説明

現像器

【課題】 そこで、本発明は、リサイクル作業を容易に行うことが可能な現像器を提供することを目的とするものである。
【解決手段】現像器1は、容器本体2とその上面に密着固定された蓋部材3を備えており、蓋部材3の平面部31にはミシン目列8が形成されている。ミシン目列8は、細長い溝状に形成された多数の凹部からなり、平面部31を囲むように矩形状に形成されている。ミシン目列8の近傍をハンマー等により打撃すると、ミシン目列8に沿って平面部31が破壊され、正確な開口部が形成される。したがって、現像器1内に配設された部材を簡単に取り出してリサイクル作業を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置などの画像形成装置において、静電潜像に現像剤を付着させて現像化するために用いられる現像器に関する。
【背景技術】
【0002】
現像器は、内部に現像剤(トナー)を貯留して密封すると共にアジテータ等の撹拌部材やトナーの供給ローラを内部に備えている場合が多い。そして、現像器のみを画像形成装置から着脱可能として、現像器内のトナー残量が少なくなると交換するようにしている。現像器を交換する際には、交換作業を簡単に行えるように様々な工夫がなされている。例えば、特許文献1に示すように、トナーカートリッジ収納ケースの蓋部の引き離される部分にミシン目を形成してトナーカートリッジを取り出しやすくしたり、特許文献2に示すように、現像部へ現像剤を搬送する開口部をシールするシール部材にミシン目を形成して引き裂き自在とした点が記載されている。
【特許文献1】特開平5−158344号公報
【特許文献2】特開平8−146745号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述したような交換可能な現像器は、トナー残量が少なくなると交換されるため画質の劣化を防止することができるメリットがある反面交換された現像器の処分が問題となる。近年の環境意識の高まりと共にそのまま廃棄物として処分することは避けなければならず、できるだけ材料別の分別廃棄及び部品の再使用といったリサイクルを行う必要がある。
【0004】
ところが、こうした交換可能な現像器は、トナーの漏出を完全に防止する必要から密閉構造となっており、高強度に作られているためリサイクル作業を行うことが困難なものとなっている。
【0005】
そこで、本発明は、リサイクル作業を容易に行うことが可能な現像器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る現像器は、現像剤を内部に貯留するとともに当該現像剤を撹拌又は供給するための複数の部材を内部に備えた現像器において、上部に密着固定した蓋部材の外表面にミシン目状に配列された複数の凹部が形成されていることを特徴とする。さらに、複数の前記凹部は、前記部材の少なくとも一部を取り出し可能とする開口領域を画定するように配列されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
上記のような構成を有することで、上部に密着固定した蓋部材の外表面にミシン目状に配列された複数の凹部が形成されているので、ミシン目状に配列された複数の凹部に沿って破壊して内部に配された部材を容易に取り外すことができ、リサイクル作業を効率よく行うことが可能となる。現像器の蓋部材は、簡単に取り外すことができないように密着固定されており、また破壊されてトナーが漏出することがないように高強度に作られているが、上述したように複数の凹部を形成しておくことで、蓋部材を取り外すことなく簡単に開口部を穿設することができる。
【0008】
また、複数の凹部をミシン目状に配列すれば、蓋部材全体の強度を低下させることない。そして、凹部の近傍を打撃することで、容易にミシン目に沿って破壊することができる。
【0009】
また、複数の凹部を部材の少なくとも一部を取り出し可能とする開口領域を画定するように配列すれば、凹部に沿って破壊していけば開口領域を正確に穿設することができ、リサイクル作業の効率化をさらに高めることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明に係る実施形態について詳しく説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施するにあたって好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本発明は、以下の説明において特に本発明を限定する旨明記されていない限り、これらの形態に限定されるものではない。
【0011】
図1は、本発明に係る現像器全体の斜視図である。現像器1は、トナーが貯留される容器本体2と、容器本体2の上面開口部を密閉する蓋部材3とを備えており、蓋部材3は容器本体2に溶着等により密着固定されている。容器本体2の側部には把手部材4が固定されており、容器本体2の前部には現像ローラ5が軸支されている。
【0012】
図2は、現像器1の断面図を示している。容器本体2の内部には、トナーの補給室として3つのトナー室10、11、12が形成され、前側(図において右側)には現像ローラ5及び供給ローラ6を備えた供給室7が形成されている。そして、第一のトナー室10と供給室7との間は、蓋部材3の下面から延びる隔壁板13で仕切られており、隔壁板13には補給開口部14が穿設されている。
【0013】
3つのトナー室10、11、12のほぼ中央部分にはトナーの撹拌移送手段としてパドル15、16、17が設けられている。各パドルの回転軸は、図2において紙面と垂直方向に沿って設定され、その両端部を容器本体2の側面フレームに軸支されている。パドル15の先端部には可撓性の樹脂フィルムからなるブレード18が回転方向に沿うように取り付けられている。同様に、パドル16にはブレード19が取り付けられており、パドル17にはブレード20が取り付けられている。容器本体2の底面は、各パドルに取り付けられたブレードの回転動作の軌跡に沿うように断面円弧状に外側に湾曲した摺動面部21、22、23が形成されている。
【0014】
各トナー室10〜12に補給されたトナーは、摺動面部21〜23に貯蔵される。そして、パドル15〜17が回転すると、ブレード18〜20がそれぞれ摺動面部21〜23を摺動するように回転する。各ブレードの摺動動作でトナーはすくい上げられるようになり、各トナー室ではトナーの撹拌が行われてトナーの凝集に起因する劣化が防止される。また、ブレード18〜20が反時計回りに回転することで、第三トナー室12内のトナーは第二トナー室11に移送され、第二トナー室11のトナーは第一トナー室10に移送されるようになる。そして、第一トナー室10のトナーは、隔壁板13の補給開口部14から供給室7に補給される。その際に、補給されるトナーは、第一トナー室10でパドル15により撹拌されて予備的な帯電が行われる。補給開口部14は、スリット状に開口しており、その開口幅及び開口位置を調整することで、第一トナー室10から供給室7に補給されるトナー量を調整することができる。
【0015】
供給室7に補給されたトナーは、供給ローラ6が回転しながら現像ローラ5に摺接することによって摩擦されて帯電され、現像ローラ5の表面に担持される。現像ローラ5には、供給されたトナーの層厚を規制する現像ブレード24が現像ローラ5の表面に近接して配設されている。現像ローラ5と図示せぬ感光体ドラムとが回転しながら互いに摺接することで、現像ブレード24により一定の層厚に規制されたトナー層が感光体ドラムの表面に形成された静電潜像に付着して現像される。
【0016】
摺動面部22及び23には、それぞれ透明部材からなる凹溝25及び26が設けられている。そして、凹溝25内には、パドル16に取り付けられたクリーニング部材27がパドル16の回転に伴い摺動するようになっており、凹溝26内には、パドル17に取り付けられたクリーニング部材28がパドル17の回転に伴い摺動するようになっている。
【0017】
蓋部材3は、容器本体2の上部開口を密閉するように板状に形成されており、現像ローラ5側寄りの前側には上方向かって突出するように段差部29が設けられており、段差部29から現像ローラ5に向かって下方に傾斜した傾斜部30が形成されている。段差部29から後側部分は平面部31が形成されており、平面部31の外表面には、多数の凹部からなるミシン目列8が形成されている。ミシン目列8は、平面部31を取り囲むように矩形状に形成されている。
【0018】
図3は、ミシン目列8の拡大上面図(図3(a))及びその断面図を示している。ミシン目列8は、細長い溝状に穿設された凹部81をその長手方向に多数配列して形成されている。蓋部材3は、十分な強度を備えた板材を用いているため、こうしたミシン目列8を形成しても強度が低下することはないが、ミシン目列8の近傍をハンマー等により打撃することで、ミシン目列8に応力が集中しミシン目列8に沿って破壊されるようになる。したがって、凹部81の形状はミシン目列8に沿った細長い形状であれば、特にその長さや深さについては限定されず、蓋部材3の強度に対応して適宜設定することができる。例えば、矩形状のミシン目列の1辺全体を1本の凹部で構成してもよい。
【0019】
ミシン目列の形成位置は、内部の部材を取り出すことが容易な位置に形成すればよく、平面部31に限定されることはない。本実施形態では、平面部31全体をミシン目列8に沿って破壊することで平面部31全体を正確に開口部とすることができ、内部に配設されたパドル15〜17等の部材を容易に取り出すことができる。
【0020】
パドルは、金属の軸、プラスチックのブレード、ゴムのクリーニング部材といったように材料別に分別廃棄することが必要となるが、現像器内部から簡単に取り出せるので、リサイクル作業を効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る実施形態に関する斜視図である。
【図2】本発明に係る実施形態に関する断面図である。
【図3】ミシン目列に関する拡大上面図及び断面図である。
【符号の説明】
【0022】
1 現像器
2 容器本体
3 蓋部材
4 把手部
5 現像ローラ
6 供給ローラ
7 供給室
8 ミシン目列
81 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を内部に貯留するとともに当該現像剤を撹拌又は供給するための複数の部材を内部に備えた現像器において、上部に密着固定した蓋部材の外表面にミシン目状に配列された複数の凹部が形成されていることを特徴とする現像器。
【請求項2】
複数の前記凹部は、前記部材の少なくとも一部を取り出し可能とする開口領域を画定するように配列されていることを特徴とする請求項1に記載の現像器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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