説明

現像装置、及び画像形成装置

【課題】省電力化を図るとともに、ダクトの大型化やコスト上昇を招くことなく飛散トナーを効率よく回収でき、飛散トナー吸い込み不足によるトナーの溜まり、詰まり、モレを抑制できる現像装置を提供する。
【解決手段】現像装置200には、現像ローラ1と、現像ローラ1に現像剤を供給する供給ローラ6と、供給ローラ6に現像剤を受け渡す攪拌スクリュ5と、現像ローラ1に担持され現像に供されなかった現像剤を回収する回収スクリュ4とを設けている。そして、ケーシング3内で現像剤を一方向に循環させるOD現像方式を採用している。この現像装置200内の現像ローラ1の回転方向下流側に、現像ローラ1の軸方向に沿わせて設けた飛散トナーを吸引回収するダクト8を有した吸引回収機構7を設けている。そして、この吸引回収機構7では、飛散トナーを吸引回収するダクト8内の気流を、回収スクリュ4の現像剤搬送方向下流側から発生させている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、ファクシミリ、複写機等の画像形成装置に用いられる現像装置、及びこの現像装置を備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子写真方式の画像形成装置では、潜像担持体である感光体上に形成された静電潜像を、現像装置の感光体と対向する部分に形成された開口部から一部が露出した現像剤担持体である現像ローラ上に担持したトナーを用いて現像を行う方式が普及している。このような方式に用いられる現像装置では、現像ローラ上に担持されたトナーや感光体上に静電吸着されたトナー、及び現像装置の開口部近傍のトナー等の一部が現像領域の近傍で浮遊したり、装置内外に飛散したりして周囲を汚染することがある。また、従来の現像装置の横方向に現像剤搬送手段を配置する方式では、現像ローラに供給する現像剤と、現像ローラから回収する現像剤とを、現像ローラに近い側の現像剤搬送手段で長手方向に搬送していた。このように現像ローラに対して供給する現像剤と回収する現像剤とを同一の現像剤搬送手段で搬送する方式の現像装置では、連続して画像面積率の高い画像を画像形成した場合に、現像ローラに担持される現像剤の現像ローラ長手方向の濃度ムラが発生することがある。
【0003】
上記トナーによる汚染に関しては、従来から汚染を抑制するために様々な方法が取られてきた。例えば、現像ローラ表面に穂立ちする現像剤磁気ブラシによるケース内側面を掃き込む作用で、現像ローラ回転方向下流側の開口部のケーシングと現像ローラとの隙間(以下、現像ローラ下流開口部という)の全幅で現像装置内への吸い込み気流を発生させ、現像装置内からのトナー飛散を抑制していた。また、この吸い込み気流により現像装置の内圧が上がって現像装置内への吸い込みの弱い隙間から現像装置外へのトナー噴出してしまうことを回避するために、現像装置内の圧抜きを目的とした圧抜きフィルターを設けて装置内圧のバランスをとっていた。
【0004】
そして、これらの方法でも抑制しきれず飛散してしまった飛散トナーについては、現像ローラの一部が露出される開口部の近傍に、吸入口が形成されたダクトを配置して、気流を用いて集中的に浮遊トナーや飛散トナーを吸引回収する吸引回収機構を設ける方法がとられてきた。
【0005】
従来の吸引回収機構の構成は、主に、現像ローラの長手方向の開口部に沿って現像領域に開口部を向けたダクトを配置し、ダクトの所定の位置からの吸い込み気流によって、浮遊トナーや飛散トナーを吸引回収するというものである。また、吸引回収に用いるダクトに関しても様々な技術が提案されている。例えば、特許文献1には、現像ローラ下流開口部に沿って設けたダクトの現像ローラ軸に平行な方向(以下、現像ローラ軸方向という)での吸引効率を均一にするために、次のような構成のダクトが記載されている。開口部からの気流を現像ローラ軸方向に垂直な方向に導く複数の連絡路が、複数の仕切り板を設けて形成されたダクト部と、これら複数の連絡路と開口部から離れた側で連結され、開口部からの気流を現像ローラ軸方向の一端部に設けた吸引手段に導く流路を形成されたダクト部とを、連結された部分を基点に折り重ねるようにしてして設けている。このようにダクトを構成して開口部から吸引する空気量を複数の連絡路で均一にすることで、現像ローラ軸方向においてダクトの吸引効率を均一にできるというものである。
【0006】
また、特許文献2には、ダクトの吸引効率を高めるため、次のような構成のダクトが記載されている。現像ローラ開口部の感光体回転方向上流側のケーシングと現像ローラとの隙間、及び現像ローラ下流開口部に沿って、それぞれ現像領域に開口部を向けたダクトを設けている。そして、いずれのダクトにも感光体に沿って、現像領域から離れる方向へ所定幅を持ち感光体と近接させた気流制御用の板状部材(シール部材)を設けている。上流側では、感光体の回転にともなう気流をダクトによる吸込み気流に重畳させるとともに、吸い込み気流の漏れを防止するというものである。また、下流側では、感光体の回転にともなう流れと吸込み気流と逆方向になり、飛散トナー発生しやすいため、感光体の近傍まで板状部材を配置し、気流を制御して吸込みダクト側へ誘導するというものである。これらのようにして現像領域の近傍からのダクトの吸引効率を高めるというものである。
【0007】
上記濃度ムラに関しては、近年、連続して画像面積率の高い画像を画像形成しても、濃度ムラ等が発生しない画像品質の安定性の要求が高まっている。そこで、従来の現像装置の横方向に現像剤搬送手段を配置する方式とは異なり、縦方向上下に現像剤搬送手段を配置する方式の現像装置が提案されている。このように縦方向上下に現像剤搬送手段を配置する現像装置では、上側の現像剤搬送手段で現像剤担持体としての現像ローラへの現像剤の供給を行い、下側の現像剤搬送手段で現像ローラから現像後の現像剤の回収をしている。このように上下の現像剤搬送手段で機能を分離して、現像ローラに担持される現像剤の現像ローラ長手方向の濃度ムラを抑制するとともに、さらに現像剤の供給部と回収部以外に攪拌部を設けて現像剤の攪拌性能を更に高めるというものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上下に現像剤搬送手段を配置した方式、つまり、現像ローラに対する現像剤の供給と回収とを別々の現像剤搬送手段で行う方式の現像装置における欠点として、次のような問題が挙げられる。供給部と回収部からの現像剤が同じ端部側の位置で折り返すように攪拌部へ合流搬送させているため、現像装置内のこの折り返し部分においては常に現像剤が溜まった状態になってしまう。このように常に現像剤が溜まった状態になるので、現像剤磁気ブラシにより吸い込み気流を発生させたり、圧抜きフィルターを設けたりしても、現像装置内の内圧が高くなることがある。現像装置内の内圧が高くなると、現像剤が溜まった側、つまり現像剤の折り返し部分の現像ローラ下流開口部においては、従来の現像装置の横方向に現像剤搬送手段を配置する方式よりも、現像装置内から噴出する気流が発生しやすくなる。そして、現像装置内から噴出する気流が発生すると、例えば現像剤中のトナーが噴出し気流に乗って現像装置外に飛散してしまう、飛散トナー吸い込み不足に起因したトナーの溜まり、詰まり、モレを引き起こすといった問題が発生してしまう。
【0009】
そこで、飛散トナー吸い込み不足を回避するために、噴出した気流による飛散トナーについては、従来と同様に吸引回収機構を設けることとなる。しかし、特許文献1に記載の構成を縦方向上下に現像剤搬送手段を配置する方式の現像装置に適用した場合には、集中して飛散トナーが発生し易い現像剤の折り返し部分以外でも均一に吸引力を発生させるため、トナー飛散を効率よく回収できないとともに、吸引力を発生させる電力を余分に消費してしまい省電力化が図り難いとった問題がある。また、ダクト内を2層化するとともに複数の連絡路を形成するという特殊な構造をしているため、ダクトの厚さが増すとともに複数の仕切り板も必要になってしまい、現像装置のダクト大型化、及びコスト上昇を招くといった問題もある。
【0010】
また、特許文献2に記載の構成を縦方向上下に現像剤搬送手段を配置する方式の現像装置に適用した場合には、集中して飛散トナーが発生し易い現像ローラ下流開口部ではない現像ローラ回転方向上流側にもダクトを設けているので、その吸引力を発生させる電力を余分に消費されてしまい現像装置の省電力化が図り難いとった問題がある。また、各ダクトに吸引効率を高める機能を持つ気流制御用のシール部材も設けているので、現像装置のコスト上昇を招いてしまうといった問題がある。
【0011】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、次のような現像装置を提供することである。現像ローラに対する現像剤の供給と回収とを別々の現像剤搬送手段で行う方式の現像装置において、省電力化を図るとともに、ダクトの大型化やコスト上昇を招くことなく、飛散トナー吸い込み不足によるトナーの溜まり、詰まり、モレを抑制できる現像装置である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、潜像担持体に対向して設けられ、現像剤を担持する現像剤担持体と、現像剤を長手方向に搬送しつつ上記現像剤担持体に現像剤を供給する第1現像剤搬送手段と、上記第1現像剤搬送手段と逆方向に現像剤を搬送し、その現像剤搬送方向下流側で現像剤を該第1現像剤搬送手段に受け渡す第2現像剤搬送手段と、上記現像剤担持体から現像に供されなかった現像剤を回収するとともに、上記第2現像剤搬送手段の現像剤搬送方向とは逆方向に現像剤を搬送し、その現像剤搬送方向下流側で該第2現像剤搬送手段に現像剤を受け渡す第3現像剤搬送手段とを設けた現像装置において、上記潜像担持体に上記現像剤担持体を対向させるために上記現像装置のケースに設けた開口部の該現像剤担持体の回転方向下流側に、該現像剤担持体の軸方向に沿わせて設けた飛散トナーを吸引回収するダクトを有し、飛散トナーを吸引回収する上記ダクト内の気流を、上記第3現像剤搬送手段の現像剤搬送方向下流側から発生させることを特徴とするものである。
本発明は、飛散トナーを吸引回収するダクト内の気流を、集中して飛散トナーが発生し易い現像剤の折り返し部分に近い第3現像剤搬送手段の現像剤搬送方向下流側から発生させるので、現像剤の折り返し部分での吸引力を上流側よりも強くできる。このように現像剤の折り返し部分での吸引力を強くできるので、集中して発生した飛散トナーの回収を必要最低限の吸引力で効率よく行うことができる。したがって、現像装置の省電力化を図ることができる。
また、ダクトに特殊な構造や機構を設けることなく、集中して発生した飛散トナーの回収を必要最低限の吸引力で効率よく行うことができるので、従来の構成のように現像装置のダクトの大型化やコスト上昇も招かない。
そして、集中して発生し易い位置の飛散トナーを確実に回収することができるので、現像装置の飛散トナー吸い込み不足によるトナーの溜まり、詰まり、モレを回避できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、現像ローラに対する現像剤の供給と回収とを別々の現像剤搬送手段で行う方式の現像装置において、省電力化を図るとともに、ダクトのサイズ大型化やコスト上昇を招くことなく、トナー吸い込み不足によるトナーの溜まり、詰まり、モレを回避できる現像装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】一実施形態に係る複写機の概略構成図。
【図2】実施例1に係る、現像装置を有した作像ユニットの断面説明図。
【図3】現像装置内の現像剤循環搬送経路の現像剤受渡し部の説明図。
【図4】現像装置内の現像剤循環搬送経路の説明図。
【図5】現像装置に設けた吸引回収機構の説明図。
【図6】基本的な、吸引回収機構及び回収部内の気流の説明図。
【図7】回収部の現像剤搬送方向下流側の端部の位置で噴出す方向の気流が生じた場合の、吸引回収機構及び回収部内の気流の説明図。
【図8】ダクト内の気流の説明図。
【図9】実施例2に係る、現像装置に設けた吸引回収機構の説明図。
【図10】変形例に係る、作像ユニット18に設けたトナーリサイクル機構240の感光体2の回転軸に垂直な断面における構成説明図。
【図11】変形例に係る、現像装置を有したリサイクルトナー方式の作像ユニットの現像ローラの回転軸に平行な断面の構成説明図。
【図12】粉体ポンプとして用いたモーノポンプの説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を適用した画像形成装置として、複数の潜像担持体であるドラム状の感光体が並行配設されたタンデム型のカラーレーザー複写機(以下、複写機500という)の一実施形態について、複数の実施例及び変形例を挙げて説明する。まず、各実施例及び変形例に共通する本実施形態の画像形成装置の概要から図を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る複写機500の概略構成図である。この複写機500はプリンタ部100、これを載せる給紙装置111、プリンタ部100の上に固定されたスキャナ112などを備えている。また、このスキャナ112の上に固定された原稿自動搬送装置400なども備えている。
【0016】
プリンタ部100は、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像を形成するための4組の作像ユニット18Y,M,C,Kからなる画像形成ユニット20を備えている。各符号の数字の後に付されたY,M,C,Kは、イエロー、シアン、マゼンダ、黒用の部材であることを示している(以下同様)。作像ユニット18Y,M,C,Kの他には、光書込ユニット21、中間転写ユニット17、二次転写装置22、レジストローラ対49、ベルト定着方式の定着装置25などが配設されている。
【0017】
光書込ユニット21は、図示しない光源、ポリゴンミラー、f−θレンズ、反射ミラーなどを有し、画像データに基づいて後述の感光体の表面にレーザ光を照射する。
【0018】
作像ユニット18Y,M,C,Kは、感光体2、帯電装置、現像装置200、潜像担持体クリーニング装置である感光体クリーニング装置等を有している。以下、イエロー用の作像ユニット18について説明する。
【0019】
帯電装置によって、感光体2Yの表面は一様帯電される。帯電処理が施された感光体2Yの表面には、光書込ユニット21によって変調及び偏向されたレーザ光が照射される。すると、照射部(露光部)の電位が減衰する。この減衰により、感光体2Y表面にY用の静電潜像が形成される。形成されたY用の静電潜像は現像手段たる現像装置200Yによって現像されてYトナー像となる。Y用の感光体2Y上に形成されたYトナー像は、後述の中間転写ベルト60に1次転写される。1次転写後の感光体2Yの表面は、感光体クリーニング装置によって転写残トナーがクリーニングされる。
【0020】
Y用の作像ユニット18Yにおいて、感光体クリーニング装置によってクリーニングされた感光体2Yは、除電器によって除電される。そして、帯電器によって一様帯電せしめられて、初期状態に戻る。以上のような一連のプロセスは、他の作像ユニット18M,C,Kについても同様である。
【0021】
次に、中間転写ユニット17について説明する。中間転写ユニット17は、中間転写ベルト60やベルトクリーニング装置90などを有している。また、張架ローラ64、駆動ローラ65、2次転写バックアップローラ66、4つの1次転写バイアスローラ62Y,M,C,Kなども有している。中間転写ベルト60は、張架ローラ64を含む複数のローラによってテンション張架されている。そして、図示しないベルト駆動モータによって駆動される駆動ローラ65の回転によって図中時計回りに無端移動される。
【0022】
4つの1次転写バイアスローラ62Y,M,C,Kは、それぞれ中間転写ベルト60の内周面側に接触するように配設され、図示しない電源から1次転写バイアスの印加を受ける。また、中間転写ベルト60をその内周面側から感光体2Y,M,C,Kに向けて押圧してそれぞれ1次転写ニップを形成する。各1次転写ニップには、1次転写バイアスの影響により、感光体と1次転写バイアスローラとの間に一次転写電界が形成される。
【0023】
Y用の感光体2Y上に形成された上述のYトナー像は、この1次転写電界やニップ圧の影響によって中間転写ベルト60上に1次転写される。このYトナー像の上には、M,C,K用の感光体2M,C,K上に形成されたM,C,Kトナー像が順次重ね合わせて1次転写される。この重ね合わせの1次転写により、中間転写ベルト60上には多重トナー像たる4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。中間転写ベルト60上に重ね合わせ転写された4色トナー像は、後述の2次転写ニップで図示しない記録体たる転写紙に2次転写される。2次転写ニップ通過後の中間転写ベルト60の表面に残留する転写残トナーは、図中左側の駆動ローラ65との間にベルトを挟み込むベルトクリーニング装置90によってクリーニングされる。
【0024】
次に、2次転写装置22について説明する。中間転写ユニット17の図中下方には、2本の張架ローラ23a,23bによって紙搬送ベルト24を張架している2次転写装置22が配設されている。紙搬送ベルト24は、少なくとも何れか一方の張架ローラ23の回転駆動にともなって、図中反時計回りに無端移動される。張架ローラ23aは、中間転写ユニット17の2次転写バックアップローラ66との間に、中間転写ベルト60及び紙搬送ベルト24を挟み込んでいる。この挟み込みにより、中間転写ユニット17の中間転写ベルト60と、2次転写装置22の紙搬送ベルト24とが接触する2次転写ニップが形成されている。そして、この張架ローラ23aには、トナーと逆極性の2次転写バイアスが図示しない電源によって印加される。この2次転写バイアスの印加により、2次転写ニップには中間転写ユニット17の中間転写ベルト60上の4色トナー像を中間転写ベルト60側から張架ローラ23a側に向けて静電移動させる2次転写電界が形成される。後述のレジストローラ対49によって中間転写ベルト60上の4色トナー像に同期するように2次転写ニップに送り込まれた転写紙には、この2次転写電界やニップ圧の影響を受けた4色トナー像が2次転写される。なお、このように張架ローラ23aに2次転写バイアスを印加する2次転写方式に代えて、転写紙を非接触でチャージさせるチャージャを設けてもよい。
【0025】
複写機500本体の下部に設けられた給紙装置111には、内部に複数の転写紙を紙束の状態で複数枚重ねて収容可能な給紙カセット44が、鉛直方向に複数重なるように配設されている。それぞれの給紙カセット44は、紙束の一番上の転写紙に給紙ローラ42を押し当てている。そして、給紙ローラ42を回転させることにより、一番上の転写紙を給紙路46に向けて送り出される。
【0026】
給紙カセット44から送り出された転写紙を受け入れる給紙路46は、複数の搬送ローラ対47と、その路内の末端付近に設けられたレジストローラ対49とを有している。そして、転写紙をレジストローラ対49に向けて搬送する。レジストローラ対49に向けて搬送された転写紙は、レジストローラ対49のローラ間に挟まれる。一方、中間転写ユニット17において、中間転写ベルト60上に形成された4色トナー像は、ベルトの無端移動にともなって上記2次転写ニップに進入する。レジストローラ対49は、ローラ間に挟み込んだ転写紙を2次転写ニップにて4色トナー像に密着させ得るタイミングで送り出す。これにより、2次転写ニップでは、中間転写ベルト60上の4色トナー像が転写紙に密着する。そして、転写紙上に2次転写されて、白色の転写紙上でフルカラー画像となる。このようにしてフルカラー画像が形成された転写紙は、紙搬送ベルト24の無端移動に伴って2次転写ニップを出た後、紙搬送ベルト24上から定着装置25に送られる。
【0027】
定着装置25は、定着ベルト26を2本のローラによって張架しながら無端移動させるベルトユニットと、このベルトユニットの一方のローラに向けて押圧される加圧ローラ27とを備えている。これら定着ベルト26と加圧ローラ27とは互いに当接して定着ニップを形成しており、紙搬送ベルト24から受け取った転写紙をここに挟み込む。ベルトユニットにおいける2本のローラのうち、加圧ローラ27から押圧される方のローラは、内部に図示しない熱源を有しており、これの発熱によって定着ベルト26を加圧する。加圧された定着ベルト26は、定着ニップに挟み込まれた転写紙を加熱する。この加熱やニップ圧の影響により、フルカラー画像が転写紙に定着される。そして、定着装置25内で定着処理が施された転写紙は、プリンタ部100の筐体の図中左側板の外側に設けたスタック部57上にスタックされるか、もう一方の面にもトナー像を形成するために上述の2次転写ニップに戻されるかする。
【0028】
図示しない原稿のコピーがとられる際には、例えばシート原稿の束が原稿自動搬送装置400の原稿台30上セットされる。たたし、その原稿が本状に閉じられている片綴じ原稿である場合には、コンタクトガラス32上にセットされる。このセットに先立ち、複写機500本体に対して原稿自動搬送装置400が開かれ、スキャナ112のコンタクトガラス32が露出される。この後、閉じられた原稿自動搬送装置400によって片綴じ原稿が押さえられる。
【0029】
この複写機500は、装置本体内の各機器の制御を司るCPU等から構成される図示しない制御部と、液晶ディスプレイや各種キーボタン等などから構成される図示しない操作表示部とを備えている。上述したように原稿がセットされた後、図示しない操作表示部のコピースタートスイッチが押下されると、スキャナ112による原稿読取動作がスタートする。ただし、原稿自動搬送装置400にシート原稿がセットされた場合には、この原稿読取動作に先立って、原稿自動搬送装置400がシート原稿をコンタクトガラス32まで自動移動させる。原稿読取動作では、まず、第1走行体33と第2走行体34とがともに走行を開始し、第1走行体33に設けられた光源から光が発射される。そして、原稿面からの反射光が第2走行体34内に設けられたミラーによって反射せしめられ、結像レンズ35を通過した後、読取センサ36に入射される。読取センサ36は、入射光に基づいて画像情報を構築する。
【0030】
このような原稿読取動作と並行して、各作像ユニット18Y,M,C,K内の各機器や、中間転写ユニット17、二次転写装置22、定着装置25がそれぞれ駆動を開始する。そして、読取センサ36によって構築された画像情報に基づいて、光書込ユニット21が駆動制御されて、各感光体2Y,M,C,K上に、Y,M,C,Kトナー像が形成される。これらトナー像は、中間転写ベルト60上に重ね合わせ転写された4色トナー像となる。
【0031】
また、原稿読取動作の開始とほぼ同時に、給紙装置111内では給紙動作が開始される。この給紙動作では、給紙ローラ42の1つが選択回転され、ペーパーバンク43内に多段に収容される給紙カセット44の1つから転写紙が送り出される。送り出された転写紙は、分離ローラ45で1枚ずつ分離されて給紙路46に進入した後、搬送ローラ対47によって二次転写ニップに向けて搬送される。このような給紙カセット44からの給紙に代えて、手差しトレイ51からの給紙が行われる場合もある。この場合、手差し給紙ローラ50が選択回転されて手差しトレイ51上の転写紙を送り出した後、分離ローラ52が転写紙を1枚ずつ分離してプリンタ部100の手差し給紙路53に給紙する。
【0032】
本複写機500は、2色以上のトナーからなる多色画像を形成する場合には、中間転写ベルト60をその上部張架面がほぼ水平になる姿勢で張架して、上部張架面に全ての感光体2Y,M,C,Kを接触させる。これに対し、Kトナーのみからなるモノクロ画像を形成する場合には、図示しない離間機構により、中間転写ベルト60を図中左下に傾けるような姿勢にして、その上部張架面をY,M,C用の感光体2Y,M,Cから離間させる。そして、4つの感光体2Y,M,C,Kのうち、K用の感光体2Kだけを図中反時計回りに回転させて、Kトナー像だけを作像する。この際、Y,M,Cについては、感光体2だけでなく、現像器も駆動を停止させて、感光体や現像剤の不要な消耗を防止する。
【0033】
次に、本実施形態の特徴である、飛散トナーを吸引回収する吸引回収機構7を設けた現像装置200の構成及び動作について複数の実施例を挙げて説明する。なお、現像装置200Y,M,C,Kの構成及び動作は、用いるトナーが異なるのみであるので、以下の説明では特に必要ない限り、符号Y,M,C,Kは、省略して説明する。
【0034】
(実施例1)
まず、本実施形態における吸引回収機構7を設けた現像装置200の第1の実施例を、図を用いて説明する。図2は、本実施例に係る、現像装置200を有した作像ユニット18の断面説明図である。図3は、現像装置200内の現像剤循環搬送経路の現像剤受渡し部の説明図であり、(a)が供給部から攪拌部への現像剤受渡し部の説明図、(b)が攪拌部から供給部への現像剤受渡し部の説明図である。図4は、現像装置内の現像剤循環搬送経路の説明図、図5は、現像装置200に設けた吸引回収機構7の説明図である。図6は、基本的な、吸引回収機構7及び回収部内の気流の説明図、図7は、回収部の現像剤搬送方向下流側の端部の位置で噴出す方向の気流が生じた場合の、吸引回収機構7及び回収部内の気流の説明図、図8は、ダクト8内の気流の説明図である。
【0035】
この現像装置200では、図2に示すように、内部に現像剤を収容するための内部空間が形成され、現像剤担持体である現像ローラ表面の一部を感光体2に対向させるための開口部が設けられたケーシング3内で現像剤が一方向に循環するOD現像方式を採用している。この現像装置200には、感光体2と対向するようにケーシング3に設けられた開口部からその一部を露出させた現像ローラ1が設けられて供給部を形成し、この現像ローラ1の図中左斜め下方には第3現像剤搬送手段である回収スクリュ4を有した回収部が配置されている。そして、回収部の図中左側には第2現像剤搬送手段である攪拌スクリュ5を有した攪拌部が設けられており、攪拌部の図中右斜め上方には第1現像剤搬送手段である供給スクリュ6を有した供給部が設けられている。
【0036】
また、供給部の上方には圧抜きフィルタ221が設けられている。なお、感光体2の回りには、現像装置200の感光体回転方向下流側に、1次転写後に感光体2上に残留した転写残トナーをクリーニングする感光体クリーニング装置241が設けられ、その下流側には、帯電装置231が配置されている。また、本実施例の作像ユニット18に設けたクリーニング装置241には、回収した転写残トナーである回収トナーを一端側に搬送する回収トナー搬送スクリュを有している。そして、一端側に搬送された回収トナーは、クリーニング装置241の一端側に形成された残トナー排出口から、図示していない回収トナー収容容器に搬送され、回収トナー収容容器に一定量が溜まった時に破棄されることとなる。
【0037】
現像装置200内の現像剤の循環について、図2、図3、図4を用いて説明する。図2に示すように、現像装置200の感光体2側から離れた下部に設けられ、攪拌スクリュ5を有した攪拌部内の現像剤は、攪拌スクリュ5によって図2図面奥方向へ向かって搬送され、図3(b)、図4に示すように、突き当りに設けられた連通部から矢印Dのように持ち上げられて斜め上方の供給スクリュ6を有した供給部に受け渡される。供給部に受け渡された現像剤は、供給スクリュ6によって図2図面手前方向へ向かって搬送される。現像剤担持体である現像ローラ1は供給スクリュ6によって搬送されてきた現像剤を汲み上げて、潜像担持体である感光体2上に形成された静電潜像をトナーで現像する。
【0038】
現像ローラ1により汲み上げられて現像に使用された後の現像剤は、図2、図4に示すように、現像ローラ1の図2図中時計回りの回転にともない、回収スクリュ4を有した回収部に回収される。回収部に回収された現像剤は、回収スクリュ4によって図2図面手前方向へ向かって向かって搬送され、図4に示すように突き当りに設けられた図示しない連通部から矢印Fのように攪拌スクリュ5を有した攪拌部内に受け渡されて現像装置200内を循環する。また、供給部に受け渡された現像剤で、現像ローラ1によって汲み上げられなかった現像剤は、図2、図4に示すように供給スクリュ6によって図2図面手前方向へ向かって搬送され、図3(a)、図4に示すように、突き当りに設けられた連通部から矢印Eのように攪拌スクリュ5を有した攪拌部内に受けわたされて現像装置200内を循環する。ここで、図4に符号Hで示した破線で囲った構成要素が現像装置200内の上部の構成要素であり、符号Iで示した破線で囲った構成要素が現像装置200内の下部の構成要素である。また、符号でGで示した領域が、回収スクリュ4を有した回収部内の現像剤と供給スクリュ6を有した供給部の現像剤が合流して攪拌部に折り返す領域であるトナー合流部Gである。
【0039】
また、回収スクリュ4を有した回収部から攪拌スクリュ5を有した攪拌部内に現像剤を受け渡す連通部の現像剤搬送方上流側近傍の回収部の上部には、図示していない現像剤補給口が設けられている。そして、図示していないトナーボトルから供給される新しいトナーである補給トナーが、一端、トナーホッパに貯留されるとともに攪拌されて、現像剤補給口に接続されたトナーダクトを通って回収部内に補給される。また、トナーボトルは、装置本体であるプリンタ部100に対し着脱可能に設けられている。
【0040】
一連の現像剤の流れの中でトナー飛散が問題となるのは現像ローラ1周りの現像ローラ1と感光体2との現像ニップ部15の現像ローラ回転方向下流の領域である。飛散トナーが現像装置200外部へと漏れた場合には機械内部、外部の汚染や異常画像の原因となるためこれを抑制する必要がある。そこで、本実施例では現像装置200に、現像ローラ回転方向下流の領域で浮遊している浮遊トナーや、現像ローラ回転方向下流の領域から飛散した飛散トナーを吸引回収する吸引回収機構7を設けている。よって、省電力化を図るとともに、ダクト8のサイズ大型化やコスト上昇を招くことなく飛散トナーを効率よく回収でき、トナー吸い込み不足によるトナーの溜まり、詰まり、モレを回避できる現像装置を提供できる。
【0041】
図2、及び図5に示すように、本実施例の吸引回収機構7は、現像ローラ回転下流開口部に隣接させて、現像ローラ1の軸方向に沿って設けられている。この吸引回収機構7は、現像装置200のケーシング3に、略コの字状の部材であるダクト部材を嵌め込んで浮遊トナーや飛散トナーを空気とともに吸引回収するダクト8と、図示していない吸引装置と、ダクト8と吸引装置とを連結するジョイント部材により構成されている。また、ダクト8の現像ニップ部に近い側には、図5に示すように、複数の吸引口9が並んで形成されており、ダクト8内の気流を回収スクリュ4の現像剤搬送方向下流側から発生させ、詳しくは後述する、吸引口9から浮遊トナーや飛散トナーをダクト8内に吸引回収する気流Aの吸引効果を与える。
【0042】
ここで、現像装置200の現像ローラ1周りには、その回転と現像ローラ1上の現像剤磁気ブラシでケース内側面を掃き込む作用によって、図6に示すように、現像ローラ下流開口部の全幅で現像装置内への吸い込み気流Bを発生させている。この気流Bで吸い込まれずに、現像ローラ下流開口部手前で浮遊した浮遊トナーは、ダクト8の吸引口9からの気流Aによって回収される。しかし、上述したトナー合流部Gにおける供給部側では、攪拌部に供給部と回収部からの現像剤が合流するので、現像剤嵩が他の領域よりも高くなる。このため、気流Bによる現像装置200内への吸い込みと現像装置200内の現像剤の嵩や量が変化して、現像装置200の内圧の上昇と圧抜きフィルタ221による内圧下げのバランスが一時的に崩れて突発的に現像装置200内の内圧が上昇してしまうことがある。
【0043】
本実施例の現像装置200の構成では、上述したトナー合流部Gの領域、すなわち回収部の回収スクリュ4の現像剤搬送方向下流側の端部の位置で現像剤の量が溜まる状態になる。このため、図7に示すように、回収部の回収スクリュ4の現像剤搬送方向下流側の端部の位置で、現像ローラ下流開口部から装置の外に向かった気流Cが発生して、その気流Cに乗って現像装置200内のトナーが装置外に吐き出され飛散トナーとなってしまう。この吐き出された飛散トナーは、吸引回収機構7のダクト8による気流Aによって、空気とともにダクト8を経由して吸引回収される。
【0044】
吸引回収機構7のダクト8内の気流及び各吸引口9での気流の強さは、図6に示すように、吸引側で強く、その逆側は弱くなる。また、気流Cは現像ローラ下流開口部(現像ローラ1の回転方向下流側の開口部)において、回収部の回収スクリュ4の現像剤搬送方向下流側の端部(トナー合流部Gの領域)の位置で発生する。これらのことから、気流Cが発生する側の気流Aを十分確保するために、同じく回収スクリュ4の現像剤搬送方向下流側のダクト8の端部側より吸引することで、吸引された飛散トナーのダクト8内の流路も短く済むため、多量のトナー飛散に対しても効率良く吸引回収することが可能となる。
【0045】
上述したように、本実施例の現像装置200では、飛散トナーを吸引回収するダクト8内の気流Aを、集中して飛散トナーが発生し易い領域である回収スクリュ4の現像剤搬送方向下流側の端部に近い回収スクリュ4の現像剤搬送方向下流側から発生させる。このように気流Aを発生させるので、現像剤の折り返し部分での吸引力を上流側よりも強くできる。このように現像剤の折り返し部分での吸引力を強くできるので、集中して発生した飛散トナーの回収を必要最低限の吸引力で効率よく行うことができる。したがって、現像装置200の省電力化を図ることができる。また、ダクトに特殊な構造や機構を設けることなく、集中して発生した飛散トナーの回収を必要最低限の吸引力で効率よく行うことができるので、従来の構成のように現像装置のダクトの大型化やコスト上昇も招かない。そして、集中して発生し易い位置の飛散トナーを確実に回収することができるので、現像装置200の飛散トナー吸い込み不足によるトナーの溜まり、詰まり、モレを回避できる。よって、縦方向上下に現像剤搬送手段を配置する方式の現像装置において、省電力化を図るとともに、ダクトのサイズ大型化やコスト上昇を招くことなく、トナー吸い込み不足によるトナーの溜まり、詰まり、モレを回避できる現像装置200を提供できる。
【0046】
また、上述した本実施例では、吸引回収機構7のダクト8に複数の吸引口9を並べて形成しているが、これはダクト8の長手方向での吸引効率を均一化する目的ではなく、主に、ダクト8が変形して吸引口9の短手方向の長さが変化したり、ダクト8が破損したりするのを防ぐためである。したがって、吸引口9の長手方向の長さや、各吸引口9を仕切っている仕切り部12の長手方向の長さは、飛散トナーが仕切り部12に大量に滞留しない範囲で、現像装置200や複写機500内の気流設計条件によって適宜設定すれば良く、本実施例の構成に限定されるものではない。例えば、十分な強度や耐変形性が得られる場合には、1つの連続した吸引口9としても良い。
【0047】
(実施例2)
次に、本実施形態における吸引回収機構7を設けた現像装置200の第2の実施例を、図を用いて説明する。図9は、本実施例に係る、現像装置に設けた吸引回収機構7の説明図である。ここで、上述した実施例1と本実施例とでは、吸引回収機構7のダクト8を設ける範囲に係る点のみ異なるので、他の同様な構成・動作にについては、適宜、省略して説明する。
【0048】
本実施例の吸引回収機構7により回収する飛散トナーは、実施例1と同様に、実施例1で図6を用いて説明した気流Bで現像装置200内に引き込めなかった浮遊トナーと、図7を用いて説明した気流Cによって現像装置200内から噴出された飛散トナーである。
【0049】
前述の浮遊トナーの発生原因は、例えば現像ローラ1上の現像剤のトナー濃度(比率)が高く現像剤のキャリアによるトナーの拘束力が下がった状態であったり、気流Cの発生による影響で起こることが考えられ、後述の気流Cによる飛散トナーに比べると微量であることから、現像装置200や複写機500内の気流設計条件によっては吸引回収機構7のダクト8を設けなくても回収は可能である。そこで、本実施例では、図9に示すように、吸引回収機構7のダクト8を回収スクリュ4の下流側にのみ設置することでトナー飛散に対応することとした。
【0050】
上述したように、本実施例の現像装置200では、現像ローラ下流開口部からトナー飛散が発生する主な位置であるトナー合流部Gの領域、すなわち回収部の回収スクリュ4の現像剤搬送方向下流側の端部側のみダクト8を設置することにより、最低限のサイズの吸引回収機構7にすることで、現像装置200のスペースを最小限に設計することが可能となる。
【0051】
(変形例)
次に、本実施形態の現像装置200を設けた作像ユニット18の変形例について、図を用いて説明する。図10は、本変形例に係る、作像ユニット18に設けたトナーリサイクル機構240の感光体2の回転軸に垂直な断面における構成説明図、図11は、本変形例に係る、作像ユニット18に設けたトナーリサイクル機構240の感光体2の回転軸に平行な断面における構成説明図である。また、図12では、粉体ポンプとして用いたモーノポンプ243の説明図である。また、図10では、現像装置200内の現像ローラ1等、実際には現像装置200のケース側壁で隠れてしまう構成についても、回収トナーの流れが理解し易いように、実線で示した模式図としている。
【0052】
本変形例は、上述した実施例1,2と、現像装置200を設けた作像ユニット18がリサイクルトナー方式を採用し、トナーリサイクル機構240を設けていることに係る点のみ異なり、実施例1,2のいずれの現像装置200を備える作像ユニット18にも適用可能である。したがって、他の同様な構成・動作にについては、適宜、省略して説明する。また、上述した実施例1,2と同様に、作像ユニット18Y,M,C,Kの基本的な構成、及び動作は、用いるトナーの色が異なるのみなので、以下の説明では、符号Y,M,C,Kを省略して説明する。
【0053】
図10に示すように、本変形例の作像ユニット18でも実施例1,2と同様に、現像装置200、及び図示していない1次転写部の感光体回転方向下流側であって、帯電装置231の上流側に設けられた感光体クリーニング装置241が設けられている。また、感光体クリーニング装置241の一端側の下部に残トナー排出口が設けられている。しかし、実施例1,2とは異なり、本変形例の作像ユニット18では、残トナー排出口から回収される転写残トナーを再度、現像装置200内に搬送することで、再利用(リサイクル)するトナーリサイクル機構240を設けている。トナーリサイクル機構240は、主に、残トナー排出口に接続されて回収トナーとなった転写残トナーを搬送する経路の一部を構成するフレキシブルチューブ242、粉体ホンプであるモーノポンプ243、及び回収トナーダクト254から構成されている。
【0054】
残トナー排出口から感光体クリーニング装置241で回収(クリーニング)され、回収トナーとなった転写残トナーは、モーノポンプ243に繋がれたフレキシブルチューブ242を介して現像装置200の手前側上部に配置されたモーノポンプ243まで搬送される。また、実施例1,2と同様に、図示していないトナーボトルから補給される補給トナーを、一端、貯留するとともに攪拌するトナーホッパ253から、図11に示す現像装置200に設けた現像剤補給口251に搬送するトナーダクト252が設けられている。モーノポンプ243まで搬送された回収トナーは、モーノポンプ243からトナーダクト252に接続された回収トナーダクト254内に落下させられる。そして、回収トナーダクト254を通ってトナーダクト252を搬送されてくる補給トナーに合流した回収トナーは、現像剤補給口251から現像装置200の回収スクリュ4を有した回収部内の現像剤搬送方向下流側に落下し、供給されて再利用されることとなる。
【0055】
また、本変例で用いているモーノポンプ243は、図12に示すように、ステータ244とロータ245から構成される、粉体ポンプとして一般的に用いられるものである。そして、ステータ244を保持するポンプケース246の吸入側に設けた吸入口に約45度の傾斜を持たせて、フレキシブルチューブ242を接続するように構成している。また、排出側には、回収トナー落下口248が下部に形成された保持ケース247を介して対向する側に、モーノポンプ243のロータ245に同軸で接続される駆動軸を有するポンプ駆動モータ249が保持ケース247に保持されている。
【0056】
このように感光体クリーニング装置241で回収された転写残トナーを回収トナーとして再度、現像装置200に補給するトナーリサイクル方式においては、次の理由によりトナー飛散に対しての余裕がない。感光体クリーニング装置での回収から現像装置への再補給までのリサイクル工程内でのストレスによる物性(劣化)による流動性悪化、帯電量分布のブロード化(主に弱帯電トナーの増加)による帯電量不足のトナーが増加するためである。このような問題があるため飛散トナー量も多くなる傾向がある。そこで、本変形例の作像ユニット18に有する現像装置としては、上述した実施例1,2で説明した、いずれかの吸引回収機構7を設けた現像装置200を用いることが望ましい。
【0057】
本変形例の作像ユニット18に設ける現像装置として、上述した実施例1,2で説明した、いずれかの現像装置200を設けることで、上述した実施例1,2で説明した、いずれかの現像装置200と同様な効果を奏することができる。加えて、トナーリサイクル方式の作像ユニット18において、現像装置200の内圧の微妙な変化によって発生しうる現像ローラ下流開口部の合流折り返し側端部(トナー合流部G)からのトナー飛散の増加に対しても回収能力を十分確保する設計が可能となる。
【0058】
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
感光体2などの潜像担持体に対向して設けられ、現像剤を担持する現像ローラ1などの現像剤担持体と、現像剤を長手方向に搬送しつつ上記現像剤担持体に現像剤を供給する供給ローラ6などの第1現像剤搬送手段と、上記第1現像剤搬送手段と逆方向に現像剤を搬送し、その現像剤搬送方向下流側で現像剤を該第1現像剤搬送手段に受け渡す攪拌スクリュ5などの第2現像剤搬送手段と、上記現像剤担持体から現像に供されなかった現像剤を回収するとともに、上記第2現像剤搬送手段の現像剤搬送方向とは逆方向に現像剤を搬送し、その現像剤搬送方向下流側で該第2現像剤搬送手段に現像剤を受け渡す回収スクリュ4などの第3現像剤搬送手段とを設けた現像装置200などの現像装置において、上記潜像担持体に上記現像剤担持体を対向させるために上記現像装置のケーシング3などのケースに設けた開口部の該現像剤担持体の回転方向下流側に、該現像剤担持体の軸方向に沿わせて設けた飛散トナーを吸引回収するダクト8などのダクトを有し、飛散トナーを吸引回収する上記ダクト内の気流を、上記第3現像剤搬送手段の現像剤搬送方向下流側から発生させることを特徴とするものである。
これによれば、上記実施例1について説明したように、省電力化を図るとともに、ダクト8などのダクトのサイズ大型化やコスト上昇を招くことなく、トナー吸い込み不足によるトナーの溜まり、詰まり、モレを回避できる現像装置200などの現像装置を提供できる。
(態様B)
(態様A)において、吸引回収機構7のダクト8などの上記ダクトは、回収スクリュ4などの上記第3現像剤搬送手段の現像剤搬送方向下流側にのみ設けることを特徴とするものである。
これによれば、上記実施例2について説明したように、最低限のサイズの吸引回収機構7にすることで、現像装置200などの現像装置のスペースを最小限に設計することが可能となる。
(態様C)
現像装置200などの現像装置と、帯電装置231などの帯電装置と、感光体2などの潜像担持体と、該潜像担持体上の転写後の残トナーをクリーニングする感光体クリーニング装置241などのクリーニング装置とを備えた複写機500などの画像形成装置において、上記現像装置として、(態様A)又は(態様B)の現像装置200などの現像装置を備えたことを特徴とするものである。
これによれば、上記実施例1、2について説明したように、(態様A)又は(態様B)の現像装置200などの現像装置が奏することができる効果と同様な効果を奏することができる複写機500などの画像形成装置を提供できる。
(態様D)
現像装置200などの現像装置と、帯電装置231などの帯電装置と、感光体2などの潜像担持体と、該潜像担持体上の転写後の残トナーをクリーニングする感光体クリーニング装置241などのクリーニング装置とを備え、上記クリーニング装置により回収したトナーを上記現像装置に再供給するトナーリサイクル方式の複写機500などの画像形成装置において、上記現像装置として、(態様A)又は(態様B)の現像装置200などの現像装置を備えたことを特徴とするものである。
これによれば、上記変形例について説明したように、(態様A)又は(態様B)の現像装置200などの現像装置と同様な効果を奏することができる複写機500などの画像形成装置を提供できる。加えて、トナーリサイクル方式の作像ユニット18などの作像ユニットを備える複写機500などの画像形成装置において、現像装置200などの現像装置の内圧の微妙な変化によって発生しうる現像ローラ下流開口部の合流折り返し側端部(トナー合流部G)からのトナー飛散の増加に対しても回収能力を十分確保する設計が可能となる画像形成装置を提供できる。
【符号の説明】
【0059】
1 現像ローラ
2 感光体
3 ケーシング
4 回収スクリュ
5 攪拌スクリュ
6 供給スクリュ
7 吸引回収機構
8 ダクト
9 吸引口
12 仕切り部
15 現像ニップ部
17 中間転写ユニット
18 作像ユニット
20 画像形成ユニット
21 光書込ユニット
22 二次転写装置
23 張架ローラ
24 紙搬送ベルト
25 定着装置
26 定着ベルト
27 加圧ローラ
30 原稿台
32 コンタクトガラス
33 第1走行体
34 第2走行体
35 結像レンズ
36 読取センサ
42 給紙ローラ
43 ペーパーバンク
44 給紙カセット
45 分離ローラ
46 給紙路
47 搬送ローラ対
49 レジストローラ対
50 給紙ローラ
51 手差しトレイ
52 分離ローラ
53 手差し給紙路
57 スタック部
60 中間転写ベルト
62 1次転写バイアスローラ
64 張架ローラ
65 駆動ローラ
66 2次転写バックアップローラ
90 ベルトクリーニング装置
100 プリンタ部
111 給紙装置
112 スキャナ
200 現像装置
221 圧抜きフィルタ
231 帯電装置
240 トナーリサイクル機構
241 感光体クリーニング装置
242 フレキシブルチューブ
243 モノーホンプ
244 ステータ
245 ロータ
246 ポンプケース
247 保持ケース
248 回収トナー落下口
249 ポンプ駆動モータ
251 現像剤補給口
252 トナーダクト
253 トナーホッパ
254 回収トナーダクト
400 原稿自動搬送装置
500 複写機
A 気流(現像ニップ部近傍→ダクト内)
B 気流(現像ニップ部近傍→現像装置内)
C 気流(現像装置内→現像ニップ部近傍)
G トナー合流部
H 現像装置の上部の構成要素
I 現像装置の下部の構成要素
【先行技術文献】
【特許文献】
【0060】
【特許文献1】特開2008−209649号公報
【特許文献2】特開2002−268377号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜像担持体に対向して設けられ、現像剤を担持する現像剤担持体と、
現像剤を長手方向に搬送しつつ上記現像剤担持体に現像剤を供給する第1現像剤搬送手段と、
上記第1現像剤搬送手段と逆方向に現像剤を搬送し、その現像剤搬送方向下流側で現像剤を該第1現像剤搬送手段に受け渡す第2現像剤搬送手段と、
上記現像剤担持体から現像に供されなかった現像剤を回収するとともに、上記第2現像剤搬送手段の現像剤搬送方向とは逆方向に現像剤を搬送し、その現像剤搬送方向下流側で該第2現像剤搬送手段に現像剤を受け渡す第3現像剤搬送手段とを設けた現像装置において、
上記潜像担持体に上記現像剤担持体を対向させるために上記現像装置のケースに設けた開口部の該現像剤担持体の回転方向下流側に、該現像剤担持体の軸方向に沿わせて設けた飛散トナーを吸引回収するダクトを有し、
飛散トナーを吸引回収する上記ダクト内の気流を、上記第3現像剤搬送手段の現像剤搬送方向下流側から発生させることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の現像装置において、
上記ダクトは、上記第3現像剤搬送手段の現像剤搬送方向下流側にのみ設けることを特徴とする現像装置。
【請求項3】
現像装置と、帯電装置と、潜像担持体と、該潜像担持体上の転写後の残トナーをクリーニングする潜像担持体クリーニング装置とを備えた画像形成装置において、
上記現像装置として、請求項1又は2に記載の現像装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
現像装置と、帯電装置と、潜像担持体と、該潜像担持体上の転写後の残トナーをクリーニングするクリーニング装置とを備え、
上記クリーニング装置により回収したトナーを上記現像装置に再供給するトナーリサイクル方式の画像形成装置において、
上記現像装置として、請求項1又は2に記載の現像装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−80197(P2013−80197A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−65041(P2012−65041)
【出願日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】