説明

現像剤容器

【課題】 凝集した現像剤によって補給口が塞がれてしまうことを抑制し、現像剤補給の安定化を図る。
【解決手段】
現像剤容器は、現像剤を収容する円筒状の容器本体と、容器本体の開放端部を覆い、周面に容器本体の内部に連通し、現像剤を外部に補給するための補給口を有するカバー部材と、容器本体の開放端部に内嵌される搬送補助部材とを備えている。搬送補助部材は、容器本体の回転に同期して搬送補助部材が回転するとともに、回転軸方向に沿って往復動作する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は現像剤容器に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式による画像形成装置においては、感光体等の像担持体に形成された静電潜像に現像装置から現像剤を供給して、像担持体に形成された静電潜像を現像する。そして、現像装置内における現像剤の量が減少した場合には、現像装置に付設された現像剤容器から現像剤が補給されるようになっている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−71762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば高温環境下での使用においては、現像剤容器中で未使用の現像剤同士が凝集してしまうおそれがある。現像剤が凝集してしまうと現像剤の流動性が悪くなるため現像剤容器の補給口付近で現像剤が現像剤容器の内壁に堆積して補給口を塞ぎ、結果的に現像装置への現像剤補給が不安定になってしまう。
本発明の課題は、凝集した現像剤によって補給口が塞がれてしまうことを抑制し、現像剤補給の安定化を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明に係る現像剤容器は、
現像剤を収容する円筒状の容器本体と、
前記容器本体の開放端部を覆い、周面に前記容器本体の内部に連通し、現像剤を外部に補給するための補給口を有するカバー部材と、
前記容器本体の前記開放端部に内嵌される搬送補助部材とを備え、
前記搬送補助部材は、
前記容器本体の回転に同期して前記搬送補助部材が回転するとともに、回転軸方向に沿って往復動作することを特徴としている。
【0006】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の現像剤容器において、
前記容器本体の回転に同期して前記搬送補助部材を回転させるとともに、前記回転軸方向に前記搬送補助部材を往復動作させる補助部材駆動機構を備えることを特徴としている。
【0007】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の現像剤容器において、
前記補助部材駆動機構は、
前記容器本体の開放端部に対向する前記カバー部材の内面に形成され、前記容器本体に向けて凸となるカバー側突起部と、
前記容器本体における前記開放端部近傍の内周面に形成された螺旋凸形状のガイド部と、
前記容器本体の内部に位置する前記搬送補助部材の基端部に形成され、前記ガイド部に接触するとともに、当該接触部分が前記ガイド部の角度とは異なる傾斜面に形成された補助部材用第一突起部と、
前記容器本体の外側に位置する前記搬送補助部材の先端部から前記カバー部材の前記内面に向けて凸となり、前記カバー側突起部に対して係合自在な補助部材用第二突起部とを備え、
前記容器本体が回転する際には、前記補助部材用第一突起部が前記ガイド部に係合することで、前記搬送補助部材が前記容器本体に同期して回転しながら前記回転軸方向に沿って外側へ向けて往動し、前記回転によって前記カバー側突起部に前記補助部材用第二突起部が係合すると前記容器本体の回転に同期して回転しながら前記搬送補助部材が前記回転軸方向に沿って内側へ向けて復動することを特徴としている。
【0008】
請求項4記載の発明は、請求項2記載の現像剤容器において、
前記補助部材駆動機構は、
前記容器本体の開放端部に対向する前記カバー部材の内面に形成され、前記容器本体に向けて凸となるカバー側突起部と、
前記搬送補助部材の外周面に形成された螺旋凸形状のガイド部と、
前記容器本体の外側に位置する前記搬送補助部材の先端部から前記カバー部材の前記内面に向けて凸となり、前記カバー側突起部に対して係合自在な補助部材用突起部と、
前記容器本体の前記開放端部近傍に形成され、前記ガイド部に係合する本体用係合部と、を備え、
前記容器本体が回転する際には、前記本体用係合部が前記ガイド部に係合することで、前記搬送補助部材が前記容器本体に同期して回転しながら前記回転軸方向に沿って外側へ向けて往動し、前記回転によって前記カバー側突起部に前記補助部材用突起部が係合すると前記容器本体の回転に同期して回転しながら前記搬送補助部材が前記回転軸方向に沿って内側へ向けて復動することを特徴としている。
【0009】
請求項5記載の発明は、請求項2記載の現像剤容器において、
前記補助部材駆動機構は、
前記容器本体の開放端部に対向する前記カバー部材の内面に形成され、前記容器本体に向けて凸となるカバー側突起部と、
前記容器本体の前記開放端部に固定され、軸方向に弾性変形自在に形成された前記搬送補助部材と、
前記容器本体の外側に位置する前記搬送補助部材の先端部から前記カバー部材の前記内面に向けて凸となり、前記カバー側突起部に対して係合自在な補助部材用突起部とを備え、
前記容器本体が回転すると、前記搬送補助部材が前記容器本体に同期して回転しながら伸張することで前記回転軸方向に沿って外側へ向けて往動し、前記回転によって前記カバー側突起部に前記補助部材用突起部が係合すると前記容器本体の回転に同期しながら前記搬送補助部材が収縮することで前記回転軸方向に沿って内側へ向けて復動することを特徴としている。
【0010】
請求項6記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の現像剤容器において、
前記搬送補助部材は、往復動作によって前記カバー部材の前記補給口全域まで移動することを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、凝集した現像剤によって補給口が塞がれてしまうことを抑制することができ、現像剤補給の安定化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置10の内部構成を示す模式図である。
【図2】本実施形態に係る現像剤容器の概略構成を示す外観斜視図である。
【図3】図2の現像剤容器を長手方向に沿って切断した際の断面図である。
【図4】本実施形態に係るカバー部材の概略構成を示す説明図である。
【図5】本実施形態に係る搬送補助部材の概略構成を示す説明図である。
【図6】本実施形態に係る容器本体、カバー部材及び搬送補助部材を模式的に示す説明図である。
【図7】本実施形態に係る容器本体、カバー部材及び搬送補助部材を模式的に示す説明図である。
【図8】本実施形態に係る補助部材駆動機構の変形例を示す説明図である。
【図9】本実施形態に係る補助部材駆動機構の変形例を示す説明図である。
【図10】本実施形態に係る現像剤容器に対する流動性の評価手順を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0014】
まず、本実施形態の現像剤容器が取り付けられる画像形成装置について説明する。図1は、画像形成装置の内部構成を示す模式図である。
図1に示すように、画像形成装置10は、下部に複数の転写材容器本体20を有している。転写材容器本体20の上方には画像形成部40と中間転写ベルト50が設置されており、装置本体の上部には原稿読取部30が設置されている。
転写材容器本体20は、装置前面側(図1における紙面手前側)に引き出し可能となっている。
画像形成部40は、Y、M、C、Kの各色毎のトナー像を形成するための4組の画像形成手段400Y、400M、400C、400Kを有している、画像形成手段400Y、400M、400C、400Kは、この順で上から下方向に直線状に配列されており、各々同じ構成となっている。画像形成手段400Yを例にとって構成を説明すると、画像形成手段400Yは反時計方向に回転する感光体410、スコロトロン帯電手段420、露光手段430及び現像装置440を有する。各画像形成手段400Y、400M、400C、400Kの現像装置400には、それぞれ現像剤容器100が係合自在となっており、現像剤容器100からは現像装置400に現像剤が補給される。
クリーニング手段450は、感光体410の最下部に対向した領域を含んで配置されて
いる。
【0015】
装置本体の中央部に位置する中間転写ベルト50は、無端状であり、適宜の体積抵抗率を有する。また、中間転写ベルト50は、例えば、変性ポリイミド、熱硬化ポリイミド、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ナイロンアロイ等のエンジニアリングプラスチックに導電材料を分散した半導電性フィルム基体の外側に、フッ素コーティングを行った2層から構成されている。また、シリコンゴムあるいはウレタンゴム等に導電材料を分散したものもあり得る。
一次転写電極510は、中間転写ベルト50を挟んで感光体410と対向する位置に設置されている。
【0016】
このような画像形成装置10を使用したカラー画像を形成するプロセスについて説明する。
感光体410がメインモータ(図示せず)により駆動され、感光体410の表面が電源(図示せず)により電圧供給され、スコロトロン帯電手段420の放電により正極性に帯電される(本実施例では+800V)。次に、露光手段430により画像情報に応じた光書込がなされ、感光体410上に静電潜像が形成される。形成された静電潜像が現像装置440を通過すると、現像装置440内で正極性に帯電された現像剤が正極性現像バイアスの印加により潜像画像の部分に付着し、感光体410上にトナー像が形成される。形成されたトナー像は感光体410と圧着する中間転写ベルト50に転写される。転写後に残留した感光体410上の現像剤はクリーニング手段450により清掃される。
画像形成手段400Y、400M、400C及び400K各々で形成されたトナー像は、中間転写ベルト50に重複して転写されることにより、中間転写ベルト50上にカラー画像が形成される。
転写材Pは転写材容器本体20により1枚ずつ排出され、レジストローラ60の位置まで搬送される。レジストローラ60により転写材Pの先端が整列された後、中間転写ベルト50上のトナー像と画像位置が一致するタイミングで、転写材Pがレジストローラ60より給送される。レジストローラ60により給送された転写材Pは、ガイド板より案内され、中間転写ベルト50と転写部70により形成された転写ニップ部へ送り込まれる。
ローラにより構成される転写部70は転写材Pを中間転写ベルト50側へ押圧している。現像剤と逆極性のバイアス(−500V)が転写部70に印可されることにより、静電気力の作用で、中間転写ベルト50上のトナー像を転写材Pへ転写させる。
転写材Pは、除電針からなる分離手段(図示せず)により除電されて中間転写ベルト50から分離され、定着装置80へ送られる。その結果、トナー像が転写材Pへ定着され、トナー像が形成された転写材Pが画像形成装置10外へ排出される。
【0017】
ここで、本実施形態で用いられる現像剤としては、例えば、トナーだけからなる一成分現像剤、トナーとキャリアの混合物である二成分現像剤が挙げられる。二成分現像剤のキャリア濃度は5%質量%以上30%質量%以下である。
【0018】
本発明で使用されるトナーは、少なくとも樹脂と着色剤を含有し、公知の電子写真方式の画像形成に使用されるもので、公知のトナー製造方法を適用することにより作製されるものである。具体的には、混練、粉砕、分級工程を経てトナーを作製するいわゆる粉砕法や、重合性単量体を重合させ、同時に、形状や大きさを制御しながら粒子形成を行ういわゆる重合法によるトナー製造方法を適用することにより作製が可能である。そして、微細なドット画像の忠実な再現が求められるデジタル画像形成に使用される体積基準メディアン径(D50v径)が3μmから9μmの小径トナーを作製する場合は、その製造工程で粒径や形状の制御操作が行える重合法が好ましい。その中でも、乳化重合法や懸濁重合法により予め120nm前後の樹脂微粒子を形成しておき、この樹脂微粒子を凝集させる工程を経てトナー母体粒子を形成するいわゆる「乳化会合法」が好ましい。
【0019】
乳化会合法によるトナーの作製は、例えば、以下の様な工程を経て行われる。
(1)樹脂微粒子分散液を作製する工程
(2)加熱温度下で樹脂微粒子分散液中に凝集剤を添加し、所定粒径になるまで樹脂微粒子の融着(会合)を行う工程
(3)会合粒子が形成された分散液へ加熱を継続し、粒子形状を揃えてトナー母体粒子として熟成する工程
(4)加熱を停止してトナー母体粒子を冷却する工程
(5)形成したトナー母体粒子を洗浄する工程
(6)洗浄処理したトナー母体粒子を乾燥する工程
(7)乾燥処理を終えたトナー母体粒子表面に外添剤を添加する工程
なお、上述した体積基準メディアン径(D50v径)とは、体積基準の粒径分布で50%累積のときの粒径(50%径)を現わすものである。トナーの体積基準メディアン径は、製造工程における凝集剤濃度や投入のタイミング、あるいは温度により制御可能である。トナーの体積基準メディアン径(D50v径)は、「マルチサイザー3(ベックマン・コールター社製)」に、データ処理用のコンピュータシステムを接続した装置を用いることにより測定、算出が可能である。
【0020】
トナーの体積基準メディアン径の測定手順は、トナー0.02gを、界面活性剤溶液20mlで馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、トナー分散液を作製する。このトナー分散液を、サンプルスタンド内の「ISOTONII(ベックマン・コールター社製)」の入ったビーカーに、測定濃度5〜10%になるまでピペットにて注入し、測定機カウントを2500個に設定して測定する。なお、「マルチサイザー3」のアパチャー径は50μmのものを使用する。また、上記界面活性剤溶液は、トナーの分散を目的として、例えば、界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈したものが用いられる。
【0021】
また、本発明で使用される二成分現像剤を構成するキャリアは、芯材(コア)と呼ばれる磁性粒子より構成されるもので、芯材をそのままキャリアとして用いるものの他に、芯材表面を熱可塑性樹脂で被覆した構造の樹脂コートキャリアと呼ばれるものがある。このうち、樹脂コートキャリアは、芯材表面が樹脂で被覆されているので耐久性や摩擦帯電性等の性能が優れたキャリアとして位置付けられている。
【0022】
キャリアを形成する磁性粒子は、例えば、鉄、フェライト、マグネタイト等の公知の鉄含有磁性粒子が用いられ、その中でもフェライト粒子もしくはマグネタイト粒子が好ましく用いられる。
【0023】
キャリアの粒径、すなわち磁性粒子の粒径は、体積平均粒径で15μm〜100μmであり、好ましくは20μm〜80μmのものである。キャリアの体積平均粒径は、例えば、レーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)等の公知の測定装置を用いて測定が可能である。
【0024】
前述の樹脂コートキャリアに使用される被覆用の樹脂は、特に限定されるものではなく、例えば、スチレン系樹脂やスチレン−アクリル系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、シリコン系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素含有重合体系樹脂等の使用が可能である。
【0025】
次に、本実施形態の現像剤容器100について説明する。
図2は、現像剤容器の外観斜視図である。
現像剤容器100は、現像剤が充填される容器本体1と、当該容器本体1に着脱自在に設けられ、周面に容器本体1内に充填された現像剤を画像形成装置10内の現像装置440に補給するための補給口21を有するカバー部材2と、を備えている。
【0026】
図3は、図2の現像剤容器を長手方向に沿って切断した際の断面図である。
容器本体1は、一端が閉塞され他端が開放された長尺な円筒形状であり、円筒形状の軸方向の中心を回転軸として軸回りに回転可能となっている。容器本体1の内周面1aには、当該容器本体1の閉塞端部1d側から開放端部1c側に向けて凸形状のガイド部11が螺旋状に連続して形成されている。
したがって、固定されたカバー部材2に対して容器本体1が回転軸回りに回転することにより、容器本体1に充填された現像剤がガイド部11に沿って回転しつつ、容器本体1の開放端部1c側へと搬送されるようになっている。
なお、容器本体1を回転駆動させる回転機構としては、例えば、容器本体1の閉塞端部1dに取り付けられるモーター等の駆動源(図示しない)が挙げられる。
【0027】
図4はカバー部材2の概略構成を示す斜視図であり、(a)はカバー部材2を閉塞端部側から見た斜視図、(b)はカバー部材2を開放端部側から見た斜視図である。図4に示すように、カバー部材2は、一端が閉塞され他端が開放された円筒形状であり、容器本体1の開放端部1cに外嵌されようになっており、容器本体1に対して着脱自在である。
カバー部材2の外周面には、カバー部材2の内部に連通して、容器本体1内の現像剤を外部に排出して補給するための補給口21が形成されている。
また、カバー部材2の閉塞端面2dは、容器本体1の開放端部に対向する内面であり、この閉塞端面2dの周縁部には、容器本体1に向けて凸となるカバー側突起部22が形成されている。
また、図3に示すように、カバー部材2の外周面には、補給口21を開閉するためのシャッター部材23が取り付けられている。シャッター部材23は、画像形成装置10内の現像装置440に装着した際に自動的に補給口21を開放し、非装着時には補給口21を自動的に閉鎖する。
【0028】
容器本体1の開放端部1cには、搬送補助部材3が内嵌されている。搬送補助部材3は、容器本体1の回転に同期して回転するようになっている。
図5は、搬送補助部材3の概略構成を示す説明図であり、(a)は先端部側から見た斜視図、(b)は正面側から見た斜視図である。図5に示すように、搬送補助部材3は、両端が開放した円筒形状である。搬送補助部材3の両端部のうち、容器本体1の内部に位置する基端部には、ガイド部11に接触する補助部材用第一突起部31が一対形成されている。一対の補助部材用第一突起部31は、回転軸を中心にして互いに対向するように配置されている。なお、補助部材用第一突起部31は一対でなくとも少なくとも1つ設けられていればよい。補助部材用第一突起部31におけるガイド部11に接触する部分は、軸方向に対して傾斜した傾斜面32となっている。この傾斜面32の傾斜角度は、軸方向に対するガイド部11の角度とは異なる角度に形成されている。なお、傾斜面32の傾斜角度はガイド部11の角度よりも大きく形成されていることが好ましい。
また、搬送補助部材3の両端部のうち、容器本体1の外側に位置する先端部には、当該先端部からカバー部材2の閉塞端面2dに向けて凸となる補助部材用第二突起部33が一対形成されている。一対の補助部材用第二突起部33は、回転軸を中心にして互いに対向するように配置されている。なお、補助部材用第二突起部33は一対でなくとも少なくとも1つ設けられていればよい。また、一対の補助部材用第二突起部33は、一対の補助部材用第一突起部31のそれぞれに対しても対向して配置されている。
搬送補助部材3の内周面3aには、一部が傾斜面32に沿うように凸形状の第二ガイド部34が螺旋状に形成されている。この螺旋凸形状の第二ガイド部34によって、補給口21付近でのさらに良好な現像剤の搬送性能を得ることができる。
【0029】
次に、本実施形態に係る現像剤容器100の作用について説明する。
画像形成装置10の現像装置440に現像剤容器100が装着されると、当該現像剤容器100のカバー部材2が固定されるとともに、容器本体1が駆動源に係合する。そして、駆動源によって容器本体1が回転すると、固定されたカバー部材2に対して容器本体1及び搬送補助部材3が回転軸回りに回転する。
図6及び図7は、容器本体1、カバー部材2及び搬送補助部材3を模式的に示す説明図である。容器本体1の回転に同期して搬送補助部材3が回転する際においては、搬送補助部材3における補助部材用第一突起部31と容器本体1のガイド部11とが接触し係合しているために、容器本体1の回転力が搬送補助部材3に伝達し当該搬送補助部材3も回転する。そして、回転に伴って搬送補助部材3の傾斜面32がガイド部11に接触すると、傾斜面32がガイド部11により押されるために搬送補助部材3が回転軸方向に沿って外側へ向けて移動(往動)する。この際、図6に示すように、補助部材用第二突起部33はカバー部材2の補給口21に対向する位置まで進出する。
その後、さらに容器本体1及び搬送補助部材3が回転して、図7に示すように、補助部材用第二突起部33がカバー部材2のカバー側突起部22に係合すると、当該カバー側突起部22によって補助部材用第二突起部33が容器本体1の内部に押し込まれ、回転軸方向に沿って内側へ向けて移動(復動)する。なお、補助部材用第二突起部33とカバー側突起部22とが接触する際の衝撃を抑制するために、補助部材用第二突起部33及びカバー側突起部22の少なくとも一方の接触部分を、外側に向けて凸となる湾曲形状としておくことが好ましい。
搬送補助部材3の往復動作は、回転運動に連動して繰り返されることになる。このように、ガイド部11、カバー側突起部22、補助部材用第一突起部31及び補助部材用第二突起部33が、容器本体1の回転に同期して搬送補助部材3を回転させるとともに、回転軸方向に搬送補助部材3を往復動作させる本発明に係る補助部材駆動機構である。
【0030】
そして、容器本体1の回転運動によって、容器本体1内の現像剤はガイド部11に沿って回転しつつ、容器本体1の開放端部1c側へと搬送される。また、容器本体1の開放端部1cに到達した現像剤は、搬送補助部材3の回転運動によって、搬送補助部材3の第二ガイド部34に案内されながら補給口21まで搬送され、当該補給口21から現像装置440へと補給される。
【0031】
現像剤の搬送時においては、搬送補助部材3の回転及び往復動作により補助部材用第二突起部33も回転及び往復動作している。この同期動作した補助部材用第二突起部33は、補給口21近傍に流れ込んできた現像剤を攪拌し、現像剤中の凝集した現像剤顆粒を解砕する。
【0032】
以上のように、本実施形態の現像剤容器100によれば、容器本体1の開放端部に内嵌された搬送補助部材3が、容器本体1の回転に同期して回転するとともに、回転軸方向に沿って往復動作するので、容器本体1内の現像剤を送り出しつつも、凝集した現像剤顆粒を解砕することが可能である。したがって、凝集した現像剤によって補給口21が塞がれてしまうことを抑制することができ、現像剤補給の安定化を図ることができる。
また、補助部材用第一突起部31が回転軸を中心にして互いに対向するように一対設けられているので、一対の補助部材用第一突起部31が均等に配置されることになる。これにより、補助部材用第一突起部31がガイド部11により押される際の反発力が均等になり、搬送補助部材3を円滑に往動させることができる。
補助部材用第二突起部33が回転軸を中心にして互いに対向するように一対設けられているので、一対の補助部材用第二突起部33が均等に配置されることになる。これにより、補助部材用第二突起部33がカバー側突起部22により押される際の反発力が均等になり、搬送補助部材3を円滑に復動させることができる。
【0033】
なお、本発明は上記実施形態に限らず適宜変更可能である。以下の説明において、上記実施形態と同一の部分においては同一の符号を付してその説明を省略する。
【0034】
上記実施形態では、ガイド部11、カバー側突起部22、補助部材用第一突起部31及び補助部材用第二突起部33を備えた補助部材駆動機構を例示して説明したが、容器本体1の回転に同期して搬送補助部材3を回転させるとともに、回転軸方向に搬送補助部材3を往復動作させるものであれば補助部材駆動機構の構成はこれに限定されるものではない。
【0035】
例えば、図8に示す補助部材駆動機構では、搬送補助部材3Aの外周面に形成された螺旋凸形状のガイド部38aと、容器本体1Aの外側に位置する搬送補助部材3の先端部からカバー部材2の閉塞端面2dに向けて凸となり、カバー側突起部22に対して係合自在な補助部材用突起部39aと、容器本体1の開放端部近傍に形成され、ガイド部38aに係合する本体用係合部19aと、カバー側突起部22とを備えている。なお、ここで例示する本体用係合部19aにおいては、容器本体1Aの開放端部の内周縁部である。また容器本体1Aの内周面には上述したガイド部11は形成されていない。
そして図8に示す補助部材駆動機構において、容器本体1Aが回転する際には、本体用係合部19aがガイド部38aに係合することで、搬送補助部材3Aが容器本体1Aに同期して回転しながら回転軸方向に沿って外側へ向けて往動し、回転によってカバー側突起部22に補助部材用突起部39aが係合すると容器本体1の回転に同期して回転しながら搬送補助部材3Aが回転軸方向に沿って内側へ向けて復動するようになっている。
【0036】
また、図9に示す補助部材駆動機構では、容器本体1Bの開放端部に固定され、軸方向に弾性変形自在に形成された搬送補助部材3Bと、容器本体1Bの外側に位置する搬送補助部材3Bの先端部からカバー部材2の閉塞端面2dに向けて凸となり、カバー側突起部22に対して係合自在な補助部材用突起部39bと、カバー側突起部22とを備えている。
そして、図9に示す補助部材駆動機構において、容器本体1Bが回転すると、搬送補助部材3Bが容器本体1Bに同期して回転しながら伸張することで回転軸方向に沿って外側へ向けて往動し、回転によってカバー側突起部22に補助部材用突起部39bが係合すると容器本体1Bの回転に同期しながら搬送補助部材3Bが収縮することで回転軸方向に沿って内側へ向けて復動するようになっている。
【0037】
[実施例]
次に、上記実施形態の現像剤容器100の実施例について説明する。本実施例においては、容器本体1に一成分現像剤を充填した。これは一成分現像剤の方が二成分現像剤よりも流動性が劣っているため、流動性の向上を評価するうえで好適である。一成分現像剤として用いるトナーは、乳化重合法により作製された粒径6μmのシアンのトナーである。シアンのトナーは他の色に比べて顔料の影響により流動性が劣っているため、流動性の向上を評価するうえで好適である。
また、容器本体1の内容積は1000cc、現像剤の流路面積は27.67cmである。また、搬送補助部材3の流路面積は26.68cmである。補給口21の流路面積は1.69cmである。
【0038】
図10は、流動性の評価手順を示す説明図である。まず図10(a)に示すように開放端部が上方を向くように容器本体1を載置し、容器本体1内にトナーTを充填する。このとき、空隙ができないように時間をかけてトナーTを充填する。トナーTの充填量は600g、充填率は100%とする。
充填後、図10(b)に示すように、容器本体1に搬送補助部材3(図10では省略)及びカバー部材2を取り付け、カバー部材2側が下方となるように現像剤容器100を載置する。そして、圧密の加速化、再現性の確保のため、容器本体1を恒温・湿下な環境で数時間静かに放置して補給口21近傍にトナーTが圧密されるようにする。
【0039】
その後、補給口21近傍の圧密されたトナーが不意に解砕されないように注意して、トナーの排出を確認する試験装置に現像剤容器100をセットする。設定後、図10(c)に示すように、回転数30rpmで容器本体1を回転させて補給口21からのトナーTの排出具合を確認する。ここで、補助部材用第二突起部33の動作範囲は、補給口21の半分までとしている。
【0040】
【表1】

【0041】
表1は、補給口21からの排出具合を目視により評価した結果を示している。表中、「×」は全く排出されていない場合、「△」は排出量が少ない場合、「○」は普通に排出されている場合、「◎」は多量に排出されている場合を示している。また、比較例として、往復動作はせず回転運動だけをする搬送補助部材を取り付けた現像剤容器も同様の評価を行っている。また、実施例2として、補助部材用第二突起部33の動作範囲を補給口21の全部までとした搬送補助部材3を取り付けた現像剤容器100も同様の評価を行っている。
比較例では、評価回数を増やしてもあまり好適な排出が得られなかったことがわかる。また、実施例1では、いずれの評価回数においても「○」以上の評価が得られていることがわかる。さらに、実施例2では、全ての評価回数で「◎」の評価が得られていることがわかる。この評価結果からも、搬送補助部材3は、往復動作によってカバー部材2の補給口21全域まで移動することが好ましきことがわかる。
【符号の説明】
【0042】
1 容器本体
1a 内周面
1c 開放端部
1d 閉塞端部
2 カバー部材
2d 閉塞端面
3 搬送補助部材
10 画像形成装置
11 ガイド部(補助部材駆動機構)
21 補給口
22 カバー側突起部(補助部材駆動機構)
31 補助部材用第一突起部(補助部材駆動機構)
32 傾斜面
33 補助部材用第二突起部(補助部材駆動機構)
34 第二ガイド部
100 現像剤容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を収容する円筒状の容器本体と、
前記容器本体の開放端部を覆い、周面に前記容器本体の内部に連通し、現像剤を外部に補給するための補給口を有するカバー部材と、
前記容器本体の前記開放端部に内嵌される搬送補助部材とを備え、
前記搬送補助部材は、
前記容器本体の回転に同期して前記搬送補助部材が回転するとともに、回転軸方向に沿って往復動作することを特徴とする現像剤容器。
【請求項2】
請求項1記載の現像剤容器において、
前記容器本体の回転に同期して前記搬送補助部材を回転させるとともに、前記回転軸方向に前記搬送補助部材を往復動作させる補助部材駆動機構を備えることを特徴とする現像剤容器。
【請求項3】
請求項2記載の現像剤容器において、
前記補助部材駆動機構は、
前記容器本体の開放端部に対向する前記カバー部材の内面に形成され、前記容器本体に向けて凸となるカバー側突起部と、
前記容器本体における前記開放端部近傍の内周面に形成された螺旋凸形状のガイド部と、
前記容器本体の内部に位置する前記搬送補助部材の基端部に形成され、前記ガイド部に接触するとともに、当該接触部分が前記ガイド部の角度とは異なる傾斜面に形成された補助部材用第一突起部と、
前記容器本体の外側に位置する前記搬送補助部材の先端部から前記カバー部材の前記内面に向けて凸となり、前記カバー側突起部に対して係合自在な補助部材用第二突起部とを備え、
前記容器本体が回転する際には、前記補助部材用第一突起部が前記ガイド部に係合することで、前記搬送補助部材が前記容器本体に同期して回転しながら前記回転軸方向に沿って外側へ向けて往動し、前記回転によって前記カバー側突起部に前記補助部材用第二突起部が係合すると前記容器本体の回転に同期して回転しながら前記搬送補助部材が前記回転軸方向に沿って内側へ向けて復動することを特徴とする現像剤容器。
【請求項4】
請求項2記載の現像剤容器において、
前記補助部材駆動機構は、
前記容器本体の開放端部に対向する前記カバー部材の内面に形成され、前記容器本体に向けて凸となるカバー側突起部と、
前記搬送補助部材の外周面に形成された螺旋凸形状のガイド部と、
前記容器本体の外側に位置する前記搬送補助部材の先端部から前記カバー部材の前記内面に向けて凸となり、前記カバー側突起部に対して係合自在な補助部材用突起部と、
前記容器本体の前記開放端部近傍に形成され、前記ガイド部に係合する本体用係合部と、を備え、
前記容器本体が回転する際には、前記本体用係合部が前記ガイド部に係合することで、前記搬送補助部材が前記容器本体に同期して回転しながら前記回転軸方向に沿って外側へ向けて往動し、前記回転によって前記カバー側突起部に前記補助部材用突起部が係合すると前記容器本体の回転に同期して回転しながら前記搬送補助部材が前記回転軸方向に沿って内側へ向けて復動することを特徴とする現像剤容器。
【請求項5】
請求項2記載の現像剤容器において、
前記補助部材駆動機構は、
前記容器本体の開放端部に対向する前記カバー部材の内面に形成され、前記容器本体に向けて凸となるカバー側突起部と、
前記容器本体の前記開放端部に固定され、軸方向に弾性変形自在に形成された前記搬送補助部材と、
前記容器本体の外側に位置する前記搬送補助部材の先端部から前記カバー部材の前記内面に向けて凸となり、前記カバー側突起部に対して係合自在な補助部材用突起部とを備え、
前記容器本体が回転すると、前記搬送補助部材が前記容器本体に同期して回転しながら伸張することで前記回転軸方向に沿って外側へ向けて往動し、前記回転によって前記カバー側突起部に前記補助部材用突起部が係合すると前記容器本体の回転に同期しながら前記搬送補助部材が収縮することで前記回転軸方向に沿って内側へ向けて復動することを特徴とする現像剤容器。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の現像剤容器において、
前記搬送補助部材は、往復動作によって前記カバー部材の前記補給口全域まで移動することを特徴とする現像剤容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−88739(P2013−88739A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231378(P2011−231378)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】