現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
【課題】現像剤収容室から現像室へより安定して一定量の現像剤を供給し、より高品質の画像を得る。
【解決手段】トナーが搬送部材36により飛ばされることでトナー収容部31aから現像室31bに供給される現像ユニット4において、トナー収容部31a内のトナーが搬送部材36によって現像室31bに向けて飛ばされるように搬送部材36を回転させる弾性部材を備える。
【解決手段】トナーが搬送部材36により飛ばされることでトナー収容部31aから現像室31bに供給される現像ユニット4において、トナー収容部31a内のトナーが搬送部材36によって現像室31bに向けて飛ばされるように搬送部材36を回転させる弾性部材を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を用いて記録材上に画像を形成する画像形成装置に関し、特に画像形成装置に適用される現像装置及びプロセスカートリッジに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真画像形成プロセスを用いた画像形成装置では、電子写真感光体ドラム及び電子写真感光体ドラムに作用するプロセス手段を一体的にカートリッジ化し、このカートリッジを装置本体に着脱可能とするプロセスカートリッジ方式が採用されている。このプロセスカートリッジ方式によれば、装置のメンテナンスをサービスマンに頼らずユーザ自身で行うことができる。したがって、格段に操作性を向上させることができる。そのため、このプロセスカートリッジ方式は、電子写真画像形成装置において広く用いられている。
【0003】
このような画像形成装置における現像装置においては、現像室、現像剤収容室が設けられている。そして、現像剤を現像剤収容室から開口部を通じて現像室へ供給する為の現像剤供給装置が備えられている。この現像剤供給装置は、現像剤収容室内の回転軸に取り付けられた可塑性の供給部材であり、供給部材の回転とそれ自身の弾性変形の開放による弾性復元力で現像剤を飛翔させて現像剤を現像室へ搬送する構成のものがある(例えば特許文献1参照)。
また、関連する従来例が開示された文献として特許文献2がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−170951号公報
【特許文献2】特開2008−33215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のように可塑性部材を用いた現像剤供給装置を有する画像形成装置においては、輸送環境、保管環境、使用環境や外力の作用によって可塑性部材が塑性変形してしまう可能性がある。可塑性部材が塑性変形した場合、弾性変形の開放による弾性復元力で現像剤を飛翔させることができず、現像剤の搬送量が変化することが懸念される。
本発明は上記したような事情に鑑みてなされたものであり、現像剤収容室から現像室へより安定して一定量の現像剤を供給し、より高品質の画像を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明にあっては、
現像剤が収容される現像剤収容室と、
静電潜像を現像する現像ローラが回転可能に配置され、前記現像剤収容室から現像剤が供給される現像室と、
前記現像剤収容室に回転可能に設けられ、回転することで前記現像剤収容室内の現像剤を前記現像室に供給可能な現像剤供給部材と、
を備え、現像剤が前記現像剤供給部材により飛ばされることで前記現像剤収容室から前記現像室に供給される現像装置において、
前記現像剤収容室内の現像剤が前記現像剤供給部材によって前記現像室に向けて飛ばされるように前記現像剤供給部材を回転させる弾性部材を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、現像剤収容室から現像室へより安定して一定量の現像剤を供給し、より高品質の画像を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例1における現像ユニットの長手方向手前側の概略側面図
【図2】実施例1の画像形成装置の全体構成を説明するための概略断面図
【図3】実施例1の、トナーを収容したプロセスカートリッジの概略断面図
【図4】実施例1のプロセスカートリッジの概略斜視図
【図5】実施例1の現像ユニットの概略斜視図
【図6】実施例1における搬送部材の構成を説明するための概略断面図
【図7】実施例1における現像ユニットの駆動構成を説明する分解斜視図
【図8】実施例1における現像ユニットの各歯車の回転方向を説明する図
【図9】実施例1における現像ユニットの長手方向手前側を示した概略斜視図
【図10】実施例1における現像装置の駆動構成を説明する側面図
【図11】実施例1における搬送部材の構成を説明するための概略断面図
【図12】実施例2の現像ユニットにおける搬送部材の駆動構成を示した概略図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。
本実施形態において画像形成装置とは、電子写真画像形成方式を用いて記録材に画像を形成するものである。そして、画像形成装置の例としては、例えば電子写真複写機、電子写真プリンタ(例えば、レーザビームプリンタ、LEDプリンタ等)、ファクシミリ装置及びワードプロセッサ等が含まれる。またプロセスカートリッジとは、像担持体としての感光体ドラムに作用する現像手段(現像装置)を少なくとも有し、画像形成装置本体に対して着脱可能に構成されるものである。プロセスカートリッジは、感光体ドラム、及び、感光体ドラムに作用するプロセス手段のうち少なくとも現像手段が一体的にカートリッジ化され、このカートリッジが画像形成装置本体に対して着脱可能に構成されるものであるとよい。現像手段の他のプロセス手段としては、帯電手段、クリーニング手段を例示することができる。
【実施例1】
【0010】
以下、実施例1について説明する。
(電子写真画像形成装置の全体構成)
まず、本実施例の電子写真画像形成装置(以下、画像形成装置)100の全体構成について、図2を用いて説明する。図2は本実施例の画像形成装置100の全体構成を説明するための概略断面図である。
図2に示すように、画像形成装置100には、着脱可能な4個のプロセスカートリッジ7(7a,7b,7c,7d)が装着されている。ここで、各プロセスカートリッジや転写手段の構成及び動作は、用いる現像剤(以下、トナー)の色が異なることを除いては実質的に同じである。したがって、以下の説明において特に区別を要しない場合は、いずれかの色用に設けられた要素であることを表すために、図2において符号に与えた添字a,b,c,dを省略して、総括的に説明する。
【0011】
カセット17に収納された記録材Sが2次転写ローラ70、定着部74を通過して画像形成装置本体(以下、装置本体)100Aの上方へ搬送されるように記録材搬送手段が設けられている。また、プロセスカートリッジ7の上方には、中間転写ユニット5が設けら
れている。中間転写ユニット5には駆動ローラ56、従動ローラ57、各色の感光体ドラム1に対向する位置に1次転写ローラ58、2次転写ローラ70に対向する位置に対向ローラ59を有し、転写ベルト9が掛け渡されている。そして、転写ベルト9はすべての感光体ドラム1に対向し、且つ接するようにして図2における矢印X方向に循環移動する。
【0012】
画像形成に際しては、感光体ドラム1にスキャナユニット3から選択的な露光が行われ、感光体ドラム1上に静電潜像が形成される。感光体ドラム1上の静電潜像は、現像装置としての現像ユニット4の現像作用により現像される。これにより、各感光体ドラム1上に各色トナー像(現像剤像)が形成される。そして、1次転写ローラ58に電圧が印加されることにより、各感光体ドラム1に形成された各色トナー像が転写ベルト9上に1次転写される。一方、カセット17に収納された記録材Sは給送ローラ54により搬送される。そして、この画像形成と同期して、レジストローラ対55が、記録材Sを対向ローラ59と2次転写ローラ70とが転写ベルト9を介在させて当接している2次転写位置に搬送する。ここで、2次転写ローラ70に転写バイアス電圧が印加されることで、転写ベルト9上の各色トナー像が記録材Sに2次転写される。これによって、記録材Sにカラー画像が形成される。カラー画像が形成された記録材Sは、定着部74によって加熱、加圧されてトナー像が定着される。その後、記録材Sは、排出ローラ72によって排出部75に排出される。
【0013】
(プロセスカートリッジ)
次に、プロセスカートリッジ7について、図3〜図5を用いて説明する。図3はトナーを収容したプロセスカートリッジ7の概略断面図である。尚、イエロー色のトナーを収納したプロセスカートリッジ7a、マゼンタ色のトナーを収納したプロセスカートリッジ7b、シアン色のトナーを収納したプロセスカートリッジ7c、ブラック色のトナーを収納したプロセスカートリッジ7dは同一構成である。図4は本実施例のプロセスカートリッジ7における装置本体100Aへの装着前の状態を示す概略斜視図である。図5は、本実施例の現像ユニット4の概略斜視図である。以下の説明において、「長手方向」とは、現像ローラ25の回転軸線方向(画像形成時の記録材の搬送方向に直交する記録材幅方向)をいう。また、画像形成装置100の構成部材における長手方向の両端部分に関して、図2に示されている状態で図面の手前と奥をそれぞれ、「前(手前)」、「奥」というものとする。
プロセスカートリッジ7は、ドラムユニット26と、現像ユニット4とを有する。ドラムユニット26は、感光体ドラム1と、帯電ローラ2、及びクリーニング部材6を備えている。そして、現像ユニット4は、現像ローラ25を備えている。
【0014】
ドラムユニット26のクリーニング枠体27には、感光体ドラム1がドラム前軸受10、ドラム奥軸受11を介して回転自在に取り付けられている(図4参照)。感光体ドラム1の端部には、ドラムカップリング16とフランジ85が設けられている(図4参照)。ここで、ドラムカップリング16は、感光体ドラム1に装置本体100Aからの駆動回転力を伝達するためのドラムカップリング部材であり、伝達された駆動回転力により感光体ドラム1は図3において矢印Aの方向に回転する。
【0015】
感光体ドラム1の周上には、前述した通り帯電ローラ2、クリーニング部材6が配置されている。さらに、クリーニング部材6によって感光体ドラム1表面から除去された残留トナーは除去トナー室27aに落下する。そして、ドラムユニット26に装置本体100Aに設けられた駆動源としての本体駆動モータ(不図示)の回転駆動力が伝達されることにより、感光体ドラム1が画像形成動作に応じて回転駆動される。帯電ローラ2は、帯電ローラ軸受28を介し、クリーニング枠体27に回転可能に取り付けられており、付勢部材29により感光体ドラム1に向かって加圧され、感光体ドラム1に従動回転する。
【0016】
現像ユニット4は、感光体ドラム1と接触して図3において矢印B方向に回転する現像ローラ25と、現像ローラ25を支持する枠体としての現像枠体31とから構成される。現像ローラ25は、現像枠体31の両側にそれぞれ取り付けられた現像前軸受12、現像奥軸受13を介して、回転自在に現像枠体31に支持されている(図5参照)。
さらに、長手方向奥側において、現像ローラ25に係合するように現像ローラカップリング33が取り付けられている(図5参照)。ここで、現像ローラカップリング33は、現像ローラ25に装置本体100Aからの駆動回転力を伝達するためのカップリング部材である。また、現像ローラ25の周上には、現像ローラ25に接触して図3において矢印C方向に回転する供給ローラ34と現像ローラ25上のトナー層を規制するための現像ブレード35がそれぞれ配置されている。これら現像ローラ25、供給ローラ34、現像ブレード35は、現像枠体31に設けられた現像室31b内に配置されている。さらに現像枠体31に設けられトナーを収容する現像剤収容室としてのトナー収容部31aには、回転することにより、収容されたトナーを攪拌する機能と、現像室31bへトナーを搬送(供給)する機能とを有する搬送部材36が回転可能に設けられている。ここで、搬送部材36は、回転することでトナー収容部31a内のトナーを現像室31bに供給可能な現像剤供給部材に相当する。
【0017】
ここで、現像前軸受12、現像奥軸受13の吊り穴12a,13aに、クリーニング枠体27に圧入された前軸部材14、奥軸部材15が係合する。それによって現像ユニット4は、クリーニング枠体27に対し、前軸部材14、奥軸部材15を回転軸として回転自在に支持されている(図3参照)。すなわち、現像ユニット4は、ドラムユニット26に対して回転自在に取り付けられている。
【0018】
図4に示すように、クリーニング枠体27には感光体ドラム1を回転自在に支持するドラム前軸受10、ドラム奥軸受11が設けられている。ドラム奥軸受11は感光体ドラム1に結合されたドラムカップリング16を支持している。また、ドラム前軸受10は感光体ドラム1に結合されたフランジ85を支持している。
【0019】
また、図5に示すように、現像枠体31には加圧バネ38が設けられている。さらに、加圧バネ38のもう一端側は、現像枠体31に対向するクリーニング枠体27に当接している。また、現像前軸受12には引張りバネ39が設けられている。さらに、引張りバネ39のもう一端側は、クリーニング枠体27に設けられたドラム前軸受10に取り付けられている。これらの加圧バネ38、引張りバネ39により現像前軸受12、現像奥軸受13の穴12a,13aが回転中心となり、現像ローラ25が感光体ドラム1に当接するための加圧力となる。それにより現像ユニット4がドラムユニット26に押圧される構成となっている。
【0020】
次に、プロセスカートリッジ7の画像形成に関する一連の動作について説明する(図2,3参照)。
画像情報に従って本体駆動モータが回転を開始し、感光体ドラム1、現像ローラ25、供給ローラ34、搬送部材36に駆動回転力が伝達される。そして、帯電ローラ2に装置本体100Aから帯電バイアス電圧が印加され、感光体ドラム1の表面が一様に帯電される。そして、画像情報に応じ、スキャナユニット3から露光が行われ、潜像画像が感光体ドラム1上に形成される。
【0021】
そして、トナー収容部31a内(現像剤収容室内)のトナーは、搬送部材36の回転によって、トナーを供給するための開口部31cを通り、供給ローラ34へ送り込まれる(詳細は後述する)。そして、供給ローラ34が回転して、回転する現像ローラ25の外周にトナーが供給される。供給されたトナーは現像ブレード35により現像ローラ25の外周で摩擦帯電される。そして、現像ローラ25に装置本体100Aから現像バイアス電圧
が印加される。これにより、感光体ドラム1に形成された静電潜像が現像される。尚、現像ローラ25は感光体ドラム1と対向して配置されている。そして、現像ローラ25は、画像形成時に感光体ドラム1に接触して、感光体ドラム1に形成された静電潜像を現像する構成となっている。
【0022】
[トナー搬送構成]
次に、本実施例のプロセスカートリッジ7の現像ユニット4におけるトナー搬送構成について詳しく説明する。図6は本実施例における搬送部材36の構成を説明するための図であって、現像ユニット4の概略構成を示す断面図である。図7は本実施例における現像ユニット4の駆動構成を説明するための分解斜視図である。
【0023】
図6に示すように、搬送部材36は搬送板36a、搬送シート36b、及び回転軸36cから構成されている。回転軸36cは現像ローラ25の回転軸線方向に略平行に、トナー収容部31aの長手方向全域にわたって配置されている。搬送板36aは回転軸36cの長手方向略全域にわたって設けられる板状部材である。さらに、搬送板36aは回転軸36cに直交する方向(回転半径方向)における一端において、回転軸36cに結合されている。さらに、搬送シート36bは搬送板36aの回転半径方向における他端側において、回転半径方向に搬送シート36bが自由長を持つように搬送板36aに結合されている。また、回転軸36cはトナー収容部31aに回転可能に支持されている。
【0024】
次に、搬送部材36の駆動構成について図7の現像ユニット4の長手方向手前側を示した分解斜視図を用いて説明する。前述した通り、現像ローラ25の長手方向奥側には現像ローラカップリング33が設けられている(図5参照)。その現像ローラカップリング33が本体駆動モータからの回転駆動力を現像ローラ25に伝達することで、現像ローラ25は回転する。さらに、現像ローラ25の長手方向手前側には第1歯車41が設けられ、現像ローラ25の芯金25jと、第1歯車41の穴部41aとはそれぞれ円弧の一部が直線となる形状で嵌合している(回り止め機構)。即ち、本体駆動モータから与えられる回転駆動力により現像ローラ25が回転すると、第1歯車41も共に回転する。
【0025】
さらに、第2歯車42は、穴部42aと現像前軸受12のボス12jとが嵌合することで、回転可能に支持されている。第3歯車43の穴部43aと、供給ローラ34の芯金部34jとはそれぞれ円弧の一部が直線となる形状で嵌合している。第4歯車44の穴部44aは、現像枠体31の突起31jと嵌合することで、回転可能に支持されている。第5歯車45は、搬送部材36の回転軸36cに取り付けられることで回転可能に構成されており、第5歯車45の回転中心部に設けられた穴部45aと、回転軸36cとはそれぞれ円弧の一部が直線となる形状で嵌合している。ここで、第5歯車45は回転部材に相当する。
【0026】
第1歯車41の回転駆動力は、第2歯車42を介して、第3歯車43に伝達される。また、第1歯車41の回転駆動力は、第2歯車42と第4歯車44を介して第5歯車45に伝達される。即ち、本体駆動モータからの回転駆動力により、プロセスカートリッジ7の現像ローラ25、供給ローラ34、及び搬送部材36は回転可能に構成されている。
【0027】
次に、各歯車(ギア)の回転方向について図8を用いて説明する。図8は本実施例における現像ユニット4の各歯車の回転方向を説明するための概略図である。
本体駆動モータから現像ローラカップリング33を介して現像ローラ25に回転駆動力が伝達され、現像ローラ25は反時計周りに回転する。その結果、第1歯車41は矢印H方向、第2歯車42は矢印I方向、第3歯車43は矢印J方向、第4歯車44は矢印K方向、第5歯車45は矢印L方向へ回転する。故に、搬送部材36は矢印L方向へ回転する(図6参照)。
【0028】
図9は本実施例における現像ユニット4の長手方向手前側を示した概略斜視図である。第5歯車45の長手方向手前側の端面には、回転中心(回転軸36c)から偏心した位置に突起45jが設けられている。そして、一端が第5歯車45に設けられた突起45jに係合し、他端が現像枠体31に設けられた突起31jに係合するように弾性部材46(本実施例においては、引張りバネ)が設けられている。弾性部材46は、このようにして回転軸36cに回転力を与えることができるように構成され、回転軸36c及び搬送部材36を回転させることが可能となる。
そして、長手方向外側にカバー部材50が設けられている。カバー部材50は第1歯車41の端面41b、第2歯車42の端面42b、第3歯車43の端面43b、第4歯車44の端面44b、第5歯車45の突起45j、及び現像枠体31に設けられた突起31jと当接している。それにより、各歯車(41,42,43,44,45)及び弾性部材46が長手方向外側に抜けることを防止している。
【0029】
図1は、本実施例における現像ユニット4の長手方向手前側の概略側面図である。図10は本実施例における現像ユニット4の駆動構成を説明するための概略側面図である。図11は本実施例における搬送部材36の構成を説明するための図であって、現像ユニット4の概略構成を示す断面図である。
ここで、突起31jの中心と第5歯車45の回転中心を結ぶ直線を直線k、第5歯車45の回転中心と突起45jの中心を結ぶ直線を直線jとする。第5歯車45の回転方向(図1における矢印G方向)を正とし、直線kと直線jのなす角をθ1とすると、突起45jが0°<θ1<180°の範囲に位置した場合、弾性部材46の弾性復元力(弾性力)により、第5歯車45に正方向のモーメントが作用する。また、180°<θ1<360°の範囲に位置した場合、第5歯車45に負方向のモーメントが作用する。
【0030】
さらに、図10に示すように第5歯車45の円周上の一部は、第4歯車44からの回転駆動力の伝達を受ける為の歯形状が欠落している。すなわち、本実施例において第5歯車45は、本体駆動モータからの回転駆動力が伝達され得る欠け歯ギアで構成されている。ここで、θ1=0°となるように突起45jが位置したときの第4歯車44と第5歯車45の駆動伝達部を点Pとし、歯形状の欠落範囲(欠け歯部分の範囲)をθ2とする。第5歯車45の回転駆動力を受ける為の歯形状は、点Pを始点に反時計周りにθ2=90°の範囲で欠落している。
従って、突起45jが0°<θ1<90°の範囲に位置するときは、第4歯車44に第5歯車45の欠け歯部分が対向し、第4歯車44による第5歯車45への回転駆動力の伝達は行われない状態となる。したがって、この範囲では、弾性部材46の弾性復元力による正方向のモーメントで第5歯車45は回転する。
そして、90°<θ1<360°の範囲に位置するときは、第4歯車44から回転駆動力が伝達され第5歯車は回転する。
【0031】
つまり、前述の通り、第5歯車45と搬送部材36は結合している為、搬送部材36は1回転中に、本体駆動モータからの回転駆動力により回転する位相と、弾性部材46の弾性復元力により(弾性力を利用して)回転する位相を持つこととなる。搬送部材36は、本体駆動モータからの回転駆動力により回転する場合には、トナー収容部31a内でトナーを攪拌する機能を発揮し、弾性部材46の弾性復元力により回転する場合には、現像室31bへトナーを搬送(供給)する機能を発揮するものである。
本実施例においては、弾性部材46の弾性復元力により回転軸36cに回転力を与えることで搬送部材36を回転させてトナーを飛ばすことにより、トナー収容部31aから現像室31bにトナーを搬送している。この時には、本体駆動モータからの回転駆動力が搬送部材36に伝達されない状態となっている。
【0032】
次に、図6を用いて突起45jが180°<θ1<360°の範囲に位置しているときの搬送部材36の状態を示す。即ち、第4歯車44による回転駆動力により、第5歯車45が回転し、これにより搬送部材36が回転している状態である。搬送シート36bはトナー収容部31aのガイド部31dと接している。ここで、ガイド部とは搬送部材36の回転方向において、点qから点rまでのトナー収容部31aの内壁である。搬送シート36bがガイド部31dと当接した状態で回転することで、搬送部材36はその回転下流側にあるトナーを担持した状態でトナーを攪拌しながら搬送する。
さらに、図11を用いて突起45jがθ1=0°となるように位置した時の搬送部材36の状態を示す。このとき、搬送板36aは略水平となるように位置する。即ち、この略水平となる位置を始点として搬送部材36は、弾性部材46の弾性復元力により開口部31cに向かって本体駆動モータからの回転駆動力による回転速度より速い速度で回転することとなる。これにより、弾性部材46の弾性復元力によって、搬送部材36が担持していたトナーを開口部31cに向かって飛翔させる(飛ばす)ことができる。このように、弾性部材46の弾性復元力を用いて、トナー収容部31aに収容されているトナーを、開口部31cを通じて現像室31bへ搬送することができる。
【0033】
トナー収容部31aに収容されているトナーが現像室31bへ搬送される際のトナーの搬送力は弾性部材46の弾性復元力による為、本実施例の構成により、トナー収容部31aのトナー量に関わらず、常に、より安定してトナーを現像室31b内に供給できる。
さらに、搬送部材36にシートを用いてその復元力によりトナーを搬送する構成では、シートが撓んだ状態でプロセスカートリッジ7(現像ユニット4)が長期保管されると、トナー搬送量が変化してしまうことがある。これは、撓んだ状態で保管されたシートが塑性変形し、トナー搬送に用いる復元力が低下するからである。
しかし、本実施例では、弾性部材46の弾性復元力により搬送部材36を回転させることでトナーを搬送するものである。その為、従来のシートのような可塑性部材を使用する必要がなくなり、搬送部材36として、金属、樹脂等の弾性復元力(弾性復元性)を持たない部材を適用できる。これにより、輸送環境、保管環境、使用環境や外力の作用により、搬送部材36が変形することで、トナーの搬送量が変化してしまうことを防止することができる。
【0034】
さらに、トナー搬送時の搬送部材36の回転速度は弾性部材46の弾性復元力による為、画像形成装置100から入力される回転駆動力の回転速度がプロセススピードに応じて変化するような場合であっても、トナー搬送力が変化することはない。
従来、複数のメディアタイプに対応する為に複数のプロセススピードを持つ画像形成装置においては、プロセススピードの違いによる駆動入力の変化に伴って供給装置(搬送部材36に相当)の回転速度も変化する。その結果、トナーの搬送量も変化する。そこで、特許文献2では、トナーの搬送量を安定させる為に、画像形成装置からの駆動入力を供給装置に伝達する駆動伝達部材としての歯車を複数有し、プロセススピードに応じて減速比を可変にしている。このような構成により、プロセススピードによらず供給装置の回転速度を一定にしている。しかしながら、このような構成では、プロセススピードに応じて減速比を可変にする構成が必要となり、装置の大型化やコストアップを招くことが懸念される。
本実施例の構成では、プロセススピードに応じて減速比を可変にする構成を設けることなく、すなわち、装置の大型化やコストアップを招くことなく、常に、より安定して一定量のトナーを搬送することができる。
【0035】
以上のように本実施例によれば、トナー収容部31aから現像室31bへトナーを搬送する際の回転方向と同一方向に搬送部材36を回転させることが可能な弾性部材46が設けられており、搬送部材36の回転の一部を弾性部材46が担うように構成されている。そして、搬送部材36がトナー収容部31aから現像室31bへトナーを搬送する際には
、弾性部材46の弾性力により搬送部材36を回転させてトナーを飛ばし、このとき、本体駆動モータからの回転駆動力が搬送部材36に伝達されないように構成されている。
これにより、輸送環境、保管環境、使用環境や外力の作用によって、トナーの搬送量が変化してしまうことを防止することができる。また、画像形成装置が複数のプロセススピードを持つ場合であっても、装置の大型化やコストアップを招くことなく、常に、より安定して一定量のトナーを搬送することができる。
よって、搬送部材36によるトナー搬送を、より安定化させることが可能となる。
【0036】
ここで、本実施例においては、1回転中に、本体駆動モータからの回転駆動力により回転し、トナーを攪拌する機能と、弾性部材46の弾性復元力により回転し、トナーを現像室31bへ搬送する機能とを有する搬送部材36について説明した。しかしながら、現像剤供給部材としては、これに限るものではなく、トナーを飛ばして現像室31bへ搬送する機能を有するものであればよい。これには、例えば、搬送部材36のように1回転させずに、弾性部材46の弾性復元力により現像剤供給部材を回転させた後、弾性部材46の弾性復元力が発揮される位置まで現像剤供給部材を反転させるものであってもよい。すなわち、予め設定された角度の範囲内で現像剤供給部材を往復動させるように構成してもよい。
また、本実施例では、本体駆動モータからの回転駆動力が搬送部材36に伝達されない状態を設けるために、搬送部材36の回転軸36cに取り付けられた第5歯車45を欠け歯ギアで構成しているが、これに限るものではない。搬送部材36の回転軸36cに取り付けられた歯車に対して本体駆動モータからの回転駆動力を伝達する伝達経路を構成する歯車の1つを欠け歯ギアとして、本体駆動モータからの回転駆動力が搬送部材36に伝達されない状態を設けるものであってもよい。
また、本実施例では、現像室31bがトナー収容部31aの上方に設けられており、トナー収容部31a内のトナーを重力に抗して現像室31bに搬送する場合について説明した。しかしながら、本発明は、このような構成に限らず、トナーが現像剤供給部材により飛ばされることで現像剤収容室から現像室に供給される構成であれば、好適に適用することができる。
【実施例2】
【0037】
次に、実施例2について図12を用いて説明する。図12は本実施例の現像ユニット4における搬送部材36の駆動構成を示した概略図である。なお、本実施例の装置基本構成は前述の実施例1と同一である為、重複する部分の説明は省略する。また、前述した実施例1と同一機能を有する部材には同一符号を付す。
実施例1においては、第5歯車45の歯形状が一部欠落している範囲では、装置本体100Aからの回転駆動力は搬送部材36に伝達されず、搬送部材36は弾性部材46の弾性復元力により回転する構成について説明を行った。
これに対し本実施例では、第5歯車47と回転軸36cとの間にワンウェイクラッチ(片回転継ぎ手)を設けることにより、装置本体100Aからの回転駆動力が搬送部材36に伝達されない状態で、弾性部材46の弾性復元力により搬送部材36を回転させている。ここで、本実施例の第5歯車47においては、本体駆動モータからの回転駆動力を回転軸36cに伝達可能な機能を有する点で、実施例1の第5歯車45に相当する。本実施例において第5歯車47は駆動力伝達部材に相当する。
【0038】
本実施例では、図12に示すように、第5歯車47は、ワンウェイクラッチ49を介して回転軸36cに連結されている。また、回転軸36cとワンウェイクラッチ49の内周部(軸受け部)とはそれぞれ円弧の一部が直線となる形状で嵌合している。
ここで、ワンウェイクラッチ49は回転軸36cに対して相対的に第5歯車47が矢印M方向に回転する場合は、回転駆動力を回転軸36cに伝達する。一方、回転軸36cに対して第5歯車が相対的に矢印N方向に回転する場合は、回転軸36cに対してワンウェ
イクラッチ49は空回転し、第5歯車47から回転軸36cに回転駆動力は伝達なされない。換言すると、矢印M方向に第5歯車47が回転する場合には、第5歯車47の回転力が回転軸36cに伝達され、矢印M方向に回転軸36cが回転する場合には、回転軸36cが第5歯車47の拘束を受けずに回転するように構成されている。
すなわち、ワンウェイクラッチ49は、回転軸36cに対して相対的に第5歯車47を矢印M方向には回転させず、第5歯車47に対して相対的な回転軸36cの矢印M方向への回転は許容する機構となっている。ここで、矢印M方向は、搬送部材36がトナーを搬送する際の回転軸36cの回転方向である。
【0039】
さらに、第5歯車47の長手方向外側には、回転部材としての弾性力伝達部材48が回転軸36cに取付けられている。弾性力伝達部材48の穴部48aと、回転軸36cとはそれぞれ円弧の一部が直線となる形状で係合している。また、弾性力伝達部材48の端面には、回転中心から偏心した位置に突起48jが設けられている。そして実施例1同様、一端が突起48jに係合し、他端が現像枠体31に設けられた突起31jに係合するように弾性部材46が設けられている。
【0040】
その為、実施例1で説明した通り、突起48jが0°<θ1<180°となるように位置した場合、回転軸36cには搬送部材36の回転方向のモーメントが作用することとなる。さらに、この場合に弾性部材46は、第5歯車47により伝達された回転駆動力により回転軸36cが回転する場合よりも高速で回転軸36cを回転させるように構成されている。すなわち、回転軸36cに対して第5歯車47は相対的に矢印N方向に回転する関係となり、回転軸36cに対してワンウェイクラッチ49は空転する。
その為、ワンウェイクラッチ49により第5歯車47から回転軸36cに回転駆動力は伝達されず、弾性部材46の弾性復元力により搬送部材36は回転することとなる。その他の構成は実施例1と同様である。
【0041】
このように本実施例においては、第5歯車47と回転軸36cの係合関係を、相対的な一方向の回転では第5歯車47と回転軸36cを係合させ、第5歯車47と回転軸36cは供回りするように構成している。そして、相対的な他方向の回転においては、第5歯車47と回転軸36cは係合せず、回転軸36cに対して第5歯車47は空転する構成としている。このような構成においても、実施例1と同様の効果が得られる。
なお、前述の実施例1においては、第5歯車45の端面に設けられた突起45jに、弾性部材46の一端を係合させているが、本実施例のように、回転軸36cに取付けられた回転部材の端面に、弾性部材46の一端を係合させるものであってもよい。
【符号の説明】
【0042】
4 現像ユニット ; 25 現像ローラ ; 31a トナー収容部 ; 31b 現像室 ; 36 搬送部材 ; 46 弾性部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を用いて記録材上に画像を形成する画像形成装置に関し、特に画像形成装置に適用される現像装置及びプロセスカートリッジに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真画像形成プロセスを用いた画像形成装置では、電子写真感光体ドラム及び電子写真感光体ドラムに作用するプロセス手段を一体的にカートリッジ化し、このカートリッジを装置本体に着脱可能とするプロセスカートリッジ方式が採用されている。このプロセスカートリッジ方式によれば、装置のメンテナンスをサービスマンに頼らずユーザ自身で行うことができる。したがって、格段に操作性を向上させることができる。そのため、このプロセスカートリッジ方式は、電子写真画像形成装置において広く用いられている。
【0003】
このような画像形成装置における現像装置においては、現像室、現像剤収容室が設けられている。そして、現像剤を現像剤収容室から開口部を通じて現像室へ供給する為の現像剤供給装置が備えられている。この現像剤供給装置は、現像剤収容室内の回転軸に取り付けられた可塑性の供給部材であり、供給部材の回転とそれ自身の弾性変形の開放による弾性復元力で現像剤を飛翔させて現像剤を現像室へ搬送する構成のものがある(例えば特許文献1参照)。
また、関連する従来例が開示された文献として特許文献2がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−170951号公報
【特許文献2】特開2008−33215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のように可塑性部材を用いた現像剤供給装置を有する画像形成装置においては、輸送環境、保管環境、使用環境や外力の作用によって可塑性部材が塑性変形してしまう可能性がある。可塑性部材が塑性変形した場合、弾性変形の開放による弾性復元力で現像剤を飛翔させることができず、現像剤の搬送量が変化することが懸念される。
本発明は上記したような事情に鑑みてなされたものであり、現像剤収容室から現像室へより安定して一定量の現像剤を供給し、より高品質の画像を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明にあっては、
現像剤が収容される現像剤収容室と、
静電潜像を現像する現像ローラが回転可能に配置され、前記現像剤収容室から現像剤が供給される現像室と、
前記現像剤収容室に回転可能に設けられ、回転することで前記現像剤収容室内の現像剤を前記現像室に供給可能な現像剤供給部材と、
を備え、現像剤が前記現像剤供給部材により飛ばされることで前記現像剤収容室から前記現像室に供給される現像装置において、
前記現像剤収容室内の現像剤が前記現像剤供給部材によって前記現像室に向けて飛ばされるように前記現像剤供給部材を回転させる弾性部材を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、現像剤収容室から現像室へより安定して一定量の現像剤を供給し、より高品質の画像を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例1における現像ユニットの長手方向手前側の概略側面図
【図2】実施例1の画像形成装置の全体構成を説明するための概略断面図
【図3】実施例1の、トナーを収容したプロセスカートリッジの概略断面図
【図4】実施例1のプロセスカートリッジの概略斜視図
【図5】実施例1の現像ユニットの概略斜視図
【図6】実施例1における搬送部材の構成を説明するための概略断面図
【図7】実施例1における現像ユニットの駆動構成を説明する分解斜視図
【図8】実施例1における現像ユニットの各歯車の回転方向を説明する図
【図9】実施例1における現像ユニットの長手方向手前側を示した概略斜視図
【図10】実施例1における現像装置の駆動構成を説明する側面図
【図11】実施例1における搬送部材の構成を説明するための概略断面図
【図12】実施例2の現像ユニットにおける搬送部材の駆動構成を示した概略図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。
本実施形態において画像形成装置とは、電子写真画像形成方式を用いて記録材に画像を形成するものである。そして、画像形成装置の例としては、例えば電子写真複写機、電子写真プリンタ(例えば、レーザビームプリンタ、LEDプリンタ等)、ファクシミリ装置及びワードプロセッサ等が含まれる。またプロセスカートリッジとは、像担持体としての感光体ドラムに作用する現像手段(現像装置)を少なくとも有し、画像形成装置本体に対して着脱可能に構成されるものである。プロセスカートリッジは、感光体ドラム、及び、感光体ドラムに作用するプロセス手段のうち少なくとも現像手段が一体的にカートリッジ化され、このカートリッジが画像形成装置本体に対して着脱可能に構成されるものであるとよい。現像手段の他のプロセス手段としては、帯電手段、クリーニング手段を例示することができる。
【実施例1】
【0010】
以下、実施例1について説明する。
(電子写真画像形成装置の全体構成)
まず、本実施例の電子写真画像形成装置(以下、画像形成装置)100の全体構成について、図2を用いて説明する。図2は本実施例の画像形成装置100の全体構成を説明するための概略断面図である。
図2に示すように、画像形成装置100には、着脱可能な4個のプロセスカートリッジ7(7a,7b,7c,7d)が装着されている。ここで、各プロセスカートリッジや転写手段の構成及び動作は、用いる現像剤(以下、トナー)の色が異なることを除いては実質的に同じである。したがって、以下の説明において特に区別を要しない場合は、いずれかの色用に設けられた要素であることを表すために、図2において符号に与えた添字a,b,c,dを省略して、総括的に説明する。
【0011】
カセット17に収納された記録材Sが2次転写ローラ70、定着部74を通過して画像形成装置本体(以下、装置本体)100Aの上方へ搬送されるように記録材搬送手段が設けられている。また、プロセスカートリッジ7の上方には、中間転写ユニット5が設けら
れている。中間転写ユニット5には駆動ローラ56、従動ローラ57、各色の感光体ドラム1に対向する位置に1次転写ローラ58、2次転写ローラ70に対向する位置に対向ローラ59を有し、転写ベルト9が掛け渡されている。そして、転写ベルト9はすべての感光体ドラム1に対向し、且つ接するようにして図2における矢印X方向に循環移動する。
【0012】
画像形成に際しては、感光体ドラム1にスキャナユニット3から選択的な露光が行われ、感光体ドラム1上に静電潜像が形成される。感光体ドラム1上の静電潜像は、現像装置としての現像ユニット4の現像作用により現像される。これにより、各感光体ドラム1上に各色トナー像(現像剤像)が形成される。そして、1次転写ローラ58に電圧が印加されることにより、各感光体ドラム1に形成された各色トナー像が転写ベルト9上に1次転写される。一方、カセット17に収納された記録材Sは給送ローラ54により搬送される。そして、この画像形成と同期して、レジストローラ対55が、記録材Sを対向ローラ59と2次転写ローラ70とが転写ベルト9を介在させて当接している2次転写位置に搬送する。ここで、2次転写ローラ70に転写バイアス電圧が印加されることで、転写ベルト9上の各色トナー像が記録材Sに2次転写される。これによって、記録材Sにカラー画像が形成される。カラー画像が形成された記録材Sは、定着部74によって加熱、加圧されてトナー像が定着される。その後、記録材Sは、排出ローラ72によって排出部75に排出される。
【0013】
(プロセスカートリッジ)
次に、プロセスカートリッジ7について、図3〜図5を用いて説明する。図3はトナーを収容したプロセスカートリッジ7の概略断面図である。尚、イエロー色のトナーを収納したプロセスカートリッジ7a、マゼンタ色のトナーを収納したプロセスカートリッジ7b、シアン色のトナーを収納したプロセスカートリッジ7c、ブラック色のトナーを収納したプロセスカートリッジ7dは同一構成である。図4は本実施例のプロセスカートリッジ7における装置本体100Aへの装着前の状態を示す概略斜視図である。図5は、本実施例の現像ユニット4の概略斜視図である。以下の説明において、「長手方向」とは、現像ローラ25の回転軸線方向(画像形成時の記録材の搬送方向に直交する記録材幅方向)をいう。また、画像形成装置100の構成部材における長手方向の両端部分に関して、図2に示されている状態で図面の手前と奥をそれぞれ、「前(手前)」、「奥」というものとする。
プロセスカートリッジ7は、ドラムユニット26と、現像ユニット4とを有する。ドラムユニット26は、感光体ドラム1と、帯電ローラ2、及びクリーニング部材6を備えている。そして、現像ユニット4は、現像ローラ25を備えている。
【0014】
ドラムユニット26のクリーニング枠体27には、感光体ドラム1がドラム前軸受10、ドラム奥軸受11を介して回転自在に取り付けられている(図4参照)。感光体ドラム1の端部には、ドラムカップリング16とフランジ85が設けられている(図4参照)。ここで、ドラムカップリング16は、感光体ドラム1に装置本体100Aからの駆動回転力を伝達するためのドラムカップリング部材であり、伝達された駆動回転力により感光体ドラム1は図3において矢印Aの方向に回転する。
【0015】
感光体ドラム1の周上には、前述した通り帯電ローラ2、クリーニング部材6が配置されている。さらに、クリーニング部材6によって感光体ドラム1表面から除去された残留トナーは除去トナー室27aに落下する。そして、ドラムユニット26に装置本体100Aに設けられた駆動源としての本体駆動モータ(不図示)の回転駆動力が伝達されることにより、感光体ドラム1が画像形成動作に応じて回転駆動される。帯電ローラ2は、帯電ローラ軸受28を介し、クリーニング枠体27に回転可能に取り付けられており、付勢部材29により感光体ドラム1に向かって加圧され、感光体ドラム1に従動回転する。
【0016】
現像ユニット4は、感光体ドラム1と接触して図3において矢印B方向に回転する現像ローラ25と、現像ローラ25を支持する枠体としての現像枠体31とから構成される。現像ローラ25は、現像枠体31の両側にそれぞれ取り付けられた現像前軸受12、現像奥軸受13を介して、回転自在に現像枠体31に支持されている(図5参照)。
さらに、長手方向奥側において、現像ローラ25に係合するように現像ローラカップリング33が取り付けられている(図5参照)。ここで、現像ローラカップリング33は、現像ローラ25に装置本体100Aからの駆動回転力を伝達するためのカップリング部材である。また、現像ローラ25の周上には、現像ローラ25に接触して図3において矢印C方向に回転する供給ローラ34と現像ローラ25上のトナー層を規制するための現像ブレード35がそれぞれ配置されている。これら現像ローラ25、供給ローラ34、現像ブレード35は、現像枠体31に設けられた現像室31b内に配置されている。さらに現像枠体31に設けられトナーを収容する現像剤収容室としてのトナー収容部31aには、回転することにより、収容されたトナーを攪拌する機能と、現像室31bへトナーを搬送(供給)する機能とを有する搬送部材36が回転可能に設けられている。ここで、搬送部材36は、回転することでトナー収容部31a内のトナーを現像室31bに供給可能な現像剤供給部材に相当する。
【0017】
ここで、現像前軸受12、現像奥軸受13の吊り穴12a,13aに、クリーニング枠体27に圧入された前軸部材14、奥軸部材15が係合する。それによって現像ユニット4は、クリーニング枠体27に対し、前軸部材14、奥軸部材15を回転軸として回転自在に支持されている(図3参照)。すなわち、現像ユニット4は、ドラムユニット26に対して回転自在に取り付けられている。
【0018】
図4に示すように、クリーニング枠体27には感光体ドラム1を回転自在に支持するドラム前軸受10、ドラム奥軸受11が設けられている。ドラム奥軸受11は感光体ドラム1に結合されたドラムカップリング16を支持している。また、ドラム前軸受10は感光体ドラム1に結合されたフランジ85を支持している。
【0019】
また、図5に示すように、現像枠体31には加圧バネ38が設けられている。さらに、加圧バネ38のもう一端側は、現像枠体31に対向するクリーニング枠体27に当接している。また、現像前軸受12には引張りバネ39が設けられている。さらに、引張りバネ39のもう一端側は、クリーニング枠体27に設けられたドラム前軸受10に取り付けられている。これらの加圧バネ38、引張りバネ39により現像前軸受12、現像奥軸受13の穴12a,13aが回転中心となり、現像ローラ25が感光体ドラム1に当接するための加圧力となる。それにより現像ユニット4がドラムユニット26に押圧される構成となっている。
【0020】
次に、プロセスカートリッジ7の画像形成に関する一連の動作について説明する(図2,3参照)。
画像情報に従って本体駆動モータが回転を開始し、感光体ドラム1、現像ローラ25、供給ローラ34、搬送部材36に駆動回転力が伝達される。そして、帯電ローラ2に装置本体100Aから帯電バイアス電圧が印加され、感光体ドラム1の表面が一様に帯電される。そして、画像情報に応じ、スキャナユニット3から露光が行われ、潜像画像が感光体ドラム1上に形成される。
【0021】
そして、トナー収容部31a内(現像剤収容室内)のトナーは、搬送部材36の回転によって、トナーを供給するための開口部31cを通り、供給ローラ34へ送り込まれる(詳細は後述する)。そして、供給ローラ34が回転して、回転する現像ローラ25の外周にトナーが供給される。供給されたトナーは現像ブレード35により現像ローラ25の外周で摩擦帯電される。そして、現像ローラ25に装置本体100Aから現像バイアス電圧
が印加される。これにより、感光体ドラム1に形成された静電潜像が現像される。尚、現像ローラ25は感光体ドラム1と対向して配置されている。そして、現像ローラ25は、画像形成時に感光体ドラム1に接触して、感光体ドラム1に形成された静電潜像を現像する構成となっている。
【0022】
[トナー搬送構成]
次に、本実施例のプロセスカートリッジ7の現像ユニット4におけるトナー搬送構成について詳しく説明する。図6は本実施例における搬送部材36の構成を説明するための図であって、現像ユニット4の概略構成を示す断面図である。図7は本実施例における現像ユニット4の駆動構成を説明するための分解斜視図である。
【0023】
図6に示すように、搬送部材36は搬送板36a、搬送シート36b、及び回転軸36cから構成されている。回転軸36cは現像ローラ25の回転軸線方向に略平行に、トナー収容部31aの長手方向全域にわたって配置されている。搬送板36aは回転軸36cの長手方向略全域にわたって設けられる板状部材である。さらに、搬送板36aは回転軸36cに直交する方向(回転半径方向)における一端において、回転軸36cに結合されている。さらに、搬送シート36bは搬送板36aの回転半径方向における他端側において、回転半径方向に搬送シート36bが自由長を持つように搬送板36aに結合されている。また、回転軸36cはトナー収容部31aに回転可能に支持されている。
【0024】
次に、搬送部材36の駆動構成について図7の現像ユニット4の長手方向手前側を示した分解斜視図を用いて説明する。前述した通り、現像ローラ25の長手方向奥側には現像ローラカップリング33が設けられている(図5参照)。その現像ローラカップリング33が本体駆動モータからの回転駆動力を現像ローラ25に伝達することで、現像ローラ25は回転する。さらに、現像ローラ25の長手方向手前側には第1歯車41が設けられ、現像ローラ25の芯金25jと、第1歯車41の穴部41aとはそれぞれ円弧の一部が直線となる形状で嵌合している(回り止め機構)。即ち、本体駆動モータから与えられる回転駆動力により現像ローラ25が回転すると、第1歯車41も共に回転する。
【0025】
さらに、第2歯車42は、穴部42aと現像前軸受12のボス12jとが嵌合することで、回転可能に支持されている。第3歯車43の穴部43aと、供給ローラ34の芯金部34jとはそれぞれ円弧の一部が直線となる形状で嵌合している。第4歯車44の穴部44aは、現像枠体31の突起31jと嵌合することで、回転可能に支持されている。第5歯車45は、搬送部材36の回転軸36cに取り付けられることで回転可能に構成されており、第5歯車45の回転中心部に設けられた穴部45aと、回転軸36cとはそれぞれ円弧の一部が直線となる形状で嵌合している。ここで、第5歯車45は回転部材に相当する。
【0026】
第1歯車41の回転駆動力は、第2歯車42を介して、第3歯車43に伝達される。また、第1歯車41の回転駆動力は、第2歯車42と第4歯車44を介して第5歯車45に伝達される。即ち、本体駆動モータからの回転駆動力により、プロセスカートリッジ7の現像ローラ25、供給ローラ34、及び搬送部材36は回転可能に構成されている。
【0027】
次に、各歯車(ギア)の回転方向について図8を用いて説明する。図8は本実施例における現像ユニット4の各歯車の回転方向を説明するための概略図である。
本体駆動モータから現像ローラカップリング33を介して現像ローラ25に回転駆動力が伝達され、現像ローラ25は反時計周りに回転する。その結果、第1歯車41は矢印H方向、第2歯車42は矢印I方向、第3歯車43は矢印J方向、第4歯車44は矢印K方向、第5歯車45は矢印L方向へ回転する。故に、搬送部材36は矢印L方向へ回転する(図6参照)。
【0028】
図9は本実施例における現像ユニット4の長手方向手前側を示した概略斜視図である。第5歯車45の長手方向手前側の端面には、回転中心(回転軸36c)から偏心した位置に突起45jが設けられている。そして、一端が第5歯車45に設けられた突起45jに係合し、他端が現像枠体31に設けられた突起31jに係合するように弾性部材46(本実施例においては、引張りバネ)が設けられている。弾性部材46は、このようにして回転軸36cに回転力を与えることができるように構成され、回転軸36c及び搬送部材36を回転させることが可能となる。
そして、長手方向外側にカバー部材50が設けられている。カバー部材50は第1歯車41の端面41b、第2歯車42の端面42b、第3歯車43の端面43b、第4歯車44の端面44b、第5歯車45の突起45j、及び現像枠体31に設けられた突起31jと当接している。それにより、各歯車(41,42,43,44,45)及び弾性部材46が長手方向外側に抜けることを防止している。
【0029】
図1は、本実施例における現像ユニット4の長手方向手前側の概略側面図である。図10は本実施例における現像ユニット4の駆動構成を説明するための概略側面図である。図11は本実施例における搬送部材36の構成を説明するための図であって、現像ユニット4の概略構成を示す断面図である。
ここで、突起31jの中心と第5歯車45の回転中心を結ぶ直線を直線k、第5歯車45の回転中心と突起45jの中心を結ぶ直線を直線jとする。第5歯車45の回転方向(図1における矢印G方向)を正とし、直線kと直線jのなす角をθ1とすると、突起45jが0°<θ1<180°の範囲に位置した場合、弾性部材46の弾性復元力(弾性力)により、第5歯車45に正方向のモーメントが作用する。また、180°<θ1<360°の範囲に位置した場合、第5歯車45に負方向のモーメントが作用する。
【0030】
さらに、図10に示すように第5歯車45の円周上の一部は、第4歯車44からの回転駆動力の伝達を受ける為の歯形状が欠落している。すなわち、本実施例において第5歯車45は、本体駆動モータからの回転駆動力が伝達され得る欠け歯ギアで構成されている。ここで、θ1=0°となるように突起45jが位置したときの第4歯車44と第5歯車45の駆動伝達部を点Pとし、歯形状の欠落範囲(欠け歯部分の範囲)をθ2とする。第5歯車45の回転駆動力を受ける為の歯形状は、点Pを始点に反時計周りにθ2=90°の範囲で欠落している。
従って、突起45jが0°<θ1<90°の範囲に位置するときは、第4歯車44に第5歯車45の欠け歯部分が対向し、第4歯車44による第5歯車45への回転駆動力の伝達は行われない状態となる。したがって、この範囲では、弾性部材46の弾性復元力による正方向のモーメントで第5歯車45は回転する。
そして、90°<θ1<360°の範囲に位置するときは、第4歯車44から回転駆動力が伝達され第5歯車は回転する。
【0031】
つまり、前述の通り、第5歯車45と搬送部材36は結合している為、搬送部材36は1回転中に、本体駆動モータからの回転駆動力により回転する位相と、弾性部材46の弾性復元力により(弾性力を利用して)回転する位相を持つこととなる。搬送部材36は、本体駆動モータからの回転駆動力により回転する場合には、トナー収容部31a内でトナーを攪拌する機能を発揮し、弾性部材46の弾性復元力により回転する場合には、現像室31bへトナーを搬送(供給)する機能を発揮するものである。
本実施例においては、弾性部材46の弾性復元力により回転軸36cに回転力を与えることで搬送部材36を回転させてトナーを飛ばすことにより、トナー収容部31aから現像室31bにトナーを搬送している。この時には、本体駆動モータからの回転駆動力が搬送部材36に伝達されない状態となっている。
【0032】
次に、図6を用いて突起45jが180°<θ1<360°の範囲に位置しているときの搬送部材36の状態を示す。即ち、第4歯車44による回転駆動力により、第5歯車45が回転し、これにより搬送部材36が回転している状態である。搬送シート36bはトナー収容部31aのガイド部31dと接している。ここで、ガイド部とは搬送部材36の回転方向において、点qから点rまでのトナー収容部31aの内壁である。搬送シート36bがガイド部31dと当接した状態で回転することで、搬送部材36はその回転下流側にあるトナーを担持した状態でトナーを攪拌しながら搬送する。
さらに、図11を用いて突起45jがθ1=0°となるように位置した時の搬送部材36の状態を示す。このとき、搬送板36aは略水平となるように位置する。即ち、この略水平となる位置を始点として搬送部材36は、弾性部材46の弾性復元力により開口部31cに向かって本体駆動モータからの回転駆動力による回転速度より速い速度で回転することとなる。これにより、弾性部材46の弾性復元力によって、搬送部材36が担持していたトナーを開口部31cに向かって飛翔させる(飛ばす)ことができる。このように、弾性部材46の弾性復元力を用いて、トナー収容部31aに収容されているトナーを、開口部31cを通じて現像室31bへ搬送することができる。
【0033】
トナー収容部31aに収容されているトナーが現像室31bへ搬送される際のトナーの搬送力は弾性部材46の弾性復元力による為、本実施例の構成により、トナー収容部31aのトナー量に関わらず、常に、より安定してトナーを現像室31b内に供給できる。
さらに、搬送部材36にシートを用いてその復元力によりトナーを搬送する構成では、シートが撓んだ状態でプロセスカートリッジ7(現像ユニット4)が長期保管されると、トナー搬送量が変化してしまうことがある。これは、撓んだ状態で保管されたシートが塑性変形し、トナー搬送に用いる復元力が低下するからである。
しかし、本実施例では、弾性部材46の弾性復元力により搬送部材36を回転させることでトナーを搬送するものである。その為、従来のシートのような可塑性部材を使用する必要がなくなり、搬送部材36として、金属、樹脂等の弾性復元力(弾性復元性)を持たない部材を適用できる。これにより、輸送環境、保管環境、使用環境や外力の作用により、搬送部材36が変形することで、トナーの搬送量が変化してしまうことを防止することができる。
【0034】
さらに、トナー搬送時の搬送部材36の回転速度は弾性部材46の弾性復元力による為、画像形成装置100から入力される回転駆動力の回転速度がプロセススピードに応じて変化するような場合であっても、トナー搬送力が変化することはない。
従来、複数のメディアタイプに対応する為に複数のプロセススピードを持つ画像形成装置においては、プロセススピードの違いによる駆動入力の変化に伴って供給装置(搬送部材36に相当)の回転速度も変化する。その結果、トナーの搬送量も変化する。そこで、特許文献2では、トナーの搬送量を安定させる為に、画像形成装置からの駆動入力を供給装置に伝達する駆動伝達部材としての歯車を複数有し、プロセススピードに応じて減速比を可変にしている。このような構成により、プロセススピードによらず供給装置の回転速度を一定にしている。しかしながら、このような構成では、プロセススピードに応じて減速比を可変にする構成が必要となり、装置の大型化やコストアップを招くことが懸念される。
本実施例の構成では、プロセススピードに応じて減速比を可変にする構成を設けることなく、すなわち、装置の大型化やコストアップを招くことなく、常に、より安定して一定量のトナーを搬送することができる。
【0035】
以上のように本実施例によれば、トナー収容部31aから現像室31bへトナーを搬送する際の回転方向と同一方向に搬送部材36を回転させることが可能な弾性部材46が設けられており、搬送部材36の回転の一部を弾性部材46が担うように構成されている。そして、搬送部材36がトナー収容部31aから現像室31bへトナーを搬送する際には
、弾性部材46の弾性力により搬送部材36を回転させてトナーを飛ばし、このとき、本体駆動モータからの回転駆動力が搬送部材36に伝達されないように構成されている。
これにより、輸送環境、保管環境、使用環境や外力の作用によって、トナーの搬送量が変化してしまうことを防止することができる。また、画像形成装置が複数のプロセススピードを持つ場合であっても、装置の大型化やコストアップを招くことなく、常に、より安定して一定量のトナーを搬送することができる。
よって、搬送部材36によるトナー搬送を、より安定化させることが可能となる。
【0036】
ここで、本実施例においては、1回転中に、本体駆動モータからの回転駆動力により回転し、トナーを攪拌する機能と、弾性部材46の弾性復元力により回転し、トナーを現像室31bへ搬送する機能とを有する搬送部材36について説明した。しかしながら、現像剤供給部材としては、これに限るものではなく、トナーを飛ばして現像室31bへ搬送する機能を有するものであればよい。これには、例えば、搬送部材36のように1回転させずに、弾性部材46の弾性復元力により現像剤供給部材を回転させた後、弾性部材46の弾性復元力が発揮される位置まで現像剤供給部材を反転させるものであってもよい。すなわち、予め設定された角度の範囲内で現像剤供給部材を往復動させるように構成してもよい。
また、本実施例では、本体駆動モータからの回転駆動力が搬送部材36に伝達されない状態を設けるために、搬送部材36の回転軸36cに取り付けられた第5歯車45を欠け歯ギアで構成しているが、これに限るものではない。搬送部材36の回転軸36cに取り付けられた歯車に対して本体駆動モータからの回転駆動力を伝達する伝達経路を構成する歯車の1つを欠け歯ギアとして、本体駆動モータからの回転駆動力が搬送部材36に伝達されない状態を設けるものであってもよい。
また、本実施例では、現像室31bがトナー収容部31aの上方に設けられており、トナー収容部31a内のトナーを重力に抗して現像室31bに搬送する場合について説明した。しかしながら、本発明は、このような構成に限らず、トナーが現像剤供給部材により飛ばされることで現像剤収容室から現像室に供給される構成であれば、好適に適用することができる。
【実施例2】
【0037】
次に、実施例2について図12を用いて説明する。図12は本実施例の現像ユニット4における搬送部材36の駆動構成を示した概略図である。なお、本実施例の装置基本構成は前述の実施例1と同一である為、重複する部分の説明は省略する。また、前述した実施例1と同一機能を有する部材には同一符号を付す。
実施例1においては、第5歯車45の歯形状が一部欠落している範囲では、装置本体100Aからの回転駆動力は搬送部材36に伝達されず、搬送部材36は弾性部材46の弾性復元力により回転する構成について説明を行った。
これに対し本実施例では、第5歯車47と回転軸36cとの間にワンウェイクラッチ(片回転継ぎ手)を設けることにより、装置本体100Aからの回転駆動力が搬送部材36に伝達されない状態で、弾性部材46の弾性復元力により搬送部材36を回転させている。ここで、本実施例の第5歯車47においては、本体駆動モータからの回転駆動力を回転軸36cに伝達可能な機能を有する点で、実施例1の第5歯車45に相当する。本実施例において第5歯車47は駆動力伝達部材に相当する。
【0038】
本実施例では、図12に示すように、第5歯車47は、ワンウェイクラッチ49を介して回転軸36cに連結されている。また、回転軸36cとワンウェイクラッチ49の内周部(軸受け部)とはそれぞれ円弧の一部が直線となる形状で嵌合している。
ここで、ワンウェイクラッチ49は回転軸36cに対して相対的に第5歯車47が矢印M方向に回転する場合は、回転駆動力を回転軸36cに伝達する。一方、回転軸36cに対して第5歯車が相対的に矢印N方向に回転する場合は、回転軸36cに対してワンウェ
イクラッチ49は空回転し、第5歯車47から回転軸36cに回転駆動力は伝達なされない。換言すると、矢印M方向に第5歯車47が回転する場合には、第5歯車47の回転力が回転軸36cに伝達され、矢印M方向に回転軸36cが回転する場合には、回転軸36cが第5歯車47の拘束を受けずに回転するように構成されている。
すなわち、ワンウェイクラッチ49は、回転軸36cに対して相対的に第5歯車47を矢印M方向には回転させず、第5歯車47に対して相対的な回転軸36cの矢印M方向への回転は許容する機構となっている。ここで、矢印M方向は、搬送部材36がトナーを搬送する際の回転軸36cの回転方向である。
【0039】
さらに、第5歯車47の長手方向外側には、回転部材としての弾性力伝達部材48が回転軸36cに取付けられている。弾性力伝達部材48の穴部48aと、回転軸36cとはそれぞれ円弧の一部が直線となる形状で係合している。また、弾性力伝達部材48の端面には、回転中心から偏心した位置に突起48jが設けられている。そして実施例1同様、一端が突起48jに係合し、他端が現像枠体31に設けられた突起31jに係合するように弾性部材46が設けられている。
【0040】
その為、実施例1で説明した通り、突起48jが0°<θ1<180°となるように位置した場合、回転軸36cには搬送部材36の回転方向のモーメントが作用することとなる。さらに、この場合に弾性部材46は、第5歯車47により伝達された回転駆動力により回転軸36cが回転する場合よりも高速で回転軸36cを回転させるように構成されている。すなわち、回転軸36cに対して第5歯車47は相対的に矢印N方向に回転する関係となり、回転軸36cに対してワンウェイクラッチ49は空転する。
その為、ワンウェイクラッチ49により第5歯車47から回転軸36cに回転駆動力は伝達されず、弾性部材46の弾性復元力により搬送部材36は回転することとなる。その他の構成は実施例1と同様である。
【0041】
このように本実施例においては、第5歯車47と回転軸36cの係合関係を、相対的な一方向の回転では第5歯車47と回転軸36cを係合させ、第5歯車47と回転軸36cは供回りするように構成している。そして、相対的な他方向の回転においては、第5歯車47と回転軸36cは係合せず、回転軸36cに対して第5歯車47は空転する構成としている。このような構成においても、実施例1と同様の効果が得られる。
なお、前述の実施例1においては、第5歯車45の端面に設けられた突起45jに、弾性部材46の一端を係合させているが、本実施例のように、回転軸36cに取付けられた回転部材の端面に、弾性部材46の一端を係合させるものであってもよい。
【符号の説明】
【0042】
4 現像ユニット ; 25 現像ローラ ; 31a トナー収容部 ; 31b 現像室 ; 36 搬送部材 ; 46 弾性部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤が収容される現像剤収容室と、
静電潜像を現像する現像ローラが回転可能に配置され、前記現像剤収容室から現像剤が供給される現像室と、
前記現像剤収容室に回転可能に設けられ、回転することで前記現像剤収容室内の現像剤を前記現像室に供給可能な現像剤供給部材と、
を備え、現像剤が前記現像剤供給部材により飛ばされることで前記現像剤収容室から前記現像室に供給される現像装置において、
前記現像剤収容室内の現像剤が前記現像剤供給部材によって前記現像室に向けて飛ばされるように前記現像剤供給部材を回転させる弾性部材を備えることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記現像剤供給部材は、駆動源からの回転駆動力が伝達されることで、前記現像剤収容室内で現像剤を攪拌する機能をさらに有し、
前記駆動源からの回転駆動力が前記現像剤供給部材に伝達されない状態として、前記弾性部材により前記現像剤供給部材を回転させることで現像剤が飛ばされ、前記現像剤収容室から前記現像室に現像剤が供給されることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記現像ローラを支持する枠体であって、前記現像剤収容室及び前記現像室が備えられた枠体が設けられ、
前記弾性部材は、前記現像剤供給部材の回転軸に取り付けられた回転部材の端面における前記回転軸に対して偏心した位置に一端が取り付けられ、前記枠体に他端が取り付けられることで、前記現像剤供給部材を回転させることができるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記回転部材は前記駆動源からの回転駆動力が伝達され得る欠け歯ギアで構成されており、
前記駆動源からの回転駆動力を前記欠け歯ギアに伝達可能なギアに前記欠け歯ギアの欠け歯部分が対向し、前記ギアから前記欠け歯ギアに回転駆動力が伝達されない状態として、前記弾性部材により前記現像剤供給部材を回転させることで現像剤が飛ばされ、前記現像剤収容室から前記現像室に現像剤が供給されることを特徴とする請求項3に記載の現像装置。
【請求項5】
前記駆動源からの回転駆動力を前記現像剤供給部材に伝達可能な駆動力伝達部材が、ワンウェイクラッチを介して前記回転軸に取り付けられ、
前記現像剤供給部材が現像剤を供給する際における前記回転軸の回転方向に前記駆動力伝達部材が回転する場合には、前記駆動力伝達部材の回転力が前記回転軸に伝達され、前記回転方向に前記回転軸が回転する場合には、前記回転軸が前記駆動力伝達部材の拘束を受けずに回転するように構成されることによって、
前記駆動力伝達部材により伝達された前記駆動源の回転駆動力により回転する場合よりも高速で前記弾性部材が前記現像剤供給部材を回転させることで現像剤が飛ばされ、前記現像剤収容室から前記現像室に現像剤が供給されることを特徴とする請求項3に記載の現像装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の現像装置を少なくとも有し、画像形成装置本体に着脱可能に構成されたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項7】
像担持体と、この像担持体に現像作用を行う請求項1乃至5のいずれか1項に記載の現像装置と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
現像剤が収容される現像剤収容室と、
静電潜像を現像する現像ローラが回転可能に配置され、前記現像剤収容室から現像剤が供給される現像室と、
前記現像剤収容室に回転可能に設けられ、回転することで前記現像剤収容室内の現像剤を前記現像室に供給可能な現像剤供給部材と、
を備え、現像剤が前記現像剤供給部材により飛ばされることで前記現像剤収容室から前記現像室に供給される現像装置において、
前記現像剤収容室内の現像剤が前記現像剤供給部材によって前記現像室に向けて飛ばされるように前記現像剤供給部材を回転させる弾性部材を備えることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記現像剤供給部材は、駆動源からの回転駆動力が伝達されることで、前記現像剤収容室内で現像剤を攪拌する機能をさらに有し、
前記駆動源からの回転駆動力が前記現像剤供給部材に伝達されない状態として、前記弾性部材により前記現像剤供給部材を回転させることで現像剤が飛ばされ、前記現像剤収容室から前記現像室に現像剤が供給されることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記現像ローラを支持する枠体であって、前記現像剤収容室及び前記現像室が備えられた枠体が設けられ、
前記弾性部材は、前記現像剤供給部材の回転軸に取り付けられた回転部材の端面における前記回転軸に対して偏心した位置に一端が取り付けられ、前記枠体に他端が取り付けられることで、前記現像剤供給部材を回転させることができるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記回転部材は前記駆動源からの回転駆動力が伝達され得る欠け歯ギアで構成されており、
前記駆動源からの回転駆動力を前記欠け歯ギアに伝達可能なギアに前記欠け歯ギアの欠け歯部分が対向し、前記ギアから前記欠け歯ギアに回転駆動力が伝達されない状態として、前記弾性部材により前記現像剤供給部材を回転させることで現像剤が飛ばされ、前記現像剤収容室から前記現像室に現像剤が供給されることを特徴とする請求項3に記載の現像装置。
【請求項5】
前記駆動源からの回転駆動力を前記現像剤供給部材に伝達可能な駆動力伝達部材が、ワンウェイクラッチを介して前記回転軸に取り付けられ、
前記現像剤供給部材が現像剤を供給する際における前記回転軸の回転方向に前記駆動力伝達部材が回転する場合には、前記駆動力伝達部材の回転力が前記回転軸に伝達され、前記回転方向に前記回転軸が回転する場合には、前記回転軸が前記駆動力伝達部材の拘束を受けずに回転するように構成されることによって、
前記駆動力伝達部材により伝達された前記駆動源の回転駆動力により回転する場合よりも高速で前記弾性部材が前記現像剤供給部材を回転させることで現像剤が飛ばされ、前記現像剤収容室から前記現像室に現像剤が供給されることを特徴とする請求項3に記載の現像装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の現像装置を少なくとも有し、画像形成装置本体に着脱可能に構成されたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項7】
像担持体と、この像担持体に現像作用を行う請求項1乃至5のいずれか1項に記載の現像装置と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−257653(P2011−257653A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−133305(P2010−133305)
【出願日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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