説明

現像装置、画像形成装置およびプロセスカートリッジ

【課題】トナー供給部材の劣化を抑制しつつ、トナー補給後の地汚れを低減する。
【解決手段】現像ローラ2と、スポンジ層4aを有する供給ローラ4と、トナー貯留部7と、トナー貯留部7内のトナーを攪拌する攪拌部材5、6と、トナー貯留部7内のトナー残量を検出するトナー量検出手段と、トナー量検出手段の検出結果に基づき新しいトナーを収容するトナー容器8からトナー貯留部7にトナーを補給するトナー補給手段とを備え、トナー補給時に、攪拌部材6をスポンジ層4aに接触させて停止すると共に供給ローラ4を回転させながら、攪拌部材5を回転させる攪拌モードを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置の現像装置、並びに、これを採用する画像形成装置およびプロセスカートリッジに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置では、高画質化とともに、小型化、長寿命化が要求されている。現像装置の長寿命化が進むと多量のトナーを消費するが、多量のトナーを収容するスペースを現像装置内に確保すると大型化してしまう。また、現像装置内に収容されるトナーの量が多いと、トナー攪拌に伴う摩擦熱の発生が大きくなり、この熱の蓄積により経時でトナー樹脂が溶融してトナー同士が凝集しやすくなり、画質劣化を招くことがある。また、トナーはある程度の粒度分布を有しているが、小粒径のトナーから先に現像に使用される傾向があり、現像を繰り返すことによって消費されない大粒径のトナーが残留し、現像装置内に収容されるトナー中の大粒径トナーの存在比率が増加する。このように粒度分布が大粒径に偏ったトナーで現像が行われると、画質劣化を招くことがある。現像装置内に収容されるトナーの量が多いと、小粒径のトナーを補給することなく長期に渡り現像が反復されるため、上記大粒径トナーの存在比率が増加したトナーによる不良な画像形成が継続されやすい。
【0003】
これらの理由から、現像装置内に収容されるトナーの量を良好な現像が行われる範囲でできるだけ少なくすることが望ましい。そこで、現像装置内でトナーを貯留するスペースを小さくするとともに、新しいトナーを収容するトナー容器を現像装置に対して交換可能に設け、現像装置内のトナー残量が少なくなくなるとトナー容器からトナーを補給する構成が主流になっている。
【0004】
このようなトナー補給をおこなう現像装置として、現像ローラと、トナーを担持して現像ローラに供給すると共に現像に使用されなかったトナーを現像ローラから回収する供給ローラと、トナーを貯留するトナー貯留部と、トナー貯留部内のトナーを攪拌する攪拌部材と、トナー貯留部内のトナー残量を検知するトナー残量検知手段と、トナー残量に基づきトナー容器からトナー貯留部にトナーを補給するトナー補給手段とを備えた一成分現像装置が広く知られている。また、一成分現像装置では、供給ローラ表面を多孔質体であるスポンジ層で構成することにより十分な量のトナーを担持させて現像ローラに供給するとともに、現像に使用されなかったトナーを現像ローラから良好に回収できることが知られている。
【0005】
このような一成分現像装置においては、トナー貯留部に貯留されるトナーは現像工程の繰り返しによるストレスで、添加剤がトナー母体樹脂中に埋没して流動性低下や帯電性低下というトナー劣化を招く。トナー補給前には、トナー貯留部の供給ローラ近傍には劣化トナーが多く存在している。トナー貯留部に新しいトナーが補給されて、帯電性の高い補給トナーと帯電性の低下した劣化トナーとが接触すると、その相互作用により帯電性の高いトナーはより高い帯電状態に、帯電性の低いトナーはより低い帯電状態へと変化し、帯電量の2極化が促進される。このため、トナー補給後の供給ローラ近傍のトナーは、トナーの正規の荷電極性とは逆極性に帯電した逆帯電トナーの存在比率が増大した状態となる。供給ローラにより逆帯電トナーが現像ローラに供給され現像領域に搬送されると、潜像担持体の非画像部に付着してしまい、トナー補給後の地汚れという問題を発生させてしまう。
【0006】
トナー補給後の逆帯電トナーの増加による地汚れを低減する方法として、補給トナーと劣化トナーとの攪拌状態を改善するものが知られている(例えば、特許文献1)。これは、トナー貯留部内の攪拌部材により補給トナーと劣化トナーとの攪拌を十分行うことにより、供給ローラ近傍に貯留されるトナー中の逆帯電トナーの存在比率を下げ、現像ローラに供給されるトナー中の逆帯電トナーの存在比率を少なくするものである。
【0007】
しかしながら、トナー貯留部内の攪拌部材によりトナー供給ローラ近傍の逆帯電トナーの存在比率を少なくするだけでは、その抑制効果は十分といえない。特に、スポンジ層で構成された供給ローラを用いる場合は、トナー補給後の地汚れが発生しやすい。一般的に、供給ローラはその回転で発生するトナーの動きで、担持するトナーを徐々に供給ローラ近傍のトナーと入れ替えている。しかしながら、スポンジ層で構成された供給ローラは、表層が均一な供給ローラに比べると、トナーを担持する力が強く、供給ローラの回転によるトナーの動きにより担持するトナーを入れ替えることが難しい。このため、供給ローラ近傍のトナーを逆帯電トナーの存在比率が少ないトナーにしても、これを新たに担持して現像ローラに供給することは難しい。供給ローラは、スポンジ層に劣化トナーを担持したままの状態であり、担持された劣化トナーが補給トナーと接触して逆極性となり、その結果、逆帯電トナーの存在比率が多いトナーを現像ローラに供給してしまう。
【0008】
特許文献2に、供給ローラのスポンジ層からトナーを除去するトナー除去部材を設けたものが記載されている。この装置では、先端側がブレード状のトナー除去部材を、スポンジ層に食い込むよう固定配置している。そして、画像形成に伴う供給ローラの回転時に、スポンジ層の表面や内部に担持されるトナーを除去している。この装置によれば、画像形成時に供給ローラのスポンジ層に担持されるトナーを一旦除去して、供給ローラをリフレッシュしてから新たにトナーを担持させることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献2の装置では、トナー除去部材を常に供給ローラのスポンジ層に食い込ませるように固定配置する構成をとっているため、スポンジ層の劣化が促進されて部品の耐久性が得られず、装置の長寿命化に反してしまう。さらに、ブレード状のトナー除去部材を固定配置する構成のため、位置によっては供給ローラから除去されたトナーが滞留してしまい、トナー貯留部全体としてのトナー流動の妨げとなり攪拌状態が悪くなる可能性がある。
【0010】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、トナー供給部材の劣化を抑制しつつ、トナー補給後の地汚れを低減することのできる現像装置、画像形成装置およびプロセスカートリッジを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、トナーを担持して潜像担持体との対向部まで搬送する現像剤担持体と、該現像剤担持体に当接しながら回転することで該現像剤担持体にトナーを供給すると共に現像に使用されなかったトナーを該現像剤担持体から回収する多孔質体表層を有するトナー供給部材と、トナーを貯留するトナー貯留部と、該トナー貯留部内のトナーを攪拌するよう回転する攪拌部材と、該トナー貯留部内のトナー残量を検出するトナー量検出手段と、該トナー量検出手段の検出結果に基づき新しいトナーを収容するトナー容器から該トナー貯留部にトナーを補給するトナー補給手段と、上記トナー供給部材の多孔質体表層に担持されるトナーを除去するトナー除去部材とを備えた現像装置において、上記トナー除去部材を上記トナー供給部材の多孔質体表層に対して接離可能に設け、上記トナー補給手段によるトナー補給時に、該トナー除去部材を該多孔質体表層に接触させると共に該トナー供給部材を回転させながら、上記攪拌部材を回転させてトナーを攪拌する攪拌モードを有することを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の現像装置において、上記トナー除去部材は、上記トナー供給部材と水平な軸を中心に回転して回転軌跡が上記多孔質体表層に接触するよう配置されるものであり、上記攪拌モードでは、該トナー除去部材を該多孔質体表層に接触した状態で停止することを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1または2の現像装置において、複数の攪拌部材を設け、上記攪拌モードでは、少なくとも一つの攪拌部材が上記トナー除去部材を兼ねるよう該多孔質体表層に接触した状態で停止することを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1、2または3の何れかの現像装置において、上記トナー供給部材の回転方向に対して上流に上記トナー除去部材を設け、下流に上記トナー補給時に回転する攪拌部材を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項3または4の現像装置において、画像形成時は複数の攪拌部材を回転駆動させることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、潜像を担持する潜像担持体と、該潜像担持体上の潜像を現像する現像手段とを備えた画像形成装置において、上記現像手段として請求項1乃至5の何れかの現像装置を採用することを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、潜像を担持する潜像担持体と、該潜像担持体上の潜像を現像する現像手段とを一体的に形成し、画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジにおいて、上記現像手段として請求項1乃至5の何れかの現像装置を採用することを特徴とするものである。
本発明においては、トナー補給時にトナー除去部材を多孔質体表層に接触した状態にしてトナー供給部材を回転させることにより、多孔質体に担持されるトナーを除去することができる。また、攪拌部材を回転させることによりトナー貯留部内のトナーを攪拌して、供給ローラ近傍の逆帯電トナーの偏在を解消し、逆帯電トナーの存在比率を少なくすることができる。このように、トナー補給時に、トナー供給部材の多孔質体表層をリフレッシュし、新たに供給ローラ近傍のトナーを担持できるようにすることで、担持されるトナーを逆帯電トナーの存在比率の少ないトナーに入れ替えることができる。このため、トナー補給後の地汚れの発生を抑制することができる。また、トナー除去部材は多孔質体表層に対して接離可能であり、トナー補給時以外は必要に応じて離間させることで、トナー除去部材による多孔質体表層の劣化の抑制とトナー補給後の地汚れを低減とが両立できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、トナー供給部材の劣化を抑制しつつ、トナー補給後の地汚れを低減することができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置の概略構成図。
【図2】現像装置の概略構成図。
【図3】トナー補給時の攪拌モードにおける現像装置の概略図。
【図4】トナー補給時の攪拌モードにおける供給ローラに対するトナーの動きの説明図。
【図5】攪拌部材の形状を示す斜視図。
【図6】攪拌モードにおけるトナー除去部材の接触状態の説明図
【図7】トナー補給後の地汚れのレベルを示すグラフ。
【図8】トナー除去部材の回転と静止とで供給ローラの耐久性を評価したグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を画像形成装置であるカラー画像形成装置(以下、画像形成装置という)に適用した一実施形態を説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。この画像形成装置は、いわゆるタンデム型中間転写方式を採用した画像形成装置である。図1に示すように、潜像担持体として4つのドラム状の感光体11Y、M、C、Bkが並列配置されている。この感光体11Y、M、C、Bkは、それぞれ、図中時計方向に回転可能に構成されている。各感光体11Y、M、C、Bkの回りには、各感光体上にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色トナー像を形成するためのトナー像形成手段が配置されている。
【0015】
なお、トナー像形成手段は、扱うトナー(色材)の色が異なる以外は、同じ構成であるため、添字Y、M、C、Bkを省略して、感光体11に対する各手段として詳しく説明する。
感光体11の回りには、その表面を一様帯電する帯電装置12、一様帯電処理面に潜像を形成するためのレーザー光線でなる露光13、感光体11表面の潜像に帯電トナーを付着することでトナー像を形成する現像装置1、感光体11上の残留トナーを除去するためのクリーニング装置14が順に配置されている。また、現像装置1の上部には現像装置1と連結してトナーを現像装置1内に供給するトナー容器8が交換可能に配置されている。なお、本実施形態では、トナー像形成手段の感光体11と、帯電装置12と、現像装置1と、クリーニング装置14とを一体的に構成し、画像形成装置本体に対して脱着可能なプロセスカートリッジを採用している。このようなプロセスカートリッジを採用することで、メンテナンスを容易にすることができる。
【0016】
図1では、帯電装置12として、感光体11に接触配置した帯電ロールの芯金に高電圧を印加して感光体11表面を一様に帯電する接触ロール帯電方式を使用している。これに限らず、チャージワイヤーに高電圧を印加することにより放電するコロトロン、スコロトロン方式、この他に帯電ブラシ、帯電シート、針電極などを使用することができる。これらは、感光体11に対して非接触で感光体表面を帯電できるため、クリーニング性の影響を受けにくいというメリットはあるが、放電に伴って生成されるオゾンやNOx等の放電生成物の発生量が帯電ロール方式に比較し格段に大きいため、感光体11の耐久性の面で課題がある。
【0017】
感光体11Y、M、C、Bkの下方には、中間転写ベルト20が配置されている。中間転写ベルト20は図示しない張架ローラに張架されて図中反時計回りに駆動される。中間転写ベルト20を挟んで感光体11Y、M、C、Bkに対向する位置には、感光体11Y、M、C、Bk上に形成されたトナー像を中間転写ベルト20上に転写するために一次転写ローラ21Y、M、C、Bkが配置されている。
【0018】
また、中間転写ベルト20の回転方向に関して一次転写ローラ21Y、M、C、Bkより下流部に、中間転写ベルト20の周面に当接し、中間転写ベルト20上のトナー像を転写材に転写する二次転写ローラ22を配置している。さらに、二次転写ローラ22よりも下流には、二次転写ローラ22による転写後に中間転写ベルト20上に残留する残留トナーを除去するベルトクリーニング装置23が設けられている。ベルトクリーニング装置23は、クリーニングブラシ24とウレタンゴムよりなるクリーニングブレード25とを有している。クリーニングブレード25は中間転写ベルト20の回転方向に対してカウンタとなるように当接させており、対向するように金属製クリーニング対向ローラ26を設けている。クリーニングブレード25により除去されたトナーは図示しないコイルなどで搬送され図示しない廃トナー収納部に収納される。なお、一次転写ローラ21Y、M、C、Bkより下流部で、二次転写ローラ22より上流部に、中間転写ベルト20上に転写されたトナーの付着量及び各色の位置を測定して画像濃度や位置あわせの調整に使用するセンサ27を備えている。ここでは、正反射と拡散反射方式を組み合わせた光学センサを用いている。
【0019】
このような構成の画像形成装置では、感光体11Y、M、C、Bk上に形成された各色トナー像が中間転写ベルト20上に順次転写されて4色重ね画像を形成する。この中間転写ベルト20上の4色重ね画像の先端部が二次転写位置に到達するタイミングに合わせて、図示しない給紙部より転写材としての転写紙が給紙され、二次転写ローラ22により重ね画像が転写紙に転写される。転写紙に転写された4色重ね画像は、定着手段17へ搬送され、定着手段17で定着されたあと図示しない排紙ローラによって排紙される。
【0020】
図2は、現像装置1の概略構成をしめす断面図である。現像装置1には、現像剤としてのトナーを担持して、図2中反時計方向に回転して感光体11と対向する現像領域まで搬送する現像剤担持体としての現像ローラ2を備えている。また、この現像ローラ2に当接しながら回転してトナーを供給する供給ローラ4と、現像ローラ2上にトナー薄層を形成するようトナー量を規制する規制部材3と、トナーを貯留するトナー貯留部7とを備えている。また、トナー貯留部内7には、トナー貯留部7内のトナーをほぐすよう攪拌する撹拌手段として、二つの攪拌部材5、6を備えている。
【0021】
作像時は、撹拌部材5、6は、図2中時計方向に回転駆動され、トナー貯留部内7のトナーをほぐすよう攪拌する。トナー貯留部11内のトナーは、ほぐされると自重で下方の供給ローラ4の近傍に移動する。供給ローラ4は、トナーを担持して、図2中反時計方向に回転して現像ローラ2との当接部まで搬送し、現像ローラ2上にトナーを供給するとともに、現像ローラ2上のトナーを回収する。供給ローラ4と現像ローラ2とは当接部において互いに逆方向に回転しており、現像ローラ2の回転方向に関して当接部の上流部では、現像ローラ2上の感光体11上に現像されずに残ったトナーを供給ローラ4で擦り落すようにして回収する。そして、当接部の下流部では、供給ローラ4に担持されたトナーを現像ローラ2に担持させる。図2の現像装置では、現像ローラ2、供給ローラ4、攪拌部材5,6がそれぞれ上述のように回転することで、トナー貯留部7内のトナーは図2中矢印Aのように循環する。
【0022】
この現像装置1において、供給ローラ4は、回転軸(芯金)を空孔を有した発泡材料(スポンジ)で被覆したローラを用いており、多孔質体表層であるスポンジ層4aを有している。このような構成の供給ローラ4は、スポンジ層4aの表面及び内側にトナーを担持させることができるため、十分な量のトナーを現像ローラ2との当接部まで搬送することができる。また、逆方向に回転するスポンジ層4aが、現像後の現像ローラ2からトナーを良好に擦り落とすことができる。さらに、現像ローラ2との当接部での圧力によるトナーへのストレスを低減しすることができ、トナー劣化を抑制することができる。発泡材料としてはカーボン微粒子を含有させた導電性のもの又はイオン導電性のものが用いられており、供給ローラ4の回転軸には、供給ローラ4のスポンジ層4aから現像ローラ2に十分な量のトナーが供給されるように供給バイアスを印加することができる。供給バイアスとしては、DCバイアス、または、DCバイアスにACバイアスを重畳させたバイアスが用いられる。
【0023】
現像ローラ2は、ゴム層を被覆したローラが用いられ、ゴム層の表面にはトナーと逆極性に帯電しやすい材料からなる表面コート層が形成されている。ゴム層は、規制部材3との当接部での圧力によるトナー劣化を防止するために、JIS−Aで60度以下の硬度に設定されている。表面粗さは、算術平均粗さRaで0.3〜2.0μmに設定されており、必要量のトナーが表面に保持される。また、現像ローラ2には、感光体11との間に電界を形成させるための現像バイアスが印加されるので、ゴム層は所定の抵抗値に設定される。
【0024】
規制部材3は、ステンレス鋼やリン青銅などの金属製の板バネである。規制部材3の自由端側は、現像ローラ2の表面に所定の圧力で当接している。そして、この押圧部を通過するトナーは薄層化されるとともに、摩擦帯電によって電荷が付与される。さらに規制部材3には、摩擦帯電を補助するために、現像バイアスに対して現像剤の帯電極性と同方向にオフセットさせたDCバイアス、又は現像バイアスに対して現像剤の帯電極性と同方向にオフセットされたDCバイアスにACバイアスを重畳させたバイアスが印加される。
【0025】
現像ローラ2上に供給されたトナーは、規制部材3により薄層化された後、感光体11と対向する現像領域まで搬送され、現像ローラ2に印加された現像バイアスと感光体11上に形成された静電潜像との電界により現像が行われる。感光11体上に現像されずに現像ローラ2上に残されたトナーは、現像ローラの回転によりトナー貯留部7へ戻り、上述のように供給ローラ4により擦り落される。また、図2では、感光体11と現像ローラ2とは接触して配置される接触現像方式を示しているが、感光体11と現像ローラ2とは非接触で配置される非接触現像方式でも構わない。
【0026】
また、現像装置1の上部には、トナー貯留部7に補給する新しいトナーを収容したトナー容器8が交換可能に設けられている。また、現像装置1のトナー貯留部7壁面には、トナー貯留部7内のトナー残量を検知するため、透明な材質で構成される検知窓10を有している。検知窓10に対応する画像形成装置には、検知窓10を介してトナー残量を検知する光学式のトナー残量センサ(不図示)を備える。光学式のトナー残量センサとしては、検知窓10に向けて光を発光する発光素子と検知窓10を通過した光とを受光する受光部を備えた透過型のセンサが挙げられる。また、トナー残量センサとしては、圧電センサなどによりトナー残量を直接に検知しても構わない。このトナー残量センサの検知結果により、トナー貯留部内2のトナー残量不足と判断された場合は、現像装置1との連通部であるトナー補給口9を介して、トナー容器8よりトナー貯留部7にトナー補給できるように構成されている。また、トナー残量センサで検知した時点をトリガにドットカウントを開始し、ドット数からトナーの消費量を予測し、現像装置1内のトナー残量をさらに減量した時点で残量不足と判断して、トナー補給をおこなうようにしてもよい。
【0027】
トナー補給手段としては、例えば、トナー容器8の内部に図示しないスクリューあるいはコイルなどのトナー搬送手段を設けて、トナー補給口9に向かってトナーを搬送させることでトナーを補給するものが挙げられる。また、トナー補給量は、トナー搬送手段の駆動時間により制御することが可能である。また、トナー容器8に補給するトナーがなくなった場合は、画像形成装置の非図示の表示パネルにトナーエンド指示の表示を点灯させて、トナー容器8の交換を促す。
【0028】
次に、本実施形態の特徴部を説明する。
図3は、本実施形態の現像装置のトナー補給時をしめす概略構成図である。本実施形態の現像装置1では、トナー残量センサにより、トナー貯留部7内のトナー残量不足が判断され、トナー容器8からトナー補給をするトナー補給時に、片方の攪拌部材6を供給ローラ4のスポンジ層4aに接触した状態で停止させる。このとき、現像ローラ2、供給ローラ4、攪拌部材5は回転動作を行う。これにより、トナー貯留部7内のトナーの流れは、図2中の矢印Aのような循環から、図3中矢印A1のような循環に変化する。このように、トナー補給時は、攪拌部材6が静止していても、攪拌部材5が回転することで、トナー補給口9から補給された補給トナーが供給ローラ4近傍に送られ、劣化トナーと混合・攪拌される。そして、攪拌部材5が回転し続けることで、逆帯電トナーが増えても供給ローラ4近傍の逆帯電トナーの存在比率を少なくすることができる。これを、トナー補給時の攪拌モードと呼ぶ。
【0029】
図4は、トナー補給時の攪拌モードにおける供給ローラ4に対するトナーの動きをしめす説明図である。回転している供給ローラ4に接触した状態で停止した攪拌部材6は、スポンジ層4a表面に担持されるトナーを掻き落とす。また、攪拌部材6の食い込んだ先端が供給ローラ4のスポンジ層4a内部で目詰まり状態となっている劣化トナーをほぐして、供給ローラ4外へ排出しやすい状態とする(矢印a)。排出されたトナーはトナー貯留部7内で補給トナーと攪拌され、劣化トナーと補給トナーの混合が促進される。また、供給ローラ4の回転方向に関して攪拌部材6より下流側では、攪拌部材5が回転を続けることで、上述のようにトナー補給口9から補給された補給トナーが供給ローラ4近傍に送られ、トナー中の逆帯電トナーの存在比率を少なくすることができる。このため、上流部で攪拌部材5により劣化トナーを排出したスポンジ層4aに、逆帯電トナーの存在比率の少ないトナーを担持させることができる(矢印b)。供給ローラ4に担持された逆帯電トナーの存在比率の少ないトナーは、現像ローラ1と当接する供給ニップNまで搬送され現像ローラ2に供給される。
【0030】
このように、作像時には回転している攪拌部材6を、トナー補給時にスポンジ層4aに接触した状態で停止させ、供給ローラ4を回転させることで、攪拌部材6をスポンジ層4aに担持されるトナーを除去するトナー除去部材として機能させることができる。これにより、トナー補給時に、供給ローラ4をリフレッシュして、担持されるトナーを逆帯電トナーの存在比率の少ないトナーに入れ替えることができ、トナー補給後の地汚れの発生を抑制できる。また、作像時には回転により、間欠的にスポンジ層4aに接触する攪拌部材6をトナー除去部材として用いる。このため、常にスポンジ層4aに食い込むように固定配置されたトナー除去部材を用いるものに比べ、スポンジ層4aの劣化が抑制できる。
【0031】
図5は、攪拌部材6の形状を示す斜視図である。図5(a)は、回転軸6c上にパドル部6aを設けたものである。このパドル部6aの最外回転軌跡が、供給ローラ4のスポンジ層4aに接触するよう、回転軸6cを供給ローラ4の回転軸方向と平行に配置する。また、攪拌部材6は、トルクやトナー貯留部7のトナーの流動等を考慮して、図5(b)にしめす、回転軸6c上にシャフト部6bを設けた構成でも構わない。
【0032】
図6は、攪拌モードにおける攪拌部材6のスポンジ層への接触状態の説明図である。トナー補給時の攪拌モードでは、攪拌部材6は供給ローラ4のスポンジ層4aに接触した状態で静止していればよく、供給ローラ4のスポンジ層4aへの食い込み量dを、d>0とすることが必要である。特に、図6(a)に示すように、供給ローラ4のスポンジ層4aにある程度食い込ませることで、スポンジ層4a内部にトナーが目詰まりした状態になっていても、トナーを除去しやすい。また、図6(b)に示すように、d>0であれば、攪拌部材6が、図中矢印cで示す範囲内のいずれかの状態であれば良い。食い込み量dの値は現像装置1のサイズや、トルク等を考慮して、適宜設定することができる。
【0033】
以下、実験によりその効果を確認した結果を示す。
実験で使用したトナーは以下のとおりである。
ポリエステル樹脂A(軟化点131℃、AV値 25)・・・・68部
ポリエステル樹脂B(軟化点116℃、AV値 1.9)・・・32部
シアンのマスターバッチ(Pigment Blue 15:3を50部含有)・・・8部
カルナウバワックス・・・8部
上記トナー材料をヘンシェルミキサーで十分混合した後、二軸押出し混練機(PCM−30:池貝鉄工社製)の排出部を取り外したものを使用して溶融混練して、得られた混合物を冷却プレスローラで厚さ2mmに圧延し、冷却ベルトで冷却した後、フェザーミルで粗粉砕した。その後、機械式粉砕機(KTM:川崎重工業社製)で平均粒径10〜12μmまで粉砕し、さらに、ジェット粉砕機(IDS:日本ニューマチック工業社製)で粗粉分級しながら粉砕した後、微粉分級をロータ型分級機(ティープレックス型分級機 タイプ100ATP:ホソカワミクロン社製)を使用して分級を行い、体積平均粒径7.9μm、平均円形度0.910のトナー母体Aを得た。このトナー母体A100部に対して、シリカ(RX200)1部を添加し、ヘンシェルミキサーで周速40m/sec、5分間混合処理して、トナーを作成した。
【0034】
作成したトナーをリコー製 Ipsio C220に充填し、常温で1枚/1JOB 3秒間欠 3000枚/5000枚の耐久試験を実施した後、現像装置1内のトナーを採取し、上記のトナーエンド検知時点の現像装置内残留トナーを想定したものを劣化トナーとする。この劣化トナーを充填した現像装置1に新品のトナーを補給し、作像時に感光体11上にある地肌よごれトナーの量を比較した。図7は、トナー補給後の地汚れのレベルを示すグラフである。図7では、横軸に印刷枚数、縦軸に地肌の色濃度を記す。また、色濃度として明度L*をもちいている。L*が大きい程色は白に近く、地汚れの程度が良いと判断する。図7では、図2の現像装置1による作像時の攪拌状態でトナー補給をおこなったものと、本実施形態である図3の現像装置の攪拌モードでトナー補給を行ったものについて、地汚れの推移を比較している。これによると、本実施形態の攪拌モードを用いたほうが、トナー補給直後の地汚れの悪化度合いが小さく、作像をつづけることで地汚れが定常状態に戻るまでにかかる枚数も少ないという結果になった。よって、上記攪拌モードを用いることで、トナー補給時の地汚れの改善がなされ、良好な画像品質が得られることとなる。
【0035】
図8は、トナー除去部材である攪拌部材6の回転と静止とで供給ローラ4の耐久性を評価したものである。具体的には、現像装置1にトナーを充填し、攪拌部材6の回転させる通常攪拌と、攪拌部材5が接触して静止した攪拌モードとで空転耐久をおこない、その際の供給ローラ4の外径(直径)の変化量を比較したものである。接触させ続けたものは供給ローラ4の外径の減りが大きく、外形が接触により磨耗していることがわかる。そこで、作像時には攪拌部材6を回転させることで、供給ローラ4の耐久性向上が図ることができる。
【0036】
以上、本実施形態では、トナー貯留部7内の攪拌手段として二つの攪拌部材5、6を設け、トナー補給時は、片方の攪拌部材6を供給ローラ4に担持されたトナーを除去するトナー除去部材として用いる構成で、本発明を説明した。これに限らず、トナー除去部材として供給ローラ4に接離可能な部材を別途設け、トナー供給時の攪拌モードで供給ローラ4に接触させてトナーを除去するものであっても、もちろん構わない。
【0037】
以上、本実施形態によれば、現像剤担持体としての現像ローラ2と、現像ローラ2に当接しながら回転することで現像ローラ2にトナーを供給すると共に現像に使用されなかったトナーを現像ローラ2から回収する多孔質体表層であるスポンジ層4aを有するトナー供給部材としての供給ローラ4と、トナーを貯留するトナー貯留部7と、トナー貯留部7内のトナーを攪拌するよう回転する攪拌部材5と、トナー貯留部7内のトナー残量を検出するトナー量検出手段と、トナー量検出手段の検出結果に基づき新しいトナーを収容するトナー容器8からトナー貯留部7にトナーを補給するトナー補給手段と、供給ローラ4のスポンジ層4aに担持されるトナーを除去するトナー除去部材として攪拌部材6を設ける。この攪拌部材6を供給ローラ4のスポンジ層4aに対して接離可能に設け、トナー補給手段によるトナー補給時に、攪拌部材6をスポンジ層4aに接触させると共に供給ローラ4を回転させながら、攪拌部材5を回転させてトナーを攪拌する攪拌モードを有する。これにより、供給ローラの劣化を抑制しつつ、トナー補給後の地汚れを低減することができる。
また、本実施形態によれば、トナー除去部材である攪拌部材6は、供給ローラ4と水平な軸を中心に回転して回転軌跡がスポンジ層4aに接触するよう配置されるものであり、攪拌モードでは、攪拌部材6をスポンジ層4aに接触した状態で停止させる。これにより、攪拌部材6をスポンジ層4aに対して接離可能に設け、攪拌モードでは攪拌部材6をスポンジ層4aに接触させることが、容易な構成でおこなえる。また、攪拌部材6が回転可能であるため、トナー貯留部7全体としてのトナー流動の妨げとなり攪拌状態が悪くなる虞がない。
また、本実施形態のよれば、トナー貯留部7内のトナーを攪拌する攪拌部材として、複数の攪拌部材5,6を設け、攪拌モードで攪拌部材6がトナー除去部材を兼ねるようにする。これにより、部品構成を少なくして、コストダウン、省スペース化を図ることができる。
また、本実施形態によれば、供給ローラ4の回転方向に対して上流に、トナー補給時にトナー除去部材としての機能する攪拌部材6を設け、下流にトナー補給時に回転する攪拌部材5を設ける。これにより、上流側で攪拌部材6によりトナーを除去してリフレッシュしたスポンジ層4aに、攪拌部材5により攪拌した逆帯電トナーの存在比率の少ないトナーを新たに担持させて、供給ローラ4に担持されるトナーを入れ替える効率が高くすることができる。
また、本実施形態によれば、画像形成時は攪拌部材5,6を回転駆動させることにより、トナー貯留部7内のトナーの攪拌して、トナーの流動性を良好にすることができ、高画質な画像が得られる。
また、本実施形態によれば、潜像を担持する感光体と、感光体上の潜像を現像する現像手段とを備えた画像形成装置において、現像手段として上記現像装置1を採用することで、高画質な画像がえられる。
また、本実施形態によれば、感光体と少なくとも現像装置1とを一体的に形成し、画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジを用いることで、メンテナンスを容易にすることができる。
【符号の説明】
【0038】
1 現像装置
2 現像ローラ
3 規制部材
4 供給ローラ
4a スポンジ層
5 攪拌部材
6 攪拌部材(トナー除去部材)
6a バドル部
6b シャフト部
6c 回転軸
7 トナー貯留部
8 トナー容器
9 トナー補給口
10 検知窓
11 感光体
20 中間転写ベルト
【先行技術文献】
【特許文献】
【0039】
【特許文献1】特開平11−237772号公報
【特許文献2】特開2009−156951号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーを担持して潜像担持体との対向部まで搬送する現像剤担持体と、該現像剤担持体に当接しながら回転することで該現像剤担持体にトナーを供給すると共に現像に使用されなかったトナーを該現像剤担持体から回収する多孔質体表層を有するトナー供給部材と、トナーを貯留するトナー貯留部と、該トナー貯留部内のトナーを攪拌するよう回転する攪拌部材と、該トナー貯留部内のトナー残量を検出するトナー量検出手段と、該トナー量検出手段の検出結果に基づき新しいトナーを収容するトナー容器から該トナー貯留部にトナーを補給するトナー補給手段と、上記トナー供給部材の多孔質体表層に担持されるトナーを除去するトナー除去部材とを備えた現像装置において、
上記トナー除去部材を上記トナー供給部材の多孔質体表層に対して接離可能に設け、上記トナー補給手段によるトナー補給時に、該トナー除去部材を該多孔質体表層に接触させると共に該トナー供給部材を回転させながら、上記攪拌部材を回転させてトナーを攪拌する攪拌モードを有することを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1の現像装置において、上記トナー除去部材は、上記トナー供給部材と水平な軸を中心に回転して回転軌跡が上記多孔質体表層に接触するよう配置されるものであり、上記攪拌モードでは、該トナー除去部材を該多孔質体表層に接触した状態で停止することを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項1または2の現像装置において、複数の攪拌部材を設け、上記攪拌モードでは、少なくとも一つの攪拌部材が上記トナー除去部材を兼ねるよう該多孔質体表層に接触した状態で停止することを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項1、2または3の何れかの現像装置において、上記トナー供給部材の回転方向に対して上流に上記トナー除去部材を設け、下流に上記トナー補給時に回転する攪拌部材を設けたことを特徴とする現像装置。
【請求項5】
請求項3または4の現像装置において、画像形成時は複数の攪拌部材を回転駆動させることを特徴とする現像装置。
【請求項6】
潜像を担持する潜像担持体と、該潜像担持体上の潜像を現像する現像手段とを備えた画像形成装置において、上記現像手段として請求項1乃至5の何れかの現像装置を採用することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
潜像を担持する潜像担持体と、該潜像担持体上の潜像を現像する現像手段とを一体的に形成し、画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジにおいて、上記現像手段として請求項1乃至5の何れかの現像装置を採用することを特徴とするプロセスカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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