説明

現像装置、現像方法及び記憶媒体

【課題】レジストが塗布され、露光された後の基板を現像するにあたり、安定して基板に現像液を供給すること。
【解決手段】基板保持部を各々備えた複数の現像処理部と、これら複数の現像処理部に共通に設けられ、前記基板保持部に保持された基板の表面に現像液を帯状に供給するための第1の現像液ノズルと、各現像処理部にて第1の現像液ノズルから吐出された現像液の帯状領域の一端側が基板の中央に向いた状態で、基板の表面全体に現像液の液膜を形成するため、現像液の供給位置を基板の表面における中央部及び周縁部の一方から他方に移動するように第1の現像液ノズルを移動させる駆動機構と、第1の現像液ノズルにより現像液の液膜が形成された基板の中心部に、円形状または前記帯状領域よりも長さが短い帯状に現像液を供給する第2の現像液ノズルと、を備える現像装置を構成し、工程に応じてノズルを使い分ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、その表面にレジストが塗布され、露光された後の基板を現像する現像装置、現像方法及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程の一つであるフォトレジスト工程においては、半導体ウエハ(以下、ウエハという)の表面にレジストを塗布し、このレジストを所定のパターンで露光した後に現像してレジストパターンを形成している。このような処理は、一般にレジストの塗布、現像を行う塗布、現像装置に、露光装置を接続したシステムを用いて行われる。
【0003】
従来の現像処理としては、例えば先ず基板保持部上にウエハを水平に保持し、このウエハの表面から僅かに浮かせた位置に細孔の吐出孔を有する現像液ノズルを配置する。その後ウエハを鉛直軸回りに回転させると共に、前記現像液ノズルから現像液を吐出しながらウエハの回転半径方向に当該現像液ノズルを移動させることにより、ウエハの表面に螺旋状に現像液を液盛りする。そしてそのように現像液が液盛りされた状態で所定の現像時間が経過するまでウエハを静止状態に保ち、然る後リンス液をウエハWに供給して現像液を洗い流す方法が知られており、この現像処理はパドル方式現像と呼ばれている。
【0004】
しかし前記パドル方式現像には使用する現像液の量が多いという欠点がある。そこでこのパドル方式に代わり、特許文献1に記載されるような、基板を回転させながら現像液を当該基板に吐出して現像処理する方式を行うことが検討されている。図15(a)、(b)を参照しながらこの現像処理について簡単に説明する。先ず基板保持部であるスピンチャック11を介してウエハWを鉛直軸回りに回転させると共に図中矢印で示すようにウエハWの周縁部側から中央部側に伸びるスリット状の吐出口12を備えた現像液ノズル13をウエハWの周縁部側から中央部側に向かって移動させながら、吐出口12から帯状に現像液14を吐出させて、ウエハWの表面に螺旋状に現像液14を供給し、その表面全体を現像液14の液膜15で被覆する。現像液ノズル13がウエハWの中心部上に移動し、ウエハW全体を現像液14で覆った後も、前記液膜15の乾燥を防ぐためにそのウエハWの中心部に現像液ノズル13は現像液14を供給し続ける。しばらくしてウエハW表面のレジストにレジストパターンが現像されると、不図示のリンスノズルによりリンス液を吐出してウエハW表面の現像液14を洗い流すことで現像処理が終了される。
【0005】
上記の基板を回転させながらノズルから当該基板に現像液を吐出して現像処理する方式においてウエハWに現像液14の液膜15を形成するにあたっては、上記のパドル方式現像において液盛りを行うことに比べて現像液ノズル13の移動速度を大きく設定することで現像処理の短縮化を図ることができ、またパドル方式で液盛りを行う場合よりもウエハW表面の現像液14の膜厚が小さくなるので現像液14の省液化が図れるとされている。しかしレジスト材料によっては現像欠陥の発生を抑えるようとすると共に良好なCD(レジストパターンの線幅)の均一性を得ようとするとプロセスマージンが狭くなってしまうため、結果として現像時間及び使用する現像液量を十分に低下させて処理を行えない場合があるため、これら現像時間及び現像液量を低下させることは依然として現像処理を行う上での検討事項となっている。
【0006】
ところで、上記の現像方式において現像後形成されるレジストパターンの形状を安定させるためには、ウエハW全体を液膜15で覆ってから前記リンス液によりその液膜15を除去するまで10秒〜20秒の時間が必要であり、その間は既に形成された液膜15が乾燥しない程度の少ない流量で現像液を供給すればよく、上記のように液膜15を形成する場合と同じ流量で現像液14を供給し続けると、現像液14の省液化が十分に図れなくなってしまう。
【0007】
そこで現像液供給管16から現像液ノズル13への現像液供給量を自在に変化できるように構成して、ウエハ表面全体に液膜15を形成した後は前記吐出口12からの吐出流量を低下させることが考えられるが、現像液ノズル13は所定の流量の現像液が供給されることで吐出口12の長さ方向の各部において吐出される現像液の流速と供給圧とが一定になり、上記のように吐出される形状が安定した帯状になるため、現像液ノズル13への現像液の供給量がその所定の流量よりも低下すると、吐出口12からの現像液14の吐出が不安定になり、その結果として正常な現像が行われなくなり、現像欠陥が発生したりレジストパターンがばらついたりするおそれがある。
【0008】
現在、1つの現像装置に前記スピンチャックを含む現像処理部を1つ設け、それを塗布、現像装置に複数設ける代わりに、1つの現像装置に複数の現像処理部を設け、現像液ノズル13を各現像処理部で共用のものとし、現像処理のばらつきを抑えたり、各配管を共用化して簡素化することが検討されており、このような複数の現像処理部を備えた現像装置においても上記のように現像液の使用量を抑えることが課題になっている。なお特許文献1には複数回基板への現像液の供給を行う記載があるが、上記の問題を解決できるものではない。
【0009】
【特許文献1】特開2005−210059(段落0044及び図5など)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明はこのような問題を解決するためになされたものであり、その目的は、複数の現像処理部の基板保持部に保持された、レジストが塗布され、露光された後の基板を現像するにあたり、安定して各基板に現像液を供給することができる現像装置、現像方法及び記憶媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の現像装置は、レジストが塗布され、露光された後の基板を水平に保持して、鉛直軸回りに回転させる基板保持部を各々備え、横方向に配列された複数の現像処理部と、
これら複数の現像処理部に共通に設けられ、前記基板保持部に保持された基板の表面に現像液を帯状に供給するための第1の現像液ノズルと、
この第1の現像液ノズルを各現像処理部間を搬送すると共に、各現像処理部にて当該第1の現像液ノズルから吐出された現像液の帯状領域の一端側が基板の中央に向いた状態で、基板の表面全体に現像液の液膜を形成するため、現像液の供給位置を基板の表面における中央部及び周縁部の一方から他方に移動するように第1の現像液ノズルを移動させる駆動機構と、
第1の現像液ノズルにより現像液の液膜が形成された基板の中心部に、円形状または前記帯状領域よりも長さが短い帯状に現像液を供給して、前記現像液の液膜の乾燥を防止する第2の現像液ノズルと、
を備えたことを特徴とする。
【0012】
第2の現像液ノズルは、各基板保持部に対応して複数設けられ、互いに独立して各基板保持部に現像液を供給するようになっていてもよく、第1の現像液ノズルは、偏平に開口した第1の吐出口を備えていてもよい。第2の現像液ノズルは、略円形に開口した第2の吐出口を備えていてもよい。例えば基板保持部の回転と、第1の現像液ノズルの移動と、第1の現像液ノズル及び第2の現像液ノズルからの現像液の供給と、を制御する制御部が設けられており、その場合前記制御部は、例えば一の現像処理部で第1の現像液ノズルから基板に現像液を供給させた後、第1の現像液ノズルを他の現像処理部に移動させ、その現像処理部で待機させた後にその現像処理部の基板に現像液を供給させる機能を有する。
【0013】
本発明の現像方法は、レジストが塗布され、露光された後の複数の基板を横方向に夫々配列された現像処理部に各々設けられた複数の基板保持部に保持する工程と、
一の基板保持部を介して基板を鉛直軸周りに回転させながら、前記第1の現像液ノズルから現像液を帯状にかつその帯状領域の一端側が一の基板保持部に保持された基板の中央に向くように基板の表面における中央部及び周縁部の一方に供給する現像液供給工程と、
続いて前記現像液の帯状領域の一端側が前記基板の中央に向いた状態で、前記現像液の供給位置を基板の表面における中央部及び周縁部の一方から他方に移動させることにより、前記基板の表面に現像液の液膜を形成する液膜形成工程と、
しかる後、前記現像液の液膜の乾燥を防止するために、第2の現像液ノズルから前記基板の中心部に円形状または第1の現像液ノズルから供給される現像液よりも長さが短い帯状に現像液を供給すると共に前記基板保持部を介して基板を鉛直軸の周りに回転させて、その現像液を遠心力により基板の周縁部に展伸させる乾燥防止工程と、
第1の現像液ノズルを、各現像処理部間を搬送させる工程と、
他の基板保持部に保持された基板に対して前記現像液供給工程、液膜形成工程及び乾燥防止工程を行うことと、を含むことを特徴とする。
【0014】
第2の現像液ノズルは各基板保持部に対応して複数設けられ、各第2の現像液ノズルは互いに独立して、各基板保持部の基板に現像液を供給してもよく、また第1の現像液ノズルが、一の現像処理部の基板に現像液を供給した後、他の現像処理部に移動し、その現像処理部の基板に現像液を供給する前に、当該現像処理部で待機する工程を含んでいてもよい。
【0015】
また本発明の記憶媒体は、レジストが塗布され、露光された後の基板に対する現像を行う現像装置に用いられるコンピュータプログラムが記憶された記憶媒体であって、
前記コンピュータプログラムは、上述の現像方法を実施するためのものであることを特徴とする記憶媒体。
【発明の効果】
【0016】
本発明の現像装置は、駆動機構により各現像処理部間を搬送され、各現像処理部の基板に現像液の液膜を形成するために、基板表面に現像液を帯状にかつその帯状領域の一端側が基板の中央に向くように供給する第1の現像液ノズルと、現像液の液膜の乾燥を防止するために現像液を供給するために、基板に円形状または第1の現像液ノズルから供給される現像液よりも長さが短い帯状に現像液を供給する第2の現像液ノズルとを備えている。このように処理に応じて現像液ノズルを使い分けることにより、例えば第1の現像液ノズルのみを用いて、そのノズルからの吐出量を変化させて基板に現像液を供給する場合に比べて、その基板への現像液の供給が不安定になることが抑えられる。また各ノズルごとにその吐出される現像液の形状に合わせて、基板への現像液の供給量を調整することができるので、基板へ供給する現像液の省液化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の現像方法を実施する現像装置2について現像装置2の概略構成図である図1を参照しながら説明する。現像装置2は3つの現像処理部21a、21b21cと、複合ノズル部4a〜4cと、メイン現像液ノズル6とを備えており、各現像処理部21a〜21cは夫々ウエハWの裏面中央部を吸着して水平に保持する基板保持部であるスピンチャック22a,22b,22cを備えている。
【0018】
現像処理部21a〜21cは各々同様に構成されており、ここでは現像処理部21aを例に挙げて説明する。スピンチャック22aは回転軸23を介して回転駆動機構である駆動機構24と接続されている。スピンチャック22aは、駆動機構24を介してウエハWを保持した状態で鉛直軸回りに回転及び昇降可能なように構成されており、スピンチャック22aの回転軸上にウエハWの中心が位置するように設定されている。駆動機構24は後述の制御部100からの制御信号を受けてスピンチャック22aの回転速度を制御する。
【0019】
スピンチャック22aの周囲にはスピンチャック22a上のウエハWを囲むようにして上方側が開口しているカップ体25が設けられており、カップ体25の側周面上端側は内側に傾斜した傾斜部26を形成している。カップ体25の底部側には、図1に示すように例えば凹部状をなす液受け部31が設けられている。液受け部31は、図示しない隔壁によりウエハWの周縁下方側に全周に亘って外側領域と内側領域とに区画されている。外側領域の底部には貯留した現像液などのドレインを排出するための図示しない廃液口が設けられ、内側領域の底部には処理雰囲気を排気するための排気口32,33が設けられている。排気口32,33には排気管34の一端が接続され、排気管34の他端は、排気ダンパ35を介して現像処理部21b及び21cの排気管34と合流し、例えば現像装置2が設置された工場の排気路に接続されている。排気ダンパ35は、制御部100からの制御信号を受けてカップ体25内の排気量を制御する。
【0020】
図2、図3は、図1の現像装置2を実際に構成したものを夫々模式的に示した斜視図、上面図である。図中28は、各カップ体25内に水平に設けられた円形板であり、この円形板を上方へ貫通するように昇降自在に構成された3本の昇降ピン29が設けられている。昇降ピン29は不図示の駆動部により、現像装置2にウエハWを搬送する図示しない基板搬送手段の動作に応じて昇降し、基板搬送手段とこの昇降ピンの協働作用によって、現像処理部21aに搬送されたウエハWはスピンチャック22aに受け渡される。この昇降ピン29を昇降させる前記駆動部は、制御部100にその昇降ピン29の昇降状態に応じた信号を出力し、この信号を検出することで制御部100は、各現像処理部21a〜21cのカップ体25内にウエハWが搬入されているか否かを判定し、その判定結果に応じて後述するように各ノズルをウエハWが搬入された現像処理部21a〜21cへ移動させて処理を行う。
【0021】
続いて複合ノズル部4a,4b,4cについて説明する。これら複合ノズル部4a,4b,4cは夫々現像処理部21a,21b,21cのウエハWに現像液、純水及びN2(窒素)ガスを供給するように構成されており、各複合ノズル部4a〜4cは同様に構成されている。ここでは先ず複合ノズル部4aを例に挙げて図4も参照しながら説明する。
【0022】
複合ノズル部4aはサブ現像液ノズル41a、純水ノズル42a及びN2ガスノズル43aを備えており、これら各ノズル41a〜43aはウエハWの直径方向に互いに連接され、各ノズル41a,42a,43aは例えば夫々鉛直下方に開口した円形の細孔である吐出口44a,45a,46aを夫々備えている。サブ現像液ノズル41aの吐出口44aの口径L1は例えば0.1mm〜10mmである。
【0023】
図1に示すようにサブ現像液ノズル41aは供給路51を介して現像液が貯留された現像液供給源5Aに、純水ノズル42aは供給路52を介して純水が貯留された純水供給源5Bに、N2ガスノズル43aは供給路53を介して不活性ガスであるN2ガスが貯留されたN2ガス供給源5Cに夫々接続されている。純水は、ウエハWに現像液を供給する前にその濡れ性を高めるために供給されるプリウエット処理を行うための表面処理液であり、また現像後、不要になった現像液を洗い流すためのリンス液でもある。供給路51には流量制御部54が、供給路52には流量制御部55が、供給路53には流量制御部56が夫々介設されている。各流量制御部54〜56は、バルブやマスフローコントローラなどを含み、制御部100からの制御信号に基づいて各ノズル41a〜41cからウエハWへの各処理液及びガスの給断を制御する。
【0024】
図4に示すように複合ノズル部4aはアーム体57の一端に設けられており、アーム体57の他端は、現像処理部21a〜21cの配列方向に向かって形成された基台36上に設けられた駆動機構58に接続されている。駆動機構58はその基台36に形成され、現像処理部21a〜21cの配列方向に伸長したガイド59に沿って横方向に移動する。図6(a)中47a〜49aは、ノズル41a〜43aにおける吐出口44a〜46aのスピンチャック22aに載置されたウエハWへの投影領域であり、駆動機構58により複合ノズル部4aが移動することで、これら投影領域47a〜49aが、ウエハWの周縁部からウエハWの中心P上に移動できるようになっている。また駆動機構58はアーム体57を介して複合ノズル部4aを鉛直方向に昇降させるように構成されている。この駆動機構58によるアーム体57の昇降動作及び駆動機構58の横方向への移動は、制御部100から送信される制御信号に基づいて制御され、吐出口44a〜46aがウエハWに現像液、純水及びN2ガスを供給するとき、これら吐出口44a〜46aはウエハWから例えば5mm〜20mm離れた高さ位置に配置される。
【0025】
複合ノズル部4bは吐出口44b,45b,46bを夫々備えたノズル41b,42b,43bを備えており、複合ノズル部4cは吐出口44c,45c,46cを夫々備えたノズル41c,42c,43cを備えている。複合ノズル部4aの各吐出口と同様に、これら各吐出口41b,42b,43b及び41c,42c,43cの対応するウエハWへの投影領域47b,48b,49b及び47c,48c,49cは、そのウエハWの中心部から周縁部へと移動できるようになっている。
【0026】
続いて、メイン現像液ノズル6について図5も参照しながら説明する。メイン現像液ノズル6はその下端面に例えば鉛直下方に、メイン現像液ノズル6の移動方向に沿ってスリット状に開口した吐出口62を備えている。この吐出口62の長さ方向はウエハWの直径に並行し、ウエハWに帯状に現像液を吐出するようになっている。吐出口62の長さ方向の大きさL2は例えば5mm〜15mmであり、幅方向の大きさL3は例えば0.1mm〜1mmである。
【0027】
図1に示すようにメイン現像液ノズル6には現像液供給管64の一端が接続されている。現像液供給管64の他端はバルブやマスフローコントローラなどを含んだ流量制御部65を介して現像液供給源5Aに接続されており、制御部100からの制御信号に基づき、流量制御部66がメイン現像液ノズル6からウエハWへの現像液の給断を制御する。
【0028】
図5に示すようにメイン現像液ノズル6はアーム体66の一端に設けられており、アーム体66の他端は基台36上に設けられた駆動機構67に接続されている、駆動機構67は、基台36に現像処理部21a〜21cの配列方向に伸長するように設けられたガイド68に沿って横方向に移動できるように構成されている。また駆動機構67は、アーム体66を介して鉛直方向にメイン現像液ノズル6を昇降させることができる。この駆動機構67の横方向移動及びアーム体66の昇降動作によりメイン現像液ノズル6は複合ノズル部4a〜4c及びそれらが接続されたアーム体57に干渉することなく、各スピンチャック22a〜22cに保持されたウエハW上に移動することができる。そして図6(b)に示すようにメイン現像液ノズル6における吐出口62の投影領域63の一端がウエハWの中心Pに向いた状態で、当該投影領域63が各スピンチャック22a〜22cに保持されたウエハWの直径上を通り、各ウエハWの周縁部から中心Pへと移動できるようになっている。駆動機構67の横方向移動及びアーム体66の昇降動作は制御部100からの制御信号を受けて制御され、ウエハWに現像液を供給するときに吐出口62は、ウエハW表面から例えば15mm〜20mm離れた高さ位置に配置される。
【0029】
現像装置2には上側が開口したカップ状に形成された3つの複合ノズル部用の待機部37a〜37cが設けられており、待機部37a,37b,37cは夫々複合ノズル部4a,4b,4cに対応し、各複合ノズル部4a〜4cはこれら待機部37a〜37c内に収まり、ウエハWに対して処理を行わないときに待機できるようになっている。また現像装置2には上側が開口したカップ状に形成されたメイン現像液ノズル6,7に夫々対応するメイン現像液ノズル用の待機部38,39が設けられており、メイン現像液ノズル6,7はこれら待機部38,39内(ホームポジション)に収まり、待機できるようになっている。ただし現像装置2の作用で説明するようにメイン現像液ノズル6は現像装置2による処理開始後、例えば1つのロットなど所定の複数のウエハWに対して処理が終わるまでは、待機部38に戻らず、各現像処理部21a〜21cの各カップ体25の周辺で待機する。
【0030】
待機部37a〜37cと、現像処理部21a〜21cとは交互に一列に配列されており、待機部37a〜37c及び現像処理部21a〜21cを左右から挟むように待機部38及び39が設けられている。
【0031】
続いて制御部100について説明する。制御部100は、例えばコンピュータからなり、不図示のプログラム格納部を有している。このプログラム格納部には、後述の作用で説明する現像処理が行われるように命令が組まれた例えばソフトウエアからなるプログラムが格納され、このプログラムが制御部100に読み出されることで制御部100はウエハの回転速度、各ノズルの移動、ウエハへの現像液、純水及びN2ガスの供給などを制御する。このプログラムは、例えばハードディスク、コンパクトディスク、マグネットオプティカルディスクまたはメモリーカードなどの記憶媒体に収納された状態でプログラム格納部に格納される。
【0032】
続いて、この現像装置2によりウエハWに一連の現像処理を行う手順について図7〜図9を参照しながら説明する。ウエハWは例えば不図示の基板搬送手段により現像処理部21a,21b,21cの順にこの繰り返しで搬入され、また各ウエハWの表面にはレジストが塗布され、そのレジストが所定の露光処理を受けている。また便宜上、現像処理部21a,21b,21cに搬入されるウエハWを夫々ウエハW1,W2,W3とする。
【0033】
先ず各カップ25内の排気量が所定の排気量になり、前記基板搬送手段によりウエハW1が現像処理部21aに搬入され、その現像処理部21aの昇降ピン29との協働作用により、そのウエハW1はスピンチャック22a上に受け渡されて、カップ25内に入り、制御部100からの制御信号を受けて複合ノズル部4a、メインノズル6が夫々の待機部37a,38からウエハW1上に移動する。(図7(a))。
【0034】
続いてスピンチャック22aによりウエハW1が例えば1500rpmで回転し、複合ノズル部4aの各ノズル41a〜43aが、ウエハW1の表面からこれらの各吐出口44a〜46aまでの高さが15mm〜20mmとなる高さ位置に移動すると共に純水ノズル42aがウエハW1の中心部上に位置するように複合ノズル部4aが移動し、然る後、純水ノズル41bから純水Fが吐出される。吐出された純水Fは、ウエハW1の中心部から遠心力の作用により周縁部へと展伸されるいわゆるスピンコーティングによってウエハW1を被覆する(図7(b))。
【0035】
純水Fの吐出から所定の時間が経過すると純水Fの吐出が停止し、複合ノズル部4aがウエハW1上を周縁側へと移動すると共にメイン現像液ノズル6がウエハW1の中心部上で、ウエハW1表面からその吐出口62までの高さが例えば15mm〜20mmとなる位置に移動し、メイン現像液ノズル6から現像液Dが流速100mL/分〜1000mL/分例えば600mL/分でウエハW1の中心部に供給される。ウエハW1中心部に供給された現像液Dは純水Fの液膜上をスピンコーティングによりウエハWの周縁部側へと広がり、純水Fにより十分に被覆されなかった箇所も被覆し、ウエハW1表面全体に成膜される(図7(c))。
【0036】
メイン現像液ノズル6から現像液Dの吐出が開始されてから所定の時間が経過すると、ウエハWの回転速度が例えば700rpmになり、現像液Dを吐出しながらメイン現像液ノズル6がウエハWの外側方向に移動し(図7(d))、例えばウエハW1への現像液の供給位置とウエハW中心との距離がウエハW1の半径の1/3程度になると、メイン現像液ノズル6の現像液Dの供給が停止する。現像液Dの供給停止後もメイン現像液ノズル6はウエハW1の外側方向へ移動を続け、例えばウエハW1の外縁上からわずかに外側の領域で停止する(図7(e))。
【0037】
続いてウエハW1の回転速度が例えば1200rpmになり、メイン現像液ノズル6が現像液Dを流速100mL/分〜1000mL/分例えば600mL/分で吐出しながらウエハW1の外側から中心部側へ移動し、現像液DはウエハWの周縁部側から中心部側に螺旋状に供給される。ウエハW1に供給された現像液Dは回転しているウエハW1の遠心力の作用により既にウエハW1表面に成膜された現像液Dの膜表面を外側に濡れて広がり、中央に凹部を持つような現像液Dの膜が形成され、その凹部の径はメイン現像液ノズル6がウエハW1の中心部側へと移動するにつれて次第に狭まってゆく(図8(a))。
【0038】
メイン現像液ノズル6が移動を続け、その吐出口62のウエハW1への投影領域内にウエハW1の中心が収まり、ウエハW1中心に現像液Dが供給されて前記凹部がなくなると、メイン現像液ノズル6による現像液Dの吐出が停止する(図8(b))。そしてメイン現像液ノズル6は現像処理部21bへと移動して、例えばその現像処理部21bのカップ体25の外側付近で待機すると共に、サブ現像液ノズル41aがウエハW1の中心部上に位置するように複合ノズル部4aがウエハWの中心部へと移動する。そしてメイン現像液ノズル6から現像液Dの吐出が停止してから現像液の液膜が乾燥するまでの例えば2秒以内に、そのサブ現像液ノズル41aからウエハW1の中心部に流速100mL/分〜1000mL/分例えば250mL/分で現像液Dが供給される(図8(c),(d))。サブ現像液ノズル41aからウエハW1の中心部に供給された現像液Dは、既に形成されている現像液Dの液膜の表面を、遠心力により周縁部側に広げられ、その液膜の乾燥を防ぐ。
【0039】
例えばサブ現像液ノズル41aが現像液Dを吐出してから所定の時間例えば10〜20秒経過すると、現像液Dの吐出が停止し、純水ノズル42aがウエハW1の中心に移動して純水FがウエハW1の中心部に吐出される。吐出された純水Fは回転するウエハWの遠心力の作用により表面に沿って外側に広がり、ウエハW1表面のレジスト溶解成分を含む現像液Dを洗い流し、ウエハW1の表面が洗浄される。
【0040】
また例えばこのときに不図示の搬送機構によりウエハW2が現像処理部21bのスピンチャック22b上に搬入され、昇降ピン29が昇降し、ウエハW2がカップ25に搬入されると、そのカップ25の外側で待機していたメイン現像液ノズル6がウエハW2上に移動し、現像処理部21aに搬送されたウエハW1と同様の手順で現像処理が開始される(図8(e))。なおメイン現像液ノズル6が現像処理部21bに移動したときに既にウエハW2がその現像処理部21bのカップ体25内に搬入されている場合は、メイン現像液ノズル6は待機せずにウエハW2上に移動すると共に複合ノズル部4bが待機部42bからウエハW上に移動して現像処理が開始される。
【0041】
一方現像処理部21aにおいて、純水Fの吐出開始から所定の時間が経過すると、純水Fの供給が停止し、ウエハW1の回転速度が例えば2000rpmになると共にウエハW1の中心部上にN2ガスノズル43aが移動し、ウエハW1の中心部にN2ガスが供給される。このN2ガス供給とカップ25内の排気とによりウエハWの中心から周縁側へ向かって気流が形成され、この気流と遠心力との作用とにより、ウエハW1に付着した液はウエハW1から除去され、ウエハW1が乾燥される(図9(a))。
【0042】
ウエハW1の乾燥が終了すると、N2ガスノズル43aからのN2ガスの供給が停止し、複合ノズル部4aが待機部37aに移動して待機状態となり、スピンチャック21aの回転が停止して、不図示の搬送機構と昇降ピン29との協働作用によりウエハW1がカップ25内から現像装置2の外部に搬出される(図9(b))。第2の現像処理部21bでは、引き続き第1の現像処理部21aにおける処理と同様にウエハW2の処理が行われ、ウエハW2に対して純水ノズル21cによる純水の供給→メイン現像液ノズル6によるウエハW中心への現像液の供給→メイン現像液ノズル6を周縁へ移動させながらの現像液の供給→メイン現像液ノズルをウエハW外縁から中心へ移動させながらの現像液の供給が終了すると、メイン現像液ノズル6は、現像処理部21cへと移動して、例えばその現像処理部21cのカップ体25の外側付近で待機する(図9(c),(d))。
【0043】
第2の現像処理部21bのウエハWには引き続き、純水供給による現像液の除去→乾燥が行われ、乾燥処理が終了すると複合ノズル部4bが待機部37bに戻る。また第3の現像処理部21cにウエハW3が搬入されると、メイン現像液ノズル6が上述の待機位置からウエハW3上に移動すると共に複合ノズル部4cが待機位置37cからウエハW上に移動し、第1の現像処理部21aのウエハW1と同様に一連の現像処理が行われる(図9(e))。
【0044】
その後各現像処理部21a→21b→21cの順にウエハWが搬入され、メイン現像液ノズル6がこれら現像処理部21a〜21c間を順に移動すると共にその現像液ノズル6が移動した現像処理部21に対応する複合ノズル部4が待機部37からウエハW上に移動して、ウエハWに現像処理が行われる。そして予め設定された所定の枚数のウエハWについてメイン現像液ノズル6による現像液の供給が終了すると、メイン現像液ノズル6は待機部38に戻り、続けてその最後のウエハWに対応する複合ノズル部4による一連の処理が行われる。そして処理終了後、その複合ノズル部4が対応する待機部37に戻り、その最後のウエハWが現像装置2の外部に搬送され、現像装置2による処理が終了する。
【0045】
この現像装置2によれば、各現像処理部21a〜21cにおいて各現像処理部21a〜21cで共用されるメイン現像液ノズル6により各現像処理部21a〜21cのウエハWに帯状に現像液を供給して、現像液膜を形成した後、その帯状領域よりも狭い円形領域に現像液を供給するサブ現像液ノズル41a〜41cにより、その現像液膜が乾燥しないようにその膜を形成する流量よりも少ない流量で現像液を供給している。このようにウエハWに供給する現像液の流量に応じて現像液を吐出するノズルを使い分けることで、メイン現像液ノズル6からの現像液の供給流量を少なくして前記現像液膜の乾燥を防ぐために現像液を供給する場合に比べて現像液の吐出を安定させ、現像欠陥が発生することが抑えられる。そしてサブ現像液ノズル41a〜41cからの流量を、メイン現像液ノズル6からの流量よりも小さくすることで、ウエハWへ供給する現像液の量の低下を図ることができ、従って現像処理のコストが上昇することを抑えることができる。
【0046】
また現像装置2においては、各現像処理部21a〜21c間でメイン現像液ノズル6が共用されるため、現像処理部21a〜21cに夫々メイン現像液ノズル6を設ける場合に比べて製造コストの低下を図ることができ、またメイン現像液ノズルに現像液を供給する現像液供給路も簡素化できるため、製造の手間及びコストの低下を図ることができる。また現像液供給路が共通化されることで、各現像処理部について夫々現像液供給路を設ける場合に比べて、供給路の状態に応じて、現像液の吐出状態が各現像処理部21a〜21cでばらつくことが抑えられる。
【0047】
上述の実施形態においては純水の液膜をウエハWに形成した後、さらにウエハW中心に現像液をウエハWに供給して液膜を形成しており、後にメイン現像液ノズル6によりウエハWの周縁部側から中心部側に現像液を供給したときに、その現像液がウエハW表面を濡れやすくなっているため、ウエハWに均一に広がる。従って現像欠陥の発生やレジストパターンの大きさ(CD)のばらつきなどを抑えることができるため好ましい。なお現像液膜を形成するにあたり、メイン現像液ノズル6は、現像液を供給しながらウエハWの周縁部側から中心部側に移動されることに限られず、ウエハWの中心部側から周縁部側に移動されてもよい。
【0048】
さらに上記実施形態は、純水供給後、メイン現像液ノズル6によりウエハW中心部に現像液を供給した後でメイン現像液ノズル6を周縁部側に移動させながら現像液を吐出している。これによりウエハW中心部から離れたウエハWの周縁部側にもより確実に現像液が行き届き、上述のようにメイン現像液ノズル6により周縁部側から中心部側に向けて現像液を供給したときにその現像液のウエハ周縁側における濡れ性が向上するため、その周縁部側における現像欠陥及びCDのばらつきがより抑えられる。つまりここでの現像液の供給は現像を目的としたものではなく、ウエハWの表面の濡れ性を改善するプリウエットとして行っている。このようにメイン現像液ノズル6により周縁部側から中心部側に現像液を供給する前に、ウエハWに純水及び現像液を供給しておくことは例えば液浸露光に用いられるような撥水性のレジスト高いレジストがウエハに塗布され、現像液がそのレジスト表面を濡れ難い場合に特に有効である。液浸露光とは、露光装置において露光を行うレンズとウエハとの間に液体を供給し、レンズからウエハに供給される露光ビームを屈折させることで高い解像度が得られるように露光を行う露光処理である。ところで純水供給後のウエハW中心部への現像液の供給及び中心部から周縁部に向かっての現像液の供給は、このようにウエハW表面が現像液により濡れればよいため、サブ現像液ノズル41a〜41cにより行ってもよい。
【0049】
また上記実施形態においては現像液よりも先にウエハWに純水を供給してプリウエットを行っている。これによって現像液の濡れ性を高めて、現像液の液量を少なくしてもウエハWの表面に現像液をより確実に行き届かせることができるため好ましい。
【0050】
メイン現像液ノズル6からの現像液がウエハWに帯状に供給されればよいため、吐出口62は、扁平開口部として例えば扁平円、扁平四角であればよい。また例えば複数の円形の孔が第1の現像液ノズル62の移動方向に連なるような形状の吐出口を設けてもよく、ノズルの長さ方向に長径が伸びる楕円上に形成してもよいし、ノズルの長さ方向に対角線が伸びる菱形状に形成してもよい。またサブ現像液ノズル42a〜42cの吐出口45a〜45cから現像液がウエハWに安定して供給されれば、吐出口45a〜45cが上記のように略円形に形成されなくても本発明の権利範囲に含まれ、例えば吐出口45a〜45cは、ウエハWに吐出口62の長さ方向の大きさよりもその長さ方向の大きさが小さいスリット状に形成され、ウエハWに帯状に現像液を供給するようになっていてもよく、正円であってもよい。また吐出口45a〜45cのウエハWへの投影領域が円形や矩形状になっていなくてもよい。またサブ現像液ノズル42a〜42cが複数の吐出口を備えるような構成であってもよい。
【0051】
またメイン現像液ノズル6は上記実施形態のように待機させることに限られない。図10を参照しながら他の待機方法について説明する。上記実施形態と同様に現像処理が進行し、現像処理部21aにおいてメイン現像液ノズル6が現像液Dを吐出しながらウエハW1の周縁部側から中心部側に移動して、現像液Dの供給が停止した後、サブ現像液ノズル41aからウエハW1の中心部に現像液Dが供給されると共にメイン現像液ノズル6が待機部38に戻る(図10(a),(b))。そして次のウエハW2が現像処理部21bのカップ体25内に入ると、メイン現像液ノズル6は待機部38から現像処理部21bのウエハW2上に移動すると共に複合ノズル部4bが待機部37bからウエハW2上に移動して現像処理が開始される(図10(a),(b))。現像処理部21b、21cのウエハW2,W3についても同様に、夫々現像液の液膜形成処理が行われ、その処理が終了すると、メイン現像液ノズル6が待機部38に戻り、その後次のウエハWが現像処理部21a〜21cのいずれかのカップ体25内に入ると、メイン現像液ノズル6はそのカップ体25に移動する。このようにメイン現像ノズル6を移動させても上記の実施形態と同様の効果が得られるが、上記の実施形態の方が、ウエハWが搬送された現像処理部21にメイン現像ノズル6がより速く移動できるため、スループットの向上が図れてより好ましい。
【0052】
上記実施形態において、メイン現像液ノズル6はウエハW中心Pに現像液を供給するために、図6(b)のようなその吐出口62の投影領域63にウエハWの中心Pが収まる位置に移動しなくても、例えば図11(a)に示すようにその投影領域63がウエハWの中心Pに接する位置に移動させるようにしてもよい。また図11(b)に示すように投影領域63の端部が中心Pに掛からない状態で現像液をウエハWに供給し、現像液のウエハW上における濡れ広がりを利用して現像液をウエハWの中心P上に供給してもよく、この場合も特許請求の範囲でいう「基板の中心部に現像液を供給する」ことに含まれ、この場合の投影領域63の端部と中心Pとの距離L4は10mm以下である。これらのような構成とすればウエハWの中心部において現像液を重ね塗りすることが抑えられ、使用する現像液を抑えることができるので好ましい。またサブ現像液ノズル42a〜42cについても現像液の濡れ広がりにより、ウエハWの中心にその現像液が供給されればその投影領域47a〜47c中にウエハWの中心Pが含まれない状態で現像液を供給するようになっていてもよい。
【0053】
また上記実施形態において、メイン現像液ノズル6を周縁部から中心部に動かしながらウエハWに現像液を螺旋状に供給するにあたっては、隣り合う帯状の現像液が重なり合っていても、隙間なく敷き詰められても、あるいはわずかに隙間があっても基板に供給された現像液がウエハW上を広がり、ウエハW全体に現像液の液膜が形成されればよい。
【0054】
また複合ノズル部4もメイン現像液ノズル6と同様に1つだけ設けて各現像処理部21a〜21c間で共用するようにしてもよい。ただし上記の実施形態に示すように各現像処理部21a〜21cに1基ずつ設けられることにより現像処理部21a〜21c間で並行して現像処理を行うことができるので、スループットが向上するため好ましい。
【0055】
次に塗布、現像装置に上述した現像装置2を適用した一例について簡単に説明する。図12は塗布、現像装置に露光装置が接続されたシステムの平面図であり、図13は同システムの斜視図である。また図14は同システムの縦断面図である。この装置にはキャリアブロックS1が設けられており、その載置台101上に載置された密閉型のキャリアHから受け渡しアームCがウエハWを取り出して処理ブロックS2に受け渡し、処理ブロックS2から受け渡しアームCが処理済みのウエハWを受け取ってキャリアHに戻すように構成されている。
【0056】
前記処理ブロックS2は、図13に示すようにこの例では現像処理を行うための第1のブロック(DEV層)B1、レジスト膜の下層側に形成される反射防止膜の形成処理を行うための第2のブロック(BCT層)B2、レジスト膜の塗布を行うための第3のブロック(COT層)B3、レジスト膜の上層側に形成される反射防止膜の形成を行うための第4のブロック(TCT層)B4を、下から順に積層して構成されている。
【0057】
第2のブロック(BCT層)B2と第4のブロック(TCT層)B4とは、各々反射防止膜を形成するための薬液をスピンコーティングにより塗布する塗布ユニットと、この塗布ユニットにて行われる処理の前処理及び後処理を行うための加熱・冷却系の処理ユニット群と、前記塗布ユニットと処理ユニット群との間に設けられ、これらの間でウエハWの受け渡しを行う搬送アームA2、A4と、で構成されている。第3のブロック(COT層)B3についても前記薬液がレジスト液であることを除けば同様の構成である。
【0058】
一方、第1のブロック(DEV層)B1については一つのDEV層B1内に現像ユニットDUが2段に積層されている。この現像ユニットDUは上述の現像装置2に相当するものである。そして当該DEV層B1内には、これら2段の現像ユニットDUにウエハWを搬送するための搬送アームA1が設けられている。つまり2段の現像ユニットDUに対して搬送アームA1が共通化されている構成となっている。
【0059】
更に処理ブロックS2には、図12及び図14に示すように棚ユニットU5が設けられ、キャリアブロックS1からのウエハWは前記棚ユニットU5の一つの受け渡しユニット、例えば第2のブロック(BCT層)B2の対応する受け渡しユニットCPL2に、前記棚ユニットU5の近傍に設けられた昇降自在な第1の受け渡しアームD1によって順次搬送される。第2のブロック(BCT層)B2内の搬送アームA2は、この受け渡しユニットCPL2からウエハWを受け取って各ユニット(反射防止膜ユニット及び加熱・冷却系の処理ユニット群)に搬送し、これらユニットにてウエハWには反射防止膜が形成される。
【0060】
その後、ウエハWは棚ユニットU5の受け渡しユニットBF2、受け渡しアームD1、棚ユニットU5の受け渡しユニットCPL3及び搬送アームA3を介して第3のブロック(COT層)B3に搬入され、レジスト膜が形成される。更にウエハWは、搬送アームA3→棚ユニットU5の受け渡しユニットBF3→受け渡しアームD1を経て棚ユニットU5における受渡しユニットBF3に受け渡される。なおレジスト膜が形成されたウエハWは、第4のブロック(TCT層)B4にて更に反射防止膜が形成される場合もある。この場合は、ウエハWは受け渡しユニットCPL4を介して搬送アームA4に受け渡され、反射防止膜の形成された後搬送アームA4により受け渡しユニットTRS4に受け渡される。
【0061】
一方DEV層B1内の上部には、棚ユニットU5に設けられた受け渡しユニットCPL11から棚ユニットU6に設けられた受け渡しユニットCPL12にウエハWを直接搬送するための専用の搬送手段であるシャトルアームEが設けられている。レジスト膜や更に反射防止膜の形成されたウエハWは、受け渡しアームD1を介して受け渡しユニットBF3、TRS4から受け取り受け渡しユニットCPL11に受け渡され、ここからシャトルアームEにより棚ユニットU6の受け渡しユニットCPL12に直接搬送され、インターフェイスブロックS3に取り込まれることになる。なお図14中のCPLが付されている受け渡しユニットは温調用の冷却ユニットを兼ねており、BFが付されている受け渡しユニットは複数枚のウエハWを載置可能なバッファユニットを兼ねている。
【0062】
次いで、ウエハWはインターフェイスアームBにより例えば上記の駅進路工が行われる露光装置S4に搬送され、ここで所定の露光処理が行われた後、棚ユニットU6の受け渡しユニットTRS6に載置されて処理ブロックS2に戻される。戻されたウエハWは、第1のブロック(DEV層)B1にて現像処理が行われ、搬送アームA1により棚ユニットU5の受け渡し台TRS1に受け渡される。その後、第1の受け渡しアームD1により棚ユニットU5における受け渡しアームCのアクセス範囲の受け渡し台に搬送され、受け渡しアームCを介してキャリアHに戻される。なお図12においてU1〜U4は各々加熱部と冷却部とを積層した熱系ユニット群である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施の形態に係る現像装置の概略図である。
【図2】前記現像装置の斜視図である。
【図3】前記現像装置の平面図である。
【図4】前記現像装置に設けられた複合ノズル部の斜視図である。
【図5】前記現像装置に設けられたメイン現像液ノズルの斜視図である。
【図6】前記メイン現像液ノズル及び複合ノズル部の各ノズルの投影領域が移動する様子を示した説明図である。
【図7】前記現像装置による現像工程を示した作用図である。
【図8】前記現像装置による現像工程を示した作用図である。
【図9】前記現像装置による現像工程を示した作用図である。
【図10】前記現像装置の他の現像工程を示した作用図である。
【図11】前記メイン現像液ノズルの投影領域が移動する様子を示した説明図である。
【図12】前記現像装置が適用された塗布、現像装置の平面図である。
【図13】前記塗布、現像装置の斜視図である。
【図14】前記塗布、現像装置の縦断平面図である。
【図15】従来の現像方法を示した説明図である。
【符号の説明】
【0064】
W ウエハ
D 現像液
F 純水
21a〜21c 現像処理部
22a〜22c スピンチャック
4a〜4c 複合ノズル部
41a〜41c サブ現像液ノズル
42a〜42c 純水ノズル
43a〜43c N2ガスノズル
54〜56 流量制御部
6 メイン現像液ノズル
100 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レジストが塗布され、露光された後の基板を水平に保持して、鉛直軸回りに回転させる基板保持部を各々備え、横方向に配列された複数の現像処理部と、
これら複数の現像処理部に共通に設けられ、前記基板保持部に保持された基板の表面に現像液を帯状に供給するための第1の現像液ノズルと、
この第1の現像液ノズルを各現像処理部間を搬送すると共に、各現像処理部にて当該第1の現像液ノズルから吐出された現像液の帯状領域の一端側が基板の中央に向いた状態で、基板の表面全体に現像液の液膜を形成するため、現像液の供給位置を基板の表面における中央部及び周縁部の一方から他方に移動するように第1の現像液ノズルを移動させる駆動機構と、
第1の現像液ノズルにより現像液の液膜が形成された基板の中心部に、円形状または前記帯状領域よりも長さが短い帯状に現像液を供給して、前記現像液の液膜の乾燥を防止する第2の現像液ノズルと、
を備えたことを特徴とする現像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−70003(P2012−70003A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−279908(P2011−279908)
【出願日】平成23年12月21日(2011.12.21)
【分割の表示】特願2007−197891(P2007−197891)の分割
【原出願日】平成19年7月30日(2007.7.30)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】