回収のためのクリーニング部材48は、ブラシローラ等の任意のクリーニング部材が用いられ得る。
【0110】
その他、特段に言及されていない変形例についても、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において、本発明の技術的範囲に含まれることは当然である。
【0111】
また、本発明の課題を解決するための手段を構成する各要素における、作用・機能的に表現されている要素は、上述の実施形態や変形例にて開示されている具体的構造の他、当該作用・機能を実現可能ないかなる構造をも含む。さらに、本明細書にて引用した各公報の内容(明細書及び図面を含む)は、本明細書の一部を構成するものとして援用され得る。
【符号の説明】
【0112】
1…画像形成装置 2…感光体ドラム
3…帯電器 4…トナー供給装置
41…ケーシング 41a…開口部
41b…搬送前トナー貯留部 41c…補助トナー貯留部
41d…補助トナー貯留部 41g…遮蔽部材
42…現像ローラ 42a…下流側トナー担持面
43…供給ローラ 43a…上流側トナー担持面
44…電界搬送基板
44a…供給用電界搬送基板 44c…回収用電界搬送基板
441…搬送電極
441a…供給用搬送電極 441c…回収用搬送電極
45…アジテータ 46…第一オーガ
47…第二オーガ 48…クリーニング部材
CPd…下流側担持位置 CPu…上流側担持位置
DP…現像位置 LS…静電潜像担持面
RP1…第一回収位置 RP2…第二回収位置
TRP…トナー回収経路 TTP…トナー搬送経路
【先行技術文献】
【特許文献】
【0113】
【特許文献1】特開2008−70803号公報
【特許文献2】国際公開第2008/066015号
【特許文献3】特開2010−145910号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯電した粉末状の現像剤を供給対象に対して供給するように構成された、現像剤供給装置において、
主走査方向と平行な円柱面状の周面である第一現像剤担持面を有し、現像剤供給位置にて前記供給対象と最近接しつつ対向するように配置され、回転駆動されることによる前記第一現像剤担持面の前記主走査方向と直交する方向への移動により、当該第一現像剤担持面上に担持された前記現像剤を前記現像剤供給位置に供給するように構成された、第一現像剤担持部材と、
前記主走査方向と平行な円柱面状の周面である第二現像剤担持面を有し、前記第一現像剤担持部材の回転による前記第一現像剤担持面の移動方向における前記現像剤供給位置よりも上流側の第一担持位置にて前記第一現像剤担持部材と最近接しつつ対向するように配置され、前記第一現像剤担持部材との間に発生する交番電界の作用及び回転駆動されることによる前記第二現像剤担持面の前記主走査方向と直交する方向への移動により、前記第二現像剤担持面上に担持された前記現像剤を、帯電させつつ前記第一担持位置近傍にて前記第一現像剤担持面上に担持させるように構成された、第二現像剤担持部材と、
前記現像剤を収容するための空間である現像剤収容部を内部に備えるとともに前記供給対象に対向する位置に開口部が設けられた箱状部材であって、前記第一現像剤担持面を前記開口部にて前記供給対象に対向させつつ前記第一現像剤担持部材を回転可能に支持するとともに、内部にて前記第二現像剤担持部材を回転可能に支持するように構成された、ケーシングと、
前記主走査方向と交差する現像剤搬送経路に沿って配列された複数の供給用搬送電極を備え、これらの供給用搬送電極への多相交流電圧成分を含む供給搬送バイアス電圧の印加により、前記現像剤を、前記現像剤収容部から前記第二現像剤担持面と最近接しつつ対向する第二担持位置に向かって前記現像剤搬送経路に沿って搬送するとともに当該第二担持位置近傍にて前記第二現像剤担持面上に担持させるように、前記ケーシングの内部に収容された、供給用搬送基板と、
を備えたことを特徴とする、現像剤供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の現像剤供給装置において、
前記主走査方向と交差する現像剤回収経路に沿って配列された複数の回収用搬送電極を備え、これらの回収用搬送電極への多相交流電圧成分を含む回収搬送バイアス電圧の印加により、前記現像剤を、前記第一現像剤担持部材及び前記第二現像剤担持部材から回収しつつ前記現像剤収容部に還流させるように、前記ケーシングの内部に収容された、回収用搬送基板
をさらに備えたことを特徴とする、現像剤供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−53081(P2012−53081A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−193046(P2010−193046)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】