説明

現像剤担持体の製造方法、現像剤担持体、現像装置及び画像形成装置

【課題】良好な電気伝導性を有する金属膜からなる電極パターンを、選択的に形成可能であり、かつ表面を平滑として耐久性に優れた現像剤担持体を安価に製造可能な方法を提供する。
【解決手段】ローラ状部材11の表面に絶縁層12を形成する工程と、絶縁層12の表面全体に改質処理を施しOH基を導入する工程と、改質処理を施した絶縁層12の表面に、構造中に金属捕捉能を持つ官能基を有する有機化合物のパターン30を形成する工程と、絶縁層12表面に対無電解めっきの触媒31を付着させる工程と、絶縁層表面12における有機化合物のパターンを形成した以外の箇所から無電解めっき触媒を除去する工程と、無電解めっきの触媒を付着したローラ状部材11を無電解めっき処理し有機化合物のパターン30に基づく形状を有する第2の電極13を析出形成させる工程と、第2の電極を形成したローラ状部材の表面に保護層14を形成する工程と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触現像方式に用いる現像剤担持体の製造方法及び現像剤担持体に関し、特に現像剤を飛翔させるための電界を発生させるための複数の電極を有する現像剤担持体の製造方法及び現像剤担持体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ等の電子写真による画像出力装置の現像プロセスにおいて、感光体などの潜像担持体に現像剤を供給する際に、現像剤担持体上の現像剤と潜像担持体とを直接接触させることなく行う方式はいわゆる非接触現像方式として知られている。この方式は潜像担持体の潜像形成部のみに現像剤を供給することができるために高品位な出力画像を得ることができる。
かかる現像方式を実現する現像装置として、例えば特許文献1には、互いに絶縁された状態で所定方向に並ぶ複数の電極を有する電極パターンを備えた表面移動可能な現像剤担持体を備え、複数の電極における所定の電極を起点にした奇数番目電極群と偶数番目の電極群との間に互いに位相ズレしたパルス電圧を印加することで電位差を生起させ、現像剤担持体の表面上の現像剤を電極間で移動させながら現像剤担持体の表面移動によって潜像担持体との対向位置まで搬送して潜像担持体上の潜像に付着させる現像装置が提案されている。
かかる現像装置における現像剤担持体の作成方法としては、絶縁体であるアクリル樹脂の円筒に軸穴を設け、ステンレス製の電極軸を円筒の軸穴に圧入して電極軸を奇数番目電極群、偶数番目電極群にそれぞれ接続する。次いで、現像剤担持体の表面を外周旋削によって平滑に仕上げ、溝のピッチが100[μm]、溝幅が50[μm]となるように溝の切削を行う。溝切削を行ったローラに無電解ニッケルのメッキを施し、無電解ニッケルのメッキを施したローラの外周を旋削して不要な導体膜を取り除く。その後、ローラにシリコン系樹脂をコーティングすることでローラの表面を平滑にし、同時に表面保護層(厚み約5[μm]、体積抵抗率約1010[Ω・cm])を形成して現像剤担持体を製作している。
【0003】
また、特許文献2においては、現像剤担持ローラのローラ部表面の法線方向に互いに重なるように積層した第1電極層と第2電極層とを設け、それらの電極層のうち、ローラ表面により近い上層の位置に存在する第2電極層に、ローラ表面移動方向と、これに直交する方向である移動直交方向とにそれぞれマトリクス状に独立して並ぶ複数の開口を、移動直交方向における感光体の潜像担持可能領域の全域に渡って設け、ローラ部表面上の現像剤を、ローラ周方向に一様に形成された第1電極層の全領域のうち、第2電極層における複数の開口のそれぞれ直下に存在している複数の開口直下箇所と、第2電極層における複数の開口のそれぞれ間に存在している複数の開口間箇所との間でホッピングさせるようにした現像装置が提案されている。
その他に実現可能性のある公知の技術としてスクリーン印刷に代表される有版印刷法がある。これは、電極パターンが形成された版を用いて印刷用インクの代わりに導電性ペーストを基板に印刷した後加熱焼成を行うことにより電極パターンとするものである。有版印刷法は、版を必要とするため、少量多品種の生産には向かないが、大量生産では低コスト化が見込める方法である。
【0004】
また他の公知技術としてフォトエッチング法が挙げられる。フォトエッチング法は絶縁基材全面に金属膜を作製しその上にフォトリソグラフィーにより耐エッチング性の材料でパターン形成を行った後にエッチングにより不要な金属部を除去することにより電極パターンを形成する方法であり電気伝導性が良好で精度の高い導電パターンを形成できる方法である。
さらに、絶縁性樹脂表面に金属膜を形成する手段として無電解めっき法がある。この方法は絶縁樹脂表面にめっき析出反応の触媒となる材料を付着させた後、無電解めっき液に浸漬処理することで触媒を開始点として析出反応が進行し金属膜が得られる。形状によらず均一膜厚で金属膜を形成可能なプロセスである。
ただし密着力の確保に課題であり、一般には絶縁性樹脂表面を高濃度のクロム酸によりエッチング処理することにより凹凸を形成し表面積の増大及び投錨効果により密着力を確保している。しかしながらクロム酸が生体に対して有害であることから、例えば特許文献3においては、クロム酸によるエッチングに替わる前処理として、紫外線を照射することにより密着力が向上させるという方法が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現像剤担持体の構造に関しては、特許文献1に記載されている現像剤担持体はいずれも同一表面上に2相の電極を有しているが、実用的な電圧で現像剤を飛翔させるためには電極間隔を小さくする必要があり、かつ同一の工程内で作製するために短絡が生じる可能性が生じる。このような構造においては隣接するいずれの電極間で短絡が生じてもすべての電極間で電位差が生じなくなり現像剤を飛翔させることができなくなるという問題がある。
また、特許文献1において開示されている方法においては、アクリル樹脂に対する溝の切削加工及び無電界ニッケルめっき後の表面旋削加工が行われているが、この際に、バリや欠けが生じ、現像剤担持体表面が平滑にならない。その結果として現像剤担持量が一定にならず、画像への悪影響が生じるという問題がある。さらに、溝加工時は欠けが生じた場合には隣接電極間での短絡の原因となるという問題点もある。加えて、樹脂材料への無電界めっきは一般に密着力が低く、旋削加工時の応力に耐えられず剥離してしまうという問題があるが、密着力を向上させる手段も開示されていない。
特許文献2記載の構造は第1電極層と第2電極層が現像剤担持体の法線方向に互いに異なる層に絶縁層を介して形成されており、異なる工程で作製することができるために作製する上でも短絡の可能性を大幅に低減させることができる。また、第2電極パターンにおいては短絡が生じてもその機能には影響が無いために望ましい構造である。
また、特許文献2においては現像剤担持体の作製方法が開示されておらず、かかる現像剤担持体の作製方法に関して有効な技術はこれまで無かった。
また、有版印刷法により導電性ペーストのパターン形成を行う方法においては、円筒体のような無端形状に対しては、印刷開始部と印刷終了部とを厳密に一致させる必要がある。この際に、印刷開始時にすでに印刷された導電性ペーストが印刷終了時に版と再度接触することとなり、これによりパターン形状が乱れるという問題がある。
また、フォトエッチング法は一般に金属膜の形成に真空プロセスが用いられ、現像剤担持体のような円筒形状に均一な膜厚で成膜するためには大型で特殊な設備が必要となる。また、設備の大型化に伴い真空への排気時間が長くなる。また、金属膜形成後もパターン化するために多くの設備で長い工程が必要であり、結果として製造コストの増大を招くという問題がある。
【0006】
一方無電解めっき法は形状によらず均一膜厚で金属膜を形成可能なプロセスであるが、絶縁性樹脂上に同方法により金属膜を、密着強度を確保して形成するためには適切な前処理を施す必要がある。一般には絶縁性樹脂表面を高濃度のクロム酸によりエッチング処理することにより凹凸を形成し表面積の増大及び投錨効果により密着力を確保している。しかしながら、この際に用いるクロム酸は生体に対して有害な物質である。さらに形成される凹凸が数μm以上と大きく、本発明の現像剤担持体の製造に用いた場合には第1の電極層と第2の電極層間の絶縁耐圧の低下さらには短絡の原因となることから適用することができない。
これに対して、特許文献3にはエッチングに代わる前処理法が開示されている。しかしながら同方法によれば対象部材の全面にめっき膜を形成することは可能であるが、部位選択的に形成する技術は開示されていない。したがって電極パターンを形成するためには一度全面に金属膜を形成した後に不要部を除去する必要があり上述したフォトエッチング法を利用することとなり同様の問題点がある。
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、良好な電気伝導性を有する金属膜からなる電極パターンを、選択的に形成可能であり、かつ表面を平滑として耐久性に優れた現像剤担持体を安価に製造可能な方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、請求項1の発明は、少なくとも最表面が電気伝導性を有する第1の電極としてのローラ状部材の外表面に、該ローラ状部材を覆う絶縁層と、開口領域を有するパターン形状を備える第2の電極と、前記開口領域及び第2の電極を覆う保護層と、を順次積層して構成した現像剤担持体の製造方法であって、前記ローラ状部材の表面に絶縁層を形成する第1の工程と、前記絶縁層の表面全体に改質処理を施しOH基を導入する第2の工程と、改質処理を施した前記絶縁層の表面に、構造中に金属捕捉能を持つ官能基を有する有機化合物のパターンを形成する第3の工程と、前記絶縁層表面に対無電解めっきの触媒を付着させる第4の工程と、前記絶縁層表面における前記有機化合物のパターンを形成した以外の箇所から無電解めっき触媒を除去する第5の工程と、前記無電解めっきの触媒を付着した前記ローラ状部材を無電解めっき処理し前記有機化合物のパターンに基づく形状を有する第2の電極を析出形成させる第6の工程と、前記第2の電極を形成したローラ状部材の表面に保護層を形成する第7の工程と、を有する現像剤担持体の製造方法を特徴とする。
また、請求項2の発明は、前記構造中に金属捕捉能を持つ官能基を有する有機化合物が、官能基としてアミノ基、イミノ基、ニトリル基及びピロール基の少なくとも一つを含むシランカップリング剤である請求項1に記載の現像剤担持体の製造方法を特徴とする。
また、請求項3の発明は、前記ローラ状部材をアルカリ溶液と接触させることにより、前記絶縁層表面における前記有機化合物のパターンを形成した以外の箇所から無電解めっき触媒を除去する請求項1又は2に記載の現像剤担持体の製造方法を特徴とする。
【0008】
また、請求項4の発明は、前記第3の工程において前記構造中に金属捕捉能を持つ官能基を有する有機化合物の溶液または分散液をインクジェット法により前記ローラ状部材に塗布することにより前記有機化合物のパターンを形成する請求項1乃至3の何れか一項に記載の現像剤担持体の製造方法を特徴とする。
また、請求項5の発明は、前記第3の工程において、前記構造中に金属捕捉能を持つ官能基を有する有機化合物の溶液または分散液を、前記第2の電極のパターン形状に応じた凸部を有する印刷板に塗布し、前記印刷板の前記凸部に付着した前記有機化合物の溶液または分散液を、中間転写体を介して前記ローラ状部材の表面に転写する請求項1乃至3の何れか一項に記載の現像剤担持体の製造方法を特徴とする。
また、請求項6の発明は、前記無電解めっき処理が無電解銅めっき処理である請求項1乃至5の何れか一項に記載の現像剤担持体の製造方法を特徴とする。
【0009】
また、請求項7の発明は、請求項1乃至6の何れか一項に記載の現像剤担持体の製造方法により製造された現像剤担持体を特徴とする。
また、請求項8の発明は、外周面に現像剤を担持させ、該現像剤担持体を表面移動させることにより現像領域内における潜像担持体上の潜像に現像剤を供給して該潜像を現像する現像装置において、上記現像剤担持体として、請求項7に記載の現像剤担持体を用い、前記第1の電極及び第2の電極に対して互いに異なる電圧を給電するための給電部及び電源を有する現像装置を特徴とする。
また、請求項9の発明は、請求項8に記載の現像装置を備えた画像形成装置を特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
以上のように構成したので、本発明によれば、絶縁層上に薄膜であっても良好な電気伝導性の電極パターンを高い密着力で形成が可能である。さらに、一連の無電解めっき処理プロセスは一括大量処理が可能であることから現像剤担持体を安価に製造することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係るデジタル複写機の概略構成図。
【図2】現像剤担持体表面近傍の断面および電気力線の様子を示す図。
【図3】本発明の現像剤担持体の概略図。
【図4】本実施形態における第2の電極のパターン形状を平面展開した図。
【図5】本実施形態における第2の電極のパターン形状の他の例を示す図。
【図6】本実施形態における第2の電極のパターン形状の他の例を示す図。
【図7】第1の実施例による現像剤担持体の作製フローを示す図。
【図8】インクジェット法によるパターン形成を示した図。
【図9】第2の実施例によるパターン形成を示した図。
【図10】第2の実施例によるパターン形成を示した図。
【図11】第2の実施例によるパターン形成を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、図面を参照して、本発明を実施するための形態についての詳細な説明を行う。
図1は、本発明の実施形態に係るデジタル複写機の概略構成図である。
この構成は、画像処理装置としての複写機100であり、この複写機100の上面にはコンタクトガラス206が設けられている。また、複写機100の上部には自動原稿送り装置(以下、単にADFという)201が設けられており、このADF1はコンタクトガラス206を開閉するように複写機100に図示しないヒンジ等を介して連結されている。このADF201は、複数の原稿からなる原稿束を載置可能な原稿載置台としての原稿トレイ202と、原稿トレイ202に載置された原稿束から原稿を1枚ずつ分離してコンタクトガラス206に向かって搬送する分離・搬送手段と、分離・搬送手段によってコンタクトガラス206に向かって搬送された原稿をコンタクトガラス206上の読取位置に搬送・停止させるとともに、コンタクトガラス206の下方に配設された複写機100の読取手段(公知の露光ランプ251、ミラー252、255、256、レンズ253、CCD254等)250により読み取りが終了した原稿をコンタクトガラス206から搬出する。給紙モータはコントローラからの出力信号によって駆動されるようになっており、コントローラは複写機100から給紙スタート信号が入力されると、給紙モータを正・逆転駆動するようになっている。給紙モータが正転駆動されると、給送ローラ203が時計方向に回転して原稿束から最上位に位置する原稿が給紙され、コンタクトガラス206に向かって搬送される。この原稿の先端が原稿セット検知センサ207によって検知されると、コントローラは原稿セット検知センサ207からの出力信号に基づいて給紙モータを逆転駆動させる。これにより、後続する原稿が進入するのを防止して分離されないようになっている。
【0013】
また、コントローラは原稿セット検知センサ207が原稿の後端を検知したとき、この検知時点からの搬送ベルトモータの回転パルスを計数し、回転パルスが所定値に達したときに、給送ベルト204の駆動を停止して給送ベルト204を停止することにより、原稿をコンタクトガラス206読取位置に停止させる。また、コントローラは原稿セット検知センサ7によって原稿の後端が検知された時点で、給紙モータを再び駆動し、後続する原稿を上述したように分離してコンタクトガラス206に向かって搬送し、この原稿が原稿セット検知センサ207によって検知された時点からの給紙モータのパルスが所定パルスに到達したときに、給紙モータを停止させて次原稿を先出し待機させる。そして、原稿がコンタクトガラス206の読取位置に停止したとき、複写機100によって原稿の読み取りおよび露光が行なわれる。この読み取りおよび露光が終了すると、コントローラには複写機100から信号が入力されるため、コントローラはこの信号が入力すると、搬送ベルトモータを正転駆動して、搬送ベルト216によって原稿をコンタクトガラス206から排送ローラ205に搬出する。
上記のように、ADF201にある原稿トレイ202に原稿の画像面を上にして置かれた原稿束は、操作部上のプリントキーが押下されると、一番上の原稿からコンタクトガラス206上の所定の位置に給送される。給送された原稿は、読み取りユニット250によってコンタクトガラス206上の原稿の画像データを読み取り後、給送ベルト204および反転駆動コロによって排出口A(原稿反転排出時の排出口)に排出される。さらに、原稿トレイ202に次の原稿が有ることを検知した場合、前原稿と同様にコンタクトガラス206上に給送される。
【0014】
第1トレイ208、第2トレイ209、第3トレイ210に積載された転写紙は、各々第1給紙ユニット211、第2給紙ユニット212、第3給紙ユニット213によって給紙され、縦搬送ユニット214によって感光体215に当接する位置まで搬送される。読み取りユニット250にて読み込まれた画像データは、書き込みユニット257からのレーザによって感光体215に書き込まれ、現像ユニット227を通過することによってトナー像が形成される。そして、転写紙は感光体215の回転と等速で搬送ベルト216によって搬送されながら、感光体215上のトナー像が転写される。その後、定着ユニット217にて画像を定着させ、排紙ユニット218に搬送される。排紙ユニット218に搬送された転写紙は、ステープルモードを行わない場合は、排紙トレイ219に排紙される。
次に、図1における現像ユニット227に含まれ、感光体215に現像剤を供給する現像剤担持体についての説明を行う。
現像剤担持体は、円筒形状の径方向の内側から第1の電極と、第1の電極を覆う絶縁層と、開口領域を有する第2の電極と、開口領域及び第2の電極を覆う絶縁性を有する保護層(保護膜)とからなる。以下に現像剤担持体を用いた現像剤の飛翔、帯電機能について、図を用いて説明する。
【0015】
図2は現像剤担持体表面近傍の断面および電気力線の様子を示す図である。
現像剤担持体10は、円筒状の部材であり、径方向の内側から順に第1の電極11と、第1の電極11の全面を覆う絶縁層12と、絶縁層12の表面に形成された第2の電極13と、第2の電極13を覆う保護膜14と、が積層された構造を有する。
また、第2の電極13は、所定の間隔で配置された電極部13aと、開口部13bを有する。
第1の電極11と第2の電極13とに互いに異なる電圧を印加したとき、第1の電極11と第2の電極13(電極部13a)とが対向している部分ではその間に電界が生じ、第2の電極13の開口部13bでは第1の電極11から現像剤担持体10表面を通り、隣に位置する第2の電極13の表面側に電気力線が向かう。
ここで、図1(a)に示すように、第2の電極13に与えられる電位が第1の電極11に与えられる電位に対してより負極性側であるとして、第2の電極13直上の保護膜14と負極性に帯電した現像剤Dとが付着力F2で付着しているとする。
電界により現像剤Dは電気力線に沿って上向きの力F1を受ける。このときF1>F2の関係が成り立つと現像剤Dは保護膜14との付着力に打ち勝ち電気力線に沿って飛翔し、第2の電極13の開口部13b直上へと移動する。
【0016】
一方、図1(b)に示すように、第1の電極11に与えられる電位が第2の電極13に与えられる電位に対してより負極性側であるとして、第2の電極13の開口部13b直上の保護膜14と負極性に帯電した現像剤Dとが付着力F2’で付着しているとする。
電界により現像剤Dは電気力線に沿って上向きの力F1’を受ける。このときF1’>F2’の関係が成り立つと現像剤は保護膜との付着力に打ち勝ち電気力線に沿って飛翔し第2の電極13直上へと移動する。このようにして現像剤担持体10からの現像剤の飛翔を起こすことができる。
このF1>F2、F1’>F2’が成り立つような電圧を第1の電極11と第2の電極13に交互に印加することで現像剤Dは第2の電極13の電極部13a直上と開口部13b直上とを行き来することになる。その都度現像剤Dと保護膜14とは衝突する。保護膜14が現像剤に対して帯電序列においてより正電荷側であれば衝突回数を増すごとに現像剤Dの帯電量は増す。このようにして現像剤の飛翔と同時に帯電も同時にもたらすことができる。
【0017】
次に、本実施形態に係る現像剤担持体(トナー担持体)の構造を詳細に説明する。
図3は、本発明の現像剤担持体の概略図であり、a)は斜視図、b)は円筒軸長方向における断面図、c)は円筒軸長方向に直交する方向における断面図である。
現像剤担持体10は基材となるローラ状組立体20の表面に、絶縁層12、第2の電極13、絶縁性を有する保護膜14が順次形成されている。
ローラ状組立体20は、中空の円筒体21と、その長手方向(軸方向)両端部に設けた第1フランジ22及び第2のフランジ23と、両フランジ22、23にそれぞれ固定されて円筒体21と同軸となる軸部材24、25とから構成されている。
中空の円筒体21は現像剤担持体10の基材と第1の電極11とを兼ねているため、少なくともその表面は導電性を有する。
円筒体21の材質には、アルミニウム、SUS(ステンレス鋼:Stainless Steel)、鉄、銅、真鍮等の金属材料や、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂等からなる樹脂ローラの表面にアルミニウムや銅などの導電層を形成したものを用いることができる。
本実施形態においてはSUS製の円筒体を用いた。円筒体21端部に接するフランジのうち第1のフランジ22は導電材料よりなり、第1の電極11と接することにより導通状態になっている。材質は円筒体21と同様のものを用いることができるが、本例においてはSUSを用いた。
【0018】
第1のフランジ22中央には導電性部材よりなる軸部材24が固定されており、これを給電部材として電源と接続することにより、第1の電極11に電圧を印加することが可能になる。
第2のフランジ23は、絶縁材料からなる部分23aと、導電部材からなる部分23bとからなっている。導電性材料からなる部分23bは、第1の電極11との間に設けられている絶縁性樹脂からなる部分23aによって第1の電極と直接接することなく、電気的に絶縁されている。絶縁材料には絶縁性樹脂やセラミックスが使用できる。また、第2のフランジ23の軸部材25には、第1のフランジ22に使用したものと同様のものが使用できる。
ローラ状組立体20の最外層には、絶縁性を有する絶縁層12が形成され、少なくとも第2のフランジ23に設けた導電性部材の一部を除く領域は絶縁層12で覆われている。
絶縁層12の厚さは、3μmより薄いと第1の電極11と第2の電極13間との絶縁不良を起こし、100μmよりも厚いと、第1の電極11と第2の電極13により形成される現像剤担持体10表面における電界の強度が弱くなってしまい現像剤を安定して飛翔させることが困難になることから、絶縁層12の厚さは、3μm以上100μm以下の範囲であることが望ましい。
【0019】
また、この絶縁層12の材料には、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、ポリイミド樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、フラン樹脂、アルキッド樹脂等の熱硬化性樹脂や、これら熱硬化性樹脂を2種以上含む混合物であっても使用することができる。また、ガラスやセラミックス等の無機材料や、ポリカーボネート樹脂、PET樹脂、PBT樹脂、ポリアミド、COP(シクロオレフィン樹脂)等の熱可塑性樹脂、各種光硬化性樹脂を用いることができるが、特に熱硬化性樹脂が一般に耐熱性、耐薬品性に優れているために好適である。
本実施形態においては、絶縁層12の材料にアルキッド樹脂を用い、厚さを20μmとした。
絶縁層12表面には開口を有する第2の電極13を有する。第2の電極13は、その一部を第2フランジ23の導電性部材からなる部分23bと電気的に接続する。従って、第2フランジ23に固定される軸部材25を給電部として電源と接続することにより、第2の電極13に電圧を印加することが可能になる。
【0020】
図4は本実施形態における第2の電極13のパターン形状を平面展開した図を示した図である。
また、図5、6は、本実施形態における第2の電極のパターン形状の他の例を示す図である。
図4に示すように、第2の電極13は、スリット状の電極パターンが両端部において互いに接続された構造になっている。スリット状部分の電極幅W1及び電極間の開口の幅W2はそれぞれ一定にする必要がある。これは上述したように現像剤の帯電、飛翔機構が現像剤担持体10に生じる電界の大きさに影響されるためであり、場所によりこれら寸法が異なると電界強度が異なり現像剤の帯電量や飛翔量が異なる。結果として潜像担持体への現像剤供給量が変動し画像に濃度むらが生じることとなる。電極部13aの幅W1は200μm以下であることが望ましい。200μmより大きいと、電圧供給側からの距離が遠い箇所の電圧が低くなり、その箇所で現像剤を安定かつ有効に飛翔させることが困難となる。電極部13aの幅W1の下限は機能上の制約はないが、10μm以下であると断線が生じるなど、電極の作製上困難になるため、それ以上であることが好ましい。開口部の幅W2は20μm以上1000μm以下であることが望ましい。20μm以下では開口部に隣接する電極部により遮蔽され現像剤担持体10表面に現れる電界が十分でなくなり、現像剤を安定かつ有効に飛翔させることが困難となる。また、1000μm以上になると開口部の隣接する電極から離れる周方向中央部近傍における現像剤担持体10表面に現れる電界が十分でなくなり現像剤を安定かつ有効に飛翔させることが困難となる。また、電極の厚さは0.1μmから10μmの範囲であることが望ましい。0.1μmより薄いと電圧印加により損傷を受け経時的に断線が生じる。
【0021】
一方10μmより厚いと現像剤担持体10表面に凹凸が生じ、その凹部に現像剤が滞留してしまう。また、保護膜14によりこの凹凸を吸収しようとすると保護膜14が厚くなり後述するような問題が生じる。本例においては、電極幅W1100μm、電極間開口幅W2150μmとし、電極の厚さは0.5μmとした。
なお、電極パターン形状は、図3、4に示すスリット形状に限定されるものではなく、図5に示すハニカム形状、図6に示す格子状であってもよい。
すなわち、第2の電極13としては、上記した条件の電極幅、電極間開口を有し、無端状にパターンが形成され、すべての電極に同じ電圧が印加されるようにパターンであれば良い。
第2の電極13の電極部13a及び開口部13bは保護膜14により覆われている。保護膜14として用いる材料はシリコン樹脂、ナイロン樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、メラミン樹脂、ポリカーボネート樹脂等が使用される。また、その厚さは3μm以上100μm以下であることが好ましい。3μmより薄いと経時使用による摩耗等で、第2の電極13が露出してしまい電極の断線などの恐れがある。また、100μmより厚いと第1の電極11と第2の電極13とにより形成されるトナー担持体表面における電界強度が弱くなってしまうために現像剤を飛翔させることが困難になるから3μm以上100μm以下の範囲であることが望ましい。
【0022】
次に、本実施形態における現像剤担持体の作製工程を説明する。
図7は、本実施形態の現像剤担持体の作製フローを示す図である。ただし、図においては現像剤担持体10を構成するフランジ22、23等は省略しており、円筒体21への絶縁層12、第2の電極13、保護膜14の形成のみを示している。
[第1の実施例]
1)絶縁層の形成
第1の電極11として、直径16mmのアルミニウム製の円筒体21を用意し(図7(a))、その両端に図示しない第1フランジ22、および第2フランジ23を設けてローラ状組立体20とした。次いで、絶縁材料として未硬化のアルキッド樹脂及び粘度調整用の溶媒としてメチルエチルケトンを混合し用意し、ディッピング法により塗膜形成後、加熱硬化することにより膜厚20μmの絶縁層12を形成した(図7(b))。
2)改質処理
絶縁層12を形成したローラ状組立体20を回転させながら、大気中で低圧水銀ランプからの紫外光を5分間照射することにより全周に亘り表面改質処理を施した(図7(c))。
この処理により、絶縁層12の表面12aの水滴接触角が90度から40度に低下し、親水基であるOH基が導入されたことが示された。
この改質処理は、一般にUV/O処理と呼ばれる手法であるが、この手法に限られることはなく、エキシマランプ照射処理や大気圧プラズマ処理、コロナ放電処理などの既知の手法を用いることが出来る。
【0023】
3)金属補足能を持つ官能基を有する有機化合物のパターン形成
工程2)で改質処理を施したローラ状組立体20を固定して回転可能な駆動機構と、固定したローラ状組立体20の軸長方向に往復運動可能な駆動装置に固定したインクジェットヘッドからなるインクジェット装置を用意した。
さらに、シランカップリング剤であるN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン1vol%、イソプロピルアルコール1vol%をそれぞれ含む水溶液をよく混合し、インクジェット装置に用いるインクとして用意した。
ローラ状組立体20をインクジェット装置に固定・回転し、図8に示すようにインクジェットヘッド40を往復走査させながら上述のインクにより第2の電極13のパターン形状に応じたインクパターン30を形成し、100℃で30分乾燥後、純水でリンスを行った(図7(d))。
なお、シランカップリング剤は、金属捕捉能を持つ官能基を有する有機化合物である。工程2)の改質処理により絶縁層12の表面12aに形成されたOH基とシランカップリング剤のシラノール基とで強固な結合を形成することにより両者の間で高い密着力が得られ、絶縁層上に強固にパターンを形成することが出来る。
【0024】
また、シランカップリング剤としては、金属捕捉能を有する官能基としてアミノ基を含むN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランのみならず、アミノ基、イミノ基、ニトリル基、ピロール基のいずれか、あるいはこれらを複数含むものであってもよい。
また、金属捕捉能を持つ官能基を有する有機化合物も、OH基と結合するものであれば、シランカップリング剤に限定されることはない。
本工程では、構造中に金属捕捉能を持つ官能基を有する有機化合物の溶液または分散液をインクジェット法により絶縁層に対して塗布してパターン形成を行っているが、インクジェット法は被パターン形成材料であるローラ状組立体20の回転移動と組み合わせることにより、非接触で任意のパターンが形成可能であるために、目的とする電極形状に忠実なパターンを形成することが可能である。
【0025】
4)無電解めっき触媒の付着
インクパターン30の形成後、パラジウム/スズコロイド溶液を用いる慣用の触媒化法であるキャタリスト・アクセレータ法により、酸性雰囲気中で、インクパターン30上に無電解めっき触媒であるパラジウムを付着させた(図7(e))。
触媒化法としては、このほかにも、塩化スズ/塩酸溶液と塩化パラジウム/塩酸溶液の二液を用いるセンシタイザ−アクチベータ法を用いることが出来るが、その場合は、二回以上繰り返し処理することにより、良好な結果を得ることが出来る。
シランカップリング剤における金属補足能を有する官能基は、酸性雰囲気中において、カチオン基として作用する。一方で、パラジウム/スズコロイド触媒は静電気的に負電しているために、その静電的な作用によりめっき触媒をインクパターン30に確実に付着することができる。
5)余剰な無電界めっき触媒の除去
次いで、ローラ状組立体20を0.1Nに濃度調整した水酸化ナトリウム溶液に浸漬した後、純水でリンスを行った。
アルカリ溶液である水酸化ナトリウム溶液と接触させることで、金属イオン捕捉能を有する官能基がカチオンから中性へと変わり、無電解めっき触媒と配位結合を形成可能になる。
その結果として、インクパターン30以外の開口部13b(図3等)に相当する箇所に付着した余剰な無電解めっき触媒を脱離させると共に、その一部と配位結合を形成し強い力で捕捉、固定する。従って、続く無電解めっき処理において高い密着力の電極パターンを得ることができる。
【0026】
6)無電解めっき液により第2の電極の形成
さらに、ローラ状組立体20を無電解ニッケルめっき液に6分間浸漬することで、インクパターン30上に、膜厚がおよそ0.5μm、体積抵抗率が8×10−5Ω・cmのニッケル膜からなる第2の電極13(の電極部13a)が形成された(図7(f))。
7)保護膜の形成
ポリカーボネート樹脂をメチルエチルケトンに溶解した溶液を用意し、第2の電極13が形成されたローラ状組立体20を回転させながら厚さ20μmになるようにスプレーコートにより塗布、乾燥させて保護膜14を形成した(図7(g))。
なお、保護膜の形成法は、これに限られるわけではなく、ディップコート法、ダイコート法など既知の技術を用いることが出来る。
【0027】
以上の方法によれば、絶縁層上に金属薄膜の電極パターンが形成されているので、表面が平滑であり、膜厚が薄くても良好な電気伝導性を有する現像剤担持体を得た(図7(g))。
現像剤担持体の表面が平滑であるため、保護膜の摩耗が少なく、電極の電気伝導性も良好であるので、長期にわたり安定して現像剤を飛翔させることが出来る。
また、かかる現像剤担持体を適用した画像形成装置によれば、高品質な画像を長期にわたり出力することが可能である。
【0028】
[第2の実施例]
工程3)、工程6)以外は、第1の実施例と同様であり、工程3)の替わりに工程3−1)、工程6)の替わりに6−1)を行って[第1の実施例」と同じ構成の現像剤担持体を作製する。
3−1)金属捕捉能を持つ官能基を有する有機化合物のパターン形成
第2の電極パターン状に凸部が形成された印刷版50と、中間転写体53と印刷版50より広い面積を有するインク供給板51を用意した。
N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン 1vol%、イソプロピルアルコール 1vol%をそれぞれ含む水溶液をよく混合し、工程3)と同様のインクとして用意した。
インク供給板51表面にバーコート法によりインク薄層52を形成し(図9(a))、その上から印刷版50を押し付けた後引き離し、印刷版50凸部にインク薄層52を転写した(図9(b))。
ここで、インク薄層52の形成にバーコート法を用いたがその他にスピンコート法、ディップコート法、ダイコート法等既知の手法を用いることができる。
次に、インク薄層52の転写された印刷版50を中間転写体53に押し付けた後引き離すことで中間転写体53にインクパターン52aを転写した(図9(c))。
続いて中間転写体53上をローラ状組立体20に対して加圧、回転させることにより中間転写体53上のインクパターン(インク薄層52)をローラ状組立体20に転写した(図9(d))。
このような構成とすることで有機化合物パターンを形成するための設備が小型化できるという利点を有する。また、印刷版も凸版に限定されるものではなく凹版やスクリーン版などを適宜選択することが可能である。
次に、100℃にて30分間、乾燥後純水によりリンスを行った。
6−2)無電解めっき液により第2の電極の形成
工程4)で無電解めっき触媒付着後、無電解銅めっき液に20分間浸漬することにより電極パターン状に膜厚がおよそ0.5μm、体積抵抗率がおよそ9×10−6Ω・cmの銅膜が形成された。
以上の方法により第1の実施例と同様に現像剤担持体を得た。
【0029】
第2の実施例として印刷版、中間転写体として平面状の物を用いたが、この他に図10に示すように印刷版としてローラ状の印刷部材50aを、また図11に示すように印刷版、中間転写体として、何れも円筒状の印刷部材50a、中間転写部材53aを用いた構成とすることもできる。
構造中に金属捕捉能を持つ官能基を有する有機化合物の溶液または分散液からなるインクを印刷版、オフセットローラを介してローラ状組立体20表面に転写することによりパターン形成を行っているので、高い生産性でパターン形成が可能である。
なお、図11に示す構成において、構造中に金属捕捉能を持つ官能基を有する有機化合物はその膜厚がきわめて薄くても有効に機能するために、ローラ状組立体20に転写後に再度オフセットローラ(中間転写部材53a)と接触しても影響は無い。
【0030】
[第3の実施例]
工程1)から6)までは[第1の実施例]と同様である。
電極パターンの体積抵抗率を低減するために工程6)で得られた電極パターンに対して膜厚1μmの電解銅めっきを施した。体積抵抗率はおよそ6×10−6Ω・cmであった。その後に第1の実施例の工程7)と同じ方法で保護膜の形成を行い、現像剤担持体を得た。
無電解めっき処理が無電解銅めっき処理であるために得られる電気伝導性良好な銅からなる電極パターンが得られる。
(比較例1)
第1の実施例の現像剤担持体の作製において工程2)を省略した。工程6)において無電解めっきが析出しなかった。
(比較例2)
第1の実施例の現像剤担持体の作製において工程3)を省略した。工程6)において無電解めっきが部分的に無秩序に析出し電極パターンとならなかった。
(比較例3)
第1の実施例の現像剤担持体の作製において工程5)を省略した。工程6)において無電解めっきがほぼ全面に析出し電極パターンとならなかった。
【符号の説明】
【0031】
10 現像剤担持体、11 ローラ状部材、12 絶縁層、12a 表面、13 電極、13a 電極部、13b 開口部、14 保護膜、20 ローラ状組立体、21 円筒体、22 フランジ、23 フランジ、24 軸部材、25 軸部材、30 インクパターン、31 触媒、40 インクジェットヘッド、50 印刷版、50a 印刷部材、51 インク供給板、52 インク薄層、52a インクパターン、53 中間転写体、53a 中間転写部材、100 複写機、201 ADF、202 原稿トレイ、203 給送ローラ、204 給送ベルト、205 排送ローラ、206 コンタクトガラス、207 原稿セット検知センサ、208 トレイ、209 トレイ、210 トレイ、211 給紙ユニット、212 給紙ユニット、213 給紙ユニット、214 縦搬送ユニット、215 感光体、216 搬送ベルト、217 定着ユニット、218 排紙ユニット、219 排紙トレイ、227 現像ユニット、250 ユニット、251 露光ランプ、252 ミラー、253 レンズ、254 CCD
【先行技術文献】
【特許文献】
【0032】
【特許文献1】特開2007−133376公報
【特許文献2】特開2009−115872公報
【特許文献3】特開平8−253869号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも最表面が電気伝導性を有する第1の電極としてのローラ状部材の外表面に、該ローラ状部材を覆う絶縁層と、開口領域を有するパターン形状を備える第2の電極と、前記開口領域及び第2の電極を覆う保護層と、を順次積層して構成した現像剤担持体の製造方法であって、
前記ローラ状部材の表面に絶縁層を形成する第1の工程と、
前記絶縁層の表面全体に改質処理を施しOH基を導入する第2の工程と、
改質処理を施した前記絶縁層の表面に、構造中に金属捕捉能を持つ官能基を有する有機化合物のパターンを形成する第3の工程と、
前記絶縁層表面に対無電解めっきの触媒を付着させる第4の工程と、
前記絶縁層表面における前記有機化合物のパターンを形成した以外の箇所から無電解めっき触媒を除去する第5の工程と、
前記無電解めっきの触媒を付着した前記ローラ状部材を無電解めっき処理し前記有機化合物のパターンに基づく形状を有する第2の電極を析出形成させる第6の工程と、
前記第2の電極を形成したローラ状部材の表面に保護層を形成する第7の工程と、
を有することを特徴とする現像剤担持体の製造方法。
【請求項2】
前記構造中に金属捕捉能を持つ官能基を有する有機化合物が、官能基としてアミノ基、イミノ基、ニトリル基及びピロール基の少なくとも一つを含むシランカップリング剤であることを特徴とする請求項1に記載の現像剤担持体の製造方法。
【請求項3】
前記ローラ状部材をアルカリ溶液と接触させることにより、前記絶縁層表面における前記有機化合物のパターンを形成した以外の箇所から無電解めっき触媒を除去することを特徴とする請求項1又は2に記載の現像剤担持体の製造方法。
【請求項4】
前記第3の工程において前記構造中に金属捕捉能を持つ官能基を有する有機化合物の溶液または分散液をインクジェット法により前記ローラ状部材に塗布することにより前記有機化合物のパターンを形成することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の現像剤担持体の製造方法。
【請求項5】
前記第3の工程において、前記構造中に金属捕捉能を持つ官能基を有する有機化合物の溶液または分散液を、前記第2の電極のパターン形状に応じた凸部を有する印刷板に塗布し、前記印刷板の前記凸部に付着した前記有機化合物の溶液または分散液を、中間転写体を介して前記ローラ状部材の表面に転写することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の現像剤担持体の製造方法。
【請求項6】
前記無電解めっき処理が無電解銅めっき処理であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の現像剤担持体の製造方法。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか一項に記載の現像剤担持体の製造方法により製造された現像剤担持体。
【請求項8】
現像剤担持体の外周面に現像剤を担持させ、該現像剤担持体を表面移動させることにより現像領域内における潜像担持体上の潜像に現像剤を供給して該潜像を現像する現像装置において、上記現像剤担持体として、請求項7に記載の現像剤担持体を用い、前記第1の電極及び第2の電極に対して互いに異なる電圧を給電するための給電部及び電源を有することを特徴とする現像装置。
【請求項9】
請求項8に記載の現像装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−180364(P2011−180364A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−44253(P2010−44253)
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】